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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-13
(45)【発行日】2022-01-13
(54)【発明の名称】同軸コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 24/40 20110101AFI20220105BHJP
   H01R 13/639 20060101ALI20220105BHJP
【FI】
H01R24/40
H01R13/639 Z
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018037902
(22)【出願日】2018-03-02
(65)【公開番号】P2019153465
(43)【公開日】2019-09-12
【審査請求日】2021-01-26
(73)【特許権者】
【識別番号】390033318
【氏名又は名称】日本圧着端子製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(72)【発明者】
【氏名】松本 博幸
(72)【発明者】
【氏名】安田 宗丘
(72)【発明者】
【氏名】イム ドンイル
【審査官】山下 寿信
(56)【参考文献】
【文献】特表2011-503823(JP,A)
【文献】米国特許第04345370(US,A)
【文献】特開昭53-035992(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 24/38
H01R 13/639
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心導体、この中心導体を包囲する誘電体、この誘電体を覆う外部導体、及び、この外部導体を被覆する絶縁シースを有する同軸ケーブルの端末に接続した円筒状の端子組立体と、
前記端子組立体を導入できる端子収容室を内部に有し、相手側外部ハウジングに係止自在なロックアームを有する外部ハウジングと、を備え、
前記端子組立体は、
前記絶縁シースを剥離した同軸ケーブルの端末を内部に導入し、前記外部導体を圧着した金属スリーブと、
前記中心導体を基端部に接続した中心コンタクトと、
前記中心コンタクトを中心部に保持した円筒状のインシュレータと、
前記インシュレータを内部に保持した円筒状の外部コンタクトと、を有し、
前記外部コンタクトは、基端部側に形成し、前記外部導体と接続自在な外部導体接続部を有し、
前記金属スリーブは、
前記外部導体接続部を介して、前記同軸ケーブルの外部導体を圧着した円筒状の軸部と、
前記軸部の端部に形成し、前記端子収容室に嵌合できフランジ部と、を有している、同軸コネクタ。
【請求項2】
前記外部コンタクトは、前記外部導体接続部が前記外部導体と前記誘電体の間に挿入されている、請求項1記載の同軸コネクタ。
【請求項3】
前記外部コンタクトは、先端部側に形成し、相手側外部コンタクトと接続自在なコンタクト接続部を有し、
前記コンタクト接続部は、一つ以上の切り込みを外周に切り欠いたオープンエントリからなる、請求項1又2記載の同軸コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、同軸コネクタに関する。特に、同軸ケーブルの端末に接続した円筒状のジャックなどの端子組立体、端子組立体を内部に導入自在な外部ハウジング、及び、端子組立体を構成し、絶縁シースを剥離した同軸ケーブルの端末を内部に導入し、外部導体を圧着した金属スリーブを備えた同軸コネクタの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
一方の同軸ケーブルの端末に固定した一方の端子組立体(例えば、ジャック)と、他方の同軸ケーブルの端末に固定し他方の端子組立体(例えば、プラグ)を接続することで、高周波信号を一方の同軸ケーブルから他方の同軸ケーブルに伝送できる。又は、高周波信号を他方の同軸ケーブルから一方の同軸ケーブルに伝送できる。
【0003】
一般に、同軸ケーブルは、円形の中心導体、中心導体の周囲を囲うフッ素系樹脂などの誘電体、誘電体の周囲を囲う編組線などの外部導体、及び、外部導体を被覆保護する絶縁シースで構成している。
【0004】
例えば、従来のプラグなどの端子組立体は、円筒状の外部コンタクトと中心コンタクトを備えている。外部コンタクトと中心コンタクトの間には、インシュレータが介在されている。外部コンタクトは、その一端部側に圧着部を有している。又、外部コンタクトは、インシュレータを介して、他端部側に中心コンタクトを同軸上に配置している。
【0005】
誘電体の周囲を囲う編組線などの外部導体を絶縁シースの周囲に折り返した状態で、つまり、同軸ケーブルを端末処理した状態で、絶縁シースの外部から外部導体を外部コンタクトの圧着部を圧着することで、外部コンタクトと外部導体を電気的に接続できると共に、同軸ケーブルの端末に端子組立体を固定できる。
【0006】
前述した同軸ケーブルを端末処理は、同軸ケーブルの端面から絶縁シースを所定の長さで剥離する「絶縁シース剥離工程」と、U字状に開口した金属スリーブを外部導体に圧着する「金属スリーブ圧着工程」と、を含んでいる。
【0007】
更に、同軸ケーブルを端末処理は、外部導体を金属スリーブに折り返す「編組折り返し工程」と、折り返した外部導体の端面から誘電体を所定の長さで剥離する「誘電体剥離工程」と、誘電体の端面から中心導体を所定の長さで剥離する「中心導体剥離工程」と、を含んでいる。
【0008】
このように端末処理した同軸ケーブルの中心導体に、中心コンタクトを接続すると共に、外部コンタクトの基端部を金属スリーブに圧着することで、プラグなどの端子組立体を同軸ケーブルの端末に固定した状態で接続できる。
【0009】
しかし、「誘電体剥離工程」において、誘電体の長さにバラツキ(偏差)があると、折り返した外部導体の端面と外部コンタクトの対向壁間の空気層にバラツキ(偏差)が生じ、安定した高周波特性(VSWR)を得ることが困難になるという不具合があった。
【0010】
従来のプラグなどの端子組立体は、このような不具合があったことから、誘電体の剥離長さに偏差がある場合においても、安定した高周波特性(VSWR)を発揮できる同軸コネクタが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0011】
又、同軸ケーブルの引っ張り強度を向上でき、かつ、同軸ケーブルのインピーダンスが低下することを抑制できる同軸コネクタが開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【文献】特開2018-6253号公報
【文献】特開2017-98002号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
図7は、第1の従来技術による同軸コネクタの構成を示す斜視図であり、同軸コネクタの中心を通る縦断面図で示している。なお、本願の図7は、特許文献1の図1に相当している。
【0014】
図7を参照すると、第1の従来技術による同軸コネクタ(以下、プラグという)8は、導電性を有する筒状の外部コンタクト81と中心コンタクト82を備えている。又、プラグ8は、円筒状のインシュレータ(絶縁体)83と導電性を有する筒状のインナ―スリーブ84を備えている。
【0015】
図7を参照すると、同軸ケーブルCbは、単線又は撚線からなる円形の中心導体Wc、中心導体Wcの周囲を囲うフッ素系樹脂などの誘電体Di、誘電体Diの周囲を囲う編組線などの外部導体Wb、及び、外部導体Wbを被覆保護する絶縁シースWiで構成している。図7を参照して、同軸ケーブルCbは、各構成部材がそれらの端末から所定の剥離長で予め剥離されている。つまり、同軸ケーブルCbは、端末処理されている。
【0016】
図7を参照すると、外部コンタクト81は、本体部81bと圧着部81cを有している。圧着部81cは、本体部81bの基端部に連続して形成している。又、圧着部81cは、圧着前にU字状に開口したコンダクタバレル811と圧着前にU字状に開口したインシュレーションバレル812を連続して形成している。
【0017】
図7を参照すると、同軸ケーブルCbは、誘電体Diの周囲を囲う外部導体Wbに金属スリーブSvを圧着している。又、金属スリーブSvは、折り返された外部導体Wbに覆われている。コンダクタバレル811は、誘電体Diを介して、金属スリーブSv及び外部導体Wbを圧着している。インシュレーションバレル812は、絶縁シースWiを圧着している。これにより、外部コンタクト81は、外部導体Wbに導通できると共に、同軸ケーブルCbは、その端末にプラグ8を固定できる。
【0018】
図7を参照すると、中心コンタクト82は、圧着部821を基端部に有している。圧着部821を中心導体Wcに圧着することで、中心コンタクト82の基端部を中心導体Wcに固定できる。中心コンタクト82は、インシュレータ83の内部に嵌合できる。又、中心コンタクト82は、図示しない相手側中心コンタクトと嵌合自在なピンコンタクト822を先端部に形成している。
【0019】
図7を参照すると、インシュレータ83は、外部コンタクト81の本体部81bの内部に嵌め込まれている。インシュレータ83は、外部コンタクト81と中心コンタクト82を電気的に絶縁している。
【0020】
図7を参照すると、インナ―スリーブ84は、その本体がインシュレータ83に外装されていると共に、外部コンタクト81と導通可能に配置されている。又、インナ―スリーブ84は、折り返した外部導体Wbの端面に接触する伸縮自在な複数の接触片84bを基端部に形成している。
【0021】
図7を参照すると、誘電体Diは、インシュレータ83の基端部に開口した段付穴に挿入されている。「誘電体剥離工程」において、誘電体Diの長さに偏差があると、折り返した外部導体Wbの端面と外部コンタクト81の対向壁間の空気層に偏差が生じるが、接触片84bが折り返した外部導体Wbの端面に接触しているので、第1の従来技術によるプラグ8は、安定した高周波特性(VSWR)を発揮できる、としている。
【0022】
図7を参照すると、外部コンタクト81は、略方形の第1輪帯B1、第2輪帯B2、及び、第3輪帯B3を外周方向に突出している。特許文献1の記載によれば、第1輪帯B1は、プラグ8を図示しない外部ハウジングに挿入した時に、外部ハウジングに対してプラグ8の軸ずれを防止するためのものであるとしている。第2輪帯B2及び第3輪帯B3の機能は、特許文献1には開示されていないが、外部コンタクト81の剛性を補強するためと推測される。
【0023】
しかし、図7を参照すると、第1輪帯B1、第2輪帯B2、及び、第3輪帯B3の内部は、空洞を有しているので、外部導体Wbからインナ―スリーブ84に至る伝送経路上に、比誘電率の小さい空気層が断続して配置されるので、伝送特性に良くない影響を与える心配がある。又、輪帯を数多く外部コンタクト81に形成することで、外部コンタクト81の成形が容易でなく、外部コンタクト81の製造原価を引き上げる要因になる。
【0024】
外部コンタクト81の外周に突出した輪帯の数を削減して、伝送特性に影響を与えない同軸コネクタが求められている。
【0025】
又、図7を参照すると、第1の従来技術によるプラグ8は、図示しない相手側コネクタ(例えば、ジャック)と着脱自在に接続できるが、相手側コネクタとの接続状態を維持することが困難であるという問題がある。プラグなどの端子組立体を保持すると共に、相手側コネクタとの接続状態を維持するロック機構付きの外部ハウジングを備えた同軸コネクタが求められている。
【0026】
図8は、第2の従来技術による同軸コネクタの構成を示す斜視図である。図9は、図8のA-A矢視断面図である。なお、本願の図8図9は、特許文献2の図1A図1Bに相当している。又、第1の従来技術で付した符号と同じ符号を有する構成品は、その作用を同じにするので、説明を省略することがある。
【0027】
図8図9を参照すると、第2の従来技術による同軸コネクタ(以下、プラグという)9は、導電性を有する筒状の外部コンタクト91と筒状の中心コンタクト92を備えている。又、プラグ9は、円筒状のインシュレータ(絶縁体)93と導電性を有する筒状の金属スリーブ94を備えている。
【0028】
図9を参照すると、中心コンタクト92は、テイル部92tを基端部側に有している。又、中心コンタクト92は、オープンエントリ形の接続部92sを先端部側に有している。テイル部92tは、同軸ケーブルCbの中心導体Wcと電気的に接続している。接続部92sには、図示しない相手側コンタクトと着脱自在に接続できる。
【0029】
図9を参照すると、インシュレータ93は、中心コンタクト92を内部に保持している。インシュレータ93は、中心コンタクト92の中間部を抜け止め可能に保持している。インシュレータ93は、円筒状のヘッダ93hを先端部側に形成している。又、インシュレータ93は、テイル部92tを内部に保持した保持93rを基端部側に有している。
【0030】
図9を参照すると、外部コンタクト91は、インシュレータ93を内部に保持している。インシュレータ93は、外部コンタクト91と中心コンタクト92を電気的に絶縁している。
【0031】
図8図9を参照すると、金属スリーブ94は、第1鍔部941を先端部側に形成している。第1鍔部941の内部には、外部コンタクト91が嵌合している。又、金属スリーブ94は、その基端部側の内部に、端末処理した同軸ケーブルCbを保持している(図9参照)。
【0032】
図8図9を参照すると、金属スリーブ94は、第2鍔部942を基端部に形成している。金属スリーブ94は、第1鍔部941と第2鍔部942の間に、第1圧着部94a、第2圧着部94b、非圧着部94cを有している。
【0033】
図9を参照すると、第1圧着部94aは、誘電体Diを介して、外部導体Wbの周囲を圧着している。これにより、外部導体Wbと金属スリーブ94を電気的に接続している。第2圧着部94bは、絶縁シースWiの周囲を圧着している。これにより、同軸ケーブルCbの端末にプラグ9を固定できる。
【0034】
図9を参照すると、非圧着部94cは、第1圧着部94aと第2圧着部94bの間に形成されている。非圧着部94cは、同軸ケーブルCbが挿通されているが、同軸ケーブルCbを圧着していない。
【0035】
図8図9を参照すると、第2の従来技術によるプラグ9は、第1圧着部94aと第2圧着部94bの2カ所で同軸ケーブルCbを圧着しているので、同軸ケーブルの引っ張り強度を向上できる、としている。又、第2の従来技術によるプラグ9は、非圧着部94cが同軸ケーブルCbを外周方向から圧着していないので、同軸ケーブルCbのインピーダンスが低下することを抑制できる、としている。
【0036】
しかし、図8図9を参照すると、第2の従来技術によるプラグ9は、第1圧着部94aと第2圧着部94bの2カ所で同軸ケーブルCbを圧着しているので、組立工程が多いという問題がある。圧着工程を削減した簡易な構成の同軸コネクタが求められている。
【0037】
又、図8図9を参照すると、第2の従来技術によるプラグ9は、図示しない相手側コネクタ(例えば、ジャック)と着脱自在に接続できるが、相手側コネクタとの接続状態を維持することが困難であるという問題がある。プラグなどの端子組立体を確実に保持すると共に、相手側コネクタとの接続状態を維持するロック機構付きの外部ハウジングを備えた同軸コネクタが求められている。そして、以上のことが本発明の課題といってよい。
【0038】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、端子組立体を保持すると共に、相手側コネクタとの接続状態を維持するロック機構付きの外部ハウジングを備えた同軸コネクタであって、簡易な構成の同軸コネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0039】
本発明者らは、同軸ケーブルの端末に接続した端子組立体と、端子組立体を導入できる端子収容室を内部に有するロックアーム付きの外部ハウジングと、端子組立体を構成し、絶縁シースを剥離した同軸ケーブルの端末を内部に導入し、外部導体を圧着した金属スリーブで同軸コネクタを構成し、金属スリーブには、同軸ケーブルの外部導体を圧着した円筒状の軸部と、軸部の端部に形成し、端子収容室に嵌合できフランジ部を設けることで、部品点数を抑制し、外部ハウジングに対して、金属スリーブの外周方への振れを抑制できる同軸コネクタを提供できると考え、これに基づいて、以下のような新たな同軸コネクタを発明するに至った。
【0040】
(1) 中心導体、この中心導体を包囲する誘電体、この誘電体を覆う外部導体、及び、この外部導体を被覆する絶縁シースを有する同軸ケーブルの端末に接続した円筒状の端子組立体と、前記端子組立体を導入できる端子収容室を内部に有し、相手側外部ハウジングに係止自在なロックアームを有する外部ハウジングと、を備え、前記端子組立体は、前記絶縁シースを剥離した同軸ケーブルの端末を内部に導入し、前記外部導体を圧着した金属スリーブと、前記中心導体を基端部に接続した中心コンタクトと、前記中心コンタクトを中心部に保持した円筒状のインシュレータと、前記インシュレータを内部に保持した円筒状の外部コンタクトと、を有し、前記外部コンタクトは、基端部側に形成し、前記外部導体と接続自在な外部導体接続部を有し、前記金属スリーブは、前記外部導体接続部を介して、前記同軸ケーブルの外部導体を圧着した円筒状の軸部と、前記軸部の端部に形成し、前記端子収容室に嵌合できフランジ部と、を有している、同軸コネクタ。
【0041】
(2) 前記外部コンタクトは、前記外部導体接続部が前記外部導体と前記誘電体の間に挿入されている、1)記載の同軸コネクタ。
【0042】
(3) 前記外部コンタクトは、先端部側に形成し、相手側外部コンタクトと接続自在なコンタクト接続部を有し、前記コンタクト接続部は、一つ以上の切り込みを外周に切り欠いたオープンエントリからなる、(1)又(2)記載の同軸コネクタ。
【発明の効果】
【0043】
本発明による同軸コネクタは、同軸ケーブルの端末に接続した端子組立体と、端子組立体を導入できる端子収容室を内部に有するロックアーム付きの外部ハウジングと、端子組立体を構成し、絶縁シースを剥離した同軸ケーブルの端末を内部に導入し、外部導体を圧着した金属スリーブで同軸コネクタを構成し、金属スリーブには、同軸ケーブルの外部導体を圧着した円筒状の軸部と、軸部の端部に形成し、端子収容室に嵌合できフランジ部を設けることで、部品点数を抑制し、外部ハウジングに対して、金属スリーブの外周方への振れを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
図1】本発明の一実施形態による同軸コネクタの構成を示す図であり、図1(A)は、同軸コネクタの斜視図、図1(B)は、同軸コネクタの正面図、図1(C)は、図1(B)のB-B矢視断面図、図1(D)は、図1(B)のC-C矢視断面図である。
図2】前記実施形態による同軸コネクタの構成を示す斜視分解組立図である。
図3】前記実施形態による同軸コネクタに備わる端子組立体の構成を示す図であり、図3(A)は、端子組立体の平面図、図3(B)は、端子組立体の左側面図、図3(C)は、図3(B)のA-A矢視断面図、図3(D)は、端子組立体の斜視図である。
図4】前記実施形態による同軸コネクタに備わる外部ハウジングの構成を示す図であり、図4(A)は、外部ハウジングの正面図、図4(B)は、外部ハウジングの平面図、図4(C)は、外部ハウジングの右側面図、図4(D)は、外部ハウジングの左側面図である。
図5】前記実施形態による同軸コネクタに備わる端子組立体の構成を示す斜視図であり、図5(A)は、外部コンタクトにインシュレータを組み立てる前の状態図、図5(B)は、外部コンタクトにインシュレータを組み立てた状態図である。
図6】前記実施形態による同軸コネクタに備わる端子組立体の組立工程を示す斜視図であり、図6(A)は、同軸ケーブルを端末処理した状態図、図6(B)は、金属スリーブを同軸ケーブルに挿通した状態図、図6(C)は、同軸ケーブルの中心導体に中心コンタクトを圧着した状態図、図6(D)は、インシュレータの内部に中心コンタクトを組み込んだ状態図、図6(E)は、外部コンタクトに向かって金属スリーブを移動した状態図、図6(F)は、金属スリーブの軸部を同軸ケーブルの外部導体に圧着した状態図である。
図7】第1の従来技術による同軸コネクタの構成を示す斜視図であり、同軸コネクタの中心を通る縦断面図で示している。
図8】第2の従来技術による同軸コネクタの構成を示す斜視図である。
図9図8のA-A矢視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態を説明する。
[同軸コネクタの構成]
最初に、本発明の一実施形態による同軸コネクタの構成を説明する。
【0046】
(全体構成)
図1図2を参照すると、本発明の一実施形態による同軸コネクタ10は、円筒状の端子組立体(以下、ジャックという)1、直方体状の外部ハウジング2、及び、絶縁性を有するリテーナ3を備えている。ジャック1は、同軸ケーブルCbの端末に接続している(図2又は図3参照)。
【0047】
図1(C)又は図1(D)及び図4を参照すると、外部ハウジング2は、ジャック1を導入できる端子収容室2rを内部に有している。又、外部ハウジング2は、図示しない相手側外部ハウジングに係止自在なロックアーム2aを上部に有している。リテーナ3は、ジャック1を端子収容室2rの内部に係止できる。
【0048】
図1から図3を参照すると、ジャック1は、金属スリーブ11と中心コンタクト12を備えている。又、ジャック1は、円筒状のインシュレータ13と円筒状の外部コンタクト14を備えている。金属スリーブ11は、絶縁シースWiを剥離した同軸ケーブルCbの端末を内部に導入し、外部導体Wbを圧着できる。中心コンタクト12は、その基端部を中心導体Wcに接続している。
【0049】
図1から図3を参照すると、インシュレータ13は、中心コンタクト12を中心部に保持している。外部コンタクト14は、インシュレータ13を内部に保持している。外部コンタクト14は、外部導体接続部141、コンタクト接続部142、及び、方形の輪帯143を連続して形成している。
【0050】
図1から図3を参照すると、外部導体接続部141は、外部コンタクト14の基端部側に形成している。外部導体接続部141は、外部導体Wbと誘電体Diの間に挿入されている。そして、金属スリーブ11の軸部11sを圧着することで、同軸ケーブルCbの端末にジャック1を固定でき、外部導体Wbと外部コンタクト14を電気的に接続できる。
【0051】
図1から図3を参照すると、コンタクト接続部142は、外部コンタクト14の先端部側に形成している。コンタクト接続部142は、図示しない相手側外部コンタクトと接続できる。コンタクト接続部142は、一つ以上の切り込みを外周に切り欠いたオープンエントリから構成しているが、コンタクト接続部142は、図8に示すように、切り込みの無い構成とすることもできる。輪帯143は、外部コンタクト14の中間部に形成している。輪帯143は、外部コンタクト14の外周方向に突出している。
【0052】
一方、図1(C)を参照すると、外部ハウジング2は、ハウジングランス21を底部に有している。図1(C)又は図1(D)を参照して、コンタクト接続部142を先頭に、ジャック1を端子収容室2rに挿入すると、輪帯143がハウジングランス21の係止爪を押し下げることができる。輪帯143が端子収容室2rの奥壁に当接した状態では、ハウジングランス21の係止爪が弾性復帰して、輪帯143を抜け止めできる。
【0053】
又、図4(B)を参照すると、外部ハウジング2は、一対の係止穴2h・2hを有している。一対の係止穴2h・2hは、端子収容室2rに連通すると共に、外部ハウジング2の一方の面から他方の面に向けて貫通している。
【0054】
一方、図2を参照すると、リテーナ3は、二股に分岐した一対の係止爪片3d・3dを有している。一対の係止爪片3d・3dは、外部ハウジング2の係止穴2h・2hに挿入できる。図1(D)又は図2を参照して、係止爪片3dは、リテーナ3を外部ハウジング2に装着した状態で、輪帯143の他方の面に当接して、輪帯143を抜け止めする部分円弧状の係止片31dを有している。
【0055】
図1から図4を参照すると、実施形態による同軸コネクタ10は、同軸ケーブルCbの端末に接続したジャック1と、ジャック1を導入できる端子収容室2rを内部に有するロックアーム2a付きの外部ハウジング2と、ジャック1を端子収容室2rの内部に係止するリテーナ3で同軸コネクタを構成し、外部コンタクト14には、外周方向に突出した方形の輪帯143を中間部に設け、端子収容室2rには、輪帯143を抜け止めするハウジングランス21を設け、リテーナ3には、輪帯143を抜け止めする係止片31dを設けることで、部品点数を抑制し、伝送特性を向上できる。
【0056】
(金属スリーブの構成)
次に、実施形態による金属スリーブ11の構成を説明する。図1から図3を参照すると、金属スリーブ11は、電導性を有する円筒状の金属部材からなることが好ましく、圧着可能な軸部11sと円盤状のフランジ部11fを備えている。軸部11sは、その外周方向から圧縮することで、外部導体接続部141を介して、同軸ケーブルCbの外部導体Wbを圧着できる。
【0057】
図1から図3を参照すると、フランジ部11fは、軸部11sの端部に形成している。フランジ部11fは、端子収容室2rに嵌合できる(図1(C)又は図1(D)参照)。図3を参照して、外部コンタクト14の基端部にフランジ部11fを固定した状態で、フランジ部11fを端子収容室2rの内部に導入すると(図1(C)又は図1(D)参照)、外部ハウジング2に対して、金属スリーブ11の外周方への振れを抑制できる。
【0058】
(中心コンタクトの構成)
次に、実施形態による中心コンタクト12の構成を説明する。図3(C)又は図6(C)を参照すると、中心コンタクト12は、導電性を有する金属筒からなることが好ましく、圧着部12cを基端部に有している。同軸ケーブルCbの中心導体Wcに、圧着部12cを圧着することで、中心コンタクト12と中心導体Wcを電気的に接続できる。
【0059】
図3(C)又は図6(C)を参照すると、実施形態による中心コンタクト12は、筒状のいわゆる雌コンタクトで構成しているが、中心コンタクト12は、ピン状のいわゆる雄コンタクトで構成することもできる。
【0060】
(端子組立体の組立方法)
次に、実施形態によるジャック1の組立方法を説明する。最初に、図6(A)を参照して、同軸ケーブルCbの端面から絶縁シースWiを所定の長さで剥離すると共に、誘電体Diの端面から外部導体Wbを所定の長さで剥離し、誘電体Diの端面から中心導体Wcを所定の長さで突出するように、中心導体Wcを切断する(第1工程)。
【0061】
次に、図6(B)を参照して、図6(A)で示したように、端末処理した同軸ケーブルCbに、金属スリーブ11を挿通しておく。この場合、金属スリーブ11は、同軸ケーブルCbの絶縁シースWi側に移動しておくことが好ましく、金属スリーブ11のフランジ部11fが中心導体Wc側に向くように配置しておく(第2工程)。
【0062】
次に、図6(C)を参照して、同軸ケーブルCbの中心導体Wcに、圧着部12cを圧着して、中心コンタクト12を中心導体Wcに固定する(第3工程)。次に、図5(A)を参照して、インシュレータ13を外部コンタクト14の内部に組み込んだ状態で(図5(B)参照)、図6(D)を参照して、外部コンタクト14の背後からインシュレータ13の内部に、中心コンタクト12を挿入する(第4工程)。
【0063】
図6(D)に示した状態から、中心コンタクト12をインシュレータ13の内部に更に挿入すると共に、外部導体Wbと絶縁シースWiの間に外部導体接続部141を挿入しておく(第5工程)。次に、金属スリーブ11を外部コンタクト14に向かって移動し、図6(E)に示すように、外部コンタクト14と外部導体接続部141の段差にフランジ部11fを突き当てる(第6工程)。
【0064】
次に、図6(E)に示した状態から、図6(F)に示すように、金属スリーブ11の軸部11sを外周方向から圧縮する(第7工程)。そして、一連の組立工程を終了する。図6(F)に示した状態では、外部導体接続部141を介して、同軸ケーブルCbの外部導体Wbを圧着している(図3(C)参照)。
【0065】
[同軸コネクタの作用]
次に、実施形態による同軸コネクタ10の作用及び効果を説明する。
【0066】
図1又は図2を参照すると、実施形態による同軸コネクタ10は、相手側コネクタとの接続状態を維持するロックアーム2a付きの外部ハウジング2を備えているので、ジャック1と図示しないプラグなどの端子組立体との接続状態を確実に維持できる。
【0067】
又、図1から図6を参照すると、外部コンタクト14には、外周方向に突出した方形の輪帯143を中間部に設け、端子収容室2rには、輪帯143を抜け止めするハウジングランス21を設け、リテーナ3には、輪帯143を抜け止めする係止片31dを設けることで、従来技術と比べて、実施形態による同軸コネクタ10は、端子組立体部品点数を抑制し、輪帯の数を削減することで伝送特性を向上できる。
【0068】
又、図1から図3を参照して、実施形態による同軸コネクタ10は、外部コンタクト14の外周に形成される輪帯の数を削減することで、外部コンタクト14の製造が容易になるというメリットがある。
【0069】
図1から図3を参照すると、金属スリーブ11は、端子収容室2rに嵌合できフランジ部11fを有しているので、外部ハウジング2に対して、金属スリーブ11の外周方への振れを抑制できる。
【符号の説明】
【0070】
1 ジャック(端子組立体)
2 外部ハウジング
2a ロックアーム
2r 端子収容室
10 同軸コネクタ
11 金属スリーブ
11f フランジ部
11s 軸部
12 中心コンタクト
13 インシュレータ
14 外部コンタクト
141 外部導体接続部
Cb 同軸ケーブル
Di 誘電体
Wb 外部導体
Wc 中心導体
Wi 絶縁シース
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9