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特許6993003皮下インプラントとの使用に適した経皮的ガス拡散装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-13
(45)【発行日】2022-01-13
(54)【発明の名称】皮下インプラントとの使用に適した経皮的ガス拡散装置
(51)【国際特許分類】
   A61M 37/00 20060101AFI20220105BHJP
   A61M 39/02 20060101ALI20220105BHJP
【FI】
A61M37/00 560
A61M39/02
【請求項の数】 35
(21)【出願番号】P 2019525745
(86)(22)【出願日】2017-11-15
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-12-26
(86)【国際出願番号】 US2017061878
(87)【国際公開番号】W WO2018093956
(87)【国際公開日】2018-05-24
【審査請求日】2020-11-13
(31)【優先権主張番号】62/422,397
(32)【優先日】2016-11-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518394112
【氏名又は名称】ガイナー ライフ サイエンシズ,インク.
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】特許業務法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フェランテ,アンソニー,エー.
(72)【発明者】
【氏名】ストーン,サイモン,ジー.
【審査官】伊藤 孝佑
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-530980(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0054387(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0273200(US,A1)
【文献】特表平08-502667(JP,A)
【文献】特表2015-532147(JP,A)
【文献】特表2016-507278(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 37/00
A61M 39/02
A61F 2/02
A61M 5/142
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
体の内部と前記体の外部の場所との間で1つ以上のガスの拡散のための経皮的経路を提供するのに適した経皮的ガス拡散装置であって、
(a)長さ、頂部、底部、および外面を有し、ガス透過性で且つ液体不透過性である、コア層であって、前記コア層の前記頂部が前記体の外部に向き、前記コア層の前記底部が前記体の内部に向くように、体内に経皮的に配置可能なコア層と、
(b)前記コア層の長さの少なくとも一部にわたって前記コア層の外面を包囲し、組織一体化材料を含む、外層と、
を備える経皮的ガス拡散装置。
【請求項2】
前記コア層はオープンポア構造を有する、請求項1に記載の経皮的ガス拡散装置。
【請求項3】
前記外層は長さを有し、前記外層は前記コア層の前記外面を囲む前記外層の前記長さ全体にわたって前記コア層と直接接触する、請求項に記載の経皮的ガス拡散装置。
【請求項4】
前記コア層はクローズドポア構造を有する、請求項1に記載の経皮的ガス拡散装置。
【請求項5】
前記コア層は無孔の中実材料である、請求項1に記載の経皮的ガス拡散装置。
【請求項6】
前記コア層は、ポーラスポリマー、非ポーラスガス透過性材料、オープンセルセラミック発泡体、およびポーラス金属からなる群から選択される少なくとも1つの材料を含む、請求項1に記載の経皮的ガス拡散装置。
【請求項7】
前記コア層の前記少なくとも1つの材料は疎水性ポリマーで処理される、請求項6に記載の経皮的ガス拡散装置。
【請求項8】
前記コア層は円柱形又は円筒形である、請求項1に記載の経皮的ガス拡散装置。
【請求項9】
前記コア層は、5mm以下の直径および1.2~10mmの長さを有する、請求項8に記載の経皮的ガス拡散装置。
【請求項10】
前記コア層は、1mm以下の直径および2~5mmの長さを有する、請求項9に記載の経皮的ガス拡散装置。
【請求項11】
前記外層の組織一体化材料は、オープンセルシリコーン発泡体、パターン化マイクロポーラス材料、オープンセルウレタン発泡体、焼結ポリマー材料からなる群から選択される、少なくとも1つのポーラス生体適合性材料である、請求項1に記載の経皮的ガス拡散装置。
【請求項12】
前記外層は、0.2~1.0mmの厚さおよび1.2~2.0mmの長さを有する、請求項1に記載の経皮的ガス拡散装置。
【請求項13】
前記外層は長さを有し、前記外層の長さは前記コア層の長さと一致する、請求項1に記載の経皮的ガス拡散装置。
【請求項14】
前記外層は底部を有し、前記コアの底部は前記外層の底部を越えて下方に延在する、請求項1に記載の経皮的ガス拡散装置。
【請求項15】
前記コア層は前記外層に固定的に結合されている、請求項1に記載の経皮的ガス拡散装置。
【請求項16】
前記コア層は前記外層に取り外し可能に結合されている、請求項1に記載の経皮的ガス拡散装置。
【請求項17】
前記コア層の一部は前記外層に固定的に結合されており、前記コア層の一部は前記外層に取り外し可能に結合されている、請求項1に記載の経皮的ガス拡散装置。
【請求項18】
前記外層の少なくとも一部は、前記コア層を囲む空間を画定するために前記コア層から離隔されており、前記経皮的ガス拡散装置は中間層をさらに備え、前記中間層は前記コア層と前記外層との間に配置されており、前記コア層と前記外層との間の前記空間を完全に満たしている、請求項1に記載の経皮的ガス拡散装置。
【請求項19】
前記中間層は、前記外層から前記コア層内への組織の浸入を防止するバリアを備える、請求項18に記載の経皮的ガス拡散装置。
【請求項20】
前記中間層は、前記外層から前記コア層内への組織の浸入を防止し、且つ前記コア層から前記外層内へのガスの拡散を低減するバリアを備える、請求項18に記載の経皮的ガス拡散装置。
【請求項21】
前記中間層は底部を有し、前記外層は底部を有し、前記中間層の底部は前記外層の底部を越えて下方に延在する、請求項18に記載の経皮的ガス拡散装置。
【請求項22】
前記コア層および前記中間層のうちの少なくとも1つは、前記中間層との前記コア層の少なくとも一部の取り外し可能な結合を許容するように構成されている、請求項18に記載の経皮的ガス拡散装置。
【請求項23】
前記コア層は、工具との係合に適合した少なくとも1つのノッチを備える、請求項22に記載の経皮的ガス拡散装置。
【請求項24】
前記中間層は、工具との係合に適合した少なくとも1つのノッチを備える、請求項23に記載の経皮的ガス拡散装置。
【請求項25】
前記コア層および前記中間層は、噛み合うネジ山を有する、請求項22に記載の経皮的ガス拡散装置。
【請求項26】
前記中間層は、インプラント装置に結合する形状の下部を備える、請求項22に記載の経皮的ガス拡散装置。
【請求項27】
前記中間層の前記下部は少なくとも1つのリブを備える、請求項26に記載の経皮的ガス拡散装置。
【請求項28】
前記中間層の前記下部は円周方向溝を備える、請求項26に記載の経皮的ガス拡散装置。
【請求項29】
インプラントシステムであって、
(a)体内に配置可能で、且つ、ガス入口およびガス出口のうちの少なくとも1つを備える、インプラント装置と、
(b)前記体の内部と前記体の外部の場所との間で1つ以上のガスの拡散のための経皮的経路を提供するのに適しており、前記インプラント装置の前記ガス入口および前記ガス出口のうちの1つに流体接続されている経皮的ガス拡散装置であって、
(i)第一端部および第二端部を有しており、ガス透過性で且つ液体不透過性である、コア層であって、前記コア層の前記第一端部が前記体の外部に向き、前記コア層の前記第二端部が前記体の内部に向くように、体内に経皮的に配置可能である、コア層と、
(ii)前記コア層の長さの少なくとも一部にわたって前記コア層の外面を包囲し、組織一体化材料を含む、外層と、
を備える経皮的ガス拡散装置と、
を備えるインプラントシステム。
【請求項30】
前記インプラント装置は、移植された細胞および移植された組織のうちの少なくとも1つを保持するための皮下容器であり、前記皮下容器は酸素入口を備え、前記経皮的ガス拡散装置は前記酸素入口に流体接続されている、請求項29に記載のインプラントシステム。
【請求項31】
前記インプラント装置は皮下電気化学酸素濃縮器であり、前記皮下電気化学酸素濃縮器は空気入口を備え、前記経皮的ガス拡散装置は前記空気入口に流体接続されている、請求項29に記載のインプラントシステム。
【請求項32】
前記インプラント装置は皮下水電解槽であり、前記皮下水電解槽は酸素出口および水素出口を備える、請求項29に記載のインプラントシステム。
【請求項33】
前記経皮的ガス拡散装置は前記酸素出口に流体接続されている、請求項32に記載のインプラントシステム。
【請求項34】
前記経皮的ガス拡散装置は前記水素出口に流体接続されている、請求項32に記載のインプラントシステム。
【請求項35】
前記インプラント装置は、電気化学酸素濃縮器モードと電気化学酸素発生器モードで択一的に動作することが可能な皮下電気化学セルである、請求項29に記載のインプラントシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
出願は、2016年11月15日に出願された、発明者Anthony A.Ferranteらの米国仮特許出願第62/422,397号明細書の米国特許法35U.S.C.119(e)に基づく恩典を主張し、その開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は概して、たとえば薬物、治療用ガス、または細胞ベースの治療薬を患者に送達するために使用され得るタイプの皮下インプラント(皮下埋込器具;subcutaneous implants)に関し、より具体的には、患者の外部から1つ以上のガスの送達を必要とする、および/またはこのようなインプラントから患者の外部への1つ以上のガスの除去を必要とする、前述のタイプの皮下インプラントに関する。
【背景技術】
【0003】
皮下インプラントは、様々な疾患、障害、および/または状態の治療に有用な手段である。場合によっては、このようなインプラントは、適切な埋込可能な容器またはカプセル内に封入された細胞および/または組織を備えてもよい。代わりにまたは付加的に、このようなインプラントは、移植された細胞および/または組織への送達のための酸素またはその他のガスを発生させるための装置を備えてもよい。細胞および/または組織が埋込型容器内に封入されている場合、容器は通常、細胞および/または組織が所望の治療薬を製造し、同時に免疫反応を制限しながら製造された治療薬を患者に配布できるように、設計されている。理解され得るように、場合によっては、移植された細胞もしくは組織への酸素の送達のため、または装置もしくは細胞機能の結果として生成された排ガスの放出のために、外気へのアクセスが必要とされ得る。
【0004】
細胞または組織移植の必要性を説明する例は、糖尿病の治療のための細胞治療の開発である。現在、糖尿病治療のための細胞ベースの治療選択肢は、全膵臓移植またはランゲルハンス膵島の移植を含む。しかしながら、生涯にわたる免疫抑制治療の必要性のため、これらの治療は典型的には最も治療が困難な1型糖尿病の患者、特に以前または同時の臓器移植の結果として免疫抑制治療を既に受けている患者のために確保されている。
【0005】
免疫抑制を必要とせずに膵島およびその他の組織の移植を可能にする容器またはカプセルが開発されてきた。たとえば、現在利用可能ないくつかの細胞カプセルは、同種封入組織を宿主免疫系から保護する免疫隔離膜を組み込んでいる。しかしながら、残念なことに、このような免疫隔離膜はまた、封入組織の血管新生を妨げ、これによって封入組織への必須ガスの送達およびそこからの排ガスの除去をより困難にする。カプセルの安全性および細胞保護は十分に実証されているが、このようなアプローチは、封入細胞への酸素送達における制限のため、最終的に予想される利点を実現することができなかった。(いずれもその全体が参照により本明細書に組み込まれる、以下を参照されたい:非特許文献1、非特許文献2、非特許文献3、非特許文献4、非特許文献5、非特許文献6、非特許文献7、非特許文献8、非特許文献9、非特許文献10、非特許文献11。)
【0006】
移植された細胞への酸素送達における上記の制限に対処する試みにおいて、細胞カプセルに酸素を送達するためのいくつかの方法が開発中である。これらは、皮膚を通じて圧縮された気体酸素を埋込装置に定期的に注入すること(その全体が参照により本明細書に組み込まれる非特許文献12参照)、経皮カテーテルを通じて細胞カプセルに酸素を送達すること、化学酸素発生器の埋込(いずれもその全体が参照により本明細書に組み込まれる、非特許文献13および非特許文献14参照)、および電気化学的酸素発生装置の埋込(たとえば、いずれもその全体が参照により本明細書に組み込まれる、2002年4月9日に発行された発明者Coltonらの特許文献1および2015年4月23日に公開された発明者Tempelmanらの特許文献2参照)を含む。
【0007】
しかし残念ながら、上記のアプローチの多くには限界がある。たとえば、加圧酸素の注入は、ユーザが定期的に皮膚を穿通することを必要とし、装置内の隔壁の定期的な交換を必要とする。隔壁を針で適切に貫通できないと、身体の望ましくない領域に気体酸素を導入する可能性があり、危険である。経皮ラインを通じた酸素の送達は感染の危険性があり、関連する装置は不必要に環境に曝される。化学酸素発生器は完全に埋込可能であり、一時的な酸素源として有用であるかもしれないが、使用される材料および局所的なpH変化などの副作用に関していくつかの懸念がある。加えて、酸素発生反応のための基質は時間がたつにつれて消費され、最終的に酸素送達の停止をもたらし、外科的または経皮的な生成物廃液および基質補充を必要とするだろう。
【0008】
埋込可能な電気化学酸素発生器(EOG:Electrochemical Oxygen Generator、本明細書内および当該技術分野では水電解槽とも称される)は、上記で説明されたその他のアプローチの制限の多くに対処する。埋込可能な電気化学酸素発生器は通常、アノードで酸素ガスを発生させ、カソードで水素ガスを発生させるために、身体から採取された水を電気分解する。発生した酸素はその後細胞に送達され、発生した水素はその後組織を通じて脈管構造に拡散し、最終的に吐き出される。反応化学量論のため、水素は通常、酸素の2倍の速度で発生する。カソードから身体への安全な水素の拡散は、装置/組織界面での気泡形成を防止するために、かなりの表面積を必要とする。しかしながら、残念なことに、十分なガス-組織界面表面積に対する要求は、埋込装置のサイズおよび複雑さを増加させる。
【0009】
埋込可能な電気化学酸素濃縮器(EOC:Electrochemical Oxygen Concentrator)は、移植された細胞への酸素の送達のための埋込可能EOGの代替物を提供する。EOCは電解槽と同様に機能するが、これらはカソードで水を生成するために酸素を消費し、アノードで水から酸素を発生させ、正味の効果は、下流の装置への送達のためにアノードで酸素が濃縮されることである。発生する基本的な反応は以下の通りである。
(1)アノード(酸化:電子の喪失):2HO→4H+4e+O(純粋)
(2)カソード(還元:電子の獲得):O+4H+4e→2H
(3)正味:カソードでO希釈→アノードで純粋O
【0010】
EOGおよびEOCの両方において、酸素発生(すなわち、細胞への栄養素投与量)は、印加される電流に正確に対応する。EOCは通常約0.8Vで動作し、EOGは通常約1.6Vで動作するので、EOCは通常、EOGのおよそ半分の電力を使用する。一方、EOCは通常、カソードで消費される酸素を補給するために、体外由来の酸素(すなわち、空気)へのアクセスを必要とする。また、EOGまたはEOCのどちらが使用されるかにかかわらず、装置または細胞機能の結果として生成された排ガスが身体から排出され得る経路を提供することが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】米国特許第6,368,592(B1)号明細書
【文献】米国特許公開第2015/0112247(A1)号明細書
【非特許文献】
【0012】
【文献】Suzukiら、“Number and volume of islets transplanted in immunobarrier devices,”Cell transplantation,7:47-52(1998)
【文献】Tibellら、“Survival of macroencapsulated allogeneic parathyroid tissue one year after transplantation in nonimmunosuppressed humans,”Cell transplantation,10:591-9(2001)
【文献】Bruinら、“Maturation and function of human embryonic stem cell-derived pancreatic progenitors in macroencapsulation devices following transplant into mice,”Diabetologia,56:1987-98(2013)
【文献】Motteら、“Composition and Function of Macro-Encapsulated Human Embryonic Stem Cell-Derived Implants:Comparison with Clinical Human Islet Cell Grafts,”Am J Physiol Endocrinol Metab.,307:E838-46(2014)
【文献】Yanayら、“Long-term erythropoietin gene expression from transduced cells in bioisolator devices,”Human gene therapy,14:1587-93(2003)
【文献】Bartholomewら、“Baboon mesenchymal stem cells can be genetically modified to secrete human erythropoietin in vivo,”Human gene therapy,12:1527-41(2001)
【文献】Sweetら、“Treatment of diabetic rats with encapsulated islets,”J.Cell.and Mol.Med.,12:2644-50(2008)
【文献】Sorenbyら、“Macroencapsulation protects against sensitization after allogeneic islet transplantation in rats,”Transplantation,82:393-7(2006)
【文献】Colton、“Implantable biohybrid artificial organs,”Cell transplant.,4:415-36(1995)
【文献】Moralejoら、“Sustained glucagon-like peptide 1 expression from encapsulated transduced cells to treat obese diabetic rats,”J.Biosci.and Bioeng.,111:383-7(2011)
【文献】Chouら、“Treatment of osteoporosis with TheraCyte-encapsulated parathyroid cells:a study in a rat model,”Osteoporosis International:a journal established as result of cooperation between the European Foundation for Osteoporosis and the National Osteoporosis Foundation of the USA,17:936-41(2006)
【文献】Ludwigら、“Improvement of islet function in a bioartificial pancreas by enhanced oxygen supply and growth hormone releasing hormone agonist,”Proc.Nat.Acad.Sci.U.S.A.,109:5022-7(2012)
【文献】McQuillingら、“Methods for Incorporating Oxygen-Generating Biomaterials into Cell Culture and Microcapsule Systems,”Methods Mol.Biol.,1479:135-141(2017)
【文献】Pedrazaaら、“Preventing hypoxia-induced cell death in beta cells and islets via hydrolytically activated,oxygen-generating biomaterials,”Proc.Natl.Acac.Sci.U.S.A.,109:4245-4250(2012)
【発明の概要】
【0013】
本発明者らは、体外の周囲環境と、限定されないが、埋込EOC、埋込EOG、または移植された細胞および/もしくは組織を保持する埋込型容器など、患者に埋め込まれた装置との間に、1つ以上のガス(たとえば、空気、酸素ガス、水素ガス)の拡散のための経路を提供する必要性を確認し、こうして感染の機会を制限しながら埋込装置の使用を可能にする。
【0014】
本発明の目的は、このような経路を提供することである。
【0015】
したがって、本発明の一態様によれば、経皮的ガス拡散装置が提供され、経皮的ガス拡散装置は、(a)長さ、底部、および外面を有し、ガス透過性で且つ液体不透過性である、コア層と、(b)コア層の長さの少なくとも一部にわたってコア層の外面を包囲し、組織一体化(組織統合;tissue-integrating)材料を含む、外層と、を備える。
【0016】
本発明のより詳細な特徴では、コア層はオープンポア(開気孔)構造を有していてもよい。
【0017】
本発明のより詳細な特徴では、コア層は最大0.22μmの孔径を有していてもよい。
【0018】
本発明のより詳細な特徴では、コア層はクローズドポア(閉気孔)構造を有していてもよい。
【0019】
本発明のより詳細な特徴では、コア層は無孔の中実材料(密な材料;solid material)であってもよい。
【0020】
本発明のより詳細な特徴では、コア層は、ポーラス(多孔質)ポリマー、非ポーラスガス透過性材料、オープンセルセラミック発泡体、およびポーラス金属からなる群より選択される、少なくとも1つの材料を含んでいてもよい。
【0021】
本発明のより詳細な特徴では、コア層の少なくとも1つの材料は、疎水性ポリマーで処理されていてもよい。
【0022】
本発明のより詳細な特徴では、コア層は円柱形又は円筒形であってもよい。
【0023】
本発明のより詳細な特徴では、コア層は、5mm以下の直径および1.2~10mmの長さを有していてもよい。
【0024】
本発明のより詳細な特徴では、コア層は、1mm以下の直径および2~5mmの長さを有していてもよい。
【0025】
本発明のより詳細な特徴では、外層の組織一体化材料は、オープンセルシリコーン発泡体、パターン化マイクロポーラス材料、オープンセルウレタン発泡体、焼結ポリマー材料からなる群より選択される、少なくとも1つのポーラス生体適合性材料であってもよい。
【0026】
本発明のより詳細な特徴では、外層は、0.2~1.0mmの厚さおよび1.2~2.0mmの長さを有していてもよい。
【0027】
本発明のより詳細な特徴では、外層は長さを有してもよく、外層の長さはコア層の長さと一致していてもよい。
【0028】
本発明のより詳細な特徴では、外層は底部を有してもよく、コアの底部は外層の底部を越えて下方に延在していてもよい。
【0029】
本発明のより詳細な特徴では、コア層は外層に固定的に結合されていてもよい。
【0030】
本発明のより詳細な特徴では、コア層は外層に取り外し可能に結合されていてもよい。
【0031】
本発明のより詳細な特徴では、コア層の一部は外層に固定的に結合されてもよく、コア層の一部は外層に取り外し可能に結合されていてもよい。
【0032】
本発明のより詳細な特徴では、経皮的ガス拡散装置は中間層をさらに備えてもよく、中間層はコア層と外層との間に配置されていてもよい。
【0033】
本発明のより詳細な特徴では、中間層は、外層からコア層内への組織の浸入を防止するバリアを備え得る。
【0034】
本発明のより詳細な特徴では、中間層は、外層からコア層内への組織の浸入を防止し、コア層から外層内へのガスの拡散を低減するバリアを備えてもよい。
【0035】
本発明のより詳細な特徴では、中間層は底部を有してもよく、外層は底部を有してもよく、中間層の底部は外層の底部を越えて下方に延在していてもよい。
【0036】
本発明のより詳細な特徴では、コア層および中間層のうちの少なくとも1つは、コア層の少なくとも一部の、中間層との取り外し可能な結合を許容するように構成されていてもよい。
【0037】
本発明のより詳細な特徴では、コア層は、工具との係合に適合した少なくとも1つのノッチを備え得る。
【0038】
本発明のより詳細な特徴では、中間層は、工具との係合に適合した少なくとも1つのノッチを備え得る。
【0039】
本発明のより詳細な特徴では、コア層および中間層は噛み合うネジ山を有してもよい。
【0040】
本発明のより詳細な特徴では、中間層は、インプラント装置に結合する形状の下部を備え得る。
【0041】
本発明のより詳細な特徴では、中間層の下部は、少なくとも1つのリブを備え得る。
【0042】
本発明のより詳細な特徴では、中間層の下部は、円周方向溝を備え得る。
【0043】
本発明の別の目的は、インプラントシステムを提供することである。
【0044】
したがって、本発明の一態様によれば、インプラントシステムが提供され、インプラントシステムは、(a)ガス入口およびガス出口のうちの少なくとも1つを備える、インプラント装置と、(b)インプラント装置のガス入口およびガス出口のうちの1つに流体接続される経皮的ガス拡散装置であって、(i)ガス透過性で且つ液体不透過性である、コア層と、(ii)コア層の長さの少なくとも一部にわたってコア層の外面を包囲し、組織一体化材料を含む、外層と、を備える経皮的ガス拡散装置と、を備える。
【0045】
本発明のより詳細な特徴では、インプラント装置は、移植された細胞および移植された組織のうちの少なくとも1つを保持するための皮下容器であってもよく、皮下容器は酸素入口を備えていてもよく、経皮的ガス拡散装置は酸素入口に流体接続されていてもよい。
【0046】
本発明のより詳細な特徴では、インプラント装置は皮下電気化学酸素濃縮器であってもよく、皮下電気化学酸素濃縮器は空気入口を備えていてもよく、経皮的ガス拡散装置は空気入口に流体接続されていてもよい。
【0047】
本発明のより詳細な特徴では、インプラント装置は皮下水電解槽であってもよく、皮下水電解槽は、酸素出口および水素出口を備え得る。
【0048】
本発明のより詳細な特徴では、経皮的ガス拡散装置は酸素出口に流体接続されていてもよい。
【0049】
本発明のより詳細な特徴では、経皮的ガス拡散装置は水素出口に流体接続されていてもよい。
【0050】
本発明のより詳細な特徴では、インプラント装置は、電気化学酸素濃縮器モードと電気化学酸素発生器モードで択一的に動作することが可能な皮下電気化学セルであってもよい。
【0051】
本発明は、インプラント装置を使用する方法も対象とする。
【0052】
したがって、本発明の一実施形態によれば、インプラント装置を使用する方法が開示され、方法は、(a)上述のようなインプラントシステムを提供するステップであって、インプラントシステムが、電気化学酸素濃縮器モードと電気化学酸素発生器モードで択一的に動作することが可能な皮下電気化学セルである、ステップと、(b)インプラントシステムを患者に埋め込むステップと、(c)次に、インプラントシステムを電気化学酸素濃縮器モードで動作させるステップであって、これによって汚染物質が経皮的ガス拡散装置のコア層を汚染する、ステップと、(d)次に、経皮的ガス拡散装置のコア層から汚染物質を排出するためにインプラントシステムを電気化学酸素発生器モードで動作させるステップと、を含む。
【0053】
本明細書および請求項の目的のために、「頂部」、「底部」、「近位」、「遠位」、「上部」、「下部」、「前方」、および「後方」などの様々な関係用語は、前記発明が所与の配向に配置され、またはそこから見たときに本発明を説明するために、使用されることが可能である。本発明の方位を変更することによって、特定の関係用語は相応に調整される必要があり得ることを、理解すべきである。
【0054】
本発明の追加の目的、ならびに態様、特徴、および利点は、部分的には以下の説明に明記され、部分的には説明から明らかとなり、または本発明の実践によって習得され得る。説明では、その一部を構成し、本発明を実践するための様々な実施形態を図解によって示す、添付図面が参照される。実施形態は、当業者が本発明を実践できるほど十分に詳細に説明され、他の実施形態も利用され得ること、および本発明の範囲を逸脱することなく構造的変更がなされてもよいことが、理解されるべきである。したがって、以下の詳細な説明は限定的な意味で解釈されるべきではなく、本発明の範囲は添付請求項によって最もよく定義される。
【0055】
本明細書に組み込まれてその一部を構成する添付図面は、本発明の様々な実施形態を図示し、その説明と共に、本発明の原理を説明するのに役立つ。これらの図面は必ずしも縮尺通りに描かれているわけではなく、詳しい説明を目的として、特定の構成要素が過小寸法および/または過大寸法を有する場合がある。図中、類似の符号は類似の部分を表す。
【図面の簡単な説明】
【0056】
図1A-1C】それぞれ、患者内のインプラントとの間の1つ以上のガスの通過を許容するために本発明にしたがって構築された経皮的ガス拡散装置の第1の実施形態の斜視図、上面図、および断面図である。
図1D】経皮的ガス拡散装置の構成層を描くために仮想線が使用されている、図1Aの経皮的ガス拡散装置の斜視図である。
図2】本発明にしたがって構築されたインプラントシステムの第1の実施形態を示す、部分断面ブロック図であり、インプラントシステムは患者内に埋め込まれた状態で示されており、患者の皮膚を通って延在する図1Aの経皮的ガス拡散装置と、患者の皮膚の下に配置され、図1Aの経皮的ガス拡散装置に結合された埋込型医療装置とを備える。
図3A-3B】それぞれ、患者内のインプラントにおよび/または患者内のインプラントから1つ以上のガスの通過を許容するために本発明にしたがって構築された経皮的ガス拡散装置の第2の実施形態の上面図および断面図である。
図4】患者内のインプラントにおよび/または患者内のインプラントから1つ以上のガスの通過を許容するために本発明にしたがって構築された経皮的ガス拡散装置の第3の実施形態の断面図である。
図5】患者内のインプラントにおよび/または患者内のインプラントから1つ以上のガスの通過を許容するために本発明にしたがって構築された経皮的ガス拡散装置の第4の実施形態の断面図である。
図6】患者内のインプラントにおよび/または患者内のインプラントから1つ以上のガスの通過を許容するために本発明にしたがって構築された経皮的ガス拡散装置の第5の実施形態の断面図である。
図7】患者内のインプラントにおよび/または患者内のインプラントから1つ以上のガスの通過を許容するために本発明にしたがって構築された経皮的ガス拡散装置の第6の実施形態の斜視図である。
図8】患者内のインプラントにおよび/または患者内のインプラントから1つ以上のガスの通過を許容するために本発明にしたがって構築された経皮的ガス拡散装置の第7の実施形態の斜視図である。
図9】患者内のインプラントにおよび/または患者内のインプラントから1つ以上のガスの通過を許容するために本発明にしたがって構築された経皮的ガス拡散装置の第8の実施形態の斜視図である。
図10A-10B】それぞれ、本発明にしたがって構築されたインプラントシステムの第2の実施形態の部分分解斜視図および断面図であり、インプラントシステムは、電気化学酸素濃縮器および図7の経皮的ガス拡散装置を備え、経皮的ガス拡散装置は、電気化学酸素濃縮器のカソードに周囲空気を供給するように、電気化学酸素濃縮器のカソードに結合されている。
図11A-11B】それぞれ、本発明にしたがって構築されたインプラントシステムの第3の実施形態の部分分解斜視図および断面図であり、インプラントシステムは、電解槽および図9の経皮的ガス拡散装置を備え、経皮的ガス拡散装置は、経皮的ガス拡散装置を通って水素を逃がすように、電解槽のカソードに結合されている。
図12A-12B】それぞれ、本発明にしたがって構築されたインプラントシステムの第4の実施形態の部分分解斜視図および断面図であり、インプラントシステムは、電解槽および図9の経皮的ガス拡散装置を備え、経皮的ガス拡散装置は、経皮的ガス拡散装置を通って酸素を逃がすように、電解槽のアノードに結合されている。
図13図1Aの経皮的ガス拡散装置の組織一体化層を形成するために使用され得る管の走査型電子顕微鏡写真である。
図14A】実施例1で論じられたように、未改変EOC(対照)と、酸素がEOCに拡散するための唯一の領域としてガス透過性コアを使用した同じEOCとの、経時的なセル電圧を示すグラフである。
図14B】実施例1で論じられたように、未改変EOC(対照)と、酸素がEOCに拡散するための唯一の領域としてガス透過性コアを使用した同じEOCとの、経時的な酸素流量を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0057】
本発明は、少なくとも部分的に、周囲空気またはその他の体外ガスを患者内に配置された埋込装置に流すことを可能にする、および/またはガスを埋込装置から患者の体外の場所に流すことを可能にする、経皮的ガス拡散装置を対象とする。埋込装置は、限定されないが、電気化学酸素発生器、電気化学酸素濃縮器、または1つ以上の移植された細胞および/または組織を保持する容器などの、皮下埋込であってもよい。
【0058】
より具体的には、特定の実施形態では、本発明は、酸素、水蒸気、およびその他のガスが皮膚を通過できるようにするが、液体および微粒子の通過は防止する、経皮的装置であってもよい。したがって本発明は、酸素もしくは水蒸気などの重要なガスにアクセスするため、または埋込型水電解槽の場合に水素もしくは酸素などの排ガスを効率的に除去するために、体外の空気へのアクセスを必要とする埋込型医療装置の使用を可能にする。
【0059】
特定の実施形態では、経皮的装置を通るガスの通過は受動的であってもよく、特定の実施形態では、経皮的装置を通るガスの通過は、埋め込まれるかまたは外側に装着された装置部品によって活発に促進され得る。
【0060】
特定の実施形態では、経皮的装置は、1つ以上の同心層を備えてもよい。外層(または周囲層)は、組織と一体化することが知られている材料を組み込んでもよく、したがって、感染の危険性を最小化するバリアを形成してもよい。外層に適した材料は、マイクロポーラスでかつ生体適合性であってもよく、オープンセルシリコーン発泡体、パターン化マイクロポーラス材料、およびオープンセルウレタン発泡体を含むがこれらに限定されない。適切なパターン化マイクロポーラス材料の例は、2014年2月11日に発行された、発明者Marshallらの米国特許第8,647,393 B2号明細書、Marshallら、“Dermal Integration Cuff Improves Resistance to Exit Site Infections in Porcine Bacterial Challenge,”Abstract 072,Society for Biomaterials(2011)、およびFukanoら、J Biomed Mater Res A,94(4):1172―1186(2010)に記載された、STAR(登録商標)(Sphere Templated Angiogenic Regeneration)生体材料スキャフォールド(Healionics Corporation、ワシントン州シアトル)であってもよく、これらの全ては参照により本明細書に組み込まれる。外層に適する可能性のある追加の材料は、限定されないが、生体適合性セラミック発泡体および焼結生体適合性ポリマー(たとえば、焼結ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、焼結ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、焼結ポリエチレン、および焼結ポリプロピレン)などの、硬質材料を含み得る。
【0061】
内層(またはコア層もしくはコア)は、ガス透過層またはガス透過性複合材の層を備えてもよく、これを通じて、限定されないが、酸素、窒素、酸化窒素、水素、硫化水素、二酸化炭素、および水蒸気を含む1つ以上のガスが拡散し得る。内層を形成するために使用され得る材料は、ポーラスポリマー(たとえば、オープンセルシリコーン発泡体、オープンセルウレタン発泡体、焼結ポリエチレン、焼結ポリプロピレン、焼結PVDF、焼結PTFE)、セラミック発泡体またはポーラスチタンなどのマイクロポーラス材料、および非ポーラスガス透過性材料(たとえば、シリコーン膜)を含み得るが、これらに限定されない。マイクロポーラス材料は、それらの表面特性を変えるためにさらに処理されてもよい。たとえば、被覆された材料が疎水性になるように、元来親水性のポーラスセラミックまたは金属はParyleneパリレン(商標)ポリ(p-キシリレン)ポリマーなどのポリマーで被覆されてもよい。装置のコアにおける疎水性のマイクロポーラス構造、またはガスもしくは気相水を通す材料の使用は、皮膚全体にわたって感染因子を含む汚染物質を担持する可能性のある液体水の移動を防止しながらガス交換を許容するので、望ましいだろう。
【0062】
互いに固定的に結合されていてもよい内(またはコア)層および外(または周囲)層は、互いに直接接触していてもよく、または1つ以上の中間層によって分離されていてもよい。このような中間層は、周囲層からコア層内への組織の内殖を防止するように機能し得る。1つ以上の中間層はまた、コア層よりも低いガス透過性を有してもよく、したがってコア層と周囲の組織との間のガス交換を最小限に抑えることができる。たとえば、酸素不透過性の中間層は、周囲層内の組織がコア層内の酸素濃度を低下させるのを防ぎ、コア層がEOCなどの埋込型医療装置に繋がる場所でより高い酸素濃度をもたらすことになる。1つ以上の中間層としての使用に適した材料の例は、シリコーン膜;PTFE、PVDF、ポリエーテルスルホン、およびポリエチレンテレフタレートから形成されたマイクロポーラス膜;PTFE、ポリエチレン、およびポリプロピレンなどの可撓性非ポーラス材料;ならびにポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、その他の生体適合性ポリマー、セラミック、およびインプラントグレードのステンレス鋼およびチタンなどの金属を含む、硬質非ポーラス材料を含むが、これらに限定されない。
【0063】
特定の実施形態では、周囲層および/またはコア層の特性は、組織バリア層の機能を果たすことができる。たとえば、ポーラスシリコーン組織一体化(または外)層の製造中に、別個の要素とは無関係に、セルバリアとして作用し得る「皮膚」が形成し得る。特定の実施形態では、組織一体化層をガス透過性コアに取り付ける方法は、事実上の組織バリア層を形成し得る。たとえば、組織一体化層をガス透過性コアに取り付けるために、組織バリアを形成するシリコーン接着剤が使用されてもよい。特定の実施形態では、ガス透過性コアは、組織内殖を防止するために組織バリア層として独立して作用し得る、十分に小さい孔径を有してもよい。
【0064】
特定の実施形態では、経皮的ガス拡散装置は、細胞カプセルまたは細胞容器に直接または間接的に接続されていてもよい。特定の実施形態では、経皮的ガス拡散装置は、移植された細胞への送達のために、カソードで酸素を消費し、アノードで酸素を生成する電気化学装置に接続されてもよく、酸素濃縮器として効果的に機能する。特定の実施形態では、経皮的ガス拡散装置は、移植された細胞への送達のために、カソードで水素ガスを、アノードで酸素ガスを生成するため、水蒸気の形態で送達される水を消費する電気化学装置に接続されてもよい。特定の実施形態では、経皮的ガス拡散装置は、移植された細胞へ、または循環系を介して全身的に身体に送達するために、アノードで酸素ガスを、カソードで水素を生成するため、水蒸気の形態で送達される水を消費する電気化学装置に接続されてもよい。特定の実施形態では、電気化学装置によって発生した排ガスは、経皮的ガス拡散装置を通じて排除され、空気中に排出されてもよい。特定の実施形態では、電気化学装置によって消費されるガスは、経皮的ガス拡散装置を通じての拡散によって補給されてもよい。
【0065】
ガス透過性コアがポーラスである実施形態では、ガス透過性コア内のポアは好ましくはガスの自由な拡散のために開放したままである。本発明の経皮的ガス拡散装置に結合された水電解槽の例では、酸素または水素のいずれかがガス透過性コアを通って流出し、材料に浸透した水またはその他の液体を排出してもよい。EOCの場合、液体またはその他の材料をガス透過性コアから押し出すためのガスの正味生産量はない。特定の実施形態では、電気化学装置は、ガス透過性コアが塞がれていないときにはEOCとして機能し得るが、酸素濃度がカソードで水蒸気を形成するように反応するために必要な濃度を下回ると、電解槽モードに戻り得る。この場合、電解槽モードでの動作は、ガス透過性コアをきれにし、最終的には電気化学装置がより効率的なEOCモードに切り替えられるようにしてもよい。特定の実施形態では、電気化学装置はEOCモードとEOGモードとの間で循環してもよく、EOGモードにおいて、EOGモード中に形成された水素ガスは、ガス透過性コア材料から汚染物質を排出するように作用する。
【0066】
ここで図1Aから図1Dを参照すると、患者内のインプラントにおよび/または患者内のインプラントから1つ以上のガスの通過を許容するのに適した経皮的ガス拡散装置の第1の実施形態の様々な図が示されており、経皮的ガス拡散装置は、本発明にしたがって構築され、全体として符号100で表されている。
【0067】
経皮的ガス拡散装置100は、コア層101、外層103、および中間層105を備えてもよい。本実施形態では、コア層101、外層103、および中間層105は、互いに対して固定されていてもよい。
【0068】
コア層101は、液体不透過性でガス透過性の材料または複合材料を含んでいてもよい。この態様において、たとえば、周囲空気もしくは外部ガスがコア層101を通して皮下埋込EOCもしくはEOG装置の入口ポートに拡散されてもよく、および/または、皮下EOCもしくはEOG装置からの副生成ガスまたは移植された細胞および/もしくは組織からの排ガスがコア層101を通して身体から出るように拡散されてもよい。コア層101は、オープンポア構造、クローズドポア構造を備えていてもよく、または中実材料であってもよい。コア層101のガス拡散特性は、オープンポア構造の場合のように非選択的であってもよく、またはクローズドポア構造もしくは中実マトリックスの場合のように選択的であってもよい。クローズドポア構造、または細孔且つ高疎水性を有するオープンポア構造を使用することによって、内側コア材料は、外部液体汚染物質に対して実質的に不透過性であり得る。コア層101またはコア層101の構成要素として使用され得る材料の例は、ポーラスポリマー(たとえば、シリコーン発泡体、ウレタン発泡体、焼結ポリエチレン、焼結ポリプロピレン、焼結PVDF、焼結PTFE)、非ポーラスガス透過性材料(たとえば、シリコーン膜)、およびこれらの組み合わせを含み得るが、これらに限定されない。コア層101はまた、オープンセルセラミック発泡体または焼結チタンのようなポーラス金属を含んでいてもよい。ポーラス材料は、その疎水性を変えるためにさらに処理されてもよい。たとえば、ポーラス材料は、パリレン(商標)ポリ(p-キシリレン)ポリマーなどのポリマーで被覆されてもよい。このようなパリレン(商標)ポリ(p-キシリレン)ポリマーは、パリレン-N、パリレン-C、パリレン-D、および好ましくはパリレン-VT4およびパリレンAF4を含み得る。オープンポア材料が使用される場合、孔径は、微生物にバリアを提供するのに適切であり得る。特定の実施形態では、孔径は0.22μm以下であってもよく、特定の実施形態では、孔径は0.2μm以下であってもよい。
【0069】
本実施形態では、コア層101は円柱形の形状として示されている。しかしながら、コア層101は円柱形に限定されず、様々な代替形状をとり得ることは、理解されるべきでる。コア層101の直径は、経皮的ガス拡散装置100のガス交換要件に応じて異なってもよい。とはいうものの、いくつかの実施形態によれば、コア層101の直径は5mm以下、好ましくは1mm以下であってもよい。コア層101の長さは好ましくは、埋込型医療装置から皮膚を通じて大気へのガス拡散経路を提供するのに十分である。たとえば、このような長さは約1.2~10mm、好ましくは約2~5mmであってもよい。
【0070】
コア層101の全長にわたって延在する外層103は、組織一体化材料、すなわち、前記材料内への皮膚組織の成長を促進するポーラス生体適合性材料を備えてもよい。組織一体化材料は、細胞が移動する複数のポアの間の接続を有する、オープンポア構造を備えてもよい。組織一体化材料は、孔径に対する厳しい制御のためのマイクロパターン化テンプレートを使用して形成されてもよい。このような材料は、中空の円筒を形成するために容易に加工され得る。組織一体化材料は、組織一体化を促進するために、さらに最適化されてもよく、こうして感染を防止する。好適な組織一体化材料は、可撓性であってもよく、通常の活動中に皮膚と共に動くことができ、こうして組織界面における慢性的な炎症を低減する。組織一体化材料の例は、オープンセルシリコーン発泡体、パターン化マイクロポーラス材料、オープンセルウレタン発泡体、焼結ポリマー材料(たとえば、PTFE、PVDF、ポリエチレン、およびポリプロピレン)、およびこれらの組み合わせを含み得るが、これらに限定されない。適切なパターン化マイクロポーラス材料の例は、STAR(登録商標)(Sphere Templated Angiogenic Regeneration)生体材料スキャフォールド(Healionics Corporation、ワシントン州シアトル)、またはシリコーンもしくはポリヒドロキシエチルメタクリレートから製造されたその他の類似の材料を含み得る。
【0071】
外層103は、約100nmから数ミリメートルの壁厚を有することができるが、好ましくは約0.2~1.0mmである。外層103の長さは、好ましくは真皮に亘るのに十分であり、約1.2~2.0mmの範囲であってもよい。外層103は本実施形態においてコア層101の全長にわたる長さを有するように示されているが、外層103がコア層101よりも短くてもよいことは、理解されるべきである。実際、外層103は、経皮的ガス拡散器と埋込装置表面との界面まで延在しなくてもよい。
【0072】
コア層101と外層103との間に配置された中間層105は、コア層101と外層103との間のバリア層として機能し得る。より具体的には、中間層105は、外層103からコア層101内への組織の侵入を防止し、コア層101内の汚染物質が外層103と接触するのを防止することができる。中間層105は、単一の材料層または複数の材料層を含み得る。中間層105を形成する際の使用に適した材料は、ナノポーラスおよび非ポーラスポリマー膜、ナノポーラスおよび非ポーラス金属、ならびにナノポーラスおよび非ポーラスセラミックを含み得るが、これらに限定されない。中間層105の壁厚は、使用される材料および/または埋込装置との相互作用の必要性に応じて異なってもよい。とはいうものの、特定の実施形態では、中間層105は約10nm~1mmの範囲であり得る。本実施形態では、中間層105は、コア層101の全長にわたって延在する。しかしながら、中間層105がコア層101の全長にわたって延在する必要性がないことは、理解されるべきでる。とはいうものの中間層105は好ましくは、組織一体化からコア層101を保護するのに十分な長さにわたって延在する。
【0073】
中間層105は、コア層101と外層103との間のガスの拡散を可能にしてもしなくてもよい材料を備え得る。コア層101がオープンセル発泡材料である場合、コア層101内へのセルマイグレーション(細胞遊走)を防止し、ガス拡散をさらに防止するためのバリアとして中間層105を作用させることが、特に望ましい。中間層105として使用され得、セルマイグレーションを防止し、コア層101と外層103との間のガス拡散も制限し得る材料の例は、生体適合性フルオロポリマー(たとえば、PTFEおよびPVDF)、その他の生体適合性ポリマー(たとえば、ポリプロピレンおよびポリエチレン)、および硬質生体適合性金属(たとえば、埋込可能ステンレス鋼およびチタン)を含み得るが、これらに限定されない。中間層105層として使用され得、セルマイグレーションを防止し、ガス透過性でもある材料の例は、マイクロポーラスポリマー膜および管材(たとえば、延伸PTFE、PVDF、オープンセルシリコーン発泡体、およびオープンセルウレタン発泡体)、ならびにガス透過性固体膜および管材(たとえば、シリコーンおよびウレタン)を含むが、これらに限定されない。
【0074】
特定の実施形態では、コア層101および/または外層103の特性は、中間層105の機能の少なくともいくつかを果たすことができる。たとえば、ポーラスシリコーン外層103の製造中に、別個の要素とは無関係に、細胞バリアとして作用し得る「皮膚」が外側に沿って形成し得る。特定の実施形態では、外層103をコア層101に取り付ける方法は、事実上のバリア層を形成し得る。たとえば、外層103をコア層101に取り付けるために、組織バリアを形成し得るシリコーン接着剤が使用されてもよい。特定の実施形態では、ガス透過性コア層101は、組織内殖を防止するためにバリア層とは独立して作用する、十分に小さい孔径を有してもよい。
【0075】
ここで図2を参照すると、本発明にしたがって構築されたインプラントシステムの第1の実施形態が概略的に示されており、インプラントシステムは、患者に埋め込まれた状態で示され、全体として符号200で表されている。(簡潔さおよび明確さのため、本発明の理解にとって重要ではないインプラントシステム200の特定の構成要素は、本明細書において図示もしくは記載されないか、または簡略化して図示および/もしくは記載される。)
【0076】
インプラントシステム200は、経皮的ガス拡散装置100および埋込型医療装置202を備えてもよい。見てわかるように、経皮的ガス拡散装置100は、経皮的ガス拡散装置100の頂部204が患者の皮膚Sの外面Eの近くに、好ましくは外面Eにまたはその少し上に位置するように、適切に寸法決めされ得る。経皮的ガス拡散装置100の底部は、患者の皮膚Sの内面Iより下に延在してもよく、埋込型医療装置202に流体接続されており、埋込型医療装置202はたとえば皮下埋込EOC、皮下埋込EOG、移植された細胞および/もしくは組織を保持する皮下埋込型容器、または経皮カテーテルを使用せずに皮膚を通じてガスを移動させることが望ましいかまたは有利であり得る他のいずれかの皮下埋込もしくは他の埋込装置もしくは構造であってもよい。
【0077】
上記で論じられたように、経皮的ガス拡散装置100の外層は、免疫細胞を含む細胞、基底膜タンパク質真皮コラーゲン束、および血管を含む一体化構造を形成するために、患者の皮膚Sからその中への組織の内殖を促進する。一体化構造はこのように、感染を防ぐためのバリアを形成する。図示されていないが、組織内殖は経皮的ガス拡散装置100の中間層まで延在し、前記中間層は、その組成および/またはポア構造が細胞透過を好ましく防止する材料で形成される。
【0078】
ここで図3Aおよび図3Bを参照すると、患者内のインプラントにおよび/または患者内のインプラントから1つ以上のガスの通過を許容するために本発明にしたがって構築された経皮的ガス拡散装置の第2の実施形態の様々な図が示されており、経皮的ガス拡散装置は全体として符号300で表されている。
【0079】
経皮的ガス拡散装置300は、コア層301、外層303、および中間層305を備えてもよい。経皮的ガス拡散装置300は、所望する場合、コア層301が中間層305の中から取り外され、コア層301の交換が可能であるように経皮的ガス拡散装置300が構築され得ることを除いて、ほとんどの点で経皮的ガス拡散装置100と類似であってもよい。この態様において、たとえば、コア層301は、予防的メンテナンスの一部として定期的に、または汚れたり詰まったりしたときに必要に応じてのみ、交換されてもよい。
【0080】
したがって、本実施形態では、コア層301の上面309から短い距離だけ下方に延在する1つ以上のノッチ307をコア層301が含み得ることを除いて、コア層301は、経皮的ガス拡散装置100のコア層101と同一であってもよい。ノッチ307は、たとえば相補的形状の工具を使用して、中間層305の中からのコア層301の取り外しを容易にするサイズおよび形状であってもよい。中間層305の上面313から短い距離だけ下方に延在する1つ以上のノッチ311を中間層305が含み得ることを除いて、中間層305は、経皮的ガス拡散装置100の中間層105と同一であってもよい。ノッチ311は、コア層301が中間層305から取り外される間、中間層305を静止状態で維持するように、たとえば相補的形状の工具と相互作用するサイズおよび形状であってもよい。
【0081】
経皮的ガス拡散装置300は好ましくは、たとえば上述のような態様において、コア層301が中間層305から取り外されない限り、コア層301、外層303、および中間層305が互いに対して移動しないように構築されている。その他の点では、経皮的ガス拡散装置300は、経皮的ガス拡散装置100について上述されたのと類似の態様で使用され得る。
【0082】
ここで図4を参照すると、患者内のインプラントにおよび/または患者内のインプラントから1つ以上のガスの通過を許容するために本発明にしたがって構築された経皮的ガス拡散装置の第3の実施形態の断面図が示されており、経皮的ガス拡散装置は全体として符号400で表されている。(明確さのため、断面ハッチングは図4から省略されている。)
【0083】
経皮的ガス拡散装置400は、コア層401、外層403、および中間層405を備えてもよい。コア層401および中間層405は、コア層401および中間層405が螺合によって結合および分離されることを可能にするためにコア層401および中間層405が相補的なねじ山形成され得ることを除いて、経皮的ガス拡散装置300のコア層301および中間層305とそれぞれ類似であってもよい。外層403は、経皮的ガス拡散装置300の外層303と同一であってもよい。
【0084】
経皮的ガス拡散装置400は、経皮的ガス拡散装置100について上述されたのと類似の態様で使用され得る。
【0085】
ここで図5を参照すると、患者内のインプラントにおよび/または患者内のインプラントから1つ以上のガスの通過を許容するために本発明にしたがって構築された経皮的ガス拡散装置の第4の実施形態の断面図が示されており、経皮的ガス拡散装置は全体として符号500で表されている。
【0086】
経皮的ガス拡散装置500は、コア層501、外層503、および中間層505を備えてもよい。コア層501、外層503、および中間層505は、コア層501が中間層505の中に着脱可能に保持され得るようにコア層501、外層503、および中間層505が構成され得ることを除いて、経皮的ガス拡散装置100のコア層101、外層103、および中間層105とそれぞれ類似であってもよい。より具体的には、中間層505はその上端に、コア層501を所定位置に維持するためにコア層501の上面509の上に延在し得るフランジ507を含んでもよい。コア層501および/または中間層505は、コア層501の挿入および取り外しの間、フランジ507に十分な力が加えられると、コア層501がフランジ507を越えて移動することを許容する、柔軟な材料で作られてもよい。
【0087】
上記の違いを除いて、経皮的ガス拡散装置500は、経皮的ガス拡散装置100について上述されたのと類似の態様で使用され得る。
【0088】
ここで図6を参照すると、患者内のインプラントにおよび/または患者内のインプラントから1つ以上のガスの通過を許容するために本発明にしたがって構築された経皮的ガス拡散装置の第5の実施形態の断面図が示されており、経皮的ガス拡散装置は全体として符号600で表されている。
【0089】
経皮的ガス拡散装置600はほとんどの点において経皮的ガス拡散装置500と類似であり得るが、2つの装置間の主な違いは、経皮的ガス拡散装置500が一体構造を有し得るコア層501を備え得るのに対して、経皮的ガス拡散装置600は、取り外し可能コア層部分601と固定コア層部分602とを備える2ピース(2部分)コア層を備え得ることである。取り外し可能コア層部分601は、患者の身体の外側に向かって配置され得、固定コア層部分602は、患者の身体の内側に向かって配置され得る。経皮的ガス拡散装置500のコア層501のように、取り外し可能コア層部分601は、所望の場合、その隣接する中間層505から取り外され、その後再挿入または交換されてもよい。固定コア層部分602は、取り外し可能コア層部分601が取り外されたときに、埋込型医療装置の汚染を防止するのに役立ち得る。
【0090】
上記の違いを除いて、経皮的ガス拡散装置600は、経皮的ガス拡散装置500について上述されたのと類似の態様で使用され得る。
【0091】
図7から図9は、限定されないが、皮下電気化学ガス発生器または移植された細胞および/もしくは組織を保持する容器などの、インプラント装置との機械的に強固に実質的に気密な接続を可能にするための、本発明の経皮的ガス拡散装置内に導入され得る様々な特徴を示す。いずれの場合も、経皮的ガス拡散装置のコア層および/または経皮的ガス拡散装置の中間層は、経皮的ガス拡散装置の外層を越えて延在しており、経皮的ガス拡散装置の外層は取り付けられた皮下インプラント装置の外側に残り、その延在部分は、取り付けられた皮下インプラント装置の外側ケースに入る。
【0092】
より具体的には、ここで図7を参照すると、患者内のインプラントにおよび/または患者内のインプラントから1つ以上のガスの通過を許容するために本発明にしたがって構築された経皮的ガス拡散装置の第6の実施形態の図が示されており、経皮的ガス拡散装置は全体として符号700で表されている。
【0093】
経皮的ガス拡散装置700は、ほとんどの点において経皮的ガス拡散装置100と類似であってもよく、コア層101と類似のコア層701、外層103と類似の外層703、および中間層105と類似の中間層705を備えてもよい。経皮的ガス拡散装置700と経皮的ガス拡散装置100との主な違いは、経皮的ガス拡散装置100のコア層101、外層103、および中間層105が全て同じ長さを有し、互いに整列した(一直線になった)各上面および各底面を有するのに対して、経皮的ガス拡散装置700の中間層705(および、オプションでコア層701)は外層703の底面709を越えて下方に延在し得ることである。このようにして、中間層705の露出した下部は、皮下埋込装置の相補的形状の部分と嵌合することができる。
【0094】
上記の違いを除いて、経皮的ガス拡散装置700は、経皮的ガス拡散装置100について上述されたのと類似の態様で使用され得る。
【0095】
ここで図8を参照すると、患者内のインプラントにおよび/または患者内のインプラントから1つ以上のガスの通過を許容するために本発明にしたがって構築された経皮的ガス拡散装置の第7の実施形態の図が示されており、経皮的ガス拡散装置は全体として符号800で表されている。
【0096】
経皮的ガス拡散装置800は、ほとんどの点において経皮的ガス拡散装置700と類似であってもよい。経皮的ガス拡散装置800と経皮的ガス拡散装置700との主な違いは、経皮的ガス拡散装置700の中間層705が滑らかな円筒形状を有し得るのに対して、経皮的ガス拡散装置800は、1つ以上のリブを備える中間層805を備え得ることである。中間層805のこのような形状は、摩擦嵌めを用いて経皮的ガス拡散装置800を皮下埋込型医療装置に接続することを容易にし得る。
【0097】
上記の違いを除いて、経皮的ガス拡散装置800は、経皮的ガス拡散装置100について上述されたのと類似の態様で使用され得る。
【0098】
ここで図9を参照すると、患者内のインプラントにおよび/または患者内のインプラントから1つ以上のガスの通過を許容するために本発明にしたがって構築された経皮的ガス拡散装置の第8の実施形態の図が示されており、経皮的ガス拡散装置は全体として符号900で表されている。
【0099】
経皮的ガス拡散装置900は、ほとんどの点において経皮的ガス拡散装置700と類似であってもよい。経皮的ガス拡散装置900と経皮的ガス拡散装置700との主な違いは、経皮的ガス拡散装置900は円周方向溝907を有する中間層905を備え得るのに対して、経皮的ガス拡散装置700の中間層705はこのような溝が存在していないことである。溝907は、中間層905が皮下埋込型医療装置上の取付具と係合できるようにするために使用され得る。
【0100】
上記の違いを除いて、経皮的ガス拡散装置900は、経皮的ガス拡散装置100について上述されたのと類似の態様で使用され得る。
【0101】
理解され得るように、インプラント装置への経皮的ガス拡散装置の取付を容易にするために、上記のいずれかの実施形態のコア層および/または中間層に、当業者にとって明らかである他の特徴が追加されてもよい。このような特徴は、ネジ山、フランジ、および/または接着剤を含み得るが、これらに限定されない。経皮的ガス拡散装置のコア層および/または中間層ならびにインプラント装置のケースが金属から形成されている場合、経皮的ガス拡散装置とインプラント装置ケースの内側との間の結合を形成するために、レーザ溶接が使用されてもよい。
【0102】
上述のように、本発明の経皮的ガス拡散装置は、特に、埋込装置、特に皮下埋込装置と、体外の空気との間のガス交換を可能にするように設計されている。埋込装置は、細胞カプセルなどの第3の装置への、または直接体内の場所への治療またはサポートガスの送達のための、電気化学装置であってもよい。このような電気化学装置の2つは、電気化学酸素濃縮器(EOC)である。EOCは、電解アノードと空気減極燃料電池カソードを組み合わせたハイブリッドセルとして説明されることが可能であり、アノード区画およびカソード区画は、比較的ガス不透過性の固体高分子電解質膜(PEM:Polymer Electrolyte Membrane)によって分離されている。EOCで発生する基本的な反応は、以下の通りである。
【0103】
(1)アノード(酸化:電子の喪失):2HO→4H+4e+O(純粋)
(2)カソード(還元:電子の獲得):O+4H+4e→2H
(3)正味:カソードでO希釈→アノードで純粋O
【0104】
動作中、電気化学セルは、カソードで酸素を消費し、アノードで発生した純粋な酸素を収集することによって、酸素濃縮器として作用する。EOCは、従来の電解槽よりも使用するエネルギーが小さく、気体Hを生成しない。
【0105】
EOCは酸素濃縮器として作用するので、カソード端子において空気中の酸素へのアクセスを必要とする。本発明の経皮的ガス拡散装置は、最小限の感染の危険性で、且つ汚染物質がEOCの内部に到達する可能性を最小限にして、体外の空気中の酸素が皮膚を通じてEOCに拡散するための経路を提供する。
【0106】
上述のシナリオのEOCは、体内の細胞に酸素を送達するように意図されている。これらの細胞は、native cells(ネイティブセル)であってもよく、または膜結合型カプセル内に収容された細胞であってもよい。いくつかの実施形態では、酸素がガス区画に送達され、その後ガス区画の壁を越えて1つ以上の細胞コンパートメント内に拡散し、こうして細胞移植片に補助酸素を供給するように、マルチチャンバカプセルが使用されてもよい。封入細胞移植片の酸素要求量は、カプセル内の細胞充填密度、細胞質量、細胞酸素要求量、および細胞カプセルの周りの環境中の酸素濃度に応じて、約0.1SCCH(標準立法センチメートル毎時)から50SCCHの間の範囲であってもよく、最も好ましくは約0.5SCCHから10SCCHの間の範囲であってもよい。理解され得るように、本発明の経皮的ガス拡散装置のガス透過性コアの透過性または気孔率、および直径は、経皮的ガス拡散装置を通る空気からの酸素の流れが細胞移植片の酸素要件を満たすように、選択されるべきである。言い換えると、EOCは実質的に酸素発生器というよりも酸素濃縮器であるので、経皮的ガス拡散装置の設計は、少なくともEOCによって送達される酸素の量に等しい、皮膚を通じての酸素の拡散または対流を可能にすべきである。
【0107】
ここで図10Aおよび図10Bを参照すると、本発明に従って構成されたインプラントシステムの第2の実施形態の図が示されており、インプラントシステムは全体として符号1000で表されている。(簡潔さおよび明確さのため、本発明の理解にとって重要ではないインプラントシステム1000の特定の構成要素は、本明細書において図示もしくは記載されないか、または簡略化して図示および/もしくは記載される。)
【0108】
インプラントシステム1000は、経皮的ガス拡散装置1001を備え得る。経皮的ガス拡散装置1001は、経皮的ガス拡散装置700と同一であってもよく、コア層701と同一のコア層1003、外層703と同一の外層1005、および中間層705と同一の中間層1007を備え得る。
【0109】
インプラントシステム1000は、EOC1010をさらに備え得る。そしてEOC1010は、上部ハウジング1014、疎水性膜1015、カソード1016、膜電極アセンブリ1017、アノード1018、および底部ハウジング1019を備え得る。
【0110】
経皮的ガス拡散装置1001は、上部ハウジング1014に固定されてもよい。上部ハウジング1014は、様々な材料のうちのいずれから製造されてもよい。上部ハウジング1014に好ましい材料は、チタンまたはステンレス鋼などのインプラントグレードの金属、セラミック、およびポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などのプラスチックを含み得る。経皮的ガス拡散装置1001を透過する可能性のある任意の汚染物質からの電気化学構成要素のさらなる保護として、疎水性膜1015は、経皮的ガス拡散装置1001および上部ハウジング1014と、カソード1016との間に配置され得る。カソード1016は、アノード反応およびカソード反応を触媒する膜電極アセンブリ1017と接触して配置され得る。アノード1018は、膜電極アセンブリ1017と底部ハウジング1019との間に配置され得る。濃縮酸素は、アノード1018の近くに配置され、標準的な機械的手段を用いてEOCに取り付けられたルーメン(管腔)または管1020を通じて、EOCから輸送される。図10Bに最もよく見られるように、経皮的ガス拡散装置1001の外層1005は上部ハウジング1014の上面までしか延在しないが、コア層1003および中間層1007は上部ハウジング1014の底面までずっと延在している。この構成では、経皮的ガス拡散装置1001は、摩擦嵌め若しくはレーザ溶接などの機械的手段を用いて、または接着剤によって、上部ハウジング104に接続され得る。
【0111】
本発明の経皮的ガス拡散装置と対になり得る電気化学装置の別の例は、水電解槽である。埋込型電解槽は、身体から水蒸気を採取し、別々の酸素および水素ガスストリームを発生する。発生したガスは、直接身体に送達され得るか、または細胞もしくは組織インプラントを収容するカプセルに送達されてもよい。電解槽は、酸素および水素をそれぞれ1:2のモル比で生成する。1つのガスストリームのみが治療に必要とされる場合、望まないガスは皮膚を通じて逃がすことが有利である。このアプローチは、最終的な除去のために排ガスを身体まで安全に送達するためにシステムに必要とされるであろう空間を節約する。
【0112】
ここで図11Aから図11Bを参照すると、本発明に従って構成されたインプラントシステムの第3の実施形態の図が示されており、インプラントシステムは全体として符号1100で表されている。(簡潔さおよび明確さのため、本発明の理解にとって重要ではないインプラントシステム1100の特定の構成要素は、本明細書において図示もしくは記載されないか、または簡略化して図示および/もしくは記載される。)
【0113】
インプラントシステム1100は、経皮的ガス拡散装置1101を備え得る。経皮的ガス拡散装置1101は、経皮的ガス拡散装置900と同一であってもよく、コア層701と同一のコア層1103、外層703と同一の外層1105、および中間層905と同一の中間層1107を備え得る。
【0114】
インプラントシステム1100は、身体または細胞移植片のいずれかに酸素を送達するように構成された電解槽1109をさらに備え得る。そして電解槽1109は、上部ハウジング1114、Oリング1115、血管形成膜1116、疎水性膜1117、カソード1118、膜電極アセンブリ1119、アノード1120、および底部ハウジング1121を備え得る。
【0115】
経皮的ガス拡散装置1101は、血管形成膜1116が皮下空間内の組織と接触することを可能にする開口部1122を有する、上部ハウジング1114に固定されていてもよい。血管形成膜1116の構造は、膜表面の近くの血管の成長を促進し、異物反応を減少させる。疎水性膜1117は、血管形成膜1116とカソード1118との間に配置されてもよく、不揮発性化合物がカソード1118または膜電極アセンブリ1119のいずれかと相互作用するのを防止するように機能することができる。アノード1120で生成された酸素は、アノード1120の近くに配置され、標準的な機械的手段を用いてシステムに接続され得る管1123を通じて、電解槽1109を出る。底部ハウジング1121は、装置を封止するために上部ハウジング1114と嵌合する。カソード1118で発生した廃水素が経皮的ガス拡散装置1101のコア層1103を通過できるようにするため、血管形成膜1116の中心に穴1124が設けられていてもよい。Oリング1115は、血管形成膜1116の穴1124の周りにシールを形成する。図11Bは、経皮的ガス拡散装置1101の外層1105は上部ハウジング1114の上面までしか延在しないが、経皮的ガス拡散装置1101のコア層1103および中間層1107は上部ハウジング1114を通過して延在することを、より明確に示している。経皮的ガス拡散装置1101の電解槽1109との結合は、摩擦嵌め若しくはレーザ溶接などの機械的手段を用いて、または接着剤によって、達成され得る。
【0116】
理解され得るように、インプラントシステム1100では、経皮的ガス拡散装置1101は、水素ガスが身体を離れることを可能にするように機能する。電気分解に必要な水は、電解槽ハウジングの開口部を通じて侵入する。一連の水蒸気採取膜は、間質液および血液中に見られる不揮発性化合物から電解槽を保護する。上部ハウジング1114内の構造要素は、カソード1118と膜電極アセンブリ1119との間の接触を維持し、かつ経皮的ガス拡散装置1101を上部ハウジング1114に取り付ける手段を提供するように作用する。
【0117】
治療計画の一部として身体に水素を送達することが望ましい場合がある。この場合、電解槽によって発生した水素は埋込型ガス拡散器システムに運ばれ、本発明の経皮的ガス拡散装置を通じて酸素が除去されることになる。このようなインプラントシステムの一例は、図12Aおよび図12Bに示されており、全体として符号1200で表されている。
【0118】
インプラントシステム1200は、経皮的ガス拡散装置1201を備え得る。経皮的ガス拡散装置1201は、経皮的ガス拡散装置1101と同一であってもよく、コア層701と同一のコア層1203、外層703と同一の外層1205、および中間層905と同一の中間層1207を備えていてもよい。
【0119】
インプラントシステム1200は、身体に水素を送達するように構成された電解槽(またはEOG)1209をさらに備え得る。そしてEOG1209は、上部ハウジング1214、アノード1215、膜電極アセンブリ1216、カソード1217、疎水性膜1218、血管形成膜1219、および底部ハウジング1220を備え得る。
【0120】
経皮的ガス拡散装置1201は、上部ハウジング1214に取り付けられてもよい。膜電極アセンブリ1216は、アノード1215とカソード1217との間に配置されてもよい。水素は、透過性シリコーン管材のネットワークなどの、埋込型ガス拡散器への送達のための管1221に向けられてもよい。電気化学装置のカソード側に水採取システムを有することが、好ましい。底部ハウジング1220は、皮下組織を血管形成膜1219と接触させるための開口部1222を特徴とし得る。疎水性膜1218は、不揮発性材料がアノード1215、カソード1217、または膜電極アセンブリ1216と接触できないことを保証し得る。図12Bに最もよく見られるように、経皮的ガス拡散装置1201の外層1205は上部ハウジング1214の上面のみにしか延在し得ないが、経皮的ガス拡散装置1201のコア層1203および中間層1207は上部ハウジング1214を通過して延在する。経皮的ガス拡散装置1201のEOGとの結合は、摩擦嵌め若しくはレーザ溶接などの機械的手段を用いて、または接着剤によって、達成され得る。
【0121】
図13は、経皮的ガス拡散装置100の外層103として使用され得る管の走査型電子顕微鏡写真である。この管は、ボイド径および接続ポアの両方の正確な制御を特徴とする球形鋳型材料である、シリコーンSTAR(登録商標)生体材料(Healionics Corporation、ワシントン州シアトル)から製造される。記載される材料のおおよその寸法は例示であり、様々な用途の要件を満たすように調整されることが可能である:外径2.7mm、内径2.4mm、壁厚250μm。
【0122】
以下の実施例は、例示目的のためだけに提供され、決して本発明の範囲を限定するように意図するものではない。
【0123】
実施例1:ガス透過性コアを介したEOC機能の実証
実験室のEOCを用いて、最小の1SCCH(標準立法センチメートル毎時)のOを発生するのに十分な酸素のガス透過性コアを通じた拡散を実証した。この実験のためのガス透過性コア材料として、3μmの孔径を有するPOREX(登録商標)BM50焼結PTFE(Porex Corporation、ジョージア州フェアバーン)を使用した。EOCの内部構成要素を保護するために、EOCの空気入口ポートを127μm厚シリコーン膜で最初に覆った。シリコーンは性能に何の影響も与えない十分に酸素透過性であった。直径7mm、高さ2mmの円筒形POREX(登録商標)材料を、EOCの1つの入口穴の上のシリコーン膜に取り付けた。次いで皮膚模擬材料(弾道ゲル:脱イオン水中12%ゼラチン)をEOCの表面上に流し込み、POREX(登録商標)材料の上部のみを露出させたままにした。
【0124】
各構成について、装置を1.6mAで最低20時間動作させた。両方の構成で、効率の指標である電圧は約18時間でピークに達し、約0.8Vで安定し(図14A)、これはEOCの許容基準内である。両方の構成で、酸素流量は約1.2SCCHで安定した(図14B)。ガス透過性コアを有する装置と対照との間に、性能の有意差はなかった。安定した電圧は、POREX(登録商標)材料の上面以外の全てが皮膚模擬材料で覆われていても、十分な酸素がガス拡散コアを介してEOCに届くことを示している。
【0125】
上述された本発明の実施形態は単に例示的であるよう意図されており、当業者は、本発明の精神から逸脱することなく、多くの変更および修正を行うことができる。このような変更および修正の全ては、添付請求項で定義される本発明の範囲に含まれるように意図される。
図1A
図1B
図1C
図1D
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図11A
図11B
図12A
図12B
図13
図14A
図14B