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特許6993517ドライブシャフトのプランジングアセンブリー
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-13
(45)【発行日】2022-01-13
(54)【発明の名称】ドライブシャフトのプランジングアセンブリー
(51)【国際特許分類】
   F16D 3/223 20110101AFI20220105BHJP
   F16D 3/06 20060101ALI20220105BHJP
   F16F 7/00 20060101ALI20220105BHJP
【FI】
F16D3/223
F16D3/06 A
F16D3/06 P
F16F7/00 F
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2020540544
(86)(22)【出願日】2019-01-14
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-05-13
(86)【国際出願番号】 KR2019000515
(87)【国際公開番号】W WO2019143079
(87)【国際公開日】2019-07-25
【審査請求日】2020-07-22
(31)【優先権主張番号】10-2018-0007503
(32)【優先日】2018-01-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】517442188
【氏名又は名称】イレ エイエムエス カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 強
(72)【発明者】
【氏名】パク セ ジョン
(72)【発明者】
【氏名】チャン ダル ス
(72)【発明者】
【氏名】キム ド ヒョン
【審査官】日下部 由泰
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-109529(JP,A)
【文献】特表2010-534798(JP,A)
【文献】特開平8-4747(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2017-0142735(KR,A)
【文献】韓国登録特許第10-1419986(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16D 3/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長さ方向に延長される複数のアウターボールグルーブを有するボア(bore)を備えるアウターハウジング、
前記アウターハウジングのボアに長さ方向に相対移動が可能なように配置され、前記複数のアウターボールグルーブとそれぞれ対をなして複数のボールトラックを形成する複数のインナーボールグルーブを備えるインナーシャフト、
前記アウターハウジングと前記インナーシャフトの間のプランジングモーションおよび回転動力伝達が可能なように前記アウターハウジングと前記インナーシャフトを連結するプランジングユニット、並びに
前記インナーシャフトが前記ボア内に挿入される方向への前記アウターハウジングと前記インナーシャフトの相対移動を制限するように前記アウターハウジングのボアに備えられるストッパーを含み、
前記アウターハウジングは、前記ボアに連通される装着ホールを備え、
前記ストッパーは、先端部が前記ボアに露出される状態で前記装着ホールに挿入されるプラグ部材であり、
前記アウターハウジングは、前記ボアと前記装着ホールを連結する傾斜面を備え、
前記プラグ部材は、
前記ボアに位置する衝撃吸収部、
前記装着ホールに挿入される固定部、および
前記衝撃吸収部と前記固定部を連結する連結部を含み、
前記連結部の外周面は、前記傾斜面に密着するように傾いて形成される、ドライブシャフトのプランジングアセンブリー。
【請求項2】
前記アウターハウジングは、前記アウターハウジングの長さ方向において前記ボアとは反対側の端から延びて前記装着ホールに連通される貫通ホールを備え、
前記装着ホールは、前記貫通ホールよりも断面積が大きくされており、
前記プラグ部材は、前記装着ホールを形成する側面に接触する状態で嵌合される、請求項1に記載のドライブシャフトのプランジングアセンブリー。
【請求項3】
前記プラグ部材は、前記装着ホールに締まりばめ方式で組立てられる、請求項2に記載のドライブシャフトのプランジングアセンブリー。
【請求項4】
前記プラグ部材は、外周面に形成される溝に挿入されるOリングを含み、
前記Oリングは、前記装着ホールの側面に密着する、請求項2又は3に記載のドライブシャフトのプランジングアセンブリー。
【請求項5】
前記Oリングは、複数備えられる、請求項4に記載のドライブシャフトのプランジングアセンブリー。
【請求項6】
前記プラグ部材は、外周面で突出される環状突起を含み、
前記環状突起は、前記装着ホールの側面に密着する、請求項2又は3に記載のドライブシャフトのプランジングアセンブリー。
【請求項7】
前記環状突起は、複数備えられる、請求項6に記載のドライブシャフトのプランジングアセンブリー。
【請求項8】
前記プラグ部材は、前記インナーシャフトと向き合う先端で長さ方向に陥没する陥没空間を備える、請求項1~7のいずれか1項に記載のドライブシャフトのプランジングアセンブリー。
【請求項9】
前記プラグ部材は、前記インナーシャフトの先端部と向き合う部分に締結される弾性ダンパーを含む、請求項1~8のいずれか1項に記載のドライブシャフトのプランジングアセンブリー。
【請求項10】
前記弾性ダンパーは、
前記インナーシャフトの先端部と向き合い、前記インナーシャフトとの衝突時に衝撃を吸収する衝撃吸収部、
前記衝撃吸収部の外側端で前記プラグ部材の側面に沿って延長される延長部、および
前記延長部の端部で内側方向に延長され、前記プラグ部材の外周面に形成される締結溝に挿入される締結突起を含む、請求項9に記載のドライブシャフトのプランジングアセンブリー。
【請求項11】
前記アウターハウジングは、前記アウターハウジングの長さ方向において前記ボアとは反対側の端から延びて前記装着ホールに連通される貫通ホールを備え、
前記装着ホールは、前記貫通ホールよりも断面積が大きくされており、
前記固定部は、前記装着ホールを形成する側面に接触する状態で嵌合される、請求項に記載のドライブシャフトのプランジングアセンブリー。
【請求項12】
前記固定部は、前記装着ホールの側面により形成される空間に締まりばめ方式で組立てられる、請求項11に記載のドライブシャフトのプランジングアセンブリー。
【請求項13】
前記固定部は、外周面で突出される環状突起を含み、
前記環状突起は、前記装着ホールの側面に密着する、請求項11に記載のドライブシャフトのプランジングアセンブリー。
【請求項14】
前記環状突起は、複数備えられる、請求項13に記載のドライブシャフトのプランジングアセンブリー。
【請求項15】
前記プラグ部材は、前記インナーシャフトと向き合う先端で長さ方向に陥没する陥没空間を備える、請求項11~14のいずれか1項に記載のドライブシャフトのプランジングアセンブリー。
【請求項16】
長さ方向に延長される複数のアウターボールグルーブを有するボア(bore)を備えるアウターハウジング、
前記アウターハウジングのボアに長さ方向に相対移動が可能なように配置され、前記複数のアウターボールグルーブとそれぞれ対をなして複数のボールトラックを形成する複数のインナーボールグルーブを備えるインナーシャフト、
前記アウターハウジングと前記インナーシャフトの間のプランジングモーションおよび回転動力伝達が可能なように前記アウターハウジングと前記インナーシャフトを連結するプランジングユニット、並びに
前記プランジングユニットの長さ方向移動および前記アウターハウジングと前記インナーシャフトの長さ方向の相対移動を制限するように作動する移動制限ユニットを含み、
前記プランジングユニットは、
前記長さ方向に移動可能に前記複数のボールトラックに配置される複数のボール、および
前記複数のボールを収容し、前記長さ方向に移動可能に前記インナーシャフトと前記アウターハウジングの間に介されるボールケージを含み、
前記移動制限ユニットは、
前記プランジングユニットの前記ボア内に挿入される方向への相対移動を制限する第1ムービングインストッパー、
前記インナーシャフトが前記ボア内に挿入される方向への前記アウターハウジングと前記インナーシャフトの相対移動を制限する第2ムービングインストッパー、
前記プランジングユニットの前記ボア外に排出される方向への相対移動を制限する第1ムービングアウトストッパー、および
前記インナーシャフトが前記ボア外に排出される方向への前記アウターハウジングと前記インナーシャフトの相対移動を制限する第2ムービングアウトストッパーを含み、
前記アウターハウジングは、前記ボアに連通される装着ホールを備え、
前記第2ムービングインストッパーは、先端部が前記ボアに露出される状態で前記装着ホールに挿入されるプラグ部材であり、
前記アウターハウジングは、前記ボアと前記装着ホールを連結する傾斜面を備え、
前記プラグ部材は、
前記ボアに位置する衝撃吸収部、
前記装着ホールに挿入される固定部、および
前記衝撃吸収部と前記固定部を連結する連結部を含み、
前記連結部の外周面は、前記傾斜面に密着するように傾いて形成される、ドライブシャフトのプランジングアセンブリー。
【請求項17】
前記アウターハウジングは、前記アウターハウジングの長さ方向において前記ボアとは反対側の端から延びて前記装着ホールに連通される貫通ホールを備え、
前記装着ホールは、前記貫通ホールよりも断面積が大きくされており、
前記プラグ部材は、前記装着ホールを形成する側面に接触する状態で嵌合される、請求項16に記載のドライブシャフトのプランジングアセンブリー。
【請求項18】
前記プラグ部材は、外周面に形成される溝に挿入されるOリングを含み、
前記Oリングは、前記装着ホールの側面に密着する、請求項17に記載のドライブシャフトのプランジングアセンブリー。
【請求項19】
前記プラグ部材は、外周面で突出される環状突起を含み、
前記環状突起は、前記装着ホールの側面に密着する、請求項17に記載のドライブシャフトのプランジングアセンブリー。
【請求項20】
前記プラグ部材は、前記インナーシャフトの先端部と向き合う部分に締結される弾性ダンパーを含む、請求項16~19のいずれか1項に記載のドライブシャフトのプランジングアセンブリー。
【請求項21】
前記弾性ダンパーは、
前記インナーシャフトの先端部と向き合い、前記インナーシャフトとの衝突時に衝撃を吸収する衝撃吸収部、
前記衝撃吸収部の外側端で前記プラグ部材の側面に沿って延長される延長部、および
前記延長部の端部で内側方向に延長され、前記プラグ部材の外周面に形成される締結溝に挿入される締結突起を含む、請求項20に記載のドライブシャフトのプランジングアセンブリー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の駆動系統に使用されるドライブシャフトのプランジングアセンブリーおよびこれを含むドライブシャフトに関する。
【背景技術】
【0002】
車両の駆動ラインに使用されるドライブシャフトは、中間シャフト(intermediate shaft)と、その両側にそれぞれ設置される等速ジョイントを含む。
【0003】
このようなドライブシャフトは、中間シャフトがプランジング(plunging)可能なプランジングアセンブリーからなるドライブシャフトを含む。
【0004】
プランジングアセンブリーは、ボールスプライン(ball spline)構造を利用したプランジングシャフトの形態で実現されることが一般的である。このようなプランジングアセンブリーは、管形態のアウターハウジング(outer housing)、インナーシャフト(inner shaft)、そしてプランジングユニット(plunging unit)を含む。プランジングユニットは、アウターハウジングとインナーシャフトの間に介されてプランジング動作を可能にする。アウターハウジングとインナーシャフトで互いに対をなすボールグルーブがそれぞれ備えられ、プランジングユニットは、これらボールグルーブに配置されるボールと、これを収容するボールケージを含む。
【0005】
このようなプランジングユニットを有するプランジングアセンブリーにおいてプランジングユニットの動きおよびインナーシャフトの動きを制限することが必要であり、例えば米国登録特許US6,595,602には、このようなプランジングアセンブリーを開示している。従来のドライブシャフトのプランジングアセンブリーは、プランジングユニットおよびインナーシャフトの動きを制限するために、多数のストップリング(stop ring)を備え、特にインナーシャフトの両端にそれぞれストップリングが備えられる構造を有する。このような場合、構造が複雑であり、インナーシャフトの両端にストップリングの安着のための溝がそれぞれ加工されなければならないため、加工が難しいという問題がある。
【0006】
特にインナーシャフトの内部側のストップリングを装着するために加工される溝は、小さいねじりトルクにも破損されやすいという問題を招く。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】米国特許第6585602号明細書
【文献】特許第3464460号公報
【文献】特許第2863114号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、インナーシャフトの強度を損傷することなく、インナーシャフトのストップ機能を実現できるプランジングアセンブリーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の実施例によるドライブシャフトのプランジングアセンブリーは、長さ方向に延長される複数のアウターボールグルーブを有するボア(bore)を備えるアウターハウジング、前記アウターハウジングのボアに長さ方向に相対移動が可能なように配置され、前記複数のアウターボールグルーブとそれぞれ対をなして複数のボールトラックを形成する複数のインナーボールグルーブを備えるインナーシャフト、前記アウターハウジングと前記インナーシャフトの間のプランジングモーションおよび回転動力伝達が可能なように前記アウターハウジングと前記インナーシャフトを連結するプランジングユニット、並びに前記インナーシャフトが前記ボア内に挿入される方向への前記アウターハウジングと前記インナーシャフトの相対移動を制限するように前記アウターハウジングのボアに備えられるストッパーを含む。前記アウターハウジングは、前記ボアに連通される装着ホールを備え、前記ストッパーは、先端部が前記ボアに露出される状態で前記装着ホールに挿入されるプラグ部材である。
【0010】
前記アウターハウジングは、前記ボアに連通される貫通ホールを備えることができ、前記装着ホールは、前記貫通ホールを追加的に加工して形成され得る。前記プラグ部材は、前記装着ホールを形成する側面に接触する状態で嵌合され得る。
【0011】
前記プラグ部材は、前記装着ホールに締まりばめ方式で組立てられ得る。
【0012】
前記プラグ部材は、外周面に形成される溝に挿入されるOリングを含むことができ、前記Oリングは、前記装着ホールの側面に密着することができる。
【0013】
前記Oリングは、複数備えられ得る。
【0014】
前記プラグ部材は、外周面で突出される環状突起を含むことができ、前記環状突起は、前記装着ホールの側面に密着することができる。
【0015】
前記環状突起は、複数備えられ得る。
【0016】
前記プラグ部材は、前記インナーシャフトと向き合う先端で長さ方向に陥没する陥没空間を備えることができる。
【0017】
前記プラグ部材は、前記インナーシャフトの先端部と向き合う部分に締結される弾性ダンパーを含むことができる。
【0018】
前記弾性ダンパーは、前記インナーシャフトの先端部と向き合い、前記インナーシャフトとの衝突時に衝撃を吸収する衝撃吸収部、前記衝撃吸収部の外側端で前記プラグ部材の側面に沿って延長される延長部、および前記延長部の端部で内側方向に延長され、前記プラグ部材の外周面に形成される締結溝に挿入される締結突起を含むことができる。
【0019】
前記アウターハウジングは、前記ボアと前記装着ホールを連結する傾斜面を備えることができる。前記プラグ部材は、前記ボアに位置する衝撃吸収部、前記装着ホールに挿入される固定部、および前記衝撃吸収部と前記固定部を連結する連結部を含むことができる。前記連結部の外周面は、前記傾斜面に密着するように傾いて形成され得る。
【0020】
前記アウターハウジングは、前記ボアに連通される貫通ホールを備えることができ、前記装着ホールは、前記貫通ホールを追加的に加工して形成され得る。前記固定部は、前記装着ホールを形成する側面に接触する状態で嵌合され得る。
【0021】
前記固定部は、前記装着ホールの側面により形成される空間に締まりばめ方式で組立てられ得る。
【0022】
前記固定部は、外周面で突出される環状突起を含むことができ、前記環状突起は、前記装着ホールの側面に密着することができる。
【0023】
前記環状突起は、複数備えられ得る。
【0024】
前記プラグ部材は、前記インナーシャフトと向き合う先端で長さ方向に陥没する陥没空間を備えることができる。
【0025】
本発明の実施例によるドライブシャフトのプランジングアセンブリーは、長さ方向に延長される複数のアウターボールグルーブを有するボア(bore)を備えるアウターハウジング、前記アウターハウジングのボアに長さ方向に相対移動が可能なように配置され、前記複数のアウターボールグルーブとそれぞれ対をなして複数のボールトラックを形成する複数のインナーボールグルーブを備えるインナーシャフト、前記アウターハウジングと前記インナーシャフトの間のプランジングモーションおよび回転動力伝達が可能なように前記アウターハウジングと前記インナーシャフトを連結するプランジングユニット、並びに前記プランジングユニットの長さ方向移動および前記アウターハウジングと前記インナーシャフトの長さ方向の相対移動を制限するように作動する移動制限ユニットを含む。前記プランジングユニットは、前記長さ方向に移動可能に前記複数のボールトラックに配置される複数のボール、および前記複数のボールを収容し、前記長さ方向に移動可能に前記インナーシャフトと前記アウターハウジングの間に介されるボールケージを含む。前記移動制限ユニットは、前記プランジングユニットの前記ボア内に挿入される方向への相対移動を制限する第1ムービングインストッパー、前記インナーシャフトが前記ボア内に挿入される方向への前記アウターハウジングと前記インナーシャフトの相対移動を制限する第2ムービングインストッパー、前記プランジングユニットの前記ボア外に排出される方向への相対移動を制限する第1ムービングアウトストッパー、および前記インナーシャフトが前記ボア外に排出される方向への前記アウターハウジングと前記インナーシャフトの相対移動を制限する第2ムービングアウトストッパーを含む。前記アウターハウジングは、前記ボアに連通される装着ホールを備え、前記第2ムービングインストッパーは、先端部が前記ボアに露出される状態で前記装着ホールに挿入されるプラグ部材である。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、アウターハウジングのボアに連結される装着ホールを形成し、ここに挿入されるプラグ部材を通じてインナーシャフトのストップ機能を実現することによって、インナーシャフトの強度損傷なしにインナーシャフトのストップ機能が実現される。またプラグ部材の外周面に備えられるOリングまたは環状突起によりグリースの漏出を防止することができる。
【0027】
また本発明によれば、プラグ部材の先端に弾性ダンパーを締結することによって、インナーシャフトとの衝突時に発生し得る衝撃を低減することができる。
【0028】
また本発明によれば、アウターハウジングのボアと装着ホールを連結する傾斜面が形成され、プラグ部材がこの傾斜面に接触するように傾いて形成される連結部を備えることによって、プラグ部材がインナーシャフトにより押されることを効果的に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明の実施例によるドライブシャフトのプランジングアセンブリーの斜視図である。
図2図1のII-II線断面図である。
図3】本発明の実施例によるプランジングアセンブリーでアウターハウジングとインナーシャフトのムービングアウト(moving-out)動作を説明するための図面である。
図4】本発明の実施例によるプランジングアセンブリーでアウターハウジングとインナーシャフトのムービングイン(moving-in)動作を説明するための図面である。
図5】本発明の実施例によるプランジングアセンブリーのアウターハウジングにプラグ部材を設置する過程を説明するための図面である。
図6】本発明の実施例によるプランジングアセンブリーのプラグ部材を示す図面である。
図7図6のVII-VII線断面図である。
図8】本発明の他の実施例によるプラグ部材を示す図面である。
図9図8のIX-IX線断面図である。
図10】本発明のまた他の実施例によるプラグ部材を示す図面である。
図11】本発明の他の実施例によるプランジングアセンブリーを示す図面である。
図12図11のプランジングアセンブリーのプラグ部材を示す図面である。
図13図12のIII-III線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、添付した図面を参照して本発明の実施例について詳細に説明する。
【0031】
図1および図2を参照すると、プランジングアセンブリー10は、アウターハウジング(outer housing)11、インナーシャフト(inner shaft)13、そしてプランジングユニット(plungin gunit)15を含む。アウターハウジング11は、長さ方向の貫通孔を備えるチューブ状を有することができ、インナーシャフト13は、アウターハウジング11に部分的に挿入され得る。プランジングユニット15は、アウターハウジング11とインナーシャフト13の間に介されてプランジング動作が行われ得るようにする。アウターハウジング11とインナーシャフト13が組み立てられた状態で両側に露出される端にはトルク伝達のための等速ジョイントが備えられ得る。例えば、等速ジョイントは、回転動力伝達および切れ角が可能なルゼッパ(Rzeppa)ジョイントであり得る。本発明の実施例によるアウターハウジング11とインナーシャフト13、そしてその両側に結合される一対の等速ジョイントが車両の駆動系統に使用されるドライブシャフトを構成するようになる。
【0032】
アウターハウジング11は、長さ方向(図3で横方向)に延長されるボア(bore)111を備え、ボア111は、長さ方向に延長される複数のアウターボールグルーブ(outer ball groove)113を有する。アウターボールグルーブ113は、ボア111を形成する面で半径方向外側に陥没して形成され得、半円形態の断面形状を有することができる。アウターボールグルーブ113は、アウターハウジング11の開放側の終端から予め定められた長さの分が延長され得る。複数のアウターボールグルーブ113は、円周方向に沿って等間隔に配列され得る。
【0033】
インナーシャフト13は、アウターハウジング11のボア111に長さ方向に相対移動が可能なように挿入される。つまり、アウターハウジング11とインナーシャフト13は互いに対して長さ方向の相対位置が可変され得るように配列される。例えば、インナーシャフト13が車両のドライブシャフトのインボード(in-board)ジョイントの内側ジョイント部材に連結される場合、アウターハウジング11の長さ方向位置が変わりながらアウターハウジング11とインナーシャフト13の長さ方向の相対位置が変わり得る。
【0034】
インナーシャフト13は、アウターハウジング11の複数のアウターボールグルーブ113とそれぞれ対をなして複数のボールトラック(ball track)120を形成する複数のインナーボールグルーブ(inner ball groove)133を備える。インナーボールグルーブ133は、インナーシャフト13の表面で半径方向内側に陥没して形成され得、半円形態の断面形状を有することができる。インナーボールグルーブ133は、管形態のボールトラック120を形成するようにアウターボールグルーブ113の位置に対応する位置に形成され得る。この時、インナーボールグルーブ133は、アウターハウジング11のボア111に挿入されるインナーシャフト13の先端から予め定められた長さの分が延長され得る。
【0035】
プランジングユニット15は、アウターハウジング11とインナーシャフト13の間のプランジングモーションおよび回転動力伝達が可能なようにアウターハウジング11とインナーシャフト13を連結する。つまり、プランジングユニット15によりアウターハウジング11とインナーシャフト13の長さ方向の相対移動が可能となり、またインナーシャフト13とアウターハウジング11の間の回転動力、つまり、トルクの伝達が可能となる。
【0036】
プランジングユニット15は、複数のボール151と、これを収容するボールケージ153を含む。複数のボール151が各ボールトラック120に一列に配列され得、例えば図2に例として図示されているように、4個のボール151が各ボールトラック120に配置され得る。プランジングユニット15とボールトラック120の組み合わせによりボールスプライン構造が形成される。
【0037】
ボールケージ153は、ボール151を収容し、長さ方向に移動可能にインナーシャフト13とアウターハウジング11の間に介される。例えば、ボールケージ153は、複数のボールをそれぞれ収容するための複数のボールポケット(ball pocket)154を備えることができる。図2に示されているように、ボール151は、中心部分がボールポケット154に位置する状態で外側部分はアウターボールグルーブ113に配置され、内側部分はインナーボールグルーブ133に配置される。この時、ボールケージ153は、シリンダー形状のスリーブ(sleeve)形態を有することができる。
【0038】
例えば、インナーシャフト13が回転する場合、回転動力がインナーシャフト13のインナーボールグルーブ133の側面とアウターハウジング11のアウターボールグルーブ113の側面に密着したボール151を通じてインナーシャフト13からアウターハウジング11に伝達される。また、アウターハウジング11とインナーシャフト13の長さ方向の相対移動がある場合、ボール151は、ローリング(rolling)またはスライディング(sliding)しながらアウターハウジング11および/またはインナーシャフト13との相対位置が変わる。
【0039】
プランジングユニット15の長さ方向移動およびアウターハウジング11とインナーシャフト13の長さ方向の相対移動を制限するように作動する移動制限ユニット17が備えられる。移動制限ユニット17は、第1ムービングインストッパー(moving-in stopper)171、第2ムービングインストッパー173、第1ムービングアウトストッパー(moving-out stopper)175、そして第2ムービングアウトストッパー177を含むことができる。
【0040】
第1ムービングアウトストッパー175は、プランジングユニット15のボア111外に排出される方向への相対移動を制限する。図3に示されているように、第1ムービングアウトストッパー175は、インナーシャフト13が挿入されるアウターハウジング11の開放側の端部の内周面に形成された溝に挿入されるストップリング(stop ring)であり得る。プランジングユニット15のボールケージ153またはボール151がストップリング175に係止されるように形成され得る。ボールケージ153がボア111から排出される方向にアウターハウジング11に対して相対移動する時、ボールケージ153がストップリング175に当たるとプランジングユニット15がそれ以上相対移動できなくなる。プランジングユニット15のボア111から排出される方向への相対移動はアウターハウジング11の図2での左側方向への移動により引き起こされ得る。
【0041】
第2ムービングアウトストッパー177は、インナーシャフト13のボア111外に排出される方向への相対移動を制限する。図3に示されているように、第2ムービングアウトストッパー177は、インナーシャフト13の先端部に形成される溝に設置されるストップリングであり得る。プランジングユニット15のボールケージ153またはボール151がストップリング177に係止されるように形成され得る。インナーシャフト13がボア111外に排出される方向にアウターハウジング11とインナーシャフト13が互いに対して相対移動する時、ストップリング177がストップリング175に係止されているプランジングユニット15に遮られるようになり、これによって、インナーシャフト13がそれ以上相対移動できなくなる。インナーシャフト13のボア111から排出される方向への相対移動は、アウターハウジング11の図3での左側方向への移動により引き起こされ得る。
【0042】
図3はインナーシャフト13がアウターハウジング11で最大限抜け出た状態を示し、この状態でボールゲージ153は第1ムービングアウトストッパー175により遮られるようになり、第2ムービングアウトストッパー177は、ボールケージ153により遮られるようになる。したがって、追加的なムービングアウトが遮断される。
【0043】
第1ムービングインストッパー171は、プランジングユニット15のボア111内に挿入される方向への相対移動を制限する。図4に示されているように、第1ムービングインストッパー171は、アウターハウジング11のアウターボールグルーブ113の内側終端から半径方向内側に突出される係止段であり得る。プランジングユニット15のボールケージ153またはボール151が係止段171に係止されるように形成され得る。プランジングユニット15がボア111内に挿入される方向に相対移動する時、プランジングユニット15が係止段171に当たるとそれ以上相対移動できなくなる。プランジングユニット15のボア111内に挿入される方向への相対移動は、アウターハウジング11の図2での右側方向への移動により引き起こされ得る。
【0044】
第2ムービングインストッパー173は、インナーシャフト13のボア111内に挿入される方向への相対移動を制限する。図4に示されているように、第2ムービングインストッパー173は、アウターハウジング11に設置されるプラグ部材であり得る。この時、アウターハウジング11は、ボア111に連通される装着ホール115を含むことができ、プラグ部材173は、先端部(図2で右側端部)がボア111に露出される状態で装着ホール115に挿入され得る。これによって、図4に示されているように、インナーシャフト13にボア111内で挿入方向に相対移動しながらプラグ部材173に接触するようになると、インナーシャフト13の追加移動が制限される。
【0045】
アウターハウジング11は、ボア111に連通される貫通ホール117を備えることができ、装着ホール115は、貫通ホール117の側面を追加的に加工して形成され得る。例えば、図5の(a)に示されているように、アウターハウジング11の貫通ホール117の側面中のプラグ部材173が挿入される位置を追加的に切削加工して装着ホール115を形成することができる。これによって、装着ホール115の端には係止段118が形成される。また図5の(b)に示されているように、プラグ部材173が装着ホール115に挿入され、インナーシャフト13がボア111に挿入され得る。
【0046】
この時、プラグ部材173は、装着ホール115から離脱しないように締まりばめ方式で装着ホール115に組立てられ得る。例えば、プラグ部材173は、アルミニウムのような耐衝撃金属材質から形成され得る。プラグ部材173が備えられることによって、インナーシャフト13がムービングインの動きの際にアウターハウジング11の内面に直接衝突することが防止され得る。
【0047】
図6および図7を参照すると、プラグ部材173は、ほぼシリンダー形態を有することができ、プラグ部材173の外周面に形成される溝1731にOリング(O-ring)1732が設置され得る。プランジングユニット15を構成するボール151の円滑な動きのためにグリースが塗布されることが好ましいが、Oリング1732が塗布されたグリースがアウターハウジング11の貫通ホール117を通じて外部に漏れ出ることを防止することができる。この時、Oリング1732は、複数備えられ得、例えば図6および図7に示されているように、2個のOリング1732が備えられ得る。Oリング1732が複数備えられることによって組み立てられたプラグ部材173が定められた配列状態を維持することができる。
【0048】
一方、図7に示されているように、プラグ部材73は、インナーシャフト13と向き合う先端で長さ方向に陥没する陥没空間1733を備えることができる。陥没空間1733によりプラグ部材73の重量が減少され得る。
【0049】
以下、図8および図9を参照して本発明の他の実施例によるプラグ部材について説明する。前述と同一の部分については同一の図面符号を使用し、重複する説明は省略する。
【0050】
図8および図9を参照すると、プラグ部材273は、インナーシャフト13の先端部と向き合う部分に締結される弾性ダンパー274を含む。図9を参照すると、弾性ダンパー274は、インナーシャフト13の先端部と向き合う衝撃吸収部2741、衝撃吸収部2741の外側端でプラグ部材273の側面に沿って延長される延長部2743、そして延長部2743の端部で内側方向に延長されてプラグ部材273の外周面に形成された締結溝275に挿入される締結突起2745を含む。衝撃吸収部2741は、インナーシャフト13の先端が当たる部分であり、インナーシャフト13との衝突時に衝撃を吸収する機能を遂行する。弾性ダンパー274は、締まりばめ方式でプラグ部材273に組立てられ得る。
【0051】
以下、図10を参照して本発明のまた他の実施例によるプラグ部材について説明する。前述と同一の部分については同一の図面符号を使用し、重複する説明は省略する。
【0052】
図10に示されているように、プラグ部材373は、外周面で突出される環状突起374を備える。環状突起374は、複数備えられ得、前述したOリングと同様に、装着ホール115の側面116に密着し、グリース漏出防止機能を遂行する。
【0053】
以下、図11乃至図13を参照して本発明の他の実施例によるプランジングアセンブリーについて説明する。
【0054】
図11を参照すると、アウターハウジング11は、ボア111と装着ホール15を連結する傾斜面19を含み、プラグ部材473は、傾斜面19に支持されてインナーシャフト13との衝突により後に押されることをより効果的に防止できるように構成される。この時、装着ホール115の直径は、ボア111の直径より小さく形成され、傾斜面19はボア111の端部から装着ホール115の入口側に次第に狭くなるコーン(cone)形態で形成され得る。
【0055】
図11乃至図12に示されているように、プラグ部材473は、ボアに位置する衝撃吸収部4731、装着ホール115に挿入される固定部4732、そして衝撃吸収部4731と固定部4732を連結する連結部4733を含む。この時、図11に示されているように、連結部4733は、アウターハウジング11の傾斜面19に密着するように傾いて形成される。つまり、連結部4733は、傾斜面19と同様に衝撃吸収部4731の端部から固定部4732に行くほど徐々に狭くなるコーン形態で形成され得る。このような構造によって連結部4733が固定部4732を補助してプラグ部材473が押されることを防止する。プラグ部材473は、ゴムのように弾性および耐蝕性を有する材質で形成され得る。
【0056】
一方、図12および図13に示されているように、プラグ部材473は、外周面で突出される環状突起4734を備えることができる。環状突起4734は、複数備えられ得、前述したOリングと同様に装着ホール115の側面116に密着し、グリース漏出防止機能を遂行する。
【0057】
また図13に示されているように、プラグ部材473は、インナーシャフト13と向き合う先端で長さ方向に陥没する陥没空間4735を備えることができる。
【0058】
以上で本発明の実施例を説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されず、本発明の実施例から本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者により容易に変更されて均等であると認められる範囲の全ての変更および修正を含む。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明は、車両の駆動系統に使用されるドライブシャフトに適用され得るため、産業上の利用可能性がある。
図1
図2
図3
図4
図5(a)】
図5(b)】
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13