(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-13
(45)【発行日】2022-01-13
(54)【発明の名称】直接変換受信機および/または変調技法を使用するミリ波撮像システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
G01S 13/89 20060101AFI20220105BHJP
【FI】
G01S13/89
(21)【出願番号】P 2019507280
(86)(22)【出願日】2017-08-10
(86)【国際出願番号】 US2017046337
(87)【国際公開番号】W WO2018089068
(87)【国際公開日】2018-05-17
【審査請求日】2020-07-20
(32)【優先日】2016-08-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517075883
【氏名又は名称】ユニバーシティ オブ ワシントン
【氏名又は名称原語表記】University of Washington
【住所又は居所原語表記】4545 Roosevelt Way NE, Suite 400, Seattle, Washington 98105 US
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ペドロス-エンゲル, アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】アーニッツ, ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】レイノルズ, マシュー エス.
【審査官】山下 雅人
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2010/0220001(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0124075(US,A1)
【文献】国際公開第2013/024583(WO,A1)
【文献】特開2013-113645(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0065323(US,A1)
【文献】野勢 大輔,相補符号に時空間符号化を併用したMIMOレーダ符号に関する一考察,電子情報通信学会技術研究報告,日本,一般社団法人電子情報通信学会,2015年08月28日,Vol.115 No.214,43-48頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/00-17/95
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像システムであって、前記撮像システムは、
照明システムであって、前記照明システムは、
平衡符号を備え、複数の連続したデジタルシンボルを含む複数のデジタルシンボルを使用して複数の搬送波源から複数の変調された無線周波数信号を生成する
ことと、
前記複数の変調された無線周波数信号に少なくとも基づいて、照明信号を提供する
ことと
を行うように構成されている、
照明システムと、
前記
照明システムに結合されている複数のアンテナであって、前記複数のアンテナは、前記照明信号
に少なくとも基づいてシーンを照射するように構成されている、複数のアンテナと
、
複数の直接変換受信機であって、前記複数の直接変換受信機の各々は、前記シーンからの前記照明信号の散乱から部分的にもたらされる散乱照明信号から
のエネルギー
および部分的に自己妨害信号からのエネルギーを受信するように構成されている
、複数の直接変換受信機と、
前記
複数の直接変換受信機に結合されている撮像プロセッサであって、前記撮像プロセッサは、前記散乱照明信号からのエネルギーに基づいて、前記シーンに関連付けられた画像データを提供するように構成されている、撮像プロセッサと
を備え
、前記シーンに関連付けられた前記画像データを生成することは、前記散乱照明信号からのエネルギーを前記自己妨害信号からのエネルギーから分離することを含み、前記分離することは、前記自己妨害信号に起因する寄与を消去するように、受信されたエネルギーの前記複数の連続したデジタルシンボルを減算することに少なくとも基づいている、撮像システム。
【請求項2】
前記
複数の変調された無線周波数信号
のうちの1つの変調された無線周波数信号は、30~300GHzの周波数を有する、請求項1に記載の撮像システム。
【請求項3】
前記複数の変調された無線周波数信号を生成することは、2つ以上の位相を有する位相変調
されたデジタルシンボルを使用
することに少なくとも基づいている、請求項1に記載の撮像システム。
【請求項4】
前記複数の変調された無線周波数信号を生成することは、2つ以上の振幅を有する振幅変調
されたデジタルシンボルを使用
することに少なくとも基づいている、請求項1に記載の撮像システム。
【請求項5】
前記複数の変調された無線周波数信号を生成することは、前記複数のアンテナの各々のために、
平衡符号の組からのそれぞれのデジタル符号を使用
することに少なくとも基づいている、請求項1に記載の撮像システム。
【請求項6】
前記
平衡符号の組は、平衡直交符号を備えている、請求項5に記載の撮像システム。
【請求項7】
前記
平衡符号の組は、アダマール符号を備えている、請求項6に記載の撮像システム。
【請求項8】
前記撮像プロセッサに結合されているディスプレイをさらに備え、前記ディスプレイは、前記画像データに基づいて画像を表示するように構成され、前記画像は、前記シーンの表現を備えている、請求項1に記載の撮像システム。
【請求項9】
前記シーンは、人間を備えている、請求項1に記載の撮像システム。
【請求項10】
前記
複数の直接変換受信機
の各々は、前記照明システムが前記照明信号を提供している時間の少なくとも一部中、
前記散乱照明信号から前記エネルギーを受信するように構成されている、請求項1に記載の撮像システム。
【請求項11】
前記
複数の直接変換受信機
の各々は、前記照明システムに結合され、前記
複数の直接変換受信機
の各々は、
無線周波数信号の知識を使用して前記散乱照明信号から前記エネルギーを受信するように構成されている、請求項1に記載の撮像システム。
【請求項12】
前記
複数の直接変換受信機
の各々は、前記散乱照明信号から受信され
た前記エネルギーからの寄与、自己妨害
信号、およびDCオフセットを含む受信機信号を生成するように構成され、前記撮像システムは、ポストプロセッサをさらに備え、前記ポストプロセッサは、前記散乱照明信号から受信された
前記エネルギーの寄与を前記自己妨害
信号および
前記DCオフセットから分離するために、
平衡符号から選択される変調シンボルの
第1のサブセットに対応して受信される受信機信号を
、別の平衡符号から選択される変調シンボルの
第2のサブセットに対応して受信される受信機信号から減算するように構成されている、請求項1に記載の撮像システム。
【請求項13】
前記複数の変調された無線周波数信号を生成することは、それぞれのデジタル符号を使用
することに少なくとも基づき、前記撮像システムは、少なくとも2つの受信機をさらに備え、前記少なくとも2つの受信機の各々は、
散乱照明信号を少なくとも部分的に同時に受信するように構成されている、請求項1に記載の撮像システム。
【請求項14】
前記少なくとも2つの受信機は、それぞれのデジタル符号と前記散乱照明信号の一部との間の相関を使用して、
変調寄与を分離するように構成されている、請求項13に記載の撮像システム。
【請求項15】
シーンを撮像する方法であって、前記方法は、
平衡符号を備え、複数の連続したデジタルシンボルを含む複数のデジタルシンボルを使用して
複数の無線周波数信号を変調
することにより、複数の照明信号を提供することと、
複数のアンテナを使用して、
前記複数の照明信号を用いて前記シーンを照射することと、
複数の直接変換受信機を使用して、対象からの前記
複数の照明信号の散乱から部分的にもたらされる散乱照明信号から
のエネルギー
および部分的に自己妨害信号からのエネルギーを受信することと、
前記散乱照明信号からのエネルギーに基づいて、前記シーンに関連付けられた画像データを生成することと
を含
み、前記シーンに関連付けられた前記画像データを生成することは、前記散乱照明信号からのエネルギーを前記自己妨害信号からのエネルギーから分離することを含み、前記分離することは、前記自己妨害信号に起因する寄与を消去するように、受信されたエネルギーの前記複数の連続したデジタルシンボルを減算することに少なくとも基づいている、方法。
【請求項16】
前記
複数の連続したデジタルシンボルは、二位相シフトキーイング変調または四位相シフトキーイング変調を備えている、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記受信することは、少なくとも部分的に前記照射することと同時に起こる、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記複数のアンテナは、前記照射中、静止している、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記複数のアンテナのうちのそれぞれのもののために、平衡直交符号を使用して前記
複数の照明信号を変調することをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記画像データに基づいて、画像を表示することをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項21】
前記画像は、前記シーンの表現を備えている、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記受信することは、位相シフトキーイング変調に基づいて受信することを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項23】
前記受信することは、前記散乱照明信号からのエネルギーを前記
複数の直接変換受信機によって提供される
前記自己妨害信号から分離することを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記エネルギーを分離することは、変調シンボルの群に関連付けられた受信機信号を減算することを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記
複数の照明信号は、
それぞれの
平衡デジタル符号を使用
することに少なくとも基づいて生成され、前記受信することは、
前記複数の
直接変換受信機によって提供され、前記複数の
直接変換受信機の各
直接変換受信機は、前記複数の
直接変換受信機によって生成される
前記照明信号の散乱から部分的にもたらされるエネルギーを含む前記散乱照明信号を少なくとも部分的に同時に受信するように構成されている、請求項15に記載の方法。
【請求項26】
前記散乱照明信号への
寄与を分離することをさらに含み、前記分離することは、それぞれの
平衡デジタル符号と前記散乱照明信号とを互いに関係付けることを含む、請求項25に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の引用)
本願は、先に出願の米国仮出願第62/374,285号(2016年8月12日出願)の米国特許法§119に基づく利益を主張し、上記出願の全内容は、任意の目的のためにその全体において参照により本明細書に引用される。
【0002】
(研究開発に関する声明)
本発明は、国土安全保障省により授与された付与番号14-DHS-1100 AM02、および国家偵察局により授与された付与番号15-USG-1064-MOD03の下での政府支援により為された。政府は、本発明における一定の権利を有する。
【0003】
(技術分野)
本明細書に説明される例は、ミリ波撮像システムおよび方法に関する。ミリ波撮像システムにおける照明信号のための直接変換受信機および/または変調技法の使用を含む例が、説明される。
【背景技術】
【0004】
ミリ波(mmW)撮像は、セキュリティスクリーニング、壁浸透感知および撮像、ならびに航空機または宇宙船から地球および人工構造物の画像を作製すること等の種々の用途を有する。
【0005】
アクティブmmW撮像では、シーン内の着目領域(ROI)が1つ以上の送信機によって照射される一方、シーンからの散乱エネルギーは、1つ以上のアンテナおよび受信機によって空間的にサンプリングされる。多くのアクティブイメージャは、アンテナアレイの機械的運動を活用し、合成開口レーダ(SAR)画像を形成する。他のアクティブイメージャは、アクティブ電子走査アレイ(AESA)等の位相アレイを使用する。位相アレイは、多数のアンテナ要素を活用し、大きい空間的にサンプリングされた開口を形成する。他のイメージャは、サンプリングされた開口を形成するように空間的に分散される送信機および受信機を備えている、多入力多出力(MIMO)アーキテクチャを使用する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
撮像システムの例が、本明細書に説明される。例示的撮像システムは、照明システムを含み得る。照明システムは、無線周波数信号を生成するように構成されている搬送波源と、搬送波源に結合され、デジタルシンボルを使用して無線周波数信号を変調し、照明信号を提供するように構成されている変調器と、変調器に結合され、照明信号を用いてシーンを照射するように構成されている複数のアンテナとを含み得る。撮像システムは、シーンからの照明信号の散乱から部分的にもたらされる散乱照明信号からエネルギーを受信するように構成されている直接変換受信機を含み得る。撮像システムは、直接変換受信機に結合され、散乱照明信号からのエネルギーに基づいて、シーンに関連付けられた画像データを提供するように構成されている撮像プロセッサを含み得る。
【0007】
いくつかの例では、無線周波数信号は、30~300GHzの周波数を有する。
【0008】
いくつかの例では、変調器は、2つ以上の位相を有する位相変調デジタルシンボルを使用して無線周波数信号を変調するように構成されている。
【0009】
いくつかの例では、変調器は、2つ以上の振幅を有する振幅変調デジタルシンボルを使用して無線周波数信号を変調するように構成されている。
【0010】
いくつかの例では、変調器は、複数のアンテナの各々のために、符号の組からのそれぞれのデジタル符号を使用して無線周波数信号を変調するように構成されている。いくつかの例では、符号の組は、平衡直交符号を含む。いくつかの例では、符号の組は、アダマール符号を含む。
【0011】
いくつかの例では、撮像システムは、撮像プロセッサに結合され、画像データに基づいて画像を表示するように構成されているディスプレイを含み得、画像は、シーンの表現を備えている。
【0012】
いくつかの例では、シーンは、人間を備えている。
【0013】
いくつかの例では、直接変換受信機は、照明システムが照明信号を提供している時間の少なくとも一部中、エネルギーを受信するように構成されている。
【0014】
いくつかの例では、直接変換受信機は、照明システムに結合され、直接変換受信機は、無線周波数信号の知識を使用して散乱照明信号からエネルギーを受信するように構成されている。
【0015】
いくつかの例では、直接変換受信機は、散乱照明信号から受信されるエネルギーからの寄与、自己妨害、およびDCオフセットを含む受信機信号を生成するように構成され、撮像システムは、変調シンボルの1つの群に対応して受信される受信機信号を変調シンボルの別の群に対応して受信される受信機信号から減算し、散乱照明信号から受信されたエネルギーの寄与を自己妨害およびDCオフセットから分離するように構成されるポストプロセッサをさらに備えている。
【0016】
方法の例が、本明細書に説明される。例示的方法は、デジタルシンボルを使用して無線周波数信号を変調し、照明信号を提供することと、複数のアンテナを使用して、照明信号を用いてシーンを照射することと、直接変換受信機を使用して、対象からの照明信号の散乱から部分的にもたらされる散乱照明信号からエネルギーを受信することと、散乱照明信号からのエネルギーに基づいて、シーンに関連付けられた画像データを生成することとを含み得る。
【0017】
いくつかの例では、デジタルシンボルは、二位相シフトキーイング変調または四位相シフトキーイング変調を備えている。
【0018】
いくつかの例では、受信することは、少なくとも部分的に、照射することと同時に起こる。
【0019】
いくつかの例では、複数のアンテナは、照射中、静止している。
【0020】
例示的方法は、複数のアンテナのうちのそれぞれのもののために、平衡直交符号を使用して照明信号を変調することを含み得る。
【0021】
例示的方法は、画像データに基づいて、画像を表示することを含み得る。いくつかの例では、画像は、シーンの表現を備えている。
【0022】
いくつかの例では、受信することは、位相シフトキーイング変調に基づいて受信することを含む。
【0023】
いくつかの例では、受信することは、散乱照明信号からのエネルギーを直接変換受信機によって提供される自己妨害信号から分離することを含む。
【0024】
いくつかの例では、エネルギーを分離することは、変調シンボルの群に関連付けられた受信機信号を減算することを含む。
本発明は、例えば、以下を提供する。
(項目1)
撮像システムであって、前記撮像システムは、
照明システムであって、前記照明システムは、
無線周波数信号を生成するように構成されている搬送波源と、
前記搬送波源に結合されている少なくとも1つの変調器であって、前記少なくとも1つの変調器は、デジタルシンボルを使用して前記無線周波数信号を変調し、照明信号を提供するように構成されている、少なくとも1つの変調器と、
前記少なくとも1つの変調器のうちのそれぞれのものに結合されている複数のアンテナであって、前記複数のアンテナは、前記照明信号を用いてシーンを照射するように構成されている、複数のアンテナと
を備えている、照明システムと、
前記シーンからの前記照明信号の散乱から部分的にもたらされる散乱照明信号からエネルギーを受信するように構成されている直接変換受信機と、
前記直接変換受信機に結合されている撮像プロセッサであって、前記撮像プロセッサは、前記散乱照明信号からのエネルギーに基づいて、前記シーンに関連付けられた画像データを提供するように構成されている、撮像プロセッサと
を備えている、撮像システム。
(項目2)
前記無線周波数信号は、30~300GHzの周波数を有する、項目1に記載の撮像システム。
(項目3)
前記変調器は、2つ以上の位相を有する位相変調デジタルシンボルを使用して前記無線周波数信号を変調するように構成されている、項目1に記載の撮像システム。
(項目4)
前記変調器は、2つ以上の振幅を有する振幅変調デジタルシンボルを使用して前記無線周波数信号を変調するように構成されている、項目1に記載の撮像システム。
(項目5)
前記変調器は、前記複数のアンテナの各々のために、符号の組からのそれぞれのデジタル符号を使用して前記無線周波数信号を変調するように構成されている、項目1に記載の撮像システム。
(項目6)
前記符号の組は、平衡直交符号を備えている、項目5に記載の撮像システム。
(項目7)
前記符号の組は、アダマール符号を備えている、項目6に記載の撮像システム。
(項目8)
前記撮像プロセッサに結合されているディスプレイをさらに備え、前記ディスプレイは、前記画像データに基づいて画像を表示するように構成され、前記画像は、前記シーンの表現を備えている、項目1に記載の撮像システム。
(項目9)
前記シーンは、人間を備えている、項目1に記載の撮像システム。
(項目10)
前記直接変換受信機は、前記照明システムが前記照明信号を提供している時間の少なくとも一部中、前記エネルギーを受信するように構成されている、項目1に記載の撮像システム。
(項目11)
前記直接変換受信機は、前記照明システムに結合され、前記直接変換受信機は、前記無線周波数信号の知識を使用して前記散乱照明信号から前記エネルギーを受信するように構成されている、項目1に記載の撮像システム。
(項目12)
前記直接変換受信機は、前記散乱照明信号から受信されるエネルギーからの寄与、自己妨害、およびDCオフセットを含む受信機信号を生成するように構成され、前記撮像システムは、ポストプロセッサをさらに備え、前記ポストプロセッサは、前記散乱照明信号から受信されたエネルギーの寄与を前記自己妨害およびDCオフセットから分離するために、変調シンボルの1つの群に対応して受信される受信機信号を変調シンボルの別の群に対応して受信される受信機信号から減算するように構成されている、項目1に記載の撮像システム。
(項目13)
前記撮像システムは、少なくとも2つの変調器を備え、前記少なくとも2つの変調器の各々は、それぞれのデジタル符号を使用して前記無線周波数信号を変調するように構成され、前記撮像システムは、少なくとも2つの受信機をさらに備え、前記少なくとも2つの受信機の各々は、前記少なくとも2つの変調器のうちの複数のものを用いて生成される照明信号の散乱を含む散乱照明信号を少なくとも部分的に同時に受信するように構成されている、項目1に記載の撮像システム。
(項目14)
前記少なくとも2つの受信機は、それぞれのデジタル符号と前記散乱照明信号の一部との間の相関を使用して、前記少なくとも2つの変調器の各々の寄与を分離するように構成されている、項目13に記載の撮像システム。
(項目15)
シーンを撮像する方法であって、前記方法は、
デジタルシンボルを使用して無線周波数信号を変調し、照明信号を提供することと、
複数のアンテナを使用して、照明信号を用いて前記シーンを照射することと、
直接変換受信機を使用して、対象からの前記照明信号の散乱から部分的にもたらされる散乱照明信号からエネルギーを受信することと、
前記散乱照明信号からのエネルギーに基づいて、前記シーンに関連付けられた画像データを生成することと
を含む、方法。
(項目16)
前記デジタルシンボルは、二位相シフトキーイング変調または四位相シフトキーイング変調を備えている、項目15に記載の方法。
(項目17)
前記受信することは、少なくとも部分的に前記照射することと同時に起こる、項目15に記載の方法。
(項目18)
前記複数のアンテナは、前記照射中、静止している、項目15に記載の方法。
(項目19)
前記複数のアンテナのうちのそれぞれのもののために、平衡直交符号を使用して前記照明信号を変調することをさらに含む、項目15に記載の方法。
(項目20)
前記画像データに基づいて、画像を表示することをさらに含む、項目15に記載の方法。
(項目21)
前記画像は、前記シーンの表現を備えている、項目20に記載の方法。
(項目22)
前記受信することは、位相シフトキーイング変調に基づいて受信することを含む、項目15に記載の方法。
(項目23)
前記受信することは、前記散乱照明信号からのエネルギーを前記直接変換受信機によって提供される自己妨害信号から分離することを含む、項目22に記載の方法。
(項目24)
前記エネルギーを分離することは、変調シンボルの群に関連付けられた受信機信号を減算することを含む、項目23に記載の方法。
(項目25)
前記照明信号は、複数の変調器によって生成され、前記複数の変調器の各変調器は、それぞれのデジタル符号を使用して前記無線周波数信号を変調するように構成され、前記受信することは、複数の受信機によって提供され、前記複数の受信機の各受信機は、前記複数の受信機によって生成される照明信号の散乱から部分的にもたらされるエネルギーを含む前記散乱照明信号を少なくとも部分的に同時に受信するように構成されている、項目15に記載の方法。
(項目26)
前記散乱照明信号への前記複数の変調器のそれぞれからの寄与を分離することをさらに含み、前記分離することは、それぞれのデジタル符号と前記散乱照明信号とを互いに関係付けることを含む、項目25に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】
図1は、本明細書に説明される例に従って配置されるシステムの概略図である。
【0026】
【
図2】
図2は、本明細書に説明される例に従って配置されるシステムの概略図である。
【0027】
【
図3】
図3は、本明細書に説明される例による、非理想的アーチファクトを図示するI/Q復調器の概略図である。
【0028】
【
図4】
図4は、本明細書に説明される例に従って配置される撮像システムの概略図である。
【0029】
【
図5】
図5は、MIMOを利用し、本明細書に説明される例に従って配置される撮像システムの概略図である。
【0030】
【
図6】
図6は、本明細書に説明される例に従って配置される方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
ある詳細が、説明される実施形態の十分な理解を提供するために下記に記載される。しかしながら、実施形態は、種々のこれらの特定の詳細を伴わずに実践され得ることが、当業者に明確であろう。いくつかの事例では、周知の回路、制御信号、タイミングプロトコル、および/またはソフトウェア動作は、説明される実施形態を不必要に不明瞭にすることを回避するために、詳細に示されていない。
【0032】
アクティブmmW撮像への伝統的アプローチは、多くの場合、有意な課題を有している。機械的に走査されるSAR取得時間は、多くの場合、機械的運動の速度に起因して、時間がかかり、それは、至近距離の急速に移動する標的に対するモーションブラーにつながり得る。位相アレイAESAベースのイメージャは、多くの場合、必要とされる送信機(TX)、受信機(RX)、および位相シフタ等の大量のRFハードウェアに起因して、高価であり、電力を大量消費し、かつ複雑である。MIMOイメージャは、同様に、典型的に採用される多数の送信機および受信機に起因して、電力消費および複雑性に悩まされる。
【0033】
mmW撮像において使用される受信機の電力消費および複雑性を低減させるための1つのアプローチは、直接変換(ゼロIFまたはホモダインとも呼ばれる)受信機等の簡略化された受信機を採用することである。本明細書に説明される例は、直接変換(例えば、ホモダイン)受信機がコヒーレントミリ波(mmW)アクティブ撮像および/またはチャネル推定のために使用されるときに観察され得る自己妨害および/またはDCオフセット障害を軽減することにおいて補助し得る。いくつかの例は、BPSK変調を使用する(例えば、照明システムにおいて平衡直交符号を用いる)変調符号化スキームを含む。この変調は、受信機I/Q復調器におけるDCオフセットおよび搬送波源(例えば、局部発振器(LO))漏洩に起因する望ましくない成分からの所望の信号(例えば、mmW画像に寄与する点状散乱体戻り)の分離を可能にし得る。本明細書に説明される変調技法は、概して、1つ以上のシンボルを使用し、例えば、シンボルは、変調技法において使用される各周波数、位相、および/または振幅によって表され得る。いくつかの実施形態では、シンボルは、1つ以上のビット等のデジタル値を表し、各シンボルは、1つ以上のビットのあるパターンに対応する位相状態、振幅状態、もしくはそれらの組み合わせを備え得る。
【0034】
本明細書に説明される方法およびシステムは、直接変換(例えば、ホモダイン)受信機がコヒーレントミリ波(mmW)アクティブ撮像および/またはチャネル推定のために使用されるときに観察され得る自己妨害およびDCオフセット障害を軽減し得る。本明細書に説明される例は、シーンを照射する照明システム(例えば、送信機)における符号化変調を活用し、それは、I/Q復調器における非理想的半導体コンポーネントに起因する望ましくないDCオフセットの除去および/または低減、搬送波信号(例えば、局部発振器LO)フィードスルーによって引き起こされる自己妨害に起因する望ましくないDC成分の除去および/または低減、ならびに雑音利得における平均化ベースの低減を介した撮像システムにおける改良された信号対雑音比(SNR)を含むいくつかの利益を達成し得る。さらに、本明細書に説明される例は、いくつかの例において本明細書に説明される利益を保持しながら、同じ周波数上の複数の照明信号の分離を可能にするために、随意の平衡直交符号を伴う変調(例えば、BPSK、QPSK、または他の多重位相変調)を使用する。
【0035】
いくつかの例示的システムは、多入力多出力(MIMO)ミリ波(mmW)撮像を利用する。いくつかの例では、メタ表面アンテナが、使用され得、それは、柔軟かつ低コストの大規模MIMOミリ波(mmW)撮像を促進し得る。MIMO撮像システムは、撮像システムの受信機(RX)において、異なるアンテナ(例えば、異なる送信機(TX))から送信される信号を区別し得る。故に、撮像されているシーンを照射するために同時相互直交符号化照明(例えば、伝送)信号を利用し得る直交符号化アクティブ照明(OCAI)の例が、説明される。OCAIは、不完全なTXおよびRXハードウェアによって導入される符号振幅および符号位相不平衡に対してロバストである一方、それは、本明細書に説明されるようなRX自己妨害およびDCオフセット等の低コストの直接変換受信機の一般的な障害も軽減し得る。同時に、同時直交符号化照明波形が使用されるとき、OCAIは、各送信機に起因する寄与部分への受信信号の分離を可能にし得る。
【0036】
図1は、本明細書に説明される例に従って配置されるシステムの概略図である。システム100は、照明システム102と、搬送波源104と、変調器106と、アンテナ108と、アンテナ110と、受信機112と、撮像プロセッサ114と、シーン116と、画像データ118とを含む。他の例では、追加の、より少ない、および/または再配置されたコンポーネントが、使用され得る。
【0037】
システム100は、シーン116を撮像するために使用され得るミリ波走査装置であり得る。概して、動作中、照明システム102は、照明信号をアンテナ108に提供し得、アンテナ108は、シーン116を照射するために使用され得る。照明信号は、散乱照明信号の形態においてシーン116から散乱され得る。散乱照明信号は、アンテナ110に入射し、受信機112によって受信され得る。撮像プロセッサ114は、散乱照明信号から受信されたエネルギーに基づいて、画像データを提供するために使用され得る。
【0038】
搬送波源104は、ミリ波無線周波数(RF)源であり得る。概して、ミリ波RF源は、例えば、極高周波数(EHF)帯域における30~300ギガヘルツ(GHz)を有する信号を提供(例えば、生成)し得る。いくつかの例では、信号は、17~300ギガヘルツ(GHz)の周波数を有し得る。いくつかの例では、信号は、10~300ギガヘルツ(GHz)の周波数を有し得る。ミリ波RF源は、1~10mmの波長を有する信号を提供し得る。数ミリメートルほど(例えば、1~10mm)の波長を有する信号は、有利なこととして、対象に関連付けられた画像データを生成するために、本明細書に説明されるように使用され得る。ミリ波信号は、有機材料(例えば、衣類)に対して透過性であり得るが、生物学的組織の奥深くまでは深く浸透しないこともあり(例えば、典型的には、1mmを下回る浸透)、故に、セキュリティ目的のために対象の画像を生成するために安全に使用され得る。搬送波源104は、例えば、発振器によって実装され得る。
【0039】
変調器106は、搬送波源104によって提供される無線周波数信号を変調し得る。いくつかの例では、変調器106は、位相シフトキーイング変調を利用し得る。二位相シフトキーイングが、いくつかの例では、使用され得る。四位相シフトキーイングが、いくつかの例では、使用され得る。2つ以上の位相を有する多重位相変調も、採用され得ることを理解されたい。いくつかの例では、変調器106は、無線周波数信号の振幅変調を提供し得る。さらなる例では、変調器106は、多重搬送波変調等の直交周波数分割多重(OFDM)変調をもたらし得る。変調器106によって提供される変調信号は、照明信号と称され得る。変調器は、いくつかのシンボル(例えば、いくつかの異なる位相、振幅、および/または周波数)を有する変調信号を提供し得る。いくつかの実施形態では、各シンボルは、1つ以上のビットを表し得る。
【0040】
いくつかの例では、変調器106は、振幅および/または位相シフトキーイングに加えて、アンテナ108の各々のために、符号の組からのそれぞれの符号を使用して、無線周波数信号を変調し得る。このように、アンテナ108の各アンテナによって提供される照明信号は、そのそれぞれの符号を使用して識別され得る。いくつかの例では、符号の組は、アダマールまたはウォルシュアダマール符号等の平衡直交符号であり得る。
【0041】
照明システム102は、変調器106に結合された搬送波源104を含み得る。照明システム102は、照明信号をアンテナ108に提供し得る。いくつかの例では、アンテナ108は、照明システム102自体の中に含まれ得る。照明システム102は、シーン116を照射するために位置付けられ得る筐体と一体であるか、それによって支持されるか、または別様にそれに結合され得る。例えば、照明システム102は、人物が本明細書に説明されるように撮像されるように立ち得る玄関内またはその上に提供され得る。他の実施形態では、照明システム102は、種々の無生物物体から成るシーン116のすぐ近くに配置され得る。
【0042】
アンテナ108は、照明信号を使用してシーン116を照射するために位置付けられ得る。例えば、アンテナ108は、変調器106に結合され得、照明信号をシーン116に向かわせ得る。いくつかの例では、アンテナ108は、シーン116の照射中にシーン116に対して移動し得る。いくつかの例では、アンテナ108は、静止していることもある。1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、16個、32個、64個、128個、または別の数のアンテナを含む任意の数のアンテナ108が、使用され得る。
【0043】
アンテナ110は、シーン116からの照明信号の散乱からもたらされる1つ以上の散乱照明信号を受信するように位置付けられ得る。いくつかの例では、アンテナ108のうちのいくつかまたは全ては、アンテナ110を実装するために使用され得る。例えば、同じアンテナが、照明信号を伝送し、散乱照明信号からエネルギーを受信するために使用され得る。他の例では、アンテナ110の全てまたはそのうちのいくつかは、アンテナ108とは異なり得、例えば、シーン116を照射するための専用アンテナと、散乱照明信号を受信するための専用アンテナとが、提供され得る。1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、16個、32個、64個、128個、または別の数のアンテナを含む任意の数のアンテナ110が、使用され得る。
【0044】
いくつかの例では、アンテナ108および/またはアンテナ110は、1つ以上のメタ表面アンテナ(MSA)を使用して実装され得る。メタ表面アンテナは、典型的には、サブ波長単位セルの高密度アレイを含み、それらは、例えば、給送される導波管または空洞であり得る。そのようなMSAは、照射されているシーンをサンプリングし、圧縮撮像を促進し得る周波数ダイバースカオスビームパターンを生成することができる。別のMSAアプローチは、サブ波長アイリスを伴う周波数ダイバースカオス空洞開口を使用する。
【0045】
受信機112は、アンテナ110に結合され得、アンテナ110に入射する散乱照明信号からエネルギーを受信し得る。いくつかの例では、受信機112は、直接変換受信機を使用して実装され得る。
【0046】
撮像プロセッサ114は、受信機112に結合され得る。撮像プロセッサ114は、シーン116に関連付けられ得る画像データ118を提供し得る。画像データ118は、散乱照明信号から受信機112によって受信されるエネルギーに基づき得る。画像データ118は、シーン116の全てまたは一部を表し得る。例えば、画像データ118は、シーン116の画像をレンダリングおよび/または表示するために使用され得るピクセルデータを含み得る。いくつかの例では、シーン116の画像は、シーン116内に含まれる人物のプライバシーを保存する画像(例えば、シーン116内に含まれる人物の表現、シーン116内に含まれる人物の輪郭、シーン116内に含まれる人物の漫画的形状等)であり得る。
【0047】
画像データ118は、概して、照明システム102と受信機112との間のチャネル応答(例えば、チャネルインパルス応答)に基づき得る。
【0048】
シーン116は、撮像が所望される1つ以上の物体を含み得る。例は、限定ではないが、人間、人間の一部、および動物を含む。いくつかの実施形態では、シーン116は、衣類のアイテム、金属アイテム、携帯電話等の電子デバイス、または財布、ブリーフケース、もしくはバックパック等の荷物等、人物または動物によって運搬されている物体、またはそれに取り付けられている物体を含む。いくつかの実施形態では、シーン116は、いくつかの禁制品または潜在的脅威物体のうちのいずれかが存在しているかどうかを決定することを目的として撮像され得る。
【0049】
他の実施形態では、シーン116は、人間、人間の一部、または動物を含まないこともあるが、加えて、もしくは代わりに、1つ以上の無生物物体およびその構成部分を含み得る。シーン116のさらなる例は、自動車、飛行機、他の車両、または建物等の物体を含む。シーン116の他の例は、壁、天井、床、柱、鉄筋、パイプ、配線、または他の公共設備等の建物の部分を含む。シーン116のさらなる例は、地面および/または地面に少なくとも部分的に埋められる物体を含む。シーン116のまたさらなる例は、箱等の容器内の1つ以上の物体を含む。シーン116は、定位置に固定されるか、または静的である必要はない。いくつかの例では、シーン116は、例えば、物体がコンベヤベルト上の照明システム102を通り過ぎる場合における、または、人物がエスカレータ、動く歩道、もしくは他の運搬装置に乗りながら照明システム102を通り過ぎる場合における、照明システム102に対して移動する物体を含み得る。
【0050】
動作中、いくつかの例では、受信機112は、照明システム102が照明信号をシーン116に向かわせている時間の少なくとも一部中、散乱照明信号からエネルギーを受信し得る。例えば、照射することおよび受信することは、いくつかの例では、部分的に同時に起こり得る。
【0051】
いくつかの例では、照明システム102は、受信機112の動作が照明システム102の動作のある程度の知識を用いて起こり得るように、受信機112に結合され得る。例えば、受信機112は、搬送波源104に結合され得、散乱照明信号を受信するために、搬送波源104の既知の周波数を利用し得る。加えて、または代わりに、受信機112は、変調器106に結合され得、散乱照明信号を受信するために、変調器106によって実装される既知の変調スキームを利用し得る。
【0052】
概して、本明細書に説明されるシステムは、照明システム(例えば、送信機TX)と、受信機(例えば、RX)と、応答を有するチャネルとを含み得る。いくつかの実施形態では、チャネルは、チャネルインパルス応答h(t)またはチャネル伝達関数H(f)によって説明され得る。チャネル応答h(t)は、少なくとも部分的に、チャネル内に位置付けられ、例えば、照明システムによって少なくとも部分的に照射され、散乱照明信号を受信機に提供する対象(例えば、
図1のシーン116)を特性評価し得る。チャネルh(t)は、概して、(例えば、照明システムによって照射される)撮像システムの視野内の対象を撮像するために使用され得る情報を含む。
【0053】
故に、照明システムと受信機との間のチャネルインパルス応答(CIR)h(t)を決定することが、望ましい。例えば、本明細書に説明されるもの等のアクティブミリ波撮像用途では、h(t)は、観察されるシーンを再構成するために使用される情報を含み、観察されるシーンは、撮像されている対象の表面を構成する点状散乱体の高密度アレイから成ると見なされ得る。
【0054】
CIRは、以下のように与えられ得るコヒーレント単一トーン信号用いた試験下のチャネルを励起する照明システムを考慮することによって推定され得、それは、以下のように与えられ、
【数1】
式中、φは、位相オフセットであり、fは、信号周波数であり、tは、時間を表す。受信機場所において、受信信号は、以下のように与えられ得、
【数2】
式中、H(j2πf)は、h(t)に対応する周波数応答表現(例えば、チャネル伝達関数(CTF))であり、|.|は、絶対値演算子を表し、<H(j2f)は、H(j2πf)の位相を与え、j=sqrt(-1)は、虚数単位である。直接変換(例えば、ホモダイン)受信機を使用してH(j2πf)を取得するために、信号r(t)(例えば、
図1の受信機112等の受信機によって受信される信号)は、以下の同位相項r
I(t)および直角位相項r
Q(t)を取得するために、I/Q復調器を使用してDCにダウンコンバージョンされ得、
【数3】
式中、n
I(t)およびn
Q(t)は、雑音項であり、*は、畳み込み演算子を表し、h
LP(t)は、ローパスフィルタのインパルス応答であり、それは、乗算演算子によって引き起こされ得る高周波数積を軽減するために使用される。このように、推定される周波数応答
【数3-1】
は、以下によって取得されることができ、
【数5】
式中、T
sは、サンプリング時間である。
【0055】
図2は、本明細書に説明される例に従って配置されるシステムの概略図である。
図2のシステム200は、いくつかの例では、
図1のシステム100を実装するために使用され得、および/または、それを使用して実装され得る。システム200は、照明システム202と、チャネル204と、受信機206とを含む。受信機206は、I/Q復調器208と、フィルタ210と、フィルタ212とを含み得る。
【0056】
照明システム202は、いくつかの例では、
図1の搬送波源104を使用して実装され得る。
図2の例では、いかなる変調も、存在しないこともあり、単一トーン周波数が、照明システム202によって提供され得る。例えば、
図1の変調器106は、照明システム202において存在しないこともある。故に、照明システム202は、
図2に示されるように、照明信号としてs(t)を提供し得る。
【0057】
そのチャネルインパルス応答h(t)を介して表され得るチャネル204は、照明信号によって照射される対象に関する画像データを生成するために使用され得る情報を含む。
【0058】
受信機206は、I/Q復調器208と、フィルタ210と、フィルタ212とを含む。対象からの散乱照明信号は、受信機206のアンテナ(
図2に図示せず)に入射し、I/Q復調器208に提供され得る。I/Q復調器208は、受信されたエネルギーを復調し得る。I/Q復調器208は、照明システム202から信号s(t)を受信し得、それは、復調を実施するために使用され得る。例えば、照明システム202の信号出力(例えば、無線周波数信号)を受信することによって、I/Q復調器208は、照明周波数(例えば、信号s(t)の周波数)の知識を有し得、それは、チャネルから受信されたエネルギーを復調するために使用され得る。フィルタ210およびフィルタ212は、ローパスフィルタとして実装され得、I/Q復調器208またはシステムの他のコンポーネントのより高い周波数アーチファクトを除去し得る。
【0059】
図2のシステム200は、フィルタ210およびフィルタ212の出力において使用される加算器を通して加算されている雑音信号n
Q(t)およびn
I(t)によってそれぞれ示されるような雑音の効果も含む。加算器は、電子システムまたはチャネルのいずれかにおいて生じる雑音信号の重ね合わせのモデルを表し、必ずしも、任意の特定のコンポーネントを表すわけではない。雑音は、全ての例に存在し得るが、
図2は、いくつかの例において撮像システムにおける雑音がモデル化され得る様子を図示する。
【0060】
周波数{f
1:f:f
u}(式中、f
lが最も低い周波数であり、f
uが最も高い周波数であり、fが周波数間隔である)の所与の組に関する周波数応答推定値
【数5-1】
を取得するために、照射および受信は、各周波数におけるr
Q(t)およびr
I(t)を取得するために、各周波数に対して繰り返され得る。信号r
Qおよびr
Iは、撮像プロセッサ、例えば、
図1の撮像プロセッサ114に提供され得る。撮像プロセッサは、例えば、式5を実装し、受信機出力信号r
Iおよびr
Qに基づいて、チャネル推定値を取得し得る。チャネル推定値は、チャネル内の1つ以上の対象の画像をレンダリングおよび/または表示するために使用される画像データであり得る。
【0061】
いくつかの例では、
図2のI/Q復調器208等のI/Q復調器を含むミキサデバイスは、理想的ではないこともあり、ダウンコンバージョンされた信号r
I(t)およびr
Q(t)に歪みを導入し得る。起こり得る歪みの例は、高次高調波出力、(例えば、
図2の照明システム202からの)望ましくない搬送波源フィードスルーに起因する自己妨害、および/または、ミキサの出力(例えば、
図2のI/Q復調器208の出力)におけるDCオフセットを含む。
【0062】
図3は、本明細書に説明される例による、非理想的アーチファクトを図示するI/Q復調器の概略図である。
図3に示されるI/Q復調器208は、
図2に示されるようなI/Q復調器208によって実装され、および/または、それを実装するために使用され得る。I/Q復調器208は、照明システム202から情報(例えば、搬送波信号s(t))を受信し得るミキサ302を含む。自己妨害信号304は、m(t)として示され、それは、加算器306においてチャネルから受信される信号に加算される。望ましくない応答m(t)は、受信機のポートからの搬送波源(例えば、局部発振器)クロストークに起因する自己妨害を表し、受信機のポートにおいて、照明システムからの情報が、ミキサ入力に提供され、チャネルから受信されたエネルギーが、受信機に提供され、後続反射が。出力に戻る。自己妨害は、伝送および受信アンテナ間の近距離(エバネッセント)または遠距離電磁結合に起因すること、および/または、受信機および/または送信機を備えているコンポーネントのポート間の望ましくない結合に起因し得ることを理解されたい。この自己妨害効果m(t)は、ミキサ入力に接続されるアンテナシステムが着目帯域幅にわたって不完全な反射係数を有するとき、特に顕著であり得る。
【0063】
項dQ(t)およびdI(t)は、それぞれ、DCオフセット308およびDCオフセット310を表し、それらは、I/Q復調器におけるミキサ(例えば、ミキサ302)を実装するために使用される半導体デバイスにおける内部不平衡に起因するゆっくりと時間とともに変化するDCオフセットを指す。
【0064】
故に、実践では、自己妨害およびDCオフセット信号は、I/Q復調器を利用する直接変換受信機からの出力信号rQならびにrIを歪ませ得る。
【0065】
高次高調波(例えば、
図2のフィルタ210および/またはフィルタ212によって生成される)も、受信機の出力に存在し得、それは、伝達関数h
LP(t)を有する1つ以上の線形フィルタを使用して軽減され得る。しかしながら、自己妨害およびDCオフセット(例えば、m(t)ならびにd
Q(t)およびd
I(t))は、非線形効果であり得、概して、線形フィルタを使用して効果的に軽減されないこともある。
図2を参照して説明されるように計算される周波数応答推定値
【数5-2】
は、実践では、所望されない項を含み得、それは、以下のように表され得、
【数6】
式中、M(j2πf)は、自己妨害m(t)の周波数応答であり、d(j2πf)は、複素数値DCオフセットを表し、n(j2πf)は、複素数値システム雑音である。M(j2πf)およびd(j2πf)を補正するために、それらは、推定され得る。
【0066】
故に、いくつかの例では、システム較正が、本明細書に説明される撮像システムにおける自己妨害の周波数応答を推定するために、および/または、本明細書に説明される撮像システムに存在する複素数値DCオフセットを推定するために実施され得る。
図2を参照すると、較正は、H(j2πf)を0に設定することによって、例えば、RF整合を用いてI/Q復調器208(例えば、I/Q復調器208のミキサ)の入力を終了することによって実施され得る。
【0067】
故に、動作中、システム較正が、実施され得、受信機出力信号r
Iおよびr
Qは、
【数6-1】
を取得するために使用され得、それは、H(j2πf)がゼロに設定される式6を精査すると、複素数値DCオフセットに加算される自己妨害の周波数応答に等しい。
【0068】
システム較正後、撮像システムは、対象を照射し、本明細書に説明される散乱照明信号のエネルギーを受信するために使用され得る。較正中に取得された自己妨害の周波数応答および複素数値DCオフセットの値は、計算された
【数6-2】
を調節するために、例えば、
図1の撮像プロセッサ114および/または受信機112によって使用され得る。例えば、受信機出力信号r
Iおよびr
Qは、
【数6-3】
を計算するために使用され得、較正中に取得された自己妨害の周波数応答および複素数値DCオフセットは、その値から減算され得る。
【0069】
いくつかの例では、M(j2πf)およびd(j2πf)は、時間および温度とともに変化する。故に、システム較正は、有利なこととして、繰り返し実施され得、いくつかの例では、連続的に(例えば、各対象照射に先立って、および/または、いくつかの回数の対象照射後に)実施され得る。本明細書に説明される撮像システムでは、頻繁な較正は、利用可能なコヒーレント積分時間を損ない得、したがって、達成可能な信号対雑音比(SNR)対して有害な影響を及ぼし得る。いくつかの例では、較正ネットワーク(例えば、システム較正中に受信機入力を整合させるために使用されるインピーダンスネットワーク)は、多数のTXおよびRXポート(例えば、TXおよび/またはRXアンテナあたり1つ)を有し得る空間的に多様な撮像システムにおいて複雑かつ高価であり得る。いくつかの例では、スーパヘテロダイン受信機が、DCから離れるように受信機の中間周波数(IF)をオフセットすることによって、自己妨害およびDCオフセットを軽減するために使用され得るが、スーパヘテロダイン受信機アーキテクチャは、オフセット信号源(例えば、オフセット局部発振器LO)ならびに潜在的に複雑なIFフィル処理およびIFフィルタ較正システムの必要性に起因して、より高いコストおよび複雑性を導入し得る。
【0070】
本明細書に説明される例は、照明システム(例えば、送信機)によって提供(例えば、放射)される照明信号のために符号化変調を採用することによって、撮像システム受信機に存在するDCオフセットおよび/または自己妨害を軽減する。
【0071】
図4は、本明細書に説明される例に従って配置される撮像システムの概略図である。
図4の撮像システム400の全てまたは一部は、いくつかの例では、システム100の全てまたは一部を実装するために使用され得、および/または、それによって実装され得る。撮像システム400は、搬送波源402と、変調器404(変調制御信号406を使用して制御される)と、チャネル408と、直接変換受信機410とを含む。直接変換受信機410は、I/Q復調器412と、フィルタ414と、フィルタ416とを含む。
【0072】
搬送波源402は、単一トーン源であり得、それは、本明細書に説明されるようなミリ波源であり得る。搬送波源402は、搬送波信号(例えば、単一トーン信号)c(t)を提供し得る。いくつかの例では、搬送波源402は、発振器を使用して実装され得、c(t)は、発振器信号であり得る。
【0073】
変調器404は、変調制御信号406、p(t)によって制御される0°または180°位相シフトを用いて単一トーン信号c(t)を変調し、照明信号s(t)を生産し得る。
【0074】
推定されるべきチャネル408、および直接変換受信機410は、例えば、
図1-3を参照して本明細書に説明されるように実装され得る。
【0075】
本明細書に説明されるように、変調器404は、
図4に示されるように、二位相シフトキーイング変調を使用し得るが、多重位相変調、四位相シフトキーイング変調、直交周波数分割変調、および/または振幅変調を含む他の変調技法も、使用され得る。変調器404は、変調を制御するために変調制御信号406を利用し得る。変調制御信号406は、いくつかのシンボルから構成され得、シンボルは、例えば、+1/-1のシーケンスであり得、および/または、符号(例えば、アダマール符号)のシーケンスであり得る。いくつかの実施形態では、シンボルは、1つ以上のビットに対応するようにデジタル的にエンコードされ得る個別的な振幅および位相状態を備え得る。
【0076】
図4の例を参照すると、BPSK変調を使用して、照明信号s(t)は、以下のように表され得、
【数7】
式中、伝送されるシンボルは、pi{-1,+1}によって表され、rect(t)は、以下のように記載され得る矩形パルスであり、
【数8】
式中、Tは、変調制御信号406のパルス期間である。
【0077】
チャネルがチャネルコヒーレンス帯域幅B>(1/T)を有すると考え、チャネル伝達関数H(j2πf)は、(f-B/2)~(f+B/2)の周波数範囲を伴う平坦チャネルとして見なされ得、したがって、チャネル408から直接変換受信機410に提供される受信信号r(t)は、のように記載され得る。
【数9】
のように記載され得る。
【0078】
I/Q復調器412、フィルタ414、およびフィルタ416によって提供されるダウンコンバージョンおよびローパスフィルタ処理後、同位相および直角位相受信信号は、以下のように記載され得、
【数10】
【数11】
式中、d
Iおよびd
Qは、それぞれ、IおよびQチャネルにおけるdcオフセットを表す。サンプリング後、受信信号は、以下のように表され得、
【数12】
式中、i={1,2,3・・・}は、送信機-受信機システムを通る複数のシンボルの各々に対応する。
【0079】
このように、受信信号へのチャネルの寄与の符号は、変調シンボル(例えば、BPSKシンボルp
i)に応じて変化することに留意されたい。しかしながら、自己妨害M(j2πf)およびdcオフセットd[i]は、変調シンボル(例えば、BPSKシンボル)に応じて符号を変化させない。このように、ポストプロセッサ(例えば、
図1の撮像プロセッサ114)は、自己妨害およびDCオフセットの影響を除去し得る。例えば、複数(例えば、2つ、4つ)の連続的変調シンボルからの受信信号は、減算され得る。減算は、2つのシンボル(例えば、自己妨害およびDCオフセット信号)間の一定の影響を排除し得るが、チャネルからの寄与を保持し得、それは、減算において利用されたシンボルの数に従って正規化され得る。
【0080】
i={1,3,5,・・・}に対してp
i=+1であり、i={2,4,6,・・・}に対してp
i=-1であるBPSK変調を使用する例を検討する。推定される
【数12-1】
は、以下のように表され得、
【数13】
式中、n
2は、2つの連続的サンプルの雑音平均であり、H(j2πf)およびd[i]は継時的に変化しなかったと仮定する。自己妨害およびDCオフセット軽減に加えて、以下のように表され得る推定量の正規化平均二乗誤差(NMSE)は、
【数14】
【0081】
前述の雑音平均化により、3dB(ゼロ平均雑音を仮定する)だけ減少することに留意されたい。概して、
【数15】
のように与えられる連続的測定値r[i]の奇数倍(例えば、
【数15-1】
を伴う2N)の合計は、2NのNMSE減少につながる。
【0082】
いくつかの例では、変調器(例えば、変調器404)は、加えて、変調制御信号(例えば、p(t))シーケンスのために、平衡直交符号等の符号、例えば、アダマールシーケンスを利用し、複数の送信機から同時に送信された受信信号の分離を可能にし得る。例えば、複数の符号からのそれぞれの符号が、特定の送信機(例えば、アンテナ)のためのc(t)を変調するために使用され得る。各アンテナは、それぞれの符号を用いて変調された信号を伝送し得る。符号の平衡性質は、DCオフセットおよび自己妨害を軽減するために有用であり得、直交性質は、受信機と送信機の各々との間のチャネルの推定を可能にし得る。例えば、長さ28の27個のアダマール符号を用いて、単一の受信機と最大27個の並列送信機との間のチャネルは、全てまたは部分的に同時に推定され得る。
【0083】
いくつかの例では、複数の空間的に分散されるTXおよびRX(例えば、空間的に分散される伝送アンテナおよび受信アンテナ)が、使用され得、それは、いくつかの例では、ROIサイズおよび達成可能な分解能を改良し得る。移動するシーンに起因するモーションブラーを最小化するために、データ取得時間は、有利に最小化され得る。故に、いくつかの例では、多入力多出力(MIMO)処理は、いくつかまたは全てのTXおよびRXを同時に動作させるために使用され得る。しかしながら、同時のTXおよびRX動作を促進するために、各受信機において異なるTXからの信号を区別する能力が、使用され得、したがって、TX信号は、分離可能でなければならない。
【0084】
故に、本明細書に説明される例は、本明細書に説明されるようなRX自己妨害およびDCオフセット障害を同時に軽減しながら、受信機においてTX信号を分離するために平衡二進直交符号を利用する大規模MIMO mmW撮像のための直交符号化アクティブ照明(OCAI)アプローチを使用するシステムおよび方法を含む。
【0085】
図5は、MIMOを利用し、本明細書に説明される例に従って配置される撮像システムの概略図である。撮像システム500は、搬送波源502と、変調器504を含む複数(K個)の変調器と、アンテナ506と、対象508と、アンテナ510と、受信機512を含む複数(L個)の受信機とを含む。受信機512等の各受信機は、直接変換受信機514と、スイッチ516とを含み得る。撮像システム500は、いくつかの例では、
図1のシステム100を実装するために使用され得、および/または、それによって実装され得る。
【0086】
局部発振器を使用して実装され得る搬送波源502は、単一トーン信号を変調器504等の複数の変調器の各々に提供し得る。いくつかの例では、1つの搬送波源が、信号を複数の変調器に提供し得る。いくつかの例では、各々がそれぞれの変調器に無線周波数信号を提供する複数の搬送波源が、提供され得る。
【0087】
複数の変調器が、提供され得る。概して、各変調器は、1つのアンテナのための照明信号を生成するために、搬送波源502によって提供される無線周波数信号を変調し得る。しかしながら、いくつかの例では、1つの変調器によって生成される照明信号が、複数のアンテナに提供され得る。
図5の例では、各変調器は、1つのアンテナのために照明信号を生成し得る。故に、
図5のK個の変調器は、それぞれのK個のアンテナ、例えば、アンテナ108に結合し得る。
【0088】
変調器504等の
図5の変調器は、
図1-
図4等を参照して本明細書に説明される技法を実装し、受信機における自己妨害および/またはDCオフセットの影響を低減させ得る。例えば、変調器504等の各変調器は、BPSKおよび/またはQPSK等の位相シフトキーイングを実装し得る。さらに、受信機が複数のアンテナからの信号を区別することを可能にするために、変調器504等の
図5の変調器は、各アンテナのための符号に対応する1つ以上のシンボルを使用して変調し得る。故に、
図5に示される変調制御信号s
i,kは、各アンテナに対して異なり得る。
【0089】
概して、直交符号は、概して、GHz搬送波源のより低い周波数(例えば、kHzおよび/またはMHz)変調において、変調器504等の本明細書に説明される変調器によって導入され得る。Mの符号長さを使用する
図5のk番目の変調器(およびアンテナ108のk番目のアンテナ)からの照明信号(例えば、伝送される信号)は、以下のように表されることができ、
【数16】
式中、s
i,k∈{-1,+1}は、l番目の送信機のi番目の二進符号シンボルであり、rect
T(t)は、符号シンボル期間0≦t<Tにわたる単位矩形である。
【0090】
本明細書に説明されるように、変調器およびアンテナ108によって提供される照明信号は、対象508等のシーン内の対象から散乱され得る。散乱照明信号は、アンテナ110に入射し得、それは、散乱照明信号からのエネルギーを受信機512等の受信機に提供し得る。受信機は、I/Q復調器および1つ以上のフィルタを含み得る直接変換受信機514等の直接変換受信機を含み得る。概して、本明細書に説明される直接変換受信機のうちのいずれかは、受信機512および/または直接変換受信機514を実装するために使用され得る。各受信機は、例えば、シンボル期間Tにおいて受信信号をサンプリングするためのスイッチ516等のスイッチとしてモデル化されるサンプリングシステムを含み得る。いくつかの実施形態では、サンプリングシステムは、連続時間連続数値アナログ入力信号を個別的な時間個別的な数値信号に変換するアナログ/デジタルコンバータ(ADC)を含み得る。そのような実施形態では、ADCのサンプリング側面は、スイッチ516としてモデル化され得る。
【0091】
図5のアンテナ110からl番目の受信機に提供される受信信号は、以下のように記載され得る。
【数17】
【0092】
受信機、例えば、直接変換受信機514およびスイッチ516によるダウンコンバージョンおよびサンプリング後、受信信号は、以下のように表され得る。
【数18】
【0093】
l番目の受信機からのM個の受信されたサンプルをベクトルに連結すること(これは、例えば、ポストプロセッサおよび/または画像プロセッサによって実施され得る)は、ベクトルrl=[r1[0]r1[1]・・・rl[<-1]]Tをもたらし、式中、(.)Tは、共役演算子であり、線形ベクトル式rl=Sg1+dl1+vlにつながり、式中、各行列要素[S](i+1),k=s(i+1),k、[gl]k=Gk,l(jw)であり、1は、全てのもののベクトルであり、[vl](i+1)=vl[i]である。
【0094】
使用される符号は、互いに直交、例えば、
【数18-1】
であり得、式中、Iは、単位行列である。さらに、使用される符号は、平衡、例えば、
【数18-2】
であり、Zは、全てゼロのベクトルであり得る。
【0095】
このように、チャネル伝達関数が、以下のような最小二乗の意味において取得されるベクトルg^
lとして(例えば、本明細書に説明されるポストプロセッサおよび/または画像プロセッサによって)推定され得、
【数19】
式中、
【数19-1】
は、Sの共役転置を表す。いくつかの例では、アダマール符号が、使用され得、それは、アダマール行列の列から取得され得る。
【0096】
このように、本明細書に説明されるように、照明システムは、シーンを照射するために提供され得る。照明システムは、位相シフトキーイング、多重位相変調、および/または平衡直行符号を含む変調技法を利用し得る。故に、直接変換受信機が、直接変換受信機によって生成される自己妨害および/またはDCオフセット信号を最小化し、低減させ、および/または補償しながら使用され得る。
【0097】
受信機出力信号から、チャネルについての情報、例えば、チャネルインパルス応答h(t)が、本明細書に説明されるように取得され得る。チャネルに関連する画像データが、生成され得、画像データに基づく画像が、例えば、
図1の撮像プロセッサ114を利用して、2Dおよび/または3Dにおいてレンダリングおよび/または表示され得る。
図1の撮像プロセッサ114は、いくつかの例では、グラフィックス処理ユニット(GPU)および/または中央処理ユニット(CPU)等の種々のプロセッサを使用して実装され得る。
【0098】
3D mmW画像再構成は、シーン内の反射率係数{ρn}を推定するために対象の周波数依存性後方散乱測定値の連結(例えば、シーンg^)を使用する逆問題であると考えられ得る。対応する順モデルは、以下のように表され得、
【数20】
式中、ρ=[ρ1,ρ2,・・・,ρ
N]
Tであり、Hは、測定値とシーン内の反射率との間の関係を表す測定行列を表し、Vは、雑音である。適宜、シーンに関連付けられた画像データの再構成は、以下を解くことを伴い得、
【数21】
それは、最小ノルム解正則化を伴う最小二乗(LS)アプローチを表す。Hは、典型的には、劣決定され得るので、後者が、有利であり得る。いくつかの例では、センサが、再構成ボリュームを特定の数のボクセルに、例えば、人間サイズの標的に対して約200,000ボクセル(1.6cm×0.6cm×0.6cm)に制限するために使用され得る。種々の撮像アプローチが、上記の数値問題を解決し、画像データを生成するために使用され得る。例えば、GPU加速GMRESアルゴリズムが、いくつかの例では、使用され得る。
【0099】
図6は、本明細書に説明される例に従って配置される方法のフローチャートである。方法600は、ブロック602を含み、ブロック604が続き得、ブロック606が続き得、ブロック608が続き得る。他の例では、追加の、より少ない、および/または異なるブロックが、使用され得る。
図1-
図5を参照して説明されるもの等の本明細書に説明されるシステムおよびデバイスは、方法600の全ておよび/または一部を実装するために使用され得る。
【0100】
方法600は、ブロック602において、無線周波数信号を変調し、照明信号を提供することを含む。例えば、
図1の変調器106は、
図1の搬送波源104を変調し得る。本明細書に説明されるように、種々の変調技法が、位相シフトキーイング(二および/または四)、直交周波数分割多重(OFDM)、および/または振幅シフトキーイングを含む種々の技法を使用して、1つ以上の伝送されるシンボルを提供するために使用され得る。いくつかの例では、ブロック602における変調は、加えて、または代わりに、平衡直交符号等の符号を用いて変調することを含み得る。異なる符号が、いくつかの例では、照明信号を放射するであろう各アンテナのための無線周波数信号を変調するために使用され得る。
【0101】
ブロック604において、シーンが、照明信号を用いて照射され得る。いくつかの例では、
図1のアンテナ108等の複数のアンテナが、照射することを実行するために使用される。アンテナは、いくつかの例では、照明信号をシーンに向かって放射するように位置付けられ得る(例えば、シーンが位置し得る玄関内に位置付けられる)。ブロック604中、いくつかの例では、アンテナは、静止であり得る(例えば、アンテナは、対象の周りで移動する必要はないが、いくつかの例では、それらは、移動し得る)。
【0102】
ブロック606において、エネルギーが、シーンからの照明信号の散乱から部分的にもたらされる散乱照明信号から、直接変換受信機(例えば、
図1の受信機112)を使用して受信され得る。いくつかの例では、ブロック606は、ブロック604と完全および/または部分的に同時に起こり得る。本明細書に説明されるように、照明信号の変調は、直接変換受信機によって生成される自己妨害および/またはDCオフセット信号の影響を最小化しながら、および/または、それを低減させながら、直接変換受信機が(例えば、シーンを含む)チャネルについての情報を回収することを可能にし得る。受信機および/またはポストプロセッサは、散乱照明信号からのエネルギーを直接変換受信機によって生成される自己妨害信号から分離し得る。例えば、受信されたエネルギーの連続したシンボルが、減算され得、それは、自己妨害および/またはDCオフセットに起因する寄与を完全および/または部分的に消去し得る。ブロック606において入射エネルギーを受信するために使用されるアンテナ(例えば、
図1のアンテナ110)は、いくつかの例では、ブロック606中、静止であり得る。いくつかの例では、受信中、照明システムから受信された情報は、受信機動作(例えば、搬送波周波数および/または変調スキームの知識)を促進するために使用され得る。
【0103】
ブロック608において、対象に関連付けられた画像データが、受信されたエネルギーに基づいて生成され得る。例えば、
図1の撮像プロセッサ114が、画像データを生成し得る。画像データは、いくつかの例では、受信機によって取得されたチャネルについての情報に基づき得る。2Dおよび/または3D画像が、画像データを使用してレンダリングおよび/または表示され得る。
【0104】
本明細書に説明される撮像システムおよび方法の例は、種々の分野における、および/または種々のシーンを撮像するための使用を見出し得る。例は、人員スクリーニング(例えば、衣類の真下に位置付けられ、人間の眼に外部から可視ではないこともある禁制品を識別するために1人以上の人間を撮像すること)、武器検出(例えば、人間の眼に可視ではないこともある武器を識別するために1人以上の人間および/または1つ以上のバッグまたは他の容器を撮像すること)、偵察、自律ロボット、非破壊試験、構造評価、および/または遠隔感知(例えば、オペレータから遠隔の環境を撮像すること)を含む。いくつかの例では、撮像されるべきシーンは、1つ以上の無生物物体およびその構成部分を含む。これは、自動車、航空機、他の車両、または建物等の物体を含むことができる。シーンの他の例は、壁、天井、床、柱、パイプ、配線、または他の公共設備等の建物の部分を含む。さらなる例は、地面および/または地面に少なくとも部分的に埋められる物体を含む。シーンのまたさらなる例は、箱等の容器内の1つ以上の物体を含む。
【0105】
遠隔感知用途に対して、照明システムおよび受信機は、感知されるべき環境内に位置付けられ得る。本明細書に説明される受信機信号および/または画像データ等のデータは、環境の全てもしくは一部の画像のレンダリングのために、環境から別の場所(例えば、遠隔および/または集中ワークステーション)に伝送され得る。
【0106】
(実施例)
実装される実施例は、K帯域(例えば、17~26GHz)mmW撮像設定を使用して説明される。実装される実施例では、DCオフセットおよびLO漏洩の抑制は、平衡直交符号によって変調されるBPSK源を使用して達成される。一実施例では、DCオフセットは、35倍を上回って低減させられ、受信機感度は、40dB(10,000倍)を上回って改良された。
【0107】
DCオフセット対周波数が、K帯域(17~26GHz)ミリ波受信機に対して測定された。本明細書に説明されるI/Q復調器の非理想性に起因する周波数依存性DCオフセットは、I/Q復調器の出力におけるDC信号の大きいピーク間変動(帯域幅にわたって0.035V pk-pkを上回る)の形態において容易に明白であった。
【0108】
同じK帯域(17~26GHz)ミリ波受信機に対する測定されたDCオフセット対周波数が、本明細書に説明される方法を適用した後に観察された。前述のI/Q復調器の非理想性に起因する周波数依存性DCオフセットは、大幅に低減させられるように示され、I/Q復調器の出力におけるDC信号のピーク間変動は、測定帯域幅にわたって0.001V pk-pkを下回るように低減させられていた。これは、望ましくないDCオフセットの約35倍の低減である。
【0109】
受信機感度が、本明細書に説明される方法を適用することに先立って直接変換mmW撮像受信機に対して測定された。雑音フロア(最小識別可能信号)は、比較的に不良であり、例えば、20GHzの周波数において、受信機の雑音フロアは、約-60dBmであった。これは、自己妨害エネルギーの存在に起因し得る。
【0110】
受信機感度は、本明細書に説明される方法を使用すると、改良された。同じ受信機が、本明細書に説明される自己妨害軽減アプローチの実施例を採用した後に測定された。受信機の雑音フロアは、有意に改良された。例えば、20GHzの同じ周波数において、雑音フロアは、-100dBmよりも良好に改良された。これは、40dB(10,000倍)を上回る改良であった。
【0111】
本明細書に説明されるOCAI技法を使用するシステムの実装される実施例も、説明される。このアプローチによって提供される符号化利得は、シンボル長さ32の符号を使用して、イメージャの信号対雑音比(SNR)性能を最大15dB改良した。K帯域(例えば、17.5GHz~26.5GHz)において動作する24個の同時TXおよび72個の同時RXを有するカスタム大規模MIMO mmWイメージャが、使用された。例示的イメージャは、周波数ダイバースメタ表面アンテナを介した空間符号化およびシーンのOCAIを介した時間符号化の両方を活用した。
【0112】
OCAIスキームが開発されたプロトタイプの大規模MIMO mmWイメージャが、12個のモジュールに群化されるL=72個のRXおよびK=24個のTXを含んでいた。再構成においてエイリアシング効果を回避するために不規則なグリッド上に配置されるこれらのモジュールは、人間スケールのシーンにおいて画像を取得することが可能である2.1×2.1mメタ表面開口を形成した。メタ表面TX/RXアンテナは、ミルズクロス構成を形成する水平(TX)および垂直(RX)向きサブ波長スロットアイリスを伴う2D不規則形カオス空洞アンテナであった。アンテナ放射パターンは、周波数ダイバースであり、シーンを照射する周波数に応じてカオスアンテナパターンを形成した。このアプローチは、空間的にエンコードされた後方散乱シーン情報を含むROIの周波数依存性後方散乱測定をもたらした。
【0113】
各アンテナは、段階的FM大規模MIMO測定を実装する関連付けられた送信機または受信機を有していた。イメージャシステムの無線周波数(RF)範囲は、17.5GHz~26.5GHzであり、N=101周波数ステップおよび-100dBFSの平均システム雑音フロアを伴うK帯域スペクトル全体を対象とした。長さM=32のアダマール符号に基づくOCAIスキームが、使用された。全ての24個の送信機および72個の受信機が、MIMO測定を行うために並列に動作した。
【0114】
イメージャは、最大10HzのフレームレートでフレームあたりK×L×M×N≒5.6×109測定値を取得した。予期される分解能は、イメージャ開口の正面1mの距離において、範囲が1.6cmであり、交差範囲が0.6cmであった。
【0115】
大規模MIMO mmWイメージャを使用する分解能標的の測定および画像再構成は、OCAIをイネーブルにしない第2のイメージャプロトタイプの結果と比較された。後者は、同じメタ表面開口を使用したが、測定値は、全ての異なるRX/TXアンテナ組み合わせを連続的にスイッチ閉にするためにスイッチベースの信号分配ネットワークを使用する単一のRX/TXペアによって取得された。OCAI事例におけるフレームレートは、7Hzであった一方、非OCAI事例では、各フレームは、有意なスイッチング速度ペナルティを有する非OCAI連続取得に起因して、取得するために≒30秒かかった。分解能標的は、30mm、20mm、および7mmの幅ならびに間隔を伴う一連の平行金属ストリップから成っていた。標的は、イメージャの1m正面に設置された。OCAIに起因する画像品質改良が、画像均一性および形状定義における目に見える改良から明白であった。有用な分解能も、改良された。
【0116】
前述から、具体的実施形態が例証を目的として本明細書に説明されたが、種々の修正が、請求される技術の範囲に留まりながら成され得ることを理解されたい。