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6993408作動可能な作業端部を有する回転式の捩り可能な血管内装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-13
(45)【発行日】2022-01-13
(54)【発明の名称】作動可能な作業端部を有する回転式の捩り可能な血管内装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/32 20060101AFI20220105BHJP
【FI】
A61B17/32
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2019516639
(86)(22)【出願日】2017-09-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-10-17
(86)【国際出願番号】 IB2017001663
(87)【国際公開番号】W WO2018060776
(87)【国際公開日】2018-04-05
【審査請求日】2020-09-24
(31)【優先権主張番号】62/401,387
(32)【優先日】2016-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514102803
【氏名又は名称】ラピッド メディカル リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】スディン、ユーリ
(72)【発明者】
【氏名】エクハウス、ローネン
(72)【発明者】
【氏名】フリードマン、アハロン
(72)【発明者】
【氏名】ゲデュルター、マタン
(72)【発明者】
【氏名】ミラー、モシェ
【審査官】宮下 浩次
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-506777(JP,A)
【文献】米国特許第05484409(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
血管内装置であって、
近位端部及び遠位端部を有する中空シャフトであって、血管の中への挿入のための大きさである中空シャフトと、
近位端部及び遠位端部を有し、且つ前記中空シャフトを通って延伸する制御ラインと、
前記中空シャフトの遠位端部を超えて位置付けられ、且つ前記制御ラインの遠位端部を介して伝達される作動力を受けるように構成された作動可能な作業要素と、
前記制御ラインの近位端部に前記作動力を働かせ、それによって前記制御ラインと前記中空シャフトとの間に相対運動を生じさせ、且つ前記作業要素を作動させるように構成されたアクチュエータと、
前記制御ラインと一体であって、且つ前記中空シャフト内に位置付けられた少なくとも1つの制御ライン回転制限器と、
前記中空シャフト及び前記作業要素のうちの少なくとも一方に関連する少なくとも1つの回転制限要素であって、前記制御ライン回転制限器と係合し、それによって前記制御ラインと前記中空シャフトとの間の相対軸線方向運動を可能にする一方で、前記制御ラインが前記作業要素に対して回転することを実質的に妨げるように構成された少なくとも1つの回転制限要素と
を備え
前記少なくとも1つの回転制限要素は、前記中空シャフト及び前記作業要素のうちの少なくとも1つ内に少なくとも1つの材料の堆積物を含み、前記材料の堆積物は、前記中空シャフト及び前記作業要素のうちの少なくとも1つにおけるチャネルの一部を狭める、血管内装置。
【請求項2】
前記少なくとも1つの制御ライン回転制限器は、前記制御ラインの少なくとも1つの変形部を含む、請求項1に記載の血管内装置。
【請求項3】
前記少なくとも1つの変形部は、前記制御ラインの少なくとも1つの平坦化部分を含む、請求項2に記載の血管内装置。
【請求項4】
前記制御ラインは、前記少なくとも1つの変形部に隣接する丸形断面の領域を含む、請求項3に記載の血管内装置。
【請求項5】
前記中空シャフトは、少なくとも1本の巻きワイヤから形成されている、請求項1に記載の血管内装置。
【請求項6】
前記中空シャフトは、複数のワイヤから形成されたケーブルを含む、請求項1に記載の血管内装置。
【請求項7】
前記作業要素は、前記中空シャフトの遠位端部を超えてコイル状ワイヤ部分から形成された屈曲可能な先端を含む、請求項1に記載の血管内装置。
【請求項8】
前記コイル状ワイヤ部分は、前記中空シャフトの可撓性より大きい可撓性を有する、請求項7に記載の血管内装置。
【請求項9】
前記アクチュエータは制御ハンドルを含み、前記制御ハンドルは、前記作業要素における回転力に対して前記制御ハンドルに働く回転力を約1:1の比率で伝達するように構成されている、請求項1に記載の血管内装置。
【請求項10】
前記材料の堆積物はポリマーである、請求項に記載の血管内装置。
【請求項11】
前記少なくとも1つの回転制限要素は、前記中空シャフトにおいて第1の回転制限要素と、前記作業要素のチャネルにおいて第2の回転制限要素とを含む、請求項に記載の血管内装置。
【請求項12】
前記少なくとも1つの回転制限要素は、前記中空シャフトにおいて第1の回転制限要素と、前記コイル状ワイヤ部分において第2の回転制限要素とを含む、請求項8に記載の血管内装置。
【請求項13】
前記制御ハンドルは、前記制御ラインの牽引を可能にし、それによって前記制御ハンドルが回転する場合に、前記コイル状部分を屈曲させ、且つ前記屈曲されたコイル状部分に回転トルクを伝達するように構成されている、請求項9に記載の血管内装置。
【請求項14】
前記制御ライン回転制限器及び前記回転制限要素はそれぞれ、軸線方向に互いに対して運動させた場合に、前記制御ライン回転制限器及び前記回転制限要素が係合した状態であるような軸線方向長さを有する、請求項1に記載の血管内装置。
【請求項15】
ユーザが前記遠位先端と前記制御ラインとの間の加えられた相対回転力を前記制御ハンドルに働かせることを可能にするように構成され、前記制御ライン回転制限器及び前記回転制限要素は、前記制御ライン回転制限器と前記回転制限要素との間の実質的な滑りなしに前記加えられた力を前記作業要素に伝達するように構成されている、請求項9に記載の血管内装置。
【請求項16】
前記中空シャフトは、中空金属チューブを含み、前記作業要素は、前記中空金属チューブより遠位にあるコイル状ワイヤを含む、請求項1に記載の血管内装置。
【請求項17】
前記中空シャフトは、ポリマーチューブを含み、前記作業要素は、前記ポリマーチューブより遠位にあるコイル状ワイヤを含む、請求項1に記載の血管内装置。
【請求項18】
前記制御ラインは、単一ワイヤから形成され、前記少なくとも1つの制御ライン回転制限器は、前記単一ワイヤの断面積において少なくとも1つの変形部を含む、請求項1に記載の血管内装置。
【請求項19】
前記少なくとも1つの制御ライン回転制限器は、前記中空シャフト内の前記制御ラインの細長い領域において少なくとも第1の変形部と、前記作業要素の細長い領域において前記制御ラインの少なくとも第2の変形部とを含む、請求項1に記載の血管内装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2016年9月29日に出願された米国仮特許出願第62/401,387号からの優先権の利益を主張し、その開示はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、概して血管内装置に関する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
血管内装置は、その遠位端部において作業要素に接続された中空の細長いシャフトと、作業要素の遠位先端に接続されてもよい細長い制御要素とを含んでもよい。制御ワイヤは、制御ワイヤと作業要素とシャフトとの間に相対軸線方向運動を作り出すことができる近位アクチュエータに接続されてもよい。制御ワイヤがアクチュエータによって牽引される場合に、例えば、作業部材の遠位先端がまた牽引され、遠位先端における相対運動が達成されることができる。このような血管内装置の1つの例は、制御ワイヤが牽引される場合に拡張するワイヤメッシュを含んでもよい。別の例は、制御ワイヤが牽引される場合に屈曲するガイドワイヤ先端を含んでもよい。
【0004】
血管内中空シャフトは、多数の異なる方法で作られることができる。例えば、中空シャフトは、中空の金属チューブ又はワイヤのケーブルから作られてもよい。別の例として、中空シャフトは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)及びPEBAX(Arkemaから入手可能)のようなポリマーの層から、或いは強化組紐又はコイルとこのようなポリマーとの組合せで作られてもよい。更に別の例として、血管内シャフトは上記の任意の組合せから作られてもよい。例えば、近位の100cm部分は金属チューブから作られてもよく、そして、30cmのワイヤのPTFE被覆ケーブルが接着されることができ、最後に、単一ワイヤコイルが、柔軟な遠位部分を作り出すために接着されることができる。
【0005】
制御ワイヤは、集合的に制御ケーブルを形成する幾つかのワイヤを含んでもよい。制御ワイヤは、例えば、金属ワイヤ若しくは材料、ポリマー、又は他の材料から作られてもよい。制御ワイヤはまた、上記で列挙された材料と構成要素との組合せから作られてもよく、異なる剛性を有する異なる部分を含んでもよい。1つの例においては、制御ワイヤは、ワイヤの可撓性を達成するためにその遠位部分において研削された単一ワイヤから作られてもよい。
【0006】
制御ワイヤを組み込んだ血管内装置の構造は、医師が近位アクチュエータ又はハンドルにおける運動を遠位の作業要素に伝達することを可能にすることを支援するように作用する。医師は、患者の目標位置において作動する作業要素と共に、患者の体外でハンドルを制御してもよい。この構造は近位ハンドルから遠位作業要素への軸線方向力の伝達を可能にする一方、細長いシャフトは典型的には丸く中空であり、制御ワイヤは中空であるので、その能力において径方向運動を近位から遠位端部に伝達することが制限される場合がある。
【0007】
この制限は、例えば、制御ワイヤと細長いシャフトとが遠位端部においてのみ接続されている故に生じる場合がある。結果として、細長いシャフトをその近位部分において回転させることは、シャフトの弾性変形部に伝達された幾らかの径方向トルクに起因して、制御ワイヤの回転を必ずしももたらさない。本開示の例示的な血管内装置においては、固定具が、1:1の比率での制御ワイヤへの細長いシャフトの径方向力の伝達を可能にしてもよい。これは、例えば、制御ワイヤと細長いシャフトとの間の軸線方向回転を、これら2つの部材間の軸線方向運動を妨げることなく妨げることによって達成されてもよい。
【0008】
制御ワイヤと細長いシャフトとの間の軸線方向回転を、これら2つの部材間の軸線方向運動を妨げることなく妨げることは、例えば、制御ワイヤの少なくとも一部を変形させ、且つ丸形の細長いシャフトの内部断面の少なくとも一部を非丸形にすることによって、それぞれ達成されてもよい。血管内装置の例示的な実施形態によれば、細長いシャフトと比較して制御ワイヤの軸線方向運動中であっても、2つの方形部分の間に重なりがあってもよい。
【0009】
開示された実施形態は、近位端部及び遠位端部を有し、且つ血管の中への挿入のための大きさである中空シャフトを含む血管内装置を含んでもよい。血管内装置はまた、近位端部及び遠位端部を有し、且つ中空シャフトを通って延伸する制御ラインを含んでもよい。血管内装置はまた、中空シャフトの遠位端部を超えて位置付けられ、且つ制御ラインの遠位端部を介して伝達される作動力を受けるように構成された作動可能な作業要素を含んでもよい。血管内装置は更に、制御ラインの近位端部に作動力を働かせ、それによって制御ラインと中空シャフトとの間に相対運動を生じさせ、且つ作業要素を作動させるように構成されたアクチュエータを含んでもよい。血管内装置はまた、制御ラインと一体であって、且つ中空シャフト内に位置付けられた少なくとも1つの制御ライン回転制限器と、中空シャフト及び作業要素のうちの少なくとも一方に関連し、且つ制御ライン回転制限器と係合し、それによって制御ラインと中空シャフトとの間の相対軸線方向運動を可能にする一方で、制御ラインが作業要素に対して回転することを実質的に妨げるように構成された少なくとも1つの回転制限要素と含んでもよい。
【0010】
別の実施形態においては、血管内装置の少なくとも1つの制御ライン回転制限器は、制御ラインの少なくとも1つの変形部を含む。少なくとも1つの変形部は、制御ラインの少なくとも1つの平坦化部分を含む。
【0011】
別の実施形態においては、血管内装置の制御ラインは、少なくとも1つの変形部に隣接する丸形断面の領域を含む。
【0012】
別の実施形態においては、血管内装置の中空シャフトは、少なくとも1本の巻きワイヤから形成されてもよい。
【0013】
別の実施形態においては、血管内装置の中空シャフトは、複数のワイヤから形成されたケーブルを含んでもよい。
【0014】
別の実施形態においては、血管内装置の作業要素は、中空シャフトの遠位端部を超えてコイル状ワイヤ部分から形成された屈曲可能な先端を含む。
【0015】
別の実施形態においては、血管内装置のコイル状ワイヤ部分は、中空シャフトの可撓性より大きい可撓性を有する。
【0016】
別の実施形態においては、血管内装置のアクチュエータは制御ハンドルを含み、制御ハンドルは、作業要素における回転力に対して制御ハンドルに働く回転力を約1:1の比率で伝達するように構成される。
【0017】
別の実施形態においては、血管内装置の少なくとも1つの回転制限要素は、中空シャフト及び作業要素のうちの少なくとも1つ内に少なくとも1つの材料の堆積物を含んでもよく、材料の堆積物は、中空シャフト及び作業要素のうちの少なくとも1つにおけるチャネルの一部を狭める。堆積材料はポリマーであってもよい。
【0018】
別の実施形態においては、血管内装置の少なくとも1つの回転制限要素は、中空シャフトにおいて第1の回転制限要素と、作業要素のチャネルにおいて第2の回転制限要素とを含んでもよい。
【0019】
別の実施形態においては、血管内装置の少なくとも1つの回転制限要素は、中空シャフトにおいて第1の回転制限要素と、コイル状ワイヤ部分において第2の回転制限要素とを含んでもよい。
【0020】
別の実施形態においては、アクチュエータの制御ハンドルは、制御ラインの牽引を可能にし、それによって前記制御ハンドルが回転する場合に、コイル状部分を屈曲させ、且つ屈曲されたコイル状部分に回転トルクを伝達するように構成される。
【0021】
別の実施形態においては、血管内装置の制御ライン回転制限器及び回転制限要素はそれぞれ、軸線方向に互いに対して運動させた場合に、制御ライン回転制限器及び回転制限要素が係合した状態であるような軸線方向長さを有してもよい。
【0022】
別の実施形態においては、血管内装置は、ユーザが遠位先端と制御ラインとの間の加えられた相対回転力を制御ハンドルに働かせることを可能にするように構成されてもよく、制御ライン回転制限器及び回転制限要素は、制御ライン回転制限器と回転制限要素との間の実質的な滑りなしに加えられた力を作業要素に伝達するように構成される。
【0023】
別の実施形態においては、血管内装置の中空シャフトは、中空金属チューブを含み、作業要素は、中空金属チューブより遠位にあるコイル状ワイヤを含む。
【0024】
別の実施形態においては、血管内装置の中空シャフトは、ポリマーチューブを含み、作業要素は、ポリマーチューブより遠位にあるコイル状ワイヤを含む。
【0025】
別の実施形態においては、血管内装置の制御ラインは、単一ワイヤから形成され、少なくとも1つの制御ライン回転制限器は、単一ワイヤの断面積において少なくとも1つの変形部を含む。
【0026】
別の実施形態においては、血管内装置の少なくとも1つの制御ライン回転制限器は、中空シャフト内の制御ラインの細長い領域において少なくとも第1の変形部と、作業要素の細長い領域において制御ラインの少なくとも第2の変形部とを含む。
【0027】
本明細書に組み込まれてその一部を構成する添付の図面は、開示された実施形態を例示し、その説明と共に、開示された実施形態を説明することに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】開示された実施形態のうちの少なくとも1つと一致する、例示的な血管内装置のための制御ワイヤの実例である。
図2】開示された実施形態のうちの少なくとも1つと一致する、図1の制御ワイヤを有する例示的な血管内装置の実例である。
図3】開示された実施形態のうちの少なくとも1つと一致する、図2の例示的な血管内装置の一部分の内部断面の実例である。
図4】開示された実施形態のうちの少なくとも1つと一致する、図2の例示的な血管内装置の一部分の内部断面の実例である。
図5】開示された実施形態のうちの少なくとも1つと一致する、図2の例示的な血管内装置の一部分の内部断面の実例である。
図6】開示された実施形態のうちの少なくとも1つと一致する、別の例示的な血管内装置のための制御ワイヤの実例である。
図7】開示された実施形態のうちの少なくとも1つと一致する、図6の制御ワイヤを有する例示的な血管内装置の実例である。
図8】開示された実施形態のうちの少なくとも1つと一致する、図7の例示的な血管内装置の一部分の内部断面の実例である。
図9】開示された実施形態のうちの少なくとも1つと一致する、図7の例示的な血管内装置の一部分の内部断面の実例である。
図10】開示された実施形態のうちの少なくとも1つと一致する、図7の例示的な血管内装置の一部分の内部断面の実例である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図面に現れる注釈は例示にすぎず、主張されるような本発明を限定しない。
【0030】
次に、本開示の本実施形態(例示的な実施形態)を詳細に参照するが、その例は添付の図面に例示される。
【0031】
図1は、本開示による例示的な血管内装置の制御ワイヤ101を例示し、それは、2つのゾーン101-3において変形され、或いは平坦にされてもよく、その軸線101-2に沿った他の区域において丸くなってもよい。図2は、本開示による制御ワイヤ101を使用する例示的な血管内装置201を例示する。(制御ワイヤ101が血管内装置201の一部であることを理解した上で、血管内装置201におけるゾーン101-2及び101-3の位置を単に例示するために、図2はまた、血管内装置201に概して整列されたゾーン101-3及び101-2と共に、図1の制御ワイヤ101を別々に描く。)図2に示されるように、血管内装置201はまた、チューブ205、ワイヤのケーブル206、及び単一ワイヤコイル207を含んでもよい細長いシャフト204を含んでもよい。細長いシャフト204の遠位先端210は、例えば、制御ワイヤ101に取り付けられてもよい。細長いシャフト204の近位端部において、制御ワイヤ101は、ハンドル209のスライダ211に、相対運動を容易にするためにハンドル209に接続された細長いシャフト204と共に接続されてもよい。(図2においては、ハンドル209は、細長いシャフト204と同じ縮尺で描かれない。)少なくとも幾つかの実施形態によれば、2つのポリマー208が細長いシャフト204と制御ワイヤ101との間に挿入されて、制御ワイヤ101と細長いシャフト204との間の径方向運動を妨げてもよい。
【0032】
図9及び図10に示される実施形態と一致して、本開示の例示的な血管内装置の少なくとも幾つかの実施形態において、細長いシャフト204のワイヤのケーブル206及び単一ワイヤコイル207は楕円形であってもよい。この楕円形形状は、細長いシャフト204と制御ワイヤ101との相対回転に抵抗して、装置の捩りを可能にする。或いは、回転に抵抗し、捩ることを可能にするために、本発明と一致する他の非対称形状(例えば、断面)が利用されてもよい。
【0033】
本開示の例示的な血管内装置の少なくとも幾つかの実施形態は、1:1の比率で制御ワイヤ101への細長いシャフト204の径方向力の伝達を可能にする固定具を包含してもよい。これは、例えば、制御ワイヤ101と細長いシャフト204との間の軸線方向運動を妨げることなく、制御ワイヤ101と細長いシャフト204との間の軸線方向回転を妨げることによって達成されてもよい。また、このような軸線方向回転を妨げることは(軸線方向運動を妨げることなく)、例えば、制御ワイヤ101の少なくとも一部を変形させ、且つ丸形の細長いシャフト204の内部断面の少なくとも一部を丸くしないことによってそれぞれ達成されてもよい。例えば、細長いシャフト204と比較して制御ワイヤ101の軸線方向運動中であっても、2つの方形(又は平坦化)部分101-3の間に重なりがあってもよい。
【0034】
少なくとも1つの平坦な又は方形の一部分を有する制御ワイヤ101は、例えば、制御ワイヤ101を選択的に押圧することによって、非丸形形状を形成するための追加の材料の接着によって、又は他の手段によって達成されてもよい。
【0035】
非円形の内部断面を達成することは、例えば、細長いシャフト204の内部壁に方形形状の材料208を取り付けることによって達成されてもよい。別の例として、ポリマー208は、非円形断面を作り出すためにワイヤケーブルを介して挿入されてもよい。ポリマー208は、加熱され、細長いシャフト204の壁の穴を介して挿入され、必要に応じて方形のマンドレルによって成形されてもよい。
【0036】
例示的な血管内装置201の一部分の内部断面A-Aを例示する図3に示されるように、制御ワイヤ101は、0.14mmのニチノールワイヤから作られてもよい。ワイヤ101の遠位先端は、約70μmの外径に徐々に研削されてもよい。細長いシャフト204は、10本の70μmニチノールワイヤのPTFE被覆ケーブルに接合されてもよい0.18mmの内径を有する130cmのニチノールチューブから作られてもよく、遠位部分は、コイル状になってもよい単一の70μmワイヤであってもよい。
【0037】
例示的な血管内装置201の一部分の内部断面B-Bを例示する図4に示されるように、制御ワイヤ101は、長さ30mmの約0.16mm×0.12mmの平坦な部分101-3を作り出すために押圧されてもよい。方形のマンドレルを使用して、ポリマー208が、ワイヤケーブル206を介して挿入されて、制御ワイヤ101の非円形部分と重なる区域に非円形断面を作り出してもよい。その結果、制御ワイヤ101と(ケーブル206を含む)細長いシャフト204との間の軸線方向回転が妨げられてもよい一方、制御ワイヤ101と細長いシャフト204との間の相対軸線方向運動が維持されてもよい。
【0038】
図5は、図4の断面B-Bと同様に、例示的な血管内装置201の一部分の内部断面C-Cを例示する。また、結果として、制御ワイヤ101と(単一ワイヤコイル207を含む)細長いシャフト204との間の軸線方向回転が妨げられてもよい一方、制御ワイヤ101と細長いシャフト204との間の相対軸線方向運動が維持されてもよい。
【0039】
更なる実施形態においては、図6は、本開示による例示的な血管内装置の制御ワイヤ601を例示し、それは、ゾーン601-3において変形され、或いは平坦化されてもよく、その軸線601-2に沿った他の区域において丸くなってもよい。図7は、本開示による制御ワイヤ601を使用する例示的な血管内装置701を例示する。(制御ワイヤ601が血管内装置701の一部であることを理解した上で、血管内装置701におけるゾーン601-2及び601-3の位置を単に例示するために、図7はまた、血管内装置701に概して整列されたゾーン601-3及び601-2と共に、図6の制御ワイヤ601を別々に描く。)図7に示されるように、血管内装置701はまた、チューブ705、ワイヤのケーブル706、及び単一ワイヤコイル707を含んでもよい細長いシャフト704を含んでもよい。細長いシャフト704の遠位先端710は、例えば、制御ワイヤ601に取り付けられてもよい。細長いシャフト704の近位端部において、制御ワイヤ601は、ハンドル209のスライダ211に、相対運動を容易にするためにハンドル209に接続された細長いシャフト704と共に接続されてもよい。(図7においては、ハンドル209は、細長いシャフト704と同じ縮尺で描かれない。)
【0040】
図8は、例示的な血管内装置701の一部分の内部断面D-Dを例示する。制御ワイヤ601は、0.14mmのニチノールワイヤから作られてもよい。ワイヤ601の遠位先端は、約70μmの外径に徐々に研削されてもよい。細長いシャフト704は、10本の70μmニチノールワイヤのPTFE被覆ケーブルに接合されてもよい0.18mmの内径を有する130cmのニチノールチューブから作られてもよく、遠位部分は、コイル状になってもよい単一の70μmワイヤであってもよい。
【0041】
例示的な血管内装置701の一部分の内部断面E-E及びF-Fを例示する図9及び図10に示されるように、制御ワイヤ601は、長さ30mmの約0.16mm×0.12mmの平坦な部分101-3を作り出すために押圧されてもよい。上記のように、図9及び図10においては、細長いシャフト704のワイヤのケーブル706及び単一ワイヤコイル707は楕円形であってもよい。この楕円形形状は、細長いシャフト704と制御ワイヤ601との相対回転に抵抗して、装置の捩りを可能にする。或いは、回転に抵抗し、捩ることを可能にするために、本発明と一致する他の非対称形状(例えば、断面)が利用されてもよい。
【0042】
他の実施形態においては、単一ワイヤコイルは、マルチワイヤケーブルから制御ワイヤと共に延伸して設けられてもよく、制御ワイヤは、両方の中心部を通って延びる。これは、マルチワイヤケーブルをそれほど屈曲させることなく、制御ワイヤがコイルのより柔軟なコイル状端部を操縦することを可能にする。
【0043】
また、例示的な実施形態が本明細書に記載されるが、範囲は、本開示に基づく均等の要素、変更、省略、組合せ(例えば様々な実施形態に亘る態様の)、適合、又は改良を有する任意の及び全ての実施形態を含む。特許請求の範囲における要素は、特許請求の範囲において利用される言語に基づいて広く解釈されるべきであって、本明細書において又は本願の手続中に説明される例に限定されず、例は、非排他的であるとして解釈されるべきである。更に、開示された方法のステップは、ステップを並べ替えること又はステップを挿入若しくは削除することによって含む、任意の方法で変更されることができる。従って、明細書及び例は例としてのみ考慮されるべきであって、真の範囲及び精神は特許請求の範囲及びそれらの均等物の全範囲によって指し示されることが意図される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10