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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-13
(45)【発行日】2022-01-13
(54)【発明の名称】ディスペンサ容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 83/00 20060101AFI20220105BHJP
   B65D 77/04 20060101ALI20220105BHJP
   B29C 45/16 20060101ALI20220105BHJP
   B29C 45/33 20060101ALI20220105BHJP
   B29C 45/37 20060101ALI20220105BHJP
   B29C 49/06 20060101ALI20220105BHJP
   B29C 49/22 20060101ALI20220105BHJP
【FI】
B65D83/00 G
B65D77/04 B
B29C45/16
B29C45/33
B29C45/37
B29C49/06
B29C49/22
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019561247
(86)(22)【出願日】2018-03-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-10-01
(86)【国際出願番号】 EP2018056090
(87)【国際公開番号】W WO2019057344
(87)【国際公開日】2019-03-28
【審査請求日】2019-12-03
(31)【優先権主張番号】102017121702.9
(32)【優先日】2017-09-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】519392638
【氏名又は名称】イノテック クンストシュトフテヒニク ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】INOTECH KUNSTSTOFFTECHNIK GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】特許業務法人 ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】グライクスナー、ヨーゼフ
【審査官】吉澤 秀明
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0279995(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第01510472(EP,A1)
【文献】国際公開第00/048925(WO,A1)
【文献】独国特許出願公開第102014113535(DE,A1)
【文献】特開2016-216081(JP,A)
【文献】特開2016-216082(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 83/00
B65D 77/04
B29C 49/22
B29C 49/06
B29C 45/16
B29C 45/37
B29C 45/33
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外側容器(2)と、流体を収容するための内側容器(3)とで構成され、前記外側容器(2)および前記内側容器(3)は、互いに一体的な接続を形成することがないブロー成形によるプラスチックから形成され、前記内側容器(3)を形成する第1のプラスチックは、前記内側容器(3)が変形可能であるように、前記外側容器(2)を形成する第2のプラスチックよりも高い弾力性を有し、前記外側容器(2)は、前記外側容器(2)と前記内側容器(3)との間の領域(25)に圧力補償のための少なくとも1つの圧力補償開口部(4)を有している、ディスペンサ容器(1)であって、
前記内側容器(3)は、第1の出口領域(6)を有し、前記外側容器(2)は、第2の出口領域(7)を有し、前記第1の出口領域(6)は、前記第2の出口領域(7)に対して出口方向(8)にシフト可能であり、
前記内側容器(3)は、外面に、前記圧力補償開口部(4)を封じるための少なくとも1つの相補的な第1の突出部(9)を有し、前記突出部は、前記第2の出口領域(7)に対する前記第1の出口領域(6)のシフト前は、前記圧力補償開口部(4)へと突出し、前記圧力補償開口部(4)に接続され、前記第1の突出部(9)は、前記第1の出口領域(6)のシフト後は、前記圧力補償開口部(4)から解放される、ことを特徴とするディスペンサ容器(1)。
【請求項2】
前記第1の出口領域(6)は、少なくとも部分的に、前記第2の出口領域(7)よりも前記出口方向(8)にさらに延びている、ことを特徴とする請求項1に記載のディスペンサ容器(1)。
【請求項3】
前記圧力補償開口部(4)は、前記第2の出口領域(7)に配置されている、ことを特徴とする請求項1又は2に記載のディスペンサ容器(1)。
【請求項4】
前記第1の出口領域(6)は、前記出口方向(8)に実質的に垂直に延びる第2の突出部(10)を有し、前記第2の突出部(10)は、前記出口方向(8)において、前記シフト前は前記第2の出口領域(7)から第1の間隔(11)にあり、前記シフト後は前記第2の出口領域(7)から第2の間隔(12)にあり、前記第2の間隔(12)は前記第1の間隔(11)よりも小さい、ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載のディスペンサ容器(1)。
【請求項5】
前記第1の間隔(11)は、1~10mmの範囲にある、ことを特徴とする請求項4に記載のディスペンサ容器(1)。
【請求項6】
前記第2の出口領域(7)は、前記出口方向(8)に実質的に垂直に延びる第3の突出部(13)を有する、ことを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載のディスペンサ容器(1)。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載のディスペンサ容器(1)に装着されるポンプ装置(14)であって、
前記ディスペンサ容器(1)に装着されるときに前記第1の出口領域(6)を前記第2の出口領域(7)に対してシフトさせるようなやり方で形成されている、ことを特徴とするポンプ装置(14)。
【請求項8】
請求項6に記載のディスペンサ容器(1)に装着されるポンプ装置(14)であって、
保持装置(15)に、装着後に前記第3の突出部(13)にスナップオン、クリンプ、および螺合からなるグループから選択される少なくとも1つによって接続される第4の突出部(16)が設けられていることを特徴とする、ポンプ装置(14)。
【請求項9】
外側容器(2)と、流体を収容するための内側容器(3)とで構成される請求項1~6のいずれか一項に記載のディスペンサ容器(1)を、同じ装置内でプリフォームの射出成形およびプリフォームのストレッチブローを行うブロー成形法を使用して製造するための装置(100)であって、
a.少なくとも2つの層(102、103)で構成され、第1の層(103)のプラスチックが第2の層(102)のプラスチックと一体的な接続を形成しておらず、前記第1の層(103)のプラスチックが前記第2の層(102)のプラスチックよりも高い弾力性を有しているプリフォーム(101)について、射出を行うためのマルチコンポーネント射出成形手段(104)と、
b.前記プリフォーム(101)を形成する前記層(102、103)が適用される射出ブロー成形コア(106)と、
c.前記第1の層(103)を形成するための第1のキャビティ(105)と、
d.スライダコア(108)を導入することができる第2の層(102)を形成するための第2のキャビティ(107)と、
e.前記第2のキャビティ(107)へと突出する少なくとも1つのスライダ突出部(109)を備えており、前記第2のキャビティ(107)内に位置した前記少なくとも1つのスライダ突出部(109)は、前記第2の層(102)において少なくとも1つの領域(110)をへこませ、前記領域は、前記外側容器(2)において少なくとも1つの圧力補償開口部(4)を形成するスライダコア(108)と、
f.射出成形プロセスによって加熱されたストレッチブローに必要な作業温度にある前記プリフォーム(101)を、前記ディスペンサ容器(1)を形成するためにストレッチブローするためのストレッチブロー手段(111)と
を備える装置(100)であり、
前記第1のキャビティ(105)および前記第2のキャビティ(107)は、前記ストレッチブロー後に前記第1の出口領域(6)を前記第2の出口領域(7)に対してシフトさせることができるようなやり方で形成されている、ことを特徴とする装置(100)。
【請求項10】
前記第1のキャビティは、第1の突出部(9)を形成するための拡張領域(105’)を備え、前記スライダコア(108)は、前記拡張領域(105’)において前記第2のキャビティへと突出して前記領域に接触し、前記圧力補償開口部(4)を形成するように形成されている、ことを特徴とする請求項9に記載の装置(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外側容器と、流体を収容するための内側容器とで構成され、外側容器および内側容器は、互いに一体的な接続を形成することがないブロー成形によるプラスチックから形成され、内側容器を形成する第1のプラスチックは、内側容器が変形可能であるように、外側容器を形成する第2のプラスチックよりも高い弾力性を有し、外側容器は、外側容器と内側容器との間の領域の圧力補償のための少なくとも1つの圧力補償開口部を有する、ディスペンサ容器に関する。
【背景技術】
【0002】
この形式のディスペンサ容器は、例えば独国特許出願公開第10 2014 113 535号明細書から技術的に知られており、このディスペンサ容器において、負圧が、内側容器から流体を引き出すことによって発生し、外側容器の圧力補償開口部を通じて補償され、内側容器が下部領域または中央領域において変形し、塵埃粒子および有害粒子が下部領域の圧力補償開口部を通ってディスペンサ容器へと進入し、ディスペンサ容器を傷める可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】独国特許出願公開第10 2014 113 535号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本発明の目的は、ディスペンサ容器のための代案の通気設計を提供し、先行技術の欠点を克服することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、請求項1の特徴にしたがって達成される。
【0006】
本発明の本質は、外側容器と、流体を収容するための内側容器とで構成され、外側容器および内側容器は、互いに一体的な接続を形成することがないブロー成形によるプラスチックから形成され、内側容器を形成する第1のプラスチックは、内側容器が変形可能であるように、外側容器を形成する第2のプラスチックよりも高い弾力性を有し、外側容器は、外側容器と内側容器との間の領域の圧力補償のための少なくとも1つの圧力補償開口部を有し、内側容器が第1の出口領域を有し、外側容器が第2の出口領域を有し、第1の出口領域が第2の出口領域に対して出口方向にシフト可能である、ディスペンサ容器を提供することである。
【0007】
あるいは、出口方向という概念を、長手方向と理解することも可能である。好都合には、ディスペンサ容器、とりわけ外側容器および内側容器の各々が、下部領域および中央領域を備え、各々の場合において、下部領域は中央領域に接続され、中央領域は出口領域に接続される。
【0008】
本発明によれば、第1の出口領域は、第2の出口領域に対して出口方向にシフト可能である。これは、シフト後状態および非シフト状態という2つの状態が存在し、非シフト状態において内側容器は変形しておらず、シフト後状態において内側容器が変形していることを意味する。
【0009】
シフトを、例えば、第1の出口領域に対する外部の力の作用によってもたらすことができ、第1の出口領域がシフト運動によって相応にシフトし、したがって内側容器が変形する。
【0010】
出口領域は、とくには、例えば内部容器から流体を引き出すためのポンプ装置を配置することができる領域として理解されるべきである。
【0011】
好ましい実施形態において、第1の出口領域は、少なくとも部分的に、第2の出口領域よりも出口方向にさらに延びる。
【0012】
これは、第1の出口領域について、第2の出口領域のどの領域よりも出口方向にさらに延びる部分が存在することを意味する。とくには、第1の出口領域の全体が第2の出口領域よりもさらに延びていると好都合である。
【0013】
とくには、第1の出口領域の第1の端部を、第2の出口領域の対応する第1の端部よりも、ディスペンサ容器からさらに遠く配置することが考えられる。
【0014】
さらなる好ましい実施形態において、内側容器は、外面に、圧力補償開口部を封じるための少なくとも1つの相補的な突出部を有し、この突出部は、第2の出口領域に対する第1の出口領域のシフト前は、圧力補償開口部へと突出し、圧力補償開口部に非最終的に接続され、第1の突出部は、第1の出口領域のシフト後は、圧力補償開口部から解放される。
【0015】
これは、第1の出口領域が第2の出口領域に対してシフトし、すなわち換言するとシフト後状態にあるときに、圧力補償開口部がもはや封じられず、したがって内側容器と外側容器との間の領域の圧力補償が可能になることを意味する。したがって、流体が実際に内部容器から引き出される前に、圧力補償がすでに可能である。先行技術においては、通気または圧力補償は、流体が内側容器から引き出されたときに可能である。
【0016】
したがって、対応するポンプ装置が取り付けられ、あるいは装着された場合に、たとえポンプ装置が最初に使用される前でも、圧力補償がもたらされる。
【0017】
さらなる好ましい実施形態において、圧力補償開口部は、第2の出口領域に配置される。
【0018】
とくには、圧力補償開口部を出口領域と中央領域との間の遷移部に配置されることが考えられる。
【0019】
さらなる好ましい実施形態において、第1の出口領域は、出口方向に実質的に垂直に延びる第2の突出部を有し、第2の突出部は、出口方向において、シフト前は第2の出口領域から第1の間隔にあり、シフト後は第2の出口領域から第2の間隔にあり、第2の間隔は第1の間隔よりも小さい。
【0020】
好ましくは、第1の間隔は、1~10mmの範囲にある。
【0021】
また、好ましくは、第2の間隔は、最大で0.5mm、より好ましくは最大で0.1mm、とくに好ましくは0mmである。
【0022】
結果として、第2の出口領域に対する第1の出口領域のシフト可能性の結果として密着の或る程度の欠如が存在するため、出口領域において内側容器と外側容器との間により良好な封止効果を達成することができる。
【0023】
さらなる好ましい実施形態において、第2の出口領域は、出口方向に対して実質的に垂直に延びる第3の突出部を有する。第3の突出部により、とくにはディスペンサ容器にポンプ装置を取り付けることが可能である。この目的のために、第3の突出部は、ポンプ装置をディスペンサ容器に対して保持するための保持装置の一部分として機能する。
【0024】
さらに本発明は、ディスペンサ容器に装着されるポンプ装置であって、ディスペンサ容器に装着されるときに第1の出口領域を第2の出口領域に対してシフトさせるようなやり方で形成されているポンプ装置に関する。
【0025】
とくに好ましくは、ポンプ装置がディスペンサ容器に装着された後で、第1の出口領域はシフト後状態にあり、このシフト後状態に保持される。
【0026】
好ましい実施形態においては、ポンプ装置の保持装置に第4の突出部が設けられ、第4の突出部は、装着後に、第3の突出部と相互作用し、とくにはスナップオン、クリック、クリンプ、および螺合からなるグループから選択される少なくとも1つによって接続される。
【0027】
さらに、外側容器と、流体を収容するための内側容器とで構成されるディスペンサ容器を、同じ装置内でプリフォームの射出成形およびプリフォームのストレッチブローを行うブロー成形法を使用して製造するための装置が提供され、この装置は、
a.少なくとも2つの層で構成され、第1の層のプラスチックが第2の層のプラスチックと一体的な接続を形成せず、第1の層のプラスチックが第2の層のプラスチックよりも高い弾力性を有しているプリフォームについて、射出を行うためのマルチコンポーネント射出成形手段と、
b.プリフォームを形成する層が適用される射出ブロー成形コアと、
c.第1の層を形成するための第1のキャビティと、
d.スライダコアを導入することができる第2の層を形成するための第2のキャビティと、
e.第2のキャビティへと突出する少なくとも1つのスライダ突出部を備えており、第2のキャビティ内に位置した少なくとも1つのスライダ突出部は、第2の層において少なくとも1つの領域をへこませ、この領域は、外側容器において少なくとも1つの圧力補償開口部を形成するスライダコアと、
f.射出成形プロセスによって加熱されたストレッチブローに必要な作業温度にあるプリフォームを、ディスペンサ容器を形成するためにストレッチブローするためのストレッチブロー手段と
を備え、
第1のキャビティおよび第2のキャビティは、ストレッチブロー後に第1の出口領域を第2の出口領域に対してシフトさせることができるようなやり方で形成されている。
【0028】
好ましい実施形態において、第1のキャビティは、第1の突出部を形成するために設けられた第1の突出部の形成に適した拡張領域を備え、スライダコアは、拡張領域において第2のキャビティへと突出し、この領域に接触し、圧力補償開口部を形成するために設けられ、圧力補償開口部の形成に適している。
【0029】
ポンプ装置を備えるディスペンサ容器を組み立てるための方法であって、
a.ディスペンサ容器およびポンプ装置を用意するステップと、
b.ポンプ装置をディスペンサ容器上に配置して接触させるステップと、
c.出口方向に沿ってポンプ装置に力を作用させ、第1の出口領域を第2の出口領域に対してシフトさせるステップと、
d.ポンプ装置とディスペンサ容器とを接続するステップと
を含む方法がさらに提供される。
【0030】
外側容器および内側容器が熱可塑性プラスチックまたはエラストマーで構成されるとさらに好都合である。
【0031】
さらなる好都合な実施形態が、従属請求項から明らかである。
本発明のさらなる目的、利点、および便宜を、以下の説明から、図面との関連において導き出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】ディスペンサ容器の斜視図である。
図2A】好ましい実施形態によるディスペンサ容器の断面図である。
図2B図2Aの詳細図である。
図3A】非シフト状態のディスペンサ容器の断面図である。
図3B図3Aの詳細図である。
図4A】シフト後状態のディスペンサ容器の断面図である。
図4B図4Aの詳細図である。
図5A】非シフト状態のポンプ装置を備えるディスペンサ容器の断面図である。
図5B】シフト後状態のポンプ装置を備えるディスペンサ容器の断面図である。
図6】第1のキャビティ内のプリフォームを示している。
図7】スライダコアを備える第2のキャビティ内のプリフォームを示している。
図8】ディスペンサ容器の製造のための装置を示している。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1が、外側容器2と内側容器3とを備えるディスペンサ容器1の斜視図であり、とくには外側容器2を図1において見て取ることができる。さらに、外側容器2および内側容器3はそれぞれ、以下でさらに詳細に説明される中央領域17および下部領域18を備える。
【0034】
さらに、内側容器3の第1の出口領域6および外側容器2の第2の出口領域7を見て取ることができ、第1の出口領域6は、出口方向8に垂直な方向において見たときに、少なくとも部分的に第2の出口領域7の内側に配置されている。
【0035】
さらに、圧力補償開口部4も同様に見て取ることができ、第2の出口領域7に配置されており、圧力補償開口部4は、好ましくは、外側容器2の第2の出口領域7から中央領域17への第1の遷移領域19に配置されている。
【0036】
図2Aが、好ましい実施形態によるディスペンサ容器1の断面図であり、図2Bが、図2Aの詳細である。
【0037】
見て取ることができるとおり、内側容器3は、外面21および内面22を有し、内側容器3の外面21は、少なくとも部分的に外側容器2の内面24に接触しており、内面24は、流体に接触している。さらに、外側容器2は、環境と接触する外面23を有する。内側容器3と外側容器2との間に、領域25が配置されるが、ここではまだ図示されていない。この領域25は、流体が内側容器3から引き出されたときに外側容器2と内側容器3との間に生じる体積に対応し、内側容器3が結果として変形し、とくには縮小または収縮し、領域25が結果として生じる。したがって、領域25は、圧力補償開口部4に接触している。
【0038】
すでに述べたように、外側容器2は、圧力補償開口部4を有し、内側容器3は、第1の出口領域6が非シフト状態にあるときに圧力補償開口部4に接続されて圧力補償開口部4を封じる第1の突出部9を有し、第1の突出部9は、圧力補償開口部4と相補的に形成されている。
【0039】
図2Bが、第1の出口領域6および第2の出口領域7を含むディスペンサ容器1の出口領域の拡大を示す詳細図である。
【0040】
第1の出口領域6は、出口方向8に実質的に垂直に延びる第2の突出部12をさらに有する。対照的に、第2の出口領域7は、出口方向8において第2の突出部12の下に配置された第3の突出部13を備える。
【0041】
とくに好ましくは、圧力補償開口部4は、円錐台形状に形成され、圧力補償開口部4の上面が、外側容器2の外面23上に配置され、圧力補償開口部4の下面が、外側容器2の内面24上に配置される。この状況において、上面および下面は、開口部を表すことになるため、想像上のものであることに注意すべきである。
【0042】
この状況において、第1の出口領域6および第2の出口領域7を含むディスペンサ容器1の出口領域28の領域において、内側容器3の第1の厚さ26および外側容器2の第2の厚さは、実質的に一定であってよい。また、好都合には、対応する出口領域6、7の第1の厚さ26および第2の厚さ27を、実質的に等しくすることが考えられる。この状況において、厚さは、それぞれの場合において出口方向8に垂直に測定されるものとされ、この状況において投影は考慮されていない。
【0043】
中央領域17の厚さおよび下部領域18の厚さは、好ましくは同様に一定であり、中央領域17および下部領域の領域における内側容器の第3の厚さ29、ならびに中央領域17および下部領域18の領域における外側容器2の第4の厚さ30は、一定であり、第3の厚さ29が第4の厚さ30よりも小さいと好都合である。また、好都合には、第2の厚さ27が第4の厚さ30に相当し、すなわち外側容器2の壁の厚さが全体にわたって一定である。対照的に、第1の厚さ26が第3の厚さ29よりも大きく、すなわち換言すると、内側容器3の壁が、中央領域17および下部領域18において出口領域6よりも薄く形成されると好都合である。結果として、内側容器3は、流体が引き出されたときに、はるかに容易に収縮および変形することができる。
【0044】
やはり好都合には、内側容器3の厚さは、次のように変化する。第1の出口領域6に第1の厚さ26が設けられる一方で、中央領域17および下部領域18には第3の厚さ28が設けられる。出口領域6と中央領域17との間の遷移部19において、内側容器3は、内側容器3の厚さが第3の厚さ28へと減少するように形成される。とくには、厚さの遷移は連続的に形成され、換言すると厚さの急激な変化を伴わずに形成される。
【0045】
とくに好都合には、出口方向8は、第1または第2の出口領域6、7の中心軸Mにも対応し、出口領域6、7は、実質的に円筒状に形成され、第1の内部半径31および第2の内部半径32を有する。圧力補償開口部4を、中心軸Mを中心とする半径として第1の距離33を有する領域内に配置することがさらに好ましく、第1の距離は、中心軸Mと、中心軸Mに対して垂直に見たときの第3の突出部13の最も遠い点との間に配置される。
【0046】
さらに、第2の突出部10および第3の突出部13の各々は、断面において中心軸Mに対して角度をなす第1の部分34、35を有し、この角度は、30°~60°の範囲にあり、より好ましくは40°~50°の範囲にあり、好ましくは45°である。やはり好ましくは、第2の突出部10および第3の突出部13の各々は、断面において中心軸Mに実質的に垂直に延びる第2の部分36、37を有することができる。
【0047】
図3Aおよび図3Bに示される図3Aの詳細は、やはり非シフト状態のディスペンサ容器を示しており、すなわち第1の出口領域6が第2の出口領域7に対してシフトしていない。
【0048】
図3Aおよび図3Bから見て取ることができるとおり、この状況において、第2の突出部10は、出口方向8において見たときに、外側容器2の第2の出口領域7から第1の間隔11に配置される。矢印38が、第1の出口領域6をシフトさせることができるシフト方向38を示している。この状況において、第1の突出部は、圧力補償開口部4が封じられるように圧力補償開口部4に接続されている。
【0049】
図4Aおよび図4Bに示される図4Aの詳細は、シフト後状態のディスペンサ容器1を示しており、すなわち第1の出口領域6が第2の出口領域7に対してシフトしており、あるいはシフト後である。
【0050】
第1の出口領域6のシフトは、シフト方向38に沿った第1の出口領域6への力39の作用によってもたらされている。
【0051】
第1の出口領域6は、シフト方向38または中心軸Mに沿ってディスペンサ容器1の内部に押し込まれ、第1の間隔11が第2の間隔12へと減少している。
【0052】
とくには図4Bから見て取ることができるとおり、シフト後状態においては、第2の出口領域7に対する第1の出口領域6のシフトの結果として、第1の突出部9も、今や圧力補償開口部4をもはや封じず、圧力補償が可能になるようなやり方で、やはりシフトしている。さらに、シフトの結果として、内側容器3が変形しており、これにより、内側容器3と外側容器2との間に領域25が形成されている。
【0053】
シフト後状態において流体がディスペンサ容器1から引き出される場合、結果として生じる負圧は、圧力補償開口部4により、結果的に外部の空気がディスペンサ容器1へと流入できるがゆえに補償される。
【0054】
第2の出口領域7に対する第1の出口領域6のシフトによる内側容器3の変形の結果として、領域25が、内側容器3と外側容器2との間に形成されており、やはり第1の出口領域6のシフトの結果として第1の突出部9がもはや圧力補償開口部4を封じなくなるため、圧力補償開口部4を介して環境に接触する。
【0055】
図5Aおよび図5Bは、それぞれポンプ装置14を含むディスペンサ容器1の断面図であり、ポンプ装置14は、図5Aにおいてはディスペンサ容器1にまだ接続されておらず、ポンプ装置14は、図5Bにおいてはディスペンサ容器1に接続されている。好ましくは、ポンプ装置14は、ポンプ40を有し、好ましくはポンプを環境から保護するようなやり方でポンプ40に接続されるキャップ41も有する。
【0056】
好都合には、ポンプ装置14は、第1の収容領域44および第2の収容領域45を有し、第1の収容領域44は、中心軸Mの方向または出口方向8に第1の長さ42にわたって延び、第2の収容領域45は、中心軸Mの方向または出口方向8に第2の長さ43にわたって延びている。長さ42、43の各々は、ポンプ装置14の下端46から同じ方向に見た長さである。
【0057】
さらに、好ましくは、収容領域44、45は、第2の出口領域7を第1の収容領域44によって受け入れることができ、第1の出口領域6を第2の収容領域45によって受け入れることができるようなやり方で形成される。
【0058】
好ましくは、第1の出口領域6は、第2の収容領域45の第2の長さ43よりもさらに出口方向8に延び、第1の出口領域6は、後にポンプ装置14が装着されたときに結果として第2の出口領域7に対してシフトする。
【0059】
さらに、ポンプ装置14は、好都合には、第3の突出部13に接触させることができ、したがってポンプ装置14をディスペンサ容器1に対してロックする第4の突出部16を有する。
【0060】
図5Bは、図5Aの構成要素を示しているが、ポンプ装置14がディスペンサ容器1に装着されている。見て取ることができるとおり、ポンプ装置14をディスペンサ容器1に装着することで、第1の出口領域6が第2の出口領域7に対してシフトし、結果として、第1の突出部9がもはや圧力補償開口部4を封じず、領域25が形成されている。
【0061】
さらに、今や第3の突出部13が第4の突出部16に接触し、ポンプ装置14をディスペンサ容器1に対してロックしていることを見て取ることができる。
【0062】
ここで、圧力補償開口部4が、中心軸Mを中心とする半径として第1の距離33を有する領域内に配置され、第1の距離は、中心軸Mと、中心軸Mに対して垂直に見たときの第3の突出部13の最も遠い点との間に配置されていることを、見て取ることができる。この第1の距離33も同様に、ポンプ装置14の最大内部半径に相当する。さらに、装着の結果として、ポンプ装置14の下端46は、今や外側容器2にぴったりとではないが接触し、すなわち空気は依然として環境から流入できる。これは、圧力補償開口部4がポンプ装置14によって環境から保護されることをさらに意味し、すなわち、異物は圧力補償開口部4を通ってディスペンサ容器1に到達することができず、この容器が損傷から保護される。
【0063】
図6が、少なくとも2つの層102、103で構成されたプリフォーム101について射出を行うためのマルチコンポーネント射出成形装置104の第1の部分を示しており、第1の層103のプラスチックは第2の層102のプラスチックと一体の接続を形成せず、第1の層103のプラスチックは第2の層102のプラスチックよりも高い弾力性を有する。この装置は、第1のキャビティ105に配置された射出ブロー成形コア106を備える。第1の層103が、供給手段114によってこの第1のキャビティ105に注入される。この状況において、キャビティ105は、ディスペンサ容器1の第1の突出部9を形成する第1の突出部形成部分105’を有する。
【0064】
図7が、マルチコンポーネント射出成形装置104の第2のキャビティ107を示している。表面にすでに第1の層103が射出された射出ブロー成形コア106が、この第2のキャビティ内に配置されている。さらに、突出部109を備えるスライダコア108を、突出部109がとくには第1の突出部9を形成すべき場所において第1の層103に触れるように、第2のキャビティ107へと導入することができる。第2のプラスチックがさらなる供給手段114aによって第2のキャビティ107に注入されるとき、スライダコアの突出部が、圧力補償開口部4によって形成される領域110を凹部にする。本発明は、それぞれのキャビティ105、107上の供給手段114、114aの図6および図7に示される配置点に限定されない。
【0065】
図8が、ディスペンサ容器1を製造するための装置100を概略的に示しており、外側容器2と流体を収容するための内側容器3とで構成されるディスペンサ容器1が、同じ装置100内でプリフォーム101の射出成形およびプリフォーム101のストレッチブロー成形を行うための射出ブロー成形にて製造される。図6および図7において上述したマルチコンポーネント射出成形装置104の他に、装置100は、射出成形プロセスによって加熱され、ストレッチブローに必要な作業温度にあるプリフォーム101のストレッチブローのためのストレッチブロー手段111をさらに有する。さらに、膨張したディスペンサ容器1を冷却するための冷却手段112と、完成したディスペンサ容器1を装置100から取り出すための引き出し手段113とが存在する。
【0066】
出願書類に開示されたすべての特徴は、それらが個別に、または組み合わせて、先行技術に対して新規である限りにおいて、本発明に不可欠であるとして請求される。
【符号の説明】
【0067】
1 ディスペンサ容器
2 外側容器
3 内側容器
4 圧力補償開口部
5 領域
6 第1の出口領域
7 第2の出口領域
8 出口方向
9 第1の突出部
10 第2の突出部
11 第1の間隔
12 第2の間隔
13 第3の突出部
14 ポンプ装置
15 保持装置
16 第4の突出部
17 中央領域
18 下部領域
19 第1の遷移領域
20 第2の遷移領域
21 内側容器の外面
22 内側容器の内面
23 外側容器の外面
24 外側容器の内面
25 領域
26 第1の厚さ
27 第2の厚さ
28 出口領域
29 第3の厚さ
30 第4の厚さ
31 第1の内部半径
32 第2の内部半径
33 第1の距離
34 第1の部分
35 第1の部分
36 第2の部分
37 第2の部分
38 シフト方向
39 力
40 ポンプ
41 キャップ
42 第1の長さ
43 第2の長さ
44 第1の収容領域
45 第2の収容領域
46 下端
100 装置
101 プリフォーム
102 第2の層
103 第1の層
104 射出成形装置
105 第1のキャビティ
105’ 突出部形成領域
106 射出ブロー成形コア
107 第2のキャビティ
108 スライダコア
109 スライダコア上の突出部
110 第2の層の凹部領域
111 ストレッチブロー手段
112 冷却装置
113 引き出し装置
図1
図2A
図2B
図3A-3B】
図4A-4B】
図5A
図5B
図6
図7
図8