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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-13
(45)【発行日】2022-01-13
(54)【発明の名称】入力装置
(51)【国際特許分類】
   H01H 13/20 20060101AFI20220105BHJP
   H01H 13/66 20060101ALI20220105BHJP
   H01H 15/16 20060101ALI20220105BHJP
   H01H 23/16 20060101ALI20220105BHJP
【FI】
H01H13/20 C
H01H13/66
H01H15/16 A
H01H23/16 M
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019564300
(86)(22)【出願日】2018-10-25
(86)【国際出願番号】 JP2018039588
(87)【国際公開番号】W WO2019138644
(87)【国際公開日】2019-07-18
【審査請求日】2020-03-06
(31)【優先権主張番号】P 2018002025
(32)【優先日】2018-01-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】杉澤 星輝
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 崇
【審査官】片岡 弘之
(56)【参考文献】
【文献】実開昭50-091662(JP,U)
【文献】実開昭60-147037(JP,U)
【文献】特開2016-206787(JP,A)
【文献】特開2015-149058(JP,A)
【文献】特開2017-001570(JP,A)
【文献】特開2017-045608(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 13/20
H01H 13/66
H01H 15/16
H01H 23/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作力を受ける可動部材と、
前記可動部材を、操作力を受けていない中立位置から第1操作方向、及び前記第1操作方向とは反対方向の第2操作方向に移動可能に保持する固定部材と、
前記可動部材の移動によりオン状態とオフ状態とが切り換わるスイッチと、
前記固定部材に取り付けられた第1磁性体と、
前記可動部材と共に移動する第2磁性体と、
前記可動部材が操作力を受けていない状態で前記第1磁性体及び前記第2磁性体のそれぞれと磁力により吸着しあい、前記可動部材が前記第1操作方向に操作力を受けている状態で前記第1磁性体及び前記第2磁性体の何れか一方と接触するように配置され、前記可動部材が前記第2操作方向に操作力を受けている状態で前記第1磁性体及び前記第2磁性体の何れか他方と接触するように配置されている第3磁性体と、を備え、
前記第1磁性体、前記第2磁性体及び前記第3磁性体の少なくとも1つは磁石である、
入力装置。
【請求項2】
前記第3磁性体は、前記可動部材と前記固定部材の間に配置され、
前記第1磁性体と前記第3磁性体の接触面と、前記第2磁性体と前記第3磁性体の接触面とは略同一平面上に位置する、
請求項1に記載の入力装置。
【請求項3】
前記磁石は、環状であり、前記可動部材の移動方向に沿って異なる磁極を有する、
請求項1又は2に記載の入力装置。
【請求項4】
前記第1磁性体及び前記第2磁性体の少なくとも一方と前記第3磁性体との間には弾性シートが配置されている、
請求項1乃至3の何れかに記載の入力装置。
【請求項5】
前記可動部材が操作力を受けていないときの位置である前記中立位置に前記可動部材を戻すように構成された付勢部材を有する、
請求項1乃至4の何れかに記載の入力装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、押圧操作される方向に移動可能なスライド部材と、スライド部材の移動をガイドするスライドガイド部と、スライド部材によって押圧されるスイッチ部とを備えた入力装置が知られている(特許文献1参照。)。この入力装置では、スライド部材に第1磁石が取り付けられ、スライドガイド部に第2磁石が取り付けられている。そして、第1磁石と第2磁石は、押圧操作が行われていないときに、隙間を隔てて互いに吸引し合う位置に配置されている。この構成により、上記入力装置は、押圧操作が行われていないときのスライド部材のガタつきが抑制されるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-045608号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記入力装置では、第1磁石と第2磁石とが常に隙間を隔てて配置されている。そのため、可動部材としてのスライド部材のガタつきを無くすことができないおそれがある。
【0005】
そこで、可動部材のガタつきをより確実に抑えることができる入力装置を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態に係る入力装置は、操作力を受ける可動部材と、前記可動部材を、操作力を受けていない中立位置から第1操作方向、及び前記第1操作方向とは反対方向の第2操作方向に移動可能に保持する固定部材と、前記可動部材の移動によりオン状態とオフ状態とが切り換わるスイッチと、前記固定部材に取り付けられた第1磁性体と、前記可動部材と共に移動する第2磁性体と、前記可動部材が操作力を受けていない状態で前記第1磁性体及び前記第2磁性体のそれぞれと磁力により吸着しあい、前記可動部材が前記第1操作方向に操作力を受けている状態で前記第1磁性体及び前記第2磁性体の何れか一方と接触するように配置され、前記可動部材が前記第2操作方向に操作力を受けている状態で前記第1磁性体及び前記第2磁性体の何れか他方と接触するように配置されている第3磁性体と、を備え、前記第1磁性体、前記第2磁性体及び前記第3磁性体の少なくとも1つは磁石である。
【発明の効果】
【0007】
上述の手段により、可動部材のガタつきをより確実に抑えることができる入力装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1A】入力装置の上面図である。
図1B】入力装置の断面図である。
図2】入力装置の上面図である。
図3】押し込み操作が行われたときの入力装置の断面図である。
図4】引っ張り操作が行われたときの入力装置の断面図である。
図5A】入力装置の別の構成例の断面図である。
図5B】押し込み操作が行われたときの図5Aの入力装置の断面図である。
図5C】引っ張り操作が行われたときの図5Aの入力装置の断面図である。
図6】入力装置の更に別の構成例を示す図である。
図7】入力装置の更に別の構成例を示す図である。
図8】入力装置の更に別の構成例を示す図である。
図9】入力装置の更に別の構成例を示す図である。
図10A】入力装置の更に別の構成例の上面図である。
図10B図10Aの入力装置の正面図である。
図10C1】第1磁性体、第2磁性体及び第3磁性体の状態を示す図である。
図10C2】第1磁性体、第2磁性体及び第3磁性体の状態を示す図である。
図10C3】第1磁性体、第2磁性体及び第3磁性体の状態を示す図である。
図11A】入力装置の更に別の構成例の上面図である。
図11B図11Aの入力装置の正面図である。
図11C1】第1磁性体、第2磁性体及び第3磁性体の状態を示す図である。
図11C2】第1磁性体、第2磁性体及び第3磁性体の状態を示す図である。
図11C3】第1磁性体、第2磁性体及び第3磁性体の状態を示す図である。
図12】入力装置の更に別の構成例の断面図である。
図13】入力装置の更に別の構成例の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態に係る入力装置100について図面を参照して説明する。図1A及び図1Bは、入力装置100の構成例を示す概略図である。具体的には、図1Aは、入力装置100の上面図である。図1Bは、図1Aにおける一点鎖線L1を含むXZ平面を-Y側から見た断面図である。
【0010】
入力装置100は、複数の操作方向に操作できるように構成されている。本実施形態では、入力装置100は、上方(+Z方向)への引っ張り操作と、下方(-Z方向)への押し込み操作とを操作者が実現できるように構成されている。入力装置100は、例えば、車両のセンターコンソールに配置され、エアコン等の操作に利用される。
【0011】
具体的には、入力装置100は、主に、操作部材10、スライド部材11、筐体12、第1磁性体13、第2磁性体14、第3磁性体15、スイッチ機構20、第1スイッチ21及び第2スイッチ22を含む。そして、入力装置100は、押し込み操作が行われた場合に第1スイッチ21がオン状態となり、引っ張り操作が行われた場合に第2スイッチ22がオン状態となるように構成されている。
【0012】
操作部材10は、可動部材の一部であり、操作力を受けることができるように構成されている。本実施形態では、操作部材10は、軸CAを中心軸とする円筒形状を有する。そして、操作者が上面(+Z側の面)を押し込むことができるように、且つ、操作者が円筒面をつまんで引き上げることができるように構成されている。但し、操作部材10は、多角柱形状又は楕円筒形状等の他の形状を有していてもよい。また、操作部材10は、押し込み操作が行われたときに下限位置に移動し、引っ張り操作が行われたときに上限位置に移動し、押し込み操作も引っ張り操作も行われていないときに中立位置で静止するように構成されている。
【0013】
スライド部材11は、可動部材の一部であり、操作力に応じて移動できるように構成されている。本実施形態では、スライド部材11は、結合部11a、係合部11b及び連結部11cを含み、押し込み操作及び引っ張り操作が行われる方向、すなわち、Z軸方向にスライドできるように構成されている。
【0014】
結合部11aは、操作部材10に結合されるように構成されている。本実施形態では、結合部11aは、スナップフィット構造を介して操作部材10に結合される。但し、結合部11aは、他の結合構造を介して操作部材10に結合されていてもよく、接着剤を用いて操作部材10に結合されていてもよい。また、結合部11aすなわちスライド部材11は、操作部材10と一体的に形成されていてもよい。
【0015】
係合部11bは、筐体12に関して移動可能に係合するように構成されている。本実施形態では、係合部11bは、筐体12の内部に形成されている筒状のガイド部12aの内壁面に関して操作方向(Z軸方向)にスライド可能に係合するように構成されている。但し、ガイド部12aの外壁面に関して操作方向にスライド可能に係合するように構成されていてもよい。
【0016】
連結部11cは、スイッチ機構20に連結されるように構成されている。本実施形態では、連結部11cは、押し込み操作が行われたときに第1スイッチ21がオン状態となるように、且つ、引っ張り操作が行われたときに第2スイッチ22がオン状態となるようにスイッチ機構20を動作させることができるように構成されている。具体的には、連結部11cは、結合部11aの下面から下方に延びる2本の柱部材で構成されている。連結部11cとスイッチ機構20との連結の詳細については後述する。
【0017】
筐体12は、可動部材を複数の操作方向に移動可能に保持する固定部材として機能するように構成されている。本実施形態では、筐体12は、略直方体形状を有し、ガイド部12a及び支持部12bを含むように構成されている。
【0018】
ガイド部12aは、上述の通り、スライド部材11の係合部11bと係合するように構成されている。本実施形態では、図2に示すような軸CAを中心軸とする円筒形状を有する。なお、図2は、図1Aの入力装置100の上面図であり、操作部材10及びスライド部材11の図示が省略されている。但し、ガイド部12aは、スライド部材11の係合部11bと係合できるのであれば、他の形状を有していてもよい。例えば、角筒形状等の他の筒形状を有していてもよい。また、複数の独立した部分円筒形状の組み合わせであってもよく、複数の柱形状の組み合わせであってもよい。
【0019】
ガイド部12aは、スライド部材11の係合部11bが軸CA回りに回転するのを防止するように構成されていてもよい。具体的には、ガイド部12aは、Z軸方向に延びる溝又はリブを円筒内壁に備えていてもよい。この場合、係合部11bは、ガイド部12aの溝又はリブと嵌合するように形成されたリブ又は溝を円筒外壁に有していてもよい。但し、ガイド部12aは、スライド部材11の係合部11bが軸CA回りに回転できるように構成されていてもよい。
【0020】
支持部12bは、第1磁性体13を支持するように構成されている。本実施形態では、支持部12bは、図1Bに示すように、筐体12の上面12t(+Z側の面)から上方(+Z方向)に突出するように形成され、上端部で第1磁性体13を支持するように構成されている。具体的には、支持部12bは、図2に示すように、軸CAを中心軸とする円筒形状を有する。但し、支持部12bは、第1磁性体13を支持できるのであれば、他の形状を有していてもよい。例えば、角筒形状等の他の筒形状を有していてもよい。また、複数の独立した部分円筒形状の組み合わせであってもよく、複数の柱形状の組み合わせであってもよい。
【0021】
第1磁性体13は、固定部材に取り付けられる磁性体である。本実施形態では、第1磁性体13は金属磁性体である。具体的には、第1磁性体13は、図2に示すような軸CAを中心軸とする円筒形状を有する鉄製の板材であり、図1Bに示すように筐体12における支持部12bの上端部に形成された凹部に嵌め込まれている。但し、第1磁性体13は、接着剤で固定部材に固定されていてもよく、他の固定方法で固定されていてもよい。また、第1磁性体13は、円筒形状以外の他の形状を有していてもよい。また、第1磁性体13は、貫通孔を有する板状部材で構成されているが、貫通孔を有さない板状部材で構成されていてもよい。
【0022】
第2磁性体14は、可動部材と共に移動する磁性体である。本実施形態では、第2磁性体14は金属磁性体である。具体的には、第2磁性体14は、図2に示すような軸CAを中心軸とする円筒形状を有する鉄製の板材であり、図1Bに示すようにスライド部材11における結合部11aに接着剤で固定されている。但し、第2磁性体14は、可動部材に形成された凹部に嵌め込まれていてもよく、他の固定方法で固定されていてもよい。また、第2磁性体14は、円筒形状以外の他の形状を有していてもよい。また、第2磁性体14は、貫通孔を有する板状部材で構成されているが、貫通孔を有さない板状部材で構成されていてもよい。なお、本実施形態では、第2磁性体14は、第1磁性体13の貫通孔の内側に配置されている。
【0023】
第3磁性体15は、可動部材が操作力を受けていない状態で第1磁性体13及び第2磁性体14のそれぞれと接触し、可動部材が操作力を受けている状態で第1磁性体13及び第2磁性体14の何れかと接触するように配置される磁性体である。本実施形態では、第3磁性体15は磁石である。具体的には、第3磁性体15は、図2に示すような軸CAを中心軸とする円筒形状を有する永久磁石であり、図1Bに示すように、第1磁性体13及び第2磁性体14のそれぞれの下面(-Z側の面)に吸着できるように配置されている。但し、第3磁性体15は、電磁石等の一時磁石であってもよい。なお、図1Bは、操作部材10が操作力を受けていないため第3磁性体15が第1磁性体13及び第2磁性体14のそれぞれに吸着している状態、すなわち、可動部材としての操作部材10及びスライド部材11のガタつきが発生しない状態を示す。
【0024】
本実施形態では、第3磁性体15は、軸方向及び径方向の何れにも移動できるように構成されているが、径方向の移動が制限されるように構成されていてもよい。例えば、筐体12は、第3磁性体15の径方向の移動を制限するガイド部を有していてもよい。軸方向についても同様である。
【0025】
第3磁性体15を構成する永久磁石は、望ましくは、上下方向(Z軸方向)に着磁されている。例えば、上部がN極で下部がS極となるように、或いは、上部がS極で下部がN極となるように着磁され且つ配置されている。
【0026】
第1磁性体13と第3磁性体15との接触面CS1と、第2磁性体14と第3磁性体15との接触面CS2とは略同一平面上に位置するように構成されている。具体的には、接触面CS1と接触面CS2は同一の水平面上に位置するように構成されている。但し、同一平面は、水平面に対して傾斜する傾斜面であってもよい。
【0027】
また、接触面CS1及び接触面CS2は何れも可動部材の移動方向に垂直となるように構成されている。すなわち、2つの磁性体が一面で接触するように構成されている。この構成は、2つの磁性体が接触する際、或いは、2つの磁性体が分離する際に、それら2つの磁性体が互いに擦れ合うのを抑制或いは防止できる。但し、接触面CS1及び接触面CS2は、2つの磁性体が接触する際、或いは、2つの磁性体が分離する際に、それら2つの磁性体が互いに擦れ合うように構成されていてもよい。例えば、接触面CS1及び接触面CS2の少なくとも一方は、階段状となるように構成されていてもよい。すなわち、2つの磁性体が二面で接触するように構成されていてもよい。具体的には、2つの磁性体が、可動部材の移動方向である軸CAの方向に垂直な面と軸CAの方向に平行な面の二面で接触するように構成されていてもよい。この場合、軸CAの方向に平行な面は、第3磁性体15の周方向に延びる曲面であってもよく、第3磁性体15の径方向に延びる平面であってもよい。
【0028】
第1磁性体13及び第2磁性体14の少なくとも一方と第3磁性体15との間には弾性部材が配置されていてもよい。弾性部材は、例えば、磁性体であってもよく、透磁性を有する非磁性体であってもよい。弾性部材は、例えば、薄い弾性シートであり、接触面CS1及び接触面CS2の少なくとも一方を構成するように配置される。弾性シートは、例えば、関連する2つの磁性体の少なくとも一方に接着剤で貼り付けられる。第1磁性体13、第2磁性体14及び第3磁性体15の少なくとも1つは、弾性を有する磁性体で構成されていてもよい。
【0029】
また、図1Bの構成では、第1磁性体13及び第2磁性体14が磁石で、第3磁性体15が金属磁性体であってもよく、第1磁性体13、第2磁性体14及び第3磁性体15の全てが磁石であってもよい。
【0030】
スイッチ機構20は、可動部材の移動に応じてスイッチのオン状態とオフ状態を切り換えることができるように構成されている。本実施形態では、スイッチ機構20は、スイッチアクチュエータ20a、支持部材20b、揺動軸20c、連結軸20d、第1ドーム状部材20e及び第2ドーム状部材20fを含む。
【0031】
スイッチアクチュエータ20aは、可動部材の動きに連動してスイッチのオン状態とオフ状態とを切り換える機構である。本実施形態では、スイッチアクチュエータ20aは、支持部材20bに支持された揺動軸20cの回りを揺動するように構成されている。また、スイッチアクチュエータ20aは、第1ドーム状部材20eを押し込むことができるように構成された第1突出部20a1と、第2ドーム状部材20fを押し込むことができるように構成された第2突出部20a2とを有する。
【0032】
支持部材20bは、揺動軸20cを支持するように構成されている。本実施形態では、支持部材20bは、図1B及び図2に示すように、筐体12の底面から上方に延びる2本の柱部材で構成されている。
【0033】
揺動軸20cは、スイッチアクチュエータ20aを揺動可能に支持するように構成されている。本実施形態では、揺動軸20cは、スイッチアクチュエータ20aと支持部材20bを構成する2本の柱部材のそれぞれとに形成された3つの貫通孔に挿通される。
【0034】
連結軸20dは、スイッチアクチュエータ20aをスライド部材11に連結するように構成されている。本実施形態では、連結軸20dは、スライド部材11の連結部11cを構成する2本の柱部材のそれぞれとスイッチアクチュエータ20aとに形成された3つの貫通孔に挿通される。
【0035】
第1ドーム状部材20eは、操作部材10が押し込み操作されたときに操作部材10を中立位置に戻す付勢部材として機能するように構成されている。本実施形態では、第1ドーム状部材20eは、ラバードームであり、操作部材10が押し込み操作されてスイッチアクチュエータ20aの第1突出部20a1が接触すると下方に凹むように構成されている。そのため、第1ドーム状部材20eは、第1スイッチ21がオフ状態からオン状態に切り換わるときに、操作者にクリック感を与えることができる。また、第1ドーム状部材20eは、凹んだ部分が元に戻ろうとするため、操作部材10を中立位置に戻そうとする復元力を発生させることができる。第1ドーム状部材20eは、メタルドームであってもよい。
【0036】
第2ドーム状部材20fは、操作部材10が引っ張り操作されたときに操作部材10を中立位置に戻す付勢部材として機能するように構成されている。本実施形態では、第2ドーム状部材20fは、ラバードームであり、操作部材10が引っ張り操作されてスイッチアクチュエータ20aの第2突出部20a2が接触すると下方に凹むように構成されている。そのため、第2ドーム状部材20fは、第2スイッチ22がオフ状態からオン状態に切り換わるときに、操作者にクリック感を与えることができる。また、第2ドーム状部材20fは、凹んだ部分が元に戻ろうとするため、操作部材10を中立位置に戻そうとする復元力を発生させることができる。第2ドーム状部材20fは、メタルドームであってもよい。
【0037】
第1スイッチ21は、可動部材の移動によりオン状態とオフ状態とが切り換わるように構成されている。本実施形態では、第1スイッチ21は、図1Bに示すように、可動接点21a及び固定接点21bを含むタクタイルスイッチである。そして、第1スイッチ21は、操作部材10が操作力を受けていない状態でオフ状態、すなわち、可動接点21aと固定接点21bとが離間した状態となる。また、第1スイッチ21は、操作部材10が押し込み力を受けるとオン状態、すなわち、可動接点21aと固定接点21bとが接触した状態となる。
【0038】
第2スイッチ22は、第1スイッチ21と同様に、可動部材の移動によりオン状態とオフ状態とが切り換わるように構成されている。本実施形態では、第2スイッチ22は、図1Bに示すように、可動接点22a及び固定接点22bを含むタクタイルスイッチである。そして、第2スイッチ22は、操作部材10が操作力を受けていない状態でオフ状態、すなわち、可動接点22aと固定接点22bとが離間した状態となる。また、第2スイッチ22は、操作部材10が引っ張り力を受けるとオン状態、すなわち、可動接点22aと固定接点22bとが接触した状態となる。
【0039】
次に、図3を参照し、操作部材10が押し込み力を受けたときの入力装置100の動きについて説明する。図3は、押し込み操作が行われたときの入力装置100の断面図である。
【0040】
図3の矢印AR1で示すような押し込み力を操作部材10が受けると、スライド部材11は、矢印AR2で示すように下方に移動する。そのため、スライド部材11に取り付けられた第2磁性体14は、矢印AR3で示すように下方に移動し、更に、第2磁性体14に吸着している第3磁性体15も矢印AR4で示すように下方に移動する。その結果、第3磁性体15は、第2磁性体14に吸着したまま、第1磁性体13から離れて下方に移動する。
【0041】
スライド部材11における連結部11cは、矢印AR5で示すように、スライド部材11の下方への移動と共に下方へ移動し、矢印AR6で示す方向にスイッチアクチュエータ20aを揺動させる。
【0042】
スイッチアクチュエータ20aの第1突出部20a1は、矢印AR7で示すように、第1ドーム状部材20eを押し潰し、可動接点21aと固定接点21bとを接触させて第1スイッチ21をオン状態にする。
【0043】
押し潰された第1ドーム状部材20eは、上向きの復元力、すなわち、可動部材としての操作部材10を中立位置に戻そうとする力を発生させる。そのため、操作者が操作部材10から手を離すと、操作部材10は上方へ移動して中立位置に戻る。
【0044】
次に、図4を参照し、操作部材10が引っ張り力を受けたときの入力装置100の動きについて説明する。図4は、引っ張り操作が行われたときの入力装置100の断面図である。
【0045】
図4の矢印AR11で示すような引っ張り力を操作部材10が受けると、スライド部材11は、矢印AR12で示すように上方に移動する。そのため、スライド部材11に取り付けられた第2磁性体14は、矢印AR13で示すように、第3磁性体15から離れて上方に移動する。第3磁性体15は、第1磁性体13に吸着したままで移動しない。
【0046】
スライド部材11における連結部11cは、矢印AR14で示すように、スライド部材11の上方への移動と共に上方へ移動し、矢印AR15で示す方向にスイッチアクチュエータ20aを揺動させる。
【0047】
スイッチアクチュエータ20aの第2突出部20a2は、矢印AR16で示すように、第2ドーム状部材20fを押し潰し、可動接点22aと固定接点22bとを接触させて第2スイッチ22をオン状態にする。
【0048】
押し潰された第2ドーム状部材20fは、上向きの復元力、すなわち、可動部材としての操作部材10を中立位置に戻そうとする力を発生させる。そのため、操作者が操作部材10から手を離すと、操作部材10は下方へ移動して中立位置に戻る。
【0049】
以上の構成により、入力装置100は、押し込み操作が行われたときに第1スイッチ21をオン状態にでき、引っ張り操作が行われたときに第2スイッチ22をオン状態にできる。その上で、入力装置100は、押し込み操作も引っ張り操作も行われていないときに第1スイッチ21及び第2スイッチ22をオフ状態とし、且つ、第3磁性体15を第1磁性体13及び第2磁性体14のそれぞれに吸着させることで可動部材のガタつきをより確実に抑えることができる。
【0050】
また、入力装置100は、第3磁性体15のみを磁石とするだけで、中立位置にある可動部材のガタつきを確実に抑えることができる。そのため、第1磁性体13、第2磁性体14及び第3磁性体15のうちの2つ以上を磁石とする場合に比べ、製造コストを低減させることができる。
【0051】
次に、図5A図5Cを参照し、入力装置100の別の構成例である入力装置100Aについて説明する。図5A図5Cは、入力装置100Aの構成例を示す図である。具体的には、図5Aは、押し付け操作も引っ張り操作も行われていないときの状態を示し、図1Bに対応する。図5Bは、押し付け操作が行われているときの状態を示し、図3に対応する。図5Cは、引っ張り操作が行われているときの状態を示し、図4に対応する。
【0052】
入力装置100Aは、第3磁性体15が第1磁性体13及び第2磁性体14のそれぞれの上面(+Z側の面)に吸着できるように配置されている点で、入力装置100と異なるが、その他の点で共通する。そのため、共通部分の説明を省略し、相違部分のみを詳細に説明する。なお、入力装置100は、図1Bに示すように、第3磁性体15が第1磁性体13及び第2磁性体14のそれぞれの下面(-Z側の面)に吸着できるように配置されている。
【0053】
入力装置100Aでは、第1磁性体13、第2磁性体14及び第3磁性体15の少なくとも1つが磁石であればよい。例えば、第1磁性体13が磁石で、第2磁性体14及び第3磁性体15が金属磁性体であってもよく、第2磁性体14が磁石で、第1磁性体13及び第3磁性体15が金属磁性体であってもよい。或いは、第1磁性体13及び第2磁性体14が磁石で、第3磁性体15が金属磁性体であってもよく、第1磁性体13、第2磁性体14及び第3磁性体15の全てが磁石であってもよい。
【0054】
最初に、図5Bを参照し、操作部材10が押し込み力を受けたときの入力装置100Aの動きについて説明する。図5Bは、押し込み操作が行われたときの入力装置100Aの断面図である。
【0055】
図5Bの矢印AR21で示すような押し込み力を操作部材10が受けると、スライド部材11は、矢印AR22で示すように下方に移動する。そのため、スライド部材11に取り付けられた第2磁性体14は、矢印AR23で示すように、第3磁性体15から離れて下方に移動する。第3磁性体15は、第1磁性体13に吸着したままで移動しない。
【0056】
スライド部材11における連結部11cは、矢印AR24で示すように、スライド部材11の下方への移動と共に下方へ移動し、矢印AR25で示す方向にスイッチアクチュエータ20aを揺動させる。
【0057】
スイッチアクチュエータ20aの第1突出部20a1は、矢印AR26で示すように、第1ドーム状部材20eを押し潰し、可動接点21aと固定接点21bとを接触させて第1スイッチ21をオン状態にする。
【0058】
押し潰された第1ドーム状部材20eは、上向きの復元力、すなわち、可動部材としての操作部材10を中立位置に戻そうとする力を発生させる。そのため、操作者が操作部材10から手を離すと、操作部材10は上方へ移動して中立位置に戻る。
【0059】
次に、図5Cを参照し、操作部材10が引っ張り力を受けたときの入力装置100Aの動きについて説明する。図5Cは、引っ張り操作が行われたときの入力装置100Aの断面図である。
【0060】
図5Cの矢印AR31で示すような引っ張り力を操作部材10が受けると、スライド部材11は、矢印AR32で示すように上方に移動する。そのため、スライド部材11に取り付けられた第2磁性体14は、矢印AR33で示すように上方に移動し、更に、第2磁性体14に吸着している第3磁性体15も矢印AR34で示すように上方に移動する。その結果、第3磁性体15は、第2磁性体14に吸着したまま、第1磁性体13から離れて上方に移動する。
【0061】
スライド部材11における連結部11cは、矢印AR35で示すように、スライド部材11の上方への移動と共に上方へ移動し、矢印AR36で示す方向にスイッチアクチュエータ20aを揺動させる。
【0062】
スイッチアクチュエータ20aの第2突出部20a2は、矢印AR37で示すように、第2ドーム状部材20fを押し潰し、可動接点22aと固定接点22bとを接触させて第2スイッチ22をオン状態にする。
【0063】
押し潰された第2ドーム状部材20fは、上向きの復元力、すなわち、可動部材としての操作部材10を中立位置に戻そうとする力を発生させる。そのため、操作者が操作部材10から手を離すと、操作部材10は下方へ移動して中立位置に戻る。
【0064】
以上の構成により、入力装置100Aは、入力装置100の場合と同様に、押し込み操作が行われたときに第1スイッチ21をオン状態にでき、引っ張り操作が行われたときに第2スイッチ22をオン状態にできる。その上で、入力装置100Aは、押し込み操作も引っ張り操作も行われていないときに第1スイッチ21及び第2スイッチ22をオフ状態とし、且つ、第3磁性体15を第1磁性体13及び第2磁性体14のそれぞれに吸着させることで可動部材のガタつきをより確実に抑えることができる。
【0065】
次に、図6図9を参照し、入力装置100の更に別の構成例である入力装置100B~100Eについて説明する。図6図9は、入力装置100B~100Eの上面図であり、図2に対応する。図6図9では、操作部材10及びスイッチ機構20の図示が省略されている。
【0066】
入力装置100B~100Eは、第1磁性体13、第2磁性体14及び第3磁性体15のそれぞれの形状の点で、図2の入力装置100と異なるが、その他の点で共通する。そのため、共通部分の説明を省略し、相違部分を詳細に説明する。なお、図6図9のそれぞれに示す磁性体の形状に関する特徴は、図5Aの入力装置100Aにも同様に適用され得る。
【0067】
図6の入力装置100Bでは、第1磁性体13及び第2磁性体14のそれぞれが4つの部材で構成されている。第3磁性体15は、入力装置100の場合と同様に円筒形状を有する。具体的には、第1磁性体13は、軸CA周りに等角度間隔(例えば45度間隔)に配置された第1左磁性体13L、第1上磁性体13U、第1右磁性体13R及び第1下磁性体13Dを含む。同様に、第2磁性体14は、軸CA周りに等角度間隔(例えば45度間隔)に配置された第2左磁性体14L、第2上磁性体14U、第2右磁性体14R及び第2下磁性体14Dを含む。これら8つの磁性体は何れも、中心角α(例えば45度)の部分円筒形状を有する。但し、各磁性体に関する中心角は互いに異なる大きさであってもよい。例えば、第1左磁性体13Lに関する中心角は、第2左磁性体14Lに関する中心角より大きい角度であってもよい。
【0068】
入力装置100Bは、第1磁性体13及び第2磁性体14のそれぞれが、部分円筒形状を有する1つの部材で構成されていてもよく、部分円筒形状を有する2つ、3つ又は5つ以上の部材で構成されていてもよい。また、各磁性体の中心角αはそれぞれ異なっていてもよい。また、各磁性体の角度間隔はそれぞれ異なっていてもよい。
【0069】
この構成により、入力装置100Bは、入力装置100よりも小さい第1磁性体13及び第2磁性体14を用いて入力装置100と同じ機能を実現できる。そのため、製造コストを更に低減させることができる。
【0070】
図7の入力装置100Cでは、第1磁性体13、第2磁性体14及び第3磁性体15のそれぞれが2つの部材で構成されている。具体的には、第1磁性体13は、軸CAに対称に配置された第1左磁性体13L及び第1右磁性体13Rを含み、第2磁性体14は、軸CAに対称に配置された第2左磁性体14L及び第2右磁性体14Rを含み、第3磁性体15は、軸CAに対称に配置された第3左磁性体15L及び第3右磁性体15Rを含む。これら6つの磁性体は何れも、中心角α(例えば45度)の部分円筒形状を有する。
【0071】
入力装置100Cは、第1磁性体13、第2磁性体14及び第3磁性体15のそれぞれが、部分円筒形状を有する1つの部材で構成されていてもよく、部分円筒形状を有する3つ以上の部材で構成されていてもよい。また、各磁性体の中心角αはそれぞれ異なっていてもよい。また、各磁性体の角度間隔はそれぞれ異なっていてもよい。
【0072】
この構成により、入力装置100Cは、入力装置100Bよりも小さい第3磁性体15を用いて入力装置100と同じ機能を実現できる。そのため、製造コストを更に低減させることができる。
【0073】
図8の入力装置100Dでは、第1磁性体13、第2磁性体14及び第3磁性体15のそれぞれが2つの矩形部材で構成されている。具体的には、第1磁性体13は、軸CAに対称に配置された第1左磁性体13L及び第1右磁性体13Rを含み、第2磁性体14は、軸CAに対称に配置された第2左磁性体14L及び第2右磁性体14Rを含み、第3磁性体15は、軸CAに対称に配置された第3左磁性体15L及び第3右磁性体15Rを含む。これら6つの磁性体は何れも矩形形状を有する。そして、第1左磁性体13L、第1右磁性体13R、第2左磁性体14L及び第2右磁性体14Rが同じ寸法を有するように構成され、第3左磁性体15L及び第3左磁性体15Lが同じ寸法を有するように構成されている。6つの磁性体が同じ寸法を有するように構成されていてもよい。但し、6つの磁性体のそれぞれは、幅(X軸方向の長さ)、高さ(Z軸方向の長さ)及び奥行き(Y軸方向の長さ)のうちの少なくとも1つが異なるように構成されていてもよい。
【0074】
この構成により、入力装置100Dは、円筒形状又は部分円筒形状よりも単純な形状を有する磁性体を用いて入力装置100と同じ機能を実現できる。また、共通の矩形形状を有する第1磁性体13、第2磁性体14及び第3磁性体15を用いて入力装置100と同じ機能を実現できる。そのため、製造コストを更に低減させることができる。
【0075】
図9の入力装置100Eでは、第1磁性体13、第2磁性体14及び第3磁性体15のそれぞれが2つの部材で構成されている。具体的には、第1磁性体13は、軸CAに対称に配置された第1左磁性体13L及び第1右磁性体13Rを含む。第2磁性体14は、軸CAに対称に配置された第2左磁性体14L及び第2右磁性体14Rを含む。第3磁性体15は、軸CAに対称に配置された第3左磁性体15L及び第3右磁性体15Rを含む。これら6つの磁性体は、何れも部分円筒形状を有し、且つ、同じ寸法を有するように構成されている。
【0076】
この構成により、入力装置100Eは、共通の部分円筒形状及び寸法を有する第1磁性体13、第2磁性体14及び第3磁性体15を用いて入力装置100と同じ機能を実現できる。そのため、製造コストを更に低減させることができる。但し、第3磁性体15は、複数の矩形部材で構成されていてもよく、1つの円筒部材で構成されていてもよい。
【0077】
次に、図10A図10B及び図10C1図10C3を参照し、入力装置100の更に別の構成例である入力装置100Fについて説明する。図10Aは入力装置100Fの上面図であり、図10Bは入力装置100Fの正面図である。
【0078】
入力装置100Fは、主に、水平面に沿って複数の操作方向に操作できるように構成されている点で、鉛直軸に沿って複数の操作方向に操作できるように構成されている図1Bの入力装置100とは異なる。具体的には、入力装置100Fは、右方(+X方向)への押し込み操作と、左方(-X方向)への押し込み操作とを操作者が実現できるように構成されている。
【0079】
そして、図10C1は、操作部材10が操作力を受けていないときの3つの磁性体(第1磁性体13、第2磁性体14及び第3磁性体15)の状態を示す。図10C2は、操作部材10が右向き(矢印AR41で示す向き)の操作力を受けているときの3つの磁性体の状態を示し、図10C3は、操作部材10が左向き(矢印AR42で示す向き)の操作力を受けているときの3つの磁性体の状態を示す。図10C2及び図10C3のそれぞれにおける破線は、操作部材10が操作力を受けていないとき、すなわち、操作部材10が中立位置にあるときの磁性体の位置を表している。図10A図10B及び図10C1図10C3の例では、第1磁性体13及び第2磁性体14は鉄製の板材であり、第3磁性体15は永久磁石である。但し、第3磁性体15は、電磁石等の一時磁石であってもよい。
【0080】
操作部材10が操作力を受けていない場合、第3磁性体15は、図10C1に示すように、第1磁性体13及び第2磁性体14のそれぞれに吸着した状態にある。
【0081】
操作部材10が右向き(矢印AR41で示す向き)の操作力を受けると、図10C2に示すように、可動部材としての操作部材10に取り付けられた第2磁性体14は、第3磁性体15から離れて操作部材10と共に右方へ移動する。第3磁性体15は、固定部材としての筐体12に取り付けられた第1磁性体13に吸着したままで移動しない。
【0082】
操作部材10が左向き(矢印AR42で示す向き)の操作力を受けると、図10C3に示すように、第2磁性体14は、操作部材10と共に左方へ移動し、第3磁性体15を左方へ押して移動させる。その結果、第3磁性体15は、第1磁性体13から離れて第2磁性体14と共に左方へ移動する。
【0083】
このように、入力装置100Fは、操作部材10が上下方向ではなく左右方向に操作される場合であっても、3つの磁性体を用いて入力装置100と同じ機能を実現できる。すなわち、右方への押し込み操作が行われたときに不図示の第1スイッチをオン状態にでき、左方への押し込み操作が行われたときに不図示の第2スイッチをオン状態にできる。その上で、入力装置100Fは、右方への押し込み操作も左方への押し込み操作も行われていないときに第1スイッチ及び第2スイッチをオフ状態とし、且つ、第3磁性体15を第1磁性体13及び第2磁性体14のそれぞれに吸着させることで可動部材のガタつきをより確実に抑えることができる。
【0084】
次に、図11A図11B及び図11C1図11C3を参照し、入力装置100の別の構成例である入力装置100Gについて説明する。図11Aは入力装置100Gの上面図であり、図11Bは入力装置100Gの正面図である。
【0085】
入力装置100Gは、主に、揺動軸PSに関して操作部材10を複数の方向に揺動操作できるように構成されている点で、鉛直軸に沿って複数の操作方向に直線的に操作できるように構成されている図1Bの入力装置100とは異なる。具体的には、入力装置100Gは、時計回りの揺動操作と、反時計回りの揺動操作とを操作者が実現できるように構成されている。
【0086】
そして、図11C1は、操作部材10が操作力を受けていないときの3つの磁性体(第1磁性体13、第2磁性体14及び第3磁性体15)の状態を示す。図11C2は、操作部材10が時計回り(矢印AR51で示す向き)の操作力を受けているときの3つの磁性体の状態を示し、図11C3は、操作部材10が反時計回り(矢印AR52で示す向き)の操作力を受けているときの3つの磁性体の状態を示す。図11C2及び図11C3のそれぞれにおける破線は、操作部材10が操作力を受けていないとき、すなわち、操作部材10が中立位置にあるときの磁性体の位置を表している。図11A図11B及び図11C1図11C3の例では、第1磁性体13及び第2磁性体14は鉄製の板材であり、第3磁性体15は永久磁石である。但し、第3磁性体15は、電磁石等の一時磁石であってもよい。
【0087】
操作部材10が操作力を受けていない場合、第3磁性体15は、図11C1に示すように、第1磁性体13及び第2磁性体14のそれぞれに吸着した状態にある。
【0088】
操作部材10が時計回り(矢印AR51で示す向き)の操作力を受けると、図11C2に示すように、可動部材としての操作部材10に取り付けられた第2磁性体14は、第3磁性体15から離れて操作部材10と共に時計回りに揺動する。第3磁性体15は、固定部材としての筐体12に取り付けられた第1磁性体13に吸着したままで移動しない。
【0089】
操作部材10が反時計回り(矢印AR52で示す向き)の操作力を受けると、図11C3に示すように、第2磁性体14は、操作部材10と共に反時計回りに揺動し、第3磁性体15を反時計回りに押して移動させる。その結果、第3磁性体15は、第1磁性体13から離れて第2磁性体14と共に反時計回りに移動する。
【0090】
このように、入力装置100Gは、操作部材10が直線的な操作ではなく揺動操作される場合であっても、3つの磁性体を用いて入力装置100と同じ機能を実現できる。すなわち、右方への揺動操作が行われたときに不図示の第1スイッチをオン状態にでき、左方への揺動操作が行われたときに不図示の第2スイッチをオン状態にできる。その上で、入力装置100Gは、右方への揺動操作も左方への揺動操作も行われていないときに第1スイッチ及び第2スイッチをオフ状態とし、且つ、第3磁性体15を第1磁性体13及び第2磁性体14のそれぞれに吸着させることで可動部材のガタつきをより確実に抑えることができる。
【0091】
上述のように、本発明の実施形態に係る入力装置100(以下では、入力装置100A~100Gを含む。)は、操作力を受ける可動部材としての操作部材10と、操作部材10を複数の操作方向に移動可能に保持する固定部材としての筐体12と、操作部材10の移動によりオン状態とオフ状態とが切り換わる第1スイッチ21及び第2スイッチ22と、筐体12に取り付けられた第1磁性体13と、操作部材10と共に移動する第2磁性体14と、操作部材10が操作力を受けていない状態で第1磁性体13及び第2磁性体14のそれぞれと接触し、操作部材10が操作力を受けている状態で第1磁性体13及び第2磁性体14の何れかと接触するように配置されている第3磁性体15と、を備えている。そして、第1磁性体13、第2磁性体14及び第3磁性体15の少なくとも1つは磁石である。この構成により、入力装置100は、操作部材10が操作力を受けていないときの操作部材10のガタつきをより確実に抑えることができる。
【0092】
また、この構成は、第1磁性体13、第2磁性体14及び第3磁性体15の少なくとも1つを構成する磁石の磁力を、第1スイッチ21及び第2スイッチ22のそれぞれのプレテンションとして機能させることができる。そのため、磁石の磁力を調整することでプレテンションの大きさを調整できる。また、この構成は、磁石の磁力を入力装置100の操作を妨げる力として機能させることができる。そのため、磁石の磁力を調整することで操作荷重(操作部材10を操作するために必要な力)の大きさを調整できる。
【0093】
第3磁性体15は、望ましくは、可動部材としてのスライド部材11と固定部材としての筐体12の間に配置されている。そして、第1磁性体13と第3磁性体15との接触面CS1と、第2磁性体14と第3磁性体15との接触面CS2とは略同一平面上に位置している。この構成により、第2磁性体14は、例えば図2に示すように、第1磁性体13の貫通孔の内側に配置される。そのため、第1磁性体13、第2磁性体14及び第3磁性体15の配置に関する空間効率を高めることができる。すなわち、第1磁性体13、第2磁性体14及び第3磁性体15は、狭い空間にコンパクトに収められる。その結果、入力装置100の小型化が実現され得る。また、第1磁性体13、第2磁性体14及び第3磁性体15は、単純な鉄板等にプレス加工を施すことで安価に製造され得る。
【0094】
第1磁性体13、第2磁性体14及び第3磁性体15の少なくとも1つを構成する磁石は、例えば、可動部材の移動方向に沿って異なる磁極を有するように着磁された環状の磁石である。具体的には、図1Bに示すように、Z軸方向に沿って異なる磁極を有するように着磁された環状の永久磁石である。より具体的には、永久磁石は、軸方向異方性磁石としてのプラスチックマグネットであり、ネオジムとフェライトを用いて成形される。そのため、フェライトプラスチックマグネットよりも磁力が高く、ネオジムプラスチックマグネットよりも低コストで製造される。この構成により、入力装置100は、着磁が容易で安価な磁石を用いながらも、操作部材10が操作力を受けていないときの操作部材10のガタつきをより確実に抑えることができる。但し、第1磁性体13、第2磁性体14及び第3磁性体15の少なくとも1つを構成する磁石は、電磁石等の一時磁石であってもよい。この場合、一時磁石は、可動部材の移動方向に沿って異なる磁極を有するように構成されていてもよい。
【0095】
本実施形態では、「可動部材の移動方向」は操作方向に等しい。具体的には、スライド部材11の移動方向は、操作方向に沿った操作部材10の移動方向に等しい。但し、「可動部材の移動方向」は操作方向とは異なる方向であってもよい。例えば、スライド部材11の移動方向は、操作部材10の移動方向とは異なる方向であってもよい。具体的には、操作方向に等しい操作部材10の移動方向は、リンク機構等の方向変換機構を介して別の方向に変換されてもよい。この場合、スライド部材11は、操作部材10の移動方向とは異なる方向、すなわち、操作方向とは異なる方向に移動する。
【0096】
第1磁性体13及び第2磁性体14の少なくとも一方と第3磁性体15との間には弾性シートが配置されていてもよい。この構成により、入力装置100は、押し込み操作又は引っ張り操作が中止されて操作部材10が中立位置に戻る際の磁性体同士の衝突に起因する音を低減できる。
【0097】
入力装置100は、望ましくは、操作部材10が操作力を受けていないときの位置である中立位置に操作部材10を戻すように構成された付勢部材としてのドーム状部材を有する。具体的には、入力装置100は、押し込み操作が中止されたときに操作部材10を中立位置に戻すように構成された第1ドーム状部材20eと、引っ張り操作が中止されたときに操作部材10を中立位置に戻すように構成された第2ドーム状部材20fと、を有する。この構成により、入力装置100は、付勢部材による付勢力が強いほど、磁力の弱い磁石すなわち安価な磁石を用いることができる。磁石の吸引力を利用しなくても、操作部材10の戻りが付勢部材によって支援されるため、押し込み操作又は引っ張り操作が中止されたときに、より確実に操作部材10を中立位置に戻すことができるためである。
【0098】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳説した。しかしながら、本発明は、上述した実施形態に制限されることはない。上述した実施形態は、本発明の範囲を逸脱することなしに、種々の変形及び置換が適用され得る。また、上述の実施形態を参照して説明された特徴のそれぞれは、技術的に矛盾しない限り、適宜に組み合わされてもよい。
【0099】
例えば、上記実施形態では、スイッチ機構20は、スイッチアクチュエータ20aを利用し、押し込み操作が行われたときに第1スイッチ21がオン状態になり、引っ張り操作が行われたときに第2スイッチ22がオン状態になるように構成されている。しかしながら、スイッチ機構20は、鉛直軸に沿って2つの可動接点と1つ又は2つの固定接点が並ぶように構成されたプッシュプルスイッチを備えていてもよい。
【0100】
また、上記実施形態では、付勢部材としてドーム状部材が採用されているが、圧縮ばね等の他の部材が付勢部材として採用されてもよい。
【0101】
また、上記実施形態では、第1磁性体13と第3磁性体15との接触面CS1と、第2磁性体14と第3磁性体15との接触面CS2とは略同一平面上に位置するように構成されている。但し、接触面CS1は、図12に示すように、接触面CS2とは異なる高さ(Z軸方向の位置)に位置するように構成されていてもよい。また、図12の例では、接触面CS1及び接触面CS2のところに弾性シート16が貼り付けられている。具体的には、弾性シート16aが第1磁性体13の下面に貼り付けられ、弾性シート16bが第2磁性体14の下面に貼り付けられている。
【0102】
また、上記実施形態では、固定部材に取り付けられる第1磁性体13は、軸CAを中心とする円の径方向において、可動部材と共に移動する第2磁性体14の外側に配置されている。しかしながら、第1磁性体13は、図13に示すように、軸CAを中心とする円の径方向において、第2磁性体14の内側に配置されていてもよい。図13の例では、第1磁性体13は、筐体12の支持部12bの上端部に嵌合している。そして、第2磁性体14は、支持部12bよりも径方向外側に配置されているスライド部材11の結合部11aの下端部に嵌合している。
【0103】
本願は、2018年1月10日に出願した日本国特許出願2018-002025号に基づく優先権を主張するものであり、この日本国特許出願の全内容を本願に参照により援用する。
【符号の説明】
【0104】
10・・・操作部材 11・・・スライド部材 11a・・・結合部 11b・・・係合部 11c・・・連結部 12・・・筐体 12a・・・ガイド部 12b・・・支持部 12t・・・上面 13・・・第1磁性体 14・・・第2磁性体 15・・・第3磁性体 16、16a、16b・・・弾性シート 20・・・スイッチ機構 20a・・・スイッチアクチュエータ 20a1・・・第1突出部 20a2・・・第2突出部 20b・・・支持部材 20c・・・揺動軸 20d・・・連結軸 20e・・・第1ドーム状部材 20f・・・第2ドーム状部材 21・・・第1スイッチ 21a・・・可動接点 21b・・・固定接点 22・・・第2スイッチ 22a・・・可動接点 22b・・・固定接点 100、100A~100G・・・入力装置
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図10C1
図10C2
図10C3
図11A
図11B
図11C1
図11C2
図11C3
図12
図13