(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-13
(45)【発行日】2022-01-13
(54)【発明の名称】一体化核酸検出方法及び検出試薬チューブ
(51)【国際特許分類】
C12Q 1/6806 20180101AFI20220105BHJP
C12M 1/34 20060101ALI20220105BHJP
C12M 1/00 20060101ALI20220105BHJP
【FI】
C12Q1/6806 Z
C12M1/34 B
C12M1/00 A
(21)【出願番号】P 2020537132
(86)(22)【出願日】2019-02-01
(86)【国際出願番号】 CN2019074312
(87)【国際公開番号】W WO2020001030
(87)【国際公開日】2020-01-02
【審査請求日】2020-07-02
(31)【優先権主張番号】201810669579.9
(32)【優先日】2018-06-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】320006357
【氏名又は名称】杭州優思達生物技術有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100205936
【氏名又は名称】崔 海龍
(74)【代理人】
【識別番号】100132805
【氏名又は名称】河合 貴之
(72)【発明者】
【氏名】尤 其敏
(72)【発明者】
【氏名】周 艶▲けい▼
(72)【発明者】
【氏名】胡 林
(72)【発明者】
【氏名】斉 晨
(72)【発明者】
【氏名】余 軍偉
(72)【発明者】
【氏名】余 祝君
(72)【発明者】
【氏名】賀 君麗
(72)【発明者】
【氏名】陳 思思
(72)【発明者】
【氏名】王 莎
(72)【発明者】
【氏名】陳 静
(72)【発明者】
【氏名】金 栄愉
(72)【発明者】
【氏名】王 岱桑
(72)【発明者】
【氏名】饒 煥新
(72)【発明者】
【氏名】楊 帆
【審査官】玉井 真人
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-214174(JP,A)
【文献】特開2016-187313(JP,A)
【文献】特開2015-188378(JP,A)
【文献】特表2013-516179(JP,A)
【文献】特表2012-513773(JP,A)
【文献】特開2009-136250(JP,A)
【文献】特開2009-207459(JP,A)
【文献】特開2008-012490(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12Q 1/00-3/00
C12M 1/00-3/10
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出試薬チューブ内に上下に配置された複数の仕切栓が設けられ、各仕切栓に液相又は固相の疎水層が設けられることにより、検出試薬チューブ内の分解液、洗浄液及び反応液は隔離され、
サンプルを分解液に入れて均一に混合して分解し、ナノ磁気ビーズによりサンプル中の核酸を抽出した後、外部磁性体によりナノ磁気ビーズが核酸を運んで検出試薬チューブの内壁上の磁気ビーズチャネルに沿って各疎水層を順に通過して洗浄液及び反応液に入るようにナノ磁気ビーズを移動させ、核酸の洗浄及び増幅を実現し、反応液に必要な生物試薬は反応液の上方の仕切栓内に貯蔵され、
最後に、外部設備を用いて光学検出によりサンプル核酸の検出を実現し、これによって、同一の検出試薬チューブ内で核酸の抽出、洗浄及び増幅反応の複数のステップを行うことができることを特徴とする、一体化核酸検出方法。
【請求項2】
前記検出
試薬チューブの下部に1つ又は複数の分岐チューブが設けられ、増幅反応は分岐チューブ内で行われ、1つ又は複数のクラスタのナノ磁気ビーズは外部磁性体の作用により核酸を運んで1つ又は複数の分岐チューブに入って独立して反応することにより、1つのサンプルに由来の核酸に対して1つ又は複数の異なる反応系で核酸を検出することが実現されることを特徴とする、請求項1に記載の一体化核酸検出方法。
【請求項3】
反応液の上方の仕切栓内には、下向きに開口する試薬貯蔵チャンバが設けられ、試薬貯蔵チャンバ内に生物試薬が設けられ、生物試薬はキャリアに保存され、試薬貯蔵チャンバ内の疎水性密封層によって密封保護されることを特徴とする、請求項1に記載の一体化核酸検出方法。
【請求項4】
生物試薬が磁性キャリアに保存され、試薬貯蔵チャンバ内の疎水性密封層によって密封保護され、反応を行う必要があるときに、外部磁性体により生物試薬が疎水性密封層を通過して反応液に入るように生物試薬を移動させることにより、生物試薬を試薬貯蔵チャンバ内から反応液に移す目的を達成することを特徴とする、請求項3に記載の一体化核酸検出方法。
【請求項5】
生物試薬はキャリアに保存され、熱溶融可能な物質で構成される疎水性密封層によって密封保護され、反応を行う必要があるときに、熱溶融可能な物質が熱により溶融するように温度制御方式により仕切栓を加熱することにより、貯蔵チャンバ内の生物試薬は放出可能になり、このようにして生物試薬を試薬貯蔵チャンバ内から反応液に移す目的が実現されることを特徴とする、請求項3に記載の一体化核酸検出方法。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の一体化核酸検出方法用の検出試薬チューブであって、
主チューブ(1)を含み、主チューブ(1)の下端には1つ又は複数の分岐チューブ(2)が設けられ、前記主チューブ(1)内には、上から下へ順に分解領域(10)と、第1仕切栓(3)と、洗浄領域(11)と、第2仕切栓(4)とが設けられ、分岐チューブ(2)内に反応領域(5)が設けられ、第2仕切栓(4)は分岐チューブ(2)と主チューブ(1)を接続する箇所に位置し、第2仕切栓(4)内に下向きに開口する試薬貯蔵チャンバ(7)が設けられ、試薬貯蔵チャンバ(7)内に試薬を保存するキャリア(12)が設けられ、試薬貯蔵チャンバ(7)内に疎水性密封層(13)がさらに設けられ、前記第1仕切栓(3)及び第2仕切栓(4)のいずれにも液相又は固相の疎水層(8)が設けられ、前記主チューブ(1)の内壁に分岐チューブ(2)まで貫通する磁気ビーズチャネル(9)がさらに設けられることを特徴とする、一体化核酸検出方法用の検出試薬チューブ。
【請求項7】
前記反応領域(5)及び/又は洗浄領域(11)内には、磁化され得る均一混合装置(6)が設けられることを特徴とする、請求項6に記載の一体化核酸検出方法用の検出試薬チューブ。
【請求項8】
前記第1仕切栓(3)は栓体(301)を含み、前記栓体(301)の上端に円錐形面(302)が設けられ、前記円錐形面(302)の上方に突出ブロック(303)が設けられることを特徴とする、請求項6に記載の一体化核酸検出方法用の検出試薬チューブ。
【請求項9】
前記栓体(301)の側壁に複数の弧状突出面(306)が設けられ、隣り合う弧状突出面(306)の間にチャネル(305)が設けられることを特徴とする、請求項8に記載の一体化核酸検出方法用の検出試薬チューブ。
【請求項10】
前記第2仕切栓(4)は仕切板(401)を含み、前記仕切板(401)の下方に分岐チューブ(2)の位置に対応する複数の栓本体(402)が設けられ、前記仕切板(401)の上端に突起(403)が設けられ、
各前記栓本体(402)内にそれぞれ試薬貯蔵チャンバ(7)が設けられることを特徴とする、請求項6に記載の一体化核酸検出方法用の検出試薬チューブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、核酸検出方法及び試薬チューブに関し、特に一体化核酸検出方法及び試薬チューブに関する。
【背景技術】
【0002】
実験室での核酸検出は、周期が短く、その感度及び特異性は培養法に相当する。現在、サンプルの核酸検出では、通常、核酸検出試薬チューブが使用されている。従来の核酸検出チューブでは、個体の仕切層により分解液、洗浄液及び反応液を仕切り、さらに、磁気ビーズが核酸を運んで仕切層を通過して対応する操作を行うために加熱により仕切層を溶融する。しかしながら、核酸は温度変化に対して敏感である。核酸に対する温度変化の影響を低減するために、加熱領域を厳密に制御する必要があるので、操作が困難になる。また、従来の検出チューブが多くの要因からの干渉(例えば、核酸に対する温度の干渉)を受けやすいため、従来技術の検出結果には大きな誤差がある。そこで、従来技術では、検出誤差が大きく、操作が難しいという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、一体化核酸検出方法及び検出試薬チューブを提供することを目的とする。本発明によれば、検出誤差が減少し、操作が容易になる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
一体化核酸検出方法であり、
検出試薬チューブ内に上下に配置された複数の仕切栓が設けられ、各仕切栓に液相又は固相の疎水層が設けられることにより、検出試薬チューブ内の分解液、洗浄液及び反応液は隔離される。
サンプルを分解液に入れて均一に混合して分解し、ナノ磁気ビーズによりサンプル中の核酸を抽出した後、外部磁性体によりナノ磁気ビーズが核酸を運んで検出試薬チューブの内壁上の磁気ビーズチャネルに沿って各疎水層を順に通過して洗浄液及び反応液に入るようにナノ磁気ビーズを移動させ、核酸の洗浄及び増幅を実現し、反応液に必要な生物試薬は反応液の上方の仕切栓内に貯蔵される。
最後に、外部設備を用いて光学検出によりサンプル核酸の検出を実現し、これによって、同一の検出試薬チューブ内で核酸の抽出、洗浄及び増幅反応の複数のステップを行うことができる。
【0005】
前記一体化核酸検出方法において、前記検出試薬チューブの下部に1つ又は複数の分岐チューブが設けられ、増幅反応は分岐チューブ内で行われ、1つ又は複数のクラスタのナノ磁気ビーズは外部磁性体の作用により核酸を運んで1つ又は複数の分岐チューブに入って独立して反応することにより、1つのサンプルに由来の核酸に対して1つ又は複数の異なる反応系で核酸を検出することが実現される。
【0006】
前記一体化核酸検出方法において、反応液の上方の仕切栓内には、下向きに開口する試薬貯蔵チャンバが設けられ、試薬貯蔵チャンバ内に生物試薬が設けられ、生物試薬はキャリアに保存され、試薬貯蔵チャンバ内の疎水性密封層によって密封保護される。
【0007】
前記一体化核酸検出方法において、生物試薬が磁性キャリアに保存され、試薬貯蔵チャンバ内の疎水性密封層によって密封保護され、反応を行う必要があるときに、外部磁性体により生物試薬が疎水性密封層を通過して反応液に入るように生物試薬を移動させることにより、生物試薬を試薬貯蔵チャンバ内から反応液に移す目的を達成する。
【0008】
前記一体化核酸検出方法において、生物試薬はキャリアに保存され、熱溶融可能な物質で構成される疎水性密封層によって密封保護される。反応を行う必要があるときに、熱溶融可能な物質が熱により溶融するように温度制御方式により仕切栓を加熱することにより、貯蔵チャンバ内の生物試薬は放出可能になり、このようにして生物試薬を試薬貯蔵チャンバ内から反応液に移す目的が実現される。
【0009】
一体化核酸検出方法用の検出試薬チューブであって、
主チューブを含み、主チューブの下端には1つ又は複数の分岐チューブが設けられ、前記主チューブ内には、上から下へ順に分解領域と、第1仕切栓と、洗浄領域と、第2仕切栓とが設けられ、分岐チューブ内に反応領域が設けられ、第2仕切栓は分岐チューブと主チューブを接続する箇所に位置し、第2仕切栓内に下向きに開口する試薬貯蔵チャンバが設けられ、試薬貯蔵チャンバ内に試薬を保存するキャリアが設けられ、試薬貯蔵チャンバ内に疎水性密封層がさらに設けられ、前記第1仕切栓及び第2仕切栓のいずれにも液相又は固相の疎水層が設けられ、前記主チューブの内壁に分岐チューブまで貫通する磁気ビーズチャネルがさらに設けられる。
【0010】
前記一体化核酸検出方法用の検出試薬チューブにおいて、前記反応領域及び/又は洗浄領域内には、磁化され得る均一混合装置が設けられる。
【0011】
前記一体化核酸検出方法用の検出試薬チューブにおいて、前記第1仕切栓は栓体を含み、栓体の上端に円錐形面が設けられ、円錐形面の上方に突出ブロックが設けられる。
【0012】
前記一体化核酸検出方法用の検出試薬チューブにおいて、前記栓体の側壁に複数の弧状突出面が設けられ、隣り合う弧状突出面の間にチャネルが設けられる。
【0013】
前記一体化核酸検出方法用の検出試薬チューブにおいて、前記第2仕切栓は仕切板を含み、仕切板の下方に分岐チューブの位置に対応する複数の栓本体が設けられ、仕切板の上端に突起が設けられ、各栓本体内にそれぞれ試薬貯蔵チャンバが設けられる。
【発明の効果】
【0014】
従来技術に比べて、本発明は、検出試薬チューブ内に設けられた複数の仕切栓と液相又は固相疎水層との組み合わせにより検出試薬チューブ内の分解液、洗浄液及び反応液を仕切り、外部磁性体によりナノ磁気ビーズを磁気ビーズチャネルに沿って移動させることにより、ナノ磁気ビーズの移動過程全体は、検出試薬チューブを加熱処理する必要がない。これによって、操作を簡単化し、操作を容易にするだけでなく、核酸に対する温度の干渉を低減し、効果的に検出精度を向上させ、誤差を減少させることができる。また、全ての反応を1つの検出試薬チューブ内で行うことにより、汚染及び交差汚染が効果的に回避され、検出精度が向上する。本発明は、分解液及び洗浄液を主チューブ内に入れ、反応液を分岐チューブ内に入れ、核酸が洗浄されてからそれぞれ異なる分岐チューブ内に入ることにより、異なる分岐チューブ内に入る核酸の状況が同じであることが保証され、干渉が低減され、検出誤差が減少する。本発明は、反応液の上方の仕切栓(即ち、第2仕切栓)内に試薬貯蔵チャンバを設け、液相又は固相の疎水層と試薬貯蔵チャンバ内の疎水性密封層との組み合わせにより生物試薬を保存するための乾燥環境を提供し、これによって、生物試薬が湿って安定性が低下することが効果的に回避される。疎水層で包むことによりさらなる良好な保存を提供し、磁性又は非磁性キャリアにより生物試薬を吸着することにより、より高い再溶解効果を提供する。これによって、効果的に検出精度を向上させ、誤差を減少させることができる。以上より、本発明は、検出誤差を減少させ、操作を容易にすることができる特徴を有する。
【0015】
また、本発明では、第2仕切栓内に試薬貯蔵チャンバが設けられ、試薬貯蔵チャンバ内に熱溶融可能な物質で構成される疎水性密封層が設けられ、温度制御方式により生物試薬の転移を実現し、核酸の段階的な溶出及び再溶解を実現することで、核酸の溶出がより完全であり、これによって、サンプルの利用率が効果的に向上し、核酸増幅反応の効果が改善される。
【0016】
第1仕切栓と試薬チューブの壁との間に疎水性物質を貯蔵するための狭いチャネルが形成される。これによって、第1仕切栓がより良好に固定されるとともに、良好な隔離作用を奏される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面及び実施例により本発明をさらに説明する。本発明は、これらの実施例に制限されない。
【0019】
(実施例1)
本発明の一体化核酸検出方法において、検出試薬チューブ内に上下に配置された複数の仕切栓が設けられ、各仕切栓に液相又は固相の疎水層が設けられることにより、検出試薬チューブ内の分解液、洗浄液及び反応液は隔離される。サンプルを分解液に入れて均一に混合して分解し、ナノ磁気ビーズによりサンプル中の核酸を抽出した後、外部磁性体によりナノ磁気ビーズが核酸を運んで検出試薬チューブの内壁上の磁気ビーズチャネルに沿って各疎水層を順に通過して洗浄液及び反応液に入るようにナノ磁気ビーズを移動させ、核酸の洗浄及び増幅を実現する。反応液に必要な生物試薬は反応液の上方の仕切栓内に貯蔵される。最後に、外部設備を用いて光学検出によりサンプル核酸の検出を実現する。これによって、同一の検出試薬チューブ内で核酸の抽出、洗浄及び増幅反応の複数のステップを行うことができる。
【0020】
上記検出試薬チューブの下部に1つ又は複数の分岐チューブが設けられ、反応液は分岐チューブ内に位置し、増幅反応は分岐チューブ内で行われ、1つ又は複数のクラスタのナノ磁気ビーズは外部磁性体の作用により核酸を運んで1つ又は複数の分岐チューブに入って独立して反応することにより、1つのサンプルに由来の核酸に対して1つ又は複数の異なる反応系で核酸を検出することが実現される。また、反応液の上方に仕切栓及び疎水層を設けることにより、各分岐チューブ内に入った核酸の状態が一致することが保証される。
【0021】
反応液の上方の仕切栓内には、下向きに開口する試薬貯蔵チャンバが設けられ、試薬貯蔵チャンバ内に生物試薬が設けられ、生物試薬はキャリアに保存され、試薬貯蔵チャンバ内の疎水性密封層によって密封保護される。
【0022】
生物試薬が磁性キャリアに保存され、試薬貯蔵チャンバ内の疎水性密封層によって密封保護される。反応を行う必要があるときに、外部磁性体により生物試薬が疎水性密封層及び液相又は固相の疎水層を通過して反応液に入るように生物試薬を移動させることにより、生物試薬を試薬貯蔵チャンバ内から反応液に移す目的を達成する。
【0023】
図1~6、8に示すように、一体化核酸検出試薬チューブは、主チューブ1を含み、主チューブ1の下端には1つ又は複数の分岐チューブ2が設けられる。上記主チューブ1内には、上から下へ順に分解領域10と、第1仕切栓3と、洗浄領域11と、第2仕切栓4とが設けられ、分岐チューブ2内に反応領域5が設けられ、第2仕切栓4は分岐チューブ2と主チューブ1を接続する箇所に位置し、第2仕切栓4内に下向きに開口する試薬貯蔵チャンバ7が設けられ、試薬貯蔵チャンバ内に試薬を保存するキャリア12が設けられ、試薬貯蔵チャンバ7内に疎水性密封層13がさらに設けられる。上記第1仕切栓3及び第2仕切栓4のいずれにも液相又は固相の疎水層8が設けられ、上記主チューブ1の内壁に分岐チューブ2まで貫通する磁気ビーズチャネル9がさらに設けられる。
【0024】
上記反応領域5及び/又は洗浄領域11内に磁化され得る均一混合装置6が設けられる。
【0025】
使用時に、分解領域内にはナノ磁気ビーズ及び磁化され得る均一混合装置6を入れることができる。
【0026】
上記第1仕切栓3は栓体301を含み、栓体301の上端に円錐形面302が設けられ、円錐形面302の上方に突出ブロック303が設けられ、栓体301の下端に突出条304が設けられる。
【0027】
上記栓体301の側壁に複数の弧状突出面306が設けられ、隣り合う2つの弧状突出面306の間にチャネル305が設けられる。栓体の側面のチャネルと試薬チューブの側壁との間は密閉した狭いチャネルを構成し、狭いチャネルに疎水性物質を充填することにより上下両層の水溶液を隔離し、これによって、液体の隔離が保証されるとともに、核酸が通過することができる。
【0028】
上記栓体301の中部に1つ又は複数のリング溝307が設けられ、リング溝により栓体は2層又は複数層に仕切られる。
【0029】
上記第2仕切栓4は仕切板401を含み、仕切板401の下方に分岐チューブ2の位置に対応する複数の栓本体402が設けられ、仕切板401の上端に突起403が設けられ、各栓本体402内にそれぞれ試薬貯蔵チャンバ7が設けられる。
【0030】
上記主チューブ1は、上から下に向かって小さくなる円錐状構造であり、主チューブ1の上端の直径が主チューブ1の下端の直径よりも大きい。
【0031】
上記試薬貯蔵チャンバ7内にキャリア12が設けられ、キャリアは磁性キャリアであり、生物試薬は磁性キャリアを包む。試薬貯蔵チャンバ7内に疎水性密封層がさらに充填される。疎水性密封層は熱溶融可能な物質(例えば、熱溶融可能なパラフィン)で構成されてもよい。
【0032】
上記分解液において、外部磁性体の制御により運動する磁化され得る均一混合装置を用いてサンプルを均一に混合する。
【0033】
上記分解液内に磁化され得る均一混合装置が設けられる。上記反応液及び/又は洗浄液内に磁化され得る均一混合装置が設けられる。これによって各領域の混合機能が向上する。
【0034】
上記突出条の側壁に弧状突起が設けられる。上記突出条に下向きに開口する複数の空洞が設けられ、空洞内に生物試薬が貯蔵される。
【0035】
上記反応液の反応はPCR又は等温増幅反応である。
【0036】
上記疎水層は液相又は固相である。液相の疎水層はシリコーンオイルであってもよく、固相の疎水層は熱溶融可能なパラフィンであってもよい。ナノ磁気ビーズが固相の疎水層を通過する必要がある場合、パラフィンが熱溶融状態になるように固相の疎水層を加熱する。
【0037】
複数の栓本体の間に位置決め溝が設けられ、複数の分岐チューブの間に位置決め溝に対応する位置決めボスが設けられる。上記位置決めボスは、複数の分岐チューブの間に設けられた錐状突起を含み、錐状突起の上端に位置決めブロックが設けられる。
【0038】
(実施例2)
本発明の一体化核酸検出方法において、検出試薬チューブ内に上下に配置された複数の仕切栓が設けられ、各仕切栓に液相又は固相の疎水層が設けられることにより、検出試薬チューブ内の分解液、洗浄液及び反応液は隔離される。サンプルを分解液に入れて均一に混合して分解し、ナノ磁気ビーズによりサンプル中の核酸を抽出した後、外部磁性体によりナノ磁気ビーズが核酸を運んで検出試薬チューブの内壁上の磁気ビーズチャネルに沿って各疎水層を順に通過して洗浄液及び反応液に入るようにナノ磁気ビーズを移動させ、核酸の洗浄及び増幅を実現する。反応液に必要な生物試薬は反応液の上方の仕切栓内に貯蔵される。最後に、外部設備は、光学検出によりサンプル核酸の検出を実現する。これによって、同一の検出試薬チューブ内で核酸の抽出、洗浄及び増幅反応の複数のステップを行うことができる。
【0039】
上記検出試薬チューブの下部に1つ又は複数の分岐チューブが設けられ、反応液は分岐チューブ内に位置し、増幅反応は分岐チューブ内で行われ、1つ又は複数のクラスタのナノ磁気ビーズは外部磁性体の作用により核酸を運んで1つ又は複数の分岐チューブに入って独立して反応することにより、1つのサンプルに由来の核酸に対して1つ又は複数の異なる反応系で核酸を検出することが実現される。また、反応液の上方に仕切栓及び疎水層を設けることにより、各分岐チューブ内に入った核酸の状態が一致することが保証される。
【0040】
反応液の上方の仕切栓内には、下向きに開口する試薬貯蔵チャンバが設けられ、試薬貯蔵チャンバ内に生物試薬が設けられ、生物試薬はキャリアに保存され、試薬貯蔵チャンバ内の疎水性密封層によって密封保護される。
【0041】
生物試薬は(磁性又は非磁性)キャリアに保存され、熱溶融可能な物質で構成される疎水性密封層によって密封保護される。反応を行う必要があるときに、熱溶融可能な物質が熱により溶融するように温度制御方式により仕切栓を加熱することにより、貯蔵チャンバ内の生物試薬は放出可能になり、キャリアの重力作用により疎水層を通過する。このようにして生物試薬を試薬貯蔵チャンバ内から反応液に移す目的が実現される。
【0042】
図1~5、7~8に示すように、一体化核酸検出試薬チューブは、主チューブ1を含み、主チューブ1の下端には1つ又は複数の分岐チューブ2が設けられる。上記主チューブ1内には、上から下へ順に分解領域10と、第1仕切栓3と、洗浄領域11と、第2仕切栓4とが設けられ、分岐チューブ2内に反応領域5が設けられ、第2仕切栓4は分岐チューブ2と主チューブ1を接続する箇所に位置し、第2仕切栓4内に下向きに開口する試薬貯蔵チャンバ7が設けられ、試薬貯蔵チャンバ内に試薬を保存するキャリア12が設けられ、試薬貯蔵チャンバ7内に疎水性密封層13がさらに設けられる。上記第1仕切栓3及び第2仕切栓4のいずれにも液相又は固相の疎水層8が設けられ、上記主チューブ1の内壁に分岐チューブ2まで貫通する磁気ビーズチャネル9がさらに設けられる。
【0043】
疎水性密封層13は、熱溶融可能な物質で構成される。熱溶融可能な物質は、熱溶融可能なパラフィンであってもよい。
【0044】
上記反応領域5及び/又は洗浄領域11内に磁化され得る均一混合装置6が設けられる。
【0045】
使用時に、分解領域内にはナノ磁気ビーズ及び磁化され得る均一混合装置6を入れることができる。
【0046】
上記第1仕切栓3は栓体301を含み、栓体301の上端に円錐形面302が設けられ、円錐形面302の上方に突出ブロック303が設けられ、栓体301の下端に突出条304が設けられる。
【0047】
上記栓体301の側壁に複数の弧状突出面306が設けられ、隣り合う2つの弧状突出面306の間にチャネル305が設けられる。栓体の側面のチャネルと試薬チューブの側壁との間は密閉した狭いチャネルを構成し、狭いチャネルに疎水性物質を充填することにより上下両層の水溶液を隔離し、これによって、液体の隔離が保証されるとともに、核酸が通過することができる。
【0048】
上記栓体301の中部に1つ又は複数のリング溝307が設けられ、リング溝により栓体は2層又は複数層に仕切られる。
【0049】
上記第2仕切栓4は仕切板401を含み、仕切板401の下方に分岐チューブ2の位置に対応する複数の栓本体402が設けられ、仕切板401の上端に突起403が設けられ、各栓本体402内にそれぞれ試薬貯蔵チャンバ7が設けられる。
【0050】
上記主チューブ1は、上から下に向かって小さくなる円錐状構造であり、主チューブ1の上端の直径が主チューブ1の下端の直径よりも大きい。
【0051】
上記分解液において、外部磁性体の制御により運動する磁化され得る均一混合装置を用いてサンプルを均一に混合する。
【0052】
上記分解液内に磁化され得る均一混合装置が設けられる。上記反応液及び/又は洗浄液内に磁化され得る均一混合装置が設けられる。これによって各領域の混合機能が向上する。
【0053】
上記突出条の側壁に弧状突起が設けられる。上記突出条に下向きに開口する複数の空洞が設けられ、空洞内に生物試薬が貯蔵される。
【0054】
上記反応液の反応はPCR又は等温増幅反応である。
【0055】
上記疎水層は液相又は固相である。液相の疎水層はシリコーンオイルであってもよく、固相の疎水層は熱溶融可能なパラフィンであってもよい。ナノ磁気ビーズが固相の疎水層を通過する必要がある場合、パラフィンが熱溶融状態になるように固相の疎水層を加熱する。
【0056】
上記試薬貯蔵チャンバ内に仕切層が設けられる。
【0057】
複数の栓本体の間に位置決め溝が設けられ、複数の分岐チューブの間に位置決め溝に対応する位置決めボスが設けられる。上記位置決めボスは、複数の分岐チューブの間に設けられた錐状突起を含み、錐状突起の上端に位置決めブロックが設けられる。
【0058】
磁性キャリアは、鉄ビーズ、磁気ビーズ又は鋼ビーズなどであってもよい。非磁性キャリアは、ガラスビーズ又はプラスチックビーズなどであってもよい。
【0059】
本発明の検出試薬チューブの組立過程は以下の通りである。
まず、反応液を分岐チューブ内に入れ、次に疎水層を充填し、さらに第2仕切栓を入れ込み、位置決めブロックと第2仕切栓の位置決め溝とを位置合わせし、さらに順に洗浄液、疎水層、及び第1仕切栓を主チューブ内に入れ込み、第1仕切栓の上方にパラフィンで密封し、蓋をする。
【0060】
本発明の検出過程は、以下の通りである。
前処理したサンプル及び分解液、内部標準物質を検出チューブの分解領域に入れ込み、次に、外部磁性体の制御によって分解液において磁化され得る均一混合装置によりサンプルを均一に混合し、サンプルを分解して核酸を放出し、ナノ磁気ビーズにより核酸を吸着することにより、核酸の抽出を完成する。次に、外部磁性体によりナノ磁気ビーズが核酸を運んで磁気ビーズチャネルに沿って疎水層を通過して洗浄液に入るようにナノ磁気ビーズを下に移動させ、核酸を洗浄する。さらに、引き続き外部磁性体によりナノ磁気ビーズが核酸を運んで磁気ビーズチャネルに沿って疎水層を通過して反応液に入って反応させるようにナノ磁気ビーズを下に移動させ、これによって核酸を溶出する。磁気制御方式又は温度制御方式により生物試薬を運ぶ磁性キャリアを試薬貯蔵チャンバ内から反応液に移し、生物試薬を反応液に溶解して均一に混合し、さらに核酸と増幅反応させる。最後に、外部設備を用いて光学検出によりサンプル核酸の検出を実現する。これによって、同一の検出試薬チューブ内で核酸の抽出、洗浄、溶出及び増幅反応の複数のステップを行うことが実現される。
【符号の説明】
【0061】
1 主チューブ、
2 分岐チューブ、
3 第1仕切栓、
4 第2仕切栓、
5 反応領域、
6 均一混合装置、
7 試薬貯蔵チャンバ、
8 疎水層、
9 磁気ビーズチャネル、
10 分解領域、
11 洗浄領域、
12 キャリア、
13 疎水性密封層、
301 栓体、
302 円錐形面、
303 突出ブロック、
304 突出条、
305 チャネル、
306 弧状突出面、
307 リング溝、
401 仕切板、
402 栓本体、
403 突起。