(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-13
(45)【発行日】2022-01-13
(54)【発明の名称】油圧用アダプタユニット、油圧用パイプ部材および油圧用パイプ部材の製造方法
(51)【国際特許分類】
F16L 41/08 20060101AFI20220105BHJP
F16L 15/00 20060101ALI20220105BHJP
F16L 23/02 20060101ALI20220105BHJP
F16L 33/207 20060101ALI20220105BHJP
【FI】
F16L41/08
F16L15/00
F16L23/02 Z
F16L33/207
(21)【出願番号】P 2021520869
(86)(22)【出願日】2020-05-22
(86)【国際出願番号】 JP2020020213
(87)【国際公開番号】W WO2020235666
(87)【国際公開日】2020-11-26
【審査請求日】2021-09-10
(31)【優先権主張番号】P 2019096700
(32)【優先日】2019-05-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520178641
【氏名又は名称】東洋アッセンブリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001911
【氏名又は名称】特許業務法人アルファ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】谷村 智彦
(72)【発明者】
【氏名】杉浦 徳彦
【審査官】杉山 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-036861(JP,A)
【文献】特開平08-261378(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0097366(US,A1)
【文献】実公昭61-032094(JP,Y2)
【文献】特開昭54-089321(JP,A)
【文献】特開2002-130563(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第1162399(EP,A2)
【文献】特開2003-287175(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第0174070(EP,A2)
【文献】仏国特許出願公開第2361594(FR,A1)
【文献】米国特許第4023836(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 41/08
F16L 15/00
F16L 23/02
F16L 33/207
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホースと油圧装置とを連結するための油圧用アダプタユニットであって、
略筒状のホース接続部材であって、前記ホース接続部材の一端側に位置し、前記ホースが固定されるホース固定部分と、前記ホース接続部材の他端側に位置する第1の結合部分と、前記ホース固定部分と前記第1の結合部分とをつなぐ中間部分と、を備えるホース接続部材と、
略管状のパイプ本体と、前記パイプ本体の一端側に配置され、前記ホース接続部材の前記第1の結合部分に分離可能に結合される第2の結合部分と、前記パイプ本体の他端側に配置され、前記パイプ本体の径方向外側に張り出すように形成され、前記油圧装置に固定されるフランジ部分と、を備えるパイプ部材と、を備える、
油圧用アダプタユニット。
【請求項2】
請求項1に記載の油圧用アダプタユニットであって、
前記ホース接続部材の前記第1の結合部分は、前記ホース接続部材の外周面に形成された雄ねじ部を有しており、
前記パイプ部材の前記第2の結合部分は、前記パイプ部材の内周面に形成され、前記第1の結合部分における前記雄ねじ部に螺合する雌ねじ部を有している、
油圧用アダプタユニット。
【請求項3】
請求項2に記載の油圧用アダプタユニットであって、
前記
雄ねじ部の基端側の外周面に環状のシール部材が嵌められており、
前記ホース接続部材と前記パイプ部材とが結合された状態で、前記シール部材は前記ホース接続部材と前記パイプ部材との間に挟み込まれる、
油圧用アダプタユニット。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載の油圧用アダプタユニットにおいて、
前記パイプ部材の前記第2の結合部分は、略環状であって、
前記第2の結合部分の一端側に位置し、内周側に前記雌ねじ部が形成されている一端部と、
前記第2の結合部分の他端側に位置し、内周側に前記パイプ本体が挿入され接合されている他端部と、
を有しており、
前記一端部の厚さは、前記他端部の厚さよりも厚く、かつ、前記パイプ本体の厚さよりも厚く、前記他端部の厚さは、前記一端部の厚さよりも前記パイプ本体の厚さに近い、
油圧用アダプタユニット。
【請求項5】
請求項4に記載の油圧用アダプタユニットにおいて、
前記他端部の外径は、前記一端部の外径よりも小さく、かつ、前記他端部の外周面は、前記第2の結合部分の軸方向に略平行である、
油圧用アダプタユニット。
【請求項6】
請求項5に記載の油圧用アダプタユニットにおいて、
前記パイプ部材の前記第2の結合部分は、前記一端部と前記他端部とをつなぐとともに、前記一端部から前記他端部に向かうに連れて外径が連続的に小さくなっているテーパ部を有している、
油圧用アダプタユニット。
【請求項7】
請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の油圧用アダプタユニットにおいて、
前記パイプ部材における前記パイプ本体は、前記第2の結合部分との境界位置から前記第2の結合部分の軸方向に対して側方に曲がっている曲げ部分を有している、
油圧用アダプタユニット。
【請求項8】
一端側にホースが固定され、他端側に第1の結合部分が形成されたホース接続部材と、油圧装置とを連結するための油圧用パイプ部材であって、
管状のパイプ本体と、
前記パイプ本体の一端側に配置され、前記ホース接続部材の前記第1の結合部分に分離可能に結合される第2の結合部分と、
前記パイプ本体の他端側に配置され、前記パイプ本体の径方向外側に張り出すように形成され、前記油圧装置に固定されるフランジ部分と、を備える、
油圧用パイプ部材。
【請求項9】
請求項8に記載の油圧用パイプ部材において、
前記油圧用パイプ部材の前記第2の結合部分は、略環状であって、
前記第2の結合部分の一端側に位置し、内周側に前記第1の結合部分が有する雄ねじ部に螺合可能な雌ねじ部が形成されている一端部と、
前記第2の結合部分の他端側に位置し、内周側に前記パイプ本体が挿入され接合されている他端部と、
を有しており、
前記一端部の厚さは、前記他端部の厚さよりも厚く、かつ、前記パイプ本体の厚さよりも厚く、前記他端部の厚さは、前記一端部の厚さよりも前記パイプ本体の厚さに近い、
油圧用パイプ部材。
【請求項10】
請求項9に記載の油圧用パイプ部材において、
前記他端部の外径は、前記一端部の外径より小さく、かつ、前記他端部の外周面は、前記第2の結合部分の軸方向に略平行である、
油圧用パイプ部材。
【請求項11】
請求項9に記載の油圧用パイプ部材において、
前記第2の結合部分は、前記一端部と前記他端部とをつなぐとともに、前記一端部から前記他端部に向かうに連れて外径が連続的に小さくなっているテーパ部を有している、
油圧用パイプ部材。
【請求項12】
請求項8から請求項11までのいずれか一項に記載の油圧用パイプ部材において、
前記パイプ本体は、前記第2の結合部分との境界位置から前記第2の結合部分の軸方向に対して側方に曲がっている曲げ部分を有している、
油圧用パイプ部材。
【請求項13】
管状のパイプ本体と、前記パイプ本体の一端側に配置され、ホースが固定されるホース接続部材の第1の結合部分に分離可能に結合される第2の結合部分と、を備える油圧用パイプ部材の製造方法であって、
前記パイプ本体と、前記第2の結合部分とを準備する準備工程であって、前記第2の結合部分は、略環状であって、前記第2の結合部分の一端側に位置し、内周側に前記第1の結合部分が有する雄ねじ部に螺合可能な雌ねじ部が形成された一端部と、前記第2の結合部分の他端側に位置し、前記一端部の厚さより薄い厚さを有している他端部と、を有する形状である、準備工程と、
前記第2の結合部分の前記他端部の内周側に前記パイプ本体を挿入し、前記他端部の内周側近傍にロウ材を配置し、前記パイプ本体を囲む第1のコイルと前記他端部を囲む第2のコイルと前記一端部を囲む第3のコイルとに交流電流を流すことにより高周波誘導加熱処理を施す接合工程と、
を含む、油圧用パイプ部材の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示される技術は、油圧用アダプタユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ホースと油圧装置とを連結するための油圧用アダプタ部材が知られている。この油圧用アダプタ部材は、管状のパイプ本体と、パイプ本体の一端側に形成され、ホースがかしめ固定される口金具部分と、パイプ本体の他端側において該パイプ本体の径方向外側に張り出すように形成され、油圧装置に固定されるフランジ部分と、を備える(例えば下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来の油圧用アダプタ部材では、パイプ本体と口金具部分とが一体形成されており、分離不能である。このため、例えば、油圧用アダプタ部材におけるフランジ部分を油圧装置に固定する作業やホースの交換作業がしづらかったり、できなかったりするなど、ホースと油圧装置との連結に関する作業性が低い、という問題があった。
【0005】
本明細書では、上述した課題の少なくとも一部を解決することが可能な技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書に開示される技術は、以下の形態として実現することが可能である。
【0007】
(1)本明細書に開示される油圧用アダプタユニットは、ホースと油圧装置とを連結するための油圧用アダプタユニットであって、略筒状のホース接続部材であって、前記ホース接続部材の一端側に位置し、前記ホースが固定されるホース固定部分と、前記ホース接続部材の他端側に位置する第1の結合部分と、前記ホース固定部分と前記第1の結合部分とをつなぐ中間部分と、を備えるホース接続部材と、略管状のパイプ本体と、前記パイプ本体の一端側に配置され、前記ホース接続部材の前記第1の結合部分に分離可能に結合される第2の結合部分と、前記パイプ本体の他端側に配置され、前記パイプ本体の径方向外側に張り出すように形成され、前記油圧装置に固定されるフランジ部分と、を備えるパイプ部材と、を、備える。
【0008】
本油圧用アダプタユニットでは、ホースが固定されるホース接続部材と、油圧装置に固定されるフランジ部分を備えるパイプ部材とが、互いに分離可能に結合されている。このため、ホース接続部材とパイプ部材とを分離することにより、パイプ部材単独で油圧装置への固定作業を行ったり、ホース接続部材単独でホースの固定作業を行ったりすることができる。すなわち、本油圧用アダプタユニットによれば、ホースと油圧装置との連結に関する作業性の向上を図ることができる。
【0009】
(2)上記油圧用アダプタユニットにおいて、前記ホース接続部材の前記第1の結合部分は、前記ホース接続部材の外周面に形成された雄ねじ部を有しており、前記パイプ部材の前記第2の結合部分は、前記パイプ部材の内周面に形成され、前記第1の結合部分における前記雄ねじ部に螺合する雌ねじ部を有している構成としてもよい。
【0010】
本油圧用アダプタユニットでは、パイプ部材の第2の結合部分が雌ねじ部を有している構成であるため、第2の結合部分が雄ねじ部を有している構成に比べて、ホースから油圧装置へと供給される作動油が、ホース接続部材とパイプ部材との間から漏れ出ることを抑制することができる。
【0011】
(3)上記油圧用アダプタユニットにおいて、前記パイプ部材の前記第2の結合部分は、略環状であって、前記第2の結合部分の一端側に位置し、内周側に前記雌ねじ部が形成されている一端部と、前記第2の結合部分の他端側に位置し、内周側に前記パイプ本体が挿入され接合されている他端部と、を有しており、前記一端部の厚さは、前記他端部の厚さよりも厚く、かつ、前記パイプ本体の厚さよりも厚く、前記他端部の厚さは、前記一端部の厚さよりも前記パイプ本体の厚さに近い構成としてもよい。油圧用アダプタユニットでは、パイプ部材の第2の結合部分のうち、一端部の厚さは、他端部やパイプ本体の厚さよりも厚い。このため、例えば、一端部の厚さが他端部の厚さ程度に薄い構成に比べて、雌ねじ部が形成された一端部の強度が高い。一方、他端部の厚さは、一端部の厚さよりもパイプ本体の厚さに近い。このため、他端部の厚さが一端部の厚さ程度に厚い構成に比べて、第2の結合部分(パイプ部材)の大型化や重量化を軽減できる。また、例えば、他端部の厚さがパイプ本体の厚さよりも一端部の厚さに近い構成に比べて、他端部とパイプ本体との厚さの差に起因する応力集中を抑制できる。
【0012】
(4)上記油圧用アダプタユニットにおいて、前記他端部の外径は、前記一端部の外径よりも小さく、かつ、前記他端部の外周面は、前記第2の結合部分の軸方向に略平行である構成としてもよい。油圧用アダプタユニットでは、パイプ部材の第2の結合部分のうち、パイプ本体が接合される他端部は、一端部よりも外径が小さい。また、他端部の外周面は、第2の結合部分の軸方向に略平行である。このため、例えば他端部の外径が相対的に大きい構成や他端部の外周面が軸方向に対して傾いている構成に比べて、第2の結合部分の大型化を抑制しつつ、パイプ本体と第2の結合部分との接合部における応力集中が緩和される。
【0013】
(5)上記油圧用アダプタユニットにおいて、前記パイプ部材の前記第2の結合部分は、前記一端部と前記他端部とをつなぐとともに、前記一端部から前記他端部に向かうに連れて外径が連続的に小さくなっているテーパ部を有している構成としてもよい。油圧用アダプタユニットでは、パイプ部材の第2の結合部分は、一端部と他端部とをつなぐテーパ部を有しており、このテーパ部は、一端部から他端部に向かうに連れて外径が連続的に小さくなっている。このため、例えば一端部と他端部との間に段差が形成された構成に比べて、一端部と他端部との間における応力集中が緩和され、また、段差の存在に起因して第2の結合部分に肉薄部分が形成されることを抑制することができる。
【0014】
(6)上記油圧用アダプタユニットにおいて、前記パイプ部材における前記パイプ本体の前記中間部分は、曲がっている曲げ部分を有している構成としてもよい。本油圧用アダプタユニットでは、パイプ部材におけるパイプ本体が曲げ部分を有している。このようにパイプ部材におけるパイプ本体が曲げ部分を有している構成では、例えば、該曲げ部分が邪魔になってホース接続部材へのホースの固定作業できなかったり、しづらかったりする。これに対して、本油圧用アダプタユニットでは、ホース接続部材とパイプ部材とを分離することにより、パイプ部材の曲げ部分に邪魔されることなく、ホース接続部材へのホースの固定作業を行うことができる。
【0015】
(7)本明細書に開示される油圧用パイプ部材は、一端側にホースが固定され、他端側に第1の結合部分が形成されたホース接続部材と、油圧装置とを連結するための油圧用パイプ部材であって、管状のパイプ本体と、前記パイプ本体の一端側に配置され、前記ホース接続部材の前記第1の結合部分に分離可能に結合される第2の結合部分と、前記パイプ本体の他端側に配置され、前記パイプ本体の径方向外側に張り出すように形成され、前記油圧装置に固定されるフランジ部分と、を備える。本油圧用パイプ部材によれば、ホースと油圧装置との連結に関する作業性の向上を図ることができる。
【0016】
(8)上記油圧用パイプ部材において、前記油圧用パイプ部材の前記第2の結合部分は、略環状であって、前記第2の結合部分の一端側に位置し、内周側に前記第1の結合部分が有する雄ねじ部に螺合可能な雌ねじ部が形成されている一端部と、前記第2の結合部分の他端側に位置し、内周側に前記パイプ本体が挿入され接合されている他端部と、を有しており、前記一端部の厚さは、前記他端部の厚さよりも厚く、かつ、前記パイプ本体の厚さよりも厚く、前記他端部の厚さは、前記一端部の厚さよりも前記パイプ本体の厚さに近い構成としてもよい。
【0017】
(9)上記油圧用パイプ部材において、前記他端部の外径は、前記一端部の外径より小さく、かつ、前記他端部の外周面は、前記第2の結合部分の軸方向に略平行である構成としてもよい。
【0018】
(10)上記油圧用パイプ部材において、前記第2の結合部分は、前記一端部と前記他端部とをつなぐとともに、前記一端部から前記他端部に向かうに連れて外径が連続的に小さくなっているテーパ部を有している構成としてもよい。
【0019】
(11)本明細書に開示される油圧用パイプ部材の製造方法は、管状のパイプ本体と、前記パイプ本体の一端側に配置され、ホースが固定されるホース接続部材の第1の結合部分に分離可能に結合される第2の結合部分と、を備える油圧用パイプ部材の製造方法であって、前記パイプ本体と、前記第2の結合部分とを準備する準備工程であって、前記第2の結合部分は、略環状であって、前記第2の結合部分の一端側に位置し、内周側に前記第1の結合部分が有する雄ねじ部に螺合可能な雌ねじ部が形成された一端部と、前記第2の結合部分の他端側に位置し、前記一端部の厚さより薄い厚さを有している他端部と、を有する形状である、準備工程と、前記第2の結合部分の前記他端部の内周側に前記パイプ本体を挿入し、前記他端部の内周側近傍にロウ材を配置し、前記パイプ本体を囲む第1のコイルと前記他端部を囲む第2のコイルと前記一端部を囲む第3のコイルとに交流電流を流すことにより高周波誘導加熱処理を施す接合工程と、を含む。本油圧用パイプ部材の製造方法によれば、他端部に発生した熱が一端部に逃げることが抑制されることに起因してパイプ本体と他端部との接合不良が生じることが抑制することができる。
【0020】
本明細書によって開示される技術は、種々の形態で実現することが可能であり、例えば、油圧用アダプタユニット、油圧用パイプ部材、油圧用ホース接続部材、および、それらの製造方法、ホースと油圧装置との連結方法等の形態で実現することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】第1実施形態における油圧用アダプタユニット10のXZ断面構成を示す説明図である。
【
図2】第1実施形態における口金具100とパイプ部材200とのXZ平面構成を示す説明図である。
【
図3】比較例における油圧用アダプタユニット10aのXZ平面構成を示す説明図である。
【
図4】第2実施形態におけるパイプ部材200XのXZ断面構成を示す説明図である。
【
図5】第2実施形態におけるパイプ部材200XのXZ平面構成を示す説明図である。
【
図6】パイプ部材200Xの製造方法を示すフローチャートである。
【
図7】パイプ部材200Xの製造工程の一部を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
A.第1実施形態:
A-1.油圧用アダプタユニット10の構成:
図1は、第1実施形態における油圧用アダプタユニット10のXZ断面構成を示す説明図であり、
図2は、第1実施形態における口金具100とパイプ部材200とのXZ平面構成を示す説明図である。
図1には、口金具100とパイプ部材200とが結合された状態の油圧用アダプタユニット10が示されており、
図2には、口金具100とパイプ部材200とが分離された状態の油圧用アダプタユニット10が示されている。各図には、方向を特定するための互いに直交するXYZ軸が示されている。本明細書では、便宜的に、Z軸正方向を上方向と呼び、Z軸負方向を下方向と呼ぶものとするが、油圧用アダプタユニット10は実際にはそのような向きとは異なる向きで設置されてもよい。
図3以降についても同様である。
【0023】
図1に示すように、油圧用アダプタユニット10は、油圧装置50とホース60とを連結し、ホース60から油圧装置50への作動油を供給可能とするためのものである。なお、油圧装置50は、例えば、外部の駆動源(電動機や発動機)を元に油圧ポンプ(図示しない)を動かし、油圧ポンプによって得られる圧力を持った作動流体(作動油)によってアクチュエータ(例えば油圧モータや油圧シリンダ)を動作させる装置である。油圧装置50の例としては、油圧ショベルなどの建設機械、やフォークリフトなどの産業車両、トラクタなどの農業機械、ダンプトラックなどの特装車、また、製鉄機械、工作機械や射出成型機などの一般産業機械、建築物の免震装置などが挙げられる。また、本実施形態では、ホース60は、高圧用のホースであり、例えば、ゴムや樹脂等により形成されている。ホース60の一端は、油供給源(図示しない)に接続される。以下、各部材について、ホース60側を「基端」といい、油圧装置50側と「先端」という。
【0024】
図1および
図2に示すように、油圧用アダプタユニット10は、口金具100と、パイプ部材200と、を備えており、後述するように、口金具100とパイプ部材200とは、互いに分離可能とされている(
図2参照)。口金具100は、特許請求の範囲におけるホース接続部材に相当する。
【0025】
(口金具100の構成)
口金具100は、全体として略円筒状の部材であり、基端から先端まで貫いている口金具貫通孔102が形成されている。口金具貫通孔102は、口金具100の軸方向に沿って略直線状に延びている孔である。口金具100は、ホース固定部分110と、口金具側結合部分120と、中間部分130と、を備える。ホース固定部分110と口金具側結合部分120と中間部分130とは、例えば、金属や鉄鋼材料(炭素鋼、合金鋼、ステンレス鋼など)や樹脂等によって一体形成されている。口金具側結合部分120は、特許請求の範囲における第1の結合部分に相当する。
【0026】
ホース固定部分110は、口金具100における基端側(ホース60側)に配置されている。ホース固定部分110は、略筒状の内側筒状部分112と、内側筒状部分112を囲むように配置された略筒状の外側筒状部分114と、を有する。内側筒状部分112の内周面は、口金具貫通孔102を構成している。また、内側筒状部分112の外径は、中間部分130の外径より小さい。外側筒状部分114の内径は、内側筒状部分112の外径より大きい。このため、内側筒状部分112と外側筒状部分114との間には、溝部116が形成されている。溝部116は、口金具100の基端から先端側(パイプ部材200側)に向かって延びている。また、口金具100の軸方向視で、溝部116の形状は略環状である。溝部116内にホース60の先端部が挿入されており、カシメ加工機(図示しない)を用いてホース固定部分110(外側筒状部分114)に対してカシメ加工が施されている。このため、ホース60の先端部が内側筒状部分112と外側筒状部分114との間に挟み込まれて固定されている。なお、内側筒状部分112は、外側筒状部分114よりホース60側に突出している。また、外側筒状部分114の外周面は、口金具100の外周面の一部を構成している。
【0027】
口金具側結合部分120は、口金具100における先端側(油圧装置50側)に配置されている。口金具側結合部分120は、口金具100の外周面に形成された雄ねじ部122を有している。中間部分130は、ホース固定部分110と口金具側結合部分120との間に配置され、両者をつないでいる。中間部分130の軸方向視での外形形状は、多角形(例えば六角形)である。なお、中間部分130の外径は、ホース固定部分110の外径と略同一である。
【0028】
また、
図2に示すように、口金具100における雄ねじ部122と中間部分130との間の部分の外周面には、シール部材(Oリング150)が嵌められている。
【0029】
(パイプ部材200の構成)
パイプ部材200は、パイプ本体210と、パイプ側結合部分220と、フランジ部分230と、を備える。パイプ本体210とパイプ側結合部分220とフランジ部分230とは、例えば、金属や鉄鋼材料(炭素鋼、合金鋼、ステンレス鋼など)や樹脂等によって一体形成されている。パイプ側結合部分220は、特許請求の範囲における第2の結合部分に相当する。
【0030】
パイプ本体210は、略管状であり、該パイプ本体210の基端から先端まで貫いているパイプ貫通孔212が形成されている。パイプ本体210の軸方向の長さは、口金具100の軸方向の長さより長い。また、パイプ本体210は、曲げ部分214を有する。本実施形態では、曲げ部分214は、該曲げ部分214の両側に位置する一対の直線状部分216,218のなす角度が略90度になるように曲げられている。
【0031】
パイプ側結合部分220は、パイプ本体210の基端側(口金具100側)に配置されている。パイプ側結合部分220は、ナット貫通孔222が形成された略環状(ナット状)である。パイプ側結合部分220の内、先端側の内周面(ナット貫通孔222)には、パイプ本体210の基端部が挿入されて固定されている。なお、パイプ本体210は、例えば圧入によりパイプ側結合部分220に固定されていてもよいが、摩擦圧着により強固に固定されていることが特に好ましい。また、パイプ側結合部分220の内、基端側の内周面(ナット貫通孔222)には、雌ねじ部224が形成されている。雌ねじ部224は、口金具100に形成された雄ねじ部122に螺合可能である。このため、口金具100における口金具側結合部分120と、パイプ部材200におけるパイプ側結合部分220とは、互いに分離可能に結合される。また、口金具側結合部分120とパイプ側結合部分220とが結合されると、両者間にOリング150が挟み込まれる。これにより、口金具100とパイプ部材200との間がシールされ、作動油の漏れが抑制される。
【0032】
なお、パイプ側結合部分220の強度を確保するため、パイプ側結合部分220の厚さ(内周面と外周面との距離)は、パイプ本体210の厚さ(内周面と外周面との距離)より厚い。また、パイプ側結合部分220の外径は、パイプ本体210の外径より大きい。そして、パイプ側結合部分220は、パイプ本体210における曲げ部分214から離間した位置に配置、すなわち、パイプ本体210における口金具100側の直線状部分216に配置されている。また、パイプ側結合部分220の軸方向視での外形形状は、多角形(例えば六角形)である。このように、中間部分130の軸方向視での外形形状とパイプ側結合部分220の軸方向視での外形形状は、いずれも、多角形であるため、同外形形状が円形である構成に比べて、締結用の治具(図示しない)を用いて強固に螺合させることができる。
【0033】
フランジ部分230は、パイプ本体210の先端側(油圧装置50側)に配置されている。フランジ部分230は、パイプ本体210の径方向外側に張り出すように形成されている。パイプ本体210の軸方向視で、フランジ部分230の形状は、略円形平板状である。フランジ部分230は、油圧装置50の筐体の壁面52に対向配置される対向面232を有する。パイプ本体210のパイプ貫通孔212と油圧装置50の壁面52に形成された導入孔51とが連通するように、フランジ部分230の対向面232が油圧装置50の壁面52上に配置される。なお、フランジ部分230の対向面232には、油圧装置50の壁面52に形成された複数の凸部56のそれぞれが挿入される複数の凹部234が形成されており、これらの複数の凸部56と複数の凹部234との係合によって、油圧装置50に対するフランジ部分230の位置決めがされる。
【0034】
パイプ部材200におけるフランジ部分230は、押さえ部材20によって油圧装置50に固定される。具体的には、押さえ部材20は、フランジ部分230の内、対向面232とは反対側の面236および側面238を覆う略平板状の部材である。押さえ部材20には、複数のボルト孔28が形成されており、これらの複数のボルト孔28に挿入されたボルト30が油圧装置50の壁面に形成されたねじ孔54に螺合されることにより、フランジ部分230が油圧装置50に固定される。なお、押さえ部材20は、一部品で構成されたもの(いわゆる角フランジ)であってもよいし、複数の部品によって構成されたもの(いわゆる割りフランジ)であってもよい。
【0035】
A-2.本実施形態の効果:
図3は、比較例における油圧用アダプタユニット10aのXZ平面構成を示す説明図である。
図3に示すように、比較例における油圧用アダプタユニット10aは、管状のパイプ本体210aと、パイプ本体210aの一端側に形成され、ホース60が固定される口金具部分100aと、パイプ本体210aの他端側において該パイプ本体210aの径方向外側に張り出すように形成され、油圧装置50に固定されるフランジ部分230aと、を備える。油圧用アダプタユニット10aでは、パイプ本体210aと口金具部分100aとフランジ部分230aとは、一体形成されており、分離不能である。このため、比較例における油圧用アダプタユニット10aでは、例えば、口金具部分100aに固定されたホース60が劣化して交換を要する場合には、油圧用アダプタユニット10a全体を交換せざるを得なかった。また、油圧用アダプタユニット10aの口金具部分100aにホース60を固定する際、パイプ本体210aやフランジ部分230aが邪魔になり、カシメ加工機を用いてカシメ加工を施すことがしづらかったり、できなかったりする。比較例における油圧用アダプタユニット10aでは、パイプ本体210aが曲げ部分214aを有する。このため、曲げ部分214aの存在により、さらに、カシメ加工を施すことがしづらかったり、できなかったりする。
【0036】
これに対して、本実施形態における油圧用アダプタユニット10では、ホース60が固定される口金具100と、油圧装置50に固定されるフランジ部分230を備えるパイプ部材200とが、互いに分離可能に結合されている(
図1および
図2参照)。このため、口金具100とパイプ部材200とを分離することにより、パイプ部材200単独で油圧装置50への固定作業を行ったり、口金具100単独でホース60の固定作業を行ったりすることができる。すなわち、本実施形態によれば、ホース60と油圧装置50との連結に関する作業性の向上を図ることができる。
【0037】
また、本実施形態では、パイプ部材200のパイプ側結合部分220が雌ねじ部224を有している構成であるため、パイプ側結合部分220が雄ねじ部を有している構成に比べて、ホース60から油圧装置50へと供給される作動油が、口金具100とパイプ部材200との間から漏れ出ることを抑制することができる。また、ホース交換の際、口金具100が取り外され、油圧装置50に固定されたままの状態になるパイプ部材200において、ねじ部が外部に露出しないため、例えば、ねじ部が外部からの衝撃を受けて損傷することを抑制することができる。
【0038】
また、本実施形態では、パイプ部材200におけるパイプ本体210が曲げ部分214を有している。このようにパイプ部材200におけるパイプ本体210が曲げ部分214を有している構成では、例えば、該曲げ部分214が邪魔になって口金具100へのホース60の固定作業できなかったり、しづらかったりする。これに対して、本実施形態では、口金具100とパイプ部材200とを分離することにより、パイプ部材200の曲げ部分214に邪魔されることなく、口金具100へのホース60の固定作業を行うことができる。
【0039】
B.第2実施形態:
B-1.パイプ部材200Xの構成:
図4は、第2実施形態におけるパイプ部材200XのXZ断面構成を示す説明図であり、
図5は、第2実施形態におけるパイプ部材200XのXZ平面構成を示す説明図である。第2実施形態のパイプ部材200Xは、第1実施形態のパイプ部材200と同様、上記口金具100と油圧装置50とを連結するための部材である。パイプ部材200Xの構成の内、上述した第1実施形態のパイプ部材200と同一の構成については、同一符号を付すことによって、その説明を省略する。
【0040】
パイプ部材200Xは、パイプ本体210Xと、パイプ側結合部分220Xと、フランジ部分230と、を備える。パイプ本体210Xとパイプ側結合部分220Xとフランジ部分230とは、それぞれ、例えば、金属や鉄鋼材料(炭素鋼、合金鋼、ステンレス鋼など)によって形成されている。パイプ側結合部分220Xは、特許請求の範囲における第2の結合部分に相当する。
【0041】
パイプ側結合部分220Xは、パイプ本体210Xの基端側(
図1における口金具100側)に配置されている。パイプ側結合部分220Xは、ナット貫通孔222Xが形成された略環状(ナット状)である。パイプ側結合部分220Xは、肉厚部225と薄肉部226とテーパ部227とを有する。肉厚部225は、特許請求の範囲における一端部に相当し、薄肉部226は、特許請求の範囲における他端部に相当する。
【0042】
肉厚部225は、パイプ側結合部分220Xの基端側(
図1における口金具100側)に位置している。肉厚部225の外周面は、パイプ側結合部分220Xの軸方向(
図4のX軸方向)に略平行である。ここで、本明細書において「AとBとが略平行である」とは、AとBとの角度差が±5度以下であることをいう(以下同じ)。肉厚部225の内周面には、雌ねじ部224が形成されている。なお、本実施形態では、肉厚部225の軸方向視での外形形状は、略円形である。但し、肉厚部225の軸方向視での外形形状は、例えば多角形(六角形等)であってもよい。
【0043】
薄肉部226は、パイプ側結合部分220Xの先端側(パイプ本体210X側)に位置している。薄肉部226の外径(外接円の径)は、肉厚部225の外径(外接円の径)より小さい。また、薄肉部226の外周面は、パイプ側結合部分220Xの軸方向(
図4のX軸方向)に略平行である。なお、本実施形態では、薄肉部226の軸方向視での外形形状は、略円形である。但し、薄肉部226の軸方向視での外形形状は、例えば多角形(六角形等)であってもよい。また、肉厚部225の径方向の厚さT1は、薄肉部226の径方向の厚さT2よりも厚く、かつ、パイプ本体210Xの径方向の厚さT3よりも厚い。薄肉部226の厚さT2は、肉厚部225の厚さT1よりもパイプ本体210Xの厚さT3に近い。なお、本実施形態では、薄肉部226の厚さT2とパイプ本体210Xの厚さT3とは略同一である。また、肉厚部225の径方向の厚さT1は、薄肉部226の厚さT2やパイプ本体210Xの厚さT3の2倍以上である。
【0044】
テーパ部227は、軸方向(
図4のX軸方向)において、肉厚部225と薄肉部226との間に位置し、肉厚部225と薄肉部226とをつないでいる。テーパ部227は、肉厚部225から薄肉部226に向かうに連れて外径が連続的に小さくなっている。また、テーパ部227の外周面と薄肉部226の外周面とは面一で連続的につながっている。すなわち、パイプ側結合部分220Xの外周面のうち、テーパ部227および薄肉部226の外周面部分は、段差や角部がなく、滑らかな曲面によって形成されている。なお、本実施形態では、テーパ部227の外周面は、凹状に湾曲しつつ傾斜した面であるが、直線状に傾斜した面であってもよいし、階段状に傾斜した面であってもよい。
【0045】
本実施形態では、パイプ側結合部分220Xのナット貫通孔222Xのうち、口金具100の口金具側結合部分120が挿入される基端側孔の径D1は、パイプ本体210Xが挿入される先端側孔D2の径より大きい。パイプ側結合部分220Xの内周側には、基端側孔と先端側孔との間に位置し、パイプ側結合部分220Xの中心側に突出するリブ228が形成されている。パイプ本体210Xの基端面は、このリブ228に突き当たることによって位置決めされる。また、基端側孔と先端側孔との間の段差部(リブ228近傍)は、テーパ部227の内周側に位置している。
【0046】
B-2.パイプ部材200Xの製造方法:
図6は、パイプ部材200Xの製造方法を示すフローチャートであり、
図7は、パイプ部材200Xの製造工程の一部を示す説明図である。なお、便宜上、後述の加熱部330は、仮想線で示されている。
【0047】
まず、上述したパイプ本体210Xとパイプ側結合部分220Xとフランジ部分230とを準備する(S110)。この工程は、特許請求の範囲における準備工程に相当する。パイプ本体210Xとパイプ側結合部分220Xとフランジ部分230は、それぞれ、例えば鋳造等によって作製することができる。
【0048】
次に、パイプ本体210Xとパイプ側結合部分220Xとを接合する(S120)。この工程は、特許請求の範囲における接合工程に相当する。すなわち、パイプ側結合部分220Xの薄肉部226の内周側にパイプ本体210Xを挿入し、薄肉部226の内周側近傍にロウ材310を配置し、薄肉部226を囲むように配置した加熱部330(第1のコイル332、第2のコイル334、第3のコイル336)に交流電流を流すことにより高周波誘導加熱処理を施す。
【0049】
具体的には、
図7に示すように、高周波ロウ付け機(高周波誘導加熱装置)を用いる。例えば、高周波ロウ付け機の配置台300の上にパイプ側結合部分220Xを配置する。パイプ側結合部分220Xは、肉厚部225が下側に位置し、かつ、薄肉部226が上側に位置するように配置される。次に、ロウ材310(例えば環状の銀ロウ)を、薄肉部226の開口部の周囲部分に配置する。その後、高周波ロウ付け機が備える円環状の加熱部330を、パイプ側結合部分220Xのうち、少なくともテーパ部227の全周を囲むように配置する。ここで、加熱部330は、内部に、上下に並ぶ3つのコイル(第1のコイル332、第2のコイル334、第3のコイル336)を備えている。第1のコイル332は、パイプ本体210Xの周囲を囲むように配置される。第2のコイル334は、パイプ側結合部分220Xの薄肉部226の周囲を囲むように配置される。第3のコイル336は、パイプ側結合部分220Xの肉厚部225の周囲を囲むように配置される。
【0050】
なお、第1のコイル332と第2のコイル334と第3のコイル336とは、軸方向に垂直な断面の面積(横断面)が互いに略同一である。また、第1のコイル332の内径と第2のコイル334の内径とは略同一であり、第3のコイル336の内径は、第1のコイル332の内径や第2のコイル334の内径よりも大きい。このため、220Xの径方向において、第1のコイル332とパイプ本体210Xとの離間距離と、第2のコイル334と薄肉部226との離間距離と、第3のコイル336と肉厚部225との離間距離とは略同一である。また、上下方向(Z軸方向)において、第2のコイル334と第3のコイル336との離間距離は、第1のコイル332と第2のコイル334との離間距離よりも長い。加熱部330では、第1のコイル332と第2のコイル334と第3のコイル336とが絶縁材料により覆われている。
【0051】
次に、パイプ本体210の直線状部分216を、加熱部330およびロウ材310を介して、パイプ側結合部分220Xの薄肉部226の内周側に挿入する。これより、パイプ本体210Xとパイプ側結合部分220Xとが接合される前の組付体200Pが形成される。そして、高周波ロウ付け機を起動させると、加熱部330(コイル332,334,336)に交流電流を流が供給されることにより、パイプ本体210Xとパイプ側結合部分220Xの薄肉部226とが自己発熱する。
【0052】
ここで、上述したように、肉厚部225は、薄肉部226に比べて肉厚であるため、薄肉部226で発生した熱が肉厚部225に逃げやすく、薄肉部226を、パイプ本体210Xと同程度の温度に加熱することができないことがある。しかし、本実施形態では、第3のコイル336によってパイプ側結合部分220Xの肉厚部225も自己発熱するため、薄肉部226を十分に加熱することができる。パイプ本体210Xと薄肉部226とが加熱されることにより、ロウ材310が溶融して薄肉部226とパイプ本体210Xとの間に進入していく。これにより、パイプ本体210Xとパイプ側結合部分220Xとが、ロウ付けされることにより、強固に接合される。なお、加熱部330による加熱を行う前に、パイプ本体210とパイプ側結合部分220Xの薄肉部226との少なくとも一方に、ロウ付け用のフラックスを塗っておいてもよい。これにより、パイプ本体210とパイプ側結合部分220Xとの酸化被膜が除去され、両者をより強固に接合することができる。
【0053】
また、パイプ側結合部分220Xにおける薄肉部226は、肉厚部225の外径より小さい外径を有し、かつ、外周面がパイプ側結合部分220Xの軸方向に略平行である。このため、例えば薄肉部226の外径が相対的に大きい構成や薄肉部226の外周面が軸方向に対して傾いている構成に比べて、薄肉部226を効率的かつ均一的に加熱することができ、パイプ本体210とパイプ側結合部分220Xとをより強固に接合することができる。
【0054】
次に、パイプ本体210Xとフランジ部分230とを接合する(S130)。なお、パイプ本体210Xとフランジ部分230との接合は、周知の接合方法や、上記S120の接合方法等により行うことができる。これにより、パイプ部材200Xの製造が完了する。なお、上記S120の処理の前に、予め、パイプ本体210Xとフランジ部分230とを接合しておいてもよい。
【0055】
B-3.本実施形態の効果:
本実施形態では、パイプ部材200Xのパイプ側結合部分220Xのうち、肉厚部225の厚さT1は、薄肉部226の厚さT2やパイプ本体210Xの厚さT3よりも厚い(
図4参照)。このため、例えば、肉厚部225の厚さT1が薄肉部226の厚さT2程度に薄い構成に比べて、雌ねじ部224が形成された肉厚部225の強度が高い。一方、薄肉部226の厚さT2は、肉厚部225の厚さT1よりもパイプ本体210Xの厚さT3に近い。このため、薄肉部226の厚さT2が肉厚部225の厚さT1程度に厚い構成に比べて、パイプ側結合部分220X(パイプ部材200X)の大型化や重量化を軽減できる。また、例えば、薄肉部226の厚さT2がパイプ本体210Xの厚さT3よりも肉厚部225の厚さT1に近い構成に比べて、薄肉部226とパイプ本体210Xとの厚さの差に起因する応力集中を抑制できる。例えば、パイプ部材200Xを流れる作動油の油圧(例えば350kPa)や圧力変化によって薄肉部226の所定箇所に応力が集中して損傷することが抑制される。
【0056】
本実施形態では、パイプ部材200Xのパイプ側結合部分220Xのうち、パイプ本体210Xが接合される薄肉部226は、肉厚部225よりも外径が小さい。また、薄肉部226の外周面は、パイプ側結合部分220Xの軸方向に略平行である。このため、例えば薄肉部226の外径が相対的に大きい構成や薄肉部226の外周面が軸方向に対して傾いている構成に比べて、パイプ側結合部分220Xの大型化を抑制しつつ、パイプ本体210Xとパイプ側結合部分220Xとの接合部における応力集中が緩和される。
【0057】
本実施形態では、パイプ部材200Xのパイプ側結合部分220Xは、肉厚部225と薄肉部226とをつなぐテーパ部227を有しており、このテーパ部227は、肉厚部225から薄肉部226に向かうに連れて外径が連続的に小さくなっている。このため、例えば肉厚部225と薄肉部226との間に段差が形成された構成に比べて、肉厚部225と薄肉部226との間における応力集中が緩和され、また、段差の存在に起因してパイプ側結合部分220Xに強度が低い肉薄部分が形成されることを抑制することができる。
【0058】
C.変形例:
本明細書で開示される技術は、上述の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の形態に変形することができ、例えば次のような変形も可能である。
【0059】
上記実施形態における油圧用アダプタユニット10、口金具100またはパイプ部材200、200Xの構成は、あくまで一例であり、種々変形可能である。例えば、口金具100は、略角筒状の部材であってもよい。また、口金具100は、曲がった部分を有する形状であってもよい。また、中間部分130やパイプ側結合部分220の軸方向視での外形形状は、例えば略円形であってもよい。
【0060】
上記実施形態において、曲げ部分214は、屈曲部分(L字状)であってもよいし、湾曲部分(C字状)であってもよい。具体的には、パイプ本体210,210Xの曲げ部分214における一対の直線状部分216,218のなす角度は、例えば略30度、略45度、略60度、略90度、略120度であってもよい。また、パイプ本体210,210Xは、全体が略直線状の管状部材であってもよい。
【0061】
また、上記実施形態において、口金具100に雌ねじ部が形成され、パイプ部材200に雄ねじ部が形成された構成であってもよい。また、口金具100とパイプ部材200とにそれぞれ雄ねじ部が形成され、口金具100の雄ねじ部とパイプ部材200の雄ねじ部とのそれぞれに螺合する一対の雌ねじ部が形成されたナット部材(図示しない)によって、口金具100とパイプ部材200とを分離可能に結合する構成であってもよい。また、口金具100とパイプ部材200とにそれぞれ雌ねじ部が形成され、口金具100の雌ねじ部とパイプ部材200の雌ねじ部とのそれぞれに螺合する一対の雄ねじ部が形成されたねじ部材(図示しない)によって、口金具100とパイプ部材200とを分離可能に結合する構成であってもよい。また、ねじ機構以外の結合機構(例えば嵌合機構や係合機構)によって、口金具100とパイプ部材200とを分離可能に結合する構成であってもよい。
【0062】
また、上記実施形態において、押さえ部材20を用いずに、例えばパイプ部材200のフランジ部分230にボルト孔が形成され、このボルト孔に挿入されたボルトによって油圧装置50に固定される構成であってもよい。
【0063】
また、上記実施形態において、パイプ本体210,210Xと、パイプ側結合部分220,220Xと、フランジ部分230との少なくとも2つは、別体を接合したものではなく、一体成形された構成であってもよい。また、パイプ側結合部分220,220Xは、全長にわたって外径が同一である構成であってもよいし、全長にわたって厚さが同一である構成であってもよい。
【0064】
上記実施形態における油圧用アダプタユニット10、口金具100またはパイプ部材200の形成材料は、あくまで一例であり、種々変形可能である。
【0065】
上記実施形態におけるパイプ側結合部分220Xの製造方法はあくまで一例であり、種々変形可能である。例えば、S120において、パイプ本体210Xとパイプ側結合部分220Xとを、銀ロウ以外のロウ材によって接合してもよいし、例えば、摩擦圧着など、ロウ付け以外の方法によって接合してもよい。
【符号の説明】
【0066】
10:油圧用アダプタユニット 10a:油圧用アダプタユニット 20:押さえ部材 28:ボルト孔 30:ボルト 50:油圧装置 51:導入孔 52:壁面 54:ねじ孔 56:凸部 60:ホース 100:口金具 100a:口金具部分 102:口金具貫通孔 110:ホース固定部分 112:内側筒状部分 114:外側筒状部分 116:溝部 120:口金具側結合部分 122:雄ねじ部 130:中間部分 150:Oリング 200,200X:パイプ部材 200P:組付体 210,210a,210X:パイプ本体 212:パイプ貫通孔 214,214a:曲げ部分 216,218:直線状部分 220,220X:パイプ側結合部分 222,222X:ナット貫通孔 224:雌ねじ部 225:肉厚部 226:薄肉部 227:テーパ部 230,230a:フランジ部分 232:対向面 234:凹部 236:反対側の面 238:側面 300:配置台 310:ロウ材 330:加熱部 332:第1のコイル 334:第2のコイル 336:第3のコイル