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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-13
(45)【発行日】2022-01-13
(54)【発明の名称】高荷重仕様自在コロ装置
(51)【国際特許分類】
   F16C 35/063 20060101AFI20220105BHJP
   B65G 39/02 20060101ALI20220105BHJP
   B60B 19/00 20060101ALI20220105BHJP
【FI】
F16C35/063
B65G39/02 Z
B60B19/00 H
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018016243
(22)【出願日】2018-02-01
(65)【公開番号】P2019132368
(43)【公開日】2019-08-08
【審査請求日】2021-01-16
(73)【特許権者】
【識別番号】518038065
【氏名又は名称】イースタン精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103148
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 輝美
(72)【発明者】
【氏名】岡本 直行
【審査官】前田 浩
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-151664(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0156168(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60B 19/00
B65G 13/00
B65G 39/00
F16C 19/00
F16C 35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ころがり面が直線状、又は太鼓状のテーパをなす一対のローラーについて、これらローラーの大径面側が所定隙間を隔てて対向する態様になるように、且つ、一体として回動可能なように配置されてなる、方向変え動作が自在に設定できるコロ装置であって、
前記ローラーの本体内にラジアル軸受を、当該ラジアル軸受の円筒コロに相対して前記ローラーが回動自在になるようにそれぞれ配置するとともに、前記ラジアル軸受の配置位置に隣接する前記本体の、前記大径側に開口された凹溝にスラスト軸受を、当該スラスト軸受に相対して前記ローラーが回動自在になるようにそれぞれ配置し、
これらスラスト軸受を取り付けブラケットの芯金部の両側面にそれぞれ当接させて当該芯金部を前記所定隙間位置に配置するとともに、この芯金部の中央に嵌入された中空円筒軸を当該中空円筒軸によって前記ラジアル軸受の円筒コロ、及び前記スラスト軸受が回動自在に支持されるように配置し、
前記取り付けブラケットの芯金支持部を前記芯金部に、当該芯金支持部が前記中空円筒軸に対し左45度の角度をなすように設けられてなる第1の取り付けと、
前記取り付けブラケットの芯金支持部を前記芯金部に、当該芯金支持部が前記中空円筒軸に対し右45度の角度をなすように設けられてなる第2の取り付けと、
が並列に配置して行われていることを特徴とする高荷重仕様自在コロ装置。
【請求項2】
前記ローラーを一体にするべく前記中空円筒軸を挿通して前記ローラーの小径側にそれぞれ延出する連結ロッドを配置してなることを特徴とする請求項1に記載の高荷重仕様自在コロ装置。
【請求項3】
ころがり面が直線状、又は太鼓状のテーパをなす一対のローラーについて、これらローラーの大径面側が所定隙間を隔てて対向する態様になるように、且つ、一体として回動可能なように配置されてなる、方向変え動作が自在に設定できるコロ装置であって、
前記ローラーの本体内にラジアル軸受を、当該ラジアル軸受の円筒コロに相対して前記ローラーが回動自在になるようにそれぞれ配置するとともに、前記ラジアル軸受の配置位置に隣接する前記本体の、前記大径側に開口された凹溝にスラスト軸受を、当該スラスト軸受に相対して前記ローラーが回動自在になるようにそれぞれ配置し、
これらスラスト軸受を芯金部の両側面にそれぞれ当接させて当該芯金部を前記所定隙間位置に配置するとともに、この芯金部の中央に嵌入された中空円筒軸を当該中空円筒軸によって前記ラジアル軸受の円筒コロ、及び前記スラスト軸受が回動自在に支持されるように配置し、
前記芯金部は所定の正角面体であるホイールの周面に一体的に立設され、該ホイールの回転軸に対して一定の角度をなすように設けられてなることを特徴とする高荷重仕様自在コロ装置。
【請求項4】
前記ローラーを一体にするべく前記中空円筒軸を挿通して前記ローラーの小径側にそれぞれ延出する連結ロッドを配置してなることを特徴とする請求項3に記載の高荷重仕様自在コロ装置。
【請求項5】
前記所定の正角面体であるホイールは、正七角形のホイールであることを特徴とする請求項3、又は4に記載の高荷重仕様自在コロ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンベアのローラーや、台車の車輪などの代わりに用いられるコロ装置で、例えばこれらコロ装置を複数個適宜に配列して用いることにより、前後左右斜め方向への方向変え動作が自在に行えるコロ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、一般的なコンベアで、そのコンベアに配列されるローラーの構造については、従来から図12に示すようなものがある(非特許文献1)。
図12のコンベア100は、平面視U字型形態をなすもので、品物(図示せず)を、例えば手動で矢印A1方向から搬入し、Uターンさせて矢印B1方向に搬出する一般的なものである。そして、かかるコンベア100は、当該コンベア100の直線部位には外形が円筒形状をなす複数のストレートローラー101が、また、その半円形部位100aには外形が略切頭円錐形状をなす複数のテーパローラー102がそれぞれ等間隔に並べられてなるものであり、この例では、コンベア100は、ストレートローラー101とテーパローラー102の形状が異なるローラーで構成されている。
【0003】
しかしながら、上述したタイプのコンベア100では、品物を搬入・搬出に際しUターンさせるべく上述した半円形部位100aをコンベア自体に造作しなくてはならず、また、それに合わせて直線部位のストレートローラー101とは形状の異なるテーパローラー102を取り付ける必要がある。
【0004】
また、品物の大きさにも拠るが、概して上述したタイプのコンベア100は、構造が大型化し易くスペースが狭い場所での設置には不向きである一方、スペースに合わせて小型化すると高荷重の品物には強度的に耐え得ず、ストレートローラー101及びテーパローラー102上での動作がスムーズに行えないという不具合がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【文献】セントラルコンベヤー株式会社、製品情報、駆動コンベヤ、テーパカーブMTR型、[平成30年1月20日検索]、インターネット<URL:http://www.centralcv.co.jp/products>
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
解決しようとする問題点は、コンベアや台車などに用いる場合に、例えばコンベア形状に煩わされることなくローラーを取り付け位置に留意して配列しさえすれば、高荷重の下でも所望の方向への方向変え動作が省スペース範囲で可能な、しかも、構造上小型化・簡素化が図られたコロ装置とすることである。
【0007】
また、例えば台車に使用する場合、車輪を構成するホイールに一体形成された複数の芯金部にローラーを取り付けることによって、作業性が優れ、台車の製造コストを低下させるコロ装置とすることができる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の請求項1に係る高荷重仕様自在コロ装置は、ころがり面が直線状、又は太鼓状のテーパをなす一対のローラーについて、これらローラーの大径面側が所定隙間を隔てて対向する態様になるように、且つ、一体として回動可能なように配置されてなるものであって、
前記ローラーの本体内にラジアル軸受を、当該ラジアル軸受の円筒コロに相対して前記ローラーが回動自在になるようにそれぞれ配置するとともに、前記ラジアル軸受の配置位置に隣接する前記本体の、前記大径側に開口された凹溝にスラスト軸受を当該スラスト軸受に相対して前記ローラーが回動自在になるようにそれぞれ配置し、
これらスラスト軸受を取り付けブラケットの芯金部の両側面にそれぞれ当接させて当該芯金部を前記所定隙間位置に配置するとともに、この芯金部の中央に嵌入された中空円筒軸を当該中空円筒軸によって前記ラジアル軸受の円筒コロ、及び前記スラスト軸受が回動自在に支持されるように配置し、
前記取り付けブラケットの芯金支持部を前記芯金部に、当該芯金支持部が前記中空円筒軸に対し左45度の角度をなすように設けられてなる第1の取り付けと、前記取り付けブラケットの芯金支持部を前記芯金部に、当該芯金支持部が前記中空円筒軸に対し右45度の角度をなすように設けられてなる第2の取り付けと、が並列に配置して行われ、これにより、例えばコンベア形状に煩わされることなく本願のコロ装置を取り付ける位置に留意して適宜に配列しさえすれば、所望の方向への方向変え動作が省スペース範囲で可能となるのみならず、方向変え動作に際しローラーに負荷されるラジアル荷重及びスラスト荷重に対応する軸受をそれぞれ配置し、とりわけ、ラジアル軸受についてはその円筒コロが直接中空円筒軸によって回動自在に支持される構成を採っているので、小型化・簡素化された構造で、高荷重の下でも所望の方向への方向変え動作が可能となる。
【0009】
本発明の請求項2及び請求項4に係る高荷重仕様自在コロ装置は、前記ローラーを一体にするべく前記中空円筒軸を挿通して前記ローラーの小径側にそれぞれ延出する連結ロッドを配置するようにしたもので、一対のローラーを一体にするための具体的な構成を示すものである。
【0010】
本発明の請求項3に係る高荷重仕様自在コロ装置は、ころがり面が直線状、又は太鼓状のテーパをなす一対のローラーについて、これらローラーの大径面側が所定隙間を隔てて対向する態様になるように、且つ、一体として回動可能なように配置されてなるものであって、
前記ローラーの本体内にラジアル軸受を、当該ラジアル軸受の円筒コロに相対して前記ローラーが回動自在になるようにそれぞれ配置するとともに、前記ラジアル軸受の配置位置に隣接する前記本体の、前記大径側に開口された凹溝にスラスト軸受を当該スラスト軸受に相対して前記ローラーが回動自在になるようにそれぞれ配置し、
これらスラスト軸受を芯金部の両側面にそれぞれ当接させて当該芯金部を前記所定隙間位置に配置するとともに、この芯金部の中央に嵌入された中空円筒軸を当該中空円筒軸によって前記ラジアル軸受の円筒コロ、及び前記スラスト軸受が回動自在に支持されるように配置し、
前記芯金部は所定の正角面体であるホイールの周面に一体的に立設され、該ホイールの回転軸に対して一定の角度をなすように設けられているので、作業性が優れ、台車の製造コストを低下させるコロ装置とすることが可能とある。
【0011】
本発明の請求項5に係る高荷重仕様自在コロ装置は、所定の正角面体であるホイールは、正七角形のホイールに7つの芯金部を立設し、夫々の芯金部に所定角度で一対のローラーが取り付けられる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の高荷重仕様自在コロ装置は、コンベアや台車などに用いる場合に、例えばコンベア形状に煩わされることなくローラーを取り付け位置に留意して配列しさえすれば、高荷重の下でも所望の方向への方向変え動作が省スペース範囲で可能で、しかも、構造上小型化・簡素化が可能という利点がある。また、台車に使用する際には、車輪を構成するホイールに一体形成された複数の芯金部にローラーを取り付けることによって、作業性が優れ、台車の製造コストを低下させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の第1の実施の形態に係る高荷重仕様自在コロ装置の使用状態図である。
図2】高荷重仕様自在コロ装置の外観斜視図である。
図3】高荷重仕様自在コロ装置の分解斜視図である。
図4】高荷重仕様自在コロ装置のローラーの断面図である。
図5】高荷重仕様自在コロ装置の取り付けブラケットの斜視図である。
図6】取り付けブラケットの芯金部の断面図である。
図7】本発明の第2の実施の形態に係る高荷重仕様自在コロ装置の使用状態図である。
図8】高荷重仕様自在コロ装置を使用する車輪の主要構成部品であるホイールの構造を示す図である。
図9】中空円筒軸を芯金部の嵌入孔に嵌入した状態を示す図である。
図10】ホイールと一体構成の芯金部へのローラーの取り付け方法を説明する図である。
図11】ホイールと一体構成の芯金部にローラーを取り付けた状態を示す図である。
図12】従来のコンベアの説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態に係る高荷重仕様自在コロ装置をコンベアに用いた場合について、その用い方を図1~6を参照して説明する。
図1(A)のような、直線部位のみで搬入部C、搬出部C、及びこれらの接続部Cを構成する形態のコンベアCは、品物(図示せず)を、例えば手動で矢印A方向から搬入し、接続部Cを経て矢印B方向に搬出するものであるが、上述した従来のコンベア100におけるストレートローラー101、及びテーパローラー102の代わりに2種類のローラー、即ち、コロ装置1a及びコロ装置1bを、図1(A)に示すように、直線部位のみで構成されたコンベアCにおける取り付け位置に留意して配列すれば、所望の方向への方向変え動作が省スペース範囲で可能となるものである。尚、図1(B)は同図(A)に示すコロ装置1aの拡大斜視図である。
【0015】
ところで、コロ装置1a(左45度傾斜コロ装置を言う)とコロ装置1b(右45度傾斜コロ装置を言う)とは、後述するように、取り付けブラケット6において芯金支持部8を芯金部7に固着せしめたとき、芯金支持部8の各フランジ8bに設けられた挿通孔8bによる同心軸線が芯金部7の中空円筒軸7dに対し左45度傾斜をなすものであるか、それとも右45度傾斜をなすものであるかの点で相違するだけで、実質的な構成は異ならない。
【0016】
そこで、先ずコンベアCでの動作を説明するに先立ち、コロ装置1aについて図2~6を参照して説明する。
コロ装置1aは、図2に示すように、ころがり面が本実施の形態では太鼓状のテーパをなす一対のローラー2、3について、これらローラー2、3の大径面2a、3a(図3、4参照)側が所定隙間を隔てて対向する態様になるように配置され、且つ一体として回動可能なように配置されたものである。
【0017】
このような、例えばローラー2は(ローラー3においても同様)、その本体内にその大径面2aから階段状に連設する態様でR溝2b、径大凹溝2c、径小凹溝2dが設けられ、この径小凹溝2dに連通する嵌入孔2eがこの小径面2f側の小通孔2gに連通する態様で設けられている(図4参照)。そして、図3に示すように、ローラー2の径小凹溝2dには、本実施の形態では、ラジアル軸受4のアウタレース4aが圧入されていて、このアウタレース4aに案内される円筒コロ4b(但し、この円筒コロ4bは保持器(図示せず)で保持されている)が、当該円筒コロ4bに相対してローラー2が回動自在になるように配置されており、構造上小型化・簡素化が図られている。また、この径大凹溝2c(これら円筒コロの配置位置に隣接する本体の、大径側に開口された凹溝)には、スラスト軸受5を当該スラスト軸受5に相対してローラー2が回動自在になるように配置される。ところで、かかるスラスト軸受5は、同図に示すように、一組のガイドレース5a、5bとこれらガイドレース5a、5bに案内される保持器付きコロで構成されている。
【0018】
次に、ローラー2、3の大径面2a、3a側が対向配置される場合の、所定隙間に配置される取り付けブラケット6について、図5及び図6を参照して説明する。
この取り付けブラケット6は、芯金部7とこの芯金部7に固着される芯金支持部8とで構成され、このうちの芯金部7は、その中心部に嵌入孔が設けられた断面略I字型材をなす円板状のベース7aと、このベース7aの外周中央に突設される態様にして固着された断面略リング状型材をなす中リング7bと、この中リング7bの外周中央に突設される態様にして固着された断面略リング状型材をなす上リング7cと、ベース7aの上記嵌入孔に嵌入された比較的に長寸の中空円筒軸7dとで構成される(図6)。
【0019】
そして、取り付けブラケット6を、例えばローラー2の大径面2a側に対向配置する場合には、ローラー2に組み込まれたスラスト軸受5の、例えばガイドレース5aに対して芯金部7のベース7aの側面部7aが当接するように、また、そのR溝2bに対しベース7aの外周端部7aが当接するように、そして、大径面2aに対し中リング7bの側端部7bが当接するように配置し、且つ、ベース7aの中空円筒軸7dを、当該中空円筒軸7dによって上述したラジアル軸受4の円筒コロ4bが、及び上述したスラスト軸受5が回動自在に支持されるように配置する。このとき、ローラー2、3を一体にするための連結ロッド9を、中空円筒軸7dを挿通してローラー2、3の小径面2f、3f側(小径面3fは図示せず)にそれぞれ延出させ、ローラー2、3の嵌入孔2e、3e(嵌入孔3eは図示せず)に嵌着されるように配置する(図3も参照)。
【0020】
また、取り付けブラケット6の芯金支持部8は、図5に示すように、長方形状の台座8aと、この台座8aの両短辺の辺縁に沿って立設された一対のフランジ8bとで構成され、これらフランジ8bの略中央には、その長手方向に同心軸を有する挿通孔8bがそれぞれ設けられている。これらの挿通孔8bには、コロ装置1aを、この実施の形態では、コンベアCの取り付け台座10に固定するべく、ボルト11などが挿通される。
【0021】
そして、この台座8aの、フランジ8bが立設された側とは反対側の面には、これら挿通孔8bの同心軸線に対して、このコロ装置1aでは、左45度(所定角度)傾斜をなす線上位置にリブ8cが立設される一方、このリブ8cの自由端湾曲部8cは略半円弧状に形成されており、このような芯金支持部8は、その自由端湾曲部8cを芯金部7の上リング7cの適宜な略半円弧位置に固着させることにより、芯金部7に固着された状態となる。したがって、芯金支持部8を芯金部7に固着せしめたとき、芯金支持部8は、より詳細に言えば、芯金支持部8の両挿通孔8bによる同心軸線は、芯金部7の中空円筒軸7dに対し左45度傾斜をなすように配置されることになる。
【0022】
このようなコロ装置1aを、図1(B)に示すように、コンベアCの断面U字状型材をなす取り付け台座10に、芯金支持部8の両フランジ8bで挟み込む態様で取り付け、上述したように、芯金支持部8の挿通孔8bに挿通するボルト11に対しナット12をねじ込んで固定する(コロ装置1bにおいても同様である)。このとき、コロ装置1a、1bの、直線部位のみで構成されたコンベアC上での取り付け位置に留意して図1(A)に示すように配列すれば、高荷重の下でも所望の方向への方向変え動作が省スペース範囲で可能となる。
【0023】
また、搬入部C、搬出部C、及びこれらの接続部Cでの品物の搬入等に際しては、コロ装置1a,1bに生ずる分力のうち、コンベアCから脱落する方向に作用する分力が打ち消されるので、自ずとセンターリングされてスムーズに搬送が行える。
ところで、本実施の形態では、左45度傾斜コロ装置1a及び右45度傾斜コロ装置1bについて例示したが、このような傾斜角度は適宜に選定することが可能であることは勿論である。
【0024】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態に係る高荷重仕様自在コロ装置を台車に使用した例について説明する。
図7は、本実施形態のコロ装置1a、1bを台車13の車輪14として使用した例を説明する図である。尚、台車13には4個の車輪14が設けられるが、同図では、そのうちの1つの車輪14のみを代表して示している。したがって、具体的に図示しない他の3個の車輪14も同じ構成である。但し、同図に示すX側の2個の車輪とY側の2個の車輪とは、後述するように、ホイール15の回転軸に対するローラー2及び3の取り付け角度が異なる。
【0025】
同図に示すように、本例ではコロ装置1a(コロ装置1bは図示せず)はホイール15と一体構成の芯金部に取り付けられ、正七角形のホイール15に7個のコロ装置1aが取り付けられている。尚、本例で使用するコロ装置1a、1bは前述の第1の実施形態で説明したコロ装置と同じ構造であるので、構成部材についての説明では、第1の実施形態で使用した番号と同じ番号を使用して説明する。
【0026】
図8は本例で使用する車輪14の主要構成部品であるホイール15の構造を示す図である。本例で使用するホイール15には、芯金部17及び当該芯金部17をホイール15に取り付けるリブ18が一体形成されており、正七角形のホイール15に形成される7つ周面15aにはリブ18を介装した芯金部17が夫々立設されている。また、ホイール15は車輪14の主要部を構成する部品であり、比較的薄厚な板状部材であり、例えば鉄等の金属又は樹脂で構成され、リブ18を介装した芯金部17と一体成形された部品である。
【0027】
ホイール15の中央部にはキー溝15bを有する挿通穴15cが設けられ、台車13を回動させる不図示の車軸に取り付けられる。そして、上記芯金部17はこの車軸に対し左45度傾斜をなすように配置されている。すなわち、ホイール15の7つの周面15aの各芯金部17(各リブ18)は車軸に対して左45度傾斜をなすように立設されている。この芯金部17の取り付け構成は、図7に示すX側のホイール15への芯金部17の取り付け構成であり、芯金部17に取り付けられたコロ装置1aは夫々ホイール15の車軸に対して右45度傾斜をなすように配設される。
【0028】
一方、図7に示すY側のホイール15への芯金部17の取り付けは、上記とは逆にホイール15の7つの周面15aには車軸に対して右45度傾斜をなすように各芯金部17(各リブ18)を立設する。このようにY側のホイール15に対する芯金部17(リブ18)の取り付けをX側とは逆に右45度傾斜をなすように取り付けることによって、Y側の芯金部17に取り付けられたコロ装置1bは夫々ホイール15の車軸に対して左45度傾斜をなすように配設される。
【0029】
尚、本例で使用する芯金部17は前述の第1の実施形態で説明した芯金部7と異なり、ホイール15に一体形成されているが、この点を除けば前述の実施形態と同様な構成である。したがって、断面略I字型材をなす円板状のベース17aで構成され、このベース17aの外周中央には突設される断面略リング状型材をなす中リング17bが形成され、この中リング17bの外周中央には突設された断面略リング状型材をなす上リング(不図示)が形成されている。また、この芯金部17にローラー2、3を取り付ける際、ベース17aの嵌入孔17dに中空円筒軸19を嵌入する。図9はこの中空円筒軸19をベース17aの嵌入孔17dに嵌入した状態を示す図である。
【0030】
次に、図10は上記ホイール15に一体形成された芯金部17に一対のローラー2、3を取り付ける状態を示す図である。
同図に示すように、本例で使用するローラー2、3も前述の第1の実施形態と同様、ころがり面が太鼓状のテーパをなす一対のローラーであり、ローラー2、3の大径面2a、3a側が所定隙間を隔てて対向する態様になるように配置される。また、ローラー2、3の断面構成は、前述の図4で説明したと同様、大径面2a、及びこの大径面2aから階段状に連設するR溝2b、径大凹溝2c、径小凹溝2dが順次形成され、径小凹溝2dに連通する嵌入孔2eが小径面2f側の小通孔2gに連通する構造である。
【0031】
また、図10に示すように、ローラー2、3の径小凹溝2dには、ラジアル軸受4のアウタレース4aが圧入され、このアウタレース4aに案内される円筒コロ4bが、当該円筒コロ4bに相対して対応するローラー2、3を回動自在になるように配置されている。また、上記径大凹溝2cには、スラスト軸受5が設けられ、当該スラスト軸受5に相対して対応するローラー2、3が回転自在になるように配置される。
【0032】
そして、上記芯金部17へのローラー2、3の取り付けは、ローラー2、3に組み込まれた上記スラスト軸受5の、例えばガイドレース5aに対して芯金部17のベース17aの側面部が当接するように、また、R溝2bに対しベース17aの外周端部が当接するように、そして、大径面2aに対し中リング17bの側端部が当接するように配置し、且つ、ベース17aの中空円筒軸19を、当該中空円筒軸19によって上述したラジアル軸受4の円筒コロ4bが、及び上述したスラスト軸受5が回動自在に支持されるように配置する。そして、ローラー2、3を一体にするための連結ロッド20を、中空円筒軸19を挿通してローラー2、3の小径面2f、3f側にそれぞれ延出させ、ローラー2、3の嵌入孔2e、3eに嵌着されるように配置する。
【0033】
図11はホイール15と一体構成の芯金部17に上記ローラー2、3が取り付けられ状態を示す図である。尚、図11には1つの芯金部17にローラー2、3を取り付けた状態を示すものであり、ホイール15の他の6か所に一体形成された芯金部17についても、同様の方法によってローラー2、3を順次取り付ける。
このように、7つの芯金部17がホイール15に一体形成された本実施形態を使用することによって、夫々独立してブラケットに取り付けられた芯金部をホイール15にボルトで1つ1つ取り付ける場合に比べて、作業効率を向上することができる。また、ホイール15に芯金部17を一体形成することによって、コストを下げることができる。
【0034】
ローラー2、3が取り付けられたホイール15は、最後にキー溝15bを有する挿通穴15cに不図示の車軸を通して台車13に取付けられる。前述のように、X側の車輪14とは反対側の車輪(図7中のY側の車輪)については、ホイール15の車軸に対して異なる方向に傾斜したコロ装置1bを使用することは勿論である。
以上のように構成することによって、本例のホイール一体形の芯金部を使用したコロ装置1a、1bは作業性に優れ、コスト低下の手段として極めて有効である。
【0035】
尚、上記実施形態の説明では、正七角形のホイール15に一体的に形成した7か所の芯金部17にローラー2、3を取り付ける構成としたが、正六角形又は正八角形等の他の角度を備えるホイールに一体形成された芯金部に対応する数のローラー2、3を取り付ける構成としてもよい。また、前述の第1の実施形態と同様、本実施形態においても、左45度傾斜コロ装置1a及び右45度傾斜コロ装置1bについて例示したが、このような傾斜角度は適宜に選定することが可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0036】
1a、1b・・コロ装置
2、3・・ローラー
2a、3a・・大径面
2b・・R溝
2c・・径大凹溝
2d・・径小凹溝
2e・・嵌入孔
2f・・小径面
2g・・小通孔
4・・・ラジアル軸受
4b・・円筒コロ
5・・・スラスト軸受
5a、5b・・ガイドレース
6・・ブラケット
7・・・芯金部
7a・・ベース
7b・・中リング
7c・・上リング
7d・・中空円筒軸
8・・・芯金支持部
8a・・台座
8b・・フランジ
8c・・リブ
9・・・連結ロッド
11・・ボルト
12・・ナット
13・・台車
14・・車輪
15・・ホイール
15a・・周面
15b・・キー溝
15c・・挿通穴
17・・・芯金部
17d・・中空円筒軸
18・・リブ
19・・中空円筒軸
20・・連結ロッド
図1
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