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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-13
(45)【発行日】2022-01-13
(54)【発明の名称】ペアリング機能を備える付属デバイス
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/31 20060101AFI20220105BHJP
   A61M 5/24 20060101ALI20220105BHJP
【FI】
A61M5/31 520
A61M5/24
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2019530031
(86)(22)【出願日】2017-12-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-12-19
(86)【国際出願番号】 EP2017081496
(87)【国際公開番号】W WO2018104292
(87)【国際公開日】2018-06-14
【審査請求日】2020-11-16
(31)【優先権主張番号】16202204.0
(32)【優先日】2016-12-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596113096
【氏名又は名称】ノボ・ノルデイスク・エー/エス
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ライゼンホス, ミケール ベク
【審査官】磯野 光司
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/135236(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/185687(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2001/0056258(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/24
A61M 5/31
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤投与デバイス(500、800)及びアドオンデバイス(600、900)の組み合わせと外部コントロールデバイス(700)とのペアリングの方法であって、
- 第1の視覚識別子(505、805)を含む薬剤投与デバイス(500、800)を提供することと、
- アドオンデバイス(600、900)であって、
- 前記アドオンデバイスが前記外部コントロールデバイスと通信することを可能にする通信手段と、
- 第2の視覚識別子(605、905)と、を含むアドオンデバイス(600、900)であって、
- 前記アドオンデバイスは、前記薬剤投与デバイスに取り外し可能に取り付けられて連動するよう構成されており、
- 前記アドオンデバイスは、前記薬剤投与デバイスに取り付けられると、前記薬剤投与デバイスから投薬関連データを取得するよう構成されており、
- 前記アドオンデバイスは、前記外部コントロールデバイスからペアリング承認を受信するよう構成されており、これにより、前記アドオンデバイスはペアリング解除モードからペアリングモードとなる、アドオンデバイス(600、900)を提供することと、
- 外部コントロールデバイス(700)であって、
- 画像取得手段(701)と、
- プロセッサ手段と、
- 少なくとも1つの、第1の視覚識別子及び第2の視覚識別子の所定の組み合わせに関する情報を含む格納手段と、
- 前記外部コントロールデバイスが前記アドオンデバイスと通信することを可能にする通信手段と、を含む外部コントロールデバイス(700)を提供することと、
- 前記アドオンデバイスを前記薬剤投与デバイスに取り付けることと、
- 前記薬剤投与デバイスに取り付けられた前記アドオンデバイスと前記外部コントロールデバイスとの、前記第1の視覚識別子及び前記第2の視覚識別子の双方を含む画像を取得することと、
- 取得した前記画像を処理し、(i)前記第1の視覚識別子及び前記第2の視覚識別子を識別し、(ii)取得した前記識別子が視覚識別子の所定の組み合わせを表すかを判定することと、
- 取得した前記識別子が所定の組み合わせを表すことが判定されると、前記外部コントロールデバイスから前記アドオンデバイスへペアリング承認を送信し、これにより、前記アドオンデバイスを前記ペアリング解除モードから前記ペアリングモードにすることと、の工程を含む方法。
【請求項2】
前記ペアリング解除モードにおいて、前記アドオンデバイスは、(i)前記アドオンデバイスが取り付けられている前記薬剤投与デバイスから投薬関連データを取得できない、又は(ii)前記アドオンデバイスが取り付けられている前記薬剤投与デバイスから投薬関連データを取得して格納することができるが、前記投薬関連データを前記外部コントロールデバイスへ送信することができない、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
- 前記アドオンデバイス(600、900)は、前記アドオンデバイスが前記薬剤投与デバイスに取り付けられている場合に有効となるよう構成された取り付けセンサーを含み、
- 前記取り付けセンサーが有効となると、ペアリング要求が送信される又は送信されることが可能となる、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記アドオンデバイスが前記薬剤投与デバイスとの連動から取り外されたことを前記取り付けセンサーが検出すると、前記アドオンデバイスは、前記ペアリングモードから前記ペアリング解除モードとなる、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
- 前記アドオンデバイスが前記薬剤投与デバイスとの連動から取り外されたことを前記取り付けセンサーが検出すると、ペアリング解除コントロール指令を前記アドオンデバイスから前記外部コントロールデバイスへ送信する工程をさらに含む、請求項3又は4に記載の方法。
【請求項6】
- 前記アドオンデバイスが前記薬剤投与デバイスに取り付けられた後に、ペアリング要求を前記アドオンデバイスから前記外部コントロールデバイスへ送信することと、
- 受信したペアリング要求に基づいて、ペアリング画像を取得するようユーザーを促すことと、の工程をさらに含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
- 前記格納手段は、第1の視覚識別子及び第2の視覚識別子の所定の複数の組み合わせに関する情報を含み、各所定の組み合わせは、前記外部コントロールデバイスの所定の作動状態に関連付けられている方法であって、
- 前記外部コントロールデバイスを、判定された、視覚識別子の所定の組み合わせに対応する作動状態に設定する工程をさらに含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
- 前記アドオンデバイスは、複数の作動状態に設定され得、各状態は、対応する第1の視覚識別子をそれぞれが含む、複数の薬剤投与デバイスの1つに対応する方法であって、
- 設定信号を前記外部コントロールデバイスから前記アドオンデバイスへ送信し、前記アドオンデバイスを、与えられた、識別された第1の視覚識別子に対応する作動状態にする工程をさらに含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記アドオンデバイスが、
- 薬剤の投薬吐出時間と、
- 薬剤の設定分量及び/又は投薬吐出分量と、
の少なくとも1つを判定するよう構成されている、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の視覚識別子又は前記第2の視覚識別子は、
- 複数の文字及び/又は数字と、
- バーコードと、
- 色と、
- 記号と、
- 点滅信号と、
の内の1つである、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
- 前記薬剤投与デバイスは、ユーザーが、吐出される薬剤の投薬分量を設定することを可能にする手段と、投薬量の設定中及び/又は投薬量にて吐出中に移動するよう配置されたインジケータ要素と、を含み、前記移動の量が、設定した前記投薬量及び/又は吐出された投薬量の分量を示し、
- 前記アドオンデバイスは、投薬量の設定中及び/又は投薬量にて吐出中のインジケータ部材の移動の量を判定するよう構成されており、与えられた、所定の組み合わせに対する前記移動の量により、薬剤の投薬量が算出されることを可能にする、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
薬剤投与デバイス(500、800)に取り外し可能に取り付けられるよう構成されたアドオンデバイス(600、900)であって、薬剤投与デバイス(500、800)は、
- ハウジングと、
- 薬剤リザーバ又は薬剤リザーバを受容するためのコンパートメントと、
- ユーザーが、吐出される薬剤の投薬量を設定することを可能にする投薬設定部材を含む薬剤吐出手段と、
- 投薬設定中及び/又は投薬吐出中に前記ハウジングに対して移動するよう構成されたインジケータ部材であって、前記移動の量が、前記投薬設定及び/又は前記吐出手段によりリザーバから吐出される薬剤の量に相当し、初期位置を有するインジケータ部材と、
- 第1の視覚識別子(505、805)と、を含む薬剤投与デバイス(500、800)であって、
前記アドオンデバイスは、前記薬剤投与デバイスのハウジングに取り付けると、前記ハウジングに対する前記インジケータ部材の移動量を判定するよう構成されており、
前記アドオンデバイスは、
- 前記アドオンデバイスが、前記薬剤投与デバイスの所定の位置及び方位に取り外し可能に取り付けられるよう構成された取り付け手段と、
- 前記アドオンデバイスが、前記薬剤投与デバイスの前記所定の位置及び方位に取り付けられると、オフ状態からオン状態になるよう構成された取り付けセンサーと、
- 第2の視覚識別子(605、905)と、
- 前記アドオンデバイスが、外部コントロールデバイスと通信することを可能にする通信手段と、を含む前記アドオンデバイスであって、
- 前記アドオンデバイスは、第1の作動状態、第2の作動状態、及び第3の作動状態を有し、
- 前記取り付けセンサーが前記オフ状態にあると、前記アドオンデバイスは前記第1の作動状態にあり、
- 前記取り付けセンサーが前記オン状態にあり、アクチュエーション信号を前記外部コントロールデバイスから受信していないと、前記アドオンデバイスは前記第2の作動状態にあり、
- 前記取り付けセンサーが前記オン状態にあり、アクチュエーション信号を前記外部コントロールデバイスから受信すると、前記アドオンデバイスは前記第3の作動状態となり、
- 前記第3の作動状態において、前記アドオンデバイスは、前記ハウジングに対する前記インジケータ部材の移動の量を判定し、前記移動の量に対応するデータを前記外部コントロールデバイスに送信することができる、アドオンデバイス。
【請求項13】
- 前記第2の作動状態において、前記ハウジングに対する前記インジケータ部材の移動の量を判定できない、請求項12に記載のアドオンデバイス。
【請求項14】
- 前記第2の作動状態において、前記ハウジングに対する前記インジケータ部材の移動の量を判定できるが、前記移動の量に対応するデータを前記外部コントロールデバイスへ送信することができない、請求項12に記載のアドオンデバイス。
【請求項15】
- 前記取り付けセンサーが前記オフ状態から前記オン状態になると、前記外部コントロールデバイスに対する有効化要求信号を送信する、請求項12から14のいずれか一項に記載のアドオンデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般的に、データの生成、収集、及び格納に関連する医療デバイスに関する。具体的な実施形態において、本発明は、信頼性が高くて使いやすい方法にて薬剤投与投薬データを取得して管理するためのデバイス及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の開示では、回転駆動部材により駆動されるねじ式ピストンロッドを含む薬剤投与デバイスについて主に述べられている。そのようなデバイスは、例えば、インスリンの投与による糖尿病の処置において使用される。しかしこれは、本発明の単なる使用例である。
【0003】
薬剤投与デバイスは、薬剤及び生物学的作用物質を自己投与しなければならない患者の生存を大きく改善してきた。薬剤投与デバイスは、注入手段を備えるアンプルより小さい、シンプルで使い捨て可能なデバイスといった多くの形態をとることができる。薬剤投与デバイスは、プレフィルド型カートリッジと共に使用するよう構成された耐久型デバイスであってよい。これらのデバイスは形態及び種類に関わらず、注入可能な薬剤及び生物学的作用物質を自己投与する患者の支援において大きな手助けとなることがわかっている。これらのデバイスはまた、自己投与を行うことができない患者への、注入可能な薬品の投与において、介護者を大きく支援する。
【0004】
必要なインスリン注入を適切な時に適切な分量にて行うことは、糖尿病の管理に必須である。すなわち、指定されたインスリン処方計画に従うことが重要である。処方された投薬パターンの有効性を医療関係者が判定できるようにするため、糖尿病患者は、各注入時の分量及び時間のログを記録し続けるよう奨励されている。しかし、そのようなログ記録は通常、手帳に手書きされる。そのためログ記録された情報は、データ処理のためにコンピュータにアップロードすることが容易でない場合がある。さらに、患者によって記入されたイベントのみがログ記録されていると、もしログ記録された情報に、患者の疾病の処置におけるいずれの数値が必要である場合に、手帳を用いたシステムでは、患者は各注入を思い出してログ記録しなければならない。ログ記録が紛失していたり、記録が間違っていたりすると、間違った注入履歴を導くこととなり、将来の投薬に関する医療関係者の意思決定に支障をきたす場合がある。したがって、投薬投与システムからの注入情報のログ記録を自動化することが望ましい。
【0005】
いくつかの薬剤投与デバイスでは、この監視/取得メカニズムがデバイス自身に統合されている。これは例えば、US2009/0318865及びWO2010/052275に開示されている。しかし、今日の多くのデバイスはそのような機構を有さない。最も広く使用されているデバイスは、耐久型又はプレフィルド型の、純粋な機械式デバイスである。後者のデバイスは、薬剤を使い切ると廃棄されるような、電子データ取得機能をそのデバイス自身に組み込むことは費用対効果を押し下げるほどに安価なものである。この問題に対処するため、与えられた医療デバイスの使用を示すデータをユーザーが生成、収集、及び配布することを助け得る多くのソリューションが提示されている。
【0006】
例えば、WO2013/120776は、ペン型の薬剤投与デバイスに取り外し可能に取り付けられるよう構成された電子補助デバイス(又は、「アドオンデバイス」)を記載する。このデバイスはカメラを備え、薬剤投与デバイスの投薬窓を通して視認可能な回転スケールドラムから取得した画像に対して光学式文字認識(optical character recognitionすなわちOCR)を行う。これにより、薬剤投与デバイスにダイヤル化されている薬剤の投薬を判定するよう構成されている。WO2014/161952は、ペンデバイス用のさらなる外部デバイスを示す。この外部デバイスは、それが取り付けられたデバイスから発生する信号又はイベントを検出するよう設計されている。そのため、正しい動作を保証して不正確な測定を防ぐためには、これら2つのデバイスを相対的に互いに正しく配置することが重要である。WO2016/135236は、付属デバイスを開示する。この付属デバイスは、薬剤投与デバイスに正しく確実に取り付けられるよう構成されている。これら2つのデバイスは、対応する機械式コーディング構造を含む。WO2015/185687は、ロギングデバイスを開示する。このロギングデバイスは、自身が自動的に電源オフとなっている状況に対応するよう構成されている。
【0007】
上記を鑑み、本発明は、ユーザーが取り付け可能なアドオンデバイスを含む薬剤投与アセンブリの、確実で、容易で、費用対効果の高い動作を可能とするデバイス及び方法を提供することを目的とする。
【発明の概要】
【0008】
本発明の開示において、上記目的の1つ以上に対処する、又は、以下の開示から明白であり、同様に、各実施形態の説明から明白な目的に対処する各実施形態及び各態様を説明する。
【0009】
したがって、本発明の第1の一般的な態様において、互いに取り付けられている第1のユニット及び第2のユニットが正しくペアリングされていることを検証する方法が提供される。第1のユニットは、第1の視覚識別子を含む。第2のユニットは、第2の視覚識別子を含む。該方法は、(i)互いに取り付けられている該第1のユニット及び該第2のユニットの、該第1の視覚識別子及び該第2の視覚識別子の双方を含む画像を取得することと、(ii)該取得した画像を処理し、該第1の視覚識別子及び該第2の視覚識別子を識別し、該取得した識別子が、視覚識別子の所定の組み合わせを表すかを判定し、これにより該ペアリングを検証することと、の工程を含む。
【0010】
本発明のより具体的な態様において、薬剤投与デバイス及びアドオンデバイスの組み合わせと外部コントロールデバイスとのペアリングの方法が提供される。該方法は、薬剤投与デバイス、アドオンデバイス、及びコントロールデバイスを提供する工程を含む。該薬剤投与デバイスは、第1の視覚識別子を含む。該アドオンデバイスは、該アドオンデバイスが外部コントロールデバイスと通信することを可能にする通信手段と、第2の視覚識別子と、を含む。該アドオンデバイスは、該薬剤投与デバイスに取り外し可能に取り付けられて連動するよう構成されている。該アドオンデバイスは、薬剤投与デバイスに取り付けられると、該薬剤投与デバイスから投薬関連データを取得するよう構成されている。該アドオンデバイスは、該外部コントロールデバイスからペアリング承認を受信するよう構成されている。これにより、該アドオンデバイスは、ペアリング解除モードからペアリングモードとなる。該コントロールデバイスは、画像取得手段と、プロセッサ手段と、少なくとも1つの、第1の視覚識別子及び第2の視覚識別子の所定の組み合わせに関する情報を含む格納手段と、該コントロールデバイスが該アドオンデバイスと通信することを可能にする通信手段と、を含む。該方法はさらに、該アドオンデバイスを該薬剤投与デバイスに取り付けることと、該薬剤投与デバイスに取り付けられた該アドオンデバイスの、該第1の視覚識別子及び該第2の視覚識別子の双方を含む画像を取得することと、該取得した画像を処理し、(i)該第1の視覚識別子及び該第2の視覚識別子を識別し、(ii)該取得した識別子が、視覚識別子の所定の組み合わせを表すかを判定することと、該取得した識別子が所定の組み合わせを表すことが判定されると、該コントロールデバイスから該アドオンデバイスへペアリング承認を送信し、これにより、該アドオンデバイスをペアリング解除モードからペアリングモードにすることと、の工程を含む。
【0011】
この構成により該方法は、画像を取得して解析するよう構成された外部デバイスの機能を利用して、2つの対応するユニットの正しい取り付け及びペアリングを検証する。このようにして、安全で費用対効果の高いペアリング及び検証方法が提供される。該外部デバイスは、例えば、iOS又はAndroid(登録商標)デバイスなどの、上述する機能を提供するアプリケーションを実行するスマートフォン又はタブレットコンピュータの形態であってよい。
【0012】
該薬剤投与デバイスは、例えば、糖尿病処置用薬剤の皮下投与又は成長ホルモンの投与のために従来使われてきた種類の、ある量の液体薬剤をカートリッジから吐出するよう構成されたデバイスの形態であってよい。代替的に該薬剤投与デバイスは、患者の肺への粉末又はエアロゾルの計量投与用の吸入デバイスの形態であってよい。
【0013】
ある実施形態において、該アドオンデバイスは、ペアリング解除モードにおいて、投薬関連データを取得できない、すなわち、そのペアリングモードになるまで基本的に機能しないよう構成されている。該アドオンデバイスは、それ自身の投薬データのログ記録を作成して格納、及び/又は、該外部コントロールデバイスとの組み合わせにおいて投薬データのログ記録を作成して格納するよう構成されたロギングデバイスの形態であってよい。
【0014】
代替的な構成において、該アドオンデバイスは、投薬関連データを取得して格納できるが、該投薬関連データを該外部コントロールデバイスへ送信することはできない。このようにして、該アドオンデバイスがそのペアリングモードにない場合、例えば、ユーザーが最初にペアリングをし忘れている場合や、対応する外部コントロールデバイスがない場合であっても、投薬データは失われない。このようにして、いずれの収集された投薬関連データは該デバイス内に取得されるが、該デバイスが正しくペアリングされるまで、ユーザーは該データにアクセスできない。後者の態様は重要である。なぜなら、所定の組み合わせにこれら2つのデバイスが対応しない場合、例えば、該薬剤投与デバイスがU100インスリンを含む一方で、該アドオンデバイスが、U200インスリンを含む薬剤投与デバイスに対する投薬分量を判定するよう構成されている場合に、該データが投薬データを正しく表さない場合があるためである。これら2つのデバイスが正しくペアリングされていれば、該格納された投薬データを該コントロールデバイスに送信することができる。該アドオンデバイスがディスプレイを備える場合、該アドオンデバイスをペアリングモードにすることで、投薬データを該アドオンデバイス上に表示できる。該ペアリング処理を行ってもこれら2つのデバイスのペアリングができない場合、該アドオンデバイス内の該格納されたデータは、例えば、該外部コントロールデバイスによりユーザーが、削除を承認するよう促された後に、削除されてよい。
【0015】
第1のユニット及び第2のユニットの組み合わせとコントロールデバイスとをペアリングする、上述する方法のシンプルなバージョンでは、取り付けセンサーが省かれている。それに応じて、該ペアリング処理はユーザーにより開始される必要がある。該ペアリングされたアドオンデバイスが、正しくペアリングされていない、異なる種類の薬剤投与デバイスに移されるリスクを最小限にするため、該アドオンデバイスには、カートリッジに完全に充填された薬剤の量に相当する薬剤の量、例えば、300IUが計量された後に、新たなペアリングが行われるまで、該アドオンデバイスをパッシブ状態にする計数機能が提供されてよい。代替的に該アドオンデバイスには、例えば、該アドオンデバイスが取り付けられている該薬剤投与デバイスから該アドオンデバイスを解放するために操作される解放部材に関連付けられた、取り外しセンサーが提供されてよい。
【0016】
該ペアリング処理は、該外部コントロールデバイスから直接開始されてよい。すなわち、ユーザーは該外部コントロールデバイスを用いて、該薬剤投与デバイスに取り付けられた該アドオンデバイスの、該第1の視覚識別子及び該第2の視覚識別子の双方を含む画像を取得する。この後に、上述する追加的工程が行われる。実際には、該アドオンデバイスは、ペアリング承認を受信することを可能にするペアリング状態となる必要がある。これを達成するため、該アドオンデバイスは、恒久的に低電力ペアリング状態にあってよい。また、該アドオンデバイスは、取り付けセンサーを含んでよい。該取り付けセンサーは、該アドオンデバイスが薬剤投与デバイスに取り付けられると、該アドオンデバイスをペアリング状態にする該取り付けセンサーの有効化を検出するよう構成されている。代替的に該アドオンデバイスは、例えば、ユーザーがボタンを操作することにより、手動でペアリング状態にされてよい。さらに、与えられたアドオンデバイスと外部コントロールデバイスとのミスマッチを防ぐため、これら2つのデバイスは、該外部コントロールデバイスにより有効化され得る前に、初期セットアップ手順にてペアリングされてよい。
【0017】
代替的に該ペアリング処理は、該アドオンデバイスから開始されてよい。すなわち、該アドオンデバイスが該薬剤投与デバイスに取り付けられた後に、ペアリング要求が、該アドオンデバイスから該コントロールデバイスへ送信される。これによりユーザーは、ペアリング画像を取得するよう促されてよい。シンプルなバージョンでは、ユーザーは手動で該アドオンデバイスを操作し、ペアリング要求を該外部コントロールデバイスに送信する。より好都合なバージョンでは、該アドオンデバイスは取り付けセンサーを含む。該取り付けセンサーは、該アドオンデバイスが該薬剤投与デバイスに取り付けられると有効化されるよう構成されている。該ペアリング要求は自動的に送信されるか、又は該取り付けセンサーが有効化されると送信可能となる。後者の場合では、ユーザーは手動で該アドオンデバイスを操作してペアリング要求を送信する必要がある。例えば、該外部コントロールデバイスが送信範囲にない又は受信状態にないためにペアリングが完了しない場合、該ペアリング要求は後にあらためて、該アドオンデバイスから又は該外部コントロールデバイスから繰り返して行われてよい。与えられたアドオンデバイスと外部コントロールデバイスとのミスマッチを防ぐため、これら2つのデバイスは、該外部コントロールデバイスにより有効化され得る前に、初期セットアップ手順にてペアリングされてよい。
【0018】
取り付けセンサーを備える場合に、該アドオンデバイスが該薬剤投与デバイスとの連動から取り外されたことを該取り付けセンサーが検出すると、該アドオンデバイスは、ペアリングモードからペアリング解除モードとなってよい。さらに、該アドオンデバイスが該薬剤投与デバイスとの連動から取り外されたことを該取り付けセンサーが検出すると、ペアリング解除コントロール指令が該アドオンデバイスから該コントロールデバイスへ送信されてよい。
【0019】
ある実施形態において、該格納手段は、第1の視覚識別子及び第2の視覚識別子の所定の複数の組み合わせに関する情報を含む。各所定の組み合わせは、該コントロールデバイスの所定の作動状態に関連付けられている。該方法はさらに、該コントロールデバイスを、判定された、視覚識別子の所定の組み合わせに相当する作動状態に設定する工程を含む。このようにして、該組み合わされたシステムの適合、すなわち、該薬剤投与デバイス、該アドオンデバイス、及び該外部コントロールデバイスの、(該第1の視覚識別子及び該第2の視覚識別子により表される)薬剤投与デバイス及びアドオンデバイスの具体的な組み合わせへの包含が、該コントロールデバイスにて行われる。
【0020】
例えばU100インスリンを含む薬剤投与デバイスでのインスリンの各吐出単位は、インジケータ部材の回転量などの、与えられた増分移動に相当してよい。一方でU200インスリンを含む薬剤投与デバイスでの各増分移動は、吐出されたインスリンの単位2つ分に相当してよい。さらなる変形例として、薬剤吐出機構の内部ギヤリングは、吐出される薬剤量の回転増分毎の増減を可能にするよう、例えば、小児用半増分デバイスにて使用されるよう、異なってよい。吐出されたインスリンの同じ単位数が、これら2つのデバイスに対して異なり得る場合のために、与えられたアドオンデバイスは、増分移動の量を単に判定するよう構成されてよい。しかし該コントロールデバイスが、判定された、視覚識別子の所定の組み合わせに相当する作動状態に設定されている場合、該コントロールデバイスは、正しい投薬量を算出して格納できる。
【0021】
代替的な実施形態では、該アドオンデバイスは複数の作動状態に設定できる。各状態は、対応する第1の視覚識別子をそれぞれが含む、複数の薬剤投与デバイスの1つに対応する。該方法はさらに、設定信号を該コントロールデバイスから該アドオンデバイスへ送信し、該アドオンデバイスを、与えられた、識別された第1の視覚識別子に対応する作動状態にする工程を含む。このようにして、吐出された薬剤の実際の量が、該関連付けられた外部コントロールデバイスでのさらなる処理に依存する必要なく、該アドオンデバイスにて算出され得る。これは例えば、投薬量データを追加的な外部ユニットへ送信することを可能にしたり、ディスプレイが提供されている場合には、投薬量データを該アドオンデバイス上に直接表示したりすることを可能にする。
【0022】
したがって、与えられたデバイスが、与えられて判定された、視覚識別子の所定の組み合わせに相当する所定の作動状態に設定されている場合、該アドオンデバイス又は該外部コントロールデバイスは、薬剤の濃度に基づいて、与えられた薬剤の投薬量を正しく判定するようセットアップされるなど、集めた情報を正しく解釈するよう構成される。それに応じて、該アドオンデバイス又は該外部コントロールデバイスは、該薬剤投与デバイスに含まれる薬剤の実際の名称が表示されるようセットアップされてよい。
【0023】
上述するアドオンデバイスは、薬剤の投薬吐出(相対又は絶対)時間と、薬剤の設定分量及び/又は投薬吐出分量と、の少なくとも1つを判定するよう構成されてよい。
【0024】
該第1の視覚識別子及び該第2の視覚識別子は、ブランド名、リニア又はマトリクスなどのバーコード、色、記号、又はそれらの組み合わせなどの、複数の文字及び/又は数字の形態であってよい。代替的に該視覚識別子は、該アドオンデバイスが有効化された後に、例えば、該アドオンデバイスが取り付けられた後に、与えられた時間だけ有効化され得る、該アドオンデバイス上の点滅する発光ダイオード(light-emitting diodeすなわちLED)又は点滅する(liquid crystal displayすなわちLCD/organic light-emitting diodeすなわちOLED)セグメントなどの、点滅するインジケータの形態であってよい。そのような光源はコードを表現し得、例えばバーコードよりも視覚的に見た目がよいものと考えられ得る。
【0025】
該方法の代替的な実施形態では、該提供される薬剤投与デバイスは、ユーザーが、吐出される薬剤の投薬分量を設定することを可能にする手段と、投薬量の設定中及び/又は投薬量にて吐出中に移動するよう構成されたインジケータ要素と、を含む。該移動の量が、設定した投薬量及び/又は吐出された投薬量の分量を示す。また、該提供されたアドオンデバイスは、投薬量の設定中及び/又は投薬量にて吐出中の該インジケータ部材の移動の量を判定するよう構成されており、与えられた、所定の組み合わせに対する該移動の量により、薬剤の投薬量が算出されることを可能にする。
【0026】
該インジケータ部材は、回転軸に対応して、投薬設定中及び/又は投薬吐出中に、ハウジングに対して回転するよう構成されてよい。該回転の量は、該投薬設定及び/又は該吐出手段によりリザーバから吐出される薬剤の量に相当する。該インジケータ部材は、初期回転位置を有する。それに応じて、該アドオンデバイスは、該回転の量を検出して記録するよう構成されている。
【0027】
本発明のさらなる態様では、薬剤投与デバイスに取り外し可能に取り付けられるよう構成されたアドオンデバイスが提供される。該薬剤投与デバイスは、ハウジングと、薬剤リザーバ又は薬剤リザーバを受容するためのコンパートメントと、ユーザーが、吐出される薬剤の投薬量を設定することを可能にする投薬設定部材と、投薬設定中及び/又は投薬吐出中に該ハウジングに対して移動するよう構成されたインジケータ部材を含む薬剤吐出手段と、第1の視覚識別子と、を含む。該移動の量は、該投薬設定及び/又は該吐出手段によりリザーバから吐出される薬剤の量に相当する。該インジケータ部材は、初期位置を有する。該アドオンデバイスは、薬剤投与デバイスのハウジングに取り付けられると、該ハウジングに対する該インジケータ部材の移動の量を判定するよう構成されている。該アドオンデバイスは、該アドオンデバイスが、該薬剤投与デバイスの所定の位置及び方位に取り外し可能に取り付けられるよう構成された取り付け手段と、該アドオンデバイスが、薬剤投与デバイスの該所定の位置及び方位に取り付けられると、オフ状態からオン状態となるよう構成された取り付けセンサーと、第2の視覚識別子と、該アドオンデバイスが、外部コントロールデバイスと通信することを可能にする通信手段と、を含む。該アドオンデバイスは、第1の作動状態、第2の作動状態、及び第3の作動状態を有する。該取り付けセンサーがオフ状態にあると、該アドオンデバイスは第1の作動状態にある。該取り付けセンサーがオン状態にあり、該外部コントロールデバイスからアクチュエーション信号を受信していないと、該アドオンデバイスは第2の作動状態にある。該取り付けセンサーがオン状態にあり、該外部コントロールデバイスからアクチュエーション信号を受信すると、該アドオンデバイスは第3の作動状態となる。第3の状態において、該アドオンデバイスは、該ハウジングに対する該インジケータ部材の移動の量を判定し得、該作動の量に対応するデータを該外部コントロールデバイスに送り得る。
【0028】
該薬剤投与デバイスは、回転軸に対応して、投薬設定中及び/又は投薬吐出中に、前記ハウジングに対して回転するよう構成されたインジケータ部材を含んでよい。該回転の量は、該投薬設定及び/又は該吐出手段によりリザーバから吐出される薬剤の量に相当する。該インジケータ部材は、初期回転位置を有する。該アドオンデバイスは、薬剤投与デバイスのハウジングに取り付けられることに応じて、該ハウジングに対する該インジケータ部材の回転の量を判定するよう構成されてよい。
【0029】
ある実施形態において、該アドオンデバイスは、第2の状態にある場合に、該ハウジングに対する該インジケータ部材の移動の量を判定できないよう構成されている。
【0030】
代替的に、該アドオンデバイスは、第2の状態において、該ハウジングに対する該インジケータ部材の移動の量を判定できるが、該移動の量に対応するデータを該外部コントロールデバイスに送信することができないよう構成されてよい。
【0031】
該アドオンデバイスは、該取り付けセンサーがオフ状態からオン状態になると、該外部デバイスに対する有効化要求信号を送信するよう構成されてよい。
【0032】
該アドオンデバイスは、上述する方法の一部として提供される、アドオンデバイスに関して上述するものと同じ追加的特徴及び機能を含んでよい。
【0033】
該アドオンデバイスには、上述する薬剤投与デバイス及び/又は外部コントロールデバイスとの組み合わせにおいて、本発明の態様に従うアセンブリを形成する組み合わせが提供されてよい。
【0034】
上述する、第1のユニット及び第2のユニットの組み合わせとコントロールデバイスとのペアリングの方法の代替的なバージョンでは、該視覚識別子のいずれか又は双方が、近距離無線通信(near field communicationすなわちNFC)タックと置き換えられる。該NFCタックは、該デバイスのいずれか又は双方が、対応して備えられたコントロールデバイスのNFC機能により識別されることを可能にする。
【0035】
ここで使用されるように、「インスリン」という語句は、液体、溶液、ゲル、又は微細懸濁液などの、カニューレ又は中空針などの投与手段を管理された状態で通過可能な、血糖制御効果を有するいずれの薬剤を含む流動性薬品を網羅することを意味する。例として、ヒトインスリン及びその類縁体、同様に、GLP-1及びその類縁体といった非インスリン、が挙げられる。各実施形態の説明において、インスリンの使用について述べる。しかし、説明されるロギングデバイスはまた、成長ホルモンなどの他の種類の薬剤のログ記録の作成にも使用され得る。
【0036】
以下の図面を参照して、本発明の実施形態を以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1A】薬剤投与デバイスを示す。
図1B】ペンキャップを取り外した状態の、図1Aの薬剤投与デバイスを示す。
図2A】薬剤投与デバイスのハウジングに取り付けたアドオンデバイスを示す。
図2B】ペンキャップを取り外した状態の、図2Aのアセンブリを示す。
図3図2Aのアドオンデバイスを示す。
図4】薬剤投与デバイスのハウジングに取り付けられるよう構成されたアドオンデバイスのさらなる実施形態を示す。
図5】薬剤投与デバイス、アドオンデバイス、及び外部デバイスを含むシステムの第1の実施形態を示す。
図6】薬剤投与デバイス、アドオンデバイス、及び外部デバイスを含むシステムの第2の実施形態を示す。
図7】アドオン検証処理のためのフローチャートを示す。
【0038】
図中において、類似する構造は、同様の参照符号にて主に識別される。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下に示す語句、「上」及び「下」、「右」及び「左」、「水平」及び「垂直」、又は同様の相対表現などが使用されている場合、これらは単に付属する図面を引用しているだけであり、実際の使用状況を必ずしも示しているわけではない。これらに示す図は概略的に代理をなすものであるため、様々な構造の構成及びそれらの相対寸法は例示の目的のみに供されることを意図している。与えられた構成要素に対して部材又は要素という語句が使われる場合、説明する実施形態において該構成要素は一般的に単一の構成要素を示す。しかし同部材又は要素は代替的に、2つ以上のその説明する構成要素が単一の構成要素として提供される場合と同じように、例えば、単一の射出成型された部品として製造される場合と同じように、多数のサブ構成要素を含む場合がある。「アセンブリ」という語句は、与えられた組み立て手順中にその説明する構成要素が必ずしも組み立てられ、単一のアセンブリ又は機能アセンブリを提供し得るという意味を含まず、機能的により密接に関連するものとして互いにまとめられた構成要素を説明するために単に使用される。
【0040】
本発明の実施形態自体に進む前に、プレフィルド型薬剤投与デバイスの一例を説明する。そのようなデバイスは、本発明の実施形態の基礎となるものである。図1A及び図1Bに示すペン形状の薬剤投与デバイス100は、「一般的な」薬剤投与デバイスを表し得るが、実際に示すデバイスは、デンマーク国Bagsvard市に所在するNovo Nordisk A/Sにより製造販売されるFlexTouch(登録商標)プレフィルド型薬剤投与ペンである。
【0041】
ペンデバイス100は、キャップ部107と、本体部と、を含む。本体部は、近位本体又はドライブアセンブリ部と、遠位カートリッジホルダー部と、を有する。近位本体又はドライブアセンブリ部はハウジング101を備える。ハウジング101には、薬剤吐出機構が配置又は統合されている。遠位カートリッジホルダー部には、遠位針貫通可能隔壁を備えて薬剤が満たされた透明カートリッジ113が配置されている。透明カートリッジ113は、近位部に取り付けられた固定式カートリッジホルダーにより保持されている。カートリッジホルダーは、カートリッジの一部が点検されることを可能にする開口と、ニードルアセンブリが取り外し可能に取り付けられることを可能にする遠位連結手段115と、キャップ107が取り外し可能に取り付けられてカートリッジホルダーを覆うことを可能にする2つの対向する突起114の形態の近位連結手段と、を含む。カートリッジは、吐出機構の一部を形成するピストンロッドにより駆動されるピストンを備えており、例えば、インスリン、GLP-1、又は成長ホルモン処方を含み得る。最近位の、回転可能な投薬設定部材180は、ボタン190が操作されると吐出され得る薬剤の所望する投薬を手動で設定することに供される。吐出機構は、印字された投薬分量の数値の形態での複数の目盛が付いた、らせん状に回転可能なスケールドラム部材105を含む。投薬分量の数値は、ディスプレイ開口(又は、窓)102に示されている、現在設定されている投薬分量に相当する。薬剤投与デバイスにて具現化された吐出機構の種類に応じて、吐出機構は、本実施形態に示すようなばねを含み得る。このばねは、投薬設定中に負荷が掛けられ、解放ボタンが操作されると解放されてピストンロッドを駆動する。代替的に、吐出機構は完全手動型であってもよい。この場合、例えばNovo Nordisk A/Sにより製造販売されるFlexPen(登録商標)のように、投薬部材及び作動ボタンは、投薬設定中に、設定した投薬分量に応じて互いに近づき、その後ユーザーにより、設定した投薬が吐出されると、互いに離れる。
【0042】
図1Bはプレフィルド型の薬剤投与デバイス、すなわち、あらかじめ取り付けられたカートリッジが支給されており、カートリッジが空になると廃棄される薬剤投与デバイスを示す。しかし代替的な実施形態では、薬剤投与デバイスは、例えば、カートリッジホルダーが、デバイス本体部から取り外されるよう構成された「後部装着型」薬剤投与デバイスの形態にて、又は代替的に、カートリッジが、デバイスの本体部に固定式に取り付けられたカートリッジホルダー内の遠位開口を通して挿入される「前部装着型」デバイスの形態にて、装着されたカートリッジが交換されることを可能とするよう設計されてよい。
【0043】
図2A及び図2Bは、電子式アドオンロギングデバイス300が取り付けられたペン形状の薬剤投与デバイス200を備える薬剤投与アセンブリ1を示す。薬剤投与デバイスは一般的に、上述するデバイス100に相当する。しかしこの薬剤投与デバイスは、ロギングデバイスが吐出イベント中に吐出された薬剤の量などの吐出活動を示すイベントを記録できるようにといった、ここに示すロギングデバイスと協働するよう、内部的に改修されている。
【0044】
より具体的には、ロギングデバイス300は、本体部310と、環状部320と、を含む。環状部320は、ロギングデバイスが一般的な円筒ペンデバイスに取り付けられることを可能にする。本体部は、電子回路と、カートリッジから吐出された薬剤の量を表す特徴が検出されることを可能にするセンサー手段と、ユーザーにデータを表示するディスプレイ330と、を含む。環状部は、ロギングデバイスをペン本体に確実に正しく取り付けることを可能にする連結手段を含む。電子回路及びセンサー手段は、環状部内に部分的に配置され得る。図3は、薬剤投与デバイス上の、対応する突起114(図1B参照)に係合するよう構成された連結手段314を含む、取り付けられる前のロギングデバイス300を示す。
【0045】
ロギングデバイスは、様々な方法での吐出活動を検出するよう構成されてよい。例えば、ロギングデバイスは、投薬設定中及び/又は投薬吐出中に吐出機構により生成される音を検出することにより、吐出された及び/又は設定された投薬の分量を判定するよう構成されてよい。薬剤投与デバイスは、ロギングデバイスが吐出機構の構成要素の移動を光学的に検出することを可能にする窓又は開口が提供されてよい。代替的に、薬剤投与デバイスは、ロギングデバイスが受信する信号を、例えば、無線周波数(radio frequencyすなわちRF)伝送により送信する電子回路が提供されてよい。
【0046】
ここに示す実施形態では、ロギングデバイスは、磁界を測定するよう構成されたセンサーアセンブリを含む。薬剤投与デバイスは、インジケータ要素を備える。このインジケータ要素は、インジケータ要素と共に移動する磁石を含む。この磁石は、センサーアセンブリに対して変化する空間磁界であって、磁石の、つまりはインジケータ要素の空間方位に対応する空間磁界を生成するよう構成されている。これにより、インジケータ要素が移動している間に変化する、例えば、吐出イベント中に回転している間に変化する、空間磁界が生成される。ロギングデバイスはさらに、吐出された投薬の分量が判定され得るインジケータ要素の回転運動を、センサーアセンブリからの測定値に基づいて判定するよう構成されたプロセッサ手段を含む。アドオンデバイスがペンに取り付けられたこと、又はペンから取り外されたことを検出するセンサーが提供される。WO2014/161952は、本概念のさらに詳細な説明を開示する。
【0047】
図4は、さらなる実施形態としてアドオンデバイス400を示す。このデバイスは、ハウジング401、ディスプレイ窓441、及び、近位に配置された、ユーザーによるアクセスが可能なアドオンダイヤル部材480並びにユーザーによるアクセスが可能なアドオン解放ボタン490を含む。アドオンデバイスのハウジングは、上述する種類のペンデバイスに一般的な円筒近位部を受容するよう構成された、遠位に対向する開口408を有する穴405を形成する。この穴は、ペンデバイスに対向するよう構成された一般的な円筒取り付け面により画定される。これら2つの構造間の強固な把持は、ペンデバイスに係合して強固な把持を保証するよう構成された、アドオンデバイスのロッキング構造404により提供される。アドオンデバイスがペンデバイスに取り付けられたこと、又はペンデバイスから取り外されたことを検出するセンサーが提供される。
【0048】
アドオンデバイスは、吐出イベント中、すなわち、薬剤の皮下投薬注入中に薬剤投与デバイスから吐出される薬剤の量を判定するよう構成されている。ここに示す実施形態では、薬剤の吐出投薬の判定は、吐出イベントの開始時及び終了時のスケールドラムの位置の判定に基づいている。スケールドラムの回転位置を判定するために、ディスプレイ開口/窓102、202から見える投薬の数値が取得されて使用されてよい。これは、ペンデバイスを改修せずにそのまま使用することを可能にする。スケールドラムの位置の実際の判定は、例えば、光学式文字認識(OCR)又はテンプレートマッチングを用いて行われてよい。ここに示す実施形態について、アドオンデバイスは、ディスプレイ窓に見える現在の投薬分量を取得して電子式ディスプレイ441に表示させる必要があるために、ディスプレイ窓を覆う。代替的にアドオンデバイスは、ユーザーがディスプレイ窓を見ることができるよう設計されてよい。
【0049】
アドオンデバイス400は、ペンの投薬設定部材180に係合するよう構成された、ユーザーによるアクセスが可能なアドオンダイヤル部材480、及びペンの解放ボタン190に係合するよう構成された、ユーザーによるアクセスが可能なアドオン解放ボタン490を備える。この配置により、投薬設定部材及び解放ボタンの移動を検出するためのセンサー及びスイッチを、アドオンデバイスに組み込むことができる。例えば、特許出願EP16171883.8は、アドオンデバイス400、及び、スケールドラムの画像を取得することに一般的に基づくロギングデバイスのさらなる詳細説明を開示する。
【0050】
例えば、図1及び図2を参照して上述する種類のプレフィルド型薬剤投与デバイスは、様々な種類の薬剤、例えば、Novo Nordisk A/Sにより提供されるFlexTouch(登録商標)及びFlexPro(登録商標)のデバイスファミリーにて使われるような様々な種類の薬剤自体又は濃度が異なる同種類の薬剤との組み合わせにおいて使用されるプラットフォームデバイスとして多く使用される。スケールドラムが通常異なる、濃度が異なる同薬剤について、インスリン用の「IU」の代わりにGLP-1薬剤用の「mg」というような様々な種類の薬剤と同じように、測定の単位が異なってよい。これは結果として、スケールドラムが異なってよい。それに応じて、アドオンデバイスが、様々な種類又は濃度の薬剤に対して利用される薬剤投与デバイスに取り付けできる場合、与えられたアドオンデバイスは、意図する薬剤との組み合わせにおいてのみ使用できなければならない(例えば、急速作用インスリン又は長期作用インスリン)。若しくは代替的に、それ自体を必要に応じて実際の薬剤又は濃度に適合させなければならない。
【0051】
例えばWO2013/050535に開示されるように、対応するアドオン投薬ロギングデバイスが、デバイスの種類、つまりは薬剤の種類、例えば色又はコードを識別することを可能にする識別子付きの薬剤投与デバイスが提供されてよい。しかし、そのような特徴は多くの場合、アドオンデバイスのコストをさらに引き上げ、より複雑なアドオンデバイスとなる。代替的に、機械式セーフガード、すなわち機械式コーディングは、アドオンデバイスの、意図しないペンへの正しい取り付けを防止し得る。しかしこの場合、ペンデバイスを改修する必要があり得ることと同じように、多くの様々なアドオンデバイスが必要となる。そのような機械式セーフガードは、過剰な力が加わることで無効となり得ることをも想像できる。
【0052】
上記問題に対処するため、本発明は、安全で費用対効果の高い、アドオンデバイス及びアドオンデバイスが取り付けられる、対応する薬剤投与デバイスのペアリングのための概念を、様々な態様にて提供する。
【0053】
より具体的には、本ペアリング概念は、画像を取得して解析するよう構成された外部デバイスの機能を利用して、2つの対応するユニットの正しい取り付け及び正しいペアリングを検証することに基づいている。通常のこの種類のデバイスは、現代のスマートフォン又はタブレットコンピュータにより代表される。そのようなデバイスは通常、高解像度カメラ及び画像解析に十分な処理能力の双方を備えており、また、例えば、デバイスにダウンロードした「アプリケーション」の形態の第三者ソフトウェアを実行するよう構成されている。スマートフォンは通常さらに、Bluetooth(登録商標)又はNFCなどの、データを送受信するための無線手段、また、テキスト、数字、及びグラフの形態でデータを表示することに適した、相対的に大型の高解像度ディスプレイを含む。それに応じてスマートフォンは、アドオンデバイスからデータを受信するよう構成され得る。これによりスマートフォンは、アドオンデバイスが取得したデータをユーザーが閲覧することに適した手段となる。
【0054】
図5は、本発明の態様を実施するよう構成されたシステムの第1の実施形態を開示する。このシステムは、図1及び図2を参照して説明する種類のプレフィルド型薬剤投与ペンデバイス500と、本体ハウジング501に取り付けられるよう構成されたアドオンロギングデバイス600と、カメラ701を備えるスマートフォン700の形態の外部コントロールデバイスと、を含む。
【0055】
ペン本体のハウジングは、接着手段により通常取り付けられるラベル502を備える。本ラベルは、含まれるカートリッジ内の薬剤処方を識別する情報を含む。本情報の一部は、固有の視覚識別子505として利用され得る、ここに示すような「D-X」又はNovo Nordisk A/Sにより市販化されているTresiba(登録商標)などのブランド名を含み得る。本ラベルは、標準的なラベルであっても、本発明に適したラベルであってもよい。アドオンデバイスは、ペンデバイス上の所定の回転位置及び軸位置に取り付けられるよう構成されており、アドオンデバイスが正しく取り付けられていることを検出するよう構成された取り付けセンサーを含む。ここに示す実施形態では、アドオンデバイスは、図2及び図3に示す種類と同様のものであり、したがって、ペン本体の中央に配置されるよう構成されている。アドオンデバイスにはその外面上に、ここに示す実施形態では、「A-O」という文字であるが、市販品では、特殊グラフィックデザインを用いて追加的に明記されてよいブランド名の形態であり得る視覚識別子605を備える。さらに、又は、代替物として、固有のロゴが提供されてよい。ここに示すように、これら2つの視覚識別子は互いに隣り合って配置されており、スマートフォンのカメラデバイスにより取得される単一の写真内に収まるような配向となっている。
【0056】
図6は、本発明の態様を実施するよう構成されたシステムの第2の実施形態を開示する。本システムは、図1及び図2を参照して説明する種類のプレフィルド型薬剤投与ペンデバイス800と、本体ハウジング801に取り付けられるよう構成されたアドオンロギングデバイス900と、カメラ701が提供されたスマートフォン700と、を含む。
【0057】
ペン本体のハウジング801は、ここに示す実施形態では、リニアバーコード、又は、ここに示すようなマトリクス(2D)コードなどのバーコードの形態の視覚識別子805を含むラベル802を備える。本ラベルは、そのようなバーコードを含む標準的なラベルであっても、本発明に適したラベルであってもよい。アドオンデバイス900は、ペンデバイス上の所定の回転位置及び軸位置に取り付けられるよう構成されており、アドオンデバイスが正しく取り付けられていることを検出するよう構成された取り付けセンサーを含む。ここに示す実施形態では、アドオンデバイスは図4に示す種類と同様のものであり、したがって、ディスプレイ開口を覆うよう、ペン本体の近位に取り付けられるよう構成されている。アドオンデバイスはその外面上に、ここに示す実施形態ではマトリクスコードである視覚識別子905を備える。ここに示すように、これら2つのバーコード視覚識別子は互いに隣り合って配置されており、スマートフォンのカメラデバイスにより取得される単一の写真内に収まるような配向となっている。
【0058】
図5及び図6に示す実施形態では、これら2つの視覚識別子は同じ種類、すなわち、テキスト又はマトリクスコードである。しかし、これらが配置されているデバイスを識別できる限り、これらはいずれの組み合わせにて使用され得る。
【0059】
本発明のある実施形態において、アドオンデバイス及びアドオンデバイスが取り付けられている薬剤投与デバイスのこれら2つの視覚識別子は、次のいずれかに使用される:(i)与えられた構成にあるこれら2つのデバイスに互換性があること、すなわち、与えられたアドオンデバイスが、特定の種類のペンデバイスのみと共に機能するよう構成されていることを検証する、又は(ii)これら2つのデバイスが互いに適合するよう、すなわち通常は、アドオンデバイスが取り付けられている与えられたペン型にそのアドオンデバイスが適合するよう管理する。
【0060】
薬剤投与デバイスに取り付けられたアドオンデバイスの与えられた組み合わせに対する検証処理が行われる前に、アドオンデバイス及び外部コントロールデバイスは、初期セットアップ手順中にペアリングされてよい。これにより、これら2つのデバイスは互いに一意にリンクされ、これに引き続き、与えられた薬剤投与デバイスとのペアリング処理において互いに通信することが可能となる。
【0061】
本検証処理は多くの方法にて行われ得る。例えば、ユーザーが、取り付けセンサーを備えるアドオンデバイスを、対応するペンデバイスに取り付けると、ロギングデバイスの取り付けセンサーは「オフ」状態から「オン」状態になり、アドオンデバイスが、対応するペンデバイスに、回転方向及び軸方向に正しく取り付けられたことを示す。有効となった取り付けセンサーにより起動されることにより、アドオンプロセッサ回路はペアリング要求信号を発信する。この信号は続いて、カメラ及び対応する検証ソフトウェア(アプリケーション)を備えるスマートフォンなどの外部検証デバイスにより受信され得る。代替的にこの要求は、ボタンを操作することなどによりユーザーによって開始されてよい。この要求を受信した外部デバイスは、検証処理を開始するようユーザーを促す。このことは、外部デバイスのディスプレイ上に説明されて視覚化されてよい。ユーザーは続いて、ペンに取り付けられたアドオンデバイスの、ペンデバイス視覚識別子及びアドオンデバイス視覚識別子の双方を含む写真を取得する。この写真は続いて、外部デバイスの検証ソフトウェアにより処理される。このソフトウェアは、1つ以上の所定のペンデバイス視覚識別子及び1つ以上のアドオンデバイス視覚識別子を識別するよう構成される。画像解析の結果がその後、外部デバイスのディスプレイ上に、ユーザーに対して提示される。アドオンデバイス及びペンデバイスの識別された組み合わせが、許可された組み合わせである場合、ユーザーは、ペアリング承認信号がアドオンデバイスに送信される前に、マッチングについて承認するよう求められる。アドオンデバイスが、2つ以上の異なるペンデバイスと共に機能するよう構成されたマルチモードデバイスである場合、ペアリング承認信号は、「インスリン×100IU/ml」などの、このアドオンデバイスに対するモード設定指令を含んでよい。しかし、そのようなモード設定指令が外部デバイスから送信される前に、ユーザーはペアリングについて了承することを要求される。ペアリング承認/モード信号をアドオンデバイスが受信すると、承認信号が外部デバイスに送信されてよい。この承認信号によりユーザーは、アドオンデバイスが作動状態にあり、すぐに使用できることを通知されてよい。検証処理中、固有のIDがこれら2つのユニットの間で交換されてよい。
【0062】
代替的に外部デバイスは、判定された、視覚識別子の所定の組み合わせに対応する作動状態に設定されてよい。この場合、マルチユースアドオンデバイスが、回転運動の量を単に取得するよう設計され得る。これに続いて、生データが格納される。この生データはさらに、検証されたペアリングに対応する固有のIDと共に外部デバイスに送られる。受信されたデータは続いて、検証された組み合わせに従って、外部デバイスにより処理される。そのようなマルチモードアドオンデバイスは実際には、時間に関連するデータを表示してもよいが、投薬分量に関連する値をディスプレイ上に表示することができなくともよい。
【0063】
ペアリングが検証されると、アドオンデバイスは、ペンデバイスにおける操作の検出を開始する。そのデータは続いてさらに、自動的に、又は、要求に応じてのいずれかにより、外部デバイスへ送信されてよい。送信されたデータは、検証処理を行う外部デバイスのみにより取得され得るようコード化されてよい。それに応じてデータは、特定のアドオンデバイスを識別するようコード化されてよい。送信されたデータは、「生」データ又はアドオンデバイスにより処理されたデータであってよい。
【0064】
アドオンデバイスの取り付けセンサーが「オン」状態から「オフ」状態になると、つまり通常はアドオンデバイスがペンデバイスから取り外されると、検証状態がキャンセルされ、アドオンデバイスはペアリング解放状態になる。
【0065】
外部デバイスからのペアリング承認信号の受信がないと、アドオンデバイスがペンデバイスに新たに取り付けられるなど、新たな検証処理が開始されて完了するまで、取り付けられたアドオンデバイスは、いずれのデータ取得を中止してよい。新たな検証処理は、外部デバイスから開始されてもよい。アドオンデバイスがディスプレイを備える場合、ユーザーはこのディスプレイを通して通知を受け取ってよい。
【0066】
代替的にアドオンデバイスは、ペン操作の検出を開始し、保護されたログ記録にデータを格納してよい。そのデータは続いてさらに送信されるか、検証処理が正常に行われた際にアクセス可能となってよい。格納されたデータはまた、アドオンデバイスがペンデバイスから取り外された際に削除されてよい。
【0067】
上述する例示的検証処理の重要な処理工程を、図7のフローチャートに要約する。
【0068】
本発明のさらなる態様では、アドオンデバイス自体が提供される。該デバイスは具体的には、上述する検証処理を行うよう構成されている。より具体的には、例えば、図3及び図4に示すような種類のアドオンデバイスは、図5及び図6に示すような薬剤投与デバイスに取り外し可能に取り付けられるよう構成されている。
【0069】
アドオンデバイスは、薬剤投与デバイスのハウジングに取り付けられると、ハウジングに対するインジケータ部材の回転量を判定するよう構成されている。アドオンデバイスは、アドオンデバイスを薬剤投与デバイスの所定の位置及び方位に取り外し可能に取り付けるよう構成された取り付け手段を含み、アドオンデバイスが薬剤投与デバイスの所定の位置及び方位に取り付けられるとオフ状態からオン状態になるよう構成された取り付けセンサーと、視覚識別子と、アドオンデバイスが外部コントロールデバイスと通信することを可能にする通信手段と、が提供されてよい。
【0070】
上述する検証処理に対応して、アドオンデバイスは第1の作動状態、第2の作動状態、及び第3の作動状態を有する。取り付けセンサーがオフ状態にあると、アドオンデバイスは第1の作動状態にある。取り付けセンサーがオン状態にあり、外部コントロールデバイスから有効化信号を受信していないと、アドオンデバイスは第2の作動状態にある。取り付けセンサーがオン状態にあり、外部コントロールデバイスから有効化信号を受信していないと、アドオンデバイスは第3の作動状態にある。第3の状態において、アドオンデバイスは、ハウジングに対するインジケータ部材の回転量を判定でき、その回転量に対応するデータを外部コントロールデバイスに送信することができる。
【0071】
上述する実施形態では、第1の視覚識別子が、薬剤投与デバイスのペンハウジング自体に配置されている。これは、ペンハウジングに配置された視覚識別子が、組み込まれた、薬剤が満たされたカートリッジを表す、使い捨て可能なプレフィルド型薬剤投与デバイスに相当する。しかし代替的な実施形態では、上述する検証処理及び有効化処理は、第1の視覚識別子が交換可能な薬剤カートリッジに配置されている耐久型デバイスに使用されてよい。
【0072】
例えば図5の実施形態において、ここに示す薬剤投与デバイスは、交換可能なカートリッジをそのカートリッジホルダー内に受容するよう構成された耐久型であってよい。ここでは、第1の視覚識別子が、カートリッジホルダー内に取り付けられる必要がある薬剤カートリッジに提供されており、第1の視覚識別子は、アドオンデバイスに隣り合って見えるようになっている。図5の実施形態に示すアドオンデバイスが、ペン本体部とカートリッジホルダーとの間のインターフェースに相当してペンに取り付けられているため、アドオンデバイスは、カートリッジホルダーが取り外されたことを検出するよう構成された検出手段が提供され得る。これにより、第1の視覚識別子及び第2の視覚識別子の組み合わせが検証されることのないまま、カートリッジが交換されることを防ぐことができる。
【0073】
好適な実施形態の上記説明において、アドオンデバイスには取り付けセンサーが提供されており、ペアリング処理はアドオンデバイスから開始される。しかし、本発明の開示において上述するように、ペアリング処理は代替的に、外部デバイスから開始されてよい。それに応じて、先にも概略説明するように、本発明の簡略化したバージョンでは、取り付けセンサーが省かれ得る。
【0074】
実施形態の上記説明では、様々な構成要素について説明した機能を提供する様々な構造及び手段が、本発明の概念が当業者に明白な程度に説明された。様々な構成要素についての詳細構造及び仕様は、本明細書において提示した流れに沿って当業者により行われる通常の設計手順の対象とみなされる。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7