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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-13
(45)【発行日】2022-01-13
(54)【発明の名称】空気調和装置
(51)【国際特許分類】
   F24F 1/0073 20190101AFI20220105BHJP
【FI】
F24F1/0073
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018133485
(22)【出願日】2018-07-13
(65)【公開番号】P2020012570
(43)【公開日】2020-01-23
【審査請求日】2020-12-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000000538
【氏名又は名称】株式会社コロナ
(72)【発明者】
【氏名】吉仕 彰
(72)【発明者】
【氏名】藤井 和成
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 守
【審査官】奈須 リサ
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-084388(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0188216(US,A1)
【文献】実開昭50-004917(JP,U)
【文献】実開昭57-033478(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 1/0007
F24F 1/0059-1/008
F24F 1/02
F24F 1/032-1/0355
F24F 13/28
F16B 17/00-19/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁面に取り付けられたケースと、
当該ケースの底面に開けられたケース開口部の縁に着脱可能に設けられ前記ケース内部の塵埃が収集されるダストボックスと、を備え、
前記ダストボックスは、指を挿入して操作可能な摘まみ部が形成された操作部と、塵埃を収容可能な収集部と、前記操作部と前記収集部とを接続する接続部とで構成され、
前記ダストボックスの略中心位置を境にして下方向が開口した底のない容器状の前記摘まみ部が互いに対向するよう2つ形成されると共に、中心から最も離れた前記摘まみ部の端面にボックス突出部が形成され、
前記ダストボックスを前記ケースに装着したとき、前記ボックス突出部が前記ケース開口部の縁に引っ掛かることで前記ダストボックスが支持され、前記ダストボックスは、対向する前記摘まみ部を前記ダストボックスの中心に向けて付勢することで前記接続部が変位して前記摘まみ部が動作し前記ボックス突出部が前記ケース開口部の縁から外れ、前記ケース開口部への引っ掛かり状態が解除され、前記ダストボックスが前記ケースから取り外されることを特徴とする空気調和装置。
【請求項2】
前記ダストボックスは、前記摘まみ部への付勢が解除されると、前記接続部が元の状態に復元して前記摘まみ部が元の位置に戻ることで、前記ボックス突出部が前記ケース開口部の縁に引っ掛かることを特徴とする請求項記載の空気調和装置。
【請求項3】
前記ダストボックスは、少なくとも前記ケースの左右幅の略半分より小さな左右幅を有することを特徴とする請求項または記載の空気調和装置。
【請求項4】
前記ダストボックスは、互いに対向する前記摘まみ部の間を仕切るリブ部が形成されたことを特徴とする請求項からのいずれか1項に記載の空気調和装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、塵埃が収集されるダストボックスを備えた空気調和装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のものでは、エアフィルタの塵埃を除去可能なフィルタ掃除手段をケース内部に備えた空気調和装置があり、定期的にフィルタ掃除手段が駆動することでエアフィルタの塵埃が除去され、除去された塵埃がケースに設置されたダストボックスに案内されることで塵埃が溜まり、ユーザーが定期的にダストボックスを取り外して溜まった塵埃を捨てるものがあった。(例えば、特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-57881号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、この従来のものでは、押しボタンによりダストボックスを引き出す構造であることから、押しボタンとダストボックスとの間に回転体や板バネ等を組み合わせた複雑な機構を必要とする。
【0005】
また、ダストボックスをケースから取り外すとき、一方の手で押しボタンを操作しつつ他方の手でダストボックスを受けなければならず、室内の高所に設けられたケースからダストボックスを取り外す作業時において、ユーザー自身の姿勢を維持することが難しく、ユーザーの姿勢が不安定になり誤ってダストボックスを床に落下させることが考えられることから、改善の余地があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1では、壁面に取り付けられたケースと、
当該ケースの底面に開けられたケース開口部の縁に着脱可能に設けられ前記ケース内部の塵埃が収集されるダストボックスと、を備え、
前記ダストボックスは、指を挿入して操作可能な摘まみ部が形成された操作部と、塵埃を収容可能な収集部と、前記操作部と前記収集部とを接続する接続部とで構成され、
前記ダストボックスの略中心位置を境にして下方向が開口した底のない容器状の前記摘まみ部が互いに対向するよう2つ形成されると共に、中心から最も離れた前記摘まみ部の端面にボックス突出部が形成され、
前記ダストボックスを前記ケースに装着したとき、前記ボックス突出部が前記ケース開口部の縁に引っ掛かることで前記ダストボックスが支持され、前記ダストボックスは、対向する前記摘まみ部を前記ダストボックスの中心に向けて付勢することで前記接続部が変位して前記摘まみ部が動作し前記ボックス突出部が前記ケース開口部の縁から外れ、前記ケース開口部への引っ掛かり状態が解除され、前記ダストボックスが前記ケースから取り外されることを特徴としている。
【0008】
また、請求項では、前記ダストボックスは、前記摘まみ部への付勢が解除されると、前記接続部が元の状態に復元して前記摘まみ部が元の位置に戻ることで、前記ボックス突出部が前記ケース開口部の縁に引っ掛かることを特徴としている。
【0009】
また、請求項では、前記ダストボックスは、少なくとも前記ケースの左右幅の略半分より小さな左右幅を有することを特徴としている。
【0010】
また、請求項では、前記ダストボックスは、互いに対向する前記摘まみ部の間を仕切るリブ部が形成されたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、ケースの底面に形成されたケース開口部に着脱可能となるダストボックスを設置し、ダストボックスは、開口した下側に指を挿入して操作可能な摘まみ部が形成された容器状の操作部と、開口した上側により塵埃を収容可能な容器状の収集部と、操作部と収集部とを接続する接続部とで構成され、操作部の側面にボックス突出部が形成され、ダストボックスをケースに装着したとき、ボックス突出部がケース開口部の縁に引っ掛かることでダストボックスが支持され、ボックス突出部の形成位置と対向する方向へ摘まみ部を付勢することでケース開口部への引っ掛かり状態が解除され、ダストボックスがケースから取り外されるので、複雑な構造や他の部材を要することなくユーザーが容易にケースへのダストボックスの装着、及びケースからダストボックスを取り外すことが可能であり、使い勝手が向上する。
【0012】
また、ダストボックスは、対向する摘まみ部が互いに近づく方向へ付勢することでケース開口部への引っ掛かり状態が解除されるので、操作部の摘まみ部がダストボックスの重心位置付近にあり、摘まみ部を指で挟むように動作させることでケースから取り外すことができることから、ダストボックス内の塵埃を除去するためユーザーがダストボックスをケースから取り外すとき、ユーザーが一方の手で摘まみ部を持ちダストボックスの姿勢を安定させつつ、他方の手で自己の姿勢を維持した状態で室内の上部から下ろすことが可能となるため、ダストボックスをケースから取り出す作業時においてユーザーの姿勢が崩れダストボックスを床面に落下させる虞がなく、ユーザーの使い勝手が向上する。
【0013】
また、ダストボックスは、摘まみ部への付勢が解除されると、接続部が元の状態に復元して摘まみ部が元の位置に戻ることで、ボックス突出部がケース開口部の縁に引っ掛かるので、一方の手でダストボックスを持ち上げてケース開口部に押し込むだけでケースへの装着が完了することから、他方の手でユーザー自身の姿勢を維持しつつダストボックスをケースに装着できるため、ダストボックスをケースへ装着する作業時においてユーザーの姿勢が崩れダストボックスを床面に落下させる虞がなく、ユーザーの使い勝手が向上する。
【0014】
また、ダストボックスは、少なくともケースの左右幅の略半分より小さな左右幅を有するので、ダストボックス自体がコンパクトであることから、ユーザーがダストボックスを一方の手で支持しつつ、他方の手で自己の姿勢を維持しながらダストボックスの装着あるいは取り外し作業を簡易に実施することができる。
【0015】
また、ダストボックスは、互いに対向する摘まみ部の間を仕切るリブ部が形成されたので、ダストボックスをケースから取り外す時、摘まみ部に対し過剰に付勢力が加わり、摘まみ部の変位度合いが大きくなった場合に、リブ部により摘まみ部の変位が規制されるため、摘まみ部の変位が大きくなり接続部が折れて破損する事態を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施例による空気調和装置を模式的に示した図である。
図2図1に示された室内機の斜視図である。
図3図2の3-3線断面図である。
図4図2に示された室内機の分解斜視図である。
図5図2に示された室内機の底面図である。
図6】本実施形態のダストボックスを示す斜視図である。
図7図6の7-7線断面図である。
図8図6の8-8線断面図である。
図9図6に示されたダストボックスの外し方について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、説明中、前後とは室内機の掛けられている壁から突出する方向を前とし、壁を後とする。また、図中Frは前、Rrは後、Leは左、Riは右、Upは上、Dnは下を示している。
<実施例>
【0018】
図1を参照する。図1には、本発明による冷房装置を含む空気調和装置10が示されている。空気調和装置10は、屋内Inを冷却する冷房機能と、屋内Inを暖房する暖房機能と、を備えている。
【0019】
空気調和装置10は、屋外Ouに設けられた室外機20及び屋内Inに設けられた室内機30を備えてなる。室外機20と、室内機30とは、冷媒を循環させることができるよう互いに接続されている。以下、特に説明のない限り、冷媒の循環する方向は、冷房運転時を基準とする。
【0020】
室外機20は、冷房運転時及び暖房運転時における冷媒の循環する方向を切り替える四路切替弁21と、この四路切替弁21を通過した冷媒が流され冷媒を圧縮する圧縮機22と、この圧縮機22において圧縮され高温高圧となった冷媒が流れる室外熱交換器23と、この室外熱交換器23に向かって送風を行う室外ファン24と、室外熱交換器23を通過した冷媒を減圧する膨張弁25と、を有する。
【0021】
図2及び図3を参照する。室内機30は、屋内Inにおいて壁Waに掛けて用いられる。室内機30は、金属板製の支持板31が壁Waに固定され、この支持板31によってケース40が支持されてなる。ケース40には、屋内Inの空気をケース40内に取り込み屋内Inへ送風を行う室内ファン33と、この室内ファン33が取り込んだ空気と熱交換を行う複数の室内熱交換器34と、これらの室内熱交換器34の上方に配置されケース40内への塵埃の侵入を抑制するフィルタユニット60と、このフィルタユニット60に付着した塵埃を絡め取る清掃ユニット36と、この清掃ユニット36が絡め取った塵埃を収集するダストボックス70と、が収納されてなる。
【0022】
図1を参照する。冷房運転時において、圧縮機22で高温高圧とされた冷媒は、室外熱交換器23において外気と熱交換を行い、熱を放出する。このとき、室外ファン24が作動することによって、外気を強制的に室外熱交換器23の外周に流し、熱交換を促す。室外熱交換器23を通過し熱を放出した冷媒は、膨張弁25において減圧され、温度が低下する。
【0023】
図3を参照する。室内ファン33が作動することにより、ケース40内には上部に開けられた空気導入口42aから空気が導入される。導入された空気は、室内熱交換器34の外周を通過し、下部に開けられた送風口42bから屋内Inに送風される。一方、室内熱交換器34には、室外機20において冷却された冷媒が供給されている。室内熱交換器34の外周を通過する空気は、冷媒と熱交換を行い、冷却される。つまり、屋内Inには、冷却された空気が送風される。
【0024】
図1を併せて参照する。暖房運転時には、四路切替弁21が冷媒の流路を切り替え、冷房運転時とは逆方向に冷媒を循環させる。
【0025】
図3を参照する。支持板31は、金属製の1枚板が折り曲げられて形成されている。支持板31は、平板状に形成されピン38、38を介して壁Waに固定された固定板部31aと、この固定板部31aの下端から前方に折り曲げられ前方に突出している下部突出部31b(突出部31b)と、固定板部31aの上端から前方に折り曲げられ前方に突出している上部突出部31cと、を有する。
【0026】
下部突出部31bは、固定板部31aの下端から前方に向かって略垂直に、前方に延びている。下部突出部31bには、ケース40の後部が掛けられている。図4を参照する。下部突出部31b、31bは、左右に2箇所形成されている。
【0027】
図3を参照する。上部突出部31cは、側面視において略L字状を呈し、左右方向に連続して形成されている。上部突出部31cの縦辺の上部は、ケース40の形状に沿って上方に向かって斜め前方に延びている。上部突出部31cには、ケース40の後部が掛けられている。
【0028】
図3を参照する。ケース40は、支持板31に支持された後部ケース体50と、この後部ケース体50に支持され室内ファン33の後部を覆っている中央部ケース体42と、この中央部ケース体42に支持されフィルタユニット60の前方を覆っている前部ケース体43と、を有している。
【0029】
後部ケース体50は、例えば、樹脂成形により成形された樹脂成形品である。後部ケース体50は、下端に位置しダストボックス70が収納されるケース開口部51aが開けられたケース底部51と、このケース底部51の後端に一体的に形成され下部突出部31bに掛けられた下部ケース爪部52(ケース爪部52)と、ケース開口部51aの後の縁から一体的に立ち上げられケース40の後端を仕切るケース後壁部53と、このケース後壁部53の上端から前後に延びるケース天井部54と、ケース天井部54からケース底部51までを接続しているケース側壁部55(図4参照)と、ケース後壁部53の上部から後方に突出し上部突出部31cに掛けられた上部ケース爪部56と、を有している。
【0030】
図4を参照する。ケース開口部51a、51aは、略矩形状を呈し、ケース底部51の左右の2箇所に形成されている。
【0031】
図5を参照する。ケース開口部51a、51aは、共に、下部突出部31b、31bの前方に位置している。ケース開口部51aの左右方向の中央位置C1は、下部突出部31bの左右方向の中央位置から前方に延びる線CL上に位置する、ということもできる。
【0032】
図3を参照する。下部ケース爪部52は、ダストボックス70の後方に位置している。
【0033】
図8を併せて参照する。ケース後壁部53は、ケース開口部51aの縁から上方に延びる後壁下部53aと、この後壁下部53aの上端から後斜め上方に延びる斜壁部53bと、を有する。
【0034】
後壁下部53aの下端には、略矩形状の開口である後壁穴部53cが開けられている。後壁穴部53cの後方には、下部ケース爪部52が形成されている。後壁穴部53cは、樹脂成形時に下部ケース爪部52を形成するためのスライド型によって形成された穴である。
【0035】
斜壁部53bの下端である斜壁部下端部53dの前端は、後壁下部53aの上端よりも前方に突出している。斜壁部下端部53dは、ダストボックス70の後部上端を覆っている。これにより、ダストボックス70の後部上端に塵埃が溜まることを抑制している。
【0036】
図3を参照する。中央部ケース体42は、空気を取り入れるために上部に開けられた空気導入口42aと、冷却された空気を吹き出すために開けられた送風口42bと、を有している。送風口42bには、スイング可能にルーバー39が設けられている。ルーバー39をスイングさせることによって、送風口42bを開閉し、風向きの調整を行う。
【0037】
フィルタユニット60は、空気導入口に沿って設けられた樹脂枠状の支持体61と、この支持体61上を移動可能に設けられたフィルタ62と、このフィルタ62に駆動力を伝達しフィルタ62を前後方向に移動させる駆動機構63と、清掃時に後退させたフィルタ62が収納されるフィルタ収納部64と、を有する。
【0038】
フィルタ62裏面の左右方向端部は、駆動機構63に噛み合うラックが形成されている。
【0039】
駆動機構63は、駆動源としてのモータに、直接的又は間接的にピニオンギヤ63aが連結されてなる。ピニオンギヤ63aは、フィルタ62に形成されたラックに噛み合っている。
【0040】
清掃ユニット36は、フィルタ62に当接すると共に回転可能に設けられフィルタ62に付着した塵埃を絡め取るブラシ36aと、このブラシ36aに当接しブラシ36aに付着した塵埃をブラシ36aから分離する分離部36bと、を有する。
【0041】
分離部36bは、フィルタ収納部64の上端に固定された櫛状の部材である。
【0042】
ダストボックス70は、側面視において略五角形に形成されている。より詳細には、長方形の上辺の前部から前辺の上部までを斜めに切り落とした五角形に形成されている。ダストボックス70の前部に形成された斜辺に対応する部分は、フィルタ収納部64の後面によって覆われている。
【0043】
図4及び図5を参照する。ダストボックス70、70は、2つのケース開口部51a、51aにそれぞれ取り付けられる。左右のダストボックス70、70は、それぞれの左右方向の幅がケース40の左右方向の幅の半分より小さく、好ましくはフィルタ62の左右幅とほぼ同等な左右幅であり、共に同じ構成である。このため、以下、左のダストボックス70のみについて説明する。右のダストボックス70については、説明を省略する。
【0044】
ダストボックス70は、例えば、樹脂成形によって一体的に形成されている。ダストボックス70は、左右方向の中央の下端に摘まみ部71aを備えた操作部71を有している。当該操作部71は、下端方向が開口した略容器状の摘まみ部71aが前後方向で対向するよう2つ形成されており、ダストボックス70の中心から最も離れた摘まみ部71aの前後方向の端面71d、71dには、前後方向に突出するボックス突出部71bが形成されている。そして、対向する2つの摘まみ部71aの前後方向の中心位置において、左右方向へ延び2つのつまみ部71aを仕切るリブ部71cが形成されている。
【0045】
図6を参照する。操作部71の左右には、上端が開口した略容器状で塵埃が収集される収集部72、72が形成されている。収集部72は、左右の端部に上方向に延びる突起72aが形成されている。当該突起72aは、ケース後壁部53の斜壁部53bとフィルタ収納部64との間にあるダンパ80の開閉のために設けられている。ダストボックス70をケース開口部51aに装着したとき、突起72aがダンパ80を押上げることで収集部72への経路が開き、清掃ユニット36で捕集したフィルタ62の塵埃が捕集部72内へ落下し溜めることが可能となる。また、ダストボックス70をケース開口部51aから取り外したとき、突起72aがダンパ80から離れることで収集部72への経路が閉じ、斜壁部53bとフィルタ収納部62との間の経路から塵埃が床面に落下するのを防止可能となる。
【0046】
ダストボックス70の前後方向の側面には、ダストボックス70の中央方向へ向けて所定距離だけ凹み、前方向と後ろ方向のそれぞれに2箇所ずつ位置する側面凹部74と、当該2つの側面凹部74に挟まれた位置にあり操作部71の摘まみ部71aが収容される摘まみ収容凹部75とが形成されている。
【0047】
図6及び図7を参照する。ダストボックス70の側面凹部74と対向する位置まで操作部71の端面71dが左右方向に延びており、この側面凹部74と対向する位置で端面71dの上端と側面凹部74とが接続部73を介して接続されている。
【0048】
図7を参照する。ダストボックス70の操作部71と収集部72とは前記接続部73により接続されている。接続部73は、側面凹部74から前方、あるいは後方へ延び、操作部71の端面71d、71dと接続している。接続部73は、ダストボックス70を構成する側面の厚さより薄肉化されるように形成されており、この厚さは、互いの摘まみ部71aを寄せるように付勢したら、接続部73が変位して摘まみ部71aが動作し、摘まみ部71aの付勢を解除したら、接続部73の復元力により摘まみ部71aが元の位置に戻る厚さである。
【0049】
よって、ユーザーが摘まみ部71aに指を入れて互いの摘まみ部71a同士を寄せるように付勢したとき、接続部73が変位して摘まみ部71a、71aが前後方向へ動作することで、ケース開口部51aの縁からボックス突出部71bが外れ、ケース開口部51aからダストボックス70を取り外すことができる。
【0050】
また、ユーザーが摘まみ部71aから指を離し、互いの摘まみ部71a同士を寄せる方向への付勢を解除すると、接続部73は元の状態へ戻る復元力が働き、摘まみ部71aが元の位置に戻って静止するため、ケース開口部51aにダストボックス70を押し込むだけでケース開口部51aの縁にボックス突出部71bが引っ掛かり、ケース開口部51aにダストボックス70を装着することができる。
【0051】
図8を参照する。操作部71は、下方に開口した略容器状の摘まみ部71a、71aを前後方向に2つ有している。
【0052】
前方の摘まみ部71aを構成する端面71dには、前方に向かって突出しケース開口部51aの縁に掛かっているボックス突出部71bが形成されている。後方の摘まみ部71aを構成する端面71dには、後方に向かって突出しケース開口部51aの縁に掛かっているボックス突出部71bが形成されている。ボックス突出部71b、71bは、共に下方に向かって突出量が大きくなる扇形状を呈する。なお、後ろのボックス突出部71bは、後壁穴部53cの下端の縁に掛かっている、ということもできる。
【0053】
2つの摘まみ部71a、71aの間は左右の収集部72、72を繋ぐリブ部71cによって仕切られている。
【0054】
収集部72は、前端の上部がフィルタ収納部64の下端に沿って配置され、後端の上部が斜壁部下端部53dの近傍に位置している。塵埃は、ケース後壁部53とフィルタ収納部64との間を落下する。このため、収集部72は、塵埃の落下する部位の全体に臨んでいる、ということができる。
【0055】
図9を参照する。摘まみ部71a、71aは、ユーザーが指を入れることのできる部位であり、前後の摘まみ部71a、71aに指を入れてリブ部71cを挟み込むように付勢することで、ダストボックス70の中央に向かって撓ませることができる。
【0056】
摘まみ部71a、71aをダストボックス70の中央に向かって付勢することにより接続部73が変位し、前後のボックス突出部71b、71bは、ケース開口部51aの前後の幅内まで変位する。摘まみ部71a、71aをダストボックス70の中央に向かって付勢したままダストボックス70を下方に下げることにより、ダストボックス70をケース40から外すことができる。
【0057】
以下に、本発明の空気調和装置10の作用について説明する。
【0058】
図3を参照する。例えば、空気調和装置10は、冷房運転を終えると、清掃運転を開始する。清掃運転時には、駆動機構のモータが作動する。駆動機構63のモータが作動すると、ピニオンギヤ63aが回転しフィルタ62を後退させる。後退するフィルタ62は、フィルタ収納部64に沿って後退する。フィルタ62の表面には、ブラシ36aが当接しており、ブラシ36aが回転しながらフィルタ62に付着した塵埃を絡め取る。ブラシ36aには、分離部36bが当接している。さらにブラシ36aが回転することにより、塵埃は、分離部36bによってブラシ36aから分離される。分離された塵埃は、フィルタ収納部64とケース後壁部53との間を通過してダストボックス70に落下し、収集される。
【0059】
図9を参照する。空気調和装置10の操作者は、清掃運転の終了後にダストボックス70をケース40から取り外し、ダストボックス70内の塵埃を廃棄する。操作部71の摘まみ部71a、71aがダストボックス70の前後方向の中心に対して対向するように配置されたことで、ダストボックス70をケース40の底面から取り出すとき、ダストボックス70の重心付近となる摘まみ部71aを一方の手の指で支持しながらケース40が設置された室内の高所からダストボックス70を下ろし、他方の手でユーザー自身の姿勢を維持することができるため、ダストボックス70を取り出す時にユーザーの姿勢が崩れてダストボックス70が傾き、収集部72内の塵埃が床面に落下することを未然に防止することができる。
【0060】
塵埃を廃棄した後は、ダストボックス70をケース開口部51aに向かって押し込む。ボックス突出部71b、71bは、下方に向かって突出量が連続的に増加している。このため、ダストボックス70をケース40に向かって付勢することにより、ボックス突出部71b、71bは、ケース開口部51aの縁によって前後方向の中央部に押し込まれる。さらに付勢することにより、ボックス突出部71b、71bは、ケース開口部51aを通過し、図8に示すように元の形状に戻る。これにより、ダストボックス70の装着が終わる。ダストボック70内の塵埃の除去が完了し室内機30の底面に再度装着するとき、ダストボックス70の重心付近を一方の手の指で支持しながら室内機30が設置された室内の高所へダストボックス70を上げつつ、ユーザー自身の姿勢を他方の手で維持することができるため、ダストボックス70の装着作業時にユーザーの姿勢が崩れてダストボックス70が傾くことで操作部71から滑り落ち、ダストボックス70が床面に落下することを未然に防止することができる。
【0061】
なお、清掃運転が開始される条件は、冷房運転の終了時に自動的に開始される場合に限られない。操作者による清掃運転の開始操作によって、清掃運転が開始されてもよい。このほか、任意の条件によって清掃運転を開始させることができる。
【0062】
図5を参照する。1つのダストボックス70の左右幅はケース40の左右幅の略半分よりも小さく、フィルタ62の左右幅とほぼ同等なので、清掃ユニット36により捕集された塵埃をダストボックス70の収集部72内へ確実に入れることができ、また、ダストボックス70をケース開口部51aから取り外すとき、ダストボックス70がコンパクトであることから、室内の高所に位置する摘まみ部71aを片手で操作して取り外すことができ、また、ダストボックス70をケース開口部51aに装着するときにも、摘まみ部71aを片手で支持しながら室内の高所に持ち上げることができることから、ユーザーが一方の手でダストボックス70を支持しつつ、他方の手で自己の姿勢を維持することができるため、バランスを崩すことなく安定した姿勢でダストボックス70をケース開口部51aに装着、あるいは取り外すことができる。
【0063】
図9を参照する。ダストボックス70をケース40から取り外すため摘まみ部71a、71aを前後方向の中心に向けて付勢するとき、摘まみ部71aに加わる力が大きいと操作部71の変位が大きくなり摘まみ部71aがダストボックス70の前後方向の中心位置を超えようとするが、リブ部71cにより規制されることで摘まみ部71aがダストボックス70の前後方向の中心を超えることがないため、ダストボックス70をケース40から取り外すときに接続部73に大きな力が加わり、接続部73が折れて損傷することを未然に防止することができる。
【0064】
なお、本実施形態では室内に調和された空気を送風する室内機30内に備えたフィルタ62に付着する塵埃を清掃ユニット36により捕集する構成を備え、清掃ユニット36により捕集された塵埃を溜めるダストボックス70について記載したが、本発明は本実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨から外れない別実施形態も含むものであり、例えば、ケース40の底面に設置される点検用の穴を閉塞するためのボックスについて、本発明の構成を適用してもよいものであり、要は、室内の高所壁面に取り付けられたケース40の底面から脱着可能なボックス状のものであれば、本発明の範疇に入る。
【0065】
また、本発明の実施形態ではダストボックス70の摘まみ部71a、71aが前後方向の中心に対向するように形成されているが、ダストボックスの下端に摘まみ部71aが一つだけ形成されボックス突出部71bによりケース開口部51aに支持されたものであってもよく、また、左右方向の中心に対向するように摘まみ部71aを形成していてもよいものであり、摘まみ部71aの数や位置について本発明の主旨に沿う形状であれば特に限定されないものである。
【符号の説明】
【0066】
10 空気調和装置
40 ケース
51a ケース開口部
70 ダストボックス
71 操作部
71a 摘まみ部
71b ボックス突出部
71c リブ部
71d 端面
72 収集部
73 接続部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9