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特許6993144剥離検知ラベルおよび剥離検知ラベルの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-13
(45)【発行日】2022-01-13
(54)【発明の名称】剥離検知ラベルおよび剥離検知ラベルの製造方法
(51)【国際特許分類】
   G09F 3/03 20060101AFI20220105BHJP
   G09F 3/02 20060101ALI20220105BHJP
   G09F 3/10 20060101ALI20220105BHJP
【FI】
G09F3/03 E
G09F3/02 A
G09F3/10 A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2017173866
(22)【出願日】2017-09-11
(65)【公開番号】P2019049649
(43)【公開日】2019-03-28
【審査請求日】2020-06-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000110217
【氏名又は名称】トッパン・フォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】飯島 恵
(72)【発明者】
【氏名】重見 一臣
【審査官】金田 理香
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-178558(JP,A)
【文献】特開平10-063188(JP,A)
【文献】特開2006-053308(JP,A)
【文献】特開2003-345255(JP,A)
【文献】登録実用新案第3068860(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2011/0151204(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 3/00 - 3/20
B65D 23/00 - 25/56
C09J 1/00 - 5/10
9/00 - 201/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被着体に貼着された後に剥離された場合に背景パターン内に潜像パターンを発現させることで当該剥離を検知する剥離検知ラベルであって、
ベース基材と、
前記ベース基材の一方の面に前記背景パターンの形状に部分的に積層された透明な材料からなる第1の剥離層と、
前記ベース基材の前記第1の剥離層が積層された面の全面に前記第1の剥離層を覆って積層された有色貼着層と、
前記第1剥離層と同一の材料からなり、前記有色貼着層の前記ベース基材とは反対側の面に、前記第1の剥離層が部分的に積層された領域に対向して前記潜像パターンの形状に積層された第2の剥離層とを有する、剥離検知ラベル。
【請求項2】
請求項1に記載の剥離検知ラベルにおいて、
前記有色貼着層は、前記剥離検知ラベルが被着体に貼着された後に剥離された場合に、前記第1の剥離層に対向する領域が前記第1の剥離層から剥離して前記第1の剥離層との積層方向とは直交する方向に破断する、剥離検知ラベル。
【請求項3】
請求項1に記載の剥離検知ラベルにおいて、
前記有色貼着層は、前記剥離検知ラベルが被着体に貼着された後に剥離された場合に、前記第1の剥離層に対向する領域が前記第1の剥離層から剥離して前記被着体に残存する、剥離検知ラベル。
【請求項4】
請求項1に記載の剥離検知ラベルにおいて、
前記有色貼着層は、
前記ベース基材の前記第1の剥離層が積層された面の全面に前記第1の剥離層を覆って積層された有色クッション層と、
前記有色クッション層の前記第1の剥離層とは反対側の面の全面に積層された粘着層とからなる、剥離検知ラベル。
【請求項5】
被着体に貼着された後に剥離された場合に背景パターン内に潜像パターンを発現させることで当該剥離を検知する剥離検知ラベルの製造方法であって、
ベース基材の一方の面に前記背景パターンの形状に透明な材料からなる第1の剥離層を部分的に積層する工程と、
前記ベース基材の前記第1の剥離層が積層された面の全面に前記第1の剥離層を覆って有色貼着層を積層する工程とによって汎用ラベルを作製し、
その後に前記潜像パターンが指定された場合に、前記有色貼着層の前記ベース基材とは反対側の面に、前記第1の剥離層が部分的に積層された領域に対向して前記潜像パターンの形状に、前記第1剥離層と同一の材料からなる第2の剥離層を積層する工程を有する、剥離検知ラベルの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被着体に貼着された後に被着体からの剥離を検知可能な剥離検知ラベルおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被着体に貼着されるラベルにおいては、貼着後に不正に剥離されたことを検知するための様々な工夫がなされている。
【0003】
例えば、基材の一方の面に所定のパターンの形状に剥離層を積層し、その剥離層を覆うように貼着層を積層し、それにより、被着体に貼着された後に剥離された場合に、剥離層と貼着層との間にて層間剥離を生じさせ、その層間剥離が生じた部分の視認色を他の領域の視認色とは異ならせることで所定のパターンを発現させ、ラベルを被着体に再度貼着した場合でも剥離の痕跡を残す構造が考えられている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2004-117927号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように基材の一方の面に所定のパターンの形状に剥離層を積層しておくことで、被着体に貼着された後に剥離された場合に剥離層と貼着層との間にて層間剥離を生じさせて所定のパターンを発現させるものにおいては、顧客毎に指定されたパターンに応じた剥離層を積層した剥離検知ラベルを作製することとなり、多くの顧客に対応するためには多大な手間がかかってしまうという問題点がある。
【0006】
一方、顧客毎に指定されたパターンに応じた剥離層を積層した剥離検知ラベルを作製するといった手間が生じることを回避するために1つのパターンのみに応じた剥離層を積層した剥離検知ラベルを作製しておく場合、剥離層のパターンが汎用性を有するものであるため、偽造しやすくなってしまうという問題点がある。
【0007】
本発明は、上述したような従来の技術が有する問題点に鑑みてなされたものであって、被着体に貼着された後に被着体から剥離された場合に、顧客毎に指定されたパターンを発現させる構成を手間をかけずに実現することができる剥離検知ラベルおよびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明は、
被着体に貼着された後に剥離された場合に背景パターン内に潜像パターンを発現させることで当該剥離を検知する剥離検知ラベルであって、
ベース基材と、
前記ベース基材の一方の面に前記背景パターンの形状に部分的に積層された透明な材料からなる第1の剥離層と、
前記ベース基材の前記第1の剥離層が積層された面の全面に前記第1の剥離層を覆って積層された有色貼着層と、
前記第1剥離層と同一の材料からなり、前記有色貼着層の前記ベース基材とは反対側の面に、前記第1の剥離層が部分的に積層された領域に対向して前記潜像パターンの形状に積層された第2の剥離層とを有する。
【0009】
上記のように構成された本発明においては、第2の剥離層が積層されていない状態では、被着体に貼着された後に剥離されると、ベース基材の一方の面に部分的に積層された第1の剥離層と有色貼着層とが剥離することで背景パターンが発現し、それにより、不正な剥離を検出することができる。さらに、第1の剥離層が部分的に積層された領域に対向して顧客毎に指定された潜像パターンの形状に第2の剥離層を積層させることで、被着体に貼着された後に剥離されると、第2の剥離層が積層された領域においては、被着体に貼着されていないことから第1の剥離層と有色貼着層とが剥離せず、それにより、背景パターン内に潜像パターンが発現することになる。
【0010】
このように、第2の剥離層が積層されていない状態のものを作製しておけば、その後、顧客毎に指定された潜像パターンの形状に第2の剥離層を積層するだけで、顧客毎に指定されたパターンを発現させる構成を実現することができる。
【0011】
また、有色貼着層が、剥離検知ラベルが被着体に貼着された後に剥離された場合に、第1の剥離層に対向する領域が第1の剥離層から剥離して第1の剥離層との積層方向とは直交する方向に破断するものとすれば、剥離検知ラベルを被着体から剥離した後に、被着体に剥離検知ラベルの一部が残存することがない。
【0012】
また、有色貼着層が、剥離検知ラベルが被着体に貼着された後に剥離された場合に、第1の剥離層に対向する領域が第1の剥離層から剥離して被着体に残存するものとしてもよい。
【0013】
また、有色貼着層が、ベース基材の第1の剥離層が積層された面の全面に第1の剥離層を覆って積層された有色クッション層と、有色クッション層の第1の剥離層とは反対側の面の全面に積層された粘着層とからなるものであれば、剥離検知ラベルを被着体から剥離した後に、被着体に剥離検知ラベルの一部が残存することがない。
【0014】
また、上記のような剥離検知ラベルは、
ベース基材の一方の面に背景パターンの形状に透明な材料からなる第1の剥離層を部分的に積層する工程と、
ベース基材の第1の剥離層が積層された面の全面に第1の剥離層を覆って有色貼着層を積層する工程とによって汎用ラベルを作製し、
その後に潜像パターンが指定された場合に、有色貼着層のベース基材とは反対側の面に、第1の剥離層が部分的に積層された領域に対向して潜像パターンの形状に、第1剥離層と同一の材料からなる第2の剥離層を積層する工程を有する製造方法によって製造することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、第2の剥離層が積層されていない状態のものを作製しておくことで、その後、顧客毎に指定された潜像パターンの形状に第2の剥離層を積層するだけで、顧客毎に指定されたパターンを発現させる構成を手間をかけずに実現することができる。
【0016】
また、有色貼着層が、剥離検知ラベルが被着体に貼着された後に剥離された場合に、第1の剥離層に対向する領域が第1の剥離層から剥離して第1の剥離層との積層方向とは直交する方向に破断するものにおいては、剥離検知ラベルを被着体から剥離した後に、被着体に剥離検知ラベルの一部が残存することがない。
【0017】
また、有色貼着層が、ベース基材の第1の剥離層が積層された面の全面に第1の剥離層を覆って積層された有色クッション層と、有色クッション層の第1の剥離層とは反対側の面の全面に積層された粘着層とからなるものにおいては、剥離検知ラベルを被着体から剥離した後に、被着体に剥離検知ラベルの一部が残存することがない。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の剥離検知ラベルの第1の実施の形態を示す図であり、(a)は表面図、(b)は(a)に示したA-A’断面図である。
図2図1に示した剥離検知ラベルの積層面の構成を示す図であり、(a)はベース基材の粘着層との積層面の構成を示す図、(b)は粘着層の剥離紙との積層面の構成を示す図である。
図3図1および図2に示した剥離検知ラベルの製造方法を説明するための図である。
図4図3に示した汎用ラベルが貼着物に貼着された後に貼着物から剥離されていく状態を説明するための断面図である。
図5図3に示した汎用ラベルが貼着物から剥離された状態を示す表面図である。
図6図1および図2に示した剥離検知ラベルが貼着物に貼着された後に貼着物から剥離されていく状態を説明するための断面図である。
図7図1および図2に示した剥離検知ラベルが貼着物から剥離された状態を示す表面図である。
図8】本発明の剥離検知ラベルの第2の実施の形態を示す図であり、(a)は表面図、(b)は(a)に示したA-A’断面図である。
図9図8に示した剥離検知ラベルが貼着物に貼着された後に貼着物から剥離されていく状態を説明するための断面図である。
図10】本発明の剥離検知ラベルの第3の実施の形態を示す図であり、(a)は表面図、(b)は(a)に示したA-A’断面図である。
図11図10に示した剥離検知ラベルが貼着物に貼着された後に貼着物から剥離されていく状態を説明するための断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0020】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の剥離検知ラベルの第1の実施の形態を示す図であり、(a)は表面図、(b)は(a)に示したA-A’断面図である。図2は、図1に示した剥離検知ラベル1の積層面の構成を示す図であり、(a)はベース基材10の粘着層30との積層面の構成を示す図、(b)は粘着層30の剥離紙40との積層面の構成を示す図である。
【0021】
本形態は図1に示すように、ベース基材10の一方の面に粘着層30が積層されてなる剥離検知ラベル1である。
【0022】
ベース基材10は、透明または半透明のフィルムからなり、一方の面から他方の面の色が視認可能となるものである。
【0023】
ベース基材10の一方の面には、その全面において、剥離検知ラベル1が被着体に貼着された後に剥離された場合に発現する背景パターンの形状に透明なシリコン等の剥離剤が塗布されることで第1の剥離層20aが部分的に積層されている。そして、ベース基材10の剥離層20aが積層された面の全面に剥離層20aを覆って粘着剤が塗布されることで粘着層30が積層されている。
【0024】
粘着層30は、本願発明における有色貼着層となるものであって、青、赤、黒等の任意の色からなり、伸縮性を有するものである。そして、ベース基材10が透明または半透明のフィルムからなるものであることで、粘着層30の色がベース基材10の表面から視認可能となっている。
【0025】
粘着層30のベース基材10との反対側の面、すなわち被着体との貼着面には、剥離層20aが部分的に積層された領域に対向して、剥離検知ラベル1が被着体に貼着された後に剥離された場合に発現する“TF”の文字からなる潜像パターンの形状に透明なシリコン等の剥離剤が塗布されることで第2の剥離層20bが積層されている。そして、粘着層30の剥離層20bが積層された面に剥離紙40が剥離可能に貼着されている。
【0026】
以下に、上記のように構成された剥離検知ラベル1の製造方法について説明する。
【0027】
図3は、図1および図2に示した剥離検知ラベル1の製造方法を説明するための図である。
【0028】
図1および図2に示した剥離検知ラベル1を製造する場合は、まず、ベース基材10の一方の面に、剥離検知ラベル1が被着体に貼着された後に剥離された場合に発現する背景パターンの形状に透明なシリコン等の剥離剤を塗布し、剥離層20aを積層する(図3(a))。この際、背景パターンは顧客毎に異なるものではなく一律のものであるため、剥離層20aの積層パターンを顧客毎に変えることなく剥離層20aを積層することができる。
【0029】
次に、ベース基材10の剥離層20aが積層された面の全面に剥離層20aを覆って粘着剤を塗布することで粘着層30を積層し、汎用ラベル5を完成させる(図3(b))。
【0030】
上記のように製造された汎用ラベル5は、それ単体でも、不正な剥離を検知するラベルとして使用することができる。
【0031】
図4は、図3に示した汎用ラベル5が貼着物に貼着された後に貼着物から剥離されていく状態を説明するための断面図である。
【0032】
図3に示した汎用ラベル5を用いて不正な剥離を検知する場合、図4(a)に示すように、汎用ラベル5を粘着層30によって被着体となる貼着物2に貼着する。
【0033】
その状態から汎用ラベル5を剥離していくと、図4(b)に示すように、剥離層20aが積層されていない領域においては、粘着層30がベース基材10とともに貼着物2から剥離し、また、剥離層20aが積層された領域においては、粘着層30が剥離層20aとの貼着力よりも強い貼着力で貼着物2と貼着されていることで粘着層30が剥離層20aから剥離する。そして、剥離層20aから剥離した部分は、その後、粘着層30が伸縮性を有するものであることで、ベース基材10とともに貼着物2から剥離し、剥離層20aとの積層方向とは直交する方向に破断し、ベース基材10に積層されたままとなっている部分に引っ張られて剥離層20aに対向する領域にはほぼ存在しなくなる。
【0034】
汎用ラベル5が貼着物2から完全に剥離されると、図4(c)に示すように、粘着層30は剥離層20aが積層されていない領域にしかほぼ存在しなくなる。
【0035】
図5は、図3に示した汎用ラベル5が貼着物2から剥離された状態を示す表面図である。
【0036】
上記のようにして図3に示した汎用ラベル5が貼着物2から剥離されると、ベース基材10の貼着物2との貼着面とは反対側から汎用ラベル5を見た場合、剥離層20aに対向しない領域においては粘着層30が存在することで粘着層30の色がベース基材10を介して視認される一方、剥離層20aに対向する領域においては粘着層30が存在しなくなったことで粘着層30の色が視認されなくなることから、図5に示すように、剥離層20aによる背景パターン3が発現することになる。なお、ベース基材10の全面または一部に印刷が施された場合であっても、剥離層20aに対向する領域においてはその印刷による色が視認される一方、剥離層20aに対向しない領域においては、ベース基材10の印刷色と粘着層30の色とに応じた色が視認されることになり、剥離層20aによる背景パターン3が発現することになる。例えば、ベース基材10に赤色で印刷が施され、粘着層30の色が緑色である場合、剥離層20aに対向する領域においては赤色が視認される一方、剥離層20aに対向しない領域においては、赤色と緑色と混合されたことによる黒色が視認されることになる。
【0037】
その後、このように背景パターン3が発現した汎用ラベル5を貼着物2に再度貼着したとしても、剥離層20aに対向する領域においては粘着層30が存在しなくなっているため、背景パターン3が発現したままとなり、汎用ラベル5が貼着物2から不正に剥離された旨を認識することができる。
【0038】
このように、図3に示した汎用ラベル5は、それ単体でも、不正な剥離を検知するラベルとして使用することができるため、粘着層30に剥離紙を剥離可能に貼着し、商品として販売することも考えられる。しかしながら、汎用ラベル5は、背景パターン3が汎用性を有するものであるため、上述したように偽造しやすくなってしまう。また、貼着物に貼着された後に剥離された場合に発現するパターンを顧客毎に指定される場合もある。
【0039】
そこで、まずは上記のように汎用ラベル5を作製して保管しておき、その後、貼着物に貼着された後に剥離された場合に顧客毎に指定されたパターンが発現するように汎用ラベル5を加工する。
【0040】
まず、粘着層30のベース基材10との反対側の面に、剥離層20aが部分的に積層された領域に対向して、剥離検知ラベル1が被着体に貼着された後に剥離された場合に発現する“TF”の文字からなる潜像パターンの形状に透明なシリコン等の剥離剤を塗布することで剥離層20bを積層する(図3(c))。この場合、剥離層20aが部分的に積層された領域は、ベース基材10の全面であるため、ベース基材10の全面に対向する領域内にて潜像パターンの形状に剥離層20bを積層することになる。剥離層20aが部分的に積層された領域がベース基材10の一部の領域である場合は、その一部の領域に対向する領域内にて潜像パターンの形状に剥離層20bを積層することになる。
【0041】
その後、剥離層20bが積層された粘着層30の全面に剥離層20bを覆って剥離紙40を剥離可能に貼着し、剥離検知ラベル1を完成させる(図3(d))。
【0042】
図6は、図1および図2に示した剥離検知ラベル1が貼着物に貼着された後に貼着物から剥離されていく状態を説明するための断面図である。
【0043】
図1および図2に示した剥離検知ラベル1を用いて不正な剥離を検知する場合、剥離紙40を剥離して粘着層30を表出させ、図6(a)に示すように、剥離検知ラベル1を粘着層30によって貼着物2に貼着する。
【0044】
その状態から剥離検知ラベル1を剥離していくと、図6(b)に示すように、剥離層20aが積層されていない領域においては、粘着層30がベース基材10とともに貼着物2から剥離し、また、剥離層20aが積層された領域においては、粘着層30が剥離層20aとの貼着力よりも強い貼着力で貼着物2と貼着されていることで粘着層30が剥離層20aから剥離する。そして、剥離層20aから剥離した部分は、その後、粘着層30が伸縮性を有するものであることで、ベース基材10とともに貼着物2から剥離し、剥離層20aとの積層方向とは直交する方向に破断し、ベース基材10に積層されたままとなっている部分に引っ張られて剥離層20aに対向する領域にはほぼ存在しなくなる。
【0045】
剥離検知ラベル1が貼着物2から完全に剥離されると、図6(c)に示すように、粘着層30は剥離層20aが積層されていない領域にしかほぼ存在しなくなるが、剥離層20bが積層された領域においては、剥離検知ラベル1がそもそも貼着物2に貼着されていないことから、剥離検知ラベル1を貼着物2から剥離した際に粘着層30が剥離層20aから剥離することがないため、剥離層20aが積層された領域においても粘着層30が存在することになる。
【0046】
図7は、図1および図2に示した剥離検知ラベル1が貼着物2から剥離された状態を示す表面図である。
【0047】
上記のようにして図1に示した剥離検知ラベル1が貼着物2から剥離されると、ベース基材10の貼着物2との貼着面とは反対側から剥離検知ラベル1を見た場合、剥離層20aに対向しない領域においては粘着層30が存在することで粘着層30の色がベース基材10を介して視認される一方、剥離層20aに対向する領域においては粘着層30が存在しなくなったことで粘着層30の色が視認されなくなることから、汎用ラベル5と同様に剥離層20aによる背景パターン3が発現することになる。その際、剥離層20bが積層された領域においては、上述したように、剥離層20aが積層された領域においても粘着層30が存在していることにより、剥離層20aによる背景パターン3が発現しない。それにより、図7に示すように、剥離層20aによる背景パターン3内に剥離層20bによる“TF”の文字からなる潜像パターン4が発現することになる。
【0048】
その後、このように背景パターン3内に潜像パターン4が発現した剥離検知ラベル1を貼着物2に再度貼着したとしても、剥離層20aに対向する領域においては粘着層30が存在しなくなっているため、背景パターン3が発現したままとなり、剥離検知ラベル1が貼着物2から不正に剥離された旨を認識することができる。
【0049】
また、剥離検知ラベル1が貼着物2に貼着された後に剥離された場合に、粘着層30のうち剥離層20aに対向する領域が、剥離層20aから剥離して剥離層20aとの積層方向とは直交する方向に破断することにより、剥離検知ラベル1が貼着物2から剥離された場合に、粘着層30が全てベース基材10とともに貼着物2から剥離されることとなり、それにより、剥離検知ラベル1を貼着物2から剥離した後に、貼着物2に剥離検知ラベル1の一部が残存することがない。
【0050】
このように、ベース基材10の一方の面に背景パターン3の形状に剥離層20aが積層され、この剥離層20aを覆うようにして粘着層30が積層された汎用ラベル5であっても、貼着物2から不正に剥離された旨を認識することができるため、まずは汎用ラベル5を作製しておくことで、不正な剥離を認識する手段を提供することができる。そして、貼着物2から不正に剥離された場合に発現するパターンが顧客毎に指定された場合、その後、粘着層30上に、顧客毎に指定された潜像パターン4の形状に剥離層20bを積層するだけで、貼着物2から不正に剥離された場合にその潜像パターン4が発現する構成を手間をかけずに実現することができる。また、貼着物2から不正に剥離された場合に顧客毎に指定された潜像パターン4が発現する構成であることで、汎用性がなくなり、偽造される可能性が低減することになる。
【0051】
(第2の実施の形態)
図8は、本発明の剥離検知ラベルの第2の実施の形態を示す図であり、(a)は表面図、(b)は(a)に示したA-A’断面図である。図9は、図8に示した剥離検知ラベル101が貼着物に貼着された後に貼着物から剥離されていく状態を説明するための断面図である。
【0052】
本形態は図8に示すように、図1および図2に示したものに対して、粘着層130を構成する粘着剤の材質が異なる剥離検知ラベル101である。本形態における粘着層130を構成する粘着剤は、伸縮性を有するものである必要はない。
【0053】
図8に示した剥離検知ラベル101は、図1および図2に示したものと同様に、剥離紙140を剥離して粘着層130を表出させ、図9(a)に示すように粘着層130によって貼着物102に貼着する。
【0054】
その状態から剥離検知ラベル101を剥離していくと、図9(b)に示すように、剥離層120aが積層されていない領域においては、粘着層130がベース基材110とともに貼着物102から剥離し、また、剥離層120aが積層された領域においては、粘着層130が剥離層120aとの貼着力よりも強い貼着力で貼着物102と貼着されていることで粘着層130が剥離層120aから剥離する。そして、粘着層130の剥離層120aから剥離した部分が貼着物102に残存することで、剥離層120aに対向する領域には粘着層130が存在しなくなる。
【0055】
剥離検知ラベル101が貼着物102から完全に剥離されると、図9(c)に示すように、粘着層130は、剥離層120aが積層されていない領域にしか存在しなくなるが、剥離層120bが積層された領域においては、剥離検知ラベル101がそもそも貼着物102に貼着されていないことから、剥離検知ラベル101を貼着物102から剥離した際に粘着層130が剥離層120aから剥離することがないため、剥離層120aが積層された領域においても粘着層130が存在することになる。
【0056】
このように貼着物102から剥離された剥離検知ラベル101においても、図1および図2に示したものと同様に、ベース基材110の貼着物102との貼着面とは反対側から見た場合、剥離層120aに対向しない領域においては粘着層130が存在することで粘着層130の色がベース基材110介して視認される一方、剥離層120aに対向する領域においては、剥離層120bが積層された領域以外において粘着層130が存在しなくなったことで粘着層130の色が視認されなくなることから、剥離層120aによる背景パターン内に剥離層120bによる潜像パターンが発現することになる。
【0057】
その後、背景パターン内に潜像パターンが発現した剥離検知ラベル101を貼着物102に再度貼着したとしても、剥離層120aが積層された領域と粘着層130が貼着物102に残存した領域との位置合わせを行うことが困難であることで、発現した背景パターンを完全に見えなくすることができず、剥離検知ラベル101が貼着物102から不正に剥離された旨を認識することができる。
【0058】
本形態における剥離検知ラベル101においても、ベース基材110の一方の面に背景パターンの形状に剥離層120aが積層され、この剥離層120aを覆うようにして粘着層130が積層された汎用ラベルを作製しておき、その後、潜像パターンが顧客毎に指定された場合に、粘着層130上に、顧客毎に指定された潜像パターンの形状に剥離層120bを積層するだけで、貼着物102から不正に剥離された場合にその潜像パターンが発現する構成を手間をかけずに実現することができる。また、貼着物102から不正に剥離された場合に顧客毎に指定された潜像パターンが発現する構成であることで、汎用性がなくなり、偽造される可能性が低減することになる。
【0059】
(第3の実施の形態)
図10は、本発明の剥離検知ラベルの第3の実施の形態を示す図であり、(a)は表面図、(b)は(a)に示したA-A’断面図である。図11は、図10に示した剥離検知ラベル201が貼着物に貼着された後に貼着物から剥離されていく状態を説明するための断面図である。
【0060】
本形態は図10に示すように、図1および図2に示したものに対して、ベース基材210の剥離層220aが積層された面の全面に剥離層220aを覆ってクッション層250が積層され、その上に粘着層230が積層されることで、これらクッション層250と粘着層230とから有色貼着層260が構成されている点が異なる剥離検知ラベル201である。
【0061】
クッション層250は、本願発明における有色クッション層となるものであって、青、赤、黒等の任意の色からなり、樹脂等の伸縮性を有するものである。そして、ベース基材210が透明または半透明のフィルムからなるものであることで、クッション層250の色がベース基材210の表面から視認可能となっている。
【0062】
粘着層230は、有色であっても無色透明なものであってもよい。
【0063】
図10に示した剥離検知ラベル201は、図1および図2に示したものと同様に、剥離紙240を剥離して粘着層230を表出させ、図11(a)に示すように粘着層230によって貼着物202に貼着する。
【0064】
その状態から剥離検知ラベル201を剥離していくと、ベース基材210と剥離層220aとクッション層250と粘着層230の積層方向に引っ張る力が働くことになるが、クッション層250と粘着層230との貼着力がクッション層250と剥離層220aとの貼着力よりも強いことで、図11(b)に示すように、剥離層220aが積層された領域においてクッション層250が剥離層220aから剥離し、クッション層250の不可逆的な弾性変形によりクッション層250と剥離層220aとの間に隙間が生じる。
【0065】
剥離検知ラベル201が貼着物202から完全に剥離されると、図11(c)に示すように、剥離層220aが積層された領域においてはクッション層250と剥離層220aとの間に隙間が生じているが、剥離層220bが積層された領域においては、剥離検知ラベル201がそもそも貼着物202に貼着されていないことから、剥離検知ラベル201を貼着物202から剥離した際にクッション層250と剥離層220aとの間に隙間は生じない。
【0066】
このように貼着物202から剥離された剥離検知ラベル201においては、図1および図2に示したものと同様に、ベース基材210の貼着物202との貼着面とは反対側から見た場合、剥離層220aに対向しない領域においてはクッション層250がベース基材210に貼着されていることでクッション層250の色がベース基材210介して視認される一方、剥離層220aに対向する領域においては、剥離層220bが積層された領域以外においてクッション層250と剥離層220aとの間に隙間が生じていることでクッション層250の色がベース基材210介して視認されにくくなっていることから、剥離層220aによる背景パターン内に剥離層220bによる潜像パターンが発現することになる。
【0067】
その後、潜像パターンが発現した剥離検知ラベル201を貼着物202に再度貼着したとしても、クッション層250と剥離層220aとの間に生じた隙間は、クッション層250の不可逆的な弾性変形によるものであるため、背景パターンが発現したままとなり、剥離検知ラベル201が貼着物202から不正に剥離され、貼着物202が不正に開封された旨を認識することができる。
【0068】
また、剥離検知ラベル201が貼着物202から剥離された場合に、クッション層250が剥離層220aから剥離して剥離層220aとの間に隙間が生じることで潜像パターンが発現することになるので、貼着層260が全てベース基材210とともに貼着物202被着体から剥離されることとなり、それにより、剥離検知ラベル201を貼着物202から剥離した後に、貼着物202に剥離検知ラベル201の一部が残存することがない。
【0069】
本形態における剥離検知ラベル201においても、ベース基材210の一方の面に背景パターンの形状に剥離層220aが積層され、この剥離層220aを覆うようにして、クッション層250と粘着層230とからなる貼着層260が積層された汎用ラベルを作製しておき、その後、潜像パターンが顧客毎に指定された場合に、粘着層230上に、顧客毎に指定された潜像パターンの形状に剥離層220bを積層するだけで、貼着物202から不正に剥離された場合にその潜像パターンが発現する構成を手間をかけずに実現することができる。また、貼着物202から不正に剥離された場合に顧客毎に指定された潜像パターンが発現する構成であることで、汎用性がなくなり、偽造される可能性が低減することになる。
【符号の説明】
【0070】
1,101,201 剥離検知ラベル
2,102,202 貼着物
3 背景パターン
4 潜像パターン
5 汎用ラベル
10,110,210 ベース基材
20a,20b,120a,120b,220a,220b 剥離層
30,130,230 粘着層
40,140,240 剥離紙
250 クッション層
260 貼着層
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11