(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-13
(45)【発行日】2022-01-13
(54)【発明の名称】荷役システム
(51)【国際特許分類】
B65G 67/02 20060101AFI20220105BHJP
B66F 9/24 20060101ALI20220105BHJP
B65G 61/00 20060101ALI20220105BHJP
B65G 1/00 20060101ALI20220105BHJP
【FI】
B65G67/02
B66F9/24 Z
B65G61/00 540
B65G1/00 501D
(21)【出願番号】P 2020065641
(22)【出願日】2020-04-01
【審査請求日】2020-04-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000232807
【氏名又は名称】三菱ロジスネクスト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000475
【氏名又は名称】特許業務法人みのり特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】甲斐 絢介
【審査官】寺川 ゆりか
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-059044(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0066035(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 67/02
B66F 9/24
B65G 61/00
B65G 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定地への走行中に自車の位置情報を送信するトラックと、
前記トラックから送信された前記位置情報に基づいて、前記所定地への前記トラックの到着時刻を推定する到着時刻推定部と、
前記所定地にて前記トラックに対して荷の積み込み作業または取り卸し作業を行う無人フォークリフトと、
前記到着時刻の推定結果である推定到着時刻に基づいて、複数の荷役作業候補から、
前記推定到着時刻後に作業が完了するとともに作業完了時刻が前記推定到着時刻に最も近い1つの荷役作業、または、前記推定到着時刻後に最後の作業が完了するとともに最後の作業完了時刻が前記推定到着時刻に最も近くなる複数の荷役作業を、前記無人フォークリフトが行うべき
荷役作業として選定して、当該無人フォークリフトの荷役スケジュールを生成するスケジュール生成部とを備え
、
前記無人フォークリフトは、前記荷役スケジュールに基づいて
、選定された1つまたは複数の前記荷役作業を行った後に、前記積み込み作業または前記取り卸し作業を行う
ことを特徴とする荷役システム。
【請求項2】
所定地への走行中に自車の位置情報を送信するトラックと、
前記トラックから送信された前記位置情報に基づいて、前記所定地への前記トラックの到着時刻を推定する到着時刻推定部と、
前記所定地にて前記トラックに対して荷の積み込み作業または取り卸し作業を行う無人フォークリフトと、
前記到着時刻の推定結果である推定到着時刻に基づいて、複数の荷役作業候補から、前記推定到着時刻前に作業が完了するとともに作業完了時刻が前記推定到着時刻に最も近い1つの荷役作業、または、前記推定到着時刻前に最後の作業が完了するとともに最後の作業完了時刻が前記推定到着時刻に最も近くなる複数の荷役作業を、前記無人フォークリフトが行うべき荷役作業として選定して、当該無人フォークリフトの荷役スケジュールを生成するスケジュール生成部とを備え、
前記無人フォークリフトは、前記荷役スケジュールに基づいて、選定された1つまたは複数の前記荷役作業を行った後に、前記積み込み作業または前記取り卸し作業を行う
ことを特徴とする荷役システム。
【請求項3】
過去の渋滞発生データを教師データとした機械学習により生成された到着時刻推定モデルを記憶する推定モデル記憶部をさらに備え、
前記到着時刻推定部は、前記到着時刻推定モデルと前記トラックの位置情報と日時情報とに基づいて前記到着時刻を推定する
ことを特徴とする
請求項1または2に記載の荷役システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無人フォークリフトでトラックに対して積み込み作業または取り卸し作業を行う荷役システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
フォークリフトでトラックに対して荷の積み込み作業を行い、トラックで荷を輸送した後、フォークリフトでトラックに対して荷の取り卸し作業を行うことが一般的に行われている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
また、フォークリフトの一種として無人フォークリフトが知られている(例えば特許文献2参照)。無人フォークリフトは、予め設定された荷役スケジュールに従って荷役作業を行うようにプログラムされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2010-235223号公報
【文献】特開平11-21098号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、無人フォークリフトで積み込み作業または取り卸し作業を行う場合において、無人フォークリフトの稼働率を向上させるためには、トラックに対して積み込み作業または取り卸し作業を行う直前まで他の荷役作業(例えば、入庫作業、出庫作業、移載作業、または、他のトラックに対する積み込み作業もしくは取り卸し作業)を行うことが好ましい。
【0006】
しかしながら、所定の荷役作業の完了後に積み込み作業または取り卸し作業を行うように荷役スケジュールが設定されている場合において、例えば、トラックが予定よりも早く到着したときには、トラックの到着時刻から積み込み作業または取り卸し作業の開始時刻までの時間が長くなるため、トラックの待機時間が長くなりトラックの稼働率が低下するという問題があった。
【0007】
そこで、トラックの到着に備えて無人フォークリフトがトラックの予定到着時刻前に荷役作業を完了して待機するように構成することも考えられるが、このような構成では、無人フォークリフトの稼働率が低下するおそれがある。特に、トラックが予定よりも遅く到着した場合には、トラックが予定通りに到着した場合に比べて、無人フォークリフトの待機時間が長くなり、無人フォークリフトの稼働率が低下するという問題がある。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、トラックの稼働率および無人フォークリフトの稼働率の低下を抑制できる荷役システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の荷役システムは、所定地への走行中に自車の位置情報を送信するトラックと、前記トラックから送信された前記位置情報に基づいて、前記所定地への前記トラックの到着時刻を推定する到着時刻推定部と、前記所定地にて前記トラックに対して荷の積み込み作業または取り卸し作業を行う無人フォークリフトと、前記到着時刻の推定結果である推定到着時刻に基づいて、複数の荷役作業候補から、前記推定到着時刻後に作業が完了するとともに作業完了時刻が前記推定到着時刻に最も近い1つの荷役作業、または、前記推定到着時刻後に最後の作業が完了するとともに最後の作業完了時刻が前記推定到着時刻に最も近くなる複数の荷役作業を、前記無人フォークリフトが行うべき荷役作業として選定して、当該無人フォークリフトの荷役スケジュールを生成するスケジュール生成部とを備え、前記無人フォークリフトは、前記荷役スケジュールに基づいて、選定された1つまたは複数の前記荷役作業を行った後に、前記積み込み作業または前記取り卸し作業を行うことを特徴とする。
【0010】
また、上記課題を解決するため、請求項2に記載の荷役システムは、所定地への走行中に自車の位置情報を送信するトラックと、前記トラックから送信された前記位置情報に基づいて、前記所定地への前記トラックの到着時刻を推定する到着時刻推定部と、前記所定地にて前記トラックに対して荷の積み込み作業または取り卸し作業を行う無人フォークリフトと、前記到着時刻の推定結果である推定到着時刻に基づいて、複数の荷役作業候補から、前記推定到着時刻前に作業が完了するとともに作業完了時刻が前記推定到着時刻に最も近い1つの荷役作業、または、前記推定到着時刻前に最後の作業が完了するとともに最後の作業完了時刻が前記推定到着時刻に最も近くなる複数の荷役作業を、前記無人フォークリフトが行うべき荷役作業として選定して、当該無人フォークリフトの荷役スケジュールを生成するスケジュール生成部とを備え、前記無人フォークリフトは、前記荷役スケジュールに基づいて、選定された1つまたは複数の前記荷役作業を行った後に、前記積み込み作業または前記取り卸し作業を行うことを特徴とする。
【0012】
請求項3に記載の荷役システムは、請求項1または2に記載の荷役システムにおいて、過去の渋滞発生データを教師データとした機械学習により生成された到着時刻推定モデルを記憶する推定モデル記憶部をさらに備え、前記到着時刻推定部は、前記到着時刻推定モデルと前記トラックの位置情報と日時情報とに基づいて前記到着時刻を推定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、トラックの稼働率および無人フォークリフトの稼働率の低下を抑制できる荷役システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の一実施形態に係る荷役システムの概要図である。
【
図2】同実施形態に係る管理サーバーのブロック図である。
【
図3】同実施形態に係る荷役スケジュールの生成過程を示すフローチャートである。
【
図4】(A)および(B)は、実施例に係る無人フォークリフトが行う作業の一例を示すガントチャートであり、(C)および(D)は、比較例に係るガントチャートである。
【
図5】変形例に係る荷役スケジュールの生成過程を示すフローチャートである。
【
図6】他の変形例に係る荷役スケジュールの生成過程を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図面を参照して、本発明の荷役システム1を説明する。
図1に示すように、本実施形態の荷役システム1は、荷(図示略)を輸送するためのトラック10と、荷役作業を行う1台以上の無人フォークリフト20と、無人フォークリフト20を管理する管理サーバー30とを備えている。
【0016】
トラック10は、拠点間の物流を担う貨物自動車であって、所定地Pから他の場所へ荷を輸送するため、または、他の場所から所定地Pへ荷を輸送するために、所定の走行ルートに沿って走行する。トラック10は、例えばGPSにより自車の位置情報を取得し、所定地Pへの走行中に自車の位置情報を管理サーバー30に送信する。トラック10の位置情報は、例えば、所定の時間間隔ごとに(すなわち周期的に)、または、トラック10が所定の地点を通過したときに取得(送信)される。
【0017】
無人フォークリフト20は、管理サーバー30から荷役スケジュールを受信し、その荷役スケジュールに基づいて所定地Pにて荷役作業を行う車両である。無人フォークリフト20は、所定地Pから他の場所へ荷を輸送するためのトラック10が所定地Pに到着すると、当該トラック10に対して荷の積み込み作業を行い、他の場所から所定地Pへ荷を輸送するためのトラック10が所定地Pに到着すると、当該トラック10に対して荷の取り卸し作業を行う。
【0018】
管理サーバー30は、トラック10および無人フォークリフト20と通信可能に構成されており、トラック10から位置情報を受信し、荷役スケジュールを無人フォークリフト20に送信する。
【0019】
図2は、管理サーバー30の概略構成を示している。
図2に示すように、管理サーバー30は、位置情報受信部31と、推定モデル記憶部32と、到着時刻推定部33と、作業情報記憶部34と、スケジュール生成部35と、スケジュール記憶部36と、スケジュール配信部37とを備えている。
【0020】
位置情報受信部31は、トラック10と直接的または間接的に通信する通信装置により構成されている。位置情報受信部31は、トラック10の位置情報を受信する。
【0021】
推定モデル記憶部32は、所定地Pへのトラック10の到着時刻を推定するための到着時刻推定モデルを予め記憶している。到着時刻推定モデルは、過去の渋滞発生データを教師データとした機械学習により生成されたものである。到着時刻推定モデルの生成に用いられる過去の渋滞発生データには、例えば、渋滞が発生した日付、曜日、および時刻、ならびに、渋滞が発生した区間、その区間の交通量(例えば単位時間当たりの車両の通過数)等のデータを含むことができる。
【0022】
到着時刻推定部33は、推定モデル記憶部32に記憶された到着時刻推定モデルと、位置情報受信部31で受信したトラック10の位置情報(すなわちトラック10から送信された自車の位置情報)と、トラック10が位置情報を取得した日付、曜日、および時刻に係る日時情報とに基づいて、所定地Pへのトラック10の到着時刻を推定する。具体的には、例えば、到着時刻推定部33は、到着時刻推定モデルを用いてトラック10の自車位置から所定地Pまで走行するための走行所要時間を推定し、トラック10が位置情報を取得した時刻に走行所要時間を加算することで所定地Pへのトラック10の推定到着時刻を算出する。
【0023】
作業情報記憶部34は、無人フォークリフト20が行う荷役作業に係る作業情報を予め記憶している。具体的には、例えば、作業情報記憶部34は、作業情報として、複数の荷役作業の各々について、それらの荷役作業を行うための作業所要時間を記憶している。
【0024】
スケジュール生成部35は、到着時刻推定部33によるトラック10の到着時刻の推定結果(すなわち推定到着時刻)と、作業情報記憶部34に記憶された作業所要時間とに基づいて、無人フォークリフト20が行う荷役作業に係る荷役スケジュールを生成する。具体的には、スケジュール生成部35は、未作業の荷役作業を荷役作業候補とし、荷役作業候補の各々の作業所要時間に基づいて、無人フォークリフト20が1つまたは複数の荷役作業候補を行ったときの作業完了時刻を算出する。そして、スケジュール生成部35は、作業完了時刻の算出結果に基づいて、複数の荷役作業候補から、トラック10の推定到着時刻前後の所定時間(以下「所定時間t」という)に完了する予定の1つまたは複数の荷役作業を選定し、その荷役作業を無人フォークリフト20が行うように荷役スケジュールを生成する。
【0025】
また、スケジュール生成部35は、スケジュール記憶部36に記憶された荷役スケジュールと、到着時刻推定部33によるトラック10の到着時刻の推定結果に基づいて、荷役スケジュールの更新が必要と判断した場合は、荷役スケジュールを生成し直す。
【0026】
スケジュール記憶部36は、無人フォークリフト20の荷役スケジュールを記憶する。すなわち、スケジュール記憶部36は、スケジュール生成部35により生成された荷役スケジュールを記憶する。
【0027】
スケジュール配信部37は、無人フォークリフト20と直接的または間接的に通信する通信装置により構成されている。スケジュール配信部37は、スケジュール生成部35で生成された荷役スケジュールを無人フォークリフト20に送信する。
【0028】
図3を参照して、推定到着時刻に基づく荷役スケジュールの生成の流れを説明する。
図3に示す処理は、位置情報受信部31がトラック10の位置情報を受信するごとに行われることが好ましい。
【0029】
図3に示すように、まず、到着時刻推定部33が、到着時刻推定モデルとトラック10の位置情報と日時情報とに基づいて、トラック10の到着時刻を推定する(ステップS1)。すなわち、ステップS1では推定到着時刻が算出される。
【0030】
次いで、スケジュール生成部35は、無人フォークリフト20の荷役スケジュールの生成が必要であるか否かを判断する(ステップS2)。具体的には、例えば、スケジュール生成部35は、無人フォークリフト20の荷役スケジュールが既に生成されている場合において、その荷役スケジュールに基づいて無人フォークリフト20が1つ以上の荷役作業を行ったときに、ステップS1で算出された推定到着時刻を含む所定時間t内に無人フォークリフト20がその荷役作業を完了できない場合には、新たな荷役スケジュールの生成が必要であると判断する。また、スケジュール生成部35は、無人フォークリフト20の荷役スケジュールが生成されていない場合も、荷役スケジュールの生成が必要であると判断する。一方で、例えば、スケジュール生成部35は、荷役スケジュールが既に生成されている場合において、その荷役スケジュールに基づいて無人フォークリフト20が1つ以上の荷役作業を行ったときに、ステップS1で算出された推定到着時刻を含む所定時間t内に無人フォークリフト20がその荷役作業を完了できる場合には、新たな荷役スケジュールの生成が必要でないと判断する。
【0031】
荷役スケジュールの生成が必要でないとステップS2で判断された場合(ステップS2:NO)には、スケジュール生成部35が荷役スケジュールを生成し直すことはなく、無人フォークリフト20は生成済みの荷役スケジュールに基づいて荷役作業を行う。
【0032】
一方、荷役スケジュールの生成が必要であるとステップS2で判断された場合(ステップS2:YES)には、スケジュール生成部35は、各荷役作業候補の作業所要時間に基づいて、無人フォークリフト20が各荷役作業候補および各荷役作業候補の組み合わせを行ったときの作業完了時刻を算出する(ステップS3)。
【0033】
次いで、スケジュール生成部35は、ステップS1で算出された推定到着時刻とステップS3で算出された作業完了時刻とに基づいて、複数の荷役作業候補から、推定到着時刻を含む所定時間t内に完了する予定の1つまたは複数の荷役作業(以下「荷役作業X」という)を選定する(ステップS4)。すなわち、荷役作業Xは、作業完了時刻が所定時間t内である1つの荷役作業または複数の荷役作業の組み合わせからなる。所定時間t内に完了する予定の荷役作業Xが複数存在する場合は、作業完了時刻が推定到着時刻に最も近い荷役作業Xが選定されることが好ましい。
【0034】
そして、スケジュール生成部35は、荷役作業Xを行うための荷役スケジュールを生成する(ステップS5)。すなわち、スケジュール生成部35は、トラック10および無人フォークリフト20の待機時間が短くなるように、無人フォークリフト20が荷役作業Xを行う荷役スケジュールを生成する。
【0035】
図4(A)および(B)を参照して、本実施形態により生成される荷役スケジュールの一例を説明する。
図4(A)および(B)は、実施例に係る荷役スケジュールを示すガントチャートである。
【0036】
図4(A)は、推定到着時刻を含む所定時間t内に完了する予定の荷役作業Xとして、作業W1,W4が選定された荷役スケジュールを示している。すなわち、作業W1,W4は、作業完了時刻が所定時間t内である荷役作業の組み合わせである。この荷役スケジュールでは、作業W1,W4が順に行われた後、積み込み作業または取り卸し作業である作業Tが行われ、作業T後に残りの荷役作業である作業W2,W3が行われる。
【0037】
図4(B)は、推定到着時刻を含む所定時間t内に完了する予定の荷役作業Xとして、作業W1,W3が選定された荷役スケジュールを示している。すなわち、作業W1,W3は、作業完了時刻が所定時間t内である荷役作業の組み合わせである。この荷役スケジュールでは、作業W1,W3が順に行われた後、積み込み作業または取り卸し作業である作業Tが行われ、作業T後に残りの荷役作業である作業W2,W4が行われる。
【0038】
一方、
図4(C)および(D)は、比較例に係る荷役スケジュールを示すガントチャートである。
図4(C)に示す荷役スケジュールでは、作業W1,W2が順に行われた後、積み込み作業または取り卸し作業である作業Tが行われ、作業T後に残りの荷役作業である作業W3,W4が行われる。また、
図4(D)に示す荷役スケジュールでは、作業W1が行われた後、積み込み作業または取り卸し作業である作業Tが行われ、作業T後に残りの荷役作業である作業W2~W4が行われる。
【0039】
図4(A)で示す実施例では、推定到着時刻にトラック10が所定地Pに到着すると、トラック10の短い待機時間Ttが発生するものの、荷役作業Xが推定到着時刻後の所定時間t1内(t1<t)に完了するため、
図4(C)で示す比較例に比べてトラック10の待機時間Ttを短縮できる。また、
図4(D)で示す無人フォークリフト20の待機時間Tfが発生しない。
【0040】
図4(B)で示す実施例では、推定到着時刻にトラック10が所定地Pに到着すると、無人フォークリフト20の短い待機時間Tfが発生するものの、荷役作業Xが推定到着時刻前の所定時間t2内(t2<t)に完了するため、
図4(D)で示す比較例に比べて無人フォークリフト20の待機時間Tfを短縮できる。また、
図4(C)で示すトラック10の待機時間Ttが発生しない。
【0041】
本実施形態では次の効果が得られる。
(1)スケジュール生成部35は、所定地Pへのトラック10の到着時刻の推定結果に基づいて、推定到着時刻を含んだ所定時間t内に完了する予定の荷役作業Xを選定して、荷役作業Xを無人フォークリフト20が行うように荷役スケジュールを生成し、無人フォークリフト20は、その荷役スケジュールに基づいて荷役作業Xを行った後に、トラック10に対して荷の積み込み作業または取り卸し作業を行う。このため、トラック10の到着時刻を適宜推定することで、その推定結果である推定到着時刻に応じて、無人フォークリフト20が行うべき荷役作業が柔軟に設定される。したがって、トラック10および無人フォークリフト20の待機時間Tt,Tfが短くなるように充電スケジュールを生成することができるため、トラック10の待機時間Ttを短縮することでトラック10の稼働率の低下を抑制でき、無人フォークリフト20の待機時間Tfを短縮することで無人フォークリフト20の稼働率の低下を抑制できる。
【0042】
(2)複数の荷役作業候補から、推定到着時刻後であって推定到着時刻から所定時間t1内に完了する予定の荷役作業Xを選定される。この場合は、無人フォークリフト20は、荷役作業Xの作業完了後に積み込み作業または取り卸し作業を速やかに開始でき、無人フォークリフト20の待機時間Tfを発生させないことで無人フォークリフト20の稼働率の低下を効果的に抑制できる。
【0043】
(3)複数の荷役作業候補から、推定到着時刻前であって推定到着時刻から所定時間t2内に完了する予定の荷役作業Xが選定される。この場合は、無人フォークリフト20は、荷役作業Xの完了後に待機することで、所定地Pへのトラック10の到着直後に積み込み作業または取り卸し作業を速やかに開始でき、トラック10の待機時間Ttを発生させないことでトラック10の稼働率の低下を効果的に抑制できる。
【0044】
(4)過去の渋滞発生データを教師データとした機械学習により生成された到着時刻推定モデルと、トラック10の位置情報と、日時情報とに基づいて、所定地Pへのトラック10の到着時刻が推定される。このため、到着時刻推定モデルを更新することで(すなわち機械学習を発展させることで)到着時刻の推定精度を高めることができる。
【0045】
本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、上記構成を変更することもできる。例えば、以下のように変更して実施することもでき、以下の変更を組み合わせて実施することもできる。
【0046】
・
図5および
図6に示すように、荷役スケジュールの生成過程を適宜変更してもよい。具体的には、
図5に示すように、スケジュール生成部35が、上記ステップS4に代えて、複数の荷役作業候補から、推定到着時刻後であって推定到着時刻から所定時間t1内に完了する予定の荷役作業Xを選定してもよい(ステップS4A)。すなわち、本変更例の荷役作業Xの作業完了時刻は、推定到着時刻前ではなく、
図4(A)で示すように推定到着時刻後の所定時間t1内である。所定時間t1内に完了する予定の荷役作業Xが複数存在する場合は、作業完了時刻が推定到着時刻に最も近い荷役作業Xが選定されることが好ましい。
【0047】
また、
図6に示すように、スケジュール生成部35は、上記ステップS4に代えて、複数の荷役作業候補から、推定到着時刻前であって推定到着時刻から所定時間t2内に完了する予定の荷役作業Xを選定してもよい(ステップS4B)。すなわち、本変更例の荷役作業Xの作業完了時刻は、推定到着時刻後ではなく、
図4(B)で示すように推定到着時刻前の所定時間t2内である。所定時間t2内に完了する予定の荷役作業Xが複数存在する場合は、作業完了時刻が推定到着時刻に最も近い荷役作業Xが選定されることが好ましい。
【0048】
・所定地Pへのトラック10の到着時刻が推定できるのであれば、その推定方法を適宜変更してもよい。すなわち、機械学習により生成された到着時刻推定モデルを使用せずに到着時刻を推定することもできる。
【符号の説明】
【0049】
1 荷役システム
10 トラック
20 無人フォークリフト
30 管理サーバー
32 推定モデル記憶部
33 到着時刻推定部
35 スケジュール生成部
P 所定地