(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-13
(45)【発行日】2022-01-13
(54)【発明の名称】フォトマスク、フォトマスクの製造方法、表示装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
G03F 1/58 20120101AFI20220105BHJP
C23C 14/04 20060101ALI20220105BHJP
C23C 14/06 20060101ALI20220105BHJP
【FI】
G03F1/58
C23C14/04 A
C23C14/06
(21)【出願番号】P 2021094790
(22)【出願日】2021-06-04
【審査請求日】2021-07-19
(31)【優先権主張番号】P 2020217732
(32)【優先日】2020-12-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】302003244
【氏名又は名称】株式会社エスケーエレクトロニクス
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】田中 千恵
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 隆史
(72)【発明者】
【氏名】山田 歩実
(72)【発明者】
【氏名】森山 久美子
(72)【発明者】
【氏名】福泉 照夫
【審査官】田中 秀直
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-202583(JP,A)
【文献】特開平08-250446(JP,A)
【文献】特開2005-165248(JP,A)
【文献】特開2011-215614(JP,A)
【文献】特開2012-032783(JP,A)
【文献】特開2001-272769(JP,A)
【文献】特開2016-136283(JP,A)
【文献】特開2008-241935(JP,A)
【文献】特開2006-258930(JP,A)
【文献】特開2009-048186(JP,A)
【文献】特許第3898217(JP,B1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0069612(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 1/00-1/92
C23C 14/04
C23C 14/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示装置の製造において被転写基板に所望のレジスト形状を形成するために用いられるフォトマスクであって、
少なくとも2つの互いに透過率が異なる領域を含む所定形状を有する複数のパターン形成領域を透明基板上に有しており、
前記パターン形成領域の中央部を含む所定面積の領域を第1領域とし、前記パターン形成領域の外縁部における所定面積の領域を第2領域とし、
前記パターン形成領域は、少なくとも半透過膜のパターンと遮光膜のパターンとが一部重畳するように積層されることによって形成されており、
前記透明基板上に前記パターン形成領域が形成されていない透光部を有しており、
前記第1領域内の透過率よりも前記第2領域内の透過率の方が高
いフォトマスク。
【請求項2】
表示装置の製造において被転写基板に所望のレジスト形状を形成するために用いられるフォトマスクであって、
少なくとも2つの互いに透過率が異なる領域を含む所定形状を有する複数のパターン形成領域を透明基板上に有しており、
前記パターン形成領域の中央部を含む所定面積の領域を第1領域とし、前記パターン形成領域の外縁部における所定面積の領域を第2領域とし、
前記パターン形成領域は、透光部と、半透過膜により形成される半透過部とが少なくとも形成されており、
前記パターン形成領域が形成されていない領域には、前記半透過膜と遮光膜とが積層されることによって形成された遮光部が前記透明基板上に形成されており、
前記第1領域内の透過率よりも前記第2領域内の透過率の方が低いフォトマスク。
【請求項3】
第2領域は、前記第1領域に対して同心円状に形成されている請求項1
または2に記載のフォトマスク。
【請求項4】
前記パターン形成領域を平面視した場合の外縁形状の少なくとも一部には円弧が含まれている請求項1
または2に記載のフォトマスク。
【請求項5】
前記パターン形成領域は、多角形形状である、請求項1
または2に記載のフォトマスク。
【請求項6】
前記パターン形成領域を平面視した場合に、前記半透過膜と前記遮光膜とが重畳している重畳領域が、前記パターン形成領域の中央部から外縁部に向けて放射状または渦巻き状に延びている請求項
1に記載のフォトマスク。
【請求項7】
前記パターン形成領域を平面視した場合に前記半透過膜に前記遮光膜が重畳していない所定の形状を有する複数の非重畳領域を有し、
前記非重畳領域は外縁部に向かうにつれて面積が大きくなるように形成されている請求項
1に記載のフォトマスク。
【請求項8】
前記パターン形成領域を平面視した場合に、前記半透過膜と前記遮光膜とが重畳している矩形の重畳領域と、前記半透過膜に前記遮光膜が重畳していない矩形の非重畳領域とが交互に配置されているチェック柄領域が形成されており、前記チェック柄領域の外周に、前記半透過膜に前記遮光膜が重畳していない領域が形成されている請求項
1に記載のフォトマスク。
【請求項9】
前記パターン形成領域を平面視した場合に前記遮光膜および前記半透過膜が存在していない透光部が前記パターン形成領域の外縁部に形成されている請求項
1に記載のフォトマスク。
【請求項10】
前記パターン形成領域を平面視した場合に、前記遮光膜および前記半透過膜が存在していない透光部が前記パターン形成領域の中央部から外縁部に向けて放射状または渦巻き状に延びている請求項
2に記載のフォトマスク。
【請求項11】
前記パターン形成領域を平面視した場合に前記半透過膜に前記遮光膜が重畳していない所定の形状を有する複数の非重畳領域を有し、
前記非重畳領域は外縁部に向かうにつれて面積が大きくなるように形成されている請求項
2に記載のフォトマスク。
【請求項12】
前記パターン形成領域を平面視した場合に、前記遮光膜および前記半透過膜が存在していない透光部と、前記半透過膜に前記遮光膜が重畳していない矩形の非重畳領域とが交互に配置されているチェック柄領域が形成されており、前記チェック柄領域の外周に、前記非重畳領域が形成されている請求項
2に記載のフォトマスク。
【請求項13】
前記パターン形成領域を平面視した場合に前記半透過膜と前記遮光膜とが重畳している重畳領域が前記パターン形成領域の外縁部に形成されている請求項
2に記載のフォトマスク。
【請求項14】
透明基板上に半透過膜による半透過領域と、前記透明基板上に少なくとも前記半透過膜および遮光膜が、前記半透過膜が前記遮光膜よりも前記透明基板側に位置するように積層された積層領域と、前記透明基板が露出する透明領域とを備えたフォトマスクの製造方法であって、
前記透明基板の表面に、少なくとも前記半透過膜および前記遮光膜が、前記半透過膜が前記遮光膜よりも前記透明基板側に位置するように積層されて形成されたマスクブランクスを準備する工程と、
前記マスクブランクスの表面に第1フォトレジスト膜を形成し、前記第1フォトレジスト膜に対して前記第1フォトレジスト膜を描画装置で描画して第1フォトレジストパターンを形成する工程と、
前記第1フォトレジストパターンをマスクとして、前記遮光膜の一部を除去する工程と、
露出した前記半透過膜を除去する工程と、
遮光膜を含む前記フォトマスクの全面に第2フォトレジスト膜を形成し、前記第2フォトレジスト膜に対して、設計パターンにアライメントずれのマージンを反映し、描画装置で描画して第2フォトレジストパターンを形成する工程と、
前記第2フォトレジストパターンをマスクとして、前記遮光膜の一部を除去する工程とを含み、
前記遮光膜と前記半透過膜とによって形成されるパターン形成領域の中央部を含む所定面積の領域を第1領域とし、前記パターン形成領域の外周部における所定面積の領域
であって前記第1領域に対して同心円状に形成されている領域を第2領域としたときに、前記第1領域内の透過率よりも前記第2領域内の透過率の方が高くなるように、前記パターン形成領域を形成する、フォトマスクの製造方法。
【請求項15】
透明基板上に半透過膜による半透過領域と、前記透明基板上に遮光膜および前記半透過膜がこの順に積層された積層領域と、前記透明基板が露出する透明領域とを備えたフォトマスクの製造方法であって、
透明基板の表面に遮光膜が形成されたマスクブランクスを準備する工程と、
前記マスクブランクスの表面に第1フォトレジスト膜を形成する工程と、
前記第1フォトレジスト膜に対して描画装置で描画して第1フォトレジストパターンを形成する工程と、
前記第1フォトレジストパターンをマスクとして、前記遮光膜の一部を除去する工程と、
前記遮光膜を含む前記フォトマスクの全面に半透過膜を形成する工程と、
前記半透過膜の表面に第2フォトレジスト膜を形成する工程と、
前記第2フォトレジスト膜に対して描画装置で描画して、設計パターンにアライメントずれのマージンを反映し、第2フォトレジストパターンを形成する工程と、
前記第2フォトレジストパターンをマスクとして、前記半透過膜の一部を除去する工程とを含み、
前記遮光膜と前記半透過膜とによって形成されるパターン形成領域の中央部を含む所定面積の領域を第1領域とし、前記パターン形成領域の外周部における所定面積の領域
であって前記第1領域に対して同心円状に形成されている領域を第2領域としたときに、前記第1領域内の透過率よりも前記第2領域内の透過率の方が高くなるように、前記パターン形成領域を形成する、フォトマスクの製造方法。
【請求項16】
透明基板上に半透過膜による半透過領域と、前記透明基板上に少なくとも前記半透過膜および遮光膜が、前記半透過膜が前記遮光膜よりも前記透明基板側に位置するように積層された積層領域と、前記透明基板が露出する透明領域とを備えたフォトマスクの製造方法であって、
前記透明基板の表面に、少なくとも前記半透過膜および前記遮光膜が、前記半透過膜が前記遮光膜よりも前記透明基板側に位置するように積層されて形成されたマスクブランクスを準備する工程と、
前記マスクブランクスの表面に第1フォトレジスト膜を形成し、前記第1フォトレジスト膜に対して前記第1フォトレジスト膜を描画装置で描画して第1フォトレジストパターンを形成する工程と、
前記第1フォトレジストパターンをマスクとして、前記遮光膜の一部を除去する工程と、
露出した前記半透過膜を除去する工程と、
遮光膜を含む前記フォトマスクの全面に第2フォトレジスト膜を形成し、前記第2フォトレジスト膜に対して、設計パターンにアライメントずれのマージンを反映し、描画装置で描画して第2フォトレジストパターンを形成する工程と、
前記第2フォトレジストパターンをマスクとして、前記半透過膜の一部を除去する工程とを含み、
前記遮光膜と前記半透過膜とによって形成されるパターン形成領域の中央部を含む所定面積の領域を第1領域とし、前記パターン形成領域の外周部における所定面積の領域
であって前記第1領域に対して同心円状に形成されている領域を第2領域としたときに、前記第1領域内の透過率よりも前記第2領域内の透過率の方が低くなるように、前記パターン形成領域を形成する、フォトマスクの製造方法。
【請求項17】
透明基板上に半透過膜による半透過領域と、前記透明基板上に遮光膜および前記半透過膜がこの順に積層された積層領域と、前記透明基板が露出する透明領域とを備えたフォトマスクの製造方法であって、
透明基板の表面に遮光膜が形成されたマスクブランクスを準備する工程と、
前記マスクブランクスの表面に第1フォトレジスト膜を形成する工程と、
前記第1フォトレジスト膜に対して描画装置で描画して第1フォトレジストパターンを形成する工程と、
前記第1フォトレジストパターンをマスクとして、前記遮光膜の一部を除去する工程と、
前記遮光膜を含む前記フォトマスクの全面に半透過膜を形成する工程と、
前記半透過膜の表面に第2フォトレジスト膜を形成する工程と、
前記第2フォトレジスト膜に対して、設計パターンにアライメントずれのマージンを反映し、描画装置で描画して第2フォトレジストパターンを形成する工程と、
前記第2フォトレジストパターンをマスクとして、前記半透過膜の一部を除去する工程とを含み、
前記遮光膜と前記半透過膜とによって形成されるパターン形成領域の中央部を含む所定面積の領域を第1領域とし、前記パターン形成領域の外周部における所定面積の領域
であって前記第1領域に対して同心円状に形成されている領域を第2領域としたときに、前記第1領域内の透過率よりも前記第2領域内の透過率の方が低くなるように、前記パターン形成領域を形成する、フォトマスクの製造方法。
【請求項18】
請求項1~
10のいずれか1項に記載のフォトマスクを使用して被転写基板に所望のレジスト形状を形成するレジスト形成工程を含む表示装置の製造方法であって、
前記レジスト形成工程は、
前記フォトマスクを介して、レジストに対して露光を行う露光工程と、
露光した前記レジストを現像することにより前記所望のレジスト形状を形成する工程とを含む、表示装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フォトマスク、フォトマスクの製造方法、表示装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
フォトマスクを用いた露光によりレジストを所望の形状に形成する技術が知られている。例えば、特許文献1には、マスク基板の表面の少なくとも一つの層に階段式パターンを有する多階調フォトマスクの製造方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
フォトマスクを用いた露光により被転写基板に凹凸形状等のレジストを形成する場合において、任意の領域における前記レジストに対して、前記レジストの中央から外側にかけて緩やかに傾斜させることが望まれている。
【0005】
本発明の一態様は、被転写基板の感光性レジストに対して緩やかに傾斜した形状を形成することができるフォトマスクおよびその製造方法等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係るフォトマスクは、少なくとも2つの互いに透過率が異なる領域を含む所定形状を有する複数のパターン形成領域を透明基板上に有しており、前記パターン形成領域の中央部を含む所定面積の領域を第1領域とし、前記パターン形成領域の外縁部における所定面積の領域を第2領域とし、前記第1領域内の透過率よりも前記第2領域内の透過率の方が高いまたは低い。
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係るフォトマスクの製造方法は、透明基板上に半透過膜による半透過領域と、前記透明基板上に少なくとも前記半透過膜および遮光膜が、前記半透過膜が前記遮光膜よりも前記透明基板側に位置するように積層された積層領域と、前記透明基板が露出する透明領域とを備えたフォトマスクの製造方法であって、前記透明基板の表面に、少なくとも前記半透過膜および前記遮光膜が、前記半透過膜が前記遮光膜よりも前記透明基板側に位置するように積層されて形成されたマスクブランクスを準備する工程と、前記マスクブランクスの表面に第1フォトレジスト膜を形成し、前記第1フォトレジスト膜に対して前記第1フォトレジスト膜を描画装置で描画して第1フォトレジストパターンを形成する工程と、前記第1フォトレジストパターンをマスクとして、前記遮光膜の一部を除去する工程と、露出した前記半透過膜を除去する工程と、遮光膜を含む前記フォトマスクの全面に第2フォトレジストを形成し、前記第2フォトレジスト膜に対して描画装置で描画して前記第2フォトレジストパターンを形成する工程と、前記第2フォトレジストパターンをマスクとして、前記遮光膜の一部を除去する工程とを含み、前記遮光膜と前記半透過膜とによって形成されるパターン形成領域の中央部を含む所定面積の領域を第1領域とし、前記パターン形成領域の外周部における所定面積の領域を第2領域としたときに、前記第1領域内の透過率よりも前記第2領域内の透過率の方が高くなるように、前記パターン形成領域を形成する。
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係るフォトマスクの製造方法は、透明基板上に半透過膜による半透過領域と、前記透明基板上に遮光膜および前記半透過膜がこの順に積層された積層領域と、前記透明基板が露出する透明領域とを備えたフォトマスクの製造方法であって、透明基板の表面に遮光膜が形成されたマスクブランクスを準備する工程と、前記マスクブランクスの表面に第1フォトレジスト膜を形成する工程と、前記第1フォトレジスト膜に対して描画装置で描画して第1フォトレジストパターンを形成する工程と、前記第1フォトレジストパターンをマスクとして、前記遮光膜の一部を除去する工程と、前記遮光膜を含む前記フォトマスクの全面に半透過膜を形成する工程と、前記半透過膜の表面に第2フォトレジスト膜を形成する工程と、前記第2フォトレジスト膜に対して描画装置で描画して第2フォトレジストパターンを形成する工程と、前記第2フォトレジストパターンをマスクとして、前記半透過膜の一部を除去する工程とを含み、前記遮光膜と前記半透過膜とによって形成されるパターン形成領域の中央部を含む所定面積の領域を第1領域とし、前記パターン形成領域の外周部における所定面積の領域を第2領域としたときに、前記第1領域内の透過率よりも前記第2領域内の透過率の方が高くなるように、前記パターン形成領域を形成する。
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係るフォトマスクの製造方法は、透明基板上に半透過膜による半透過領域と、前記透明基板上に少なくとも前記半透過膜および遮光膜が、前記半透過膜が前記遮光膜よりも前記透明基板側に位置するように積層された積層領域と、前記透明基板が露出する透明領域とを備えたフォトマスクの製造方法であって、前記透明基板の表面に、少なくとも前記半透過膜および前記遮光膜が、前記半透過膜が前記遮光膜よりも前記透明基板側に位置するように積層されて形成されたマスクブランクスを準備する工程と、前記マスクブランクスの表面に第1フォトレジスト膜を形成し、前記第1フォトレジスト膜に対して前記第1フォトレジスト膜を描画装置で描画して第1フォトレジストパターンを形成する工程と、前記第1フォトレジストパターンをマスクとして、前記遮光膜の一部を除去する工程と、露出した前記半透過膜を除去する工程と、遮光膜を含む前記フォトマスクの全面に第2フォトレジスト膜を形成し、前記第2フォトレジスト膜に対して描画装置で描画して第2フォトレジストパターンを形成する工程と、前記第2フォトレジストパターンをマスクとして、前記半透過膜の一部を除去する工程とを含み、前記遮光膜と前記半透過膜とによって形成されるパターン形成領域の中央部を含む所定面積の領域を第1領域とし、前記パターン形成領域の外周部における所定面積の領域を第2領域としたときに、前記第1領域内の透過率よりも前記第2領域内の透過率の方が低くなるように、前記パターン形成領域を形成する。
【0010】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係るフォトマスクの製造方法は、透明基板上に半透過膜による半透過領域と、前記透明基板上に遮光膜および前記半透過膜がこの順に積層された積層領域と、前記透明基板が露出する透明領域とを備えたフォトマスクの製造方法であって、透明基板の表面に遮光膜が形成されたマスクブランクスを準備する工程と、前記マスクブランクスの表面に第1フォトレジスト膜を形成する工程と、前記第1フォトレジスト膜に対して描画装置で描画して第1フォトレジストパターンを形成する工程と、前記第1フォトレジストパターンをマスクとして、前記遮光膜の一部を除去する工程と、前記遮光膜を含む前記フォトマスクの全面に半透過膜を形成する工程と、前記半透過膜の表面に第2フォトレジスト膜を形成する工程と、前記第2フォトレジスト膜に対して描画装置で描画して第2フォトレジストパターンを形成する工程と、前記第2フォトレジストパターンをマスクとして、前記半透過膜の一部を除去する工程とを含み、前記遮光膜と前記半透過膜とによって形成されるパターン形成領域の中央部を含む所定面積の領域を第1領域とし、前記パターン形成領域の外周部における所定面積の領域を第2領域としたときに、前記第1領域内の透過率よりも前記第2領域内の透過率の方が低くなるように、前記パターン形成領域を形成する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一態様によれば、被転写基板の感光性レジストの任意の領域における前記感光性レジストに対して緩やかに傾斜した形状を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施形態1に係るフォトマスクの構成を示す平面図である。
【
図2】(a)は、上記フォトマスクのパターン形成領域に形成されたパターンデザインを示す図であり、(b)は、透明基板に対して垂直な平面で切断した上記フォトマスクの断面図である。
【
図3】(a)は、上記フォトマスクを介して被転写基板上のフォトレジスト膜に対して光を照射させたときのフォトレジスト膜に照射される光の強度を示す図であり、(b)は、上記フォトマスクを介して被転写基板上の感光性のフォトレジスト膜に対して露光し、現像した後のフォトレジスト膜の形状を示す図である。
【
図4】上記フォトマスクの製造方法を説明するための図である。
【
図5】上記フォトマスクの製造方法を説明するための図である。
【
図6】上記フォトマスクの製造方法を説明するための図である。
【
図7】上記フォトマスクの製造方法を説明するための図である。
【
図8】(a)は、上記パターン形成領域の変形例としてのパターン形成領域を示す平面図であり、(b)は、上記変形例としてのパターン形成領域を備えるフォトマスクを介してフォトレジスト膜に対して光を照射させたときのフォトレジスト膜に照射される光の強度を示す図であり、(c)は、上記フォトマスクを介して感光性のフォトレジスト膜に対して露光し、現像した後のフォトレジスト膜の形状を示す図である。
【
図9】(a)は、上記パターン形成領域の更なる変形例としてのパターン形成領域を示す平面図であり、(b)は、上記更なる変形例としてのパターン形成領域を備えるフォトマスクを介してフォトレジスト膜に対して光を照射させたときのフォトレジスト膜に照射される光の強度を示す図であり、(c)は、上記フォトマスクを介して感光性のフォトレジスト膜に対して露光し、現像した後のフォトレジスト膜の形状を示す図である。
【
図10】(a)は、上記パターン形成領域の更なる変形例としてのパターン形成領域を示す平面図であり、(b)は、上記更なる変形例としてのパターン形成領域を備えるフォトマスクを介してフォトレジスト膜に対して光を照射させたときのフォトレジスト膜に照射される光の強度を示す図であり、(c)は、上記フォトマスクを介して感光性のフォトレジスト膜に対して露光し、現像した後のフォトレジスト膜の形状を示す図である。
【
図11】(a)は、上記パターン形成領域の更なる変形例としてのパターン形成領域を示す平面図であり、(b)は、上記更なる変形例としてのパターン形成領域を備えるフォトマスクを介してフォトレジスト膜に対して光を照射させたときのフォトレジスト膜に照射される光の強度を示す図であり、(c)は、上記フォトマスクを介して感光性のフォトレジスト膜に対して露光し、現像した後のフォトレジスト膜の形状を示す図である。
【
図12】(a)は、上記パターン形成領域の更なる変形例としてのパターン形成領域を示す平面図であり、(b)は、上記更なる変形例としてのパターン形成領域を備えるフォトマスクを介してフォトレジスト膜に対して光を照射させたときのフォトレジスト膜に照射される光の強度を示す図であり、(c)は、上記フォトマスクを介して感光性のフォトレジスト膜に対して露光し、現像した後のフォトレジスト膜の形状を示す図である。
【
図13】(a)は、上記パターン形成領域の更なる変形例としてのパターン形成領域を示す平面図であり、(b)は、上記更なる変形例としてのパターン形成領域を備えるフォトマスクを介してフォトレジスト膜に対して光を照射させたときのフォトレジスト膜に照射される光の強度を示す図であり、(c)は、上記フォトマスクを介して感光性のフォトレジスト膜に対して露光し、現像した後のフォトレジスト膜の形状を示す図である。
【
図14】(a)は、上記更なる変形例としてのパターン形成領域を備えるフォトマスクのパターン形成領域に形成されたパターンデザインを示す図であり、(b)は、透明基板に対して垂直な平面で切断した上記フォトマスクの断面図である。
【
図15】(a)は、上記更なる変形例としてのパターン形成領域を備えるフォトマスクを介してフォトレジスト膜に対して光を照射させたときのフォトレジスト膜に照射される光の強度を示す図であり、(b)は、上記フォトマスクを介して感光性のフォトレジスト膜に対して露光し、現像した後のフォトレジスト膜の形状を示す図である。
【
図16】上記フォトマスクの製造方法を説明するための図である。
【
図17】上記フォトマスクの製造方法を説明するための図である。
【
図18】上記フォトマスクの製造方法を説明するための図である。
【
図19】(a)は、本発明の実施形態2に係るフォトマスクのパターン形成領域に形成されたパターンデザインを示す図であり、(b)は、透明基板に対して垂直な平面で切断した上記フォトマスクの断面図である。
【
図20】上記フォトマスクの製造方法を説明するための図である。
【
図21】上記フォトマスクの製造方法を説明するための図である。
【
図22】上記フォトマスクの製造方法を説明するための図である。
【
図23】本発明の実施形態3に係るフォトマスクのパターン形成領域を示す平面図である。
【
図24】上記フォトマスクの変形例としてのフォトマスクのパターン形成領域を示す平面図である。
【
図25】本発明の実施形態1に係るフォトマスクを介して被転写基板上のネガ型のフォトレジスト膜に対して露光し、現像した後のフォトレジスト膜の形状を示す図である。
【
図26】(a)は、本発明の実施形態5に係るフォトマスクのパターン形成領域に形成されたパターンデザインを示す図であり、(b)は、透明基板に対して垂直な平面で切断した上記フォトマスクの断面図である。
【
図27】上記フォトマスクを介して被転写基板上のポジ型のフォトレジスト膜に対して露光し、現像した後のフォトレジスト膜の形状を示す図である。
【
図28】上記フォトマスクを介して被転写基板上のネガ型のフォトレジスト膜に対して露光し、現像した後のフォトレジスト膜の形状を示す図である。
【
図29】上記フォトマスクの製造方法を説明するための図である。
【
図30】上記フォトマスクの製造方法を説明するための図である。
【
図31】上記フォトマスクの製造方法を説明するための図である。
【
図32】(a)は、本発明の実施形態6に係るフォトマスクのパターン形成領域に形成されたパターンデザインを示す図であり、(b)は、透明基板に対して垂直な平面で切断した上記フォトマスクの断面図である。
【
図33】上記フォトマスクの製造方法を説明するための図である。
【
図34】上記フォトマスクの製造方法を説明するための図である。
【
図35】上記フォトマスクの製造方法を説明するための図である。
【
図36】上記フォトマスクの変形例としてのフォトマスクのパターン形成領域を示す平面図である。
【
図37】上記フォトマスクの変形例としてのフォトマスクのパターン形成領域を示す平面図である。
【
図38】上記フォトマスクの変形例としてのフォトマスクのパターン形成領域を示す平面図である。
【
図39】上記フォトマスクの変形例としてのフォトマスクのパターン形成領域を示す平面図である。
【
図40】上記フォトマスクの変形例としてのフォトマスクのパターン形成領域を示す平面図である。
【
図41】上記フォトマスクの変形例としてのフォトマスクのパターン形成領域を示す平面図である。
【
図42】上記フォトマスクの変形例としてのフォトマスクのパターン形成領域を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
〔実施形態1〕
以下、本発明の一実施形態について、詳細に説明する。
図1は、本実施形態におけるフォトマスク1Aの構成を示す平面図である。
図2の(a)は、フォトマスク1Aのパターン形成領域Aに形成されたパターンデザインを示す図であり、
図2の(b)は、透明基板2に対して垂直な平面で切断したフォトマスク1Aの断面図である。なお、
図2の(b)は、後述する1つのパターン形成領域Aの周辺を拡大した断面図である。
【0014】
図1および
図2に示すように、フォトマスク1Aは、透明基板2、半透過膜3、エッチングストッパー膜4、および遮光膜5がこの順で積層された構造となっている。なお、半透過膜3、エッチングストッパー膜4、および遮光膜5は、透明基板2のすべての領域に配置されておらず、
図2の(b)に示すように、パターン形成領域Aに適宜配置されている。
【0015】
透明基板2は、透光性を有する基板であり、例えば石英ガラスにより構成することができる。半透過膜3は、照射された光の一部を透過する膜であり、例えば、酸化クロム、窒化クロム、クロム酸窒化物などのクロム系材料を用いることができる。エッチングストッパー膜4は、遮光膜5をエッチングする際に、半透過膜3がエッチングされることを防止するための膜である。エッチングストッパー膜4は、遮光膜5をエッチングするための溶剤によってエッチングされない材料によって構成される。エッチングストッパー膜4として、例えば、チタン、ニッケル、モリブデンシリサイドなどを用いることができる。遮光膜5は、光が透過しない膜であり、光学濃度OD値は2.7以上が適している。遮光膜5としては、例えば、クロム膜を用いることができる。
【0016】
図1に示すように、フォトマスク1Aは、パターン形成領域Aが格子状に配置されている。パターン形成領域Aは、上記表示装置の各画素に対応する位置にそれぞれ設けられている。パターン形成領域Aが形成されていない領域は、光を透過させる透光部7となっている。
【0017】
次に、フォトマスク1Aにおけるパターン形成領域Aに形成されたパターンデザインについて説明する。なお、以降の説明では、フォトマスクのパターンデザインを説明する場合においては、透明基板2側とは反対側からフォトマスクを平面視した場合について説明する。
【0018】
図2の(a)に示すように、フォトマスク1Aのパターン形成領域Aは、円形状になっている。フォトマスク1Aのパターン形成領域Aには、パターン形成領域Aの中心を含む中央部に、遮光膜5と半透過膜3とが重畳した重畳領域10が円形状に形成されている。また、パターン形成領域Aには、重畳領域10を取り囲むように半透過膜3のみが形成された非重畳領域11が形成されている。換言すれば、パターン形成領域Aの外縁部に非重畳領域11が形成されている。非重畳領域11は、重畳領域10に対して同心円状に形成されている。
【0019】
本開示では、パターン形成領域Aにおける各部の光の透過率の違いを表す指標として、パターン形成領域A内の所定面積の領域における光の透過率を用いる。パターン形成領域Aの中央部を含む所定面積の領域を第1領域D1とし、パターン形成領域Aの外縁部における所定面積の領域を第2領域D2と称する。第1領域D1および第2領域D2は、パターン形成領域Aの中央部と外縁部との透過率の差を説明するための概念的な領域である。第1領域D1の中央部は、パターン形成領域Aの中央部と概ね一致している。そのため、第1領域D1は、少なくとも重畳領域10を含む領域である。一方、第2領域D2の中央部は、パターン形成領域Aの外縁部に位置している。そのため、第2領域D2は、パターン形成領域Aの外縁部に形成された非重畳領域11を少なくとも含む領域である。このように第1領域D1および第2領域D2を設定するため、第1領域D1内の透過率よりも第2領域D2内の透過率の方が高くなっている。なお、パターン形成領域Aの中央部とは、パターン形成領域Aが円形である場合には、その円の中心または当該中心の近傍の部分をいう。
【0020】
第1領域D1および第2領域D2が矩形の場合、これらの領域の大きさは、例えば、1μm×1μm以上である。本発明の一態様におけるフォトマスクにおけるパターン領域Aの重畳領域10の直径は、10~60μmであり、非重畳領域11の径方向の幅は、3~20μmである。第1領域D1および第2領域D2は、パターン形成領域Aからはみ出ないように設定されればよい。第1領域D1内または第2領域D2内において、透過率が互いに異なる領域が存在する場合には、領域内の平均透過率を第1領域D1または第2領域D2の透過率とする。
【0021】
図2の(a)に示す例では、第1領域D1は、パターン形成領域Aの中央部における重畳領域10のみを含む矩形の領域である。第2領域D2は、外縁部に形成された非重畳領域11のみを含む領域である。
図2の(a)に示す例では、第1領域D1および第2領域D2を矩形で示しているが、第1領域D1および第2領域D2は、円形、多角形などであってもよい。上述した第1領域D1および第2領域D2の設定方法については、後述する変形例1~7および実施形態2についても同様である。
【0022】
図3の(a)は、フォトマスク1Aを介して被転写基板上のポジ型のフォトレジスト膜20に対して光を照射させたときのフォトレジスト膜20に照射される光の強度を示す図であり、
図3の(b)は、フォトマスク1Aを介して被転写基板上のフォトレジスト膜20に対して露光し、現像した後のフォトレジスト膜20の形状を示す図である。
図3の(a)では、黒色が濃い領域ほどフォトレジスト膜20に照射される光の強度が小さいことを示している。この点については、後述する
図9の(a)、
図11の(a)、
図13の(a)、
図15の(a)、
図17の(a)、
図19の(a)、
図21の(a)についても同様である。
【0023】
図3の(a)に示すように、パターン形成領域Aの中央部に遮光膜5が存在していることにより、フォトレジスト膜20の中央部に照射される光の強度が小さくなっている。また、パターン形成領域Aの外縁部において重畳領域10を取り囲むように半透過膜3のみが存在していることにより、中央から外側に向かうにつれてフォトレジスト膜20に照射される光の強度が大きくなっている。この点については、後述する変形例1~7についても同様である。これにより、
図3の(b)に示すように、現像後のフォトレジスト膜20は、フォトマスク1Aのパターン形成領域Aの外縁部に対応する領域、すなわち、フォトレジスト膜20の外縁部が緩やかに傾斜した形状となっている。
【0024】
以上のように、本実施形態におけるフォトマスク1Aを介してフォトレジスト膜20を露光および現像することにより、フォトレジスト膜20の外縁部を緩やかに傾斜させることができる。換言すれば、フォトレジスト膜20を中央から外側にかけて緩やかに傾斜させることができる。
【0025】
また、本実施形態におけるフォトマスク1Aでは、非重畳領域11が重畳領域10に対して同心円状に形成されている。これにより、フォトレジスト膜20に照射される光の強度を、フォトレジスト膜の中央から外側に向けて同心円状かつ段階的に大きくすることができる。
【0026】
次に、フォトマスク1Aの製造方法について説明する。
図4~7は、フォトマスク1Aの製造方法を説明するための図である。
図4に示すように、フォトマスク1Aの製造では、まず、透明基板2の表面に、半透過膜3、エッチングストッパー膜4、および、遮光膜5がこの順に積層されて形成されたマスクブランクス30を準備する(以降では、第1工程P1と称する)。
【0027】
次に、マスクブランクス30の表面に第1フォトレジスト膜40を形成する(以降では、第2工程P2と称する)。その後、第1フォトレジスト膜40を描画装置で描画する(以降では、第3工程P3と称する)。第3工程P3では、マスクブランクス30を平面視したときに、現像後の第1フォトレジスト膜40がパターン形成領域Aの形状(すなわち、略円形状)となるように描画を行う。
【0028】
なお、図示していないが第3工程P3では、後述する第10工程P10において、アライメントと呼ばれる位置合わせを行うため位置合わせの基準となるアライメントマークを同時に形成してもよい。より詳細には、透明基板2の各隅にアライメントマークを形成する。
【0029】
次に、第1フォトレジスト膜40を現像して第1フォトレジスト膜40のうち描画を行った領域40Aを除去することにより、第1フォトレジストパターンを形成する(以降では、第4工程P4と称する)。第3工程P3および第4工程P4は、第1フォトレジストパターンを形成する工程である。
【0030】
次に、
図5に示すように、パターンが形成された第1フォトレジスト膜40(すなわち、第1フォトレジストパターン)をマスクとして、遮光膜5をエッチングすることにより、遮光膜5のパターンを形成する(以降では、第5工程P5と称する)。第5工程P5では、遮光膜5をエッチングする溶剤としてエッチングストッパー膜4を溶解しない溶剤を用いることにより、遮光膜5のみがエッチングされ除去される。
【0031】
次に、第1フォトレジストパターンと遮光膜5とをマスクとして、エッチングストッパー膜4を除去する(以降では、第6工程P6と称する)。その後、エッチングストッパー膜4が除去されることにより露出した半透過膜3を除去する(以降では、第7工程P7と称する)。次に、残存している第1フォトレジスト膜40を除去する(以降では、第8工程P8と称する)。
【0032】
次に、
図6に示すように、遮光膜5を含むフォトマスクの全面に第2フォトレジスト膜41を形成する(以降では、第9工程P9と称する)。その後、第2フォトレジスト膜41を描画装置で描画する(以降では、第10工程P10と称する)。第10工程P10では、フォトマスクを平面視したときに、第2フォトレジスト膜41の外縁部に対して略円形状に描画を行う。また、第10工程P10では、第3工程P3において形成したアライメントマークを用いて描画を行うための領域の位置決めを行う。
【0033】
次に、第2フォトレジスト膜41を現像して第2フォトレジスト膜41のうち描画を行った領域41Aを除去することにより、第2フォトレジストパターンを形成する(以降では、第11工程P11と称する)。第9工程P9、第10工程P10および第11工程P11は、第2フォトレジストパターンを形成する工程である。
【0034】
次に、パターンが形成された第2フォトレジスト膜41(すなわち、第2フォトレジストパターン)をマスクとして、遮光膜5のパターンを形成する(以降では、第12工程P12と称する)。第12工程P12では、第5工程P5と同様に、遮光膜5をエッチングする溶剤としてエッチングストッパー膜4を溶解しない溶剤を用いることにより、遮光膜5のみがエッチングされ除去される。
【0035】
次に、
図7に示すように、第2フォトレジストパターンと遮光膜5とをマスクとして、エッチングストッパー膜4を除去し、半透過膜3のパターンを形成する(以降では、第13工程P13と称する)。最後に、残存している第2フォトレジスト膜41を除去する(以降では、第14工程P14と称する)。
【0036】
以上の工程により、パターン形成領域Aの中心を含む中央部に重畳領域10が円形状に形成されるとともに、重畳領域10を取り囲むように非重畳領域11が形成されたパターン形成領域を有するフォトマスク1Aを作製することができる。
【0037】
なお、遮光膜5をエッチングする溶剤として半透過膜3を溶解しない溶剤を用いる場合では、エッチングストッパー膜4を備えていないマスクブランクスを用いることができる。例えば、遮光膜5と半透過膜3とが互いに異なるエッチング耐性を有する物質でマスクブランクスを構成することにより、エッチングストッパー膜4を備えていない場合においても遮光膜5のみを選択的にエッチングすることができる。
【0038】
次に、本実施形態におけるフォトマスク1Aを用いた表示装置の製造方法について説明する。本発明のフォトマスク1Aの用途には制限は無い。特に、複数のレイヤを積層して構成される表示装置用基板において、1枚のフォトマスク1Aで任意のパターン中心から外側にかけて緩やかな傾斜となるレジスト形状を形成することを可能とする、多階調のフォトマスクに本発明のフォトマスクは有利に適用できる。
【0039】
例えば、本実施形態におけるフォトマスク1Aを用いた表示装置の製造方法は、フォトマスク1Aを用意する工程と、フォトマスク1Aを使用して所望のレジスト形状を形成するレジスト形成工程を含む。レジスト形成工程は、露光装置を用いて、フォトマスク1Aが有する転写用パターンを、被転写基板上に転写する工程である。本実施形態におけるフォトマスク1Aを介した表示装置の製造方法は、更にその他の必要な種々の工程を含む。
【0040】
上述のように本発明のフォトマスク1Aは、パターン形成領域Aの外縁部において、パターン中心から外側に向かう方向に沿って緩やかな傾斜となるレジスト形状を形成することを可能とするので、例えば、表示装置の任意の位置に所望のパターンを形成することができる点でメリットが大きい。
【0041】
本発明のフォトマスク1Aは、液晶および有機EL用として知られる露光装置を用いて露光することができる。例えば、露光装置として、300~500nmにピークをもつ単波長もしくはブロードバンド光源の露光光を用い、開口数(NA)が0.08~0.12、コヒレントファクタ(σ)が従来知られている程度の等倍光学系をもつ、プロジェクション露光装置を用いることができる。なお、前記開口数は、0.12以上であっても適用できる。もちろんフォトマスク1Aは、プロキシミティ露光用のフォトマスクとして適用することも可能である。
【0042】
<変形例1>
実施形態1のフォトマスク1Aのパターン形成領域Aの変形例について説明する。
図8の(a)は、本変形例におけるパターン形成領域Aを示す平面図であり、
図8の(b)は、本変形例のフォトマスク1Aを介してフォトレジスト膜20に対して光を照射させたときのフォトレジスト膜20に照射される光の強度を示す図であり、
図8の(c)は、本変形例のフォトマスク1Aを介してフォトレジスト膜20に対して露光し、現像した後のフォトレジスト膜20の形状を示す図である。
【0043】
図8の(a)に示すように、本変形例では、パターン形成領域Aを平面視した場合、半透過膜3と遮光膜5とが重畳している矩形の重畳領域10と、半透過膜3に遮光膜5が重畳していない矩形の非重畳領域11とが交互に配置されているチェック柄領域12が形成されている。また、本変形例では、チェック柄領域12の外周に、半透過膜3に遮光膜5が重畳していない領域が形成されている。すなわち、本変形例のパターン形成領域Aは、(1)半透過膜のパターンと遮光膜のパターンとが重畳するように積層された重畳領域10と、半透過膜3に遮光膜5が重畳していない非重畳領域11とを含む混在領域と、(2)前記混在領域の外縁に形成され、半透過膜3に遮光膜5が重畳していない非混在領域とを有している。本変形例における第1領域D1は、チェック柄領域12の内部に存在し、かつ、パターン形成領域Aの中央部に位置する矩形の重畳領域10を少なくとも含むように設定される。すなわち、第1領域D1は、パターン形成領域Aの中央部に位置する重畳領域10のみを含む領域であってもよいし、当該重畳領域10とその周囲の非重畳領域11とを含む領域であってもよい。本変形例における第2領域D2は、チェック柄領域12の外側の領域、すなわちパターン形成領域Aの外縁部に形成された非重畳領域11内に設定される。
【0044】
当該構成により、
図8の(b)に示すように、パターン形成領域Aの中央部に遮光膜5が存在していることにより、遮光膜5の面積比が大きくなるにつれてフォトレジスト膜20の中央部に照射される光の強度が小さくなっている。また、パターン形成領域Aの外縁部において重畳領域10を取り囲むように半透過膜3のみが存在していることにより、中央から外側に向かうにつれてフォトレジスト膜20に照射される光の強度が大きくなっている。これにより、
図8の(c)に示すように、現像後のフォトレジスト膜20は、外縁部が緩やかに傾斜した形状となっている。すなわち、本変形例のフォトマスク1Aを用いることにより、フォトレジスト膜20を中央から外側にかけて緩やかに傾斜させることができる。
【0045】
<変形例2>
実施形態1のフォトマスク1Aのパターン形成領域Aの更なる変形例について説明する。
図9の(a)は、本変形例におけるパターン形成領域Aを示す平面図であり、
図9の(b)は、本変形例のフォトマスク1Aを介してフォトレジスト膜20に対して光を照射させたときのフォトレジスト膜20に照射される光の強度を示す図であり、
図9の(c)は、本変形例のフォトマスク1Aを介してフォトレジスト膜20に対して露光し、現像した後のフォトレジスト膜20の形状を示す図である。
【0046】
図9の(a)に示すように、本変形例では、パターン形成領域Aを平面視した場合、パターン形成領域Aの中央領域14において、半透過膜3と遮光膜5とが重畳している重畳領域10が形成されている。また、本変形例では、半透過膜3と遮光膜5とが重畳している重畳領域10と、半透過膜3に遮光膜5が重畳していない複数の非重畳領域11とを有する領域15が中央領域14の外側に形成されている。領域15では、非重畳領域11が外縁部に向かうにつれて面積が大きくなるように形成されている。また、領域15の外周には、半透過膜3に遮光膜5が重畳していない領域が形成されている。本変形例における第1領域D1は、中央領域14の内部に設定される。本変形例における第2領域D2は、パターン形成領域Aの外縁部に形成された非重畳領域11内に設定される。
【0047】
当該構成により、
図9の(b)に示すように、フォトレジスト膜20の外縁部に照射される光の強度が、フォトレジスト膜20の中央部に照射される光の強度よりも大きくなっている。これにより、
図9の(c)に示すように、現像後のフォトレジスト膜20を、外縁部が緩やかに傾斜した形状とすることができる。換言すれば、フォトレジスト膜20を中央から外側にかけて緩やかに傾斜させることができる。
【0048】
<変形例3>
実施形態1のフォトマスク1Aのパターン形成領域Aの更なる変形例について説明する。
図10の(a)は、本変形例におけるパターン形成領域Aを示す平面図であり、
図10の(b)は、本変形例のフォトマスク1Aを介してフォトレジスト膜20に対して光を照射させたときのフォトレジスト膜20に照射される光の強度を示す図であり、
図10の(c)は、本変形例のフォトマスク1Aを介してフォトレジスト膜20に対して露光し、現像した後のフォトレジスト膜20の形状を示す図である。
【0049】
図10の(a)に示すように、本変形例では、パターン形成領域Aを平面視した場合、パターン形成領域Aの中央部は、半透過膜3と遮光膜5とが重畳している矩形の重畳領域10と、遮光膜5が重畳されていない矩形の非重畳領域11とが交互に配置されている。また、矩形の重畳領域10と矩形の非重畳領域11とが交互に配置されている領域の外側には、半透過膜3のみが存在している領域が形成されている。さらに、半透過膜3のみが存在している領域の外縁部には、遮光膜5および半透過膜3が存在していない複数の矩形の透光性領域16が形成されている。本変形例における第1領域D1は、重畳領域10と非重畳領域11とが交互に配置された領域であって、かつ、少なくとも一部に重畳領域10を含む領域となるように設定される。本変形例における第2領域D2は、パターン形成領域Aの外縁部に形成された領域であって、少なくとも一部に透光性領域16を含むように設定される。
【0050】
当該構成により、
図10の(b)に示すように、フォトレジスト膜20に照射される光の強度は、フォトレジスト膜20の中央において最も小さく、中央から外縁部に向かうにつれて徐々に大きくなる。これにより、
図10の(c)に示すように、現像後のフォトレジスト膜20の形状を、中央から外縁部に向かうにつれて緩やかに傾斜した形状とすることができる。
【0051】
<変形例4>
実施形態1のフォトマスク1Aのパターン形成領域Aの更なる変形例について説明する。
図11の(a)は、本変形例におけるパターン形成領域Aを示す平面図であり、
図11の(b)は、本変形例のフォトマスク1Aを介してフォトレジスト膜20に対して光を照射させたときのフォトレジスト膜20に照射される光の強度を示す図であり、
図11の(c)は、本変形例のフォトマスク1Aを介してフォトレジスト膜20に対して露光し、現像した後のフォトレジスト膜20の形状を示す図である。
【0052】
図11の(a)に示すように、本変形例では、パターン形成領域Aを平面視した場合、パターン形成領域Aの中央領域17において、半透過膜3と遮光膜5とが重畳している重畳領域10が形成されている。また、本変形例では、中央領域17からパターン形成領域Aの外縁部に向けて重畳領域10が放射状に延びる放射状領域18が形成されている。放射状領域18は、パターン形成領域Aの外縁部に向かうにつれて幅が狭くなっている。本変形例における第1領域D1は、中央領域17の内部に設定される。本変形例における第2領域D2は、パターン形成領域Aの外縁部の領域であって、少なくとも一部に非重畳領域11を含むように設定される。すなわち、本変形例のパターン形成領域Aは、(1)半透過膜のパターンと遮光膜のパターンとが重畳するように積層された重畳領域からなる非混在領域と、(2)前記非混在領域の外縁に形成され、半透過膜のパターンと遮光膜のパターンとが重畳するように積層された領域と、半透過膜3に遮光膜5が重畳していない非重畳領域とを含む混在領域とを有している。
【0053】
当該構成により、
図11の(b)に示すように、フォトレジスト膜20に照射される光の強度は、フォトレジスト膜20の中央において最も小さく、中央から外縁部に向かうにつれて徐々に大きくなる。これにより、
図11の(c)に示すように、現像後のフォトレジスト膜20の形状を、中央から外縁部に向かうにつれて緩やかに傾斜した形状とすることができる。
【0054】
<変形例5>
実施形態1のフォトマスク1Aのパターン形成領域Aの更なる変形例について説明する。
図12の(a)は、本変形例におけるパターン形成領域Aを示す平面図である。
図12の(b)は、本変形例のフォトマスク1Aを介してフォトレジスト膜20に対して光を照射させたときのフォトレジスト膜20に照射される光の強度を示す図であり、
図12の(c)は、本変形例のフォトマスク1Aを介してフォトレジスト膜20に対して露光し、現像した後のフォトレジスト膜20の形状を示す図である。
【0055】
図12の(a)に示すように、本変形例では、パターン形成領域Aを平面視した場合、パターン形成領域Aの中央領域70において、半透過膜3と遮光膜5とが重畳している重畳領域10が形成されている。また、本変形例では、中央領域70からパターン形成領域Aの外縁部に向けて重畳領域10が渦巻き状に延びる渦巻き状領域71が形成されている。複数の渦巻き状領域71の間には、非重畳領域11が形成されている。本明細書では、「外縁部に向けて渦巻き状に延びる」とは、「外縁部に向けて曲線状に延びる」ことを意味する。放射状領域18は、パターン形成領域Aの外縁部に向かうにつれて幅が狭くなる場合もある。本変形例における第1領域D1は、中央領域70の内部に設定される。本変形例における第2領域D2は、パターン形成領域Aの外縁部の領域であって、少なくとも一部に非重畳領域11を含むように設定される。
【0056】
当該構成により、
図12の(b)に示すように、フォトレジスト膜20に照射される光の強度は、フォトレジスト膜20の中央において最も小さく、中央から外縁部に向かうにつれて徐々に大きくなる。これにより、
図12の(c)に示すように、現像後のフォトレジスト膜20の形状を、中央から外縁部に向かうにつれて緩やかに傾斜した形状とすることができる。
【0057】
<変形例6>
実施形態1のフォトマスク1Aのパターン形成領域Aの更なる変形例について説明する。
図13の(a)は、本変形例におけるパターン形成領域Aを示す平面図である。
図13の(b)は、本変形例のフォトマスク1Aを介してフォトレジスト膜20に対して光を照射させたときのフォトレジスト膜20に照射される光の強度を示す図であり、
図13の(c)は、本変形例のフォトマスク1Aを介してフォトレジスト膜20に対して露光し、現像した後のフォトレジスト膜20の形状を示す図である。
【0058】
図13の(a)に示すように、本変形例では、パターン形成領域Aを平面視した場合、パターン形成領域Aの中央領域80において、半透過膜3と遮光膜5とが重畳している重畳領域10が形成されている。中央領域80の外側には、半透過膜3と遮光膜5とが重畳している重畳領域10と、遮光膜5および半透過膜3が存在していない複数の透光性領域16とを有する領域81が形成されている。領域81は、透光性領域16がパターン形成領域Aの外側に向かうにつれて面積が大きくなるように形成されている。また、領域81の外周には、第1半透過部82がリング状に形成されている。また、第1半透過部82の外周に第2半透過部83がリング状に形成されている。第1半透過部82は、第2半透過部83よりも透過率が低くなるように設計される。本変形例における第1領域D1は、中央領域80の内部に設定される。本変形例における第2領域D2は、パターン形成領域Aの外縁部に形成された非重畳領域11内に設定される。
【0059】
当該構成により、
図13の(b)に示すように、フォトレジスト膜20に照射される光の強度は、フォトレジスト膜20の中央において最も小さく、中央から外縁部に向かうにつれて徐々に大きくなる。これにより、
図13の(c)に示すように、現像後のフォトレジスト膜20の形状を、中央から外縁部に向かうにつれて緩やかに傾斜した形状とすることができる。
【0060】
<変形例7>
実施形態1のフォトマスク1Aのパターン形成領域Aの更なる変形例について説明する。
図14の(a)は、本変形例のフォトマスク1Aのパターン形成領域Aに形成されたパターンデザインを示す平面図であり、
図14の(b)は、透明基板2に対して垂直な平面で切断した、本変形例のフォトマスク1Aの断面図である。
図15の(a)は、本変形例のフォトマスク1Aを介してフォトレジスト膜20に対して光を照射させたときのフォトレジスト膜20に照射される光の強度を示す図であり、
図15の(b)は、本変形例のフォトマスク1Aを介してフォトレジスト膜20に対して露光し、現像した後のフォトレジスト膜20の形状を示す図である。
【0061】
図14の(a)に示すように、本変形例では、パターン形成領域Aを平面視した場合、パターン形成領域Aの中央領域90において、半透過膜3と遮光膜5とが重畳している重畳領域10が形成されている。中央領域90の外側には、第1半透過部91、第2半透過部92、第3半透過部93、および第4半透過部94がこの順で内側からリング状に形成されている。第1半透過部91、第2半透過部92、第3半透過部93、および第4半透過部94は、半透過膜3で構成されている。
図14の(b)に示すように、第1半透過部91、第2半透過部92、第3半透過部93、および第4半透過部94のうち第1半透過部91の膜厚が最も大きく、第2半透過部92、第3半透過部93、第4半透過部94の順で膜厚が小さくなっている。これにより、第1半透過部91の光の透過率が最も小さくなっており、第2半透過部92、第3半透過部93、第4半透過部94の順で光の透過率が高くなっている。
【0062】
当該構成により、
図15の(a)に示すように、フォトレジスト膜20に照射される光の強度は、フォトレジスト膜20の中央において最も小さく、中央から外縁部に向かうにつれて徐々に大きくなる。これにより、
図15の(b)に示すように、現像後のフォトレジスト膜20の形状を、中央から外縁部に向かうにつれて緩やかに傾斜した形状とすることができる。
【0063】
以上のように、本変形例のフォトマスク1Aは、パターン形成領域Aの中央部に、半透過膜3のパターンと遮光膜5のパターンとが重畳するように積層された重畳領域10を有している。また、本変形例のフォトマスク1Aでは、光の透過率が異なる複数の半透過部(すなわち、第1半透過部91、第2半透過部92、第3半透過部93、および第4半透過部94)が重畳領域10を囲うようにパターン形成領域Aの外周部に向かって形成されており、前記複数の半透過部は、パターン形成領域Aの外縁部に向かうにつれて光の透過率が高くなっている。
【0064】
なお、上述したフォトマスク1Aでは、パターン形成領域Aの中央領域90に形成される重畳領域10が円形であり、第1半透過部91、第2半透過部92、第3半透過部93、および第4半透過部94がリング状の構成となっているが当該構成に限られるものではない。すなわち、本変形例のフォトマスク1Aは、パターン形成領域Aの中央部に重畳領域10を有し、重畳領域10を囲うようにパターン形成領域Aの外周部に向かって徐々に透過率が高くなっていくように複数の半透過部が形成されていればよい。例えば、重畳領域10および複数の半透過部は、楕円形、矩形などであってもよい。
【0065】
また、上述したフォトマスク1Aでは、第1半透過部91、第2半透過部92、第3半透過部93、および第4半透過部94は、同じ透過率を有する半透過膜3によって構成されていたが、本変形例のフォトマスク1Aは、当該構成に限られない。第1半透過部91、第2半透過部92、第3半透過部93、および第4半透過部94は、光の透過率が互いに異なる半透過膜で構成されることにより、パターン形成領域Aの外周部に向かって光の透過率が高くなるように構成されてもよい。
【0066】
次に、本変形例におけるフォトマスク1Aの製造方法について説明する。
図16~18は、フォトマスク1Aの製造方法を説明するための図である。
図16に示すように、フォトマスク1Bの製造では、まず、透明基板2の表面に、遮光膜5が形成されたマスクブランクス50を準備する(以降では、第1工程R1と称する)。次に、マスクブランクス50に形成されている遮光膜5のパターニングを行う。(以降では、第2工程R2と称する)。第2工程R2では、遮光膜5が重畳領域10の形状(すなわち、円形状)となるようにパターニングを行う。
【0067】
次に、遮光膜5を含む透明基板2の全面に半透過膜3を成膜する(以降では、第3工程R3と称する)。その後、第3工程R3において成膜した半透過膜3のパターニングを行う(以降では、第4工程R4と称する)。第4工程R4では、透明基板2を平面視したときに、半透過膜3の外縁の形状が、第1半透過部91の外縁の形状となるようにパターニングを行う。具体的には、第4工程R4では、半透過膜3の表面にフォトレジスト膜を形成し、当該フォトレジスト膜を描画装置で描画する。その後、フォトレジスト膜を現像および露光することによりフォトレジストパターンを形成し、当該フォトレジストパターンをマスクとして半透過膜3をエッチングすることにより、半透過膜の一部を除去して半透過膜3のパターンを形成する。その後、残存しているフォトレジスト膜を除去する。
【0068】
次に、
図17に示すように、透明基板2の全面に半透過膜3をさらに成膜する(以降では、第5工程R5と称する)。なお、
図17では、理解しやすいように、第5工程において成膜した半透過膜3について、第3工程R3で成膜した半透過膜3とは異なるハッチングを施している。この点については、以下の工程についても同様に異なるハッチングを施す。その後、第5工程R5において成膜した半透過膜3のパターニングを行う(以降では、第6工程R6と称する)。第6工程R6では、透明基板2を平面視したときに、半透過膜3の外縁の形状が、第2半透過部92の外縁の形状となるようにパターニングを行う。第6工程R6の具体的な方法は、第4工程R4の工程と同様である。
【0069】
次に、透明基板2の全面に半透過膜3をさらに成膜する(以降では、第7工程R7と称する)。その後、第7工程R7において成膜した半透過膜3のパターニングを行う(以降では、第8工程R8と称する)。第8工程R8では、透明基板2を平面視したときに、半透過膜3の外縁の形状が、第3半透過部93の外縁の形状となるようにパターニングを行う。第8工程R8の具体的な方法は、第4工程R4の工程と同様である。
【0070】
次に、
図18に示すように、透明基板2の全面に半透過膜3をさらに成膜する(以降では、第9工程R9と称する)。その後、第9工程R9において成膜した半透過膜3のパターニングを行う(以降では、第10工程R10と称する)。第10工程R10では、透明基板2を平面視したときに、半透過膜3の外縁の形状が、第4半透過部94の外縁の形状となるようにパターニングを行う。第10工程R10の具体的な方法は、第4工程R4の工程と同様である。以上の工程により、
図14の(b)に示すフォトマスク1A、すなわち、第1半透過部91の膜厚が最も大きく、第2半透過部92、第3半透過部93、第4半透過部94の順で膜厚が小さくなっているフォトマスク1Aを作製することができる。
【0071】
次に、第3工程R3、第5工程R5、第7工程R7および第9工程R9において成膜される半透過膜3の膜厚について説明する。膜厚の設定では、まず、第4半透過部94の光の透過率が所望の透過率となるように、第9工程R9において成膜される半透過膜3の膜厚が設定される。ここで、半透過膜が複数層積層された領域における透過率は、下記式(1)によって表される。
T=T0×exp(-4πkz/λ) ・・・(1)
上記式(1)において、Tは透過率、T0は基板ガラス(すなわち、透明基板2)および半透過膜の光学的性質より一意的に決まる値、λは露光光の波長、kは半透過膜の消衰係数、zは半透過膜の膜厚である。上記式(1)に示すように、T0、λ、kが一定の場合、半透過膜が複数層積層された領域における透過率は、半透過膜の膜厚によって定まる。第9工程R9では、上記式(1)から算出される透過率が第4半透過部94の透過率となるように、成膜する半透過膜の膜厚が設定される。なお、第4半透過部94は1層の半透過膜3により構成されるため、上記式(1)におけるλは第9工程R9において成膜される半透過膜3の膜厚となる。第9工程R9において形成された第4半透過部94の透過率が、本変形例におけるフォトマスク1Aの透過率の基準となる。
【0072】
次に、第7工程R7および第9工程R9においてそれぞれ成膜される半透過膜3の膜厚の合計の膜厚によって定まる第3半透過部93の光の透過率が所望の透過率となるように、第7工程R7において成膜される半透過膜3の膜厚が設定される。すなわち、第3半透過部93を所望の透過率とするために、第9工程R9で成膜される半透過膜3の膜厚を考慮して、あらかじめ第7工程R7で成膜される半透過膜3の膜厚を設定する。より詳細には、上記式(1)を用いて、第9工程R9で成膜される半透過膜3の膜厚と、第3半透過部93が所望の透過率となる半透過膜3の膜厚とを求め、これらの膜厚から第7工程R7において成膜する半透過膜3の膜厚を計算し、第7工程R7において半透過膜3を成膜する。
【0073】
次に、第5工程R5、第7工程R7および第9工程R9においてそれぞれ成膜される半透過膜3の膜厚の合計の膜厚によって定まる第2半透過部92の光の透過率が所望の透過率となるように、第5工程R5において成膜される半透過膜3の膜厚が設定される。より詳細には、上記式(1)を用いて、第7工程R7および第9工程R9で成膜される半透過膜3の膜厚と、第2半透過部92が所望の透過率となる半透過膜3の膜厚とを求め、これらの膜厚から第5工程R5において成膜する半透過膜3の膜厚を計算し、第5工程R5において半透過膜3を成膜する。
【0074】
最後に、第3工程R3、第5工程R5、第7工程R7および第9工程R9においてそれぞれ成膜される半透過膜3の膜厚の合計の膜厚によって定まる第1半透過部91の光の透過率が所望の透過率となるように、第3工程R3において成膜される半透過膜3の膜厚が設定される。より詳細には、上記式(1)を用いて、第5工程R5、第7工程R7および第9工程R9で成膜される半透過膜3の膜厚と、第1半透過部91が所望の透過率となる半透過膜3の膜厚とを求め、これらの膜厚から第3工程R3において成膜する半透過膜3の膜厚を計算し、第3工程R3において半透過膜3を成膜する。
【0075】
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0076】
図19の(a)は、本実施形態におけるフォトマスク1Bのパターン形成領域Aに形成されたパターンデザインを示す平面図であり、
図19の(b)は、フォトマスク1Bの構成を示す図であり、透明基板2に対して垂直な平面で切断したフォトマスク1Bの断面図である。実施形態1におけるフォトマスク1Aは、ボトム型のフォトマスクであったが、本実施形態におけるフォトマスク1Bは、トップ型のフォトマスクである。
【0077】
フォトマスク1Bは、
図19の(b)に示すように、透明基板2、遮光膜5および半透過膜3がこの順で積層された領域と、透明基板2に半透過膜3が積層された領域とを備える構造となっている。なお、遮光膜5および半透過膜3は、透明基板2のすべての領域に配置されておらず、パターン形成領域Aに適宜配置されている。なお、実施形態におけるフォトマスク1Bは、
図19(a)に示すパターン形成領域Aを有するものに限られず、上記変形例1~7において説明したパターン形成領域Aを有していてもよい。
【0078】
フォトマスク1Aと同様に、フォトマスク1Bにおけるパターン形成領域Aでは、透明基板2の表面に円形状の遮光膜5が位置しており、遮光膜5の中心と同じ位置を中心とし遮光膜5よりも直径が長い円形状の半透過膜3が遮光膜5の上面および透明基板2の上面に形成されている。
【0079】
これにより、フォトマスク1Bのパターン形成領域Aには、
図19の(a)に示すように、パターン形成領域Aの中心を含む中央部に、遮光膜5と半透過膜3とが重畳した重畳領域10が円形状に形成されている。また、パターン形成領域Aには、重畳領域10を取り囲むように半透過膜3のみが形成された非重畳領域11が形成されている。換言すれば、パターン形成領域Aの外縁部に非重畳領域11が形成されている。
【0080】
当該構成により、実施形態1におけるフォトマスク1Aと同様に、パターン形成領域Aの中央部において、光の透過率が低くなっているのに対し、パターン形成領域Aの外縁部では、パターン形成領域Aの外側に向かうにつれて光の透過率が高くなっている。換言すれば、パターン形成領域Aの中央部を含む所定面積の領域を第1領域D1とし、パターン形成領域Aの外縁部における所定面積の領域を第2領域D2とした場合に、第1領域D1内の透過率よりも第2領域D2内の透過率の方が高くなっている。
【0081】
次に、フォトマスク1Bの製造方法について説明する。
図20~22は、フォトマスク1Bの製造方法を説明するための図である。
図20に示すように、フォトマスク1Bの製造では、まず、透明基板2の表面に、遮光膜5が形成されたマスクブランクス50を準備する(以降では、第1工程Q1と称する)。次に、マスクブランクス50の表面に第1フォトレジスト膜60を形成する(以降では、第2工程Q2と称する)。その後、第1フォトレジスト膜60に対して描画装置で描画して第1フォトレジストパターンを形成する(以降では、第3工程Q3と称する)。第3工程Q3では、マスクブランクス50を平面視したときに、現像後の第1フォトレジスト膜60が重畳領域10の形状(すなわち、円形状)となるように描画を行う。
【0082】
次に、第1フォトレジスト膜60を現像して第1フォトレジスト膜60のうち描画を行った領域60Aを除去することにより、第1フォトレジストパターンを形成する(以降では、第4工程Q4と称する)。第3工程Q3および第4工程Q4は、第1フォトレジストパターンを形成する工程である。
【0083】
次に、
図21に示すように、パターンが形成された第1フォトレジスト膜60(すなわち、第1フォトレジストパターン)をマスクとして遮光膜5をエッチングすることにより、遮光膜5の一部を除去して遮光膜5のパターンを形成する(以降では、第5工程Q5と称する)。次に、残存している第1フォトレジスト膜60を除去する(以降では、第6工程Q6と称する)。
【0084】
次に、遮光膜5を含むフォトマスクの全面に半透過膜3を形成する(以降では、第7工程Q7と称する)。その後、半透過膜3の表面に第2フォトレジスト膜61を形成する(以降では、第8工程Q8と称する)。その後、
図22に示すように、第2フォトレジスト膜61を描画装置で描画する(以降では、第9工程P9と称する)。第9工程P9では、フォトマスクを平面視したときに、第2フォトレジスト膜61の外縁部に対してリング状になるように描画を行う。
【0085】
次に、第2フォトレジスト膜61を現像して第2フォトレジスト膜61のうち描画を行った領域61Aを除去することにより、第2フォトレジストパターンを形成する(以降では、第10工程Q10と称する)。第9工程Q9および第10工程Q10は、第2フォトレジストパターンを形成する工程である。
【0086】
次に、パターンが形成された第2フォトレジスト膜61(すなわち、第2フォトレジストパターン)をマスクとして、半透過膜3の一部を除去する(以降では、第11工程Q11と称する)。最後に、残存している第2フォトレジスト膜61を除去する(以降では、第12工程Q12と称する)。
【0087】
以上の工程により、パターン形成領域Aの中心を含む中央部に重畳領域10が円形状に形成されるとともに、重畳領域10を取り囲むように非重畳領域11が形成されたパターン形成領域を有するフォトマスク1Bを作製することができる。
【0088】
<変形例8>
上記いずれかの実施形態または変形例として説明したフォトマスクは、遮光膜5と半透過膜3との透過率の差、遮光膜5と半透過膜3との面積比による透過率差などを利用するものであったが、本発明のフォトマスクはこれに限られず、半透過膜3に代えて、または、半透過膜3と併用して位相シフト膜を適用することも可能である。位相シフト膜の適用は、透明基板2に対する位相シフト膜の位相差、および、位相シフト膜の透過率を調整するとともに、位相効果を適用する領域を設定することにより可能となる。
【0089】
例えば、
図2の(a)に示すフォトマスク1Aにおいて、透明基板2に対する位相差が100度以下となるように位相シフト膜の膜厚を調整し、透過率の低い重畳領域10と透過率の高い非重畳領域11との間に位相シフト膜を配置し、重畳領域10と非重畳領域11との境界近傍を透過する露光装置の露光光が位相効果により非重畳領域11側へシフトされるように調整してもよい。
【0090】
また、
図14の(a)に示すフォトマスク1Aにおいて、重畳領域10の外周に形成された光の透過率が異なる複数の半透過部(すなわち、第1半透過部91、第2半透過部92、第3半透過部93、および第4半透過部94)の少なくとも1つ以上の隣接する半透過部の間、および/または隣接する半透過部の境界の近傍に、位相シフト膜を形成してもよい。
【0091】
また、
図8の(a)、
図9の(a)、
図10の(a)、
図11の(a)、
図12の(a)などに示す、重畳領域10と非重畳領域11とによってパターンが形成されるフォトマスク1Aにおいて、重畳領域10と非重畳領域11との境界近傍に位相シフト膜を形成してもよい。
【0092】
以上のように、位相シフト膜を形成することにより、より細やかな透過率調整が可能となる。その結果、本願のフォトマスクを介して形成される被転写基板側のレジスト形状をより緩やかな傾斜形状にすることが可能となる。
【0093】
なお、位相シフト膜を適用する場合であっても、位相シフト膜と、遮光膜5およびまたは半透過膜3の材料を同種金属系とすることで、上述の製造方法が適用できるため、特に問題なく位相シフト膜を採用することが可能である。
【0094】
また、例えば実施形態1のフォトマスク1Aでは、重畳領域10を遮光膜5と半透過膜3とが重畳した構成としているが、遮光膜5に代えて前記位相シフト膜を適用してもよい。すなわち、位相シフト膜を形成する領域を、非重畳領域11よりも透過率が低い、換言すれば、透過する露光光の強度が小さい領域に設定できればよく、半透過膜3と位相シフト膜との積層により光学濃度OD値が2.7以上を満たすことができれば適応が可能である。
【0095】
〔実施形態3〕
上述の各実施形態では、パターン形成領域Aが円形状となっているフォトマスクについて説明したが、本発明のフォトマスクはこれに限られず、上記表示装置の各画素の形状に合わせてパターン形成領域Aを所望の形状とすることができる。これについて、
図23を参照しながら説明する。
【0096】
図23は、本実施形態におけるフォトマスク1Cのパターン形成領域Aを示す平面図である。
図23に示すように、フォトマスク1Cのパターン形成領域Aは、正五角形になっている。フォトマスク1Cのパターン形成領域Aには、パターン形成領域Aの中心を含む中央部に、遮光膜5と半透過膜3とが重畳した重畳領域10が正五角形状に形成されている。また、パターン形成領域Aには、重畳領域10を取り囲むように半透過膜3のみが形成された非重畳領域11が形成されている。本変形例における第1領域D1は、重畳領域10内に設定される。本変形例における第2領域D2は、パターン形成領域Aの外縁部に形成された非重畳領域11内に設定される。
【0097】
当該構成により、フォトマスク1Cを介して露光を行えば、フォトレジスト膜20の外縁部に照射される光の強度が、フォトレジスト膜20の中央部に照射される光の強度よりも大きくなる。これにより、
図3の(b)に示すように、現像後のフォトレジスト膜20を、外縁部が緩やかに傾斜した形状とすることができる。換言すれば、フォトレジスト膜20を中央から外側にかけて緩やかに傾斜させることができる。
【0098】
なお、本実施形態では、パターン形成領域Aが正五角形である構成について説明したが、本発明のフォトマスクはこれに限られない。本発明の一態様のフォトマスクでは、パターン形成領域Aが正五角形以外の五角形状であってもよいし、五角形以外の多角形(例えば、三角形、矩形、六角形など)であってもよい。また、本発明の一態様のフォトマスクでは、パターン形成領域Aが一対の対向する直線と、当該一対の対向する直線の両端部を接続する2つの曲線を有し、上記一対の対向する直線と上記2つの曲線とにより形成される形状であってもよい。また、本発明の一態様のフォトマスクでは、パターン形成領域Aが、多角形形状であり、かつ、多角形の少なくとも1つの角が円弧などの曲線により構成される形状であってもよい。
【0099】
<変形例9>
本発明の一態様のフォトマスクは、パターン形成領域Aが楕円形であってもよい。これについて、
図24を参照しながら説明する。
【0100】
図24は、本実施形態におけるフォトマスク1Dのパターン形成領域Aを示す平面図である。
図24に示すように、フォトマスク1Dのパターン形成領域Aは、楕円形になっている。フォトマスク1Dのパターン形成領域Aには、パターン形成領域Aの中心を含む中央部に、遮光膜5と半透過膜3とが重畳した重畳領域10が楕円形状に形成されている。また、パターン形成領域Aには、重畳領域10を取り囲むように半透過膜3のみが形成された非重畳領域11が形成されている。本変形例における第1領域D1は、重畳領域10内に設定される。本変形例における第2領域D2は、パターン形成領域Aの外縁部に形成された非重畳領域11内に設定される。
【0101】
当該構成により、フォトマスク1Dでは、フォトレジスト膜20の外縁部に照射される光の強度が、フォトレジスト膜20の中央部に照射される光の強度よりも大きくなっている。これにより、
図3の(b)に示した断面と同様に、現像後のフォトレジスト膜20を、外縁部が緩やかに傾斜した形状とすることができる。換言すれば、フォトレジスト膜20を中央から外側にかけて緩やかに傾斜させることができる。
【0102】
〔実施形態4〕
以上の説明では、本発明のフォトマスクを介してポジ型のフォトレジスト膜に対して露光を行うことにより、被転写基板に対して凸形状のレジスト形状を形成する構成について説明したが、本発明のフォトマスクは、ネガ型のフォトレジスト膜に対して用いることもできる。この場合、形成されるレジスト形状は、被転写基板に対して凹形状となる。当該凹形状は、外縁部が緩やかに傾斜した形状を有するものとなる。当該構成について以下に詳細に説明する。
【0103】
図25は、実施形態1において説明したフォトマスク1Aを介して被転写基板上のネガ型のフォトレジスト膜84に対して露光し、現像した後のフォトレジスト膜84の形状を示す図である。実施形態1において説明したように、フォトマスク1Aでは、パターン形成領域Aの中央部では透過率が低くなっており、中央部から外側に向かうにつれて透過率が高くなっている。当該構成を有するフォトマスク1Aを用いてネガ型のフォトレジスト膜84に対して露光および現像を行うことにより、
図25に示すように、現像後のフォトレジスト膜84は、照射される光の強度が小さい中央部では、現像により除去される。また、中央部から外縁部に向かうにつれて照射される光の強度が大きくなるため、フォトレジスト膜84の現像液に対する溶解性が低くなり残存するフォトレジスト膜84の厚みが大きくなる。換言すれば、ネガ型のフォトレジスト膜84に対してフォトマスク1Aを用いることにより、現像後のフォトレジスト膜84の形状を、被転写基板に対して凹形状にするとともに、遮光領域と透光領域との間の領域が緩やかに傾斜した形状にすることができる。
【0104】
〔実施形態5〕
上述の各実施形態では、中央から外側に向かうにつれてフォトレジスト膜20に照射される光の強度が大きくなるようにパターン形成領域Aが形成されているフォトマスクについて説明したが、本発明のフォトマスクはこれに限られない。本発明の一態様のフォトマスクは、中央から外側に向かうにつれてフォトレジスト膜20に照射される光の強度が小さくなるようにパターン形成領域Aが形成されている構成であってもよい。これについて、
図26を用いて説明する。
【0105】
図26の(a)は、本実施形態におけるフォトマスク1Eのパターン形成領域Aに形成されたパターンデザインを示す図であり、
図26の(b)は、透明基板2に対して垂直な平面で切断したフォトマスク1Eの断面図である。
【0106】
図26の(a)に示すように、フォトマスク1Eのパターン形成領域Aは、円形状になっている。フォトマスク1Eのパターン形成領域Aには、パターン形成領域Aの中心を含む中央部に、光を透過させる透光部85が円形状に形成されている。また、
図26の(a)および(b)に示すように、パターン形成領域Aには、透光部85を取り囲むように半透過膜3のみが形成された非重畳領域11が形成されている。これにより、パターン形成領域Aの中央部を含む所定面積の領域を第1領域D1とし、パターン形成領域Aの外縁部における所定面積の領域を第2領域D2とした場合に、第1領域D1内の透過率よりも第2領域D2内の透過率の方が低くなっている。パターン形成領域Aの外側の領域は、遮光膜5とエッチングストッパー膜4と半透過膜3とが重畳した重畳領域10が形成されており、遮光領域となっている。
【0107】
上記の構成を有するフォトマスク1Eでは、パターン形成領域Aの中央部に透光部85が存在していることにより、フォトレジスト膜20の中央部に照射される光の強度が大きくなっている。また、透光部85を取り囲むように、非重畳領域11が形成されていることにより、中央から外側に向かうにつれてフォトレジスト膜20に照射される光の強度が小さくなっている。
【0108】
図27は、フォトマスク1Eを介して被転写基板上のポジ型のフォトレジスト膜20に対して露光し、現像した後のフォトレジスト膜20の形状を示す図である。
図27に示すように、フォトマスク1Eを介して被転写基板上のポジ型のフォトレジスト膜20に対して露光し、現像することにより、現像後のフォトレジスト膜20は、照射される光の強度が大きい中央部では、現像により除去される。また、中央部から外縁部に向かうにつれて照射される光の強度が低くなるため、残存するフォトレジスト膜20の厚みが大きくなる。換言すれば、ポジ型のフォトレジスト膜20に対してフォトマスク1Eを用いることにより、現像後のフォトレジスト膜20の形状を、被転写基板に対して凹形状にするとともに、遮光領域と透光領域との間の領域が緩やかに傾斜した形状にすることができる。
【0109】
図28は、フォトマスク1Eを介して被転写基板上のネガ型のフォトレジスト膜84に対して露光し、現像した後のフォトレジスト膜84の形状を示す図である。
図28に示すように、フォトマスク1Eを介して被転写基板上のネガ型のフォトレジスト膜84に対して露光し、現像することにより、現像後のフォトレジスト膜84を、外縁部が緩やかに傾斜した形状とすることができる。換言すれば、フォトレジスト膜84を中央から外側にかけて緩やかに傾斜させることができる。
【0110】
次に、フォトマスク1Eの製造方法について説明する。
図29~31は、フォトマスク1Eの製造方法を説明するための図である。
図29に示すように、フォトマスク1Aの製造では、まず、透明基板2の表面に、半透過膜3、エッチングストッパー膜4、および、遮光膜5がこの順に積層されて形成されたマスクブランクス30を準備する(以降では、第1工程S1と称する)。
【0111】
次に、マスクブランクス30の表面に第1フォトレジスト膜40を形成する(以降では、第2工程S2と称する)。その後、第1フォトレジスト膜40を描画装置で描画する(以降では、第3工程S3と称する)。第3工程S3では、マスクブランクス30を平面視したときに、パターン形成領域Aに対応する領域の第1フォトレジスト膜40が現像により除去されるように描画を行う。
【0112】
次に、第1フォトレジスト膜40を現像して第1フォトレジスト膜40のうち描画を行った領域40Aを除去することにより、第1フォトレジストパターンを形成する(以降では、第4工程S4と称する)。第3工程S3および第4工程S4は、第1フォトレジストパターンを形成する工程である。
【0113】
次に、
図30に示すように、パターンが形成された第1フォトレジスト膜40(すなわち、第1フォトレジストパターン)をマスクとして、遮光膜5をエッチングすることにより、遮光膜5のパターンを形成する(以降では、第5工程S5と称する)。第5工程S5では、遮光膜5をエッチングする溶剤としてエッチングストッパー膜4を溶解しない溶剤を用いることにより、遮光膜5のみがエッチングされ除去される。
【0114】
次に、第1フォトレジストパターンと遮光膜5とをマスクとして、エッチングストッパー膜4を除去する(以降では、第6工程S6と称する)。その後、残存している第1フォトレジスト膜40を除去する(以降では、第7工程S7と称する)。
【0115】
次に、遮光膜5を含むフォトマスクの全面に第2フォトレジスト膜41を形成する(以降では、第8工程S8と称する)。
【0116】
次に、
図31に示すように、第2フォトレジスト膜41を描画装置で描画する(以降では、第9工程S9と称する)。第9工程S9では、フォトマスクを平面視したときに、重畳領域10および非重畳領域11に対応する領域の第2フォトレジスト膜41のみが現像後に残存するように描画を行う。このとき描画装置のアライメントズレによるパターンの位置ずれを考慮したマージンを予め設計パターンに反映させ、パターンの位置ずれの影響を最小限にとどめることも重要である。
【0117】
次に、第2フォトレジスト膜41を現像して第2フォトレジスト膜41のうち描画を行った領域41Aを除去することにより、第2フォトレジストパターンを形成する(以降では、第10工程S10と称する)。第8工程S8、第9工程S9および第10工程S10は、第2フォトレジストパターンを形成する工程である。
【0118】
次に、パターンが形成された第2フォトレジスト膜41(すなわち、第2フォトレジストパターン)をマスクとして、半透過膜3をエッチングすることにより、半透過膜3のパターンを形成する(以降では、第11工程S11と称する)。最後に、残存している第2フォトレジスト膜41を除去する(以降では、第12工程P12と称する)。
【0119】
以上の工程により、パターン形成領域Aの中心を含む中央部に透光部85が円形状に形成されるとともに、透光部85を取り囲むように非重畳領域11が形成されたパターン形成領域Aを有するフォトマスク1Eを作製することができる。
【0120】
〔実施形態6〕
実施形態5では、パターン形成領域Aの中央部に透光領域を有し、当該透光領域を取り囲むように非重畳領域が形成されている、ボトム型のフォトマスク1Eについて説明したが、本発明のフォトマスクはこれに限られない。本発明の一態様のフォトマスクは、パターン形成領域Aの中央部に透光領域を有し、当該透光領域を取り囲むように非重畳領域が形成されている、トップ型のフォトマスクであってもよい。これについて以下に詳細に説明する。
【0121】
図32の(a)は、本実施形態におけるフォトマスク1Fのパターン形成領域Aに形成されたパターンデザインを示す図であり、
図32の(b)は、透明基板2に対して垂直な平面で切断したフォトマスク1Fの断面図である。
【0122】
図32の(a)に示すように、フォトマスク1Fのパターン形成領域Aには、パターン形成領域Aの中心を含む中央部に、光を透過させる透光部85が円形状に形成されている。また、
図32の(a)および(b)に示すように、パターン形成領域Aには、透光部85を取り囲むように半透過膜3のみが形成された非重畳領域11が形成されている。さらに、パターン形成領域Aの外側には、非重畳領域11を取り囲むように遮光膜5と半透過膜3とが重畳した重畳領域10が形成されている。
【0123】
当該構成により、実施形態5におけるフォトマスク1Eと同様に、パターン形成領域Aの中央部において、光の透過率が高くなっているのに対し、パターン形成領域Aの外縁部では、パターン形成領域Aの外側に向かうにつれて光の透過率が低くなっている。換言すれば、パターン形成領域Aの中央部を含む所定面積の領域を第1領域D1とし、パターン形成領域Aの外縁部における所定面積の領域を第2領域D2とした場合に、第1領域D1内の透過率よりも第2領域D2内の透過率の方が低くなっている。
【0124】
次に、フォトマスク1Fの製造方法について説明する。
図33~35は、フォトマスク1Fの製造方法を説明するための図である。
図33に示すように、フォトマスク1Bの製造では、まず、透明基板2の表面に、遮光膜5が形成されたマスクブランクス50を準備する(以降では、第1工程T1と称する)。次に、マスクブランクス50の表面に第1フォトレジスト膜60を形成する(以降では、第2工程T2と称する)。その後、第1フォトレジスト膜60に対して描画装置で描画して第1フォトレジストパターンを形成する(以降では、第3工程T3と称する)。第3工程T3では、マスクブランクス50を平面視したときに、パターン形成領域Aに対応する領域の第1フォトレジスト膜60が現像により除去されるように描画を行う。
【0125】
次に、第1フォトレジスト膜60を現像して第1フォトレジスト膜60のうち描画を行った領域60Aを除去することにより、第1フォトレジストパターンを形成する(以降では、第4工程T4と称する)。第3工程T3および第4工程T4は、第1フォトレジストパターンを形成する工程である。
【0126】
次に、
図34に示すように、パターンが形成された第1フォトレジスト膜60(すなわち、第1フォトレジストパターン)をマスクとして遮光膜5をエッチングすることにより、遮光膜5の一部を除去して遮光膜5のパターンを形成する(以降では、第5工程T5と称する)。次に、残存している第1フォトレジスト膜60を除去する(以降では、第6工程T6と称する)。
【0127】
次に、遮光膜5を含むフォトマスクの全面に半透過膜3を形成する(以降では、第7工程T7と称する)。その後、半透過膜3の表面に第2フォトレジスト膜61を形成する(以降では、第8工程T8と称する)。その後、
図35に示すように、第2フォトレジスト膜61を描画装置で描画する(以降では、第9工程T9と称する)。このとき描画装置のアライメントズレによるパターンの位置ずれを考慮したマージンを予め設計パターンに反映させ、パターンの位置ずれの影響を最小限にとどめることも重要である。第9工程T9では、フォトマスクを平面視したときに、重畳領域10および非重畳領域11に対応する領域の第2フォトレジスト膜61のみが残存するように描画を行う。
【0128】
次に、第2フォトレジスト膜61を現像して第2フォトレジスト膜61のうち描画を行った領域61Aを除去することにより、第2フォトレジストパターンを形成する(以降では、第10工程T10と称する)。第9工程T9および第10工程T10は、第2フォトレジストパターンを形成する工程である。
【0129】
次に、パターンが形成された第2フォトレジスト膜61(すなわち、第2フォトレジストパターン)をマスクとして、半透過膜3の一部を除去する(以降では、第11工程T11と称する)。最後に、残存している第2フォトレジスト膜61を除去する(以降では、第12工程T12と称する)。
【0130】
以上の工程により、パターン形成領域Aの中心を含む中央部に透光部85が円形状に形成されるとともに、重畳領域10を取り囲むように非重畳領域11が形成されたパターン形成領域Aを有するフォトマスク1Fを作製することができる。
【0131】
<変形例10>
実施形態6のフォトマスク1Fのパターン形成領域Aの変形例について説明する。
図36は、本変形例におけるパターン形成領域Aを示す平面図である。
図36に示すように、本変形例では、パターン形成領域Aを平面視した場合、半透過膜3および遮光膜5が存在していない矩形の透光部85と、半透過膜3に遮光膜5が重畳していない矩形の非重畳領域11とが交互に配置されているチェック柄領域12が形成されている。また、本変形例では、チェック柄領域12の外周に、半透過膜3に遮光膜5が重畳していない領域が形成されている。すなわち、本変形例のパターン形成領域Aは、(1)半透過膜3および遮光膜5が存在していない透光部85と、半透過膜3に遮光膜5が重畳していない非重畳領域11とを含む混在領域と、(2)前記混在領域の外縁に形成され、半透過膜3に遮光膜5が重畳していない非混在領域とを有している。本変形例における第1領域D1は、チェック柄領域12の内部に存在し、かつ、パターン形成領域Aの中央部に位置する矩形の透光部85を少なくとも含むように設定される。すなわち、第1領域D1は、パターン形成領域Aの中央部に位置する透光部85のみを含む領域であってもよいし、当該透光部85とその周囲の非重畳領域11とを含む領域であってもよい。本変形例における第2領域D2は、チェック柄領域12の外側の領域、すなわちパターン形成領域Aの外縁部に形成された非重畳領域11内に設定される。
【0132】
当該構成により、パターン形成領域Aの中央部に透光部85が存在していることにより、透光部85の面積比が大きくなるにつれてフォトレジスト膜20の中央部に照射される光の強度が大きくなっている。また、パターン形成領域Aの外縁部においてチェック柄領域12を取り囲むように半透過膜3のみが存在していることにより、中央から外側に向かうにつれてフォトレジスト膜20に照射される光の強度が小さくなっている。これにより、現像後のフォトレジスト膜20は、外縁部が緩やかに傾斜した形状となっている。すなわち、本変形例のフォトマスクを用いることにより、フォトレジスト膜20を中央から外側にかけて緩やかに傾斜させることができる。
【0133】
<変形例11>
実施形態6のフォトマスク1Fのパターン形成領域Aの更なる変形例について説明する。
図37は、本変形例におけるパターン形成領域Aを示す平面図である。
図37に示すように、本変形例では、パターン形成領域Aを平面視した場合、パターン形成領域Aの中央領域14において、半透過膜3および遮光膜5が存在していない透光部85が形成されている。また、本変形例では、半透過膜3および遮光膜5が存在していない透光部85と、半透過膜3に遮光膜5が重畳していない複数の非重畳領域11とを有する領域15が中央領域14の外側に形成されている。領域15では、非重畳領域11が外縁部に向かうにつれて面積が大きくなるように形成されている。また、領域15の外周には、半透過膜3に遮光膜5が重畳していない領域が形成されている。本変形例における第1領域D1は、中央領域14の内部に設定される。本変形例における第2領域D2は、領域15の外側の領域、すなわちパターン形成領域Aの外縁部に形成された非重畳領域11内に設定される。
【0134】
当該構成により、中央領域14に透光部85が形成されているため、フォトレジスト膜20の中央部に照射される光の強度が大きくなっている。また、中央領域14から外側に向かうにつれて、非重畳領域11の面積比が大きくなるため、フォトレジスト膜20に照射される光の強度が小さくなる。これにより、現像後のフォトレジスト膜20を、外縁部が緩やかに傾斜した形状とすることができる。換言すれば、フォトレジスト膜20を中央から外側にかけて緩やかに傾斜させることができる。
【0135】
<変形例12>
実施形態6のフォトマスク1Fのパターン形成領域Aの更なる変形例について説明する。
図38は、本変形例におけるパターン形成領域Aを示す平面図である。
図38に示すように、本変形例では、パターン形成領域Aを平面視した場合、パターン形成領域Aの中央部は、半透過膜3および遮光膜5が存在していない矩形の透光部85と、半透過膜3に遮光膜5が重畳されていない矩形の非重畳領域11とが交互に配置されている。また、矩形の透光部85と矩形の非重畳領域11とが交互に配置されている領域の外側には、半透過膜3のみが存在している領域が形成されている。さらに、半透過膜3のみが存在している領域の外縁部には、遮光膜5と半透過膜3とが重畳している複数の矩形の重畳領域86が形成されている。本変形例における第1領域D1は、透光部85と非重畳領域11とが交互に配置された領域であって、かつ、少なくとも一部に透光部85を含む領域となるように設定される。本変形例における第2領域D2は、パターン形成領域Aの外縁部に形成された領域であって、少なくとも一部に重畳領域86を含むように設定される。
【0136】
当該構成により、パターン形成領域Aの中央部に透光部85と非重畳領域11とが交互に配置されており、パターン形成領域Aの外縁部に半透過膜3のみが存在している領域が形成されているため、フォトレジスト膜20に照射される光の強度は、フォトレジスト膜20の中央において最も大きく、中央から外縁部に向かうにつれて徐々に小さくなる。これにより、現像後のフォトレジスト膜20の形状を、中央から外縁部に向かうにつれて緩やかに傾斜した形状とすることができる。
【0137】
<変形例13>
実施形態6のフォトマスク1Fのパターン形成領域Aの更なる変形例について説明する。
図39は、本変形例におけるパターン形成領域Aを示す平面図である。
図39に示すように、本変形例では、パターン形成領域Aを平面視した場合、パターン形成領域Aの中央領域17において、半透過膜3および遮光膜5が存在していない透光部85が形成されている。また、本変形例では、中央領域17からパターン形成領域Aの外縁部に向けて透光部85が放射状に延びる放射状領域87が形成されている。放射状領域87は、パターン形成領域Aの外縁部に向かうにつれて幅が狭くなっている。本変形例における第1領域D1は、中央領域17の内部に設定される。本変形例における第2領域D2は、パターン形成領域Aの外縁部の領域であって、少なくとも一部に非重畳領域11を含むように設定される。すなわち、本変形例のパターン形成領域Aは、(1)半透過膜3および遮光膜5が存在していない非混在領域(透光部85)と、(2)前記非混在領域の外縁に形成され、半透過膜3および遮光膜5が存在していない領域と、半透過膜3に遮光膜5が重畳していない非重畳領域とを含む混在領域78とを有している。
【0138】
当該構成により、パターン形成領域Aの中央領域17に透光部85が形成されており、中央領域17からパターン形成領域Aの外縁部に向けて透光部85が放射状に延びているため、フォトレジスト膜20に照射される光の強度は、フォトレジスト膜20の中央において最も大きく、中央から外縁部に向かうにつれて徐々に小さくなる。これにより、現像後のフォトレジスト膜20の形状を、中央から外縁部に向かうにつれて緩やかに傾斜した形状とすることができる。
【0139】
<変形例14>
実施形態6のフォトマスク1Fのパターン形成領域Aの更なる変形例について説明する。
図40は、本変形例におけるパターン形成領域Aを示す平面図である。
図40に示すように、本変形例では、パターン形成領域Aを平面視した場合、パターン形成領域Aの中央領域88において、半透過膜3および遮光膜5が存在していない透光部85が形成されている。また、本変形例では、中央領域88からパターン形成領域Aの外縁部に向けて透光部が渦巻き状に延びる渦巻き状領域89が形成されている。複数の渦巻き状領域89の間には、非重畳領域11が形成されている。渦巻き状領域89は、パターン形成領域Aの外縁部に向かうにつれて幅が狭くなる場合もある。本変形例における第1領域D1は、中央領域88の内部に設定される。本変形例における第2領域D2は、パターン形成領域Aの外縁部の領域であって、少なくとも一部に非重畳領域11を含むように設定される。
【0140】
当該構成により、パターン形成領域Aの中央領域88に透光部85が形成されており、中央領域88からパターン形成領域Aの外縁部に向けて渦巻き状に延びる透光部85が形成されているため、フォトレジスト膜20に照射される光の強度は、フォトレジスト膜20の中央において最も大きく、中央から外縁部に向かうにつれて徐々に小さくなる。これにより、現像後のフォトレジスト膜20の形状を、中央から外縁部に向かうにつれて緩やかに傾斜した形状とすることができる。
【0141】
<変形例15>
実施形態6のフォトマスク1Fのパターン形成領域Aの更なる変形例について説明する。
図41は、本変形例におけるパターン形成領域Aを示す平面図である。
図41に示すように、本変形例では、パターン形成領域Aを平面視した場合、パターン形成領域Aの中央領域102において、半透過膜3および遮光膜5が存在していない透光部85が形成されている。中央領域102の外側には、半透過膜3と遮光膜5とが重畳している重畳領域10と、遮光膜5および半透過膜3が存在していない複数の透光部85とを有する領域103が形成されている。領域103は、重畳領域10がパターン形成領域Aの外側に向かうにつれて面積が大きくなるように形成されている。また、領域103の外周には、第1半透過部100がリング状に形成されている。また、第1半透過部100の外周に第2半透過部101がリング状に形成されている。第1半透過部100は、第2半透過部101よりも透過率が高くなるように設計される。本変形例における第1領域D1は、中央領域102の内部に設定される。本変形例における第2領域D2は、パターン形成領域Aの外縁部に形成された非重畳領域11内に設定される。
【0142】
当該構成により、パターン形成領域Aの中央領域102に透光部85が形成されており、中央領域102の外側に重畳領域10と透光部85とを有する領域103が形成されており、領域103の外周に第1半透過部100が形成されているため、フォトレジスト膜20に照射される光の強度は、フォトレジスト膜20の中央において最も大きく、中央から外縁部に向かうにつれて徐々に小さくなる。これにより、現像後のフォトレジスト膜20の形状を、中央から外縁部に向かうにつれて緩やかに傾斜した形状とすることができる。
【0143】
<変形例16>
実施形態6のフォトマスク1Fのパターン形成領域Aの更なる変形例について説明する。
図42は、本変形例のフォトマスクのパターン形成領域Aに形成されたパターンデザインを示す平面図である。
図42に示すように、本変形例では、パターン形成領域Aを平面視した場合、パターン形成領域Aの中央領域110において、半透過膜3および遮光膜5が存在していない透光部85が形成されている。中央領域110の外側には、第1半透過部111、第2半透過部112、第3半透過部113、および第4半透過部114がこの順で内側からリング状に形成されている。第1半透過部111、第2半透過部112、第3半透過部113、および第4半透過部114は、半透過膜3で構成されている。第1半透過部111、第2半透過部112、第3半透過部113、および第4半透過部114のうち第1半透過部111の膜厚が最も小さく、第2半透過部112、第3半透過部113、第4半透過部114の順で膜厚が大きくなっている。これにより、第1半透過部111の光の透過率が最も大きくなっており、第2半透過部112、第3半透過部113、第4半透過部114の順で光の透過率が低くなっている。
【0144】
当該構成により、パターン形成領域Aにおいて中央から外側に向かうにつれて半透過膜の膜厚が大きくなっていることにより、フォトレジスト膜20に照射される光の強度は、フォトレジスト膜20の中央において最も大きく、中央から外縁部に向かうにつれて徐々に小さくなる。これにより、現像後のフォトレジスト膜20の形状を、中央から外縁部に向かうにつれて緩やかに傾斜した形状とすることができる。
【0145】
以上のように、本変形例のフォトマスクは、パターン形成領域Aの中央部に、半透過膜3および遮光膜5が存在していない透光部85を有している。また、本変形例のフォトマスクでは、光の透過率が異なる複数の半透過部(すなわち、第1半透過部91、第2半透過部92、第3半透過部93、および第4半透過部94)が透光部85を囲うようにパターン形成領域Aの外周部に向かって形成されており、前記複数の半透過部は、パターン形成領域Aの外縁部に向かうにつれて光の透過率が低くなっている。
【0146】
なお、上述したフォトマスク1Aでは、パターン形成領域Aの中央領域110に形成される重畳領域10が円形であり、第1半透過部111、第2半透過部112、第3半透過部113、および第4半透過部114がリング状の構成となっているが当該構成に限られるものではない。すなわち、本変形例のフォトマスクは、パターン形成領域Aの中央部に透光部85を有し、当該透光部85を囲うようにパターン形成領域Aの外周部に向かって徐々に透過率が高くなっていくように複数の半透過部が形成されていればよい。例えば、透光部85および複数の半透過部は、楕円形、矩形などであってもよい。
【0147】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0148】
1A~1F フォトマスク
2 透明基板
3 半透過膜
4 エッチングストッパー膜
5 遮光膜
7、85 透光部
10、86、103 重畳領域
11 非重畳領域
12 チェック柄領域
14、17、70、80、88、90、102、110 中央領域
16 透光性領域
20、84 フォトレジスト膜
30、50 マスクブランクス
40、60 第1フォトレジスト膜
41、61 第2フォトレジスト膜
A パターン形成領域
D1 第1領域
D2 第2領域
【要約】
【課題】感光性レジストを中央から外側にかけて緩やかに傾斜させる。
【解決手段】フォトマスク(1A)は、半透過膜のパターンと遮光膜のパターンとが一部重畳するように積層されることによって形成された所定の形状を有する複数のパターン形成領域Aと、パターン形成領域(A)が形成されていない透光部(7)とを透明基板上に有している。パターン形成領域(A)の中央部を含む所定面積の領域を第1領域(D1)とし、パターン形成領域(A)の外縁部における所定面積の領域を第2領域(D2)としと場合、第1領域(D1)内の透過率よりも第2領域(D2)内の透過率の方が高い。
【選択図】
図2