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特許6993323マルチプレクサ、及び該マルチプレクサを備えた撮影装置
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  • 特許-マルチプレクサ、及び該マルチプレクサを備えた撮影装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-13
(45)【発行日】2022-01-13
(54)【発明の名称】マルチプレクサ、及び該マルチプレクサを備えた撮影装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 5/232 20060101AFI20220105BHJP
   H04N 5/225 20060101ALI20220105BHJP
   H04N 7/18 20060101ALI20220105BHJP
【FI】
H04N5/232 300
H04N5/225 800
H04N7/18 V
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2018513220
(86)(22)【出願日】2017-04-21
(86)【国際出願番号】 JP2017015967
(87)【国際公開番号】W WO2017183706
(87)【国際公開日】2017-10-26
【審査請求日】2020-02-05
(31)【優先権主張番号】P 2016086017
(32)【優先日】2016-04-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000163006
【氏名又は名称】興和株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083138
【弁理士】
【氏名又は名称】相田 伸二
(74)【代理人】
【識別番号】100189625
【弁理士】
【氏名又は名称】鄭 元基
(74)【代理人】
【識別番号】100196139
【弁理士】
【氏名又は名称】相田 京子
(72)【発明者】
【氏名】畔上 知久
(72)【発明者】
【氏名】金原 達哉
【審査官】吉川 康男
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-036957(JP,A)
【文献】特開2007-228258(JP,A)
【文献】特開2009-010455(JP,A)
【文献】特開2006-121394(JP,A)
【文献】特表2015-532065(JP,A)
【文献】特開2014-158178(JP,A)
【文献】特開平09-098353(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/232
H04N 5/225
H04N 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のカメラ及び第2のカメラと、
マルチプレクサと、
を備え、
前記マルチプレクサは、
第1のカメラからの画像信号である第1のパケットデータを順次受信する第1の受信部と、
第2のカメラからの画像信号である第2のパケットデータを順次受信する第2の受信部と、
これらの受信部に接続されると共に前記第1のパケットデータと前記第2のパケットデータとが交互に配置された合成データを作成するデータ合成部と、
該データ合成部に接続されると共に前記合成データを外部機器に対して送信する送信部と、
を備え、
前記合成データ中にて連続して配置される第1のパケットデータは、1画面分のデータよりも小さいデータであり、
前記合成データ中にて連続して配置される第2のパケットデータは、1画面分のデータよりも小さいデータである、
ことを特徴とし、
前記第1のカメラから前記第1の受信部に対して送信される前記第1のパケットデータは、第1の前パケットデータと、該第1の前パケットデータと同じ内容であって該第1の前パケットデータが送信された後に所定のアイドル時間を空けて送信される第1の後パケットデータと、により構成され、
前記第2のカメラから前記第2の受信部に対して送信される前記第2のパケットデータは、第2の前パケットデータと、該第2の前パケットデータと同じ内容であって該第2の前パケットデータが送信された後に所定のアイドル時間を空けて送信される第2の後パケットデータと、により構成され、
10μsec以上の間隔で発生するノイズ(以下、“低周波ノイズ”とする)の時間幅をLとし、1つの低周波ノイズが発生してから次の低周波ノイズが発生するまでの間の低周波ノイズ無しの時間(以下、“ノイズ無し時間”とする)をLとし、前記第1の前パケットデータ及び前記第1の後パケットデータの長さをLP1とし、該第1の前パケットデータが送信されてから該第1の後パケットデータが送信されるまでの前記所定のアイドル時間の長さをLI1とし、前記第2の前パケットデータ及び前記第2の後パケットデータの長さをLP2とし、該第2の前パケットデータが送信されてから該第2の後パケットデータが送信されるまでの前記所定のアイドル時間の長さをLI2とした場合に、下式(1)~(4)を満足する、
ことを特徴とする撮影装置。
【数1】
【請求項2】
前記第1のカメラは、エラー検出用コードを付加した状態の前記第1の前パケットデータ及び前記第1の後パケットデータを前記第1の受信部に送信し、
前記第2のカメラは、エラー検出用コードを付加した状態の前記第2の前パケットデータ及び前記第2の後パケットデータを前記第2の受信部に送信し、
前記第1の受信部は、前記第1のカメラからのエラー検出用コードをチェックすることにより前記第1の前パケットデータ又は前記第1の後パケットデータのデータ化けを検出すると共に、データ化けが検出されなかった方の前記第1の前パケットデータ又は前記第1の後パケットデータを前記データ合成部に送信し、
前記第2の受信部は、前記第2のカメラからのエラー検出用コードをチェックすることにより前記第2の前パケットデータ又は前記第2の後パケットデータのデータ化けを検出すると共に、データ化けが検出されなかった方の前記第2の前パケットデータ又は前記第2の後パケットデータを前記データ合成部に送信する、
ことを特徴とする請求項1に記載の撮影装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも2台のカメラから受信したパケットデータを外部機器に対して送信するマルチプレクサ、及び該マルチプレクサを備えた撮影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、少なくとも2台のカメラから受信したパケットデータを外部機器に対して送信するマルチプレクサについては種々の構造のものが提案されていた(例えば、特許文献1及び2参照)。
【0003】
図5は、マルチプレクサの従来構造の一例を示すブロック図であり、該マルチプレクサ201は、複数のカメラC11,C12,C13,C14が接続されるビデオ・カメラ・ライン202と、該ビデオ・カメラ・ライン202が接続されるビデオ・システム・コントローラ203と、を備えており、各カメラC11,…からのビデオ信号がビデオ・レコーダ又はビデオ・ディスプレイ204に送信されるように構成されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特表2001-515665号公報
【文献】特開2011-19058号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、図5に記載のマルチプレクサ201ではアナログ信号を使用しているため、複数のカメラC11,…で同時に撮影して得た画像信号を前記ビデオ・システム・コントローラ203から前記ビデオ・レコーダ又はビデオ・ディスプレイ204に同時に送ることはできなかった。その結果、各カメラC11,…での撮影を同時に行わずに順番に行う場合には、露光時間がそれぞれ必要となって、その間は撮影できないという問題があった。また、各カメラC11,…での撮影を同時に行う場合には、画像を保存するための大容量バッファが必要となり、装置自体が大型化すると共に高価になってしまうという問題があった。
【0006】
本発明は、上述の問題を解消することのできるマルチプレクサ、及び該マルチプレクサを備えた撮影装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の観点は、図1に例示するものであって、第1のカメラ(C1)からの画像信号である第1のパケットデータ(PD1)を順次受信する第1の受信部(101)と、
第2のカメラ(C2)からの画像信号である第2のパケットデータ(PD2)を順次受信する第2の受信部(102)と、
これらの受信部(101,102)に接続されると共に前記第1のパケットデータ(PD1)と前記第2のパケットデータ(PD2)とが交互に配置された合成データ(PDs)を作成するデータ合成部(11)と、
該データ合成部(11)に接続されると共に前記合成データ(PDs)を外部機器(2)に対して送信する送信部(12)と、
を備え、
前記合成データ(PDs)中にて連続して配置される第1のパケットデータ(PD1)は、1画面分のデータよりも小さいデータであり、
前記合成データ(PDs)中にて連続して配置される第2のパケットデータ(PD2)は、1画面分のデータよりも小さいデータであることを特徴とするマルチプレクサ(1)に関する。
【0008】
本発明の第2の観点は、前記合成データ(PDs)中にて連続して配置される第1のパケットデータ(PD1)、及び前記合成データ(PDs)中にて連続して配置される第2のパケットデータ(PD2)は、1つの画素、複数の画素、1つのライン又は複数のラインの画像データであることを特徴とする。
【0009】
本発明の第3の観点は、前記データ合成部(11)が、前記第1の受信部(101)が受信した前記第1のパケットデータ(PD1)、及び/又は前記第2の受信部(102)が受信した前記第2のパケットデータ(PD2)を順次保存するデータ保存部(110)を有することを特徴とする。
【0010】
本発明の第4の観点は、第1のカメラ(C1)及び第2のカメラ(C2)と、
前記マルチプレクサ(1)と、
を備え、
該第1のカメラ(C1)から前記第1の受信部(101)に対して送信される前記第1のパケットデータ(PD1)は、図3(a)に例示するように、第1の前パケットデータ(PD1A)と、該第1の前パケットデータ(PD1A)と同じ内容であって該第1の前パケットデータ(PD1A)が送信された後に所定のアイドル時間(I1)を空けて送信される第1の後パケットデータ(PD1B)と、により構成され、
前記第2のカメラ(C2)から前記第2の受信部(102)に対して送信される前記第2のパケットデータ(PD2)は、図3(b)に例示するように、第2の前パケットデータ(PD2A)と、該第2の前パケットデータ(PD2A)と同じ内容であって該第2の前パケットデータ(PD2A)が送信された後に所定のアイドル時間(I2)を空けて送信される第2の後パケットデータ(PD2B)と、により構成され、
10μsec以上の間隔で発生するノイズ(図3(a)(b)の符号N参照。以下、“低周波ノイズ”とする)の時間幅をLとし、1つの低周波ノイズ(N)が発生してから次の低周波ノイズ(N)が発生するまでの間の低周波ノイズ無しの時間(以下、“ノイズ無し時間”とする)をLとし、前記第1の前パケットデータ(PD1A)及び前記第1の後パケットデータ(PD1B)の長さをLP1とし、該第1の前パケットデータ(PD1A)が送信されてから該第1の後パケットデータ(PD1B)が送信されるまでの前記所定のアイドル時間(I1)の長さをLI1とし、前記第2の前パケットデータ(PD2A)及び前記第2の後パケットデータ(PD2B)の長さをLP2とし、該第2の前パケットデータ(PD2A)が送信されてから該第2の後パケットデータ(PD2B)が送信されるまでの前記所定のアイドル時間(I2)の長さをLI2とした場合に、下式(1)~(4)を満足することを特徴とする撮影装置(3)に関する。
【数1】
【0011】
本発明の第5の観点は、前記第1のカメラ(C1)が、エラー検出用コードを付加した状態の前記第1の前パケットデータ(PD1A)及び前記第1の後パケットデータ(PD1B)を前記第1の受信部(101)に送信し、
前記第2のカメラ(C2)は、エラー検出用コードを付加した状態の前記第2の前パケットデータ(PD2A)及び前記第2の後パケットデータ(PD2B)を前記第2の受信部(102)に送信し、
前記第1の受信部(101)は、前記第1のカメラ(C1)からのエラー検出用コードをチェックすることにより前記第1の前パケットデータ(PD1A)又は前記第1の後パケットデータ(PD1B)のデータ化けを検出すると共に、データ化けが検出されなかった方の前記第1の前パケットデータ(PD1A)又は前記第1の後パケットデータ(PD1B)を前記データ合成部(11)に送信し、
前記第2の受信部(102)は、前記第2のカメラ(C2)からのエラー検出用コードをチェックすることにより前記第2の前パケットデータ(PD2A)又は前記第2の後パケットデータ(PD2B)のデータ化けを検出すると共に、データ化けが検出されなかった方の前記第2の前パケットデータ(PD2A)又は前記第2の後パケットデータ(PD2B)を前記データ合成部(11)に送信することを特徴とする。
【0012】
なお、括弧内の番号などは、図面における対応する要素を示す便宜的なものであり、従って、本記述は図面上の記載に限定拘束されるものではない。
【発明の効果】
【0013】
上記した第1乃至3の観点によれば、1つの第1のパケットデータ(つまり、前記合成データ中にて連続して配置される第1のパケットデータ)は1画面分のデータよりも小さいデータであり、1つの第2のパケットデータ(つまり、前記合成データ中にて連続して配置される第2のパケットデータ)は1画面分のデータよりも小さいデータであるので、フレームバッファのような大容量のバッファは不要となり、その分、装置の小型化及び低コスト化を実現できる。
【0014】
上記した第4及び5の観点によれば、電源などを起因とする低周波ノイズが多く発生する環境下で伝送ケーブルが3CFBのような細いものであっても使用でき、例えば、産業用ロボットや様々な検査機器などに産業用デジタルカメラを取り付けてマシンビジョンを構成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、本発明に係るマルチプレクサ等の構成の一例を示すブロック図である。
図2図2(a)は、第1のパケットデータの構成を説明するためのデータ構造図であり、同図(b)は、第2のパケットデータの構成を説明するためのデータ構造図であり、同図(c)は、合成データの構成を説明するためのデータ構造図である。
図3図3(a)は、第1のパケットデータ等を説明するためのデータ構造図であり、同図(b)は、第2のパケットデータ等を説明するためのデータ構造図である。
図4図4(a)(b)は、本発明の効果を説明するためのデータ構造図である。
図5図5は、マルチプレクサの従来構造の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図1乃至図4に沿って、本発明の実施の形態について説明する。
【0017】
本発明に係るマルチプレクサは、図1に符号1で例示するものであって、
・ 第1のカメラC1からの画像信号(以下、“第1のパケットデータ”とする)PD1を順次受信する第1の受信部101と、
・ 第2のカメラC2からの画像信号(以下、“第2のパケットデータ“とする)PD2を順次受信する第2の受信部102と、
・ これらの受信部101,102に接続されると共に該受信部101,102からのパケットデータPD1,PD2を合成して合成データPDsを作成するデータ合成部11と、
・ 該データ合成部11に接続されると共に前記合成データPDsを外部機器2に対して送信する送信部12と、
を備えている。そして、前記データ合成部11により作成される合成データPDsは、図2(c)に例示するように、前記第1のパケットデータPD1と前記第2のパケットデータPD2とが交互に配置されたものであって、1つの該第1のパケットデータPD1(つまり、前記合成データPDs中にて連続して配置される第1のパケットデータPD1)は、1画面分のデータよりも小さいデータであり、1つの該第2のパケットデータPD2(つまり、前記合成データPDs中にて連続して配置される第2のパケットデータPD2)は、1画面分のデータよりも小さいデータであるように設定されている。具体的には、該1つの第1のパケットデータPD1や該1つの第2のパケットデータPD2は、1つの画素の画像データにすると良い。つまり、図2(a)に例示するように、前記第1のカメラC1から前記第1の受信部101に順次送信されてくる画像データ(つまり、画素毎の画像データ)をPD11,PD12,PD13,…とし、図2(b)に例示するように、前記第2のカメラC2から前記第2の受信部102に順次送信されてくる画像データ(つまり、画素毎の画像データ)をPD21,PD22,PD23,…とした場合に、前記合成データPDsは、図2(c)に例示するように、PD11,PD21,PD12,PD22,PD13,PD23,…で構成されるようにすると良い。また、該1つの第1のパケットデータPD1や該1つの第2のパケットデータPD2は、複数の画素の画像データにしても良い。さらには、該1つの第1のパケットデータPD1や該1つの第2のパケットデータPD2は、1つのラインの画像データにしても良い。またさらに、該1つの第1のパケットデータPD1や該1つの第2のパケットデータPD2は、複数のラインの画像データにしても良い。
【0018】
なお、受信部101,102,…の個数は2個以上であれば良く、図1に符号101,101,103で示すように3個あっても、或いは4個以上あっても良い。今、受信部の個数がn個(但し、nは3以上の整数)であって、それぞれの受信部を“第1の受信部”、“第2の受信部”、…、“第nの受信部”と称することとし、各受信部にそれぞれ接続されているカメラを“第1のカメラ”、“第2のカメラ”、…、“第nのカメラ”と称することとし、各カメラからの画像信号を“第1のパケットデータ”、“第2のパケットデータ”、…、“第nのパケットデータ”と称することとすると、各受信部は前記データ合成部11に接続され、前記合成データPDsは、前記第1のパケットデータ→前記第2のパケットデータ→…→前記第nのパケットデータの順に配置され、いずれのパケットデータ(つまり、前記合成データ中にて連続して配置されるそれぞれのパケットデータ)も、1画面分のデータよりも小さいデータであるようにすると良い。
【0019】
なお、前記カメラC1,…による撮影は、制御部13からトリガ信号を送ることによって開始するようにすると良い。
【0020】
ところで、前記データ合成部11は、
・ 前記第1の受信部101が受信した前記第1のパケットデータPD1
・ 前記第2の受信部102が受信した前記第2のパケットデータPD2
のいずれか一方又は両方を順次保存するデータ保存部110を有するようにしても良い。
【0021】
ところで、上述のような第1のカメラC1や第2のカメラC2で撮影を行う場合には、撮影の前に露光時間を確保する必要がある。そして、該第1のカメラC1での撮影を行い、次に、該第2のカメラC2での撮影を行うような場合には、それぞれのカメラC1,C2について露光時間を確保しなければならず、その露光時間の間は撮影することができない。しかしながら、本発明によれば、前記第1のカメラC1による撮影と前記第2のカメラC2による撮影とを同時に行うようになっているのでそれぞれの露光時間を同時に取ることができ、別々に露光時間を確保しなければならない場合に比べて、時間の無駄を省くことができる。
【0022】
ところで、1つのカメラ(例えば、第1のカメラC1)の1画面分のデータを前記外部機器2に全て送り終えてから,他のカメラ(例えば、第2のカメラC2)の1画面分のデータを該外部機器2に送ろうとすると、フレームバッファのような大容量のバッファが必要となり、その分、装置は大型で高価なものとなってしまう。しかしながら、本発明によれば、1つの該第1のパケットデータPD1(つまり、前記合成データPDs中にて連続して配置される第1のパケットデータPD1)は1画面分のデータよりも小さいデータであり、1つの該第2のパケットデータPD2(つまり、前記合成データPDs中にて連続して配置される第2のパケットデータPD2)は1画面分のデータよりも小さいデータであるので、フレームバッファのような大容量のバッファは不要となり、その分、装置の小型化及び低コスト化を実現できる。
【0023】
一方、本発明に係る撮影装置3は、
・ 第1のカメラC1と、
・ 第2のカメラC2と、
・ 上述したマルチプレクサ1と、
を備えるようにすると良い。そして、上述した第1のパケットデータPD1(つまり、前記第1のカメラC1から前記第1の受信部101に対して送信される該第1のパケットデータPD1)を、図3(a)に例示するように、同じ内容の2つのパケットデータPD1A,PD1Bにより構成し、一方のパケットデータ(以下、“第1の前パケットデータ”とする)PD1Aが送信された後に所定のアイドル時間I1を空けてもう一方のパケットデータ(以下、“第1の後パケットデータ”とする)PD1Bが送信されるようにすると良い。また、上述した第2のパケットデータPD2(つまり、前記第2のカメラC2から前記第2の受信部102に対して送信される該第2のパケットデータPD2)を、図3(b)に例示するように、同じ内容の2つのパケットデータPD2A,PD2Bにより構成し、一方のパケットデータ(以下、“第2の前パケットデータ”とする)PD2Aが送信された後に所定のアイドル時間I2を空けてもう一方のパケットデータ(以下、“第2の後パケットデータ”とする)PD2Bが送信されるようにすると良い。そして、10μsec以上の間隔で発生するノイズ(以下、“低周波ノイズ”とする)Nの時間幅をLとし、1つの低周波ノイズNが発生してから次の低周波ノイズNが発生するまでの間の低周波ノイズ無しの時間(以下、“ノイズ無し時間”とする)をLとし、前記第1の前パケットデータPD1A及び前記第1の後パケットデータPD1Bの長さをLP1とし、該第1の前パケットデータPD1Aが送信されてから該第1の後パケットデータPD1Bが送信されるまでの前記所定のアイドル時間I1の長さをLI1とし、前記第2の前パケットデータPD2A及び前記第2の後パケットデータPD2Bの長さをLP2とし、該第2の前パケットデータPD2Aが送信されてから該第2の後パケットデータPD2Bが送信されるまでの前記所定のアイドル時間I2の長さをLI2とした場合に、下式(1)~(4)を満足するようにすると良い。
【数2】
【0024】
前記(1)式を満足しなければ、図4(a)に斜線部で例示するように、前記第1の前パケットデータPD1A及び前記第1の後パケットデータPD1Bが1つの同じ低周波ノイズNの影響を受けてしまうおそれもあり得る。また、前記(2)式を満足しなければ、図4(b)に斜線部で例示するように、前記第1の前パケットデータPD1A及び前記第1の後パケットデータPD1Bが長すぎて別々の低周波ノイズの影響を受けてしまうおそれもあり得る。また、前記第2のパケットデータPD2についても同様に、前記(3)式を満足しなければ、前記第2の前パケットデータPD2A及び前記第2の後パケットデータPD2Bが1つの同じ低周波ノイズNの影響を受けてしまうおそれもあり得る。また、前記(4)式を満足しなければ、前記第2の前パケットデータPD2A及び前記第2の後パケットデータPD2Bが長すぎて別々の低周波ノイズの影響を受けてしまうおそれもあり得る。しかし、本発明によれば、それらの事態を回避することができる。
【0025】
なお、前記低周波ノイズNの前記ノイズ無し時間Lは10μsec程度となるので、1つのパケットデータPD1A,PD1Bの長さLP1は“5μsec-LI1/2”より短い長さにすれば良い。例えば、前記パケットデータPD1A,PD1Bの転送速度が1.25Gbpsであれば、1つのパケットデータPD1A,PD1Bのサイズは64ワード以上112ワード以下にすると良く、アイドル時間I1の長さLI1は10ワード程度にすると良い。また、前記第2のパケットデータPD2についても同様に、1つのパケットデータPD2A,PD2Bの長さLP2は“5μsec-LI2/2”より短い長さにすれば良い。例えば、前記パケットデータPD2A,PD2Bの転送速度が1.25Gbpsであれば、1つのパケットデータPD2A,PD2Bのサイズは64ワード以上112ワード以下にすると良く、アイドル時間I1の長さLI2は10ワード程度にすると良い。なお、本発明においては、1ワード=4バイト=32ビットであるが、10b/8b変換により、実際の転送長(送信時の長さ)は40ビットとなる。また、低周波ノイズの影響を実験で確認したところ、上記条件に加えて40mの3CFBケーブルに±4kVの低周波ノイズを与えた場合、その長さは最大で36バイト程度であった。なお、この長さは転送速度、ケーブル長さ、ケーブル太さ、ノイズ電圧によって変わる。
【0026】
前記ノイズ無し時間Lが10μsec以上200μsec以下であって、前記パケットデータPD1A,PD1B,…を転送する速度が1.25Gbps以上6.25Gbps以下であって、該パケットデータPD1A,PD1B,…のサイズが1ワード以上560ワード以下であって、前記アイドル時間I1,I2の長さは10ワード以上100ワード以下にすると良い。
【0027】
本発明によれば、同じ内容で順次送信される2つのパケットデータ(つまり、前記第1の前パケットデータPD1A及び前記第1の後パケットデータPD1B、又は前記第2の前パケットデータPD2A及び前記第2の後パケットデータPD2B)の内の少なくとも1つのパケットデータは低周波ノイズNの影響を受けずに各受信部101,102に受信されることとなる。したがって、本発明によれば、電源などを起因とする低周波ノイズNが多く発生する環境下で伝送ケーブルが3CFBのような細いものであっても使用でき、例えば、産業用ロボットや様々な検査機器などに産業用デジタルカメラを取り付けてマシンビジョンを構成することが可能となる。なお、上述の低周波ノイズNは周期的に発生しないノイズであっても良いが、周期的に発生するノイズであっても良い。
【0028】
なお、上述の例においては、各カメラC1,C2から各受信部101,102へは同じ内容のパケットデータPD1A,PD1B,…を2回送信したが、そのような2回送信をするかしないかはオペレータが選択できるようにしておくと良い。
【0029】
本発明は、CoaXPress規格に適用することができ、CoaXPress規格以外でもデータをパケット化して送信するもの(例えば、イーサネット(登録商標)ケーブルやUSBを使ってデータを送信するもの)に適用することができる。なお、上述のように同じ内容のパケットデータを2回送信することで使用帯域は小さくなるが、CoaXPress規格は1.25Gbps~6.125Gbpsまでの帯域があるので、目標とする200Mbpsを十分達成できる。また、CoaXPress規格では、パケット化されたデータにCRC(Cyclic Redundancy Check 巡回冗長検査:データの誤りを検出することができるが、復元することはできないというもの)のコードが付いているので、データ化けが発生するとCRCチェックを行うことでデータ化けを検出することは可能であるから、正しく送信されたパケットデータのほうを選択すればよい。本発明をCoaXPress規格以外に適用する場合にも、
・ 上述のようなCRCコードや、
・ 該CRCコードのようにエラーを検出するためのコード
をパケットデータに付加しておく必要がある。すなわち、前記第1のカメラC1は、エラー検出用コードを付加した状態の前記第1の前パケットデータPD1A及び前記第1の後パケットデータPD1Bを前記第1の受信部101に送信し、前記第1の受信部101は、前記第1のカメラC1からのエラー検出用コードをチェックすることにより前記第1の前パケットデータPD1A又は前記第1の後パケットデータPD1Bのデータ化けを検出すると共に、データ化けが検出されなかった方の前記第1の前パケットデータPD1A又は前記第1の後パケットデータPD1Bを前記データ合成部11に送信するように構成すると良い。また、前記第2のカメラC2は、エラー検出用コードを付加した状態の前記第2の前パケットデータPD2A及び前記第2の後パケットデータPD2Bを前記第2の受信部102に送信し、前記第2の受信部102は、前記第2のカメラC2からのエラー検出用コードをチェックすることにより前記第2の前パケットデータPD2A又は前記第2の後パケットデータPD2Bのデータ化けを検出すると共に、データ化けが検出されなかった方の前記第2の前パケットデータPD2A又は前記第2の後パケットデータPD2Bを前記データ合成部11に送信するように構成すると良い。
【産業上の利用可能性】
【0030】
前記第1のカメラC1で左目用画像を撮影すると共に前記第2のカメラC2で右目用画像を撮影して、それらの画像信号(パケットデータ)を前記外部機器2に送信することにより、視差画像を形成する用途にも適用できる。
【符号の説明】
【0031】
1 マルチプレクサ
2 外部機器
3 撮影装置
11 データ合成部
12 送信部
101 第1の受信部
102 第2の受信部
110 データ保存部
C1 第1のカメラ
C2 第2のカメラ
I1,I2 アイドル時間
N 低周波ノイズ
PD1 第1のパケットデータ
PD1A 第1の前パケットデータ
PD1B 第1の後パケットデータ
PD2 第2のパケットデータ
PD2A 第2の前パケットデータ
PD2B 第2の後パケットデータ
PDs 合成データ
図1
図2
図3
図4
図5