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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-13
(45)【発行日】2022-02-04
(54)【発明の名称】オゾン発生システム
(51)【国際特許分類】
   C01B 13/11 20060101AFI20220128BHJP
   A61L 9/015 20060101ALI20220128BHJP
   B65D 88/74 20060101ALN20220128BHJP
【FI】
C01B13/11 H
A61L9/015
B65D88/74
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2017228168
(22)【出願日】2017-11-28
(65)【公開番号】P2019099387
(43)【公開日】2019-06-24
【審査請求日】2020-08-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000004547
【氏名又は名称】日本特殊陶業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】松元 裕次
(72)【発明者】
【氏名】服部 洋一
(72)【発明者】
【氏名】庭屋 直生
【審査官】印出 亮太
(56)【参考文献】
【文献】実開平03-070727(JP,U)
【文献】特開平03-111055(JP,A)
【文献】特開平02-267101(JP,A)
【文献】特開2007-130483(JP,A)
【文献】特開2006-150317(JP,A)
【文献】特開平03-158487(JP,A)
【文献】特開平05-254804(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 13/00
A61L 9/00
C25B 1/13
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
周囲の空間との通気が規制された内部の空間を有する構造物内に、
オゾンを発生させるとともに、該オゾンを自身の装置内から該装置外に供給するオゾン発生装置を備えた、オゾン発生システムであって、
前記オゾン発生装置は、
バッテリの電力によって駆動され、前記オゾンを発生させるオゾン発生器と、
前記オゾン発生器に供給する前記電力の制御を行うオゾン制御部と、
前記バッテリの電力によって駆動され、前記オゾン発生器で発生した前記オゾンを前記装置内から前記装置外に排出するファンと、
前記ファンの駆動状態を制御するファン制御部と、
前記バッテリの電圧を検出するバッテリ電圧検出部と、
前記バッテリの電圧が、所定の判定値以下に低下したか否かを判定する電圧判定部と、
前記バッテリの電圧が、前記判定値以下に低下した場合には、前記オゾン制御部によって、前記オゾン発生器に供給する電力を抑制する電力抑制制御を行う抑制制御部と、
を備え、
前記抑制制御部は、前記オゾン発生器に供給する電力を所定の最低値に設定する
ゾン発生システム。
【請求項2】
周囲の空間との通気が規制された内部の空間を有する構造物内に、
オゾンを発生させるとともに、該オゾンを自身の装置内から該装置外に供給するオゾン発生装置を備えた、オゾン発生システムであって、
前記オゾン発生装置は、
バッテリの電力によって駆動され、前記オゾンを発生させるオゾン発生器と、
前記オゾン発生器に供給する前記電力の制御を行うオゾン制御部と、
前記バッテリの電力によって駆動され、前記オゾン発生器で発生した前記オゾンを前記装置内から前記装置外に排出するファンと、
前記ファンの駆動状態を制御するファン制御部と、
前記バッテリの電圧を検出するバッテリ電圧検出部と、
前記バッテリの電圧が、所定の判定値以下に低下したか否かを判定する電圧判定部と、
前記バッテリの電圧が、前記判定値以下に低下した場合には、前記ファン制御部によって、前記ファンに供給する電力を抑制する電力抑制制御を行う抑制制御部と、
を備え、
前記抑制制御部は、前記ファンに供給する電力を所定の最低値に設定する
ゾン発生システム。
【請求項3】
周囲の空間との通気が規制された内部の空間を有する構造物内に、
オゾンを発生させるとともに、該オゾンを自身の装置内から該装置外に供給するオゾン発生装置を備えた、オゾン発生システムであって、
前記オゾン発生装置は、
バッテリの電力によって駆動され、前記オゾンを発生させるオゾン発生器と、
前記オゾン発生器に供給する前記電力の制御を行うオゾン制御部と、
前記バッテリの電力によって駆動され、前記オゾン発生器で発生した前記オゾンを前記装置内から前記装置外に排出するファンと、
前記ファンの駆動状態を制御するファン制御部と、
前記バッテリの電圧を検出するバッテリ電圧検出部と、
前記バッテリの電圧が、所定の判定値以下に低下したか否かを判定する電圧判定部と、
前記バッテリの電圧が、前記判定値以下に低下した場合には、前記オゾン制御部によって、前記オゾン発生器に供給する電力を抑制する電力抑制制御を行う抑制制御部と、
を備え、
前記判定値を複数設け、
前記判定値で区分される領域に応じて、前記オゾン発生器に供給する電力の上限値を設定する
ゾン発生システム。
【請求項4】
周囲の空間との通気が規制された内部の空間を有する構造物内に、
オゾンを発生させるとともに、該オゾンを自身の装置内から該装置外に供給するオゾン発生装置を備えた、オゾン発生システムであって、
前記オゾン発生装置は、
バッテリの電力によって駆動され、前記オゾンを発生させるオゾン発生器と、
前記オゾン発生器に供給する前記電力の制御を行うオゾン制御部と、
前記バッテリの電力によって駆動され、前記オゾン発生器で発生した前記オゾンを前記装置内から前記装置外に排出するファンと、
前記ファンの駆動状態を制御するファン制御部と、
前記バッテリの電圧を検出するバッテリ電圧検出部と、
前記バッテリの電圧が、所定の判定値以下に低下したか否かを判定する電圧判定部と、
前記バッテリの電圧が、前記判定値以下に低下した場合には、前記ファン制御部によって、前記ファンに供給する電力を抑制する電力抑制制御を行う抑制制御部と、
を備え、
前記判定値を複数設け、
前記判定値で区分される領域に応じて、前記ファンに供給する電力の上限値を設定する
ゾン発生システム。
【請求項5】
周囲の空間との通気が規制された内部の空間を有する構造物内に、
オゾンを発生させるとともに、該オゾンを自身の装置内から該装置外に供給するオゾン発生装置を備えた、オゾン発生システムであって、
前記オゾン発生装置は、
バッテリの電力によって駆動され、前記オゾンを発生させるオゾン発生器と、
前記オゾン発生器に供給する前記電力の制御を行うオゾン制御部と、
前記バッテリの電力によって駆動され、前記オゾン発生器で発生した前記オゾンを前記装置内から前記装置外に排出するファンと、
前記ファンの駆動状態を制御するファン制御部と、
前記バッテリの電圧を検出するバッテリ電圧検出部と、
前記バッテリの電圧が、所定の判定値以下に低下したか否かを判定する電圧判定部と、
前記バッテリの電圧が、前記判定値以下に低下した場合には、前記オゾン制御部によって、前記オゾン発生器に供給する電力を抑制する電力抑制制御を行う抑制制御部と、
を備え、
前記装置内の内部空間又は前記装置外の外部空間のオゾン濃度が目標オゾン濃度となるように、前記オゾン発生器に供給する電力のフィードバック制御を行う
ゾン発生システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、例えばコンテナや貯蔵庫の内部などでオゾンを発生させることができるオゾン発生システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、オゾンは、酸化殺菌剤として利用されており、例えば食品分野や半導体製造分野などにおいても、広く利用されている。
このオゾンを発生する装置としては、例えば、無声放電又は沿面放電によって高濃度のオゾンを発生する装置が知られている。具体的には、高圧電極と接地電極とによって放電セルを構成し、両電極間に酸素ガスを供給して高電圧を印加することによって、高濃度のオゾンを発生させるオゾン発生装置が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5193086号公報参照
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、例えば輸送用のコンテナ内にオゾン発生装置を配置した場合には、コンテナ内のオゾン発生装置には、外部から商用電源によって電力を供給できない。そのため、オゾン発生装置の電源は、コンテナ内に配置されたバッテリになる。
【0005】
ところが、例えば日本から東南アジアにコンテナを船舶輸送するような場合には、2~3週間程度かかるので、バッテリによって常に最大電力でオゾンを発生させると、輸送途中でバッテリの電力がなくなってしまう。
【0006】
一方、バッテリによって常に最小電力でオゾンを発生させると、バッテリの電力は持つかもしれないが、オゾンによるカビ菌殺菌効果が十分に発揮できないという問題がある。
本開示は、かかる背景に鑑みてなされたものであり、その目的は、構造物内において、バッテリの消耗を抑制して、長時間にわたって好適にオゾンを供給できるオゾン発生システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本開示の第1局面は、周囲の空間との通気が規制された内部の空間を有する構造物内に、オゾンを発生させるとともに、オゾンを自身の装置内から装置外に供給するオゾン発生装置を備えた、オゾン発生システムに関するものである。
【0008】
このオゾン発生装置は、バッテリの電力によって駆動され、オゾンを発生させるオゾン発生器と、オゾン発生器に供給する電力の制御を行うオゾン制御部と、バッテリの電力によって駆動され、オゾン発生器で発生したオゾンを装置内から装置外に排出するファンと、ファンの駆動状態を制御するファン制御部と、を備えている。
【0009】
また、バッテリの電圧を検出するバッテリ電圧検出部と、バッテリの電圧が、所定の判定値以下に低下したか否かを判定する電圧判定部と、バッテリの電圧が、判定値以下に低下した場合には、オゾン制御部及び/又はファン制御部によって、オゾン発生器に供給する電力及び/又はファンに供給する電力を抑制する電力抑制制御を行う抑制制御部と、を備えている。
【0010】
本第1局面では、バッテリの電圧を検出し、バッテリの電圧が所定の判定値以下に低下した場合には、オゾン制御部やファン制御部によって、オゾン発生器に供給する電力やファンに供給する電力を抑制することにより、バッテリの電力の消耗を抑制することができる。また、バッテリの電力の消耗を抑制できるので、最大電力でバッテリを使用した場合に比べて、長期間にわたって殺菌等に必要なオゾンを好適に供給することができる。
【0011】
つまり、本第1局面によれば、バッテリの消耗を抑制して、野菜や肉等の収容物を収容するコンテナ等の内部のオゾン濃度を、長期間にわたり、適切なオゾン濃度に保つことができる。例えば、最大電力でバッテリを使用した場合には、コンテナ等の搬送途中でバッテリの電力が不足して、オゾンを発生できないことがあるが、本第1局面によれば、そのようなバッテリ上がりの状態になることを抑制して、オゾンを期間にわたって発生することができる。
【0012】
これにより、コンテナ等の内部のオゾン濃度を、長期間にわたり、可能な範囲で適切なオゾン濃度に保つことができるので、カビ菌等の殺菌力を長期間にわたり好適に保持することができる。そのため、野菜や肉等の収容物の腐敗等を好適に抑制することができる。
【0013】
(2)本開示の第2局面では、抑制制御部により、オゾン発生器に供給する電力を所定の最低値に設定してもよい。
本第2局面では、オゾン発生器に供給する電力を所定の最低値に設定することにより、バッテリの電力の消耗を好適に抑制できる。なお、この電力の最低値とは、オゾンの発生が可能な範囲の最低値である。
【0014】
(3)本開示の第3局面では、抑制制御部により、ファンに供給する電力を所定の最低値に設定してもよい。
本第3局面では、ファンに供給する電力を所定の最低値に設定することにより、バッテリの電力の消耗を好適に抑制できる。なお、この電力の最低値とは、ファンによる送風が可能な範囲の最低値である。
【0015】
(4)本開示の第4局面では、判定値を複数設け、各判定値で区分される領域に応じて、オゾン発生器に供給する電力の上限値を設定してもよい。
本第4局面では、バッテリの電圧を判定するために、複数の判定値を備えている。そして、各判定値で区分される電圧の領域に応じて、オゾン発生器に供給する電力の上限値を設定する。これにより、オゾン発生量を好適に保ちつつ、バッテリの電力の消耗を好適に抑制できる。
【0016】
(5)本開示の第5局面では、判定値を複数設け、各判定値で区分される領域に応じて、ファンに供給する電力の上限値を設定してもよい。
本第5局面では、バッテリの電圧を判定するために、複数の判定値を備えている。そして、各判定値で区分される電圧の領域に応じて、ファンに供給する電力の上限値を設定する。これにより、ファンによる送風量(即ちファン風量)を好適に保ちつつ、バッテリの電力の消耗を好適に抑制できる。
【0017】
(6)本開示の第6局面では、装置内の内部空間又は装置外の外部空間のオゾン濃度が目標オゾン濃度となるように、オゾン発生器に供給する電力のフィードバック制御を行ってもよい。
【0018】
このようなフィードバック制御を行うことにより、内部空間又は外部空間のオゾン濃度を、好適に目標オゾン濃度となるように制御することができる。また、このようにフィードバック制御を行うことにより、バッテリの消耗も抑制できる。
【0019】
なお、上述のように使用できる電力が制限されている場合、例えば最小値が設定されている場合や上限値が設定されている場合には、その使用できる電力の範囲で、フィードバック制御を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】第1実施形態のオゾン発生システムの全体構成を示すブロック図である。
図2】第1実施形態のオゾン発生システムの制御部の構成を機能的に示すブロック図である。
図3】第1実施形態のオゾン発生システムのメインの制御処理の概要を示すフローチャートである。
図4】第1実施形態のオゾン発生システムのメインの制御処理の詳細を示すフローチャートである。
図5】第2実施形態の制御処理を示すフローチャートである。
図6】実験例1を示し、(a)は「制御なし」の場合の電力とオゾン濃度の変化を示すグラフ、(b)は「制御あり」の場合の電力とオゾン濃度の変化を示すグラフ、(c)は電池残量の径時変化を示すグラフである。
図7】実験例2を示し、(a)は「制御なし」の場合の電力とオゾン濃度の変化を示すグラフ、(b)は「制御あり」の場合の電力とオゾン濃度の変化を示すグラフ、(c)は電池残量の径時変化を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本開示が適用されたオゾン発生システムの実施形態について、図面を用いて説明する。
[1.第1実施形態]
[1-1.オゾン発生システムの全体構成]
図1に示すように、第1実施形態のオゾン発生システム1は、周囲の空間(外界)K1との通気が規制された内部の空間(K2)を有する構造物(例えばコンテナ)3内に、オゾンを発生させるとともに、オゾンを自身の装置5内から装置5外に供給するオゾン発生装置5を備えている。
【0022】
また、オゾン発生装置5の内部には、オゾン発生装置5内の空間である内部空間K3のオゾン濃度(即ち内部オゾン濃度)を検出する内部オゾンセンサ7を備えている。また、オゾン発生装置5の外部には、オゾン発生装置5外の空間(但し構造物3内の空間)である外部空間K4のオゾン濃度(即ち外部オゾン濃度)を検出する複数の外部オゾンセンサ9a、9b(9と総称する)を備えている。なお、図1では、2個の外部オゾンセンサ9を例示しているが、外部オゾンセンサ9は、1個であっても、3個以上であってもよい。
【0023】
さらに、オゾン発生装置5は、オゾンを発生させるオゾン発生器11と、オゾン発生器11にオゾンを発生させるための電力を供給する高圧電源13と、オゾン発生器11にて発生したオゾンを、装置5内から装置5外に排出する(即ち搬送する)ファン15と、オゾン発生装置5の動作の制御等を行う制御部17とを備えている。
【0024】
また、構造物3内には、オゾン発生装置5に電力を供給するバッテリ19が配置されている。
さらに、構造物3の外には、表示部21を備えた外部コントローラ23が配置されている。この外部コントローラ23は、無線通信にて、オゾン発生装置5(詳しくは制御部17)との情報の送受信や、オゾン発生装置5の動作を指示することが可能である。なお、外部コントローラ23とオゾン発生装置5とを有線にて接続してもよい。
【0025】
[1-2.オゾン発生システムの各構成]
次に、オゾン発生システム1の各構成について、更に詳しく説明する。
オゾン発生器11は、高圧電源13からの電力の供給を受けてオゾンを発生する周知のオゾン発生器11である。このオゾン発生器11としては、例えば、国際公開第2017/098987号に記載のオゾン発生器11を採用できる。
【0026】
このオゾン発生器11は、図示しないが、放電電極を有する複数の電極パネルを積層した構造を有し、隣接する電極パネル間に電圧を印加することによってプラズマを発生させるプラズマパネル積層体と、複数の電極パネルを積層方向に挟み込んで固定するクランプと、を備えるプラズマリアクタである。このオゾン発生器11では、電極パネル間に例えばパルス電圧を印加することにより、誘電体バリア放電が発生し、放電電極間に誘電体バリア放電によるプラズマが発生する。よって、このプラズマによって、空気中の酸素からオゾンが発生する。
【0027】
高圧電源13は、オゾン発生器11にてオゾンを発生させるために、例えばピーク電圧が5kV(パルス繰り返し周波数:100Hz)の前記パルス電圧を印加する電源である。なお、高圧電源13に対しては、電源19から制御部17を介して、オゾンの発生に必要な電力が供給される。
【0028】
従って、高圧電源13からオゾン発生器11に供給するパルス電圧を調節することにより、オゾン発生器11に供給する電力を制御できるので、オゾン発生器11にて発生するオゾン発生量(例えば単位時間当たりの発生量)を調節することができる。
【0029】
ファン15は、制御部17から電力を供給されるとともに、制御部17からの制御信号によって、その動作が制御される。つまり、ファン15による送風量(従ってオゾン搬送量)の調節が行われる。
【0030】
具体的には、ファン15に供給する電力が増加すると、ファン15の回転数が増加して、送風量(即ちファン風量)が増加する。例えば、ファン15を駆動するモータにパルス電圧を印加する場合には、そのパルス電圧を調節することにより、ファン15の回転数(従ってファン風量)を制御することができる。
【0031】
制御部17は、周知のマイクロコンピュータ等を備えた電子制御装置であり、図2に示すように、機能的に、ファン制御部25とオゾン制御部27と異常検出部29とバッテリ電圧検出部31と電圧判定部33と抑制制御部35とを有する。
【0032】
このうち、オゾン制御部27は、内部オゾンセンサ7や外部オゾンセンサ9からの信号に基づいて、内部空間K3のオゾン濃度が目標とする内部オゾン濃度(即ち目標内部オゾン濃度)となるように、或いは、外部空間K4のオゾン濃度が目標とする外部オゾン濃度(即ち目標外部オゾン濃度)となるように、高圧電源13の動作を制御する機能を有する。
【0033】
つまり、目標内部オゾン濃度又は目標外部オゾン濃度となるように、高圧電源13からオゾン発生器11に供給する電力を制御する機能、いわゆるフィードバック(FB)制御を行う機能を有する。
【0034】
ファン制御部25は、外部オゾンセンサ9からの信号に基づいて、外部空間K4のオゾン濃度が目標とする外部オゾン濃度(即ち目標外部オゾン濃度)となるように、ファン15に供給する電力を制御する機能、いわゆるフィードバック制御を行う機能を有する。
【0035】
異常検出部29は、オゾン発生器11の電圧及び/又は電流の異常を検出する。詳しくは、周知の電圧検知回路や電流検知回路(図示せず)により、オゾン発生器11自体に流れる電気の電圧及び/又は電流を検出して、その異常を検出する。また、高圧電源13からオゾン発生器11に供給される電気の電圧及び/又は電流を検出して、その異常を検出する。
【0036】
さらに、異常検出部29は、内部オゾンセンサ7及び/又は外部オゾンセンサ9からのオゾン濃度を示す信号を検出して、内部オゾン濃度及び/又は外部オゾン濃度の異常を検出する。
【0037】
バッテリ電圧検出部31は、周知のバッテリ19の電圧を検知する電圧検知回路(図示せず)からの信号に基づいて、バッテリ19の電圧を検出する機能を有する。
電圧判定部33は、バッテリ19の電圧が、所定の判定値(例えば24V)以下に低下したか否かを判定する機能を有する。
【0038】
抑制制御部35は、バッテリ19の電圧が、前記判定値以下に低下した場合には、オゾン制御部27及び/又はファン制御部25によって、オゾン発生器11に供給する電力及び/又はファン15に供給する電力を抑制する電力抑制制御を行う機能を有する。
【0039】
また、制御部17は、前記抑制制御部35等により、下記のような各種の制御を行うことができる。
(1)例えば、バッテリ19の電圧が所定の判定値以下となった場合には、オゾン発生器11に供給する電力を所定の最低値に設定する制御を行うことができる。
【0040】
(2)例えば、バッテリ19の電圧が所定の判定値以下となった場合には、ファン15に供給する電力を所定の最低値に設定することができる。
(3)前記判定値を複数設け、各判定値で区分される領域に応じて、オゾン発生器11に供給する電力の上限値を設定することができる。
【0041】
(4)前記判定値を複数設け、各判定値で区分される領域に応じて、ファン15に供給する電力の上限値を設定することができる。
また、外部オゾンセンサ9は、バッテリ19や、外部オゾンセンサ9自身の回路に配置されたセンサ用バッテリ(図示せず)からの電力を受けて駆動される。この外部オゾンセンサ9は、無線通信又は有線にて、制御部17に対して外部オゾン濃度に関する情報を送信することが可能である。また、外部オゾンセンサ9は。無線通信により構造物3の外部(例えば外部コントローラ23)と通信可能である。
【0042】
外部コントローラ23は、周知のマイクロコンピュータを備えた電子制御装置であり、構造物3の外部から、有線又は無線にて、オゾン発生器11におけるオゾンの発生及び停止を指示することができる装置である。
【0043】
この外部コントローラ23の表示部21は、オゾン発生装置5に関する動作(例えば「オゾン発生中」等)を表示することができる。また、表示部21では、内部オゾン濃度及び/又は外部オゾン濃度を表示することができる。
【0044】
[1-3.制御処理の全体の概略構成]
次に、本第1実施形態の制御部17にて実施される制御処理の全体の概略について、図3のフローチャートに基づいて説明する。なお、図3等のフローチャートでは、ステップをSと記す。
【0045】
図3に示すように、ステップ100にて、オゾン発生システム1の作動を指示する電源スイッチ(SW)がオン(ON)され、ステップ110にて、オゾンの発生を指示するオゾン発生スイッチ(SW)がオンされた場合には、下記のステップ120以降の処理に進む。
ステップ120では、内部オゾンセンサ7からの信号に基づいて、内部オゾン濃度を検知し、内部オゾン濃度が目標内部オゾン濃度となるように、オゾン発生用の電力の調整を行う。
【0046】
つまり、このステップ120の処理とは、目標内部オゾン濃度にするために、高圧電源13からオゾン発生器11に供給する電力(従ってオゾン発生量)を制御する処理である。即ち、内部オゾン濃度のフィードバック制御を行うものである。
【0047】
そして、目標内部オゾン濃度に達した場合には、下記のステップ130以降の処理に進む。
ステップ130では、外部オゾンセンサ9からの信号に基づいて、外部オゾン濃度を検知し、外部オゾン濃度が目標外部オゾン濃度となるように、ファン15に供給する電力の調整を行って、ファン風量を調整する。
【0048】
つまり、このステップ130の処理とは、目標外部オゾン濃度にするために、ファン15に供給する電力(従ってファン風量に対応するオゾン搬送量)を制御する処理である。即ち、外部オゾン濃度のフィードバック制御を行うものである。
【0049】
そして、この外部オゾン濃度のフィードバック制御によって、目標外部オゾン濃度に達した場合(即ち濃度調整OKの場合)には、外部オゾン濃度の調整が適切になされたとして、一旦本処理を終了する。つまり、オゾン発生スイッチや電源スイッチがオフされるまでは、上述した外部オゾン濃度を調整する処理を継続する。
【0050】
一方、一定時間、ファン風量を制御しても、目標外部オゾン濃度に達していないと判定された場合(即ち濃度調整NGの場合)には、外部オゾン濃度の調整が適切になされなかったとして、ステップ140に進む。
【0051】
ステップ140では、目標外部オゾン濃度となるように、オゾン発生のモードを切り替えて、オゾン発生量を制御する。
つまり、このステップ140の処理とは、目標外部オゾン濃度にするために、オゾン発生量を制御する処理である。即ち、オゾン発生量自体を変更して、外部オゾン濃度のフィードバック制御を行うものである。
【0052】
[1-4.制御処理の詳細な内容]
次に、前記図3にて示した制御処理(メインの制御処理)の内容を、図4に基づいて詳しく説明する。
【0053】
図4に示すように、ステップ200にて、オゾン発生システム1の作動を指示する電源スイッチがオンされ、ステップ210にて、オゾンの発生を指示するオゾン発生スイッチがオンされた場合には、下記のステップ220以降の処理に進む。
【0054】
なお、電源スイッチがオンされた場合には、そのことを示すLEDを点灯し、オゾン発生スイッチがオンされた場合には、そのことを示すLEDを点灯する。
ステップ220では、タイマ出力をオンし、タイマによる計時を開始する。
【0055】
続くステップ230では、内部オゾン濃度及び外部オゾン濃度の測定を開始するために、内部オゾンセンサ7及び外部オゾンセンサ9の駆動(即ち通電)を開始する。
続くステップ240では、オゾン発生器11にオゾンを発生させるために、オゾン発生器11に電力の供給を開始する。
【0056】
続くステップ250では、例えばオゾン濃度を設定するスイッチ等からの入力に基づいて、目標外部オゾン濃度を設定する。
続くステップ260では、内部オゾンセンサ7及び外部オゾンセンサ9への通電開始から、内部オゾンセンサ7及び外部オゾンセンサ9を活性化させるための時間が経過したか否かを判定する。ここで肯定判断されるとステップ270に進み、一方否定判断されると待機する。
【0057】
ステップ270では、オゾン発生量を所定の最小値(但し0を上回る下限値)に設定するとともに、ファン風量を所定の最小値(但し0を上回る下限値)に設定する。
例えば、オゾン発生量を最小値にするために、オゾン発生器11に供給する電力を所定の供給範囲における最小値(例えば4W)に設定するとともに、ファン風量を最小値にするために、ファン15に供給する電力を所定の供給範囲における最小値(例えば1W)に設定する。
【0058】
続くステップ280では、目標内部オゾン濃度となるように、オゾン発生器11に対する出力電力(第1出力電圧)を調整する。即ち、オゾン発生量を調整する。なお、この第1出力電圧は、前記ステップ270の固定の初期値である最小値とは異なり、通常のオゾン発生装置5の運転における目標内部オゾン濃度に応じた出力電力である。
【0059】
つまり、第1出力電力とは、目標内部オゾン濃度が、例えば0.05ppmに設定されている場合には、その目標内部オゾン濃度を実現するために、オゾン発生器11に対して出力される電力である。
【0060】
なお、この目標内部オゾン濃度を実現するための制御は、内部オゾン濃度に基づいて第1出力電圧を調整するフィードバック制御である。
続くステップ290では、バッテリ19の電圧(即ちバッテリ電圧)が、所定電圧(B1:例えば24V)以上であるか否か、即ち十分なバッテリ電圧であるか否かを判定する。ここで肯定判断されるとステップ330に進み、一方否定判断されるとステップ300に進む。
【0061】
ステップ300では、バッテリ電圧が低いので、バッテリ電圧と第1出力電圧の上限値との関係を示すマップを参照する。なお、このマップは、例えば制御部17のメモリ(図示せず)に記憶されている。
【0062】
このマップ(マップ1)とは、B1未満のバッテリ電圧の範囲において、バッテリ電圧を複数の領域で区分するように、バッテリ電圧の判定値を複数設けたものである。そして、各判定値で区分される領域に応じて、オゾン発生器11に供給する電力の上限値が設定されている。従って、このマップを用いることにより、バッテリ電圧に対応した電力の上限値を設定することができる。
【0063】
続くステップ310では、第1出力電圧が前記マップから得られた上限値以下であるか否かを判定する。ここで肯定判断されるとステップ330に進む、一方否定判断されるとステップ320に進む。
【0064】
ステップ320では、第1出力電圧を上限値に設定して、ステップ330に進む。つまり、バッテリ19の消耗を抑制するために、バッテリ19の出力電圧の上限を規定する。
ステップ330では、オゾン発生量の調整開始から所定時間(T1時間)経過したか否かを判定する。ここで肯定判断されるとステップ340に進み、一方否定判断されると、現状の出力電力を維持して、T1時間が経過するまで待機する。
【0065】
ステップ340では、内部オゾン濃度が、目標内部オゾン濃度のA倍に達したか否かを判定する。ここで肯定判断されるとステップ350に進み、一方否定判断されるとステップ280に戻る。
【0066】
なお、前記Aは1を上回る数値である。ここで、Aを1を上回る数値に設定したのは、内部オゾン濃度は、一時的また場所によって高い濃度になることがあるので、それを見込んで数値を設定したからである。つまり、平均すると内部オゾン濃度が低い場合でも、内部オゾン濃度が十分に高いと誤判断されることを防ぐためである。
【0067】
ステップ350では、外部オゾン濃度が、目標外部オゾン濃度に達したか否かを判定する。ここで肯定判断されるとステップ340に戻り、一方否定判断されるとステップ360に進む。
【0068】
ステップ360では、前記S350の処理の開始から所定時間(T2時間)経過したか否かを判定する。ここで肯定判断されるとステップ440に進み、一方否定判断されるとステップ370に進む。
【0069】
ステップ370では、外部オゾン濃度が低いので、ファン風量の調整を行う。詳しくは、今までのファン風量を増加させる処理を行う。
続くステップ390では、バッテリ電圧が、所定電圧(B2:例えば24V)以上であるか否か、即ち十分なバッテリ電圧であるか否かを判定する。ここで肯定判断されるとステップ430に進み、一方否定判断されるとステップ400に進む。
【0070】
ステップ400では、バッテリ電圧が低いので、バッテリ電圧とファン駆動用の出力電圧(第2出力電圧)の上限値との関係を示すマップを参照する。なお、このマップは、例えば制御部17のメモリに記憶されている。
【0071】
このマップ(マップ2)とは、B2未満のバッテリ電圧の範囲において、バッテリ電圧を複数の領域で区分するように、バッテリ電圧の判定値を複数設けたものである。そして、各判定値で区分される領域に応じて、ファン15に供給する電力の上限値が設定されている。従って、このマップを用いることにより、バッテリ電圧に対応した電力の上限値を設定することができる。
【0072】
続くステップ410では、第2出力電圧が前記マップから得られた上限値以下であるか否かを判定する。ここで肯定判断されるとステップ430に進む、一方否定判断されるとステップ420に進む。
【0073】
ステップ420では、第2出力電圧を上限値に設定して、ステップ430に進む。
ステップ430では、ファン風量の調整開始から所定時間(T3時間)経過したか否かを判定する。ここで肯定判断されるとステップ350に戻り、一方否定判断されると、現状のファン風量を維持して、T3時間が経過するまで待機する。
【0074】
一方、ステップ360で肯定判断されて進むステップ440では、目標外部オゾン濃度となるように、オゾン発生器11に対する出力電力を調整する。即ち、オゾン発生量を調整する。
【0075】
続くステップ450では、バッテリ電圧が、所定電圧(B3:例えば24V)以上であるか否か、即ち十分なバッテリ電圧であるか否かを判定する。ここで肯定判断されるとステップ490に進み、一方否定判断されるとステップ460に進む。
【0076】
ステップ460では、バッテリ電圧が低いので、バッテリ電圧とオゾン発生器11に供給する第1出力電圧の上限値との関係を示すマップを参照する。
このマップ(マップ3)とは、前記マップ1と同様に、B3未満のバッテリ電圧の範囲において、バッテリ電圧を複数の領域で区分するように、バッテリ電圧の判定値を複数設けたものである。なお、このマップとしては、前記マップ1を採用することもできる。
【0077】
続くステップ470では、第1出力電圧が前記マップから得られた上限値以下であるか否かを判定する。ここで肯定判断されるとステップ490に進む、一方否定判断されるとステップ480に進む。
【0078】
ステップ480では、第1出力電圧を上限値に設定して、ステップ490に進む。
ステップ490では、外部オゾン濃度が、目標外部オゾン濃度に達したか否かを判定する。ここで肯定判断されるとステップ340に戻り、一方否定判断されるとステップ360に戻る。
【0079】
ここで、前記各所定時間(T1、T2、T3)としては、例えば、それぞれ、1min、10min、2minを採用できる。なお、前記各所定時間(T1、T2、T3)は、構造物3の内部の空間K2の広さ等の周囲状況に応じて適宜設定される。
【0080】
なお、上述した処理は、オゾン発生スイッチや電源スイッチがオフされるまで継続される。
[1-5.効果]
次に、本第1実施形態の効果について説明する。
【0081】
(1)本第1実施形態では、バッテリ電圧を検出し、バッテリ電圧が、所定の判定値以下に低下した場合には、オゾン制御部27やファン制御部25によって、オゾン発生器11に供給する電力やファン15に供給する電力を抑制することにより、バッテリ19の電力の消耗を抑制することができる。また、バッテリ19の電力の消耗を抑制できるので、長期間にわたり、殺菌等に必要な量のオゾンを供給することができる。
【0082】
つまり、本第1実施形態によれば、バッテリ19の消耗を抑制して、野菜や肉等の収容物を収容するコンテナ等の内部のオゾン濃度を、長期間にわたり、適切なオゾン濃度に保つことができる。つまり、コンテナ等の内部のオゾン濃度を、長期間にわたり、適切なオゾン濃度に保つことができるので、カビ菌等の殺菌力を長期間にわたり好適に保持することができる。そのため、野菜や肉等の収容物の腐敗等を好適に抑制することができる。
【0083】
(2)本第1実施形態では、オゾン発生器11の制御に関して、バッテリ電圧を判定するために、判定値を複数設けている。そして、バッテリ電圧が低い場合には、各判定値で区分されるバッテリ電圧の領域に応じて、オゾン発生器11に供給する電力の上限値を設定する。これにより、オゾン発生量を確保しつつ、バッテリ19の電力の消耗を好適に抑制できる。
【0084】
(3)本第1実施形態では、ファン15の制御に関して、バッテリ電圧を判定するために、判定値を複数設けている。そして、バッテリ電圧が低い場合には、各判定値で区分されるバッテリ電圧の領域に応じて、ファン15に供給する電力の上限値を設定する。これにより、ファン風量を確保しつつ、バッテリ19の電力の消耗を好適に抑制できる。
【0085】
(4)本第1実施形態では、内部空間K3又は外部空間K4のオゾン濃度が目標オゾン濃度となるように、オゾン発生器11に供給する電力のフィードバック制御を行っているので、内部空間K3又は外部空間K4のオゾン濃度を、容易に目標オゾン濃度とすることができる。また、このようなフィードバック制御を行うことより、バッテリ19の消耗を抑制できる。
【0086】
[1-6.文言の対応関係]
ここで、文言の対応関係について説明する。
第1実施形態の、構造物3、オゾン発生装置5、オゾン発生システム1、バッテリ19、オゾン発生器11、オゾン制御部27、ファン15、ファン制御部25、バッテリ電圧検出部31、電圧判定部33、抑制制御部35が、それぞれ、本開示の、構造物、オゾン発生装置、オゾン発生システム、バッテリ、オゾン発生器、オゾン制御部、ファン、ファン制御部、バッテリ電圧検出部、電圧判定部、抑制制御部の一例に該当する。
【0087】
[2.第2実施形態]
次に、第2実施形態について説明するが、第1実施形態と同様な内容については、説明を省略又は簡略化する。なお、第1実施形態と同じ構成には、同じ番号を付す。
【0088】
本第2実施形態は、第1実施形態とは制御処理が異なるので、異なる制御処理について説明する。
本第2実施形態の制御処理は、バッテリ電圧が低い場合にバッテリ19の消耗を抑制するための制御処理である。
【0089】
図5のフローチャートに示すように、ステップ500にて、電源スイッチがオンされ、ステップ510にて、オゾン発生スイッチがオンされた場合には、下記のステップ520以降の処理に進む。なお、電源スイッチがオンされた場合には、そのことを示すLEDを点灯し、オゾン発生スイッチがオンされた場合には、そのことを示すLEDを点灯する。
【0090】
なお、ステップ520以降の処理は、所定周期ごとに繰り返し実施される。
ステップ520では、バッテリ電圧が所定電圧(B1:例えば23V)以上か否かを判定する。ここで肯定判断されるとステップ530に進み、一方否定判断されるとステップ540に進む。
【0091】
ステップ530では、通常制御を実施し、一旦本処理を終了する。例えば、前記第1実施形態のように、内部オゾン濃度が目標内部オゾン濃度となるように、オゾン発生量を調節する。また、外部オゾン濃度が目標外部オゾン濃度となるように、ファン風量を調節するとともに、オゾン発生量を調節する。例えば、外部オゾン濃度が低い場合には、オゾン発生量を増加する制御を行う。
【0092】
一方、ステップ540では、バッテリ19が消耗し、バッテリ残量が少ないことを、例えばLEDを点灯することなどによって報知する。
続くステップ550では、バッテリ19を使用するモードを低消費電力モードに設定する。例えば、低消費電力モードを示すフラグをセットする。
【0093】
続くステップ560では、オゾン発生量を最小値にセットする。
続くステップ570では、ファン風量を最小値にセットし、一旦本処理を終了する。
本第2実施形態では、基本的に第1実施形態と同様な効果を奏する。
【0094】
特に、本第2実施形態では、オゾン発生器11に供給する電力を所定の最小値に設定することにより、バッテリ19の電力の消耗を好適に抑制できる。
また、ファン15に供給する電力を所定の最小値に設定することにより、バッテリ19の電力の消耗を好適に抑制できる。
【0095】
[2.実験例]
次に、本開示の効果を確認するために行った実験例1、2について説明する。
<実験例1>
実験例1は、前記第1実施形態のオゾン発生システムにおいて、オゾンの発生とファンの駆動とを一旦停止した場合のオゾン濃度(外部オゾン濃度)を調べたものである。
【0096】
図6(a)は、高圧電源(即ちオゾン発生器)及びファンに供給する電力の合計を35W(1時間における平均)と一定にした場合のオゾン濃度の時間変化を示している。なお、オゾン発生器に供給する電力を20W、ファンの供給する電力を15Wと、それぞれ一定としている。
【0097】
なお、図6(a)においては、電力を線で示し、オゾン濃度を点で示している(以下、図6(b)、図7(a)、図7(b)も同様)
図6(b)は、オゾン発生システムの状態を、<1>、<2>、<3>、<4>の各期間のように切り替えたものである。なお、オゾン発生器の1時間における平均電力は16Wである。
【0098】
<1>では、オゾン発生器に24Wの電力を供給した。ファンに最小値1Wの電力を供給した。この状態では、オゾン濃度は若干高い。
<2>では、オゾン発生器に24Wの電力を供給した。ファンには最小値より多い11Wの電力を供給した。これにより、オゾン濃度が上昇した。
【0099】
<3>では、オゾンの発生を停止し、ファンも停止した。これによって、オゾン濃度は徐々に低下した。
<4>は、オゾン濃度が0.1ppm以下になったことを示している。この状態になったら、前記<1>に戻って、同様な制御を繰り返す。
【0100】
次に、前記図6(a)に示すような場合(制御なし)と、前記図6(b)に示すように制御した場合(制御あり)とに分けて、12V、50Ahの放電能力のバッテリを、下記の条件で使用する場合について説明する。
【0101】
・電圧 :24V(2個のバッテリを直列接続)
・バッテリ個数:16個(2個直列の24Vのバッテリを8組並列接続)
・電流能力 :50Ah×8並列=400Ah
[制御なしの場合]
前記図6(a)のような「制御なし」の場合には、図6(c)の破線で示すように、バッテリは短時間で消耗する。詳しくは、「制御なし」の場合には、下記の演算から、約11日で電池残量が0Ahとなることが分かる。
【0102】
35W/24V=1.46Ah
400Ah/1.46Ah=約274h=約11days(日)
[制御ありの場合]
前記図6(b)のような「制御あり」の場合には、図6(c)の実線で示すように、バッテリの寿命は長くなる。詳しくは、「制御あり」の場合には、下記の演算から、約25日で電池残量が0Ahとなることが分かる。
【0103】
16W/24V=0.66Ah
400Ah/0.66Ah=約600h=約25days(日)
<実験例2>
実験例2は、前記第1実施形態のオゾン発生システムにおいて、目標とするオゾン濃度(外部オゾン濃度)となるように、オゾンの発生とファンの駆動とを制御した場合を調べたものである。
【0104】
図7(a)は、高圧電源(即ちオゾン発生器)及びファンに供給する電力の合計を35W(平均電力)と一定にした場合のオゾン濃度の時間変化を示している。なお、オゾン発生器に供給する電力を24W、ファンの供給する電力を11Wと、それぞれ一定としている。
【0105】
図7(b)は、オゾン濃度をモニタしながら、目的とするオゾン濃度となるように、オゾン発生システムの状態を、<1>、<2>、<3>のように切り替えたものである。なお、オゾン発生器の平均電力は16Wである。
【0106】
<1>では、オゾン濃度を0.3ppmとするように、数日間駆動した。
<2>では、オゾン濃度を0.15ppmとするように、15Wで数日間駆動した。
<3>では、オゾン濃度を安全基準の0.1ppmにするように10Wで駆動した。
【0107】
なお、ファンの駆動は、前記第1実施形態のように、条件に応じて自動的に変更した。
次に、前記図7(a)に示すような場合(制御なし)と、前記図7(b)に示すように制御した場合(制御あり)とに分けて、12V、50Ahの放電能力のバッテリを、下記の条件で使用する場合について説明する。
【0108】
・電圧 :24V(2個のバッテリを直列接続)
・バッテリ個数:16個(2個直列の24Vのバッテリを8組並列接続)
・電流能力 :50Ah×8並列=400Ah
[制御なしの場合]
前記図7(a)のような「制御なし」の場合には、図7(c)の破線で示すように、バッテリは短時間で消耗する。詳しくは、「制御なし」の場合には、下記の演算から、約11日で電池残量が0Ahとなることが分かる。
【0109】
35W/24V=1.46Ah
400Ah/1.46Ah=約274h=約11days(日)
[制御ありの場合]
前記図7(b)のような「制御あり」の場合には、図7(c)の実線で示すように、バッテリの寿命は長くなる。詳しくは、「制御あり」の場合には、下記の演算から、約25日で電池残量が0Ahとなることが分かる。
【0110】
16W/24V=0.66Ah
400Ah/0.66Ah=約600h=約25days(日)
[3.他の実施形態]
本開示は前記実施形態になんら限定されるものではなく、本開示を逸脱しない範囲において種々の態様で実施しうることはいうまでもない。
【0111】
(1)例えば、オゾン発生器については、前記実施形態以外に、周知の各種の構成を採用できる。
(2)前記構造物としては、例えば、開口部(例えば出入口)が扉等で閉塞される又は密閉されるコンテナや倉庫等が挙げられる。また、上述した実施形態のオゾン発生システムは、例えば、コンテナや倉庫等の開口部が扉等で閉じられた場合に駆動される。そして、上述した実施形態の制御は、例えば、コンテナや倉庫等の開口部が扉等で閉じられた場合に実施される。
【0112】
(3)なお、上記実施形態における1つの構成要素が有する機能を複数の構成要素として分散させたり、複数の構成要素が有する機能を1つの構成要素に統合したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加、置換等してもよい。なお、特許請求の範囲に記載の文言から特定される技術思想に含まれるあらゆる態様が本開示の実施形態である。
【符号の説明】
【0113】
1…オゾン発生システム
3…構造物
5…オゾン発生装置
11…オゾン発生器
15…ファン
19…バッテリ
25…ファン制御部
27…オゾン制御部
31…バッテリ電圧検出部
33…電圧判定部
35…抑制制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7