(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-13
(45)【発行日】2022-01-13
(54)【発明の名称】電気的接続装置及び特性測定方法
(51)【国際特許分類】
G01R 31/26 20200101AFI20220105BHJP
G01R 1/073 20060101ALI20220105BHJP
H05K 1/11 20060101ALI20220105BHJP
G01R 31/28 20060101ALI20220105BHJP
H01L 21/66 20060101ALI20220105BHJP
【FI】
G01R31/26 J
G01R1/073 E
H05K1/11 Z
G01R31/28 K
H01L21/66 B
(21)【出願番号】P 2017222710
(22)【出願日】2017-11-20
【審査請求日】2020-09-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000153018
【氏名又は名称】株式会社日本マイクロニクス
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100070024
【氏名又は名称】松永 宣行
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 達哉
【審査官】永井 皓喜
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-24031(JP,A)
【文献】特開2006-173476(JP,A)
【文献】特開平6-69296(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 31/26
G01R 1/073
G01R 31/28
H01L 21/66
H05K 1/11
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1構成の電気的接続装置を用いて、ウェハに形成された状態で半導体集積回路を測定するステップと、
半導体プロセスによって再配線層が形成された前記ウェハをチップ化して前記半導体集積回路ごとにパッケージングし、前記再配線層によって前記半導体集積回路の入出力パッドの間隔を拡張したパッケージ端子を有するパッケージ品を準備するステップと、
前記第1構成から一部の構成部品を変更した第2構成の前記電気的接続装置を用いて、前記パッケージ品を測定するステップと
を含
み、
前記第2構成は、前記第1構成から前記入出力パッドに接続するように配置された第1プローブ群を保持する第1プローブヘッドを含む一部の構成部品が取り外され、先端部が前記パッケージ端子に接続するようにプローブが配置された第2プローブ群を保持する第2プローブヘッドを含む新たな構成部品を追加した構成である
ことを特徴とする特性測定方法。
【請求項2】
前記第1構成が、
それぞれの先端部が前記半導体集積回路の前記入出力パッドに接続するように配置された
前記第1プローブ群を保持する
前記第1プローブヘッドと、
前記第1プローブ群のプローブのそれぞれと電気的に接続する複数の第1拡張端子を有し、前記第1拡張端子が前記第1プローブ群のプローブの基端部の間隔よりも広い第1の端子間隔で配置された第1スペーストランスフォーマと、
前記第1拡張端子のそれぞれと電気的に接続する複数の第2拡張端子を有し、前記第2拡張端子が前記第1の端子間隔よりも広い第2の端子間隔で配置された第2スペーストランスフォーマと、
前記第1スペーストランスフォーマと前記第2スペーストランスフォーマを介して前記第1プローブ群のプローブとそれぞれ電気的に接続される複数のランドが配置されたプリント基板と
をこの順に積層した構成であり、
前記第2構成が、
それぞれの先端部が前記パッケージ端子に接続し、且つ、基端部の間隔が前記第1の端子間隔であるようにプローブが配置された
前記第2プローブ群を保持する
前記第2プローブヘッドと、
前記第2拡張端子が前記第2プローブ群のプローブのそれぞれと電気的に接続する前記第2スペーストランスフォーマと、
前記ランドが、前記第2スペーストランスフォーマを介して前記第2プローブ群のプローブと電気的に接続される前記プリント基板と
をこの順に積層した構成である
ことを特徴とする請求項1に記載の特性測定方法。
【請求項3】
前記第1スペーストランスフォーマの第1主面に、前記第1プローブ群のプローブの基端部とそれぞれ接続する複数の第1接続端子が配置され、
前記第1スペーストランスフォーマの第1主面と対向する前記第1スペーストランスフォーマの第2主面に、前記第1接続端子のそれぞれと電気的に接続する複数の前記第1拡張端子が配置されている
ことを特徴とする請求項2に記載の特性測定方法。
【請求項4】
前記第2スペーストランスフォーマの第1主面に複数の第2接続端子が配置され、前記第2スペーストランスフォーマの第1主面に対向する前記第2スペーストランスフォーマの第2主面に前記第2接続端子のそれぞれと電気的に接続する複数の前記第2拡張端子が配置され、
前記第2接続端子が、前記第1構成においては前記第1スペーストランスフォーマの前記第1拡張端子と接触し、前記第2構成においては前記第2プローブヘッドが保持する前記第2プローブ群のプローブの基端部と接触する
ことを特徴とする請求項3に記載の特性測定方法。
【請求項5】
前記再配線層によって前記半導体集積回路の前記入出力パッドの間隔が前記第1の端子間隔に拡張され、
前記パッケージ端子が前記第1の端子間隔で配置されている
ことを特徴とする請求項2乃至4のいずれか1項に記載の特性測定方法。
【請求項6】
ウェハに形成された状態で半導体集積回路を測定するための第1構成と、
前記半導体集積回路の入出力パッドの間隔を拡張したパッケージ端子を有する前記半導体集積回路のパッケージ品を測定するための第2構成と
のいずれにも構成可能な電気的接続装置であって、
前記第1構成において前記入出力パッドと電気的に接続し前記第2構成において前記パッケージ端子と電気的に接続するランドが配置されたプリント基板、及び前記プリント基板に接続されて配線ピッチを変換するスペーストランスフォーマが前記第1構成と前記第2構成で共通であることを特徴とする電気的接続装置。
【請求項7】
前記第1構成が、
それぞれの先端部が前記半導体集積回路の前記入出力パッドに接続するように配置された第1プローブ群を保持する第1プローブヘッドと、
前記第1プローブ群のプローブのそれぞれと電気的に接続する複数の第1拡張端子を有し、前記第1拡張端子が前記第1プローブ群のプローブの基端部の間隔よりも広い第1の端子間隔で配置された第1スペーストランスフォーマと、
前記第1拡張端子のそれぞれと電気的に接続する複数の第2拡張端子を有し、前記第2拡張端子が前記第1の端子間隔よりも広い第2の端子間隔で配置された第2スペーストランスフォーマと、
前記第1スペーストランスフォーマと前記第2スペーストランスフォーマを介して前記第1プローブ群のプローブとそれぞれ電気的に接続される複数の前記ランドが配置された前記プリント基板と
をこの順に積層した構成であり、
前記第2構成が、
それぞれの先端部が前記パッケージ端子に接続し、且つ、基端部の間隔が前記第1の端子間隔であるようにプローブが配置された第2プローブ群を保持する第2プローブヘッドと、
前記第2拡張端子が前記第2プローブ群のプローブのそれぞれと電気的に接続する前記第2スペーストランスフォーマと、
前記ランドが、前記第2スペーストランスフォーマを介して前記第2プローブ群のプローブと電気的に接続される前記プリント基板と
をこの順に積層した構成である
ことを特徴とする請求項6に記載の電気的接続装置。
【請求項8】
前記第1スペーストランスフォーマの第1主面に、前記第1プローブ群のプローブの基端部とそれぞれ接続する複数の第1接続端子が配置され、
前記第1スペーストランスフォーマの第1主面と対向する前記第1スペーストランスフォーマの第2主面に、前記第1接続端子のそれぞれと電気的に接続する複数の前記第1拡張端子が配置されている
ことを特徴とする請求項7に記載の電気的接続装置。
【請求項9】
前記第2スペーストランスフォーマの第1主面に複数の第2接続端子が配置され、前記第2スペーストランスフォーマの第1主面に対向する前記第2スペーストランスフォーマの第2主面に前記第2接続端子のそれぞれと電気的に接続する複数の前記第2拡張端子が配置され、
前記第2接続端子が、前記第1構成においては前記第1スペーストランスフォーマの前記第1拡張端子と接触し、前記第2構成においては前記第2プローブヘッドの前記第2プローブ群のプローブの基端部と接触する
ことを特徴とする請求項8に記載の電気的接続装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検査体の電気的特性の測定に使用される電気的接続装置及び特性測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体集積回路などの被検査体の電気的特性を測定するために、被検査体に接触させるプローブを有する電気的接続装置が用いられている。電気的接続装置には、プローブを保持するプローブヘッドを、プローブと電気的に接続する端子(以下において「ランド」という。)が配置されたプリント基板に取り付けた構成が使用される。半導体集積回路の種類ごとに、電気的接続装置のプローブの配置を最適化する必要がある。このため、ピッチが異なる端子を有する半導体集積回路の測定に対応可能な測定装置が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
一般的に、ウェハに形成された状態での半導体集積回路の測定(以下において「ウェハ測定」という。)を行った後、半導体集積回路ごとにチップ化した個々の半導体チップをパッケージングしたパッケージ品の測定(以下において「チップ測定」という。)を行う。チップ測定は、ファンアウトのために半導体チップをパッケージ基板に搭載した状態で行われることがある。ここで、「ファンアウト」とは、半導体集積回路の入出力パッドからパッケージ品の端子まで配線を引き回すことをいう。ファンアウトによって、パッケージ品の端子の間隔は、半導体集積回路の入出力パッドの間隔よりも拡張される。
【0004】
しかし、半導体チップをパッケージ基板に搭載する方法では、半導体チップとパッケージ基板との接続信頼性に問題が生じる場合がある。また、パッケージ基板の厚みにより被検査体の低背化が困難である。
【0005】
このため、ウェハ測定の後に半導体プロセスによって形成する配線層(以下において「再配線層」という。)によって、ファンアウトする方法が開発されている。再配線層を形成する方法では、半田ボールなどをパッケージ品の端子として半導体集積回路のパッケージングが行われる。このため、チップ測定でパッケージ基板を使用せず、被検査体の低背化が可能である。更に、半導体集積回路の製造方法と同様の半導体プロセスによって再配線層を形成するため、接続信頼性が向上する。
【0006】
再配線層を形成してファンアウトすることを前提に、チップ測定に使用するパッケージ品の端子の間隔を考慮する必要なく、入出力パッドの間隔を狭くして半導体集積回路を微細化できる。このため、プローブの間隔を狭くした高密度なウェハ測定が可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、ウェハ測定に使用する半導体集積回路の入出力パッドとチップ測定に使用するパッケージ品の端子とでは配置間隔が異なるために、同一の半導体集積回路についてウェハ測定とチップ測定のそれぞれで異なる電気的接続装置を使用する必要があった。このため、測定コストが増大する問題があった。
【0009】
上記問題点に鑑み、本発明は、再配線層が形成される被検査体の測定コストを抑制できる電気的接続装置及び特性測定方法を提供することを目的とする。
【0010】
本発明の一態様によれば、第1構成の電気的接続装置を用いて、ウェハに形成された状態で半導体集積回路を測定するステップと、半導体プロセスによって再配線層が形成されたウェハをチップ化して半導体集積回路ごとにパッケージングし、再配線層によって半導体集積回路の入出力パッドの間隔を拡張したパッケージ端子を有するパッケージ品を準備するステップと、第1構成から一部の構成部品を変更した第2構成の電気的接続装置を用いて、パッケージ品を測定するステップを含み、第2構成は、第1構成から入出力パッドに接続するように配置された第1プローブ群を保持する第1プローブヘッドを含む一部の構成部品が取り外され、先端部がパッケージ端子に接続するようにプローブが配置された第2プローブ群を保持する第2プローブヘッドを含む新たな構成部品を追加した構成である特性測定方法が提供される。
【0011】
本発明の他の態様によれば、ウェハに形成された状態で半導体集積回路を測定するための第1構成と、半導体集積回路の入出力パッドの間隔を拡張したパッケージ端子を有する半導体集積回路のパッケージ品を測定するための第2構成とのいずれにも構成可能な電気的接続装置であって、第1構成において入出力パッドと電気的に接続し第2構成においてパッケージ端子と電気的に接続するランドが配置されたプリント基板、及びプリント基板に接続されて配線ピッチを変換するスペーストランスフォーマが第1構成と第2構成で共通である電気的接続装置が提供される。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、再配線層が形成される被検査体の測定コストを抑制できる電気的接続装置及び特性測定方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施形態に係る特性測定方法を説明するためのフローチャートである。
【
図2】再配線層を形成した半導体集積回路のパッケージングの方法を説明するための模式図である(その1)。
【
図3】再配線層を形成した半導体集積回路のパッケージングの方法を説明するための模式図である(その2)。
【
図4】本発明の実施形態に係る電気的接続装置を第1構成にしてウェハ測定に使用した状態を示す模式図である。
【
図5】本発明の実施形態に係る電気的接続装置を第1構成から第2構成に変更する方法を説明するための模式図である(その1)。
【
図6】本発明の実施形態に係る電気的接続装置を第1構成から第2構成に変更する方法を説明するための模式図である(その2)。
【
図7】本発明の実施形態に係る電気的接続装置を第1構成から第2構成に変更する方法を説明するための模式図である(その3)。
【
図8】本発明の実施形態に係る電気的接続装置を第2構成にしてチップ測定に使用した状態を示す模式図である。
【
図9】比較例の電気的接続装置の構成を示す模式図である。
【
図10】半導体集積回路の比較例のパッケージングの方法を説明するための模式図である。
【
図11】比較例の電気的接続装置のスペーストランスフォーマの内部配線の構成を示す模式的な断面図である。
【
図12】本発明の実施形態に係る電気的接続装置のスペーストランスフォーマの内部配線の構成を示す模式的な断面図である。
【
図13】他の比較例の電気的接続装置のスペーストランスフォーマの内部配線の構成を示す模式的な断面図である。
【
図14】本発明の実施形態に係る電気的接続装置の第1構成での配線ピッチの変換の例を示す模式図である。
【
図15】本発明の実施形態に係る電気的接続装置の第2構成での配線ピッチの変換の例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各部の厚みの比率などは現実のものとは異なることに留意すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることはもちろんである。以下に示す実施形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、この発明の実施形態は、構成部品の材質、形状、構造、配置などを下記のものに特定するものでない。
【0015】
本発明の実施形態に係る特性測定方法は、
図1に示すように、半導体集積回路が形成されたウェハを準備するステップS1と、第1構成の電気的接続装置を用いて、ウェハに形成された状態で半導体集積回路を測定するステップS2と、再配線層によって半導体集積回路の入出力パッドの間隔を拡張したパッケージ端子を有する半導体集積回路のパッケージ品を準備するステップS3と、第1構成から一部の構成部品を交換した第2構成の電気的接続装置を用いて、パッケージ品を測定するステップS4とを含む。
【0016】
半導体集積回路のパッケージ品は、半導体プロセスによって再配線層が形成されたウェハをチップ化し、半導体集積回路ごとにパッケージングしたものである。再配線層は、半導体集積回路のウェハ測定の後に形成される。ここで、実施形態に係る特性測定方法の詳細を説明する前に、再配線層が形成された半導体集積回路のパッケージングについて説明する。
【0017】
まず、
図2に示すように、入出力パッド111を有する半導体集積回路101が形成されたウェハ100に、半導体プロセスによって再配線層210を形成する。再配線層210は、絶縁膜211と、絶縁膜211に埋め込まれた配線パターン212を有する。なお、説明をわかりやすくするために、
図2には、1つの半導体集積回路101が形成された部分のみを示している。
【0018】
そして、
図3に示すように、ウェハ100を半導体集積回路101ごとにチップ化した半導体チップ110を封止樹脂220によって封止することにより、半導体集積回路101をパッケージングしたパッケージ品200が完成する。パッケージ品200には、パッケージ端子230が再配線層210の表面に形成されている。配線パターン212によって入出力パッド111よりも間隔が拡張されたパッケージ端子230には、半田ボールなどが使用される。
【0019】
次に、
図1に示した実施形態に係る特性測定方法について説明する。この特性測定方法では、以下に説明するように、ウェハ100に形成された状態で半導体集積回路101を測定するための第1構成と、パッケージ品200を測定するための第2構成とのいずれにも構成可能な電気的接続装置が使用される。
【0020】
まず、ステップS1において、再配線層210が形成される前の、半導体集積回路101の入出力パッド111が露出した状態のウェハ100を準備する。
【0021】
次に、ステップS2に相当するウェハ測定を行う。ウェハ測定は、
図4に示す第1構成の電気的接続装置1を用いて行われる。第1構成は、第1プローブヘッド11、第1スペーストランスフォーマ20、第2スペーストランスフォーマ30、及びプリント基板40がこの順に積層された構成である。
【0022】
第1プローブヘッド11は、それぞれの先端部が半導体集積回路101の入出力パッド111に接続するように配置された第1プローブ群を保持する。第1プローブ群を構成するプローブP11の間隔は、半導体集積回路101に配置された入出力パッド111の間隔に対応する。
【0023】
第1スペーストランスフォーマ20は、第1プローブ群のプローブP11のそれぞれと電気的に接続する複数の第1拡張端子22を有する。第1拡張端子22は、第1プローブ群のプローブP11の基端部の間隔よりも広い第1の端子間隔で配置されている。つまり、第1スペーストランスフォーマ20によって、第1プローブヘッド11の保持するプローブP11の基端部の間隔から第1の端子間隔に配線ピッチが拡張される。
【0024】
より具体的には、第1スペーストランスフォーマ20の第1プローブヘッド11と向かい合う第1主面に、第1プローブヘッド11の保持するプローブP11の基端部とそれぞれ接続する複数の第1接続端子21が配置されている。そして、第1主面と対向する第1スペーストランスフォーマ20の第2主面に、第1接続端子21のそれぞれと電気的に接続する複数の第1拡張端子22が第1の端子間隔で配置されている。第1接続端子21と第1拡張端子22は、第1スペーストランスフォーマ20の内部配線(図示略)によって接続されている。
【0025】
第2スペーストランスフォーマ30は、第1スペーストランスフォーマ20の第1拡張端子22のそれぞれと電気的に接続する複数の第2拡張端子32を有する。第2拡張端子32は、第1の端子間隔よりも広い第2の端子間隔で配置されている。つまり、第2スペーストランスフォーマ30によって、第1の端子間隔から第2の端子間隔に配線ピッチが拡張される。第2拡張端子32は、プリント基板40の複数のランド41とそれぞれ接続されている。
【0026】
より具体的には、第2スペーストランスフォーマ30の第1スペーストランスフォーマ20と向かい合う第1主面に複数の第2接続端子31が配置されている。そして、第1主面に対向する第2スペーストランスフォーマ30の第2主面に、第2接続端子31のそれぞれと電気的に接続する複数の第2拡張端子32が第2の端子間隔で配置されている。第2接続端子31と第2拡張端子32は、第2スペーストランスフォーマ30の内部配線(図示略)によって接続されている。
【0027】
このように、プリント基板40のランド41は、第1スペーストランスフォーマ20と第2スペーストランスフォーマ30を介して、第1プローブヘッド11の保持する第1プローブ群のプローブP11とそれぞれ電気的に接続される。
【0028】
ランド41は、図示を省略するICテスタなどの検査装置と電気的に接続される。検査装置によって半導体集積回路101に所定の電圧や電流が印加され、それに応じて半導体集積回路101から出力される信号が検査装置に送られ、半導体集積回路101の特性が検査される。
【0029】
上記のように、ウェハ測定では、第1スペーストランスフォーマ20及び第2スペーストランスフォーマ30が、プローブP11からプリント基板40のランド41までの配線ピッチを変換する。これにより、プローブP11の間隔よりもランド41の間隔を広くするファンアウトが行われる。
【0030】
上記のように、第1構成においては、第2スペーストランスフォーマ30の第2接続端子31が、第1スペーストランスフォーマ20の第1拡張端子22と接触している。
【0031】
ステップS3において、ウェハ測定の後、既に説明した再配線層210によって半導体集積回路101の入出力パッド111よりも間隔を拡張したパッケージ端子230を有するパッケージ品200を準備する。パッケージ端子230の間隔は、例えば第1の端子間隔に拡張される。
【0032】
次に、電気的接続装置1を第1構成から第2構成に変更する。以下に、
図5~
図7を参照して電気的接続装置1の構成を変更する方法を説明する。
【0033】
まず、
図5に示すように、第1スペーストランスフォーマ20から第1プローブヘッド11を取り外す。次いで、
図6に示すように、第1スペーストランスフォーマ20を第2スペーストランスフォーマ30から取り外す。
【0034】
その後、
図7に示すように、第2スペーストランスフォーマ30に第2プローブヘッド12を取り付ける。これにより、電気的接続装置1の構成が、第1構成から一部の構成部品を交換した第2構成に変更される。
【0035】
図7に示したように、電気的接続装置1の第2構成は、第2プローブヘッド12、第2スペーストランスフォーマ30、及び、プリント基板40をこの順に積層した構成である。プリント基板40と第2スペーストランスフォーマ30が積層された構成は、第1構成と第2構成で共通である。
【0036】
第2プローブヘッド12は、それぞれの先端部がパッケージ端子230に接続し、且つ、基端部の間隔が第1の端子間隔であるようにプローブP12が配置された第2プローブ群を保持する。第2プローブ群を構成するプローブP12の間隔は、パッケージ品200に配置されたパッケージ端子230の間隔に対応する。なお、パッケージ端子230の間隔が第1の端子間隔である場合には、プローブP12の先端部と基端部の間隔は第1の端子間隔である。
【0037】
第2構成においては、第2スペーストランスフォーマ30の第2接続端子31が第2プローブ群のプローブP12の基端部と接触し、第2拡張端子32がプリント基板40のランド41とそれぞれ接続する。このように、第2スペーストランスフォーマ30は、配線ピッチを、プローブP12の基端部の間隔から第2の端子間隔に拡張する。プリント基板40のランド41は、第2スペーストランスフォーマ30を介して第2プローブ群のプローブとそれぞれ電気的に接続される。
【0038】
電気的接続装置1の構成を第1構成から第2構成に変更した後、
図1のステップS4に相当するチップ測定を行う。即ち、
図8に示すように、プローブP12の先端部をパッケージ端子230に接続させて、電気的接続装置1を用いてパッケージ品200を測定する。
【0039】
上記に説明した実施形態に係る特性測定方法によれば、ウェハ測定とチップ測定で、電気的接続装置1の構成の一部を共通にできる。即ち、第1構成と第2構成で、プリント基板40及びプリント基板40に接続されて配線ピッチを変換する第2スペーストランスフォーマ30が共通である。このため、再配線層210が形成される半導体集積回路101の測定コストを抑制できる。
【0040】
なお、以下に示す比較例のように、パッケージングに用いるパッケージ基板をウェハ測定でスペーストランスフォーマとして使用する方法がある。即ち、
図9に示すように、ウェハ測定では、パッケージ基板50をスペーストランスフォーマとしてプリント基板60に取り付ける。そして、プローブヘッド13、パッケージ基板50及びプリント基板60を積層した構成の電気的接続装置によって、ウェハ100に形成された状態で半導体集積回路101を測定する。
【0041】
図9に示すウェハ測定では、プローブヘッド13が保持するプローブP13の先端部が半導体集積回路101の入出力パッド111に接続し、プローブP13の基端部がパッケージ基板50の接続端子51に接続する。接続端子51とパッケージ基板50の内部配線(図示略)によって電気的に接続する拡張端子52が、プリント基板60に配置されたランド61に接続する。
【0042】
その後、
図10に示すように、半導体集積回路101ごとにチップ化した個々の半導体チップ110をパッケージ基板50に実装し、封止樹脂220によって封止する。このとき、半導体チップ110の入出力パッド111に形成したパッケージ端子230が、パッケージ基板50の接続端子51に接続される。これにより、スペーストランスフォーマをパッケージ基板として使用できる。
【0043】
しかしながら、半導体チップ110とパッケージ基板50との接続信頼性の問題や、パッケージ基板50の厚みにより被検査体の低背化が困難である。更に、樹脂などからなるパッケージ基板50での配線パターンの微細化の限界により、再配線層210によって拡張される前の間隔が狭い入出力パッド111に対応させたプローブの間隔に、スペーストランスフォーマとして対応できない。
【0044】
これに対し、実施形態に係る電気的接続装置1では、第1スペーストランスフォーマ20の材料にガラスやシリコンなどを使用することにより、入出力パッド111の配置に対応させたプローブの間隔に合わせて微細な配線パターンを形成可能である。なお、第2スペーストランスフォーマ30やプリント基板40には樹脂などを使用可能である。
【0045】
また、第1スペーストランスフォーマ20のみによってファンアウトを行う場合には、配線パターンの微細化によって配線抵抗が増大する。しかし、実施形態に係る電気的接続装置1の第1構成では、複数のスペーストランスフォーマを使用する。つまり、ファンアウトするための配線ピッチの変換が複数のスペーストランスフォーマに分散して行われる。このため、配線抵抗の増大を抑制することができる。
【0046】
図11に、樹脂基板を用いた比較例のスペーストランスフォーマ70の内部配線の構成例を示す。スペーストランスフォーマ70によって、接続端子71の配線ピッチが拡張端子72の配線ピッチに変換される。また、
図12に第1スペーストランスフォーマ20と第2スペーストランスフォーマ30の内部配線の構成例を示す。比較例のスペーストランスフォーマ70や第2スペーストランスフォーマ30では、従来から使用されている樹脂基板における内部配線の導体抵抗を増大させないために、内部配線の配線ピッチの微細化が抑制される。つまり、スペーストランスフォーマ70の配線抵抗を抑制できる配線ピッチは、第2スペーストランスフォーマ30の配線ピッチと同程度である。
【0047】
一方、
図12に示した第1スペーストランスフォーマ20と第2スペーストランスフォーマ30を積層した構成では、配線抵抗の観点から従来の樹脂基板では対応が難しいプローブの間隔が狭いプローブヘッドについても配線ピッチの変換が可能である。比較例のスペーストランスフォーマ70によって実施形態に係る電気的接続装置1と同様の配線ピッチの変換をするためには、内部配線の配線長を長くし、且つ、微細化するために配線幅を細くする必要がある。このため、内部配線の導体抵抗が増大する。
【0048】
或いは、内部配線の構成例を
図13に示すようにして、実施形態に係る電気的接続装置1と同様の配線ピッチの変換を1つのスペーストランスフォーマ80で行うことも考えられる。スペーストランスフォーマ80によって、接続端子81の配線ピッチが拡張端子82の配線ピッチに変換される。しかしながら、その場合には内部配線の層数が増大する問題がある。
【0049】
例えば
図12に示した第1スペーストランスフォーマ20及び第2スペーストランスフォーマ30の内部配線はそれぞれ1層である。これに対し、
図13に示した比較例のスペーストランスフォーマ80の内部配線は3層である。このように、電気的接続装置1によれば、配線ピッチの変換を複数のスペーストランスフォーマに分散しない場合に比べて内部配線の層数を少なくできる。このため、実施形態によればスペーストランスフォーマの製造コストを低減できる。また、スペーストランスフォーマの製造期間を短縮できる。
【0050】
以上に説明したように、第1構成では、第1スペーストランスフォーマ20と第2スペーストランスフォーマ30によって、2段階に配線ピッチが拡張される。一方、第2構成では、第2スペーストランスフォーマ30のみによって配線ピッチが拡張される。以下に、配線ピッチを変換する例を示す。
【0051】
例えば、第1プローブヘッド11の保持するプローブP11の基端部が30μm~50μmの間隔D0で配置されているとする。このとき、第1構成では、
図14に示すように、第1スペーストランスフォーマ20によって、間隔D0から100μm~150μmの第1端子間隔D1に配線ピッチを拡張する。そして、第2スペーストランスフォーマ30によって、第1端子間隔D1から0.8mm~1.0mmの第2端子間隔D2に配線ピッチを拡張する。このため、プリント基板40のランド41の間隔は第2端子間隔D2の0.8mm~1.0mmである。
【0052】
一方、第2プローブヘッド12の保持するプローブP12の基端部は第1端子間隔D1で配置されている。そして、第2構成において、
図15に示すように、第2スペーストランスフォーマ30によって、第1端子間隔D1から第2端子間隔D2に配線ピッチが拡張される。
【0053】
上記のように、実施形態に係る電気的接続装置1によれば、複数のスペーストランスフォーマに配線ピッチの変換を分散することにより、それぞれのスペーストランスフォーマの配線パターンの層数を削減できる。これにより、ファンアウトによる配線抵抗の増大を抑制すると共に、電気的接続装置1の製造コストを抑制することができる。
【0054】
以上に説明したように、本発明の実施形態に係る電気的接続装置及び特性測定方法によれば、再配線層210を形成することにより可能となる高密度なウェハ測定に対応可能である。更に、ウェハ測定とチップ測定で電気的接続装置1の構成の一部を共通にすることにより、測定コストを抑制することができる。
【0055】
(その他の実施形態)
上記のように本発明は実施形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0056】
例えば、上記では、ウェハ測定で使用するスペーストランスフォーマが2枚であり、チップ測定で使用するスペーストランスフォーマが1枚である場合について説明した。しかし、スペーストランスフォーマの枚数がこれらに限定されないことはもちろんである。ただし、チップ測定よりもウェハ測定の方がプローブの間隔が狭いため、配線ピッチの分散の観点から、チップ測定よりもウェハ測定でスペーストランスフォーマの枚数を多くすることが好ましい。
【0057】
このように、本発明はここでは記載していない様々な実施形態などを含むことはもちろんである。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【符号の説明】
【0058】
1…電気的接続装置
11…第1プローブヘッド
12…第2プローブヘッド
20…第1スペーストランスフォーマ
30…第2スペーストランスフォーマ
40…プリント基板
100…ウェハ
101…半導体集積回路
110…半導体チップ
111…入出力パッド
200…パッケージ品
210…再配線層
230…パッケージ端子