(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-13
(45)【発行日】2022-01-13
(54)【発明の名称】ロック機構
(51)【国際特許分類】
B63B 25/00 20060101AFI20220105BHJP
B65D 90/00 20060101ALI20220105BHJP
【FI】
B63B25/00 101A
B65D90/00 G
(21)【出願番号】P 2018547276
(86)(22)【出願日】2017-03-17
(86)【国際出願番号】 FI2017050183
(87)【国際公開番号】W WO2017187009
(87)【国際公開日】2017-11-02
【審査請求日】2019-12-03
(32)【優先日】2016-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FI
(73)【特許権者】
【識別番号】515130979
【氏名又は名称】マクレガー フィンランド オサケイティエ
【氏名又は名称原語表記】MACGREGOR FINLAND OY
【住所又は居所原語表記】Hallimestarinkatu 6,FI-20780 Kaarina,Finland
(74)【代理人】
【識別番号】100144048
【氏名又は名称】坂本 智弘
(72)【発明者】
【氏名】エストベリ、ジャハナー
【審査官】田中 成彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-255927(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0014040(US,A1)
【文献】英国特許出願公開第02139278(GB,A)
【文献】米国特許第04068878(US,A)
【文献】欧州特許出願公開第2851327(EP,A1)
【文献】特開2004-018025(JP,A)
【文献】特開2003-182683(JP,A)
【文献】特開2003-026287(JP,A)
【文献】特開平10-299737(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第0832840(EP,A2)
【文献】特開昭52-147822(JP,A)
【文献】特開2010-052757(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0068338(US,A1)
【文献】独国特許出願公開第102004042435(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B63B 25/00
B65D 90/00
F16B 5/00
F16B 21/02 - 21/04
B66C 1/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体(2)を備えるツイストロック(1)又は他の器具を、コンテナのコーナキャスティング(5)又は船のハッチカバーに取り付けられたコンテナ基部(10)のような相手方(5,10)に取り付けるためのロック機構であって、
前記本体(2)に対して、前記相手方内(5,10)における前記ツイストロック(1)又は前記他の器具の捻れが抑制されるロック位置と、前記相手方内(5,10)における前記ツイストロック(1)又は前記他の器具の捻れが可能である開放位置との間で移動可能なロック部材(3)を備え、
前記ロック部材(3)が前記本体(2)上に固定されたガイドレール(4)に沿って移動するように設けられ、
前記ロック部材(3)が、前記ロック部材を持ち上げることにより、前記ロック位置から前記開放位置に移動可能であり、前記開放位置から前記ロック位置に下方に向かう反対の動作が重力により生じ、
前記ロック部材(3)は、前記ツイストロック(1)又は前記他の器具が、吊り下げられて上方からコンテナの前記コーナキャスティング(5)に取り付けられる取付方式と、逆さまにコンテナ基部(10)又はハッチカバーの対応する
取付位置に取り付けられる取付方式の2つの取付方式で取り付けられるように形成されており、双方の当該取付方式において、前記ロック部材(3)が重力によって
前記ガイドレール(4)に沿って重力方向に前記ロック位置に移動
し、
当該2つの取付方式において前記ロック部材(3)は互いに異なる前記ロック位置を有し、それぞれの前記ロック位置において、前記ロック部材(3)が、前記相手方に対する捻れが抑制されるように、前記相手方(5,10)の取付孔の内面(9,13)に当接可能に構成されていることを特徴とする、ロック機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の対象は、ツイストロック或いは他の器具を、コンテナのコーナキャスティング又は船のハッチカバーに取り付けられたコンテナ基部のような相手方に取り付けるための、本体を有するツイストロック又は他の器具のロック機構である。
【背景技術】
【0002】
貨物船の上で、コンテナは、ハッチカバーの下の船倉に収容され、ハッチカバーの上のデッキにおいては、他のコンテナの上に平行な行列状かつ層状に配置されて輸送される。このため、デッキでは、ハッチカバーの下の船倉を閉じるハッチカバーは着脱可能である。デッキより上方に位置するコンテナはハッチカバーの上で輸送される。船のデッキにおいて、典型的には、ラッシングブリッジと呼ばれる取り付け構造があり、その上のいくつかのコンテナは別々のラッシングバーによって支持される。
【0003】
本発明の対象はコンテナを互いにロックするためのツイストロックの操作に関連するロック構造であり、係るロック機構によって、ツイストロックは、コンテナのコーナキャスティング又はハッチカバー上において支持体のようないわゆるコンテナ基部(container foundation)に取り付けられる。
【0004】
本発明の重要な点は、ツイストロックの「第1の」取り付け、つまり、ツイストロックがコンテナの下側角部のコーナキャスティング等に接続される段階にある。この後、同コンテナが他のコンテナ上に持ち上げられた場合に当ツイストロックは下側のコンテナの上側角部のコーナキャスティングをロックする。後者のロックは本発明に関する重要な点ではなく、これ以上ここで詳述されない。
【0005】
本願発明が用いられるツイストロックは基本的な機能において、手動、半自動、又は全自動であり得る。本願発明は、また、ガイドコーン(実際のツイストロックではない)をコンテナ角部に取り付けるために用いることができる。機械的なレバーやケーブルによって手動で操作されるばね仕掛けのロック手段がツイストロックに用いられている。また、線形に動くバネ仕掛けのスライドが用いられている。
【0006】
典型的には、レバー又はケーブルを引っ張ることにより、ロック手段は、ツイストロックがコンテナのコーナキャスティングに取り付け又は取り外しされるように、ツイストロックの本体に対して捻れ又は取り外される。レバー又はケーブルを解放することにより、ロック手段はバネの作用からロック位置に戻る。
【0007】
本技術分野における既知の典型的な解決方法は、米国特許第5758391号に提示されている。また、本技術の状況に関して、芬国特許第124229号明細書を参照する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】米国特許第5758391号明細書
【文献】芬国特許第124229号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
レバー駆動又はケーブル駆動のロック手段は、複雑で製造費用が高い。ロック手段の操作はバネに基づくものであり、バネは損傷又は使用時に絡んで動かなくなる可能性があり、その場合にはツイストロックの操作が阻害される。最悪の場合には、コンテナを他のコンテナへのロックが失敗し、コンテナが海に落ちる可能性がある。また、ロック手段が機能しない場合にはコンテナを持ち上げる際にコンテナの基部上に取り付けられたツイストロックが離れて所定位置から外れる可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願発明の目的は、上述の欠点が当てはまらない、ツイストロックのための新たなロック機構を得ることである。本ロック機構は独立請求項1の特徴部分に記載された事項によって特徴づけられる。本願発明の好ましい実施形態は従属請求項に記載されている。
【0011】
従って、本発明は、ツイストロック又は他の器具をコンテナのコーナキャスティング又は例えばハッチカバー上の対応する取付位置にロックされるようにするロック機構であり、ロック機構の操作は重力によって作動するロック手段に基づく。
【0012】
本発明の一つの実施形態では、本発明の対象はロック機構であり、係るロック機構において、ロック手段は上下反転して取り付けられる場合にもツイストロックを所定位置にロックする形状とされている。言い換えると、ツイストロックは、下方から吊り下げられた姿勢でコンテナのコーナキャスティングに取り付けられるか、上方から反対の姿勢でコンテナ基部に取り付けられるか、他の取付位置に取り付けられるかされる機能を有する。
【発明の効果】
【0013】
述べられ得る本発明のいくつかの利点は、安価で操作上の信頼性のある構造、より簡易な構造とされたツイストロックを含む。
【図面の簡単な説明】
【0014】
以下に、添付の図面を参照して、いくつかの好ましい実施形態によって本発明をより詳細に説明する。
【0015】
【
図1】
図1は、コンテナのツイストロック及びコーナキャスティングを示す。
【
図2】
図2は、ロック手段を開放位置として、コーナキャスティングの内側に持ち上げられて45度捻られたツイストロックを示す。
【
図3】
図3は、ロック手段を開放位置として、コーナキャスティングの内側に持ち上げられて90度捻られたツイストロックを示す。
【
図4】
図4は、ロック手段をロック位置として、コーナキャスティングの内側に持ち上げられて90度捻られたツイストロックを示す。
【
図5】
図5は、互いに分離されたツイストロック及びコンテナ基部を示す。
【
図6】
図6は、ロック手段を開放位置として、コンテナ基部の内側に取り付けられて45度捻られたツイストロックを示す。
【
図7】
図7は、ロック手段を開放位置として、コンテナ基部の内側に取り付けられて90度捻られたツイストロックを示す。
【
図8】
図8は、ロック手段をロック位置として、コンテナ基部の内側に取り付けられて90度捻られたツイストロックを示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
ツイストロック1の主な構成要素は本体2とロック手段3である。ロック手段は、本体のガイドレール4に沿って本体に対して垂直方向にロック位置及び開放位置にスライドすることができる。
【0017】
ツイストロック1が相手方に、例えば
図1-4に示されるようなコンテナのコーナキャスティングに取り付けられている場合に、ロック手段3は開放位置に持ち上げられる。この場合に、ツイストロックの本体上に形成された支持コーン部6がコーナキャスティングの内側に配置された状態で、ツイストロックは90度回転することができる。この結果、支持コーン部はコーナキャスティングの支持面7上に静止する。
図4に示すように、ツイストロックは、ロック手段3を重力でロック位置に落とし混むことにより所定位置にロックされる。
【0018】
船の振動中など、ツイストロックがコーナキャスティングに対して捻られそう場合に、ロック手段の側縁8がコーナキャスティングの中にある取付孔の内面に当接し、ツイストロックの離脱を招くようないかなる捻れも同時に抑制される。
【0019】
本操作はツイストロックが、ハッチカバーの上に位置するコンテナ基部10(
図5-8)のような他の種類の相手方に取り付けられる場合に対応する。ツイストロック1がコンテナ基部10に取り付けられる場合に、ロック手段3は開放位置に持ち上げられる。この場合ツイストロックは、ツイストロック本体に形成された支持コーン部6がコンテナ基部の内側にある状態で90度回転することができる。この結果、上方に向かう揚力がツイストロックに作用した場合に、支持コーン部はコンテナ基部の支持面11上に静止する。
【0020】
ツイストロックはロック手段3を重力でロック位置に落とし込むことにより所定の位置にロックされる。ツイストロック1のロック手段3のロック位置は、
図1-4に示したツイストロックがコンテナのコーナキャスティング5に取り付けられる場合と反対である。
【0021】
船の振動中など、ツイストロックがコーナ基部10に対して捻られそうな場合に、ロック手段の側縁12がコーナ基部の中にある取付孔の内面13に当接し、ツイストロックの離脱を招くようないかなる捻れも同時に抑制される。
【0022】
上述の双方の取付状態において、ツイストロックの取り外しはロック手段3を開放位置に持ち上げて90度回転させることによって生じる。
【0023】
本発明の機構は、ロック位置が、ロック手段3の一つの可能な位置のみに適用されるように実装されてもよい。例えば、本ツイストロックの設置方法の一つの状態において、ロック位置は(ツイストロックの上下逆姿勢の取付けがない)一つの位置に限定される
【0024】
各図は、ロック位置において両方向の捻りが抑制されたロック手段3を示している。代わりに、係る構造はロック手段が一つの方向の捻りが抑制されるように構成されてよく、例えばツイストロック1の本体形状が反対方向の捻りを抑制するようにされてもよい。
【0025】
本ロック機構の使用は図に示されるツイストロックに限定されない。ロック機構はまたコンテナのコーナキャスティング又はコンテナ基部に接続される他の器具をロックするために用いてもよい。
【0026】
各コンテナ層の最も下のコンテナはハッチカバーにツイストロックでロックされる。他のコンテナの上に積まれたコンテナは、互いにツイストロックでロックされる。
【0027】
本発明が上述の実施形態に限定されず、本願の請求の範囲に記載された範囲内で変更可能であることが当業者に明確である。
【0028】
他の特徴的特徴と併せて説明中に可能な範囲で提示された特徴は、必要に応じて、互いに別々に使用することもできる。