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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-13
(45)【発行日】2022-01-13
(54)【発明の名称】ペンニードル交換システム
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/20 20060101AFI20220105BHJP
   A61M 5/32 20060101ALI20220105BHJP
【FI】
A61M5/20
A61M5/32 510Z
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2018556300
(86)(22)【出願日】2017-03-31
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-06-13
(86)【国際出願番号】 US2017025352
(87)【国際公開番号】W WO2017189169
(87)【国際公開日】2017-11-02
【審査請求日】2020-03-12
(31)【優先権主張番号】62/328,676
(32)【優先日】2016-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】595117091
【氏名又は名称】ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
【住所又は居所原語表記】1 BECTON DRIVE, FRANKLIN LAKES, NEW JERSEY 07417-1880, UNITED STATES OF AMERICA
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】スダーサン スリニヴァサン
(72)【発明者】
【氏名】コール コンスタンティノウ
(72)【発明者】
【氏名】ミシェル ブルウィラー
(72)【発明者】
【氏名】タイソン モンティドーロ
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー シャグノン
(72)【発明者】
【氏名】モハンマドレザ ラメザニファルド
(72)【発明者】
【氏名】ステファン ギスラー
【審査官】中村 一雄
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/040949(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第104524667(CN,A)
【文献】特開2012-050821(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0067989(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2005/0020983(US,A1)
【文献】特表2008-523930(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/20
A61M 5/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤送達ペン及びニードルアセンブリに接続可能であり、前記薬剤送達ペンから前記ニードルアセンブリに流れる薬剤に関するデータを交換する電子システムであって、
前記薬剤送達ペンから受け入れられる前記薬剤を検出し、前記薬剤のフローデータを測定するフローセンサと、
前記フローセンサと電気的に接触して前記フローデータを処理及び送信する1つ又は複数の回路基板であって、薬剤の流れを送るための1つ又は複数の流体路開口を含む1つ又は複数の回路基板と、
前記フローセンサと前記ニードルアセンブリの針との間の流体連通を提供するように構成され、前記針は前記薬剤を患者に投与する、隔壁本体と
を備える電子システム。
【請求項2】
前記1つ又は複数の回路基板は、互いに電気的に接続された第1の回路基板と第2の回路基板を含む請求項1に記載の電子システム。
【請求項3】
前記第1の回路基板がバッテリに電気的に接続され、前記第2の回路基板が1つ又は複数のLEDに電気的に接続される請求項2に記載の電子システム。
【請求項4】
前記第1の回路基板は前記フローセンサに電気的に接続される請求項2に記載の電子システム。
【請求項5】
前記薬剤を前記フローセンサから前記隔壁本体に移す流体コンジットをさらに備える請求項1に記載の電子システム。
【請求項6】
前記流体コンジットは前記1つ又は複数の回路基板の前記1つ又は複数の流体路開口内に配置される請求項5に記載の電子システム。
【請求項7】
前記薬剤送達ペンと係合し、および前記薬剤送達ペンのリザーバ隔壁を貫通するように構成されたスパイクを有するハブをさらに備えた、請求項1に記載の電子システム。
【請求項8】
前記流体コンジットの近位端が前記フローセンサに接続され、前記流体コンジットの遠位端が前記隔壁本体に接続される請求項5に記載の電子システム。
【請求項9】
前記隔壁本体は、その近位端に凹部を含み、
前記流体コンジットが前記凹部内に配置され、
前記隔壁本体は前記電子システムを密閉し、前記ニードルアセンブリの前記針に流体連通を選択的に提供する、
請求項5に記載の電子システム。
【請求項10】
前記1つ又は複数の回路基板は、デバイスステータスを示すための1つ又は複数のLEDを含み、
前記1つ又は複数のLEDは、前記1つ又は複数の回路基板の遠位端に配置される請求項1に記載の電子システム。
【請求項11】
点灯してデバイスステータスを示すディフューザリング
をさらに備え、
前記1つ又は複数のLEDは、異なる色の光を投射して前記ディフューザリングを点灯する請求項10に記載の電子システム。
【請求項12】
点灯してデバイスステータスを示すディフューザリング
をさらに備え、
前記ディフューザリングは前記1つ又は複数の回路基板の下に配置される請求項1に記載の電子システム。
【請求項13】
前記1つ又は複数の回路基板は、ディフューザリングに固着するためのスナップオンリングおよびスナップオンフランジを含む請求項1に記載の電子システム。
【請求項14】
前記スナップオンリングが前記ディフューザリングに固定されて、前記ディフューザリングを前記1つ又は複数の回路基板に固着し、前記ディフューザリングは前記スナップオンフランジを通って前記スナップオンリングに固定される、請求項13に記載の電子システム。
【請求項15】
前記電子システムを作動させるホール効果センサを備える作動スイッチをさらに備え、前記ホール効果センサは磁石およびホール効果スイッチを含み、前記磁石が前記ホール効果スイッチに位置合わせされると、前記ホール効果センサは前記電子システムを作動させる、請求項1に記載の電子システム。
【請求項16】
ハウジングが前記電子システムの一部を覆っているとき、前記電子システムを作動させる検出器スイッチである作動スイッチをさらに備える請求項1に記載の電子システム。
【請求項17】
ハウジングが前記電子システムの一部を覆っているとき、前記電子システムを曲がり作動させる触覚スイッチである作動スイッチをさらに備える請求項1に記載の電子システム。
【請求項18】
薬剤送達ペン及びニードルアセンブリに接続可能な電子システムを動作させる方法であって、前記電子システムは、前記薬剤送達ペンから前記ニードルアセンブリに流れる薬剤に関するデータを交換し、前記方法が、
フローセンサが、前記フローセンサに流体接続された前記薬剤送達ペンから流れる薬剤のフローデータを測定するステップと
回路基板が、前記フローデータを処理し、前記フローデータを前記フローセンサから送信するステップと、
第1の流体路開口が、前記ニードルアセンブリの針に接続されると、前記フローセンサから前記回路基板を垂直に貫通するコンジットを通って隔壁本体に前記薬剤の流れを送り、前記針は前記薬剤が前記ニードルアセンブリから出るのを可能にするステップと、
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の様々な例示的な実施形態は、薬剤ペンに関する。
【背景技術】
【0002】
本出願は、米国特許法第119条(e)に基づき、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、2016年4月28日に出願された米国仮特許出願第62/328,676号の利益を主張するものである。
【0003】
薬剤ペンは、一般的には、薬剤を患者に注入するために使用される。薬剤の用量を定期的に自己注射しなければならない人は、一般的には、薬剤ペン及びいくつかの使い捨てのペンニードルを携帯する。薬剤ペンは、安全性及び無菌性を求めて設計される。しかしながら、非効率及び不便が生じる。
【発明の概要】
【0004】
本発明の一態様は、薬剤ペンに取り付け可能で薬剤流を分析して薬剤データを通信する電子的交換システムを提供する。そのような電子的交換システムは、薬剤ペンと注入面の媒介物として働くことで、患者端と非患者端を分離する際に利点を提供する。電子的交換システムはまた、有利には、薬剤ペンへの係合及び離脱を可能にする。さらに、電子的交換システムの電気構成要素は、有利には、薬剤流から遮断される。具体的には、薬剤流は、システムのコンパクトさ、信頼性の向上、及び、動作インタフェースの改善を意図して、様々な電気構成要素のまわりに戦略的に送られる。
【0005】
薬剤送達に利用可能な針の貯蔵所を有することで、針再使用が減少する。針再使用は、少なくとも以下の理由で望ましくない。針は、1回使用した後になまくらになり、そのため、その後で使用することで、患者に疼痛を引き起こすことがある。複数回針使用によって、針先端の強度が低下可能であり、これによって、潜在的な破断が引き起こされ得る。また、針再使用によって、衛生上の懸念及び患者にとっての健康リスクが増加する。
【0006】
本発明のニードルアセンブリは、有利には、少なくとも以下の理由で再使用を減少させる。患者は針を複数回使用することから金銭的に利益を得ることを望むことがあるが、ニードルアセンブリは、複数の針の各々が2回以上使用されることを防止するように構成される。利便性も、患者が針を再使用する別の理由である。患者はまた、使用に利用可能な別の針がないこと、又は供給へのアクセスがないことについて懸念する場合がある。しかしながら、ニードルアセンブリは、好都合には、未使用の針がより容易に利用可能であるように、複数の針を提供する。
【0007】
本発明の前述の及び/又は他の態様は、薬剤送達ペン及びニードルアセンブリに接続可能であり、薬剤送達ペンからニードルアセンブリに進む薬剤に関するデータを交換する電子システムであって、薬剤送達ペンと係合し、薬剤送達ペンのリザーバ隔壁を穿刺するように構成されたスパイクを有するハブと、このハブと流体連通して薬剤のフローデータを測定するフローセンサと、このフローセンサと電気的に接触してフローデータを処理し及び送信する1つ又は複数の回路基板であって、薬剤の流れを送るための1つ又は複数の流体路穴を含む1つ又は複数の回路基板と、薬剤を患者に投与するためにフローセンサとニードルアセンブリの複数の針のうちの1つとの間の流体連通を提供するように構成された隔壁本体とを備える電子システムを提供することで達成可能である。
【0008】
本発明の前述の及び/又は他の態様は、薬剤送達ペン及びニードルアセンブリに接続可能な電子システムを動作させる方法であって、電子システムは、薬剤送達ペンからニードルアセンブリに進む薬剤に関するデータを交換し、方法は、薬剤送達ペンのリザーバ隔壁をハブ内に囲まれたスパイクで穿刺することと、薬剤送達ペンをハブに接続することと、スパイクとフローセンサの間の流体連通を提供して薬剤のフローデータを測定することと、フローデータを処理し、フローデータをフローセンサから回路基板に送信することと、ニードルアセンブリに接続されると、患者への薬剤の送達のためにフローセンサから回路基板を通って隔壁本体に薬剤流を送ることとを含む方法を提供することによっても達成可能である。
【0009】
本発明のさらなる及び/又は他の態様及び利点は、以下の説明に記載されるか、又はその説明から明らかになるか、又は本発明の実施によって知られ得る。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本発明の上記の態様及び特徴は、添付の図面に関して取り上げられる本発明の例示的な実施形態のための説明から、より明らかになろう。
【0011】
図1】ニードルアセンブリに取り付けられた例示的な電子的交換システムの正面斜視図である。
図2】ハウジングが取り外された、図1のニードルアセンブリに取り付けられた電子的交換システムの正面斜視図である。
図3】電子的交換システムの断面図である。
図4A】第1の位置で電子的交換システムに接続されたニードルアセンブリの断面図である。
図4B】第2の位置で電子的交換システムに接続されたニードルアセンブリの断面図である。
図5】電子的交換システムのサブアセンブリの斜視図である。
図6】電子的交換システムの透過斜視図として薬剤流路を示した図である。
図7】ハブの正面斜視図である。
図8】ハブの上面斜視図である。
図9】フローセンサの上面斜視図である。
図10】フローセンサの底面斜視図である。
図11】フローセンサの透過斜視図である。
図12】流体コンジットの斜視図である。
図13】バッテリボードの上面斜視図である。
図14】メインボードの上面斜視図である。
図15図14のメインボードの底面斜視図である。
図16】ディフューザリングの右側斜視図である。
図17】上部隔壁の上面斜視図である。
図18】上部隔壁の底面斜視図である。
図19】下部隔壁の上面斜視図である。
図20】ディフューザリングと相互作用する発光ダイオード(LED)の右側斜視図である。
図21】ディフューザリングと相互作用する複数のLEDの正面斜視図である。
図22】メインボードに固着されたディフューザリングの右側斜視図である。
図23】検出器スイッチである作動スイッチを含む電子的交換システムを示す図である。
図24】触覚スイッチである作動スイッチを含む電子的交換システムを示す図である。
図25】ホール効果センサである作動スイッチを含む電子的交換システムを示す図である。
図26】ニードルアセンブリの別の実施形態に接続された電子的交換システムの正面斜視図である。
図27】薬剤送達ペンに接続され、図26のニードルアセンブリに取り付け可能な電子的交換システムの正面斜視図である。
図28】第1の位置で図26のニードルアセンブリに接続された電子的交換システムの断面図である。
図29】第2の位置で図26のニードルアセンブリに接続された電子的交換システムの断面図である。
図30】第1の位置でカバーと組み付けられた図26の電子的交換システムに接続されたニードルアセンブリの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1及び図2は、一実施形態により、ニードルアセンブリ100に係合された例示的な電子的交換システム200を示す。電子的交換システム200は、ハブ214に固定されたハウジング202によって囲まれる。電子的交換システム200の動作は、ディフューザリング244の点灯を介して示される。電子的交換システム200のさらなる構成要素としては、フローセンサ220、バッテリボード250、メインボード260、流体コンジットチューブ238、及び、上部隔壁270がある。これらの特徴の各々のさらなる詳細については以下で説明する。
【0013】
図1及び図2の電子的交換システム200は、例示的なニードルアセンブリ100に接続される。ニードルアセンブリ100は、ハウジング110と、外部フィン145を含む底部ガイド144とを含む。ニードルアセンブリ100のさらなる詳細については、以下で説明する。薬剤送達ペン及びニードルアセンブリ100と協働する電子的交換システム200の利益及び利点についても以下で説明する。
【0014】
一実施形態によれば、図3は電子的交換システムの断面図を示す。ハウジング202は、電子的交換システム200の構成要素を囲む。ハウジング202は、図7及び図8に示すように、複数のプリント回路基板(PCB)ポスト204と、スロット205と、凹部206と、複数の外部隆起208とを含む。複数のPCBポスト204の各々は、ハウジング202の底部内面から延びる突起である。メインボード260は、複数のPCBポスト204の各々の上面上に配置される。互いから等距離に配置され、ハウジング202の内径に隣接する少なくとも3つのPCBポスト204が存在する。
【0015】
凹部206も、ハウジング202の底部内面上に配置される。凹部206は、底部内面へと延びて、上部隔壁270及び流体コンジット238が存在するためのキャビティを作り出す。複数のPCBポスト204と結合された凹部206は、上部隔壁270及び流体コンジット238がメインボード260及びその構成要素266の妨げにならないように、空間を提供する。複数の外部隆起208は、以下で詳細に説明するように、ニードルアセンブリ100の適切な動作を可能にする。
【0016】
スロット205は、ハウジング202の外面に沿って、凹部206の各側面に隣接して配置される。図7に示すように、凹部206に隣接するハウジング202の外周の一部分は、スロット205を作成することを意図している。スロット205は、以下で説明するように、ディフューザリング244と係合するように構成される。
【0017】
ハブ214は、中空スパイク216を含む。図3に示すように、電子的交換システム200が薬剤送達ペン4(非患者端)上に装着されているとき、中空スパイク204の鋭利な近位端が、バイアル、カートリッジ、又はリザーバ隔壁6を穿刺し、電子的交換システム200と薬剤送達ペン4の間の流体連通を確立する。具体的には、中空スパイク204がリザーバ隔壁6を穿刺することで、電子的交換システム200と薬剤送達ペン4の例えばインスリンカートリッジとの間の流体連通がもたらされる。
【0018】
一実施形態によれば、電子的交換システム200は、フローセンサ220をさらに含む。フローセンサ220は、図9図11に示すように、フローセンサ220の電気構成要素を収容するフローセンサハウジング222を含む。薬剤は、センサ入口224を介して入り、センサ出口226を介して出ることで、フローセンサ220内の流体路240を通って進む。
【0019】
図3に示すように、センサ入口224は、フローセンサハウジング222の長手方向縁に沿って中央に置かれ、電子的交換システム200内のハブ214の中空スパイク216と位置合わせされる。センサ入口224は、フローセンサ220とハブ214の間の気密すなわち漏れのないインタフェースを提供するゴムシール又はOリングシール228を含む。そのような構成は、有利には、薬剤が電子的交換システム200内の電気構成要素と接触することを防止する。センサ出口226は、以下で説明するように、流体コンジット238への流体接続を確立する。
【0020】
フローセンサ220は、有利には、薬剤とセンサチップ又は他の電気構成要素の間の直接的な流体接触がないように構成される。代わりに、流体路240は、必要な薬剤フローデータを測定及び抽出するために、薬剤をフローセンサハウジング222に通す。好ましくは、フローセンサ220はSensirion LPG10フローセンサである。
【0021】
フローセンサ220は、電気接点230をさらに含む。電気接点230は、フローセンサハウジング222の外部面上に配置され、フローデータを通信する。電子的交換システム200では、バッテリボード250は、フローセンサ220に電気的に接続され、フローデータを受け取って分析する。
【0022】
電子的交換システム200は、一実施形態により、バッテリボード250(第1のボード)も含む。バッテリボード250は、図5図6、及び、図13に示すように、バッテリ252に電気的に接続され、バッテリ接点254を有するプリント回路基板である。バッテリ252は、電子的交換システム200を動作させるために電力を提供する。バッテリ252は、好ましくは、電圧を増加させるためのステップアップコンバータを含む。バッテリボード250はまた、バッテリ252を機械的に固着する。
【0023】
さらに、バッテリボード250は、フローセンサ220に電気的に接続され、分析のために薬剤フローデータを受け取り、このデータをコンピュータ、スマートフォン、又は他の電子デバイスなどの外部システムに通信する。バッテリボード250は、第1の流体路穴すなわち開口256も含む。第1の流体路開口236は、好ましくは、バッテリボード250の外周縁にある切り欠き部分である。第1の流体路開口256は、流体コンジット238内で進む流体路を送る手段を提供する。第1の流体路開口256は、有利には、流体コンジット238と電子的交換システム200の残りの電気構成要素の間の干渉を最小にするために、バッテリボード250の外周縁に沿って配置される。
【0024】
一実施形態による電子的交換システム200内のバッテリボード250の下に、メインボード260(第2のボード)がある。メインボード260は、図5図6図14、及び、図15に示すように、バッテリボードコネクタ261と、スナップオン部材262と、第2の流体路穴すなわち開口264と、回路基板構成要素266と、複数の発光ダイオード(LED)268とを含む。
【0025】
バッテリコネクタ261は、バッテリボード250上のバッテリ接点254と電気的に係合する。バッテリコネクタ261は、メインボード260を動作させるために、バッテリ252からの電力を提供する。スナップオン部材262は、メインボード260上の電子回路を作動するスイッチである。ディフューザリング244のさらなる詳細については、以下で説明する。
【0026】
第2の流体路穴すなわち開口264は、好ましくは、メインボード260の外周縁にある切り欠き部分である。第1の流体路開口256と同様に、第2の流体路開口264は、流体コンジット238内で進む流体路を送る手段を提供する。第2の流体路開口264は、有利には、流体コンジット238と電子的交換システム200の残りの電気構成要素の間の干渉を最小にするために、バッテリボード250の外周縁に沿って配置され、第1の流体路開口256と実質的に位置合わせされる。
【0027】
メインボード260は、図14及び図15に示すように、複数のLED268、Bluetoothチップ265、メモリチップ267、及び、マイクロプロセッサ269などの回路基板構成要素266を含む。一代替構成では、標準的なBluetoothチップ内に含まれるマイクロプロセッサ及びメモリチップが十分であり、メインボード260上のこれらの構成要素を別個に必要としないことがある。この例では、Bluetoothチップは、適切に機能するために、抵抗、キャパシタ、及び、ダイオードなどの様々な単純な回路素子を必要とする。
【0028】
複数のLED268は、図15に示すように、好ましくは、3つのLEDを含み、円周方向に、メインボード260の外縁の近くで、互いから離間される。LED268は、メインボード260の遠位面にも配置される。
【0029】
例えば、LED268が一緒に連続光を点灯している場合、電子的交換システム200の電源が投入され、動作の準備が整う。LED268が一緒に点滅している場合、薬剤が送達中であり、用量が患者に送達された後、引き続き10秒間点滅する。LED268が一緒に点灯していない場合、電子的交換システム200の電源は切られている。LED268は、デバイスステータスを示すために、交互に、異なる色で、又は個別に、点灯することができる。例えば、LED268は、様々なエラー条件(例えば、詰まり又は低バッテリ)ならびBluetooth対応外部デバイスとのペアリングステータスを示すために、異なる色を点灯することができる。
【0030】
LED268はまた、電子的交換システム200がいつ外部システムとペアにされるかを示す。さらに、LED268は、様々な状態の中でもとりわけ、電気通信が外部システムへの送達データのリアルタイム転送のためにペアにされているとき、及び、使用者が送達デバイスニードルを取り外すことができるとき(例えば、流量が、注入が完了したことを示す、又はマイクロプロセッサ269が、指定された時間の期間にわたるフローが入力用量に合致すると判断する)、「進行中」、「完了」、「詰まり」などのフローステータスを示すために投薬中に点灯される。
【0031】
図14に示すように、Bluetoothチップ265もメインボード260上に配置される。電子的交換システム200内で、Bluetoothチップ265は、上部隔壁270の上に、これに隣接して配置される。Bluetoothチップ265は電子的交換システム200と外部システムの間のデータ通信を提供する。あるいは、Wi-Fi技術が、類似の目的のためにBluetoothチップ264の代わりに使用可能である。
【0032】
図14は、メインボード260上に配置されたメモリチップ267をさらに示す。メモリチップ267は、フローデータ又は処理された情報が外部システムに転送されないとき、情報を記憶する。
【0033】
一代替実施形態によれば、電子的交換システム200からの注入中又はその直後に提供されるデータは、外部システム内のメモリデバイスに自動的に転送され、外部システム内のクロックを使用するタイムスタンプとともに、このメモリデバイスに記憶される。このようにして、電子的交換システム200はフローデータを処理しない。代わりに、投薬が進行中であるとき、外部システムは、アプリによって、例えば、フローデータを受信及び処理し、経時的な流量、総用量、並びに他のフロー特性及び投薬特性を判断するように構成可能である。
【0034】
図14は、メインボード260上に配置されたマイクロプロセッサ269も示す。マイクロプロセッサ269は、以下の機能的利点及び利益を提供する。マイクロプロセッサ269は、Bluetoothチップ265を介して使用者から所望の用量を受け取り、フローセンサ220から受け取ったフローデータを分析して、用量送達完了ステータスを判断する。マイクロプロセッサ269は、全地球測位システム(GPS)を通じて時間を測定する、あるいは、リアルタイムクロック(例えば、Abracon AB-RTCMCリアルタイムクロックモジュール又はその等価物)を含む。マイクロプロセッサ269は、この時間データを使用して、送達の速度及び送達完了の時間を決定する。投薬が施されているとき、マイクロプロセッサ269は、フローセンサ220からフローデータを受け取り、所望の用量、送達された総用量、用量時間、用量速度、又は「進行中」もしくは「完了」などの用量ステータスを送達するためにどれほど多くの時間が必要とされるかを判断する。加えて、送達中のフローデータは、詰まりなどの問題を示し、投薬中にユーザアラートを生成する。マイクロプロセッサ269はまた、使用者がアクセスするための用量履歴を計算する。
【0035】
マイクロプロセッサ269は、リアルタイムで(例えば、注入中)又は注入後などの任意の時間に、薬物送達ステータス(例えば、上記で説明したように、完了又は進行中)又は他の送達情報(例えば、上記で説明したように、速度、タイミング)に関するデータを転送する。例えば、電子的交換システム200は、用量の時間を捕捉し、タイミング情報を、フローデータ及び送達された総量データとともに外部システムに送出する。この転送は、上記で説明したように、Wi-Fi技術又はBluetoothチップ265を介して行われる。
【0036】
一実施形態によれば、図16に示すように、電子的交換システム200は、開口245と切り取り部分248とを有するディフューザリング244を含む。ディフューザリング244は、図3に示すように、メインボード260の下に配置され、外部に露出される。ディフューザリング244は、ニードルアセンブリ100の内側ハウジングの上面とハウジング202の底面の間に保持される。具体的には、図2図7、及び、図16に示すように、ディフューザリング244の開口248は、ハウジング202上に設置されたスロット205に嵌め込まれて、ディフューザリング244を固着する。
【0037】
図22に示すように、ディフューザリング244の切り取り部分248は、スナップオンフランジ246のための通路を提供する。スナップオンフランジ246の近位端がスナップオン部材262と係合する又はこれを作動させると、メインボード260上の電子回路が作動される。スナップオンフランジ246がスナップオン部材262から離脱されると、メインボード260上の電子回路は作動停止にされる。
【0038】
図20及び図21に示すように、ディフューザリング244は半透明であり、上記で説明したように、LED268から発された光を受けるように構成される。ディフューザリング244は、ニードルアセンブリ2及び電子的交換システム200の外周囲全体のまわりに、LED268によって発された光を散乱するように構成される。好ましくは、ハウジング202も部分的に透明であり、したがって、LED268からの光がディフューザリング244に到達することが妨げられない。このようにして、電子的交換システム200のデバイスステータスは、様々な視野角から、より明らかになる。また、電子的交換システム200のデバイスステータスは、ディフューザリング244の点灯に基づいて、使用者によって決定される。
【0039】
電子的交換システム200は、一実施形態により、入口247と出口249とを有する流体コンジット238をさらに含む。図12は、流体コンジット238及びその概略的な輪郭を示す。図5及び図6は、流体コンジット238の入口247がフローセンサ220のセンサ出口226に接続されていることを示す。その後、流体コンジット238は、第1の流体路開口及び第2の流体路開口256、264を介してバッテリボード250及びマザーボード260を通って進む。最終的に、流体コンジット238の出口249は上部隔壁270に接続される。
【0040】
図6は、ハブ214のスパイク216を通って入り、フローセンサ220を通って進み、流体コンジット238に移り、上部隔壁270に出るときの薬剤流体路240を示す。ひとたび薬剤が上部隔壁270に入ると、薬剤は、薬剤送達のためにニードルアセンブリ100に送られる準備が整っている。
【0041】
一実施形態によれば、電子的交換システム200は、上部隔壁270と下部隔壁284(全体的に隔壁本体270/284と呼ばれる)とをさらに含む。図17及び図18は、凹部272を含み、その中心に貫通穴又は入力チャンバ274を有する、上部隔壁270を示す。具体的には、凹部272は、上部隔壁270の近位面へと引っ込むキャビティである。図3に示すように、凹部272は、流体コンジット238が配置されるための空間を提供する。さらに、凹部272は、上部隔壁270の外径(第3の直径)279を越えて延び、ハウジング202内の凹部206と係合するときの適切な方向付けのためのアライメントキーのように働く。
【0042】
上部隔壁270の中央にあるのは、入力チャンバ274である。図3に示すように、入力チャンバ274は、上部隔壁270を通って延び、薬剤が流体コンジット238の出口249を出て上部隔壁270に入るための通路を提供する。入力チャンバ274の遠位端は、送達チャンバ280と流体連通する。入力チャンバ274によって、液体薬剤が薬剤送達ペンから送達チャンバ280へと流れ込むことが可能になる。
【0043】
送達チャンバ280は、上部隔壁及び下部隔壁270、284が互いに接合されると形成される。具体的には、外径(第3の直径)279に加えて、上部隔壁270は、第1の直径276と、第2の直径278とを含む。第3の直径279は最大の直径であり、第1の直径276は最小の直径である。第2の直径278は、上部隔壁270を下部隔壁284にシールする。
【0044】
図3に示すように、第1の直径276の外面と第2の直径278の底部遠位面が、送達チャンバ280を形成する。言い換えれば、送達チャンバ280は、上部隔壁270の第1の直径276の外面と第2の直径278の外面の間に配置される。送達チャンバ280は、上部隔壁270の長手方向キャビティ282と流体連通する円形キャビティである。長手方向キャビティ282は、送達チャンバ280(円形キャビティ)を入力チャンバ274に接続する通路である。長手方向キャビティ282は、第2の直径278の底部遠位面に沿って上部チャンバ270の第1の直径276から中央まで延びる。
【0045】
下部隔壁284すなわちプライミング隔壁が図19に示されている。下部隔壁284は、内径286と、外径288と、底部内面290とを含む。内径286は、上部隔壁270の第2の直径278と嵌合し、直接的なシーリング接点を提供する。したがって、送達チャンバ280は、内径286の範囲内にあり、下部隔壁284の底部内面290よりも上に、並びに上部隔壁270の第1の直径276の外部にあり、上部隔壁270の第2の直径278を下回るように形成される。送達チャンバ280は、例示的なニードルアセンブリを介して薬剤送達のために入力チャンバ274から受けた薬剤を格納する。
【0046】
上部隔壁270は、例えば、環状スナップ嵌め又は締り嵌めを介して下部隔壁284に固着される。上部隔壁270及び下部隔壁284は、好ましくは、異なるデュロメータを有する異なる材料から構成される。そのような特性によって、上部隔壁270の第2の直径278と下部隔壁284の内径286の間のシーリングが強化される。
【0047】
電子的交換システム200は、一実施形態により、作動のための代替手段を提供することができる。図23図25は、様々な作動スイッチ242を示す。以下でさらに説明するように、作動スイッチ242の各々は、使用者がニードルアセンブリ100のハウジング110を移動すると、開始される。作動スイッチ242がオンにされると、LED268は、電子的交換システム200の準備が整っていることを示すために、上記で説明した様式と同様の様式で点灯される。
【0048】
図23は、検出器スイッチ243aである作動スイッチ242を示す。検出器スイッチ243aは、電子的交換システム200を作動させるためにハウジング110が電子的交換システム200の所定の部分をいつ覆うかを検出し及び決定する。図24は、フランジ付きスイッチ243bである作動スイッチ242を示す。ハウジング110が移動して、電子的交換システム200の所定の部分を覆うと、フランジ付きスイッチ243bが曲がり、したがって、電子的交換システム200を作動させる。図25は、ホール効果センサ243cである作動スイッチ242を示す。ホール効果センサ243cは、磁石と、ホール効果スイッチとを含む。磁石はハウジング110内に配置され、ホール効果スイッチは、電子的交換システム200の外面上に配置される。ハウジング110が移動し、磁石をホール効果スイッチと位置合わせすると、ホール効果センサ243cが電子的交換システム200を作動させる。
【0049】
図4A及び図4Bは、ニードルアセンブリ100と協働する電子的交換システム200を示す。以下では、ニードルアセンブリ100の動作について説明する。一実施形態によれば、ニードルアセンブリ100は、図4Aに示すような第1の位置から図4Bに示すような第2の位置に移動し、第2の位置では、複数の針118のうちの選択された針124の遠位端128が薬剤送達のために露出される。ニードルアセンブリ100が第1の位置を離れると、選択された針124の遠位端128がシーリング隔壁150を穿刺し始め、残りの複数の針118はすべて、シーリング隔壁150内でシールされ及び滅菌される。
【0050】
ハウジング110が下方へ移動すると、従動リング130及びスナップリング136も下方へ移動する。従動リング130が下方へ移動すると、従動リング130の底部部分にある従動部132が、底部ガイド144の複数の外部フィン145のうちの1つと係合する。具体的には、従動部132は、複数の外部フィン145のうちの1つと接触し、従動部132がその歯状縁に沿って摺動し、外部フィン145との接触を維持しながら従動リング130を回転させる。
【0051】
スナップリング136が従動リング130に回転可能に接続されるので、スナップリング136も回転する。スナップリング136が従動リング130に回転可能に結合されるので、スナップリング136は、選択された針124の針ポスト140の延長部分142に圧力を加える。その結果、図4Bは、選択された針124の遠位端128が、薬剤送達のために、ニードルアセンブリ100のシーリング隔壁150に穿刺し、選択された針124を露出させることを示す。
【0052】
図4Bに示すように、ニードルアセンブリ100が第2の位置にあるとき、複数の針118のうちの選択された針124が薬剤送達のために露出される。具体的には、従動部132は回転を完了しており、底部ガイド144の外部フィン145の間に配置される。選択された針124の遠位端128は、薬剤送達の準備が整っている。この第2の位置では、選択された針124の近位端が送達チャンバ280との流体連通へと入り、選択された針124の鋭利な遠位端128がシーリング隔壁150を穿刺し、露出される。複数の針118の各々は位置合わせされ、スナップリング136によって選択される送達チャンバ280と流体連通するように構成される。残りの針118の近位端120は引き続き上部隔壁270内に配置されている。残りの針118の遠位端122はまた、ニードルアセンブリ100のシーリング隔壁150内でシールされ及び滅菌された状態を引き続き保つ。
【0053】
ニードルアセンブリ100が、図4Aに示すように、第2の位置から第1の位置に戻ると、使用者は、ハウジング110を薬剤送達ペン4の方へ引っ張って戻す。同時に、キャップは、スナップリング136及び従動リング130を上方へ押し、これによって、選択された針124の延長部分142を上方へ移動させる。選択された針124の遠位端128は、ニードルアセンブリ100のシーリング隔壁150へと戻る。シーリング隔壁150は、選択された針124を囲み、使用者を保護する。
【0054】
一方、従動リング130の頂部部分にある従動部132は、隔壁ハウジング114の複数の隆起117のうちの1つと接触し、従動リング130を回転させる。複数の隆起117は、隔壁ハウジング114の外部又は内部に配置可能である。従動リング130の頂部部分における従動部132は、隔壁ハウジング114の複数の外部隆起117のうちの1つと接触し、従動部132は、その歯状縁に沿って摺動して、外部隆起117との接触を維持しながら従動リング130を回転させる。
【0055】
図4Aに示すように、ニードルアセンブリ100が第1の位置に戻ると、従動リング130は回転し、その後の注入のためにスナップリング136を複数の針118のうちの隣接する針と位置合わせさせる準備をする。具体的には、スナップリング136は、半径方向に弾力的に曲がり、複数の針118のうちの隣接する針の針ポスト140の延長部分142の上にカチッとはまる。このようにして、ニードルアセンブリ100内の次の針は、その後の使用の準備が整う。
【0056】
スナップリング136を回転させる間、第1の位置から第2の位置に移動し、第1の位置に戻るプロセスは、上記で説明した様式で繰り返し、したがって、ニードルアセンブリ100の複数の針118の中の各針は、第1の針から各隣接する針に、そして最後の針まで、連続する様式で個別に露出される。
【0057】
図26図30は、一実施形態により、電子的交換システム200に接続する別の例示的なニードルアセンブリ2を示す。図27は、液体薬などの薬剤を生体に注入するために使用される一般的な薬剤送達ペン4を示す。電子的交換システム200は、薬剤送達ペン4上に装着され、薬剤フローを分析する。ニードルアセンブリ2は、使用のために鋭い近位端36をもつ複数の針34を提供することで、薬剤送達を増強するために、電子的交換システム200上に装着するように構成される。ニードルアセンブリ2が使用された後、別のニードルアセンブリ2が使用可能であり、したがって、薬剤送達ペン4及び電子的交換システム200は、必要に応じて引き続き動作することができる。
【0058】
複数の中空針34の鋭利な近位端36は、図28に示すように、上部隔壁270内でニードルアセンブリ2の第1の位置に配置される。複数の針34は、送達チャンバ280を通って延び、したがって薬剤と接触する。しかしながら、複数の針34は、送達チャンバ280と流体連通しない。
【0059】
ニードルアセンブリ2の第2の位置では、図29に示すように、複数の針34のうちの1つが、薬剤送達のために露出される。この例では、選択された針40の近位端42が、円形キャビティ280内に配置されて、薬剤を受ける。
【0060】
次に、電子的交換システム200に接続されたニードルアセンブリ2の動作について、以下のように例示的な様式で説明する。一実施形態によれば、図26に示すように、使用者は、ニードルアセンブリ2を電子的交換システム200に接続する。図27及び図28は、使用者が薬剤送達のためにニードルアセンブリ2を使用することを望むとき、セレクタリング16が、ピールタブ60と位置合わせするように回転されることを示す。使用者は、選択された針40のピールタブ60のタブ64を、引っ込んだコンパクト位置から延長位置に曲げる。
【0061】
次に、使用者は、選択された針40のピールタブ60のタブ64を引っ張り、ニードルアセンブリ2を図28の第1の位置から図29の第2の位置に移動させる。選択された針40が十分に引き出されたとき、ニードルアセンブリ2は第2の位置にある。その後、無菌性バリア60が、選択された針40から取り外され、ニードルアセンブリ2は、薬剤送達の準備が整う。ニードルアセンブリ2が第1の位置から第2の位置に移動すると、選択された針40の針ポスト50も、頂部位置から底部位置に移動する。
【0062】
ニードルアセンブリ2の第2の位置では、選択された針40の近位端42も、電子的交換システム200の送達チャンバ280との流体連通に入る。選択された針40の遠位端44は、セレクタリング16を出て、薬剤送達のために露出される。したがって、薬剤は、選択された針40の近位端42によって受けられ、選択された針40の遠位端44を出て、患者に送達される。
【0063】
複数の針34のうちの第1の針が使用されるとき、送達チャンバ280は薬剤で満たされ、ニードルアセンブリ隔壁がプライミングされる結果になる。具体的には、薬剤は、送達チャンバ280の完全な流体路を横断し及び満たし、複数の針34のうちの第1の針に到達しなければならない。したがって、送達チャンバ280内の空気の発生率は、有利には、減少される。流体路から空気を除去することも、有利には、用量精度を改善する。
【0064】
図30は、一実施形態により、ニードルアセンブリ2を第2の位置から第1の位置に戻すためのカバー80の使用を示す。カバー80は、シリンダ82と、基部84と、突出部86とを含む。シリンダ82は、ニードルアセンブリ2を取り囲むように構成される。基部84は、ニードルアセンブリ2のセレクタリング16の底部部分を覆うように構成される。突出部86は、基部84から延び、シリンダ82内の中央に配置される。カバー80がニードルアセンブリ2上に置かれると、突出部86は、セレクタリング16のセレクタ穴17に入る。カバー80の突出部86は、選択された針40の針ポスト50の針ポストフランジ52を底部位置から頂部位置に押すことで、圧力を加える。
【0065】
カバー80の突出部86は、針ポストフランジ52に圧力を加えることで、針ポスト50を移動させる。図30は、ニードルアセンブリ2の第1の位置を示す。複数の針34の各々の針ポストフランジ52も、セレクタリング16の中心軸に向けて配列されるように示されている。そのような構成によって、有利には、カバー80の突出部86が複数の針ポストフランジ52の各々と係合して、針ポスト50が底部位置から頂部位置に移動することが可能になる。
【0066】
ニードルアセンブリ2が第1の位置に戻された後、一実施形態によれば、隣接する針が、好ましくは、使用のために選択される。次いで、セレクタリング16が回転され、隣接する針の隣接するピールタブ60を露出させる。しかしながら、使用者は、残りの複数のピールタブ60のいずれかを露出させて選ぶための柔軟性を有する。
【0067】
ひとたび針及びそれぞれのピールタブ60が選択されると、選択されたピールタブ60は、上記で説明した様式で動作のために取り外される。次いで、選択された針40が薬剤送達のために使用され、その後、カバー80が、選択された針40をニードルアセンブリ2の第1の位置に戻すために使用される。これらのステップは、複数の針34のすべてが使用されるまで繰り返される。セレクタリング16と複数のピールタブ60の組み合わせによって、ニードルアセンブリ2が簡略化され、使用しやすい動作が可能になり、安全性が改善される。
【0068】
複数の針34の各々は、有利には、電子的交換システム200及びニードルアセンブリ2の動作全体を通して薬剤送達ペン4の隔壁から隔離される。また、ニードルアセンブリ2、100は、データを転送するためのUSBポートを含むことができる。そのような配置は、有利には、設計における単純性を提供し、無菌性を改善し、データ転送を可能にし、患者端と非患者端の分離を提供する。
【0069】
本発明の原理及びその実際的な適用例を説明し、それによって、当業者が、様々な実施形態に関して、及び、企図される特定の使用に適した様々な修正を加えて、本発明を理解することを可能にする目的で、いくつかの例示的な実施形態の前述の詳細な説明を提供してきた。本明細書は、網羅的であること、又はまさにその開示された実施形態に本発明を制限することを必ずしも意図するものではない。本明細書において開示した実施形態及び/又は要素のいずれも、互いに矛盾しない限り、互いに組み合わせて、具体的に開示されていない様々な追加の実施形態を形成してよい。したがって、追加の実施形態が可能であり、本明細書及び本発明の範囲内に包含されることが意図されている。本明細書は、別のやり方で達成し得る、より一般的な目標を達成するために、特定の例について説明する。
【0070】
本出願において使用されるとき、「前部」、「背部」、「上部」、「下部」、「上方へ」、「下方へ」という用語及び他の方位記述子は、本発明の例示的な実施形態の説明を容易にすることを意図し、本発明の例示的な実施形態の構造を任意の特定の位置又は方位に制限することを意図したものではない。「実質的に」又は「ほぼ」などの程度の用語は、所与の値の外部の合理的な範囲、例えば、説明した実施形態の製造、組み立て、及び、使用に関連付けられた一般的な許容差を指すと、当業者によって理解される。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
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図8
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図10
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