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特許6993531プログラミング学習用教材、及びプログラミング学習用システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-13
(45)【発行日】2022-01-13
(54)【発明の名称】プログラミング学習用教材、及びプログラミング学習用システム
(51)【国際特許分類】
   G09B 19/00 20060101AFI20220105BHJP
   G09B 5/02 20060101ALI20220105BHJP
   G06Q 50/20 20120101ALI20220105BHJP
【FI】
G09B19/00 Z
G09B5/02
G06Q50/20
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021115076
(22)【出願日】2021-07-12
【審査請求日】2021-07-16
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000108937
【氏名又は名称】ダイコク電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129654
【弁理士】
【氏名又は名称】大池 達也
(72)【発明者】
【氏名】木全 宗明
(72)【発明者】
【氏名】橋本 忠巳
【審査官】石原 豊
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2019-0062181(KR,A)
【文献】中国特許出願公開第108961927(CN,A)
【文献】特開2020-079943(JP,A)
【文献】特表2019-525365(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0344127(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2019-0080307(KR,A)
【文献】中国特許出願公開第111161574(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第111681497(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09B 1/00 - 9/56
G09B 17/00 -19/26
G06F 3/01
G06F 3/048- 3/0489
G06Q 10/00 -10/10
G06Q 30/00 -30/08
G06Q 50/00 -50/20
G06Q 50/26 -99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プログラムコードに対応する複数種類のブロックを表示可能なブロック表示領域と、スクリプトを作成するスクリプト領域と、が設けられるプログラミング画面上において、前記ブロック表示領域から選択されたブロックを前記スクリプト領域において配列することによりスクリプトを作成可能なビジュアルプログラミング言語を学習するためのプログラミング学習用教材であって、
前記ビジュアルプログラミング言語におけるプログラミング画面を模して構成されるシート部と、
前記ブロックを模して構成されるブロック片部と、を備え、
前記シート部は、
前記ビジュアルプログラミング言語におけるブロック表示領域に対応するブロックパレット用シート部と、前記ビジュアルプログラミング言語におけるスクリプト領域に対応するスクリプトエリア用シート部と、を含むと共に、前記ブロックパレット用シート部から使用する複数のブロック片部を選択し、当該使用する複数のブロック片部を、前記スクリプトに対応するように前記スクリプトエリア用シート部に配置可能なように構成されており、
前記スクリプトエリア用シート部に配置されたブロック片部に対応するスクリプトを、前記ビジュアルプログラミング言語により作成されるスクリプトとして受け付けることを特徴とするプログラミング学習用教材。
【請求項2】
前記スクリプトエリア用シート部では、前記ブロック片部を嵌め込み可能な凹みが複数設けられ、前記複数のブロック片部をいずれかの凹みに嵌め込み可能である請求項1に記載のプログラミング学習用教材。
【請求項3】
前記スクリプトエリア用シート部は、マグネット素材が磁気的に吸着可能なベースシートに対して、シート状のマグネット素材を積層したものであり、前記凹みは、前記シート状のマグネット素材に設けられた孔、あるいは前記ブロック片部に設けられた孔よりなる請求項2に記載のプログラミング学習用教材。
【請求項4】
前記ブロック片部及び前記スクリプトエリア用シート部の双方には、前記ブロック片部を配置可能な位置を表す識別子が付されている請求項1~3のいずれか1項に記載のプログラミング学習用教材。
【請求項5】
前記ブロック片部及び前記シート部のうちのいずれか一方は、シート状のマグネット素材からなり、いずれか他方は、マグネット素材が磁気的に吸着可能な素材よりなる請求項1~4のいずれか1項に記載のプログラミング学習用教材。
【請求項6】
プログラムコードに対応する複数種類のブロックを表示可能なブロック表示領域と、スクリプトを作成するスクリプト領域と、が設けられるプログラミング画面上において、前記ブロック表示領域から選択されたブロックを前記スクリプト領域において配列することによりスクリプトを作成可能なビジュアルプログラミング言語を学習するためのプログラミング学習用システムであって、
プログラミング学習用教材と、使用者の操作を受け付ける指導用装置と、を含み、
前記プログラミング学習用教材は、
前記ビジュアルプログラミング言語におけるプログラミング画面を模して構成されるシート部と、
前記ブロックを模して構成されるブロック片部と、
を備え、
前記指導用装置は、
前記スクリプトを実行する実行部と、
前記実行部により実行された結果を出力する出力部と、
を備え、
前記シート部は、前記ビジュアルプログラミング言語におけるブロック表示領域に対応するブロックパレット用シート部と、前記ビジュアルプログラミング言語におけるスクリプト領域に対応するスクリプトエリア用シート部と、を含むと共に、前記ブロックパレット用シート部から使用する複数のブロック片部を選択し、当該使用する複数のブロック片部を、前記スクリプトに対応するように前記スクリプトエリア用シート部に配置可能なように構成されており、
前記実行部は、前記スクリプトエリア用シート部に配置されたブロック片部に対応するスクリプトを受け付けることで当該スクリプトを実行するように構成されていることを特徴とするプログラミング学習用システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プログラミング学習用教材、及びプログラミング学習用システムに関する。
【背景技術】
【0002】
プログラミング言語によるコード作成の経験が十分でないプログラミングの初心者や低年齢者等を対象として、タグを組み合わせてプログラムを作成できるようにするためのプログラミング学習用装置が提案されている(例えば下記の特許文献1参照。)
【0003】
また、小学校におけるプログラミング学習において、児童一人ひとりに対してPCを配布することなくプログラミングを学習するためのツールの提案もなされている(下記の特許文献2参照。)。このプログラミング学習ツールでは、児童一人ひとりがプログラムを考え、貼付け可能なプログラミングシールをシートに貼り付けることでロボットを制御するためのプログラムを作成できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-219718号公報
【文献】特開2021-005067号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の特許文献2のプログラミングシールでは、実際のプログラム画面をイメージすることが難しく、それ故、児童自身がプログラム画面上でプログラムを実際に作成する場合は、プログラミングツールの使い方を改めて学習する必要があるという問題がある。さらに、上記の特許文献2のように貼付可能なプログラミングシールを用いたプログラミング学習ツールの場合、プログラミングシールの粘着力の低下により反復利用が困難になるおそれがある。
【0006】
本発明は、前記従来の問題点に鑑みてなされたものであり、児童一人ひとりにPCを用意することなく、ビジュアルプログラミングの基礎を学ぶことができるプログラミング学習用教材およびプログラミング学習用システムを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、プログラムコードに対応する複数種類のブロックを表示可能なブロック表示領域(例えば図1中のブロックパレット11。)と、スクリプトを作成するスクリプト領域(例えば図1中のスクリプトエリア12)と、が設けられるプログラミング画面上において、前記ブロック表示領域から選択されたブロックを前記スクリプト領域において配列することによりスクリプトを作成可能なビジュアルプログラミング言語を学習するためのプログラミング学習用教材であって、
前記ビジュアルプログラミング言語におけるプログラミング画面を模して構成されるシート部と、
前記ブロックを模して構成されるブロック片部(例えばブロック片201)と、を備え、
前記シート部は、
前記ビジュアルプログラミング言語におけるブロック表示領域に対応するブロックパレット用シート部(例えば図3のブロックパレット用シート211)と、前記ビジュアルプログラミング言語におけるスクリプト領域に対応するスクリプトエリア用シート部(例えば図4のスクリプトエリア用シート215)と、を含むと共に、前記ブロックパレット用シート部から使用する複数のブロック片部を選択し、当該使用する複数のブロック片部を、前記スクリプトに対応するように前記スクリプトエリア用シート部に配置可能であり、
前記スクリプトエリア用シート部に配置されたブロック片部に対応するスクリプトを、前記ビジュアルプログラミング言語により作成されるスクリプトとして受け付けるプログラミング学習用教材にある。
【0008】
本発明の一態様は、プログラムコードに対応する複数種類のブロックを表示可能なブロック表示領域(例えば図1中のブロックパレット11。)と、スクリプトを作成するスクリプト領域(例えば図1中のスクリプトエリア12)と、が設けられるプログラミング画面上において、前記ブロック表示領域から選択されたブロックを前記スクリプト領域において配列することによりスクリプトを作成可能なビジュアルプログラミング言語を学習するためのプログラミング学習用システムであって、
プログラミング学習用教材と、使用者の操作を受け付ける指導用装置と、を含み、
前記プログラミング学習用教材は、
前記ビジュアルプログラミング言語におけるプログラミング画面を模して構成されるシート部と、
前記ブロックを模して構成されるブロック片部(例えばブロック片201)と、
を備え、
前記指導用装置は、
前記スクリプトを実行する実行部と、
前記実行部により実行された結果を出力する出力部と、
を備え、
前記シート部は、前記ビジュアルプログラミング言語におけるブロック表示領域に対応するブロックパレット用シート部と、前記ビジュアルプログラミング言語におけるスクリプト領域に対応するスクリプトエリア用シート部と、を含むと共に、前記ブロックパレット用シート部から使用する複数のブロック片部を選択し、当該使用する複数のブロック片部を、前記スクリプトに対応するように前記スクリプトエリア用シート部に配置可能なように構成されており、
前記実行部は、前記スクリプトエリア用シート部に配置されたブロック片部に対応するスクリプトを受け付けることで当該スクリプトを実行するプログラミング学習用システムにある。
【0009】
本発明に係るプログラミング学習用教材は、プログラミング画面上においてプログラムコードに対応するブロックを配列することによりスクリプトを作成可能なビジュアルプログラミング言語を学習するための教材である。ビジュアルプログラミング言語のプログラミング画面には、プログラムコードに対応するブロックを表示可能なブロック表示領域と、スクリプトを作成するスクリプト領域と、が設けられる。
【0010】
本発明に係るプログラミング学習用教材は、ビジュアルプログラミング言語のプログラミング画面を模して構成されるシート部と、ブロックを模して構成されるブロック片部と、を備えている。さらに、このプログラミング学習用教材におけるシート部は、ビジュアルプログラミング言語におけるブロック表示領域に対応するブロックパレット用シート部と、ビジュアルプログラミング言語におけるスクリプト領域に対応するスクリプトエリア用シート部と、を備えている。このシート部では、ブロックパレット用シート部から使用する複数のブロック片を選択し、スクリプトに対応するようにスクリプトエリア用シート部に配置できる。
【0011】
本発明に係るプログラミング学習用システムは、上記のプログラミング学習用教材に対し、スクリプトを実行する実行部と、実行部により実行された結果を出力する出力部と、を備える指導用装置を組み合わせたシステムである。このプログラミング学習用システムにおいて、指導用装置が備える実行部は、スクリプトエリア用シート部に配置されたブロック片に対応するスクリプトを受け付けることで当該スクリプトを実行する。
【0012】
以上のように本発明に係るプログラミング学習用教材およびプログラミング学習用システムは、児童一人ひとりにPCを用意することなく、ビジュアルプログラミングの基礎を学ぶことができるという優れた特性を備えるプログラミング学習用教材あるいはプログラミング学習用システムである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】PC装置が表示するプログラミング画面の正面図。
図2】プログラミング学習用システムの構成図。
図3】ブロックパレット用シートの説明図。
図4】スクリプトエリア用シートの説明図。
図5】プログラミング学習用教材における識別子の説明図。
図6】指導用装置の電気的構成を示すブロック図。
図7】指導用装置が表示するプログラミング画面の正面図。
図8】プログラミング学習の流れの説明図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施の形態につき、以下の実施例を用いて具体的に説明する。
(実施例1)
本例は、プログラムコードを示すブロックを配列することでスクリプトを作成するビジュアルプログラミング言語を学習するためのプログラミング学習用システム1に関する例である。プログラミング学習用システム1は、プログラミング学習用教材2と、教師などの使用者の操作を受け付ける指導用装置3と、を含めて構成されている。この内容について、図1図8を用いて説明する。
【0015】
まず、本例のプログラミング学習用システム1を用いて学習するビジュアルプログラミング言語の概要を説明する。学習対象のビジュアルプログラミング言語は、プログラミングにおける言語を視覚化したプログラミング言語であり、プログラミング初学者に適している。ビジュアルプログラミング言語では、プログラミングにおける命令や要素であるプログラムコードがブロック化されており、プログラムコードに対応するブロックを組み合わせたり並べ替えたりすることでスクリプト(プログラムの一種)を作成できる。
【0016】
ビジュアルプログラミング言語によるプログラミング画面10を図1に例示する。プログラミング画面10は、ブロックパレット11及びスクリプトエリア12が設けられた画面である。このプログラミング画面10では、プログラミング作業を視覚的に実施可能である。
【0017】
ブロックパレット11は、スクリプトを作成するための各プログラムコードを示すブロック101が一覧表示されるエリアであり、ブロック表示領域の一例をなしている。プログラミング画面10上では、ブロックパレット11に表示されているブロック101を、スクリプトエリア12上で配列することでスクリプトを作成できる。なお、ブロック101は、制御カテゴリ、演算カテゴリ、変数カテゴリなどのカテゴリに分類されている。ブロックパレット11には、プログラミング画面10上で選択されたカテゴリに属するブロック101が表示される。
【0018】
スクリプトエリア12は、スクリプトを作成するエリアである。スクリプトエリア12には、サンプルのスクリプトを構成するブロック101が予め配置されている。スクリプトエリア12では、予め配置されたブロック101を、ブロックパレット11のブロック101と適宜、置き換えることにより所望のスクリプトを作成できる。プログラミング画面10におけるスクリプトエリア12は、スクリプト領域の一例をなしている。
【0019】
プログラミングの際は、PC装置(パーソナルコンピュータ装置)が表示するプログラミング画面10上で、プログラミングコードを示す各ブロック101を配列することでスクリプトを作成できる。ブロックパレット11には、スクリプトを作成するための各プログラムコードを示すブロック101が表示されている。マウス操作等によりブロック101をスクリプトエリア12にドラッグ&ドロップすることで、スクリプトエリア12のブロック101を置き換えて配列でき、スクリプトを作成できる。
【0020】
スクリプトエリア12では、エリア内の所定の位置にブロック101を配置したり、いずれかのブロック101を他のブロック101と連結させたり、いずれかのブロック101を他のブロック101の内部に配置したりできる。スクリプトエリア12では、このような手順により、複数のブロック101を組み合わせることで、一連の動作を実現するスクリプトを作成できる。例えば、制御カテゴリの「ずっと」というブロック101に、同じ制御カテゴリ内の条件を示すブロック101を配置する操作を行えば、条件に応じた動作を継続させるというスクリプトを作成できる。
【0021】
なお、本例のプログラミング学習用教材2は、スクリプトエリア12に示されるブロック101の配列を模擬する教材である。詳しくは後述するが、プログラミング学習用教材2は、スクリプトエリア12に示されるブロック101に対応するブロック片201を含めて構成されている。
【0022】
本例のプログラミング学習用システム1は、図2のごとく、プログラミング学習用教材2と、教師などの使用者の操作を受け付ける指導用装置3と、を備えるシステムである。指導用装置3は、教師などによる操作を受付けるPC装置である。指導用装置3は、児童がブロック片201を用いてプログラミング学習用教材2上で作成したスクリプトを、再現して記述可能である。プログラミング学習用教材2は、PC装置によるプログラミング画面10(図1参照。)を模擬しており、ブロック片201を並び替えることでビジュアルプログラミング言語によるスクリプトを作成可能である。
【0023】
プログラミング学習用教材2は、ビジュアルプログラミング言語におけるプログラミング画面10(図1)を模して構成されるシート部21と、ブロック101(図1)を模して構成されるブロック片201(ブロック片部の一例)と、を備えている。シート部21は、ブロックパレット用シート211(図3(a))と、スクリプトエリア用シート215(図4(a))と、を含めて構成されている。
【0024】
ブロックパレット用シート211(図3(a))は、PC装置によるプログラミング画面10(図1参照。)におけるブロックパレット11を模したシートである。ブロックパレット用シート211は、プログラムコードに対応するブロック片201を配置するためのシートであり、ブロック片収納部の一例をなしている。スクリプトエリア用シート215(図4(a))は、プログラミングを画面10におけるスクリプトエリア12を模したシートである。スクリプトエリア用シート215は、スクリプト作成部の一例をなしている。
【0025】
児童は、教師から出題される課題に対して、プログラミング学習用教材2を用いて課題を解決するためのスクリプトを作成できる。ブロックパレット用シート211から必要なブロック片201を取り出し、スクリプトエリア用シート215上にてブロック片201を凹み201A(図4(b))に嵌め込んで配置する。ここで、スクリプトエリア用シート215には、予め、サンプルのスクリプトを構成するブロック片201が配置されている。スクリプトエリア用シート215では、ブロックパレット用シート211から適宜、ブロック片201を取り出し、予め配置されたブロック片201と置き換えることで、所望のスクリプトを作成できる。
【0026】
ここで、スクリプトエリア用シート215上でブロック片201を嵌め込む凹み201Aとしては、少なくとも、ブロック片201を取り外した状態のスクリプトエリア用シート215自体(台紙という。)に設けられたものと、ブロック片201の内側の孔よりなるものと、がある。ブロック片201は、いずれかの凹み201Aに嵌め込むことによりスクリプトエリア用シート215上で配列(配置)できる。このようにブロック片201を凹み201Aに嵌め込み可能なスクリプトエリア用シート215であれば、各ブロック片201を配置可能な位置を児童等が直感的に理解できる。なお、ブロックパレット用シート211及びスクリプトエリア用シート215は、課題に応じて複数種類が準備されている。教師が出題する課題に応じて、異なるブロックパレット用シート211やスクリプトエリア用シート215が適宜、選択される。
【0027】
ブロックパレット用シート211(図3(a))は、マグネットラバーシートの表面に、エリア表示や各種の文字等が直接印刷されたものである。ブロックパレット用シート211としては、エリア表示や各種の文字等が印刷された紙などを、マグネットラバーシートに貼り合わせたものを採用しても良い。
【0028】
ブロック片201を取り出すためのブロックパレット用シート211(図3(a))では、ブロック片201などの外周に、例えばトムソン加工によるハーフカットライン202が設けられている。ブロックパレット用シート211全体では、図3(b)に示すようにハーフカットライン202が設けられている。児童は、ハーフカットライン202を利用し、ブロックパレット用シート211からブロック片201を分離できる。なお、図3(b)は、ブロックパレット用シート211の外形、及びハーフカットライン202を示す説明用の図である。
【0029】
ブロックパレット用シート211から分離し取り出したブロック片201を配置するためのスクリプトエリア用シート215(図4(a))は、マグネットが磁気的に吸着可能なベースシートの一例をなすホワイトボードの表面に、エリア表示や各種の文字等が印刷された厚紙を貼り合せたものである。厚紙では、孔207が図4(b)の例示のように設けられている。孔207は、ブロック片201を嵌め込むための凹み201Aの少なくとも一部を形成するための孔である。
【0030】
薄いホワイトボードに厚紙を貼り合わせたスクリプトエリア用シート215では、図4(b)のごとく、厚紙の孔207(破線にて示す。)によって、ブロック片201を嵌め込むための凹み201Aが設けられる。さらに、一部のブロック片201には、他のブロック片201を嵌め込むための孔が設けられている。この一部のブロック片201をスクリプトエリア用シート215に配置した場合、この一部のブロック片201が備える孔が、スクリプトエリア用シート215の凹み201Aとして機能する。図4(b)中のスクリプトエリア用シート215の外形を除く全ての線は、ブロック片201を嵌め込み可能な凹み201Aの外縁を示す線である。これらの線のうちの破線は、厚紙の孔207により形成された線を示している。
【0031】
このようにスクリプトエリア用シート215上でブロック片201を嵌め込むための凹み201Aは、スクリプトエリア用シート215を構成する厚紙の孔207、あるいはブロック片201の内側の孔により形成されている。それ故、凹み201Aの底面は、ホワイトボードの表面となっている。マグネットラバーシートの小片であるブロック片201は、凹み201Aに嵌め込まれたとき、スクリプトエリア用シート215を構成するホワイトボードに対して磁気的に吸着可能である。
【0032】
本例のプログラミング学習用教材2を構成するブロックパレット用シート211は、マグネットラバーシートにより作成されているため比較的安価に作成でき、耐久性も高いため長期間に亘る繰り返し利用が可能である。また、ブロックパレット用シート211と対になるスクリプトエリア用シート215は、マグネットが磁気的に吸着可能なホワイトボードなどを利用するシートである。
【0033】
マグネットラバーシートよりなるブロック片201と、ホワイトボードを利用するスクリプトエリア用シート215と、の組合せによれば、スクリプトを作成する作業中に、スクリプトエリア用シート215に配置したブロック片201が意図せずに動いてしまうことを未然に防止できる。また、学習の後では、ブロック片201を貼り付けたままで、スクリプトエリア用シート215を片付けることもでき、保管中にブロック片201を紛失するおそれが少なくなっている。さらに、ブロックパレット用シート211では、各ブロック片201がハーフカットされた状態にある。そのため、輸送時等に、ブロック片201がブロックパレット用シート211から分離したり紛失したりするおそれが少なくなっている。
【0034】
プログラミング学習用教材2におけるブロック片201には、識別子209(図5)が印刷等されている。ブロック片201を嵌め込むスクリプトエリア用シート215では、ブロック片201を嵌め込むための凹み201Aに隣接する箇所に、ブロック片201の識別子209に対応する識別子219が印刷等されている。識別子219は、ブロック片201及びスクリプトエリア用シート215の双方に付されており、スクリプトエリア用シート215上でブロック片201を配置可能な位置を表す識別子として機能する。
【0035】
スクリプトエリア用シート215は、識別子209、219が一致する凹み201Aにブロック片201を嵌め込んで配置すれば良いように構成されている。識別子209、219には、例えば数字を割り当てることも良い。例えば、スクリプトエリア用シート215の一部を示す図5に例示するように、スクリプトエリア用シート215の「6」の識別子219が付されている箇所(凹み201A)に、「6」の識別子209が付されたブロック片201を嵌め込むように構成すると良い。このような構成を採用する場合には、対応する識別子209が割り当てられているブロック片201の中から適切なブロック片201を探して嵌め込めば良くなるため、スクリプトを作成するためのプログラミングを一層簡単にできる。
【0036】
また本例のスクリプトエリア用シート215では、複数のブロック片201を嵌め込みにより配置できる。ブロック片201を嵌め込んで配置するよう、スクリプトエリア用シート215が構成されている場合、スクリプトを作成しようとする児童等に対し、ブロック片201を嵌め込み可能か否かというヒントを与えることができる。このようなヒントがあれば、スクリプトの作成が容易となり学習効果を向上できる。
【0037】
次に、指導用装置3は、教師などの使用者の操作を受け付けてスクリプトを作成し、作成したスクリプトを実行可能な実行部の一例をなすPC装置である。指導用装置3は、図6のごとく電気的に構成されている。装置本体30は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)・ROM(Read Only Memory)などを含む制御部30Aのほか、I/O(Input/Output)30Bを備えている。装置本体30に対しては、マウス311、キーボード312、タッチパネル314、表示部315(出力部の一例)、外部機器とのインターフェースをなすI/F部317、等が接続されている。指導用装置3では、タッチパネル314と表示部315との組合せによりタッチ操作可能なディスプレイ画面が実現されている。
【0038】
指導用装置3は、図7に例示するプログラミング画面300を表示可能である。なお、このプログラミング画面300は、図1で例示したプログラミング画面10と同じ仕様の画面である。教師などの使用者は、マウス311、キーボード312、及びタッチパネル314を操作することで、ブロックパレット31及びスクリプトエリア32等を含むプログラミング画面300上にてブロック301を配列してスクリプトを作成可能である。作成したスクリプトは、出力部の一例をなす表示部315に表示される。表示部315に表示されたスクリプトを実行すると、プログラムが動作する。
【0039】
なお、指導用装置3はPC装置を想定しているが、ビジュアルプログラミングを実行できれば良く、スマートホンやタブレット端末等を指導用装置3として利用することも良い。また、スクリプトはどのようなものでもよく、例えば、表示部315による表示画面上で所定の表示動作を行ったり、所定の演算結果を表示したりするスクリプトでも良い。さらに例えば、I/F部317を介して外部接続された玩具等を動作させるスクリプトであっても良い。その場合、教師が出題する課題は、玩具を動作させるものとすると良い。
【0040】
次に、以上のように構成されたプログラミング学習用システム1によるプログラミング学習の流れについて、図8を参照しながら説明する。
本例のプログラミング学習用システム1では、児童がプログラミング学習用教材2を用いて、教師が出題する課題を解決するためのスクリプト(プログラム)を作成する。児童は、課題を解決するためのスクリプトに対応するブロック片201をスクリプトエリア用シート215に配置(配列)することでスクリプトを作成する。
【0041】
教師は、スクリプトエリア用シート215上のブロック片201の配置に基づき、指導用装置3上にて、児童が作成したスクリプトを再現する。指導用装置3において再現されたスクリプトが正しければ、指導用装置3が正しく動作して課題を解決できる一方、間違っていれば指導用装置3は正しく動作しない。プログラミング学習用システム1では、このように指導用装置3上で動作を確認できるので、各児童が、自身の作成したプログラミングが正しいか否かを直ちに判定できる。
【0042】
このように、プログラミング学習用システム1では、児童がプログラミング学習用教材2にてスクリプトを作成できると共に、作成したスクリプトを指導用装置3上で再現してスクリプトの正否を判定できる。このプログラミング学習用システム1では、例えば、小学校のように学習対象者である児童が多数存在する場合であっても、児童一人ひとりに高価なPC装置を支給する必要がない。そのため、このプログラミング学習用システム1によれば、プログラミング学習を普及するための設備費用が高額になって財政的な負担になるといった課題を解消できる。
【0043】
また、例示したプログラミング学習用教材2は、実際のプログラミング画面10を模擬した教材であるため、プログラミング学習用教材2上で作成したブロック片201の配置をそのまま指導用装置3上にて再現できる。それ故、児童はプログラミング学習用教材2の使い方を学習するだけで良く、PC装置上でのビジュアルプログラミングの使い方を改めて学習する必要がない。プログラミング学習用教材2を利用すれば、プログラムの一種であるスクリプトの作成方法を学習できると共に、PC装置上でのプログラミング操作を学習できる。
【0044】
このように本例のプログラミング学習用システム1は、プログラミングを容易に習得できる優れた特性のシステムとなっている。
【0045】
本実施形態の構成に代えて、あるいは加えて以下のような構成を採用することも良い。また、以下の各構成を適宜組み合わせて採用することも良い。
本例では、孔207を設けた厚紙を薄いホワイトボードに貼り合わせたスクリプトエリア用シート215を採用している。これに代えて、孔207を設けたマグネットシートを薄いホワイトボードに貼り合わせたスクリプトエリア用シートを採用することも良い。この場合には、孔207を設けたマグネットシートを複数種類用意しておき、いずれかのマグネットシートを選択してホワイトボードに貼り合わせることで、スクリプトエリア用シートの種類を変更できるようになる。この場合には、課題に応じて複数種類のスクリプトエリア用シートを準備しておく必要がなくなる。なお、ホワイトボードに貼り合わせるマグネットシートの孔207には、サンプルのスクリプトをなすブロック片を予め配置しておくことも良い。マグネットシートとブロック片とは、ハーフカットラインで連結された状態であっても良く、この場合には、ブロック片を適宜分離できるようになる。
【0046】
本例では、教師などの使用者の操作により指導用装置3にてスクリプト(プログラム)を作成するようにしたが、スクリプトエリア用シート215を撮像してブロック片201の配置(配列)を画像認識したり、ブロック片201の配置に関する情報を示すマーカーを読み取ったりすることで、ブロック片201の配置を認識して自動でスクリプトを作成するように構成しても良い。
【0047】
本例では、ブロックパレット用シート211からブロック片201を容易に分離できるよう、トムソン加工によるハーフカットライン202を設けたブロックパレット用シート211を例示している。ハーフカットライン202を設ける工法は、トムソン加工に限定されることなくその他の抜型を用いてもよい。さらに、ハーフカットライン202に代えて、ミシン目を設けることも良い。
【0048】
本例では、プログラミング学習用教材2として、ブロックパレット用シート211とスクリプトエリア用シート215とが分かれた構成を例示している。これに代えて、ブロックパレット用シート211とスクリプトエリア用シート215とが一体となったシートであっても良く、一つのスクリプトエリア用シート215に対し、複数種類のブロックパレット用シート211を組み合わせることも良い。
【0049】
本例では、作成したスクリプトの動作を出力するための出力部として、表示部315を例示し、出力態様として表示による出力を例示している。出力態様としては、印字出力や、可動機構による動きによる出力等であっても良い。出力部としては、印刷装置や、可動機構等であっても良い。
【0050】
以上、実施例のごとく本発明の具体例を詳細に説明したが、これらの具体例は、特許請求の範囲に包含される技術の一例を開示しているにすぎない。言うまでもなく、具体例の構成や数値等によって、特許請求の範囲が限定的に解釈されるべきではない。特許請求の範囲は、公知技術や当業者の知識等を利用して前記具体例を多様に変形、変更あるいは適宜組み合わせた技術を包含している。
【符号の説明】
【0051】
1 プログラミング学習用システム
10、30 プログラミング画面
101、301 ブロック
11、31 ブロックパレット(ブロック表示領域)
12、32 スクリプトエリア(スクリプト領域)
2 プログラミング学習用教材
201 ブロック片(ブロック片部)
201A 凹み
202 ハーフカットライン
207 孔
209、219 識別子
21 シート部
211 ブロックパレット用シート(ブロック片収納部)
215 スクリプトエリア用シート(スクリプト作成部)
3 指導用装置(実行部)
315 表示部(出力部)
【要約】
【課題】児童一人ひとりにPCを用意することなく、ビジュアルプログラミングの基礎を学ぶことができるプログラミング学習用教材を提供すること。
【解決手段】プログラミング学習用教材2は、ビジュアルプログラミング言語におけるプログラミング画面を模して構成されるシート部と、プログラムコードに対応するブロックを模して構成されるブロック片と、を備え、シート部は、ビジュアルプログラミング言語におけるブロック表示領域に対応するブロック片収納部と、ビジュアルプログラミング言語におけるスクリプト領域に対応するスクリプト作成部と、を含んでいると共に、ブロック片収納部から使用する複数のブロック片を選択し、スクリプトに対応するようにスクリプト作成部に配置するように構成されている。
【選択図】図2
図1
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