IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ タイコ・エレクトロニクス・コーポレイションの特許一覧

<>
  • 特許-係合部を有するコンプライアントピン 図1
  • 特許-係合部を有するコンプライアントピン 図2
  • 特許-係合部を有するコンプライアントピン 図3
  • 特許-係合部を有するコンプライアントピン 図4
  • 特許-係合部を有するコンプライアントピン 図5
  • 特許-係合部を有するコンプライアントピン 図6
  • 特許-係合部を有するコンプライアントピン 図7
  • 特許-係合部を有するコンプライアントピン 図8
  • 特許-係合部を有するコンプライアントピン 図9
  • 特許-係合部を有するコンプライアントピン 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-13
(45)【発行日】2022-01-13
(54)【発明の名称】係合部を有するコンプライアントピン
(51)【国際特許分類】
   H01R 12/58 20110101AFI20220105BHJP
【FI】
H01R12/58
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020532003
(86)(22)【出願日】2018-12-03
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-18
(86)【国際出願番号】 IB2018059580
(87)【国際公開番号】W WO2019123061
(87)【国際公開日】2019-06-27
【審査請求日】2020-06-11
(31)【優先権主張番号】15/844,791
(32)【優先日】2017-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】399132320
【氏名又は名称】ティーイー・コネクティビティ・コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】TE Connectivity Corporation
(74)【代理人】
【識別番号】100100077
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 充
(74)【代理人】
【識別番号】100136010
【弁理士】
【氏名又は名称】堀川 美夕紀
(74)【代理人】
【識別番号】100130030
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 夕香子
(74)【代理人】
【識別番号】100203046
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 聖子
(72)【発明者】
【氏名】マイアー,ジョン マーク
(72)【発明者】
【氏名】モール,ハーレイ チェスター
(72)【発明者】
【氏名】マリオン,ロナルド ルイス
(72)【発明者】
【氏名】フライ,ジュニア. ダニエル ウイリアムズ
【審査官】藤島 孝太郎
(56)【参考文献】
【文献】実開平01-086179(JP,U)
【文献】特表2009-541972(JP,A)
【文献】特開2015-222690(JP,A)
【文献】特表2010-522422(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 12/00-12/91
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板(14)の孔(12)に挿入するための電気コンタクト(616)であって、
第1のコンタクトアーム(626)と、前記第1のコンタクトアーム(626)に対向する第2のコンタクトアーム(628)と、前記第1のコンタクトアーム(626および前記第2のコンタクトアーム(628)間に延びる開口部(624)を有するコンプライアント部(610)を備え、
前記電気コンタクト(616)は、コネクタ係合部(620)と自由端部(622)とを有し、前記コンプライアント部(610)は、前記コネクタ係合部(620)と前記自由端部(622)との間に延び、
前記第2のコンタクトアーム(628)は直線状であり、前記コネクタ係合部(620)から前記自由端部(622)へ延び、
前記第1のコンタクトアーム(626)が、第1の弾性接触部(630)と、第2の弾性接触部(632)と、前記第1の弾性接触部(630)と前記第2の弾性接触部(632)との間に位置する弾性係合部(644)とを有し、前記弾性係合部(644)の外向き面は、前記第1の弾性接触部(630)の外向き面および前記第2の弾性接触部(632)の外向き面よりも前記電気コンタクト(616)の長手方向軸(638)の近くに位置し、前記弾性係合部(644)の前記外向き面、前記第1の弾性接触部(630)の前記外向き面および前記第2の弾性接触部(632)の前記外向き面は、いずれも、前記第2のコンタクトアーム(626)から離れる方を向き、
前記コンプライアント部(610)を前記基板(14)の前記孔(12)に挿入すると、前記第1のコンタクトアーム(626)の前記弾性係合部(644)が対向する直線状の前記第2のコンタクトアーム(628)に係合して固定点となることにより、前記第1の弾性接触部(630)前記第2の弾性接触部(632)から独立して動き、
前記第1の弾性接触部(630)および前記第2の弾性接触部(632)の各々は、変形し、独立した保持力を発生させ、前記保持力が組み合わさって、前記コンプライアント部(610)の総保持力を発生させる、電気コンタクト(616)。
【請求項2】
記自由端部(622)の直径が前記基板(14)の前記孔(12)の直径より小さい、請求項1に記載の電気コンタクト(616)。
【請求項3】
前記第1のコンタクトアーム(626)の前記第1の弾性接触部(630)の第1のセグメント(630a)は、前記コネクタ係合部(620)に連結し、前記電気コンタクト(616)の前記長手方向軸(638)から斜め外方へ延びる、請求項1または2に記載の電気コンタクト(616)。
【請求項4】
前記第1のコンタクトアーム(626)の前記第1の弾性接触部(630)の第2のセグメント(630b)は、第1の弧状移行部(630c)によって前記第1のセグメント(630a)に連結し、前記電気コンタクト(616)の前記長手方向軸(638)に向かって斜めに延びる、請求項3に記載の電気コンタクト(616)。
【請求項5】
前記第1のコンタクトアーム(626)の前記第2の弾性接触部(632)の第3のセグメント(632a)は、第2の弧状移行部(632c)によって前記第1のコンタクトアーム(626)の前記第2の弾性接触部(632)の第4のセグメント(632b)に連結し、前記電気コンタクト(616)の前記長手方向軸(638)から斜めに延びる、請求項4に記載の電気コンタクト(616)。
【請求項6】
前記第4のセグメント(632b)は、一端で前記第2の弧状移行部(632c)によって前記第3のセグメント(632a)に連結し、前記電気コンタクト(616)の前記長手方向軸(638)から斜め外方へ延び、前記第4のセグメント(632b)は、他端で前記自由端部(622)に連結する、請求項5に記載の電気コンタクト(616)。
【請求項7】
前記第2のセグメント(630b)および前記第3のセグメント(632a)は弧状構成を有する、請求項6に記載の電気コンタクト(616)。
【請求項8】
前記開口部(624)は前記コネクタ係合部(620)から前記自由端部(622)へ延びる、請求項1~7のいずれか一項に記載の電気コンタクト(616)。
【請求項9】
前記開口部(624)に対して反対側を向いている前記第1のコンタクトアーム(626)および/または前記第2のコンタクトアーム(628)の外面が、丸い構成を有する、請求項1~8のいずれか一項に記載の電気コンタクト(616)。
【請求項10】
前記開口部(624)に対して反対側を向いている前記第1のコンタクトアーム(626)および/または前記第2のコンタクトアーム(628)の外面が、追加の摩擦力を提供する、請求項1~8のいずれか一項に記載の電気コンタクト(616)。
【請求項11】
基板(14)の孔(12)内に挿入された電気コンタクト(616)から保持力を発生させる方法であって、
前記電気コンタクト(616)のコンプライアント部(610)を前記基板(14)の前記孔(12)に挿入するステップと、
前記コンプライアント部(610)の弾性部を互いに向かって押すステップと、
前記コンプライアント部(610)の前記弾性部のうちの第1の弾性部の第1の弾性係合部(644)を前記コンプライアント部(610)の前記弾性部のうちの直線状の第2の弾性部の一部に係合させて固定点を形成するステップと、
前記第1の弾性係合部(644)の一端に接続される前記コンプライアント部(610)の前記弾性部のうちの第1の弾性接触部(630が、前記第1の弾性係合部(644)の他端に接続される前記コンプライアント部(610)の前記弾性部のうちの第2の弾性接触部(632)から独立して動くようにするステップとを含み
記第1の弾性接触部(630および前記第2の弾性接触部(632)の各々が変形し、独立した保持力を発生させ、前記保持力を組み合わせることによって、前記コンプライアント部(610)の総保持力を発生させる、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気コンタクト孔と無はんだ電気接続するためのコンプライアント部を有する電気コンタクトに関する。特に、本発明は、コンプライアント部が大きい保持力を発生させてコンプライアント部を電気コンタクト孔に維持することができる、係合部を有するコンプライアント部に関する。
【背景技術】
【0002】
電気コネクタアセンブリを回路基板に取り付けるために、無はんだ圧入電気コンタクトが一般に使用されている。そのような電気コンタクトの一例として、対のビームを形成するように成形されたコンプライアントコンタクトテールが挙げられ、これらのビームは、間にコンタクトボイドを有してそれぞれの端部で互いに接合する。このような電気コンタクトの一部を、針穴電気コンタクトとして特徴付けることができる。ビームは、取付け動作中に、回路基板の対応するめっき貫通孔の内壁に係合するように構成されている。コンタクトテールがめっき貫通孔に挿入されると、ビームおよびコンタクトボイドの構成により、ビームを内壁によって半径方向内方へ偏向させることができる。ビームの外面は、めっき貫通孔と摩擦係合(例えば、締まり嵌め)を形成する。
このようにして、剛性電気コンタクトを使用するときに生じ得るめっき貫通孔および/またはプリント回路基板の損傷の可能性を低くして、はんだを使用せずに、電気コンタクトとめっき貫通孔との電気接続を確立することができる。
【0003】
しかしながら、コンタクトおよびめっき貫通孔の大きさが小さくなると、保持力(引抜き抵抗)が、しばしば最小指定保持力よりも小さくなる。保持力が小さいことは、薄い板金を使用しなければならないことに大きく起因する。コンタクトの密度を高める必要に対応するためにコンタクトが小型になるにつれて、非常に小さい孔に嵌入する小型のコンタクトのための相当な保持力の必要性が増加している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、解決すべき課題は、コンタクトの大きさまたはコンタクトを挿入する開口部の大きさに関係なく十分な保持力をもたらす、コンプライアント部を有する電気コンタクトを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題は、基板の孔に挿入するための電気コンタクトであって、コンタクトアーム間に延びる開口部を有するコンプライアント部を備える電気コンタクトを提供することによって解決される。コンタクトアームのうちの少なくとも1つのコンタクトアームが、コンプライアント部の開口部内に延びる弾性係合部と、開口部から離れる方向へ係合部から延びる弾性接触部とを有する。コンプライアント部を基板の孔に挿入すると、少なくとも1つのコンタクトアームの弾性係合部がコンタクトアームのうちの対向するコンタクトアームに係合することにより、弾性接触部の各々が弾性係合部から独立して、かつ他の弾性接触部から独立して動く。弾性係合部および弾性接触部の各々は、変形し、独立した保持力を発生させ、これらの保持力が組み合わさって、コンプライアント部の総保持力を発生させる。
【0006】
以下で、添付図面を参照しながら本発明について例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明によるコンプライアントピンがプリント回路基板のめっき貫通孔に挿入される前の状態を示す、コンプライアントピンの第1の例示的な実施形態の斜視図である。
図2】プリント回路基板に部分的に挿入された、図1のコンプライアントピンの断面図である。
図3】プリント回路基板に完全に挿入された、図1のコンプライアントピンの断面図である。
図4】本発明によるコンプライアントピンの第2の例示的な実施形態の2次元正投影図である。
図5】本発明によるコンプライアントピンの第3の例示的な実施形態の2次元正投影図である。
図6】本発明によるコンプライアントピンの第4の例示的な実施形態の2次元正投影図である。
図7】本発明によるコンプライアントピンの第5の例示的な実施形態の2次元正投影図である。
図8】本発明によるコンプライアントピンの第6の例示的な実施形態の2次元正投影図である。
図9】本発明によるコンプライアントピンの第7の例示的な実施形態の2次元正投影図である。
図10】実施形態についての力対偏向のプロットを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1図3に示すコンプライアント部10は、プリント回路基板14などの基板のめっき貫通孔12のような孔に取り付けられる、いくつかの異なる電気コンタクトまたはピン16のうちの1つに含まれ得る。コンプライアント部10は、めっき貫通孔12に押し込まれ、コンプライアント部10の弾性特性によりめっき貫通孔12内で保持される、電気コンタクトまたはピン16の一部である。コンプライアント部10を孔12に挿入するのに必要な力およびコンプライアント部10を孔から引き抜くのに必要な力は、コンプライアント部10の重要な特性である。コンプライアント部10の構成および動作は、コンプライアント部10を孔12に挿入するのに必要な力とコンプライアント部10を引き抜くのに必要な力との両方に寄与する。
【0009】
コンプライアント部10は、コネクタ係合部20と自由端部22との間に位置するコンタクトアーム26、28を備える。コネクタ係合部20および自由端部22は任意の形状であってよく、本発明に直接関連しないため、詳細に図示しない。図1に最もよく見られるように、自由端部22の直径は、基板14の孔12の直径より小さく、コンプライアント部10が孔12に挿入される前のコンプライアント部10の幅より小さい。
【0010】
ピン16およびコンプライアント部10は、ストック(図示せず)の平坦部分を型打ちすることによって形成され、これにより、第1のコンタクトアーム26と第2のコンタクトアーム28との間に位置し、かつコネクタ係合部20と自由端部22との間に延びる開口部24を有するコンプライアント部10が得られる。コンプライアント部10は、コネクタ係合部20と自由端部22との間に延びる。
【0011】
図1図3に示す例示的な実施形態において、第2のコンタクトアーム28は第1のコンタクトアーム26の鏡像である。各コンタクトアーム26、28は、第1の弾性コンタクト部30および第2の弾性コンタクト部32を有する。各コンタクトアーム26、28は、係合部44も有する。
【0012】
第1の弾性コンタクト部30は、第1のセグメント30aおよび第2のセグメント30bを含む。第1のセグメント30aは、コネクタ係合部20に連結し、電気コンタクト16の長手方向軸38から下方および斜め外方へ延びる。第2のセグメント30bは、第1の弧状移行部30cによって第1のセグメント30aに連結し、電気コンタクト16の長手方向軸38に向かって下方へ斜めに延びる。弾性係合部44は、第2のセグメント30bの端部に位置する。第1のセグメント30aおよび第2のセグメント30bは、直線状構成を有しても弧状構成を有してもよい。
【0013】
第2の弾性コンタクト部32は、第3のセグメント32aおよび第4のセグメント32bを含む。第3のセグメント32aは、弾性係合部44に連結し、電気コンタクト16の長手方向軸38から下方および斜め外方へ延びる。第4のセグメント32bは、第2の弧状移行部32cによって第3のセグメント32aに連結し、電気コンタクト16の長手方向軸38に向かって下方へ斜めに延びる。第4のセグメント32bは、他端で自由端部22に連結する。第3のセグメント32aおよび第4のセグメント32bは、直線状構成を有しても弧状構成を有してもよい。
【0014】
図1に示すように、弾性係合部44は、開口部24内に延び、または開口部24を狭める。弾性コンタクト部30、32は、開口部24から外方へ延びる。
【0015】
例示的な本実施形態において、第1のセグメント30aは、第4のセグメント32bと等しいか、または同じ長さを有する。加えて、第2のセグメント30bは、第3のセグメント32aと等しいか、または同じ長さを有する。しかしながら、本発明の範囲から逸脱することなく、他の構成を使用してもよい。
【0016】
コンタクトアーム26、28の外向き面は、左右に、すなわちコンタクト16の軸38に対して横方向に湾曲している。湾曲は、対称であっても非対称であってもよい。
【0017】
コンタクトアーム26、28の全体構成は、係合部44によって分断された状態で、角度を有して曲がったコンプライアント部を画定するようになっている。
【0018】
図2および図3に、コンプライアント部10がめっき貫通孔12に挿入される様子が示される。図2を参照し、コンタクト16が下方に押されると、コンタクトアーム26、28が孔12に入り、第2の弾性コンタクト部32の第4のセグメント32bが孔12の壁に係合する。第4のセグメント32bが孔12の壁に係合すると、コンタクトアーム26、28の第4のセグメント32b、第3のセグメント32a、および第2の弾性コンタクト部32が軸38に向かって内方へ弾性変形する。
【0019】
挿入を続けると、孔12の大きさおよびコンプライアント部10の幅により、コンタクトアーム26、28の第2の弾性コンタクト部32は、第1の弾性アーム26の係合部44と第2の弾性アーム28の係合部44とが係合することによって係合部44がさらに内方へ動けなくなるまで、内方への変形を続ける。開口部12の大きさおよびコンプライアント部10の幅により、第1のアーム26および第2のアーム28の全体の偏向が変化することに留意されたい。
【0020】
係合部44は、係合すると、実質的に固定点となるため、第2の弾性コンタクト部32のさらなる動きまたは変形が、第1の弾性コンタクト部30のさらなる動きまたは変形から独立したものになる。
【0021】
挿入を続けると、第2の弾性コンタクト部32は、動きまたは弾性変形を続け、第2の弾性コンタクト部32が変形するにつれて挿入力および保持力を増加させる。自由端部22への第2の弾性コンタクト部32の連結が固定され、係合部44の係合によって係合部44が固定されるという点で、力が増強される。
【0022】
挿入を続けると、第1の弾性コンタクト部30の第2のセグメント30bが孔12に係合するため、第2のセグメント30b、第1のセグメント30a、および第1の弾性コンタクト部30は、動きまたは弾性変形を続け、第1の弾性コンタクト部30が変形するにつれて挿入力および保持力を増加させる。第1の弾性コンタクト部30が一端に固定の係合部44を有し、他端に固定のコネクタ係合部20を有するという点で、第1の弾性コンタクト部30に関連する力が増強される。
【0023】
コンプライアント部10を挿入する開口部または孔の大きさに応じて、第1の弾性コンタクト部30および/または第2の弾性コンタクト部32の一部が、めっき貫通孔12と電気的に係合する。
【0024】
係合部44を使用することにより、コンプライアント部10は、開口部12に最初に挿入されるときに従来の針穴コンプライアント部として動作することができるため、コンプライアント部10が最初に挿入されるときの挿入力を小さくすることができる。しかしながら、係合部44が係合すると、弾性コンタクト部30、32は独立したばね部材として作用するため、図10の曲線1002で表されるように、公知のコンプライアントピンによって発生させることのできる保持力よりも著しく大きい保持力をもたらす。
【0025】
第1の弾性コンタクト部30および第2の弾性コンタクト部32が固定点の周りで内方へ動く、または圧縮されて湾曲の少ない経路を形成するにつれて、コンプライアント部10の全長が増加し得る。
【0026】
図4に、第2の例示的なコンプライアント部410が示される。コンプライアント部410は、コネクタ係合部420と自由端部422との間に位置するコンタクトアーム426、428を備える。コネクタ係合部420および自由端部422は任意の形状であってよく、本発明に直接関連しないため、詳細に図示しない。自由端部422の直径は、基板14の孔12の直径より小さく、コンプライアント部が孔12に挿入される前のコンプライアント部410の幅より小さい。
【0027】
ピン416およびコンプライアント部410は、ストック(図示せず)の平坦部分を型打ちすることによって形成され、これにより、第1のコンタクトアーム426と第2のコンタクトアーム428との間に位置する開口部424を有するコンプライアント部410が得られる。コンプライアント部410は、コネクタ係合部420と自由端部422との間に延びる。
【0028】
第2のコンタクトアーム428は、第1のコンタクトアーム426の鏡像である。各コンタクトアーム426、428は、第1の弾性コンタクト部430および第2の弾性コンタクト部432を有する。各コンタクトアーム426、428は、係合部444も有する。
【0029】
第1の弾性コンタクト部430は、第1のセグメント430aおよび第2のセグメント430bを含む。第1のセグメント430aは、コネクタ係合部420に連結し、電気コンタクト416の長手方向軸438から下方および斜め外方へ延びる。第2のセグメント430bは、第1の弧状移行部430cによって第1のセグメント430aに連結し、電気コンタクト416の長手方向軸438に向かって下方へ斜めに延びる。弾性係合部444は、第2のセグメント430bの端部に位置する。第1のセグメント430aおよび第2のセグメント430bは、直線状構成を有しても弧状構成を有してもよい。
【0030】
第2の弾性コンタクト部432は、第3のセグメント432aおよび第4のセグメント432bを含む。第3のセグメント432aは、弾性係合部444に連結し、電気コンタクト416の長手方向軸438から下方および斜め外方へ延びる。第4のセグメント432bは、第2の弧状移行部432cによって第3のセグメント432aに連結し、電気コンタクト416の長手方向軸438に向かって下方へ斜めに延びる。第4のセグメント432bは、他端で自由端部422に連結する。第3のセグメント432aおよび第4のセグメント432bは、直線状構成を有しても弧状構成を有してもよい。
【0031】
図4に示すように、弾性係合部444は、開口部424内に延び、または開口部424を狭める。弾性コンタクト部430、432は、開口部424から外方へ延びる。
【0032】
例示的な本実施形態において、第1のセグメント430aの長さは、第4のセグメント432bの長さより大きい。加えて、第2のセグメント430bは、第3のセグメント432aと等しいか、または同じ長さを有する。しかしながら、本発明の範囲から逸脱することなく、他の構成を使用してもよい。
【0033】
コンタクトアーム426、428の外向き面は、左右に、すなわちコンタクト416の軸438に対して横方向に湾曲している。湾曲は、対称であっても非対称であってもよい。
【0034】
コンタクトアーム426、428の全体構成は、係合部444によって分断された状態で、角度を有して曲がったコンプライアント部を画定するようになっている。
【0035】
孔に挿入する間、コンタクト416が下方へ押されるため、コンタクトアーム426、428が孔に入る。これが生じると、第2の弾性コンタクト部432の第4のセグメント432bが孔の壁に係合する。第4のセグメント432bが孔の壁に係合すると、コンタクトアーム426、428の第4のセグメント432b、第3のセグメント432a、および第2の弾性コンタクト部432が軸438に向かって内方へ弾性変形する。
【0036】
挿入を続けると、孔の大きさおよびコンプライアント部410の幅により、コンタクトアーム426、428の第2の弾性コンタクト部432は、第1の弾性アーム426の係合部444と第2の弾性アーム428の係合部444とが係合することによって係合部444がさらに内方へ動けなくなるまで、内方への変形を続ける。開口部の大きさおよびコンプライアント部410の幅により、第1のアーム426および第2のアーム428の全体の偏向が変化することに留意されたい。
【0037】
係合部444は、係合すると、実質的に固定点となるため、第2の弾性コンタクト部432のさらなる動きまたは変形が、第1の弾性コンタクト部430のさらなる動きまたは変形から独立したものになる。
【0038】
挿入を続けると、第2の弾性コンタクト部432は、動きまたは弾性変形を続け、第2の弾性コンタクト部432が変形するにつれて挿入力および保持力を増加させる。自由端部422への第2の弾性コンタクト部432の連結が固定され、係合部444の係合によって係合部444が固定されるという点で、力が増強される。
【0039】
挿入を続けると、第1の弾性コンタクト部430の第2のセグメント430bが孔に係合するため、第2のセグメント430b、第1のセグメント430a、および第1の弾性コンタクト部430は、動きまたは弾性変形を続け、第1の弾性コンタクト部430が変形するにつれて挿入力および保持力を増加させる。図10の曲線1004で表されるように、第1の弾性コンタクト部430が一端に固定の係合部444を有し、他端に固定のコネクタ係合部420を有するという点で、第1の弾性コンタクト部430に関連する力が増強される。
【0040】
コンプライアント部410を挿入する開口部または孔の大きさに応じて、第1の弾性コンタクト部430および/または第2の弾性コンタクト部432の一部が、めっき貫通孔と電気的に係合する。
【0041】
係合部444を使用することにより、コンプライアント部410は、開口部に最初に挿入されるときに従来の針穴コンプライアント部として動作することができるため、コンプライアント部410が最初に挿入されるときの挿入力を小さくすることができる。しかしながら、係合部444が係合すると、弾性コンタクト部430、432は独立したばね部材として作用するため、公知のコンプライアントピンによって発生させることのできる保持力よりも著しく大きい保持力をもたらす。
【0042】
第1の弾性コンタクト部430および第2の弾性コンタクト部432が固定点の周りで内方へ動く、または圧縮されて湾曲の少ない経路を形成するにつれて、コンプライアント部410の全長が増加し得る。
【0043】
図5に、第3の例示的なコンプライアント部510が示される。コンプライアント部510は、コネクタ係合部520と自由端部522との間に位置するコンタクトアーム526、528を備える。コネクタ係合部520および自由端部522は任意の形状であってよく、本発明に直接関連しないため、詳細に図示しない。自由端部522の直径は、基板14の孔12の直径より小さく、コンプライアント部が孔12に挿入される前のコンプライアント部510の幅より小さい。
【0044】
ピン516およびコンプライアント部510は、ストック(図示せず)の平坦部分を型打ちすることによって形成され、これにより、第1のコンタクトアーム526と第2のコンタクトアーム528との間に位置する開口部524を有するコンプライアント部510が得られる。コンプライアント部510は、コネクタ係合部520と自由端部522との間に延びる。
【0045】
第2のコンタクトアーム528は、第1のコンタクトアーム526の鏡像である。各コンタクトアーム526、528は、第1の弾性コンタクト部530および第2の弾性コンタクト部532を有する。各コンタクトアーム526、528は、係合部544も有する。
【0046】
第1の弾性コンタクト部530は、第1のセグメント530aを含み、第1のセグメント530aは、コネクタ係合部520に連結し、電気コンタクト516の長手方向軸538に向かって下方およびまっすぐまたは斜め内方へ延びる。弾性係合部544は、第1のセグメント530aの端部に位置する。第1のセグメント530aは、直線状構成を有しても弧状構成を有してもよい。
【0047】
第2の弾性コンタクト部532は、第2のセグメント532aおよび第3のセグメント532bを含む。第2のセグメント532aは、弾性係合部544に連結し、電気コンタクト516の長手方向軸538から下方および斜め外方へ延びる。第3のセグメント532bは、第1の弧状移行部532cによって第2のセグメント532aに連結し、電気コンタクト516の長手方向軸538に向かって下方へ斜めに延びる。第3のセグメント532bは、他端で自由端部522に連結する。第2のセグメント532aおよび第3のセグメント532bは、直線状構成を有しても弧状構成を有してもよい。
【0048】
図5に示すように、弾性係合部544は、開口部524内に延び、または開口部524を狭める。弾性コンタクト部530、532は、開口部524から外方へ延びる。
【0049】
例示的な本実施形態において、第1のセグメント530aの長さは、第3のセグメント532bの長さより大きい。しかしながら、本発明の範囲から逸脱することなく、他の構成を使用してもよい。
【0050】
コンタクトアーム526、528の外向き面は、左右に、すなわちコンタクト516の軸538に対して横方向に湾曲している。湾曲は、対称であっても非対称であってもよい。
【0051】
コンタクトアーム526、528の全体構成は、係合部544によって分断された状態で、角度を有して曲がったコンプライアント部を画定するようになっている。
【0052】
孔に挿入する間、コンタクト516が下方へ押されるため、コンタクトアーム526、528が孔に入る。これが生じると、第2の弾性コンタクト部532の第3のセグメント532bが孔の壁に係合する。第3のセグメント532bが孔の壁に係合すると、コンタクトアーム526、528の第3のセグメント532b、第2のセグメント532a、および第2の弾性コンタクト部532が軸538に向かって内方へ弾性変形する。
【0053】
挿入を続けると、孔の大きさおよびコンプライアント部510の幅により、コンタクトアーム526、528の第2の弾性コンタクト部532は、第1の弾性アーム526の係合部544と第2の弾性アーム528の係合部544とが係合することによって係合部544がさらに内方へ動けなくなるまで、内方への変形を続ける。開口部の大きさおよびコンプライアント部510の幅により、第1のアーム526および第2のアーム528の全体の偏向が変化することに留意されたい。
【0054】
係合部544は、係合すると、実質的に固定点となるため、第2の弾性コンタクト部532のさらなる動きまたは変形が、第1の弾性コンタクト部530のさらなる動きまたは変形から独立したものになる。
【0055】
挿入を続けると、第2の弾性コンタクト部532は、動きまたは弾性変形を続け、第2の弾性コンタクト部532が変形するにつれて挿入力および保持力を増加させる。自由端部522への第2の弾性コンタクト部532の連結が固定され、係合部544の係合によって係合部544が固定されるという点で、力が増強される。
【0056】
挿入を続けると、第1の弾性コンタクト部530の第1のセグメント530aが孔に係合するため、第1のセグメント530aおよび第1の弾性コンタクト部530は、動きまたは弾性変形を続け、第1の弾性コンタクト部530が変形するにつれて挿入力および保持力を増加させる。図10の曲線1006で表されるように、第1の弾性コンタクト部530が一端に固定の係合部544を有し、他端に固定のコネクタ係合部520を有するという点で、第1の弾性コンタクト部530に関連する力が増強される。
【0057】
コンプライアント部510を挿入する開口部または孔の大きさに応じて、第1の弾性コンタクト部530および/または第2の弾性コンタクト部532の一部が、めっき貫通孔と電気的に係合する。
【0058】
係合部544を使用することにより、コンプライアント部510は、開口部に最初に挿入されるときに従来の針穴コンプライアント部として動作することができるため、コンプライアント部510が最初に挿入されるときの挿入力を小さくすることができる。しかしながら、係合部544が係合すると、弾性コンタクト部530、532は独立したばね部材として作用するため、公知のコンプライアントピンによって発生させることのできる保持力よりも著しく大きい保持力をもたらす。
【0059】
第1の弾性コンタクト部530および第2の弾性コンタクト部532が固定点の周りで内方へ動く、または圧縮されて湾曲の少ない経路を形成するにつれて、コンプライアント部510の全長が増加し得る。
【0060】
図6に、第4の例示的なコンプライアント部610が示される。コンプライアント部610は、コネクタ係合部620と自由端部622との間に位置するコンタクトアーム626、628を備える。コネクタ係合部620および自由端部622は任意の形状であってよく、本発明に直接関連しないため、詳細に図示しない。自由端部622の直径は、基板14の孔12の直径より小さく、コンプライアント部が孔12に挿入される前のコンプライアント部610の幅より小さい。
【0061】
ピン616およびコンプライアント部610は、ストック(図示せず)の平坦部分を型打ちすることによって形成され、これにより、第1のコンタクトアーム626と第2のコンタクトアーム628との間に位置する開口部624を有するコンプライアント部610が得られる。コンプライアント部610は、コネクタ係合部620と自由端部622との間に延びる。
【0062】
第2のコンタクトアーム628は、基本的に、コネクタ係合部620から自由端部622へ延びる直線状のビームである。第1のコンタクトアーム626は、第1の弾性コンタクト部630および第2の弾性コンタクト部632を有する。第1のコンタクトアーム626は、係合部644も有する。
【0063】
第1の弾性コンタクト部630は、第1のセグメント630aおよび第2のセグメント630bを含む。第1のセグメント630aは、コネクタ係合部620に連結し、電気コンタクト616の長手方向軸638から下方へ斜め外方に延びる。第2のセグメント630bは、第1の弧状移行部630cによって第1のセグメント630aに連結し、電気コンタクト616の長手方向軸638に向かって下方および斜め内方へ延びる。弾性係合部644は、第2のセグメント630bの端部に位置する。第1のセグメント630aおよび第2のセグメント630bは、直線状構成を有しても弧状構成を有してもよい。
【0064】
第2の弾性コンタクト部632は、第3のセグメント632aおよび第4のセグメント632bを含む。第3のセグメント632aは、弾性係合部644に連結し、電気コンタクト616の長手方向軸638から下方および斜め外方へ延びる。第4のセグメント632bは、第2の弧状移行部632cによって第3のセグメント632aに連結し、電気コンタクト616の長手方向軸638に向かって下方へ斜めに延びる。第4のセグメント632bは、他端で自由端部622に連結する。第3のセグメント632aおよび第4のセグメント632bは、直線状構成を有しても弧状構成を有してもよい。
【0065】
図6に示すように、弾性係合部644は、開口部624内に延び、または開口部624を狭める。弾性コンタクト部630、632は、開口部624から外方へ延びる。
【0066】
例示的な本実施形態において、第1のセグメント630aの長さは、第4のセグメント632bの長さに基本的に等しい。加えて、第2のセグメント630bは、第3のセグメント632aと等しいか、または同じ長さを有する。しかしながら、本発明の範囲から逸脱することなく、他の構成を使用してもよい。
【0067】
コンタクトアーム626の外向き面は、左右に、すなわちコンタクト616の軸638に対して横方向に湾曲している。湾曲は、対称であっても非対称であってもよい。コンタクトアーム628の外向き面は、直線状である。
【0068】
コンタクトアーム626の全体構成は、係合部644によって分断された状態で、角度を有して曲がったコンプライアント部を画定するようになっている。
【0069】
孔に挿入する間、コンタクト616が下方へ押されるため、コンタクトアーム626、628が孔に入る。これが生じると、第2の弾性コンタクト部632の第4のセグメント632bが孔の壁に係合する。第4のセグメント632bが孔の壁に係合すると、コンタクトアーム626の第4のセグメント632b、第3のセグメント632a、および第2の弾性コンタクト部632が軸638に向かって内方へ弾性変形する。
【0070】
挿入を続けると、孔の大きさおよびコンプライアント部610の幅により、コンタクトアーム626の第2の弾性コンタクト部632は、第1の弾性アーム626の係合部644と第2のコンタクトアーム628とが係合することによって係合部644がさらに内方へ動けなくなるまで、内方への変形を続ける。開口部の大きさおよびコンプライアント部610の幅により、第1のアーム626および第2のアーム628の全体の偏向が変化することに留意されたい。
【0071】
係合部644は、係合すると、実質的に固定点となるため、第2の弾性コンタクト部632のさらなる動きまたは変形が、第1の弾性コンタクト部630のさらなる動きまたは変形から独立したものになる。
【0072】
挿入を続けると、第2の弾性コンタクト部632は、動きまたは弾性変形を続け、第2の弾性コンタクト部632が変形するにつれて挿入力および保持力を増加させる。自由端部622への第2の弾性コンタクト部632の連結が固定され、係合部644の係合によって係合部644が固定されるという点で、力が増強される。
【0073】
挿入を続けると、第1の弾性コンタクト部630の第2のセグメント630bが孔に係合するため、第2のセグメント630b、第1のセグメント630a、および第1の弾性コンタクト部630は、動きまたは弾性変形を続け、第1の弾性コンタクト部630が変形するにつれて挿入力および保持力を増加させる。第1の弾性コンタクト部630が一端に固定の係合部644を有し、他端に固定のコネクタ係合部620を有するという点で、第1の弾性コンタクト部630に関連する力が増強される。
【0074】
コンプライアント部610を挿入する開口部または孔の大きさに応じて、第1の弾性コンタクト部630および/または第2の弾性コンタクト部632の一部が、めっき貫通孔と電気的に係合する。
【0075】
係合部644を使用することにより、コンプライアント部610は、開口部に最初に挿入されるときに従来の針穴コンプライアント部として動作することができるため、コンプライアント部610が最初に挿入されるときの挿入力を小さくすることができる。しかしながら、係合部644が第2のコンタクトアーム628係合すると、弾性コンタクト部630、632は独立したばね部材として作用するため、公知のコンプライアントピンによって発生させることのできる保持力よりも著しく大きい保持力をもたらす。
【0076】
第1の弾性コンタクト部630および第2の弾性コンタクト部632が固定点の周りで内方へ動く、または圧縮されて湾曲の少ない経路を形成するにつれて、コンプライアント部610の全長が増加し得る。これにより、自由端部622が電気コンタクト616の軸638からずれる。
【0077】
図7に、第5の例示的なコンプライアント部710が示される。本実施形態において、第2のコンタクトアーム728は、コネクタ係合部720から自由端部722へ延びるわずかに湾曲した構成または弧状構成を有する。第1のコンタクトアーム726は、コンタクト部730、第2のコンタクト部732、および係合部744を有する。コンプライアント部710の動作は、コンプライアント部610の動作に類似している。
【0078】
図8に、第6の例示的なコンプライアント部810が示される。本実施形態において、第2のコンタクトアーム828は、第2のコンタクトアーム828と孔12の壁との間に追加の摩擦力を提供するようなテキスチャを有する。コンプライアント部810の動作は、コンプライアント部610の動作に類似している。
【0079】
テキスチャ面は、コンプライアント部の実施形態のいずれかのコンタクトアームの一方に設けても両方に設けてもよい。加えて、使用されるテキスチャのタイプの構成は変化し得る。
【0080】
図9に、第7の例示的なコンプライアント部910が示される。コンプライアント部910は、コネクタ係合部920と自由端部922との間に位置するコンタクトアーム926、928を備える。コネクタ係合部920および自由端部922は任意の形状であってよく、本発明に直接関連しないため、詳細に図示しない。自由端部922の直径は、基板14の孔12の直径より小さく、コンプライアント部が孔12に挿入される前のコンプライアント部910の幅より小さい。
【0081】
ピン916およびコンプライアント部910は、ストック(図示せず)の平坦部分を型打ちすることによって形成され、これにより、第1のコンタクトアーム926と第2のコンタクトアーム928との間に位置する開口部924を有するコンプライアント部910が得られる。コンプライアント部910は、コネクタ係合部920と自由端部922との間に延びる。
【0082】
例示的な本実施形態において、第2のコンタクトアーム928は、第1のコンタクトアーム926とは異なる構成を有する。第2のコンタクトアーム928は、第1のコンタクト部930、第2のコンタクト部932、および係合部944を有する。第1のコンタクト部930、第2のコンタクト部932、および係合部944の構成は、上述した図1図3の第1のセグメント30、第2のセグメント32、および係合部44の構成と同一であり、繰り返さない。第1のコンタクトアーム926は、第1の弾性コンタクト部934、第2の弾性コンタクト部936、および第3の弾性コンタクト部937を有する。
【0083】
第1のコンタクトアーム926の第1の弾性コンタクト部934は、第1のセグメント934aおよび第2のセグメント934bを含む。第1のセグメント934aは、コネクタ係合部920に連結し、電気コンタクト916の長手方向軸938から下方および斜め外方へ延びる。第2のセグメント934bは、第1の弧状移行部934cによって第1のセグメント934aに連結し、電気コンタクト916の長手方向軸938に向かって下方へ斜めに延びる。第1のセグメント934aおよび第2のセグメント934bは、直線状構成を有しても弧状構成を有してもよい。
【0084】
第2の弾性コンタクト部936は、第3のセグメント936aおよび第4のセグメント936bを含む。第3のセグメント936aは、第2のセグメント934bに連結し、電気コンタクト916の長手方向軸938から下方および斜め外方へ延びる。第4のセグメント936bは、第2の弧状移行部936cによって第3のセグメント936aに連結し、電気コンタクト916の長手方向軸938に向かって下方へ斜めに延びる。第3のセグメント936aおよび第4のセグメント936bは、直線状構成を有しても弧状構成を有してもよい。
【0085】
第3の弾性コンタクト部937は、第5のセグメント937aおよび第6のセグメント937bを含む。第5のセグメント937aは、第6のセグメント937bに連結し、電気コンタクト916の長手方向軸938から下方および斜め外方へ延びる。第6のセグメント937bは、第3の弧状移行部937cによって第5のセグメント937aに連結し、電気コンタクト916の長手方向軸938に向かって下方へ斜めに延びる。第6のセグメント937bは、他端で自由端部922に連結する。第5のセグメント937aおよび第6のセグメント937bは、直線状構成を有しても弧状構成を有してもよい。
【0086】
コンタクト916が下方へ押されるため、コンタクトアーム926、928が孔に入り、第2のコンタクトアーム928の第2の弾性コンタクト部932の第4のセグメント932bおよび第1のコンタクトアーム926の第3のコンタクト部937の第6のセグメント937bが孔の壁に係合する。第4のセグメント932bが孔の壁に係合すると、第2のコンタクトアーム928の第4のセグメント932b、第3のセグメント932a、および第2の弾性コンタクト部932が軸938に向かって内方へ弾性変形する。第6のセグメント937bが孔の壁に係合すると、第1のコンタクトアーム926の第6のセグメント937b、第5のセグメント937a、および第3の弾性コンタクト部937が軸938に向かって内方へ弾性変形する。
【0087】
挿入を続けると、孔12の大きさおよびコンプライアント部10の幅により、コンタクト部932、937は、第2の弾性コンタクトアーム928の係合部944と第1のコンタクトアーム926の第2のコンタクト部936とが係合することによって係合部944および第2のコンタクト部936がさらに内方へ動けなくなるまで、内方への変形を続ける。開口部の大きさおよびコンプライアント部910の幅により、第1のアーム926および第2のアーム928の全体の偏向が変化することに留意されたい。
【0088】
係合部944が第2のコンタクト部936に係合すると、係合部944および第2のコンタクト部936は実質的に固定点となるため、第2の弾性コンタクト部932のさらなる動きまたは変形が、第1の弾性コンタクト部930のさらなる動きまたは変形から独立したものになり、第3の弾性コンタクト部937のさらなる動きまたは変形が、第1の弾性コンタクト部934のさらなる動きまたは変形から独立したものになる。
【0089】
挿入を続けると、第2の弾性コンタクト部932および第3の弾性コンタクト部937は、動きまたは弾性変形を続け、挿入力を増加させる。自由端部922への第2の弾性コンタクト部932および第3の弾性コンタクト部937の連結が固定されるという点で、力が増強される。
【0090】
挿入を続けると、第1の弾性コンタクト部930の第2のセグメント930bおよび第1の弾性コンタクト部の第2のセグメント934bが孔に係合するため、第2のセグメント930b、934bおよび第1の弾性コンタクト部930、937は、動きまたは弾性変形を続け、第1の弾性コンタクト部930、934が変形するにつれて挿入力および保持力を増加させる。図10の曲線1008で表されるように、第1の弾性コンタクト部930、934が固定のコネクタ係合部920に連結するという点で、第1の弾性コンタクト部930、934に関連する力が増強される。
【0091】
コンプライアント部910を挿入する開口部または孔の大きさに応じて、第1の弾性コンタクト部930、第2の弾性コンタクト部932、第1の弾性コンタクト部934、第2の弾性コンタクト部936、および/または第3の弾性コンタクト部937の一部が、めっき貫通孔と電気的に係合する。
【0092】
係合部944を使用することにより、コンプライアント部910は、開口部に最初に挿入されるときに従来の針穴コンプライアント部として動作することができるため、コンプライアント部910が最初に挿入されるときの挿入力を小さくすることができる。しかしながら、係合部944が第2の弾性コンタクト部936に係合すると、弾性コンタクト部930、932、934、936、937は独立したばね部材として作用するため、公知のコンプライアントピンによって発生させることのできる保持力よりも著しく大きい保持力をもたらす。
【0093】
第1の弾性コンタクト部930、932、934、936、937が固定点の周りで内方へ動く、または圧縮されて湾曲の少ない経路を形成するにつれて、コンプライアント部10の全長が増加し得る。
【0094】
図10を参照し、各実施形態についての代表的な力対変位プロットが示される。これらのプロットは、コンプライアント部を孔に最初に挿入する間に必要なリダイアル力が小さいことを示す。弾性係合部が係合して固定点または底点を生じた後、力が増加するため、弾性コンタクト部のさらなる動きまたは変形が独立したものになる。加えて、これらのプロットは、コンプライアント部の構成により十分な回復可能なエネルギーが得られるため、各実施形態についての保持力が強いままであることを示し、これにより、本発明のコンプライアント部を、振動などが存在する厳しい環境、例えば、自動車の適用において使用することができる。曲線1002は、図1に示す例示的な実施形態についての力対変位プロットの代表例である。曲線1004は、図4に示す例示的な実施形態についての力対変位プロットの代表例である。
曲線1006は、図5に示す例示的な実施形態についての力対変位プロットの代表例である。曲線1008は、図9に示す例示的な実施形態についての力対変位プロットの代表例である。特定の実施形態が示されているが、他の実施形態が、本発明の範囲から逸脱することなく、異なる力対変位プロットを有していてもよい。
【0095】
本発明による、基板の開口部に挿入された電気コンタクトから保持力を発生させる方法は、電気コンタクトのコンプライアント部を基板の開口部に挿入するステップと、コンプライアント部の弾性部を互いに向かって押すステップと、コンプライアント部の弾性部のうちの第1の弾性部の第1の弾性係合部をコンプライアント部の弾性部のうちの第2の弾性部の一部に係合させるステップと、第1の弾性接触部を第1の弾性係合部に近づけて第1の弾性係合部に係合させて、第1の弾性係合部から独立して動くようにするステップとを含む。第1の弾性係合部および第1の弾性接触部の各々が変形し、独立した保持力を発生させ、これらの保持力を組み合わせることによって、コンプライアント部の総保持力を発生させる。
【0096】
方法は、第2の弾性接触部を第2の弾性係合部に近づけて第2の弾性係合部に係合させて、第2の弾性係合部から独立して動くようにするステップをさらに含む。第2の弾性係合部および第2の弾性接触部のそれぞれが変形し、独立した保持力を発生させ、第2の弾性係合部および第2の弾性接触部の独立した保持力ならびに第1の弾性係合部および第1の弾性接触部の独立した保持力を組み合わせることによって、コンプライアント部の総保持力を発生させる。
【0097】
本明細書に記載のコンプライアント部を、材料ストック厚さが0.4mm以下である0.50mm×0.40mmの大きさのピンを含む、あらゆる大きさおよびあらゆる材料のピンと共に使用することができる。加えて、弾性コンタクトアームが公知のコンプライアント部より長いため、本発明のコンプライアント部によって、コンプライアント部が孔に挿入されるときに生じる破損の可能性が最小限になる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10