(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-13
(45)【発行日】2022-01-13
(54)【発明の名称】モーターの校正システム
(51)【国際特許分類】
H02P 23/24 20160101AFI20220105BHJP
【FI】
H02P23/24
(21)【出願番号】P 2020182364
(22)【出願日】2020-10-30
【審査請求日】2020-10-30
(73)【特許権者】
【識別番号】506004997
【氏名又は名称】威剛科技股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】林 繼謙
(72)【発明者】
【氏名】陳 育良
【審査官】池田 貴俊
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-105515(JP,A)
【文献】特開2019-22417(JP,A)
【文献】特開2020-25425(JP,A)
【文献】国際公開第2011/001768(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02P 23/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モーター制御モジュールを含むモーターのゼロ位置と、前記モーターの相順と、を校正するためのモーターの校正システムであって、
前記モーターの校正システムは、
予定ステアリング情報が格納されたメモリ、及び前記メモリに電気的に接続されるプロセッサを含み、電源に電気的に接続するための制御モジュールと、
前記制御モジュールに電気的に接続され、前記モーターの三相ケーブルに接続するための駆動モジュールと、
前記モーター制御モジュールに接続し、前記モーター制御モジュールから出力した角度情報を読み込むための角度読取部と、
少なくとも1つの角度補正用データを前記モーター制御モジュールに書き込むためのデータ書込部と、
前記モーターに配置され、前記モーターの回転方向を検知することにより、対応的にステアリング情報を生成するステアリングセンサと、
を含み、
前記制御モジュールは、相順校正プロセスを実行し、前記制御モジュールが前記相順校正プロセスを実行する時、前記制御モジュールは、前記予定ステアリング情報に基づいて、前記駆動モジュールにより、前記モーターの回転を制御し、かつ、前記制御モジュールは、前記ステアリングセンサからフィードバックした前記ステアリング情報に基づいて、前記モーターの回転方向が前記予定ステアリング情報と一致するかどうかについて判断し、前記制御モジュールが、前記モーターの回転方向と前記予定ステアリング情報とが一致しないと判断した場合、前記制御モジュールは、前記データ書込部が前記モーター制御モジュールにおける正転指令及び逆転指令を変更させるように前記データ書込部を制御し、
前記制御モジュールが前記相順校正プロセスを実行した後、前記制御モジュールは、角度校正プロセスを実行し、前記制御モジュールが前記角度校正プロセスを実行するとき、前記制御モジュールは、前記駆動モジュールにより、前記モーターを所定角度で回転させ、かつ、前記制御モジュールは、前記角度読取部により、前記角度情報を読み込んで、前記データ書込部を介して、前記角度情報に含まれる現在角度を、前記モーター制御モジュールのゼロオフセット値として、前記モーター制御モジュールに書き込む、ことを特徴とする、モーターの校正システム。
【請求項2】
前記制御モジュールが前記相順校正プロセスを実行した後、前記制御モジュールは、相順確認プロセスをさらに実行し、前記制御モジュールが前記相順確認プロセスを実行するとき、前記制御モジュールは、前記予定ステアリング情報に基づいて、前記モーターの回転を制御し、かつ、前記制御モジュールは、前記ステアリングセンサがフィードバックした前記ステアリング情報に基づいて、前記モーターの回転方向が正しいのはどれかについて判断し、前記制御モジュールが前記モーターの回転方向が間違っていると判断すれば、前記制御モジュールは、前記相順校正プロセスを再実行するか、或いは、前記制御モジュールが相順校正失敗信号を発信する、請求項1に記載のモーターの校正システム。
【請求項3】
前記モーターの校正システムは警告モジュールさらに含み、前記警告モジュールが前記制御モジュールに電気的に接続され、前記警告モジュールが前記相順校正失敗信号を受信すると、前記警告モジュールは、前記モーターの校正システムによる前記モーターの相順の校正が失敗したことをユーザに知らせる、請求項2に記載のモーターの校正システム。
【請求項4】
前記制御モジュールが前記角度校正プロセスを実行した後、前記制御モジュールは、角度確認プロセスを実行し、前記制御モジュールが前記角度確認プロセスを実行するとき、前記制御モジュールは、前記駆動モジュールにより、前記モーターを確認用角度で回転させ、かつ、前記制御モジュールは、前記角度読取部を介して前記角度情報を読み込むことにより、前記モーターの回転角度が正しいかどうかについて判断し、前記制御モジュールが前記モーターの回転角度が間違っていると判断すれば、前記制御モジュールが前記角度校正プロセスを又は前記相順校正プロセスを再実行するか、或いは、前記制御モジュールが角度校正失敗信号を発信する、請求項1に記載のモーターの校正システム。
【請求項5】
前記モーターの校正システムは、警告モジュールをさらに含み、前記警告モジュールが前記制御モジュールに電気的に接続され、前記警告モジュールが前記角度校正失敗信号を受信すると、前記警告モジュールは、前記モーターの校正システムによる前記モーターの角度校正が失敗したことをユーザに知らせる、請求項4に記載のモーターの校正システム。
【請求項6】
前記現在角度がθと定義され、前記制御モジュールが前記相順校正プロセスを実行するとき、前記制御モジュールが前記モーター制御モジュールにおける前記正転指令及び前記逆転指令を変更した場合、前記制御モジュールが前記角度校正プロセスを実行する時の前記ゼロオフセット値は(360-θ)*(4096/360)である、請求項1に記載のモーターの校正システム。
【請求項7】
前記現在角度がθと定義され、前記制御モジュールが前記相順校正プロセスを実行する時、前記制御モジュールが前記モーター制御モジュールにおける前記正転指令及び前記逆転指令を変更しなかった場合、前記制御モジュールが前記角度校正プロセスを実行する時の前記ゼロオフセット値はθ*(4096/360)である、請求項1に記載のモーターの校正システム。
【請求項8】
前記モーターの校正システムは、通信モジュールをさらに含み、前記通信モジュールは前記制御モジュールに電気的に接続され、前記通信モジュールは、製造システムが送信した前記予定ステアリング情報を受信し、前記制御モジュールは、前記通信モジュールを介して前記予定ステアリング情報を受信し、さらに前記予定ステアリング情報を前記メモリに格納する、請求項1に記載のモーターの校正システム。
【請求項9】
モーター制御モジュールを含むモーターのゼロ位置と、前記モーターの相順と、を校正するためのモーターの校正システムであって、
前記モーターの校正システムは、
予定ステアリング情報が格納されたメモリ、及び前記メモリに電気的に接続されるプロセッサを含み、電源に電気的に接続するための制御モジュールと、
前記制御モジュールに電気的に接続され、前記モーターの三相ケーブルに接続するための駆動モジュールと、
前記モーター制御モジュールに接続し、前記モーター制御モジュールから出力した角度情報を読み込むための角度読取部と、
少なくとも1つの角度補正用データを前記モーター制御モジュールに書き込むためのデータ書込部と、
を含み、
前記制御モジュールは、相順校正プロセスを実行し、前記制御モジュールが前記相順校正プロセスを実行する時、前記制御モジュールは、前記予定ステアリング情報に基づいて、前記駆動モジュールにより、前記モーターの回転を制御し、かつ、前記制御モジュールは、前記モーター制御モジュールからフィードバックした前記ステアリング情報に基づいて、前記モーターの回転方向が前記予定ステアリング情報と一致するかどうかについて判断し、前記制御モジュールが、前記モーターの回転方向と前記予定ステアリング情報とが一致しないと判断した場合、前記制御モジュールは、前記データ書込部が前記モーター制御モジュールにおける正転指令及び逆転指令を変更させるように前記データ書込部を制御し、
前記制御モジュールが前記相順校正プロセスを実行した後、前記制御モジュールは、角度校正プロセスを実行し、前記制御モジュールが前記角度校正プロセスを実行するとき、前記制御モジュールは、前記駆動モジュールにより、前記モーターを所定角度で回転させ、かつ、前記制御モジュールは、前記角度読取部により、前記角度情報を読み込んで、前記データ書込部を介して、前記角度情報に含まれる現在角度を、前記モーター制御モジュールのゼロオフセット値として、前記モーター制御モジュールに書き込む、ことを特徴とする、モーターの校正システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、校正システムに関し、特に、ゼロ位置及び相順を校正するためのモーターの校正システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の一般的なモーター及びエンコーダのゼロ位置の校正方法は、時間及び手間がかかるだけでなく、エンコーダの回転子とモーターとの相対位置を手動で正確に調整することができないという問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、モーター回転子及びエンコーダの既存の手動によるゼロ位置校正に起因する不都合を改善する、モーターの校正システムを開示する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明に係る特定の実施形態は、モーターのゼロ位置及びモーターの相順を校正するためのモーターの校正システムを開示する。モーターは、モーター制御モジュールを含む。モーターの校正システムは、制御モジュール、駆動モジュール、角度読取部、データ書込部及びステアリングセンサを含む。制御モジュールは、電源に接続するために用いられる。制御モジュールは、メモリを含む。メモリに、予定ステアリング情報が記憶される。駆動モジュールが制御モジュールに電気的に接続され、駆動モジュールは、モーターの三相ケーブルに接続するために用いられる。角度読取部は、モーター制御モジュールに接続するために用いられる。角度読取部は、モーター制御モジュールから出力した角度情報を読み込むために用いられる。データ書込部は、少なくとも1つの角度補正用データをモーター制御モジュールに書き込むために用いられる。ステアリングセンサはモーターに配置される。ステアリングセンサは、モーターの回転方向を検知することにより、対応的にステアリング情報を生成するために用いられる。なかでも、制御モジュールは、相順校正プロセスを実行し得る。制御モジュールが相順校正プロセスを実行する場合、制御モジュールは、予定ステアリング情報に基づいて、駆動モジュールにより、モーターの回転を制御し、かつ、制御モジュールは、ステアリングセンサがフィードバックしたステアリング情報に基づいて、モーターの回転方向が予定ステアリング情報と一致するかどうかについて判断する。制御モジュールが、モーターの回転方向が予定ステアリング情報と不一致と判断した場合、制御モジュールは、データ書込部が制御チップの正転指令及び逆転指令を変更させるように制御する。なかでも、制御モジュールが相順校正プロセスを実行した後、制御モジュールは、角度校正プロセスを実行する。制御モジュールが角度校正プロセスを実行するとき、制御モジュールは、駆動モジュールを介して、モーターを所定角度で回転させ、かつ、制御モジュールは、角度読取部により、角度情報を読み込んで、そして、データ書込部により、角度情報に含まれる現在角度を、モーター制御モジュールのゼロオフセット値として、モーター制御モジュールに書き込むようになる。
【0005】
本発明に係る特定の実施形態は、モーターのゼロ位置及びモーターの相順を校正するためのモーターの校正システムを開示する。モーターは、モーター制御モジュールを含む。モーターの校正システムは、制御モジュール、駆動モジュール、角度読取部及びデータ書込部を含む。制御モジュールは、電源に用いられる。制御モジュールは、メモリ及びプロセッサを含み、メモリ内に予定ステアリング情報が記憶され、プロセッサがメモリに電気的に接続される。駆動モジュールは、制御モジュールに電気的に接続される。駆動モジュールは、モーターの三相ケーブルと接続する。角度読取部は、モーター制御モジュールに接続する。角度読取部は、モーター制御モジュールから出力した角度情報を読み込むために用いられる。データ書込部は、少なくとも1つの角度補正用データをモーター制御モジュールに書き込むように用いられる。なかでも、制御モジュールが相順校正プロセスを実行する。制御モジュールが相順校正プロセスを実行する場合、制御モジュールは、予定ステアリング情報に基づいて、駆動モジュールを介してモーターの回転を制御し、かつ、制御モジュールは、モーター制御モジュールがフィードバックしたステアリング情報に基づいて、モーターの回転方向が予定ステアリング情報と一致するかどうかについて判断する。制御モジュールがモーターの回転方向と予定ステアリング情報とは不一致と判断した場合、制御モジュールは、データ書込部がモーター制御モジュールにおける正転指令及び逆転指令を変更させるように制御する。なかでも、制御モジュールが相順校正プロセスを実行した後、制御モジュールは、角度校正プロセスを実行する。制御モジュールが角度校正プロセスを実行する場合、制御モジュールは、駆動モジュールにより、モーターを所定角度回転させ、かつ、制御モジュールは、角度読取部により角度情報を読み込み、そして、データ書込部により、角度情報に含まれる現在角度を、モーター制御モジュールのゼロオフセット値として、モーター制御モジュールに書き込むようになる。
【発明の効果】
【0006】
上記を踏まえて、本発明に係るモーターの校正システムは、制御モジュール及びデータ書込部などの要素の互いの協働により、モーター制御モジュール(前記モーター制御モジュールがエンコーダを含んでいる。)内に予めに記憶された正転指令、逆転指令及びゼロオフセット値を直接的に変更でき、そのように、モーターの相順の校正作業及びモーターの角度の校正作業を完成させることができる。なお、本発明に係るモーターの校正システムでは、モーターの相順校正や角度校正の過程で、エンコーダのロータやモーターの回転子を手動で調整する必要はない。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明に係るモーターの校正システムを示すブロック模式図である。
【
図4】本発明に係るモーターの校正システムにおける制御モジュールがモーターを校正する第1の実施形態を示すフロチャートである。
【
図5】本発明に係るモーターの校正システムにおける制御モジュールがモーターを校正する第2の実施形態を示すフロチャートである。
【
図6】本発明に係るモーターの校正システムの第2の実施形態を示すブロック模式図である。
【
図7】本発明に係るモーターの校正システムの第3の実施形態を示すブロック模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1を参照されたい。
図1は、本発明に係るモーターの校正システム100を示すブロック模式図である。本発明に係るモーターの校正システム100は、モーターMのゼロ位置及び前記モーターMの相順(即ち、正転方向及び逆転方向)を校正するために用いられる。モーターの校正システム100は、制御モジュール1、駆動モジュール2、角度読取部3、データ書込部4、及びステアリングセンサ5を含む。
【0009】
制御モジュール1は電源Pに電気的に接続される。前記電源は、例えば、家庭用交流電源、直流電源サプライヤー、直流バッテリー等が挙げられ、ここでは制限されない。制御モジュール1は、メモリ11及びプロセッサ12を含み、メモリ11内に予定ステアリング情報111が記憶される。プロセッサ12は、メモリ11に電気的に接続される。予定ステアリング情報111は、関連する入力デバイス(例えば、スマートフォン、キーボード、マウス、タッチスクリーンなど)及び関連するユーザインタフェースを介して関連するユーザによって定義されたモーターの正転方向(及び逆転方向)に関する情報である。
【0010】
図2及び
図3に示すように、モーターMのケーシングM1が固定部材M2の一方側に固定され、モーターMの回転軸M3が固定部材M2の他方側から露出される場合では、ユーザは、関連する入力装置及び関連するユーザインタフェースを介して、回転軸M3が露出された固定部材M2にユーザが対向しているとき(
図3に示すように)、回転軸M3が時計回りに回転するのが正転方向、回転軸M3が反時計回りに回転するのが逆転方向として定義してもよい。
【0011】
例えば、
図1乃至
図3に示すように、駆動モジュール2は、制御モジュール1に電気的に接続される。駆動モジュール2は、モーターMの三相ケーブルM4に接続するために用いられる。実用上、駆動モジュール2は、例えば、駆動モジュール2が、モーターMへの出力電流や電圧の安定性を確保するために、位相電流検出回路、過電流保護回路等を含んでいてもよい。
【0012】
角度読取部3は、モーター制御モジュールM5に接続するために用いられる。角度読取部3は、モーター制御モジュールM5から出力した角度情報M51を読み込むために用いられる。実際の運用では、角度読取部3としては、デコーダ(Decoder)、直交エンコーダ(QEI)または入力キャプチャ(Input Capture)モジュールが挙げられる。ここでのモーター制御モジュールM5とは、例えば、アブソリュート(absolute)エンコーダやインクリメンタル(incremental)エンコーダなどのロータリーエンコーダ(rotary encoder)を指してもよいが、本発明はこの例に制限されない。前記エンコーダ(角度読取部3)は、エンコーダ(モーター制御モジュールM5)から出力した信号を読み込むことにより、モーター制御モジュールM5の制御による回転軸M3の回転角度を取得するために用いられる。
【0013】
データ書込部4は、少なくとも1つの角度補正用データ41をモーター制御モジュールM5に書き込むために用いられる。実際の運用では、データ書込部4としては、PROMライタに似た部品であってもよい。なお、データ書込部4は、データをモーター制御モジュールM5に関連する制御チップ又はメモリに書き込むことができる。データ書込部4は、角度補正用データ41をメモリの空のアドレスに書き込んでもよいし、或いは、データ書込部4は、角度補正用データ41に対応するデータが予め記憶されているメモリ内のアドレスに、元々メモリに記憶されていたデータに置き換えて書き込むようにしてもよい。例えば、モーター制御モジュールM5の制御チップ又はメモリに、角度補正用データ41を記憶するための、ディフォルトデータが0である専門アドレスが予め設置されてもよい。一旦データ書込部4が角度補正用データ41をモーター制御モジュールM5に書き込むと、当該アドレスに記憶されていたデータ0は、角度補正用データ41で置き換えて書き込まれるようになる。
【0014】
ステアリングセンサ5は、モーターMに配置される。ステアリングセンサ5は、モーターMの回転方向を検出することにより、対応的にステアリング情報51を生成するために用いられる。実際の運用では、ステアリングセンサ5としては、ホール(Hall)センサ、エンコーダ(Encoder)、レゾルバ(Resolver)等の各種モーター位置センサが挙げられるが、本発明はこの例に制限されない。即ち、モーターMの回転軸M3の回転方向を検出するためのセンサであれば、いずれも本実施形態でいうステアリングセンサ5の適用範囲に該当する。なお、他の実施形態では、モーターの校正システム100にステアリングセンサ5が含まれなくても構わないのはここで説明しておきたい。モーターの校正システム100の制御モジュール1は、モーター制御モジュールM5を介して、前記ステアリング情報51を直接的に取得するようになる。即ち、モーター制御モジュールM5は、前記ステアリング情報51を制御モジュール1に出力できるようになる。
【0015】
図1及び
図4に示すように、モーターの校正システム100の制御モジュール1は、モーターMを校正するとき、まず相順校正プロセスを行ってから、角度校正プロセスを行ってもよい。
【0016】
制御モジュール1が相順校正プロセスを実行する時、制御モジュール1は、駆動・判断ステップS11を順次に実行してもよい。駆動・判断ステップS11は、予定ステアリング情報51に基づいて、駆動モジュール2を介して、モーターMの回転を制御し、制御モジュール1がステアリングセンサ5からフィードバックしたステアリング情報51に基づいて、モーターMの回転方向が予定ステアリング情報111と一致するかどうかについて判断し、制御モジュール1がモーターMの回転方向と予定ステアリング情報111とは不一致と判断した場合、制御モジュール1が変更ステップS12を実行するように制御し、そのように、データ書込部4は、モーター制御モジュールM5における正転指令M52及び逆転指令M53を変更するようになる。
【0017】
実用上、モーターMの回転子のコイルの巻線方法および方向の違いは、回転子が通電された後に異なる回転方向をもたらすため、モーターMを通電した後、内蔵の正転指令M52及び逆転指令M53により、モーター制御モジュールM5がモーターMの回転子の正転又は逆転を制御する場合、モーターMの回転子の回転方向は、ユーザの希望の回転方向とは違ってしまう場合がある。例えば、モーター制御モジュールM5が正転指令M52に従って回転子の回転を制御するとき、回転軸M3が反時計回りに回転するのをユーザが確認したが、ユーザの予想ではモーターMの回転軸M3が正転、つまり時計回りの回転であるはずという場合こそ、上記の言った、制御モジュール1がモーターMの回転方向と予定ステアリング情報111とは不一致と判断した状況に該当する。前記のように、本発明のモーターの校正システム100では、この状況が発生すると、制御モジュール1は、データ書込部4により、モーター制御モジュールM5の正転指令M52及び逆転指令M53を直接的に変更することにより、モーター制御モジュールM5が正転指令M52又は逆転指令M53に従ってモーターMの回転子を回転させる時、回転子の回転方向がユーザの期待を裏切らないようにする。
【0018】
制御モジュール1が相順校正プロセスを完成した後、制御モジュール1は、角度校正プロセスを実行する。制御モジュール1が角度校正プロセスを実行する時、制御モジュール1は角度読み込みステップS21を実行する。角度読み込みステップS21は、駆動モジュール2により、モーターMを所定角度で回転させる。そして、制御モジュール1は、角度読取部3により角度情報M51を読み込んで、データ書込部4で角度情報M51に含まれる現在角度M511を、モーター制御モジュールM5のゼロオフセット値M54として、モーター制御モジュールM5に書き込むという書込みステップS22を実行する。
【0019】
例えば、制御モジュール1が角度校正プロセスを行うとき、制御モジュール1は、駆動モジュール2により、モーターMの回転子を30度(即ち、前記所定角度)で正転させるように制御し、さらに、制御モジュール1は、角度読取部3を介して、モーター制御モジュールM5から出力した角度情報M51を読み込んで、角度情報M51に基づいて、モーターMが30度正転したかどうかについて判断する。制御モジュール1は角度読取部3により、モーターMが実際には60度を正転したと検出する際、制御モジュール1は、モーターMの回転子が余分に30度を回転したと検知し得る。その場合、制御モジュール1は、その余分の30度を現在角度M511として、モーター制御モジュールM5のゼロオフセット値M54に書き込んで、そのように、モーター制御モジュールM5が続けて通電され30度を正転する命令を実行する際、モーター制御モジュールM5は、ゼロオフセット値M54に基づいて、回転角度を補正し、そのように、モーター制御モジュールM5は、回転子が30度を正転するように正確に制御することになる。
【0020】
本発明に係る特定の実施形態において、現在角度がθと定義されれば、制御モジュール1が相順校正プロセスを実行するときに、制御モジュール1がモーター制御モジュールM5における正転指令M52及び逆転指令M53を変更した場合、制御モジュール1が角度校正プロセスを実行する時のゼロオフセット値M54は、(360-θ)*(4096/360)となり、逆に、制御モジュール1が相順校正プロセスを実行するときに、制御モジュール1がモーター制御モジュールM5における正転指令M52及び逆転指令M53を変更しなかった場合、制御モジュール1が角度校正プロセスを実行する時のゼロオフセット値M54は、θ*(4096/360)となる。
【0021】
制御モジュール1が相順校正プロセス及び角度校正プロセスを実行する時の順序では、実際のニーズに応じて変更し得、ここでは制限されない。好ましい実施形態において、制御モジュール1は、まず相順校正プロセスを実行してから、角度校正プロセスを実行するようになってもよい。そのように、制御モジュール1が角度校正プロセスを実行する時、制御モジュール1は、データ書込部4を介して、角度読取部3が取得した現在角度M511をモーター制御モジュールM5に書き込むことができる。
【0022】
図5及び
図6を一緒に参照されたい。本実施形態と前記実施形態との相違点は、制御モジュール1が相順校正プロセスを実行し済んだ時、制御モジュール1は相順確認プロセスをさらに実行する点である。制御モジュール1が相順確認プロセスを実行する時、制御モジュール1は相順確認ステップS13を実行する。相順確認ステップS13は、予定ステアリング情報111に基づいて、モーターMの回転を制御し、さらに、ステアリングセンサ5がフィードバックしたステアリング情報51に基づいて、モーターMの回転方向が正しいかどうかについて判断する。制御モジュール1がモーターMの回転方向が誤っていると判断すると、制御モジュール1は相順校正プロセスを再実行したり、また、制御モジュール1が相順校正失敗信号13を発信したりするようになる。実際の運用では、制御モジュール1が第1回の相順確認プロセスを実行する時、制御モジュール1は、まず相順校正プロセスを一回再実行してもよいが、又は所定回数(例えば、3回)の相順校正プロセスを実行してもよい。
【0023】
本実施形態と前記実施形態との相違点は、モーターの校正システム100がさらに警告モジュール6を含む点である。警告モジュール6は制御モジュール1に電気的に接続され、警告モジュール6が相順校正失敗信号13を受信すると、モーターの校正システム100によるモーターMの相順校正が失敗したと警告モジュール6はユーザに警告をするようになる。例えば、警告モジュール6としては、ランプ、スピーカー等が挙げられる。警告モジュール6は、相順校正失敗信号13を受信したとき、ランプ及びスピーカーを制御して、それぞれ対応する色の光及び音を出させることができる。
【0024】
本実施形態と前の実施形態との相違点の1つは、制御モジュール1が角度校正プロセスを実行し済んだ後、制御モジュール1は角度確認プロセスをさらに実行する点である。制御モジュール1は角度確認プロセスを実行する時、制御モジュール1は角度確認ステップS23を実行する。角度確認ステップS23では、駆動モジュール2がモーターMを確認用角度で回転させると共に、制御モジュール1が角度読取部3を介して角度情報M51を読み込むことにより、モーターMの回転角度が正しいかどうかについて判断する。制御モジュール1がモーターMの回転角度が間違っていると判断すれば、制御モジュール1は、角度校正プロセス又は相順校正プロセスを再実行したり、角度校正失敗信号14を発信したりするようになる。制御モジュール1がモーターMの回転角度が正しいと判断すれば、制御モジュール1は校正終了ステップS24を実行する。前記校正終了ステップS24において、制御モジュール1は、モーターMに対する校正作業を終了する他、制御モジュール1では、例えば、さらにこのモーターMに係る基本データ、校正結果データ、校正過程などが、特定のデータベースに格納されてもよい。
【0025】
モーターの校正システム100が警告モジュール6を含む実施形態において、警告モジュール6は制御モジュール1に電気的に接続される。警告モジュール6が角度校正失敗信号14を受信すると、警告モジュール6は、モーターの校正システム100によるモーターMの角度校正が失敗したことをユーザに知らせると共に、制御モジュール1は、関連するランプやホーンが相対的な光や音を発するように制御することが可能である。
【0026】
図7を参照されたい。本実施形態と前の実施形態との最大の相違点は、モーターの校正システム100は、通信モジュール7をさらに含む点である。通信モジュール7が制御モジュール1に電気的に接続される。通信モジュール7は、製造システムAから送信した予定ステアリング情報A1を受信し得る。制御モジュール1は通信モジュール7により、予定ステアリング情報A1を受信して、さらに、予定ステアリング情報A1をメモリ11に格納する。具体的に、通信モジュール7としては、いずれかの有線又は無線の通信ユニットであってもよい。また、製造システムAは、関連作業員が前記予定ステアリング情報A1を入力するための入力装置(例えば、パソコン、スマートフォン、タブレットなど)と通信接続し得る。関連作業員は、実際のニーズに応じて、入力装置により、予定ステアリング情報A1を生成し得る。製造システムAは、関連作業員が入力した予定ステアリング情報A1をモーターの校正システム100の通信モジュール7に送信する。
【0027】
要約すると、本発明のモーターの校正システムは、モーターを校正する過程で関連作業員がモーターの関連部品を手動で操作することから完全に解放されるため、従来のようにモーターのエンコーダを手動で操作しながら、モーターの出力波形をオシロスコープで観測したりする場合に比べて、モーターの校正システムの効率が良く、精度も良い。
【符号の説明】
【0028】
100 モーターの校正システム
1 制御モジュール
11 メモリ
111 予定ステアリング情報
12 プロセッサ
13 相順校正失敗信号
14 角度校正失敗信号
2 駆動モジュール
3 角度読取部
4 データ書込部
41 角度補正用データ
5 ステアリングセンサ
51 ステアリング情報
6 警告モジュール
7 通信モジュール
M モーター
M1 ケーシング
M2 固定部材
M3 回転軸
M4 三相ケーブル
M5 モーター制御モジュール
M51 角度情報
M511 現在角度
M52 正転指令
M53 逆転指令
M54 ゼロオフセット値
P 電源
A 製造システム
A1 予定ステアリング情報
【要約】
【課題】モーター回転子及びエンコーダの既存の手動によるゼロ位置校正に起因する不都合を改善する。
【解決手段】モーターの校正システムは、モーターのゼロ位置及びモーターの相順を校正するために用いられ、制御モジュール、駆動モジュール、角度読取部、データ書込部及びステアリングセンサを含む。制御モジュールはメモリ及びプロセッサを含み、プロセッサは、メモリに記憶された予定ステアリング情報に基づいて、モーターの回転を制御する。制御モジュールは、ステアリングセンサを介して、モーターの回転方向を判断し、モーター制御モジュールの正転指令及び逆転指令を選択的に変更できる。制御モジュールは、モーター制御モジュールが所定角度を回転するように制御できると共に、角度読取部及びデータ書込部により、角度読取部が読み込む現在角度を、モーター制御モジュールのゼロオフセット値として、モーター制御モジュールに、書き込むことができる。
【選択図】
図1