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特許6993514車両制御機器用のマルチライン供給ユニット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-13
(45)【発行日】2022-02-15
(54)【発明の名称】車両制御機器用のマルチライン供給ユニット
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20220105BHJP
   H02J 1/00 20060101ALI20220105BHJP
   B60R 16/03 20060101ALI20220105BHJP
【FI】
H02J7/00 302C
H02J7/00 S
H02J1/00 309G
H02J1/00 309P
B60R16/03 A
【請求項の数】 23
(21)【出願番号】P 2020537845
(86)(22)【出願日】2018-08-15
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-12-03
(86)【国際出願番号】 EP2018072116
(87)【国際公開番号】W WO2019063186
(87)【国際公開日】2019-04-04
【審査請求日】2020-04-07
(31)【優先権主張番号】102017217003.4
(32)【優先日】2017-09-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100161908
【弁理士】
【氏名又は名称】藤木 依子
(72)【発明者】
【氏名】シューマッハ,ハルトムート
(72)【発明者】
【氏名】フォークト,ダーフィット
【審査官】右田 勝則
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-140065(JP,A)
【文献】特開2007-082306(JP,A)
【文献】特開平07-075348(JP,A)
【文献】特表2013-517751(JP,A)
【文献】特開平09-261861(JP,A)
【文献】特開2001-053597(JP,A)
【文献】特開2009-159222(JP,A)
【文献】特開2013-066321(JP,A)
【文献】特開2009-077510(JP,A)
【文献】特開平05-328606(JP,A)
【文献】特開2016-071427(JP,A)
【文献】特開2010-004617(JP,A)
【文献】特開平03-243119(JP,A)
【文献】国際公開第2013/060604(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00
H02J 1/00
B60R 16/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両制御機器(2)用のマルチライン供給ユニット(1A、1B、1C)であって、入口ではそれぞれ少なくとも1つの車両電圧源(B、B1、B2)と接続しており、出口では共通の節点(KP)で一緒にされている少なくとも2つの供給ライン(S1、S2)と、少なくとも2つの前記供給ライン(S1、S2)内でそれぞれ少なくとも1つの第1の保護ダイオード(Dvs1、Dvs2)を含み、少なくとも1つの前記第1の保護ダイオード(Dvs1、Dvs2)が順方向で、少なくとも1つの前記車両電圧源(B、B1、B2)と前記節点(KP)との間で少なくとも2つの前記供給ライン(S1、S2)内にループ接続されている保護装置(3A、3B、3C、3D)とを備えた、マルチライン供給ユニット(1A、1B、1C)において、少なくとも2つの前記供給ライン(S1、S2)内に、それぞれ少なくとも1つのスイッチ素子(Svs1、Svs2)が、少なくとも1つの前記保護ダイオード(Dvs1、Dvs2)に対して並列にループ接続されており、評価および制御ユニット(10A、10B、10C)が、少なくとも2つの前記供給ライン(S1、S2)の入口ではそれぞれライン電圧(VS1、VS2)を、および前記共通の節点(KP)では逆極性保護された供給電圧(VP)を捕捉および評価し、前記評価に応じて、少なくとも2つの前記供給ライン(S1、S2)内の前記スイッチ素子(Svs1、Svs2)を、対応する制御信号(Svs1_CTL、Svs2_CTL)を介して制御し、
前記評価および制御ユニット(10A、10B、10C)が、個々の前記ライン電圧(VS1、VS2)を相互におよび/または前記逆極性保護された供給電圧(VP)と比較し、前記比較に応じて、ハードウェア制御ユニット(12A、12B、12C)を介し、少なくとも1つの前記スイッチ素子(Svs1、Svs2)のための前記制御信号(Svs1_CTL、Svs2_CTL)を生成し、
対応する前記ライン電圧(VS1、VS2)と、前記共通の節点(KP)での前記逆極性保護された供給電圧(VP)との差が、設定された第2の閾値を下回る場合は、前記評価および制御ユニット(10A、10B、10C)が、前記ハードウェア制御ユニット(12A、12B、12C)によって生成される前記制御信号(Svs1_CTL、Svs2_CTL)を介し、少なくとも1つの前記スイッチ素子(Svs1、Svs2)を開くことを特徴とするマルチライン供給ユニット(1A、1B、1C)。
【請求項2】
対応する前記ライン電圧(VS1、VS2)と、前記共通の節点(KP)での前記逆極性保護された供給電圧(VP)との差が、設定された第1の閾値を上回る場合は、前記評価および制御ユニット(10A、10B、10C)が、前記ハードウェア制御ユニット(12A、12B、12C)によって生成される前記制御信号(Svs1_CTL、Svs2_CTL)を介し、少なくとも1つの前記スイッチ素子(Svs1、Svs2)を閉じることを特徴とする請求項に記載のマルチライン供給ユニット(1A、1B、1C)。
【請求項3】
前記第1の閾値と前記第2の閾値との差が、前記ハードウェア制御ユニット(12A、12B、12C)内の可変の抵抗(Rhys)を介して調整可能であることを特徴とする請求項に記載のマルチライン供給ユニット(1A、1B、1C)。
【請求項4】
車両制御機器(2)用のマルチライン供給ユニット(1A、1B、1C)であって、入口ではそれぞれ少なくとも1つの車両電圧源(B、B1、B2)と接続しており、出口では共通の節点(KP)で一緒にされている少なくとも2つの供給ライン(S1、S2)と、少なくとも2つの前記供給ライン(S1、S2)内でそれぞれ少なくとも1つの第1の保護ダイオード(Dvs1、Dvs2)を含み、少なくとも1つの前記第1の保護ダイオード(Dvs1、Dvs2)が順方向で、少なくとも1つの前記車両電圧源(B、B1、B2)と前記節点(KP)との間で少なくとも2つの前記供給ライン(S1、S2)内にループ接続されている保護装置(3A、3B、3C、3D)とを備えた、マルチライン供給ユニット(1A、1B、1C)において、少なくとも2つの前記供給ライン(S1、S2)内に、それぞれ少なくとも1つのスイッチ素子(Svs1、Svs2)が、少なくとも1つの前記保護ダイオード(Dvs1、Dvs2)に対して並列にループ接続されており、評価および制御ユニット(10A、10B、10C)が、少なくとも2つの前記供給ライン(S1、S2)の入口ではそれぞれライン電圧(VS1、VS2)を、および前記共通の節点(KP)では逆極性保護された供給電圧(VP)を捕捉および評価し、前記評価に応じて、少なくとも2つの前記供給ライン(S1、S2)内の前記スイッチ素子(Svs1、Svs2)を、対応する制御信号(Svs1_CTL、Svs2_CTL)を介して制御し、
前記評価および制御ユニット(10A、10B、10C)が、個々の前記ライン電圧(VS1、VS2)を相互におよび/または前記逆極性保護された供給電圧(VP)と比較し、前記比較に応じて、ハードウェア制御ユニット(12A、12B、12C)を介し、少なくとも1つの前記スイッチ素子(Svs1、Svs2)のための前記制御信号(Svs1_CTL、Svs2_CTL)を生成し、
前記評価および制御ユニット(10A、10B、10C)が計算ユニット(14A、14B、14C)を含み、前記計算ユニット(14A、14B、14C)が、少なくとも2つの前記供給ライン(S1、S2)を、設定された条件に応じて個々に点検し、前記計算ユニット(14A、14B、14C)が少なくとも2つの前記供給ライン(S1、S2)の前記点検のために、少なくとも1つの制御信号(STR1_CTL、STR2_CTL)を生成して、前記ハードウェア制御ユニット(12A、12B、12C)に出力し、前記ハードウェア制御ユニット(12A、12B、12C)が、少なくとも1つの前記制御信号(STR1_CTL、STR2_CTL)に反応して、少なくとも1つの前記スイッチ素子(Svs1、Svs2)のための対応する前記制御信号(Svs1_CTL、Svs2_CTL)を生成および出力することを特徴とするマルチライン供給ユニット(1A、1B、1C)。
【請求項5】
前記計算ユニット(14A、14B、14C)が少なくとも2つの前記供給ライン(S1、S2)内での断線および/または問題および/または品質不良を認識すると、前記計算ユニット(14A、14B、14C)が警告メッセージを生成し、かつ/またはエラー保存を行い、音響および/もしくは光出力ユニットならびに/または診断インターフェイスを介して出力することを特徴とする請求項に記載のマルチライン供給ユニット(1A、1B、1C)。
【請求項6】
少なくとも2つの前記供給ライン(S1、S2)内でそれぞれ、電界効果トランジスタ(FET1、FET2)が少なくとも1つの前記第1の保護ダイオード(Dvs1、Dvs2)および少なくとも1つの前記スイッチ素子(Svs1、Svs2)を形成することを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載のマルチライン供給ユニット(1A、1B、1C)。
【請求項7】
車両制御機器(2)用のマルチライン供給ユニット(1A、1B、1C)であって、入口ではそれぞれ少なくとも1つの車両電圧源(B、B1、B2)と接続しており、出口では共通の節点(KP)で一緒にされている少なくとも2つの供給ライン(S1、S2)と、少なくとも2つの前記供給ライン(S1、S2)内でそれぞれ少なくとも1つの第1の保護ダイオード(Dvs1、Dvs2)を含み、少なくとも1つの前記第1の保護ダイオード(Dvs1、Dvs2)が順方向で、少なくとも1つの前記車両電圧源(B、B1、B2)と前記節点(KP)との間で少なくとも2つの前記供給ライン(S1、S2)内にループ接続されている保護装置(3A、3B、3C、3D)とを備えた、マルチライン供給ユニット(1A、1B、1C)において、少なくとも2つの前記供給ライン(S1、S2)内に、それぞれ少なくとも1つのスイッチ素子(Svs1、Svs2)が、少なくとも1つの前記保護ダイオード(Dvs1、Dvs2)に対して並列にループ接続されており、評価および制御ユニット(10A、10B、10C)が、少なくとも2つの前記供給ライン(S1、S2)の入口ではそれぞれライン電圧(VS1、VS2)を、および前記共通の節点(KP)では逆極性保護された供給電圧(VP)を捕捉および評価し、前記評価に応じて、少なくとも2つの前記供給ライン(S1、S2)内の前記スイッチ素子(Svs1、Svs2)を、対応する制御信号(Svs1_CTL、Svs2_CTL)を介して制御し、
少なくとも2つの前記供給ライン(S1、S2)内でそれぞれ、少なくとも1つの第2の保護ダイオード(Dzs1、Dzs2)が、少なくとも1つの前記第1の保護ダイオード(Dvs1、Dvs2)に対しておよび少なくとも1つの前記スイッチ素子(Svs1、Svs2)に対して並列に配置されており、少なくとも1つの前記スイッチ素子(Svs1、Svs2)のパルス負荷を低減することに適していることを特徴とするマルチライン供給ユニット(1A、1B、1C)。
【請求項8】
車両制御機器(2)用のマルチライン供給ユニット(1A、1B、1C)であって、入口ではそれぞれ少なくとも1つの車両電圧源(B、B1、B2)と接続しており、出口では共通の節点(KP)で一緒にされている少なくとも2つの供給ライン(S1、S2)と、少なくとも2つの前記供給ライン(S1、S2)内でそれぞれ少なくとも1つの第1の保護ダイオード(Dvs1、Dvs2)を含み、少なくとも1つの前記第1の保護ダイオード(Dvs1、Dvs2)が順方向で、少なくとも1つの前記車両電圧源(B、B1、B2)と前記節点(KP)との間で少なくとも2つの前記供給ライン(S1、S2)内にループ接続されている保護装置(3A、3B、3C、3D)とを備えた、マルチライン供給ユニット(1A、1B、1C)において、少なくとも2つの前記供給ライン(S1、S2)内に、それぞれ少なくとも1つのスイッチ素子(Svs1、Svs2)が、少なくとも1つの前記保護ダイオード(Dvs1、Dvs2)に対して並列にループ接続されており、評価および制御ユニット(10A、10B、10C)が、少なくとも2つの前記供給ライン(S1、S2)の入口ではそれぞれライン電圧(VS1、VS2)を、および前記共通の節点(KP)では逆極性保護された供給電圧(VP)を捕捉および評価し、前記評価に応じて、少なくとも2つの前記供給ライン(S1、S2)内の前記スイッチ素子(Svs1、Svs2)を、対応する制御信号(Svs1_CTL、Svs2_CTL)を介して制御し、
少なくとも2つの前記供給ライン(S1、S2)の出口が、それぞれ個々に前記共通の節点(KP)の前でまたは一緒に前記共通の節点(KP)で、少なくとも1つの第3の保護ダイオード(Dzp、Dzs11、Dzs21)を介してグラウンド(GND)と接続しており、少なくとも1つの前記第3の保護ダイオード(Dzp、Dzs11、Dzs21)が、少なくとも2つの前記供給ライン(S1、S2)の正パルス負荷を低減することに適しており、少なくとも1つの前記第3の保護ダイオード(Dzp、Dzs11、Dzs21)が、前記共通の節点(KP)で生じる負電圧を設定可能な値に制限し、ラインスイッチ(Svs1、Svs2)の故障の際、逆極性の場合に電気的な車両安全装置を作動させることを特徴とするマルチライン供給ユニット(1A、1B、1C)。
【請求項9】
車両制御機器(2)用のマルチライン供給ユニット(1A、1B、1C)であって、入口ではそれぞれ少なくとも1つの車両電圧源(B、B1、B2)と接続しており、出口では共通の節点(KP)で一緒にされている少なくとも2つの供給ライン(S1、S2)と、少なくとも2つの前記供給ライン(S1、S2)内でそれぞれ少なくとも1つの第1の保護ダイオード(Dvs1、Dvs2)を含み、少なくとも1つの前記第1の保護ダイオード(Dvs1、Dvs2)が順方向で、少なくとも1つの前記車両電圧源(B、B1、B2)と前記節点(KP)との間で少なくとも2つの前記供給ライン(S1、S2)内にループ接続されている保護装置(3A、3B、3C、3D)とを備えた、マルチライン供給ユニット(1A、1B、1C)において、少なくとも2つの前記供給ライン(S1、S2)内に、それぞれ少なくとも1つのスイッチ素子(Svs1、Svs2)が、少なくとも1つの前記保護ダイオード(Dvs1、Dvs2)に対して並列にループ接続されており、評価および制御ユニット(10A、10B、10C)が、少なくとも2つの前記供給ライン(S1、S2)の入口ではそれぞれライン電圧(VS1、VS2)を、および前記共通の節点(KP)では逆極性保護された供給電圧(VP)を捕捉および評価し、前記評価に応じて、少なくとも2つの前記供給ライン(S1、S2)内の前記スイッチ素子(Svs1、Svs2)を、対応する制御信号(Svs1_CTL、Svs2_CTL)を介して制御し、
少なくとも2つの前記供給ライン(S1、S2)の入口がそれぞれ、オーム抵抗(Rs1、Rs2)およびキャパシタンス(Cs1、Cs2)を含む少なくとも1つのRC回路によりグラウンド(GND)と接続および減衰されていることを特徴とするマルチライン供給ユニット(1A、1B、1C)。
【請求項10】
車両制御機器(2)用のマルチライン供給ユニット(1A、1B、1C)であって、入口ではそれぞれ少なくとも1つの車両電圧源(B、B1、B2)と接続しており、出口では共通の節点(KP)で一緒にされている少なくとも2つの供給ライン(S1、S2)と、少なくとも2つの前記供給ライン(S1、S2)内でそれぞれ少なくとも1つの第1の保護ダイオード(Dvs1、Dvs2)を含み、少なくとも1つの前記第1の保護ダイオード(Dvs1、Dvs2)が順方向で、少なくとも1つの前記車両電圧源(B、B1、B2)と前記節点(KP)との間で少なくとも2つの前記供給ライン(S1、S2)内にループ接続されている保護装置(3A、3B、3C、3D)とを備えた、マルチライン供給ユニット(1A、1B、1C)において、少なくとも2つの前記供給ライン(S1、S2)内に、それぞれ少なくとも1つのスイッチ素子(Svs1、Svs2)が、少なくとも1つの前記保護ダイオード(Dvs1、Dvs2)に対して並列にループ接続されており、評価および制御ユニット(10A、10B、10C)が、少なくとも2つの前記供給ライン(S1、S2)の入口ではそれぞれライン電圧(VS1、VS2)を、および前記共通の節点(KP)では逆極性保護された供給電圧(VP)を捕捉および評価し、前記評価に応じて、少なくとも2つの前記供給ライン(S1、S2)内の前記スイッチ素子(Svs1、Svs2)を、対応する制御信号(Svs1_CTL、Svs2_CTL)を介して制御し、
少なくとも2つの前記供給ライン(S1、S2)の出口が、それぞれ個々に前記共通の節点(KP)の前でまたは一緒に共通の節点(KP)で、オーム抵抗(RP、Rs11、Rs21)およびキャパシタンス(CP、Cs11、Cs21)を含む少なくとも1つのRC回路によりグラウンド(GND)と接続および減衰されていることを特徴とするマルチライン供給ユニット(1A、1B、1C)。
【請求項11】
車両制御機器(2)用のマルチライン供給ユニット(1A、1B、1C)であって、入口ではそれぞれ少なくとも1つの車両電圧源(B、B1、B2)と接続しており、出口では共通の節点(KP)で一緒にされている少なくとも2つの供給ライン(S1、S2)と、少なくとも2つの前記供給ライン(S1、S2)内でそれぞれ少なくとも1つの第1の保護ダイオード(Dvs1、Dvs2)を含み、少なくとも1つの前記第1の保護ダイオード(Dvs1、Dvs2)が順方向で、少なくとも1つの前記車両電圧源(B、B1、B2)と前記節点(KP)との間で少なくとも2つの前記供給ライン(S1、S2)内にループ接続されている保護装置(3A、3B、3C、3D)とを備えた、マルチライン供給ユニット(1A、1B、1C)において、少なくとも2つの前記供給ライン(S1、S2)内に、それぞれ少なくとも1つのスイッチ素子(Svs1、Svs2)が、少なくとも1つの前記保護ダイオード(Dvs1、Dvs2)に対して並列にループ接続されており、評価および制御ユニット(10A、10B、10C)が、少なくとも2つの前記供給ライン(S1、S2)の入口ではそれぞれライン電圧(VS1、VS2)を、および前記共通の節点(KP)では逆極性保護された供給電圧(VP)を捕捉および評価し、前記評価に応じて、少なくとも2つの前記供給ライン(S1、S2)内の前記スイッチ素子(Svs1、Svs2)を、対応する制御信号(Svs1_CTL、Svs2_CTL)を介して制御し、
前記共通の節点(KP)が、パッシブフィルタ(20)を介して前記車両制御機器(2)と接続可能であることを特徴とするマルチライン供給ユニット(1A、1B、1C)。
【請求項12】
前記パッシブフィルタ(20)が、瞬時電圧低下を相殺することに適したエネルギー蓄積(CμCT)を有することを特徴とする請求項11に記載のマルチライン供給ユニット(1A、1B、1C)。
【請求項13】
前記パッシブフィルタ(20)が、マルチラインT型フィルタ(20C)として実施されており、少なくとも2つの前記供給ライン(S1、S2)内で、それぞれ第1のフィルタインダクタンス(LT1、LT2)が、前記スイッチ素子(Svs1、Svs2)と前記共通の節点(KP)との間にループ接続されており、共通の第2のフィルタインダクタンス(LT)が、前記共通の節点(KP)とフィルタ出口との間にループ接続されていることを特徴とする請求項11または12に記載のマルチライン供給ユニット(1A、1B、1C)。
【請求項14】
少なくとも2つの前記供給ライン(S1、S2)の入口ではそれぞれライン電圧(VS1、VS2)が、および前記共通の節点(KP)では逆極性保護された供給電圧(VP)が捕捉および評価され、少なくとも2つの前記供給ライン(S1、S2)内の前記スイッチ素子(Svs1、Svs2)が、前記評価に応じて、対応する制御信号(Svs1_CTL、Svs2_CTL)を介して制御されることを特徴とする請求項1から13のいずれか一項に記載のマルチライン供給ユニット(1A、1B、1C)の動作方法。
【請求項15】
個々の前記ライン電圧(VS1、VS2)が相互におよび/または前記逆極性保護された供給電圧(VP)と比較され、前記比較に応じて、ハードウェア制御ユニット(12A、12B、12C)を介し、少なくとも1つの前記スイッチ素子(Svs1、Svs2)のための前記制御信号(Svs1_CTL、Svs2_CTL)が生成されることを特徴とする請求項14に記載の動作方法。
【請求項16】
少なくとも2つの前記供給ライン(S1、S2)が、動作中に、設定された条件に応じて個々に点検されることを特徴とする請求項14または15に記載の動作方法。
【請求項17】
少なくとも2つの前記供給ライン(S1、S2)が、設定された時間間隔をあけておよび/または前記ライン電圧(VS1、VS2)間の電圧差が設定された数値を上回る場合に、個々に点検されることを特徴とする請求項16に記載の動作方法。
【請求項18】
少なくとも2つの前記供給ライン(S1、S2)の第1の点検の際、点検すべき供給ライン(S1、S2)の少なくとも1つの前記スイッチ素子(Svs1、Svs2)が開かれ、対応する前記ライン電圧(VS1、VS2)および前記共通の節点(KP)での前記逆極性保護された供給電圧(VP)の反応が捕捉および評価されることを特徴とする請求項16または17に記載の動作方法。
【請求項19】
スイッチ素子(Svs1、Svs2)の開放時に、対応する前記ライン電圧(VS1、VS2)が設定された最小限界値未満である場合に、前記点検すべき供給ライン(S1、S2)内の断線が認識されることを特徴とする請求項18に記載の動作方法。
【請求項20】
少なくとも2つの前記供給ライン(S1、S2)の第2の点検の際、前記点検すべき供給ライン(S1、S2)の対応する前記スイッチ素子(Svs1、Svs2)だけが閉じられて、そのほかの前記供給ライン(S1、S2)の前記スイッチ素子(Svs1、Svs2)が開かれ、前記点検すべき供給ライン(S1、S2)の負荷状態での対応する前記ライン電圧(VS1、VS2)の反応が捕捉および評価されることを特徴とする請求項16から19のいずれか一項に記載の動作方法。
【請求項21】
スイッチ素子(Svs1、Svs2)の閉鎖時に、対応する前記ライン電圧(VS1、VS2)が設定された負荷限界値未満である場合に、前記負荷下での点検すべき供給ライン(S1、S2)内での問題が認識されることを特徴とする請求項20に記載の動作方法。
【請求項22】
個々の前記ライン電圧(VS1、VS2)が相互におよびそれぞれ接続された前記車両電圧源(B1、B2)の車両電圧(UB1、UB2)と比較され、前記比較に基づいて、対応する前記供給ライン(S1、S2)の内部抵抗(Ri1、Ri2)の大きさが推測されることを特徴とする請求項16から21のいずれか一項に記載の動作方法。
【請求項23】
少なくとも2つの前記供給ライン(S1、S2)内での断線および/または問題および/または品質不良が認識されると、警告メッセージが生成され、かつ/またはエラー保存が行われ、音響および/もしくは光出力ユニットならびに/または診断インターフェイスを介して出力され、前記品質不良は、前記内部抵抗(Ri1、Ri2)が設定された限界値を上回ることによって認識されることを特徴とする請求項16から22のいずれか一項に記載の動作方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、独立特許請求項1のプリアンブルによる車両制御機器用のマルチライン供給ユニットに基づく。このようなマルチライン供給ユニットの動作方法も本発明の対象である。
【背景技術】
【0002】
車両内の電子制御機器は、通常は、第1のイグニッションキーシリンダ位置(ラジオ)においてエネルギー源と接続される第1のスイッチング可能なクランプ(KL 15R)を介して、および/または第2のイグニッションキーシリンダ位置(イグニッション)においてエネルギー源と接続される第2のスイッチング可能なクランプ(KL 15)を介してエネルギーを供給される。車両の作動を停止してもエネルギーが供給される制御機器が「スリープモード」を有する場合、この制御機器は、イグニッションキーシリンダ位置に関係なくエネルギー源と接続している永久プラス(Dauerplus)・クランプ(KL 30)を介してエネルギーを供給される。車両の作動が停止している場合、「スリープモード」がアクティブであれば、永久プラス・クランプからの供給電流はほぼゼロである。「スリープモード」が非アクティブであれば、つまり制御機器の通常動作モードでは、永久プラス・クランプから必要な供給電流が提供される。さらなる一変形形態では、制御機器の通常動作モードにおいて、第1のスイッチング可能なクランプおよび/または第2のスイッチング可能なクランプが冗長的に、制御機器のためのさらなる潜在的な供給ラインとして設けられている。これは、供給の冗長性だけでなく、これらのスイッチングされる供給ラインが、対応する制御機器のための冗長なウェイクアップ信号伝達にも使用され得るという利点を有する。一次的なウェイクアップ機能および/またはスリープモードは、適切なバスアクティビティまたはバスコマンドを介して制御され得る。提供されている供給ラインは、制御機器内で逆極性保護されており、「ワイヤードOR」接続されている。これにより、1つまたは複数の供給ラインの逆極性の場合に、制御機器内で被害が発生し得ないことが保証され得る。そのうえ、制御機器内の供給ラインの「ワイヤードOR接続」は、通常動作モード中の制御機器の冗長な供給に役立つ。これまでシリコンダイオードが、最大2Aの定常電流範囲内での逆極性保護手段として用いられている。これは、最大1Vの電圧降下および最大2Wの損失電力を生じさせる。電圧降下がより低い改善されたシステムでは、ショットキーダイオードが用いられ、これにより最大4Aの定常電流が良好であり得る。電圧降下はここでは0.6V未満であり、これは最大2.4Wの損失電力を生じさせ得る。
【発明の概要】
【0003】
独立特許請求項1の特徴を有する車両制御機器用のマルチライン供給ユニットおよびこのマルチライン供給ユニットの動作方法は、定常電流動作時の個々の供給ラインの逆極性保護に関する電圧降下が、したがって損失電力も、保護ダイオードに対して並列にループ接続されたスイッチ素子によって明らかに低減され得るという利点を有する。これに関し、各供給ライン内の保護ダイオードが、静的および/または動的な逆極性保護ならびに逆給電保護を提供することが有利である。これにより、とりわけ少なくとも部分的に自律型の走行機能を備えた車両内で使用される安全システム、支援システムなどのための将来のより大きな制御機器の、上昇する電流要求に応対できることが有利である。加えて、車両制御機器用のこのマルチライン供給ユニットの実施形態は、逆極性保護だけでなく、後続のスイッチングレギュレータのためのさらなるフィルタ回路も考慮に入れている。
【0004】
車両制御機器用のこのマルチライン供給ユニットの実施形態は、好ましくは2ライン供給ユニットとして実施され、この場合、一般的に第1の供給ラインは、イグニッションキーシリンダの永久プラス・クランプを介して恒久的にエネルギーを供給され、第2の供給ラインは、イグニッションキーシリンダのスイッチング可能なクランプを介してエネルギーを供給される。加えて車両制御機器用のこのマルチライン供給ユニットの実施形態の場合、対応する制御機器のスリープモードでは、これらの供給ラインを介して100μA未満の電流しか流れない。
【0005】
さらに車両制御機器用のこのマルチライン供給ユニットの実施形態は、とりわけ供給ラインの欠如または供給ラインの短絡を認識するために、個々の供給ラインを監視する。車両制御機器用のこのマルチライン供給ユニットの実施形態は、エネルギー蓄積素子が出力負荷として用いられ得るように実施されることが有利である。このエネルギー蓄積素子は、好ましくはコンデンサとして実施されており、マルチライン供給ユニットの瞬低、短絡、および/または断線の際に、通常は数百μs~10msの規定の期間、制御機器供給を維持するためにエネルギーを提供でき、このエネルギーの大部分は、マルチライン供給ユニットに逆給電されない。
【0006】
車両制御機器用のこのマルチライン供給ユニットの実施形態は、供給ラインの電圧の高さが異なる場合に、一方の供給ラインからもう一方の供給ランへの恒久的な逆給電を阻止することが有利である。動的事象でも、とりわけ供給ラインの直流電圧に重畳した交流電圧分でも、動的逆給電エネルギーが制限されることが有利である。加えて車両制御機器用のこのマルチライン供給ユニットの実施形態は、供給ラインでの正または負のインパルスに対する保護措置を含んでおり、とりわけ正および負のインパルスの非対称のクランプまたは制限を可能にする。
【0007】
本発明の実施形態は、入口ではそれぞれ少なくとも1つの車両電圧源と接続しており、出口では共通の節点で一緒にされている少なくとも2つの供給ラインと、少なくとも2つの供給ライン内でそれぞれ少なくとも1つの第1の保護ダイオードを含み、この少なくとも1つの第1の保護ダイオードが順方向で、少なくとも1つの車両電圧源と節点との間で少なくとも2つの供給ライン内にループ接続されている保護装置とを備えた、車両制御機器用のマルチライン供給ユニットを提供する。これに関し、少なくとも2つの供給ライン内に、それぞれ少なくとも1つのスイッチ素子が、少なくとも1つの保護ダイオードに対して並列にループ接続されている。加えて評価および制御ユニットが、少なくとも2つの供給ラインの入口ではそれぞれライン電圧を、および共通の節点では逆極性保護された供給電圧を捕捉し、これらの電圧を評価する。この評価に応じて評価および制御ユニットが、少なくとも2つの供給ライン内のスイッチ素子を、対応する制御信号を介して制御する。
【0008】
これに加え、少なくとも2つの供給ラインの入口ではそれぞれライン電圧を、および共通の節点では逆極性保護された供給電圧を捕捉および評価するマルチライン供給ユニットの動作方法を提案する。これに関し、少なくとも2つの供給ライン内のスイッチ素子は、この評価に応じて、対応する制御信号を介して制御される。
【0009】
評価および制御ユニットとは、本明細書では、例えば制御機器のような、とりわけ運転者支援制御機器、内蔵された安全システム、またはエアバッグ制御機器のような電気機器と理解でき、この電気機器は、捕捉されたセンサ信号、例えばビデオ信号、レーダ信号、ライダ信号、温度信号、赤外線信号、位置信号、加速度信号、圧力信号、回転率信号などを、ならびに/または電圧および/もしくは電流を処理または評価する。この評価および制御ユニットは、ハードウェアおよび/またはソフトウェアによって形成され得る少なくとも1つのインターフェイスを有し得る。ハードウェアによる形成では、インターフェイスは例えば評価および制御ユニットの非常に様々な機能を内包するいわゆるシステムASICの一部であり得る。ただしこのインターフェイスが、専用の集積回路であるかまたは少なくとも部分的に個別の部品から成っていてもよい。ソフトウェアによる形成では、インターフェイスは例えばマイクロコントローラ上でほかのソフトウェアモジュールの隣に存在するソフトウェアモジュールであり得る。機械可読の媒体、例えば半導体メモリ、ハードディスクメモリ、または光学メモリ上で記憶されており、評価および制御ユニットによりプログラムが実行される際に評価を実施するために使用されるプログラムコードを有するコンピュータプログラム製品も有利である。
【0010】
従属請求項に挙げた措置および変形形態により、独立特許請求項1で提示された車両制御機器用のマルチライン供給ユニットおよび独立特許請求項16で提示されたこのようなマルチライン供給ユニットの動作方法の有利な改善が可能である。
【0011】
特に有利なのは、評価および制御ユニットが、個々のライン電圧を相互におよび/または逆極性保護された供給電圧と比較でき、この比較に応じて、ハードウェア制御ユニットを介し、少なくとも1つのスイッチ素子のための制御信号を生成できることである。ハードウェア制御ユニットとは、以下では、個別の電子的または電気的な部品またはコンポーネントから構成されており、したがって内部条件を認識するための非常に速い評価工程および短いスイッチング時間が実行され得る電気回路のことである。これは、ハードウェア制御ユニットが、供給ラインの入口および共通の節点と、対応する接触および接続を介して直接的に接続でき、共通の節点を介してエネルギーを供給され得ることを意味する。ハードウェア制御ユニットまたはハードウェア制御ユニットの一部は、スリープ用入口を介してスイッチオンまたはスイッチオフされ得る。対応するライン電圧と、共通の節点での逆極性保護された供給電圧との差が、設定された第1の閾値を上回る場合は、評価および制御ユニットが、ハードウェア制御ユニットによって生成される制御信号を介し、少なくとも1つのスイッチ素子を閉じ得る。これにより、対応する供給ラインでの電圧降下、したがって損失電力を低減し得ることが有利である。加えて、対応するライン電圧と、共通の節点での逆極性保護された供給電圧との差が、設定された第2の閾値を下回るかまたは負になる場合は、評価および制御ユニットが、ハードウェア制御ユニットによって生成される制御信号を介し、少なくとも1つのスイッチ素子を開き得る。これにより、共通の節点から、閉じられたスイッチ素子を介して当該の供給ラインへという逆給電を阻止し得ることが有利である。加えて第1の閾値と第2の閾値との差は、ハードウェア制御ユニット内の可変の抵抗を介して調整され得る。これにより、スイッチング決定の安定性が改善されるように、個々の供給ライン内のスイッチ素子のためのヒステリシスを設定し得ることが有利である。通常の場合には、すべてのスイッチ素子が同一に実施され、同一のヒステリシスで動作される。この場合は、すべてのスイッチ素子のためのヒステリシスの共通の調整で十分である。その代わりに、各スイッチ素子に対して各々のヒステリシスが設定され得る。ヒステリシスの調整には、スイッチ素子の内部抵抗、スイッチング決定の安定性、および帰属の供給ライン内の逆電流の認識高さが考慮され得る。これにより、スイッチング決定の安定性を、個別に認識される逆給電電流の高さに依存させることができ、使用されるスイッチ素子の内部抵抗に適合させることができる。
【0012】
このマルチライン供給ユニットの有利な形態では、評価および制御ユニットが計算ユニットを含むことができ、この計算ユニットは、少なくとも2つの供給ラインを、設定された条件に応じて個々に点検する。これに関し、計算ユニットは少なくとも2つの供給ラインの点検のために、少なくとも1つの制御信号を生成して、ハードウェア制御ユニットに出力することができ、ハードウェア制御ユニットは、この少なくとも1つの制御信号に反応して、少なくとも1つのスイッチ素子のための対応する制御信号を生成および出力することができる。供給ラインの断線もしくは短絡もしくはその他の問題を認識するため、または品質を点検するため、個々の供給ライン内のスイッチ素子を一時的に開くことができ、個々のライン電圧および共通の節点での逆極性保護された供給電圧の反応を捕捉および評価することができる。品質の尺度として、例えば対応する供給ラインの内部抵抗が確定および評価され得る。これに関し、供給ラインの品質は内部抵抗に反比例し、つまり供給ラインの品質は、内部抵抗が上昇するにつれて低下する。
【0013】
このマルチライン供給ユニットのさらなる有利な形態では、計算ユニットが少なくとも2つの供給ライン内での断線および/または問題および/または品質不良を認識すると、計算ユニットは警告メッセージを生成でき、かつ/またはエラー保存を行うことができ、音響および/もしくは光出力ユニットならびに/または診断インターフェイスを介して出力することができる。これにより運転者が早めに警告を受けて、少なくとも部分的に自動の機能を介したチェックを再び引き継ぐことができるか、または次のサービスの際に問題が取り除かれ得る。つまり例えばエラーの種類、エラーの場所、およびエラーの時間が、次のサービスまで保存され得る。
【0014】
このマルチライン供給ユニットのさらなる有利な形態では、少なくとも2つの供給ライン内でそれぞれ、電界効果トランジスタが少なくとも1つの第1の保護ダイオードおよび少なくとも1つのスイッチ素子を形成し得る。電界効果トランジスタは、PチャネルMOS電界効果トランジスタ(PMOSFET)として実施されることが好ましく、このPチャネルMOS電界効果トランジスタは、順方向で、バルクダイオードを介してドレイン・ソース間で導通する。これは、正のソース・ゲート間電圧による簡単な制御を可能にする。少なくとも1つのスイッチ素子のパルス負荷を低減するため、少なくとも2つの供給ライン内でそれぞれ、少なくとも1つの第2の保護ダイオードが、少なくとも1つの第1の保護ダイオードに対しておよび少なくとも1つのスイッチ素子に対して並列に配置され得る。少なくとも1つの第2の保護ダイオードは、対応するスイッチ素子を、とりわけPMOSFETとしての実施の場合に、高い負電圧インパルスから保護し、この高い負電圧インパルスは、例えば制御機器に対して並列に配置されたインダクタンス、例えばシートヒータ、デフォッガなどをスイッチオフするようなスイッチング工程などの際に、その供給ライン上で発生し得る。少なくとも1つの第2の保護ダイオードは、降伏電圧が24V~40Vの範囲内の高性能サプレッサダイオード(TSV)として実施され得ることが好ましい。これに加え、少なくとも2つの供給ラインの出口は、それぞれ個々に共通の節点の前でまたは一緒に共通の節点で、少なくとも1つの第3の保護ダイオードを介してグラウンドと接続でき、この第3の保護ダイオードは、少なくとも2つの供給ラインの正パルス負荷を低減することに適している。これに関し、少なくとも1つの第3の保護ダイオードは、共通の節点で生じる負電圧を設定可能な値に制限でき、ラインスイッチの故障の際、逆極性の場合に電気的な車両安全装置を作動させ得る。負電圧は、例えば-0.3V~-1.2Vの間の範囲内の値に制限され得る。中央の少なくとも1つの第3の保護ダイオードによる回路の増補は、ロードダンプ(load-dump)を含む正インパルスに対するマルチライン供給装置の保護に役立つ。供給ラインの1つで正パルス負荷が発生すると、このインパルスは、少なくとも1つの第3の保護ダイオードによってクランプまたは制限される。少なくとも1つの第3の保護ダイオードは、降伏電圧が30V~42Vの範囲内の高性能サプレッサダイオード(TSV)として実施され得ることが好ましい。少なくとも1つの第2の保護ダイオードおよび少なくとも1つの第3の保護ダイオードにより、スイッチ素子のパルス負荷を低減でき、これにより、比較的低いソース・ドレイン間強度および低い順方向抵抗および比較的小さな所要面積をもつ比較的安価なトランジスタタイプが用いられ得ることが有利である。供給ラインの静的な逆極性保護が、この追加的な少なくとも1つの第2の保護ダイオードおよび少なくとも1つの第3の保護ダイオードによって悪影響を及ぼされることはない。加えて、少なくとも1つの第2の保護ダイオードおよび少なくとも1つの第3の保護ダイオードの使用により、負または正の供給インパルスの非対称のクランプまたは制限が可能になり、それにより、負クランプ素子のサイズまたは吸収性能が、正クランプ素子のサイズまたは吸収性能から切り離され得る。さらに、共通の節点でのこの一方向のクランプが、逆極性に対する拡大された保護を、供給ライン内のスイッチ素子の故障の場合に制御機器内で被害が生じる前にライン安全装置を作動させるという目標と一致させていることが有利である。
【0015】
このマルチライン供給ユニットのさらなる有利な形態では、少なくとも2つの供給ラインの入口をそれぞれ、オーム抵抗およびキャパシタンスを含む少なくとも1つのRC回路によりグラウンドと接続および減衰できる。加えて少なくとも2つの供給ラインの出口を、それぞれ個々に共通の節点の前でまたは一緒に共通の節点で、オーム抵抗およびキャパシタンスを含む少なくとも1つのRC回路によりグラウンドと接続および減衰できる。これにより、例えば供給ラインによる誘導ノイズ電圧を減衰でき、この誘導ノイズ電圧は、オーム抵抗だけでなく、車両バッテリーへの接続によって生じる。これにより、スイッチング工程が個々の供給ライン内および共通の節点で、ノイズ限界値を上回ったりスイッチ素子の最適な制御を脅かしたりし得るノイズ電圧を引き起こすのを阻止し得ることが有利である。RC回路の寸法は、個々の供給ラインの等価インダクタンスおよび電流に依存する。
【0016】
このマルチライン供給ユニットのさらなる有利な形態では、共通の節点が、パッシブフィルタを介して制御機器と接続され得る。パッシブフィルタは、瞬時電圧低下を相殺し得るエネルギー蓄積を有し得ることが好ましい。このエネルギー蓄積は、コンデンサを含み得ることが好ましい。特に有利な一形態では、パッシブフィルタが、マルチラインT型フィルタとして実施され得る。これに関し、少なくとも2つの供給ライン内で、それぞれ第1のフィルタインダクタンスを、スイッチ素子と共通の節点との間にループ接続でき、共通の第2のフィルタインダクタンスを、共通の節点とフィルタ出口との間にループ接続できる。この実施形態は、供給ラインが後続の制御機器に対称的に接続することを可能にし、20kHz未満のカットオフ周波数を可能にし、これにより後続の制御機器のスイッチングレギュレータが、ノイズ周波数に対するPSSR(電源電圧変動除去比)に関し、この調節周波数を介して補助される。
【0017】
動作方法の有利な形態では、個々のライン電圧を相互におよび/または逆極性保護された供給電圧と比較でき、この比較に応じて、ハードウェア制御ユニットを介し、少なくとも1つのスイッチ素子のための制御信号を生成できる。
【0018】
動作方法のさらなる有利な形態では、少なくとも2つの供給ラインが、動作中に、設定された条件に応じて個々に点検され得る。少なくとも2つの供給ラインの点検は、例えば設定された時間間隔をあけて行われ得る。それに加えてまたはその代わりに、少なくとも2つの供給ラインは、ライン電圧間の電圧差が設定された数値を上回る場合に個々に点検され得る。
【0019】
動作方法のさらなる有利な形態では、個々の供給ラインの第1の点検の際、点検すべき供給ラインの少なくとも1つのスイッチ素子を開くことができ、対応するライン電圧および共通の節点での逆極性保護された供給電圧の反応を捕捉および評価することができる。これに関し、スイッチ素子の開放時に、対応するライン電圧が例えば0V~6Vの間の電圧範囲内の設定された最小限界値未満である場合に、点検すべき供給ライン内の断線が認識され得る。点検の後、開かれたスイッチ素子が再び閉じられ、次の供給ラインが、対応するスイッチ素子を開くことによって点検され得る。割り当てられたスイッチ素子を開くことによる供給ラインの一時的な点検は、制御機器供給をまったく脅かさず、なぜなら当該供給ラインは、第1の保護ダイオードを介し、およびこれに加えて並列の第2の保護ダイオードを介し、依然として制御機器供給を保証し得るからである。
【0020】
動作方法のさらなる有利な形態では、少なくとも2つの供給ラインの第2の点検の際、点検すべき供給ラインの対応するスイッチ素子だけを閉じて、そのほかの供給ラインのスイッチ素子は開くことができ、負荷下での点検すべき供給ライン内の対応するライン電圧の反応を捕捉および評価することができる。これに関し、スイッチ素子の閉鎖時に、対応するライン電圧が設定された負荷限界値未満である場合に、負荷下での点検すべき供給ライン内での、例えば点検すべき供給ラインの接触不良または高すぎる等価抵抗によって引き起こされる問題が認識され得る。
【0021】
動作方法のさらなる有利な形態では、個々のライン電圧が相互におよびそれぞれ接続された車両電圧源の車両電圧と比較され得る。この比較に基づいて、対応する供給ラインの内部抵抗が推測され得る。電流変化が分かっている場合は、対応するスイッチ素子のスイッチオフの前後のすべてのライン電圧差を評価することでも、供給ラインの内部抵抗が推測され得る。
【0022】
動作方法のさらなる有利な形態では、少なくとも2つの供給ライン内での断線および/または問題および/または品質不良が認識されると、警告メッセージを生成でき、かつ/またはエラー保存を行うことができ、音響および/もしくは光出力ユニットならびに/または診断インターフェイスを介して出力することができる。これに関し品質不良は、例えば内部抵抗が設定された限界値を上回ることによって認識され得る。これにより運転者が早めに警告を受けて、少なくとも部分的に自動の機能を介したチェックを再び引き継ぐことができるか、または次のサービスの際に問題が取り除かれ得る。つまり例えばエラーの種類、エラーの場所、およびエラーの時間が、次のサービスまで保存され得る。
【0023】
本発明の例示的実施形態を図面に示しており、以下の説明においてより詳しく解説する。図面では、同じまたは類似の機能を実施するコンポーネントまたは要素に同じ符号が付されている。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】保護装置の第1の例示的実施形態による、車両制御機器用の本発明によるマルチライン供給ユニットの1つの例示的実施形態の概略的な回路図である。
図2】保護装置の第1の例示的実施形態による、車両制御機器用の本発明によるマルチライン供給ユニットの第2の例示的実施形態の概略的な回路図である。
図3図1および図2からの本発明によるマルチライン供給ユニットのための保護装置の第2の例示的実施形態の概略的な回路図であり、この保護装置は1つのエネルギー源と接続している。
図4図3からの保護装置の概略的な回路図であり、この保護装置は2つのエネルギー源と接続している。
図5図1および図2からの本発明によるマルチライン供給ユニットのための保護装置の第3の例示的実施形態の概略的な回路図である。
図6】保護装置の第4の例示的実施形態による、車両制御機器用の本発明によるマルチライン供給ユニットの第3の例示的実施形態の概略的な回路図である。
図7図6からの車両制御機器用の本発明によるマルチライン供給ユニットの評価および制御ユニットのためのハードウェア制御ユニットの1つの例示的実施形態の概略的な回路図である。
図8図3からの保護装置を備えた図1からの車両制御機器用の本発明によるマルチライン供給ユニットの通常動作中の電圧の特性曲線図である。
図9図4からの保護装置を備えた図1および図2からの車両制御機器用の本発明によるマルチライン供給ユニットの様々な大きさの特性曲線図であり、この場合、マルチライン供給装置は異なる直流分を有し、1kHzの正弦波ノイズ電圧で妨害されている。
図10図4からの保護装置を備えた図1および図2からの車両制御機器用の本発明によるマルチライン供給ユニットの様々な大きさの特性曲線図であり、この場合、マルチライン供給装置は異なる直流分を有する。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1図7から明らかなように、車両制御機器2用の本発明によるマルチライン供給ユニット1A、1B、1Cの示した例示的実施形態はそれぞれ、入口ではそれぞれ少なくとも1つの車両電圧源B、B1、B2と接続しており、出口では共通の節点KPで一緒にされている少なくとも2つの供給ラインS1、S2と、少なくとも2つの供給ラインS1、S2内でそれぞれ少なくとも1つの第1の保護ダイオードDvs1、Dvs2を含み、この少なくとも1つの第1の保護ダイオードDvs1、Dvs2が順方向で、少なくとも1つの車両電圧源B、B1、B2と節点KPとの間で少なくとも2つの供給ラインS1、S2内にループ接続されている保護装置3A、3B、3C、3Dとを含んでいる。これに関し、少なくとも2つの供給ラインS1、S2内に、それぞれ少なくとも1つのスイッチ素子Svs1、Svs2が、少なくとも1つの保護ダイオードDvs1、Dvs2に対して並列にループ接続されており、この場合、評価および制御ユニット10A、10B、10Cが、少なくとも2つの供給ラインS1、S2の入口ではそれぞれライン電圧VS1、VS2を、および共通の節点KPでは逆極性保護された供給電圧VPを捕捉および評価する。この評価に応じて評価および制御ユニット10A、10B、10Cが、少なくとも2つの供給ラインS1、S2内のスイッチ素子Svs1、Svs2を、対応する制御信号Svs1_CTL、Svs2_CTLを介して制御する。
【0026】
示した例示的実施形態では、マルチライン供給ユニット1A、1B、1Cはそれぞれ、2つの供給ラインS1、S2を有する2ライン供給ユニットとして実施されている。代替的な示されていない例示的実施形態では、マルチライン供給ユニット1A、1B、1Cは、2つより多くの供給ラインS1、S2を有してもよい。
【0027】
図1図7からさらに明らかなように、示した供給ラインS1、S2内では、第1の保護ダイオードDvs1、Dvs2が、静的および/または動的な逆極性保護のために、およびスイッチ素子Svs1、Svs2の開放時の供給の確実性のために、および逆給電保護のために用いられる。供給方向の電圧降下を低減するために、供給ラインS1、S2内でスイッチ素子Svs1、Svs2が用いられ、このスイッチ素子Svs1、Svs2は、第1の保護ダイオードDvs1、Dvs2に対して並列に配置されている。評価および制御ユニット10A、10B、10Cは、個々のライン電圧VS1、VS2を相互におよび/または逆極性保護された供給電圧VPと比較し、この比較に応じて、ハードウェア制御ユニット12A、12B、12Cを介し、スイッチ素子Svs1、Svs2のための制御信号Svs1_CTL、Svs2_CTLを生成する。このためにハードウェア制御ユニット12A、12B、12Cは、クランプVS1_IN、VS2_INを介した両方の供給ラインS1、S2への接続およびクランプVP_INを介した共通の節点KPへの接続を使用する。ハードウェア制御ユニット12A、12B、12Cには、逆極性保護された供給電圧VPおよびグラウンドGNDが、クランプVP_INおよびGNDを介して供給される。
【0028】
通常動作中、対応するライン電圧VS1、VS2と、共通の節点KPでの逆極性保護された供給電圧VPとの差が、設定された第1の閾値を上回る場合は、評価および制御ユニット10A、10B、10Cが、ハードウェア制御ユニット12A、12B、12Cを介してスイッチ素子Svs1、Svs2を閉じる。対応するライン電圧VS1、VS2と、共通の節点KPでの逆極性保護された供給電圧VPとの差が、設定された第2の閾値を下回るかまたは負になる場合は、評価および制御ユニット10A、10B、10Cが、ハードウェア制御ユニット12A、12B、12Cを介してスイッチ素子Svs1、Svs2を開く。図1図2、および図6からさらに明らかなように、第1の閾値と第2の閾値との差は、ハードウェア制御ユニット12A、12B、12C内の可変の抵抗Rhysを介して調整可能である。これに関し、第1の制御信号Svs1_CTLが低い値を有する場合、通常の場合、現実の車両供給のために第1のスイッチ素子Svs1が閉じられる。第1の制御信号Svs1_CTLが、第1のスイッチ素子Svs1のための特定のドライバ内で処理される場合、論理「High」信号かまたは論理「Low」信号かの確定に応じて、第1のスイッチ素子Svs1が閉じ得る。これは、第1のライン電圧VS1が、逆極性保護された供給電圧VPと設定されたヒステリシス値との差より大きい場合である。そうでなければ第1のスイッチ素子Svs1は開いたままである。第2の制御信号Svs2_CTLが低い値を有する場合、通常の場合、現実の車両供給のために第2のスイッチ素子Svs2が閉じられる。第2の制御信号Svs2_CTLが、第2のスイッチ素子Svs2のための特定のドライバ内で処理される場合、論理「High」信号かまたは論理「Low」信号かの確定に応じて、第2のスイッチ素子Svs1が閉じ得る。これは、第2のライン電圧VS2が、逆極性保護された供給電圧VPと設定されたヒステリシス値との差より大きい場合である。そうでなければ第2のスイッチ素子Svs2は開いたままである。対応するスイッチ素子Svs1、Svs2が閉じることで、逆極性保護された供給電圧VPは、低いスイッチ抵抗に基づき、供給されているライン電圧VS1、VS2より僅かにしか下がらないので、スイッチングヒステリシスが、スイッチ素子Svs1、Svs2の振動を阻止することが有利である。スイッチングヒステリシスは、同じ構造のスイッチ素子Svs1、Svs2に対しては固定的に設定され得る。示した例示的実施形態では、ヒステリシスは任意選択の抵抗Rhysを介して適合され得る。適合のための基準となるのは、スイッチ素子Svs1、Svs2の内部抵抗、供給方向でのライン電流の高さ、スイッチング決定の所望の安定性、および対応する供給ラインS1、S2内の逆電流の認識高さである。
【0029】
図1図2、および図6からさらに明らかなように、評価および制御ユニット10A、10B、10Cは計算ユニット14A、14B、14Cを含み、この計算ユニット14A、14B、14Cは、両方の供給ラインS1、S2を、設定された条件に応じて個々に点検する。計算ユニット14A、14B、14Cは2つの供給ラインS1、S2の点検のために、対応する制御信号STR1_CTL、STR2_CTLを生成して、この制御信号STR1_CTL、STR2_CTLをハードウェア制御ユニット12A、12B、12Cに出力する。ハードウェア制御ユニット12A、12B、12Cは、制御信号STR1_CTL、STR2_CTLに反応して、対応する制御信号Svs1_CTL、Svs2_CTLを生成して、この制御信号Svs1_CTL、Svs2_CTLを両方のスイッチ素子Svs1、Svs2またはそのドライバに出力する。
【0030】
図1および図6で示した例示的実施形態では、評価および制御ユニット10A、10Cのハードウェア制御ユニット12A、12Cおよび計算ユニット14A、14Cは、モジュールとして実施されており、スイッチ素子Svs1、Svs2の領域内に配置され得るかまたは制御機器の一部として実施され得る。
【0031】
図2で示した例示的実施形態では、評価および制御ユニット10Bのハードウェア制御ユニット12Bと計算ユニット14Bは、互いから分離して配置されている。図2からさらに明らかなように、ハードウェア制御ユニット12Bはスイッチ素子Svs1、Svs2の領域内に配置されており、計算ユニット14Bは制御機器2に組み込まれている。加えて車両制御機器2用のマルチライン供給ユニット1Bの図2で示した例示的実施形態では、制御機器2のスイッチングレギュレータ2.1が、パッシブフィルタ20を介してマルチライン供給ユニット1Bの共通の節点KPに結合されている。パッシブフィルタ20は、電気系統のノイズ、とりわけ5kHz~20kHz超の正弦波ノイズを減衰し、電気系統へのスイッチングレギュレータ2.1の反作用を抑制し、逆極性保護された供給電圧VPの瞬低の場合の制御機器2の供給を保証する。後で図6を参照しながらパッシブフィルタ20の有利な例示的実施形態20Cを説明する。
【0032】
図3図6からさらに明らかなように、保護装置3B、3C、3Dの示した例示的実施形態ではそれぞれ、両方の供給ラインS1、S2の入口が、オーム抵抗Rs1、Rs2およびキャパシタンスCs1、Cs2を含むRC回路によりグラウンドGNDと接続されており、減衰されている。図3および図4からさらに明らかなように、両方の供給ラインS1、S2の出口は、示した例示的実施形態では一緒に共通の節点KPで、オーム抵抗RPおよびキャパシタンスCPを含むRC回路によりグラウンドGNDと接続されており、減衰されている。図4に示した例示的実施形態と図3に示した例示的実施形態は、車両エネルギー源B、B1、B2の数によってのみ異なっている。図3からさらに明らかなように、マルチライン供給ユニット1Aの保護装置3Bは、1つだけの車両エネルギー源Bと接続しており、この車両エネルギー源は、永久的な車両電圧VBとして、第1の導線オーム抵抗Ri1および第1の導線インダクタンスLi1によって表された第1の導線を介し、第1の供給ラインS1に供給され、ならびに第2の導線オーム抵抗Ri2および第2の導線インダクタンスLi2によって表された第2の導線を介して導かれて、イグニッションキーシリンダZSを介してスイッチングされる車両電圧VBとして第2の供給ラインS2に供給される。図4からさらに明らかなように、マルチライン供給ユニット1Aの保護装置3Bは、2つの車両エネルギー源B1、B2と接続している。これに関し、第1の車両エネルギー源B1は、永久的な第1の車両電圧VB1として、第1の導線オーム抵抗Ri1および第1の導線インダクタンスLi1によって表された第1の導線を介し、第1の供給ラインS1に供給され、ならびに第2の車両エネルギー源B2は、第2の導線オーム抵抗Ri2および第2の導線インダクタンスLi2によって表された第2の導線を介して導かれて、イグニッションキーシリンダZSを介してスイッチングされる第2の車両電圧VB2として第2の供給ラインS2に供給される。図5および図6からさらに明らかなように、示した例示的実施形態の出口は、それぞれ個々に共通の節点KPの前で、オーム抵抗Rs11、Rs21およびキャパシタンスCs11、Cs21を含むRC回路によりグラウンドGNDと接続されており、減衰されている。車両エネルギー源B1、B2への接続が、導線オーム抵抗Ri1、Ri2だけでなく導線インダクタンスLi1、Li2も含んでいるので、このRC回路により、スイッチ素子Svs1、Svs2のスイッチング工程に基づいて引き起こされるライン電圧VS1、VS2上でのおよび逆極性保護された供給電圧VP上でのノイズ電圧を補償でき、このノイズ電圧は、さもなければスイッチ素子Svs1、Svs2の最適な制御を脅かし得る。RC回路の寸法は、供給ラインS1、S2の導線インダクタンスLi1、Li2およびライン電流に依存する。
【0033】
図8に基づく特性曲線図は、図3からの保護装置3Bを備えた図1からの車両制御機器2用の本発明によるマルチライン供給ユニット1Aの通常動作のシミュレーション中の電圧の特性曲線図を示している。図3および図8から明らかなように、時点1で車両電圧VBが印加され、これにより第1のライン電圧VS1は、逆極性保護された供給電圧VPと調整されたヒステリシスとの差より大きく、第1のスイッチ素子Svs1が閉じられる。時点1ではイグニッションキーシリンダZSまたはイグニッションスイッチは開いているので、第2のライン電圧VS2は、逆極性保護された供給電圧VPと調整されたヒステリシスとの差より小さく、これにより第2のスイッチ素子Svs2は開いたままである。したがって時点1では第1の供給ラインS1が、後続の負荷RLまたは後続の制御機器のための全供給電流IVPを導く。これにより、第1のライン電圧VS1は、第1の供給ラインS1の導線抵抗Riでの、供給電流IVPによって引き起こされる電圧降下V_Ri1の分だけ車両電圧VBより低い。加えて逆極性保護された供給電圧VPは、第1のスイッチ素子Svs1での電圧降下V_Ri1の分だけ第1のライン電圧VS1より低い。第1のスイッチ素子Svs1の順方向抵抗は、示した例示的実施形態では約10mΩの値を有し、したがって約100mΩの導線抵抗Ri1よりかなり小さい。第1のスイッチ素子Svs1の順方向抵抗は、用いられるトランジスタのサイズに依存している。これによりスイッチ素子Svs1での電圧降下V_Svs1も、導線抵抗Riでの電圧降下V_Ri1よりかなり小さく、したがって第1の供給ラインS1の導線抵抗Riが、逆極性保護された供給電圧VPの高さを左右し、橋絡された第1の保護ダイオードDvs1はもはや重要ではない。時点2でイグニッションキーシリンダZSまたはイグニッションスイッチが点火装置を閉じられると、初めに、第2のライン電圧VS2が、車両電圧UBに相当し、逆極性保護された供給電圧VPと調整されたヒステリシスとの差より大きいとう条件が、無通電の第2の供給ラインS2内で当てはまる。したがって時点2では、第2の供給ラインS2内の第2のスイッチ素子Svs2も閉じられる。結果として2つの供給ラインS1、S2を介して供給電流IVPが提供され、この場合、供給ラインの導線抵抗Ri1、Ri2が、供給ラインS1、S2における電流配分の決定的な要因であり、保護装置3Bの逆極性保護素子はもはや決定的な要因ではない。例えば、スイッチ素子Svs1、Svs2の順方向抵抗に対して10mΩの値が、および第1の導線抵抗Ri1に対して107mΩの値が、および第2の導線抵抗Ri2に対して127Ωの値が仮定される場合、第1の供給ラインS1は供給電流IVPの54%を提供し、第2の供給ラインS2は供給電流IVPの46%を提供する。
【0034】
図9からの特性曲線図は、図4からの保護装置3Bを備えた図1からの車両制御機器2用の本発明によるマルチライン供給ユニット1Aの様々な信号推移を示しており、この場合、両方の供給ラインS1、S2に印加されている両方の車両電圧VB1、VB2は、異なる直流電圧分を有し、それぞれ正弦波ノイズ電圧によって妨害されている。ノイズ電圧は、例えば車両用発電機によって生成され得る。示したシミュレーションでは、第1の車両電圧VB1は、13.5Vの直流電圧分と、4Vの振幅および1kHzの周波数をもつ第1のノイズ電圧とを有する。第2の車両電圧VB2は、11.5Vの直流分と、4Vの振幅および1kHzの周波数をもつ第2のノイズ電圧とを有し、この場合、第1のノイズ電圧と第2のノイズ電圧は90°の位相ずれを有する。
【0035】
図9からさらに明らかなように、時点1では、第1の車両電圧VB1は第2の車両電圧VB2より大きく、第1のライン電圧VS1は、逆極性保護された供給電圧VPとヒステリシスとの差より大きい。この結果として、第1のスイッチ素子Svs1は閉じている。これにより、第1の供給ラインS1での電圧降下VS1-VPは非常に小さく、第1のスイッチ素子Svs1の損失電力P_Svs1は、第1の供給ラインS1内の約14Aの高い電流Ivs1にもかかわらず約2Wで極めて少ない。並列のスイッチ素子Svs1なしでの同等の保護ダイオードの損失電力は、同じ条件の場合、7W~11Wの間であろう。同時に時点1で第2の車両電圧VB2は、逆極性保護された供給電圧VPとヒステリシスとの差より小さい。この結果として、第2のスイッチ素子Svs2は開いている。これにより第2の供給ラインS2内では電流IVS2は流れず、カットオフ電圧が第2の供給ラインS2の第1の保護ダイオードDvs2に印加されており、この第1の保護ダイオードDvs2が、第1の供給ラインS1から第2の供給ラインS2への逆給電を阻止する。これにより制御機器2の供給は、時点1では専ら第1の供給ラインS1を介して行われる。
【0036】
図9からさらに明らかなように、時点2では、ライン電圧VS1、VS2および逆極性保護された供給電圧VPが近くに並んでおり、したがって供給ラインS1、S2の決定的な導線オーム抵抗Ri1、Ri2に基づいて、両方の供給ラインS1、S2に負荷電流ILが配分される。この電流配分に基づき、スイッチ素子Svs1、Svs2の損失電力P_Svs1、P_Svs2は約0.2Wの値へと著しく低減する。第2の供給ラインでの電圧降下VS2-VPは、第1の供給ラインS1での電圧降下VS1-VPに相当し、50mVで、時点1での第1の供給ラインS1での電圧降下VS1-VPの約3分の1である。
【0037】
まとめると、本発明によるマルチライン供給ユニット1A、1B、1Cの実施形態では、制御機器の供給ラインVS1、VS2における動的な電圧差の場合も、一方の供給ラインS1、S2からもう一方の供給ラインS1、S2への静的な逆給電は起こらない。さらに動的な逆給電もエネルギーは限定的であり、実質的にはRCフィルタのキャパシタンスCs1、Cs2、Cpからの容量に限られる。さらに、スイッチ素子Svs1、Svs2の損失電力P_Svs1、P_Svs2は少なく、2.2W未満である。供給ラインでの電圧降下VS1-VP、VS2-VPも、供給ラインS1、S2内の高い電流IVS1、IVS2およびそれから生じるアクティブな2ライン逆極性保護内の高い負荷電流ILにもかかわらず低い。
【0038】
図10からの特性曲線図は、図4からの保護装置3Bを備えた図1からの車両制御機器2用の本発明によるマルチライン供給ユニット1Aの様々な信号推移を示しており、この場合、両方の供給ラインS1、S2に印加されている両方の車両電圧VB1、VB2は、異なる直流電圧分を有し、ノイズ電圧によって妨害されていない。示したシミュレーションでは、第1の車両電圧VB1が13.5Vの直流電圧分を、および第2の車両電圧VB2が12.5Vの直流電圧分を有する。
【0039】
図10からさらに明らかなように、時点1では、第1の車両電圧VB1は第2の車両電圧VB2より大きい。これにより、11.75Aと仮定された供給電流IVPまたはILに対しては、約3分の2が第1の供給ラインS1の電流IVS1(IVS1≒8.2A)から、および3分の1が第2の供給ラインS2の電流IVS3(IVS2≒3.5A)から構成された供給電流IVPが生じる。ここでは、損失電力の低減に基づいて、制御機器2の内部インピーダンスはほぼ問題にならなくなっているので、高電流制御機器の電流配分にとって決定的なのは、供給ラインS1、S2の導線抵抗Ri1、Ri2であることが明らかに認識され得る。本発明によるマルチライン供給ユニット1A、1B、1Cの実施形態の利点は、供給エラーの信号伝達についての冗長性と、少なくとも部分的に自律型の車両機能を介した運転者チェックの確実な引き継ぎだけでなく、電流分配に基づき、保護装置3A、3B、3C、3D内での恒常的な損失電力低減も達成されることにある。供給ラインS1、S2での電圧降下VS1-Vp、VS2-Vpは、82mVおよび35mVで極めて小さい。これにより、高い供給電流IVPまたはIL=11.75Aにもかかわらず、第1のスイッチ素子Svs1内の損失電力P_Svs1は680mWで、および第2のスイッチ素子Svs2内の損失電力P_Svs2は120mWで極めて小さい。図8からの特性曲線図は、通常の供給環境の際に、比較的長い時間にわたってどんな状態が予測され得るかを示すために選択された。
【0040】
図1図6からさらに明らかなように、保護装置3A、3B、3C、3Dの示した例示的実施形態では、それぞれ電界効果トランジスタFET1、FET2が、両方の供給ラインS1、S2内の第1の保護ダイオードDvs1、Dvs2および対応するスイッチ素子Svs1、Svs2を形成している。示した例示的実施形態では、電界効果トランジスタFET1、FET2はそれぞれ、Pチャネル・パワーMOSFETとして実施されている。
【0041】
図3図6からさらに明らかなように、保護装置3B、3C、3Dの示した例示的実施形態ではそれぞれ、両方の供給ラインS1、S2内の第2の保護ダイオードDzs1、Dzs2が、第1の保護ダイオードDvs1、Dvs2に対しておよびスイッチ素子Svs1、Svs2に対して並列になっている。第2の保護ダイオードDzs1、Dzs2は、スイッチ素子Svs1、Svs2を保護し、スイッチ素子Svs1、Svs2のパルス負荷を低減する。これによりスイッチ素子Svs1、Svs2を、ISOパルス負荷から保護でき、このISOパルス負荷は、スイッチ素子Svs1、Svs3で40V超の電圧を生成し得る。第2の保護ダイオードDzs1、Dzs2は、示した例示的実施形態では、24V~40Vの範囲内の降伏電圧をもつサプレッサダイオード(TSV)として実施されている。ここで一方の供給ラインS1、S1内で、例えばシートヒータ、デフォッガなどのスイッチングにより、例えばタイプ1の負のISO(7637)インパルス(グラウンドGNDに対して-100V、2ms、Ri=10Ω)が生じる場合、最初は、通常の制御機器供給状態では共通の節点KPで、逆極性保護された供給電圧VPが約12Vの値で印加されている。これにより、約-100Vの対応するピークライン電圧VS1、VS2が生じる。これは、ピークにおいて約-112Vの、対応するスイッチ素子Svs1、Svs2での電圧降下VSvs1または(VS1-VP9、VSvs2または(VS2-VP)を生じさせる。順方向抵抗が低く、100V以上のソース・ドレイン間の耐電圧を有する対応するPチャネル・パワーMOSFETの選択は、非常に高価であり、大きな所要面積を生じさせる。追加的な第2の保護ダイオードDzs1、Dzs2により、スイッチ素子Svs1、Svs2のインパルス負荷を明らかに低減でき、したがってソース・ドレイン間の耐電圧が40V未満で、順方向抵抗の低い、より安価なトランジスタタイプが用いられ得る。用いられるMOSFETが十分な固有の周期的アバランシェエネルギーを有する場合、追加的な第2の保護ダイオードDzs1、Dzs2を省くことができる。これにより、最大20Vの電圧に対する制御機器2の静的な逆極性保護および負パルス負荷の積極的な制圧が保証され続ける。
【0042】
図3および図4からさらに明らかなように、保護装置3Bの示した例示的実施形態では、両方の供給ラインS1、S2の出口が一緒に共通の節点KPで、第3の保護ダイオードDzpを介してグラウンドGNDと接続しており、この第3の保護ダイオードDzpは、両方の供給ラインS1、S2の正パルス負荷を低減する。図5および図6で示した保護装置3C、3Dの例示的実施形態では、両方の供給ラインS1、S2の出口がそれぞれ個々に共通の節点KPの前で、第3の保護ダイオードDzs11、Dzs21を介してグラウンドと接続しており、この第3の保護ダイオードDzs11、Dzs21は、両方の供給ラインS1、S2の正パルス負荷を低減する。第3の保護ダイオードDzp、Dzs11、Dzs21は、ロードダンプを含む正のISOインパルスに対する保護に役立つ。1つの供給ラインS1、S2内で正インパルス負荷が生じる場合、共通の節点KPでは30V超のインパルスが第3の保護ダイオードDzp、Dzs11、Dzs21によってクランプまたは制限される。第3の保護ダイオードDzp、Dzs11、Dzs21の降伏電圧は、30V~42Vの間の範囲内で選択され得る。第3の保護ダイオードDzp、Dzs11、Dzs21は、スイッチ素子Svs1、Svs2としてのMOSFETによる安価な解決策をもたらし、第2の保護ダイオードDzs1、Dzs2による負の供給インパルスおよび第3の保護ダイオードDzp、Dzs11、Dzs21による正の供給インパルスの非対称なクランプまたは制限を可能にし、それにより、負クランプ素子のサイズまたは吸収性能が、正クランプ素子のサイズまたは吸収性能から切り離され得る。さらに、共通の節点KPでの一方向のクランプが、逆極性に対する拡大された保護を、ラインスイッチの故障の場合に制御機器2内で被害が生じる前にライン安全装置を作動させるという目標と一致させている。
【0043】
図6から明らかなように、マルチライン供給ユニット1Cの特に有利な1つの例示的実施形態でのパッシブフィルタ20は、マルチラインT型フィルタ20Cとして実施されている。これに関し、両方の供給ラインS1、S2内に、それぞれ第1のフィルタインダクタンスLT1、LT2が、スイッチ素子Svs1、Svs2と共通の節点KPとの間でループ接続されている。共通の第2のフィルタインダクタンスLTは、共通の節点KPとフィルタ出口VZPとの間にループ接続されている。フィルタ20Cは、フィルタコイルLT、LT1、LT2、フィルタキャパシタンスCT、および出口キャパシタンスCoutにより、後続の400kHz~4000kHzの間のスイッチング周波数を有する制御機器2のスイッチングレギュレータ2.1に適合され得る。とりわけフィルタ20Cは、例えば非常に小さなESRを有するハイブリッドポリマーELKOとして実施されたバッファコンデンサCμCTを有する。バッファコンデンサCμCTは、0.1~1Ωの間の値を有し、ピーク電流を制限する制限オーム抵抗RμCTを介して共通の節点KPに結合されている。加えてバッファコンデンサCμCTは、結合ダイオードDμCTを介してフィルタ出口VZPと接続している。結合ダイオードDμCTは、第1の車両電圧VB1および/または第2の車両電圧の電圧瞬停の場合に、スイッチングコンバータの入口電圧の速くて低抵抗のバッファリングを保証する。結合ダイオードDμCTは、ショットキーダイオードとして実施されることが好ましい。
【0044】
マルチラインT型フィルタ20Cは、マルチライン供給ユニット1Cが制御機器2のスイッチングレギュレータ2.1に直接結合するのを可能にすることが有利である。パッシブフィルタ20Cは、電気系統のノイズ、とりわけ周波数が5kHz~20kHz超の高周波の正弦波ノイズを減衰し、電気系統へのスイッチングレギュレータ2.1の反作用を抑制し、供給ラインS1、S2内の電圧瞬停の場合に制御機器2の供給を保証する。これに加え、供給ラインS1、S2に組み込まれた第1のフィルタインダクタンスLT1、LT2により、供給ラインS1から供給ラインS2へのおよびその反対での逆給電電流の発生におけるタイムラグが生じる。これに加え、逆極性保護された供給電圧VPの捕捉を誘導結合後に行うことができ、よってコイルオーム抵抗RT1、RT2により追加的なヒステリシスが生じる。示したこの例示的実施形態で、1つの供給ラインS1、S2内でグラウンドへの短絡が起こる場合、共通の節点KPでの逆極性保護された供給電圧VPに対するライン電圧VS1、VS2の監視のスイッチング速度およびスイッチ素子Svs1、Svs2の開放速度に限界があること基づき、バッファコンデンサCμCT内で蓄積されたエネルギーの逆給電は完全には回避できないが、しかし図2からのマルチライン供給ユニット1Bの図2で示した例示的実施形態に比べて明らかに改善され得る。
【0045】
ハードウェア制御ユニット12A、12B、12Cまたはハードウェア制御ユニット12A、12B、12Cの一部は、スリープモード制御信号N_SLが印加されているN_SL用入口を介して「オン」または「オフ」をスイッチングされる。1つの供給ラインS1、S2の断線認識または品質点検のために、制御信号STR1_CTL、STR2_CTLの制御線がハードウェア制御ユニット10A、10B、10Cに引き込まれている。これにより、監視する計算ユニット14A、14B、14Cが一時的にスイッチ素子Svs1、Svs2を開くことができる。これにより1つの供給ラインS1、S2内での断線の場合、ライン電圧VS1、VS2が、設定された閾値より下に落ちる。この情報は、少なくとも部分的に自律型の機能を介したチェックを早めに運転者に戻すかまたは早めに再び運転者の注意を得るための、冗長な制御機器供給におけるエラー認識に役立つ。
【0046】
同様にこの制御線および制御信号STR1_CTL、STR2_CTLにより、車両電圧VB1、VB2間の電圧差が1V未満の場合に、供給ラインS1、S2の第2の点検で、点検すべき供給ラインS1、S2の対応するスイッチ素子Svs1、Svs2だけを閉じて、そのほかの供給ラインS1、S2のスイッチ素子Svs1、Svs2は開くことができる。この場合、負荷下での点検すべき供給ラインS1、S2内の対応するライン電圧VS1、VS2の反応が捕捉および評価され得る。供給電流IVPが、点検すべき供給ラインS1、S2に集中するので、これにより、負荷下の通電している点検すべき供給ラインS1、S2の入口で、まだ十分に高いライン電圧VS1、VS2が存在しているかどうかが点検され得る。
【0047】
制御機器2がスリープモードである場合、スリープモード制御信号N_SLは低い論理レベルを有し、この場合、ハードウェア制御ユニット12A、12B、12CはクランプVP_INで、10μAより著しく小さい非常に低い供給電流IVPだけを受け取る。同様にクランプVS1_IN、VS2_IN内にもさほどの電流は流れない。つまりこれらのクランプ内に流れる電流も10μAよりかなり小さい。加えてスリープモードでは、スイッチ素子Svs1、Svs2はその「デフォルト状態」にあり、つまり開いている。制御機器1自体は、スリープモードでは非アクティブであり、共通の節点KPから100μA未満の低い供給電流だけを受け取る。よって第1の保護ダイオードDvs1、Dvs2が引き起こし得る電圧降下は重要ではない。制御機器2がスリープ解除されると、スリープモード制御信号N_SLが高い論理レベルに切り換わり、ハードウェア制御ユニット12A、12B、12Cがアクティブ化される。
【0048】
図6および図7からさらに明らかなように、Pチャネル・パワーMOSFETとして実施された電界効果トランジスタFET1、FET2は、順方向で、バルクダイオードDsv1、Dsv2を介してドレイン・ソース間で導通する。この電界効果トランジスタFET1、FET2の制御は、正のソース・ゲート間電圧によって行われ、これは、それぞれのゲートの、制御信号Svs1_CTL、Svs2_CTLの制御線を介したグラウンドへの結合と同じ意味である。電界効果トランジスタFET1、FET2は、一般的には20Vの最大ソース・ゲート間電圧を許容するが、スイッチング速度を高めるため、ソース・ゲート間電圧はそれぞれ、ハードウェア制御ユニット10C内に配置されたツェナーダイオードZD1_1、ZD2_1により、例えば5.1Vの値に制限される。これらのツェナーダイオードZD1_1、ZD2_1に対して並列に、それぞれソース・ゲート間ブリーダ抵抗R1_9、R2_9(例えば100kΩ)が、スリープモードにおいて帰属のスイッチ素子Svs1、Svs2を確実に遮断し得るように置かれている。スリープモードにおいて、定常供給時に供給ラインS1、S2内で電流がツェナーダイオードZD1_1、ZD2_1を介して流れ得ないように、制御信号Svs1_CTL、Svs2_CTLの制御線は、トランジスタT1_3、T2_3を介し、スリープモードの制御信号N_SLによってスイッチング可能に実施されている。抵抗R1_6、R2_6(例えば5.1KΩ)は、制御機器2がアクティブの場合の、制御信号Svs1_CTL、Svs2_CTLの制御線内での電流制限に役立ち、これは、第1のフィルタインダクタンスLT1、LT2の前で、したがってハードウェア制御ユニット10Cのクランプでも、5V~36Vの範囲内での電圧VS11、VS21を可能にする。抵抗R1_7(例えば23.7kΩ)、R1_8(例えば51.1kΩ)、R2_7(例えば23.7kΩ)、R2_8(例えば51.1kΩ)は、NPN型制御トランジスタT1_3、T2_3のためのベース分配器を形成している。ライン電圧VS1、VS2は、クランプVS1_IN、VS2_INを介してハードウェア制御ユニット10Cで捕捉され、スイッチング可能なトランジスタT1_11、T2_11を介して対応する電圧分配器R1_13(例えば75kΩ)、R1_14(例えば8.25kΩ)またはR2_13(例えば75kΩ)、R2_14(例えば8.25kΩ)に転送される。分配された信号VS1_ADC、VS2_ADCは、計算ユニット14Cに転送される。PNP型トランジスタT1_11、T2_11は、スリープモードにおいてライン電圧VS1、VS2からグラウンドGNDへの測定用分配器電流を発生させないために、スイッチング可能である。したがってこのトランジスタT1_11、T2_11は、NPN型制御トランジスタT1_10、T2_10により、スリープモード制御信号N_SLを使ってスイッチングされる。スリープモード制御信号N_SLは、スリープモードでは低い論理レベルを、および通常モードでは高い論理レベルを有する。ライン電圧VS1、VS2の電圧捕捉は保護装置3Dの前で行われるので、スイッチング段階は信号ダイオードD1_10、D2_10により逆極性から保護されており、抵抗R1_12、R2_12(例えば40.2kΩ)は電流制限に役立つ。抵抗R1_11、R2_11(例えば51.1kΩ)は、ベース・エミッタ間ブリーダ抵抗として役立つ。抵抗R1_15、R1_16またはR2_15、R2_16(例えば23.7kΩ、51.1kΩまたは23.7kΩ、51.1kΩ)は、NPN型制御トランジスタT1_10、T2_10のベース電圧分配器を形成している。
【0049】
供給ラインS1、S2は、パッシブフィルタ内で、第1のフィルタインダクタンスLT1、LT2を介して相互に接続されており、共通の節点KPで、逆極性保護された供給電圧VPを生成する。逆極性保護された供給電圧VPは、ハードウェア制御ユニット10CにクランプVP_INで引き込まれる。正の供給電圧は、PNP型スイッチングトランジスタT12_1およびローパスフィルタR12_1、C12_1(例えば10Ω、10μF)を介し、コンパレータCMP_1、CMP_2に、対応するプラス側供給ピンで引き込まれる。制御トランジスタT12_2により、このスイッチングトランジスタT12_1もスリープモード制御信号N_SLによってスイッチング可能である。これにより、制御機器のスリープモードでは、コンパレータCMP_1、CMP_2の供給のために、恒久的に存在するライン電圧VS1、VS2から電流は取り出されない。抵抗R12_4(例えば40.2kΩ)は、スイッチングトランジスタT12_1の制御経路内での電流制限に役立つ。抵抗R12_3(例えば51.1kΩ)は、トランジスタT12_1のベース・エミッタ間ブリーダ抵抗として役立つ。抵抗R12_5、R12_6(例えば23.7kΩ、51.1kΩ)は、NPN型制御トランジスタT12_2のベース分配器を形成している。
【0050】
結合された供給ラインS1、S2の逆極性保護された供給電圧VPが、プレ抵抗R1_m、R2_m(例えば100Ω)を介してコンパレータCMP_1、CMP_2のマイナス側入口に印加される。供給ラインS1、S2の入口でのライン電圧VS1、VS2が、クランプVS1_IN、VS2_INおよびプレ抵抗R1_p、R2_p(例えば5.1kΩ)を介してコンパレータCMP_1、CMP_2のプラス側入口に印加される。危険な正または負の電圧に対する、および逆極性に対する保護のため、コンパレータCMP_1、CMP_2のプラス側入口はそれぞれ、一方向のツェナーダイオードZD1_10、ZD2_10によって保護されており、このツェナーダイオードは、例えば27Vのクランプ電圧を可能にする。ツェナーダイオードZD1_10、ZD2_20のクランプ電圧の選択は、電気系統内での高い正パルス負荷時に、供給ラインS1、S2のスイッチ素子Svs1、Svs2が強制的に開かれ、制御機器2の結合が、両方の供給ラインS1、S2の第1および第2の保護ダイオードDvs1、Dvs2、Dzs1、Dzs2を介してしか行われなくなるように、保護ダイオードDzs11、Dzs21、Dzpのクランプ電圧未満であることが好ましい。これにより、ロードダンプの場合のリスクが低減され得る。コンパレータCMP_1、CMP_2の「オープンコレクタ出力」は、電流制限抵抗R1_3、R2_3(例えば7.5kΩ)を介してPNP型スイッチングトランジスタT1_1、T2_1に引き込まれる。このスイッチングトランジスタT1_1、T2_1は、制御の場合に、電界効果トランジスタFET1、FET2のソース・ゲート間電圧を短絡するように配置されている。これにより、電界効果トランジスタFET1、FET2の遮断を強制でき、供給ラインS1、S2を逆極性保護された状態に移行し得る。使用されるコンパレータCMP_1、CMP_2は「コモンモード範囲」を有することが好ましく、このコモンモード範囲は、コンパレータCMP_1、CMP_2の正の供給電圧に関係なく、例えばコンパレータのグラウンド端子より44V高い電位であり得る。
【0051】
供給ラインS1、S2内の電界効果トランジスタFET1、FET2を遮断するためのPNP型スイッチングトランジスタT1_1、T2_1は、コンパレータCMP_1、CMP_2に加えて、計算ユニット14の制御信号STR1_CTL、STR2_CTLにより、NPN型制御トランジスタT1_2、T2_2を使ってアクティブ化でき、これにより供給ラインS1、S2の、第1の保護ダイオードDvs1、Dvs2を介した逆極性保護された動作への移行を強制し得る。抵抗R1_2、R2_2(例えば7.5kΩ)は、制御の際の電流制限に役立つ。抵抗R1_4、R1_5またはR2_4、R2_5(例えば23.7kΩ、51.1kΩまたは23.7kΩ、51.1kΩ)は、NPN型制御トランジスタT1_2、T2_2のベース電圧分配器として役立つ。ツェナーダイオードZD12_1(例えば5.1V)は、例えば5.1Vの任意選択の基準電圧VREFを形成し、この基準電圧VREFは、スリープモード制御信号N_SLを介してスイッチングされる供給電圧VPから、T12_1のコレクタで、プレ抵抗R12_2(例えば=7.5kΩ)によって生じ、この場合、コンデンサC12_1がフィルタリングのために並列接続されている。基準電圧VREFおよび任意選択の抵抗R12_Hyにより、基準電流が規定される。この電流はカレントミラーT12_3に引き込まれる。ミラー電流IREFは、トランジスタT12_4、T12_5を介して取り出され、コンパレータCMP_1、CMP_2のマイナス側入口に引き込まれる。抵抗R1_m、R2_mと一緒に、コンパレータCMP_1、CMP_2の調整可能なヒステリシスが形成される。
【0052】
スリープモード制御信号N_SLおよび制御信号STR1_CTL、STR2_CTLがそれぞれ低い論理レベルを有する場合、ハードウェア制御ユニット10Cは非アクティブであり、ハードウェア制御ユニット10CのクランプVS1_IN、VS2_IN、VS11_IN、VS21_IN、VP_INでは、電流引き込みがまったくまたは重要でない小さなμA範囲内でしか行われない。これにより、電界効果トランジスタFET1、FET2はスイッチオフされており、ライン電圧VS1、VS2は、第1の保護ダイオードDsv1、Dsv2または並列になっている一方向の第2の保護ダイオードDzs1、Dzs2を介して逆極性から保護されて、パッシブフィルタ20Cに転送され、この場合、一方の供給ラインS1、S2からもう一方の供給ラインS1、S2への逆給電はあり得ない。
【0053】
14Vの第1のライン電圧VS1と、14Vの第2のライン電圧VS2と、200mΩの第1の導線抵抗Ri1と、200mΩの第2の導線抵抗Ri2と、高い論理レベルでのスリープモード制御信号N_SLおよび低い論理レベルでの制御信号STR1_CTL、STR2_CTLとによる通常動作に切り換わると、第1のコンパレータCMP_1のマイナス側入口での電圧は、第1のライン電圧VS1と、逆極性保護された供給電圧VP+第1のヒステリシスとの間の電圧降下の分だけ、第1のコンパレータCMP_1のプラス側入口でのライン電圧VS1より小さい。同様に第2のコンパレータCMP_2のマイナス側入口での電圧は、第1のライン電圧VS1と、逆極性保護された供給電圧VP+第2のヒステリシスとの間の電圧降下の分だけ、第2のコンパレータCMP_2のプラス側入口でのライン電圧VS2より小さい。これにより、両方のコンパレータCMP_1、CMP_2の出口は遮断されている。したがって電界効果トランジスタFET1、FET2の制御のためのPNP型スイッチングトランジスタT1_1、T2_1も遮断されている。通常動作中はスリープモード制御信号N_SLが高い論理レベルにあるので、制御トランジスタT1_3、T2_3は導通している。これにより、電界効果トランジスタFET1、FET2のゲートはグラウンドに接続されており、それにより電界効果トランジスタFET1、FET2は導通している。それまでの、電界効果トランジスタFET1、FET2が開いた状態では実質的に第1の保護ダイオードDvs1、Dvs2によって引き起こされていた、ライン電圧VS1、VS1と逆極性保護された供給電圧VPとの間の電圧降下は、これにより、並列にあって導通している電界効果トランジスタFET1、FET2によって大きく低減される。
【0054】
車両電圧VB1、VB2が同じ大きさであれば、動作がアクティブの間は、導線抵抗Ri1、Ri2が、供給ラインS1、S2内の電流配分の要因となる。
かくして、マルチライン供給ユニットのための本発明による動作方法の実施形態では、少なくとも2つの供給ラインS1、S2の入口ではそれぞれライン電圧VS1、VS2が、および共通の節点KPでは逆極性保護された供給電圧VPが捕捉および評価される。これに関し、少なくとも2つの供給ラインS1、S2内のスイッチ素子Svs1、Svs2は、この評価に応じて、対応する制御信号Svs1_CTL、Svs2_CTLを介して制御される。
【0055】
加えて計算ユニット14Cは、個々のライン電圧VS1、VS2を相互におよび/または逆極性保護された供給電圧VPと比較でき、この比較に応じて、ハードウェア制御ユニット12A、12B、12Cを介し、少なくとも1つのスイッチ素子Svs1、Svs2のための制御信号Svs1_CTL、Svs2_CTLを生成できる。こうして少なくとも2つの供給ラインS1、S2は、動作中に、設定された条件に応じて個々に点検され得る。供給エラーを確認するため、少なくとも2つの供給ラインS1、S2は、設定された時間間隔をあけておよび/またはライン電圧VS1、VS2間の電圧差が設定された数値を上回る場合に、計算ユニット14Cによって個々に点検され得る。この点検機能なしでは、機能を果たす能力のある供給ラインS1、S2のライン電圧S1、S2が、共通の節点KPおよび導通しているスイッチ素子Svs1、Svs2での結合により、途切れた供給ラインS1、S2の入口でも印加している可能性があり、すなわち電圧チェックでは認識され得ない。
【0056】
だから計算ユニット14Cは、通常動作中に、高い論理レベルに置かれた制御信号STR1_CTL、STR2_CTLにより、電界効果トランジスタFET1、FET2を開くことができ、これにより、途切れたライン供給が捕捉され得る。こうして計算ユニット14Cは、両方の供給ラインS1、S2の第1の点検の際、点検すべき供給ラインS1、S2の少なくとも1つのスイッチ素子Svs1、Svs2を開くことができ、対応するライン電圧VS1、VS2および共通の節点KPでの逆極性保護された供給電圧VPの反応を捕捉および評価することができる。これに関し、スイッチ素子Svs1、Svs2の開放時に、対応するライン電圧VS1、VS2が0~6Vの範囲内の設定された最小限界値未満である場合に、点検すべき供給ラインS1、S2内の断線が認識され得る。これは例えば、第2の供給ラインS2の断線を点検するには、第1の制御信号STR1_CTLが低い論理レベルに、および第2の制御信号STR2_CTLが高い論理レベルにセットされることを意味する。第2の供給ラインS2は、この場合に有効な第1の保護ダイオードDvs2または第2の保護ダイオードDzvs2の分の電圧降下になるので、供給電流IVPは第1の供給ラインS1に集中する。この状態で、第1のライン電圧VS1が第1の電圧VS1_ADCとして、および第2のライン電圧VS2が第2の電圧VS2_ADCとして捕捉されると、第2の供給ラインS2内でライン電流Isv2が流れていなければ、第2の電圧VS2_ADCは、ほぼ第2の車両電圧VB2に相当する。第1の電圧VS1_ADCは、最大負荷時の第1のライン電圧VS1に相当する。第2の供給ラインS2の入口で、予測される第2の車両電圧VB2より明らかに低い電圧が印加されている場合、第2の供給ラインS2での断線が認識され得る。
【0057】
続いて第1の供給ラインS1を点検するには、第1の制御信号STR1_CTLが高い論理レベルに、および第2の制御信号STR2_CTLが低い論理レベルにセットされ得る。これは例えば、第1の供給ラインS1は、この場合に有効な第1の保護ダイオードDvs1または第2の保護ダイオードDzvs1の分の電圧降下になるので、供給電流IVPが第2の供給ラインS2に集中することを意味する。この状態で、第1のライン電圧VS1が第1の電圧VS1_ADCとして、および第2のライン電圧VS2が第2の電圧VS2_ADCとして捕捉されると、第1の供給ラインS1内でライン電流Isv1が流れていなければ、第1のライン電圧VS1_ADCは、ほぼ第1の車両電圧VB1に相当する。第2の電圧VS2_ADCは、最大負荷時の第2のライン電圧VS2に相当する。第1の供給ラインS1の入口で、予測される第1の車両電圧VB1より明らかに低い電圧が印加されている場合、第1の供給ラインS1での断線が認識され得る。
【0058】
車両電圧VB1、VB2のアイドリング電圧値および最大負荷時の供給ラインS1、S2のライン電圧VS1、VS2が分かっていれば、計算ユニット14Cが、供給ラインS1、S2の品質を推測でき、整備情報を提供し得る。その代わりに中央の車両システムにより、様々な通信経路(イーサネット、フレックスレイ、CAN、LIN)を介して計算ユニット14Cに車両電圧VB1、VB2を提供することもできる。これに関し品質不良は、計算された内部抵抗が、設定された限界値を上回ることによって認識され得る。内部抵抗は、例えば接触部位での腐食に基づき、耐用期間にわたって上昇または悪化し得る。
【0059】
車両電圧VB1、VB2のアイドリング電圧値が大きく異なっている場合は、両方のスイッチ素子Svs1、Svs2が導通するように制御されていると、有効な第1の保護ダイオードDsv1、Dsv2なしでは、供給ラインS1、S2の連結の際に恒久的な逆給電の危険が存在する。この効果を阻止するため、ライン電圧VS1、VS2が、ハードウェア制御ユニット10CのクランプVS1_IN、VS2_INで捕捉され、コンパレータCMP_1、CMP_2のプラス側入口に印加される。コンパレータCMP_1、CMP_2のマイナス側入口ではそれぞれ、ライン電圧VS1、VS2の連結が、逆極性保護された供給電圧VPとして印加される。図6で示した例示的実施形態では、供給ラインS1、S2のこの連結はパッシブ供給フィルタ20C内で行われる。これにより、各供給ライン内では、第1のフィルタインダクタンスLT1、LT2が有効であり、それにより逆給電電流の上昇が動的にも抑制され、現実のコンパレータCMP_1、CMP_2の最終的な反応時間が有利には完全にまたは部分的に補償され得る。例えばライン電圧VS2が下がり、逆極性保護された供給電圧VP+ヒステリシスが、第2の供給ラインの入口でのライン電圧VS2またはクランプVS2_INでの電圧より大きくなると、第2のコンパレータCMP_2の出口がグラウンドに接続し、PNP型スイッチングトランジスタT2_1をアクティブ化し、このPNP型スイッチングトランジスタT2_1が、第2の電界効果トランジスタFET2のゲートとソースを接続し、したがって第2のスイッチ素子Svs2を開く。これにより、第2の供給ラインS2はダイオード結合し、したがって節点KPは恒久的な電流を逆方向に第2の供給ラインS2に放出できない。
【0060】
両方の供給ラインS1、S2の少なくとも1つ内での断線および/または問題および/または品質不良が認識されると、計算ユニット14Cが警告メッセージを生成でき、音響および/または光出力ユニットを介して出力できる。それに加えてまたはその代わりに計算ユニット14Cは警告メッセージを保存でき、後の時点で診断インターフェイスを介して出力することができる。これにより、それぞれの少なくとも部分的に自律型の機能が再び運転者に返され得るかまたは迅速なサービスが作動され得るのだが、冗長な2ライン供給に基づき、最初は意図しない機能制限は生じないので、このために緊急に必要なことはない。
図1
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