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特許6992999細長い物品の3D浮動支持システムおよび関連する幾何学形状検出機
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-13
(45)【発行日】2022-01-13
(54)【発明の名称】細長い物品の3D浮動支持システムおよび関連する幾何学形状検出機
(51)【国際特許分類】
   G01B 21/00 20060101AFI20220105BHJP
【FI】
G01B21/00 L
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019502285
(86)(22)【出願日】2017-03-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-06-13
(86)【国際出願番号】 IB2017051770
(87)【国際公開番号】W WO2017168324
(87)【国際公開日】2017-10-05
【審査請求日】2020-03-16
(31)【優先権主張番号】102016000033750
(32)【優先日】2016-04-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】518346591
【氏名又は名称】アールディーイー カンパニー エッセ.エッレ.エッレ.
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ボンバ ガブリエーレ
【審査官】山▲崎▼ 和子
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第102072803(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0076723(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 5/00-5/30
11/00-11/30
21/00-21/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
細長い物品の幾何学形状検出機内の前記細長い物品の支持システムであって、前記細長い物品が接触する複数の垂直拘束点(1)を備える支持システムにおいて、前記垂直拘束点(1)の2つずつが、ユニバーサルジョイント機構が設けられた拘束ジョイント(3、5)を備える相互連結アーム(4)によって対で結合され、前記ユニバーサルジョイント機構は、前記アーム(4)に関して、前記物品の長手方向軸に近接して通る2つの直交軸に沿って2つの回転自由度(32、34)を決定し
前記垂直拘束点(1)が、前記細長い物品に少なくとも1つのねじり自由度(33)を残すことを特徴とする、支持システム。
【請求項2】
前記相互連結アーム(4)が、前記垂直拘束点(1)における結合点の間に可変長を有する、請求項1に記載の支持システム。
【請求項3】
前記垂直拘束点(1)が、前記細長い物品に少なくとも1つの長手方向の並進自由度を残す、請求項に記載の支持システム。
【請求項4】
前記ユニバーサルジョイント機構の前記回転自由度(32、34)を抑制するロッキング手段と、
前記回転自由度(32、34)の回転軸に対応して前記ユニバーサルジョイント機構における回転応力を検出するためのセンサ手段と、がさらに設けられる、請求項に記載の支持システム。
【請求項5】
細長い物品の幾何学形状検出機であって、前記細長い物品の支持システムを特徴として有するフレームと、前記支持システム上に拘束された前記細長い物品の幾何学的形状を検出するように適合された幾何学形状検出装置とを備える、幾何学形状検出機において、前記支持システムが請求項に記載のものであることを特徴とする、幾何学形状検出機。
【請求項6】
前記相互連結アーム(4)の前記拘束ジョイントの2つずつが、複数の垂直拘束点(1)が複数層列を介して単一の拘束点に向かって収束するまで、さらなる相互連結アーム(4)によって対で結合される、請求項1に記載の支持システム。
【請求項7】
細長い物品の幾何学形状検出機であって、前記細長い物品の支持システムを特徴として有するフレームと、前記支持システム上に拘束された前記細長い物品の幾何学的形状を検出するように適合された幾何学形状検出装置とを備える、幾何学形状検出機において、前記支持システムが請求項6に記載のものであることを特徴とする、幾何学形状検出機。
【請求項8】
前記垂直拘束点(1)の2つずつが、前記細長い物品に少なくとも1つの長手方向の並進自由度を残す、請求項6に記載の支持システム。
【請求項9】
前記ユニバーサルジョイント機構の前記回転自由度(32、34)を抑制するロッキング手段と、
前記回転自由度(32、34)の回転軸に対応して前記ユニバーサルジョイント機構における回転応力を検出するためのセンサ手段と、がさらに設けられる、請求項6に記載の支持システム
【請求項10】
細長い物品の幾何学形状検出機内の前記細長い物品の支持システムであって、前記細長い物品が接触する複数の垂直拘束点(1)であって、前記垂直拘束点(1)の2つずつが、ユニバーサルジョイント機構が設けられた拘束ジョイント(3、5)を備える相互連結アーム(4)によって対で結合され、前記ユニバーサルジョイント機構は、前記アーム(4)に関して、前記物品の長手方向軸に近接して通る2つの直交軸に沿って2つの回転自由度(32、34)を決定する、複数の垂直拘束点(1)と、
前記ユニバーサルジョイント機構の前記回転自由度(32、34)を抑制するロッキング手段と、
前記回転自由度(32、34)の回転軸に対応して前記ユニバーサルジョイント機構における回転応力を検出するためのセンサ手段と、がさらに設けられる、ことを特徴とする、支持システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、細長い、全体的に歪められた物品の、それらの幾何学的形状の正確な検出のために使用される支持および三次元バランシングシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
既知のように、機械製造産業は、より複雑な製品の製造のために、通常金属および他の材料で作製された細長い半製品を広く利用する。特に、旋削加工および成形加工には、それだけに限定されないが、種々のタイプの断面(丸、正方形、六角形など)を有する細長い半製品が広く用いられている。
【0003】
細長い半製品の特徴は、製品の幾何学形状、材料の化学的および物理的組成、表面仕上げ、ならびに化学的、物理的および機械的特性の4つの主な領域に関連する。上記で述べた各領域では、確立される仕様は、製品の製造上の問題と、前記特性の達成のためのコストと、機械加工プロセスおよび最終用途の要件の両方によって決定される、その後のプロセスの実際の必要性との間の妥協点となる。
【0004】
エンジニアリング産業における最も一般的な半製品は、それだけに限定されないが、旋削および/または成形を目的としたバーの形態の製品であり、これは、通常、3メートルの長さを有し、半製品の取り扱いと処理サイクルごとに処理される半製品の量との間の良い妥協点を提供する。また、在庫管理および運搬がそれ以上で困難になる4、5または6メートルまでのより長いバー、または処理されるバーを装填するために費やされる時間が不利な短いバーを見出すことも可能である。これらの物品は、一般的には、いずれも金属(鋼、真鍮、アルミニウム、チタンなど)およびポリマー(ポリエチレン、ポリプロピレン、PVC、テフロン(登録商標)など)および非金属(セラミック、ガラス、複合材料または焼結材料等)の両方のさまざまな材料で市販されている。
【0005】
本発明の範囲のために、半製品の幾何学形状の対象を掘り下げる必要がある。バーは、細長い円筒状の幾何学形状を有し、すなわち、ベースの寸法は、シリンダの高さに対して「小さい」。ベースの最も一般的な形状は、円、六角形、正方形および矩形である。これらは、中実(バー)または中空(チューブ)であることができ、ユーザが断面形状の実行による節約を利用するプロセスに必要とされる。例えば、丸い断面は、ねじ、シャフトなどに使用され、六角形断面はナット、ボルト等に使用される。製造業者によってそのような特性が保証されている場合、ユーザは実際には特定の物品に適切なサイズを得るためのプロセスを回避することができるので、寸法仕様の点では非常に重要である。例えば、丸い断面のバーの場合、これらは、h7の公差で、非常に小さい真円度誤差で製造され市販されて、加工品端部を切断し処理するだけで有限シャフトを実現することを可能にする。
【0006】
これらの半製品に行われる主な処理は旋盤加工である。旋削技術は非常に迅速に進化しており、工具の回転速度および切削特性に関する性能はかなり向上している。旋削中、バーは旋盤の後部の加工軸に装填され、したがって機械が旋削作動を行うとき、全長にわたって固定して回転される。最新の機械は、材料の加工性に応じて、毎分5、000回転、8、000回転、またはさらに10、000回転の回転速度であっても機械加工を実行することができる。これらの回転速度はかなりのものであり、振動の問題、および最終的には加工精度の問題を最小限に抑えるために、半製品が非常に正確な「真直度」を有することを必要とする。
【0007】
「真直度」の評価を統一する方法を得るために、規制当局は数年間、以下に言及するいくつかの定義に合意し、これらを欧州規格EN12164に集めた。この規格は、(直径10mmから50mm、および長さが1000mmを超えるバーの半製品について)真直度からの偏差が、半製品が水平面上に存在するときの所与の理論線に対する曲率(円弧深さ)であることを定義する。この規格はまた、超えてはならない限界値をmm/mで示す。一般用語では、(EN12164DIN規準、すなわちヨーロッパ規格のドイツ版(German transposition)の参照を意味する)「DIN」の一部は、その物品の、真直度に関する品質のレベルを簡単に表す(1/3DINは、1/2DINのより良い品質であるなど)。
【0008】
本出願人は、物品の真直度に関する技術的問題に対する数年間の技術的研究を経て、上記の規格が、現在の技術的生産レベルの「真直度」の重要な価値を概説するには今日では適切であるとは考えられないと結論づけた。規格では、半製品が平らな表面上に横たわっているときに円弧の検出が行われなければならないと記述しており、このとき、現代の製造プロセスでさえも廃棄する傾向がある確立された最大曲率が、横断方向摩擦によって基準表面上に載置する効果によってほとんど取り消されることを考慮しないため、実際の偏差はほとんど検出できない。したがって、特に金属合金の密度とヤング率との間の関係は、それ自体の重量による変形が定性目的で検査された曲率に対してはるかに大きくなるようなものにする。
【0009】
基本的に、製品が平坦な表面にある場合、この製品は、曲率にもかかわらず平坦なコンフォメーションを示す傾向があり、したがって、規格に概説されるようにそれを決定することは不可能となる。同様に、水平面では、検査すべき小さな曲率によって課された弾性戻りの可能性に関して摩擦が優勢になる。
【0010】
真直度の問題は、技術的に多くの分野において、特に製品の細長さが、ヤング率に対する密度および/または軸受摩擦に対する密度の関係を好ましくないものにする場合に調査された。この問題は、常に、品質管理およびプロセス制御目的の両方に対する、製品の測定および分析のための技術的解決策の重要なエンジニアリングおよび開発のテーマである。
【0011】
先行技術では、平坦性および真直度の両方に関して真直度を測定することを目的としたいくつかの興味深い実施形態がある。例えば欧州特許第2527785号明細書、中国特許第102221354号明細書、欧州特許第0352247号明細書、欧州特許第1447645号明細書、国際公開第2006138220号パンフレット、国際公開第9634251号パンフレットまたは日本国特許第61283804号明細書などにおけるもののような検出センサの事実上本来の適用方法に焦点をあてた解決策および用途が見出されているが、測定中、製品を支持する形態は考慮されてない。明らかに、これらの方法は、密度とヤング率との間または密度と摩擦との間の関係が好ましい用途では(例えば、炭素繊維複合体で実現される物品では)好都合であるが、この関係は細長い金属物品の場合には起こらないことが多い。
【0012】
他の解決策が、測定される半製品に対する力および変位に関して垂直支持体によって作動される作用を制御するように設計された構成によって、製品がどのように支持されるかに焦点をあてて提案されている。欧州特許第2057438号明細書または欧州特許第1974179号明細書の場合のようなロードセルのメカトロニックアプローチ、欧州特許第1915323号明細書または日本国特許第063331339号明細書の場合のような同じ密度の流体中の物理的浮動などの物理的アプローチ、または細長い本体が等圧の流体アクチュエータの「ベッド」上に支持されている、日本国特許第5934109号明細書の場合のような流体アプローチによるさまざまな方法がある。しかし、上記の従来技術はすべて、センサを適用する場合のように、またはその目的が、懸架装置を通して、いずれの場合も、物品の測定にかかる重力の負の効果のバランスをとる独自の試みに焦点を置くことによって物品の正確な測定値を得ることである場合に、主に精度に向けられた解決策を提供している。
【0013】
欧州特許第2803942号明細書はまた、複数の物品を管理する必要性だけに目を向けた、細長い物品の複雑な支持システムを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【文献】欧州特許第2527785号明細書
【文献】中国特許第102221354号明細書
【文献】欧州特許第0352247号明細書
【文献】欧州特許第1447645号明細書
【文献】国際公開第2006138220号パンフレット
【文献】国際公開第9634251号パンフレット
【文献】日本国特許第61283804号明細書
【文献】欧州特許第2057438号明細書
【文献】欧州特許第1974179号明細書
【文献】欧州特許第1915323号明細書
【文献】日本国特許第063331339号明細書
【文献】日本国特許第5934109号明細書
【文献】欧州特許第2803942号明細書
【発明の概要】
【0015】
本発明の目的は、細長い物品のための支持システムであって、これらの物品が、その物品の実際の幾何学的形状を測定できるように、外部の拘束部にかかわらずその幾何学的形状を自由にとることを可能にする、支持システムによって従来技術の限界を克服することである。
【0016】
この目的は、添付の主要な請求項における本質的な特徴に説明するようなシステムによって達成される。他の好ましい態様は、従属請求項に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
本発明のさらなる特徴および利点は、いずれの場合も、限定されない一例として与えられ、添付の図面に示す好ましい実施形態の以下の詳細な説明からより明らかになるであろう。
【0018】
図1A】円形断面を有する例示的な細長い本体を表す概略図である。
図1B】多角形断面を有する例示的な細長い本体を表す概略図である。
図2A】本発明の一実施形態による支持システムの概略斜視図である。
図2B】本発明の一実施形態による支持システムの概略分解図である。
図3A】本発明による支持システムの一実施形態の概略側面図である。
図3B】本発明による支持システムの別の実施形態の概略側面図である。
図3C】本発明による支持システムの別の実施形態の概略側面図である。
図4】瞬間回転軸がマーキングされている、図2Aの部分拡大図である。
図5】本発明による異なるシステム支持モードの概略側面図である。
図6】本発明によるシステムを使用する幾何学形状検出機の一構成の概略側面図である。
図7】本発明によるシステムを使用する幾何学形状検出機の別の構成の概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
精密であり、正確であり、工業的に有利である測定を実施する目的を達成するために実行可能な解決策を見出すために行われた長い研究により、本出願人は、既知の技術の限界を克服する特定の解決策を考案した。解決策の詳細をよりよく理解するためには、精度および正確性に関して主題から少しずれる必要がある。
【0020】
測定の精度は、測定値の平均値と比較した検出値の統計的分散によって定義され、別の測定の精度が高い測定値は同じ値の平均値からあまり離れない値を有し、これに対して精度が低い測定値は、より散乱する値、すなわちより大きい標準偏差を有する。通常の技術では、精度は、検査される物理量の決定のために期待される分解能に関する使用されるセンサの品質に結び付けられる。例えば、レーザ三角測量フィーラーは、位置検出を伴う機械的フィーラー(例えば抵抗タイプのもの)よりも精度が高い。他方では、正確性は、測定の別の態様、すなわち、実際の値と比較した、検出された値の単一または平均の距離に関する。後者の概念は、本出願の目的が、実際の値に可能な限り近い値を得ることができる装置を提供することであるので、ここに示すシステムの必須点である。なぜなら、この値のみを品質管理分析、およびプロセス管理活動に使用できるからである。
【0021】
第1の考察は、真直度条件に適合しない細長い物品では、物品を構成する断面の中心の部位は、歪曲線、すなわち、その接触面がいくつかのレベルにある幾何学部位を構成することである。物品の製造プロセスは、接触面がわずかに発散する傾向があるようなものであるが、実験的経験は、これらの面のわずかな変更でさえ、測定の正確性を低下させる傾向があることを示している。
【0022】
微分幾何学では、曲率およびねじりのある弧長さに関するパラメータ化された曲線が存在する場合、そのような曲線は空間内の剛体運動を除いて一意的であると述べる定理が知られている(空間における曲線理論の基本定理)。この定理により、細長い歪んだ物体を簡単なデカルト表現ではなく、曲率の展開とみなすことが重要性であることが理解される。この数学的概念により、本出願人は、細長い歪んだ物品を空間内に、物品の曲率をその曲線横座標に沿って調節することができる装置によって吊し、製品の実際の曲線の調節に対抗する、フレネ三組(Frenet triad)に沿った曲げ効果を最小限に抑えることにより、細長い物品に、ねじり角度または慣性空間内のその姿勢にかかわらず、その独自の形態にしたがった形状をとらせるという目的を実現することが可能であるという考えに及んだ。
【0023】
考案された解決策は、理論レベルで上記で示されたものを満たすように適切に設計された、バー用の支持体(垂直拘束部)のシステムからなる。2つの直交平面上の曲率を同時に調整し、同じ技術を用いてバランスを作り出すことを可能にするこのシステムは、細長い物品の弾性を自由に表現することを可能にし、それにより、物品自体、通常バーは、すべての内部張力を中立のままにしてその実際の形状をとることができる。この理由から、本発明によるシステムは、重力効果のバランスをとり、物品の多平面曲線自由度を残すその能力を強調するために、浮動システム(または3D浮動システム)とも呼ばれる。
【0024】
より精密には、特定のバランスの組を実現することができるように、外部に相互連結された支持体を実現する必要がある。装置は、接触面を最小限にするように作製された物理的支持体の組から構成され、支持体点(ねじり)における物品の回転を拘束しない可能性(場合によって必要不可欠性)も与える。実際、多くの場合、検査すべき態様は、「ねじれ」、すなわち物品の中心の部位に沿った断面のねじれ率である。この場合、ねじれ係数の不在または最小化は、ねじれの検出のための高い正確性を保証する。
【0025】
支持点は、手動モードまたは自動モードで可変であるという特性を有する可変長の機械的アームによって互いに機械的に連結されており、この後者の態様は、システムの完全なバランス作用にとって不可欠である。「一次」と以下で呼ばれるこれらのアームは、さらに、特定の点、通常は中間点を有するが、これは、必要であれば変更可能であり、その中にユニバーサルジョイント機構が挿入され、物品の中心のできる限り近くを通る2つの直交軸に沿った2つの回転自由度を一次アームに残す。
【0026】
このようにして、支持点は前記連結アームを介して対で連結される。これらの一次アームは、そのそれぞれの端部において、一次アームの上記のユニバーサルジョイントとの連結を有する二次アームによって順に、優先的には中心位置であるが、場合によってはずれて支持される。各二次アームもまた、バーまたは物品の軸のできる限り近くを通る2つの直交軸を有する別のユニバーサルジョイントを有する。そのようなユニバーサルジョイントは、二次アームレベルの連結要素として働く。
【0027】
結果として得られる構成は、実質的には、フラクタルパターン(fractal pattern)で支持体を分割する複数のアーム層であり、各支持体には、支持されるバーまたは物品内のできる限り中心に置かれた回転軸を有するカルダン懸架装置( cardan suspension)(ユニバーサルジョイント)が存在し、支持されたアームに2つの回転自由度だけ残す。
【0028】
ユニバーサルジョイントは、支持構成全体が、2つの直交する平面上でのいかなる反作用にも逆らうことなく、物品の曲線多平面傾向を調節することを可能にするために不可欠である。これらの層はいくつかあってもよく、結果として2Λnに等しい、物品の最終的な支持体の数に至ることができる。残存の回転自由度を残さないようにするために、浮動3Dシステムの最終的な地面支持(すなわち、機械の固定基準面上)を、好都合には2点で作製することができる。2つの層/レベルの場合は4つの支持体、3つの層の場合は8つの支持体、4つの層の場合は16の支持体などが得られる。
【0029】
層の数は、物品支持体の所望の分画化の程度に基づいて決定される。いくつかの用途では、1層だけのアームで十分であることは排除できない。
【0030】
このようにして、支持スキームは、支持されるバーまたは物品の中心線に対して対称的に展開する。
【0031】
高い分画化は、フリースパンのサイズを最小にするためには正の効果であるが、支持体グループ、アーム、およびユニバーサルジョイントの質量の増加に対しては負の効果である。好ましくは、適切な妥協案は、5mmから30mmの断面および3から6mの長さのサイズの金属バーに3つの最適な数の層を提供することであり、このときその質量は、システムの自然振動を大きく低減させるようなものではない。
【0032】
物品空間内の自由な配置に対する抵抗効果を最小限にすることを可能にする、ユニバーサル懸架装置構造の重要性を強調すべきであり、その理由は、他の既知の技術と比べて、物品の支持反作用はアームによって回転点まで伝達され、それによって摩擦および不可避な機械的抵抗が物品のたわみ膨張自由に対して最小の影響しか与えないためである。これは、そのような摩擦が既知の技術の他の解決策に必然的に存在する正確性誤差の原因となるため、本発明の解決策と特に区別する態様である。支持アームの関節手段としてのユニバーサルジョイントの適用は、物品の自然曲率を維持し調節するための直交平面の構成を提供し、それによってとりわけ物品を、その曲率に影響を与える慣性効果を生じさせることなく、可能な場合に事実上空間内の任意の位置に置く。
【0033】
本発明による装置は、以下の特徴を有する。1)曲げに対する慣性効果の補償は、空間における物品の位置とは無関係であり、すなわち、支持システムの位置、および支持体システム自体に対する中心の部位の歪曲線のねじれとは無関係であること;2)ユニバーサルジョイントを連結するさまざまなアームの角度と物品に沿った曲率の補間値との間の相関;3)物品の曲げに対するユニバーサルジョイントにおける摩擦機械的影響の最小化;4)自由なユニバーサルジョイントと直接的に、ロックされたユニバーサルジョイントと間接的に作動する能力:後者の場合、ロックトルクは、ユニバーサルジョイント上に課された角度によって定められた位置に保持されたときの物品の内部の曲げモーメントの関数である。
【0034】
したがって、本発明の変形形態によれば、ユニバーサルジョイントはロック可能なタイプであり、すなわち、回転軸は固定された姿勢で機械的にロック可能である。この場合、ユニバーサルジョイントの軸の周りに存在する応力を検出することができる、応力/歪みセンサ(例えば、ロードセルなど)を設けることが好ましい。
【0035】
上記のすべての態様により、システムがどのように動作するのか、またこれが、自由なユニバーサルジョイントまたはロックされたユニバーサルジョイントの2つの場合に、どのようにして物品の幾何学的形状の極めて正確な測定を実行するのを可能にするかを理解することができる。
【0036】
自由なユニバーサルジョイントの場合、ユニバーサルジョイント懸架装置システムが、支持体の交点において重量に反作用し、2つの直交成分のバランスをとりながら、その曲率平面上の物品の曲げを自由のままにすることができるので、物品は、その内部張力との中立バランスをもたらす、その幾何学的曲率を表すことができる。このシステムを幾何学形状検出機に適用することにより、異なる技術的方法で検出を行うことができる。例えば、一般的な時間に正確なレーザまたはプロファイル読み取りセンサを用いて物品の長さに沿ってさまざまな位置において読み取ることによるもの、誘導性、容量性または渦電流センサを介するものがある。機械的接触のないシステムが接触読み取りシステムより好ましく、その理由は、後者は力を加えることが不可避であり、それによって形状を変化させ、システムの高い正確性を損なうためである。
【0037】
第2の可能性は、ユニバーサルジョイントにおける各回転の角度位置を、エンコーダ、抵抗リーダ、誘導性リーダ、またはホール効果のものまたは渦電流のものなどの当技術分野で一般的に利用可能な他のリーダなどの角度読み取りセンサによって読み取ることである。
【0038】
2つのアプローチには、以下のように評価され得る利点および欠点を有する:浮動システム外部のレーザシステムを介した読み取りは、特に、グラナイトバックボーンに拘束された高真直度ガイドで移動可能な場合、および/または相対測定位置の精密で瞬間的な補正のための干渉計に関連付けられる場合、ミリメートルまたはサブミリメートルでも長手方向の分解能による変形の非常に詳細な復元を可能にするが、追加の統合システムの必要性をもたらす;その代わりにユニバーサルジョイントの回転の読み取りによる測定は、曲率値を提供し、支持点中の中間値を与えながら、機械のアーキティクチャ全体の複雑性を極めて低く維持する。実験的には、後者の場合は、すべての品質管理およびプロセス制御活動にとって十分すぎるほどであることが判明している。
【0039】
ロックされたユニバーサルジョイントの場合、3D浮動システムは、すべての2^nの支持体を完全に位置合わせさせる。この点において、物品をシステム上に置くことで、これは、その重量、および自然曲率と完全に課された真直度との間の差によって生じる弾性張力の結果として生じる張力によって、支持体に力を及ぼす。それ自体の重量は、アームの対称的な曲げによって打ち消され、ユニバーサルジョイントにトルクを生じさせない。ユニバーサルジョイントロッキングの抑制反作用は、このとき、曲がり状態を自然曲率に比例させたものとして表す。そのようなねじり情報は、ねじりセンサをユニバーサルジョイントロッキングシステムに埋め込むことによって得ることができ、その技術は、歪みゲージセンサおよび圧電センサの両方として多くの可能性を提供する。このようにして、材料の弾性モデルを適用する(ヤング率および断面の慣性を知る)ことによって、張力情報の「後処理」を通して非常に正確な方法で変形を決定することが可能である。自由なユニバーサルジョイント構成の場合にも、幾何学形状から、ヤング率および断面の慣性に基づいて張力変形の状態を決定することが可能であることに留意されたい。
【0040】
いずれの場合も、分割されたモジュール構成およびユニバーサルジョイント結合運動は、システムの正確性がその固有の特徴であると言えることにより、測定を実施することを可能にする要素である。この精度は、そのため、3D浮動システムまたはその外部に統合された位置検出または張力検出技術の関数であり、最終用途の期待に応じて選択される。
【0041】
自由形態または拘束された形態でシステムを使用して「可逆」システムにするという随意選択肢は、システムを特に精密で詳細な外部レーザシステムと組み合わせて、回転位置の統合化された内部システム、またはトルク計測システムとも組み合わせて使用して、3D浮動システムを測定においても完全に自律させることができるので、システムの重要かつ特色のある特徴である。
【0042】
性能面では、ロックされたユニバーサルジョイント構成により、可動部品および外部の測定機器を使用せずに測定を行うことができることが強調される。この事実により、ほぼ瞬間的な検出を行うことが可能であり、これは、バーが下に置かれたれた後すぐにトルクメトリック反作用を読み取ることが可能であるためである。自由なユニバーサルジョイントの場合のように、弾性的に結合された質量移動が存在しない場合、測定を実施する前に物品の振動の可能性のある減衰を待つ必要はない。加えて、可動システムによる検出ステップがないため、可動取得ステップの完了を待つ必要はない。
【0043】
このシステムの別の有利な特徴は、アーム自体に沿ってある程度の並進自由度を維持しながら、上述したように支持アーム上に物品の支持点を有することである。
【0044】
実質的には、浮動システムの各支持点において、物品は、その長手方向軸に沿って前後に自由に摺動する。
【0045】
これは、この動きを、バー自体を介して、および/または地面に拘束され、長手方向に移動可能な適切なスリーブを通して拘束された状態に維持することを可能にするため、重要な可能性である。スリーブは、このようにして、適切な可動性を自動的に制御して、アームの長さ構成を変更することを可能にする。こうして、システムはまた、測定される物品の長さが変化する場合に容易に再構成可能である。
【0046】
すなわち、システムの各支持体は、システムの固定された基準に一体化されたガイドスリーブ内で垂直方向に摺動可能であるように講じられ得る。しかし、支持体は、下にある相互連結アームと共に一貫した方法で垂直方向に移動可能である。スリーブは、場合によっては電動化手段によってアームの伸張に沿って並進させて、対応する相互連結アームの長さに沿って支持体の適用位置を変化させることができる。
【0047】
システムの長手方向軸に沿った支持体の分布は、完璧なバランスを得るために、物品の計算された弾性モデルに基づいて設定されることが好ましい。このオペレーションは、システムの製造段階中(物品の固定された所定の長さが意図される場合)、適切にプログラムされたまたは予め設定された自動システムによって支援することができる。
【0048】
ユニバーサルジョイント懸架システムの実験は、理論的および概念的考察から期待される正確性の期待を確認した。試験から、(例えば、全長約3mに沿って1.5mmのオフセット弁を有する、真鍮、鋼またはアルミニウム製の丸断面直径10または12mmの)バーを測定すると、これらがその回転位置の変動に伴って数10ミクロンの変動(すなわちフレネの名の下のねじれ)を示して、測定が重力バイアスによって、またはユニバーサルジョイント懸架装置の運動からも影響を受けないという事実を実証し、したがって、2つの支持直交平面は、空間理論における曲線の基礎定理によって述べられるのと全く同じようにしてバーの回転によってしっかりとこれらを回転させながら、バーが接触自然表面上でその曲率を表すことを可能にすることが見出された。
【0049】
支持システムには、バーの長さおよび浮動システムの対称軸に対する位置を測定するための自動システムを装備することもでき、したがって、実際のバランス形状の補間のための測定の補正係数の弾性モデルによる(ヤング率および断面の慣性を知ることによる)処理が可能となる。長手方向位置検出のタイプは、所望の技術的選択に応じて、レーザ光学系または離散光システム、ならびにフィーラーシステムとすることができる。
【0050】
システムの機械的部分は、データの処理および記憶、ならびに可能な場合は第三者の回線システムとの共有のために、センサの管理および読み取りのための電子部分と組み合わせられなければならない。したがって、データは、グラフィック形式で表すこともでき、または大容量記憶装置に記憶し、例えば、任意の長さのオフセットなどの生データまたは要約データを、最も一般的には上述した規格によって示されるmm/m形態で記憶することもできる。データは、3次元形状、2次元形状の連続する断面によって、または数値合成のスカラー値を用いてグラフィカルに表して、品質管理およびプロセス制御活動のための情報をより良好に表すこともできる。システムは、生産ラインまたは倉庫との間でのバーの共働および取り外しのための自動ハンドリングシステムによって完了することができる。
【0051】
システムには、細長い物品との接触点に、例えば長手方向のタイプのローラを装備することができ、それによって物品の長手方向軸に沿った自由な摺動を可能にする。これにより、長手方向運動におけるバーまたはシームレスな製品に対する機械の連続使用が促進される。支持体との接触拘束部は、両面タイプであってもよい。
【0052】
以下は、添付図面を正確に参照してより詳細な開示を提供する。
【0053】
図1Aおよび図1Bは、全体的に湾曲した2つの例示的なバー18を示しており、偏向22、ベースライン23、バーの曲線軸26、ならびに丸い、正方形および六角形のタイプの末端部分24および25が強調されている。この図では、物品は、斜視図によってコンパクトな形態で表されるように見える。実際には、典型的な寸法は、基準23および26の場合はメートル程度であり、基準24および25の場合は数十ミリメートルであり、基準23の場合はミリメートルである。
【0054】
図2Aは、本発明の本質的な概念を理解するのを助けるシステムの実施形態を示す。バー18は、8つの支持体1と、ジョイント3を有する3つの層8/4/2とによってシステム上に置かれ、ジョイントおよび支持体は、アーム4によって連結されたユニバーサルジョイント懸架装置である。点5は、地面(すなわち、システムの固定基準面)に対する最後のアームの拘束点である。システムの対称軸19も見ることができる。
【0055】
図2Aは、物品の支持点1内、アーム4間の連結ジョイント3内、および地面5に対する拘束部において設けられたユニバーサルジョイント懸架装置を構成する部分の組み立てロジックをより明確に示す。
【0056】
図3は、次の2つの場合の物品18の支持体の図を示す:図3Aおよび図3Bの8つの支持体の場合、および図3Cの16個の支持体の場合。後者の場合、中心軸19に対して対称な左部分は示されていない。支持スキームは、第1の層の支持体1が、図3Aおよび図3Bの場合には4つのジョイント3になり、図3Cの場合には8つになり、次いで、図3Aおよび3Bでは2つのジョイント3になり、次いで支持体5によって地面に拘束される、ツリータイプの構造を提供する。図3Cの場合には、地面拘束部5を有する最後の層に進む前に、4つのジョイントの追加の層が存在する。これらの図では、支持点1間およびジョイント点3間の相互連結要素4を観察することが可能である。バーの中心線19に関する対称性のスキームは重要である。
【0057】
これらの図では、機械的なタイプのジョイント間の相互連結に留意されなければならず、支持体1の点およびジョイント3の点内にヒンジが存在して、相互連結要素4(すなわちアーム)の自由回転を可能にしなければならない。中心線19に対するシステムの対称性は重要である。支持点1の位置は不均一であってもよく、相互連結要素4の長さは、可変とすることができ、自動管理システムによって制御可能である。
【0058】
図4は、ユニバーサルジョイント懸架装置の回転軸を示し、2つの直交軸32、34およびねじり軸33が示されている。
【0059】
図5は、本発明の異なる実施形態を示しており、支持システムは、バー18の軸に対して180度回転した作動構成にある。この場合、垂直拘束部は、圧縮下ではなく張力下で働いている。すなわち、垂直拘束部は、物品を上から吊り下げ、このとき張力作用を受ける。
【0060】
図6は、8つの支持体1の配置を有する幾何学形状検出機に適用されたシステムの一例を示しており、相互連結要素4が、物品上の拘束-反作用力の結果によるジョイント3内の回転によってバランスがとられているという作用論理が明らかである。この図は、精密軸27およびベースラインまたは曲線横座標に沿って測定値を取得することができるレーザセンサを示す。センサ28はまた、支持システムの対称性に対する物品の長さおよび位置を検出する機能も有する。その理由は、そのような情報は、長さおよび位置の非対称性を補償するために曲線補正係数を処理するのに有用になり得るからである。特に横方向自由システム21の適用に関連する場合、バーの形態の物品の水平面上での検出のために側方レーザセンサを採用することも可能である。
【0061】
図7は、図6の代替策である機械を表し、異なるタイプ(誘導性、容量性、渦電流)の固定されたセンサが水平面上、垂直面上、および/またはバーの形態の物品の軸方向の位置決めのために設けられている。
【0062】
特別な構成では、予め設定された構成に対して適合する長さを有さない物品のバランスを取り直すために、バランシングアームを人為的にアンバランスにすることが可能である。このようなアンバランスは、拘束部の実際の位置と理想的な位置との間の不一致性のバランスを取り直すために弾性力または一定力の印加がジョイント内で実施されるものとして理解されるものである。この論理を用いて、端部の不連続性およびエッジ効果のための特別な論理によって補償するために、バランシングシステムの外部にある装置を物品に力を加えるように適合させることが可能である。
【0063】
上記の開示から理解できるように、本発明の構成により、実際の幾何学的形状の検出作動中に自然の幾何学形状に影響を与えないように、十分な適合自由を提供する細長い本体の支持システムを有することが可能である。
【0064】
しかし、本発明は、上記で例示した特定の配置によって限定されるとみなされるべきではなく、これらは、本発明の例示的な実施形態を表すに過ぎず、異なる変形形態が可能であり、そのすべては、特許請求の範囲に規定される本発明自体の範囲から逸脱することなく、当業者の理解範囲内にある。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図4
図5
図6
図7