(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-13
(45)【発行日】2022-01-13
(54)【発明の名称】栽培装置および栽培方法
(51)【国際特許分類】
A01G 31/00 20180101AFI20220105BHJP
【FI】
A01G31/00 601B
(21)【出願番号】P 2019046438
(22)【出願日】2019-03-13
【審査請求日】2021-02-12
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001586
【氏名又は名称】特許業務法人アイミー国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡村 信弥
(72)【発明者】
【氏名】野呂 健太
(72)【発明者】
【氏名】菅谷 和巳
【審査官】佐藤 智子
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-233231(JP,A)
【文献】特開平10-117616(JP,A)
【文献】実開平05-055863(JP,U)
【文献】特開2001-045894(JP,A)
【文献】特開平11-196694(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0293354(US,A1)
【文献】国際公開第2008/133376(WO,A1)
【文献】特開2015-112061(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 31/00
A01G 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物内に設置される着生植物の栽培装置であって、
複数段の棚を有する栽培棚と、
前記複数段の棚のそれぞれに設けられ、底面を有する水受けと、
前記各水受けに水を供給する給水路と、
前記給水路の開閉を、前記水受け毎に調節することのできる給水弁と、
前記各水受けに溜まった水を排水する排水路と、
前記排水路の開閉を、前記水受け毎に調節することのできる排水弁と、
前記着生植物を収容し底部に水を通す穴を有する収容容器を、前記水受けの底面から上方に浮かせた状態で支持する高位置支持手段と、
前記着生植物の上方に位置し、前記着生植物に向けて光を照射する照明器具と
、
前記着生植物の培地の含水率を測定するセンサと、
前記センサで測定された含水率が所定の下限閾値以下になった場合に、前記給水弁を開くように制御する給水弁制御部と、
前記センサで測定された含水率が所定の上限閾値以上になった場合に、前記排水弁を開くように制御する排水弁制御部とを備え、
前記底面のうち、前記高位置支持手段以外の部分は水を溜めるための領域である、栽培装置。
【請求項2】
前記水受けは、前記底面を取り囲む立壁をさらに有し、
前記立壁の高さは、前記高位置支持手段に支持された前記収容容器の底部よりも高い、請求項1に記載の栽培装置。
【請求項3】
前記高位置支持手段は、前記水受けの底面に設けられ、前記水受けの底面から上方に突出する突出部である、請求項1または2に記載の栽培装置。
【請求項4】
建物内において、複数段の棚を有する栽培棚で栽培する着生植物の栽培方法であって、
前記複数段の棚のそれぞれに設けられた各水受けの底面から浮かせた状態で前記着生植物を支持する工程と、
前記着生植物を収容する収容容器内の培地の含水率をセンサで測定する工程と、
前記センサで測定された含水率が所定の下限閾値以下になった場合に、給水路から水を前記水受けに供給し、前記水受けに溜まった水の液面高さが前記収容容器の底部よりも上方にくるように給水する工程と、
前記センサで測定された含水率が所定の上限閾値以上になった場合に、前記水受けに溜まった水を排水路へ排水し、前記水受けに溜まった水の液面高さが前記収容容器の底部よりも下方、かつ、前記水受けの底面よりも上方に維持されるように、前記水受けに溜まった水を排水する工程とを備える、栽培方法。
【請求項5】
前記センサで測定された含水率が所定の下限閾値を検出したことに応じて給水弁を開放する給水弁開放工程と、
前記センサで測定された含水率が所定の上限閾値を検出したことに応じて排水弁を開放する排水弁開放工程とをさらに備える、請求項
4に記載の栽培方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、栽培装置および栽培方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、植物の栽培方法として水耕栽培が知られている。このような栽培方法として、たとえば特許文献1(特開平3-108423号公報)、特許文献2(特開平10-117616号公報)および特許文献3(特開2016-178887号公報)などが知られている。
【0003】
特許文献1の水耕栽培管理システムには、植物の育成成長の過程に応じて、一定時間一定量の培養液を供給したり、培養液の水位を零に調節することが開示されている。また、特許文献2の水耕栽培方法には、養液供給、養液排出および日照経過のサイクルを繰り返して行い、予め設定した積算日照量に応じた期間経過後に養液供給を行うことが開示されている。特許文献3の水耕栽培装置には、植物の根の全長の10%以上30%以下の範囲を空気にさらされるようにし、根の先端を常に培養液に浸漬させるように水位を調節する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平3-108423号公報
【文献】特開平10-117616号公報
【文献】特開2016-178887号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1,2では、培養液の水位の管理システムや養液供給サイクルを調節する条件が曖昧であり、植物の状態に合わせた管理を行うことができない。さらに、特許文献3では、植物の根の先端が常に培養液に浸漬された状態であるため、根腐れが起こり、植物の生育を妨げるおそれがある。
【0006】
この課題を解決するため、本発明は、着生植物の状態に合わせた管理を行うことで、着生植物の生育を促進することが可能な栽培装置および栽培方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る栽培装置は、着生植物の栽培に用いられる。栽培装置は、底面を有する水受けと、水受けに水を供給する給水路と、給水路を開閉する給水弁と、水受けに溜まった水を排水する排水路と、排水路を開閉する排水弁と、着生植物を収容し底部に水を通す穴を有する収容容器を、水受けの底面から上方に浮かせた状態で支持する高位置支持手段とを備える。
【0008】
好ましくは、水受けは、底面を取り囲む立壁をさらに有し、立壁の高さは、高位置支持手段に支持された収容容器の底部よりも高い。
【0009】
好ましくは、高位置支持手段は、水受けの底面に設けられ、水受けの底面から上方に突出する突出部である。
【0010】
好ましくは、着生植物の培地の含水率を測定するセンサと、センサで測定された含水率に応じて給水弁の開閉を制御する給水弁制御部と、センサで測定された含水率に応じて排水弁の開閉を制御する排水弁制御部とを備える。
【0011】
好ましくは、着生植物の上方に位置し、着生植物に向けて光を照射する照明器具をさらに備える。
【0012】
本発明に係る栽培方法は、着生植物の栽培方法において、水受けの底面から浮かせた状態で着生植物を支持する工程と、着生植物を収容する収容容器内の培地の含水率をセンサで測定する工程と、センサで測定された含水率に応じて、給水路から水を水受けに供給し、水受けに溜まった水の液面高さが収容容器の底部よりも上方にくるように給水する工程と、センサで測定された含水率に応じて、水受けに溜まった水を排水路へ排水し、水受けに溜まった水の液面高さが収容容器の底部よりも下方、かつ、水受けの底面よりも上方に維持されるように、水受けに溜まった水を排水する工程とを備える。
【0013】
好ましくは、センサで測定された含水率が所定の下限閾値を検出したことに応じて給水弁を開放する給水弁開放工程と、センサで測定された含水率が所定の上限閾値を検出したことに応じて排水弁を開放する排水弁開放工程とをさらに備える。
【発明の効果】
【0014】
本発明の栽培装置および栽培方法によれば、着生植物の状態に合わせた管理を行うことで、着生植物の生育を促進することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本実施の形態に係る栽培装置の模式図である。
【
図2】本実施の形態における水受けを示す図であって、(a)は斜視図であり、(b)は水受けの内部にトレイを配置した斜視図である。
【
図4】着生植物を収容したポットを示す模式断面図である。
【
図5】本実施の形態に係る栽培装置の変形例を示す模式図である。
【
図6】本実施の形態に係る栽培装置の栽培方法を示すフローチャートである。
【
図7】水受け内における給水および排水時の水の水位を示す説明図であり、(a)は第1水位を示し、(b)は第2水位を示し、(c)は全排水した場合を示す。
【
図8】本実施の形態における培地の含水率を日毎に示すグラフである。
【
図9】各照明条件における分光分布図であり、(a)は照明条件Aを示し、(b)は照明条件Bを示し、(c)は照明条件Cを示し、(d)は照明条件Dを示し、(e)は照明条件Eを示す。
【
図10】胡蝶蘭を各照明条件で栽培した場合の開花率を比較したグラフであり、(a)は色温度における開花率を比較したグラフであり、(b)は平均PPFD値における開花率を比較したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0017】
(栽培装置について)
図1を参照して、本発明の実施の形態に係る栽培装置1について説明する。
図1は、栽培装置1の模式図である。
【0018】
本実施の形態に係る栽培装置1は、着生植物4の栽培に用いられる。着生植物4は、たとえばラン科、パイナップル(アナナス)科、ユリ科などの植物である。本実施の形態では、着生植物4として、胡蝶蘭および背丈の低いミニ胡蝶蘭が用いられる。栽培装置1は建物内に設置され、たとえばビニールハウスやプラスチックハウスのような温室や、植物工場などに設置される。この場合、温室は、太陽光が通過しない素材により形成されていてもよいし、太陽光を屋内に取り込む素材により形成されていてもよい。
【0019】
本実施の形態に係る栽培装置1は、着生植物4の底面から水を染み込ませる底面灌水方式を採用する。栽培装置1は、概略的には、栽培棚70と、栽培棚70に配置される水受け10と、水受け10の内部に配置され、着生植物4を収容する収容容器40とを備える。
【0020】
栽培棚70は、たとえば複数の柱72と、複数の柱72に掛け渡される棚71と、複数の柱72の上端を連結する上枠73とを含む。棚71の上には、水受け10が配置されている。上枠73には、着生植物4に向けて光を照射する照明器具60が取付けられる。照明器具60の光源は、たとえばLED、蛍光灯、電球などが挙げられるが、LEDを用いることが好ましい。照明器具60は、植物の生長に合わせて照射する光の波長を限定してもよく、照明条件などの詳細については後述する。なお、照明器具60は、上枠73に取付けられることに限定されず、単に着生植物4の上方に位置していればよい。
【0021】
図2(a)を参照して、水受け10は、上方が開口する箱型形状である。水受け10は、着生植物4の生育に必要な水を溜めるために用いられる。水受け10は、底面11と、底面11を取り囲む立壁12とを有する。底面11は、長方形形状である。立壁12は、底面11の外周縁から上方に向かって略垂直に立ち上がる。底面11の長手方向端部には、好ましくは1つ以上の排水口32が設けられる。また、水受け10の材料は、特に限定されず、樹脂、ガラス、ステンレス材などから任意の材料が選択される。なお、本実施の形態において、水受け10の底面11の形状は、長方形形状であるとしたが、これに限られず、たとえば円形や正方形などであってもよい。
【0022】
水受け10の底面11上には、水受け10の底面11から上方に突出する突出部50が設けられている。突出部50は、着生植物4を水受け10の底面11から上方に浮かせた状態で支持する高位置支持手段の役割を果たす。突出部50は、たとえば線状に設けられ、水受け10の底面11の長手方向に沿った両側に平行に延在している。突出部50の高さは、立壁12の高さの半分以下、好ましくは1/4以下であることが好ましい。突出部50の横幅は、底面11の横幅の1/5程度であることが好ましい。これにより、収容容器40を安定して配置することができる。なお、突出部50は、線状に設けられるのではなく、高さが同一で島状に点在する複数の突起であってもよい。
【0023】
水受け10の底面11のうち、突出部50は上げ底部であり、突出部50以外の部分は溝部である。この溝部には、収容容器40を突出部50上に配置した場合でも水を溜めることができる。
【0024】
本実施の形態に係る栽培装置1は、突出部50を備え、水の液面高さを突出部50の高さ以下とすることにより、着生植物4を収容する収容容器40と水とが接しない状態で水受け10内に水を溜めることができる。これにより、屋内において着生植物4の生長に最適な湿度環境を保つことができる。また、給水時以外は根が水に浸漬されないため、根腐れを防ぐことができ、着生植物4の生育を促進することができる。このような生育環境のため、生産性および歩留まりを向上することができる。
【0025】
上述のように、水受け10の突出部50上には収容容器40が配置される。以下、収容容器40について説明する。収容容器40は、トレイ41とポット43とを含む。
図2(b)に示すように、トレイ41は、水受け10内に収容される。
図3は、トレイ41を示す斜視図である。
図3に示すように、トレイ41は、育苗用のトレイであり、たとえばプラスチックなどで形成される。トレイ41は、下述するポット43を収容する凹部46を複数有する。凹部46は、底部42に水を通す穴を有する。トレイ41は、市販のものを用いることができる。
【0026】
また、水受け10の突出部50上にトレイ41を配置した場合、上述した水受け10の立壁12の高さは、突出部50に支持されたトレイ41の底部42よりも高い。このため、トレイ41の底部42よりも高い位置まで水を溜めることができるため、着生植物4の生長に十分な量の水を確実に与えることができる。
【0027】
図3のトレイ41の凹部46には、ポット43が収容される。
図4を参照して、ポット43は、着生植物4および培地45を収容する。ポット43は、苗ポットであり、たとえばプラスチックなどで形成される。ポット43は、底部44に水を通す穴を有する。培地45は、典型的には水苔であるが、人工培土やスポンジなどでもよい。なお、本実施の形態では、トレイ41とポット43を別の部材としたが、ポット43を用いずに、トレイ41に着生植物4と培地45を直接収容してもよい。
【0028】
本実施の形態におけるトレイ41の底部42およびポット43の底部44は、穴を有する。そのため、ポット43を収容したトレイ41を水受け10に配置した場合、給水により水受け10に水が溜まって水の液面高さが上昇すると、底面灌水方式により底部42,44の穴から培地45に水が浸透し、着生植物4に水が供給される。これにより、各ポット43に収容された着生植物4に均等に水を供給することができる。
【0029】
培地45には、培地45の含水率を測定するセンサ80が挿入される。センサ80は、たとえば土壌水分計(株式会社セラク社製、みどりボックスに付属の土壌水分センサ)およびpFメータ(大起理化工業株式会社製、DIK-8343)などの市販の製品である。センサ80は、ポット43に収容された培地45の上から2~3cmの位置まで挿入される。センサ80は、トレイ41に収容された複数のポット43のうち、選択された代表株の培地45に挿入される。なお、培地45の含水率の計測とともに、気温・湿度センサ、照度センサ、温度センサなどを用いて温室内の温度、湿度、照度などを計測してもよい。
【0030】
図1を参照して、着生植物4が収容された水受け10には水が供給され、排水される。具体的には、栽培装置1は、水受け10に水を供給する給水路20と、給水路20を開閉する給水弁21と、水受け10に溜まった水を排水する排水路30と、排水路30を開閉する排水弁31とを備える。
【0031】
給水路20は、水が通る管であり、その先端に給水口22を有する。給水口22は、水受け10の上方に配置される。この場合、給水口22は、給水時に着生植物4に直接かからず、水受け10内に水を給水できる位置に設けられることが好ましい。また、給水口22は、水受け10の長手方向の一方端部に設けられる。また、給水口22から給水される水は、典型的には汲み置きタンクまたは上水道から供給される水、井戸水などであるが、着生植物4の生長に必要な養分を含んだ培養液であってもよい。
【0032】
給水弁21は、給水路20から水受け10へ供給される水の給水量を調節するものであり、たとえばバルブである。給水弁21を開けることで、給水路20の水を、水受け10へ供給し、給水弁21を閉めることで、水の供給を停止する。
【0033】
排水路30は、水が通る管であり、その先端に排水口32を有する。排水口32は、水受け10の底面11に配置される。この場合、排水口32は、水受け10の底面11に1つ以上設けられることが好ましい。排水口32は、水受け10の長手方向の他方端部に設けられる。これにより、給水口22と排水口32は、水受け10の両端部に位置するため、効率よく水を供給することができる。なお、排水路30へ排出される水は、衛生面を向上する観点から再利用せずに廃棄される。
【0034】
給水口22を水受け10の長手方向の一方端部に設け、排水口32を水受け10の長手方向の一方端部に設けてもよい。具体的には、水受け10の長手方向の片側に給水口22と排水口32を上下方向に整列するよう設けてもよい。これにより、給水口22と排水口32は、水受け10の長手方向の一方端部側に集約されるため、すっきりとした外観となる。また、水受け10の長手方向の他方端部側の空間に余裕が生じるため、作業を容易かつ効率的に行うことができる。
【0035】
排水弁31は、水受け10から排出される水の排水量を調節するものであり、たとえばバルブである。排水弁31を開けることで、水受け10に溜まった水を排水路30へ排出し、排水弁31を閉めることで、水の排出を停止する。
【0036】
給水弁21および排水弁31の開閉は、自動で行うことが可能である。この場合、栽培装置1は、センサ80で測定された含水率に応じて給水弁21の開閉を制御する給水弁制御部と、センサ80で測定された含水率に応じて排水弁31の開閉を制御する排水弁制御部とを備える。
【0037】
給水弁制御部は、培地45が乾燥した場合に給水する。具体的には、給水弁制御部は、センサ80で測定された含水率が所定の下限閾値以下である場合に、給水弁21を開放する。含水率の下限閾値は、5~15%であり、好ましくは10%である。給水弁21が開放されると、給水路20から水受け10に水が供給される。給水弁21が閉鎖されると、給水路20から水受け10への水の供給が停止される。
【0038】
排水弁制御部は、培地45が十分に水分を含んだ場合に排水する。具体的には、排水弁制御部は、センサ80で測定された含水率が所定の上限閾値以下である場合に、排水弁31を開放する。含水率の上限閾値は、25~45%であり、好ましくは25%である。排水弁31が開放されると、水受け10に溜まった水は排水路30へ排水される。排水弁31が閉鎖されると、水受け10から排水路30への排水は停止し、水受け10に水を溜めることができる。
【0039】
本実施の形態に係る栽培装置1は、給水弁制御部と排水弁制御部を用いることで、自動で着生植物4の状態に合わせた管理を行うことができ、水の与えすぎによる根腐れを防ぎ、着生植物4の生育を促進することができる。
【0040】
(変形例について)
図5は、複数の棚71を備えた栽培装置100の模式図である。本実施の形態では、栽培棚70として棚71を1段備えるタイプを用いたが、棚71を複数段備える栽培棚700を用いてもよい。
図5に示すように、栽培装置100は、複数の柱72と、複数の柱72に固定され、上下方向に間隔をあけて設けられる2つの棚71とを含む。棚71は、2段設けられることとしたが、3段以上の棚71を設けてもよく、棚71の数が増えても仕組みは同様である。これにより、面積あたりの栽培効率を向上させることができる。
【0041】
棚71の上下方向の間隔は、着生植物4の種によって適宜調節する。たとえばミニ胡蝶蘭の場合、ミニ胡蝶蘭の背丈は20cm程度であるため、棚71を設ける間隔はたとえば30cmである。このように、栽培装置100は、特に背丈の低い着生植物4に対して好適に用いることができる。
【0042】
多段式の栽培装置100の場合、給水路20の給水口22は、それぞれの棚71に設けられた水受け10の上方に配置される。また、排水路30の排水口32は、それぞれの棚71に設けられた水受け10の底面11に配置される。すなわち、給水路20は、それぞれの水受け10に水を供給し、排水路30は、それぞれの水受け10に溜まった水を排水する。この場合、給水弁21および排水弁31は、水受け10ごとに調節できるような位置に設けられてもよいし、栽培棚700に設けられた全ての水受け10の給水および排水を一括制御可能な位置に設けられてもよい。
【0043】
さらに、多段式の栽培装置100の場合、照明器具60は、上枠73だけでなく、着生植物4の上方に位置する棚71の下面にも取り付けられる。これにより、着生植物4に向けて光を照射することができ、複数の棚71を備える場合であっても、下方に位置する着生植物4の生長に必要な光源を確保することができる。
【0044】
温室内にて照明器具60を用いた栽培をする場合、照明器具60からの発熱により、室温が必要以上に上昇する。この場合、冷房装置を用いて屋内を冷やす必要がある。冷房装置を使用すると、その除湿作用により屋内の湿度が低下するため、ミニ胡蝶蘭などの着生植物4の生育に悪影響を及ぼす。本実施の形態の栽培装置1は、給水時以外でも水受け10の突出部50の高さ以下の液面高さまで水を溜めることができる。そのため、冷房装置を使用しても温室内の湿度を保つことができ、着生植物4の生育環境を良好に保つことができる。
【0045】
(栽培方法について)
次に、
図6,7を参照して、栽培装置1を用いた着生植物4の栽培方法について説明する。
図6は、本実施の形態に係る栽培装置1の栽培方法を示すフローチャートであり、
図7は、本実施の形態における給水および排水時の水の水位を示す説明図であり、(a)は第1水位を示し、(b)は第2水位を示し、(c)は全排水した場合を示している。以下の栽培方法は、手動で行われる。
【0046】
まず、着生植物4を収容したトレイ41を、水受け10の底面11から浮かせた状態で支持するように突出部50に設置する(ステップS(以下「S」と略す)1)。具体的には、ポット43をトレイ41の凹部46に収容し、トレイ41を水受け10の突出部50上に置く。トレイ41に収容されたポット43内の培地45にセンサ80を挿入し、培地45の含水率を測定する。培地45の含水率が所定の下限閾値、すなわち10%以下の場合(S2)、給水弁21を開放し、給水を開始する(S4)。なお、トレイ41を設置した直後は、水受け10の水を全て排水する工程(S3)は、省略可能とする。
【0047】
給水開始後、
図7(a)に示す第1水位D1の位置まで水位が上昇したか否かを判断する(S5)。この場合、第1水位D1の高さは、ポット43の高さの約7分目程度であるが、培地45に水が浸透する程度であればよい。第1水位D1の測定は、典型的には人による水位の目視で行われるが、たとえば水受け10内の水位をフロートセンサで測定、水受け10内の水量を重量センサで測定、給水路20からの給水量を流量計で測定、給水時間をタイマで制御、など種々の方法で行われる。第1水位D1に満たない場合(S5にてNO)、給水を継続する。給水した水が第1水位D1に到達した場合(S5にてYES)、給水を停止する(S6)。数分から数時間、水を第1水位D1まで溜めた状態で放置し、培地45に水を浸透させる。
【0048】
数分から数時間放置した後、センサ80で培地45の含水率を測定する。培地45の含水率が所定の上限閾値、すなわち25%以上の場合(S7)、排水弁31を開放し、排水を開始する(S8)。排水開始後、
図7(b)に示す第2水位D2の位置まで水位が低下したか否かを判断する(S9)。第2水位D2の高さは、トレイ41の底部42よりも下方かつ水受け10の底面11よりも上方である。つまり、第2水位D2の高さは、培地45と水とが接しない高さである。第2水位D2よりも高い水位の場合(S9にてNO)、排水は継続する。第2水位D2まで水位が低下した場合(S9にてYES)、排水は停止する(S10)。排水された水は、衛生面を向上する観点から、再利用されずに全て廃棄される。なお、第2水位D2の測定は、上述した第1水位D1の測定方法と同じである。
【0049】
第2水位D2まで水を溜めた状態で、約1週間~2週間程度放置する。その後、再びセンサ80で培地45の含水率を測定する。培地45の含水率が10%以下の場合(S2)、
図7(c)に示すように、第2水位D2まで溜めていた水を全て排水する(S3)。排水後、再び給水を開始し(S4)、以後同様の作業が行われる。上記作業は、着生植物4が出荷可能な状態へ生長するまで繰り返される。
【0050】
以上、手動で行う栽培方法について説明したが、制御装置からの信号により自動で行ってもよい。
【0051】
上記工程が自動で行われる場合、給水弁制御部および排水弁制御部が用いられる。給水弁制御部は、S2にてセンサ80で測定された培地45の含水率が10%を検出したことに応じて、給水弁21を開放する(給水弁開放工程)。給水弁制御部は、第1水位D1の位置まで水位が上昇したことを検出すると(S5にてYES)、給水弁21を閉鎖する。
【0052】
さらに、排水制御部は、S7にてセンサ80で測定された培地45の含水率が25%を検出したことに応じて、排水弁31を開放する(排水弁開放工程)。排水弁制御部は、第2水位D2の位置まで水位が低下したことを検出すると(S9にてYES)、排水弁31を閉鎖する。
【0053】
このように、底面灌水方式で第1水位D1まで水を溜めることで、水受け10内のトレイ41に収容される着生植物4に均等に水を供給することができ、一度の給水作業で水受け10内の全ての着生植物4に水を供給することができる。このため、給水作業に要する手間を省くことができる。このような栽培方法のため、健常者はもちろんのこと、高齢者や障がい者であっても栽培作業に従事することが可能となる。
【0054】
本実施の形態における栽培方法によれば、着生植物4に水を供給しない場合でも第2水位D2に水を維持する。これにより、温室内において着生植物4の生長に最適な湿度環境を保つことができる。また、給水時以外は着生植物4の根が水に浸漬しないため、根腐れを防止することができ、着生植物4の生育を促進することができる。このような生育環境のため、生産性および歩留まりを向上することができる。
【0055】
さらに、本実施の形態の栽培方法は、2回目以降の給水を行う前に、第2水位D2まで溜めていた水を一度全て排水する。これにより、栽培装置1の衛生環境を保つことができ、着生植物4全体に病原菌が拡散することを防ぐことができる。
【0056】
(含水率の上限閾値および下限閾値について)
ここで、培地45の含水率の上限閾値および下限閾値を算出した実験について説明する。
図4に示すように、着生植物4を収容するポット43内の培地45に挿入したセンサ80で培地45の含水率を測定した。
【0057】
この実験で用いたセンサ80は、土壌水分計(株式会社セラク社製、みどりボックスに付属の土壌水分センサ)およびpFメータ(大起理化工業株式会社製、DIK-8343)である。土壌水分センサの含水率を2分間隔で測定し、その日毎の平均を記録した。同時に、pFメータの含水量も測定し、記録した。pFメータの値は、pF1.7未満が湿潤状態を表し、pF1.7~2.3が乾燥状態でも湿潤状態でもない中間状態を表し、pF2.3を超えた場合が乾燥状態を表している。経過日数と培地45の含水率との相関関係を把握した。
図8は、培地45の含水率を日毎に示したグラフである。
【0058】
図8に示すように、5日目では、土壌水分センサで測定した培地45の含水率が10%を示し、この場合のpFメータの値がpF2.3以上を示した。pFメータの値がpF2.3以上の場合は乾燥状態を表しているため、土壌水分センサで測定した含水率が10%以下の場合は乾燥状態であることがわかった。この場合に給水を行うこととした。
【0059】
給水後、同日中に排水を行った。排水後、6日目では、土壌水分センサで測定した培地45の含水率は30%まで上昇し、7日目では培地45の含水率はさらに45%まで上昇した。8日目からは、培地45の含水率は緩やかに低下した。培地45の含水率が30%の場合、pFメータの値はpF1.7未満を示した。pFメータの値がpF1.7未満の場合は、湿潤状態を示しているため、培地45の含水率が30%以上の場合は湿潤状態であることがわかった。この後、培地45の含水率は8~20日目にかけて緩やかに低下し、乾燥状態へと戻った。
【0060】
また、5日目と6日目の間では、培地45の含水率は25%を示し、この場合のpFメータの値はpF1.7を示した。上述のように、pFメータの値がpF1.7の場合は中間状態を表しているため、培地45の含水率が25%以上の場合は湿潤状態であることがわかった。以上より、土壌水分センサで測定した培地45の含水率が25~45%であれば、湿潤状態であることがわかった。上記条件で給水および排水を繰り返したところ、根腐れを起こす株もなく、着生植物4の開花が確認できた。以上の実験から、土壌水分センサで測定した培地45の含水率の上限閾値は25%であり、下限閾値は10%であることがわかった。
【0061】
(照明器具の照明条件について)
次に、開花に適した照明条件を調べる実験について説明する。複数の照明条件A~Eの試験区を設定し、各試験区における着生植物4の開花割合を確認した。後述する表1は、各照明条件A~Eにおける平均光合成光量子束密度(PPFD、単位はμmol/m2/s)、RGB比および色温度(K)を示す表である。
【0062】
着生植物4としてミニ胡蝶蘭を使用した。ミニ胡蝶蘭は、低温処理によって花芽が5cm程度形成されたものを使用した。また、ミニ胡蝶蘭は直径6cmのポット43に収容され、ポット43はトレイ41に収容され、トレイ41は水受け10に収容されているものとする。各試験区において、ミニ胡蝶蘭を7株ずつ用意した。
【0063】
照明器具60は、長尺状のLEDを使用した。具体的には、NEXLIGHT BAR/R(有限会社豊川温室社製)およびtecoledG(東神電気株式会社製)の2種類のLEDを使用した。なお、NEXLIGHT BAR/Rは、赤色および白色LEDであり、tecoledGは、白色LEDである。これらの照明器具60を用いて、下記表1に示すように照明条件A~Eを設定した。照明条件A~Eについて、平均PPFD値(μmol/m2/s)、RGB比および色温度(K)を測定した。平均PPFD値(μmol/m2/s)およびRGB比は、RGB光量子計Model-101EG(株式会社日本医化器械製作所社製)を使用し、LED照射面から300mm離れた位置で測定した。色温度(K)と分光分布は、演色照度計CL-70F(株式会社コニカミノルタ社製)で測定した。
【0064】
表1を参照して、NEXLIGHT BAR/Rを2本用いた場合を、照明条件Aとした。照明条件Aでは、平均PPFD値が160.8(μmol/m2/s)、RGB比が81:11:8、色温度が1997Kであった。
【0065】
NEXLIGHT BAR/Rを1本、tecoledGを2本用いた場合を、照明条件Bとした。照明条件Bでは、平均PPFD値が160.6(μmol/m2/s)、RGB比が62:24:14、色温度が3562Kであった。
【0066】
tecoledGを4本用いた場合を、照明条件Cとした。照明条件Cでは、平均PPFD値が149.4(μmol/m2/s)、RGB比が40:39:21、色温度が5159Kであった。
【0067】
NEXLIGHT BAR/Rを1本用いた場合を、照明条件Dとした。照明条件Dでは、平均PPFD値が92.2(μmol/m2/s)、RGB比が81:11:8、色温度が1979Kであった。
【0068】
NEXLIGHT BAR/Rを3本用いた場合を、照明条件Eとした。照明条件Eでは、平均PPFD値が219.7(μmol/m2/s)、RGB比が81:11:8、色温度が1975Kであった。
【0069】
【0070】
図9は、各照明条件における分光分布図であり、(a)は照明条件A、(b)は照明条件B、(c)は照明条件C、(d)は照明条件D、(e)は照明条件Eの分光分布図を表している。
図9を参照して、X軸は波長(nm)を表し、Y軸は相対値を表している。一般的に、380nm~430nmが紫色、430nm~460nmが藍色、460nm~500nmが青色、500nm~570nmが緑色、570nm~590nmが黄色、590nm~610nmが橙色、610~750nmが赤色の光の波長を表している。吸収スペクトルの波形によって何色の光が含まれているのかがわかり、この光の色を定量的に数値化したものが色温度(K)である。たとえば、白色光であれば青色、緑色、赤色が万遍なく含まれる連続スペクトルを示し、色温度は約5000Kとなる。
【0071】
上述のように、
図9(a),(d),(e)は、照明条件A,D,Eの分光分布図である。照明条件A,D,Eは、赤色および白色LEDのNEXLIGHT BAR/Rのみを光源としている。
図9(a),(d),(e)に示すように、照明条件A,D,Eは、白色LEDに特有の連続スペクトルも含まれるものの、いずれも特に660nmに吸収極大を有することから、赤色を主とする朝日や夕日程度の照明条件であることがわかった。これにより、照明条件A,D,Eの色温度は、いずれも約1970~2000Kであることがわかった。
【0072】
図9(b)は、照明条件Bの分光分布図である。照明条件Bは、赤色および白色LEDのNEXLIGHT BAR/Rと白色LEDのtecoledGを光源としている。照明条件B(
図9(b))は、赤色を主とする吸収を有しながらも青色、緑色も万遍なく含まれる連続スペクトルを示すことから、温白色程度の照明条件であることがわかった。これにより、照明条件Bの色温度は約3500Kであることがわかった。
【0073】
図9(c)は、照明条件Cの分光分布図である。照明条件Cは、白色LEDのtecoledGのみを光源としている。照明条件C(
図9(c))は、特に長波長領域の吸収が少なく、青色、緑色、赤色が万遍なく含まれる連続スペクトルを示すことから、白色を主とする昼白色程度の照明条件であることがわかった。これにより、照明条件Cの色温度は約5000Kであることがわかった。
【0074】
これらの照明条件A~Eのうち、色温度(K)の異なる照明条件A,B,Cを用いて、開花に適した照明条件を調べる実験を行った。
図10は、胡蝶蘭を60日間栽培した場合の開花率(%)を比較したグラフであり、(a)は色温度(K)の異なる照明条件A,B,Cで栽培した場合のグラフであり、(b)は平均PPFD値の異なる照明条件A,D,Eで栽培した場合のグラフである。なお、
図10(a),(b)において、30日以前の記載については、図示を省略した。
【0075】
図10(a)に示すように、照明条件A,B,Cの試験区は、いずれの場合も49日目まで開花せず、49日経過後から徐々に開花し始めた。さらに、60日目に開花率が57.1%~100.0%となることがわかった。具体的には、60日目に照明条件Aの場合は開花率100%、照明条件Bの場合は開花率85.7%、照明条件Cの場合は開花率57.1%であった。すなわち、色温度(K)により開花率が変化することがわかり、ミニ胡蝶蘭の開花に適した色温度(K)は、約2000K~5200Kであることがわかった。
【0076】
また、照明条件A~Eのうち、平均PPFD値(μmol/m
2/s)の異なる照明条件A,D,Eを用いて、開花に適した照明条件を調べる実験を行った。
図10(b)に示すように、照明条件A,D,Eの試験区は、いずれの場合も49日目まで開花せず、49日経過後から徐々に開花し始めた。さらに、60日目に開花率が71.4%~100.0%となることがわかった。具体的には、60日目に照明条件Aの場合は開花率100.0%、照明条件Dの場合は開花率85.7%、照明条件Eの場合は開花率57.1%であった。すなわち、平均PPFD値(μmol/m
2/s)により開花率が変化することがわかり、ミニ胡蝶蘭の開花に適した平均PPFD値(μmol/m
2/s)は、約90μmol/m
2/s~220μmol/m
2/sであることがわかった。
【0077】
なお、本実施の形態における高位置支持手段は、水受け10の底面11に設けられた突出部50に限られない。高位置支持手段として、トレイ41などの収容容器40の底部42に脚部を設けてもよい。この場合、脚部の高さ位置は、水受け10の立壁12の高さよりも低く、水受け10の底面11よりも浮いた位置となる。
【0078】
また、本実施の形態では照明器具60を設けていたが、照明器具60は備えていなくてもよい。すなわち、本実施の形態に係る栽培装置1で栽培される着生植物4は、太陽光を光源として栽培されてもよい。また、着生植物4は、温室内のうち一部にのみ照明器具60を設け、補助的に使用することで栽培されてもよい。
【0079】
さらに、上記実施の形態において、給水する前に水受け10の第2水位D2まで溜めた水を全て排水するとしたが、この工程は必須ではない。すなわち、水受け10の第2水位D2まで溜めていた水を排水せずに、給水を行うこととしてもよい。
【0080】
また、本実施の形態に係る栽培装置1で用いた水は、再利用はせずに排水するとしたが、水受け10に供給される水は再利用水であってもよい。
【0081】
本実施の形態に係る栽培装置1は、着生植物4の培地45の含水率を測定するセンサ80で測定された含水率に応じて給水および排水を行うこととしたが、これに限定されない。たとえば、センサ80を用いずに、培地45の状態を目視により、あるいは手で触ることにより確認することで給水および排水を行ってもよい。
【0082】
今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0083】
1 栽培装置、4 着生植物、10 水受け、11 底面、12 立壁、20 給水路、21 給水弁、22 給水口、30 排水路、31 排水弁、32 排水口、40 収容容器、41 トレイ、42,44 底部、43 ポット、45 培地、46 凹部、50 突出部、60 照明器具、70 栽培棚、71 棚、72 柱、73 上枠、80 センサ、100 栽培装置、700 栽培棚。