(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-13
(45)【発行日】2022-02-03
(54)【発明の名称】医療ガス送達システム
(51)【国際特許分類】
A61B 1/267 20060101AFI20220127BHJP
A61M 16/04 20060101ALI20220127BHJP
A61B 1/015 20060101ALI20220127BHJP
【FI】
A61B1/267
A61M16/04 Z
A61B1/015 511
(21)【出願番号】P 2018544482
(86)(22)【出願日】2017-02-24
(86)【国際出願番号】 GB2017050506
(87)【国際公開番号】W WO2017144916
(87)【国際公開日】2017-08-31
【審査請求日】2020-02-19
(32)【優先日】2016-02-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(32)【優先日】2016-05-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】510093602
【氏名又は名称】インディアン オーシャン メディカル インク.
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】特許業務法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】ヤング,ピーター・ジェフリー
【審査官】増渕 俊仁
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0099934(US,A1)
【文献】特表2000-510361(JP,A)
【文献】米国特許第03941120(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0161863(US,A1)
【文献】米国特許第04126127(US,A)
【文献】中国特許出願公開第103654705(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第1164425(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00-1/32
A61M 11/00-19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
喉頭鏡検査を実施するための機器であって、;ブレードと、ハンドルと、喉頭鏡検査中の患者へのガスの提供のための医療ガス供給装置とを含み、医療ガス供給装置が装置のハンドル上もしくは内
にまたは
ブレードの近位端にもしくは隣接して配置される出口を包含する機器。
【請求項2】
出口がハンドルの遠位端にまたは隣接して配置される、請求項
1記載の機器。
【請求項3】
医療ガス供給装置が実質的に大気の引き込みなしでそこからのガス流を提供するために適応される、請求項1から
2のうちいずれか一項記載の機器。
【請求項4】
ブレードにおけるまたは隣接したベンチュリ効果の発生を実質的に防ぐに十分に大きい断面積を包含する口径を含む出口によって、実質的に大気の引き込みなしでそこからのガス流を提供するために医療ガス供給装置が適応される、請求項
3記載の機器。
【請求項5】
出口が、およそ3mm sq.超~およそ50mm sq
の断面積を有する口径を含む
、請求項
3記載の機器。
【請求項6】
出口が、およそ3.5mm sq~およそ20mm sqの断面積を有する口径を含む、請求項3記載の機器。
【請求項7】
出口が、およそ4mm sq~およそ12.5mm sqの断面積を有する口径を含む、請求項3記載の機器。
【請求項8】
出口の断面形状が非円形である、請求項1から
7のうちいずれか一項記載の機器。
【請求項9】
医療ガス供給装置がガス供給導管を含み、出口が一方向弁を含む、請求項1から
8のうちいずれか一項記載の機器。
【請求項10】
ガス供給装置が喉頭鏡ブレードに可逆的に結合可能であるように、医療ガス供給装置および喉頭鏡ブレードが一つまたは複数の磁石もしくは強磁性要素または要素の組み合わせを包含する、請求項1~
9のうちいずれか一項記載の機器。
【請求項11】
出口が使用時に喉頭鏡ブレードの下面上または内に配置される、請求項1~
10のうちいずれか一項記載の機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
経口喉頭鏡検査中、患者は、通常、呼吸していないが、口腔および咽頭からのガスは、気管および多数の生理的プロセス、最も重要な点は、無呼吸時酸素投与およびマスフローによって肺に吸い込まれ得る。哺乳類は、通常、それらが排出する二酸化炭素ガスの量よりもより多い量の酸素を吸収するため、無呼吸時酸素投与が起こる。これは、哺乳類が呼吸していない場合であっても、結局、口からガスの吸込みがあることを意味する。無呼吸時酸素投与が起こる二つの条件は、第一に上気道での酸素の提供であり、第二に口から肺まで開いた気道または開いたチャネルである。経口直接または間接喉頭鏡検査中、このチャネルは、通常、実質的に開いたままであり、したがって、ガスは口にそして肺に向かって吸い込まれる。酸素富化が使用されない場合、次に、このガスは、21%の酸素濃度で空気と急激に混ざるようになる。
【0002】
この問題に対処するために、喉頭鏡検査中の酸素投与は、口でのもしくは口へのまたは咽頭もしくは喉頭に向けられた、空気を酸素と交換するまたは空気が口に吸いこまれることを防ぐのに十分な流量での酸素の連続流を可能にすることによって改善されてきた。口腔、咽頭、喉頭および気管への酸素の送達は、患者が動脈血酸素飽和度の低下をきたす前に両方の酸素投与を改善し、気管内チューブの設置のために利用可能な時間を延長するために、気管内挿管前の喉頭鏡検査中に有効である。これを達成するために、喉頭鏡ブレードは、それらの設計中に、ガスの噴射もしくは吹送を可能にするまたは適用される吸引を可能にするチャネルを含めてきた。これらは、それらがブレードの遠位部において患者の気道に対して開いているため、狭いチャネルを有してきた。ブレード上に遠位で開いている広い口径のチャネルは、喉頭鏡検査者の視界を損なうまたはブレードを極度に分厚くしそれによりその挿入および機能を損なうというリスクを負うであろう。
【0003】
このように、先行技術では、Mayは、米国特許第4126127(A)号において、喉頭に酸素を供給するために一体化チャネルを持つ喉頭鏡ブレードを記載している。チャネルは、ブレードの遠位先端にあり、したがって、必然的に小さい断面積を有する。
【0004】
Benttは、国際公開公報第2007081558(A2)号において、真っすぐなブレードが喉頭鏡検査中に気道への酸素の送達のための着脱可能な管を結合するための導管を含む酸素投与喉頭鏡を記載している。この装置内の管は、ブレードの遠位端まで延長しており、それが狭い口径を有することを必要とし、喉頭鏡の視界および器具の使用を妨げる。
【0005】
喉頭鏡検査中の無呼吸時酸素投与の問題に対する代替手法は、高流量ガス送達システム、例えば、PatelによってAssociation of Anaesthetists of Great Britain and Irelandの定期刊行物であるAnaesthesia(Anaesthesia、2015年第70巻、第3号、p.323-9)に記載されたようなものを使用する外部鼻カニューレによって、咽頭ガスを酸素と交換することである。効果的であるものの、これは、高コスト、非常に高い酸素流量の必要性および鼻腔が狭いまたは閉塞されている場合、より効果的でなくなり得るという不利益を有する。
【0006】
したがって、先行技術の問題の緩和を追及することが本発明の目的である。
【0007】
本発明の第一の態様によると、喉頭鏡検査を実施するための機器が提供され、機器がブレードと、ハンドルと、喉頭鏡検査中の患者へのガスの提供のための医療ガス供給装置とを含み、医療ガス供給装置が装置のハンドル上もしくは内またはブレードの近い方の半分以内に配置される出口を含む。理解されるように、機器の近位端は、機器が患者内で使用されるとき、使用者の最も近くにある端である。驚いたことに、出口が必要とされるガス送達の面積から空間的に離れて位置付けられるにもかかわらず、本発明が生体構造の視界を遮ることなく効果的な無呼吸時酸素投与を提供することが見出された。
【0008】
出口は、ブレードの近位端にまたは隣接して配置されることができる。もう一つの代替では、出口は、ハンドルの遠い方の半分以内または上に配置されることができ、遠い方の半分は、患者の最も近くにある半分である。出口がハンドルの遠位端にまたは隣接して配置されることが最も好ましい。これらの機器構成は、最小の視覚的および物理的妨害をもたらし、その一方で依然として効果的な無呼吸時酸素投与を提供する。
【0009】
医療ガス供給装置が実質的に大気の引き込みなしでそこからのガス流を提供するために適応されることが好ましい。
【0010】
一つの実施形態では、医療ガス供給装置は、ブレードにおけるまたは隣接したベンチュリ効果の発生を実質的に防ぐに十分に大きい断面積を包含する口径を含む出口によって、実質的に大気の引き込みなしでそこからのガス流を提供するために適応されることができる。およそ10~80L/min、好ましくは最大15L/minの医療ガス流量でブレードにおけるまたは隣接したベンチュリ効果の発生を実質的に防ぐに十分に大きい断面積を包含する口径を出口が含むことがさらに好ましい。
【0011】
さらなる実施形態では、医療ガス供給装置は、およそ3mm sq.超~およそ50mm sq、好ましくはおよそ3.5mm sq~およそ20mm sq、最も好ましくはおよそ4mm sq~およそ12.5mm sqの断面積を有する口径を含む出口によって、実質的に大気の引き込みなしでそこからのガス流を提供するために適応されることができる。小さい断面積を持つ出口および/または微細口径ガス供給管は、喉頭鏡の視界を極度に妨げず、機器を分厚くしないという利点を有するものの、高いガス流速度では、小さい断面積の出口は、ベンチュリ効果に関連する機構によって送達されている医療ガスと一緒に大気が引き込まれる原因となり、それにより送達されている医療ガスの濃度を相当に薄めるという不利益がある。実験的にかつ物理学の原理から、典型的な医療ガス流量では、例として、ブレードの近位半上に(喉頭鏡検査中に開いている口の近くに)設置されるより大きい断面積の出口は、無呼吸時酸素投与を最適化する目的のために、喉頭鏡の視界を損なうことも、患者の気道への設置を妨げないようにブレードを中位または遠位部において極度に分厚くすることもなく、その一方で、ベンチュリ効果を最小化し、それにより、高濃度の酸素で気道をあふれさせることが判定され得る。
【0012】
さらなる実施形態では、医療ガス供給装置は、複数の出口を含む機器によって、実質的に大気の引き込みなしでそこからのガス流を提供するために適応されることができる。
【0013】
このように、本発明が喉頭および咽頭気道への医療ガスの送達を可能にするガス送達装置であることが見てとれる。装置は、加圧医療ガス供給源、例えば、医療酸素流量計への結合のための近位端および実質的に患者の口でのガスの放出のための遠位端を持つ中空チューブもしくは導管を含むことができまたはもう一つの実施態様では、それは、口もしくは咽頭の内側で延長しており、これらの場所でガスを放出する。本発明における遠位管の開口は、それが喉頭鏡検査中の視覚を損なわないように、好ましくは喉頭鏡ブレードの近い方の半分上および/または喉頭鏡ハンドルの遠位端にもしくは隣接してある。より遠位で開いている開口を可能にするブレード設計は可能であるが、内腔は、有意なベンチュリ効果を防ぐために十分に大きくなければならない。遠位開口が喉頭鏡ブレードの近位端または喉頭鏡ハンドルの遠位端に位置しているため、喉頭鏡ブレードの遠位先端に位置しているガス送達開口に対して可能であるよりももっとより広い開口口径を使用することが可能である。これは、それが喉頭鏡ブレードの遠位先端の視界を阻むことなく患者の喉頭および咽頭気道へのより大きい酸素流量を提供するため有利である。
【0014】
好ましくは、ガス送達装置は、ガス送達装置を喉頭鏡ブレードまたはハンドルに可逆的に結合するために適応される結合要素を含む。これは、挿管が複雑かつ困難であることが判明した状況において有利である。この状況においては、ガス送達装置は、特に、処置に長い期間の時間がかかる場合、処置中の医療ガスの流れを確実にするために、喉頭鏡に結合されることができる。可逆的に着脱可能であるガス送達装置は、それが喉頭鏡およびガス送達装置の清掃および滅菌のしやすさを可能にすることにおいて、有利であることもできる。
【0015】
好ましくは、ガス送達装置は、喉頭鏡ブレードの近位端または喉頭鏡ハンドルの遠位端に永久的に接続される。これは、喉頭鏡検査中に医療ガス流が必要とされることが公知の状況において有利である。永久的に接続されるガス送達装置は、好ましくは喉頭鏡ブレードまたは喉頭鏡ハンドルに一体化されることができる。
【0016】
本発明の第二の態様によると、喉頭鏡検査を行う方法が提供され、方法が本明細書の上記に定義された機器を使用する工程を含む。
【0017】
本発明は、ここで、例としてのみ、添付の図面を参照しながら記載される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図2】喉頭鏡検査が従来の喉頭鏡ブレード(酸素吹送なし)を使用して実施されたときと、ブレードの近位端に位置付けられるガス送達開口を持つ喉頭鏡ブレードを使用して実施されたときとの間の気道FiO
2濃度の差異のグラフを示す。
【
図3】喉頭鏡検査がブレードの近位端に位置付けられるガス送達開口を持つ喉頭鏡ブレードを使用して実施されたときと、ブレードの遠位端に位置付けられるガス送達開口を持つ喉頭鏡ブレードを使用して実施されたときとの間の気道FiO
2濃度の差異のグラフを示す。
【
図4】咽頭吸引の適用後の喉頭鏡検査が酸素吹送なしの従来の喉頭鏡ブレードを使用して実施されたときと、ブレードの近位端に位置付けられるガス送達開口が付いている喉頭鏡ブレードを使用して実施されたときとの間のFiO
2濃度の差異のグラフを示す。
【
図5】喉頭鏡検査が酸素吹送なしの従来の喉頭鏡ブレードを使用して10秒の吸引を伴って実施されたときと、伴わずに実施されたときとの間のFiO
2の差異のグラフを示す。
【
図6】喉頭鏡検査がブレードの近位端に位置付けられるガス送達開口が付いている喉頭鏡ブレードを使用して10秒の吸引を伴って実施されたときと、伴わずに実施されたときとの間のFiO
2の差異のグラフを示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図、とりわけ、
図1a~1cを参照すると、喉頭鏡検査を実施するための機器1が例示され、機器がブレード2と、ハンドル3と、喉頭鏡検査中の患者へのガスの提供のための医療ガス供給装置4とを含み、医療ガス供給装置4が装置のハンドル上もしくは内またはブレードの近い方の半分以内に配置される出口5を含む。ガス供給導管6は、近位開口8から出口5までガスを供給する。
【0020】
図1cでは、近位開口8は、標準的な酸素流量計出口上にしっかりと結合するために設計される。広い(例として、3mm~10mm内径)管は、低抵抗経路である導管6の酸素を運ぶ。符号7は、酸素源に達するまで近位部が長い(例として、1メートルを超えて長い)ため、人為的な中断を便宜的に表す。符号7によって表される導管6のこの部分は、簡便な保存および使用のために、可逆的にコイル状にされることができる。
【0021】
結合要素または永久的結合手段は、好ましくは喉頭鏡ブレード2の近位3分の1にある。
【0022】
出口5におけるおよび遠位開口に近い方の断面内腔面積は、開口での高いガス速度およびブレード2の先端における患者の遠位気道への結果として生じる空気の引き込みを防ぐための広い口径の開口である。
【0023】
図1a~1cから理解され得るように、視界および器具の使用は、出口5または導管6によって実質的に妨げられない。出口5を喉頭鏡ブレードの近位端または喉頭鏡ハンドル3の遠位端に位置させることは、喉頭鏡ブレード2の遠位先端の視界を妨害しない。したがって、出口5および導管6のより広い口径は、喉頭鏡ブレードの遠位先端に設置されるガス送達開口よりももっとより効果的に医療ガスを送達することを可能にする。
【0024】
一つの実施形態では、ガス送達のための出口5は、使用時に喉頭鏡ブレード2の下面上に配置されることができ、喉頭鏡ブレードの下面が喉頭鏡検査処理中に舌と接触しない面である。
【0025】
ガス送達装置の出口5は、ガスの噴射を咽頭または喉頭に向けるように適応される。一つの実施形態では、ガス送達のための出口5は、それが普段の利用時には、患者の口の外側に位置付けられるが、使用時には、ガスを口に向けるように機器上に位置付けられることができる。ガス送達装置4は、喉頭鏡ブレードまたは喉頭鏡のハンドルに結合されるが、それが口の開きの外側にしかし実質的に接近して存在するように位置付けられることができる。
【0026】
好ましい実施形態では、ガス送達装置4の出口5は、遠位で気道の視覚または器具の使用を損なわないように喉頭鏡ブレード2の近位3分の1に位置している。本発明の一つの実施形態では、出口5は、断面積が7mm sq.よりも大きい。もう一つの実施形態では、出口5は断面形状が円形であり、一つの実施形態では、それは断面形状が非円形である。なおももう一つの実施形態では、出口5の断面積は20平方ミリメートルである。本発明の他の実施形態は、20平方ミリメートルよりも大きい断面積の出口5を有する。
【0027】
一つの実施形態では、ガス送達装置4は、複数方向に流れるガスの流れを可能にする開口サイズおよび抵抗を持つ複数の出口5を含むことができる。もう一つの実施形態では、ガス送達装置は狭い断面口径管を有するが、遠位部は噴射状の流れを低減し、ベンチュリ効果を低減するように、複数の開口または方向開口と共に設計される。
【0028】
一つの実施形態では、本発明は、近位端において約4気圧の圧力で、流れが公知の安全な流量に制限されるように、流れに対する抵抗を持つ導管6を含む。4気圧は、慣例的に、病院配管された酸素システム内のおよび満タンの酸素ボンベ内の酸素圧力である。例として、流れに対する抵抗は4気圧の圧力で60L/minの流量が達成され、またはもう一つの実施形態では30L/minが達成され、またはもう一つの実施形態では、15L/minが達成されるように製造されることができる。これは、使用者が流量計を完全に開き、極度にかつ潜在的に危険な流量の適用を防ぐことを可能にするであろう。
【0029】
一つの実施形態では、ガス送達装置4は、流体、例として、気道への適用を容易にするための局所麻酔溶液の注入を可能にするための一方向弁を持つ導管6にポートを含む。
【0030】
一つの実施形態では、本発明は、喉頭鏡ブレード2が近位接続から酸素源へ離れるように移動されるとき、チューブの整然とした延長が容易にされ、喉頭鏡ブレードが酸素源のより近くに移動されるとき、コイルが元に戻り、それにより絡まりまたは管が喉頭鏡検査者もしくは助手の邪魔になることを防ぐように、ばねまたはコイル状に巻かれている送達管(導管6)を含む。
【0031】
一つの実施形態では、ガス送達装置4は、喉頭鏡ブレードまたは喉頭鏡ハンドル2のいずれかに可逆的に結合する。結合の機構は、ブレードエッジに押し込まれてつかむスリップを含む多くのタイプであることができる。スリップが頑丈であるが、舌に対して非外傷性であることが望ましい。もう一つの実施形態では、結合機構は、本発明を導管6でまたはその近くで喉頭鏡ブレード2にテープ付けするために、出口5の近くにある管の遠位端に結合される一片の粘着テープを使用する。多くの喉頭鏡ブレードは、ブレードの裏(先端に対して反対の端)上に、スリーブまたは粘着テープが便宜的にかつしっかりと可逆的に留められる簡便な平面を有する。さらにもう一つの実施形態では、ガス送達装置4は、ハンドルまたはブレードに一つまたは複数の磁石もしくは強磁性要素または本発明への磁性もしくは強磁性要素の可逆的結合を可能にするために二つの組み合わせを含む。さらなる実施形態では、ガス送達装置は、可逆的にまたは不可逆的に喉頭鏡ブレード2上の対の固定要素に接続する遠位開口近くにある要素を含む。
【0032】
一つの実施形態では、ガス送達装置4は、喉頭鏡ブレードの近い方の半分、好ましくは喉頭鏡ブレード2の近位3分の1に永久的に接続される供給導管6および出口5を有する。
【0033】
装置の一つの実施形態は、喉頭鏡ハンドルまたはブレードカバーと組み合わされることができる。
【0034】
ガス送達装置4は、近位部および遠位部を含むことができる。一つの実施形態では、ガス送達装置4は遠位部が可撓である。もう一つの実施形態では、ガス送達装置4は遠位部が剛性である。さらにもう一つの実施形態では、ガス送達装置4は、可撓要素および剛性要素を有する。一つの実施形態は、装置を酸素源、喉頭鏡ハンドルに隣接した剛性要素および喉頭鏡ブレード面の近くにあるまたは隣接した剛性または可撓要素に接続する、可撓要素を有する。
【0035】
本発明の好ましい実施形態は、1回だけ使用される使い捨てであるため、再利用のためのクリーニングは課題ではない。
【0036】
実験A
図2は、吸入酸素(FiO
2)の分画が挿管前から600秒までの喉頭鏡検査中に監視された実験の結果を示す。実験は、酸素吹送なしの従来の喉頭鏡ブレードと、ブレードの近位端にガス送達出口5を持つ喉頭鏡ブレードとを使用して実施された。
【表1】
【0037】
表1および
図2に示されるように、従来の喉頭鏡ブレードと比べたとき、ブレードの近位端に位置しているガス送達出口5を持つ喉頭鏡ブレードは、監視の全期間中、FiO
2の著しく増加した濃度を示す。
【0038】
実験B
図3は、ガス送達装置が喉頭鏡ブレードの近位端または遠位端のいずれかに結合された実験の結果を示す。出口5が喉頭鏡ブレードの近位端に位置している喉頭鏡ブレードのバージョンの場合には、ガス送達装置は、広い口径の遠位開口を含んだ。出口5が喉頭鏡ブレードの遠位端に位置している喉頭鏡ブレードのバージョンの場合には、ガス送達装置は、喉頭鏡ブレードの遠位先端の視界を妨害することなく使用され得る管の最も広い口径を含んだ。FiO
2は、挿管前から600秒までの喉頭鏡検査中に監視された。
【表2】
【表3】
【0039】
表2は、ブレードの近位端にガス出口5を持つ喉頭鏡ブレードを使用する10個の挿管からの結果を示し、表3は、ブレードの遠位端にガス出口5を持つ喉頭鏡ブレードを使用する10個の挿管からの結果を示す。
図3に示されるように、ブレードの近位端にガス出口5を持つ喉頭鏡ブレードは、監視の全期間中、FiO
2の著しく増加した濃度を示す。
【0040】
実験C
図4は、手順中に咽頭吸引が適用された、FiO
2濃度が喉頭鏡検査中の60秒にわたり監視された実験の結果を示す。咽頭吸引は、医療専門家が気管内チューブを正確に挿入することができるように、喉頭および咽頭気道のはっきりした視界を可能にするために、喉頭鏡検査中に必要とされ得る。咽頭吸引は、外傷があり血液や嘔吐物が喉頭および咽頭気道を遮っている場合、喉頭鏡検査中に極めて重要であり得る。理解されるように、そのような困難な挿管中にFiO
2濃度を確実に高くすることが非常に重要である。喉頭鏡検査は、酸素吹送なしの従来の喉頭鏡ブレードまたは喉頭鏡ブレードの近位端にガス出口5が付いている喉頭鏡ブレードのいずれかを使用して実施された。
【表4】
【0041】
表4および
図4は、喉頭鏡ブレードの近位端にガス出口5を持つ喉頭鏡ブレードのFiO
2濃度が従来の喉頭鏡ブレードを使用するときよりもずっとより高く、実際に咽頭吸引前のFiO
2濃度に近いレベルまで戻ったことを示す。
【0042】
実験D
【0043】
図5および6は、酸素吹送なしの従来の喉頭鏡ブレードと、喉頭鏡ブレードの近位端に位置しているガス出口5が付いている喉頭鏡ブレードとを使用するときの、FiO
2濃度に対する吸引の影響対吸引なしを判定する実験の結果を示す。吸引が適用された場合には、咽頭吸引は、10秒間適用された。
【表5】
【0044】
表5ならびに
図5および6によって示されるように、咽頭吸引は、従来の喉頭鏡ブレードのFiO
2濃度を劇的に低減したが、前に実験AおよびCで示したように、時間と共に全体のFiO
2濃度を実質的に低下させた。しかしながら、喉頭鏡ブレードの近位端にガス出口5が付いている喉頭鏡ブレードの場合に吸引がFiO
2濃度を低下させた一方で、FiO
2濃度は、喉頭鏡検査中に吸引が適用されなかったときに見られたのと同じ濃度に戻った。