IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アシュランド・ライセンシング・アンド・インテレクチュアル・プロパティー・エルエルシーの特許一覧 ▶ インペリアル・イノベ−ションズ・リミテッドの特許一覧

特許6993389低減された表面張力を有するギアオイルおよびエンジンオイル
<>
  • 特許-低減された表面張力を有するギアオイルおよびエンジンオイル 図1
  • 特許-低減された表面張力を有するギアオイルおよびエンジンオイル 図2
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-13
(45)【発行日】2022-02-21
(54)【発明の名称】低減された表面張力を有するギアオイルおよびエンジンオイル
(51)【国際特許分類】
   C10M 155/02 20060101AFI20220214BHJP
   C10M 169/04 20060101ALI20220214BHJP
   F01M 9/06 20060101ALI20220214BHJP
   C10M 107/02 20060101ALN20220214BHJP
   C10M 125/02 20060101ALN20220214BHJP
   C10M 101/02 20060101ALN20220214BHJP
   C10N 20/02 20060101ALN20220214BHJP
   C10N 30/00 20060101ALN20220214BHJP
   C10N 30/02 20060101ALN20220214BHJP
   C10N 40/04 20060101ALN20220214BHJP
   C10N 40/25 20060101ALN20220214BHJP
【FI】
C10M155/02
C10M169/04
F01M9/06
C10M107/02
C10M125/02
C10M101/02
C10N20:02
C10N30:00 Z
C10N30:02
C10N40:04
C10N40:25
【請求項の数】 15
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019175721
(22)【出願日】2019-09-26
(62)【分割の表示】P 2016533114の分割
【原出願日】2014-11-20
(65)【公開番号】P2020002377
(43)【公開日】2020-01-09
【審査請求日】2019-10-25
(31)【優先権主張番号】61/907,661
(32)【優先日】2013-11-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505301103
【氏名又は名称】アシュランド・ライセンシング・アンド・インテレクチュアル・プロパティー・エルエルシー
(73)【特許権者】
【識別番号】505167543
【氏名又は名称】アイピー2アイピーオー イノベ-ションズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】アナント・エス・コールカー
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー・ヴィ・オリヴァー
(72)【発明者】
【氏名】アダム・イー・スウォルスキー
(72)【発明者】
【氏名】フランシズ・イー・ロックウッド
(72)【発明者】
【氏名】ゲフェイ・ウー
(72)【発明者】
【氏名】シューロン・チェン
【審査官】黒川 美陶
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-008737(JP,A)
【文献】特開平11-157818(JP,A)
【文献】特開平01-095193(JP,A)
【文献】特表2011-522930(JP,A)
【文献】特開2010-065072(JP,A)
【文献】特開2007-170540(JP,A)
【文献】特開平11-132318(JP,A)
【文献】特開2006-241443(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C10M 101/00-177/00
C10N 10/00- 80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
グループVベースオイルと、
前記ベースオイルの表面張力を28mN/m未満に下げるのに有効な量であるシリコーンオイルと、
を含むギアオイルであって、
前記シリコーンオイルの量が前記ギアオイルの重量に対して0.01重量%から5重量%であり、前記シリコーンオイルが、25℃で10から350cStの粘度を有し、
25℃において500cSt未満の粘度を有するギアオイル。
【請求項2】
5から60%の他の潤滑剤添加物を含む、請求項1に記載のギアオイル。
【請求項3】
0.01から0.5%のシリコーンオイルを含む、請求項1に記載のギアオイル。
【請求項4】
0.2%のシリコーンオイルを含む、請求項1に記載のギアオイル。
【請求項5】
前記ベースオイルが、少なくとも40%PAOである、請求項1に記載のギアオイル。
【請求項6】
少なくとも40%から95%までのPAOを含む、請求項5に記載のギアオイル。
【請求項7】
前記ベースオイルが、130から200の粘度指数を有する、請求項1に記載のギアオイル。
【請求項8】
0.01から15%のナノグラファイト粒子をさらに含む、請求項1に記載のギアオイル。
【請求項9】
請求項1に記載のギアオイルを飛沫潤滑システムに加えることを含む、飛沫潤滑システムを潤滑する方法。
【請求項10】
請求項2に記載のギアオイルを飛沫潤滑システムに加えることを含む、飛沫潤滑システムを潤滑する方法。
【請求項11】
請求項6に記載のギアオイルを飛沫潤滑システムに加えることを含む、飛沫潤滑システムを潤滑する方法。
【請求項12】
飛沫潤滑システムに潤滑を提供する方法であって、
前記飛沫潤滑システムを循環する段階を含み、
潤滑剤が、28mN/m未満の表面張力(標準ギア/エンジンオイル)および25℃における400mPa.sec未満の粘度を有し、前記潤滑剤が請求項1に記載のギアオイルを含む、方法。
【請求項13】
前記潤滑剤が、25mN/m未満の表面張力を有する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記潤滑剤が、0.01から5重量%のシリコーンオイルと組み合わされたグループIIIまたはグループIVのベースオイルを少なくとも40%含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記潤滑剤が、0.1から5%のナノグラファイト粒子をさらに含む、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
連邦政府支援による研究または開発に関する陳述:本発明は、エネルギー省により与えられた契約番号DE-EE0006427号の下で政府の支援で行われた。米国政府は、本発明に一定の権利を有する。
「WINDAGE AND CHURNING EFFECTS IN DIPPED LUBRICATION」という名称の米国仮出願第61/907,661号の出願日2013年11月22日の利益が主張され、該出願は、ここに完全に記載されるのと同様に、その全体が明確にここに組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
飛沫潤滑システムは、はねかけ潤滑システムとも呼ばれ、当該システムにおいて、ギアおよびクランクシャフトなどの部品は、油溜まり部を通って回転する。次いで、回転する部品は潤滑剤を隣接する部分にはねかけ、それによってそれらを滑らかに動くようにする。ドライブアクスルおよびトランスミッションは、典型的には、油溜まり部またはオイルリザーバからはねかけ潤滑により潤滑される幾つかのギアセットを有する。ギアがオイル内で回るので、ギアおよびベアリングは循環オイルでコーティングされる。高速で、ギアは本質的にオイルを汲み出し、流体中のエネルギー損失または剪断損失に対応する力を生じる。あるエンジンは、クランクシャフトが回転する際それから飛ばされるオイルによってはねかけ潤滑される。システム中の潤滑剤の量を過度に減らすことは望まないが、部品のオイル中への浸漬深さは、動力損失に関係する。部品がオイル中に深く浸漬されると、動力損失が大きくなる。したがって、システム内部の潤滑剤の全体積を減らすことなく、動力損失を低減することが望ましい。最近のエンジンは、部品を動かすためにオイルを分配するのにポンプを使用し、チューブおよびポンプ内部の流体の摩擦に関連して動力損失が存在する。
【0003】
飛沫潤滑システム中などにおける、潤滑システムおよび動力損失を低減する方法、並びにポンプを備えた他の潤滑システムに関して、上述したような現在の課題および特徴を解決する必要性が存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、部分的に、ギアなどを含む飛沫潤滑システムなどの潤滑システムにおける動力損失を、低い表面張力および低い粘度を有する潤滑剤でシステムを潤滑することにより低減することができるようにすることを前提とする。本発明によれば、潤滑剤は、約28mN/m以下の表面張力および25℃における400mPa・sec未満の粘度を有するだろう。概して、潤滑剤は、25mN/mなど、27mN/m未満の表面張力を有するだろう。しかしながら、潤滑剤を配合するとき、表面張力を下げる添加剤は、動力損失を大きくする発泡性を強める傾向がある。本発明は、低い表面張力、低い粘度、および制御された発泡性という基準を満たす潤滑剤の配合を含む。
【0005】
さらに、本発明は、飛沫潤滑システム中の適切な潤滑剤の選択により、効率を改善することができ、エネルギーの損失を減らすことができ、燃料効率を向上させることができるようにすることを踏まえる。より詳細には、本発明は、シリコーンオイルと組み合わせたグループI、II、III、IV、またはVのベースオイルを含む潤滑剤を含む。飛沫潤滑システムにおける本発明の潤滑剤の使用は、典型的には「チャーニング」と呼ばれる動力損失を低減し、ある用途においては、摩擦係数を小さくする。本発明は、飛沫潤滑システムにおける、並びに現代のエンジンにおいてより効率的であり、オイルポンピングにより生じた動力損失が低減される配合における、新しい潤滑剤を含む。本発明の目的および利点は、以下の詳細な記載および図面に照らしてさらに理解される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本発明の配合と標準的な配合との効率の比較を示す図である。
図2】本発明の配合と標準的な潤滑剤との温度の比較を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
飛沫潤滑は、回転する部品がオイルのリザーバに部分的に浸される、ギアボックス、エンジン、またはアクスルなどの、封入された機械装置内で、潤滑剤が分配されるシステムに与えられた名前である。機械の操作およびその後の浸された部品の回転が、その必要とする目的物、典型的にはシステム内部のベアリングまたは他の稼働する部品へのオイルの分配をもたらす。飛沫潤滑は、潤滑流体が専用の潤滑システムによって直接ポンプで供給されるスプレー潤滑またはジェット潤滑と対照され得る。結果的に、飛沫潤滑は、製造コストがより低くなる。しかしながら、これは制御を犠牲にすることによって実現される。例えば、飛沫システムにおいて、潤滑システムのベアリングの要件を考慮して流速を変えることは難しい。さらに、飛沫潤滑システムは、微細な濾過と両立されず、特に高い回転速度において、かなりの動力損失を受ける場合がある。
【0008】
典型的なギアボックスにおいて、動力損失は、ラビングギアの歯の間の、およびベアリング部品とシール部品との表面間の、摩擦のため起こる。さらに、循環された液体の加速、およびその内部の粘度の消失に起因して、損失が存在する。この動力損失が通常「チャーニング」と称され、本発明によって扱われる。
【0009】
以前のエンジンは、コネクティングロッドを用いる稼働部品にオイルを供給するためにはねかけ潤滑を用いる。オイルスクープで作られることが多いコネクティングロッドの大端部が、ピストンが下死点の位置を通過する各々の時に潤滑剤溜めに浸けられる。そのような潤滑システムは、効率的ではなく、本質的にエンジンの寿命を限られたものとする。あるエンジンは、複合システムとも呼ばれる、はねかけ潤滑と強制潤滑システムとの組み合わせを採用した。エンジン駆動式ギアポンプが、メインベアリングのみにオイルを運ぶために使用され、ロッドベアリングおよび他の稼働部品は、単にはねかけシステムで潤滑された。現在、複合潤滑システムを用いるレース用エンジンは殆ど存在しない。本発明は、そのようなエンジン内のチャーニング損失を扱う。
【0010】
エンジン出力に対する需要の増加および小型化は、より信頼性が高く、首尾一貫した潤滑システムを要求した。強制循環システムは、エンジン部品が稼働すると期待される荷重および速度を満たすために実施される。エンジンベアリングは、それらを通って循環するオイルによって潤滑され、冷却される。圧力下のオイルは、バルブロッカーアームおよびバルブステム、クランクシャフトメインベアリング、ジェロータタイプなどのポンプを用いるコネクティングロッド大端部ベアリングおよびカムシャフトベアリングに供給される。ポンプは、ピックアップチューブを通じてオイルパンからオイルを抽出し、圧力開放バルブを用いて油圧を特定の範囲内に保持する。オイルの性質に基づく潤滑システムのためのポンプ性能は、本発明によって扱われる。
【0011】
概して、本発明において使用する潤滑剤は、低い表面張力および低い粘度を有するだろう。本発明において使用されるために、潤滑剤は、28mN/m未満、27mN/m未満、25mN/m以下などの表面張力を有しなくてはならない。さらに、潤滑剤の粘度は、好ましくは25℃において400mPa・sec未満(25℃で約500cSt未満)とすべきである。本発明によれば、特定の潤滑剤が配合され、これは様々な潤滑システムにおいて動力損失も低減する。
【0012】
本発明によれば、潤滑剤は、最小限のシリコーンオイルと組み合わせたベースオイルを含む。他の潤滑剤添加剤が、特定の潤滑剤の仕様を満たすために必要に応じて添加され、これは、本明細書に特定されるように、発泡を低減する成分を含む。ベースオイルは、シリコーンオイルと相溶性であり、潤滑剤は、主として(少なくとも40%)、グループI、グループII、グループIII、グループIV、またはグループVのベースオイルであり(シリコーンオイルを除く)(米国石油協会(API)によって示される)、粘度が、100℃で2-100cStであり、好ましくは粘度指数が少なくとも130、好ましくは、250など、160以上である。グループIおよびIIのベースオイルが、特定の地理的な地域において通常ギアオイルとして使用され、一方でグループIIIおよびグループIVのベースオイルが他の地域で使用される。
【0013】
グループIIIのベースストックが、鉱物オイルが、望ましくない化学組成物および不純物を除去するために特別な条件下で水素化または水素化分解を受ける、水素化から作られ、合成オイルの成分および性質を有する鉱物オイル系オイルが得られる。典型的には、グループIIIとして規定される水素化オイルは、硫黄レベルが0.03未満である石油系ストックであり、大幅に水素化処理およびイソデワックス(iso-dewaxed)され、90以上の飽和度を有し、粘度指数が120以上である。
【0014】
グループIVのベースストックは、ポリアルファオレフィンである。ポリアルファオレフィン(PAO)もまた、潤滑油業界で良く知られている炭化水素系ストックオイルである。PAOは、2から32個の炭素を有するアルファオレフィンの重合または共重合によって得られる。より典型的には、C8、C10、C12、C14オレフィンまたはそれらの混合物である。
【0015】
グループVベースストックは、グループI、II、III、およびIV以外の全てのベースストックとして分類される。例としては、リン酸エステル、ポリアルキレングリコール(PAG)、ポリオールエステル、バイオルーベ(biolubes)等が挙げられる。主にこれらのベースストックは、オイルの性能を向上するために他のベースストックと混合される。エステルは、エンジンオイルおよびギアオイルを含む様々な潤滑剤配合において使用される一般的なグループVのベースオイルである。エステルオイルは、高温での性能を改善し、PAO合成ベースオイルと比較して優れた洗浄力を提供することによってドレイン間隔を大きくするだろう。本発明のために、グループVオイルであるシリコーンオイルは、本発明においてはベースオイルとして使用されない。
【0016】
本発明の使用に関して、ベースオイルは、本発明のギアオイルを40から約95%を含み、添加剤はまとめて5から60重量%であるだろう。
【0017】
本発明において使用するためのベースオイルに加えて、本発明のギアオイルは、0.01から約5重量%のシリコーンオイルを含むだろう。シリコーンオイルは、表面張力を低減するように働き、グループIIIのベースオイルと組み合わされて、摩擦係数を下げる。シリコーンオイルは、約0.01から約5%、0.02から約0.5%、0.1から0.5%の量で使用することができ、0.2%のシリコーンオイルで、良好な結果を有する。25℃において、10、20、50、100、350、1000、5000、10,000、および60,000センチストークスなどを含む、幅広い様々な粘度が使用されることができる。そのようなシリコーンオイルのサプライヤとして、Xiameter PMX-0245、ダウコーニング 200および510が挙げられる。シリコーンオイルの粘度が高いと摩擦が低減されるが、ベースオイルから分離する傾向がある。低粘度のシリコーンオイルは、ベースオイル中に分散し続ける。したがって、25℃で10-350cStの、特に10-50cStの粘度は有利である。一般的には、表面張力を28mN/m未満に下げる任意の界面活性剤が、動力損失を低減するのに役立つ。
【0018】
ベースオイルおよびシリコーンオイルに加えて、本発明のギア潤滑剤は、ナノグラファイト粒子を含むことができる。典型的なナノグラファイト粒子は、その開示が参照によってここに組み込まれる、米国特許第7,449,432号明細書に開示される。概して、ナノグラファイト粒子は、直径500nm未満の、好ましくは100nm未満の、より好ましくは50nm未満の平均粒子径を有するだろう。これらは、0重量%から15重量%の、より好ましくは0.01から10重量%の、より好ましくは0.1重量%から5重量%の量のナノ粒子で存在することができる。グラファイトナノ粒子は、潤滑剤配合に対して熱伝導性および潤滑性を改善する。これらは、良く知られているように、乾式法または湿式法のどちらかによって製造されることができ、Acheson、U-Car Carbon Company,Inc.およびCytec Carbon Fibers LLCから購入することができる。
【0019】
興味深いことに、ナノグラファイト粒子は、界面活性剤と共に使用されるとき、優れた消泡剤としても働くことができる。ナノ粒子が配合物に加えられるとき、他の消泡剤の添加は必要ない場合がある。これは、ギアオイルにおけるナノ粒子の新たな使用である。
【0020】
他の典型的な添加剤として、Nalco EC 9286F-655、Munsing Foam Band 159、High-Tech 2030、Tego D515、およびXiameter AFE-1430などの消泡剤、HiTec 5777などの分散剤、HiTEC 355およびAnglamol 9001NなどのDI添加剤パッケージ、HiTec 5738などの粘度指数改良剤、HiTec 5760などの粘度改良剤、およびHiTEC008などのシール膨潤剤が挙げられる。
【0021】
本発明に使用される5つの配合が表1に示される。
【0022】
【表1A】
【0023】
【表1B】
【0024】
配合3および5と類似する添加剤パッケージ中の64.6%Yubase 4 ベースオイルから形成された参照潤滑剤が準備された。参照潤滑剤は、シリコーンオイルまたはナノグラファイトを含まなかった。参照潤滑剤の表面張力は28.91であったのに対して、配合3は表面張力が22.19であり、配合5は表面張力が24.28であった。これらに対して修正SAEJ1266アクスル試験を行った。示されているように、配合3および4のギアオイルは、最大16.37℃の温度低減を示した。これらの3つの潤滑剤は、様々な滑り率に関して試験された。配合3および4は、参照潤滑剤と比較して低い摩擦係数を示した。
【0025】
PAO系参照潤滑剤が、表面張力30.23を有して形成され、配合1-5と比較された。各々のオイルは、その後1GPaの接触圧力で、4つの滑り率および3つの温度に関して試験された。参照オイルが最も高い摩擦係数を有していた。配合2および4は、低めから中程度のエントレインメント速度(entrainment speed)に関して低い摩擦係数を与え、全ての5つの配合が同様に働いた。
【0026】
その結果、シリコーンを添加することによって、表面張力は低減され、効率は改善される。これは全てのタイプのベースオイルで、特にグループIIIおよびIVで成り立つ。
【0027】
本発明を実施する好ましい実施方法と共に本発明が記載されたが、本発明自身は我々が主張する添付の特許請求の範囲によってのみ規定されるべきである。
図1
図2