(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-13
(45)【発行日】2022-01-13
(54)【発明の名称】空気清浄化装置用のフィルタユニット
(51)【国際特許分類】
B01D 46/00 20220101AFI20220105BHJP
F24F 7/06 20060101ALI20220105BHJP
【FI】
B01D46/00 C
F24F7/06 C
(21)【出願番号】P 2017124592
(22)【出願日】2017-06-26
【審査請求日】2020-03-31
(73)【特許権者】
【識別番号】512284033
【氏名又は名称】株式会社ダルトン
(74)【代理人】
【識別番号】100092679
【氏名又は名称】樋口 盛之助
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 隆弘
(72)【発明者】
【氏名】春原 伸次
【審査官】目代 博茂
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-086604(JP,A)
【文献】特開2008-134007(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D46/00-46/54
F24F7/00-7/10
F24F8/108
F24F13/08-13/32
B01L1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気清浄化装置の吸気口の壁面に着脱可能に取り付けられるフィルタユニットであり、空気清浄化装置の吸気口の壁面に対して気密に取り付けられる正面形状が略矩形環状をなす略フランジ状の外枠と、該外枠の裏面に垂直で背面後方へ延出され、少なくともフィルタ部材より長い略角筒状をなす内枠と、当該内枠の内部に全長が収納保持されるフィルタ部材と、前記内枠が保持したフィルタ部材を当該内枠の後端部において支持するフィルタ押え部材とを備えたことを特徴とするフィルタユニット。
【請求項2】
略フランジ状の外枠は、
上側部分の側断面形状が略逆L状で正面形状が略矩形環状をなし、略角筒状をなす内枠は、該外枠の垂直な内周辺の裏面に
上側部分の側断面略L状の前端部が気密に接合され後端側が当該外枠の背面後方へ延出された略角筒状をなすと共に前記内枠の内部にフィルタ部材の略全長を収納し、前記内枠に収納されたフィルタ部材は、前記内枠の後端部においてフィルタ押え部材で支持され、前記外枠の略逆L状部の背面全域に配置した気密用のパッキンと前記パッキンを貫通して設けた複数のネジ杆用の穴と前記ネジ穴から前記吸気口側にねじ込まれるネジ杆によって、前記外枠の背面において前記吸気口の壁面に気密に取付けられる請求項1記載のフィルタユニット。
【請求項3】
上側部分の側断面形状が略逆L状で正面形状が略矩形環状をなす略フランジ状の外枠と、該外枠の垂直な内周辺の裏面に
上側部分の側断面略L状の前端部が気密に接合され後端側が当該外枠の背面後方へ延出された短い略角筒状をなす内枠と、フィルタフレームに略側面全域がカバーされたフィルタ部材であって前記内枠の内部に長さ方向の一部が保持されるフィルタ部材と、前記フィルタフレームを前記内枠に結合させる当該フィルタフレームの支持部材と、前記外枠の略逆L状部の背面全域に配置した気密用のパッキンと、前記パッキンを通して設けた複数のネジ杆用の穴と、前記穴からねじ込まれるネジ杆によって、前記外枠の背面において前記吸気口の壁面に気密に取付けられることを特徴とする
請求項1に記載のフィルタユニット。
【請求項4】
請求項2又は3のフィルタユニットは、前記吸気口の壁面から突出して設けられた前記ネジ杆用の穴と対応する底付ネジ穴を有するフィルタユニット装着部に前記外枠のパッキンにおいて嵌め、前記各ネジ杆用の穴から前記ネジ穴にネジ杆を夫々に螺挿し、各ネジ杆を緊締することにより前記吸気口に気密に取付け、前記各ネジ杆を弛緩することによって前記吸気口から取り外すようにしたフィルタユニット。
【請求項5】
フィルタユニットは、前記外枠の内周側縁に嵌める封し板を備え、これにより、使用後に吸気口の壁面から取り外すとき汚染物質の飛散を防ぐようにした請求項1~4のいずれかに記載したフィルタユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人体や環境に有害または有害性が懸念される物質を取扱う医薬品や化粧品の製造工場や研究施設のクリーンルーム、或はバイオハザード対策や放射性物質対策などの隔離を目的に設置されているハザード対策ルームやハザード対策用キャビネット、ドラフトチャンバー等の空間で使用される当該空間内の空気を清浄化してその空間内へ再循環したり、或は外部へ排出するエアフィルタを備えた装置(以下、空気清浄化装置という)に交換可能に装着されているフィルタユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
空気清浄化装置は、例えばハザード対策ルームやドラフトチャンバー等の機器内の空気を清浄化するための装置として、従来から種々の産業分野において用いられている。
公知空気清浄化装置の一例として、縦長の略直方体状をなす壁面構造体による筺体と、該筺体の前面壁下部に開口形成した吸気口と、前記筺体の上面壁に形成した排気口と、前記吸気口の上方の当該筐体の高さ方向中間部位であってこの筺体内部を横断する姿勢で架台上に着脱自在に設置されたユニット化したHEPAフィルタ(High Efficiency Particulate Air Filter、以下、フィルタユニットという。)と、該フィルタユニットの上方で前記筺体の前面壁に設けた蓋付のフィルタ交換口とを備えて形成されたものがある。なお、前記フィルタユニットに代えてユニット化したULPAフィルタ(Ultra Low Penetration Air Filter、以下、前記フィルタユニットに含まれるものとする。)を使用した空気清浄化装置もある。
【0003】
従来の空気清浄化装置では、前面壁の下部に吸気口を形成し、該筺体内部における前記吸気口の上方に、フィルタユニットを水平に支持するための架台を設け、該架台に前記フィルタユニットを水平姿勢で設置する構造であるため、次のような問題が指摘されている。
【0004】
前記フィルタユニットは水平姿勢で筺体内部に配置されるため、当該筺体は、少なくとも前記フィルタユニットの水平姿勢での前後幅が収まる奥行き量を有することを必要とする。即ち、所要面積の空気ろ過面を有するフィルタユニットは、水平姿勢においては、前記ろ過面積に見合った前後幅(奥行き量)があるため、前記筺体の前後幅(奥行き量)を大きくせざるを得ず、これがハザード対策ルーム全体の空気清浄化装置を含む排気ユニットの設備空間を、特に装置の奥行方向において大きくしなければならない要因となり、当該ハザード対策ルーム内のスペースを狭くしてしまうという点である。
【0005】
また、従来の空気清浄化装置では、筺体の前面壁の下部に吸気口が設置されているため、該吸気口から筺体内に水平に設置されているフィルタユニットの空気ろ過面(1次側)までの筐体内部が、当該空気清浄化装置における汚染エリアとなる。そして前記フィルタユニットの交換に際しては、前記フィルタユニットの空気ろ過面(1次側)を含む汚染エリアに付着している有害物質の飛散を防ぐために、フィルタユニット交換に先立ち前記汚染エリアを水や薬品などで洗浄しているが、洗浄する部位が前記吸気口より下流の筺体内部であることにより、洗浄状況が目視で確認し難いこと、並びに前記吸気口から前記フィルタユニットの空気ろ過面を含む筺体内部は目視確認が行い難いことと相俟って洗浄作業も行い難いという問題がある。
【0006】
さらに、従来の空気清浄化装置では、フィルタユニットが筺体内部に水平姿勢で設置される形態であるため、当該フィルタユニットの交換や点検などのために、蓋付のフィルタ交換口を前記フィルタユニットの設置高さより上方の筐体の前面壁に設けることを不可欠としている。
【0007】
本発明の発明者らは、従来の空気清浄化装置における上記問題点を悉く解消した新規な空気清浄化装置を特許出願によって提案している。即ち、提案した空気清浄化装置は、当該空気清浄化装置の本体となる壁面構造の筺体と、該筺体の前面壁に形成した吸気口と、該吸気口の前面にその吸気口を塞ぐように縦向き正面姿勢で着脱自在に装着したフィルタユニットと、前記筺体の上面壁に設けた外部送風機にダクトを介して接続される排気口とを備えて構成されたものである。
【0008】
提案した空気清浄化装置では、前記筺体の前面壁の縦横の大きさを、前記フィルタユニットが縦向き正面形状の姿(正立姿勢)で収まる大きさに形成しておけば、当該筐体の前後幅を、正立した前記フィルタユニットの縦幅(上下幅)より小さい奥行き量(前後幅)に形成できる利点がある。
【0009】
以上のように、提案した空気清浄化装置は、本体となる筺体と、該筺体の前面(壁)に設けた吸気口と、該吸気口の前面にその吸気口を塞ぐように縦向き正面姿勢で着脱自在に配置したフィルタユニットと、前記筺体の上面(壁)に設けた外部送風機にダクトを介して接続される排気口とを備えて形成したから、筺体の前後幅(奥行き量)を小さくでき、ハザード対策ルームの排気設備の設置空間の大きさを、前記筐体の奥行方向に関して抑えることができるという効果が得られた。
【0010】
また、フィルタユニットを筺体前面に縦向きの正立姿勢で着脱自在に設けたから、筺体内部が汚染エリアにならず筺体内部の水洗等の掃除が不要であり、さらに、フィルタユニットが筺体の前面壁に縦向き正立姿勢で配置されるから、フィルタユニットのメンテナンス、フィルタユニット交換、必要な場合の水洗等の各作業がいずれも筺体の外部領域で実行でき、作業精度の向上や作業効率を高める効果もある。
【0011】
ここで、提案した上記空気清浄化装置で使用されているフィルタユニットは、筐体の前面壁に設けた吸気口に、正立姿勢で当該吸気口の前面から気密に装着できる必要があり、かつ、フィルタユニットの交換においては、容易に前記吸気口において着脱できることが必要である。
因みに、下記の特許文献1~3に記載された従来の空気清浄化装置は、そのフィルタユニットが筐体内部に設けたフィルタ架台に水平姿勢で設けられているので、前記筐体の前面壁の吸気口にフィルタユニットを正立姿勢で気密に装着し、且つ着脱容易に装着することについては全く言及されていない。
特許文献4にはフィルタユニットを縦向き(正立姿勢)で設置する例が記載されているが、このフィルタユニットは、フィルタ部材のフィルタユニットへの装着を容易にする手段ついては特に触れられていなかった。。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【文献】特開2016-10793号公報
【文献】特開2016-10795号公報
【文献】特許第4627310号公報
【文献】特許第5554553号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
そこで本発明は、ハザード対策ルームやハザート対策キャビネット等の室内或は空間内の空気をフィルタユニットでろ過して清浄化した空気を内部に再循環したり、外部に排気するようにしたエアフィルタを備える装置、すなわち空気清浄化装置における前記フィルタユニットを、当該空気清浄化装置に形成した吸気口に正立姿勢で気密に装着でき、且つ当該フィルタユニット交換のための着脱操作も容易であると共に、市販のフィルタ部材を容易に装着できるように形成したフィルタユニットを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決することを目的としてなされた本発明フィルタユニットの第一の構成は、
空気清浄化装置の吸気口の壁面に着脱可能に取り付けられるフィルタユニットであり、空気清浄化装置の吸気口の壁面に対して気密に取り付けられる正面形状が略矩形環状をなす略フランジ状の外枠と、該外枠の裏面に垂直で背面後方へ延出され、少なくともフィルタ部材より長い略角筒状をなす内枠と、当該内枠の内部に全長が収納保持されるフィルタ部材と、前記内枠が保持したフィルタ部材を当該内枠の後端部において支持するフィルタ押え部材とを備えたことを特徴とする。
【0015】
前記フィルタユニットにおいて、略フランジ状の外枠は、側断面形状が略逆L状で正面形状が略矩形環状をなし、略角筒状をなす内枠は、該外枠の垂直辺の裏面に側断面略L状の前端部が気密に接合され後端側が当該外枠の背面後方へ延出された略角筒状をなすと共に前記内枠の内部にフィルタ部材の略全長を収納し、前記内枠に収納されたフィルタ部材は、前記内枠の後端部においてフィルタ押え部材で支持され、前記外枠の略逆L状部の背面全域に配置した気密用のパッキンと前記パッキンを貫通して設けた複数のネジ杆用の穴と前記ネジ穴から前記吸気口側にねじ込まれるネジ杆によって、前記外枠の背面において前記吸気口の壁面に気密に取付けられる。
なお、Lの字は、水平線部分と垂直線部分からなり、垂直部分の最下部から右方向に水平部分がある。本発明においては、フィルタユニット正面の中央縦断面を右側から見た上側部分の形状(側断面形状)をもって略L状と略逆L状を区別する。下側部分の側断面形状は上側部分の形状とは対称形状になる。そこで、略L状とは、垂直部分の最下部から右方向に水平部分がある形状をいう。また、略逆L状とは、垂直部分の最上部から右方向に水平部分がある形状のことを意味する。
【0016】
本発明において、上記課題を解決できる本発明フィルタユニットの第二の構成は、側断面形状が略逆L状で正面形状が略矩形環状をなす略フランジ状の外枠と、該外枠の垂直辺の裏面に側断面略L状の前端部が気密に接合され後端側が当該外枠の背面後方へ延出された短い略角筒状をなす内枠と、フィルタフレームに略側面全域がカバーされたフィルタ部材であって前記内枠の内部に長さ方向の一部が保持されるフィルタ部材と、前記フィルタフレームを前記内枠に結合させる当該フィルタフレームの支持部材と、前記外枠の略逆L状部の背面全域に配置した気密用のパッキンと、前記パッキンを通して設けた複数のネジ杆用の穴と、前記穴からねじ込まれるネジ杆によって、前記外枠の背面において前記吸気口の壁面に気密に取付けられることを特徴とする。
【0017】
上記第一の構成、及び第二の構成の本発明フィルタユニットは、前記吸気口の壁面から突出して設けられた前記ネジ杆用の穴と対応する底付ネジ穴を有するフィルタユニット装着部に前記外枠のパッキンにおいて嵌め、前記各ネジ杆用の穴から前記ネジ穴にネジ杆を夫々に螺挿し、各ネジ杆を緊締することにより前記吸気口に気密に取付け、前記各ネジ杆を弛緩することによって前記吸気口から取り外すことができるから、着脱を迅速かつ容易に行うことができる。
【0018】
前記フィルタユニットを使用後に吸気口の壁面から取り外すときには、汚染物質の飛散を防ぐため、前記外枠の内周側縁に封し板を嵌めてから前記ネジ杆を緩める。こうするとフィルタユニットの交換時に使用済みフィルタユニットからの汚染物質の飛散を未然に防止できる。封し板を嵌める前に、ろ過面に水や糊を塗布することがある。
【0019】
前記フィルタユニットは外枠と内枠により形成するが、正面視略正方形状と略長方形状に形成されたものがある。前記外枠のネジ杆取付用の穴を外周上の各辺に等ピッチで設けたものが好ましい。こうすると正方形状のフィルタユニットは、吸気口への取付け時に全方向に方向性がなく、長方形のフィルタユニットでは、上下又は左右に関し方向性がないから装着作業が楽になる。
【0020】
前記内枠の略角筒状部が、その中に収納されるフィルタ部材の外側面全域をカバーできる長さに形成されていると、この内枠に収装されるフィルタ部材の側面全域が当該内枠にカバーされるからフィルタユニットの運搬、保管、装着時等にフィルタ部材の側面を傷めにくくなる。前記内枠に収納されたフィルタ部材の後端部は、側断面略L状で当該内枠の略角筒状部内に密に入る押え枠によってこの内枠の後端部で支持される。
【0021】
前記フィルタ部材は、複数メーカー製のものが市販されているが、形態(大きさ、形状)に微妙な差異があり、またフィルタ部材のカバー態様も異なる。市販品の中で側面全域が金属材等のフィルタフレームでカバーされているタイプのフィルタ部材に対しては、前記内枠の前後長さは、フィルタ部材側面の全長(前後長さの全部)をカバーしない長さのものであってもよい。
【0022】
前記吸引口の外周に沿って形成されるフィルタユニット装着部は、吸引口が設けられた壁(立壁)の前面から側断面横向き略凸状に突出した枠部に形成し、該枠部に前面から底付ネジ孔を設けて形成する。底付ネジ孔は当該ネジ穴を壁の内側に通じさせないためであり、内側にネジ穴が貫通するとその部の気密シールが必要となるので、これを避けるためである。
【発明の効果】
【0023】
本発明は、空気清浄化装置の吸気口の壁面に着脱可能に取り付けられるフィルタユニットであり、空気清浄化装置の吸気口の壁面に対して気密に取り付けられる正面形状が略矩形環状をなす略フランジ状の外枠と、該外枠の裏面に垂直で背面後方へ延出され、少なくともフィルタ部材より長い略角筒状をなす内枠と、当該内枠の内部に全長が収納保持されるフィルタ部材と、前記内枠が保持したフィルタ部材を当該内枠の後端部において支持するフィルタ押え部材とを備えてフィルタユニットに形成したから、前記内枠の内部にフィルタ部材を挿入して後端部をフィルタ押え部材により支持することで、フィルタ部材をフィルタユニットに簡単に装着することができると共に、フィルタ部材、特にろ過材は前記内枠にて保護されるため損傷を受けるリスクがない。
特に、側断面形状が略逆L状で正面形状が略矩形環状をなす略フランジ状の外枠と、該外枠の垂直辺の裏面に側断面略L状の前端部が気密に接合され後端側が当該外枠の背面後方へ延出された略角筒状をなす内枠と、前記内枠の内部に略全長を保持させるフィルタ部材と、前記内枠が保持したフィルタ部材を当該内枠の後端部において支持するフィルタ押え部材と、前記外枠の略逆L状部の背面全域に配置した気密用のパッキンと、前記外枠の全周上に前記パッキンを通して設けた複数のネジ杆用の穴とを備えてフィルタユニットに形成したから、そのフィルタユニットの空気清浄化装置への装着は、当該装置の立壁に形成した吸気口の外周に沿って突出して設けた前記ネジ杆用の穴と対応するネジ孔を有するフィルタユニット装着部に、前記パッキンにおいて当該フィルタユニットを嵌め、前記各ネジ杆用の穴から前記ネジ孔にネジ杆を夫々に螺挿し各ネジ杆を緊締することにより前記吸気口に気密に装着し、前記緊締したネジ杆を緩めて前記吸気口に気密に装着した前記フィルタユニットを当該吸気口から取り外すから、フィルタユニットの着脱を至って容易、簡便に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図3】
図1のフィルタユニットの中央縦断拡大右側面図。
【
図11】
図1~
図5の本発明フィルタユニットを装着した空気清浄化装置の一例の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
次に、本発明フィルタユニットの実施の形態例について図を参照して説明する。
図1~
図5に例示したフィルタユニット1において、11は、外周縁部が後方へ向けて水平に略90度曲げられた側断面略逆L状の折縁部11aを有する、正面から視て矩形のフランジ状をなす外枠、12は前記外枠11の垂直な内周辺11bの裏面から当該外枠1の背面に向けて延出するように配置された短い略角筒状の内枠で、該内枠12における先端側は前記内周辺11bの裏面に面接合するため側断面略L状に立ち上がった垂直な接合面12aを備えている。
【0026】
正面から視て略矩形の短い角筒状をなす内枠12の内部には、一例としてHEPAフィルタによるフィルタ部材13が装填されている。フィルタ部材13は、前記角筒状の内枠12の内部に丁度収まる大きさの筒状のフィルタフレーム13aの内部に、グラスファイバ材などを主体とするろ過材13bが収装された形態のものである。このフィルタ部材13は、前記角筒状の内枠12の後端側から該内枠12の内部に収挿され、該フィルタ部材13の先端部が前記外枠11の内周縁11bの背面に当接するまで押し込まれて装填されている。
【0027】
フィルタユニット1において、外枠11とその折縁部11aがなす断面略逆L状部の裏面には、弾性のある樹脂発泡体などによる気密用のパッキン14が設けられている。そして、前記外枠11の全周上には、前記パッキン14を貫通するビス取付け用の穴15(ネジ穴15ともいう)が略等ピッチで設けられている。
【0028】
上記のようにして外枠11と内枠12に保持されたフィルタ部材13は、その背面が、内枠12の後端内面に装填される側断面が略L状でリング状の押え部材16により押えられ支持されている。側断面略L状の押え部材16は、内枠12と平行な部位がビス等の止め具16aによって当該内枠12に固定されることにより、フィルタ部材13の全体を内枠12の内部に収納状態で保持する(
図3、
図5参照)。 フィルタ部材13は、メーカーによって微妙に形態が異なるが、内枠12は、メーカー違いによる微妙な形態差があるフィルタ部材13をすべて収納できるように形成されている。
【0029】
上記のようにしてフィルタ部材13は、外枠11と内枠12により収納された状態で、リング状の押え部材16によって前記内枠12に保持され、一例として
図11~
図13に例示する空気清浄化装置ACの本体をなす筺体2の前面壁20に形成された吸気口3に着脱自在に装着されるので、以下にこの点について、
図11~
図13を参照して説明する。
【0030】
図11~
図13において、空気清浄化装置ACの筺体2の立壁である前面壁20の略中心域には、前記フィルタユニット1における内枠12を、余裕をもって挿入できるが、外枠11は挿入できない口径(大きさ)の吸気口3が形成されている。
【0031】
前記筺体2は、一例としてステンレス鋼板等の金属板による前面壁20、後面壁21、左右の側面壁22,23、及び上,下面壁24,25により、正面視の左右幅の大きさに比べ前後幅(奥行量)が小さい箱状に形成されたものである。26は筺体2の下部に配設した基台である。
前記筐体2の上面壁24には排気口4が形成され、また該上面壁24の排気口4の前面には、後述する差圧計ボックス5が配置されており、更に前面壁20のフィルタユニット1の上方には、フィルタユニット1を通過したろ過すべき物質を検出するためのフィルタ測定ノズルFnが設けられている。
前記吸気口3には、先に
図1~
図5により説明した本発明フィルタユニット1が着脱自在で且つ気密に装着されるので、以下に説明する。
【0032】
前記吸気口3の外周上には、前面壁20の前面から断面略凸状に突出させた、前記フィルタユニット1における外枠11の折縁部11aに設けた大略断面略L状のパッキン14に係合するフィルタ支持枠31(以下、支持枠31)が設けられている。この支持枠31の前面には、前記フィルタユニット1における外枠11の前面に設けた複数のネジ穴15に対応する各位置に、底付のネジ穴32が設けられている。ネジ穴32を底付としたのは当該ネジ穴32が筐体2の内部に通じるのを防ぐためである。
【0033】
前記支持枠31に対し、まず該支持枠31の前面から前記フィルタユニット1が、その外枠11の裏面のパッキン14において係合される。次いで外枠11に設けた各ネジ穴15からビス等のネジ杆15aが前記支持枠31のネジ穴32に夫々にネジ込まれて締め込まれることにより、前記支持枠31に係合されている前記フィルタユニット1が当該支持枠31に固定されて吸気口3に着脱自在で気密に装着されることになる。
【0034】
上記フィルタユニット1の第一例は、正面視略正方形状の外枠11と該外枠11の正面形状に沿った断面形状で略角筒状の内枠12によって形成したが、本発明フィルタユニット1には、
図6~
図10に示す第二例のフィルタユニット1もある。
【0035】
図6~
図10に示した本発明第二例のフィルタユニット1は、
図1~
図5に示した第一例のフィルタユニット1と、外枠11と内枠12の正面形状、及び該内枠12の側面(又は平面)から見た形状において、差異がある。即ち、第二例のフィルタユニット1は、正面形状が長方形(外枠11が長方形)であり、内枠12の長さが第一例のものより短い。しかし、外枠11と内枠12によるフィルタ部材13を収納する構造、機能、作用は、第一例のものと略同じである。なお、
図6~
図10に示した本発明フィルタユニット1において、第一例のフィルタユニットと同じ部材、部位には同じ符号を用いている。
【0036】
第二例のフィルタユニット1においては、内枠12の長さ(前後幅)が、フィルタ部材13の厚み(前後方向の幅)より小さい(図の例では略1/2程度の短さ)。短かくてもよい理由は、フィルタ本体13の外周面の略全域が丈夫な金属製等のフィルタフレーム13aによりカバーされているから、フィルタ部材13の全部が内枠12の内部に収まらなくても問題ないからである。第二例のフィルタ部材13はそのフレーム13aにおいて支持部材たるビス13cにより内枠12に止められ、内枠12と結合されている。
【0037】
以上のように、本発明フィルタユニット1の第一例では、フィルタ部材13を、その全体を前記内枠12の内部に収納しフィルタ押え部材16で内枠12の内部に保持するから、フィルタ部材にそのメーカーにより微妙な形態差があっても、容易に着脱保持することができ、その上、フィルタユニット1の取付け等においてフィルタ部材13(ろ過材13b)の損傷リスクを回避することができる。
更に、側断面形状が略逆L状で正面形状が略矩形環状をなす略フランジ状の外枠11と、該外枠11の垂直辺の裏面に側断面略L状の前端部が気密に接合され後端側が当該外枠11の背面後方へ延出された略角筒状をなす内枠12と、前記内枠12の内部に略全長を保持させるフィルタ部材13と、前記内枠12が保持したフィルタ部材13を当該内枠12の後端部において支持するフィルタ押え部材16と、前記外枠11の略逆L状部の背面全域に配置した気密用のパッキン14と、前記外枠11の全周上に前記パッキン14を通して設けた複数のネジ杆用の穴15とを備えて形成したから、例えば空気清浄化装置ACの前面に設けた吸気口3に前記ネジ杆15aを締結するだけで気密に装着することができ、ろ過面を封し板で塞ぎ前記ネジ杆15aを緩めて外すだけでフィルタユニット1を容易かつ迅速に取り外すことができる。
【0038】
上記で用いた空気清浄化装置ACでは、従来装置と同様にフィルタユニット1についてその性能の変化を測定し、フィルタ性能を検査するための差圧計Dmが設けられるが、上記例の装置ACでは、差圧計Dmを、従来技術のように筺体2の前面壁20に設置するのではなく、筺体2とは別体の密閉容器として形成した差圧計ボックス5に配置している。
【0039】
筺体2とは別体の差圧計ボックス5を設けるのは、差圧計Dmに導入するフィルタユニット1に入る前の一次側空気(室内の汚染空気)が、筺体2内部の二次側に漏れた場合、フィルタユニット1で清浄化された空気が再汚染されるのを防ぐためである。
【0040】
さらに、上記の空気清浄化装置ACでは、より好適には筺体2の前面壁20の高さを、縦向きのフィルタユニット1の高さ(上下幅)の略2倍よりも大きい高さに形成し、該筺体2の前面壁20下半部に前記フィルタユニット1が縦向き正面姿勢で装着される吸気口を3形成すると共に、当該筐体2の前面壁20上半部に前記フィルタユニット1を点検するための蓋付の点検口(図示せず)を設けた筺体を用いたものもある。
【0041】
本発明は以上の通りであるから、各産業分野で使用されているハザード対策ルームやドラフトチャンバー等における当該空間内空気を清浄化するための例えば空気清浄化装置において、吸気口を設けた立壁に正立姿勢で気密に取付けることができると共にその着脱やフィルタ部材そのものの装着も極めて容易にできる一方、取付けや交換等の取扱いにおいてフィルタ部材の損傷を回避できるように形成したフィルタユニットとして、きわめて有用である。
【符号の説明】
【0042】
AC 空気清浄化装置
1 本発明フィルタユニット
11 外枠
12 内枠
13 フィルタ部材
14 パッキン
15 ネジ穴
15a ネジ杆
16 押え部材
2 筺体
20 前面壁(立壁)
21 背面壁
22,23 側面壁
24 上面壁
25 底面壁
26 基台
3 吸気口
31 フィルタユニットの支持枠
32 支持枠の31のネジ穴
4 排気口
5 差圧計ボックス