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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-13
(45)【発行日】2022-01-13
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20220105BHJP
【FI】
A63F7/02 320
A63F7/02 315A
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2017119360
(22)【出願日】2017-06-19
(65)【公開番号】P2019000499
(43)【公開日】2019-01-10
【審査請求日】2020-03-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000144153
【氏名又は名称】株式会社三共
(72)【発明者】
【氏名】小倉 敏男
【審査官】森川 能匡
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-086641(JP,A)
【文献】特開2017-000476(JP,A)
【文献】特開2015-027337(JP,A)
【文献】特開2016-158652(JP,A)
【文献】特開2015-119869(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技者にとって有利な有利状態に制御可能な遊技機であって、
遊技媒体が流下可能な第1経路及び該第1経路とは異なる第2経路と、
前記第2経路を流下した遊技媒体を検出可能な検出手段と、
前記有利状態よりも有利度が低い通常状態において、前記検出手段の検出結果に基づいて、前記第1経路へ遊技媒体を流下させることを報知する特定報知を実行可能な特定報知手段と、
前記特定報知を表示可能な表示手段と、
を備え、
前記有利状態において、前記第2経路を遊技媒体が流下する方が前記第1経路を遊技媒体が流下するよりも遊技者にとって有利であり、
前記検出手段は、第1位置で遊技媒体を検出する第1検出手段と、前記第1位置より遊技媒体の流下頻度が低い第2位置で遊技媒体を検出する第2検出手段と、を含み、
前記特定報知手段は、
前記有利状態から前記通常状態に移行してから所定期間経過した後に、前記第1検出手段の検出結果に基づく第1特定報知と、前記第2検出手段の検出結果に基づく第2特定報知と、を実行可能であり、
前記有利状態から前記通常状態に移行してから前記所定期間経過する前に、前記第1検出手段の検出結果に基づいて前記第1特定報知よりも遊技者が認識しやすい態様の第3特定報知を実行可能であり、
前記第1特定報知の実行中に前記第2特定報知の実行条件が成立したときに、前記第1特定報知よりも前記第2特定報知を優先して実行可能であり、
前記第2特定報知の実行中に前記第1特定報知の実行条件が成立したときに、前記第1特定報知よりも前記第2特定報知を優先して実行可能であり、
前記第2特定報知を、前記第1特定報知よりも遊技者が認識しやすい態様で実行する
ことを特徴とする遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技者にとって有利な有利状態に制御可能な遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
大当り遊技状態等の遊技者にとって有利な有利状態に制御可能な遊技機にあっては、有利状態において第2経路(右遊技領域)に遊技媒体を流下させることを報知し、有利状態よりも有利度が低い通常状態において第1経路(左遊技領域)に遊技媒体を流下させることを報知する制御をするもの等があった。
【0003】
この種の遊技機において、例えば、通常状態において第2経路に設けられたゲートを遊技媒体が通過したことに基づいて第1経路に遊技媒体を流下させることを報知するものにおいて、例えば、客待ち状態であれば遊技者の誤操作である可能性があるとして消極的な態様の報知を行い、客待ち状態でなければ遊技者の不正操作である可能性があるとして積極的な態様の報知を行うといったように、遊技媒体がゲートを通過したときの状態に応じた態様にて報知を行うもの等があった(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-159869号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載の遊技機にあっては、遊技媒体のゲートの通過に基づき想定外の入賞が発生したか否かによらず報知が行われるため、想定外の入賞が発生していないにもかかわらず積極的な報知が行われるなど不適切な報知が行われる可能性があるという問題があった。
【0006】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、適切な報知を行うことができる遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、手段Aに記載の遊技機は、
遊技者にとって有利な有利状態に制御可能な遊技機であって、
遊技媒体が流下可能な第1経路及び該第1経路とは異なる第2経路と、
前記第2経路を流下した遊技媒体を検出可能な検出手段と、
前記有利状態よりも有利度が低い通常状態において、前記検出手段の検出結果に基づいて、前記第1経路へ遊技媒体を流下させることを報知する特定報知を実行可能な特定報知手段と、
前記特定報知を表示可能な表示手段と、
を備え、
前記有利状態において、前記第2経路を遊技媒体が流下する方が前記第1経路を遊技媒体が流下するよりも遊技者にとって有利であり、
前記検出手段は、第1位置で遊技媒体を検出する第1検出手段と、前記第1位置より遊技媒体の流下頻度が低い第2位置で遊技媒体を検出する第2検出手段と、を含み、
前記特定報知手段は、
前記有利状態から前記通常状態に移行してから所定期間経過した後に、前記第1検出手段の検出結果に基づく第1特定報知と、前記第2検出手段の検出結果に基づく第2特定報知と、を実行可能であり、
前記有利状態から前記通常状態に移行してから前記所定期間経過する前に、前記第1検出手段の検出結果に基づいて前記第1特定報知よりも遊技者が認識しやすい態様の第3特定報知を実行可能であり、
前記第1特定報知の実行中に前記第2特定報知の実行条件が成立したときに、前記第1特定報知よりも前記第2特定報知を優先して実行可能であり、
前記第2特定報知の実行中に前記第1特定報知の実行条件が成立したときに、前記第1特定報知よりも前記第2特定報知を優先して実行可能であり、
前記第2特定報知を、前記第1特定報知よりも遊技者が認識しやすい態様で実行する
ことを特徴としている。
さらに、前記課題を解決するために、手段1に記載の遊技機は、
遊技者にとって有利な有利状態(例えば、大当り遊技状態、確変状態、KT状態など)に制御可能な遊技機(例えば、パチンコ遊技機1)であって、
遊技媒体(例えば、遊技球)が流下可能な第1経路(例えば、演出表示装置5の左側の第1経路)及び該第1経路とは異なる第2経路(例えば、演出表示装置5の右側の第2経路)と、
前記第2経路を流下した遊技媒体を検出可能な検出手段(例えば、ゲートスイッチ21、第2始動口スイッチ22Bなど)と、
前記有利状態よりも有利度が低い通常状態(例えば、低確/非KT状態)において、前記検出手段の検出結果に基づいて、前記第1経路へ遊技媒体を流下させることを報知する特定報知(例えば、左打ち報知演出A、左打ち報知演出B)を実行可能な特定報知手段(例えば、演出制御用CPU120が、S70の左打ち報知処理におけるS510、S526、S529を実行する部分など。図16図17参照)と、
を備え、
前記有利状態では、前記第2経路を遊技媒体が流下する方が前記第1経路を遊技媒体が流下するよりも遊技者にとって有利であり(例えば、遊技状態が確変状態(高確/KT状態)、大当り遊技状態、小当り遊技状態であるときには、遊技者は右打ちした場合に左打ちした場合よりも有利となる。)、
前記検出手段は、
第1位置(例えば、特殊入賞口の左側)で遊技媒体を検出する第1検出手段(例えば、ゲートスイッチ21)と、
前記第1位置とは遊技媒体の流下頻度が異なる第2位置(例えば、大入賞口の左側)で遊技媒体を検出する第2検出手段(例えば、第2始動口スイッチ22B)と、
を含み、
前記特定報知手段は、前記第1検出手段の検出結果に基づく第1特定報知(例えば、左打ち報知演出A)と、前記第2検出手段の検出結果に基づく第2特定報知(例えば、左打ち報知演出B)と、を実行可能である(例えば、演出制御用CPU120が、S70の左打ち報知処理におけるS508やS522でYesの場合にS510やS526で左打ち報知演出Aを開始する部分など。また、S528でYesの場合にS529で左打ち報知演出Bを開始する部分など。)
ことを特徴としている。
この特徴によれば、第2経路における遊技媒体の流下状況に応じた好適な報知を行うことができる。
【0008】
段2の遊技機は、手段1に記載の遊技機であって、
前記特定報知手段は、前記第1検出手段により検出された遊技媒体が所定数(例えば、5個)に達したときには前記第2特定報知を実行可能である(例えば、演出制御用CPU120が、S70の左打ち報知処理におけるS524でYesの場合にS529で左打ち報知演出Bを開始する部分など。図16参照)
ことを特徴としている。
この特徴によれば、第2経路における遊技媒体の流下状況の変化に応じて好適な報知を行うことができる。
【0009】
段3の遊技機は、手段1または2に記載の遊技機であって、
前記第2検出手段(例えば、第2始動口スイッチ22B)は、前記第1検出手段(例えば、ゲートスイッチ21)が遊技媒体(例えば、遊技球)を検出してから所定期間(例えば、約2~3秒)経過後に該遊技媒体を前記第2位置(例えば、大入賞口の左側)において検出可能である(例えば、通過ゲート41を通過した遊技球が普通可変入賞球装置6Bに入賞するまでに要する期間は約2~3秒とされている。図1参照)
ことを特徴としている。
この特徴によれば、報知条件が順番に成立するので好適な報知を行うことができる。
【0010】
段4の遊技機は、手段1~3のいずれかに記載の遊技機であって、
前記第2経路(例えば、演出表示装置5の右側の第2経路)を流下する遊技媒体(例えば、遊技球)は、前記第1検出手段(例えば、ゲートスイッチ21)と前記第2検出手段(例えば、第2始動口スイッチ22B)との少なくとも一方により検出可能である(例えば、第2経路を流下する遊技球の大半は通過ゲート41を通過可能とされているとともに、通過ゲート41を通過した遊技球の大半は、通過ゲート41よりも下流側に設けられた普通可変入賞球装置6Bに入賞可能に誘導されるようになっている。図1参照)
ことを特徴としている。
この特徴によれば、第1検出手段及び第2検出手段双方の報知条件が成立した場合でも、好適な報知を行うことができる。
【0011】
段5の遊技機は、手段1~4のいずれかに記載の遊技機であって、
前記特定報知手段は、前記第1特定報知よりも長い期間にわたり前記第2特定報知を実行可能である(例えば、演出制御用CPU120は、左打ち報知演出Aは5秒間、左打ち報知演出Bは30秒間にわたり実行する部分など。)
ことを特徴としている。
この特徴によれば、第2特定報知を好適に行うことができる。
【0012】
段6の遊技機は、手段1~5のいずれかに記載の遊技機であって、
前記特定報知手段は、
前記第1特定報知の実行中に前記第2特定報知の実行条件が成立したときには、前記第1特定報知よりも前記第2特定報知を優先して実行し(例えば、演出制御用CPU120が、S70の左打ち報知処理におけるS531で左打ち報知演出Aが実行中であれば該左打ち報知演出Aを終了して左打ち報知演出Bを開始する部分など。)、
前記第2特定報知の実行中に前記第1特定報知の実行条件が成立したときには、前記第2特定報知よりも前記第1特定報知を優先して実行しない(例えば、演出制御用CPU120が、S70の左打ち報知処理におけるS525で左打ち報知演出Bが実行中であるときは、S526を経由せずに処理を終了する部分など。)
ことを特徴としている。
この特徴によれば、第1特定報知より優先したい第2特定報知を好適に行うことができる。
【0013】
段7の遊技機は、手段1~6のいずれかに記載の遊技機であって、
前記第1特定報知の実行条件が成立せずに前記第2特定報知の実行条件が成立したときには、前記第2特定報知を実行せずに第3特定報知(例えば、入賞エラー報知演出)を実行する(例えば、演出制御用CPU120が、S70の左打ち報知処理におけるS508がNoでS513がYesになった場合、S514で左打ち報知演出Bを開始せずに入賞エラー報知演出を開始する部分など。)
ことを特徴としている。
この特徴によれば、発生し難い事象に対して好適な報知を実行できる。
【0014】
尚、本発明は、本発明の請求項に記載された発明特定事項のみを有するものであっても良いし、本発明の請求項に記載された発明特定事項とともに該発明特定事項以外の構成を有するものであっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施例における遊技機を示す正面図である。
図2】パチンコ遊技機の回路構成例を示すブロック図である。
図3】(A)、(B)は、演出制御コマンドを例示する図である。
図4】各乱数を示す説明図である。
図5】(A)(B)は変動パターン(第1特別図柄用)を例示する図、(C)(D)は変動パターン(第2特別図柄用)を例示する図である。
図6】(A)は表示結果判定テーブル(第1特別図柄用)、(B)は表示結果判定テーブル(第2特別図柄用)、(C)は大当り種別判定テーブル(第1特別図柄用)、(D)は大当り種別判定テーブル(第2特別図柄用)を示す説明図である。
図7】(A)は普通図柄表示結果判定テーブルを示す説明図、(B)は普図当り時における普図の変動時間及び第2始動入賞口の開放態様を示す説明図である。
図8】遊技制御用タイマ割込み処理の一例を示すフローチャートである。
図9】第1特別図柄プロセス処理の一例を示すフローチャートである。
図10】第1特別図柄変動処理の一例を示すフローチャートである。
図11】第1特別図柄停止処理の一例を示すフローチャートである。
図12】第2特別図柄プロセス処理の一例を示すフローチャートである。
図13】第2特別図柄変動処理の一例を示すフローチャートである。
図14】演出制御メイン処理の一例を示すフローチャートである。
図15】演出制御プロセス処理の一例を示すフローチャートである。
図16】各報知演出の内容を示す説明図である。
図17】(A)は右打ち報知演出、(B)は左打ち報知演出A、(C)は左打ち報知演出B、(D)は入賞エラー報知演出の報知態様の一例を示す図である。
図18図15のS71の左打ち報知処理を示すフローチャートである。
図19図15のS71の左打ち報知処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明に係る遊技機を実施するための形態を実施例に基づいて以下に説明する。
【実施例
【0017】
まず、遊技機の一例であるパチンコ遊技機1の全体の構成について説明する。図1は、パチンコ遊技機1を正面からみた正面図である。図2は、パチンコ遊技機1の回路構成例を示すブロック図である。尚、以下の説明において、図1の手前側をパチンコ遊技機1の前方(前面、正面)側、奥側を後方(背面)側として説明する。尚、本実施例におけるパチンコ遊技機1の前面とは、遊技者側からパチンコ遊技機1を見たときに該遊技者と対向する対向面である。尚、本実施例におけるフローチャートの各ステップの説明において、例えば「ステップS1」と記載する箇所を「S1」と略記する場合がある。
【0018】
図1は、本実施例におけるパチンコ遊技機の正面図であり、主要部材の配置レイアウトを示す。パチンコ遊技機(遊技機)1は、大別して、遊技盤面を構成する遊技盤(ゲージ盤)2と、遊技盤2を支持固定する遊技機用枠(台枠)3とから構成されている。遊技盤2には、ガイドレールによって囲まれた、ほぼ円形状の遊技領域10が形成されている。この遊技領域10には、遊技媒体としての遊技球が、所定の打球発射装置から発射されて打込まれる。また、遊技機用枠3には、ガラス窓50aを有するガラス扉枠50が左側辺を中心として回動可能に設けられ、該ガラス扉枠50により遊技領域10を開閉できるようになっており、ガラス扉枠50を閉鎖したときにガラス窓50aを通して遊技領域10を透視できるようになっている。
【0019】
遊技盤2の所定位置(図1に示す例では、遊技領域10の右側方)には、第1特別図柄表示器4Aと、第2特別図柄表示器4Bとが設けられている。第1特別図柄表示器4Aと第2特別図柄表示器4Bはそれぞれ、例えばセグメントやドットマトリクスのLED(発光ダイオード)等から構成され、各々を識別可能な複数種類の識別情報(特別識別情報)である特別図柄(「特図」ともいう)が、変動可能に表示(変動表示)される。例えば、第1特別図柄表示器4Aと第2特別図柄表示器4Bはそれぞれ、「0」~「9」を示す数字や「-」を示す記号等から構成される複数種類の特別図柄を変動表示する。尚、第1特別図柄表示器4Aや第2特別図柄表示器4Bにおいて表示される特別図柄は、「0」~「9」を示す数字や「-」を示す記号等から構成されるものに限定されず、例えば7セグメントのLEDにおいて点灯させるものと消灯させるものとの組合せを異ならせた複数種類の点灯パターンが、複数種類の特別図柄として予め設定されていればよい。
【0020】
複数種類の特別図柄には、それぞれに対応した図柄番号が付されている。一例として、「0」~「9」を示す数字それぞれには、「0」~「9」の図柄番号が付され、「-」を示す記号には、「10」の図柄番号が付されていればよい。以下では、第1特別図柄表示器4Aにおいて変動表示される特別図柄を「第1特図」ともいい、第2特別図柄表示器4Bにおいて変動表示される特別図柄を「第2特図」ともいう。
【0021】
第1特別図柄表示器4Aと第2特別図柄表示器4Bはともに、例えば方形状に形成されている。尚、第1特図の種類と第2特図の種類は同じ(例えば、ともに「0」~「9」を示す数字、及び、「-」を示す記号)であってもよいし、種類が異なっていてもよい。また、第1特別図柄表示器4Aと第2特別図柄表示器4Bはそれぞれ、例えば「00」~「99」を示す数字(あるいは2桁の記号)を変動表示するように構成されていてもよい。
【0022】
遊技盤2における遊技領域10の中央付近には、演出表示装置5が設けられている。演出表示装置5は、例えばLCD(液晶表示装置)等から構成され、各種の演出画像を表示する表示領域を形成している。演出表示装置5の表示領域では、第1特別図柄表示器4Aによる第1特図の変動表示や第2特別図柄表示器4Bによる第2特図の変動表示のそれぞれに対応して、例えば3つといった複数の変動表示部となる演出図柄表示エリアにて、各々を識別可能な複数種類の識別情報(装飾識別情報)である演出図柄(演出図柄とも言う)が変動表示される。
【0023】
一例として、演出表示装置5の表示領域には、「左」、「中」、「右」の演出図柄表示エリア5L,5C,5Rが配置されている。そして、特図ゲームにおいて第1特別図柄表示器4Aにおける第1特図の変動と第2特別図柄表示器4Bにおける第2特図の変動のうち、いずれかが開始されることに対応して、「左」、「中」、「右」の各演出図柄表示エリア5L,5C,5Rにおいて演出図柄の変動(例えば上下方向のスクロール表示)が開始される。その後、特図ゲームにおける変動表示結果として確定特別図柄が停止表示されるときに、演出表示装置5における「左」、「中」、「右」の各演出図柄表示エリア5L,5C,5Rにて、演出図柄の変動表示結果となる確定演出図柄(最終停止図柄)が停止表示される。
【0024】
このように、演出表示装置5の表示領域では、第1特別図柄表示器4Aにおける第1特図を用いた変動表示、または、第2特別図柄表示器4Bにおける第2特図を用いた変動表示と同期して、各々が識別可能な複数種類の演出図柄の変動表示を行い、変動表示結果となる確定演出図柄を導出表示(あるいは単に「導出」ともいう)する。尚、例えば特別図柄や演出図柄といった、各種の表示図柄を導出表示するとは、演出図柄等の識別情報を停止表示(完全停止表示や最終停止表示ともいう)して変動表示を終了させることである。これに対して、演出図柄の変動表示を開始してから変動表示結果となる確定演出図柄が導出表示されるまでの変動表示中には、演出図柄の変動速度が「0」となって、演出図柄が停留して表示され、例えば微少な揺れや伸縮などを生じさせる表示状態となることがある。このような表示状態は、仮停止表示ともいい、変動表示における表示結果が確定的に表示されていないものの、スクロール表示や更新表示による演出図柄の変動が進行していないことを遊技者が認識可能となる。尚、仮停止表示には、微少な揺れや伸縮なども生じさせず、所定時間(例えば1秒間)よりも短い時間だけ、演出図柄を完全停止表示することなどが含まれてもよい。
【0025】
「左」、「中」、「右」の各演出図柄表示エリア5L,5C,5Rにて変動表示される演出図柄には、例えば9種類の図柄(英数字「1」~「9」あるいは漢数字や、英文字、所定のモチーフに関連する9個のキャラクタ画像、数字や文字あるいは記号とキャラクタ画像との組合せなどであればよく、キャラクタ画像は、例えば人物や動物、これら以外の物体、もしくは、文字などの記号、あるいは、その他の任意の図形を示す飾り画像であればよい)で構成される。演出図柄のそれぞれには、対応する図柄番号が付されている。例えば、「1」~「9」を示す英数字それぞれに対して、「1」~「9」の図柄番号が付されている。尚、演出図柄は9種類に限定されず、大当り組合せやはずれとなる組合せなど適当な数の組合せを構成可能であれば、何種類であってもよい(例えば8種類や10種類など)。
【0026】
演出図柄の変動表示が開始された後、変動表示結果となる確定演出図柄が導出表示されるまでには、「左」、「中」、「右」の各演出図柄表示エリア5L,5C,5Rにおいて、例えば図柄番号が小さいものから大きいものへと順次に上方から下方へと流れるようなスクロール表示が行われ、図柄番号が最大(例えば「9」)である演出図柄が表示されると、続いて図柄番号が最小(例えば「1」)である演出図柄が表示される。あるいは、演出図柄表示エリア5L,5C,5Rのうち少なくともいずれか1つ(例えば「左」の演出図柄表示エリア5Lなど)において、図柄番号が大きいものから小さいものへとスクロール表示を行って、図柄番号が最小である演出図柄が表示されると、続いて図柄番号が最大である演出図柄が表示されるようにしてもよい。
【0027】
尚、本実施例では、演出表示装置5の表示領域において、第1特別図柄表示器4Aにおける第1特図を用いた変動表示または第2特別図柄表示器4Bにおける第2特図を用いた変動表示のいずれかと同期して一の演出図柄表示エリア5L,5C,5Rにて演出図柄の変動表示を行う形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、第1特別図柄表示器4Aにおける第1特図を用いた変動表示と同期して演出図柄の変動表示を行う第1変動表示部と、第2特別図柄表示器4Bにおける第2特図を用いた変動表示と同期して演出図柄の変動表示を行う第2変動表示部とを、演出表示装置5の表示領域における演出図柄表示エリア5L,5C,5R以外の領域に表示可能に設けてもよい。
【0028】
演出表示装置5の表示領域には、第1保留記憶表示エリア5Dが配置されている。第1保留記憶表示エリア5Dでは、第1特別図柄に対応した変動表示の保留数(特図保留記憶数)を特定可能に表示する保留記憶表示が行われる。ここで、各特別図柄に対応した変動表示の保留は、普通入賞球装置6Aが形成する第1始動入賞口を遊技球が通過(進入)することによる始動入賞に基づいて発生する。すなわち、特別図柄や演出図柄の変動表示を実行するための始動条件(「実行条件」ともいう)は成立したが、先に成立した開始条件に基づく変動表示が実行中であることやパチンコ遊技機1が大当り遊技状態に制御されていることなどにより、変動表示の開始を許容する開始条件が成立していないときに、成立した始動条件に対応する変動表示の保留が行われる。第1保留記憶表示エリア5Dにおける保留記憶表示は、第1始動入賞口を遊技球が通過(進入)することによる始動入賞に基づいて発生した保留記憶表示である。本実施例では、第1始動入賞口を遊技球が通過(進入)することによる始動入賞に基づいて発生した保留記憶表示を丸型の白色表示(第1保留記憶表示エリア5Dに表示される保留記憶表示)とする。
【0029】
図1に示す例では、第1保留記憶表示エリア5Dとともに、第1特別図柄表示器4Aの上部に、特図保留記憶数を特定可能に表示するための第1保留表示器25Aが設けられている。第1保留表示器25Aは、第1特図保留記憶数を特定可能に表示する。第1特図保留記憶数は、第1特図を用いた変動表示の実行が保留されている記憶数である。尚、本実施例では、第2特図を用いた変動表示の実行が保留されている第2特図保留記憶数を特定可能に表示するための第2保留表示器を設けない形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、第2保留表示器を設けてもよい。
【0030】
演出表示装置5の下方には、普通入賞球装置6Aと、普通可変入賞球装置6Bとが設けられている。普通入賞球装置6Aは、例えば所定の球受部材によって常に一定の開放状態に保たれる第1始動入賞口を形成する。普通可変入賞球装置6Bは、図2に示す普通電動役物用となるソレノイド81によって、垂直位置となる通常開放状態(図1中実線位置参照)と傾動位置(図1中点線位置参照)となる拡大開放状態とに変化する可動翼片を有する普通電動役物を備え、第2始動入賞口を形成する。
【0031】
一例として、普通可変入賞球装置6Bでは、普通電動役物用のソレノイド81がオフ状態であるときに可動翼片が垂直位置となることにより、遊技球が第2始動入賞口を通過(進入)し難い通常開放状態となる。その一方で、普通可変入賞球装置6Bでは、普通電動役物用のソレノイド81がオン状態であるときに可動翼片が傾動位置となる傾動制御により、遊技球が第2始動入賞口を通過(進入)し易い拡大開放状態となる。尚、普通可変入賞球装置6Bは、通常開放状態であるときでも、第2始動入賞口には遊技球が進入可能であるものの、拡大開放状態であるときよりも遊技球が進入する可能性が低くなるように構成してもよい。あるいは、普通可変入賞球装置6Bは、通常開放状態において、例えば第2始動入賞口を閉鎖することなどにより、第2始動入賞口には遊技球が進入しないように構成してもよい。このように、第2始動領域としての第2始動入賞口は、遊技球が通過(進入)しやすい拡大開放状態と、遊技球が通過(進入)しにくいまたは通過(進入)できない通常開放状態とに変化する。
【0032】
普通入賞球装置6Aに形成された第1始動入賞口を通過(進入)した遊技球は、例えば図2に示す第1始動口スイッチ22Aによって検出される。普通可変入賞球装置6Bに形成された第2始動入賞口を通過(進入)した遊技球は、例えば図2に示す第2始動口スイッチ22Bによって検出される。第1始動口スイッチ22Aによって遊技球が検出されたことに基づき、所定個数(例えば1個)の遊技球が賞球として払出され、第1特図保留記憶数が所定の上限値(例えば「4」)以下であれば、第1始動条件が成立する。第2始動口スイッチ22Bによって遊技球が検出されたことに基づき、所定個数(例えば1個)の遊技球が賞球として払出され、第2始動条件が成立する。尚、第1始動口スイッチ22Aによって遊技球が検出されたことに基づいて払出される賞球の個数と、第2始動口スイッチ22Bによって遊技球が検出されたことに基づいて払出される賞球の個数は、互いに同一の個数であってもよいし、異なる個数であってもよい。
【0033】
普通入賞球装置6Aと普通可変入賞球装置6Bの右側方には、特別可変入賞球装置7A及び特殊可変入賞球装置7Bが一体化された特別可変入賞球ユニット7が設けられている。ここで、特別可変入賞球ユニット7の構成について説明する。尚、以下の説明では、パチンコ遊技機1を正面からみたときの上下左右方向を基準として説明する。
【0034】
図1に示すように、特別可変入賞球ユニット7は、左部側が特別可変入賞球装置7Aを構成し、右部側が特殊可変入賞球装置7Bを構成している。また、特別可変入賞球ユニット7の正面側には透光性を有する合成樹脂材にて構成された図示しないカバー体が取り付けられており、遊技者は該カバー体を介して特別可変入賞球ユニット7内、特に特殊可変入賞球装置7B内を流下する遊技球を視認できるようになっている。
【0035】
特別可変入賞球装置7Aは、ソレノイド82(図2参照)によって開閉駆動される大入賞口扉701を備え、該大入賞口扉701によって開放状態と閉鎖状態とに変化する大入賞口を形成する。大入賞口は、特別可変入賞球ユニット7の左部において、上向きに開放するように形成されている。尚、大入賞口扉701は、ソレノイド82の駆動によって大入賞口を閉鎖する閉鎖位置と、大入賞口を開放する開放位置との間で前後方向にスライド移動可能となっている。また、大入賞口扉701は、左側に向けて下方に傾斜するように設けられているため、閉鎖状態において大入賞口扉701上に落下した遊技球を左側に向けて誘導可能である。
【0036】
特別可変入賞球装置7Aでは、ソレノイド82がオン状態であるときに大入賞口扉701が大入賞口を開放状態として、遊技球が大入賞口を通過(進入)し易くする。その一方で、ソレノイド82がオフ状態であるときに大入賞口扉701が大入賞口を閉鎖状態として、遊技球が大入賞口を通過(進入)できなくする。このように大入賞口は、遊技球が通過(進入)し易い遊技者にとって有利な開放状態と、遊技球が通過(進入)できず遊技者にとって不利な閉鎖状態とに変化する。尚、遊技球が大入賞口を通過(進入)できない閉鎖状態に代えて、あるいは閉鎖状態の他に、遊技球が大入賞口を通過(進入)し難い一部開放状態を設けてもよい。
【0037】
大入賞口を通過(進入)した遊技球は、大入賞口内に設けられた第1カウントスイッチ23(図2参照)を通過することで、該第1カウントスイッチ23によって検出される。第1カウントスイッチ23を通過した遊技球は、遊技盤2に形成された図示しない貫通孔を介して遊技盤2の背面側に誘導される。第1カウントスイッチ23によって遊技球が検出されたことに基づき、所定個数(例えば15個)の遊技球が賞球として払出される。こうして、特別可変入賞球装置7Aにおいて開放状態となった大入賞口を遊技球が通過(進入)したときには、第1始動入賞口や第2始動入賞口といった、他の入賞口を遊技球が通過(進入)したときよりも多くの賞球が払出される。したがって、特別可変入賞球装置7Aにおいて大入賞口が開放状態となれば、その大入賞口に遊技球が進入可能となり、遊技者にとって有利な第1状態となる。その一方で、特別可変入賞球装置7Aにおいて大入賞口が閉鎖状態となれば、大入賞口に遊技球を通過(進入)させて賞球を得ることが不可能または困難になり、遊技者にとって不利な第2状態となる。
【0038】
また、大入賞口に進入することなく流下した遊技球の大半は、図示しない障害釘等により普通可変入賞球装置6Bに誘導され、普通可変入賞球装置6Bが拡大開放状態であれば第2始動入賞口に入賞するようになっている。
【0039】
特殊可変入賞球装置7Bは、特別可変入賞球装置7Aよりも上方に向けて突出して形成されており、ソレノイド83(図2参照)によって開閉駆動される特殊入賞口扉711を備え、該特殊入賞口扉711によって開放状態と閉鎖状態とに変化する特殊入賞口を形成する。特殊入賞口は、特殊可変入賞球装置7Bの上端部において上向きに開放するように形成されている。特殊入賞口扉711は、ソレノイド83の駆動によって特殊入賞口を開放する第1状態(開放状態)と、特殊入賞口を閉鎖する第2状態(閉鎖状態)との間で前後方向にスライド移動可能に設けられている。また、特殊入賞口扉711は、左側に向けて下方に傾斜するように設けられているため、閉鎖状態において特殊入賞口扉711上に落下した遊技球を左側に向けて誘導可能である。
【0040】
特殊可変入賞球装置7Bでは、特殊入賞口扉711用のソレノイド83がオン状態であるときに特殊入賞口扉711が特殊入賞口を開放状態として、遊技球が特殊入賞口を通過(進入)し易くする。その一方で、特殊入賞口扉711用のソレノイド83がオフ状態であるときに特殊入賞口扉711が特殊入賞口を閉鎖状態として、遊技球が特殊入賞口を通過(進入)できなくする。このように特殊入賞口は、遊技球が通過(進入)し易く遊技者にとって有利な開放状態と、遊技球が通過(進入)できず遊技者にとって不利な閉鎖状態とに変化する。尚、遊技球が特殊入賞口を通過(進入)できない閉鎖状態に代えて、あるいは閉鎖状態の他に、遊技球が特殊入賞口を通過(進入)し難い一部開放状態を設けてもよい。
【0041】
特殊入賞口を通過(進入)する遊技球は、特殊入賞口内に設置された第2カウントスイッチ24を通過することで、該第2カウントスイッチ24内によって検出される。第2カウントスイッチ24によって遊技球が検出されたことに基づき、所定個数(例えば10個)の遊技球が賞球として払出される。こうして、特殊可変入賞球装置7Bにおいて開放状態となった特殊入賞口を遊技球が通過(進入)したときには、例えば第1始動入賞口や第2始動入賞口といった、他の普通入賞口を遊技球が通過(進入)したときよりも多くの賞球が払出される。したがって、特殊可変入賞球装置7Bにおいて特殊入賞口が開放状態となれば、該特殊入賞口に遊技球が進入可能となり、遊技者にとって有利な第1状態となる。その一方で、特殊可変入賞球装置7Bにおいて特殊入賞口が閉鎖状態となれば、特殊入賞口に遊技球を通過(進入)させて賞球を得ることが不可能または困難になり、遊技者にとって不利な第2状態となる。
【0042】
図1に戻って、遊技盤2の所定位置(図1に示す例では、遊技領域10の左側方)には、普通図柄表示器20が設けられている。一例として、普通図柄表示器20は、第1特別図柄表示器4Aや第2特別図柄表示器4Bと同様に7セグメントやドットマトリクスのLED等から構成され、特別図柄とは異なる複数種類の識別情報である普通図柄(「普図」あるいは「普通図」ともいう)を変動可能に表示(変動表示)する。
【0043】
普通図柄表示器20の上方には、普図保留表示器25Cが設けられている。普図保留表示器25Cは、例えば4個のLEDを含んで構成され、通過ゲート41を通過した有効通過球数としての普図保留記憶数を表示する。尚、通過ゲート41は、特別可変入賞球ユニット7における特別可変入賞球装置7A及び特殊可変入賞球装置7B間に設置されている。尚、通過ゲート41内には、後述するゲートスイッチ21が内蔵されている。
【0044】
また、演出表示装置5の周囲に設けられたセンター飾り枠5cにより囲まれた領域の右側には、第1特別図柄の変動表示に同期して第1特別図柄用の第4図柄の変動表示が行われる第1変動表示部61Aと、第2特別図柄の変動表示に同期して第2特別図柄用の第4図柄の変動表示が行われる第2変動表示部61Bと、後述する右打ち操作期間であることを報知するための右打ち報知用表示部62と、を有する補助表示器60が設けられている。
【0045】
遊技領域10においては、遊技球が流下する流下経路のうちの第1経路が、正面から見て演出表示装置5(センター飾り枠5c)よりも左側の領域に主に設けられ、遊技球が流下する流下経路のうち第1経路とは異なる第2経路が、正面から見て演出表示装置5(センター飾り枠5c)よりも右側の領域に主に設けられている。
【0046】
第1経路に遊技球を流下させるために演出表示装置5の左側領域(左側遊技領域)に遊技球を打込むことが左打ちと呼ばれる。第2経路に遊技球を流下させるために演出表示装置5の右側領域(右側遊技領域)に遊技球を打込むことが右打ちと呼ばれる。第1経路は、遊技領域10の左側に遊技球を打込むことにより遊技球が流下可能となる経路であるので、左打ち経路と呼ばれてもよい。また、第2経路は、遊技領域10の右側に遊技球を打込むことにより遊技球が流下可能となる経路であるので、右打ち経路と呼ばれてもよい。尚、第1経路と第2経路とは、別の経路により構成されてもよく、一部が共有化された経路であってもよい。左遊技領域と右遊技領域とは、例えば、遊技領域10内における演出表示装置5の端面や障害釘の配列等により区分けされていればよい。
【0047】
また、第1経路を流下した遊技球は、普通入賞球装置6A及び普通可変入賞球装置6Bに入賞可能となり、第2経路を流下した遊技球は、普通可変入賞球装置6B、特別可変入賞球装置7A及び特殊可変入賞球装置7Bに入賞可能、かつ、通過ゲート41を通過可能となるように多数の障害釘が配設されている。つまり、左打ちの場合は特別可変入賞球装置7A及び特殊可変入賞球装置7Bに入賞不能、かつ、通過ゲート41を通過不能である。
【0048】
また、本実施例では、右打ちにより第2経路を流下する遊技球の大半は特殊可変入賞球装置7Bに入賞可能に到達し、残りは特殊可変入賞球装置7Bに入賞可能に到達することなく特別可変入賞球装置7Aや普通可変入賞球装置6Bに入賞可能に到達または何れに入賞することなく遊技領域10の中央側(左側)に向けて流下していく。そして、特殊可変入賞球装置7Bに入賞可能に到達した遊技球は、特殊入賞口が開放状態である場合はほぼ入賞し、特殊入賞口が閉鎖状態である場合は、特殊入賞口扉711上を遊技領域10の中央側(左側)に向けて流下して落下する。
【0049】
特殊入賞口扉711の左端から落下した遊技球の大半は、通過ゲート41を通過して特別可変入賞球装置7Aに入賞可能に到達する。そして、特別可変入賞球装置7Aに入賞可能に到達した遊技球は、大入賞口が開放状態である場合はほぼ入賞し、大入賞口が閉鎖状態である場合は、大入賞口扉701上を遊技領域10の中央側(左側)に向けて流下して落下する。大入賞口扉701の左端から落下した遊技球の大半(例えば、約8割)は、普通可変入賞球装置6Bに入賞可能に到達し、残りは普通可変入賞球装置6Bに入賞可能に到達することなくアウト口に向けて流下していく。
【0050】
遊技盤2の表面には、上記の構成以外にも、遊技球の流下方向や速度を変化させる風車及び多数の障害釘が設けられている。また、第1始動入賞口、第2始動入賞口及び大入賞口、特殊入賞口とは異なる入賞口として、例えば所定の球受部材によって常に一定の開放状態に保たれる単一または複数の一般入賞口が設けられてもよい。この場合には、一般入賞口のいずれかに進入した遊技球が所定の一般入賞球スイッチによって検出されたことに基づき、所定個数(例えば10個)の遊技球が賞球として払出されればよい。遊技領域10の最下方には、いずれの入賞口にも進入しなかった遊技球が取り込まれるアウト口が設けられている。
【0051】
遊技機用枠3の左右上部位置には、効果音等を再生出力するためのスピーカ8L、8Rが設けられており、さらに遊技領域10の周辺部であるガラス扉枠50には、演出用LED9が設けられている。パチンコ遊技機1の遊技領域10における各構造物(例えば普通入賞球装置6A、普通可変入賞球装置6B、特別可変入賞球ユニット7等)の周囲には、装飾用LEDが配置されていてもよい。遊技機用枠3の右下部位置には、遊技媒体としての遊技球を遊技領域10に向けて発射するために遊技者等によって操作される打球操作ハンドル(操作ノブ)が設けられている。例えば、打球操作ハンドルは、遊技者等による操作量(回転量)に応じて遊技球の弾発力を調整する。打球操作ハンドルには、打球発射装置が備える発射モータの駆動を停止させるための単発発射スイッチや、タッチリング(タッチセンサ)が設けられていればよい。
【0052】
遊技領域10の下方における遊技機用枠3の所定位置には、賞球として払出された遊技球や所定の球貸機により貸し出された遊技球を、打球発射装置へと供給可能に保持(貯留)する上皿(打球供給皿)が設けられている。遊技機用枠3の下部には、上皿から溢れた余剰球などを、パチンコ遊技機1の外部へと排出可能に保持(貯留)する下皿が設けられている。下皿を形成する下皿部材には、例えば下皿本体の上面における前側の所定位置(例えば下皿の中央部分)などに、遊技者が把持して傾倒操作が可能なスティックコントローラ31Aが取り付けられている。上皿を形成する上皿部材には、例えば上皿本体の上面における前側の所定位置(例えばスティックコントローラ31Aの上方)などに、遊技者が押下操作などにより所定の指示操作を可能なプッシュボタン31Bが設けられている。
【0053】
次に、パチンコ遊技機1における遊技の進行を概略的に説明する。
【0054】
パチンコ遊技機1では、遊技領域10に設けられた通過ゲート41を通過した遊技球が図2に示すゲートスイッチ21によって検出されたことといった、普通図柄表示器20にて普通図柄の変動表示を実行するための普図始動条件が成立した後に、例えば前回の普図の変動表示が終了したことといった、普通図柄の変動表示を開始するための普図開始条件が成立したことに基づいて、普通図柄表示器20による普図の変動表示が開始される。
【0055】
この普図の変動表示では、普通図柄の変動を開始させた後、普図変動時間となる所定時間が経過すると、普通図柄の変動表示結果となる確定普通図柄を停止表示(導出表示)する。このとき、確定普通図柄として、例えば「7」を示す数字といった、特定の普通図柄(普図当り図柄)が停止表示されれば、普通図柄の変動表示結果が「普図当り」となる。その一方、確定普通図柄として、例えば「7」を示す数字以外の数字や記号といった、普図当り図柄以外の普通図柄が停止表示されれば、普通図柄の変動表示結果が「普図はずれ」となる。普通図柄の変動表示結果が「普図当り」となったことに対応して、普通可変入賞球装置6Bを構成する電動チューリップの可動翼片が傾動位置となる拡大開放制御(傾動制御)が行われ、所定時間が経過すると垂直位置に戻る通常開放制御が行われる。
【0056】
普通入賞球装置6Aに形成された第1始動入賞口を通過(進入)した遊技球が図2に示す第1始動口スイッチ22Aによって検出されたことなどにより第1始動条件が成立した後に、例えば前回の特図ゲームや大当り遊技状態が終了したことなどにより第1開始条件が成立したことに基づいて、第1特別図柄表示器4Aによる特図の変動表示が開始される。また、普通可変入賞球装置6Bに形成された第2始動入賞口を通過(進入)した遊技球が図2に示す第2始動口スイッチ22Bによって検出されたことなどにより第2始動条件が成立した後に、例えば前回の特図の変動表示や大当り遊技状態が終了したことなどにより第2開始条件が成立したことに基づいて、第2特別図柄表示器4Bによる特図の変動表示が開始される。
【0057】
第1特別図柄表示器4Aや第2特別図柄表示器4Bによる特図の変動表示では、特別図柄の変動表示を開始させた後、特図変動時間としての変動表示時間が経過すると、特別図柄の変動表示結果となる確定特別図柄(変動表示結果)を導出表示する。このとき、確定特別図柄として特定の特別図柄(大当り図柄)が停止表示されれば、特定表示結果としての「大当り」となり、大当り図柄とは異なる所定の特別図柄(小当り図柄)が停止表示されれば、所定表示結果としての「小当り」となる。また、大当り図柄や小当り図柄とは異なる特別図柄が確定特別図柄として停止表示されれば「はずれ」となる。
【0058】
特図の変動表示での変動表示結果が「大当り」になった後には、遊技者にとって有利なラウンド(「ラウンド遊技」ともいう)を所定回数実行する特定遊技状態としての大当り遊技状態に制御される。特図(第2特別図柄)の変動表示での変動表示結果が「小当り」になった後には、大当り遊技状態とは異なる特殊遊技状態としての小当り遊技状態に制御される。
【0059】
この実施例におけるパチンコ遊技機1では、一例として、「3」、「5」、「7」の数字を示す特別図柄を大当り図柄とし、「2」の数字を示す特別図柄を小当り図柄とし、「-」の記号を示す特別図柄をはずれ図柄としている。尚、第1特別図柄表示器4Aによる特図の変動表示における大当り図柄や小当り図柄、はずれ図柄といった各図柄は、第2特別図柄表示器4Bによる特図の変動表示における各図柄とは異なる特別図柄となるようにしてもよいし、双方の特図の変動表示において共通の特別図柄が大当り図柄や小当り図柄、はずれ図柄となるようにしてもよい。
【0060】
特図の変動表示における確定特別図柄として大当り図柄が停止表示されて特定表示結果としての「大当り」となった後、大当り遊技状態において、特別可変入賞球装置7Aの大入賞口扉701が、所定の上限時間(例えば29秒間)が経過するまでの期間あるいは所定個数(例えば10個)の入賞球が発生するまでの期間にて、大入賞口を開放状態とする。これにより、特別可変入賞球装置7Aを遊技者にとって有利な第1状態(開放状態)とするラウンドが実行される。
【0061】
大入賞口の開放サイクルであるラウンドは、その実行回数が所定の上限回数(例えば「15」、「5」や「2」など)に達するまで、繰返し実行可能となっている。尚、ラウンドの実行回数が上限回数に達する前であっても、所定条件の成立(例えば大入賞口に遊技球が入賞しなかったことなど)により、ラウンドの実行が終了するようにしてもよい。
【0062】
また、特図(第2特別図柄)の変動表示における確定特別図柄として小当り図柄が停止表示されて特定表示結果としての「小当り」となった後、小当り遊技状態において、特殊可変入賞球装置7Bの特殊入賞口扉711が、所定の上限時間(例えば1.8秒間)が経過するまであるいは所定個数(例えば10個)の入賞球が発生するまでの期間にて、特殊入賞口を開放状態とする。これにより、特殊可変入賞球装置7Bは遊技者にとって有利な第1状態(開放状態)となる。具体的には、特殊入賞口に所定個数(例えば、1~3個)の遊技球が入賞可能な程度の一定時間(1.8秒間)が経過するまで特殊入賞口を開放する動作を行うことで特殊可変入賞球装置7Bが開放される。これにより、小当り遊技状態においても、大当り遊技状態よりも少ないものの遊技者が出球を得ることができるような開放態様としている。尚、本実施例では、小当り遊技状態において特殊入賞口扉711が所定の上限時間(例えば1.8秒間)が経過するまであるいは所定個数(例えば10個)の入賞球が発生するまでの期間にて、特殊入賞口を開放状態とするように設定されているが、本発明はこれに限定されるものではなく、所定の上限時間が経過するまで特殊入賞口扉711が複数回開放するようにしてもよい。また、小当り遊技状態において特別可変入賞球装置7Aの大入賞口が開放するようにしてもよい。
【0063】
尚、本実施例では、小当り遊技状態において特殊可変入賞球装置7Bの特殊入賞口が所定の上限時間である1.8秒間開放する形態を例示したが、例えば、特殊可変入賞球装置7Bが閉状態であるときに特殊入賞口扉711の上面を流下する遊技球の流下を遅延させるための遅延手段(例えば、遊技球を流下方向に向けて蛇行させるために通路壁に設けられる規制片など)が設けられているように構成してもよい。このように遅延手段を設けることにより、特殊入賞口が閉状態であるときに特殊入賞口扉711の上面を流下する遊技球の流下速度が遅延され、これにより、特殊入賞口が開放したときに複数個の遊技球が一度に入賞可能となるため、特殊入賞口の開放時間を長くすることなく、小当り状態において特殊入賞口への遊技球の進入割合をより一層高めることが可能となる。尚、このような遅延手段は、特別可変入賞球装置7Aや普通可変入賞球装置6B等にも適用可能である。
【0064】
パチンコ遊技機1には、例えば図2に示すような主基板11、演出制御基板12、音声制御基板13、LED制御基板14といった、各種の制御基板が搭載されている。また、パチンコ遊技機1には、主基板11と演出制御基板12との間で伝送される各種の制御信号を中継するための中継基板15なども搭載されている。その他にも、パチンコ遊技機1における遊技盤2などの背面には、例えば払出制御基板、情報端子基板、発射制御基板、インタフェース基板などといった、各種の基板が配置されている。
【0065】
主基板11は、メイン側の制御基板であり、パチンコ遊技機1における遊技の進行を制御するための各種回路が搭載されている。主基板11は、主として、特図ゲームにおいて用いる乱数の設定機能、所定位置に配設されたスイッチ等からの信号の入力を行う機能、演出制御基板12などからなるサブ側の制御基板に宛てて、指令情報の一例となる制御コマンドを制御信号として出力して送信する機能、ホールの管理コンピュータに対して各種情報を出力する機能などを備えている。また、主基板11は、第1特別図柄表示器4Aと第2特別図柄表示器4Bを構成する各LED(例えばセグメントLED)などの点灯/消灯制御を行って第1特図や第2特図の変動表示を制御することや、普通図柄表示器20の点灯/消灯/発色制御などを行って普通図柄表示器20による普通図柄の変動表示を制御することといった、所定の表示図柄の変動表示を制御する機能も備えている。
【0066】
主基板11には、例えば遊技制御用マイクロコンピュータ100や、遊技球検出用の各種スイッチからの検出信号を取り込んで遊技制御用マイクロコンピュータ100に伝送するスイッチ回路110、遊技制御用マイクロコンピュータ100からのソレノイド駆動信号をソレノイド81~83に伝送する出力回路111などが搭載されている。
【0067】
尚、出力回路111は、ソレノイド85を駆動させるためのコントローラ90にも接続されている。コントローラ90は、パチンコ遊技機1の起動時に出力回路111を介して遊技制御用マイクロコンピュータ100から起動信号を受信することでソレノイド85の駆動制御を開始するようになっている。
【0068】
主基板11から演出制御基板12に向けて伝送される制御信号は、中継基板15によって中継される。中継基板15を介して主基板11から演出制御基板12に対して伝送される制御コマンドは、例えば電気信号として送受信される演出制御コマンドである。演出制御コマンドには、例えば演出表示装置5における画像表示動作を制御するために用いられる表示制御コマンドや、スピーカ8L、8Rからの音声出力を制御するために用いられる音声制御コマンド、演出用LED9や装飾用LEDの点灯動作などを制御するために用いられるランプ制御コマンドが含まれている。
【0069】
図3(A)は、本実施例で用いられる演出制御コマンドの内容の一例を示す説明図である。演出制御コマンドは、例えば2バイト構成であり、1バイト目はMODE(コマンドの分類)を示し、2バイト目はEXT(コマンドの種類)を表す。MODEデータの先頭ビット(ビット7)は必ず「1」とされ、EXTデータの先頭ビットは「0」とされる。尚、図3(A)に示されたコマンド形態は一例であって、他のコマンド形態を用いてもよい。また、この例では、制御コマンドが2つの制御信号で構成されることになるが、制御コマンドを構成する制御信号数は、1であってもよいし、3以上の複数であってもよい。
【0070】
図3(A)に示す例において、コマンド8001Hは、第1特別図柄表示器4Aにおける第1特図を用いた特図ゲームにおける変動開始を指定する第1変動開始コマンドである。コマンド8002Hは、第2特別図柄表示器4Bにおける第2特図を用いた特図ゲームにおける変動開始を指定する第2変動開始コマンドである。コマンド81XXHは、特図ゲームにおける特別図柄の変動表示に対応して演出表示装置5における「左」、「中」、「右」の各演出図柄表示エリア5L,5C,5Rで変動表示される演出図柄などの変動パターン(変動時間)を指定する変動パターン指定コマンドである。ここで、XXHは不特定の16進数であることを示し、演出制御コマンドによる指示内容に応じて任意に設定される値であればよい。尚、変動パターン指定コマンドでは、指定する変動パターンなどに応じて、異なるEXTデータが設定される。
【0071】
コマンド8CXXHは、変動表示結果通知コマンドであり、特別図柄や演出図柄などの変動表示結果を指定する演出制御コマンドである。変動表示結果通知コマンドでは、例えば図3(B)に示すように、変動表示結果が「はずれ」であるか「大当り」であるか「小当り」であるかの決定結果(事前決定結果)や、変動表示結果が「大当り」となる場合の大当り種別を複数種類のいずれとするかの決定結果(大当り種別決定結果)に応じて、異なるEXTデータが設定される。
【0072】
変動表示結果通知コマンドでは、例えば図3(B)に示すように、コマンド8C00Hは、変動表示結果が「はずれ」となる旨の事前決定結果を示す第1変動表示結果指定コマンドである。コマンド8C01Hは、変動表示結果が「大当り」で大当り種別が「15R確変大当り」となる旨の事前決定結果及び大当り種別決定結果を通知する第2変動表示結果指定コマンドである。コマンド8C02Hは、変動表示結果が「大当り」で大当り種別が「5R確変大当り」となる旨の事前決定結果及び大当り種別決定結果を通知する第3変動表示結果指定コマンドである。コマンド8C03Hは、変動表示結果が「大当り」で大当り種別が「5R通常大当り」となる旨の事前決定結果及び大当り種別決定結果を通知する第4変動表示結果指定コマンドである。コマンド8C04Hは、変動表示結果が「2R確変大当り」となる旨の事前決定結果を通知する第5変動表示結果指定コマンドである。コマンド8C05Hは、変動表示結果が「2R通常大当り」となる旨の事前決定結果を通知する第6変動表示結果指定コマンドである。コマンド8C06Hは、変動表示結果が「小当り」となる旨の事前決定結果を通知する第7変動表示結果指定コマンドである。
【0073】
コマンド8F00Hは、演出表示装置5における「左」、「中」、「右」の各演出図柄表示エリア5L,5C,5Rで演出図柄の変動停止(確定)を指定する図柄確定コマンドである。コマンド95XXHは、パチンコ遊技機1における現在の遊技状態を指定する遊技状態指定コマンドである。遊技状態指定コマンドでは、例えばパチンコ遊技機1における現在の遊技状態に応じて、異なるEXTデータが設定される。具体的な一例として、コマンド9500Hを後述する確変制御が行われず、かつ、KT状態とならない遊技状態(低確/非KT状態)に対応した第1遊技状態指定コマンドとし、コマンド9501Hを確変制御が行われ、かつ、KT状態となる遊技状態(高確/KT状態)に対応した第2遊技状態指定コマンドとする。
【0074】
コマンドA0XXHは、大当り遊技状態または小当り遊技状態の開始を示す演出画像の表示を指定する当り開始指定コマンド(「ファンファーレコマンド」ともいう)である。コマンドA1XXHは、大当り遊技状態または小当り遊技状態において、大入賞口が開放状態となっている期間であることを通知する大入賞口開放中通知コマンドである。コマンドA2XXHは、大当り遊技状態または小当り遊技状態において、大入賞口が開放状態から閉鎖状態に変化した期間であることを通知する大入賞口開放後通知コマンドである。コマンドA3XXHは、大当り遊技状態または小当り遊技状態の終了時における演出画像の表示を指定する当り終了指定コマンドである。
【0075】
当り開始指定コマンドや当り終了指定コマンドでは、例えば変動表示結果通知コマンドと同様のEXTデータが設定されることなどにより、事前決定結果や大当り種別決定結果に応じて異なるEXTデータが設定されてもよい。あるいは、当り開始指定コマンドや当り終了指定コマンドでは、事前決定結果及び大当り種別決定結果と設定されるEXTデータとの対応関係を、変動表示結果通知コマンドにおける対応関係とは異ならせるようにしてもよい。大入賞口開放中通知コマンドや大入賞口開放後通知コマンドでは、大当り遊技状態または小当り遊技状態におけるラウンドの実行回数(例えば「1」~「15」)に対応して、異なるEXTデータが設定される。
【0076】
コマンドB100Hは、普通入賞球装置6Aが形成する第1始動入賞口を通過(進入)した遊技球が第1始動口スイッチ22Aにより検出されて始動入賞(第1始動入賞)が発生したことに基づき、第1特別図柄表示器4Aにおける第1特図を用いた特図ゲームを実行するための第1始動条件が成立したことを通知する第1始動口入賞指定コマンドである。コマンドB200Hは、普通可変入賞球装置6Bが形成する第2始動入賞口を通過(進入)した遊技球が第2始動口スイッチ22Bにより検出されて始動入賞(第2始動入賞)が発生したことに基づき、第2特別図柄表示器4Bにおける第2特図を用いた特図ゲームを実行するための第2始動条件が成立したことを通知する第2始動口入賞指定コマンドである。
【0077】
コマンドC1XXHは、第1保留記憶表示エリア5Dなどにて特図保留記憶数を特定可能に表示するために、第1特図保留記憶数を通知する第1保留記憶数通知コマンドである。第1保留記憶数通知コマンドは、例えば第1始動入賞口を遊技球が通過(進入)して第1始動条件が成立したことに基づいて、第1始動口入賞指定コマンドが送信されるときに、主基板11から演出制御基板12に対して送信される。
【0078】
コマンドD001は、遊技球が通過ゲート41を通過したことを通知するゲート検出通知コマンドである。
【0079】
主基板11に搭載された遊技制御用マイクロコンピュータ100は、例えば1チップのマイクロコンピュータであり、遊技制御用のプログラムや固定データ等を記憶するROM(Read Only Memory)101と、遊技制御用のワークエリアを提供するRAM(Random Access Memory)102と、遊技制御用のプログラムを実行して制御動作を行うCPU(Central Processing Unit)103と、CPU103とは独立して乱数値を示す数値データの更新を行う乱数回路104と、I/O(Input/Output port)105とを備えて構成される。
【0080】
一例として、遊技制御用マイクロコンピュータ100では、CPU103がROM101から読み出したプログラムを実行することにより、パチンコ遊技機1における遊技の進行を制御するための処理が実行される。このときには、CPU103がROM101から固定データを読み出す固定データ読出動作や、CPU103がRAM102に各種の変動データを書き込んで一時記憶させる変動データ書込動作、CPU103がRAM102に一時記憶されている各種の変動データを読み出す変動データ読出動作、CPU103がI/O105を介して遊技制御用マイクロコンピュータ100の外部から各種信号の入力を受付ける受信動作、CPU103がI/O105を介して遊技制御用マイクロコンピュータ100の外部へと各種信号を出力する送信動作なども行われる。
【0081】
図4は、主基板11の側においてカウントされる乱数値を例示する説明図である。図4に示すように、この実施例では、主基板11の側において、特図表示結果判定用の乱数値MR1の他、大当り種別判定用の乱数値MR2、変動パターン判定用の乱数値MR3、普図表示結果判定用の乱数値MR4、MR4の初期値決定用の乱数値MR5のそれぞれを示す数値データが、カウント可能に制御される。尚、遊技効果を高めるために、これら以外の乱数値が用いられてもよい。これらの乱数値MR1~MR5は、CPU103にて、異なるランダムカウンタを用いて、ソフトウェアによる更新によってカウントするようにしてもよいし、乱数回路104によって更新されてもよい。乱数回路104は、遊技制御用マイクロコンピュータ100に内蔵されるものであってもよいし、遊技制御用マイクロコンピュータ100とは異なる乱数回路チップとして構成されるものであってもよい。こうした遊技の進行を制御するために用いられる乱数は、遊技用乱数ともいう。
【0082】
図5(A)~図5(D)は、本実施例で用いられる特別図柄及び演出図柄の変動パターン(変動時間)を示す説明図である。第1特別図柄の変動表示を実行するときに非KT状態(低確/非KT状態)である場合には、図5(A)に示す非KT時用の第1特別図柄用変動パターンテーブルが選択され、変動パターンPA1-1~3、PB1-1~2のいずれかに決定される。また、第1特別図柄の変動表示を実行するときにKT状態(高確/KT状態)である場合には、図5(B)に示すKT時用の第1特別図柄用変動パターンテーブルが選択されて、変動パターンPA1-4、PB1-3のいずれかに決定される。
【0083】
本実施例では、変動表示結果が「はずれ」となる場合のうち、演出図柄の変動表示態様が「非リーチ」である場合と「リーチ」である場合のそれぞれに対応して、また、変動表示結果が「大当り」となる場合などに対応して、複数の変動パターンが予め用意されている。また、変動表示結果が「小当り」となる場合などに対応して変動パターンが予め用意されている。尚、変動表示結果が「はずれ」で演出図柄の変動表示態様が「非リーチ」である場合に対応した変動パターンは、非リーチ変動パターン(「非リーチはずれ変動パターン」ともいう)と称され、変動表示結果が「はずれ」で演出図柄の変動表示態様が「リーチ」である場合に対応した変動パターンは、リーチ変動パターン(「リーチはずれ変動パターン」ともいう)と称される。また、非リーチ変動パターンとリーチ変動パターンは、変動表示結果が「はずれ」となる場合に対応したはずれ変動パターンに含まれる。変動表示結果が「大当り」である場合に対応した変動パターンは、大当り変動パターンと称される。変動表示結果が「小当り」である場合に対応した変動パターンは、小当り変動パターンと称される。
【0084】
大当り変動パターンやリーチ変動パターンには、ノーマルリーチのリーチ演出が実行されるノーマルリーチ変動パターンと、スーパーリーチのリーチ演出が実行されるスーパーリーチ変動パターンとがある。尚、本実施例では、ノーマルリーチ変動パターンやスーパーリーチ変動パターンを1種類のみしか設けていないが、本発明はこれに限定されるものではなく、複数のノーマルリーチ変動パターンやスーパーリーチ変動パターンを設けても良い。尚、本実施例では、前述したようにスーパーリーチ、ノーマルリーチの順に変動表示結果が「大当り」となる大当り期待度が高くなるように設定されているため、ノーマルリーチ変動パターン及びスーパーリーチ変動パターンにおいては変動時間が長いほど大当り期待度が高くなっている。
【0085】
第2特別図柄の変動表示を実行するときに非KT状態(低確/非KT状態)である場合には、図5(C)に示す非KT時用の第2特別図柄用変動パターンテーブルが選択されて、変動パターンPA2-1、PB2-1のいずれかに決定される。具体的には、小当りと決定する場合には変動パターンPA2-1が決定されて、10分間の長期間にわたって第2特別図柄の変動表示が実行される。また、大当りと決定する場合にも変動パターンPB2-1が決定されて、5分間というある程度長期間にわたって第2特別図柄の変動表示が実行される。
【0086】
この実施例では、非KT状態中であっても第2特別図柄の変動表示が実行されて小当りとなると、特殊入賞口への遊技球の入賞によりある程度の賞球を期待できる状況が生じてしまう。そこで、この実施例では、図5(C)に示すように、非KT状態中に第2特別図柄の変動表示が実行されても、変動時間を極端に長くし変動表示の実行頻度を低下させることによって却って小当りの発生頻度を低下させるようにし、非KT状態中であるにもかかわらず小当りによる賞球の獲得を狙われてしまう事態を防止している。
【0087】
尚、この実施例では、図5(C)に示すように、非KT状態中に第2特別図柄の変動表示が実行される場合には、大当りとなる場合であっても変動時間を5分と比較的長くすることによって、非KT状態中に不当に特殊入賞口への入賞による賞球を狙う行為を防止するようにしている。ただし、大当りとなる場合には、小当りとなる場合と比較して第1保留記憶の消化を長くしなくてもよいので、小当りとなる場合よりも短い変動時間となるように構成している。
【0088】
また、第2特別図柄の変動表示を実行するときにKT状態(高確/KT状態)である場合には、図5(D)に示すKT時用の第2特別図柄用変動パターンテーブルが選択されて、変動パターンPC3-1~2、PB2-2のいずれかに決定される。尚、図5(D)に示すように、KT状態において小当りと決定する場合には、変動時間が1.5秒と短い短縮変動の変動パターンPC3-1に決定される場合がある。
【0089】
遊技制御用マイクロコンピュータ100では、CPU103がROM101から読み出したプログラムを実行し、RAM102をワークエリアとして用いることで、パチンコ遊技機1における遊技の進行を制御するための各種の処理が実行される。また、CPU103は、乱数生成プログラムを実行することで、主基板11の側において用いられる各種の乱数の全てを生成可能とされている。
【0090】
遊技制御用マイクロコンピュータ100が備えるROM101には、ゲーム制御用のプログラムの他にも、遊技の進行を制御するために用いられる各種のテーブルデータなどが記憶されている。例えば、ROM101には、CPU103が各種の判定や決定を行うために用意された、図6などに示す複数の判定テーブルを構成するテーブルデータが記憶されている。また、ROM101には、CPU103が主基板11から各種の制御信号を出力させるために用いられる複数の制御パターンテーブルを構成するテーブルデータや、特別図柄や普通図柄などの変動表示における各図柄の変動態様となる変動パターンを複数種類格納する変動パターンテーブルなどが記憶されている。
【0091】
ROM101が記憶する判定テーブルには、例えば図6(A)に示す表示結果判定テーブル(第1特別図柄用)、図6(B)に示す表示結果判定テーブル(第2特別図柄用)、図6(C)に示す大当り種別判定テーブル(第1特別図柄用)、図6(D)に示す大当り種別判定テーブル(第2特別図柄用)、図7(A)に示す普通図柄表示結果判定テーブル(低確状態、高確状態)などが含まれている。
【0092】
図6(A)は、第1特別図柄表示器4Aによる第1特図を用いた特図ゲームにおいて変動表示結果となる確定特別図柄が導出表示される以前に、その変動表示結果を「大当り」として大当り遊技状態に制御するか否かを、特図表示結果判定用の乱数値MR1に基づいて決定するために参照されるテーブルである。図6(B)は、第2特別図柄表示器4Bによる第2特図を用いた特図ゲームにおいて変動表示結果となる確定特別図柄が導出表示される以前に、その変動表示結果を「大当り」として大当り遊技状態に制御するか「小当り」として小当り遊技状態に制御するかを、特図表示結果判定用の乱数値MR1に基づいて決定するために参照されるテーブルである。
【0093】
本実施例の表示結果判定テーブルでは、パチンコ遊技機1における遊技状態が通常状態(低確/非KT状態)であるか、確変状態(高確/KT状態)であるかに応じて、特図表示結果判定用の乱数値MR1と比較される数値(判定値)が、「大当り」、「小当り」や「はずれ」の特図表示結果に割り当てられている。
【0094】
図6(A)及び図6(B)に示す表示結果判定テーブルにおいて、特図表示結果判定用の乱数値MR1と比較される判定値を示すテーブルデータは、特図表示結果を「大当り」として大当り遊技状態に制御するか否かの決定結果に割り当てられる判定用データとなっている。本実施例の表示結果判定テーブルでは、遊技状態が確変状態(高確/KT状態)であるときに、通常状態(低確/非KT状態)であるときよりも多くの判定値が、「大当り」の特図表示結果に割り当てられている。これにより、パチンコ遊技機1において確変制御が行われる確変状態(高確/KT状態)では、通常状態(低確/非KT状態)であるときに特図表示結果を「大当り」として大当り遊技状態に制御すると決定される確率(本実施例では約1/200)に比べて、特図表示結果を「大当り」として大当り遊技状態に制御すると決定される確率が高くなる(本実施例では約1/75)。即ち、表示結果判定テーブルでは、パチンコ遊技機1における遊技状態が確変状態(高確/KT状態)であるときに、通常状態(低確/非KT状態)であるときに比べて大当り遊技状態に制御すると決定される確率が高くなるように、判定用データが大当り遊技状態に制御するか否かの決定結果に割り当てられている。
【0095】
また、図6(A)に示す第1特別図柄用の表示結果判定テーブルにおいては、遊技状態が通常状態(低確/非KT状態)及び確変状態(高確/KT状態)のいずれにおいても、小当りに対応する判定値は設定されておらず、大当りのみが当選可能とされ、小当りの当選は発生しない。
【0096】
一方、図6(B)に示す第2特別図柄用の表示結果判定テーブルにおいては、遊技状態が通常状態(低確/非KT状態)及び確変状態(高確/KT状態)のいずれにおいても、大当りに対応する判定値以外の全ての判定値が小当りに対応する判定値として設定されていることで、大当りが非当選の場合は全て小当りが当選し、はずれが発生しないようになっている。尚、本実施例では、図6(B)に示す第2特別図柄用の表示結果判定テーブルにおいては、遊技状態が通常状態(低確/非KT状態)である場合と確変状態(高確/KT状態)である場合とで小当りの当選確率はほぼ同じであるが、通常状態(低確/非KT状態)である場合と確変状態(高確/KT状態)である場合のうちいずれかではずれを当選可能とし、小当りの当選確率を同一としてもよい。
【0097】
尚、本実施例では、CPU103は、図6(A)(B)に示す表示結果判定テーブルを用いて大当りまたは小当りとするか否かを判定するようになっているが、大当り判定テーブルと小当り判定テーブルとを別個に設け、大当りの判定と小当りの判定とを別個のテーブルを用いて行うようにしてもよい。
【0098】
また、本実施例では、図6(A)に示す第1特別図柄用の表示結果判定テーブルには、大当りに対応する判定値以外の判定値が小当りに対応する判定値として設定されていない、つまり、小当りが当選しないようになっていたが、大当りに対応する判定値以外の判定値の一部を小当りに対応する判定値として設定し、小当りが当選するようにしてもよい。また、図6(B)に示す第2特別図柄用の表示結果判定テーブルには、大当りに対応する判定値以外の全ての判定値が小当りに対応する判定値として設定されていたが、大当りに対応する判定値以外の判定値の一部をはずれに対応する判定値として設定してもよい。
【0099】
図6(C)、(B)は、ROM101に記憶されている大当り種別判定テーブル(第1特別図柄用)、大当り種別判定テーブル(第2特別図柄用)を示す説明図である。このうち、図6(C)は、遊技球が第1始動入賞口に入賞したことに基づく保留記憶を用いて(すなわち、第1特別図柄の変動表示が行われるとき)大当り種別を決定する場合のテーブルである。また、図6(D)は、遊技球が第2始動入賞口に入賞したことに基づき(すなわち、第2特別図柄の変動表示が行われるとき)大当り種別を決定する場合のテーブルである。
【0100】
大当り種別判定テーブルは、変動表示結果を大当り図柄にする旨の判定がなされたときに、当り種別判定用の乱数(MR2)に基づいて、大当りの種別を15R確変大当り、5R確変大当り、5R通常大当り、2R確変大当り、2R通常大当りのうちのいずれかに決定するために参照されるテーブルである。尚、本実施例では、図6(C)、(D)に示すように、大当り種別判定テーブル(第1特別図柄用)には、15R確変大当り、5R確変大当り、5R通常大当りの3種類の大当りが設けられているのに対し、大当り種別判定テーブル(第2特別図柄用)には、15R確変大当り、5R確変大当り、2R確変大当り、2R通常大当りの4種類の大当りのみが設けられている。
【0101】
本実施例では、大当り種別として、大当り遊技状態の終了後において確変制御が行われ、かつ、KT状態となる15R確変大当り、5R確変大当り、2R確変大当りと、大当り遊技状態の終了後において確変制御が行われず、かつ、KT状態とならない5R通常大当り、2R通常大当りが設定されている。
【0102】
また、図6(C)に示すように、大当り種別判定テーブル(第1特別図柄用)においては、MR2の判定値の範囲0~299のうち、0~49までが15R確変大当りに割り当てられており、50~179までが5R確変大当りに割り当てられており、180~299までが5R通常大当りに割り当てられている。このため、第1特別図柄の特図ゲームにおいて大当りが発生した場合は、約60%の割合で大当り遊技終了に確変制御が実行されるようになっている。
【0103】
一方で、図6(D)に示すように、大当り種別判定テーブル(第2特別図柄用)においては、MR2の判定値の範囲0~299のうち、0~99までが15R確変大当りに割り当てられており、100~149までが5R確変大当りに割り当てられており、150~179までが2R確変大当りに割り当てられており、18~299までが2R通常大当りに割り当てられている。このため、第2特別図柄の特図ゲームにおいて大当りが発生した場合は、約60%の割合で大当り遊技終了に確変制御が実行されるが、約40%の割合で大当り遊技終了に確変制御が実行されない、つまり、低確状態に移行するようになっている。
【0104】
尚、第1特別図柄の停止図柄が確変図柄に決定されて確変状態に移行した場合には、第1特別図柄表示器4Aにおける第1特別図柄が大当り図柄になる確率が高くなるだけでなく、第2特別図柄表示器4Bにおける第2特別図柄が大当り図柄になる確率も高くなる。すなわち、第1始動入賞にもとづく大当りの判定だけでなく、第2始動入賞にもとづく大当りの判定においても低確率状態よりも高い確率で大当りと判定されることになる。
【0105】
図7(A)は、普通図柄表示器20による普通図柄を用いた普図ゲームにおいて変動表示結果となる確定普通図柄が導出表示される以前に、その変動表示結果を「当り」として第2始動入賞口を開放状態に制御するか否かを、普通図柄当り判定用の乱数値MR4に基づいて決定するために参照される判定テーブルである。
【0106】
本実施例の普通図柄表示結果判定テーブルでは、パチンコ遊技機1における遊技状態が通常状態(低確/非KT状態)であるか確変状態(高確/KT状態)であるかに関係なく、普通図柄当り判定用の乱数値MR4と比較される数値(判定値)が、「当り」や「はずれ」の表示結果に割り当てられている。具体的には、図7(A)に示す普通図柄表示結果判定テーブルにおいては、MR4の判定値の範囲3~23のうち、3~12までが「当り」に割り当てられており、13~23までが「はずれ」に割り当てられている。このため、普図ゲームにおいては、遊技状態に関係なく同じ確率(例えば、約10%)により普図当りにするか否かを決定している。
【0107】
また、図7(B)に示すように、低確/非KT状態と高確/KT状態とで、普通図柄の変動時間(図柄確定時間)はそれぞれ0.2秒ずつで同じとされている。また、低確/非KT状態と高確/KT状態とで、第2始動入賞口の開放パターンについても、0.5秒の開放を6回繰り返すパターンで同じとされている。このように本実施例では、普通図柄の当選確率、変動表示時間は遊技状態に関係なく同じとされているため、低確/非KT状態でも高確/KT状態でも第2始動入賞口は同じように開放状態となる。
【0108】
ここで、本実施例における遊技状態について説明する。まず、本実施例における遊技状態には、通常状態(低確/非KT状態)と、通常状態よりも小当りになりやすいKT状態(いわゆる小当りタイム)とがある。遊技状態には、低確且つ非KT状態(低確/非KT状態:通常状態)に制御されている場合と、高確且つKT状態(高確/KT状態)に制御されている場合とがある。
【0109】
また、KT状態は、通常状態(低確/非KT状態)よりも小当りになりやすい遊技状態である。具体的には、この実施例では、KT状態であっても普図当りとなって普通可変入賞球装置6Bが拡大開放状態となる確率は通常状態と同じである。そして、第2特別図柄の変動表示時には大当りとなる場合以外には全て小当りになるよう構成されている(ただし、後述する強制はずれの場合を除く)ため、KT状態を、通常状態よりも小当りになりやすい遊技状態としている。これにより、KT状態では、主に第2特別図柄の変動を行わせることにより小当りを頻繁に発生させ、遊技者に有利な遊技状態となっている。
【0110】
次に、本実施例における遊技状態の遷移について説明する。まず、この実施例では、通常状態(低確/非KT状態)では、遊技者は遊技領域10の左方を狙って遊技球の発射操作(左打ち)を行う。そのため、通常状態では、主として第1始動入賞口への始動入賞が発生し、主として第1特別図柄の変動表示が実行される。通常状態において大当りが発生した場合には、低確/非KT状態または高確/KT状態へ移行する。例えば、5R通常大当りが発生した場合、低確/非KT状態に移行する。
【0111】
KT状態(高確/KT状態)に移行した後である場合は、この実施例では、遊技者は遊技領域10の右方を狙って遊技球の発射操作(右打ち)を行う。そのため、KT状態では、主として第2始動入賞口への始動入賞が発生し、主として第2特別図柄の変動表示が実行される。KT状態において大当りが発生した場合には、低確/非KT状態または高確/KT状態へ移行する。例えば、2R通常大当りが発生した場合、低確/非KT状態に移行する。また、例えば、2R確変大当り、5R確変大当り、15R確変大当りが発生した場合、高確/KT状態に移行し、その後、次の大当りが発生するまで高確/KT状態が維持される。
【0112】
第1特別図柄表示器4Aにおける第1特別図柄の変動表示と演出図柄の変動表示とは同期している。また、第2特別図柄表示器4Bにおける第2特別図柄の変動表示と演出図柄の変動表示とは同期している。ここで、同期とは、変動表示の開始時点および終了時点が同じであって、変動表示の期間が同じであることをいう。また、第1特別図柄表示器4Aにおいて大当り図柄が停止表示されるときには、演出図柄表示エリア5L,5C,5Rにおいて大当り図柄が停止表示される。第2特別図柄表示器4Bにおいて大当り図柄が停止表示されるときには、演出図柄表示エリア5L,5C,5Rにおいて大当り図柄が停止表示される。
【0113】
また、演出図柄表示エリア5L,5C,5Rでは、第1特別図柄表示器4Aにおいて第1特別図柄が変動表示されているときに、第1特別図柄の変動表示に対応した演出が実行される。例えば、演出図柄表示エリア5L,5C,5Rにおける3つの表示領域において演出図柄が変動表示される。リーチ演出を行う場合には、例えば、変動表示中に左右の演出図柄が停止表示される。そして、後述するように例外はあるが、基本的に第1特別図柄表示器4Aにおいて第1特別図柄の停止図柄が導出表示されるときに、演出図柄表示エリア5L,5C,5Rにおいて演出図柄の停止図柄が導出表示される。第1特別図柄の停止図柄が大当り図柄である場合には、演出図柄の停止図柄は、第1特別図柄の停止図柄が大当り図柄であることを遊技者に想起させるような演出図柄(例えば、左中右が揃った状態の3つの演出図柄)になる。
【0114】
第2特別図柄表示器4Bにおいて第2特別図柄が変動表示されているときに、第2特別図柄の変動表示に対応した演出が実行される。例えば、演出図柄表示エリア5L,5C,5Rにおける3つの表示領域において演出図柄が変動表示される。
【0115】
また、第1特別図柄表示器4Aにおいて第1特別図柄が変動表示され、同時に第2特別図柄表示器4Bにおいて第2特別図柄が変動表示されているときには、第1特別図柄と第2特別図柄とのうちのいずれかの変動表示に対応した演出が実行される。例えば、低確/非KT状態においては、第1特別図柄の変動表示に対応した第1演出図柄の変動表示が優先して行われ、高確/KT状態においては、第2特別図柄の変動表示に対応した第2演出図柄の変動表示が優先して行われるようにしてもよい。あるいは、低確/非KT状態においては、第1特別図柄の変動表示に対応した第1演出図柄の変動表示が第2特別図柄の変動表示に対応した第2演出図柄の変動表示よりも目立つように表示され、高確/KT状態においては、第2特別図柄の変動表示に対応した第2演出図柄の変動表示が第1特別図柄の変動表示に対応した第1演出図柄の変動表示よりも目立つように表示されるようにしてもよい。
【0116】
そして、第1特別図柄または第2特別図柄が単独で変動表示されている場合には、第1特別図柄または第2特別図柄の変動表示が終了し第1特別図柄または第2特別図柄の停止図柄が導出表示されるときに、演出図柄の変動表示は終了し、演出図柄の停止図柄が導出表示される。また、第1特別図柄および第2特別図柄が同時に変動表示されている場合、具体的には、第1特別図柄および第2特別図柄が同時に変動表示されている期間が存在する場合には、遅く変動表示が終了する方の特別図柄が停止表示されるときに、演出図柄の変動表示は終了する。
【0117】
図2に示す遊技制御用マイクロコンピュータ100が備えるRAM102は、その一部または全部が所定の電源基板において作成されるバックアップ電源によってバックアップされているバックアップRAMであればよい。すなわち、パチンコ遊技機1に対する電力供給が停止しても、所定期間(バックアップ電源としてのコンデンサが放電してバックアップ電源が電力供給不能になるまで)は、RAM102の一部または全部の内容は保存される。特に、少なくとも、遊技状態すなわち遊技制御手段の制御状態に応じたデータ(特図プロセスフラグなど)と未払出賞球数を示すデータとは、バックアップRAMに保存されるようにすればよい。遊技制御手段の制御状態に応じたデータとは、停電等が生じた後に復旧した場合に、そのデータにもとづいて、制御状態を停電等の発生前に復旧させるために必要なデータである。また、制御状態に応じたデータと未払出賞球数を示すデータとを遊技の進行状態を示すデータと定義する。
【0118】
このようなRAM102には、パチンコ遊技機1における遊技の進行などを制御するために用いられる各種のデータを保持する領域として、例えば遊技制御用データ保持エリア(図示略)が設けられている。遊技制御用データ保持エリア(図示略)は、第1特図保留記憶部と、普図保留記憶部と、遊技制御フラグ設定部と、遊技制御タイマ設定部と、遊技制御カウンタ設定部と、遊技制御バッファ設定部とを備えている。
【0119】
第1特図保留記憶部は、普通入賞球装置6Aが形成する第1始動入賞口を遊技球が通過(進入)して始動入賞(第1始動入賞)が発生したものの未だ開始されていない特図ゲーム(第1特別図柄表示器4Aにおける第1特図を用いた特図ゲーム)の保留データを記憶する。一例として、第1特図保留記憶部は、第1始動入賞口への入賞順(遊技球の検出順)に保留番号と関連付けて、その遊技球の通過(進入)における第1始動条件の成立に基づいてCPU103により乱数回路104等から抽出された変動表示結果判定用の乱数値MR1や大当り種別判定用の乱数値MR2、変動パターン判定用の乱数値MR3を示す数値データなどを保留データとして、その記憶数が所定の上限値(例えば「4」)に達するまで記憶する。こうして第1特図保留記憶部に記憶された保留データは、第1特図を用いた特図ゲームの実行が保留されていることを示し、この特図ゲームにおける変動表示結果(特図表示結果)に基づき大当りとなるか否かなどを判定可能にする保留情報となる。
【0120】
普図保留記憶部は、通過ゲート41を通過した遊技球がゲートスイッチ21によって検出されたにもかかわらず、未だ普通図柄表示器20により開始されていない普図ゲームの保留情報を記憶する。例えば、普図保留記憶部は、遊技球が通過ゲート41を通過した順に保留番号と対応付けて、その遊技球の通過に基づいてCPU103により乱数回路104等から抽出された普図表示結果判定用の乱数値MR4を示す数値データなどを保留データとして、その数が所定の上限値(例えば「4」)に達するまで記憶する。尚、本実施例では、普図ゲームの保留情報を記憶する普図保留記憶部を有する形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、必ずしも普図保留記憶部を設けなくてもよい。
【0121】
遊技制御フラグ設定部には、パチンコ遊技機1における遊技の進行状況などに応じて状態を更新可能な複数種類のフラグが設けられている。例えば、遊技制御フラグ設定部には、複数種類のフラグそれぞれについて、フラグの値を示すデータや、オン状態あるいはオフ状態を示すデータが記憶される。
【0122】
遊技制御タイマ設定部には、パチンコ遊技機1における遊技の進行を制御するために用いられる各種のタイマが設けられている。例えば、遊技制御タイマ設定部には、複数種類のタイマそれぞれにおけるタイマ値を示すデータが記憶される。
【0123】
遊技制御カウンタ設定部には、パチンコ遊技機1における遊技の進行を制御するために用いられるカウント値を計数するための複数種類のカウンタが設けられている。例えば、遊技制御カウンタ設定部には、複数種類のカウンタそれぞれにおけるカウント値を示すデータが記憶される。ここで、遊技制御カウンタ設定部には、遊技用乱数の一部または全部をCPU103がソフトウェアにより更新可能にカウントするためのランダムカウンタが設けられてもよい。
【0124】
遊技制御カウンタ設定部のランダムカウンタには、乱数回路104で生成されない乱数値、例えば、乱数値MR1~MR4を示す数値データが、ランダムカウント値として記憶され、CPU103によるソフトウェアの実行に応じて、定期的あるいは不定期に、各乱数値を示す数値データが更新される。CPU103がランダムカウント値を更新するために実行するソフトウェアは、ランダムカウント値を乱数回路104における数値データの更新動作とは別個に更新するためのものであってもよいし、乱数回路104から抽出された数値データの全部又は一部にスクランブル処理や演算処理といった所定の処理を施すことによりランダムカウント値を更新するためのものであってもよい。
【0125】
遊技制御バッファ設定部には、パチンコ遊技機1における遊技の進行を制御するために用いられるデータを一時的に記憶する各種のバッファが設けられている。例えば、遊技制御バッファ設定部には、複数種類のバッファそれぞれにおけるバッファ値を示すデータが記憶される。
【0126】
図2に示す遊技制御用マイクロコンピュータ100が備えるI/O105は、遊技制御用マイクロコンピュータ100に伝送された各種信号を取り込むための入力ポートと、遊技制御用マイクロコンピュータ100の外部へと各種信号を伝送するための出力ポートとを含んで構成されている。
【0127】
図2に示すように、演出制御基板12には、プログラムに従って制御動作を行う演出制御用CPU120と、演出制御用のプログラムや固定データ等を記憶するROM121と、演出制御用CPU120のワークエリアを提供するRAM122と、演出表示装置5における表示動作の制御内容を決定するための処理などを実行する表示制御部123と、演出制御用CPU120とは独立して乱数値を示す数値データの更新を行う乱数回路124と、I/O125とが搭載されている。
【0128】
一例として、演出制御基板12では、演出制御用CPU120がROM121から読み出した演出制御用のプログラムを実行することにより、演出用の電気部品による演出動作を制御するための処理が実行される。このときには、演出制御用CPU120がROM121から固定データを読み出す固定データ読出動作や、演出制御用CPU120がRAM122に各種の変動データを書き込んで一時記憶させる変動データ書込動作、演出制御用CPU120がRAM122に一時記憶されている各種の変動データを読み出す変動データ読出動作、演出制御用CPU120がI/O125を介して演出制御基板12の外部から各種信号の入力を受付ける受信動作、演出制御用CPU120がI/O125を介して演出制御基板12の外部へと各種信号を出力する送信動作なども行われる。
【0129】
演出制御用CPU120、ROM121、RAM122は、演出制御基板12に搭載された1チップの演出制御用マイクロコンピュータに含まれてもよい。
【0130】
演出制御基板12には、演出表示装置5に対して映像信号を伝送するための配線や、音声制御基板13に対して音番号データを示す情報信号としての効果音信号を伝送するための配線、LED制御基板14に対してLEDデータを示す情報信号としての電飾信号を伝送するための配線などが接続されている。
【0131】
尚、演出制御基板12の側においても、主基板11と同様に、例えば、予告演出等の各種の演出の種別を決定するための乱数値(演出用乱数ともいう)が設定されている。
【0132】
図2に示す演出制御基板12に搭載されたROM121には、演出制御用のプログラムの他にも、演出動作を制御するために用いられる各種のデータテーブルなどが格納されている。例えば、ROM121には、演出制御用CPU120が各種の判定や決定、設定を行うために用意された複数の判定テーブルを構成するテーブルデータ、各種の演出制御パターンを構成するパターンデータなどが記憶されている。
【0133】
一例として、ROM121には、演出制御用CPU120が各種の演出装置(例えば演出表示装置5やスピーカ8L,8R、演出用LED9及び装飾用LED、演出用模型など)による演出動作を制御するために使用する演出制御パターンを複数種類格納した演出制御パターンテーブルが記憶されている。演出制御パターンは、パチンコ遊技機1における遊技の進行状況に応じて実行される各種の演出動作に対応して、その制御内容を示すデータなどから構成されている。演出制御パターンテーブルには、例えば特図変動時演出制御パターンと、予告演出制御パターンと、各種演出制御パターン等が、格納されていればよい。
【0134】
特図変動時演出制御パターンは、複数種類の変動パターンに対応して、特図ゲームにおいて特別図柄の変動が開始されてから特図表示結果となる確定特別図柄が導出表示されるまでの期間における、演出図柄の変動表示動作やリーチ演出、再抽選演出などにおける演出表示動作、あるいは、演出図柄の変動表示を伴わない各種の演出表示動作といった、様々な演出動作の制御内容を示すデータなどから構成されている。予告演出制御パターンは、例えば、予め複数パターンが用意された予告パターンに対応して実行される予告演出となる演出動作の制御内容を示すデータなどから構成されている。各種演出制御パターンは、パチンコ遊技機1における遊技の進行状況に応じて実行される各種の演出動作に対応して、その制御内容を示すデータなどから構成されている。
【0135】
特図変動時演出制御パターンのうちには、例えばリーチ演出を実行する変動パターンごとに、それぞれのリーチ演出における演出態様を異ならせた複数種類のリーチ演出制御パターンが含まれてもよい。
【0136】
図2に示す演出制御基板12に搭載されたRAM122には、演出動作を制御するために用いられる各種データを保持する領域として、図示しない演出制御用データ保持エリアが設けられている。この演出制御用データ保持エリアは、演出制御フラグ設定部と、演出制御タイマ設定部と、演出制御カウンタ設定部と、演出制御バッファ設定部とを備えている。
【0137】
演出制御フラグ設定部には、例えば演出表示装置5の画面上における演出画像の表示状態などといった演出動作状態や主基板11から伝送された演出制御コマンド等に応じて状態を更新可能な複数種類のフラグが設けられている。例えば、演出制御フラグ設定部には、複数種類のフラグそれぞれについて、フラグの値を示すデータや、オン状態あるいはオフ状態を示すデータが記憶される。
【0138】
演出制御タイマ設定部には、例えば演出表示装置5の画面上における演出画像の表示動作などといった各種演出動作の進行を制御するために用いられる複数種類のタイマが設けられている。例えば、演出制御タイマ設定部には、複数種類のタイマそれぞれにおけるタイマ値を示すデータが記憶される。
【0139】
演出制御カウンタ設定部には、各種演出動作の進行を制御するために用いられる複数種類のカウンタが設けられている。例えば、演出制御カウンタ設定部には、複数種類のカウンタそれぞれにおけるカウント値を示すデータが記憶される。
【0140】
演出制御バッファ設定部には、各種演出動作の進行を制御するために用いられるデータを一時的に記憶する各種のバッファが設けられている。例えば、演出制御バッファ設定部には、複数種類のバッファそれぞれにおけるバッファ値を示すデータが記憶される。
【0141】
本実施例では、演出制御バッファ設定部の所定領域に、第1保留記憶表示エリア5Dにて保留記憶表示を行うための始動入賞バッファが設定されている。始動入賞バッファには、第1特図保留記憶の合計保留記憶数の最大値(例えば「4」)に対応した格納領域(バッファ番号「1」~「4」に対応した領域)が設けられており、各格納領域に、始動入賞の有無を示すデータ(具体的には始動入賞無しを示す「0」と、始動入賞有りを示す「1」)とが記憶されている。尚、これら始動入賞バッファのデータは、第1始動口入賞指定コマンドの受信や、第1変動開始コマンドの受信に応じて、後述する演出制御プロセス処理内の保留表示更新処理(S72、図15参照)にて更新されるとともに、更新後の始動入賞バッファのデータに基づいて第1保留記憶表示エリア5Dにおける保留記憶表示が更新される。
【0142】
具体的には、第1始動入賞口への始動入賞があったことに基づいて第1始動口入賞指定コマンドを受信したときには、第1保留記憶表示エリア5Dにおける保留記憶表示に、丸型の白色表示が新たに追加される一方、新たに第1特図の変動が開始されたことに基づいて第1変動開始コマンドを受信したときには、第1保留記憶表示エリア5Dにおける保留記憶表示のうち、最上位(最も先に始動入賞した保留記憶)の丸型の白色表示が消去されて、その他の丸型の白色表示が、所定方向(例えば、左方向)にシフト(移動)するように、保留表示を更新する。
【0143】
次に、本実施例におけるパチンコ遊技機1の動作(作用)を説明する。主基板11では、所定の電源基板からの電力供給が開始されると、遊技制御用マイクロコンピュータ100が起動し、CPU103によって遊技制御メイン処理となる所定の処理が実行される。遊技制御メイン処理を開始すると、CPU103は、割込み禁止に設定した後、必要な初期設定を行う。この初期設定では、例えばRAM102がクリアされる。また、遊技制御用マイクロコンピュータ100に内蔵されたCTC(カウンタ/タイマ回路)のレジスタ設定を行う。これにより、以後、所定時間(例えば、2ミリ秒)ごとにCTCから割込み要求信号がCPU103へ送出され、CPU103は定期的にタイマ割込み処理を実行することができる。初期設定が終了すると、割込みを許可した後、ループ処理に入る。尚、遊技制御メイン処理では、パチンコ遊技機1の内部状態を前回の電力供給停止時における状態に復帰させるための処理を実行してから、ループ処理に入るようにしてもよい。
【0144】
こうした遊技制御メイン処理を実行したCPU103は、CTCからの割込み要求信号を受信して割込み要求を受付けると、図8のフローチャートに示す遊技制御用タイマ割込み処理を実行する。図8に示す遊技制御用タイマ割込み処理を開始すると、CPU103は、まず、所定のスイッチ処理を実行することにより、スイッチ回路110を介してゲートスイッチ21、第1始動口スイッチ22A、第2始動口スイッチ22B、第1カウントスイッチ23、第2カウントスイッチ24といった各種スイッチから入力される検出信号の状態を判定する(S11)。続いて、所定のメイン側エラー処理を実行することにより、パチンコ遊技機1の異常診断を行い、その診断結果に応じて必要ならば警告を発生可能とする(S12)。この後、所定の情報出力処理を実行することにより、例えばパチンコ遊技機1の外部に設置されたホール管理用コンピュータに供給される大当り情報、始動情報、確率変動情報などのデータを出力する(S13)。
【0145】
情報出力処理に続いて、主基板11の側で用いられる乱数値MR1や乱数値MR1~MR4といった遊技用乱数の少なくとも一部をソフトウェアにより更新するための遊技用乱数更新処理を実行する(S14)。この後、CPU103は、第1特別図柄プロセス処理を実行する(S15A)。第1特別図柄プロセス処理では、遊技制御フラグ設定部に設けられた特図プロセスフラグの値をパチンコ遊技機1における遊技の進行状況に応じて更新し、第1特別図柄表示器4Aにおける表示動作の制御や、特別可変入賞球装置7Aにおける大入賞口の開閉動作設定などを、所定の手順で行うために、各種の処理が選択されて実行される。次いでCPU103は、第2特別図柄プロセス処理を実行する(S15B)。第2特別図柄プロセス処理では、遊技制御フラグ設定部に設けられた特図プロセスフラグの値をパチンコ遊技機1における遊技の進行状況に応じて更新し、第2特別図柄表示器4Bにおける表示動作の制御や、特殊可変入賞球装置7Bにおける特殊入賞口の開閉動作設定などを、所定の手順で行うために、各種の処理が選択されて実行される。
【0146】
特別図柄プロセス処理に続いて、普通図柄プロセス処理が実行される(S16)。CPU103は、普通図柄プロセス処理を実行することにより、普通図柄表示器20における表示動作(例えばセグメントLEDの点灯、消灯など)を制御して、普通図柄の変動表示や普通可変入賞球装置6Bにおける可動翼片の傾動動作設定などを可能にする。
【0147】
普通図柄プロセス処理を実行した後、CPU103は、コマンド制御処理を実行することにより、主基板11から演出制御基板12などのサブ側の制御基板に対して制御コマンドを伝送させる(S17)。これらの一例として、コマンド制御処理では、遊技制御バッファ設定部155に設けられた送信コマンドバッファの値によって指定されたコマンド送信テーブルにおける設定に対応して、I/O105に含まれる出力ポートのうち、演出制御基板12に対して演出制御コマンドを送信するための出力ポートに制御データをセットした後、演出制御INT信号の出力ポートに所定の制御データをセットして演出制御INT信号を所定時間にわたりオン状態としてからオフ状態とすることなどにより、コマンド送信テーブルでの設定に基づく演出制御コマンドの伝送を可能とする。コマンド制御処理を実行した後には、割込み許可状態に設定してから、遊技制御用タイマ割込み処理を終了する。
【0148】
図9は、第1特別図柄プロセス処理として、図8に示すS15Aにて実行される処理の一例を示すフローチャートである。この第1特別図柄プロセス処理において、CPU103は、まず、第1始動入賞判定処理を実行する(S21A)。該第1始動入賞判定処理を実行した後、CPU103は、遊技制御フラグ設定部に設けられた第1特図プロセスフラグの値に応じて、S22A~S28Aの処理のいずれかを選択して実行する。
【0149】
S21Aの第1始動入賞処理では、第1始動口スイッチ22Aによる第1始動入賞があったか否かを判定し、入賞があった場合には、変動表示結果判定用の乱数値MR1、大当り種別判定用の乱数値MR2、変動パターン判定用の乱数値MR3を抽出して、第1始動入賞である場合には、第1特図保留記憶部における空きエントリの最上位に格納する。
【0150】
S22Aの第1特別図柄通常処理は、第1特図プロセスフラグの値が“0”のときに実行される。この第1特別図柄通常処理では、第1特図保留記憶部に記憶されている保留データの有無などに基づいて、第1特別図柄表示器4Aによる特図ゲームを開始するか否かの判定が行われる。また、第1特別図柄通常処理では、変動表示結果判定用の乱数値MR1を示す数値データに基づき、第1特別図柄や演出図柄の変動表示結果を「大当り」とするか否かを、その変動表示結果が導出表示される前に決定(事前決定)する。さらに、第1特別図柄通常処理では、特図ゲームにおける第1特別図柄の変動表示結果に対応して、第1特別図柄表示器4Aによる特図ゲームにおける確定特別図柄(大当り図柄や小当り図柄、はずれ図柄のいずれか)が設定される。第1特別図柄通常処理では、第1特別図柄や演出図柄の変動表示結果を事前決定したときに、第1特図プロセスフラグの値が“1”に更新される。
【0151】
S23Aの第1変動パターン設定処理は、第1特図プロセスフラグの値が“1”のときに実行される。この第1変動パターン設定処理には、変動表示結果を「大当り」とするか否かの事前決定結果などに基づき、変動パターン判定用の乱数値MR3を示す数値データを用いて変動パターンを複数種類のいずれかに決定する処理などが含まれている。第1変動パターン設定処理が実行されて第1特別図柄の変動表示が開始されたときには、特図プロセスフラグの値が“2”に更新される。
【0152】
S22Aの第1特別図柄通常処理やS23Aの第1変動パターン設定処理により、第1特別図柄の変動表示結果となる確定特別図柄や第1特別図柄および演出図柄の変動表示時間を含む変動パターンが決定される。すなわち、第1特別図柄通常処理や第1変動パターン設定処理は、変動表示結果判定用の乱数値MR1、大当り種別判定用の乱数値MR2、変動パターン判定用の乱数値MR3を用いて、第1特別図柄や演出図柄の変動表示態様を決定する処理を含んでいる。
【0153】
S24Aの第1特別図柄変動処理は、第1特図プロセスフラグの値が“2”のときに実行される。この第1特別図柄変動処理には、第1特別図柄表示器4Aにおいて特別図柄を変動させるための設定を行う処理や、その第1特別図柄が変動を開始してからの経過時間を計測する処理などが含まれている。例えば、S24Aの第1特別図柄変動処理が実行されるごとに、遊技制御タイマ設定部に設けられた第1特図変動タイマにおける格納値である第1特図変動タイマ値を1減算あるいは1加算して、第1タイマによって経過時間の測定が行われる。また、計測された経過時間が変動パターンに対応する第1特図変動時間に達したか否かの判定も行われる。そして、第1特別図柄の変動を開始してからの経過時間が第1特図変動時間に達したときには、第1特図プロセスフラグの値が“3”に更新される。
【0154】
S25Aの第1特別図柄停止処理は、第1特図プロセスフラグの値が“3”のときに実行される。この第1特別図柄停止処理には、第1特別図柄表示器4Aにて特別図柄の変動を停止させ、第1特別図柄の変動表示結果となる確定特別図柄を停止表示(導出)させるための設定を行う処理が含まれている。そして、遊技制御フラグ設定部に設けられた大当りフラグがオンとなっているか否かの判定などが行われ、大当りフラグがオンである場合には第1特図プロセスフラグの値が“4”に更新される。その一方で、大当りフラグがオフである場合には、第1特図プロセスフラグの値が“0”に更新される。
【0155】
S26Aの第1大当り開放前処理は、第1特図プロセスフラグの値が“4”のときに実行される。この第1大当り開放前処理には、変動表示結果が「大当り」となったことなどに基づき、大当り遊技状態においてラウンドの実行を開始して大入賞口を開放状態とするための設定を行う処理などが含まれている。このときには、例えば大当り種別がいずれであるかに対応して、大入賞口を開放状態とする期間の上限を設定するようにしてもよい。一例として、大当り種別に関係なく、大入賞口を開放状態とする期間の上限を「29秒」に設定するとともに、ラウンドを実行する上限回数となる大入賞口の開放回数を、「2R大当り」であれば「2回」、「5R大当り」であれば「5回」、「15R大当り」であれば「15回」にそれぞれ設定することにより、大当り状態とする設定が行われればよい。このときには、第1特図プロセスフラグの値が“5”に更新される。
【0156】
S27Aの第1大当り開放中処理は、第1特図プロセスフラグの値が“5”のときに実行される。この第1大当り開放中処理には、大入賞口を開放状態としてからの経過時間を計測する処理や、その計測した経過時間や第1カウントスイッチ23によって検出された遊技球の個数などに基づいて、大入賞口を開放状態から閉鎖状態に戻すタイミングとなったか否かを判定する処理などが含まれている。そして、大入賞口を閉鎖状態に戻すときには、大入賞口扉701用のソレノイド82に対するソレノイド駆動信号の出力を停止させる処理などを実行した後、第1特図プロセスフラグの値が“6”に更新される。
【0157】
S28Aの第1大当り終了処理は、特図プロセスフラグの値が“6”のときに実行される。この第1大当り終了処理には、演出表示装置5やスピーカ8L,8R、演出用LED9などといった演出装置により、大当り遊技状態の終了を報知する演出動作としてのエンディング演出が実行される期間に対応した待ち時間が経過するまで待機する処理や、大当り遊技状態の終了に対応して時短制御を開始するための各種の設定(時短フラグのセット)を行う処理などが含まれている。こうした設定が行われたときには、第1特図プロセスフラグの値が“0”に更新される。
【0158】
具体的には、大当り終了処理においては、実行した大当りの種別を特定する。そして、特定した大当り種別が15R確変大当り、5R確変大当り、2R確変大当りである場合は、遊技状態が高確/KT状態に制御されることを示すKTフラグ(高確フラグ)をセットして第1特図プロセスフラグの値を“0”に更新する。特定した大当り種別が5R通常大当り、2R通常大当りである場合は、KTフラグをセットして第1特図プロセスフラグの値を“0”に更新する。
【0159】
図10は、第1特別図柄変動処理として、図9のS24Aにて実行される処理の一例を示すフローチャートである。図10に示す第1特別図柄変動処理において、CPU103は、まず、第1変動時間タイマを1減算し(S140)、第1変動時間タイマがタイムアウトしたら(S141)、演出制御用CPU120に図柄確定指定コマンドを送信する設定を行う(S142)。そして、CPU103は、第1特別図柄プロセスフラグの値を第1特別図柄停止処理(S25A)に対応した値に更新する(S143)。
【0160】
第1変動時間タイマがタイムアウトしていない場合には、CPU103は、第2特別図柄表示器4Bにて大当り図柄を導出表示しているか否かを確認する(S144)。尚、第2特別図柄表示器4Bにて大当り図柄を導出表示しているか否かは、例えば、第2特別図柄プロセスフラグの値が第2特別図柄停止処理に対応した値となっているとともに、第2特別図柄の変動表示にもとづいて大当りとなることを示す第2大当りフラグがセットされているか否かを確認することにより判定できる。第2特別図柄表示器4Bにて大当り図柄を導出表示していれば、CPU103は、セットされていれば、第1大当りフラグをリセットする(S145)。また、CPU103は、はずれであることを指定する表示結果1指定コマンドを送信する設定を行う(S146)。そして、S142に移行して演出制御用CPU120に図柄確定指定コマンドを送信する設定を行う(S142)とともに、第1特別図柄プロセスフラグの値を第1特別図柄停止処理(S25A)に対応した値に更新する(S143)。第2特別図柄表示器4Bにて大当り図柄を導出表示していなければ(S144のN)、そのまま処理を終了する。
【0161】
S144~S146の処理が実行されることによって、この実施例では、第1特別図柄の変動表示の実行中に第2特別図柄の変動表示が大当りとなれば、第1特別図柄の変動表示は強制的にはずれとすることに決定され(変動開始時に大当りと決定されていても事後的に大当りがキャンセルされ)、第1特別図柄と第2特別図柄とで同時に大当りが発生する事態が生じないようにしている。尚、この場合、演出制御用CPU120側では、第1特別図柄の変動表示が強制はずれとされた場合には、S146で送信された表示結果1指定コマンドにもとづいて、演出図柄の変動表示結果として強制的にはずれ図柄を停止表示するように制御する。
【0162】
尚、この実施例では、第1特別図柄変動処理において事後的に強制はずれと決定される場合を示しているが、そのような態様にかぎられない。例えば、第1特別図柄の変動表示を開始するときに第1特別図柄通常処理において大当り判定用乱数の読み出しを実行する前に、第2大当りフラグがセットされているか否かを確認し、第2大当りフラグがセットされていれば、以後の処理を実行することなく強制的にはずれと決定するように構成してもよい。
【0163】
尚、この実施例では、図9に示す第1特別図柄プロセス処理および図12に示す第2特別図柄プロセス処理において、タイマ割込ごとに、それぞれ第1始動口スイッチ通過処理および第2始動口スイッチ通過処理が実行されるので、第1特別図柄または第2特別図柄の大当り図柄の停止表示中であっても、新たな始動入賞が発生した場合には新たな保留記憶を記憶するように構成されている。
【0164】
図11は、第1特別図柄停止処理を示すフローチャートである。第1特別図柄停止処理において、まず、CPU103は、第1大当りフラグがセットされているか否かを判定する(S180)。第1大当りフラグがセットされている場合、CPU103は、セットされていれば、KTフラグ(高確フラグ)をクリアする(S181)。
【0165】
次いで、CPU103は、演出制御基板12に、記憶されている大当りの種別に応じて当り開始1指定コマンド(15R確変大当り)、当り開始2指定コマンド(5R確変大当り)、当り開始3指定コマンド(5R通常大当り)を送信するための設定を行う(S182)。更にCPU103は、演出制御基板12に通常状態を示す遊技状態指定コマンドを送信するための設定を行う(S183)。
【0166】
そして、大当り表示時間タイマに大当り表示時間(大当りが発生したことを、例えば、演出表示装置5において報知する時間)に相当する値を設定する(S184)。また、大入賞口開放回数カウンタに開放回数(例えば、15R確変大当りの場合には15回、5R確変大当りまたは5R通常大当りの場合には5回)をセットする(S185)。そして、第1特別図柄プロセスフラグの値を第1大当り開放前処理(S26A)に対応した値である“4”に更新し(S186)、当該第1特別図柄停止処理を終了する。また、S180で第1大当りフラグがセットされている場合、S187では、第1特図プロセスフラグの値を第1特別図柄通常処理に対応した値である“0”に更新してから、当該第1特別図柄停止処理を終了する。
【0167】
図12は、第2特別図柄プロセス処理として、図8に示すS15Bにて実行される処理の一例を示すフローチャートである。この第2特別図柄プロセス処理において、CPU103は、まず、第2始動入賞判定処理を実行する(S21B)。該第2始動入賞判定処理を実行した後、CPU103は、遊技制御フラグ設定部に設けられた第2特図プロセスフラグの値に応じて、S22B~S31Bの処理のいずれかを選択して実行する。
【0168】
S21Bの第2始動入賞処理では、第2始動口スイッチ22Bによる第2始動入賞があったか否かを判定し、入賞があった場合には、変動表示結果判定用の乱数値MR1、大当り種別判定用の乱数値MR2、変動パターン判定用の乱数値MR3を抽出して、第2始動入賞である場合には、第2特図保留記憶部に格納する。
【0169】
S22Bの第2特別図柄通常処理は、第2特図プロセスフラグの値が“0”のときに実行される。この第2特別図柄通常処理では、第2特図保留記憶部に記憶されている保留データの有無などに基づいて、第2特別図柄表示器4Bによる特図ゲームを開始するか否かの判定が行われる。また、第2特別図柄通常処理では、変動表示結果判定用の乱数値MR1を示す数値データに基づき、第2特別図柄や演出図柄の変動表示結果を「大当り」とするか否かを、その変動表示結果が導出表示される前に決定(事前決定)する。さらに、第2特別図柄通常処理では、特図ゲームにおける第2特別図柄の変動表示結果に対応して、第2特別図柄表示器4Bによる特図ゲームにおける確定特別図柄(大当り図柄や小当り図柄、はずれ図柄のいずれか)が設定される。第2特別図柄通常処理では、第2特別図柄や演出図柄の変動表示結果を事前決定したときに、第2特図プロセスフラグの値が“1”に更新される。
【0170】
S23Bの第2変動パターン設定処理は、第2特図プロセスフラグの値が“1”のときに実行される。この第2変動パターン設定処理には、変動表示結果を「大当り」とするか否かの事前決定結果などに基づき、変動パターン判定用の乱数値MR3を示す数値データを用いて変動パターンを複数種類のいずれかに決定する処理などが含まれている。第2変動パターン設定処理が実行されて第2特別図柄の変動表示が開始されたときには、第2特図プロセスフラグの値が“2”に更新される。
【0171】
S22Bの第2特別図柄通常処理やS23Aの第2変動パターン設定処理により、第1特別図柄の変動表示結果となる確定特別図柄や第2特別図柄および演出図柄の変動表示時間を含む変動パターンが決定される。すなわち、第2特別図柄通常処理や第2変動パターン設定処理は、変動表示結果判定用の乱数値MR1、大当り種別判定用の乱数値MR2、変動パターン判定用の乱数値MR3を用いて、第2特別図柄や演出図柄の変動表示態様を決定する処理を含んでいる。
【0172】
S24Bの第2特別図柄変動処理は、第2特図プロセスフラグの値が“2”のときに実行される。この第2特別図柄変動処理には、第2特別図柄表示器4Bにおいて特別図柄を変動させるための設定を行う処理や、その第2特別図柄が変動を開始してからの経過時間を計測する処理などが含まれている。例えば、S24Bの第2特別図柄変動処理が実行されるごとに、遊技制御タイマ設定部に設けられた第2特図変動タイマにおける格納値である第2特図変動タイマ値を1減算あるいは1加算して、第2タイマによって経過時間の測定が行われる。また、計測された経過時間が変動パターンに対応する第2特図変動時間に達したか否かの判定も行われる。そして、第2特別図柄の変動を開始してからの経過時間が第1特図変動時間に達したときには、第2特図プロセスフラグの値が“3”に更新される。
【0173】
S25Bの第2特別図柄停止処理は、第2特図プロセスフラグの値が“3”のときに実行される。この第2特別図柄停止処理には、第1特別図柄表示器4Aにて特別図柄の変動を停止させ、第2特別図柄の変動表示結果となる確定特別図柄を停止表示(導出)させるための設定を行う処理が含まれている。そして、遊技制御フラグ設定部に設けられた大当りフラグがオンとなっているか否かの判定などが行われ、大当りフラグがオンである場合には第2特図プロセスフラグの値が“4”に更新される。その一方で、大当りフラグがオフである場合には、更に遊技制御フラグ設定部に設けられた小当りフラグがオンとなっているか否かの判定などが行われ、小当りフラグがオンである場合には第2特図プロセスフラグの値が“7”に更新される。尚、大当りフラグと小当りフラグの両方がオフである場合には、第2特図プロセスフラグの値が“0”に更新される。
【0174】
S26Bの第2大当り開放前処理は、第2特図プロセスフラグの値が“4”のときに実行される。この第2大当り開放前処理には、変動表示結果が「大当り」となったことなどに基づき、大当り遊技状態においてラウンドの実行を開始して大入賞口を開放状態とするための設定を行う処理などが含まれている。このときには、例えば大当り種別がいずれであるかに対応して、大入賞口を開放状態とする期間の上限を設定するようにしてもよい。一例として、大当り種別に関係なく、大入賞口を開放状態とする期間の上限を「29秒」に設定するとともに、ラウンドを実行する上限回数となる大入賞口の開放回数を、「2R大当り」であれば「2回」、「5R大当り」であれば「5回」、「15R大当り」であれば「15回」にそれぞれ設定することにより、大当り状態とする設定が行われればよい。このときには、第2特図プロセスフラグの値が“5”に更新される。
【0175】
S27Bの第2大当り開放中処理は、第2特図プロセスフラグの値が“5”のときに実行される。この第2大当り開放中処理には、大入賞口を開放状態としてからの経過時間を計測する処理や、その計測した経過時間や第2カウントスイッチ24によって検出された遊技球の個数などに基づいて、大入賞口を開放状態から閉鎖状態に戻すタイミングとなったか否かを判定する処理などが含まれている。そして、大入賞口を閉鎖状態に戻すときには、特殊入賞口扉711用のソレノイド83に対するソレノイド駆動信号の出力を停止させる処理などを実行した後、第2特図プロセスフラグの値が“6”に更新される。
【0176】
S28Bの第2大当り終了処理は、第2特図プロセスフラグの値が“6”のときに実行される。この第2大当り終了処理には、演出表示装置5やスピーカ8L,8R、演出用LED9などといった演出装置により、大当り遊技状態の終了を報知する演出動作としてのエンディング演出が実行される期間に対応した待ち時間が経過するまで待機する処理や、大当り遊技状態の終了に対応して時短制御を開始するための各種の設定(時短フラグのセット)を行う処理などが含まれている。こうした設定が行われたときには、第2特図プロセスフラグの値が“0”に更新される。
【0177】
具体的には、大当り終了処理においては、実行した大当りの種別を特定する。そして、特定した大当り種別が15R確変大当り、5R確変大当り、2R確変大当りである場合は、KTフラグ(確変フラグ)をセットして第2特図プロセスフラグの値を“0”に更新する。特定した大当り種別が5R通常大当り、2R通常大当りである場合は、KTフラグ(高確フラグ)をクリアして第2特図プロセスフラグの値を“0”に更新する。
【0178】
S29Bの第2小当り開放前処理は、第2特図プロセスフラグの値が“7”のときに実行される。この第2小当り開放前処理には、変動表示結果が「小当り」となったことなどに基づき、小当り遊技状態においてラウンドの実行を開始して特殊入賞口を開放状態とするための設定を行う処理などが含まれている。このときには、例えば変動表示結果が「小当り」となったことに基づき、特殊入賞口を開放状態とする期間の上限を「1秒」に設定するとともに、ラウンドを実行する上限回数となる特殊入賞口の開放回数を「1回」に設定することにより、小当り状態とする設定が行われればよい。このときには、第2特図プロセスフラグの値が“8”に更新される。
【0179】
S30Bの第2小当り開放中処理は、第2特図プロセスフラグの値が“8”のときに実行される。この第2小当り開放中処理には、特殊入賞口を開放状態としてからの経過時間を計測する処理や、その計測した経過時間や第2カウントスイッチ24によって検出された遊技球の個数などに基づいて、特殊入賞口を開放状態から閉鎖状態に戻すタイミングとなったか否かを判定する処理などが含まれている。そして、特殊入賞口を閉鎖状態に戻すときには、特殊入賞口扉711用のソレノイド83に対するソレノイド駆動信号の出力を停止させる処理などを実行した後、第2特図プロセスフラグの値が“9”に更新される。
【0180】
S31Bの第2小当り終了処理は、第2特図プロセスフラグの値が“9”のときに実行される。この第2小当り終了処理には、演出表示装置5やスピーカ8L,8R、演出用LED9などといった演出装置により、大当り遊技状態の終了を報知する演出動作としてのエンディング演出が実行される期間に対応した待ち時間が経過するまで待機する処理などが含まれている。こうした設定が行われたときには、第2特図プロセスフラグの値が“0”に更新される。
【0181】
図13は、第2特別図柄変動処理として、図12のS24Bにて実行される処理の一例を示すフローチャートである。図13に示す第2特別図柄変動処理において、CPU103は、まず、第2変動時間タイマを1減算し(S150)、第2変動時間タイマがタイムアウトしたら(S151)、演出制御用CPU120に図柄確定指定コマンドを送信する設定を行う(S152)。そして、CPU103は、第2特別図柄プロセスフラグの値を第2特別図柄停止処理(S25B)に対応した値に更新する(S153)。
【0182】
第2変動時間タイマがタイムアウトしていない場合には、CPU103は、第1特別図柄表示器4Aにて大当り図柄を導出表示しているか否かを確認する(S154)。尚、第1特別図柄表示器4Aにて大当り図柄を導出表示しているか否かは、例えば、第1特別図柄プロセスフラグの値が第1特別図柄停止処理に対応した値となっているとともに、第1特別図柄の変動表示にもとづいて大当りとなることを示す第1大当りフラグがセットされているか否かを確認することにより判定できる。第1特別図柄表示器4Aにて大当り図柄を導出表示していれば、CPU103は、セットされていれば、第2大当りフラグまたは小当りフラグをリセットする(S155)。また、CPU103は、はずれであることを指定する表示結果1指定コマンドの送信を設定する(S156)。そして、S152に移行して演出制御用CPU120に図柄確定指定コマンドを送信する設定を行う(S152)とともに、第2特別図柄プロセスフラグの値を第2特別図柄停止処理(S25B)に対応した値に更新する(S153)。第1特別図柄表示器4Aにて大当り図柄を導出表示していなければ(S54のN)、そのまま処理を終了する。
【0183】
S154~S156の処理が実行されることによって、この実施例では、第2特別図柄の変動表示の実行中に第1特別図柄の変動表示が大当りとなれば、第2特別図柄の変動表示は強制的にはずれとすることに決定され(変動開始時に大当りまたは小当りと決定されていても事後的に大当りまたは小当りがキャンセルされ)、第1特別図柄と第2特別図柄とで同時に大当りが発生する事態が生じないようにしている。尚、この場合、演出制御用CPU120側では、第2特別図柄の変動表示が強制はずれとされた場合には、図柄確定指定コマンドを受信したことにもとづいてS156で送信された表示結果1指定コマンドにもとづいて、演出図柄の変動表示結果として強制的にはずれ図柄を停止表示するように制御する。
【0184】
尚、この実施例では、第2特別図柄変動中処理において事後的に強制はずれと決定される場合を示しているが、そのような態様にかぎられない。例えば、第2特別図柄の変動表示を開始するときに第2特別図柄通常処理において大当り判定用乱数を読み出す処理を実行する前に、第1大当りフラグがセットされているか否かを確認し、第1大当りフラグがセットされていれば、以後の処理を実行することなく強制的にはずれと決定するように構成してもよい。
【0185】
次に、演出制御基板12の動作を説明する。図14は、演出制御基板12に搭載されている演出制御用CPU120が実行する演出制御メイン処理を示すフローチャートである。演出制御用CPU120は、電源が投入されると、メイン処理の実行を開始する。メイン処理では、まず、RAM領域のクリアや各種初期値の設定、また演出制御の起動間隔(例えば、2ms)を決めるためのタイマの初期設定等を行うための初期化処理を行う(S51)。その後、演出制御用CPU120は、タイマ割込フラグの監視(S52)を行うループ処理に移行する。タイマ割込が発生すると、演出制御用CPU120は、タイマ割込処理においてタイマ割込フラグをセットする。メイン処理において、タイマ割込フラグがセット(オン)されていたら、演出制御用CPU120は、そのフラグをクリアし(S53)、以下の処理を実行する。
【0186】
演出制御用CPU120は、まず、受信した演出制御コマンドを解析し、受信した演出制御コマンドに応じたフラグをセットする処理等を行う(コマンド解析処理:S54)。このコマンド解析処理において演出制御用CPU120は、受信コマンドバッファに格納されている主基板11から送信されてきたコマンドの内容を確認する。尚、遊技制御用マイクロコンピュータ100から送信された演出制御コマンドは、演出制御INT信号にもとづく割込処理で受信され、RAM122に形成されているバッファ領域に保存されている。コマンド解析処理では、バッファ領域に保存されている演出制御コマンドがどのコマンド(図3参照)であるのか解析する。
【0187】
次いで、演出制御用CPU120は、演出制御プロセス処理を行う(S55)。演出制御プロセス処理では、制御状態に応じた各プロセスのうち、現在の制御状態(演出制御プロセスフラグ)に対応した処理を選択して演出表示装置5の表示制御を実行する。
【0188】
次いで、大当り図柄判定用乱数などの演出用乱数を生成するためのカウンタのカウント値を更新する演出用乱数更新処理を実行し(S56)、その後、S52に移行する。
【0189】
図15は、演出制御メイン処理における演出制御プロセス処理(S55)を示すフローチャートである。演出制御プロセス処理では、演出制御用CPU120は、先ず、右打ち報知処理(S70)、左打ち報知処理(S71)及び保留表示更新処理(S72)を実行した後、演出制御プロセスフラグの値に応じてS73~S82のうちのいずれかの処理を行う。各処理において、以下のような処理を実行する。
【0190】
右打ち報知処理(S70):現在の遊技状態が右打ちが必要となる遊技状態であるか否かの判定をし、右打ちが必要となる遊技状態(大当り遊技状態、高確/KT状態)であるときに、図17(A)のような右打ち報知演出を実行する処理である。
【0191】
左打ち報知処理(S71):現在の遊技状態が左打ちが必要となる遊技状態であるか否かの判定をし、左打ちが必要となる遊技状態(通常状態(低確/非KT状態))であるときに、図17(B)(C)のような左打ち報知演出や図7(D)のような入賞エラー報知演出を実行する処理である。
【0192】
保留表示更新処理(S72):演出表示装置5の第1保留記憶表示エリア5Dにおける保留記憶表示を、演出制御バッファ設定部の記憶内容に応じた表示に更新を実行する処理である。
【0193】
変動パターン指定コマンド受信待ち処理(S73):遊技制御用マイクロコンピュータ100から変動パターン指定コマンドを受信しているか否か確認する。具体的には、コマンド解析処理で変動パターン指定コマンドを受信しているか否か確認する。変動パターン指定コマンドを受信していれば、演出制御プロセスフラグの値を演出図柄変動開始処理(S74)に対応した値に変更する。
【0194】
演出図柄変動開始処理(S74):演出図柄の変動が開始されるように制御する。そして、演出制御プロセスフラグの値を演出図柄変動中処理(S75)に対応した値に更新する。
【0195】
演出図柄変動中処理(S75):変動パターンを構成する各変動状態(変動速度)の切替タイミング等を制御するとともに、変動時間の終了を監視する。そして、変動時間が終了したら、演出制御プロセスフラグの値を演出図柄変動停止処理(S76)に対応した値に更新する。
【0196】
尚、演出制御用CPU120は、演出図柄変動中処理において、演出図柄変動時間延長処理を実行することがある。すなわち、この実施例では、第1特別図柄の変動表示を実行しているときに第2特別図柄の変動表示を開始したり、第2特別図柄の変動表示を実行しているときに第1特別図柄の変動表示を開始したりする可能性があり、第1特別図柄の変動表示と第2特別図柄の変動表示とが並行して実行される場合がありうる。そこで、この実施例では、演出図柄変動時間延長処理が実行されることによって、一方の特別図柄の変動表示に対応して演出図柄の変動表示を実行しているときに他方の特別図柄の変動表示が開始された場合に、必要に応じて演出図柄の変動パターンを差し替えたり変動時間の延長を行ったりする。
【0197】
演出制御用CPU120は、例えば、はずれとなる一方の特別図柄の変動表示に対応して演出図柄の変動表示を実行しているときに、大当りとなる他方の特別図柄の変動表示が開始されたときには、大当りとなる方の特別図柄に対応して演出図柄の変動パターンに差し替えるとともに変動時間を延長する処理を行う。また、例えば、大当りとなる一方の特別図柄の変動表示に対応して演出図柄の変動表示を実行しているときに、はずれとなる他方の特別図柄の変動表示が開始されたときには、演出図柄の変動パターンの差し替えも変動時間の延長も行わず、現在実行中の演出図柄の変動表示をそのまま実行する。また、例えば、大当りとなる一方の特別図柄の変動表示に対応して演出図柄の変動表示を実行しているときに、大当りとなる他方の特別図柄の変動表示が開始されたときには、既に説明したように、この実施例では、後から開始した方の特別図柄の変動表示は途中で強制はずれとなるので、演出図柄の変動パターンの差し替えも変動時間の延長も行わず、現在実行中の演出図柄の変動表示をそのまま実行する。
【0198】
演出図柄変動停止処理(S76):全図柄停止を指示する演出制御コマンド(図柄確定コマンド)を受信したことにもとづいて、演出図柄の変動を停止し表示結果(停止図柄)を導出表示する制御を行う。そして、演出制御プロセスフラグの値を大当り表示処理(S77)、小当り表示処理(S80)または変動パターン指定コマンド受信待ち処理(S73)に対応した値に更新する。
【0199】
大当り表示処理(S77):変動時間の終了後、演出表示装置5に大当りの発生を報知するための画面を表示する制御を行う。そして、演出制御プロセスフラグの値を大当り遊技中処理(S78)に対応した値に更新する。
【0200】
大当り遊技中処理(S78):大当り遊技中の制御を行う。例えば、大入賞口開放中指定コマンドや大入賞口開放後指定コマンドを受信したら、演出表示装置5におけるラウンド数の表示制御等を行う。そして、演出制御プロセスフラグの値を大当り終了演出処理(S79)に対応した値に更新する。
【0201】
大当り終了演出処理(S79):演出表示装置5において、大当り遊技状態が終了したことを遊技者に報知する表示制御を行う。そして、演出制御プロセスフラグの値を変動パターン指定コマンド受信待ち処理(S73)に対応した値に更新する。
【0202】
小当り表示処理(S80):変動時間の終了後、演出表示装置5に小当りの発生を報知するための画面を表示する制御を行う。そして、演出制御プロセスフラグの値を小当り遊技中処理(S81)に対応した値に更新する。
【0203】
小当り遊技中処理(S81):小当り遊技中の制御を行う。例えば、大入賞口開放中指定コマンドや大入賞口開放後指定コマンドを受信したら、演出表示装置5におけるラウンド数の表示制御等を行う。そして、演出制御プロセスフラグの値を小当り終了演出処理(S82)に対応した値に更新する。
【0204】
小当り終了演出処理(S82):演出表示装置5において、小当り遊技状態が終了したことを遊技者に報知する表示制御を行う。そして、演出制御プロセスフラグの値を変動パターン指定コマンド受信待ち処理(S73)または大当り表示処理(S77)に対応した値に更新する。
【0205】
次に、演出制御用CPU120がS70の右打ち報知処理またはS71の左打ち報知処理にて行う各報知演出について、図16及び図17に基づいて説明する。図16は、各報知演出の内容を示す説明図である。図17は、(A)は右打ち報知演出、(B)は左打ち報知演出A、(C)は左打ち報知演出B、(D)は入賞エラー報知演出の一例を示す図である。
【0206】
本実施例では、前述したように、CPU103は、通常状態(低確/非KT状態)、確変状態(高確/KT状態)、大当り遊技状態、小当り遊技状態のうちいずれかの遊技状態に制御することが可能である。そして、遊技状態が通常状態(低確/非KT状態)であるときには、遊技者は左打ちした場合に右打ちした場合よりも有利となる。一方、遊技状態が確変状態(高確/KT状態)、大当り遊技状態、小当り遊技状態であるときには、遊技者は右打ちした場合に左打ちした場合よりも有利となる。
【0207】
よって、演出制御用CPU120は、通常状態(低確/非KT状態)において大当りが発生した場合、遊技者に対し右打ち操作期間であることを報知する右打ち報知演出を行う。また、大当りの終了後、遊技状態が確変状態(高確/KT状態)に移行する場合においても、大当りの終了後に右打ち報知演出を行う。
【0208】
一方、大当りの終了後、遊技状態が通常状態(低確/非KT状態)に移行する場合は、大当りの終了後に左打ち報知演出を行う。また、通常状態(低確/非KT状態)において右打ちが行われた場合、左打ち報知演出を行うことがある。これにより、遊技者に対し遊技状態に応じた有利な打ち方を報知することができるようになっている。
【0209】
次に、各報知演出の内容について説明する。
【0210】
図16に示すように、右打ち報知演出は、大当り遊技状態またはKT状態の制御が開始することにより報知条件が成立する。報知条件が成立した場合、演出制御用CPU120は、演出表示装置5の表示画面の右上に、「右打ち!→」なる文字からなる「小」サイズの報知画像G1を演出図柄表示エリア5L,5C,5Rに重ならないように表示し(図17(A)参照)、スピーカ8L,8Rから「右打ちしてください」なる音声を「小」音量で所定回数(例えば、2回など)繰返し出力し、補助表示器60の右打ち報知用表示部62を点灯する。そして、報知画像G1の表示及び右打ち報知用表示部62の点灯は、KT状態または大当り遊技状態が開始してから終了するまでの期間にわたり継続して実行される。
【0211】
左打ち報知演出Aは、遊技状態が通常状態(低確/KT状態)であるときに遊技球が通過ゲート41を通過することにより報知条件が成立する。報知条件が成立した場合、演出制御用CPU120は、演出表示装置5の表示画面の右上に、「左打ち!←」なる文字からなる「小」サイズの報知画像G2を演出図柄表示エリア5L,5C,5Rに重ならないように表示し(図17(B)参照)、スピーカ8L,8Rから「左打ちに戻して下さい」なる音声を「小」音量で出力し、演出用LED9を所定の発光色にて「弱点灯」する。そして、報知画像G2の表示及び演出用LED9の「弱点灯」を、開始してから第1期間(例えば、5秒)が経過するまで継続して実行する。尚、左打ち報知演出Aは、報知条件が成立したときに左打ち報知演出Bや入賞エラー報知演出の実行中である場合は行われない。
【0212】
左打ち報知演出Bは、遊技状態が通常状態(低確/KT状態)であるときに遊技球が第2始動入賞口を通過することまたは5個の遊技球が通過ゲート41を通過することにより報知条件が成立する。報知条件が成立した場合、演出制御用CPU120は、演出表示装置5の表示画面の中央に、「左打ち!←」なる文字からなる「小」サイズよりも大きい「中」サイズの報知画像G3を演出図柄表示エリア5L,5C,5Rの上に重なるように表示し(図17(C)参照)、スピーカ8L,8Rから「左打ちに戻して下さい」なる音声を「小」音量よりも大きい「大」音量(音量変更可能範囲のうちの最大音量)で出力し、演出用LED9を所定の発光色にて「弱点灯」よりも輝度が高い「強点灯」する。そして、報知画像G3の表示及び演出用LED9の「強点灯」を、開始してから第1期間よりも長い第2期間(例えば、30秒)が経過するまで継続して実行する。尚、左打ち報知演出Bは、報知条件が成立したときに左打ち報知演出Aの実行中である場合は左打ち報知演出Aの実行を中止して優先的に行われ、入賞エラー報知演出の実行中である場合は行われない。
【0213】
入賞エラー報知演出は、遊技状態が通常状態(低確/KT状態)であるときに、遊技球が通過ゲートを通過することなく第2始動入賞口を通過することにより報知条件が成立する。報知条件が成立した場合、演出制御用CPU120は、演出表示装置5の表示画面の中央に、「E-××入賞エラー」なる文字からなる「中」サイズよりも大きい「大」サイズの報知画像G4を演出図柄表示エリア5L,5C,5Rの上に重なるように表示し(図17(D)参照)、スピーカ8L,8Rから所定のエラー音を「小」音量よりも大きい「大」音量(音量変更可能範囲のうちの最大音量)で出力し、演出用LED9を所定の発光色にて「強点灯」と同じ輝度で「高速点滅」する。そして、報知画像G4の表示及び演出用LED9の「高速点灯」を、開始してから第1期間よりも長い第2期間(例えば、30秒)が経過するまで継続して実行する。尚、入賞エラー報知演出は、報知条件が成立したときには他の演出よりも優先的に行われる。
【0214】
尚、報知画像G1~G4は、表示タイミングにおいて演出図柄表示エリア5L,5C,5Rにて変動表示中の演出図柄やその背景に表示されている演出画像よりも手前側に優先して表示されるようになっている。また、各種音声については、出力タイミングにおいて出力中の演出音を低下または消去することにより該演出音より優先して出力するようになっている。
【0215】
ここで、左打ち報知処理の概要について説明する。遊技状態が通常状態(低確/KT状態)であるときに右打ちした場合、第2経路を流下する遊技球の大半(例えば、約8割)は通過ゲート41を通過するため、通過ゲート41の通過に基づき普図の変動表示が開始される可能性が高い。また、普図の変動表示開始から0.2秒後には普図の変動表示結果が導出されるが、通過ゲート41を通過した遊技球が普通可変入賞球装置6Bに入賞可能に到達するまでに要する期間は約2~3秒かかるが、約10%の確率で普図当りが発生して普通可変入賞球装置6Bが0.5秒の開放を6回繰り返した場合、通過ゲート41を通過した遊技球が第2始動入賞口に入賞して第2始動入賞が発生する可能性は極めて高い。また、通常状態(低確/KT状態)であるときに第2始動入賞が発生した場合、図6(B)に示すように大当り以外は全て小当りとなるため、極めて高い確率で小当りが発生する。
【0216】
このような構成であるため、通常状態(低確/KT状態)において遊技者が普通可変入賞球装置6Bを狙って右打ちし、第2始動入賞を発生させて賞球を得ようとすることが考えられる。しかし、普図当りの当選確率は約10%であり、第2経路を流下する遊技球が全て普通可変入賞球装置6Bに入賞可能に到達するわけでなく、さらに入賞したとしても賞球は1個であるため、第2始動入賞の発生を頻発させても出球を増やすことは極めて困難である。また、第2始動入賞の発生により第2特別図柄の変動表示が開始された場合でも、変動表示時間は約10分であり時間がかかることから、小当りの発生を頻発させることはできないため、短時間で出球を増やすことは極めて困難である。
【0217】
よって、通常状態(低確/KT状態)であるときに右打ちすると遊技者に不利になるため、通常状態(低確/KT状態)であるときに右打ちされた場合、左打ち報知演出を行って遊技者に対し左打ちを推奨する。尚、演出制御用CPU120は、通過ゲート41を通過した遊技球をゲートスイッチ21が検出したことまたは普通可変入賞球装置6Bの第2始動入賞口に進入した遊技球を第2始動口スイッチ22Bが検出したことに基づいて、右打ちが行われたと判定するようになっている。
【0218】
演出制御用CPU120は、まず、通常状態(低確/KT状態)であるときに遊技球の通過ゲート41の通過を検出した場合、左打ち報知演出Aを開始する。また、遊技球の第2始動入賞口への進入を検出した場合または所定期間(例えば、120秒)内に複数個(例えば、5個)の遊技球の通過ゲート41の通過を検出した場合、左打ち報知演出Bを開始する。
【0219】
左打ち報知演出Bは、左打ち報知演出Aよりも左打ちを強く推奨する態様の報知演出とされている。詳しくは、遊技球が通過ゲート41を通過しただけでは、第2始動入賞や特殊入賞が発生して賞球が払出されるとは限らないので、まずは左打ちを弱く推奨する態様の左打ち報知演出Aを開始する。これに対し、遊技球の第2始動入賞口への進入を検出した場合または所定期間(例えば、120秒)内に複数個(例えば、5個)の遊技球の通過ゲート41の通過を検出した場合、第2始動入賞や特殊入賞が発生して賞球が払出される可能性が高まるため、左打ちを強く推奨する態様の左打ち報知演出Bを開始する。
【0220】
このように、第2経路を流下する遊技球の流下状況に応じて左打ち報知演出Aと左打ち報知演出Bを実行することで、例えば、遊技者が操作を誤ってまたは意図せずに1~5球程度の遊技球を右打ちした場合に、左打ちを強く推奨する態様の左打ち報知演出Bが開始されることがないので、遊技者に不快感を与えることを回避できる。
【0221】
一方、1~5球程度の遊技球を右打ちしただけでは発生し難い第2始動入賞や5個の遊技球の通過ゲート41の通過が発生した場合、第2始動入賞の発生だけでなく該第2始動入賞の発生に基づき特殊入賞が発生して賞球の払出しが行われる可能性が高まる。つまり、遊技者が気付かずにまたは意図的に右打ちを継続して行っている可能性が高いため、左打ち報知演出Aよりも左打ちを強く推奨する態様の左打ち報知演出Bを開始することで、左打ちを強く推奨することができる。
【0222】
また、本実施例では、通常状態(低確/KT状態)であるときに、遊技球の通過ゲート41の通過を検出しないうちに遊技球の第2始動入賞口への進入を検出した場合、右打ちなどではなく、第2始動入賞口に強制的に遊技球を入賞させるなどの不正行為が行われた可能性が高いとして、左打ち報知演出Aや左打ち報知演出Bではなく、遊技者及び遊技場の店員等にその旨を報知するための入賞エラー報知演出を他の演出よりも優先して行われる。
【0223】
図18及び図19は、図15のS71の左打ち報知処理を示すフローチャートである。左打ち報知処理において、演出制御用CPU120は、まず、KT中(高確中)フラグがセットされているか否か、つまり、現在の遊技制御状態が通常状態(低確/KT状態)であるか否かを判定する(S501)。KT中(高確中)フラグは、高確/KT状態指定コマンドを受信したことに基づいてセットされるフラグである。
【0224】
次いで、左打ち報知演出A、左打ち報知演出B及び入賞エラー報知演出のいずれかが実行中であるか否かを判定する(S502)。いずれの報知演出が実行中であるかは、各報知演出の実行期間を計時するための報知演出Aタイマ、報知演出Bタイマ及びエラー報知演出タイマが経時中であるか否かに基づいて判定する。いずれの報知演出も実行していない場合はS507に進み、いずれかの報知演出を実行中であれば、実行中の報知演出に対応する報知演出タイマの値を1減算する(S503)。次いで、報知タイマの値が0になったか否か、つまり、報知演出の終了タイミングであるか否かを判定し(S504)、報知タイマの値が0であれば実行中の報知演出を終了して(S505)、S506に進む。
【0225】
報知タイマの値が0でなければ、つまり、報知演出の実行中であれば、実行中の報知演出が左打ち報知演出Aであるか否かを判定し(S506)、左打ち報知演出Aではない場合、つまり、左打ち報知演出Bや入賞エラー報知演出の実行中であればそのまま処理を終了し、左打ち報知演出AであればS507に進む。つまり、左打ち報知演出Bや入賞エラー報知演出の実行中はそれ以降の処理を実行しないため、実行中の左打ち報知演出Bや入賞エラー報知演出が左打ち報知演出Aの報知条件の成立により中止されることはない。
【0226】
S507では、監視期間(例えば、120秒間)を計時するための監視タイマが計時中であるか否かを判定し(S507)、計時中である場合は図19のS520に進む。一方、計時中でない場合はS508に進み、ゲートスイッチ21からの検出信号の入力があるか否か、つまり、遊技球が通過ゲート41を通過したか否か(S508)と、第2始動口スイッチ22Bからの検出信号の入力があるか否か、つまり、遊技球が第2始動入賞口を通過したか否か(S513)の監視を開始する。
【0227】
S508にてゲートスイッチ21からの検出信号の入力がある場合、監視期間内に通過ゲート41を通過した遊技球の個数を計数するためのゲート検出ポイントの値を1加算し(S509)、左打ち報知演出Aを開始するとともに(S510)、報知演出Aタイマに5秒間に相当する値をセットするとともに(S511)、監視タイマに120秒に相当する値をセットし(S512)、処理を終了する。尚、本実施例では、監視期間を120秒としているが、本発明はこれに限定されるものではなく、120秒よりも長くしてもよいし、短くしてもよい。
【0228】
また、S508にてゲートスイッチ21からの検出信号の入力がない場合、第2始動口スイッチ22Bからの検出信号の入力があるか否か、つまり、第2始動入賞が発生したか否かを判定する(S513)。第2始動口スイッチ22Bからの検出信号の入力がない場合はそのまま処理を終了する。第2始動口スイッチ22Bからの検出信号の入力があった場合は、ゲートスイッチ21からの検出信号の入力がない状態で第2始動口スイッチ22Bからの検出信号の入力があった、つまり、通過ゲート41を遊技球が通過していないのに第2始動入賞が発生したとして、入賞エラー報知演出を開始し(S514)、エラー報知演出タイマに30秒に相当する値をセットし(S515)、処理を終了する。
【0229】
図19に示すS520においては、監視タイマの値を1減算し(S520)、監視タイマの値が0になったか否か、つまり、報知期間の終了タイミングであるか否かを判定し(S521)、監視タイマの値が0であれば実行中の監視を終了したとして処理を終了する。監視タイマの値が0でない場合、ゲートスイッチ21からの検出信号の入力があるか否か、つまり、遊技球が通過ゲート41を通過したか否か(S522)と、第2始動口スイッチ22Bからの検出信号の入力があるか否か、つまり、遊技球が第2始動入賞口を通過したか否か(S528)の監視を開始する。
【0230】
S522にてゲートスイッチ21からの検出信号の入力がある場合、ゲート検出ポイントの値を1加算し(S523)、ゲート検出ポイントの値が5になったか否か、つまり、通過ゲート41を通過した遊技球の個数が5個に達したか否かを判定する(S524)。ゲート検出ポイントの値が5になった場合はS529に進む。ゲート検出ポイントの値が5でない場合は、左打ち報知演出Bを実行中であるか否かを判定し(S525)、実行中でなければ、左打ち報知演出Aを開始するとともに(S526)、報知演出Aタイマに5秒間に相当する値をセットし(S527)、処理を終了する。S524において左打ち報知演出Bを実行中である場合は、該実行中の左打ち報知演出Bを中止して左打ち報知演出Aを実行することなく、そのまま処理を終了する。
【0231】
また、S522にてゲートスイッチ21からの検出信号の入力がない場合、第2始動口スイッチ22Bからの検出信号の入力があるか否か、つまり、第2始動入賞が発生したか否かを判定する(S528)。第2始動口スイッチ22Bからの検出信号の入力がない場合はそのまま処理を終了する。S528にて第2始動口スイッチ22Bからの検出信号の入力があった場合、及びS524においてゲート検出ポイントの値が5になった場合は、左打ち報知演出Bを開始し(S529)、報知演出Bタイマに30秒に相当する値をセットし(S530)、左打ち報知演出Aを実行中であれば該左打ち報知演出Aを終了する(S531)。つまり、左打ち報知演出Aよりも優先して左打ち報知演出Bを開始する。そして、監視タイマの値に0をセット(リセット)するとともに、ゲート検出ポイントの値に0をセット(リセット)して(S532)、処理を終了する。
【0232】
また、本実施例では、S513にて第2始動口スイッチ22Bからの検出信号の入力があった場合、ゲートスイッチ21からの検出信号の入力がない状態で第2始動口スイッチ22Bからの検出信号の入力があったとして入賞エラー報知演出を行う形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、入賞エラー報知演出の替りに左打ち報知演出Bを実行するようにしてもよい。
【0233】
以上説明したように、本発明の実施例としてのパチンコ遊技機1にあっては、遊技者にとって有利な有利状態である大当り遊技状態やKT状態に制御可能なパチンコ遊技機1であって、遊技球が流下可能な第1経路及び該第1経路とは異なる第2経路と、前記第2経路を流下した遊技球を検出可能な検出手段(例えば、ゲートスイッチ21、第2始動口スイッチ22Bなど)と、大当り遊技状態やKT状態よりも有利度が低い通常状態(低確/非KT状態)において、ゲートスイッチ21や第2始動口スイッチ22Bの検出結果に基づいて、前記第1経路へ遊技球を流下させること(例えば、左打ち)を報知する特定報知としての左打ち報知演出Aや左打ち報知演出Bを実行可能な特定報知手段としての演出制御用CPU120と、を備え、遊技状態が確変状態(高確/KT状態)、大当り遊技状態、小当り遊技状態であるときには、遊技者は右打ちした場合に左打ちした場合よりも有利となり、前記検出手段は、第1位置(例えば、特殊入賞口の左側)で遊技球を検出する第1検出手段としてのゲートスイッチ21と、前記第1位置とは遊技球の流下頻度が異なる第2位置(例えば、大入賞口の左側)で遊技球を検出する第2検出手段としての第2始動口スイッチ22Bと、を含み、演出制御用CPU120は、ゲートスイッチ21の検出結果に基づく第1特定報知としての左打ち報知演出Aと、第2始動口スイッチ22Bの検出結果に基づく第2特定報知としての左打ち報知演出Bと、を実行可能である。
【0234】
このようにすることで、第2経路における遊技球の流下状況に応じた好適な報知を行うことができる。詳しくは、通常状態(低確/非KT状態)において遊技球が通過ゲート41を通過した場合、つまり、賞球などの払出しが発生しない状況では左打ちを推奨する左打ち報知演出Aが開始され、遊技球が第2始動入賞口に進入したとき、つまり、第2始動入賞の発生に伴い賞球などの払出しが発生する状況になった(遊技場にとって実害がでる条件が成立した)場合には、左打ち報知演出Aよりも左打ちを強く推奨する左打ち報知演出Bを実行可能である。
【0235】
これにより、遊技者が故意ではなく誤って右打ちした場合にはまず左打ち報知演出Aが行われるので、最初から左打ち報知演出Bが行われて強く左打ちを推奨されることを回避しつつ、遊技者が第2始動入賞や小当りの発生を故意に狙って右打ちした場合には、左打ち報知演出Aを行うことなく、左打ち報知演出Bにより強く左打ちを推奨するので、狙い打ち等の行為を好適に抑制できる。
【0236】
また、本実施例のパチンコ遊技機1は、低確状態と高確状態とに制御可能であるとともに、第2特図の変動表示結果として小当り表示結果を導出表示可能な遊技性能とされている。また、規則上、普図の当選確率、変動時間、第2始動入賞口の開放時間等は、第1特図ゲームと第2特図ゲームとで変えることはできるが、いずれか一方の特図ゲームにおいて、遊技状態に応じて変えることはできない。つまり、例えば第2特図ゲームにおいて、高確状態であるときに、普図の当選確率を低確状態よりも高確率としたり、普図の変動時間を低確状態よりも短くしたり、普図の開放時間を低確状態よりも長くしたりするといったいわゆる高ベース状態(時短状態)とすることはできない。また、高ベース状態(時短状態)において出球率は100%を越えてはいけないため、高ベース状態(時短状態)で小当りを頻発させることは困難である。
【0237】
よって、本実施例では、第2特図ゲームにおいて、低確状態でも高確状態でも、普図の当選確率、変動時間、第2始動入賞口の開放時間は同じとすることで(図7参照)、高ベース状態とすることなく第2特図ゲームで小当りを頻発させることで出球を得ることが可能な遊技性能を実現している。
【0238】
しかし、このような遊技性能とするが故に、通常状態(低確/非KT状態)においても、右打ちすれば第2始動入賞や小当りが発生する確率が高いため、遊技者が故意に右打ちして第2始動入賞や小当りの発生を狙う可能性がある。よって、右打ちを検知した場合に左打ち報知演出Bを実行可能とすることで左打ちを強く推奨(警告)することはできるが、遊技者が通常状態(低確/非KT状態)に移行したことに気付かずに右打ちした場合や、操作を誤って右打ちになった場合にも、左打ちを強く推奨(警告)されてしまうため、遊技者に不快感を与えてしまう虞があった。
【0239】
従って、本実施例のように、通常状態(低確/非KT状態)において遊技球が通過ゲート41を通過した場合は左打ち報知演出Aを実行し、遊技球が第2始動入賞口に進入した場合には左打ち報知演出Bを実行するようにするなど、第2経路における遊技球の流下状況に応じた好適な態様の報知演出を行うようにすることで、遊技者に不快感を与えることなく好適な報知演出を実行することができる。
【0240】
また、演出制御用CPU120は、監視期間内にゲートスイッチ21により検出された遊技球が所定数(例えば、5個)に達したときには、第2始動口スイッチ22Bにより遊技球が検出されなくても左打ち報知演出Bを実行する。このようにすることで、第2経路における遊技球の流下状況の変化に応じて好適な報知を行うことができる。より詳しくは、右打ちを長い期間継続しているが、第2始動入賞口や特殊入賞口に遊技球が進入しない場合でも、左打ち報知演出Bが実行されるため、入賞に伴う賞球の払出しなどが発生する前に強く報知することが可能となる。
【0241】
尚、本実施例では、監視期間内にゲートスイッチ21により検出された遊技球が所定数(例えば、5個)に達したときに第2特定報知である左打ち報知演出Bを実行する形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、監視期間内にゲートスイッチ21により検出された遊技球が5個未満または6個以上検出されたときに第2特定報知である左打ち報知演出Bを実行するようにしてもよい。
【0242】
また、第2始動口スイッチ22Bは、ゲートスイッチ21が遊技球を検出してから所定期間(例えば、約2~3秒)経過後に該遊技球を第2位置である大入賞口の左側において検出可能である。このようにすることで、各報知演出の報知条件が順番に成立するので好適な報知を行うことができる。詳しくは、第2始動口スイッチ22Bは、ゲートスイッチ21よりも下流側の第2位置に設けられていることで、最初に左打ち報知演出Aが実行された後に左打ち報知演出Bが順番に実行され、左打ち報知演出Bが左打ち報知演出Aよりも先に開始されることを回避できるため、遊技者に不快感を与えることを回避できる。
【0243】
また、第2経路を流下する遊技球は、ゲートスイッチ21と第2始動口スイッチ22Bとの少なくとも一方により検出可能である。具体的には、第2経路を流下する遊技球の大半は通過ゲート41を通過可能とされているとともに、通過ゲート41を通過した遊技球の大半は、通過ゲート41よりも下流側に設けられた普通可変入賞球装置6Bに入賞可能に誘導されるようになっている。
【0244】
このようにすることで、ゲートスイッチ21と第2始動口スイッチ22Bの双方の報知条件が成立した場合でも、好適な報知を行うことができる。
【0245】
また、演出制御用CPU120は、左打ち報知演出Aよりも長い期間にわたり左打ち報知演出Bを実行可能である。具体的には、左打ち報知演出Aは5秒間、左打ち報知演出Bは30秒間にわたり実行する。このようにすることで、左打ち報知演出Bを好適に、つまり、左打ちをより強く推奨することができる。
【0246】
また、演出制御用CPU120は、左打ち報知演出Aの実行中に左打ち報知演出Bの実行条件が成立したときには、左打ち報知演出Aよりも左打ち報知演出Bを優先して実行し、左打ち報知演出Bの実行中に左打ち報知演出Aの実行条件が成立したときには、左打ち報知演出Bよりも左打ち報知演出Aを優先して実行しない。
【0247】
このようにすることで、左打ち報知演出Aより優先したい左打ち報知演出Bを好適に行うことができる。詳しくは、左打ちを強く推奨したい場合に、左打ち報知演出Aが実行されていることで左打ち報知演出Bを実行できないといった事態が生じたり、左打ち報知演出Bが実行されていたのに左打ち報知演出Aの報知条件が成立して左打ち報知演出Bが中止されてしまうといった事態が生じたりすることを回避できる。
【0248】
また、左打ち報知演出Aの実行条件が成立せずに左打ち報知演出Bの実行条件が成立したときには、左打ち報知演出Bを実行せずに第3特定報知としての入賞エラー報知演出を実行する。このようにすることで、発生し難い事象に対して好適な報知を実行できる。
【0249】
詳しくは、本実施例では、通過ゲート41よりも下流側に普通可変入賞球装置6Bが設けられている。また、普通可変入賞球装置6Bは、通過ゲート41を遊技球が通過することなく開放状態に変化することはない、つまり、普図の変動表示が行われて普図当りが発生しない限り開放状態に変化することはないため、ゲートスイッチ21により遊技球が検出されることなく第2始動口スイッチ22Bが遊技球を検出することはほぼないため、このような場合は不正行為が行われた可能性が高いため、入賞エラー報知演出を実行することで早期のうちに対処することが可能となる。
【0250】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0251】
例えば、前記実施例では、遊技者にとって有利な有利状態の一例として、大当り遊技状態、確変状態、KT状態などを記載したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、普図の当選確率を低確状態よりも高確率としたり、普図の変動時間を低確状態よりも短くしたり、普図の開放時間を低確状態よりも長くしたりするいわゆる高ベース状態(時短状態)や、特別リーチ状態(例えば、スーパーリーチ等)、大当り変動パターンに基づく変動表示状態等も含まれる。
【0252】
また、前記実施例では、遊技媒体が流下可能な第1経路を演出表示装置5の左側の第1経路、第2経路を演出表示装置5の右側の第2経路とした形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、演出表示装置5の左側領域または右側領域のいずれか一方に第1経路と第2経路とが設けられていてもよい。また、演出表示装置5の上側領域の第1経路と下側領域の第2経路としてもよく、場所は種々に変更可能である。
【0253】
また、前記実施例では、第1検出手段としてゲートスイッチ21を例示し、第2検出手段として第2始動口スイッチ22Bを例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、第1検出手段や第2検出手段は上記スイッチに限定されるものではなく、種々に変更可能である。例えば、第1始動口スイッチ22A、第1カウントスイッチ23、第2カウントスイッチ24や、一般入賞口に進入した遊技球を検出可能な入賞スイッチ、あるいは、第2経路を遊技球が流下したことを検知するために上記した各入賞スイッチとは別個に設けた検知用スイッチを第1検出手段や第2検出手段として適用可能である。
【0254】
また、第1検出手段を第2始動口スイッチ22B、第2検出手段をゲートスイッチ21としてもよいし、第1検出手段を第2始動口スイッチ22B、第2検出手段を特殊入賞口に進入した遊技球を検出する第2カウントスイッチ24としてもよいし、第1検出手段をゲートスイッチ21、第2検出手段を特殊入賞口に進入した遊技球を検出する第2カウントスイッチ24としてもよい。つまり、各スイッチの組合せは任意であり、種々に変更可能である。
【0255】
また、前記実施例では、第1検出手段としてのゲートスイッチ21を、第2検出手段としての第2始動口スイッチ22Bよりも第2経路における上流側に設けた形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、第1検出手段と第2検出手段とは、遊技媒体の流下頻度が異なる位置に設けられていれば、必ずしも第1検出手段が第2検出手段よりも上流側に設けられていなくてもよい。具体的には、第1検出手段が第2検出手段よりも下流側に設けられていてもよいし、第1検出手段と第2検出手段とが左右に並列して設けられていてもよい。また、第1検出手段が第2検出手段よりも遊技媒体の流下頻度が低い位置に設けられていてもよい。
【0256】
また、前記実施例では、第1検出手段としてのゲートスイッチ21を通過した遊技球の少なくとも一部が第2検出手段としての第2始動口スイッチ22Bを通過可能とした形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、第1検出手段を通過した遊技球を必ずしも第2検出手段を通過可能としなくてもよい。逆に、第1検出手段を通過した遊技球が全て第2検出手段を通過するようにしてもよい。
【0257】
また、前記実施例では、第1経路へ遊技球を流下させることを報知する特定報知として、左打ち報知演出Aと左打ち報知演出Bとを実行可能な形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、左打ち報知演出Aや左打ち報知演出Bとは報知態様が異なる他の報知演出を実行可能としてもよい。
【0258】
また、前記実施例では、第2特定報知の一例である左打ち報知演出Bを、第1特定報知の一例である左打ち報知演出Aよりも左打ちを強く推奨(警告)する報知態様とする形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、第1検出手段の検出結果に基づく第1特定報知と、前記第2検出手段の検出結果に基づく第2特定報知とを実行可能であれば、第1特定報知と第2特定報知の報知態様は同じであってもよい。
【0259】
また、前記実施例では、第2特定報知の一例である左打ち報知演出Bを、第1特定報知の一例である左打ち報知演出Aよりも左打ちを強く推奨(警告)する報知態様とする形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、第2特定報知は、第1特定報知よりも画像、音、光等の態様が目立つ(異なる)ものであれば、必ずしも画像や音が大きくなったり光が強くなったりするものでなくてもよく、例えば、画像の大きさでなく背景色が白から黄色に変化したり、音の大きさは変化せず音の種別が変化したり、光の輝度は変化せず発光色が白から黄色に変化したりするものであってもよい。
【0260】
また、前記実施例では、左打ち報知演出Aと左打ち報知演出Bにおける報知手段として、画像を表示可能な演出表示装置5、音を出力可能なスピーカ8L,8R、発光可能な演出用LED等を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、上記した装置以外の表示手段、音出力手段、発光手段等を用いてもよい。
【0261】
また、前記実施例では、通常状態(例えば、低確/非KT状態)において、検出手段の検出結果に基づいて第1経路へ遊技媒体を流下させることを報知する特定報知を実行可能な特定報知手段の一例として、左打ち報知演出A、左打ち報知演出Bを実行可能な形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、検出手段の検出結果に基づいて、例えば、遊技場のホールコンピュータ等の管理装置に検出結果を出力可能な出力手段を特定報知手段としてもよい。
【0262】
また、前記実施例では、第1特定報知の一例である左打ち報知演出Aと、第2特定報知の一例である左打ち報知演出Bとは態様(例えば、表示、音、光の強弱など)が異なる報知とした形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、第1特定報知と第2特定報知とは、報知態様が同じでも、報知する対象が異なる報知(例えば、遊技者向けの第1特定報知と遊技場向けの第2特定報知など)であってもよい。具体的には、例えば、第1特定報知を遊技者向けに表示、音、光等により報知するものとする一方、第2特定報知を遊技場向けに出力した信号やコマンド等により報知するものとしてもよい。
【0263】
また、前記実施例では、ゲートスイッチ21により遊技球が検出される毎に左打ち報知演出Aが行われる形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、所定の報知時間が経過するまでは、ゲートスイッチ21により新たな遊技球が検出されても繰り返したり延長して報知されないようにしてもよい。
【0264】
また、前記実施例では、S508にてゲートスイッチ21からの検出信号の入力があったときから120秒の監視期間中にS528にて第2始動口スイッチ22Bからの検出信号の入力があった場合に左打ち報知演出Bが行われる形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、120秒の監視期間中に複数個の遊技球が第2始動入賞口に入賞したことに基づいて左打ち報知演出Bを実行するようにしてもよい。
【0265】
また、前記実施例では、S508にてゲートスイッチ21からの検出信号の入力があったときから120秒の監視期間中にS528にて第2始動口スイッチ22Bからの検出信号の入力があった場合に左打ち報知演出Bが行われる形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、上記のような監視期間を設定せずに、ゲート検出ポイントが所定値(例えば、5)に達するまでに第2始動口スイッチ22Bからの検出信号の入力があった場合に左打ち報知演出Bが行われるようにしてもよい。
【0266】
また、前記実施例では、左打ち報知演出Bや入賞エラー報知演出が行われている期間にゲートスイッチ21や第2始動口スイッチ22Bからの新たな検出信号の入力があった場合でも左打ち報知演出Bの実行期間を延長しない形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、左打ち報知演出Bが行われている期間にゲートスイッチ21や第2始動口スイッチ22Bからの新たな検出信号の入力があった場合に左打ち報知演出Bの実行期間を延長するようにしてもよい。さらに、実行期間を延長するだけでなく、新たな検出信号の入力が継続して行われるようであれば報知態様を漸次変化させていく(例えば、報知画像や音を漸次大きくしたり、光の輝度を漸次高くする等)ようにしてもよい。
【0267】
また、前記実施例では、左打ち報知演出A(第1特定報知)が行われているときに左打ち報知演出B(第2特定報知)の報知条件が成立した場合は左打ち報知演出Aの実行を中止して左打ち報知演出Bを実行する形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、左打ち報知演出Aの実行を中止せずに継続したまま左打ち報知演出Bを並行して実行するようにしてもよい。さらに、左打ち報知演出A(第1特定報知)が行われているときに左打ち報知演出B(第2特定報知)の報知条件が成立した場合に、左打ち報知演出A(第1特定報知)を左打ち報知演出B(第2特定報知)に切り替えるのではなく、左打ち報知演出A(第1特定報知)から左打ち報知演出B(第2特定報知)に漸次変化させていく(例えば、報知画像や音を漸次大きくしたり、光の輝度を漸次高くする等)ようにしてもよい。
【0268】
また、前記実施例では、左打ち報知演出Bや入賞エラー報知演出が終了した後にゲートスイッチ21や第2始動口スイッチ22Bからの新たな検出信号の入力があった場合、S507以降の処理を再度実行する形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、左打ち報知演出Bや入賞エラー報知演出が終了したときから所定期間(例えば、10秒間など)が経過するまでにゲートスイッチ21や第2始動口スイッチ22Bからの新たな検出信号の入力があった場合は、左打ち報知演出A(第1特定報知)を行うことなく左打ち報知演出Bや入賞エラー報知演出を実行するようにしてもよい。
【0269】
また、前記実施例では、演出制御用CPU120は、確変状態(高確/KT状態)から通常状態(低確/非KT状態)へ移行した直後{例えば、確変状態(高確/KT状態)から通常状態(低確/非KT状態)へ移行してから所定時間(例えば、約120秒など)が経過するまでの移行期間}と、該移行期間以外の期間と、で同様の左打ち報知演出処理を実行する形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、移行期間と該移行期間以外の期間とで異なる左打ち報知演出処理を実行するようにしてもよい。具体的には、例えば、移行期間では普図の保留記憶が残っている可能性が高いことから、左打ち報知演出Aの報知条件が成立することで左打ち報知演出Bを実行するなど、移行期間と該移行期間以外の期間とで報知条件を異ならせたり、左打ち報知演出Bよりも強く左打ちを推奨(警告)する特殊左打ち報知演出を実行したり、左打ち報知演出A,Bの実行期間を長くしたりするなど、移行期間と該移行期間以外の期間とで報知演出の態様を異ならせるようにしてもよい。
【0270】
また、前記実施例では、遊技機の一例としてパチンコ遊技機1を例示しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、予め定められた球数の遊技球が遊技機内部に循環可能に内封され、遊技者による貸出要求に応じて貸し出された貸出球や、入賞に応じて付与された賞球数が加算される一方、遊技に使用された遊技球数が減算されて記憶される、所謂、封入式遊技機にも本発明を適用可能である。尚、これら封入式遊技機においては遊技球ではなく得点やポイントが遊技者に付与されるので、これら付与される得点やポイントが遊技価値に該当する。
【0271】
前記遊技者にとって有利な状態とは、遊技者が多くの遊技媒体を獲得できる遊技者にとって有利な特定遊技状態(大当り等)や、獲得できる遊技媒体の期待値が異なる複数種類の特定遊技状態(ラウンド数が異なる大当り等)や、通常遊技状態よりも賞球払出の条件が成立しやすくなる高ベース状態(時短状態)や、特別リーチ状態(例えば、スーパーリーチ等)、当該変動パターンが大当り変動パターンに基づく変動パターンである状態等が含まれる。
【0272】
また、前記実施例では、確変大当りの終了後は高確/KT状態に制御される形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、確変大当りの終了後に、高確/第1KT状態と高確/第2KT状態とのいずれかに制御されるようにしてもよい。この場合、第2KT状態を第1KT状態よりも多くの賞球を得ることができる状態とするようにしてもよい。具体的には、例えば、第2KT状態では特殊入賞口が長期間開放し、第1KT状態では特殊入賞口が短期間開放するようにしたり、あるいは、特殊入賞口の上流側に普通可変入賞球装置6Bを設け、第1KT状態では第2始動入賞口が拡大開放状態になることで特殊入賞口に遊技球が進入困難となるようにするなど、複数種類のKT状態に制御可能としてもよい。
【0273】
(手段11)すなわち、本発明による遊技機の他の態様として、可変表示を行い、遊技者にとって有利な有利状態(例えば、大当り遊技状態)に制御可能な遊技機であって、遊技媒体(例えば、遊技球)が進入可能な進入有利状態(例えば、開状態)と遊技媒体が進入不能または困難な進入不利状態(例えば、閉状態)とに変化可能な可変始動装置(例えば、普通可変入賞球装置6Bなど)と、可変始動装置の下流側に設けられ、進入有利状態と進入不利状態とに変化可能な所定可変装置(例えば、特殊可変入賞球装置7Bなど)と、複数の開放パターンのうちのいずれかの開放パターンにより可変始動装置を制御可能な可変始動装置制御手段と、可変始動装置に遊技媒体が進入したことにもとづいて可変表示を実行可能な可変表示実行手段(例えば、CPU103がS15Bの第2特別図柄プロセス処理を実行する部分など)と、可変表示の表示結果が所定表示結果(例えば、小当り図柄)となったことにもとづいて、所定可変装置を進入有利状態に変化させる所定状態(例えば、小当り遊技状態)に制御可能な所定状態制御手段(例えば、CPU103がS15Bの第2特別図柄プロセス処理におけるS29B~S31Bを実行する部分など)と、所定状態に制御される頻度を高めた特別状態(例えば、KT状態)に制御可能な特別状態制御手段(例えば、CPU103)とを備え、特別状態制御手段は、特別状態として、第1特別状態(例えば、上記した高確/第1KT状態)と、該第1特別状態とは有利度合いが異なる第2特別状態(例えば、上記した高確/第2KT状態)とに制御可能であり、可変始動装置制御手段は、複数の開放パターンのうち非特定開放パターンよりも所定可変装置に遊技媒体が流下しやすい特定開放パターンにより可変始動装置を制御可能であり(例えば、普通可変入賞球装置6Bを0.5秒間だけ開放する)、第1特別状態に制御されている場合と第2特別状態に制御されている場合とで、異なる割合で特定開放パターンにより可変始動装置を制御可能としてもよい(例えば、第1KT状態では、普通可変入賞球装置6Bを5.5秒間開放し、第2KT状態では、普通可変入賞球装置6Bを0.5秒間だけ開放する)。そのような構成によれば、特別状態における遊技性の単調さを解消することができ、特別状態に制御する場合の遊技の興趣を向上させることができる。
【0274】
(手段12)また、手段11において、複数種類の有利状態(例えば、15R確変大当り、5R確変大当り、5R通常大当り、2R確変大当り、2R通常大当りなど)に制御可能であり、第2特別状態は、第1特別状態と比較して有利度が高く(例えば、第1KT状態では小当り遊技で特殊入賞口に遊技球が入賞するのは稀であるのに対して、第2KT状態では小当り遊技で特殊入賞口に遊技球が入賞可能である)、特別状態制御手段は、有利状態の種類に対応して第2特別状態に制御可能である(例えば、CPU103は、15R確変大当りにもとづく大当り遊技の終了後に高確率/第2KT状態に移行する)ように構成されていてもよい。そのような構成によれば、有利状態の種類と特別状態の種類とを対応付けることにより、いずれの種類の有利状態となるかに注目させることができる。
【0275】
(手段13)手段11または手段12において、有利状態(例えば、大当り遊技状態)に制御されている期間と第2特別状態(例えば、高確率/第2KT状態)に制御されている期間とで、少なくとも一部の演出を引き継いで演出を実行可能な演出実行手段(例えば、演出制御用CPU120は、15R確変大当りにもとづく大当り遊技の開始時に第2KT用の楽曲の音出力を開始し、第2KT状態を終了するまで第2KT用の楽曲の音出力を継続する部分)を備えるように構成されていてもよい。そのような構成によれば、第2特別状態に制御されていることを遊技者により強く印象付けることにより、遊技に対する興趣を向上させることができる。
【0276】
(手段14)手段11~手段13のうちのいずれかにおいて、可変始動装置の上流側に設けられ、進入有利状態と進入不利状態とに変化可能な特定可変装置(例えば、特別可変入賞球装置7Aなど)と、特定可変装置を進入有利状態に変化させる有利状態(例えば、大当り遊技状態)に制御可能な有利状態制御手段(例えば、CPU103)と、可変始動装置を進入有利状態に制御するか否か(例えば、普図当りとするか否か)を決定する始動決定手段(例えば、CPU103が普図当りとするか否かを決定する部分など)とを備え、始動決定手段は、状態に関係なく同じ割合により可変始動装置を進入有利状態に制御するか否かを決定する(例えば、CPU103は、普通図柄プロセス処理において、遊技状態が確変状態(高確率状態)であるか否かや、非KT状態、第1KT状態または第2KT状態のいずれであるか、大当り遊技状態であるか否かに関係なく、同じ確率により普図当りとするか否かを決定する)ように構成されていてもよい。そのような構成によれば、特定可変装置への遊技媒体の進入に関して、有利状態中も進入有利状態に制御可能な可変始動装置の影響を受けないようにすることができるので、有利状態の消化期間を短縮することができ、遊技に対する興趣の低下を抑制することができる。
【0277】
(手段15)手段11~手段14のうちのいずれかにおいて、有利状態に制御した後に特殊状態(例えば、確変状態)に制御可能な特殊状態制御手段(例えば、CPU103)を備え、特別状態制御手段は、第1特別状態(例えば、高確率/第1KT状態)と同じ割合により開放パターンが選択されて可変始動装置が制御され且つ異なる割合により可変表示パターンが選択されて可変表示が実行される第3特別状態(例えば、低確率/第1KT状態)に制御可能であり、有利状態に制御された後に特殊状態に制御されない場合に第3特別状態に制御可能である(例えば、CPU103は、5R通常大当りや2R通常大当りにもとづく大当り遊技終了後には、低確率/第1KT状態に移行される)ように構成されていてもよい。そのような構成によれば、有利状態に制御された後に特殊状態に制御されない場合において、遊技者が遊技を終了することを思いとどまらせる契機を与えることができる。
【0278】
(手段16)手段11~手段15のうちのいずれかにおいて、可変始動装置および所定可変装置は、遊技媒体の流下を遅延させるための遅延手段が設けられているように構成されていてもよい。そのような構成によれば、遅延手段を設けることにより遊技媒体の流下速度が遅延され、第1特別状態においては可変始動装置への遊技媒体の進入割合をより一層高めることができ、第2特別状態においては所定可変装置への遊技媒体の進入割合をより一層高めることができる。
【0279】
(手段17)手段11~手段16のうちのいずれかにおいて、可変表示実行手段は、第1識別情報(例えば、第1特別図柄)の可変表示および第2識別情報(例えば、第2特別図柄)の可変表示を実行可能であるとともに、第1識別情報および第2識別情報のいずれか一方の可変表示の実行中に第1識別情報および第2識別情報の他方の可変表示を実行可能であり(例えば、CPU103は、第1特別図柄の変動表示と第2特別図柄の変動表示とを並行して実行可能である)、所定状態(例えば、小当り遊技状態)に制御するか否かを決定可能な決定手段(例えば、CPU103)と、可変表示時間(例えば、変動時間)を決定可能な可変表示時間決定手段(例えば、CPU103)とを備え、決定手段は、第2識別情報の可変表示を実行する場合には、第1識別情報の可変表示を実行する場合と比較して、高い割合により所定状態に制御すると決定可能であり(例えば、CPU103は、第2特別図柄の変動表示を行う場合にのみ小当りとすることに決定可能である)、可変表示時間決定手段は、特別状態に制御されている場合には、非特別状態に制御されている場合と比較して、第2識別情報の可変表示の可変表示時間として短い時間を決定可能である(例えば、非KT状態では第2特別図柄の変動時間は15分または5分であるのに対して、KT状態では第2特別図柄の変動時間は1.5秒~2分20秒である)ように構成されていてもよい。そのような構成によれば、特別状態に制御される遊技機における遊技に対する興趣を向上させることができる。
【0280】
(手段18)手段11~手段17のうちのいずれにおいて、遊技媒体(例えば、遊技球)が通過可能な所定領域(例えば、作動ゲートなど)と、有利状態(例えば、大当り遊技状態)に制御可能な有利状態制御手段(例えば、CPU103)とを備え、有利状態制御手段は、可変表示の表示結果として特定表示結果が導出表示された後、所定領域を遊技媒体が通過したことにもとづいて有利状態に制御可能であるように構成されていてもよい。そのような構成によれば、特別状態終了後に遊技者が遊技を休憩した場合に、遊技者の休憩中に有利状態への制御が進行してしまわないように制限することができる。
【0281】
(手段19)手段18において、有利状態に制御されることを特定可能な有利状態信号(例えば、大当り信号1、大当り信号2など)を外部出力可能な有利状態信号出力手段(例えば、CPU103)を備え、有利状態信号出力手段は、可変表示の表示結果として特定表示結果(例えば、大当り図柄)が導出表示されたときに有利状態信号を外部出力可能であるように構成されていてもよい。そのような構成によれば、遊技者がいない無人の遊技機において有利状態となったことを遊技店員に報知することができ、遊技機の初期化を促進することができる。
【0282】
(手段20)本発明による遊技機のさらに他の態様は、可変表示を行い、遊技者にとって有利な有利状態(例えば、大当り遊技状態)に制御可能な遊技機であって、可変表示の表示結果が特定表示結果(例えば、大当り図柄)となったことにもとづいて、第1領域(例えば、大入賞口)に遊技媒体(例えば、遊技球)が進入可能となる有利状態に制御可能な有利状態制御手段(例えば、CPU103)と、可変表示の表示結果が所定表示結果(例えば、小当り図柄)となったことにもとづいて、第2領域(例えば、特殊入賞口など)に遊技媒体が進入可能となる所定状態(例えば、小当り遊技状態)に制御可能な所定状態制御手段(例えば、CPU103)と、所定状態に制御される頻度を高めた特別状態(例えば、KT状態)に制御可能な特別状態制御手段(例えば、CPU103)とを備え、特別状態制御手段は、特別状態として、第1特別状態(例えば、高確率/第1KT状態)と、該第1特別状態と比較して有利度が高い第2特別状態(例えば、高確率/第2KT状態)とに制御可能であり、第2領域に遊技媒体が進入したことに対応して特別信号(例えば、特殊入賞口入賞信号)を外部出力可能な特別信号出力手段(例えば、CPU103)を備えるようにしてもよい。そのような構成によれば、第2領域への遊技媒体の進入状況を外部に通知することができ、遊技機の外部において適切な遊技機の管理を行うことができる。
【0283】
(手段21)手段20において、特別信号出力手段は、第1特別状態に制御されている場合と第2特別状態に制御されている場合とで共通の特別信号を外部出力可能である(例えば、第1KT状態であるか第2KT状態であるかに関係なく、共通の特殊入賞口入賞信号を外部出力する)ように構成されていてもよい。そのような構成によれば、遊技機側の外部出力処理の簡略化を図ることができる。
【0284】
(手段22)手段20において、特別信号出力手段は、特別信号として、第1特別信号と、該第1特別信号とは異なる第2特別信号とを外部出力可能であり、第1特別状態に制御されている場合に第1特別信号を外部出力可能であり、第2特別状態に制御されている場合に第2特別信号を外部出力可能である(例えば、第1KT状態中は特殊入賞口入賞信号1を外部出力し、第2KT状態中は特殊入賞口入賞信号2を外部出力する)ように構成されていてもよい。そのような構成によれば、遊技機の状態を遊技機の外部において適切に管理することができる。
【0285】
(手段23)本発明による遊技機のさらに他の態様は、可変表示を行い、遊技者にとって有利な有利状態(例えば、大当り遊技状態)に制御可能な遊技機であって、可変表示の表示結果が所定表示結果(例えば、小当り図柄)となったことにもとづいて、有利状態とは異なる所定状態(例えば、小当り遊技状態)に制御可能な所定状態制御手段(例えば、CPU103)と、所定状態に制御される頻度を高めた特別状態(例えば、KT状態)に制御可能な特別状態制御手段(例えば、CPU103)とを備え、特別状態制御手段は、特別状態として、第1特別状態(例えば、高確率/第1KT状態)と、該第1特別状態と比較して有利度が高い第2特別状態(例えば、高確率/第2KT状態)とに制御可能であり、有利状態に制御されることを示唆する所定演出(例えば、バトル演出など)を実行可能な所定演出実行手段(例えば、演出制御用CPU120)を備え、所定演出実行手段は、第1特別状態において有利状態に制御される場合に所定演出を実行可能であるとともに、第2特別状態において有利状態に制御される場合には、第1特別状態への制御に移行することに対応する移行演出(例えば、第1KT移行演出)を実行した後に、所定演出を実行可能であることを特徴とする。そのような構成によれば、移行演出の実行によって第2特別状態の終了を印象付けることにより第2特別状態についての演出効果を高めることができ、特別状態に制御する場合の遊技の興趣を向上させることができる。
【0286】
(手段24)手段23において、特別状態に制御される場合に特殊状態(例えば、確変状態)に制御可能な特殊状態制御手段(例えば、CPU103)を備え、所定演出実行手段は、所定演出として、特殊状態への制御が継続するか否かに対応する演出を実行可能である(例えば、勝利する態様のバトル演出が実行されれば確変状態が継続し、敗北する態様のバトル演出が実行されれば確変状態が終了するなど)ように構成されていてもよい。そのような構成によれば、所定演出として注目させる演出内容を絞り込むことにより、特殊状態への制御が継続するか否かに注目させることができ、所定演出の演出内容を明確にすることができる。
【0287】
(手段25)手段23または手段24において、移行演出が実行される前に、第2特別状態において付与された遊技価値に関する情報を報知する報知演出を実行可能な報知演出実行手段(例えば、演出制御用CPU120)を備えるように構成されていてもよい。そのような構成によれば、第2特別状態の終了を明確にすることができ、所定演出に対して注目させることができる。
【0288】
(手段26)手段23~手段25のうちのいずれかにおいて、移行演出が実行される前に、第2特別状態への制御が継続するか否かに対応する特別演出(例えば、継続演出など)を実行可能な特別演出実行手段(例えば、演出制御用CPU120)を備えるように構成されていてもよい。そのような構成によれば、第2特別状態が終了するか否かに注目させることができ、遊技に対する興趣を向上させることができる。
【0289】
(手段27)手段26において、第2特別状態に制御されている場合に、1の可変表示において、特別演出、移行演出および所定演出を実行可能である(例えば、演出図柄の変動表示が実行される場合に、その変動表示において、継続演出、第1KT移行演出、およびバトル演出が実行される)ように構成されていてもよい。そのような構成によれば、状態変化を明確に区別することができる。
【0290】
(手段28)手段23~手段27のうちのいずれかにおいて、第2特別状態において有利状態に制御された後、再び第2特別状態に制御される場合には、該再び制御される第2特別状態より前に付与された遊技価値に関する情報を引き継いで該第2特別状態に制御されるように構成されていてもよい。そのような構成によれば、付与された遊技価値がより大きなものとなるので、第2特別状態が継続することに対する特別感を与えることができる。
【0291】
(手段29)本発明による遊技機のさらに他の態様は、可変表示を行い、遊技者にとって有利な有利状態(例えば、大当り遊技状態)に制御可能な遊技機であって、可変表示の表示結果が所定表示結果(例えば、小当り図柄)となったことにもとづいて、有利状態とは異なる所定状態(例えば、小当り遊技状態)に制御可能な所定状態制御手段(例えば、CPU103)と、所定状態に制御される頻度を高めた特別状態(例えば、KT状態)に制御可能な特別状態制御手段(例えば、CPU103)と、特別状態において遊技媒体(例えば、遊技球)が進入可能な特定領域(例えば、特殊入賞口など)とを備え、特別状態制御手段は、特別状態として、第1特別状態(例えば、高確率/第1KT状態)と、該第1特別状態と比較して有利度が高い第2特別状態(例えば、高確率/第2KT状態)とに制御可能であり、第2特別状態において特定領域に遊技媒体が進入したことにもとづいて進入演出(例えば、賞球加算表示の表示、入賞音の出力、特殊入賞口LEDの点灯表示)を実行可能な進入演出実行手段(例えば、演出制御用CPU120)を備え、進入演出実行手段は、第1特別状態において特定領域に遊技媒体が進入した場合には進入演出を実行しないように制御することを特徴とする。そのような構成によれば、第1特別状態におけるイレギュラーな遊技媒体の進入によっては進入演出が実行されないようにすることにより、遊技状態との演出上の整合を図ることができるとともに、第2特別状態における特定領域への遊技媒体の進入を強調することができ、遊技に対する興趣を向上させることができる。従って、特別状態に制御する場合の演出上の改善を行うことができる。
【0292】
(手段30)手段29において、有利状態(例えば、大当り遊技状態)に制御可能な有利状態制御手段(例えば、CPU103)を備え、有利状態制御手段は、有利状態として、第1有利状態(例えば、5R確変大当り、2R確変大当り)と第2有利状態(例えば、16R確変大当り)とに制御可能であり、特別状態制御手段は、第1有利状態に制御された後に第1特別状態に制御可能であるとともに、第2有利状態に制御された後に第2特別状態に制御可能であり(例えば、5R確変大当りや2R確変大当りにもとづく大当り遊技終了後に高確率/第1KT状態に移行し、15R確変大当りにもとづく大当り遊技終了後に高確率/第2KT状態に移行する)、第2有利状態に制御されている期間から第2特別状態に制御されている期間にわたって特殊演出(例えば、第2KT用の楽曲の音出力)を実行可能な特殊演出実行手段(例えば、演出制御用CPU120)を備えるように構成されていてもよい。そのような構成によれば、第2特別状態における演出効果を高めることができ、遊技に対する興趣を向上させることができる。
【0293】
(手段31)手段29または手段30において、進入演出実行手段は、進入演出として、遊技価値が加算されることに対応する加算演出(例えば、賞球加算表示の表示)、遊技媒体の進入に対応する音出力による演出(例えば、入賞音の出力)、および発光体の発光による演出(例えば、特殊入賞口LEDの点灯表示)のうちの少なくともいずれかの演出を実行するように構成されていてもよい。そのような構成によれば、第2特別状態における特定領域への遊技媒体の進入を強調することができ、遊技に対する興趣を向上させることができる。
【0294】
また、前記実施例では、小当りを搭載するKT状態に制御可能なパチンコ遊技機1を一例とする形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、小当りを搭載しないパチンコ遊技機にも適用可能である。
【符号の説明】
【0295】
1 パチンコ遊技機
4A 第1特別図柄表示器
4B 第2特別図柄表示器
5 演出表示装置
100 遊技制御用マイクロコンピュータ
120 演出制御用CPU
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