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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-13
(45)【発行日】2022-01-13
(54)【発明の名称】針手動後退式静脈内輸液針
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/158 20060101AFI20220105BHJP
   A61M 5/32 20060101ALI20220105BHJP
【FI】
A61M5/158 500H
A61M5/32 510H
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2019568060
(86)(22)【出願日】2018-06-08
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-07-30
(86)【国際出願番号】 CN2018090524
(87)【国際公開番号】W WO2018224045
(87)【国際公開日】2018-12-13
【審査請求日】2020-10-22
(31)【優先権主張番号】201710432400.3
(32)【優先日】2017-06-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】514218997
【氏名又は名称】王祖揚
【氏名又は名称原語表記】WANG,Zuyang
【住所又は居所原語表記】Room 301,No.25,Lane 99,Gold City Road,Changning District Shanghai 200336(CN)
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】王祖揚
【審査官】上石 大
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-094072(JP,A)
【文献】特表平06-500482(JP,A)
【文献】特開2001-259029(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0163095(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/158
A61M 5/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
針手動後退式静脈内輸液針であって、
円筒状部及びテールホルダー部を備え、前記円筒状部及び前記テールホルダー部が前後に配置されて且つ接続され、前記円筒状部が針管を取り付けるために使用され、前記テールホルダー部が輸送ホースに接続されるために使用される針ホルダーと、
針管と、
断面視で略C字形状であり、両端まで貫通する長尺状ブロックである内蔵スライドスリーブと、
両端まで貫通する長尺状の中空ハウジングである保護ハウジングと、を備え、
前記針管の末端は、前記円筒状部の内部に取り付けられ、前記針ホルダーの円筒状部は、前後にスライド可能に前記内蔵スライドスリーブの内部に取り付けられ、前記針ホルダーのテールホルダー部は、前記内蔵スライドスリーブの末端の外に位置し、前記内蔵スライドスリーブは、前後にスライド可能に前記保護ハウジングの内部に取り付けられ、前記針ホルダーは、前記保護ハウジングにロックでき、
前記針ホルダーと前記内蔵スライドスリーブとの間には、前記針ホルダーをロックするための第1ロック構造が設けられ、前記内蔵スライドスリーブと前記保護ハウジングとの間には、前記内蔵スライドスリーブをロックするための第2ロック構造が設けられ、前記針ホルダーと前記保護ハウジングとの間には、前記針ホルダーをロックするための第3ロック構造が設けられ、
前記針ホルダーと前記保護ハウジングのロック構造によるロックが解除されると、前記針ホルダーを後へ引いて、前記円筒状部を前記内蔵スライドスリーブのロック位置にスライドさせてロックし、前記針ホルダーを後へ引き続けて、前記内蔵スライドスリーブを前記保護ハウジングのロック位置にスライドさせてロックし、このとき、前記針管は、前記保護ハウジングにより完全に覆われ、且つ針先が露出しない、
前記第2ロック構造は、前記内蔵スライドスリーブに設けられる第2位置決め部と前記保護ハウジングの内壁に設けられる第2ロック部と、を備え、前記内蔵スライドスリーブが前記保護ハウジングのロック位置までスライドすると、前記第2位置決め部は、前記第2ロック部によりロックされて、前記内蔵スライドスリーブが前記保護ハウジングから抜けないようにし、
前記第2位置決め部は、それぞれ前記内蔵スライドスリーブの2つの軸方向断面に設けられる2つのボスを備え、前記第2ロック部は、2本の第2スライド溝と2つの第2弾性アームを備え、前記2本の第2スライド溝が前記保護ハウジングの軸方向に対称的に設けられ、前記2つの第2弾性アームがそれぞれ前記2本の第2スライド溝の後方部に設けられ、前記2つのボスがそれぞれ前記2本の第2スライド溝の長さ範囲でスライドするように制限され、
前記2つのボスがそれぞれ前記2本の第2スライド溝に沿って前記2本の第2スライド溝の末端までスライドする過程において、前記2つの第2弾性アームは、それぞれ前記2つのボスにより押されて弾性的に変形して前記2つのボスの通過を許容し、前記2つのボスがそれぞれ前記2本の第2スライド溝の末端に到着すると、前記2つの第2弾性アームの変形が戻り、前記2つのボスがロックされて逆方向にスライドできなくなる、
ことを特徴とする針手動後退式静脈内輸液針。
【請求項2】
前記第1ロック構造は、前記円筒状部の外壁に設けられる第1位置決め部と前記内蔵スライドスリーブの内壁に設けられる第1ロック部と、を備え、前記円筒状部が前記内蔵スライドスリーブのロック位置までスライドすると、前記第1位置決め部は、前記第1ロック部によりロックされて、前記円筒状部が前記内蔵スライドスリーブから抜けないようにする、
ことを特徴とする請求項1に記載の針手動後退式静脈内輸液針。
【請求項3】
前記第3ロック構造は、前記テールホルダー部に設けられる第3ロック部と前記保護ハウジングの外壁に設けられる第3位置決め部と、を備え、
前記第3ロック部が前記第3位置決め部にロックされたとき、前記テールホルダー部は、前記保護ハウジングにロックされ、前記内蔵スライドスリーブの先端は、前記保護ハウジングの内壁により制限され、前記内蔵スライドスリーブの末端は、前記テールホルダー部により制限され、
前記第3ロック部と前記第3位置決め部のロックが解除されると、前記針ホルダーを後へ引くことが可能になる、
ことを特徴とする請求項1に記載の針手動後退式静脈内輸液針。
【請求項4】
前記テールホルダー部は、テールホルダー主体と組み立て部と、を備え、前記テールホルダー主体が前記円筒状部に接続され、前記テールホルダー主体の側面が前記組み立て部に接続され、前記組み立て部が前記円筒状部の中心軸線に平行し、且つ前記保護ハウジングの外壁に密着して設けられ、前記組み立て部が側面から引かれ、
前記第3ロック部は、前記組み立て部に設けられ、前記第3ロック部は、凹溝を含み、前記第3位置決め部は、凸起を含み、側面から前記組み立て部を引くと、前記凹溝と前記凸起のロックが解除される、
ことを特徴とする請求項前記の針手動後退式静脈内輸液針。
【請求項5】
組み立て部に套設され、側面から引かれると、前記組み立て部が同期に引かれる翼片をさらに備える、
ことを特徴とする請求項に記載の針手動後退式静脈内輸液針。
【請求項6】
前記第3ロック構造は、前記円筒状部に設けられる第3位置決め部と前記保護ハウジングの内壁の先端に設けられる第3ロック部と、を備え、
前記第3位置決め部が前記第3ロック部によりロックされたとき、前記円筒状部は、前記保護ハウジングの内部にロックされ、前記内蔵スライドスリーブの先端は、前記保護ハウジングの内壁により制限され、前記内蔵スライドスリーブの末端は、前記テールホルダー部により制限され、
前記第3位置決め部と前記第3ロック部のロックが解除されると、前記円筒状部を前記内蔵スライドスリーブの内部から引き出せる、
ことを特徴とする請求項1に記載の針手動後退式静脈内輸液針。
【請求項7】
前記第3位置決め部は、前記円筒状部の外壁の先端に対称的に設けられる2つのサイドスライダーを備え、前記第3ロック部は、前記保護ハウジングの内壁の先端に対称的に設けられる2つの弾性変形可能な斜面ボスを備え、
前記2つのサイドスライダーがそれぞれ前記2つの斜面ボスによりロックされたとき、前記円筒状部は、前記保護ハウジングの内部にロックされるとともに、前記内蔵スライドスリーブは、前記テールホルダー部により制限され、
前記円筒状部が後へ引かれると、前記2つのサイドスライダーは、それぞれ前記2つの斜面ボスを押して、前記2つの斜面ボスが弾性的に変形し、前記2つのサイドスライダーがそれぞれ前記2つの斜面ボス上を摺動し、前記針ホルダーが前記保護ハウジングの内部から後へ引ける、
ことを特徴とする請求項に記載の針手動後退式静脈内輸液針。
【請求項8】
前記テールホルダー部に套設され、片翼翼片又は両翼翼片であり、前記両翼翼片の場合、2つの翼片が対称的に設けられ、且つ折り畳まれると一体に重なる翼片をさらに備え、
手で翼片を把持して後へ引くとき、前記針ホルダーは同期して引かれる、
ことを特徴とする請求項に記載の針手動後退式静脈内輸液針。
【請求項9】
前記第3ロック構造は、前記テールホルダー部に設けられる第3位置決め部と前記保護ハウジングの末端に設けられる第3ロック部と、を備え、
前記第3位置決め部が前記第3ロック部によりロックされたとき、前記テールホルダー部は、前記保護ハウジングの末端にロックされ、前記内蔵スライドスリーブの先端は、前記保護ハウジングの内壁により制限され、前記内蔵スライドスリーブの末端は、前記テールホルダー部により制限され、
前記第3位置決め部と前記第3ロック部のロックが解除されると、前記テールホルダー部は後へ引ける、
ことを特徴とする請求項1に記載の針手動後退式静脈内輸液針。
【請求項10】
前記テールホルダー部は、テールホルダー主体と2つの押圧部と、を備え、前記テールホルダー主体が前記円筒状部に接続され、前記2つの押圧部がそれぞれ前記テールホルダー主体の両側に接続され、前記2つの押圧部がいずれも前記円筒状部の中心軸線に平行し、前記2つの押圧部が対向して押圧可能であり、
前記第3位置決め部は、それぞれ前記2つの押圧部の先端に設けられる2つのフックを備え、前記第3ロック部は、それぞれ前記保護ハウジングの末端の両側に設けられる2つの係合溝を備え、
手で両側の押圧部を把持して対向して押圧するとき、前記2つのフックのそれぞれと前記2つの係合溝のロックが解除される、
ことを特徴とする請求項に記載の針手動後退式静脈内輸液針。
【請求項11】
前記保護ハウジングに套設され、片翼翼片又は両翼翼片であり、前記両翼翼片の場合、2つの翼片が対称的に設けられ、且つ折り畳まれると一体に重なる翼片をさらに備える、
ことを特徴とする請求項10に記載の針手動後退式静脈内輸液針。
【請求項12】
前記保護ハウジングは、上保護ハウジングと下保護ハウジングが結合されてなり、前記内蔵スライドスリーブは、前記上保護ハウジングの内部に取り付けられ、前記内蔵スライドスリーブの2つの軸方向断面は、前記下保護ハウジングの内壁に密着している、
ことを特徴とする請求項1-11のいずれか1項に記載の針手動後退式静脈内輸液針。
【請求項13】
前記針管から前記下保護ハウジングの外壁までの垂直方向の最大距離は、1.5mm以下である、
ことを特徴とする請求項12に記載の針手動後退式静脈内輸液針。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療機器の技術分野に関し、特に針手動後退式静脈内輸液針に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、国内外の市場で幅広く使用されている安全機能付きの使い捨て輸液針の製品の種類
が不十分である。その主な原因は、輸液針の体積が極めて小さく、輸液針に安全装置を増
設すると輸液針に対する技術的要求及び使用の利便性の目的を達成させにくい。現在、市
場で効果的に使用されている安全機能付き輸液針は、米国のベクトン・ディッキンソン・
アンド・カンパニー社製のホースカバー式輸液針である。その原理は、付属している輸液
針の末端部における外側ホースを利用して、輸液が終了した後、輸液針を抜き出して外側
ホースを針部まで押して針をカバーすることにより保護機能を果たすことである。この製
品は、構造が単純であるとともに、輸液針に対する技術的要求を満たせるが、使用しにく
く、且つ使用過程において患者や使用者に対して安全上のリスクがある。従来の革新的な
発明による安全機能付き輸液針は、輸液針に対する技術的要求及び使用の利便性(たとえ
ば、体積が大きすぎる)を両立できず、市場では大幅に普及させて使用するものが極めて
少ない。
【0003】
安全機能付き輸液針に対する重要な技術的要求は、主に以下のとおりである。
1)針管と針ホルダーの底部との垂直方向での距離は、1.5mm以下であり、そうでは
ない場合、針管と針管ベースとの間に大きな傾斜角が発生して針先による血管の突き刺し
を引き起こしやすい。
2)輸液針は、長期的に患者の手の甲に固定されるため、体積が大きすぎると、使用しに
くいとともに、患者へ不快さなどを与える。
【0004】
市場において幅広く使用されている従来の輸液針は、針管を抜き出す際に、操作者がハン
ドルを起立させて把持して針管を抜き出すが、この操作をするときに針管が血管の内部で
回動し、針先が血管を損傷するリスクがある(よく輸液をする患者が静脈炎に罹患しやす
い原因の1つ)。使用済みの汚染針管が外部へ露出しているため、針刺しや二次被害を引
き起こして、さらに交差感染のリスクをもたらす。
【0005】
上記ベクトン・ディッキンソン・アンド・カンパニー社製のホース式安全機能付き輸液針
は、使用しにくいだけでなく、二次被害、及び針管を抜き出すときに患者の血管へ損傷を
与えるリスクがある。
【0006】
ほかの安全機能付き輸液針のさまざまな革新的な設計に関しては、一般に、以下の問題又
は技術的難問がある。
1)輸液針に対する技術的要求及び安全性の要求を満たすとともに、小型化設計及び優れ
ている使用性を両立できない。或いは、良好な設計を有するものの、工業的な量産が実現
されにくいことも原因の1つである。
【0007】
上記問題を解決するために、本発明の目的は、以下のとおりである。
【0008】
1.安全な輸液:
1)輸液するときに患者に対して与え得る血管損傷のリスクをできるだけ減少させる。
2)医療スタッフが操作するときに針により突き刺さたり交差感染を受けたりするリスク
をできるたけ防止する。
3)医療廃棄物の処置過程における潜在的な二次被害及び環境汚染を防止する。
【0009】
2.製品の小型化設計:
1)革新的な構造を設計することにより製品の小型化を実現し、輸液に対する技術的要求
及び患者による快適さを満たす。
2)使用者の操作習慣を変える必要がないため、より快適且つ簡便に使用できる。
【0010】
3.生産プロセスの簡素化:
1)製品は、設計がコンパクトで簡単であり、生産プロセスがシンプルであり、量産が実
現されやすい。
2)製品の品質及び安全性を大幅に向上させるとともに、生産コストを顕著に削減させる
【発明の概要】
【0011】
上記目的を達成させるために、本発明の一態様は、針手動後退式静脈内輸液針を提供し、
円筒状部及びテールホルダー部を備え、円筒状部及びテールホルダー部が前後に配置され
て且つ接続され、円筒状部が針管を取り付けるために使用され、テールホルダー部が輸送
ホースに接続されるために使用される針ホルダーと、
針管と、
断面視で略C字形状であり、両端まで貫通する長尺状ブロックである内蔵スライドスリー
ブと、
両端まで貫通する長尺状の中空ハウジングである保護ハウジングと、を備え、
針管の末端は、円筒状部の内部に取り付けられ、針ホルダーの円筒状部は、前後にスライ
ド可能に内蔵スライドスリーブの内部に取り付けられ、針ホルダーのテールホルダー部は
、内蔵スライドスリーブの末端の外に位置し、内蔵スライドスリーブは、前後にスライド
可能に保護ハウジングの内部に取り付けられ、針ホルダーは、保護ハウジングにロックで
き、
針ホルダーと内蔵スライドスリーブとの間には、針ホルダーをロックするための第1ロッ
ク構造が設けられ、内蔵スライドスリーブと保護ハウジングとの間には、内蔵スライドス
リーブをロックするための第2ロック構造が設けられ、針ホルダーと保護ハウジングとの
間には、針ホルダーをロックするための第3ロック構造が設けられ、
針ホルダーと保護ハウジングのロック構造によるロックが解除されると、針ホルダーを後
へ引いて、円筒状部を内蔵スライドスリーブのロック位置にスライドさせてロックし、針
ホルダーを後へ引き続けて、内蔵スライドスリーブを保護ハウジングのロック位置にスラ
イドさせてロックし、このとき、針管は、保護ハウジングにより完全に覆われ、且つ針先
が露出しない。
【0012】
さらに、第1ロック構造は、円筒状部の外壁に設けられる第1位置決め部と内蔵スライド
スリーブの内壁に設けられる第1ロック部と、を備え、円筒状部が内蔵スライドスリーブ
のロック位置までスライドすると、第1位置決め部は、第1ロック部によりロックされて
、円筒状部が内蔵スライドスリーブから抜けないようにする。
【0013】
好ましくは、第1位置決め部は、スライダーを備え、第1ロック部は、長溝孔と第1弾性
アームと、を備え、長溝孔が内蔵スライドスリーブの軸方向に設けられ、第1弾性アーム
が長溝孔の後方部に設けられ、スライダーが長溝孔の長さ範囲でスライドするように制限
され、
スライダーが長溝ブロックに沿って長溝孔の末端までスライドする過程において、第1弾
性アームは、スライダーにより押されて弾性的に変形してスライダーの通過を許容し、ス
ライダーが長溝孔の末端に到着すると、第1弾性アームの変形が戻り、スライダーがロッ
クされて逆方向にスライドできなくなる。
【0014】
より好ましくは、第1位置決め部は、それぞれスライダーの両側に設けられる2つのサイ
ドスライダーをさらに備え、第1ロック部は、2本の第1スライド溝をさらに備え、2本
の第1スライド溝のそれぞれが内蔵スライドスリーブの軸方向にスライド溝孔の両側に設
けられ、2つのサイドスライダーがそれぞれ2本の第1スライド溝の長さ範囲でスライド
するように制限され、円筒状部が径方向に沿って内蔵スライドスリーブから抜けないよう
にする。
【0015】
さらに、第2ロック構造は、内蔵スライドスリーブに設けられる第2位置決め部と保護ハ
ウジングの内壁に設けられる第2ロック部と、を備え、内蔵スライドスリーブが保護ハウ
ジングのロック位置までスライドすると、第2位置決め部は、第2ロック部によりロック
されて、内蔵スライドスリーブが保護ハウジングから抜けないようにする。
【0016】
好ましくは、第2位置決め部は、それぞれ内蔵スライドスリーブの2つの軸方向断面に設
けられる2つのボスを備え、第2ロック部は、2本の第2スライド溝と2つの第2弾性ア
ームを備え、2本の第2スライド溝が保護ハウジングの軸方向に対称的に設けられ、2つ
の第2弾性アームがそれぞれ2本の第2スライド溝の後方部に設けられ、2つのボスがそ
れぞれ2本の第2スライド溝の長さ範囲でスライドするように制限され、
2つのボスがそれぞれ2本の第2スライド溝に沿って2本の第2スライド溝の末端までス
ライドする過程において、2つの第2弾性アームは、それぞれ2つのボスにより押されて
弾性的に変形して2つのボスの通過を許容し、2つのボスがそれぞれ2本の第2スライド
溝の末端に到着すると、2つの第2弾性アームの変形が戻り、2つのボスがロックされて
逆方向にスライドできなくなる。
【0017】
さらに、第3ロック構造は、テールホルダー部に設けられる第3ロック部と保護ハウジン
グの外壁に設けられる第3位置決め部と、を備え、
第3ロック部が第3位置決め部にロックされたとき、テールホルダー部は、保護ハウジン
グにロックされ、内蔵スライドスリーブの先端は、保護ハウジングの内壁により制限され
、内蔵スライドスリーブの末端は、テールホルダー部により制限され、
第3ロック部と第3位置決め部のロックが解除されると、針ホルダーを後へ引くことが可
能になる。
【0018】
好ましくは、テールホルダー部は、テールホルダー主体と組み立て部と、を備え、テール
ホルダー主体が円筒状部に接続され、テールホルダー主体の側面が組み立て部に接続され
、組み立て部が円筒状部の中心軸線に平行し、且つ保護ハウジングの外壁に密着して設け
られ、組み立て部が側面から引かれ、
第3ロック部は、組み立て部に設けられ、第3ロック部は、凹溝を含み、第3位置決め部
は、凸起を含み、側面から組み立て部を引くと、凹溝と凸起のロックが解除される。
【0019】
より好ましくは、組み立て部に套設され、側面から引かれると、組み立て部が同期に引か
れる翼片をさらに備える。
【0020】
さらに、第3ロック構造は、円筒状部に設けられる第3位置決め部と保護ハウジングの内
壁の先端に設けられる第3ロック部と、を備え、
第3位置決め部が第3ロック部によりロックされたとき、円筒状部は、保護ハウジングの
内部にロックされ、内蔵スライドスリーブの先端は、保護ハウジングの内壁により制限さ
れ、内蔵スライドスリーブの末端は、テールホルダー部により制限され、
第3位置決め部と第3ロック部のロックが解除されると、円筒状部を内蔵スライドスリー
ブの内部から引き出せる。
【0021】
好ましくは、第3位置決め部は、円筒状部の外壁の先端に対称的に設けられる2つのサイ
ドスライダーを備え、第3ロック部は、保護ハウジングの内壁の先端に対称的に設けられ
る2つの弾性変形可能な斜面ボスを備え、
2つのサイドスライダーがそれぞれ2つの斜面ボスによりロックされたとき、円筒状部は
、保護ハウジングの内部にロックされるとともに、内蔵スライドスリーブは、テールホル
ダー部により制限され、
円筒状部が後へ引かれると、2つのサイドスライダーは、それぞれ2つの斜面ボスを押し
て、2つの斜面ボスが弾性的に変形し、2つのサイドスライダーがそれぞれ2つの斜面ボ
ス上を摺動し、針ホルダーが保護ハウジングの内部から後へ引ける。
【0022】
より好ましくは、テールホルダー部に套設され、片翼翼片又は両翼翼片であり、両翼翼片
の場合、2つの翼片が対称的に設けられ、且つ折り畳まれると一体に重なる翼片をさらに
備え、
手で翼片を把持して後へ引くとき、針ホルダーは同期して引かれる。
【0023】
さらに、第3ロック構造は、テールホルダー部に設けられる第3位置決め部と保護ハウジ
ングの末端に設けられる第3ロック部と、を備え、
第3位置決め部が第3ロック部によりロックされたとき、テールホルダー部は、保護ハウ
ジングの末端にロックされ、内蔵スライドスリーブの先端は、保護ハウジングの内壁によ
り制限され、内蔵スライドスリーブの末端は、テールホルダー部により制限され、
第3位置決め部と第3ロック部のロックが解除されると、テールホルダー部は後へ引ける
【0024】
好ましくは、テールホルダー部は、テールホルダー主体と2つの押圧部と、を備え、テー
ルホルダー主体が円筒状部に接続され、2つの押圧部がそれぞれテールホルダー主体の両
側に接続され、2つの押圧部がいずれも円筒状部の中心軸線に平行し、2つの押圧部が対
向して押圧可能であり、
第3位置決め部は、それぞれ2つの押圧部の先端に設けられる2つのフックを備え、第3
ロック部は、それぞれ保護ハウジングの末端の両側に設けられる2つの係合溝を備え、
手で両側の押圧部を把持して対向して押圧するとき、2つのフックのそれぞれと2つの係
合溝のロックが解除される。
【0025】
より好ましくは、保護ハウジングに套設され、片翼翼片又は両翼翼片であり、両翼翼片の
場合、2つの翼片が対称的に設けられ、且つ折り畳まれると一体に重なる翼片をさらに備
える。
【0026】
さらに、保護ハウジングは、型開きに有利となるように、上保護ハウジングと下保護ハウ
ジングが結合されてなり、内蔵スライドスリーブは、上保護ハウジングの内部に取り付け
られ、内蔵スライドスリーブの2つの軸方向断面は、下保護ハウジングの内壁に密着して
いる。
【0027】
またさらに、針管と針管ベースとの間に大きな傾斜角が発生して針先が血管を突き出すこ
とがないように、針管から下保護ハウジングの外壁までの垂直方向の最大距離は、1.5
mm以下である。上保護ハウジングと下保護ハウジングの別体式設計により、針管から下
保護ハウジングの外周面までの垂直方向の最大距離を1.5mm以下にすることが可能に
なる。
【0028】
本発明では、特別に設計された針ホルダー、針ホルダーと嵌合する安全保護ハウジング及
び針ホルダーと保護ハウジングの間に位置する内蔵スライドスリーブによって、安全機能
付き輸液針の本体構造が構成される。注入を始めるとき、一般的な穿刺針を用いる場合と
同様に操作して静脈を穿刺し、輸液が終了した後、片手で安全ハウジングを押さえて、他
方の手で針ホルダーの組み立て部又はテールホルダー部を把持して、針ホルダーの組み立
て部又はテールホルダー部と保護ハウジングとのロックを解除して分離し、次に、一般的
な針抜き方法によって針管を患者の体内から抜き出し、針ホルダーが内蔵スライドスリー
ブから制限部位まで引かれ、内蔵スライドスリーブが保護ハウジングから制限部位まで引
かれると、針管は、完全に保護ハウジングに後退し、針ホルダーは被ロックされて前後に
移動できなくなり、それによって、安全に使用できるという目的を達成させる。
【0029】
本発明の利点は、主に以下のとおりである。
1.針刺し及び交差感染の防止:
1)輸液するときに患者に対して与え得る血管損傷のリスクをできるだけ減少させる。
2)医療スタッフが操作するときに針により突き刺さたり交差感染を受けたりするリスク
をできるたけ防止する。
3)医療廃棄物の処置過程における潜在的な二次被害及び環境汚染を防止する。
【0030】
2.製品の小型化設計:
1)針ホルダー、内蔵スライドスリーブ及び保護ハウジングからなる三段構造とし、針ホ
ルダー及び保護ハウジングのロックには、側面ロック、先端ロック及び末端ロックの3種
類の方式があり、構造の革新により製品の小型化設計を実現し、輸液に対する技術的要求
及び患者による快適さを満たす。
2)使用者の操作習慣を変える必要がないため、より快適且つ簡便に使用できる。
【0031】
3.生産プロセスの簡素化:
1)製品は、設計がコンパクトで簡単であり、生産プロセスがシンプルであり、量産が実
現されやすい。
1)製品の品質及び安全性を大幅に向上させるとともに、生産コストを顕著に削減させる

【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】実施例1の針手動後退式静脈内輸液針の構造模式図である。
図2】実施例1の針手動後退式静脈内輸液針の針ホルダーの構造模式図である。
図3】実施例1の針手動後退式静脈内輸液針の内蔵スライドスリーブの構造模式図である。
図4】実施例1の針手動後退式静脈内輸液針の内蔵スライドスリーブの下面模式図である。
図5】実施例1の針手動後退式静脈内輸液針の上保護ハウジングの構造模式図である。
図6】実施例1の針手動後退式静脈内輸液針の上保護ハウジングのA矢視図である。
図7】実施例1の針手動後退式静脈内輸液針の下保護ハウジングの構造模式図である。
図8】実施例1の針手動後退式静脈内輸液針の翼片の構造模式図である。
図9】実施例1の針手動後退式静脈内輸液針の使用前の閉合状態の構造模式図である。
図10】実施例1の針手動後退式静脈内輸液針の使用後の展開状態の構造模式図である。
図11】実施例2の針手動後退式静脈内輸液針の構造模式図である。
図12】実施例2の針手動後退式静脈内輸液針の部分縦断面模式図である。
図13】実施例2の針手動後退式静脈内輸液針の局部断面模式図である。
図14】実施例3の針手動後退式静脈内輸液針の使用前の閉合状態の構造模式図である。
図15】実施例3の針手動後退式静脈内輸液針の使用後の展開状態の構造模式図である。
図16】実施例4の針手動後退式静脈内輸液針の使用前の閉合状態の上面構造模式図である。
図17】実施例4の針手動後退式静脈内輸液針の使用前の閉合状態の構造模式図である。
図18】実施例4の針手動後退式静脈内輸液針の使用後の展開状態の構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、明細書の図面を参照しながら本発明のいくつかの好適実施例を説明し、例を挙げて
本発明が実施可能であることを確認し、明細書に本発明を完全に説明して、その技術的内
容をより明瞭で理解しやすくする。本発明は、多数の異なる形態の実施例によって実施可
能であり、その保護範囲は、明細書に記載の実施例に制限されず、本明細書の図面及び説
明は、あくまで例示的に説明するためであり、本発明を制限するものではない。図面では
、構造が同じ部件は、同じ数字の符号で表され、各構造又は機能が同じユニットは、類似
した数字の符号で表される。
【0034】
実施例1
図1及び図2に示されるように、針手動後退式静脈内輸液針は、円筒状部11及びテール
ホルダー部12を備え、前記円筒状部11及びテールホルダー部12が前後に配置されて
且つ接続され、円筒状部11が中空円筒形を呈し、針管2を取り付けるために使用され、
前記テールホルダー部12の直径が円筒状部11の直径より大きく、テールホルダー部1
2が輸送ホースを接続することに用いられる針ホルダー1と、先端が前方へ延びており、
末端が円筒状部11の内部に取り付けられる針管2と、円筒状部11を内部に前後にスラ
イド可能且つ取り外し可能に取り付け、テールホルダー部12を常に末端の外に保持する
内蔵スライドスリーブ3と、両端まで貫通する長尺状の中空ハウジングであり、内蔵スラ
イドスリーブ3を内部に前後にスライド可能に取り付け、針ホルダー1がロックされた保
護ハウジング4と、を備え、円筒状部11と内蔵スライドスリーブ3との間には、円筒状
部11をロックするための第1ロック構造が設けられ、内蔵スライドスリーブ3と保護ハ
ウジング4との間には、内蔵スライドスリーブ3をロックするための第2ロック構造が設
けられ、針ホルダー1と保護ハウジング4との間には、針ホルダー1をロックするための
第3ロック構造が設けられる。針ホルダー1と保護ハウジング4のロック構造によるロッ
クが解除されると、針ホルダー1を後へ引いて、円筒状部11を内蔵スライドスリーブ3
のロック位置にスライドさせてロックし、針ホルダー1を後へ引き続けて、内蔵スライド
スリーブ3を保護ハウジング4のロック位置にスライドさせてロックし、このとき、針管
2は、保護ハウジング4により完全に覆われ、且つ針先が露出しない。
【0035】
前記第1ロック構造は、第1位置決め部と第1ロック部と、を備える。図2に示されるよ
うに、前記円筒状部11の外壁の先端には、第1位置決め部が設けられ、第1位置決め部
は、スライダー13を備える。図3及び図4に示されるように、前記内蔵スライドスリー
ブ3は、断面視で略C字形状であり、両端まで貫通する長尺状ブロックであり、内蔵スラ
イドスリーブ3の内壁には、第1ロック部が設けられ、第1ロック部は、長溝孔31と第
1弾性アーム32と、を備え、長溝孔31は、内蔵スライドスリーブ3の軸方向に設けら
れ、且つ内蔵スライドスリーブ3の幅方向の正中線に位置し、第1弾性アーム32は、長
溝孔31の後方部に設けられ、具体的には、長溝孔31の末端は、幅が小さくなっていく
末端貫通孔311となり、末端貫通孔311は、曲がって長溝孔31の先端へ延びること
で、フック状貫通孔312となり、それによって、末端貫通孔311には、第1弾性アー
ム32が形成されている。前記スライダー13は、長溝孔31の長さ範囲でスライドする
ように制限され、スライダー13が長溝ブロックに沿って長溝孔31の末端までスライド
する過程において、第1弾性アーム32は、スライダー13により押されて弾性的に変形
してスライダー13の通過を許容し、スライダー13が長溝孔31の末端に到着すると、
第1弾性アーム32の変形が戻り、スライダー13が内蔵スライドスリーブ3の軸線方向
にロックされて逆方向にスライドできなくなる。円筒状部11と内蔵スライドスリーブ3
がロックされると、テールホルダー部12を後へ引き続けて、内蔵スライドスリーブ33
の末端を保護ハウジング46から離脱させる。
【0036】
図2に示されるように、第1位置決め部は、スライダー13の両側に対称的に設けられる
2つのサイドスライダー14を備える。図3及び図4に示されるように、第1ロック部は
、2本の第1スライド溝33をさらに備える、2本の第1スライド溝33は、内蔵スライ
ドスリーブ3の軸方向に設けられ、且つスライド溝123の孔の両側に対称的に設けられ
、2つのサイドスライダー14は、それぞれ2本の第1スライド溝33の長さ範囲でスラ
イドするように制限される。円筒状部11が内蔵スライドスリーブ3に取り付けられたと
き、円筒状部11は、径方向の移動を制限されて、径方向に沿って内蔵スライドスリーブ
3から抜けることができず、このようにして、円筒状部11と内蔵スライドスリーブ3の
組立構造がより安定的になる。
【0037】
前記第2ロック構造は、第2位置決め部と第2ロック部と、を備える。図3に示されるよ
うに、前記内蔵スライドスリーブ3には、第2位置決め部が設けられ、第2位置決め部は
、それぞれ内蔵スライドスリーブ3の2つの軸方向断面に設けられる2つのボス34を備
える。図1図5図7に示されるように、保護ハウジング4は、上保護ハウジング41
と下保護ハウジング42が結合されてなり、上保護ハウジング41及び下保護ハウジング
42は、断面視で略U字形状であり、具体的には、図7に示されるように、前記下保護ハ
ウジング42の内壁には、第2ロック部が設けられ、第2ロック部は、2本の第2スライ
ド溝123(第2スライド溝123は、下保護ハウジング42の内側にあるため、図示し
ない)と2つの第2弾性アーム421と、を備え、2本の第2スライド溝123が、下保
護ハウジング42の軸方向に対称的に設けられ、2つの第2弾性アーム421が、それぞ
れ2本の第2スライド溝123の後方部に設けられる。図10に示されるように、内蔵ス
ライドスリーブ3は、上保護ハウジング41の内部に取り付けられ、内蔵スライドスリー
ブ3の2つの軸方向断面が、下保護ハウジング42の内壁に密着しており、2つのボス3
4は、それぞれ2本の第2スライド溝123の長さ範囲でスライドするように制限される
。2つのボス34がそれぞれ2本の第2スライド溝123に沿って2本の第2スライド溝
123の末端までスライドする過程において、2つの第2弾性アーム421は、それぞれ
2つのボス34により押されて弾性的に変形して2つのボス34の通過を許容し、2つの
ボス34がそれぞれ2本の第2スライド溝123の末端に到着すると、2つの第2弾性ア
ーム421の変形が戻り、2つのボス34がロックされて逆方向にスライドできなくなる
【0038】
本実施例では、第3ロック構造は、針ホルダー1と保護ハウジング4の側面がロックする
というロック方式を取る。前記第3ロック構造は、第3位置決め部と第3ロック部と、を
備える。図7に示されるように、前記下保護ハウジング42の外壁には、第3位置決め部
が設けられ、第3位置決め部は、三角形状の凸起422である。図2図9及び図10
示されるように、前記テールホルダー部12には、第3ロック部が設けられ、テールホル
ダー部12は、テールホルダー主体121と組み立て部122と、を備え、テールホルダ
ー主体121が、円筒状部11に接続され、テールホルダー主体121の側面が組み立て
部122に接続され、組み立て部122が、円筒状部11の中心軸線に平行し、且つ保護
ハウジング4の外壁に密着して設けられ、組み立て部122が側面から引かれ、第3ロッ
ク部は、組み立て部122に設けられ、三角形状の凹溝123を備え、具体的には、前記
組み立て部122は、制限部1221とロッド部1222と、を備え、前記制限部122
1の両端が、それぞれテールホルダー主体121及びロッド部1222に接続され、前記
ロッド部1222が自由端となり、前記凹溝123が制限部1221に設けられる。凹溝
123が凸起422を係止すると、テールホルダー部12は、保護ハウジング4にロック
されるとともに、内蔵スライドスリーブ3の先端は、保護ハウジング1の内壁により制限
され、内蔵スライドスリーブ3の末端は、テールホルダー部12により制限され、側面か
ら組み立て部122を引くと、凹溝123と凸起422のロックが解除され、針ホルダー
1のテールホルダー部12が保護ハウジング4に対してロック解除され、後へ引くことが
できる。
【0039】
図8に示されるように、組み立て部122に套設され、側面から引かれると、組み立て部
122が同期に引かれる翼片5をさらに備える。具体的には、前記翼片5は、互いに接続
された軸ブッシュ51と翼状片52と、を備え、前記軸ブッシュ51が、組み立て部12
2のロッド部1222に回転可能に套設されている。翼片5は、弾性プラスチック材質で
あり、翼状片52の表面には、滑り止めの点から、粒子状の突起や模様などの滑り止め構
造が設けられてもよい。このような構造によって、血管の内部での針管2の回動を回避し
、針先による血管損傷のリスクを避け、よく輸液をする患者が静脈炎に罹患する可能性を
低減させる。
【0040】
図1図9図10に示されるように、円筒状部11が内蔵スライドスリーブ3に収納さ
れ、内蔵スライドスリーブ3が保護ハウジング4に収納されるように、円筒状部11、内
蔵スライドスリーブ3、保護ハウジング4の長さは、すべて合わせている。
【0041】
針管2から下保護ハウジング42の外壁までの垂直方向の最大距離は、1.2mmである
。なお、針管2と針管2ベースとの間に大きな傾斜角が発生して針先による血管の突刺し
を引き起こしやすいことを防止するために、針管2の中心軸線と針ホルダー1の底部との
垂直方向の距離をできるだけ減少させ、内蔵スライドスリーブ3は、断面視で略C字形状
であり、両端まで貫通する長尺状ブロックとして設計され、保護ハウジング4は、型開き
して生産することに有利な上保護ハウジング41と下保護ハウジング42に分割され、組
み立てるとき、内蔵スライドスリーブ3を上保護ハウジング41の内部に取り付け、内蔵
スライドスリーブ3の2つの軸方向断面を下保護ハウジング42の内壁に密着させ、針管
2の軸線から下保護ハウジング42の外壁までの垂直方向の最大距離を1.5mm以下に
設定することを可能にする。
【0042】
本実施例の針手動後退式静脈内輸液針を組み立てるステップは、以下のとおりである
1)針ホルダー1を組み立て、具体的には、針管2を針ホルダー1の先端に取り付け、選
択的に針管2の外部にプロテクター6を套設し、翼片5をテールホルダー部12の組み立
て部122に套設する。
2)針ホルダー1の円筒状部11を内蔵スライドスリーブ3に係着し、テールホルダー部
12を内蔵スライドスリーブ3の末端の外にする。
3)組み立てられた内蔵スライドスリーブ3及び針ホルダー1を上保護ハウジング41の
内部にセットする。
4)下保護ハウジング42をセットして上保護ハウジング41と結合して保護ハウジング
4を構成し、このとき、下保護ハウジング42の第3位置決め部とテールホルダー部12
の組み立て部122における第3ロック部とをロックして針ホルダー1を保護ハウジング
4にロックする。
【0043】
使用方法
針を抜き出すときに、一方の手で保護ハウジング4を押さえて、他方の手で組み立て部1
22における翼片5を把持して外へ軽く引いて、組み立て部122における第3ロック部
と下保護ハウジング42における第3位置決め部のロックを解除し、翼状片52を後へ引
き続けて、針ホルダー1を内蔵スライドスリーブ3からロック位置まで引いてロックし、
それに連動して、内蔵スライドスリーブ3を保護ハウジング4からロック位置まで引いて
ロックし、図10に示されるように、このとき、針ホルダー1及び内蔵スライドスリーブ
3のいずれも前後に移動できなくなり、針管2全体が保護ハウジング4の内部に後退し、
針管2が患者の体外へ抜き出され、それ以外、図9に示されるように、使用するときに従
来の採血針と同様に操作する。
【0044】
実施例2
図11~13に示されるように、実施例1に比べて、本実施例の相違点は、第3ロック構
造として針ホルダー1と保護ハウジング4の先端がロックするというロック方式を取るこ
とにある。前記第3ロック構造は、第3位置決め部と第3ロック部と、を備える。図2
示されるように、前記円筒状部11の外壁の先端には、第3位置決め部が設けられ、第3
位置決め部は、対称的に設けられる2つのサイドスライダー14を備え、なお、第3位置
決め部の2つのサイドスライダー14は、第1位置決め部の2つのサイドスライダー14
である。図12に示されるように、前記下保護ハウジング42の内壁の先端には、第3ロ
ック部が設けられ、第3ロック部は、対称的に設けられる2つの弾性変形可能な斜面ボス
423を備える。2つのサイドスライダー14がそれぞれ2つの斜面ボス423によりロ
ックされたとき、円筒状部11は、保護ハウジング4の内部にロックされるとともに、内
蔵スライドスリーブ3は、テールホルダー部12によりロックされ、円筒状部11が後へ
引かれると、2つのサイドスライダー14は、それぞれ2つの斜面ボス423を押して、
2つの斜面ボス423が弾性的に変形し、2つのサイドスライダー14がそれぞれ2つの
斜面ボス423上を摺動し、針ホルダー1が保護ハウジング4の内部から後へ引かれる。
【0045】
図11に示されるように、テールホルダー部12に套設され、片翼翼片又は両翼翼片であ
る翼片5をさらに備え、図には、両翼翼片の場合のみが示されており、両翼翼片の2つの
翼片は、対称的に設けられ、且つ折り畳まれると一体に重なり、このような構造とするこ
とによって、血管の内部での針管2の回動を避け、針先による血管損傷のリスクを低減さ
せ、よく輸液をする患者が静脈炎に罹患する可能性を減少させ、手で翼片5を把持して後
へ引くと、針ホルダー1のテールホルダー部12は同期に引かれる。
【0046】
本実施例では、針管2から下保護ハウジング42の外周面までの垂直方向の最大距離は、
1.3mmである。
【0047】
本実施例の針手動後退式静脈内輸液針を組み立てるステップは、以下のとおりである。
1)針ホルダー1を組み立て、具体的には、針管2を針ホルダー1の先端に取り付け、選
択的に針管2の外部にプロテクター6を套設し、翼片5をテールホルダー部12に套設す
る。
2)針ホルダー1の円筒状部11を内蔵スライドスリーブ3に係着し、テールホルダー部
12及び翼片5を内蔵スライドスリーブ3の外にする。
3)組み立てられた内蔵スライドスリーブ3及び針ホルダー1を上保護ハウジング41の
内部にセットする。
4)下保護ハウジング42をセットして上保護ハウジング41と結合して保護ハウジング
4を構成し、このとき、下保護ハウジング42の第3ロック部と円筒状部11の第3位置
決め部がロックされて針ホルダー1を保護ハウジング4にロックする。
【0048】
使用方法
針を抜き出すとき、片手で住保護ハウジング4を押さえて、他方の手で翼片5を把持して
後へ引き、円筒状部11の外壁の先端の2つのサイドスライダー14でそれぞれ2つの斜
面ボス423の斜面を押すことで、2つの斜面ボス423が弾性的に変形し、2つのサイ
ドスライダー14のそれぞれが2つの斜面ボス423と離脱し、翼片5を後へ引き続けて
、針ホルダー1を内蔵スライドスリーブ3からロック位置まで引いてロックし、それに連
動して、内蔵スライドスリーブ3を保護ハウジング4からロック位置まで引いてロックし
、このとき、針ホルダー1及び内蔵スライドスリーブ3のいずれも前後に移動できなくな
り、針管2全体が保護ハウジング4の内部に後退し、針管2が患者の体外へ抜き出され、
それ以外、図11に示されるように、使用するときに従来の採血針と同様に操作する。
【0049】
実施例3
図14及び図15に示されるように、上記2つの実施例に比べて、本実施例の相違点は、
第3ロック構造として針ホルダー1と保護ハウジング4の後端がロックするというロック
方式を取ることにある。前記第3ロック構造は、第3位置決め部と第3ロック部と、を備
える。図15に示されるように、前記テールホルダー部12には、第3位置決め部が設け
られ、テールホルダー部12は、テールホルダー主体121と2つの押圧部124と、を
備え、テールホルダー主体121が円筒状部11に接続され、2つの押圧部124がそれ
ぞれテールホルダー主体121の両側に接続され、2つの押圧部124のいずれも円筒状
部11の中心軸線に平行し、2つの押圧部124が対向して押圧可能であり、第3位置決
め部は、それぞれ2つの押圧部124の先端に設けられる2つのフック125を備え、前
記下保護ハウジング42の末端には、第3ロック部が設けられ、第3ロック部は、それぞ
れ保護ハウジング4の末端の両側に設けられる2つの係合溝424を備える。2つのフッ
ク125がそれぞれ2つの係合溝424に係合されると、テールホルダー部12は、保護
ハウジング4の末端にロックされるとともに、内蔵スライドスリーブ3の先端は、保護ハ
ウジング1の内壁により制限され、内蔵スライドスリーブ3の末端は、テールホルダー部
12により制限され、手で両側の押圧部124を把持して対向して押圧すると、2つのフ
ック125のそれぞれと2つの係合溝424のロックが解除され、テールホルダー部12
が保護ハウジング4の末端に対してロック解除され、後へ引かれる。
【0050】
保護ハウジング4に套設され、片翼翼片5である翼片5をさらに備える。
【0051】
本実施例の針手動後退式静脈内輸液針を組み立てるステップは、以下のとおりである。
1)針ホルダー1を組み立て、具体的には、針管2を針ホルダー1の先端に取り付け、選
択的に針管2の外部にプロテクター6を套設する。
2)針ホルダー1の円筒状部11を内蔵スライドスリーブ3に係着し、テールホルダー部
12を内蔵スライドスリーブ3の外にする。
3)組み立てられた内蔵スライドスリーブ3及び針ホルダー1を上保護ハウジング41の
内部にセットする。
4)下保護ハウジング42をセットして上保護ハウジング41と結合して保護ハウジング
4を構成し、このとき、下保護ハウジング42の末端の第3ロック部とテールホルダー部
12の第3位置決め部がロックされて、針ホルダー1を保護ハウジング4にロックする。
5)翼片5を保護ハウジング4の外周面に套設する。
【0052】
使用方法
図14に示されるように、針を抜き出すとき、一方の手で保護ハウジング4を押さえて、
他方の手で両側からテールホルダー部12の2つの押圧部124を押さえることで、テー
ルホルダー部12の第3位置決め部を下保護ハウジング42の末端の第3ロック部に対し
てロック解除し、さらにテールホルダー部12を後へ引いて、針ホルダー1を内蔵スライ
ドスリーブ3からロック位置まで引いてロックし、それに連動して、内蔵スライドスリー
ブ3を保護ハウジング4からロック位置まで引いてロックし、図15に示されるように、
このとき、針ホルダー1及び内蔵スライドスリーブ3のいずれも前後に移動できなくなり
、針管2全体が保護ハウジング4の内部に後退し、針管2が患者の体外へ抜き出され、そ
れ以外、使用するときに、手で翼片を把持して針を刺すことができ、従来の輸液針と同様
に操作する。
【0053】
実施例4
図16図18に示されるように、実施例3に比べて、本実施例の相違点は、前記翼片5
が両翼叶片であることにあり、残りは、同様である。両翼翼片5の2つの翼片5は、対称
的に設けられ、且つ折り畳まれると一体に重なり、このような構造によって、血管の内部
での針管2の回動を回避し、針先による血管損傷のリスクを避け、よく輸液をする患者が
静脈炎に罹患する可能性を低減させる。組み立てステップ及び使用方法に関しては、実施
例3を参照すればよい。
【0054】
なお、上記実施例における位置決め部及びロック部の凸凹形状が交換可能であり、つまり
、位置決め部が凹部であり、ロック部が凸部であるようにしてもよく、凹部と凸部のロッ
クが実現できればよい。
【0055】
以上は、本発明の好適実施例に過ぎず、ただし、当業者であれば、本発明の原理から逸脱
することなく、いくつかの改良及び修飾を行うことができ、これら改良及び修飾も本発明
の保護範囲とみなされるべきである。
【符号の説明】
【0056】
1 針ホルダー
11 円筒状部
12 テールホルダー部
121 テールホルダー主体
122 組み立て部
1221 制限部
1222 ロッド部
123 凹溝
124 押圧部
125 フック
13 スライダー
14 サイドスライダー
2 針管
3 内蔵スライドスリーブ
31 長溝孔
311 末端貫通孔
312 フック状貫通孔
32 第1弾性アーム
33 第1スライド溝
34 ボス
4 保護ハウジング
41 上保護ハウジング
42 下保護ハウジング
421 第2弾性アーム
422 凸起
423 斜面ボス
424 係合溝
5 翼片
51 軸ブッシュ
52 翼状片
6 プロテクター。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18