(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-13
(45)【発行日】2022-01-13
(54)【発明の名称】吸収性物品包装体の封止装置
(51)【国際特許分類】
B65B 51/10 20060101AFI20220105BHJP
【FI】
B65B51/10 300
B65B51/10 A
(21)【出願番号】P 2020156508
(22)【出願日】2020-09-17
【審査請求日】2020-09-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000110044
【氏名又は名称】株式会社リブドゥコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100110847
【氏名又は名称】松阪 正弘
(74)【代理人】
【識別番号】100136526
【氏名又は名称】田中 勉
(74)【代理人】
【識別番号】100136755
【氏名又は名称】井田 正道
(72)【発明者】
【氏名】春木 薫
(72)【発明者】
【氏名】丸畠 貴文
(72)【発明者】
【氏名】林 祐貴
(72)【発明者】
【氏名】吉川 拓宏
(72)【発明者】
【氏名】岡田 紳之介
【審査官】米村 耕一
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-132202(JP,A)
【文献】特開2010-131833(JP,A)
【文献】特開2002-096805(JP,A)
【文献】実開昭60-167703(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 51/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に吸収性物品が収容された包装袋の開口部を熱溶着することにより、左右方向に延びる帯状の封止部を形成する吸収性物品包装体の封止装置であって、
上下方向に配列されるとともにそれぞれが左右方向に延びて包装袋の開口部を加熱する一対のヒートシールブロックと、
前記一対のヒートシールブロックの一方を他方に対して上下方向に相対的に移動する移動機構と、
を備え、
前記包装袋の前記開口部は、左右両側の部位がガゼットとして内側に折り込まれた状態で、前記一対のヒートシールブロックにより上下から挟まれて加熱され、これにより、前記開口部を形成するシート部が熱溶着されて封止部が形成され、
前記封止部は、
左右方向の両側に位置し、4層の前記シート部が積層されて溶着されている2つの封止側部と、
前記2つの封止側部の間に位置し、2層の前記シート部が積層されて溶着されている封止中央部と、
を備え、
前記一対のヒートシールブロックはそれぞれ、
前記包装袋の前記開口部に接触するシール面を備える左右方向に延びるブロック本体と、
前記ブロック本体に取り付けられて左右方向に延びるヒータと、
前記ヒータと前記シール面との間にて前記ブロック本体に取り付けられて左右方向に延び、
前記ブロック本体よりも熱伝導率が高く、前記ヒータからの熱の左右方向のムラを低減する均熱部と、
を備え、
前記ヒータは、
左右方向の両側にて前記2つの封止側部と対応する位置に位置する2つのヒータ側部と、
前記2つのヒータ側部の間にて前記封止中央部と対応する位置に位置し、前記2つのヒータ側部よりも単位長さあたりの発熱量が少ないヒータ中央部と、
を備え、
前記均熱部は、前記ヒータ中央部と対向する位置には設けられず、
前記均熱部は、前記2つのヒータ側部に対向するとともに前記ヒータ中央部と対向する位置を避けて配置される2つの均熱側部を備えることを特徴とする吸収性物品包装体の封止装置。
【請求項2】
請求項1に記載の吸収性物品包装体の封止装置であって、
前記ヒータは、コイル状に巻回されつつ左右方向に延びる発熱線を備え、
前記ヒータ中央部における前記発熱線の単位長さあたりの巻回数は、前記2つのヒータ側部のそれぞれにおける前記発熱線の単位長さあたりの巻回数よりも少ないことを特徴とする吸収性物品包装体の封止装置。
【請求項3】
請求項2に記載の吸収性物品包装体の封止装置であって、
前記ヒータの前記発熱線は、前記2つのヒータ側部のうち一方のヒータ側部から延びる接続部にて1つの電源に接続されており、
前記一方のヒータ側部における前記発熱線の単位長さあたりの巻回数は、他方のヒータ側部における前記発熱線の単位長さあたりの巻回数よりも多いことを特徴とする吸収性物品包装体の封止装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1つに記載の吸収性物品包装体の封止装置であって、
前記2つの均熱側部はそれぞれ、左右方向に延びるヒートパイプであることを特徴とする吸収性物品包装体の封止装置。
【請求項5】
請求項
1に記載の吸収性物品包装体の封止装置であって、
前記2つの均熱側部の左右方向の内端は、前記封止中央部の左右方向の両端よりも左右方向の外側に位置することを特徴とする吸収性物品包装体の封止装置。
【請求項6】
請求項1ないし
5のいずれか1つに記載の吸収性物品包装体の封止装置であって、
前記一対のヒートシールブロックのうち一方の前記シール面に複数の凹部が形成されていることを特徴とする吸収性物品包装体の封止装置。
【請求項7】
請求項1ないし
6のいずれか1つに記載の吸収性物品包装体の封止装置であって、
前記シール面は、ガラス層により被覆されていることを特徴とする吸収性物品包装体の封止装置。
【請求項8】
請求項1ないし
7のいずれか1つに記載の吸収性物品包装体の封止装置であって、
前記包装袋の前記開口部の外面にコロナ放電処理が施されていることを特徴とする吸収性物品包装体の封止装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸収性物品包装体の封止装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、使い捨ておむつ等の吸収性物品の製造現場では、複数の吸収性物品が積層された状態で樹脂製の包装袋に収容され、包装袋底部の開口部が側方からガゼット折りされた状態で熱溶着されることにより封止されている。また、特許文献1では、吸収性物品の包装袋において、上部の吊手用孔が設けられる部位に、補強用フィルムを熱溶着する技術が開示されている。これらの熱溶着は、通常、包装袋の開口部、あるいは、吊手用孔が設けられる部位を、上下からヒートシールブロックで挟んで加熱および加圧することにより行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、吸収性物品の包装袋の封止は、上述のように、包装袋の開口部が側方からガゼット折りされた状態で行われるため、封止部の左右両側の部位では包装袋が4層に重なっており、当該封止部の左右方向の中央部では包装袋が2層に重なっている。このため、封止部の中央部(すなわち、2層部分)における加熱が過剰となり、当該中央部が溶けて意図しない孔が開くおそれがある。逆に、封止部の側部(すなわち、4層部分)において加熱が不足し、当該側部における封止が不十分となるおそれもある。
【0005】
また、包装袋に施される印刷の定着性を向上するために包装袋の外面にコロナ放電処理が行われている場合、コロナ放電処理が包装袋の内面まで貫通して(すなわち、処理抜けして)包装袋の接着性が低下するおそれがある。この場合、上述のような包装袋の開口部の封止不具合が発生する可能性が高くなる。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、包装袋の開口部の封止を好適に行うことを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、内部に吸収性物品が収容された包装袋の開口部を熱溶着することにより、左右方向に延びる帯状の封止部を形成する吸収性物品包装体の封止装置であって、上下方向に配列されるとともにそれぞれが左右方向に延びて包装袋の開口部を加熱する一対のヒートシールブロックと、前記一対のヒートシールブロックの一方を他方に対して上下方向に相対的に移動する移動機構とを備え、前記包装袋の前記開口部は、左右両側の部位がガゼットとして内側に折り込まれた状態で、前記一対のヒートシールブロックにより上下から挟まれて加熱され、これにより、前記開口部を形成するシート部が熱溶着されて封止部が形成され、前記封止部は、左右方向の両側に位置し、4層の前記シート部が積層されて溶着されている2つの封止側部と、前記2つの封止側部の間に位置し、2層の前記シート部が積層されて溶着されている封止中央部とを備え、前記一対のヒートシールブロックはそれぞれ、前記包装袋の前記開口部に接触するシール面を備える左右方向に延びるブロック本体と、前記ブロック本体に取り付けられて左右方向に延びるヒータと、前記ヒータと前記シール面との間にて前記ブロック本体に取り付けられて左右方向に延び、前記ブロック本体よりも熱伝導率が高く、前記ヒータからの熱の左右方向のムラを低減する均熱部とを備え、前記ヒータは、左右方向の両側にて前記2つの封止側部と対応する位置に位置する2つのヒータ側部と、前記2つのヒータ側部の間にて前記封止中央部と対応する位置に位置し、前記2つのヒータ側部よりも単位長さあたりの発熱量が少ないヒータ中央部とを備え、前記均熱部は、前記ヒータ中央部と対向する位置には設けられず、前記均熱部は、前記2つのヒータ側部に対向するとともに前記ヒータ中央部と対向する位置を避けて配置される2つの均熱側部を備える。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の吸収性物品包装体の封止装置であって、前記ヒータは、コイル状に巻回されつつ左右方向に延びる発熱線を備え、前記ヒータ中央部における前記発熱線の単位長さあたりの巻回数は、前記2つのヒータ側部のそれぞれにおける前記発熱線の単位長さあたりの巻回数よりも少ない。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の吸収性物品包装体の封止装置であって、前記ヒータの前記発熱線は、前記2つのヒータ側部のうち一方のヒータ側部から延びる接続部にて1つの電源に接続されており、前記一方のヒータ側部における前記発熱線の単位長さあたりの巻回数は、他方のヒータ側部における前記発熱線の単位長さあたりの巻回数よりも多い。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項1ないし3のいずれか1つに記載の吸収性物品包装体の封止装置であって、前記2つの均熱側部はそれぞれ、左右方向に延びるヒートパイプである。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項1に記載の吸収性物品包装体の封止装置であって、前記2つの均熱側部の左右方向の内端は、前記封止中央部の左右方向の両端よりも左右方向の外側に位置する。
【0013】
請求項6に記載の発明は、請求項1ないし5のいずれか1つに記載の吸収性物品包装体の封止装置であって、前記一対のヒートシールブロックのうち一方の前記シール面に複数の凹部が形成されている。
【0014】
請求項7に記載の発明は、請求項1ないし6のいずれか1つに記載の吸収性物品包装体の封止装置であって、前記シール面は、ガラス層により被覆されている。
【0015】
請求項8に記載の発明は、請求項1ないし7のいずれか1つに記載の吸収性物品包装体の封止装置であって、前記包装袋の前記開口部の外面にコロナ放電処理が施されている。
【発明の効果】
【0016】
本発明では、包装袋の開口部の封止を好適に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】一の実施の形態に係る吸収性物品包装体を示す斜視図である。
【
図10】ヒートシールブロックを示す側面図である。
【
図11】ヒートシールブロックを示す正面図である。
【
図12】ブロック本体のシール面を示す底面図である。
【
図13】他のヒートシールブロックを示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、本発明の一の実施の形態に係る吸収性物品包装体9を示す斜視図である。吸収性物品包装体9(以下、単に「包装体9」とも呼ぶ。)は、略直方体状である。包装体9は、包装袋91と、包装袋91の内部に収容される吸収性物品92と、を備える。包装袋91は、樹脂により形成された袋状部材である。吸収性物品92は、例えば、使い捨ておむつ等の使い捨て吸収性物品である。
【0019】
包装袋91は、略矩形筒状のシート状の部材が、上面94および底面93にて封止されることより形成される。包装袋91の上面94には、例えば、包装体9を持ち運ぶための持ち手部が設けられる。包装袋91の材質は、例えば、ポリエチレン等の合成樹脂である。包装袋91は、例えば、白色等の不透明な樹脂により形成され、外面(すなわち、吸収性物品92に接触する内面とは反対側の表面)に有色インクにより印刷が施されている。包装袋91では、外面におけるインクの定着性を向上するために、印刷が行われるよりも前に当該外面の略全面に亘ってコロナ放電処理が施されていてもよい。
【0020】
図2ないし
図7は、包装体9の製造の様子を示す図である。まず、
図2に示すように、包装体9の底面93となる予定の部位(すなわち、封止前の開口部96)のみが開放された状態の包装袋91が準備される。開口部96は、略矩形筒状の部位であり、
図2中の手前側に略矩形の開口95を有する。開口95は、左右方向に略平行な一対の第1辺951と、上下方向に略平行な一対の第2辺952とを有する。複数の吸収性物品92は、開口部96の開口95から包装袋91の内部へと挿入される。包装袋91内に収容される吸収性物品92の数は、1であっても、2以上であってもよい。本実施の形態では、複数の吸収性物品92が包装袋91の内部に収容される。
【0021】
図2に示すように、複数の吸収性物品92が包装袋91に収容された状態では、開口部96は、包装袋91のうち複数の吸収性物品92よりも
図2中の手前側に突出している部位である。開口部96は、後述するように、折り畳まれて封止されることにより包装体9の底面93(
図1参照)となる。開口部96のうち、開口95の一対の第1辺951と複数の吸収性物品92との間の2つの部位をそれぞれ「第1底面形成部961」と呼び、一対の第2辺952と複数の吸収性物品92との間の2つの部位962をそれぞれ「第2底面形成部962」と呼ぶ。
図2中では、一対の第1底面形成部961は開口95の上側および下側に位置し、一対の第2底面形成部962は、開口95の左右両側に位置する。
【0022】
続いて、
図3に示すように、包装袋91の一対の第2辺952が、上下方向の中央部を内側に(すなわち、互いに近づく方向に)突出させて折り畳まれる。これにより、開口部96の一対の第2底面形成部962が、左右方向において互いに近づくように、ガゼットとして内側に折り込まれる。また、一対の第1辺951が上下方向において互いに近づき、
図4に示すように、開口部96の一対の第1底面形成部961が、2つ折りにされた一対の第2底面形成部962を間に挟んで上下方向に重なる。すなわち、開口部96が左右両側からガゼット折りされる。
【0023】
図5は、
図4中のV-Vの位置における開口部96の断面を示す断面図である。
図5に示す断面は、後述する封止装置1(
図8および
図9参照)により封止される部位(以下、「封止部97」とも呼ぶ。)の断面である。封止部97のうち左右方向の両側の部位はそれぞれ、一対の第1底面形成部961の間に、2つ折りにされた第2底面形成部962が挟まれた4層の積層部であり、以下、「封止側部971」とも呼ぶ。また、封止部97のうち左右方向の中央部は、一対の第1底面形成部961が直接的に重なる2層の積層部であり、以下、「封止中央部972」とも呼ぶ。なお、
図5では、図の理解を容易にするために、封止側部971および封止中央部972において積層されるシート部を、上下方向に離間させて描いている(
図11および
図13においても同様)。
【0024】
ガゼット折りされた開口部96では、上述の封止装置1により熱溶着が行われることにより、
図6に示すように、左右方向に略直線状に延びる略帯状の封止部97が形成される。
図6では、封止部97に平行斜線を付す(
図7においても同様)。封止部97は、上述のように、開口部96を形成するシート部(すなわち、ポリエチレン等のシート)が4層に積層されて溶着されている2つの封止側部971(
図5参照)と、2層の当該シート部が積層されて溶着されている封止中央部972(
図5参照)と、を備える。2つの封止側部971は、封止部97において左右方向の両側に位置し、封止中央部972は2つの封止側部971の左右方向の間に位置する。
【0025】
図6に示す状態では、包装袋91のうち開口部96の一部が、封止部97よりも手前側(すなわち、封止部97を挟んで複数の吸収性物品92とは反対側)に大きく延在している。当該延在部は、
図7に示すように、封止部97から少し手前側に離れた位置にて、スライドカッター等により切除される。これにより、包装体9の形成が終了する。
【0026】
図8は、封止装置1を示す側面図である。
図9は、封止装置1を示す正面図である。封止装置1は、上述のように、内部に吸収性物品92が収容された包装袋91の開口部96を熱溶着することにより、左右方向に伸びる帯状の封止部97(
図6参照)を形成する。封止装置1は、包装体9を製造する製造装置の一部であり、製造途上の包装体9を搬送するベルトコンベア等の搬送機構61近傍に配置される。
【0027】
封止装置1は、一対のヒートシールブロック2と、移動機構3とを備える。一対のヒートシールブロック2は、
図8および
図9中の上下方向に配列される。各ヒートシールブロック2は、
図9中の左右方向に延びるブロック状の部材である。ヒートシールブロック2は、左右方向に略平行に略直線状に延びている。ヒートシールブロック2は、左右方向に沿って多少湾曲または屈曲しつつ延びていてもよい。
図9中の左右方向は、上述の包装体9の左右方向(すなわち、封止部97が延びる方向)に対応する。以下の説明では、
図9中の左右方向を、単に「左右方向」とも呼ぶ。また、
図8および
図9中の上下方向を、単に「上下方向」とも呼ぶ。当該上下方向は、必ずしも重力方向と一致する必要はない。
【0028】
図8に示す例では、開口部96が封止されるよりも前の包装体9が、封止装置1の右側から一対のヒートシールブロック2の間を通過して、封止装置1と対向する位置へと搬送され、一旦停止される。
図8および
図9では、搬送機構61上において封止装置1と対向する位置に位置する包装体9を図示している。当該包装体9では、上述のように、包装袋91の開口部96は、左右両側の部位である一対の第2底面形成部962(
図5参照)が、ガゼットとして内側に折り込まれた状態である。そして、封止装置1により、開口部96を形成するシート部(すなわち、ポリエチレン等のシート)が熱溶着されて封止部97(
図6参照)が形成される。その後、開口部96が封止された包装体9は、封止装置1と対向する位置から、
図8中における封止装置1の左側へと搬送される。
【0029】
移動機構3は、一対のヒートシールブロック2の一方を他方に対して上下方向に相対的に移動する機構である。本実施の形態では、移動機構3により、上側および下側のヒートシールブロック2がそれぞれ、上下方向に移動される。移動機構3は、例えば、エアシリンダ等の直動機構である。
【0030】
封止装置1では、移動機構3が駆動されることにより、一対のヒートシールブロック2が上下方向において互いに近づき、包装袋91の開口部96を上下から挟んで加熱および加圧する。これにより、開口部96に封止部97(
図6参照)が形成される。封止部97の形成が終了すると、一対のヒートシールブロック2が上下に離間し、搬送機構61が駆動されて次の包装体9が封止装置1と対向する位置へと搬送される。封止装置1では、例えば、1分間に30個の包装体9に対する封止部97の形成が行われる。なお、封止装置1による包装体9の処理速度は様々に変更されてよい。また、封止装置1では、一対のヒートシールブロック2のうちいずれか一方のみが、移動機構3により上下方向に移動されてもよい。
【0031】
図10は、一対のヒートシールブロック2を拡大して示す側面図である。
図11は、一対のヒートシールブロック2を拡大して示す正面図である。
図10および
図11では、一対のヒートシールブロック2の間に位置する包装袋91の開口部96も併せて描いている。
図11では、開口部96のうち封止部97に対応する部位の断面を示す。また、
図11では、図示の都合上、一対のヒートシールブロック2を上下に大きく離間させて描く(
図13においても同様)。下側のヒートシールブロック2の構造は、後述するシール面211に凹部212が設けられない点を除いて上側のヒートシールブロック2と同じであり、上側のヒートシールブロック2とは上下が反転した状態で配置されている。
【0032】
各ヒートシールブロック2は、ブロック本体21と、ヒータ22と、均熱部23と、温度センサ24とを備える。ブロック本体21は、左右方向に延びる略直方体状または略板状の硬質な部材である。
図11の紙面に垂直な方向(以下、「前後方向」とも呼ぶ。)におけるブロック本体21の厚さは、
図11中の左右方向におけるブロック本体21の幅よりも小さい。ブロック本体21は、熱伝導率が比較的高い材料(例えば、金属)により形成される。
【0033】
上側のヒートシールブロック2では、ブロック本体21の下端面(すなわち、上下方向において下側のヒートシールブロック2に近い側の端面)が、包装袋91の開口部96に直接的に接触するシール面211である。
【0034】
図12は、上側のブロック本体21のシール面211を示す底面図である。シール面211は、上下方向に略垂直な水平面であり、左右方向に延びる略矩形状である。シール面211には、上向きに窪む複数の凹部212が形成されている。
図12に示す例では、左右方向に1列に配列される複数の凹部212が、シール面211に設けられる。また、各凹部212の平面視における形状は、左右方向および前後方向に平行な辺を有する略正方形である。各凹部212の前後方向の長さは、シール面211の前後方向の長さよりも短い。各凹部212は、シール面211の外周縁から離間して配置される。換言すれば、各凹部212の周囲は、全周に亘って、シール面211の一部である略水平面により囲まれている。シール面211における複数の凹部212の配置、および、各凹部212の形状は、様々に変更されてよい。例えば、各凹部212の平面視における形状は、円形、三角形、五角形以上の多角形等であってもよい。また、複数の凹部212は、シール面211の
図12中における上縁および下縁において交互に設けられる千鳥スリット状であってもよい。換言すれば、
図12中において、シール面211の上縁から下方に延びる略矩形のスリット状の複数の凹部212と、シール面212の下縁から上方に延びる略矩形のスリット状の複数の凹部212とが、左右方向に交互に配置されてもよい。
【0035】
下側のヒートシールブロック2では、ブロック本体21の上端面がシール面211である。本実施の形態では、下側のヒートシールブロック2のシール面211には、上述のように、凹部212は設けられていない。
【0036】
なお、一対のヒートシールブロック2では、下側のブロック本体21のシール面211に複数の凹部212(
図12参照)が設けられ、上側のブロック本体21のシール面211には、凹部212が設けられなくてもよい。あるいは、上側および下側のブロック本体21のシール面211の双方に、複数の凹部212がそれぞれ設けられてもよい。この場合、上側のシール面211に設けられた凹部212と、下側のシール面211に設けられた凹部212とは、上下方向に対向する位置に配置される。すなわち、封止装置1では、一対のヒートシールブロック2のうち、少なくとも一方のヒートシールブロック2のシール面211に複数の凹部212が形成されている。
【0037】
各ヒートシールブロック2では、シール面211は、好ましくは、比較的薄いガラス層(図示省略)により略全面に亘って被覆されている。ガラス層の上下方向における厚さは、例えば100μm~200μmであり、好ましくは100μm~180μmであり、より好ましくは130μm~180μmである。上側のヒートシールブロック2では、シール面211の各凹部212の内面も上記ガラス層により被覆されている。
【0038】
図10および
図11に示すように、各ヒートシールブロック2では、ヒータ22、均熱部23および温度センサ24が、ブロック本体21に内蔵されている。上側のヒートシールブロック2では、ヒータ22、温度センサ24および均熱部23は、上側から下側に向かって略鉛直にこの順に配置されている。下側のヒートシールブロック2では、ヒータ22、温度センサ24および均熱部23は、下側から上側に向かって略鉛直にこの順に配置されている。換言すれば、各ヒートシールブロック2では、均熱部23、温度センサ24およびヒータ22が、上下方向においてシール面211から遠ざかる方向にこの順に配置される。
【0039】
ヒータ22は、左右方向に略直線状に延びる略円柱状の部材である。ヒータ22は、ブロック本体21を左右方向に貫通する貫通孔に挿入されることにより、ブロック本体21の内部に取り付けられる。ヒータ22は、電力を供給されることにより発熱する電熱器である。
図11では、図の理解を容易にするために、ヒータ22が挿入される上記貫通孔を細い破線で描き、ヒータ22を細い実線で描く(均熱部23および温度センサ24についても同様))。なお、ヒータ22は、左右方向に沿って多少湾曲または屈曲しつつ延びていてもよい。
【0040】
ヒータ22は、発熱線221と、カートリッジ222とを備える。カートリッジ222は、左右方向に略直線状に延びる略円筒状の部材である。発熱線221は、カートリッジ222の内部において、カートリッジ222の内側面に沿ってコイル状に巻回されつつ左右方向に延びる。発熱線221は、ニクロム線等の線状部材である。発熱線221は、ブロック本体21の左右方向の略全長に亘って設けられる。発熱線221は、
図11中におけるカートリッジ222の右側の端部から左側の端部まで左方へと巻回され、当該左側の端部において折り返され、当該左側の端部から右側の端部まで右方へと巻回される。
【0041】
発熱線221の両端部は、ブロック本体21の
図11中における右側面から、ブロック本体21の外部へと延びており、1つの電源81に接続される。以下の説明では、発熱線221のうち電源81に接続される部位を「接続部225」とも呼ぶ。接続部225を介して電源81から発熱線221に電力が付与されることにより、発熱線221が発熱して、ヒータ22の周囲を囲むブロック本体21が加熱される。
【0042】
ヒータ22は、2つのヒータ側部223と、ヒータ中央部224とを備える。2つのヒータ側部223は、ヒータ22の左右方向の両側の部位である。ヒータ中央部224は、2つのヒータ側部223の左右方向の間に位置する部位である。2つのヒータ側部223は、ヒータ中央部224の左右方向の両端部に連続する。ヒータ中央部224および2つのヒータ側部223はそれぞれ、左右方向に略直線状に延びる略円柱状の部位である。ブロック本体21に内蔵されたヒータ22の左右方向の全長は、例えば、250mm~750mmである。ヒータ中央部224の左右方向の長さは、例えば、ヒータ22の当該全長の10%~50%である。2つのヒータ側部223の左右方向の長さは、略同じである。
【0043】
ヒータ中央部224は、包装袋91の封止中央部972(すなわち、2層のシート部)と対応する位置に位置する。2つのヒータ側部223は、包装袋91の2つの封止側部971(すなわち、4層のシート部)と対応する位置に位置する。2つのヒータ側部223の左右方向の内端(すなわち、ヒータ中央部224側の端)は、包装袋91の封止中央部972の左右方向の両端と、左右方向において同じ位置または近傍に位置する。
図11に示す例では、2つのヒータ側部223の左右方向の内端は、封止中央部972の左右方向の両端よりも少し(例えば、5mm~25mm)左右方向の外側に位置する。
【0044】
ヒータ22では、ヒータ中央部224における発熱線221の単位長さあたりの巻回数が、2つのヒータ側部223のそれぞれにおける発熱線221の単位長さあたりの巻回数よりも少ない。換言すれば、ヒータ中央部224に巻回される発熱線221は、各ヒータ側部223に巻回される発熱線221よりも疎である。このため、ヒータ中央部224の単位長さあたりの発熱量は、各ヒータ側部223の単位長さあたりの発熱量よりも少ない。したがって、ヒータ中央部224の温度は、各ヒータ側部223の温度よりも低い。なお、ヒータ中央部224では、発熱線221は左右方向の全長に亘って略均等に巻回されている。各ヒータ側部223においても同様に、発熱線221は左右方向の全長に亘って略均等に巻回されている。
【0045】
図11に示す例では、各ヒートシールブロック2のヒータ22の発熱線221は、2つのヒータ側部223のうち右側のヒータ側部223から延びる接続部225にて、1つの電源81に接続されている。ヒータ22では、
図11中の右側のヒータ側部223(すなわち、2つのヒータ側部223のうち、電源81に近い根元側のヒータ側部223)における発熱線221の単位長さあたりの巻回数が、
図11中の左側のヒータ側部223(すなわち、電源81から遠い先端側のヒータ側部223)における発熱線221の単位長さあたりの巻回数よりも多い。換言すれば、左側のヒータ側部223に巻回される発熱線221は、右側のヒータ側部223に巻回される発熱線221よりも疎である。
【0046】
ヒータ22では、カートリッジ222の両端部において発熱線221の単位長さあたりの巻回数が同じである場合、電源81および接続部225に近い根元側の端部(すなわち、
図11中の右端部)における単位長さあたりの発熱量は、電源81および接続部225から遠い先端側の端部(すなわち、
図11中の左端部)における単位長さあたりの発熱量よりも少し少ない。したがって、上述のように、根元側のヒータ側部223における発熱線221の単位長さあたりの巻回数を、先端側のヒータ側部223における発熱線221の単位長さあたりの巻回数よりも少し多くすることにより、2つのヒータ側部223の単位長さあたりの発熱量を略同じとしている。これにより、2つのヒータ側部223の温度が略同じとなる。
【0047】
ヒータ22では、根元側のヒータ側部223における発熱線221の単位長さあたり巻回数は、先端側のヒータ側部223における発熱線221の単位長さあたり巻回数の1.05倍~1.2倍であることが好ましい。また、根元側のヒータ側部223における発熱線221の単位長さあたり巻回数は、ヒータ中央部224における発熱線221の単位長さあたり巻回数の1.1倍~1.5倍であることが好ましい。
【0048】
均熱部23は、ヒータ22とシール面211との間に配置され、ヒータ22からシール面211に伝達される熱の左右方向のムラを低減する部材である。均熱部23の熱伝導率は、ブロック本体21の熱伝導率よりも高い。
図11に示す例では、均熱部23は、2つのヒートパイプ231を備える。各ヒートパイプ231は、左右方向に略直線状に延びる略円柱状の均熱部材である。ヒートパイプ231は、高温部から低温部へと熱を輸送する熱伝導素子である。ヒートパイプ231は、両端が閉じられたパイプの減圧状態の内部空間に少量の作動液(例えば、純水)が封入された構造を有する。当該パイプは、熱伝導率が高い材料(例えば、銅(Cu)またはアルミニウム(Al)等の金属)により形成され、内側面には毛細管構造(ウィック)が設けられる。ヒートパイプ231では、高温部において蒸発した作動液の蒸気が低温部へと移動し、低温部に熱を与えつつ凝縮する。液状に戻った作動液は、毛細管構造を伝わって高温部へと戻る。これにより、ヒートパイプ231の温度が略全長に亘って均等化される。
【0049】
2つのヒートパイプ231は、ブロック本体21を左右方向に貫通する貫通孔に左右両側からそれぞれ挿入されることにより、ブロック本体21の内部に取り付けられる。各ヒートパイプ231の左右方向の外端は、ブロック本体21の側面と略同じ位置に位置する。各ヒートパイプ231の左右方向の長さは、ブロック本体21の左右方向の長さの半分よりも短い。したがって、2つのヒートパイプ231は、上記貫通孔の内部において、左右方向に離間して配置される。換言すれば、2つのヒートパイプ231の左右方向の間には、当該貫通孔の一部である空間が存在する。当該空間には、ブロック本体21以下の熱伝導率を有するダミー部材が配置されてもよい。なお、2つのヒートパイプ231は、ブロック本体21の左右両側の側面から左右方向の内方へと延びる2つの連通していない穴(すなわち、凹部)に挿入されてもよい。この場合、当該2つの穴は、上下方向および前後方向において略同じ位置に位置することが好ましい。
【0050】
2つのヒートパイプ231は、ヒータ22の2つのヒータ側部223、および、包装袋91の2つの封止側部971と対応する位置に位置する。
図11に示す例では、ヒートパイプ231は、ヒータ側部223と封止側部971との上下方向の間に位置し、ヒータ側部223および封止側部971と上下方向に対向する。2つのヒートパイプ231は、上下方向および前後方向において略同じ位置に位置する。
【0051】
2つのヒートパイプ231の左右方向の内端(すなわち、ブロック本体21の側面から遠い方の端)は、包装袋91の封止中央部972の左右方向の両端と、左右方向において同じ位置または近傍に位置する。また、2つのヒートパイプ231の内端は、ヒータ22のヒータ中央部224の左右方向の両端と、左右方向において同じ位置または近傍に位置する。
図11に示す例では、2つのヒートパイプ231の左右方向の内端は、封止中央部972の左右方向の両端よりも少し(例えば、5mm~25mm)左右方向の外側に位置する。また、2つのヒートパイプ231の左右方向の内端は、ヒータ中央部224の左右方向の両端と、左右方向において略同じ位置に位置する。
【0052】
各ヒートパイプ231は、上下方向に対向するヒータ側部223からの熱の左右方向のムラを低減して左右方向に均等化し、ブロック本体21のシール面211において封止側部971と上下方向に対向する領域(すなわち、シール面211における左右方向の側部であり、以下の説明では、「シール面側部213」とも呼ぶ。)に伝達する。これにより、シール面側部213の温度が、左右方向において均等化される。すなわち、ヒートパイプ231は、ヒータ側部223からの熱を左右方向において均等化してシール面側部213に伝達する均熱側部である。
【0053】
ヒートシールブロック2では、2つのヒートパイプ231の左右方向の間(すなわち、ヒータ中央部224および封止中央部972と対応する位置)には、上述のように、他のヒートパイプ231等の均熱部材は設けられていない。換言すれば、2つのヒートパイプ231は、ヒータ中央部224および封止中央部972と上下方向に対向する位置を避けて配置される。さらに換言すれば、均熱部23は、ヒータ中央部224および封止中央部972と上下方向に対向する位置を避けて設けられる。
【0054】
したがって、ヒータ中央部224からの熱は、ブロック本体21を介して、シール面211において封止中央部972と上下方向に対向する領域(すなわち、シール面211における左右方向の中央部であり、以下の説明では、「シール面中央部214」とも呼ぶ。)に伝達される。シール面中央部214は、2つのシール面側部213の左右方向の間に位置し、2つのシール面側部213と左右方向に連続する。
【0055】
上述のように、ヒータ22では、ヒータ中央部224の温度が2つのヒータ側部223の温度よりも低い。したがって、シール面211において、シール面中央部214の温度は2つのシール面側部213の温度よりも低くなる。この状態で、一対のヒートシールブロック2が互いに近づき、2つのシール面211を包装袋91の開口部96に上下から接触させて開口部96を加熱および加圧する。
【0056】
各シール面211では、低温部であるシール面中央部214が、ガゼット折りされた開口部96における2層の積層部である封止中央部972に直接的に接触する。また、高温部である2つのシール面側部213が、それぞれが4層の積層部である2つの封止側部971に直接的に接触する。これにより、封止中央部972の過剰な加熱による溶融および貫通が防止されるとともに、各封止側部971の加熱不足による熱溶着不足(すなわち、封止不足)が防止される。その結果、上述の封止部97が好適に形成されて開口部96が封止される。
【0057】
温度センサ24は、ブロック本体21の左右方向の一方の側面に設けられた穴に挿入されることにより、ブロック本体21の内部に取り付けられる。
図11に示す例では、
図11中の右側の側面に、温度センサ24用の穴が設けられる。当該穴は、上下方向において、ヒータ22が挿入される穴と、ヒートパイプ231が挿入される穴との間に位置する。温度センサ24により、ヒータ22の温度が測定される。封止装置1では、温度センサ24により測定されたヒータ22の温度に基づいて、電源81からヒータ22に供給される電力が調節され、ヒータ22の温度が所望の温度にて一定に維持される。
【0058】
ヒータ側部223の温度は、例えば120℃~135℃であり、ヒータ中央部224の温度は、例えば114℃~133℃である。ヒータ側部223とヒータ中央部224との温度差は、例えば、2℃~6℃である。ヒータ側部223およびヒータ中央部224の温度は、開口部96の材質や厚さ等に合わせて様々に変更されてよい。
【0059】
表1では、本発明に係る実施例のヒートシールブロック2における温度分布、および、ヒートシールブロック2と比較するための比較例のヒートシールブロックにおける温度分布を示す。
【0060】
【0061】
実施例1、および、比較例1~4では、ヒータ22の左右方向の全長は500mmである。ヒータ中央部224の左右方向の長さは100mmであり、各ヒータ側部223の左右方向の長さは200mmである。
【0062】
実施例1では、先端側(すなわち、
図11中の左側)のヒータ側部223、ヒータ中央部224、および、根元側のヒータ側部223における発熱線221の単位長さあたりの巻回数の比は、1.3:1.0:1.4である。各ヒートパイプ231の左右方向の長さは200mmであり、2つのヒートパイプ231の間には、左右方向の長さが100mmの銅製のダミー部材を配置した。ダミー部材の熱伝導率は、ヒートパイプ231の熱伝導率よりも低く、ブロック本体21の熱伝導率以下である。
【0063】
測定温度は、ヒータ22による50分間の加熱後のシール面211の温度である。中央部温度は、ヒータ22の左右方向の中央と上下方向に対向する位置におけるシール面211の温度である。先端側温度および根元側温度はそれぞれ、ヒータ22の当該中央から先端側および根元側に200mm離れた位置と上下方向に対向する位置におけるシール面211の温度である。先端側温度、中央部温度および根元側温度はそれぞれ、複数回(例えば、3回)の測定結果の算術平均である。
【0064】
実施例1では、先端側温度は124.0℃であり、中央部温度は121.0℃であり、根元側温度は124.3℃であった。中央部温度は、先端側温度および根元側温度よりも約3℃低く、先端側温度と根元側温度とは略同じであった。当該ヒートシールブロック2により包装袋91の開口部96の封止を行った結果、封止中央部972の過剰な加熱による溶融および貫通が防止されるとともに、各封止側部971の加熱不足による熱溶着不足(すなわち、封止不足)が防止され、開口部95が好適に封止された。
【0065】
比較例1では、ヒータ22における発熱線221の単位長さあたりの巻回数を、全長に亘って同じとした。換言すれば、比較例1では、先端側のヒータ側部223、ヒータ中央部224、および、根元側のヒータ側部223における発熱線221の単位長さあたりの巻回数の比は、1.0:1.0:1.0である。その他の条件は、実施例1と同様である。
【0066】
比較例1では、先端側温度は129.0℃であり、中央部温度は129.3℃であり、根元側温度は125.0℃であった。中央部温度は、先端側温度と略同じであった。当該ヒートシールブロック2により包装袋91の開口部96の封止を行った結果、封止中央部972の過剰な加熱による溶融および貫通が生じた。
【0067】
比較例2では、上述の2つのヒートパイプ231(長さ200mm)に代えて、左右方向の長さが485mmの1つの連続するヒートパイプ231を、ブロック本体21のヒートパイプ231用の貫通孔に挿入した。その他の条件は、比較例1と同様である。なお、比較例2のヒートパイプ231は、比較例1のヒートパイプ231と長さを除いて略同様の構造を有する。
【0068】
比較例2では、先端側温度は126.0℃であり、中央部温度は127.0℃であり、根元側温度は125.0℃であった。中央部温度は、先端側温度よりも少し高かった。当該ヒートシールブロック2により包装袋91の開口部96の封止を行った結果、封止中央部972の過剰な加熱による溶融および貫通が生じた。
【0069】
比較例3では、先端側のヒータ側部223、ヒータ中央部224、および、根元側のヒータ側部223における発熱線221の単位長さあたりの巻回数の比は、実施例1と同様に、1.3:1.0:1.4である。その他の条件は、比較例2と同様である。
【0070】
比較例3では、先端側温度は125.0℃であり、中央部温度は125.0℃であり、根元側温度は125.0℃であった。中央部温度は、先端側温度および根元側温度と同じであった。当該ヒートシールブロック2により包装袋91の開口部96の封止を行った結果、封止中央部972の過剰な加熱による溶融および貫通が生じた。
【0071】
比較例4では、先端側のヒータ側部223、ヒータ中央部224、および、根元側のヒータ側部223における発熱線221の単位長さあたりの巻回数の比は、1.4:1.0:1.4である。その他の条件は、比較例2と同様である。
【0072】
比較例4では、先端側温度は125.7℃であり、中央部温度は125.0℃であり、根元側温度は125.0℃であった。中央部温度は、先端側温度および根元側温度とほぼ同じであった。当該ヒートシールブロック2により包装袋91の開口部96の封止を行った結果、封止中央部972の過剰な加熱による溶融および貫通が生じた。
【0073】
なお、比較例1~4において、封止中央部972の過剰な加熱を防止するためにヒータ22に供給する電力を減少させると、先端側温度および根元側温度が過剰に低下し、各封止側部971の加熱不足による熱溶着不足が生じた。
【0074】
以上に説明したように、包装体9の封止装置1は、内部に吸収性物品92が収容された包装袋91の開口部96を熱溶着することにより、左右方向に延びる帯状の封止部97を形成する。封止装置1は、一対のヒートシールブロック2と、移動機構3とを備える。一対のヒートシールブロック2は、上下方向に配列されるとともに、それぞれが左右方向に延びて包装袋91の開口部96を加熱する。移動機構3は、一対のヒートシールブロック2の一方を他方に対して上下方向に相対的に移動する。
【0075】
包装袋91の開口部96は、左右両側の部位(上記例では、第2底面形成部962)がガゼットとして内側に折り込まれた状態で、一対のヒートシールブロック2により上下から挟まれて加熱される。これにより、開口部96を形成するシート部が熱溶着されて封止部97が形成される。
【0076】
封止部97は、2つの封止側部971と、封止中央部972とを備える。2つの封止側部971は、封止部97において左右方向の両側に位置する。2つの封止側部971では、4層の上記シート部が積層されて溶着されている。封止中央部972は、2つの封止側部971の間に位置する。封止中央部972では、2層の上記シート部が積層されて溶着されている。
【0077】
一対のヒートシールブロック2はそれぞれ、左右方向に延びるブロック本体21と、左右方向に延びるヒータ22と、左右方向に延びる均熱部23とを備える。ブロック本体21は、包装袋91の開口部96に接触するシール面211を備える。ヒータ22は、ブロック本体21に取り付けられる。均熱部23は、ヒータ22とシール面211との間にてブロック本体21に取り付けられる。均熱部23は、ヒータ22からの熱の左右方向のムラを低減する。
【0078】
ヒータ22は、2つのヒータ側部223と、ヒータ中央部224とを備える。2つのヒータ側部223は、ヒータ22における左右方向の両側にて、2つの封止側部971と対応する位置に位置する。ヒータ中央部224は、2つのヒータ側部223の間にて封止中央部972と対応する位置に位置する。ヒータ中央部224は、2つのヒータ側部223よりも単位長さあたりの発熱量が少ない。均熱部23は、2つの均熱側部(上記例では、2つのヒートパイプ231)を備える。当該2つの均熱側部は、2つのヒータ側部223に対向するとともに、ヒータ中央部224と対向する位置を避けて配置される。
【0079】
当該封止装置1では、実施例1のように、シール面211における中央部温度を、先端側温度および根元側温度よりも適切な温度だけ低くすることができる。これにより、封止中央部972の過剰な加熱による溶融および貫通を防止または抑制することができるとともに、各封止側部971の加熱不足による熱溶着不足(すなわち、封止不足)を防止または抑制することができる。その結果、包装袋91の開口部96の封止を好適に行うことができる。
【0080】
上述のように、ヒータ22は、コイル状に巻回されつつ左右方向に延びる発熱線221を備える。好ましくは、ヒータ中央部224における発熱線221の単位長さあたりの巻回数は、2つのヒータ側部223のそれぞれにおける発熱線221の単位長さあたりの巻回数よりも少ない。これにより、ヒータ中央部224と2つのヒータ側部223との単位長さあたりの発熱量の差を容易に実現することができる。
【0081】
上述のように、ヒータ22の発熱線221は、2つのヒータ側部223のうち一方のヒータ側部223から延びる接続部225にて1つの電源81に接続されている。好ましくは、当該一方のヒータ側部223における発熱線221の単位長さあたりの巻回数は、他方のヒータ側部223における発熱線221の単位長さあたりの巻回数よりも多い。これにより、ヒータ22において、2つのヒータ側部223の単位長さあたりの発熱量の差を低減することができる。その結果、封止部97において、2つの封止側部971の封止状態を略同じとすることができ、包装体9における包装袋91の封止品質を向上することができる。
【0082】
上述のように、2つの均熱側部はそれぞれ、左右方向に延びるヒートパイプ231であることが好ましい。これにより、2つのヒータ側部223からの熱を、左右方向において好適かつ迅速に均等化することができる。
【0083】
上述のように、均熱部23は、ヒータ中央部224と対向する位置を避けて設けられることが好ましい。ヒートシールブロック2では、ヒータ中央部224からの熱は、ヒータ側部223からの熱に比べてブロック本体21の外部へと逃げにくいため、ヒータ中央部224と対向する位置に均熱部23が設けられていない場合であっても、左右方向においてある程度均等化されている。したがって、ヒータ中央部224と対向する位置に均熱部23を設けないことにより、シール面211のシール面中央部214における左右方向の均熱化をある程度実現しつつ、ヒートシールブロック2の構造を簡素化することができる。
【0084】
上述のように、2つの均熱側部(上記例では、2つのヒートパイプ231)の左右方向の内端は、封止中央部972の左右方向の両端よりも左右方向の外側に位置することが好ましい。このように、ヒータ中央部224よりも高温であるヒータ側部223からの熱を均等化する均熱側部と、2層のシート部である封止中央部972との左右方向における重複を避けることにより、封止中央部972の過剰な加熱による溶融および貫通を好適に防止、または、さらに抑制することができる。
【0085】
上述のように、好ましくは、一対のヒートシールブロック2のうち一方のシール面211に複数の凹部212が形成されている。これにより、一対のヒートシールブロック2によって包装袋91の開口部96を挟んで押圧する際に、シール面211の凹部212以外の領域において、単位面積あたりの押圧力を増大させることができる。これにより、包装袋91の開口部96の封止に要する時間を短くすることができる。
【0086】
上述のように、シール面211は、ガラス層により被覆されていることが好ましい。これにより、包装袋91の開口部96を熱溶着する際に、包装袋91から発生する樹脂カス等の異物がシール面211に付着することを抑制することができる。その結果、異物除去のためのメンテナンス作業の頻度を低減し、封止装置1の稼働率を向上することができる。
【0087】
上述のように、一対のヒートシールブロック2はそれぞれ温度センサ24を備えることが好ましい。これにより、各ヒートシールブロック2において、ヒータ22の温度調節を容易に行うことができる。
【0088】
上述のように、包装袋91の開口部96の外面には、コロナ放電処理が施される場合がある。この場合、コロナ放電処理が開口部96の内面まで貫通する処理抜け等により、開口部96を熱溶着して封止する際の接着性が低下する可能性がある。封止装置1では、上述のように、包装袋91の開口部96の封止を好適に行うことができる。したがって、封止装置1は、開口部96の接着性低下の可能性があるコロナ放電処理が開口部96の外面に行われた包装袋91の封止に特に適している。
【0089】
図13は、封止装置1に設けられる他の好ましいヒートシールブロック2aを示す正面図である。ヒートシールブロック2aでは、上述のヒータ22に代えて、ヒータ22aがブロック本体21の貫通孔に挿入されて取り付けられる。ヒータ22aは、第1ヒータ226と、第2ヒータ227とを備える。第1ヒータ226は、
図13中におけるブロック本体21の左側の側面から上記貫通孔に挿入される。第2ヒータ227は、
図13中におけるブロック本体21の右側の側面から上記貫通孔に挿入される。第1ヒータ226は、第2ヒータ227から独立して電源82に接続される。第2ヒータ227は、第1ヒータ226から独立して、電源82とは別の電源83に接続される。
【0090】
第1ヒータ226は、上述のヒータ22の先端側のヒータ側部223(
図11参照)に対応する。第2ヒータ227は、上述のヒータ22のヒータ中央部224および根元側のヒータ側部223にそれぞれ対応するヒータ中央部224aおよびヒータ側部223aを備える。ヒータ中央部224aにおける発熱線221の単位長さあたりの巻回数は、ヒータ側部223aおよび第1ヒータ226における発熱線221の単位長さあたりの巻回数よりも少ない。このため、ヒータ中央部224aにおける単位長さあたりの発熱量は、ヒータ側部223aおよび第1ヒータ226における単位長さあたりの発熱量よりも少なくなる。
【0091】
したがって、ヒートシールブロック2aにおいて、ヒータ中央部224aの温度は、ヒータ側部223aおよび第1ヒータ226の温度よりも低くなる。その結果、上記と同様に、封止中央部972の過剰な加熱による溶融および貫通、並びに、各封止側部971の加熱不足による熱溶着不足を防止または抑制し、包装袋91の開口部96の封止を好適に行うことができる。
【0092】
また、ヒートシールブロック2aでは、第1ヒータ226と第2ヒータ227とが互いに独立するヒータであるため、第1ヒータ226の温度と第2ヒータ227の温度とを個別に調節することができる。この場合、第1ヒータ226の温度測定用の温度センサ24と、第2ヒータ227の温度測定用の温度センサ24とが設けられることが好ましい。これにより、第1ヒータ226の単位長さあたりの発熱量と、第2ヒータ227のヒータ側部223aの単位長さあたりの発熱量との差を、容易に低減することができる。その結果、封止部97において、2つの封止側部971の封止状態を略同じとすることができ、包装体9における包装袋91の封止品質を容易に向上することができる。なお、第1ヒータ226におけるにおける発熱線221の単位長さあたりの巻回数と、第2ヒータ227のヒータ側部223aにおける発熱線221の単位長さあたりの巻回数とは、同じであってもよく、一方が他方よりも少なくてもよい。
【0093】
上述の封止装置1では、様々な変更が可能である。
【0094】
例えば、封止装置1では、シール面211のガラス層による被覆は省略されてもよい。また、一対のヒートシールブロック2の双方において、シール面211に凹部212が設けられなくてもよい。
【0095】
封止装置1では、均熱部23の均熱側部(上記例では、ヒートパイプ231)の左右方向の内端は、必ずしも、封止中央部972の両端よりも外側に位置する必要はなく、封止中央部972の両端よりも内側、あるいは、封止中央部972の両端と左右方向の同じ位置に位置していてもよい。
【0096】
本発明に関連する技術では、均熱部23は、ヒータ中央部224と対向する位置にも設けられてもよい。この場合、均熱部23のうちヒータ中央部224と対向する位置に設けられる部位(すなわち、均熱中央部)と、上述の2つの均熱側部(上記例では、ヒートパイプ231)との間には、熱の伝達を防止または抑制する断熱材が設けられることが好ましい。均熱中央部の熱伝導率は、均熱側部の熱伝導率よりも低くてもよく、均熱側部の熱伝導率以上であってもよい。例えば、均熱中央部は、均熱側部と略同様のヒートパイプであってもよい。
【0097】
上述の均熱側部は、必ずしもヒートパイプ231である必要はなく、他の構造を有する均熱部材(例えば、銅またはアルミニウム等の金属製の柱状部材)であってもよい。上記均熱中央部においても同様である。
【0098】
図11に示すヒータ22では、根元側(すなわち、
図11中の右側)のヒータ側部223における発熱線221の単位長さあたり巻回数は、必ずしも、先端側(すなわち、
図11中の左側)のヒータ側部223における発熱線221の単位長さあたり巻回数よりも多い必要はなく、例えば同じであってもよい。
【0099】
ヒータ22の構造は、必ずしも、コイル状に巻回された発熱線221を備えるものである必要はなく、様々に変更されてよい。この場合であっても、ヒータ中央部224の単位長さあたりの発熱量が、2つのヒータ側部223の単位長さあたりの発熱量よりも少ないのであれば、上記と同様に、包装袋91の開口部96の封止を好適に行うことができる。ヒータ22aにおいても同様である。
【0100】
ヒータ22および均熱部23は、必ずしもシール面211の鉛直上方または鉛直下方に配置される必要はない。例えば、ヒータ22および均熱部23は、シール面211から前後方向にずれた位置にてシール面211の上方または下方に配置されてもよい。あるいは、シール面211の上方または下方に均熱部23が配置され、ヒータ22は、均熱部23と上下方向の略同じ位置において、均熱部23の前方または後方に配置されてもよい。ヒータ22aについても同様である。
【0101】
封止装置1では、開口部96の外面にコロナ放電処理が施されていない包装袋91の封止が行われてもよい。
【0102】
吸収性物品92は、使い捨ておむつ以外の様々な吸収性物品(例えば、補助吸収具)であってもよい。
【0103】
上記実施の形態および各変形例における構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わされてよい。
【符号の説明】
【0104】
1 封止装置
2,2a ヒートシールブロック
3 移動機構
9 包装体
21 ブロック本体
22,22a ヒータ
23 均熱部
81,82,83 電源
91 包装袋
92 吸収性物品
96 開口部
97 封止部
211 シール面
212 凹部
221 発熱線
223,223a ヒータ側部
224,224a ヒータ中央部
225 接続部
226 第1ヒータ
227 第2ヒータ
231 ヒートパイプ
961 第1底面形成部
962 第2底面形成部
971 封止側部
972 封止中央部
【要約】
【課題】包装袋の開口部の封止を好適に行う。
【解決手段】封止装置では、ヒータ22は、2つのヒータ側部223と、ヒータ中央部224とを備える。2つのヒータ側部223は、ヒータ22における左右方向の両側にて、2つの封止側部971と対応する位置に位置する。ヒータ中央部224は、2つのヒータ側部223の間にて封止中央部972と対応する位置に位置する。ヒータ中央部224は、2つのヒータ側部223よりも単位長さあたりの発熱量が少ない。均熱部23は、2つのヒートパイプ231を備える。2つのヒートパイプ231は、2つのヒータ側部223に対向するとともに、ヒータ中央部224と対向する位置を避けて配置される。これにより、封止中央部972の過剰な加熱による溶融および貫通、並びに、各封止側部971の加熱不足による熱溶着不足を抑制し、包装袋91の開口部96の封止を好適に行うことができる。
【選択図】
図11