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特許6993150鉛直方向に折り畳める仕切り壁、およびその展開方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-13
(45)【発行日】2022-01-13
(54)【発明の名称】鉛直方向に折り畳める仕切り壁、およびその展開方法
(51)【国際特許分類】
   E04B 2/74 20060101AFI20220105BHJP
   E04B 2/82 20060101ALI20220105BHJP
【FI】
E04B2/74 561D
E04B2/82 501K
E04B2/82 501M
E04B2/82 501T
【請求項の数】 17
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2017179950
(22)【出願日】2017-09-20
(65)【公開番号】P2018066257
(43)【公開日】2018-04-26
【審査請求日】2020-08-25
(31)【優先権主張番号】62/397,481
(32)【優先日】2016-09-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517330162
【氏名又は名称】スカイフォールド・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】マーク・マクドナルド
【審査官】兼丸 弘道
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-537131(JP,A)
【文献】米国特許第06267169(US,B1)
【文献】特開平07-301055(JP,A)
【文献】特開平11-336228(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 2/74,2/82
E04B 9/00
E05D 15/26
E05F 15/605
E06B 3/48
E06B 3/94
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
頭上の構造体から吊り下げられる天井の空洞内に保管可能な折り畳み式仕切り壁であって、
鉛直方向に離間された一連の支持体を通じて旋回可能に連結される折り畳み可能なパネルアセンブリであって、各パネルアセンブリは、互いに旋回可能に連結される上方パネルおよび下方パネルを各々が含み、前記上方パネルおよび前記下方パネルは、展開位置にある場合に、共通の鉛直方向平面で実質的に延び、保管位置にある場合に、前記共通の鉛直方向平面の横方向外側に、向かい合った表面と表面とが重ね合わされた関係で延びる、折り畳み可能なパネルアセンブリと、
前記頭上の構造体によって支持され、前記保管位置と前記展開位置との間で前記パネルアセンブリを変位させるために前記パネルアセンブリに係合する移動機構と、
カバーパネルを有するカバーアセンブリであって、前記カバーパネルの各々が、前記支持体のうちの最上位の支持体に連結された第1端部と、前記第1端部から水平離間された第2端部とを有し、前記カバーパネルは、前記保管位置と前記展開位置との間で前記パネルアセンブリと共に変位可能であり、前記カバーパネルは、前記展開位置にある場合に第1の共通の水平方向平面において延び、前記天井の前記空洞を隠すために前記天井と実質的に同一平面となり、前記カバーパネルは、前記カバーパネルが前記保管位置にある場合に、前記第1の共通の水平方向平面より高い第2の共通の水平方向平面において、前記天井の前記空洞内で延びる、カバーアセンブリと
を備える折り畳み式仕切り壁。
【請求項2】
各々のカバーパネルの前記第2端部は、前記カバーパネルが前記展開位置にある場合に、前記空洞を定める前記天井における壁に隣接し、前記壁から水平方向に離間される、請求項1に記載の折り畳み式仕切り壁。
【請求項3】
各々のカバーパネルの前記第2端部は遠位の外縁を備え、シール部材が、前記外縁に取り付けられ、前記カバーパネルが前記展開位置にある場合に、前記シール部材が前記外縁から前記空洞を定める前記天井における壁に向かって外側に延びる、請求項1または2に記載の折り畳み式仕切り壁。
【請求項4】
空洞シール部材が、前記天井における前記壁から前記シール部材に向かって内向きに延び、前記シール部材は、前記カバーパネルが前記展開位置にある場合に、前記空洞シール部材に重なる、請求項3に記載の折り畳み式仕切り壁。
【請求項5】
各々のカバーパネルは、その下側に沿って音遮蔽タイルを有し、前記音遮蔽タイルは、前記カバーパネルが前記展開位置にある場合に前記第1の共通の水平方向平面において延び、前記天井と実質的に同一平面である、請求項1から4のいずれか一項に記載の折り畳み式仕切り壁。
【請求項6】
前記移動機構は、前記パネルアセンブリおよび前記カバーアセンブリを前記保管位置と前記展開位置との間で移動するために、各々の支持体に係合し、前記移動機構は、前記パネルアセンブリが前記保管位置と前記展開位置との間で移動されると、各々のパネルアセンブリの反対の端同士の間の距離を変化させ、前記移動機構は、前記パネルアセンブリが前記保管位置と前記展開位置との間で移動されると、前記カバーパネルを前記天井に対して鉛直方向に変位させる請求項1から5のいずれか一項に記載の折り畳み式仕切り壁。
【請求項7】
前記カバーパネルは、前記移動機構によって前記保管位置と前記展開位置との間で鉛直方向において変位されている間、実質的に水平を保つ、請求項6に記載の折り畳み式仕切り壁。
【請求項8】
前記移動機構は、前記頭上の構造体に旋回可能に連結される上端と、前記最上位の支持体に旋回可能に連結される下端との間で各々延びる折り畳み可能なリンクアームを備え、前記リンクアームは、前記展開位置にある場合に実質的に鉛直方向に延び、前記保管位置にある場合に前記共通の鉛直方向平面の横方向外側に延びる、請求項6または7に記載の折り畳み式仕切り壁。
【請求項9】
前記パネルアセンブリが前記保管位置と前記展開位置との間で変位されるとき、前記パネルアセンブリのうちの少なくとも1つのパネルアセンブリの前記上方パネルおよび前記下方パネルは、実質的に前記共通の鉛直方向平面において延び、一方、前記パネルアセンブリのうちの少なくとも別の1つのパネルアセンブリの前記上方パネルおよび前記下方パネルは、前記共通の鉛直方向平面の横方向外側に、向かい合った表面と表面とが重ね合わされた関係で延びる、請求項1から8のいずれか一項に記載の折り畳み式仕切り壁。
【請求項10】
最下位のパネルアセンブリの前記上方パネルおよび前記下方パネルは、前記保管位置にある場合に、前記共通の鉛直方向平面の横方向外側に、向かい合った表面と表面とが重ね合わされた関係で延び、前記最下位のパネルアセンブリの前記下方パネルは、前記第1の共通の水平方向平面において延び、前記天井における前記空洞を隠すために前記天井と実質的に同一平面である、請求項1から9のいずれか一項に記載の折り畳み式仕切り壁。
【請求項11】
前記移動機構は、前記パネルアセンブリを連続して展開するために前記パネルアセンブリを変位させ、まず最下位のパネルアセンブリの前記上方パネルおよび前記下方パネルが、前記共通の鉛直方向平面において実質的に延び、次に前記最下位のパネルアセンブリのすぐ上方の前記パネルアセンブリの前記上方パネルおよび前記下方パネルが、前記共通の鉛直方向平面において実質的に延び、このような順番の展開が、最上位のパネルアセンブリの前記上方パネルおよび前記下方パネルが前記共通の鉛直方向平面において実質的に延びるまで繰り返される、請求項1から10のいずれか一項に記載の折り畳み式仕切り壁。
【請求項12】
各々のパネルアセンブリの前記上方パネルおよび前記下方パネルは、前記展開位置と、前記天井に隣接する前記保管位置との間で変位可能である、請求項1から11のいずれか一項に記載の折り畳み式仕切り壁。
【請求項13】
前記移動機構は、各々のパネルアセンブリの前記上方パネルおよび前記下方パネルを、前記上方パネルの上端が固定された高さに留まったままで前記下方パネルの下端を前記上方パネルの前記上端に向かって移動することで、前記保管位置に向かって変位させるように動作可能である、請求項1から12のいずれか一項に記載の折り畳み式仕切り壁。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか一項に記載の折り畳み式仕切り壁を展開する方法であって、
前記空洞から前記折り畳み可能なパネルアセンブリを降下するステップであって、各々のパネルアセンブリは、前記空洞から降下されている間に、前記空洞内の重ね合わされた関係から直立の配向へと展開する、ステップと、
前記天井における前記空洞を隠すために、前記カバーパネルが前記第1の共通の水平方向平面において延びかつ前記天井と実質的に同一平面となるまで、前記第2の共通の水平方向平面にある前記カバーパネルを前記空洞から降下するステップと
を含む方法。
【請求項15】
前記カバーパネルを降下するステップは、前記カバーパネルの遠位端を、前記空洞を定める前記天井における壁に隣接し、前記壁から水平方向に離間させて位置決めするステップ、前記空洞を、前記第1の共通の水平方向平面において延びる前記カバーパネルで音響的に封止するステップ、および、前記カバーパネルを実質的に水平方向の配向で維持しながら前記カバーパネルを降下するステップのうちの少なくとも1つを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記折り畳み可能なパネルアセンブリを降下するステップは、前記パネルアセンブリのうちの少なくとも1つのパネルアセンブリのパネルを前記直立の配向となるように降下する一方で、前記パネルアセンブリのうちの少なくとも他の1つのパネルアセンブリのパネルを前記重ね合わされた関係で維持するステップを含む、請求項14または15に記載の方法。
【請求項17】
前記折り畳み可能なパネルアセンブリを降下するステップは、前記パネルアセンブリを連続して降下するステップであって、まず前記パネルアセンブリのうちの最下位のパネルアセンブリのパネルが、前記直立の配向で延び、次に前記最下位のパネルアセンブリのすぐ上方の前記パネルアセンブリのパネルが、前記直立の配向で延び、このような順番の展開が、前記パネルアセンブリのうちの最上位のパネルアセンブリの前記パネルが前記直立の配向で延びるまで繰り返される、ステップを含む請求項14または15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動作可能な仕切り壁に関し、より詳細には、上昇位置と降下位置との間で鉛直方向に移動可能である動作可能な仕切り壁に関する。
【背景技術】
【0002】
会議室、会議場、および学校の体育館などの大きな空間を、小さい空間へと分割するために、移動可能な仕切り壁を使用することがよく知られている。
【0003】
鉛直方向に折り畳める仕切り壁が知られている。しばしば、折り畳み式仕切り壁は、大きい空間を分割するために、天井内の奥まった空間から展開され、保管の際には、天井における同じ奥まった空間内で折り畳まれる。しかしながら、鉛直方向の展開された位置にある場合に、従来の移動可能な仕切り壁は、仕切りと天井との間に、目立つ見苦しい空所または隙間を作り出す。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
一態様では、頭上の構造体から吊り下げられる天井の空洞内に保管可能な鉛直方向に折り畳める仕切り壁が提供され、その仕切り壁は、鉛直方向に離間された一連の支持体を通じて旋回可能に連結される折り畳み可能なパネルアセンブリであって、パネルアセンブリのうちの最下位は下リンク機構に旋回可能に連結される下端を有し、各々のパネルアセンブリは、互いに旋回可能に連結される上方パネルおよび下方パネルを備え、上方パネルおよび下方パネルは、展開位置にある場合に、共通の鉛直方向平面で実質的に延び、保管位置にある場合に、共通の鉛直方向平面の横方向外側に、向かい合った表面と表面とが重ね合わされた関係で延びる、折り畳み可能なパネルアセンブリと、カバーパネルを有するカバーアセンブリであって、カバーパネルの各々が、第1端部が支持体のうちの最上位に連結されており、第2端部が第1端部から水平方向に離間されており、カバーパネルは、展開位置にある場合に第1の共通の水平方向平面において延び、天井における空洞を隠すために天井と実質的に同一平面であり、カバーパネルは、保管位置にある場合に、第1の共通の水平方向平面より高い第2の共通の水平方向平面において天井の空洞内で延びる、カバーアセンブリと、頭上の構造体と係合可能な懸架装置によって支持される移動機構であって、保管位置と展開位置との間でパネルアセンブリおよびカバーアセンブリを移動するために、各々の支持体および下リンク機構と係合し、パネルアセンブリが保管位置と展開位置との間で移動されると、各々のパネルアセンブリの反対の端同士の間の距離を変化させ、パネルアセンブリが保管位置と展開位置との間で移動されると、カバーパネルを天井に対して鉛直方向に変位させる移動機構とを備える。
【0005】
頭上の構造体から吊り下げられる天井の空洞内に保管可能な鉛直方向に折り畳める仕切り壁も提供され、その仕切り壁は、鉛直方向に離間された一連の支持体を通じて旋回可能に連結される折り畳み可能なパネルアセンブリであって、各々のパネルアセンブリは、互いに旋回可能に連結される上方パネルおよび下方パネルを備え、上方パネルおよび下方パネルは、パネルアセンブリの展開位置にある場合に、共通の鉛直方向平面で実質的に延び、上方パネルおよび下方パネルは、パネルアセンブリの保管位置にある場合に、共通の鉛直方向平面の横方向外側に、向かい合った表面と表面とが重ね合わされた関係で延び、パネルアセンブリは、前記展開位置において完全に展開した仕切り壁を形成する、折り畳み可能なパネルアセンブリと、パネルアセンブリの保管位置と展開位置との間でパネルアセンブリを変位させるためにパネルアセンブリに係合する移動機構と、カバーパネルを有するカバーアセンブリであって、カバーパネルの各々が、第1端部が支持体のうちの最上位の支持体に連結されており、第2端部が第1端部から水平方向に離間されて配置されており、カバーパネルは、展開したカバー位置にある場合に、第1の共通の水平方向平面において延び、カバーパネルは、前記展開したカバー位置において、天井における空洞を隠すために天井と実質的に同一平面であり、カバーパネルは、カバーパネルが保管位置にある場合に、第1の共通の水平方向平面より高い第2の共通の水平方向平面において延び、カバーパネルは、前記保管したカバー位置にある場合に、天井の空洞内で囲われ、カバーアセンブリは、カバーアセンブリの保管位置および展開位置から変位されるとき、カバーアセンブリの保管したカバー位置と展開したカバー位置との間で変位される、カバーアセンブリとを備える。
【0006】
他の態様では、天井の空洞内に保管される折り畳み可能な仕切り壁を展開する方法が提供され、その方法は、空洞から折り畳み可能なパネルアセンブリを降下するステップであって、各々のパネルアセンブリは、空洞から降下されている間に、空洞内の重ね合わされた関係から直立の配向へと展開する、ステップと、カバーパネルが共通の水平方向平面において延び、天井における空洞を隠すために天井と実質的に同一平面となるまで、空洞からカバーパネルを降下するステップとを含む。
【0007】
頭上の構造体から吊り下げられる天井の空洞内に保管可能な折り畳み式仕切り壁も提供され、その仕切り壁は、鉛直方向に離間された一連の支持体を通じて旋回可能に連結される折り畳み可能なパネルアセンブリであって、各々のパネルアセンブリは、互いに旋回可能に連結される上方パネルおよび下方パネルを備え、上方パネルおよび下方パネルは、展開位置にある場合に、共通の鉛直方向平面で実質的に延び、保管位置にある場合に、共通の鉛直方向平面の横方向外側に、向かい合った表面と表面とが重ね合わされた関係で延びる、折り畳み可能なパネルアセンブリと、頭上の構造体によって支持され、保管位置と展開位置との間でパネルアセンブリを変位させるためにパネルアセンブリに係合する移動機構と、カバーパネルを有するカバーアセンブリであって、カバーパネルの各々が、第1端部が支持体のうちの最上位に連結されており、第2端部が第1端部から水平方向に離間されており、カバーパネルは保管位置と展開位置との間でパネルアセンブリと一緒に変位可能であり、カバーパネルは、展開位置にある場合に、第1の共通の水平方向平面において延び、天井における空洞を隠すために天井と実質的に同一平面であり、カバーパネルは、カバーパネルが保管位置にある場合に、第1の共通の水平方向平面より高い第2の共通の水平方向平面において、天井の空洞内で延びる、カバーアセンブリとを備える。
【0008】
天井の空洞内に保管される折り畳み可能な仕切り壁を展開する方法も提供され、その方法は、空洞から折り畳み可能なパネルアセンブリを降下するステップであって、各々のパネルアセンブリは、空洞から降下されている間に、空洞内の重ね合わされた関係から直立の配向へと展開する、ステップと、カバーパネルが共通の水平方向平面において延び、天井における空洞を隠すために天井と実質的に同一平面となるまで、空洞からカバーパネルを降下するステップとを含む。
【0009】
ここで、添付の図が参照される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1A】展開位置で示した、本開示の実施形態による鉛直方向に折り畳める仕切り壁の概略的な断面図である。
図1B図1Aの一部1B-1Bの拡大図である。
図1C】天井における空洞の別の実施形態の拡大図である。
図2図1Aの仕切り壁の支持体の概略的な断面図である。
図3A】展開位置と保管位置との間で示された図1Aの仕切り壁の折り畳み可能リンクアームの概略的な断面図である。
図3B】保管位置で示された図3Aの折り畳み可能リンクアームの概略的な断面図である。
図4A図1Aの仕切り壁の側方からの断面図である。
図4B】特定の実施形態による図1Aの仕切り壁のケーブルおよびプーリアセンブリの概略図である。
図5A図1Aの仕切り壁の折り畳みの順番を示す、仕切り壁の概略的な断面図である。
図5B図1Aの仕切り壁の折り畳みの順番を示す、仕切り壁の概略的な断面図である。
図5C図1Aの仕切り壁の折り畳みの順番を示す、仕切り壁の概略的な断面図である。
図5D図1Aの仕切り壁の折り畳みの順番を示す、仕切り壁の概略的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1Aは、鉛直方向に折り畳める仕切り壁10を示している。鉛直方向に折り畳める仕切り壁10は、鉛直方向に折り畳める仕切り壁10が格納および上昇されて、天井構造体に保管できる完全に折り畳まれた位置と、鉛直方向に折り畳める仕切り壁10(ここでは単に「仕切り壁10」と称されることがある)が真っ直ぐに展開され、内部の建物空間を2つのより小さい空間へと分割するために、天井構造体などの建物の頭上の構造体11から床12などの支持表面へと鉛直方向下向きに延びる展開位置との間の移動のために、頭上の構造体11に備え付けられるように適合されている。描写した実施形態では、天井13が頭上の構造体11から吊り下げられており、懸架装置14が、支持板15を介して頭上の構造体11に固定されている。天井13は中に空洞16を有しており、空洞16は、頭上の構造体11によって支持され、互いから離間されている鉛直方向の空洞壁16Aによって定められ得る(必ずしも定められる必要はない)。仕切り壁10は、保管位置にある場合に、空洞16内で折り畳まれて維持され(例えば、図5D参照)、図1Aに示すように、展開位置にある場合に、展開され、空洞16から延び出す。具体的な実施形態では、鉛直方向に折り畳める仕切り壁10の全体の寸法は、その展開位置へと変位される場合に、床12へと到達し、それにより分割される領域を完全に横断して延びる実質的に途切れのない平坦な壁を仕切り壁10が形成するようになっている。
【0012】
仕切り壁10は、展開位置にある場合に、鉛直方向に沿って配置されるパネルアセンブリ20を備える。図示した実施形態では、3つの対のパネルアセンブリ20が設けられており、各々の対は、二重の側壁の仕切りを形成するために、仕切り壁10の鉛直方向の中心平面CPに対して対称に配置されている。仕切り壁10の幅寸法は、隣り合って相互連結される複数のパネルアセンブリ20によって定められ得る。
【0013】
各々のパネルアセンブリ20は上方パネル21と下方パネル22とを備える。上方パネル21および下方パネル22は、矩形の構造のものであり、仕切り壁10の適切な部分を形成するために、幅方向において長くされている。そのため、上方パネル21および下方パネル22は、鉛直方向に配向される場合に、頑丈な平面状の切れ目のない外見を提供するのを助ける。上方パネル21および下方パネル22は、互いに対して旋回可能に連結されている。この旋回可能な連結は、仕切り壁10が展開位置と保管位置との間で変位される場合に、上方パネル21および下方パネル22を、共通の旋回軸の周りで、中心平面CPに向かって、および、中心平面CPから離れるように、折り畳むことができる。1つまたは複数のパネルアセンブリ20の上方パネル21は、鉛直方向に隣接するより高いパネルアセンブリ20の下方パネル22にも旋回可能に連結されている。同じパネルアセンブリ20の上方パネル21と下方パネル22との間、および、隣接するパネルアセンブリ20の上方パネル21と下方パネル22との間の旋回可能な連結は、仕切り壁10が頭上の構造体11に取り付けられる場合に、幅方向において延びる平行な旋回軸を定める。したがって、上方パネル21と下方パネル22とをこの手法で旋回可能に連結することができる任意の適切な構造体が本開示の範囲内にあることは、理解されるものである。
【0014】
例えば、図1Aに示しているように、隣接するパネルアセンブリ20の上方パネル21と下方パネル22とは、鉛直方向に離間された支持体23を介して、隣接する端同士において旋回可能に連結される。各々の支持体23は、中心平面CPに対して対称であり、それら自体の端において旋回可能に連結されると共に中心平面CPの両側において配置される折り畳み可能なパネル21、22が、共同して折り畳みおよび展開することを確保する。他の適切な種類の支持体が設けられてもよいことは、理解されるだろう。最下位のパネルアセンブリ20Aの下方パネル22は、それの下方端において、対応する横断する通路を通じて、最下位の支持体23に旋回可能に備え付けられ、ここでは下リンク機構24として称される。
【0015】
図1Aで同じく示しているように、同じパネルアセンブリ20の上方パネル21および下方パネル22は、隣接する端または突き合う端において、協働する平歯車25と旋回可能に連結されている。パネル21、22の各々の合致する端は、パネル21、22が仕切り壁10の収縮および拡張の間に同じ速さで外向きおよび内向きに移動することを確保するために、それ自体の平歯車25を有している。望まれる場合、緩衝ピンまたは他の機構が、仕切り壁10がその展開位置へと変位される場合にパネル21、22の突き合う端の内向きへの移動を制限するために、パネル21、22の平歯車25同士の間で横断して延び得る。
【0016】
仕切り壁10およびその構成部品が、図1Aに示すように展開位置にある場合に、パネル21、22の外面は空洞壁16Aから水平方向に離されている。従来の折り畳み式仕切り壁では、天井空洞16の内部およびその拡がりは、仕切り壁が展開される場合に、床面から見ることができる。仕切り壁の全長に沿って天井空洞の深さおよび広がりが見えることは、視覚的に魅力的でない場合があり、そのため一部の例では望ましくない。これらの従来の折り畳み式仕切り壁と対照的に、本明細書で開示されている仕切り壁10は、展開位置にある場合に天井13における空洞16を少なくとも部分的に隠す天井空洞カバーアセンブリ30を備える。
【0017】
なおも図1Aを参照すると、カバーアセンブリ30は、少なくとも展開位置において実質的に水平方向に配向されて、空洞16へのアクセスを提供する天井13における開口13Aを実質的に覆うことで、天井13における空洞16を隠すカバーパネル31を有する。描写した実施形態では、カバーアセンブリ30は、2つのカバーパネル31を有するが、望まれる場合、より多くのカバーパネルが可能である。各々のカバーパネル31は、支持体のうちの最上位の支持体23Aに連結される中心または内側の第1端部31Aを有する。第1端部31Aは、カバーパネル31が展開されるときに中心平面CPの近くで位置決めされる各々のカバーパネル31の一部である。各々のカバーパネル31は、第1端部31Aから水平方向に離間されている反対の第2端部31Bも有する。描写した実施形態では、カバーアセンブリ30が展開位置にある場合、各々のカバーパネル31の第2端部31Bは、対応する空洞壁16Aに近接して配置される。したがって、第2端部31Bは、空洞壁16Aのうちの対応する空洞壁16Aの近くに離間される。描写した実施形態では、各々のカバーパネル31の第2端部31Bは、対応する空洞壁16Aの表面に当接しない。したがって、第2端部31Bおよびカバーパネル31は、空洞壁16Aとの摩擦抵抗を生じることなく、空洞壁16Aに対して変位させることができる。したがって、展開位置にある場合に、各々のカバーパネル31は、空洞16の水平方向の延在にわたって広がり、それによって空洞16を隠すのを助けることは、理解され得るだろう。仕切り壁10の構成部品であるとしてここでは図示および記載されているが、カバーアセンブリ30は、別体で提供され、既存の鉛直方向に折り畳める仕切り壁と一緒に動作するように適合されてもよい。
【0018】
カバーパネル31は展開位置と保管位置との間で変位される。展開位置では、図1Aに示しているように、カバーパネル31は、第1の共通の水平方向平面HPにおいて延び、空洞16を隠すために天井13と実質的に同一平面となっている。そのため、展開位置では、各々のカバーパネル31の少なくとも外側の視認可能な平面の表面が、天井13の外側の視認可能な表面と実質的に面一または同じ高さである。そのため、カバーパネル31は、空洞壁16Aの下縁に広がることで、空洞16の空所を閉止して隠す。一部の構成では、展開位置においてカバーパネル31によって定められた第1の水平方向平面HPは、空洞16がカバーパネル31によって隠されたままであるという条件で、天井13の若干上方または若干下方であり得る。展開位置の描写された実施形態では、水平方向のカバーパネル31は、完全な天井13と整列して、連続した一枚に見える完全な天井を提供している。保管位置において(例えば、図5D参照)、カバーパネル31は、第1の水平方向平面HPより高い第2の共通の水平方向平面HPにおいて延びている。第2の水平方向平面HPは天井13の水平方向の平面よりも高い。
【0019】
図1Aおよび図1Bを参照すると、各々のカバーパネル31の第2端部31Bは、第2端部31Bの長さに沿って延びる外縁32を有する。シール部材33が、外縁32に取り付けられ、外縁32の長さに沿って延びている。シール部材33は、空洞壁16Aに向かって外縁32から離れるように延びており、そのため、空洞16をさらに隠すのを助けている。図1Bでは、シール部材33は、空洞壁16Aの各々から離れるように延びている空洞シール部材34と協働する。より具体的には、シール部材33は、空洞シール部材34の上に位置して重なる。固定された重なるシール部材33、34および/または機械的シールのこの配置は、空洞壁16Aと、カバーパネル31の外縁32との間に音響的なシールを形成するために使用され得る。
【0020】
カバーパネル31には、仕切り壁10の全体の機能性を向上するために、他の特徴が設けられてもよい。例えば、図1Aおよび図1Bに示しているように、各々のカバーパネル31の床を向く下面31Cは、カバーパネル31が音響的な遮蔽を提供するのを助けるために、音遮蔽タイル35を備える。図1Bに示しているように、音遮蔽タイル35は、展開位置において、音遮蔽タイル35が天井13と同じ高さとなり、第1の水平方向平面HP内に位置するように、各々のカバーパネル31の下面31Cに適用される。
【0021】
図1Cは、カバーアセンブリ30によって隠される天井13における空洞116の別の実施形態を示している。この実施形態では、天井13は、ワイヤ17によって頭上の構造体11から吊り下げられており、そのため、この実施形態では天井13から頭上の構造体11へと延びる鉛直方向の空洞壁16Aがない。そのため、ワイヤ17によって吊り下げられた天井13と頭上の構造体11との間の空間は、空洞116を天井13内に定めている。描写した実施形態では、天井13は、天井13の上方部に沿って延びる連続的な音響的な遮蔽体18を有している。シール部材133が、カバーパネル31の外縁132に取り付けられ、外縁132の長さに沿って延びている。シール部材133は、ワイヤ17に向かって外縁132から離れるように延びており、そのため、空洞116をさらに隠すのを助けている。
【0022】
図1Aを参照すると、仕切り壁10は移動機構40も備えている。移動機構40は、パネルアセンブリ20およびカバーアセンブリ30を、展開位置と保管位置との間で変位させる。移動機構40は、頭上の構造体11に取り付けられた懸架装置14によって少なくとも部分的に支持される。移動機構40は、パネルアセンブリ20およびカバーアセンブリ30を保管位置と展開位置との間で移動するために、鉛直方向に離間された支持体23および下リンク機構24の各々と係合する。パネルアセンブリ20を移動する場合に、移動機構40は、各々のパネルアセンブリ20のパネル21、22を倒して延ばすためにパネルアセンブリ20が保管位置と展開位置との間で移動される場合に、同じパネルアセンブリ20の反対の端同士の間の距離を変化させる。カバーアセンブリ30を移動する場合、移動機構40は、パネルアセンブリ20が保管位置と展開位置との間で移動される場合に、天井13に対して(つまり、天井13に向かって、および、天井13から離すように)カバーパネル31を鉛直方向に変位させる。パネルアセンブリ20およびカバーアセンブリ30の移動は、後でより詳細に記載されている。
【0023】
描写した実施形態では、移動機構40は、折り畳み可能なリンクアーム41を備えている。各々のリンクアーム41は、懸架装置14に旋回可能に連結された上端41Aと、最上位の支持体23Aに旋回可能に連結された下端41Bとの間に延びている。リンクアーム41の各々は、リンクアーム41を折り畳み可能に倒して延ばすことができるように、リンクアーム41の長手方向の中間位置において旋回の点または継手42も有している。各々の端41A、41Bと旋回継手42とにおける旋回連結は、リンクアーム41を、展開位置にある場合に実質的に鉛直方向に各々延ばすことができ、保管位置にある場合に横方向外側に実質的に水平方向に延ばすことができる。
【0024】
図2は、最上位の支持体23Aの実施形態を示している。最上位の支持体23Aは、1つまたは複数の滑車ピン27を伴う滑車支持体26を有している。最上位の支持体23Aは、上方キッカー部材28と下方キッカー部材29とをも有している。
【0025】
上方キッカー部材28は、実質的にL字形とされ、例えば旋回部28Aにおいて、カバーパネル31のうちの1つに各々旋回可能に連結される。したがって、各々のカバーパネル31の内側または第1端部31Aが最上位の支持体23Aに対して旋回可能に連結されることは理解され得るだろう。この旋回可能な連結は、カバーパネル31を、カバーパネル31の上方の空洞16へのアクセスのために、手作業で上向きに回転させることができる。各々の上方キッカー部材28は、旋回部28Aから上向きに、対応するリンクアーム41の当接部材41Cの近くに延びるより小さい上方脚部28Bと、旋回部28Aから、図示した実施形態では滑車ピン27であるトリガ要素に隣接する場所へと延びるより長い内側脚部28Cとを有する。内側脚部28Cは、滑車ピン27の上方に位置付けられている。上方キッカー部材28は、2つの位置、つまり、休止位置と、リンクアーム41の折り畳みをソフトスタートさせるために上方脚部28Bが当接部材41Cに押当る係合位置(点線で示されている)とで示されている。各々の上方キッカー部材28は、滑車支持体26および滑車ピン27が上向きに移動し始めるとき、滑車ピン27が各々の上方キッカー部材28の内側脚部28Cに接触して上向きに押し、上方キッカー部材28を係合位置に向けて旋回させ、その係合位置において、各々の上方脚部28Bが対応するリンクアーム41の当接部材41Cに外に向けて押し当たることで、各々の折り畳み可能なリンクアーム41をその折り畳み位置に向かって外へと押すような大きさとされている。上方脚部28Bのこの外方への変位は、リンクアーム41が内向きに引っ掛からないこと、または、折り畳まないことを確保するのを助ける。リンクアーム41(図1A参照)の上端41Aにおけるストッパーピンが、懸架装置14に圧し掛かり、リンクアーム41が内向きに折り畳むのを防止するために、リンクアーム41を若干外向きに傾斜させたままにもする。
【0026】
下方キッカー部材29は、実質的にZ字形とされ、連結されているパネルアセンブリ20の上方パネル21に、例えば対応する旋回部29Aによって、各々旋回可能に連結されている。したがって、パネルアセンブリ20のうちの最上位が、最上位の支持体23Aに旋回可能に連結される上端または上方端を有することは、理解できるだろう。各々の下方キッカー部材29は、それぞれの上方パネル21の近くで、旋回部29Aから下向きに延びるより小さい下方脚部29Bと、旋回部29Aから内向きに延びてから上向きに延びるより長いL字形の上方脚部29Cとを有する。上方脚部29Cは斜めの端29Dを有する。各々の下方キッカー部材29は、最上位の支持体23Aが懸架装置14と近くなる場合、または、懸架装置14と接触する場合に、上方脚部29Cの斜めの端29Dが、懸架装置14に位置付けられたトリガ要素と係合するような大きさとされている。図1に示した実施形態では、トリガ要素は、懸架装置14から延びるピンであり、斜めの端29Dはそのピンにおいてスライドする。上方脚部29Cは、内向きに押され、下方キッカー部材29をその係合位置に向けて旋回させ、その係合位置において、各々の下方脚部29Bは、対応する上方パネル21に外に向けて押し当たることで、パネルアセンブリ20の上方パネル21をその折り畳み位置に向けて押す。
【0027】
図3Aおよび図3Bは、展開位置と保管位置との間での折り畳み可能なリンクアーム41の移行を示している。図3Aでは、上記のリンクアーム41の折り畳みが始まっている。移動機構40が最上位の支持体23Aを上向きの方向Dに沿って変位させるにつれて、カバーパネル31も、第1の水平方向平面HPから上向きに上昇させられる。方向Dに沿ったカバーパネル31の上向きの移動は、図3Bに示しているように、最終的に停止する。この保管位置において、折り畳み可能なリンクアーム41は、横方向外側に延びる。図3Bの保管位置に示しているように、カバーパネル31は、第1の水平方向平面HPより高い第2の水平方向平面HPにおいて延びている。描写した実施形態では、カバーパネル31は、保管位置と展開位置との間で移動機構40によって鉛直方向に変位されている間、実質的に水平方向なままである。
【0028】
図4Aおよび図4Bは、移動機構40の実施形態を示している。移動機構40はモータ43とケーブルおよびプーリアセンブリ44とを備えており、ケーブルおよびプーリアセンブリ44は、ケーブル45が、選択的に張力を加える、および、張力を解除するモータ43に動作可能に連結されたケーブル45と、ケーブル45に係合された複数のプーリとを備えている。
【0029】
複数のプーリは、支持体23の各々に回転可能に保持された支持プーリ46と、懸架装置14に回転可能に保持された複数の懸架プーリ47とを含んでいる。示した実施形態では、3つの支持プーリ46と3つの懸架プーリ47とが設けられており、第1の懸架プーリ47Aは、第2および第3の懸架プーリ47B、47Cの間に位置付けられている。安定化プーリ48も、第2および第3の懸架プーリ47B、47Cの下で隣接して懸架装置14に備え付けられている。懸架プーリ47の数は、提供されているパネルアセンブリの数に伴って変化する。各々のプーリ46、47は、軸の周りでの回転のために備え付けられている。支持プーリ46は、仕切り壁10の中心平面CPに対して中心付けられている。
【0030】
図4Bの具体的な実施形態では、ケーブル45は、モータ43から第1の懸架プーリ47Aの周りへと延び、次に最上位の支持体23Aの支持プーリ46Aへと下向きに延びている。次に、ケーブル45は、上方の支持プーリ46Aの周りで延び、上向きに第2の懸架プーリ47Bの周りへと延び、次に、下向きに第2の懸架プーリ47Bと安定化プーリ48との間に延び、別の支持体23の支持プーリ46Bへと延びる。次に、ケーブル45は、支持プーリ46Bの周りで延び、上向きに第3の懸架プーリ47Cの周りへと延び、次に、下向きに第3の懸架プーリ47Cと他方の安定化プーリ48との間に延び、別の支持体23の支持プーリ46Cへと延びる。ケーブル45は、支持プーリ46Cから上向きに安定化プーリ48へと延び、次に、ケーブル45が固定される下リンク機構24へと下に延びている。ケーブル45の下部は、下リンク機構24の一端から鉛直方向上向きに延びる中空の安定化ロッド49を通じて延びている。ケーブル45の端は、下リンク機構24に固定された固定部材49Bと螺合された水平方向のネジ付きロッドのリング形のヘッド49Aに取り付けられている。最下位のパネルアセンブリ20Aは、後でさらに記載されているものなど、所望の折り畳みの順番を得るときに支援するための付加された錘(バラスト)を備えてもよい。
【0031】
ここで図5A図5Dを参照すると、仕切り壁10の折り畳みおよび展開がさらに詳細に記載されている。仕切り壁10が真っ直ぐに展開され、天井構造体から床12へと鉛直方向下向きに延びる展開位置(図1に示しているような)から、仕切り壁10が上昇して天井13の空洞16内に保管されている保管位置まで(図5D)、仕切り壁10を移動することが望まれる場合、モータは、ケーブルが同時に等しく引っ張られるように作動される。図5Aに見られるように、最上位の支持体23Aのプーリは最初に上方に変位させられるが、これは、最上位の支持体23Aを持ち上げるために必要とされるケーブルにおける張力が、ケーブルおよびプーリアセンブリの構成ならびに/またはパネルアセンブリ20の相対的な重量のため、2つの支持体23の間の距離、または、最下位の支持体23Bと下リンク機構24との間の距離を小さくするために必要とされる張力より小さいためである。最上位の支持体23Aが上向きに変位させられるにつれて、懸架装置14のピンは最上位の支持体23Aの下方キッカー部材29と係合する。これは、最上位のパネルアセンブリ20Bのパネル21、22の折り畳み動作を支援し、それらの折り畳み動作のソフトスタートをもたらす。他の支持体23および下リンク機構24は、支持体23同士の間の距離と、支持体23Bと下リンク機構24との間の距離とを一定に維持しながら上向きに移動し、したがって、最上位のパネルアセンブリ20Bが折り畳まれているときは、他のパネルアセンブリ20はそれらの展開位置に維持される。
【0032】
図5Bに示すように、最上位のパネルアセンブリ20Bが、表面と表面とが重ね合わされた関係に完全に折り畳まれるように、最上位の支持体23Aが懸架装置14まで変位させられると、最上位の支持体23Aのピンは次の支持体23の下方キッカー部材と係合する。これは、次のパネルアセンブリ20のパネル21、22の折り畳み動作を支援し、それらパネルの折り畳み動作のソフトスタートをもたらす。残っている支持体23および下リンク機構24は、支持体23と下リンク機構24との間の距離を一定に維持することで、パネルアセンブリをそれらの展開位置で維持しつつ、上向きに移動する。
【0033】
図5Bに示しているように、上方のパネルアセンブリ20を表面と表面とが重ね合わされた関係に完全に折り畳まれるように、最上位の支持体23Aと次の支持体23とが懸架装置14まで変位させられると、次の支持体23のピンは支持体23Bの下方キッカー部材と係合する。これは、最下位のパネルアセンブリ20Aのパネル21、22の折り畳み動作を支援し、それらパネルの折り畳み動作のソフトスタートをもたらす。下リンク機構24は上向きに移動し、図5Cおよび図5Dに示しているように、最下位のパネルアセンブリ20Aを折り畳む。図5Dを参照すると、すべてのパネルアセンブリ20とカバーアセンブリ30とが、ここではそれらの保管位置になっている。最下位のパネルアセンブリ20Aの下方パネル22は、天井13と同じ高さ、つまり第1の水平方向平面HPと同じ高さであり、パネルアセンブリ20およびカバーアセンブリ30が保管位置にある場合に、天井13の空洞16を隠す。
【0034】
パネルアセンブリ20は、逆の流れで展開される。したがって、最下位のパネルアセンブリ20Aが最初に展開され、次のパネルアセンブリ20が続き、最後に最上位のパネルアセンブリ20Bが展開される。このような順番の折り畳みは、最下位のパネルアセンブリ20Aが最後に折り畳まれ、最初に展開され、通常はそれに隣接する任意の物体または占有者の通常の上の高さで行われるという点において、仕切り壁10の動作をより安全にさせることに寄与できる。パネルアセンブリ20が折り畳まれる、および、展開されるときの隣接するパネル21、22の間のピンチポイントは、比較的高所で、通常は部屋の占有者の上方で作り出される。比較的高所で折り畳まれ、展開されるパネルアセンブリ20は、仕切り壁10の底に沿って必要とされるクリアランスが小さいため、家具同士の間での仕切り壁10の取り付けを容易にすることができる。
【0035】
具体的な実施形態では、各々のパネルアセンブリ20は、仕切り壁10が完全に折り畳まれる場合に、パネルアセンブリ20の上端がその高さに相当する固定された高さに留まった状態で、その下端を上端に向けて移動することで折り畳まれ、そのため、各々のパネルアセンブリ20は、可能な最高の高さにおいて折り畳まれる。上部からのパネルアセンブリ20の順番の折り畳みがここでは記載されているが、パネルアセンブリ20の折り畳みの順番が異なってもよいことは、理解されるものである。例えば、パネルアセンブリ20は、対称的に(例えば、蛇腹のように)、不規則に、および、下から順番に、折り畳まれてもよい。
【0036】
図5A図5Dを参照すると、折り畳み可能な仕切り壁10を展開する方法も開示されている。方法は、パネルアセンブリ20を空洞16内におけるそれらの位置から降下するステップを含む。各々のパネルアセンブリ20は、空洞16内の重ね合わされた関係から直立の配向へと降下される。方法は、カバーパネル31が共通の水平方向平面HPにおいて延び、空洞16を隠すために天井13と実質的に同一平面となるまで、カバーパネル31を空洞16内から降下するステップも含む。
【0037】
先の記載は、例示だけであるように意味されており、当業者は、開示した発明の範囲から逸脱することなく、記載した実施形態に対して変更が行われ得ることを理解するものである。本発明の範囲内にある改良が、本開示の検討に鑑みて、当業者には明らかであり、このような改良は、添付の特許請求の範囲内にあるように意図されている。
【符号の説明】
【0038】
10 鉛直方向に折り畳める仕切り壁
11 頭上の構造体
12 床
13 天井
13A 開口
14 懸架装置
15 支持板
16 空洞
16A 空洞壁
17 ワイヤ
18 音響的な遮蔽体
20 パネルアセンブリ
20A 最下位のパネルアセンブリ
20B 最上位のパネルアセンブリ
21 上方パネル
22 下方パネル
23 支持体
23A 最上位の支持体
24 下リンク機構
25 平歯車
26 滑車支持体
27 滑車ピン
28 上方キッカー部材
28A 旋回部
28B 上方脚部
28C 内側脚部
29 下方キッカー部材
29A 旋回部
29B 下方脚部
29C 上方脚部
29D 斜めの端
30 天井空洞カバーアセンブリ
31 カバーパネル
31A 第1端部
31B 第2端部
31C 下面
32 外縁
33 シール部材
34 空洞シール部材
35 音遮蔽タイル
40 移動機構
41 リンクアーム
41A 上端
41B 下端
41C 当接部材
42 旋回点、継手
43 モータ
44 ケーブルおよびプーリアセンブリ
45 ケーブル
46,46A,46B,46C 支持プーリ
47 懸架プーリ
47A 第1の懸架プーリ
47B 第2の懸架プーリ
47C 第3の懸架プーリ
48 安定化プーリ
49 中空の安定化ロッド
49A ヘッド
49B 固定部材
116 空洞
132 外縁
133 シール部材
CP 中心平面
D 上向きの方向
HP 第1の共通の水平方向平面
HP 第2の共通の水平方向平面
図1A
図1B
図1C
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図5D