(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-13
(45)【発行日】2022-02-04
(54)【発明の名称】風力ブレードスパーキャップの引抜成形のための位置合わせプロファイル
(51)【国際特許分類】
F03D 1/06 20060101AFI20220128BHJP
B29C 70/16 20060101ALI20220128BHJP
B29C 70/34 20060101ALI20220128BHJP
F03D 13/10 20160101ALI20220128BHJP
B29K 105/08 20060101ALN20220128BHJP
【FI】
F03D1/06 Z
B29C70/16
B29C70/34
F03D13/10
B29K105:08
(21)【出願番号】P 2021537439
(86)(22)【出願日】2018-09-12
(86)【国際出願番号】 US2018050673
(87)【国際公開番号】W WO2020055396
(87)【国際公開日】2020-03-19
【審査請求日】2021-09-07
(32)【優先日】2018-09-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520005303
【氏名又は名称】ティーピーアイ コンポジッツ,インコーポレーティッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】特許業務法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】モニー,ウェイン,ジー.
(72)【発明者】
【氏名】ワルコール,ニコラス
(72)【発明者】
【氏名】ヴィラー,マイケル
【審査官】所村 陽一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0156190(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0050372(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F03D 1/06
B29C 70/16
B29C 70/34
F03D 13/10
B29K 105/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
それらの間の厚さを画定する第1の面及び第2の面と、
前記第1の面に配設された少なくとも一つの位置決めフィーチャと、
前記第1の面に配設された少なくとも一つの接合間隙フィーチャと
を含むスパーキャップであって、
前記少なくとも一つの位置決めフィーチャが、平坦な内壁を画定するよう、前記スパーキャップの前記第1の面から垂直に延びており、
前記少なくとも一つの位置決めフィーチャと前記少なくとも一つの接合間隙フィーチャとが、前記スパーキャップの前記第1の面に一体的に形成されて、前記スパーキャップの前記第1の面に対して固定されており、
前記
少なくとも一つの位置決めフィーチャ
の前記平坦な内壁が剪断ウェブに係合するように構成され
、前記接合間隙フィーチャが前記剪断ウェブに係合するように構成される、スパーキャップ。
【請求項2】
前記少なくとも一つの位置決めフィーチャが突起である、請求項1に記載のスパーキャップ。
【請求項3】
前記接合間隙フィーチャが突起である、請求項1に記載のスパーキャップ。
【請求項4】
接合間隙フィーチャが前記第1の面から第1の距離だけ突出し、位置決めフィーチャが前記第1の面から第2の距離だけ突出する、請求項1に記載のスパーキャップ。
【請求項5】
前記スパーキャップの中心軸のまわりに対称的に配設された複数の位置決めフィーチャをさらに含む、請求項1に記載のスパーキャップ。
【請求項6】
それらの間に
前記接合間隙フィーチャが配設される第1の位置決めフィーチャ及び第2の位置決めフィーチャをさらに含む、請求項1に記載のスパーキャップ。
【請求項7】
前記接合間隙フィーチャが、前記剪断ウェブの底面に係合するように構成される、請求項1に記載のスパーキャップ。
【請求項8】
前記位置決めフィーチャが、前記剪断ウェブの側面に係合するように構成される、請求項1に記載のスパーキャップ。
【請求項9】
前記接合間隙フィーチャが、ブレードスパンの長さに沿って延びる、請求項1に記載のスパーキャップ。
【請求項10】
前記位置決めフィーチャが、ブレードスパンの長さに沿って延びる、請求項1に記載のスパーキャップ。
【請求項11】
風力タービンブレードの構成要素を形成する方法であって、前記方法が、
それらの間の厚さを画定する第1の面及び第2の面を有するスパーキャップを形成することと、
前記第1の面に少なくとも一つの位置決めフィーチャを形成することと、
前記第1の面に少なくとも一つの接合間隙フィーチャを形成することと
、
前記スパーキャップをぺーストシューガイドと接触させることと
を含み、
前記少なくとも一つの位置決めフィーチャが、前記スパーキャップの前記第1の面から垂直に延びており、
前記少なくとも一つの接合間隙フィーチャが、前記スパーキャップの前記第1の面から垂直に延びており、
前記少なくとも一つの位置決めフィーチャと前記少なくとも一つの接合間隙フィーチャとが、前記スパーキャップの前記第1の面に一体的に形成されて、前記スパーキャップの前記第1の面に対して固定されており、
前記
少なくとも一つの位置決めフィーチャ及び前記接合間隙フィーチ
ャが、剪断ウェブに係合するように構成され
ており、
前記ペーストシューガイドが、前記少なくとも一つのスパーキャップ位置決めフィーチャに係合するための横方向に延びるフランジを含む位置合わせフィーチャと、前記スパーキャップの前記第1の面と接触するための突出脚とを有する、方法。
【請求項12】
前記形成することが、引抜成形を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記
少なくとも一つの位置決めフィーチャ又は前記接合間隙フィーチ
ャが突起である、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記剪断ウェブを前記スパーキャップの前記位置決めフィーチャに係合させることをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記剪断ウェブを前記位置決めフィーチャに係合させることが、前記スパーキャップの第1の位置決めフィーチャと第2の位置決めフィーチャとの間に前記剪断ウェブを位置付けることを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記剪断ウェブを前記スパーキャップの前記接合間隙フィーチャに係合させることをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
前記剪断ウェブを前記接合間隙フィーチャに係合させることが、前記剪断ウェブを前記スパーキャップの前記接合間隙フィーチャの上に位置付けることを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記スパーキャップの前記接合間隙フィーチャのすぐ近くに接着剤を塗布することをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項19】
接着剤が、前記位置決めフィーチャの方にガイドされる、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記位置決めフィーチャ及び前記接合間隙フィーチャが、ブレードスパンの長さに沿って延びるように形成される、請求項11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年9月11日に出願された米国特許仮出願第62/729,501号の優先権の35 USC 119の下での利益を主張するものであり、その内容全体が、参照により本出願に組み込まれる。
【0002】
本開示の主題は、大規模な複合構造体、例えば、風力タービンブレードを製造するシステム及び対応する方法に関する。これらの大規模な複合構造体は、一般に、ツーピース型(two-piece mold)から形成され、ツーピース型は、ブレードハーフが成形された後、製作を完了するために複雑な型閉プロセスを必要とする。
【0003】
特に、本開示は、他の構成要素、例えば、剪断ウェブの配置と組立ての両方を容易にする様々なフィーチャ(feature(s):特徴部)を有するプロファイルを備えた構造要素、例えば、スパーキャップを提供する。
【背景技術】
【0004】
風力タービンブレードは、一般に、主として、ガラス繊維強化プラスチックなどの複合材料で製作された中空ブレードシェルを含む。ブレードシェルは、一般に、二つのハーフシェル、すなわち、下部圧力側シェル及び上部負圧側シェルから構成され、それらは、それぞれのメスのハーフ型で別々に成形され、その後、ブレードの前縁部及び後縁部でフランジに沿って一緒に接合される。ブレードを製造するこの方法が、
図1Aに概略的に示される。
【0005】
図1Aを参照すると、これは、二つのハーフ型、すなわち、上部負圧側型10a及び下部圧力側型10bに分割された風力タービンブレードの型10を示し、それらが、型が開けられた形態で並べて配列されている。圧力側ブレードシェル12aは下型10aの型面14aで支持され、負圧側ブレードシェル12bは上型10bの型面14bで支持される。シェル12a、12bは、各々、複数のガラス繊維織物層から構成され、それらは硬化樹脂によって一緒に接合される。
【0006】
それぞれの型ハーフ10a、10bでシェル12a、12bを形成した後、剪断ウェブ16が、風上ブレードシェル12aの内面17に接合される。剪断ウェブ16は、長手方向に延びる構造体であり、それは、ブレードの二つのハーフシェル12a、12bを橋渡しし、使用中に、剪断荷重をブレードから風力タービンハブまで伝達するのに役立つ。
図1Aにおいて断面図で示される特定の実施形態では、剪断ウェブ16は、各々、第1の長手方向に延びる取付フランジ20を含む下縁部19と第2の長手方向に延びる取付フランジ22を含む上縁部21とを有するウェブ18を備える。エポキシなどの接着剤が、剪断ウェブ16をそれぞれのハーフシェル12a、12bに接合するためにこれらの取付フランジ20、22に沿って塗布される。しかしながら、適正な量の接着剤を供給することは、分かりにくく、問題を含んだままである。多くの場合、塗布される接着剤の量が不十分であると、ブレードの構造的完全性を構成する合体(union)が弱くなり、又は塗布される接着剤の量が多すぎると、重量配分が悪くなり、清浄度/危険性状態が望ましくなくなる。
【0007】
図1Bに示すように、剪断ウェブ16が下部ブレードシェル12aに接合された後、剪断ウェブ16の第2の(上部)取付フランジ22に沿って及びブレードシェル12a、12bの前縁部24及び後縁部26に沿って接着剤が塗布される。次いで、上部ブレードシェル12bを含む上型10bは、二つのブレードハーフシェル12a、12bを前縁部24及び後縁部26に沿って一緒に接合するために及び剪断ウェブ16を上部ブレードシェル12bの内面28に接合するために、持ち上げられ、回転され、下部ブレード型10aの上に置かれる。一方の型ハーフを他方の型ハーフの上に置くステップは、型を閉じると呼ばれる。
【0008】
次に、
図1Cを参照すると、型10が閉じられ、それによって、剪断ウェブ16が上部シェル12bに対してわずかに移動することがある場合に、問題が生じることがある。例えば、剪断ウェブ16は、型閉め中に自重でわずかに移動することがあり、又は上部シェル12bとの接触によって押しのけられることがある。上部シェル12bの凹形の湾曲はまた、
図1Cに示されるように、剪断ウェブ16をわずかに互いに近寄らせる傾向がある。型閉め中の剪断ウェブ16のそのような動きは、剪断ウェブ16が次善の位置で上部シェル12bに接合されることになる可能性がある。
【0009】
さらに、型閉中に剪断ウェブをガイドするために恒久的な固定具の利用を必要とする様々な技法がある。その一例が、米国特許出願公開第2017/0151711号に提供されており、その内容は、ウェブガイド構造を含めて、その全体が本明細書に組み込まれる。しかしながら、そのような恒久的な固定具の使用は、ブレード重量に悪影響を与え、並びに設計の複雑さ及びコストを増加させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、製品の構造に影響を与えることなしに、剪断ウェブの適切な配置を保証する、風力タービン機器の組立てフェーズ中に剪断ウェブをガイドし接合するための効率的で経済的な方法及びシステムが依然として必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本開示の主題の目的及び利点は、以下の説明に記載され、以下の説明から明らかになり、並びに本開示の主題を実践することによって学習されるであろう。本開示の主題の追加の利点は、本明細書及びその特許請求の範囲において、並びに添付の図面により特に指摘される方法及びシステムによって実現され達成されるであろう。
【0012】
これらの及び他の利点を達成するために、本開示の主題の目的に従って、具現化され広く記載されるように、本開示の主題は、第1の面及び第2の面であり、それらの間の厚さを画定する、第1の面及び第2の面と、第1の面に配設された少なくとも一つの位置決めフィーチャと、第1の面に配設された少なくとも一つの接合間隙フィーチャとを含むスパーキャップであって、位置決めフィーチャ及び接合間隙フィーチャのうちの少なくとも一つが剪断ウェブに係合するように構成される、スパーキャップを含む。いくつかの実施形態では、位置決めフィーチャ及び接合間隙フィーチャは突起であり、接合間隙フィーチャは第1の面から第1の距離だけ突出することができ、位置決めフィーチャは第1の面から第2の距離だけ突出する。いくつかの実施形態では、複数の位置決めフィーチャが、スパーキャップの中心軸のまわりに対称的に配設され、例えば、第1の位置決めフィーチャ及び第2の位置決めフィーチャが、それらの間に配設された接合間隙フィーチャを有する。接合間隙フィーチャは、剪断ウェブの底面に係合するように構成することができ、位置決めフィーチャは、剪断ウェブの側面に係合するように構成することができ、接合間隙フィーチャと位置決めフィーチャの両方は、スパーキャップスパン及び/又はブレードスパンの長さに沿って延びる。
【0013】
追加として、本開示は、風力タービンブレード構成要素を形成する方法であって、この方法が、それらの間の厚さを画定する第1の面及び第2の面を有するスパーキャップを形成することと、第1の面に少なくとも一つの位置決めフィーチャを形成することと、第1の面に少なくとも一つの接合間隙フィーチャを形成することとを含み、位置決めフィーチャ及び接合間隙フィーチャのうちの少なくとも一つが剪断ウェブに係合するように構成される、方法を含む。いくつかの実施形態では、形成することは、引抜成形を含む。
【0014】
いくつかの実施形態では、この方法は、スパーキャップの第1の位置決めフィーチャと第2の位置決めフィーチャとの間に剪断ウェブを位置付けることによって剪断ウェブを位置決めフィーチャに係合させることと、剪断ウェブをスパーキャップの接合間隙フィーチャの上に位置付けることによって剪断ウェブを接合間隙フィーチャに係合させることとを含む。追加として、接着剤は、スパーキャップの接合間隙フィーチャのすぐ近くに塗布することができ、接着剤は、位置決めフィーチャの方にガイドされる。
【0015】
前述の概略の説明と以下の詳細な説明の両方は、例示であり、請求される本開示の主題のさらなる説明を提供するように意図されていることを理解されたい。
【0016】
本明細書の一部に組み込まれ、それを構成する添付の図面は、本開示の主題の方法及びシステムを例示し、それらのさらなる理解を提供するために含まれる。説明とともに、図面は、本開示の主題の原理を説明するのに役立つ。
【0017】
本明細書に記載される主題の様々な態様、特徴、及び実施形態の詳細な説明が、以下に簡単に記載される添付の図面を参照して提供される。図面は、例示であり、必ずしも原寸に比例して描かれておらず、いくつかの構成要素及び特徴は、明瞭にするために誇張されている。図面は、本主題の様々な態様及び特徴を例示しており、本主題の一つ以上の実施形態又は例を全体的に又は部分的に示すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1A】従来の風力タービンブレードの型及び製造方法の断面図。
【
図1B】従来の風力タービンブレードの型及び製造方法の断面図。
【
図1C】従来の風力タービンブレードの型及び製造方法の断面図。
【
図2】本開示の一実施形態によるスパーキャッププロファイルの断面図。
【
図3】本開示の一実施形態によるスパーキャッププロファイル内に位置付けられた様々な剪断ウェブ形状の断面図。
【
図4】本開示の一実施形態によるスパーキャッププロファイル内に位置付けられた様々な剪断ウェブ形状の断面図。
【
図5】本開示の一実施形態によるスパーキャッププロファイル内に位置付けられた様々な剪断ウェブ形状の断面図。
【
図6】本開示の一実施形態によるスパーキャッププロファイルに係合された接着剤ガイドシューの断面図。
【
図7】本開示による様々なスパーキャップ形状の断面図。
【
図8】本開示による様々なスパーキャップ形状の断面図。
【
図9】本開示による様々なスパーキャップ形状の断面図。
【
図10】本開示による様々なスパーキャップ形状の断面図。
【
図11】本開示の一実施形態によるスパーキャッププロファイルの断面図。
【
図12】本開示の一実施形態によるスパーキャッププロファイルの断面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、本開示の主題の例示的な実施形態を詳細に参照し、その一例が、添付の図面に示される。本開示の主題の方法及び対応するステップが、システムの詳細な説明とともに説明される。
【0020】
本明細書に提示される方法及びシステムは、大型構造物の構築に使用することができる。本開示の主題は、特に、風力タービンブレードの構築に適する。限定ではなく、説明及び例示の目的で、本開示の主題によるシステムの例示的な実施形態が、
図2~
図12に示され、一般に、参照文字100によって示される。同様の参照番号(先頭の数字によって区別される)は、本明細書で提示される様々な表示及び図の中で、機能的に対応するが、必ずしも同一でない構造を示すために提供される場合がある。
【0021】
ブレードは、ブレードの剛性、座屈抵抗、及び/又は強度を増加させるように構成された一つ以上の長手方向に延びる構造構成要素を含むことができる。例えば、ブレードは、それぞれ、ブレードの圧力側及び負圧側の対向する内面に係合するように構成された1対の長手方向に延びるスパーキャップ100を含むことができる。追加として、一つ以上の剪断ウェブ120が、梁のような構成を形成するようにスパーキャップ間に配設されてもよい。スパーキャップは、一般に、風力タービンの動作中に、一般にスパン方向(ブレードのスパンと平行な方向)にブレードに作用する曲げ応力及び/又は他の荷重を制御するように設計することができる。同様に、スパーキャップはまた、風力タービンの動作中に生じるスパン方向圧縮に耐えるように設計することができる。
【0022】
本開示のスパーキャップは、スパーキャップの第1の部分を形成するために一緒にグループ化された複数の引抜成形部材から構築することができる。特定の実施形態では、引抜成形部材は、複数の繊維(例えば、ガラス繊維又は炭素繊維)に樹脂を含浸させ、含浸された繊維を硬化させることによって形成することができる。当技術分野で知られている適切な手段を使用して、繊維に樹脂を含浸させることができる。さらに、樹脂は、限定はしないが、ポリエステル、ポリウレタン、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ビニルエステル、エポキシ、又は類似のものを含む適切な樹脂材料を含むことができる。さらに、図示のように、引抜成形部材は、スパーキャップの第2の部分を形成するために、スパーキャップがブレードの根元に近づくにつれて、一つ以上の引抜成形部材バンドルに分かれる。
【0023】
より具体的には、スパーキャップ100は、一つ以上の層を形成するように一緒にグループ化された複数の引抜成形部材から構築される。したがって、層は、互いに積み重ねられ、適切な手段を使用して、例えば、部材を一緒に真空注入することによって、又は接着剤、セミペグ材料、プリプレグ材料、又は類似のものを介して部材を一緒に接合することによって、一緒に連結される。
【0024】
本明細書に記載された方法及びシステムは、スパーキャップのプロファイルセグメントの均一な厚さを獲得し、プロファイルセグメントの補強繊維の長さに沿ったうねりを制限/防止し、それによって、スパーキャップの補強繊維の位置合わせを向上させやすくする。本明細書に記載された方法及びシステムは、さらに、スパーキャップ全体に対して所与の耐荷重特性を達成するために、使用される補強繊維を少なくし、スパーキャップの質量を減少させるように、スパーキャップの個々の補強繊維の耐荷重特性を向上させやすくする。追加として、本明細書に記載された方法及びシステムは、スパーキャップを製作するときに炭素繊維などの高価でない補強繊維を使用し、それによって、スパーキャップの製作に関連する材料コスト及び労働コストを低減しやすくする。そのため、本明細書に記載された方法及びシステムは、風力タービンの製作に関連するコストを低減するとともに、風力タービンの耐用寿命を延ばしやすくする。
【0025】
図2に示されるように、一連の位置決め要素/フィーチャは、風力タービンブレードのスパーキャップの引抜成形プロファイルに作り出される。「引抜成形」又は類似のものへの言及は、一般に、補強材料(例えば、繊維又は織られているか若しくは編まれているストランド)を包含し、補強材料は、樹脂を含浸され、固定ダイを通して引っ張られ、その結果、樹脂が硬化又は重合する。それゆえ、引抜成形部材を製造するプロセスは、一般に、一定の断面を有する複合部品を生成する複合材料の連続プロセスによって特徴付けられる。本明細書で説明される引抜成形部材は、スパーキャップに加えて、様々な他のロータブレード構成要素を構築するのに使用することができることも理解されるべきである。例えば、特定の実施形態では、引抜成形部材は、剪断ウェブ、又は本明細書で説明されるように引抜成形部品から構築されることから利益を得ることができる他のロータブレード構成要素を構築するために使用することができる。
【0026】
図示の例示的な実施形態では、スパーキャップ100は、「上」面(すなわち、以下でさらに詳細に論じられるように、剪断ウェブ部材に係合する面)に位置決めフィーチャ102と接合間隙フィーチャ103とを含むプロファイルで引抜成形される。位置決めフィーチャ102a、102bは、組立て及び型閉の間、剪断ウェブ構造の適切な横方向位置をスパーキャップに対して固定する。接合間隙フィーチャ103は、組立て中に風力ブレードの剪断ウェブ構造をスパーキャップに連結する接着剤のための最小の接合間隙間隔又は厚さを確立する。
【0027】
位置決めフィーチャ
いくつかの実施形態では、位置決めフィーチャ102a、102bは、スパーキャップの上面101から上方に、接合間隙フィーチャ103よりも大きい距離を延びる突起として構成される。位置決めフィーチャは、スパーキャップ100内にウェブを挿入するときに、剪断ウェブ120に嵌合的に係合するように構成された平坦な内面を有する一般に長方形の構造として形作ることができる。位置決めフィーチャ102は、剪断ウェブ上にフランジなしにいくつかの剪断ウェブを形成することができるので存在する場合は、フランジの厚さ/高さ以上の距離を剪断ウェブ120の上に延びることができる(
図3に示されたように)。位置決めフィーチャ102が延びる距離が大きいほど、剪断ウェブ120との係合及び支持の程度が大きくなる。いくつかの実施形態では、位置決めフィーチャ102の内面は、剪断ウェブが位置決めフィーチャ内に挿入される距離を示すための深さマーキングを含むことができ、それによって、オペレータは、接着剤の塗布の前及び/又は後に所望の深さ(したがって、安定性及び補強)が達成されることを視覚的に確認することができる。さらに、位置決めフィーチャ102a、102bの外縁部は、ブレードの製造及び組立て中に、人を傷つけるリスク及び/又は他の構成要素を損傷するリスクを低減するために、滑らかなアーチ形の面を備えるように面取りするか又は丸くすることができる。追加として、位置決めフィーチャ102は、スパーキャップ100の中心軸のまわりに対称的に配設することができる。
【0028】
位置決めフィーチャ102は、スパーキャップ100と一体化して形成され、スパーキャップの長さに沿って延びることができる。引抜成形によって形成されるこの一体構造により、スパーキャップへの結合中に剪断ウェブ120をガイド/位置決めするための追加の構成要素を必要とせず、それは、過度の複雑さ、重量、及びコストを避けるという点で有利である。
【0029】
接合間隙フィーチャ
本開示の別の態様によれば、接合間隙フィーチャ103は、剪断ウェブ120とスパーキャップ101の上面との間の間隔又は間隙を確立及び維持するために設けられる。図示の例示的な実施形態では、接合間隙フィーチャ103は、位置決めフィーチャ102a、102b間に、そしてそれらから等距離に配設された突起である。接合間隙フィーチャ103は、図示のように、尖端又はとがった頂点をもつ単一の突起とすることができる。追加として又は代替として、いくつかの実施形態では、接合間隙フィーチャ103は、以下でより詳細に説明されるように、位置決めフィーチャ102a、102bの方に、及び/又はスパーキャップのスパンに沿って接着剤を導くための経路を形成する一連の突起又は「バンプ」とすることができる。一般に、接合間隙フィーチャ103は、位置決めフィーチャ102a、102bが延びる距離よりも少ない距離をスパーキャップ101の面から離れて延びる。接合間隙フィーチャ103及び位置決めフィーチャ102a、102bは、スパーキャップ及び/又はブレードスパンに沿って、同じ距離、例えば全長を延びるように大きさを合わせることができる。しかしながら、必要に応じて、接合間隙フィーチャ103は、スパーキャップ及び/又はブレードスパンに沿って異なる距離を延びることができる。
【0030】
接合間隙フィーチャ103は、様々なサイズ及び形状で形成することができる。いくつかの実施形態では、接合間隙フィーチャ103は、スパーキャップスパンに沿って均一のサイズ及び形状を有し、スパーキャップと一体化して形成される。したがって、位置決めフィーチャ102a、102bと同様に、接合間隙フィーチャ103は、スパーキャップに対して強制移動又は変位され得ない。したがって、これらのフィーチャは、ブレードを形成する様々な他の構成要素の全体の形状の基準点/フレームとして働くことができるので、剪断ウェブの組立ては、簡単化され、並びにより正確に行われる。
【0031】
組立て
実施中、スパーキャップへの剪断ウェブの組立てを容易にするために、接着剤が位置決めフィーチャ102a、102b間に画定された領域内に塗布される。上記のように、この合体の完全性は、動作中にブレードに加えられる力がこの剪断ウェブとスパーキャップの合体を通して伝えられるので、疲労寿命及びブレード性能にとって重要である。したがって、剪断ウェブ120の底部とスパーキャップ101との間に十分な間隔が確実に維持されることは、接着剤が存在し、剪断ウェブ120とスパーキャップ100とを恒久的に結合させる「ポケット」又は間隙を設けるのに必須である。
【0032】
剪断ウェブ120は、ブレード型内に位置付けられ、例えば、接合間隙フィーチャ103と接触するように下げられ、位置決めフィーチャ102a、102b間に位置付けられる。いくつかの実施形態では、接着剤は、スパーキャップ接合間隙103及び位置決めフィーチャ102a、102bに係合するように剪断ウェブ120を移動させる前に塗布される(少なくとも部分的に)。追加として又は代替として、接着剤は、剪断ウェブとスパーキャップとを係合させた後に塗布することができる。そのような後続の接着剤塗布では、接着剤は、スパーキャップの一方の端部から投入することができ、接合間隙フィーチャ103は、スパーキャップのスパンに沿って接着剤をガイドするためのチャネル又は一連の突起を有する。さらに、接合間隙フィーチャ103によって形成された間隙は、十分な接着剤が塗布されて剪断ウェブ120とスパーキャップ101との間に形成された空所又は空胴全体を満たしたことを容易に目視確認できるようにする。同様に、接合間隙フィーチャ103は、位置決めフィーチャ102a、102bの方に接着剤を、さらに、ガイドするか又は方向転換させる形状、例えば、
図3に示されるように三角形で形成することができる。したがって、接合間隙フィーチャ103は、剪断ウェブ103の縁部及びスパーキャップ100の位置に接着層の非応力集中形状を提供する。
【0033】
剪断ウェブ
単一の剪断ウェブ120のみが例示的な実施形態では示されているが、追加の剪断ウェブが、本開示の範囲内で利用されてもよい。さらに、剪断ウェブ120は
図3ではIビーム構造として示されているが、代替の剪断ウェブ構成、例えば、必要に応じて、一般にU字形又はV字形構造を有するスプリットビームが利用されてもよい。
【0034】
例えば、
図4は、本開示の主題によるボックススタイル又は二重剪断ウェブ構成を示す。そのような実施形態では、スパーキャップ100は、剪断ウェブの第1のウェブ/フランジに係合するための位置決めフィーチャ102a、102bの第1のセットと、剪断ウェブの第2のウェブ/フランジに係合するための位置決めフィーチャ104a、104bの第2のセットとを伴って形成される。追加として、第1の接合間隙フィーチャ103が、剪断ウェブの第1のウェブ/フランジに係合するように設けられ、第2の接合間隙フィーチャ105が、剪断ウェブの第2のウェブ/フランジに係合するように設けられる。
【0035】
別の例示的な実施形態が、
図5に示され、
図5は、C形状剪断ウェブが、位置決めフィーチャ102bの垂直面に係合する第1の「脚」と、位置決めフィーチャ102aの垂直面に係合する第2の「脚」とを有し、剪断ウェブの底面が接合間隙フィーチャ103に係合することを示す。この構造により、測定のための追加の基準点も、スパーキャップに剪断ウェブを固定するための追加の構成要素(例えば、クランプ、ブラケット、ねじなど)も必要とすることなく、スパーキャップに対して剪断ウェブを確実に正確に配置することができる。
【0036】
ペーストシュー塗布ガイド
本開示の別の態様によれば、スパーキャップ100と剪断ウェブ120の組立てを容易にするために、接着剤、例えばペーストを塗布及び誘導するためのガイドが設けられる。
【0037】
図6に示される例示的な実施形態では、ガイドは、ペーストシュー200として構成される。ペーストシューガイド200は、スパーキャップ位置決めフィーチャ102に係合するための位置合わせフィーチャを含むことができる。例えば、ペーストシューガイド200は、二つの構成要素を固定するためにスパーキャップの位置決めフィーチャ102を嵌合的に受け取る横方向に延びるフランジ202を含み、それらの間の相対移動を防止することができる。この係合と、相対移動の制限とにより、本明細書でさらに説明されるように、所定の量の接着剤を受け取るための均一で画定された空胴又は「ポケット」が設けられる。追加として、いくつかの実施形態では、ペーストシューガイド200はスパーキャップ100と接触するための突出脚202を含む。
【0038】
いくつかの実施形態では、ペーストシュー200は、ペーストシュー境界内に接着剤を投入するための導管及びポートを含むことができる。十分な接着剤がペーストシュー200の境界内に塗布された後、ペーストシューを取り外すことができ、剪断ウェブを所定の位置に取り付けることができる。ある実施形態では、ペーストシュー200はスパーキャップのスパン全体に沿って延び、他の実施形態では、ペーストシューは、ブレードスパンに沿って選択位置に分布したいくつかのシューとすることができる。
【0039】
ペーストシューガイドが提供する利点の中には、接着剤塗布の変動を低減することがある。ペースト塗布位置を識別するために手動でラインをマークする代わりに、ペーストシューガイドは、適切な量の接着剤が塗布されることを保証し、並びに接着剤が適正な位置(例えば、剪断ウェブのヒール)を占めるように形作り又は誘導し、それによって、構成要素間の確実な合体を形成する。
【0040】
スキン位置決めフィーチャ
本開示の別の態様によれば、スキン位置決めフィーチャをスパーキャップ形成プロセスに組み込むことができる。
図7~
図8に示される例示的な実施形態では、スパーキャップは、ブレードスキンに係合できるようにするフィーチャとともに形成する、例えば、引抜成形することができる。例えば、スパーキャップは、ブレードスキンの相補的フィーチャを嵌合的に受け取るためのフィーチャ110を伴って形成することができる。限定ではなく説明の目的で、スキン位置決めフィーチャ110は、ブレードスキンに形成された相補的突起310を受け取るように構成された凹部として示されているが、これらのフィーチャのオス/メス構成は、必要に応じて、逆にすることができる。
【0041】
スキン位置決めフィーチャ110は、スパーキャップの単一の位置に(例えば、
図7に示されるように中心に)形成されてもよく、又はスパーキャップ面101の多数の位置に形成されてもよい。スキン位置決めフィーチャは、ブレードスキンセグメントのレイアップ中にブレードスキンに対してスパーキャップの迅速で正確な位置決め/位置合わせを可能にするという点で有利である。これにより、基準点としての外部型の固定具(それは、不正確であり、異なる製造サイクル及びブレード形状により変化することがある)を利用する必要がなくなる。追加として、スキン位置決めフィーチャは、スパーキャップ及びスキンに直接取り付けられるロケート部分を迅速に識別することとともに、エラーを低減し、適切な係合を即座に目視確認することを可能にする。
【0042】
いくつかの実施形態では、スパーキャップは、ブレードスキンに結合される別個の要素として形成することができる。他の実施形態では、スパーキャップは、一体化結合を形成するようにブレードスキンに織り込まれるか又はブレンドされる構成要素として形成される。
【0043】
当て板の位置決め
本開示の別の態様によれば、位置決めフィーチャ202を含む当て板200を利用することができる。
図9に示される例示的な実施形態では、当て板位置決めフィーチャ202が、スパーキャップ位置決めフィーチャ102に係合する。実施形態によっては、当て板位置決めフィーチャ202は、後続の組立てプロセス中に当て板及びスパーキャップを係合したままにするために、解放可能な接続、例えば、ねじ又はピンを含むことができる。例えば、当て板位置決めフィーチャ202は、スパーキャップ位置決めフィーチャ102に係合することができ、その結果、当て板は、強制移動/変位を制限され、それによって、当て板200が、注入プロセスの間、存在し、確実に係合されたままであることを可能にする。
【0044】
剪断ウェブのヒール充填物
本開示の別の態様によれば、接着剤は、剪断ウェブのヒールのすぐ近くの空所を完全に充填するようにガイド又は誘導することができる。
図10に示される例示的な実施形態では、スパーキャップの位置決めフィーチャ102は、スパーキャップ100と剪断ウェブ120の間の接合間隙内に接着剤を塗布する間にダムとして働く垂直壁を形成する。このダムは、剪断ウェブのヒールの推移径のすぐ近くの領域を含む空所又はポケットを完全に充填するために、接着剤をスパーキャップ位置決めフィーチャ102の垂直壁に沿って上に進ませる。接着剤は、スパーキャップ位置決めフィーチャ102の上に延びるまで塗布され、それによって、適正な量の接着剤が塗布されたことを即時に目視確認することができる。本明細書に記載された構造及び技法はブレードの負圧側及び圧力側に形成されたスパーキャップに等しく適用可能であるので、本明細書における「上に」、「下に」、「上部」、「下部」などへの言及は、相対的であり、非限定であることに留意されるべきである。
【0045】
したがって、本開示は、従来のブレード構造及び製造技法に対して、以下のものを含む数多くの利点及び改善を提供する。
・ 位置決め及び接合の間、所定の位置に剪断ウェブを配置し保持するための巨大なガントリの必要性を排除する、
・ 剪断ウェブとスパーキャップとの間における、応力集中形状と「潰れた状態」の接合ラインとを排除するための接着剤ラインの手動整形を避け、接合ラインの接着剤量の評価を容易にし、不良品にする可能性を低くする、
・ 接着剤の絞り出しを再度管理するための二次部品を追加及び/又は接合することなく剪断ウェブのヒールを完全に充填する、
・ 外型フレームではなくブレード構成要素を基準として基準点を設け、それによって、基準フィーチャが真空バギング内にとどまることができる、
・ スパーキャップに一体化されるスパーキャップの位置決め固定具を設け、レイアッププロセス中の滑り/移動の可能性を排除する。
【0046】
本開示の主題が特定の好ましい実施形態に関して本明細書に記載されているが、当業者は、本開示の主題の範囲から逸脱することなく、本開示の主題に対して様々な変形及び改善を行うことができることを認識されよう。その上、本開示の主題の一つの実施形態の個々の特徴が、本明細書で論じられ、又は他の実施形態ではなく一つの実施形態の図面に示されていることがあるが、一つの実施形態の個々の特徴は、別の実施形態の一つ以上の特徴又は複数の実施形態からの特徴と組み合わされてもよいことは明らかである。
【0047】
以下で請求される特定の実施形態に加えて、本開示の主題は、以下で請求される従属の特徴及び上述で開示されたものの他の可能な組合せを有する他の実施形態にも関する。そのため、従属請求項に提示され、上述で開示された特定の特徴は、本開示の主題の範囲内で他の方法で互いに組み合わされてもよく、その結果、本開示の主題は、特に、他の可能な組合せを有する他の実施形態にも関するとして認識されるべきである。したがって、本開示の主題の特定の実施形態の前述の説明は、例示及び説明の目的で提示されている。それは、網羅的であること、又は開示されたそれらの実施形態に本開示の主題を限定することを意図するものではない。
【0048】
様々な変形及び変更が、本開示の主題の趣旨又は範囲から逸脱することなく、本開示の主題の方法及びシステムになされてもよいことが当業者には明らかであろう。したがって、本開示の主題は、添付の特許請求の範囲及びその等価物の範囲内にある変形及び変更を含むことが意図される。