(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-13
(45)【発行日】2022-01-13
(54)【発明の名称】部分浴用容器
(51)【国際特許分類】
A61H 33/00 20060101AFI20220105BHJP
A61H 35/00 20060101ALI20220105BHJP
【FI】
A61H33/00 310C
A61H35/00 C
(21)【出願番号】P 2019028353
(22)【出願日】2019-02-20
【審査請求日】2020-10-19
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 集会名: 日本人間工学会東海支部 2018年研究大会 開催日:平成30年10月20日 刊行物名:日本人間工学会東海支部「日本人間工学会東海支部 2018年研究大会論文集」 発行日:平成30年10月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】511036439
【氏名又は名称】公立大学法人三重県立看護大学
(74)【代理人】
【識別番号】110001966
【氏名又は名称】特許業務法人笠井中根国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100147717
【氏名又は名称】中根 美枝
(74)【代理人】
【識別番号】100103252
【氏名又は名称】笠井 美孝
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 真
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 智之
【審査官】望月 寛
(56)【参考文献】
【文献】実開昭59-030233(JP,U)
【文献】特開2012-147815(JP,A)
【文献】特開2014-005030(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第101108077(CN,A)
【文献】登録実用新案第3114951(JP,U)
【文献】特開2003-180789(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61H 33/00
A61H 35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に水や湯を収容可能な容器本体と、
前記容器本体内に術者の手を挿入するための術者用挿入口と、
前記術者用挿入口とは独立して設けられ、前記容器本体内に被術者の四肢の何れかを挿入するための被術者用挿入口と、を備え
、
有底筒状とされた前記容器本体において上側の開口部により前記術者用挿入口が構成されており、前記容器本体の周壁において前記被術者用挿入口が側方に開口して設けられており、
前記被術者用挿入口の開口周縁部には、前記容器本体の外方に突出する外方筒部が設けられており、
前記容器本体の全体および前記外方筒部の全体が可撓性を有し軟質の合成樹脂製のシート材により形成されている部分浴用容器。
【請求項2】
前記被術者用挿入口が、前記容器本体の下端よりも上方に設けられている請求項
1に記載の部分浴用容器。
【請求項3】
前記被術者用挿入口に挿入される被術者の四肢の下方に該四肢を支持する支持台をさらに備えている請求項
2に記載の部分浴用容器。
【請求項4】
前記容器本体の下方部分には、
前記シート材が二重とされて他の部分よりも高剛性の補強部が設けられている請求項1~
3の何れか1項に記載の部分浴用容器。
【請求項5】
前記外方筒部には、前記容器本体に収容された水や湯の漏出しを防止する止水手段が設けられている請求項
1~4の何れか1項に記載の部分浴用容器。
【請求項6】
前記止水手段が、前記外方筒部における前記容器本体とは反対側の端部に設けられている請求項
5に記載の部分浴用容器。
【請求項7】
前記容器本体より硬質のフレームを備えており、該フレーム内に該容器本体が収容可能とされている請求項
1~6の何れか1項に記載の部分浴用容器。
【請求項8】
前記容器本体には、収容された水や湯を排出するドレイン口が設けられている請求項1~
7の何れか1項に記載の部分浴用容器。
【請求項9】
前記容器本体から排出された水や湯を収容する排液バッグを備えている請求項1~
8の何れか1項に記載の部分浴用容器。
【請求項10】
前記容器本体に注入される水や湯が予め収容された注入バッグを備えている請求項1~
9の何れか1項に記載の部分浴用容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手浴や足浴等の部分浴に用いられる容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、看護や介護の現場では、例えば寝たきりの患者や身体に障害があり自力で入浴やシャワーを浴びることができない患者に対して、タオル等で体を拭く等して皮膚の汚れを落とすこと(清拭)が行われている。
【0003】
特に、手足の先端(例えば、手首や足首から先)は汚れが蓄積し易く、細菌やウイルスが増殖して病気の温床となるおそれがある。さらに、蓄積した汚れから悪臭が発生する場合もある。それゆえ、このような問題を解消するために、手足の先端を清拭だけでは不十分な場合もあることから、手や足を水や湯を用いて洗浄する手浴や足浴が行われる。このような手浴や足浴が行われることで、患者の手足の清潔が保持されるだけでなく、例えば手足を温めることによる血行促進効果やリラックス効果も得られる。これにより、身体面のみならず、精神面においても安らぎを得ることができ、患者の睡眠促進や疼痛緩和といった付随的な効果も得ることができる。
【0004】
そして、このような手浴に用いられる容器としては、例えば特開2009-183438号公報(特許文献1)や実用新案登録第3099481号公報(特許文献2)等に記載の手浴ベースンや介護用手洗い桶が提案されている。これらの手浴ベースンや介護用手洗い桶では、手浴対象者(被術者)の手と看護者又は介護者(術者)の手が、容器内部の浴槽空間に対して、上方から挿入されるようになっている。さらに、特開2010-172680号公報(特許文献3)には、柔軟な素材で形成され変形自在な水受け袋を用いたベッド用手足専用洗い袋が提案されている。被術者の手と術者の手が挿入される水受け袋の上方開口部には、挿入された被術者の手の周囲に上方開口部の一部を固定させる面ファスナーやクリップが設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2009-183438号公報
【文献】実用新案登録第3099481号公報
【文献】特開2010-172680号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、本発明者らが検討したところ、特許文献1~3の従来構造の容器は、新規な課題を有していることが分かった。即ち、これらの容器では、被術者の手と術者の手が何れも上方の挿入口から挿入されることから、それらの手の挿入方向が同一で、且つ限定されていた。それ故、使用態様が限定的であり、起き上がることが困難であったり、拘縮により四肢を動かすことが困難である等の被術者においては、使用自体が難しい場合があった。更に、共通の挿入口に対して術者の手と被術者の手が挿入されることから、術者の十分な作業スペースが確保できず、施術に支障をきたし、術者の作業性の悪化を招くおそれもあった。
【0007】
具体的には、特許文献1に記載の手浴ベースンは、側臥位の姿勢でしか用いることができず、術者が被術者を側臥位の姿勢まで起こすか、被術者が自力で側臥位の姿勢まで起き上がる必要があり、術者と被術者の双方の負担が大きかった。特許文献2に記載の介護用手洗い桶でも容器の上端に手を載置する必要があり、被術者によっては負担が大きい場合があった。特許文献3に記載のベッド用手足専用洗い袋では、変形自在な水受け袋を用いていることから、使用時の術者の姿勢の負担を低減することはできるものの、上方開口部から水が溢れないように、水受け袋の上方開口部の一部を挿入された被術者の手の周囲に巻きつけて固定させる必要がある。その結果、上方開口部が絞られて、上方開口部における術者作業スペースが削減される。さらに、上方開口部が被術者の手に固定されることで、下方や側方に向かって変形されることから、術者は常に上方開口部からの水漏れの心配をしながら施術を行う必要がある。それゆえ、術者の作業性が著しく低下し、術者の過大な負担を招いていた。
【0008】
本発明は、本発明者らの上記の知見を背景になされたものであり、その解決課題は、手浴や足浴等の部分浴の実施に際して、術者や被術者の負担を軽減することのできる、新規な構造の部分浴用の容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以下、本発明を把握するための好ましい態様について記載するが、以下に記載の各態様は、例示的に記載したものであって、適宜に互いに組み合わせて採用され得るだけでなく、各態様に記載の複数の構成要素についても、可能な限り独立して認識及び採用することができ、適宜に別の態様に記載の何れかの構成要素と組み合わせて採用することもできる。それによって、本発明では、以下に記載の態様に限定されることなく、種々の別態様が実現され得る。
【0010】
第1の態様は、内部に水や湯を収容可能な容器本体と、前記容器本体内に術者の手を挿入するための術者用挿入口と、前記術者用挿入口とは独立して設けられ、前記容器本体内に被術者の四肢の何れかを挿入するための被術者用挿入口と、を備え、有底筒状とされた前記容器本体において上側の開口部により前記術者用挿入口が構成されており、前記容器本体の周壁において前記被術者用挿入口が側方に開口して設けられており、前記被術者用挿入口の開口周縁部には、前記容器本体の外方に突出する外方筒部が設けられており、前記容器本体の全体および前記外方筒部の全体が可撓性を有し軟質の合成樹脂製のシート材により形成されている部分浴用容器である。
【0011】
本態様に従う構造とされた部分浴用容器によれば、被術者用挿入口や術者用挿入口の形状や個数、開口方向等を各別に設定することができて、設計自由度が向上される。それ故、これら被術者用挿入口や術者用挿入口を使用態様等に合わせて形成することができて、被術者や術者の負担の軽減が図られ得る。
【0012】
また、術者用挿入口と被術者用挿入口とがそれぞれ独立して設けられていることから、従来構造に比して、術者の作業スペースを安定して確保することができる。その結果、術者と被術者の不必要な干渉等を回避することができ、両者への作業中のストレス低減を図ることができる。加えて、術者用挿入口と被術者用挿入口とが別々に設けられることにより、術者用挿入口が被術者の手足により変形されて水漏れが発生するおそれもない。それゆえ、術者の作業性を有利に向上させることができる。
【0014】
本態様に従う構造とされた部分浴用容器によれば、容器本体の上方に開口する開口部よりも下方に位置して、容器本体の周壁において側方に開口する被術者用挿入口が設けられている。それ故、例えば被術者が寝たきりの患者の場合や身体の移動が不自由とされる患者の場合でも、仰臥位の姿勢のまま手足を容器本体内に挿入することができる。加えて、術者用挿入口は上方に向かって開口し、開口部を被術者に遮られることがない。その結果、被術者の手足を術者が上方から洗浄することができ、手浴や足浴を、被術者と術者の楽な姿勢で行うことができる。また、容器本体における外部への開口部を外方筒部の分だけ容器本体から外方に離隔して設けることができることから、容器本体に収容された水や湯の漏出しを少なく抑えることもできる。加えて、容器本体の全体および外方筒部の全体が可撓性を有し軟質の合成樹脂製のシート材により形成されていることから、例えば拘縮が進行した患者等、手が伸ばせない被術者の場合には、容器を、例えば被術者の胸の上などの身体上に載置することも可能となる。これにより、手浴や足浴を被術者の楽な姿勢で行うことができて、被術者及び術者の負担が軽減され得る。また、例えば非使用時には、容器を折り畳んで保管することも可能となり、保管スペースの削減も図られ得る。
【0015】
第2の態様は、前記第1の態様に係る部分浴用容器において、前記被術者用挿入口が、前記容器本体の下端よりも上方に設けられているものである。
【0016】
本態様に従う構造とされた部分浴用容器によれば、容器本体の底部分に水や湯を溜めることができて、この水や湯を利用して被術者の手足の洗浄等を行うことができる。
【0017】
第3の態様は、前記第2の態様に係る部分浴用容器において、前記被術者用挿入口に挿入される被術者の四肢の下方に該四肢を支持する支持台をさらに備えているものである。
【0018】
本態様に従う構造とされた部分浴用容器によれば、被術者用挿入口に挿入された被術者の手足が支持台により支持されることで、被術者の手足の重みにより容器本体が潰れることが防止され得る。
【0019】
第4の態様は、前記第1~第3の何れかの態様に係る部分浴用容器において、前記容器本体の下方部分には、前記シート材が二重とされて他の部分よりも高剛性の補強部が設けられているものである。
【0020】
本態様に従う構造とされた部分浴用容器によれば、容器本体に水や湯を収容した状態でもベッド上などに安定して載置することができる。また、収容された水や湯の重みにより容器本体が変形することが防止されて、容器本体から水や湯が漏れ出すことが防止され得る。
【0021】
例えば、前記容器本体が可撓性を有する袋状のシート材を用いて形成されており、前記袋状の前記容器本体の開口部により前記術者用挿入口が構成され、前記袋状の前記容器本体の底部が前記容器本体の内方に挿し入れられた状態で、二重とされた両側部が相互に接合されることにより前記補強部が構成されており、前記容器本体の側面に設けられた開口穴を用いて前記被術者用挿入口が構成されていてもよい。
【0022】
本態様に従う構造とされた部分浴用容器によれば、一般に普及するビニール袋等を利用して安価且つ簡便に部分浴用容器を提供することができる。また、衛生面を考慮して使い捨ての部分浴用容器として用いることができる。なお、可撓性を有する袋状のシート材を用いて形成された容器本体における、二重とされた両側部の接合方法としては、公知の任意の方法が採用され得る。例えば、溶着や接着等が有利に採用され得る。
【0025】
第5の態様は、前記第1~第4の何れかの態様に係る部分浴用容器において、前記外方筒部には、前記容器本体に収容された水や湯の漏出しを防止する止水手段が設けられているものである。
【0026】
本態様に従う構造とされた部分浴用容器によれば、外方筒部を通じての水や湯の漏出しが防止され得る。
【0027】
第6の態様は、前記第5の態様に係る部分浴用容器において、前記止水手段が、前記外方筒部における前記容器本体とは反対側の端部に設けられているものである。
【0028】
本態様に従う構造とされた部分浴用容器によれば、例えば止水手段により外方筒部が縮径変形させられる場合でも、当該変形が容器本体まで及ぼされることが防止されて、容器本体の変形に伴う水や湯の漏出しが防止され得る。
【0029】
別の態様では、部分浴用容器において、前記被術者用挿入口の開口が、前記被術者の前記四肢の何れかの挿通を許容しつつ前記被術者用挿入口からの水漏れを防ぐ防水手段によって覆われていてもよい。
【0030】
本態様に従う構造とされた部分浴用容器によれば、被術者用挿入口に設けられた防水手段により、被術者の手または足の挿通を許容しつつ被術者用挿入口からの水漏れを防ぐことができる。しかも、防水手段は被術者用挿入口に設ければよいことから、部分浴用容器の大型化を防止しつつ被術者用挿入口からの水漏れのリスクを低減できる。
【0031】
別の態様に係る部分浴用容器において、前記被術者用挿入口がスリット状に形成されていてもよい。
【0032】
本態様に従う構造とされた部分浴用容器によれば、被術者用挿入口がスリット状に形成されていることから、被術者用挿入口からの水漏れのリスクを低減できる。しかも、容器本体にスリットを設けるだけで被術者用挿入口を形成できることから、部品点数やコストの低減を図ることができる。
【0035】
第7の態様は、前記第1~第6の何れかの態様に係る部分浴用容器において、前記容器本体より硬質のフレームを備えており、該フレーム内に該容器本体が収容可能とされているものである。
【0036】
本態様に従う構造とされた部分浴用容器によれば、例えば足浴の場合等、多量の水や湯が必要とされる場合でも、比較的硬質のフレームにより容器本体の変形が抑制されることから、容器の変形に伴う水や湯の漏出しが防止され得る。
【0037】
第8の態様は、前記第1~第7の何れかの態様に係る部分浴用容器において、前記容器本体には、収容された水や湯を排出するドレイン口が設けられているものである。
【0038】
本態様に従う構造とされた部分浴用容器によれば、ドレイン口を通じて、手浴や足浴に利用した水や湯を排出することができる。
【0039】
第9の態様は、前記第1~第8の何れかの態様に係る部分浴用容器において、前記容器本体から排出された水や湯を収容する排液バッグを備えているものである。
【0040】
本態様に従う構造とされた部分浴用容器によれば、手浴や足浴に利用した水や湯を排液バッグに収容することができて、容器本体からの水や湯の漏出しが防止され得る。
【0041】
第10の態様は、前記第1~第9の何れかの態様に係る部分浴用容器において、前記容器本体に注入される水や湯が予め収容された注入バッグを備えているものである。
【0042】
本態様に従う構造とされた部分浴用容器によれば、例えば手浴や足浴に用いられる水や湯が容器本体の近場にない場合でも、注入バッグに予め収容された水や湯を利用することで手浴や足浴を速やかに行うことができる。
【発明の効果】
【0043】
本発明に従う構造とされた部分浴用容器によれば、手浴や足浴等の部分浴を実施するに際して、被術者や術者の負担が軽減され得る。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【
図1】本発明の第1の実施形態としての部分浴用容器を示す斜視図。
【
図2】部分浴用容器における補強部の具体的な一例を説明するための説明図であって、部分浴用容器を示す正面図。
【
図3】
図1に示された部分浴用容器を利用して手浴を行う状態を説明するための説明図。
【
図4】本発明の第2の実施形態としての部分浴用容器を示す斜視図。
【
図5】本発明の第3の実施形態としての部分浴用容器を示す斜視図。
【
図6】本発明の第4の実施形態としての部分浴用容器を示す斜視図。
【
図7】本発明の第5の実施形態としての部分浴用容器を示す斜視図。
【
図8】本発明の第6の実施形態としての部分浴用容器を示す斜視図。
【
図9】本発明の第7の実施形態としての部分浴用容器を示す斜視図。
【
図10】本発明の第8の実施形態としての部分浴用容器を示す斜視図。
【
図11】本発明の第9の実施形態としての部分浴用容器を示す斜視図。
【
図12】本発明の第10の実施形態としての部分浴用容器を示す斜視図。
【
図13】本発明の第11の実施形態としての部分浴用容器を示す斜視図。
【
図14】本発明の第12の実施形態としての部分浴用容器を示す斜視図。
【
図15】本発明の第13の実施形態としての部分浴用容器を示す斜視図。
【
図16】本発明の部分浴用容器の被術者用挿入口の変形例を示す斜視図。
【
図17】本発明の部分浴用容器の被術者用挿入口の別の変形例を示す斜視図。
【
図18】本発明の部分浴用容器の被術者用挿入口のさらに別の変形例を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0045】
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明する。
【0046】
先ず、
図1には、本発明の第1の実施形態としての部分浴用容器10が示されている。この部分浴用容器10は、例えば臥床したままの患者や、拘縮や麻痺等によって自力で手足の清潔保持ができない患者等の被術者の手足(四肢)を洗浄等する際に用いられる、手浴や足浴用の容器である。なお、以下の説明において、上下方向とは、鉛直方向となる
図1中の上下方向をいう。また、水平方向とは、鉛直方向に対して直交する方向となる、例えば
図1中の左右方向をいう。
【0047】
より詳細には、部分浴用容器10は、四肢の洗浄等に用いられる水や湯を収容する容器本体12を備えている。この容器本体12は、有底筒状又は袋状とされている。容器本体12は、筒状の周壁14と、当該周壁14の下側開口部を閉塞する底壁16とを備えている。これにより、容器本体12は、上側開口部18を有している。上側開口部18を通じて、容器本体12の内部空間20が外部空間に連通されている。本実施形態では、上側開口部18の内径寸法が、術者の両手が差し入れられ得る大きさとされている。特に、被術者の四肢の洗浄等の作業が余裕をもって行い得る大きさであることが好ましい。
【0048】
容器本体12は、
図1中では円筒形状で示されているが、例えば多角筒形状であってもよい。尤も、容器本体12が可撓性を有する材質で形成されることにより、容器本体12は、平面視で特定の形状を有さない、不定形とされてもよい。容器本体12は、有底筒状又は袋状に成形されることで形成されてもよいし、複数枚のシート状の部材の両側縁部や下端縁部を溶着等の手段により固着することで形成されてもよい。
【0049】
容器本体12の材質は防水性を備えていれば何等限定されるものではないが、例えば可撓性を有する軟質材により形成され得る。具体的には、ポリプロピレン(二軸延伸ポリプロピレン(OPP)、無延伸ポリプロピレン(CPP)、インフレーションポリプロピレン(IPP))やポリエチレン(低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE))等の合成樹脂や、防水処理を施した紙や布(織布、不織布)、皮革、ゴム等が好適に採用され得る。要求される強度や防水性、溶着や接着等の固着性能に応じて、上記の材質のうちの複数が適宜に積層される等して組み合わされて採用されてもよい。尤も、容器本体12は硬質であってもよく、例えば硬質の合成樹脂によって形成されてもよい。容器本体12を透明な材質で形成することにより、側方から被術者の手や足を視認しつつ洗浄することも可能とされる。
【0050】
周壁14には、側方(水平方向)で貫通する開口穴としての貫通孔22が形成されている。本実施形態では、周壁14の上下方向中間部分に円形の貫通孔22が形成されている。即ち、貫通孔22が、上側開口部18とは独立して設けられている。
【0051】
容器本体12における下方部分には、容器本体12における他の部分よりも剛性が大きくされた補強部24が設けられている。本実施形態では、補強部24が、貫通孔22よりも下方に設けられている。補強部24において剛性を大きくする手段は限定されるものではない。例えば、別部材を周壁14の下方部分や底壁16に固着したり、周壁14の下方部分や底壁16を剛性の大きい材質で形成したり、周壁14の下方部分や底壁16における肉厚寸法を大きくすること等で、補強部24が構成され得る。
【0052】
例えば、
図2に示されるように、ビニール製の可撓性を有する袋状のシート材を用いることで容器本体12を有利に形成できる。この場合、袋状の容器本体12の開口部を上側開口部18として利用する。袋状の容器本体12の底部25aを容器本体12の内方に挿し入れることにより二重に重ね合わされた領域25bを形成する。領域25bの両側部(図中、灰色の部分)を、溶着や接着等の任意の接合方法により相互に接合することで補強部24を形成してもよい。また、容器本体12の側面に設けられた開口穴(貫通孔22)を用いて、後述の被術者用挿入口が構成され得る。
【0053】
貫通孔22の開口周縁部からは、水平方向外方(例えば、
図1中の右方)に、筒状の外方筒部26が突出している。本実施形態では、外方筒部26が、水平方向にストレートに突出している。これにより、容器本体12の内部空間20が、外方筒部26における容器本体12と反対側の端部28に設けられた外方開口部30を通じて外部空間に連通されている。外方筒部26は、容器本体12と一体として形成されてもよいし、別体として形成されて、溶着等の手段により後固着されてもよい。外方筒部26は、容器本体12と同様の材質で形成され得るが、例えば容器本体12とは剛性の異なる材質で形成されてもよい。
【0054】
外方筒部26には、止水手段が設けられている。本実施形態では、止水手段が、略一定の幅寸法及び長さ寸法を有する一対の帯状体32,32により構成されている。また、本実施形態では、帯状体32が、外方筒部26における容器本体12と反対側の端部28の外方開口部30に設けられているが、例えば外方筒部26の長さ方向中間部分に設けられてもよい。帯状体32は、外方筒部26と一体として形成されてもよいし、別体として形成されて後固着されてもよい。帯状体32の材質は可撓性を有していれば何等限定されるものではないが、例えば容器本体12や外方筒部26と同様の材質が採用され得る。
【0055】
止水手段は、本実施形態の如き帯状体32に限定されるものではない。即ち、止水手段は、外方筒部26と、当該外方筒部26に挿入される被術者の腕部や脚部との隙間を減少し得るものであればよい。止水手段は、例えば帯状体32よりも細い紐状体によって構成されてもよいし、一方の帯状体32にバックルを設けて両帯状体32,32をベルト状に固定する構成としてもよい。或いは、止水手段は、外方筒部26を狭窄した状態で保持するクリップや面ファスナー、ゴム等で構成されてもよい。止水手段は、外方筒部26と一体として形成されてもよいし、別体とされてもよい。
【0056】
上記の如き構造とされた部分浴用容器10は、
図3に示されるように、例えば臥床する被術者のベッド34上に載置される。そして、外方筒部26の外方開口部30から洗浄される被術者の四肢の何れかである手や足(
図3中では手36)が挿入されて、被術者の手首や足首から先が、貫通孔22を通じて容器本体12の内部に位置するようにされる。即ち、本実施形態では、被術者のベッド34の上面が、部分浴用容器10の載置面とされる。また、貫通孔22が、被術者の手や足等を容器本体12の内部に挿入するための被術者用挿入口とされている。
【0057】
更に、容器本体12の上側開口部18を通じて、術者の手38が、容器本体12の内部に差し入れられる。即ち、本実施形態では、上側開口部18が、術者の手38を容器本体12の内部に挿入するための術者用挿入口とされている。
【0058】
また、上側開口部18を通じて、容器本体12の内部空間20に、水や湯40が注入されて収容される。これにより、術者が、水や湯40を利用して被術者の手36を洗浄することが可能となる。なお、このような洗浄の際には、ガーゼ42や液体石鹸、泡石鹸等を用いてもよい。
【0059】
外方筒部26の外方開口部30では、一対の帯状体32,32が、外方筒部26に挿入された被術者の前腕部(足浴の場合は脛部)に巻き付けられて結束される等して相互に固定される。これにより、外方筒部26と、当該外方筒部26に挿入された被術者の前腕部との隙間が小さくされている。なお、外方筒部26は、被術者の腕において肘(足浴の場合は膝)よりも上方まで覆っていてもよい。その場合、帯状体32は、被術者の前腕部に代えて、又は加えて、二の腕(足浴の場合は大腿部)に固定されてもよい。
【0060】
本実施形態では、外方筒部26を通じて貫通孔22に差し入れられる被術者の手36における前腕部の下方に支持台44が設けられて、被術者の手36が支持されている。支持台44は、ある程度の剛性を有する部材により形成されていればよく、特に形状が限定されるものではない。支持台44を設けることで、支持台44上に載置された被術者の手36を、外方筒部26に対して略真っ直ぐ差し入れることができる。なお、支持台44として、吸水性を有する部材を採用することで、四肢の洗浄後に四肢に付着した水分を拭き取ることも可能である。このような支持台44は、例えば外方筒部26や容器本体12と一体的に又は別体として形成されてもよい。即ち、支持台44を含んで部分浴用容器10が構成されるようになっていてもよい。
【0061】
以上の如き構造とされた本実施形態の部分浴用容器10では、術者用挿入口である上側開口部18と被術者用挿入口である貫通孔22とが相互に独立して設けられている。それ故、それぞれの挿入口の位置(開口方向)や大きさ、形状等を各別に設計することができて、設計自由度の向上が図られる。
【0062】
特に、本実施形態では、洗浄領域となる容器本体12の内部空間20に対して、術者が、上側開口部18を通じて上方から手38を差し入れることができる。それと共に、被術者が、上側開口部18よりも下方に位置する貫通孔22を通じて側方から手36を差し入れることができる。これにより、手浴や足浴に際して、例えば寝たきりや身体に障害を有する被術者の身体の移動や姿勢の変更を伴うことがなく、被術者及び術者の負担の軽減が図られ得る。更に、術者用挿入口としての上側開口部18へ被術者の手36が差し入れられることがないことから、術者の作業スペースが有利に確保でき、作業効率の向上が図られ得る。
【0063】
更に、貫通孔22が容器本体12の上下方向中間部分に設けられることで、容器本体12における貫通孔22よりも下方の部分に水や湯40を溜めることが可能となる。この水や湯40を利用して被術者の四肢の洗浄を行うことができる。更に、容器本体12に収容された水や湯40が貫通孔22から漏れ出すことを有利に防止できる。
【0064】
本実施形態では、外方筒部26の外方開口部30に止水手段(帯状体32)が設けられていることから、貫通孔22を通じて外方筒部26に水や湯40が入り込んだ場合でも、水や湯40の漏出しが防止され得る。特に、このような止水手段(帯状体32)が、外方筒部26において容器本体12から離隔した位置(本実施形態では容器本体12と反対側の端部28)に設けられている。これにより、止水手段により外方筒部26を狭窄した場合でも、外方筒部26の変形が容器本体12まで及ぼされることがなく、容器本体12からの水や湯40の漏出しが効果的に防止され得る。
【0065】
更にまた、容器本体12の下方に他の部分よりも剛性が向上された補強部24が設けられていることから、容器本体12の下方部分の変形が抑制されて、部分浴用容器10が載置面(本実施形態ではベッド34上面)上に安定して載置され得る。本実施形態では、被術者の手36を支持する支持台44が採用されており、被術者の手36の重みにより容器本体12における貫通孔22よりも下方の部分が変形することが防止されている。これら補強部24と支持台44とを併せて採用することで、容器本体12の下方部分が潰れるように変形することがより確実に防止されて、上方や外方への開口部18,30を通じて水や湯40が漏れ出すことが一層効果的に防止され得る。
【0066】
なお、容器本体12が軟質の材質により形成されることで、例えば拘縮が進行する等して腕が伸ばせない被術者の場合には、胸の上など、被術者の身体の表面を載置面として部分浴用容器10を載置することも可能となる。また、容器本体12が軟質の材質により形成されることで、部分浴用容器10の非使用時には、小さく折り畳んで保管することもできる。
【0067】
本発明では、上述のように、術者用挿入口と被術者用挿入口とを相互に独立して設けることで、部分浴用容器の設計自由度の向上という効果が発揮され得る。即ち、被術者の症状等、使用態様に合わせていくつものバリエーションを製造することが可能となる。以下、本発明の別の実施形態について図面を示して説明するが、前記実施形態と実質的に同一の部材及び部位には、図中に、前記実施形態と同一の符号を付すことで詳細な説明を省略する。
【0068】
図4には、本発明の第2の実施形態としての部分浴用容器50が示されている。本実施形態では、容器本体12に対して、複数(2つ)の外方筒部26,26が設けられている。特に、本実施形態では、これらの外方筒部26,26が、容器本体12の径方向で相互に反対方向に突出している。尤も、外方筒部26が2つ設けられる場合、これらの外方筒部26,26は、例えば容器本体12の周方向で半周より短い離隔距離をもって形成されてもよい。
【0069】
外方筒部26を2つ設けることにより、容器本体12の内部空間20に対して、被術者の両方の手や足を同時に差し入れることができる。これにより、被術者の手や足を一方ずつ順次洗浄する場合に比べて、施術時間を短縮することもできて、被術者や術者の負担を軽減することもできる。
【0070】
図5には、本発明の第3の実施形態としての部分浴用容器60が示されている。本実施形態では、外方筒部26が水平方向に対して傾斜して突出している。特に、本実施形態では、外方筒部26が、容器本体12から離隔するにつれて上方に傾斜している。
【0071】
外方筒部26を上方に傾斜するように設けることで、例えばリクライニングベッドに臥床する被術者が上半身だけ起こす場合や、被術者が座位の姿勢になった場合等において、容器本体12の内部空間20に対して手や足を斜め上方から差し入れることができる。これにより、被術者や術者が、より楽な姿勢で手浴や足浴を行うことができる。また、外方筒部26を上方に傾斜して設けることで、外方筒部26を通じての水や湯の漏出しが効果的に防止され得る。
【0072】
被術者の手や足を斜め上方から差し入れる場合には、例えば、
図6に示される、本発明の第4の実施形態としての部分浴用容器70も採用され得る。本実施形態の容器本体72では、周壁14の上側開口部が上底壁部74により閉塞されている。この上底壁部74には、術者用挿入口としての貫通孔76と被術者用挿入口としての貫通孔78が、それぞれ上下方向に貫通して形成されている。術者の手が挿入される貫通孔76は1つ又は2つ設けられ得る。本実施形態では、上底壁部74に2つの貫通孔76,76が形成されている。貫通孔78の開口周縁部からは、外方筒部80が上方に突出している。本実施形態では、外方筒部80が、上方になるにつれて水平方向外方へ傾斜している。
【0073】
本実施形態の部分浴用容器70においても、術者用挿入口としての貫通孔76と被術者用挿入口としての貫通孔78とが独立して形成されていることから、前記第3の実施形態と同様の効果が発揮され得る。特に、本実施形態のように、術者の手と被術者の手が容器本体72の内部空間20に対して同方向(上方)から差し入れられる場合であっても、術者が手を差し入れるスペースと被術者が手や足を差し入れるスペースが明確に区分けされて確保される。それ故、術者の手や被術者の手足が容器本体72内で動き過ぎることがなく、術者による施術スペースが十分に確保され得る。尤も、被術者用挿入口としての貫通孔78が上方に設けられる場合、術者用挿入口としての貫通孔76は上方に設けられる必要はない。貫通孔76は、例えば周壁14において水平方向に貫通して形成されてもよい。
【0074】
本実施形態では、周壁14の上側開口部が上底壁部74で閉塞されている。それ故、外方への開口部(貫通孔76,76及び外方開口部30)の面積の合計が、前記実施形態における外方への開口部(上側開口部18及び外方開口部30)の面積の合計に比べて小さくされている。これにより、容器本体72に収容される湯が冷めにくく、より長時間に亘って手浴や足浴を実施することも可能である。また、本実施形態では、外方筒部80が上方に向かって突出していることから、止水手段を設けなくても、外方筒部80を通じての水や湯の漏出しがより確実に防止され得る。
【0075】
図7には、本発明の第5の実施形態としての部分浴用容器90が示されている。本実施形態では、容器本体12から水平方向外方に突出する外方筒部92が、外径寸法の大きな部分と小さな部分とが外方筒部92の長さ方向で交互に連続する蛇腹状部を備えている。特に、本実施形態では、外方筒部92が、長さ方向の全長に亘って蛇腹状部とされている。尤も、蛇腹状部は外方筒部92の長さ方向の全長に亘って設けられる必要はない。蛇腹状部は、外方筒部92の長さ方向で部分的に設けられてもよい。
【0076】
外方筒部92に蛇腹状部を設けることで、外方筒部92の伸縮が可能となり、腕の長い人や短い人、腕を伸ばせる人や伸ばせない人等、被術者に応じて外方筒部92の長さ寸法を調節することができる。また、部分浴用容器90の非使用時には、外方筒部92を小さく折り畳んで保管することも可能となる。更に、蛇腹状部において外径寸法が小さくされた部分により止水手段を構成することも可能である。即ち、蛇腹状部を設けることで外方筒部92を通じての水や湯の漏出しの防止にも寄与し得る。
【0077】
なお、蛇腹状部は、外方筒部92に代えて、又は加えて、容器本体12に設けることも可能である。これにより、容器本体12に収容される水や湯の量に応じて容器本体12の上下方向寸法を調節することも可能である。また、非使用時には部分浴用容器90をより小さく折り畳んで保管することもできる。
【0078】
図8には、本発明の第6の実施形態としての部分浴用容器100が示されている。本実施形態では、容器本体102における外方筒部26よりも上方の部分において、周壁14の内周面に、ファスナー104が設けられている。本実施形態のファスナー104は凸条106aと凹溝106bとから構成されている。これら凸条106aと凹溝106bとは、容器本体102の径方向で相互に対向して設けられている。凸条106aと凹溝106bとが相互に噛合することで、ファスナー104が閉鎖されて、上側開口部18を通じての外部への連通が遮断され得る。
【0079】
ファスナー104を有する容器本体102は、例えば凸条106aが内面側に固着された樹脂シートと凹溝106bが内面側に固着された樹脂シートを相互に重ね合わせて、これら2枚の樹脂シートの両側縁部及び下端縁部を固着することで形成され得る。なお、これら凸条106a及び凹溝106bは、樹脂シートに対してある程度の固着領域をもって固着されることが好適である。
【0080】
本実施形態の部分浴用容器100では、例えば容器本体102に被術者の手や足を挿入すると共に湯を注入して、その後ファスナー104を閉鎖することで、内部空間20を略密閉状態とすることができる。これにより、容器本体102に注入した湯により被術者の手や足を温めることができる。なお、このように被術者の手や足を温める作業は、手や足の洗浄の前や後に行ってもよいし、洗浄の実施に拘らず行ってもよい。即ち、本発明に係る部分浴用容器は洗浄だけでなく、手や足を温める目的で用いられてもよい。
【0081】
図9には、本発明の第7の実施形態としての部分浴用容器110が示されている。本実施形態の容器本体112は、径寸法が上下方向で異ならされている。特に、本実施形態では、容器本体112が、径寸法が上下方向の略全長に亘って術者用挿入口である上側開口部18に向かって次第に大きくなるテーパ形状とされている。
【0082】
容器本体112を上記の如き形状とすることで、上側開口部18の径寸法を大きく確保することができる。それ故、術者が、上側開口部18を通じて容器本体112の内部空間20に手を差し入れ易くなっており、手浴や足浴を容易に行うことができる。なお、容器本体112の径寸法は、上方に向かって段階的(階段状)に大きくなっていてもよい。また、容器本体112には、上下方向全長でなく部分的にテーパ形状とされる部分が設けられてもよい。更に、容器本体112は、下方に向かって径寸法が大きくなるようにされてもよい。これにより、上側開口部18の内径寸法を小さく抑えつつ、洗浄領域となる容器本体112の内部空間20を大きく確保することもできる。
【0083】
図10には、本発明の第8の実施形態としての部分浴用容器120が示されている。本実施形態の容器本体122は、前記第4の実施形態と同様に周壁14の上側開口部が上底壁部74で閉塞されている。当該上底壁部74には、術者用挿入口として2つの貫通孔76,76が形成されている。本実施形態では、これら2つの貫通孔76,76が、上底壁部74の径方向で相互に対向して設けられている。
【0084】
この貫通孔76の開口周縁部には、上方に突出する上方筒部124が形成されている。これにより、容器本体122の内部空間20が、上方筒部124の上端部に設けられた上側開口部126を通じて外部空間に連通されている。なお、本実施形態では、2つの上方筒部124,124の対向方向の略中央において、上方筒部124,124の対向方向と略直交する方向に外方筒部26が突出している。そして、外方筒部26を通じて被術者の手や足が差し入れられると共に、上方筒部124,124を通じて術者の手が差し入れられて、容器本体122の内部空間20内で被術者の手や足が洗浄されるようになっている。
【0085】
本実施形態の部分浴用容器120では、例えば前記第1の実施形態など1つの大きな上側開口部(18)が設けられる場合に比べて、上側開口部126,126の面積の合計が小さくされることから、容器本体122に注入された湯を冷めにくくすることができる。また、被術者の手や足が差し入れられる外方筒部26が上方筒部124,124の対向方向略中央に設けられていることから、被術者の手や足を、術者の手で、両側から挟み込むように洗浄することも容易に可能とされる。
【0086】
図11には、本発明の第9の実施形態としての部分浴用容器130が示されている。本実施形態では、容器本体12の下端部分に、容器本体12に収容されて手浴や足浴に供された水や湯を排出するドレイン口132が設けられている。当該ドレイン口132には、ホース134が固定的に設けられている。特に、本実施形態では、ドレイン口132が、容器本体12の底壁16に上下方向で貫通して設けられている。そして、底壁16の下端面におけるドレイン口132の開口周縁部に、下方に突出するホース134が設けられている。なお、ホース134は、容器本体12と一体的に形成されてもよいし、別体として形成されて後固着されてもよい。また、ドレイン口132は底壁16に設けられる必要はなく、例えば周壁14の下端部分において、水平方向で貫通して設けられてもよい。
【0087】
更に、本実施形態では、ドレイン口132が、取っ手136を有する栓体138により閉塞可能とされている。即ち、手浴や足浴の実施時には、ドレイン口132を栓体138により閉塞することで容器本体12に水や湯を溜めることが可能とされている。また、手浴や足浴の終了後には、取っ手136を引っ張り栓体138をドレイン口132から取り外すことで、ドレイン口132及びホース134を通じて手浴や足浴に供された水や湯が排出され得る。
【0088】
上述のように、本実施形態の部分浴用容器130では、手浴や足浴の終了後に、手浴や足浴に供された水や湯を排出することが可能とされている。それ故、例えば手浴や足浴の終了後に水や湯を排出して、容器本体12内で被術者の手や足に付着した水分を拭き取った後に、容器本体12から被術者の手や足を引き抜くことで、水滴の飛散等も効果的に防止され得る。
【0089】
尤も、ドレイン口132を閉塞する栓体138は必須なものではない。即ち、ドレイン口132は常時開口していてもよく、容器本体12への水や湯の注入と同時にドレイン口132及びホース134を通じて水や湯が排出されるようになっていてもよい。従って、容器本体12へ注入される水や湯は、容器本体12内で一定時間に亘って収容される必要はなく、容器本体12内で一時的に受ける態様であってもよい。
【0090】
なお、ドレイン口132に取り付けられるホース134は、取外し可能とされてもよい。即ち、
図12には、本発明の第10の実施形態としての部分浴用容器140が示されており、容器本体12に対してホース134が取外し可能に取り付けられるようになっている。本実施形態では、ドレイン口132に対してスリット142を有する逆止弁144が取り付けられている。ホース134の未装着状態では、スリット142が閉鎖状態とされており、ドレイン口132が閉塞して、容器本体12内に水や湯を貯留できるようになっている。なお、逆止弁144は、ゴム等の弾性体が好適に採用され得る。
【0091】
この逆止弁144にホース134の先端を押し込んで接続することでスリット142が押し開かれて、ドレイン口132が開口状態とされる。これにより、ドレイン口132及びホース134を通じて容器本体12内に収容された水や湯40が排出可能とされることから、前記第9の実施形態と同様の効果が発揮され得る。なお、水や湯40の排出後にホース134を逆止弁144から抜去することでスリット142が復元変形してドレイン口132が閉塞されるようになっている。
【0092】
図13には、本発明の第11の実施形態としての部分浴用容器150が示されている。本実施形態の部分浴用容器150は、容器本体12から排出された水や湯40を収容する排液バッグ152を備えている。特に、本実施形態では、容器本体12が、前記第10の実施形態と同様に、ドレイン口132及び逆止弁144を備えており、排液バッグ152が容器本体12に対して取付け及び取外し可能とされている。
【0093】
排液バッグ152は、中空構造とされている。排液バッグ152の材質は何等限定されるものではないが、例えば容器本体12と同様の材質により形成され得る。図中では、排液バッグ152が中空の円柱形状をもって示されているが、可撓性を有する材質により形成される場合、特定の形状を有さない不定形とされてもよい。
【0094】
また、例えば排液バッグ152の上面からはホース134が延び出している。このホース134の先端を、前記第10の実施形態と同様に、容器本体12の下端に設けられた逆止弁144に押し込むことで、容器本体12と排液バッグ152とがホース134を介して相互に連結されるようになっている。これにより、手浴や足浴に供された水や湯40がドレイン口132及びホース134を通じて排出されて、排液バッグ152に収容される。
【0095】
このように使用後の水や湯40が排液バッグ152に収容されることで、使用後の水や湯40の漏出しがより確実に防止され得る。特に、本実施形態では、逆止弁144からホース134を抜去することで容器本体12から排液バッグ152が取り外されることから、排液バッグ152のみを持ち運んで水や湯40を廃棄することができる。
【0096】
なお、本実施形態では、容器本体12に逆止弁144が設けられると共に排液バッグ152にホース134が設けられていたが、この態様に限定されるものではない。即ち、容器本体12にホース134が設けられると共に排液バッグ152に貫通孔が設けられて、容器本体12から延びるホース134の先端を貫通孔に差し込むことで容器本体12と排液バッグ152とが連結されるようになっていてもよい。この場合、容器本体12のドレイン口132に前述の栓体(138)を設けたり、ホース134をクランプ等で閉鎖したり、容器本体12と排液バッグ152とを連結してから容器本体12に水や湯40を注入する等して、ドレイン口132及びホース134を通じて水や湯40が漏れないようにすることが好適である。或いは、容器本体12と排液バッグ152との両方に、両部材12,152とは別体とされたホースを差し込んで接続してもよい。
【0097】
尤も、排液バッグ152は、容器本体12に対してホース134を介して取外し不能に取り付けられてもよい。その場合は、例えば手浴や足浴の実施時に、ドレイン口132を栓体(138)で閉鎖してもよいし、排液バッグ152と容器本体12とを連結するホース134をクランプ等で閉鎖してもよい。そして、手浴や足浴の施術後に、栓体(138)を抜去したりクランプ等による閉鎖を解除することで、容器本体12内の水や湯が排液バッグ152内に収容され得る。
【0098】
図14には、本発明の第12の実施形態としての部分浴用容器160が示されている。本実施形態の部分浴用容器160は、容器本体12に注入される水や湯40が予め収容された注入バッグ162を備えている。特に、本実施形態では、容器本体12の周壁14に、当該周壁14を貫通する注入用孔164が設けられていると共に、当該注入用孔164の開口周縁部から外方に突出するホース134が突出している。また、注入バッグ162には、前記第10の実施形態における容器本体12と同様のドレイン口166及び逆止弁168を備えており、注入バッグ162が容器本体12に対して取付け及び取外し可能とされている。
【0099】
注入バッグ162は、中空構造とされており、内部に水や湯40が予め収容されている。注入バッグ162の材質は何等限定されるものではないが、例えば容器本体12と同様の材質により形成され得る。なお、注入バッグ162に収容した水を電子レンジ等で加熱して湯として手浴や足浴に利用する場合等には、例えば耐熱性の材質が選択されることが好適である。図中では、注入バッグ162が中空の円柱形状をもって示されているが、可撓性を有する材質により形成される場合、特定の形状を有さない不定形とされてもよい。
【0100】
そして、容器本体12から延びるホース134の先端を、注入バッグ162に設けられた逆止弁168に押し込むことで、容器本体12と注入バッグ162とがホース134を介して相互に連結されるようになっている。これにより、注入バッグ162内に予め収容された水や湯40がドレイン口166、ホース134及び注入用孔164を通じて容器本体12内に注入される。
【0101】
このように注入バッグ162に予め水や湯40を収容しておくことで、例えば被術者のベッドまで水や湯を運ぶことが困難である場合にも、注入バッグ162として運ぶことが可能となる。また、予め注入バッグ162を被術者のベッドサイドに置いておくことで、速やかに手浴や足浴を行うことができる。特に、本実施形態では、逆止弁168からホース134を抜去することで容器本体12から注入バッグ162が取り外されることから、注入バッグ162内の水や湯40を使い終わった後は、新しい注入バッグ162に交換することができる。更に、例えば複数の注入バッグ162を被術者のベッドサイドに置いておくことで、新しい注入バッグ162を取りに戻る手間なども省かれ得る。特に、
図13に示すドレイン口132及び排液バッグ152と組み合わせて採用することにより、容器本体12内の水や湯をベッド上で交換することが可能となり、更なる利便性の向上を図ることができる。
【0102】
なお、本実施形態では、容器本体12にホース134が設けられると共に注入バッグ162に逆止弁168が設けられていたが、この態様に限定されるものではない。即ち、注入バッグ162にホース134が設けられてもよく、ホース134の先端を注入用孔164に差し込むことで容器本体12と注入バッグ162が連結されるようになっていてもよい。この場合、ホース134の先端にキャップを設けて、ホース134の先端を注入用孔164に差し込んだ後にキャップを外したり、ホース134をクランプ等で閉鎖する等して、ドレイン口166及びホース134を通じて注入バッグ162内の水や湯40が漏れないようにすることが好適である。或いは、容器本体12と注入バッグ162との両方に、両部材12,162とは別体とされたホースを差し込んで接続するようになっていてもよい。
【0103】
尤も、注入バッグ162は、容器本体12に対してホース134を介して取外し不能に取り付けられてもよい。その場合は、例えば予め注入用孔164を栓体で閉鎖したり、注入バッグ162と容器本体12とを連結するホース134をクランプ等で閉鎖しておいて、手浴や足浴の実施時に注入用孔164の栓体を抜去したりクランプ等による閉鎖を解除することで、注入バッグ162内の水や湯40が容器本体12内に注入され得る。
【0104】
図15には、本発明の第13の実施形態としての部分浴用容器170が示されている。本実施形態の部分浴用容器170は、容器本体12が収容可能とされる本体収容空間172を有するフレーム174を備えている。本実施形態では、フレーム174が、全体として有底筒状とされており、略円筒状の周壁部176と、当該周壁部176の下側開口部を閉塞する底壁部178とを備えている。このフレーム174の内部空間が略円柱形の本体収容空間172とされており、当該本体収容空間172の底面(底壁部178の上面)180が、容器本体12を載置する載置面とされている。
【0105】
フレーム174の周方向の一部には、上方に開口すると共にフレーム174を厚さ方向(径方向)で貫通する切欠き182が設けられている。これにより、フレーム174内部の本体収容空間172が、切欠き182を通じて外部空間に連通されている。この切欠き182は、フレーム174の上端から下端までは至らない上下方向寸法をもって形成されており、切欠き182の下端面184が水平方向に広がる水平面とされている。この切欠き182は、外方筒部26が入り込む大きさで形成されている。本体収容空間172の底面180に容器本体12を載置して容器本体12を収容した状態では、切欠き182内に外方筒部26が差し入れられて、外方筒部26が切欠き182の下端面184に当接するか下端面184よりも上方に位置するようになっている。
【0106】
本実施形態では、フレーム174に容器本体12を収容した状態において、容器本体12の上端とフレーム174の上端が略等しい上下方向位置にあるが、例えば容器本体12の上端がフレーム174の上端から突出していてもよい。また、フレーム174に容器本体12を収容した状態において、外方筒部26における容器本体12と反対側の端部28がフレーム174よりも水平方向外方まで突出しているが、突出していなくてもよい。
【0107】
このフレーム174の材質は容器本体12よりも硬質であれば何等限定されるものではないが、例えば比較的高い剛性を有する硬質塩化ビニル(PVC)やウレタン等が好適に採用され得る。
【0108】
このように容器本体12を収容するフレーム174が設けられることで、例えば足浴のように比較的多量の水や湯を用いる場合でも容器本体12の変形が抑制されて、容器本体12の変形に伴う水や湯の漏出しが効果的に防止され得る。
【0109】
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、これらの何れの実施形態においても、手浴や足浴等の部分浴を実施するに際して、被術者や術者の負担が軽減され得る。また、例示の実施形態の部分浴用容器を用いることで、被術者に対する手浴や足浴を作業性よく行うことができ、その結果、被術者の四肢を清潔に保つことができ、四肢における細菌やウイルスの増殖を防止して病気感染や悪臭の発生等を未然に防止することができる。例示の実施形態の部分浴用容器により、被術者の手浴や足浴を充分に行うことができることから、手浴や足浴による血行促進効果を有利に得ることができる。それゆえ、例示の実施形態の部分浴用容器を用いて手浴や足浴の施術を受けた被術者は、優れたリラックス効果を享受でき、これにより、睡眠が促進されたり疼痛が緩和されたりといった付随的な効果もより有利に得ることができる。また、本発明は上述の実施形態や解決手段の欄における具体的乃至は限定的な記載によって制限的に解釈されるものでなく、当業者の知識に基づいて種々なる変更、修正、改良などを加えた態様で実施可能である。
【0110】
例えば、術者用挿入口や被術者用挿入口の開口方向や上下方向位置等は何等限定されるものではない。術者用挿入口と被術者用挿入口をそれぞれ複数設けることも可能であり、術者の手と被術者の手が挿入される挿入口を使用態様に合わせて適宜選択するようにしてもよい。尤も、容器本体の形状も限定されるものではなく、例えば方向性を有さない球体の如き形状であってもよい。
【0111】
また、容器本体から外方に突出する外方筒部は必須なものではない。外方筒部が設けられない場合、例えば、被術者用挿入口の開口を、被術者の手や足の挿通を許容しつつ被術者用挿入口からの水漏れを防ぐ防水手段で覆うようにしてもよい。具体的には、
図16に示すとおり、被術者用挿入口である貫通孔22の開口を、防水手段であるスリット186を有する弾性膜188で覆って塞いでもよい。これにより、スリット186を通じて被術者の手や足を貫通孔22から容器本体12の内部に挿入することができる。また、施術中は、弾性膜188が弾性により被術者の手や足に密着することから、被術者用挿入口からの水漏れを防ぐことができる。また、被術者の手や足をスリット186から抜去することでスリット186が閉鎖され、貫通孔22からの水漏れが防止される。なお、弾性膜188の材料としては、ゴムやエラストマー等の公知の任意の材料が採用され得る。
【0112】
さらに、被術者用挿入口である貫通孔22の開口を覆う防水手段を、
図17に示すような貫通孔22の開口周縁部から径方向内方に広がり径方向に拡縮自在な内周縁部190を有する止水膜192で構成してもよい。これにより、止水膜192の内周縁部190を拡径することで術者の手や足を貫通孔22から容器本体12の内部に挿入することができる。また、挿入後は、止水膜192の内周縁部190を縮径することで内周縁部190を被術者の手や足に密着することから、被術者用挿入口からの水漏れを防ぐことができる。なお、内周縁部190の径の拡縮は、内周縁部190にゴムリングを内在させてゴムリングの弾性を利用して拡縮自在としたり、内周縁部190に周方向に延びる紐を内在させ、紐を緩めたり絞ったりすることで拡縮自在としてもよい。止水膜192は、可撓性を有する軟質材により形成することができ、容器本体12と同じ材質でもよいし、異なる材質でもよい。尤も、被術者用挿入口である貫通孔22の開口を覆う防水手段は、必ずしも設ける必要はない。すなわち、
図18に示すとおり、被術者用挿入口194をスリット状とすることで、被術者の手や足の挿通を許容しつつ被術者用挿入口からの水漏れを防ぐことも可能である。さらに、
図1に示す部分浴用容器10から外方筒部26を取り除き、被術者用挿入口である貫通孔22を外部に露呈させたものであってもよい。
【0113】
更に、前記第4の実施形態では、容器本体72の上底壁部74が円形状を有しており、周壁14の上側開口部を全体に亘って閉塞しているが、このような態様に限定されるものではない。即ち、上底壁部が周壁14の上側開口部の半分を覆う半円形状とされて、当該上底壁部に術者用挿入口と被術者用挿入口の何れか一方が設けられてもよい。それと共に、上側開口部において上底壁部によって覆われない部分により術者用挿入口と被術者用挿入口の何れか他方が構成されるようになっていてもよい。
【0114】
更にまた、前記第6の実施形態では、ファスナー104が凸条106aと凹溝106bとにより構成されているが、例えば面ファスナーであってもよい。尤も、上側開口部を封止する手段はファスナーに限定されるものではなく、上側開口部を封止状態に保持するクリップなどであってもよい。
【0115】
また、前記第11の実施形態において、容器本体12中の水や湯40を排液バッグ152に排出する手段は、前記第11の実施形態の如きドレイン口132やホース134を通じての態様に限定されない。同様に、前記第12の実施形態において、注入バッグ162中の水や湯40を容器本体12中に注入する手段は、前記第12の実施形態の如きドレイン口166やホース134、注入用孔164を通じての態様に限定されない。
【0116】
更に、前記第11の実施形態に記載の排液バッグ152と前記第12の実施形態に記載の注入バッグ162とは併せて採用してもよい。バッグを、前記第11の実施形態に記載のホース134と、前記第12の実施形態に記載のドレイン口166及び逆止弁168との両方を備えた構造としてもよい。これにより、必要に応じてバッグの用途を変更することが可能となる。注入バッグ162から容器本体12へ至るホース134及び/又は容器本体12から排液バッグ152へ至るホース134上に滅菌フィルター等を設けて濾過等をするようにしてもよい。これにより、手浴や足浴に際して清潔な水や湯を供給することができる。
【0117】
更にまた、前記第13の実施形態において、フレームの構造は限定されるものではない。フレームは、例えば容器本体の下方部分を外側から覆うストレートな筒形状であってもよい。
【0118】
なお、前記
図3では、主に被術者の手首より先の部分を洗浄する状態が示されているが、手浴や足浴が施される部位は、限定されるものではない。例えば、容器本体を長円形状等とすることで、被術者の手や足をより長い範囲に亘って挿入することができる。これにより、例えば手の先端から前腕部まで(足浴の場合は、足の先端から脛部まで)、或いは手の先端から二の腕まで(足浴の場合は、足の先端から大腿部まで)を洗浄したり湯に浸して温めることができる。
【符号の説明】
【0119】
10,50,60,70,90,100,110,120,130,140,150,160,170:部分浴用容器、12,72,102,112,122:容器本体、14:周壁、18:上側開口部(術者用挿入口)、22,78:貫通孔(被術者用挿入口)、24:補強部、26,80,92:外方筒部、28:外方筒部における容器本体とは反対側の端部、32:帯状体(止水手段)、40:水や湯、44:支持台、76:貫通孔(術者用挿入口)、132:ドレイン口、152:排液バッグ、162:注入バッグ、174:フレーム、188:弾性膜(防水手段)、192:止水膜(防水手段)、194:被術者用挿入口