(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-13
(45)【発行日】2022-01-13
(54)【発明の名称】情報分析装置、情報分析方法および情報分析プロブラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/26 20120101AFI20220105BHJP
G06Q 50/00 20120101ALI20220105BHJP
【FI】
G06Q50/26
G06Q50/00 300
(21)【出願番号】P 2020158701
(22)【出願日】2020-09-23
【審査請求日】2020-12-28
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】514323246
【氏名又は名称】株式会社JX通信社
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【氏名又は名称】泉 通博
(72)【発明者】
【氏名】柳 佳音
(72)【発明者】
【氏名】細野 雄紀
(72)【発明者】
【氏名】米重 克洋
【審査官】宮地 匡人
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-072612(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2017-0022608(KR,A)
【文献】吉川 大貴,AIがTwitter上の災害情報をリアルタイムで収集、地図上で可視化,[online],ITmedia,2020年06月26日,https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2006/26/news109.html,[検索日 2021.04.13]
【文献】吉井 勇,SNSからニュースになる災害・事件情報を収集するAI,NEW MEDIA,(株)ニューメディア,2018年02月02日,Vol.36 No.2,pp.76-77
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソーシャルメディア上に投稿された情報を収集分析するSNS情報処理部と、
特定のユーザからの投稿情報を収集分析するユーザ投稿情報処理部と、
それらの処理部で分析された情報を利用して事象情報を生成するとともに、当該事象情報を含む結果表示画像を生成する分析処理部と、
を備える情報分析装置において、
同じ時間帯で、事象の発生位置および事象の内容が共通する事象情報が複数ある場合にそれらの事象情報を集約する情報集約処理を行うように構成され、
前記結果表示画像では
、前記事象情報が地図上に表示され、種別ごとに異なる表示態様で前記事象情報が表示されるとともに集約された前記事象情報については1つの事象情報として表示が行われ
、前記結果表示画像では、さらにサブウィンドウが表示され、前記地図上で表示対象となっている複数の事象のそれぞれに関連する複数の情報が、1つの前記サブウィンドウ内に表示され、かつ、
前記事象情報をリアルタイムに表示するリアルタイム表示モードと、所定の指定期間内の事象情報を表示する期間指定表示モードとが選択可能となっている、
情報分析装置。
【請求項2】
前記結果表示画像に関し、前記指定期間内の事象情報を、時間の経過とともに順次動的に表示していく動的表示モードを有している、請求項1に記載の情報分析装置。
【請求項3】
前記結果表示画像では前記地図の種類が変更可能に構成されている、請求項1または2に記載の情報分析装置。
【請求項4】
さらに、公共情報を収集分析する公共情報処理部を備え、
前記分析処理部は、当該公共情報処理部で分析された情報も利用して事象情報を生成する、
請求項1~3のいずれか一項に記載の情報分析装置。
【請求項5】
ソーシャルメディア上の投稿情報、特定のユーザからのユーザ投稿情報、および公共情報の少なくとも1つに基づいて事象情報を生成するとともに、当該事象情報を結果表示画像に表示する分析処理部を備える情報分析装置において、
同じ時間帯で事象の発生位置および事象の内容が共通する事象情報が複数ある場合にそれらの事象情報を集約する情報集約処理を行うように構成され、
前記結果表示画像では
、前記事象情報が地図上に表示され、種別ごとに異なる表示態様で前記事象情報が表示されるとともに集約された前記事象情報については1つの事象情報として表示が行われ
、前記結果表示画像では、さらにサブウィンドウが表示され、前記地図上で表示対象となっている複数の事象のそれぞれに関連する複数の情報が、1つの前記サブウィンドウ内に表示され、かつ、
前記事象情報をリアルタイムに表示するリアルタイム表示モードと、所定の指定期間内の事象情報を表示する期間指定表示モードとが選択可能となっている、
情報分析装置。
【請求項6】
ソーシャルメディア上に投稿された情報を収集分析するステップと、
特定のユーザからのユーザ投稿情報を収集分析するステップと、
それらのステップで分析された情報を利用して事象情報を生成するとともに、当該事象情報を含む結果表示画像を生成するステップと、
同じ時間帯で事象の発生位置および事象の内容が共通する事象情報が複数ある場合にそれらの事象情報を集約する情報集約処理を行うステップと、
を有し、前記各ステップはコンピュータにより実施されるものであり、
前記結果表示画像では
、前記事象情報が地図上に表示され、種別ごとに異なる表示態様で前記事象情報が表示されるとともに集約された前記事象情報については1つの事象情報として表示が行われ
、前記結果表示画像では、さらにサブウィンドウが表示され、前記地図上で表示対象となっている複数の事象のそれぞれに関連する複数の情報が、1つの前記サブウィンドウ内に表示され、かつ、
前記事象情報をリアルタイムに表示するリアルタイム表示モードと、所定の指定期間内の事象情報を表示する期間指定表示モードとが選択可能となっている、
情報分析方法。
【請求項7】
前記結果表示画像に関し、前記指定期間内の事象情報を、時間の経過とともに順次動的に表示していく動的表示モードを有している、請求項6に記載の情報分析方法。
【請求項8】
ソーシャルメディア上に投稿された情報を収集分析して得られた情報、および、特定のユーザからのユーザ投稿情報を収集分析して得られた情報を利用して事象情報を生成するとともに、当該事象情報を含む結果表示画像を生成するステップと、
同じ時間帯で事象の発生位置および事象の内容が共通する事象情報が複数ある場合にそれらの事象情報を集約する情報集約処理を行うステップと、
をコンピュータに実行させる情報分析プログラムであって、
前記結果表示画像では
、前記事象情報が地図上に表示され、種別ごとに異なる表示態様で前記事象情報が表示されるとともに集約された前記事象情報については1つの事象情報として表示が行われ
、前記結果表示画像では、さらにサブウィンドウが表示され、前記地図上で表示対象となっている複数の事象のそれぞれに関連する複数の情報が、1つの前記サブウィンドウ内に表示され、かつ、
前記事象情報をリアルタイムに表示するリアルタイム表示モードと、所定の指定期間内の事象情報を表示する期間指定表示モードとが選択可能となっている、
情報分析プログラム。
【請求項9】
前記結果表示画像では
、地図画面のスクロール、拡大および縮小に連動して前記地図上で表示対象となっている複数の事象に関連する複数の情報が、前記サブウィンドウ内に表示される、請求項1~5のいずれか一項に記載の情報分析装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、災害情報などをはじめとする種々の情報を分析する情報分析装置、情報分析方法およびプロブラムに関し、特には、複数発信源からの情報または複数メディアからの情報の組合せに基づき確度の高い事象分析を行うことができ、かつ、その分析結果を必要に応じて多様な態様で表示することが可能な情報分析装置、情報分析方法および情報分析プロブラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、インターネットの普及に伴い、ソーシャルメディア等への投稿というかたちで個人によって災害情報や事故情報などが提供・拡散されることが多くなってきている。例えば災害情報であれば、公的機関から提供される避難勧告や避難指示といった情報以外にも、当然ながら、災害が発生している状況を確認できる現場の写真情報も有用である。ソーシャルメディア上で発信される種々の情報を分析して災害情報等を収集する手法としては従来様々なものが提案されている。
【0003】
一例として国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)は、SNS投稿情報を分析して災害情報を抽出するとともに、その結果を地図形式で表示する対災害SNS情報分析システムを提供している(DISAANA、非特許文献1)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【文献】インターネット<https://www.soumu.go.jp/main_content/000672984.pdf>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の情報分析システムはSNS投稿情報に基づき網羅的に災害情報を提供するものであって有用であるものの、即応的にかつより確度の高い分析結果を提供することがこの種のシステムにおいては求められており、また、分析結果としての情報はそれを閲覧するユーザが求めるニーズに応じて多様な態様で表示できるようになっていることが、ユーザの利便性および情報の正確な把握の観点から望ましいといえる。
【0006】
そこで、本発明の目的は、複数発信源からの情報または複数メディアからの情報の組合せに基づき確度の高い事象分析を行うことができ、かつ、その分析結果を必要に応じて多様な態様で表示することが可能な情報分析システム、情報分析方法および情報分析プロブラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための本発明の一態様の情報分析装置は下記のとおりである:
ソーシャルメディア上に投稿された情報を収集分析するSNS情報処理部と、
特定のユーザからの投稿情報を収集分析するユーザ投稿情報処理部と、
それらの処理部で分析された情報を利用して事象情報を生成するとともに、当該事象情報を含む結果表示画像を生成する分析処理部と、
を備える情報分析装置において、
前記結果表示画像では、
前記事象情報が地図上に表示され、種別ごとに異なる表示態様で前記事象情報が表示され、かつ、
前記事象情報をリアルタイムに表示するリアルタイム表示モードと、所定の指定期間内の事象情報を表示する期間指定表示モードとが選択可能となっている、
情報分析装置。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、複数発信源からの情報または複数メディアからの情報の組合せに基づき確度の高い事象分析を行うことができ、かつ、その分析結果を必要に応じて多様な態様で表示することが可能な情報分析装置、情報分析方法および情報分析プロブラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一形態に係るシステムの構成例を示す図である。
【
図2】本実施形態の情報分析サーバの構成例を示す図である。
【
図5】本発明の一形態に係る処理の一例を示すフローチャートである。
【
図6】本発明の一形態における結果表示画面の一例である。
【発明の詳細な説明】
【0010】
〔システム構成〕
図1に模式的に示すように、本実施形態のシステムは、インターネット50等のネットワークに接続されたSNSサーバ10と、同じくネットワークに接続され公共情報を提供する公共情報サーバ20と、本システムのユーザ(一例)からの情報を提供するユーザ投稿情報サーバ30とこれらのサーバから情報を収集して分析を行う情報分析サーバ100とを備えている。
【0011】
図1では、各機器が1つずつ描かれているが、これらの台数は本発明の本質的事項ではなく当然ながらそれぞれが複数台であってもよい。あるいは、複数の機器が1つの機器として構成されていてもよい。また、「サーバ」を例として挙げているが、データ処理の主体は特定の物理的構成に限定されるものではない。ネットワークとしてはインターネット50を例として挙げるが、当然ながら他のネットワークも利用可能である。サーバ10、20、30のうち一部を備えていないシステム構成としてもよい。
【0012】
SNSサーバ10は、個人や事業者といった一般ユーザがソーシャルメディア上に投稿した投稿情報を蓄積しているサーバである。ソーシャルネットワークとしては、例えば、twitter(登録商標)、Facebook(登録商標)、Instagram(登録商標)、TikTok(登録商標)、YouTube(登録商標)、LINE(登録商標)等が挙げられ、特定のものに限定されるものではない。これらのSNS情報は1種のみであってもよいし、複数種類の組合せであってもよい。SNSサーバ10は、必ずしも事前に情報を取得しその情報を蓄積するものに限らず、所定のAPI、クローラー等を用いてリアルタイムでソーシャルメディア上の情報を収集して蓄積するものであってもよい。
【0013】
公共情報サーバ20は、ソーシャルメディアのような一般ユーザからの情報ではなく、インフラ関連の情報、国・自治体等が発表する情報、気象情報といった公共情報を蓄積するサーバである。上記すべての情報が必須ということではなく一部のみを対象とするものであってもよい。
【0014】
インフラ関連情報としては、例えば、鉄道の運行情報、航空運行情報、バス運行情報、船舶運行情報、停電情報、ガス供給停止情報、断水情報、道路情報、通信・システム障害情報などの情報のうち1つまたは複数が含まれる。限定されるものではないが、鉄道運行情報は各鉄道会社からのものであってもよく、航空運行情報は各航空会社からのものであってもよく、バス運行情報は各バス会社からのものであってもよく、船舶運行情報は各船舶会社からものものであってもよく、停電情報は各電力会社からのものであってもよく、通信・システム障害情報は各通信キャリアやサービスプロバイダからのものであってもよい。
【0015】
国・自治体等発表情報としては、災害時の避難情報や避難所開設情報、または、有事関連情報などのうち1つまたは複数が含まれる。具体的には、Lアラート(災害情報共有システム)や全国瞬時警報システム(Jアラート)等の情報が挙げられる。
【0016】
気象情報としては、洪水、気象警報、地震、土砂災害、大雨、台風に関する情報などのうち1つまたは複数が含まれる。具体的には、緊急地震速報・震度速報、土砂災害警戒情報、河川氾濫情報、気象警報・注意報、記録的短時間大雨情報、台風情報、噴火情報、津波情報等の1つまたは複数が挙げられる。
【0017】
ユーザ投稿情報サーバ30は、特定のユーザが投稿した情報(ユーザ生成コンテンツ)を蓄積するサーバである。ここでいう特定のユーザとは、所定のサービス等を利用するために予め登録された者(個人、事業者)を指し、一例として、本システムまたは本システムに関連するシステムやサービスを利用するユーザであってもよい。SNS投稿情報の他にこのように特定ユーザの情報をも利用する利点としては、次のようなものが挙げられる。すなわち、この特定ユーザは、予め所定のプラットフォームやアプリを使用可能な環境としておくことで、災害時等により信頼度・精密度の高いユーザ生成コンテンツを提供しうる主体となり、これらの情報を有効に利用することでより確度の高い事象情報生成が可能となるためである。
【0018】
情報分析サーバ100は、収集した情報について所定の処理を行う分析装置101と、その分析結果を表示する表示部190とを備えている。分析装置101は1つまたは複数のコンピュータによって構成され、表示部190に関しても1つまたは複数のディスプレイで構成される。情報分析サーバ100としては、後述する本実施形態の情報分析処理を行うことができるものであればどのようなものであってもよく、特定の物理的構成に限定されるものではない。
【0019】
分析装置101は、具体的には
図2に示すように、ソーシャルメディア上の情報を収集分析するSNS情報処理部111と、公共情報を収集分析する公共情報処理部113と、特定のユーザが投稿した情報を収集分析するユーザ投稿情報処理部115とを有している。また、分析装置101は、上記処理部で収集分析された情報に基づき分析処理を行う分析処理部120も有している。なお、
図2における各部の区別はあくまで1つの実施態様として例示したもので、分析装置100において、どの処理部がどの処理を行うかは厳密に制限されるものではなく、分析装置100全体として必要な処理を行うものであればよい。
【0020】
〔投稿情報の処理の一例〕
(例1.SNS投稿情報の処理)
次いで、上述のように構成された本実施形態の情報分析サーバ100における投稿情報の処理の一例について説明する。
図3はSNS投稿情報の模式図であり、
図5はデータ分析処理の一例を示すフローチャートである。
【0021】
ここでは、
図3のようなSNS投稿情報があった場合を想定する。このSNS投稿情報301(以下、単に投稿情報301ともいう)には写真画像303が含まれており、この写真画像303では、河川305から道路307に水が溢れて冠水した状況となっている。また、この投稿には、文字情報として、冠水である旨の情報や当該写真の位置情報(例えば河川名、施設名、公園名、市町村名等)が含まれているものとする。投稿情報301は、SNSサーバ10(
図1)に蓄積されている。SNS投稿情報の位置情報(緯度経度情報)に関して言えば、その情報がどのような態様で含まれているかは特に限定されるものではなく、写真画像の付帯情報として含まれるものや、SNS投稿のメタデータとして含まれるもの等であってもよい。
【0022】
このような投稿情報301に対して、情報分析サーバ100は、まず、ステップS1a(
図5参照)において、SNSサーバ10から投稿情報301を取得する。予めSNSサーバ10に蓄積されていた投稿情報を用いるのではなく、APIを介して、またはクローリング等によってソーシャルメディア上の情報をリアルタイムで収集する手法であってもよいことは前述のとおりである。
【0023】
情報分析サーバ100は、また、ステップS1b、S1cにおいてそれぞれ、公共情報の収集およびユーザ投稿情報の収集を行う。これらの情報は、公共情報サーバ20およびユーザ投稿情報サーバ30から取得されるものであってもよいが、リアルタイムで収集された情報を用いてもよいことはSNS投稿情報の場合と同様である。
【0024】
この例では、公共情報およびユーザ投稿情報はなく、
図3のSNS投稿情報301のみが得られた場合を想定する。
【0025】
次いで、情報分析サーバ100は、ステップS2において、収集した投稿情報301に対してデータの正規化処理を行う。正規化処理としては、例えば、所定のフォーマットに合わせる処理が行われる。ここでの処理としては、また、収集した情報に所定のタグ情報(付番等であってもよい)を付する処理や、タグ情報が付された情報をデータベースに格納する処理等が行われてもよい。
【0026】
次いで、情報分析サーバ100は、ステップS3において同投稿情報301に関して情報の除外処理を行う。除外処理とは、対象に含まれる情報(画像情報、文字情報など)が予め定めた所定の除外対象情報に該当するか否かを判定し、該当した場合に当該情報を除外する処理である。具体的には、投稿情報の中に販促サイトのURLリンクが含まれているような場合、仮にこの投稿が「冠水」、「洪水」等のキーワードを含むものであったとしても、当該投稿の目的は、その投稿に接した他のユーザを例えば自動車修理サービス店に誘導するためのものと推察されるものであるようなときには、このような投稿情報は除外対象とする。また、災害に関するキーワードを含むものであっても投稿元がボットツールであるような場合には、リアルタイムの実際の災害を示すものではない可能性が高いのでこうした投稿情報を除外対象としてもよい。なお、上記のような除外処理に関し、どのような情報を非有用情報として取り扱うかについては、予めルールを用意しておき、対象の投稿情報がそれに該当するか否かを判定して処理を行うものであってもよい。有用な災害情報を非有用情報として振り分けてしまう可能性を低減させるために詳細なルール設定がなされていることが好ましい。リアルタイムの情報ではないことを判定するために、過去の日付に関する内容の投稿は除外するというルールを用いてもよい。
【0027】
なお、本実施形態の例では、投稿画像301に特に所定の除外対象情報は含まれていないため、除外対象に該当しないと判定する。
【0028】
次いで、情報分析サーバ100は、ステップS4において、投稿情報301を分析して事象の付与処理を行う。この例では、情報分析サーバ100は、投稿の画像情報と文字情報に基づいて「冠水」と判定し、同情報を付与する。
【0029】
次いで、情報分析サーバ100は、ステップS5において、当該投稿情報が位置情報をあらかじめ保持していない場合、投稿情報301を分析して位置情報の付与処理を行う。この例では、情報分析サーバ100は、投稿情報301の文字情報に基づき位置情報「xx県xx市xx区」を特定する、あるいは、投稿情報301に緯度経度の位置情報が含まれているのであればその位置情報を利用してもよい。緯度経度で特定される所定の中心点を基準としてそれを含む一定の範囲を推定範囲としてもよい。
【0030】
上記一連の工程によって、投稿情報301には、「冠水」という事象情報と、「xx県xx市xx区」という位置情報とラベリングされることとなる。
【0031】
なお、ある地点である事象が発生した場合に、それを目撃した一般ユーザが多数存在するときには、複数のSNS投稿情報301が収集されることも想定される。この場合も、基本的に上記と同様の処理でそれぞれの投稿情報301を分析していけばよい。情報分析サーバ100は、同じ時間帯で、「冠水」・「xx県xx市xx区」とラベリングされた情報が複数ある場合には、ステップS6において、それらをまとめる処理を行う。
【0032】
次いで、情報分析サーバ100は、ステップS7において、上記で得られた災害情報を、
図6に示す結果表示画像500のように地図上に表示していく。地図の種別は特に限定されないが、一般的な地図の他にも標高地図(地形地図)等の利用も可能である。
図6では模式的に、「xx県xx市xx区」の地図上に「冠水」であることを示す第1の事象情報アイコン501が表示される。なお、結果表示画像500の表示内容についての詳細な説明や、他の事象を示す第2の事象情報アイコン502a、502bについては、後述するものとする。
【0033】
なお、上述した実施形態では、冠水という事象情報を第1の事象情報アイコン501で点として表示しているが、本発明はこれに限らず、冠水が発生している場所を一定の「範囲」として特定し、それを地図上に表示するものであっても構わない。当然ながら、こうした「点」ではなく「範囲」としての事象特定・表示は、冠水以外の他の事象の場合でも同様に適用可能である。対象の河川を「線」として捉えて事象を線状に特定・表示することも有用である。鉄道運行情報や道路上の事故といった事象の場合には、鉄道の路線や道路を線状の事象領域として特定・表示するようにしてもよい。なお、具体的な図示は省略するが、この場合、線路形状に沿うように線状の事象表示を行ってもよいし、道路形状に沿うように線状の事象表示を行ってもよい。同様の手法は河川などを対象にする場合にも応用可能である。
【0034】
(例2.他の投稿情報の処理)
続いて、他の投稿情報を収集分析して結果表示画像に表示する例について説明する。ここでは、
図4に示すようなSNS投稿情報331があった場合を想定する。この投稿情報331には写真画像333が含まれており、この写真画像333では火災の状況が写されている。図示は省略するが、この投稿には、文字情報として当該写真の撮影位置情報(市町村名等)が含まれているものとする。
図3の例と同様、写真画像や投稿のメタデータに緯度経度の位置情報が含まれていてもよい。
【0035】
情報分析サーバ100は、基本的に、
図5のフローチャートに沿って上記に説明した処理と同様の工程で投稿情報331について分析処理を行うことができる。ここでの相違点としては、この例では、SNS投稿情報331に加えて「ユーザ投稿情報」も利用される点にある。「ユーザ投稿」としては、次の内容を想定する:
事象:火災
写真:画像データ
位置:xxx,yyy(投稿時の緯度経度)
【0036】
ユーザ投稿情報は、例えば所定サービスのアプリケーションを自身の端末(例えばスマートフォン)にインストールした特定のユーザが、当該アプリケーションを通じて投稿した情報であってもよい。当然ながら、スマートフォン以外の端末経由で情報が送信されてもよい。
【0037】
以下、上記で説明した処理と同様の部分については適宜説明を省略しつつ情報分析サーバ100での処理について説明する。まず、情報分析サーバ100は、SNS投稿情報331およびユーザ投稿情報を収集する(ステップS1a、S1c)。
【0038】
次いで、情報分析サーバ100は、ステップS2において、収集した投稿情報331およびユーザ投稿情報に対して必要に応じデータの正規化処理(例えばフォーマットを合わせる処理)を行う。
【0039】
次いで、情報分析サーバ100は、ステップS3において除外処理を行うが、この例では投稿画像331およびユーザ投稿情報に特にそのような情報は含まれていないため、除外対象に該当しないものとする。
【0040】
次いで、情報分析サーバ100は、ステップS4において、投稿情報331を分析して事象の付与処理を行う。具体的には、投稿の写真画像333に基づいて「火災」と判定し、同情報を付与する。ユーザ投稿情報に関しては事象情報としてすでに「火災」との情報が含まれているので、情報分析サーバ100による事象の分析は行わず、ユーザ投稿情報に含まれていた情報がそのまま用いられる。
【0041】
次いで、情報分析サーバ100は、ステップS5において、投稿情報331を分析して位置情報の付与処理を行う。この例では、投稿情報331の文字情報から位置情報「xx県xx市xx区aa地域」を特定する。ユーザ投稿情報に関しては、すでに事象の経度緯度情報を含んでいる(「xx県xx市xx区bb地域」とする)ので、その情報を利用する。
【0042】
次いで、情報分析サーバ100は、ステップS6において、分析されたSNS投稿情報331に基づく分析結果と、ユーザ投稿情報に基づく分析結果とを集約する処理を行う。すなわち、ここでは
「xx県xx市xx区aa地域」で「火災」という情報と、
「xx県xx市xx区bb地域」で「火災」という情報と
が得られることとなる。
【0043】
次いで、情報分析サーバ100は、ステップS7において、上記で得られた災害情報を、
図6に示す結果表示画像500のように地図上に表示していく。具体的には、この例では、事象情報アイコン502aが地図上の「xx県xx市xx区aa地域」に表示され、事象情報アイコン502bが地図上の「xx県xx市xx区bb地域」に表示される。
【0044】
なお、SNS投稿情報やユーザ投稿情報の単体では必要な情報の特定が行うことができない場合、(例えば、SNS投稿情報単体では「火災」であることは特定できても位置情報は特定できない場合など)、他の投稿情報および/または公共情報から特定される情報を組み合わせて最終的な事象情報としてもよい(一例としてSNS投稿情報単体で位置情報が特定できない場合に、ユーザ投稿情報で特定された位置情報を組み合わせる)。
【0045】
(結果表示画像についての説明)
図6に示す結果表示画像500では、「冠水」を示す事象情報アイコン501と、「火災」を示す事象情報アイコン502a、502bとが異なる表示態様で表示されるようになっている。例えば、アイコンの形状、色彩、模様等のうち1つ以上を異ならせて表示することが好ましい。
【0046】
結果表示画像500としては、例えば、表示させたい事象を選択できるように構成されていることが一形態において好ましい。具体的な一例として、火災アイコン515a、水害アイコン515b、事件アイコン515c、事故アイコン515d、気象アイコン515e等のように、複数の表示事象選択アイコン(515a~515e)が表示されるものであってもよい。事象の種別としては、上記に限らず、システム障害情報やライフライン情報などを対象としてもよい。これらのアイコン(1つまたは複数)を選択することで、一例で、選択された事象のみが表示対象となる。
【0047】
ある対象地域で、時間的な範囲(例えば2020年8月1日~2020年8月7日)を指定し、その地域で発生した事象情報を確認したい場合もある。そこで、本実施形態の結果表示画像500では、表示する事象の期間を指定することができるように構成されている。換言すれば、本実施形態の構成では、現在発生している事象をリアルタイムに表示するリアルタイム表示モードと、所定の指定期間内の事象情報を表示する期間指定表示モードとが選択可能となっている。
【0048】
期間指定表示モードにおいて、期間を指定するためのグラフィカルユーザインターフェースは、特に限定されるものではなく、任意の入力手段を利用できるが、
図6では一例として、アイコン520を選択し(または、必要に応じてその後さらに任意のアイコンを選択する)、期間情報を指定できるようになっている。
【0049】
ここで、事象の表示と時間的な範囲(期間的な範囲)の関係についてより詳しく説明すると、1つの表示態様としては、a)例えば2020年8月1日~2020年8月7日の期間内に生じた事象情報を地図上にまとめて表示する表示モード(一括同時的な表示)と、b)例えば2020年8月1日の6:00~22:00までの時間帯に生じた事象情報を、時間の経過とともにアニメーション表示していく表示モードとのいずれか又は両方を有していてもよい。b)の動的表示モードは、つまり、この例では6:00~22:00で時刻が進んでいき、その進行に併せて事象情報が順次表示されていくモードである。このような動的な表示機能により、本システムを利用するユーザは当該事象の時刻的な変化を視覚的に把握し理解することが可能となる。
【0050】
結果表示画像500では、上記の動的な表示機能のためのグラフィカルユーザインターフェースとして、一例で
図6に示すような、時間軸表示571と、その時間軸表示571に沿って移動していくインジケータ575と、インジケータ575の移動を開始する(時刻を所定速度で進める)ためのアイコン576を含むものであってもよい。時刻を早送り/早戻しするためのアイコン577a、577bが設けられていてもよく、また、
図6では描かれていないが進行を一時停止するアイコンが設けられていてもよい。アイコン576を押すことで進行と停止が切り替わるインターフェースとしてもよい。インジケータ575は、タッチパネル上での移動操作、および/または、マウスカーソル等による選択移動によって自由にその位置を変更でき、それによりそのインジケータ位置に対応した所望の時刻の事象情報を確認できるように構成されていてもよい。
【0051】
上述のように本実施形態においては各種の事象情報アイコンが地図上に表示されるようになっているが、事象に応じて、地図表示の種別も変更できるようになっていることも、一形態において好ましい。このような構成によれば、例えば冠水を示す事象情報アイコン501を、通常の地図ではなくハザードマップ等の上に表示させること等が可能となり、ユーザにとって有用な情報を提供できるものとなる。地図表示の種別変更に関し、例えば、ハザードマップ(例えば、地震時の揺れやすさのマップ等でもよい)、気象マップ、雨雲レーダ、積雪マップ、交通渋滞情報マップなどのマップに切替え可能であることが好ましい。また、時間帯ごと人口分布マップ、空間統計(密度)マップ等への表示も可能である。
【0052】
マップの切替えのためのユーザインターフェースは、特に限定されるものではないが、アイコン510を選択し(または、必要に応じてその後さらに任意のアイコンを選択する)、変更が行われるものであってもよい。
【0053】
結果表示画像500としては、さらに、地図画面のスクロールや拡大・縮小に連動して、画面内に表示されている対象地域内に関連した各種情報がサブウィンドウ531内に表示される構成であってもよい。各種情報としては例えば、サムネイル533a~533dが時系列で表示されるようなものとしてもよい。地図上で表示対象となっている事象に関連する各種情報(例えば「火災」であれば、それに関連した情報(画像、動画、投稿情報、コメントなど)のみがサブウィンドウ531内に表示されるようになっていてもよい。また、公共情報や気象情報を表示の態様を区別して時系列内に表示することで、投稿情報の信ぴょう性の把握の補助としてもよい。すなわち、このような構成によれば例えば地震情報等が時系列上に表示されることとなり、ユーザが事後的に当該地域内の事象発生を確認する際に「ここで地震が起き、その後にこの被害が出ている」といった経時的な状況の把握を行うことが可能となる。
【0054】
以上、本発明の具体的な態様について図面を参照しながら説明したが、本発明はそれらの内容に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0055】
(付記)
本出願は以下の内容を開示する:
1.ソーシャルメディア上に投稿された情報を収集分析するSNS情報処理部(111)と、
特定のユーザからの投稿情報を収集分析するユーザ投稿情報処理部(115)と、
それらの処理部で分析された情報を利用して事象情報を生成するとともに、当該事象情報を含む結果表示画像(500)を生成する分析処理部(120)と、
を備える情報分析装置(101)において、
上記結果表示画像(500)では、
上記事象情報が地図上に表示され、種別ごとに異なる表示態様で上記事象情報(501、502a、502b)が表示され、かつ、
上記事象情報をリアルタイムに表示するリアルタイム表示モードと、所定の指定期間内の事象情報を表示する期間指定表示モードとが選択可能となっている、
情報分析装置。
【0056】
以上のような構成によれば、複数発信源からの情報を利用して、または、複数のメディアである第1の投稿情報と第2の投稿情報を利用して事象情報が生成されるため確度の高い事象分析を行うことができ、しかも、その結果が多様な態様で表示可能であるので、ユーザにとって事象情報の把握や分析が行い易いものとなる。
【0057】
2.上記結果表示画像(500)に関し、上記指定期間内の事象情報を、時間の経過とともに順次動的に表示していく動的表示モードを有している、上記記載の情報分析装置。
【0058】
3.上記結果表示画像(500)では上記地図の種類が変更可能に構成されている、上記記載の情報分析装置。
【0059】
4.さらに、公共情報を収集分析する公共情報処理部(113)を備え、
上記分析処理部(120)は、当該公共情報処理部で分析された情報も利用して事象情報を生成する、上記記載の情報分析装置。
【0060】
5.ソーシャルメディア上の投稿情報、特定のユーザからのユーザ投稿情報、および公共情報の少なくとも1つに基づいて事象情報を生成するとともに、当該事象情報を結果表示画像(500)に表示する分析処理部(120)を備える情報分析装置(101)において、
上記結果表示画像(500)で、
上記事象情報が地図上に表示され、種別ごとに異なる表示態様で上記事象情報が表示され、かつ、
上記事象情報をリアルタイムに表示するリアルタイム表示モードと、所定の指定期間内の事象情報を表示する期間指定表示モードとが選択可能となっている、上記記載の情報分析装置。
【0061】
6.ソーシャルメディア上に投稿された情報を収集分析するステップと、
特定のユーザからのユーザ投稿情報を収集分析するステップと、
それらのステップで分析された情報を利用して事象情報を生成するとともに、当該事象情報を含む結果表示画像を生成するステップと、
を有し、
上記結果表示画像では、
上記事象情報が地図上に表示され、種別ごとに異なる表示態様で上記事象情報が表示され、かつ、
上記事象情報をリアルタイムに表示するリアルタイム表示モードと、所定の指定期間内の事象情報を表示する期間指定表示モードとが選択可能となっている、
情報分析方法。
【0062】
7.上記結果表示画像に関し、上記指定期間内の事象情報を、時間の経過とともに順次動的に表示していく動的表示モードを有している、情報分析方法。
【0063】
8.上記結果表示画像では上記地図の種類が変更可能に構成されている、情報分析方法。
【0064】
9.ソーシャルメディア上に投稿された情報を収集分析して得られた情報、および、特定のユーザからのユーザ投稿情報を収集分析して得られた情報を利用して事象情報を生成するとともに、当該事象情報を含む結果表示画像を生成するステップをコンピュータに実行させる情報分析プログラムであって、
上記結果表示画像では、
上記事象情報が地図上に表示され、種別ごとに異なる表示態様で上記事象情報が表示され、かつ、
上記事象情報をリアルタイムに表示するリアルタイム表示モードと、所定の指定期間内の事象情報を表示する期間指定表示モードとが選択可能となっている、
情報分析プログラム。
【符号の説明】
【0065】
10 SNSサーバ
20 公共情報サーバ
30 ユーザ投稿情報サーバ
50 インターネット
100 情報分析サーバ
101 分析装置
111 SNS情報処理部
113 公共情報処理部
115 ユーザ投稿情報処理部
120 分析処理部
190 表示部
301 投稿情報
303 写真画像
331 投稿情報
500 結果表示画像
501 第1の事象情報アイコン
502a、502b 第2の事象情報アイコン
510 アイコン
531 サブウィンドウ
【要約】
【課題】複数発信源からの情報または複数メディアからの情報の組合せに基づき確度の高い事象分析を行うことができ、かつ、その分析結果を必要に応じて多様な態様できる情報分析システム等を提供する。
【解決手段】この情報分析装置は、SNS投稿情報を収集分析するSNS情報処理部111と、特定のユーザからの投稿情報を収集分析するユーザ投稿情報処理部115と、それらの処理部で分析された情報を利用して事象情報を生成するとともに、当該事象情報を含む結果表示画像500を生成する分析処理部120とを備え、結果表示画像500では、上記事象情報が地図上に表示され、種別ごとに異なる表示態様で上記事象情報501、502a、502bが表示され、かつ、上記事象情報をリアルタイムに表示するリアルタイム表示モードと、所定の指定期間内の事象情報を表示する期間指定表示モードが選択可能となっている。
【選択図】
図5