(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-13
(45)【発行日】2022-02-04
(54)【発明の名称】照明器具
(51)【国際特許分類】
F21S 2/00 20160101AFI20220128BHJP
F21V 3/00 20150101ALI20220128BHJP
F21V 7/09 20060101ALI20220128BHJP
F21V 9/30 20180101ALI20220128BHJP
F21Y 103/10 20160101ALN20220128BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20220128BHJP
【FI】
F21S2/00 350
F21V3/00 320
F21V7/09 200
F21V9/30
F21Y103:10
F21Y115:10 300
(21)【出願番号】P 2017160984
(22)【出願日】2017-08-24
【審査請求日】2020-06-05
(31)【優先権主張番号】P 2016234696
(32)【優先日】2016-12-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 販売した場所 中愛株式会社 東京営業所 公開者名 株式会社アイ・ライティング・システム 販売年月日 平成29年5月11日 〔刊行物等〕 販売した場所 斉田電機産業株式会社 北営業所 公開者名 株式会社アイ・ライティング・システム 販売年月日 平成29年5月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000126274
【氏名又は名称】株式会社アイ・ライティング・システム
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】特許業務法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三上 貴裕
(72)【発明者】
【氏名】神尾 忠宏
(72)【発明者】
【氏名】川田 浩貴
【審査官】大橋 俊之
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-050060(JP,A)
【文献】特開2016-051529(JP,A)
【文献】特開2014-170688(JP,A)
【文献】特許第4915581(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 2/00
F21V 3/00
F21V 7/09
F21V 9/30
F21Y 103/10
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被照射面に一端部側から斜めに光を照射する照明器具であって、
前面に出射開口を有する器具本体と、
前記器具本体の底部に配置された発光素子と、
前記発光素子からの光を
前記被照射面に向けて反射させる反射鏡とを有し、
前記反射鏡の開口部の一部のみを覆う拡散透過部材を備え、
前記拡散透過部材は、
前記反射鏡の開口部における前記被照射面に近い側を覆い、前記被照射面の一端部側に向かう光を拡散させ
る
ことを特徴とする照明器具。
【請求項2】
前記拡散透過部材は、前記反射鏡の開口部の20~50%の面積を有していることを特徴とする請求項
1に記載の照明器具。
【請求項3】
前記器具本体は、
前記被照射面から1m以内の出幅の位置に設置されていることを特徴とする請求項
1または2に記載の照明器具。
【請求項4】
前記発光素子は、前記被照射面の幅方向に沿って複数並べて設けられ、
前記反射鏡は、複数の前記発光素子の周囲を囲み、発光素子毎に仕切られた反射面を備えていることを特徴とする請求項
1乃至3の何れかに記載の照明器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LED等の発光素子を光源として備える照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、LED等の発光素子を光源として用いて、看板などの平面的な照射面を照射する照明器具が知られている(例えば、特許文献1参照)。このような照明器具は、照射面の一端部に配置されて、照射面に対して照射光を照射することにより、照射面の一端部から遠端部まで照明するように構成されている。このような照射面の一端部に配置されて、照射面に対して照射光を照射する照明器具では、照射面上の略全域にわたる領域を略均一に照射する必要がある。そのため、特許文献1記載の照明器具では、照射面の遠端部に光度最大点を有し一端部に向かって徐々に光度が減衰する配光特性を有する複合レンズを用いて光を制御している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
照射面の一端部に配置されて、平面的な照射面を照射する照明器具では、従来のように複合レンズを用いて照射面上の略全域にわたる領域を略均一に照射することができるが、レンズの設計及び製造にコストがかさみ、レンズと光源との位置合わせ等の作業も要していた。また、発光素子の出力の違いや、被照射面の大きさの違いに応じて、レンズを設計しなければならなかった。そこで、簡単な構成で被照射面の全体を照度ムラなく照明することができる照明器具に対する要望があった。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、簡単な構成で被照射面の全体を照度ムラなく照明することができる照明器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した目的を達成するために、本発明は、被照射面に一端部側から斜めに光を照射する照明器具であって、前面に出射開口を有する器具本体と、前記器具本体の底部に配置された発光素子と、前記発光素子からの光を前記被照射面に向けて反射させる反射鏡とを有し、前記反射鏡の開口部の一部のみを覆う拡散透過部材を備え、前記拡散透過部材は、前記反射鏡の開口部における前記被照射面に近い側を覆い、前記被照射面の一端部側に向かう光を拡散させることを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、上記照明器具において、前記拡散透過部材は、前記反射鏡の開口部の20~50%の面積を有していることを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、上記照明器具において、前記器具本体は、前記被照射面から1m以内の出幅の位置に設置されていることを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、上記照明器具において、前記発光素子は、前記被照射面の幅方向に沿って複数並べて設けられ、前記反射鏡は、複数の前記発光素子の周囲を囲み、発光素子毎に仕切られた反射面を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、被照射面に一端部側から斜めに光を照射する照明器具であって、被照射面の一端部側に向かう光を拡散させる拡散透過部材を備えているため、照明器具が取り付けられた一端部側に向かう光を拡散透過部材で拡散して照度を低下させ、被照射面全体を均一に照明することができ、簡単な構成で被照射面の全体を照度ムラなく照明することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】第1実施形態の照明器具の設置状態を模式的に示す図である。
【
図4】照明器具の内部構成を示す図であり、
図3のB-B断面図である。
【
図5】照明器具の内部構成を示す図であり、
図3のA-A断面図である。
【
図6】拡散カバー無しの照明器具の照射範囲における照度分布を示す図である。
【
図7】拡散カバー有の照明器具の照射範囲における照度分布を示す図である。
【
図8】第1実施形態の照明器具による照射状態を模式的に示す図である。
【
図9】第2実施形態に係る照明器具の正面図である。
【
図10】第2実施形態に係る拡散カバーの構成を示す図であり、(a)は拡散カバーの上面図であり、(b)は拡散カバーの正面図である。
【
図11】第2実施形態に係る拡散カバーの変形例を示す図であり、(a)は凸部を含む拡散カバーを示す図であり、(b)は凹部を含む拡散カバーを示す図であり、(c)は矩形波状の拡散カバーを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<第1実施形態>
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は、第1実施形態に係る照明器具1の設置状態を示す図である。
図1に示すように、照明器具1は、平面状の被照射面100を照明するために用いることができる所謂投光器であり、例えば看板用照明として用いることができる。照明器具1は、被照射面100の一端部101側から斜めに光を照射面に向けて照射するように設置されている。また、照明器具1は、被照射面100から器具先端102までの出幅W1が、例えば略0.5mという出幅を取らない取付状態で取り付けられているのが望ましい。なお、本実施形態の照明器具1は、被照射面100からの出幅W1を1m以内に設定して設置して好適に用いることができる。また、図示は省略するが、照明器具1は、被照射面100の一端部101に、互いに所定間隔で複数並べて設けられて、横に幅広の被照射面を照明する構成とすることもできる。
【0015】
図2は第1実施形態に係る照明器具1の斜視図である。
図3は、照明器具1を出射面側から見た平面図である。
図4、
図5は照明器具1の断面図であり、
図4は
図3のB-B断面図、
図5は
図3のA-A断面図である。
図2~
図5に示すように、照明器具1は、器具本体10を備え、器具本体10を挟むように設けられた取付アーム25によって、所定の取り付け箇所に回動可能に取り付けられる。
【0016】
器具本体10は、一方の面が開口する有底の矩形箱状の筐体11と、この筐体11の内部に設けられる発光素子12と、を備えている。発光素子12は、例えばLEDチップをLED基板の上に密集配置して面状の発光部を形成した高出力LEDである。発光素子12には、チップオンボード(COB)型のLEDを好適に用いることができる。本実施形態の発光素子12は、筐体11の長手方向に横長の矩形の発光面12Aを有している。
【0017】
筐体11の底部11Bには、発光素子12が、筐体11の長手方向に沿って、複数(本実施形態では2つ)並べて配置されている。さらに、筐体11の内部には、発光素子12の配光を制御する反射鏡14が収められている。発光素子12は、反射鏡14の底部13に配置され、発光面12Aを反射鏡14の底部開口13Aに臨ませて配置されている。また、筐体11の内部には、筐体11の底面20と、筐体11の前面開口11Aとの間に、底面20と略平行に遮蔽板39が設けられる。遮蔽板39は、筐体11内部の構造が後述する前面カバー40(光透過性カバー)を介して外部から見えないようにするために設けられている。遮蔽板39には、反射鏡14が挿入される適宜の大きさの孔39Aが設けられている。また、遮蔽板39には、反射鏡14の一対の固定脚14Aの先端に設けられた爪部14Bが係止される係止孔39Bが形成されている。
【0018】
筐体11は、熱伝導性に優れた材料から形成され、例えばアルミダイキャスト製とすることができる。また、筐体11には、発光素子12が取り付けられる光源取付部21が筐体11の底面20に一体に形成されている。筐体11の背面には、発光素子12からの発熱を放熱する複数の放熱フィン(不図示)が設けられている。発光素子12からの熱は、光源取付部21に伝熱され、さらに光源取付部21から底面20を介して放熱フィンに伝熱されて外部に放熱される。また、筐体11の背面30には、不図示の放熱フィンの周囲を囲む背面ガード50が取り付けられている。
【0019】
背面ガード50は、樹脂製とすることができ、筐体11の背面に備えられた構造物を保護するとともに、放熱フィンや筐体11の背面30の充電部への手指の接触を防ぐ機能を有している。また、背面ガード50には、複数のスリット51が設けられている。スリット51は、このスリット51を介して背面ガード50の内側に指が入り込まないサイズに形成されている。また、このスリット51を介して放熱フィンの熱が背面ガード50の外部に放熱されように構成されている。なお、放熱性が十分であるなどの場合には、放熱フィンを形成しなくても良い。
【0020】
筐体11は、前面開口11Aが前面カバー40で覆われている。前面カバー40は、ガラス等の光透過性部材から形成され、枠状のカバー押さえ41によって筐体11の外側方向から筐体11に対して押さえられ固定されている。カバー押さえ41は、樹脂材から形成され、筐体11に接着やねじ止めなどで固定されている。筐体11の前面開口11Aは、前面カバー40及びカバー押さえ41によって水密に閉封されている。
【0021】
反射鏡14は、筐体11の長手方向に沿って複数並べて設けられた発光素子12の周囲を囲み、複数の発光素子12からの光を所望の方向に反射させる反射面15を備える。反射鏡14は、軽量化のために、ポリカーボネート等の樹脂材から形成され、内面に蒸着されたアルミニウムの薄膜によって反射面15が構成されている。反射鏡14は、前面開口11Aの長手の開口幅に亘る範囲に反射面15が形成された略矩形横長形状に形成されている。
【0022】
また、反射鏡14は、隣り合う発光素子12間に設けられ、反射面15を発光素子12毎に対応する第1反射面15Aと、第2反射面15Bとに仕切る仕切り板16を備えている。なお、本実施形態では、2つの発光素子12を長手方向に沿って並べているため、反射面15を2つの反射面15A,15Bに仕切る仕切り板16を備えた構成としている。ここで、筐体11の底面20に3つ以上の発光素子12が並べられている場合には、各発光素子12に対応付けて、反射面15を複数に仕切る複数の仕切り板16が設けられる。
【0023】
仕切り板16は、仕切り板16によって仕切られた隣合う発光素子12の一方からの光が、他方の反射面15Aまたは反射面15Bに入射することがないようにする機能を有する。また、仕切り板16は、反射面15A,15Bの一部を構成し、一方の発光素子12からの光が対応する一方の反射面15Aまたは反射面15Bによって効率よく反射されて被照射面100に照射されるように構成されている。この構成によれば、仕切り板16によって、発光素子12からの光が必要以上に横方向に広がって、被照射面の照射範囲を外れた漏れ光となるのを防ぐことができ、効率よく被照射面100を照明することができる。
【0024】
反射鏡14は、反射面15の長手の両端面15D,15Dが、
図4中に矢印で示したように、入射した光を反射させて、被照射面100の幅Wの側方部SPであって、各端面15D,15Dに対向する側の側方部SPを照明するように構成されている。
また、反射鏡14は、
図5に示すように、短手の両側面15E,15Fが互いに同じ反射特性を有する面に形成されている。反射鏡14は、発光素子12の光のうち光度の高い直射光成分が、被照射面100の一端部101側に向かわないよう、光を遮る機能を有している。
【0025】
反射鏡14には反射面15の出射開口17の一部を覆う透光性の拡散カバー18(拡散透過部材)が設けられている。拡散カバー18は、出射開口17から出射される発光素子12の光のうち、拡散カバー18を透過する光を拡散させる機能を有している。拡散カバー18は、反射鏡14の長手に亘る長さに形成されている。反射鏡14は、出射開口17の長手の両端部に、発光素子12の発光面と略平行な平面に形成された縁部19を備えている。縁部19は、反射鏡14の短手に亘って形成されている。拡散カバー18は、長手の両端が、反射鏡14の縁部19に接着されて固定されている。なお、拡散カバー18を縁部19にねじ止めしても良い。
【0026】
照明器具1は、筐体11の長手方向を、被照射面100の一端部101の辺に沿わせて取り付けられており、拡散カバー18は、被照射面100の一端部101に近い方の反射鏡14の端から出射開口17の所定の範囲を覆っている。
上述したように、照明器具1は、被照射面100を一端部101側から斜めに光を照射する。被照射面100に近い側から出射した光が、照明器具1の近傍を照らすこととなる。特に、本実施形態の照明器具1は、出幅を抑えて取り付けられている。このため、被照射面100において、照明器具1から近い部分では、照射距離が十分に確保できず、反射鏡14の出射開口17から出射された光によって直接、被照射面100の一端部101の近傍を照明した場合には、照度が極端に上がってしまう箇所が発生し、被照射面100全体に照度ムラが発生してしまう。
【0027】
照明器具1は、光度の高い発光素子12の直射光成分ができるだけ、照明器具1から遠方、特に、被照射面100の高さHの半分から下方に向かうように、出射角度を調整して取り付けられている。また、照明器具1には、発光素子12の光のうち直射光成分が、被照射面100の一端部101側に向かわないよう、光を遮る機能を有した反射鏡14が設けられている。つまり、照明器具1の照明範囲は、主に、被照射面100の高さHの半分から下方に設定されている。
【0028】
拡散カバー18は、発光素子12の直射光の一部と、反射鏡14の一端部101に近い短手の側面15Fで反射され、出射開口17から出射される光の一部と、を拡散させる機能を有している。拡散カバー18は、高い光透過率を有しながら光を拡散させる機能を有し、例えばポリカーボネート製とすることができる。拡散カバー18は、本実施形態では、厚さ略2mmのポリカーボネートの板材から形成され、高い全光線透過率、及び、拡散光線透過率を有している。また、拡散カバーは、平行光線透過率は低いものを用いるのが望ましい。
【0029】
被照射面100の高さHの半分から下方に向かう光の一部は、拡散カバー18を通って拡散されて、照明器具1が取り付けられた被照射面100の一端部101側に向けられるように構成されている。これにより、被照射面100の一端部101側には、拡散カバー18によって拡散された光度の低い光が照射される。
【0030】
図6、
図7は、6灯の照明器具1によって6m×8mの照射範囲を照らした際の照度分布を示す図であり、
図6は拡散カバー18が取り付けられていない場合の照度分布を示し、
図7は拡散カバー18が取り付けられている場合の照度分布を示している。
図6、
図7に示した照射範囲内は、拡散カバー18が取り付けられていない状態では、6m×8mの照射範囲内での最大照度は3826lxなのに対して、拡散カバー18を取り付けた際には、最大照度が2026lxとなった。また、6m×8mの照射範囲内での最小照度/最大照度は、拡散カバー18が取り付けられていない状態では0.005なのに対して、拡散カバー18を取り付けた際には、0.095となった。このように、反射鏡14の出射開口17の一部を覆う透光性の拡散カバー18を設けることで、照射範囲内での最大照度を低減して眩しさ(ハレーション)が低減される。また、6m×8mの照射範囲内での最小照度/最大照度が向上するため、照射範囲全体を均斉度良く照明することができる。
【0031】
これらの構成によれば、照明器具1を被照射面100からの出幅を抑えて取り付けても、被照射面100内で、照度が極端に上がってしまう箇所の発生を防ぎ、被照射面100全体を照度ムラ無く、均一な光で照射することができる。拡散カバー18は、例えば、出射開口17の20~50%の面積を覆っている構成とすることができる。なお、拡散カバー18の大きさを適宜に変更し、拡散カバー18で覆う出射開口17の範囲を変えることで、被照射面100内での照度分布を適宜に調整することができることは云うまでもない。
【0032】
以上説明したように、本実施形態によれば、被照射面100に一端部101側から斜めに光を照射する照明器具1であって、前面に前面開口11Aを有する器具本体10と、器具本体10の底部13に配置された発光素子12と、発光素子12からの光を被照射面100に向けて反射させる反射鏡14とを有し、被照射面100の一端部101側に向かう光を拡散させる拡散カバー18を備えた。
【0033】
この構成によれば、照明器具1が設けられた被照射面100の一端部101側に向かう光を拡散カバーで拡散させて、光度の低い光で被照射面100の一端部101側を照明することができる。よって、照明器具1が出幅を抑えて取り付けられ、照明器具1と被照射面100との間に十分な照射距離が無い場合でも、照度ムラが発生しないように被照射面100を照明することができる。また、照明器具1を出幅を抑えて取り付けても、被照射面100を均一に照明することができるため、照射距離が短縮することができる分、低光量で被照射面100を照明可能となり、消費電力の削減を図ることができる。
【0034】
また、本実施形態によれば、拡散カバー18が反射鏡14の出射開口17に設けられている。この構成によれば、反射鏡14の出射開口17から出射する光を、拡散カバー18で拡散させることができ、光の制御を容易に行うことができる。また、拡散カバー18を適宜の形状に形成して、出射開口17に設けるだけで良く、簡単な構成で、照度ムラが発生しないように被照射面100を照明することができる。
【0035】
また、本実施形態によれば、拡散カバー18が器具本体10の前面開口11Aを塞ぐ前面カバー40に一体に設けられている。この構成によれば、拡散カバー18が一体に設けられた前面カバー40で前面開口11Aを塞ぐだけで、簡単に照度ムラが発生しないように被照射面100を照明することができる。
【0036】
また、本実施形態によれば、拡散カバー18は、反射鏡14の出射開口17の20~50%の面積を有している。この構成によれば、拡散カバー18で覆う出射開口17の範囲を変えることで、被照射面100での照度分布の調整を行うことができる。
【0037】
また、本実施形態によれば、器具本体10は、被照射面100から1m以内の出幅の位置に設置されている。この構成によれば、照射距離を短縮して、低光量で被照射面100を照度ムラなく均一に照明可能となり、消費電力の削減を図ることができる。
【0038】
また、本実施形態によれば、発光素子12は、被照射面100の幅方向に沿って複数並べて設けられ、反射鏡14は、複数の発光素子12の周囲を囲み、発光素子12毎に仕切られた反射面15を備えている。この構成によれば、反射面15を発光素子12毎に仕切っているため、横方向への漏れ光を防止することができ、被照射面100を効率よく、且つ、漏れ光無く、照明することができる。
【0039】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態について説明する。なお、本実施形態において、第1実施形態と同一の部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0040】
図8は、第1実施形態の照明器具1による照射状態を模式的に示す図である。
照明器具1の照射において、
図8に示すように、被照射面100に、黄色味がかかった黄色領域112が発生することがあり、本実施形態では、黄色領域112の発生が抑えられる照明器具110を説明する。
【0041】
図9は、本実施形態に係る照明器具110の正面図である。
図10は、拡散カバー116の構成を示す図であり、
図10(a)は拡散カバー116の上面図であり、
図10(b)は拡散カバー116の正面図である。
照明器具110は、これらの図に示すように、第1実施形態の拡散カバー18と異なる形状の拡散カバー116を備えており、この拡散カバー116の拡散カバー縁部116Aが、
図10(b)に示すように、複数の凸部116A1及び凹部116A2を含む曲線の波形状に形成されている。
【0042】
複数の凸部116A1及び凹部116A2を含む波形状の拡散カバー縁部116Aを有した拡散カバー116を用いることで、発明者らは、照明器具110の照射において、黄色領域112の黄色味を抑えることができる、という知見を得ている。
【0043】
詳述すると、発光素子12には、青色光を放射するLEDチップを、シリコーン樹脂などの透明樹脂によって封止したものが用いられている。この透明樹脂の中には、LEDチップから放射された青色光によって励起されて黄色蛍光を放射する蛍光体が分散されている。発光素子12は、青色光と黄色蛍光とが混合することで白色光を得て、この白色光が発光面12Aから放射される。
第1実施形態の照明器具1では、この白色光の放射範囲、すなわち出射開口17に、
図3に示すように、拡散カバー18の直線状の拡散カバー縁部18Aが位置しており、この直線状の拡散カバー縁部18Aが黄色領域112の発生の要因となっていると推察される。
具体的には、発光素子12において、青色光の波長と黄色蛍光の波長とが異なるため、屈折が生じると青色光と黄色蛍光とに分離される。この屈折による分離が拡散カバー縁部18Aを白色光が通過するときに生じることで、黄色領域112が発生すると考えられる。
これに対し、本実施形態の拡散カバー116では、拡散カバー縁部116Aの波形状の凸部116A1及び凹部116A2により、当該拡散カバー縁部116Aから出射する光が散ることで、黄色領域112に向かう黄色蛍光が拡散され、黄色領域112が目立たなくなると考えられる。
【0044】
このように、本実施形態によれば、拡散カバー116の拡散カバー縁部116Aが、複数の凸部116A1及び凹部116A2を含むので、黄色領域112を目立たなくすることができる。
【0045】
図11は、本実施形態に係る拡散カバー116の変形例を示す図である。
拡散カバー116の拡散カバー縁部116Aは、少なくとも凸部116A1および凹部116A2のいずれかを含み、当該拡散カバー縁部116Aから出射する光を散らせる形状であれば、任意の形状の拡散カバー116を用いてもよい。
例えば、
図11(a)、及び
図11(b)に示すように、拡散カバー縁部116Aが、少なくとも凸部116A1および凹部116A2のいずれか1つを含む形状の拡散カバー117、118を用いてもよい。
また例えば、拡散カバー縁部116Aの凸部116A1および凹部116A2が曲線ではなく、
図11(c)に示すように、矩形状の拡散カバー119を用いてもよい。
【0046】
なお、第1実施形態及び第2実施形態は、あくまでも本発明の一態様を示すものであり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で任意に変形及び応用が可能である。
例えば、上述した各実施形態では、照明器具1、110は、箱状の筐体11を備える矩形形状である構成としたが、照明器具の形状は矩形に限らず、例えば円形状や多角形状に形成されていても良い。また、上述した各実施形態では、発光素子12は、矩形横長の発光面12Aを有するCOB型のLEDである構成としたが、これに限らず、SMD型のLEDや、LED素子を複数並べて構成されていても良い。また、各実施形態では、拡散カバー18、116、117、118、及び119は反射鏡14の出射開口17に設けられる板状の部材とした。しかし、これに限らず、拡散カバー18、116、117、118、及び119は、前面カバー40の一部に、前面カバー40と一体に形成されている構成であっても良い。
【符号の説明】
【0047】
1、110 照明器具
10 器具本体
11A 前面開口
12 発光素子
14 反射鏡
15 反射面
16 仕切り板
17 出射開口
18、116、117、118、119 拡散カバー(拡散透過部材)
18A、116A 拡散カバー縁部
40 前面カバー(光透過性カバー)
100 照射面
101 一端部