(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-14
(45)【発行日】2022-01-13
(54)【発明の名称】物品処理装置および物品処理方法
(51)【国際特許分類】
C25D 17/18 20060101AFI20220105BHJP
C25D 17/00 20060101ALI20220105BHJP
C25D 21/10 20060101ALI20220105BHJP
C23C 18/31 20060101ALI20220105BHJP
B08B 3/04 20060101ALI20220105BHJP
【FI】
C25D17/18
C25D17/00 C
C25D21/10 301
C23C18/31 E
B08B3/04 Z
(21)【出願番号】P 2018040669
(22)【出願日】2018-03-07
【審査請求日】2020-11-17
(73)【特許権者】
【識別番号】514074050
【氏名又は名称】中央機械株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】517414923
【氏名又は名称】株式会社旭プレシジョン
(74)【代理人】
【識別番号】100167988
【氏名又は名称】河原 哲郎
(72)【発明者】
【氏名】久田 祐子
(72)【発明者】
【氏名】橋本 剛徳
(72)【発明者】
【氏名】橋本 康毅
(72)【発明者】
【氏名】山中 泰宏
(72)【発明者】
【氏名】池山 弘一
(72)【発明者】
【氏名】宮本 昌樹
【審査官】岡田 隆介
(56)【参考文献】
【文献】特表2004-527652(JP,A)
【文献】特公昭48-029695(JP,B1)
【文献】特開2007-191726(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C25D 17/16-17/18
C23C 18/31
B08B 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
底面に噴出口を備えた処理槽と、
前記噴出口から処理液を脈動させながら供給する処理液供給手段と、
前記処理槽内に配置され、内部にワークを収容可能なカップとを有し、
前記カップは、
壁の少なくとも一部が前記処理液が透過可能に形成された胴部と、
下に向かうにつれて水平断面が縮小するように形成された底部と、
前記底部の下端に設けられ、前記噴出口から供給される前記処理液を該カップの内部に導入する底部開口と、
前記底部開口の上に略鉛直に設けられ、前記処理液を上方に導く導管と、
前記導管の上に設けられ、該導管の上端から排出される前記処理液の流れを該カップの壁面方向に偏向させる反射部材とを備え
、
前記反射部材の下面が、頂点を下に向けた円錐の側面、または当該円錐の母線を内側に凸の曲線に置き換えたときの回転面の形状を有する、
物品処理装置。
【請求項2】
前記カップは、前記反射部材の上に設けられ、前記ワークの上方への流失を妨げるバリア部材をさらに有する、
請求項1に記載の物品処理装置。
【請求項3】
前記処理液供給手段がインバータ制御されたポンプである、
請求項1または2に記載の物品処理装置。
【請求項4】
前記処理槽内に設けられた第1電極と、
前記カップ内であって、前記底部に滞留する前記ワークと接触する位置に設けられた第2電極とをさらに有する、
請求項1~3のいずれか一項に記載の物品処理装置。
【請求項5】
ワークを、壁の少なくとも一部が処理液が透過可能に形成された胴部と、下に向かうにつれて水平断面が縮小するように形成された底部と、該底部の下端に設けられた底部開口と、前記底部開口の上に略鉛直に設けられた導管と、前記導管の上に設けられ
、下面が頂点を下に向けた円錐の側面、または当該円錐の母線を内側に凸の曲線に置き換えたときの回転面の形状を有する反射部材
とを備えたカップに投入する工程と、
前記カップを、底面に噴出口を備えた処理槽内に装入し、該噴出口と前記底部開口の位置を合わせて固定して、処理液に浸漬する工程と、
前記噴出口から前記処理液を脈動させながら噴出することにより、該処理液が前記底部開口から前記カップ内に進入し、前記導管内を上昇し、前記反射部材によって前記カップの壁面方向に向かう流れを形成して、前記ワークを該流れに乗せて循環させながら処理する工程と、
を有する物品処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微小な物品を処理液中に浸漬して、洗浄、めっき、化成処理等の表面処理を行う装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
各種機械部品等の小さな物品の洗浄やめっき処理は、壁面に多数の孔があいたバレルにワークを収容して処理液に浸漬し、バレルを回転させて行われることが多い。しかし、この方法ではバレルの回転に伴ってワークが擦れ合いながら移動するため、ワークの強度が低いとワークが変形、破損しやすいという問題があった。
【0003】
特許文献1には、被処理物をメッキ室に投入し、メッキ室の底面全体からメッキ液を噴出してメッキ室を撹拌し、被処理物を流動化させて電気メッキ処理を行うことが記載されている。しかし、この方法ではメッキ室内に、メッキ液が渦を巻いて局所的に循環したり、メッキ液の流れが停滞する領域が形成されやすい。そのため、被処理物の寸法がさらに小さくなると、メッキ室内の液流の分布によって、すぐに沈降する被処理物と液中で舞い続けて降下しない被処理物との間でメッキ膜厚が大きく異なるなど、処理の程度にばらつきが生じるという問題があった。
【0004】
特許文献2には、物体を収容する槽が、側壁から下方に傾斜した底壁と、下端に設けられた流体入口と、流体入口より上方に配置されて上向きに延びる導管と、導管の上方に設けられた偏向部材と、導管の上端付近から下方に傾斜して延びる分配シールドを有する噴流層装置が記載されている。物体は、流体に乗って槽の下部から導管内を上昇し、偏向部材によって流体の流れから解放され分配シールド頂部表面上に沈着し、分配シールド半径方向外側に下方に移動して外縁部から滑り落ちて、底壁上に沈着する。従来の噴流層では粒子層の一部分が停滞する「死点」と呼ばれる問題があったが、分配シールドを使用することによって噴流層の周辺の停滞領域が完全に除去されるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2002-030496号公報
【文献】特表2004-527652号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献2に記載された装置によっても、ワークがさらに小さく、特に薄片状である場合には、一部のワークが槽の内壁面や分配シールド上に貼着して降下しなくなるという問題があった。その結果、ワーク間で処理の程度にばらつきが生じた。
【0007】
本発明は上記を考慮してなされたものであり、物品を処理液中に浸漬して表面処理を行う装置および方法において、微小で薄片状のワークに対しても、壁面等に貼着しにくく、ワーク間で処理の程度にばらつきが生じにくい処理装置および方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の物品処理装置は、底面に噴出口を備えた処理槽と、前記噴出口から処理液を脈動させながら供給する処理液供給手段と、前記処理槽内に配置され、内部にワークを収容可能なカップとを有する。そして、前記カップは、壁の少なくとも一部が前記処理液が透過可能に形成された胴部と、下に向かうにつれて水平断面が縮小するように形成された底部と、前記底部の下端に設けられ、前記噴出口から供給される前記処理液を該カップの内部に導入する底部開口と、前記底部開口の上に略鉛直に設けられ、前記処理液を上方に導く導管と、前記導管の上に設けられ、該導管の上端から排出される前記処理液の流れを該カップの壁面方向に偏向させる反射部材とを備える。
【0009】
この構成によれば、カップ内の反射部材より下の領域全体に、導管内を上昇し導管外を下降する処理液の大きな流れを形成できるので、ワークが液中で停滞することが起こりにくい。さらに、その大きな流れを脈動させることにより、ワークの壁面等への貼着を防止できる。
【0010】
好ましくは、前記カップは、前記反射部材の上に設けられ、前記ワークの上方への流失を妨げるバリア部材をさらに有する。バリア部材は反射部材より上の領域に向かう処理液の流れを抑える緩衝作用を奏し、ワークがかかる流れに乗って上方に流失することを防止する。
【0011】
好ましくは、前記反射部材の下面が、頂点を下に向けた円錐の側面、または当該円錐の母線を内側に凸の曲線に置き換えたときの回転面の形状を有する。これにより、導管の上端から上向きに排出される処理液の流れを滑らかにカップの壁面方向に偏向させることができ、ワークが停滞する原因となる渦などの形成を抑えることができる。
【0012】
好ましくは、前記処理液供給手段がインバータ制御されたポンプである。これにより、開閉弁を用いる必要がなく、また、より応答性良く処理液を脈動させることができる。
【0013】
上記物品処理装置は、前記処理槽内に設けられた第1電極と、前記カップ内であって前記底部に滞留する前記ワークと接触する位置に設けられた第2電極とをさらに有していてもよい。この構成により、電解めっきや電解脱脂などの電解処理が可能となる。
【0014】
本発明の物品処理方法は、ワークを、壁の少なくとも一部が処理液が透過可能に形成された胴部と、下に向かうにつれて水平断面が縮小するように形成された底部と、該底部の下端に設けられた底部開口と、前記底部開口の上に略鉛直に設けられた導管と、前記導管の上に設けられた反射部材を備えたカップに投入する工程と、前記カップを、底面に噴出口を備えた処理槽内に装入し、該噴出口と前記底部開口の位置を合わせて固定して、処理液に浸漬する工程と、前記噴出口から前記処理液を脈動させながら噴出することにより、該処理液が前記底部開口から前記カップ内に進入し、前記導管内を上昇し、前記反射部材によって前記カップの壁面方向に向かう流れを形成して、前記ワークを該流れに乗せて循環させながら処理する工程とを有する。
【発明の効果】
【0015】
本発明の物品処理装置または物品処理方法によれば、カップ内の反射部材より下の領域全体に、導管内を上昇し導管外を下降する処理液の大きな流れを形成できるので、ワークが液中で停滞することが起こりにくい。さらに、その大きな流れを脈動させることによりカップ内壁面等へのワークの貼着を防止できる。結果として、ワークが微小で薄片状であっても、ワーク間で処理の程度にばらつきが生じにくい。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の第1実施形態の物品処理装置の構成を示す図である。
【
図2】本発明の第1実施形態のカップの構成を示す垂直断面図である。
【
図4】本発明の第2実施形態の物品処理装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の物品処理装置の第1実施形態を
図1~
図3に基づいて説明する。
【0018】
図1を参照して、本実施形態の物品処理装置10は、処理液20を貯留し、底面に噴出口34を備えた処理槽30と、噴出口に処理液を脈動させながら供給するポンプ(処理液供給手段)37と、内部にワーク(図示せず)を収容するカップ40とを有する。カップは、支持部材33によって処理槽の上蓋31から吊り下げられて支持され、処理液に浸漬して処理槽内に設置される。
【0019】
処理槽30は内部に処理液20を貯留する。処理槽上部の開口は、取っ手32を備えた上蓋31で閉じられている。処理槽は底面に噴出口34を有する。処理槽内の処理液は、排出口35から循環配管36に取り込まれ、ポンプ37によって噴出口34から噴流となって噴出される。循環配管には必要に応じてフィルター、液加熱装置等を設けてもよい。あるいは、循環配管36とは別に、ろ過等のための循環系統を設けてもよい。
【0020】
ポンプ37はポンプ制御装置38によって制御される。好ましくは、ポンプ制御装置がインバータ回路を有し、ポンプがインバータ制御される。開閉弁を用いることなく噴流の作動(ON)-停止(OFF)を制御できるし、処理液の供給量を細かく制御可能だからである。また、短時間の作動または停止であっても、短い応答時間で制御可能だからである。
【0021】
カップ40は内部にワークを収容して、処理液20に浸漬される。カップは、円筒形の胴部41と、下に向かうにつれて水平断面が縮小するように形成された円錐台形の底部44とを有し、底部の下端には底部開口45が設けられている。胴部の上部開口は、ガス抜き穴49が形成された蓋部材48によって閉じられている。カップの内部には、導管50と、反射部材60と、バリア部材70とが設けられている。使用時には、処理液が導管内を上昇し、導管とカップ内壁の間を下降する。以下にカップ各部の詳細を説明する。
【0022】
図2を参照して、カップ40の胴部41の壁は、下部が処理液20が透過可能な多孔部42、上部が孔のない無孔部43となっている。多孔部の孔の形状、寸法、配置は特に限定されず、ワークが流出せず、処理液の透過抵抗が小さくなるように形成されていればよい。多孔部は、例えば孔のない円筒の壁に直接孔をあけることで形成できる。好ましくは、多孔部は反射部材60の下面の外縁62より低い位置に設けられる。導管50上端から壁面方向へ向かう処理液が下向きに流れやすくするためである。
【0023】
底部44は、胴部41の下側に連続して胴部と一体に形成されており、下に向かうにつれて水平断面が縮小するように形成された円錐台形状を有する。胴部と底部の境界は内壁面に段差がないことが好ましい。底部の下端には底部開口45が設けられている。底部開口には、カップ40内にワークを保持するために、メッシュ部材46が設けられている。カップは、底部開口と噴出口34の位置を合わせて、着脱可能なジョイント47、47によって処理槽30の底面に接続される。
【0024】
図2および
図3を参照して、導管50は円筒形状を有し、間隙51を介して底部開口45の上に、垂直に設けられている。導管の上端52は胴部41に位置する。底部開口45からカップ内に進入した処理液の噴流は、底部44の斜面上に滞留するワークを巻き込んで、導管内を上方の胴部に導かれる。導管は支持部材55によって蓋部材48から吊り下げられて支持される。
【0025】
図2を参照して、導管50の上端52近傍は、外周に突出する部分や部材がなく、筒状であることが好ましい。具体的には、導管の上端からの距離が、導管の半径より小さい範囲(53)の外周に突出する部分や部材がないことが好ましい。特許文献2によれば導管上端の外側に分配シールドを設けることで停滞領域が除去されるが、ワークが薄片状の場合は、分配シールド上に沈着したワークが貼着して滑り落ちず、捕捉されやすい。
【0026】
反射部材60は、導管50の上に設けられる。反射部材は、導管の上端52から上向きに排出される噴流を、カップの壁面方向に偏向させる。反射部材の下面61は、好ましくは、導管と同軸で頂点を下に向けた円錐の側面の形状とする。あるいは、好ましくは、
図2に示すように、その円錐の母線を内側に凸の曲線に置き換えたときの回転面の形状とする。この形状によって、導管の上端から上向きに排出される噴流と反射部材によって反射された処理液の流れが衝突することなく、処理液の流れを滑らかにカップの壁面方向に偏向させることができる。その結果、ワークが停滞する原因となる局所的な渦や乱流の形成を抑えることができる。反射部材は、支持棒63によって蓋部材48から吊り下げられて支持される。
【0027】
好ましくは、バリア部材70が反射部材60の上に設けられる。バリア部材は、
図2では傘状の形状を有し、上部にガス抜きの穴72が形成されている。バリア部材は胴部41断面の広い範囲を蔽い、平面視において胴部断面積の好ましくは40%以上、より好ましくは60%以上を蔽う。バリア部材は、反射部材から壁面に向かう処理液の大きな流れ(主流)から逸れて上方に向かおうとする小さな流れ(支流)を抑える緩衝作用を奏する。これにより、ワークがかかる支流に乗って反射部材より上方の領域に流失することを防止できる。好ましくは、バリア部材の下端71が反射部材下面の外縁62より下に位置する。バリア部材は、支持管73によって蓋部材48から吊り下げられて支持される。
【0028】
次に、本実施形態の物品処理装置10の使用方法を説明する。
【0029】
まず、処理しようとするワークをカップ40に投入する。処理槽30に処理の内容に応じて処理液20を貯留する。例えば、水洗処理なら水を、無電解めっき処理ならめっき液を貯留する。カップを支持部材33によって上蓋31に取り付け、処理槽内に装入して処理液に浸漬し、ジョイント47、47によって処理槽に接続する。このとき、カップの全体が処理液に浸漬していることが好ましい。無電解めっき処理時にカップ内に処理液面があると、ワークが液面まで浮上して空気を巻き込んで沈降した場合に、空気との反応によって処理液の活性が低下するからである。
【0030】
次に、ポンプ37を間欠的にまたは出力を変動させながら作動させて、処理液20を脈動させながら噴出口34から噴出する。処理液の噴流は、底部開口45からカップ40内に進入し、間隙51からワークを巻き込んで、導管50内を上昇する(S)。導管の上端52から上向きに排出された処理液は、反射部材60によって、壁面方向に向きを変える(T)。処理液の一部はカップ内を底部44に向かって下降し(U)、一部は胴部41の壁の多孔部42を透過してカップ外に流出する(V)。ワークは多孔部を通過できないので、すべて底部に向かって降下する。ワークがこの処理液の流れに乗って循環する間に処理が進行する。
【0031】
間隙51から巻き込んだワークを導管50上に噴き上げた後、噴流を弱くしたり止めることで、ワークはカップの底部44へとゆっくりと降下する。このときワーク間には常に処理液20が介在するので、擦れ等によってワークに傷が生じにくい。本実施形態の物品処理装置は、ワークと接触する液の交換が十分に行われること、ワーク同士の擦れが少なく触媒や被膜が剥がれにくいことから、無電解めっき処理に特に適する。
【0032】
また、処理液20の噴出条件を適切に制御することによって、噴流が弱まるまたは停止している間にすべてのワークを底部44まで降下させて、すべてのワークを噴流に乗せて再び導管50上まで運ぶことができる。これにより、例えば沈降時間に個体差が生じやすい微小で薄片状のワークであっても同時にカップ内で循環させることができ、さらに均一な処理が可能となる。最適な噴出条件は、ワークの形状、寸法、比重、処理液の比重、カップの大きさなどに依存するが、ポンプ37がインバータ制御される場合は、容易に条件を変更して望ましい条件に調整することができる。発明者らの実験によれば、径が1~10mm、厚さが10~30μmの円形またはアニュラス形の金属箔の水洗浄処理において、カップの容積500mLに対して、ポンプ出力最大値が約100mL/秒、1.5秒ON-5.0秒OFFのサイクルで水を噴出したところ、液中に停滞するワークはなく、ワークの傷つきもなく、良好な結果が得られた。
【0033】
ワークに対して一連の処理を行う場合、例えば、水洗浄、無電解めっき、化成処理、水洗浄等の一連の処理を行う場合は、各処理のための処理槽を準備して、上蓋31とカップ40を処理の完了した処理槽から外して、次の処理槽へ移動させればよい。
【0034】
次に、本発明の物品処理装置の第2実施形態を
図4に基づいて説明する。本実施形態の物品処理装置は、電解処理を可能とする点で、第1実施形態の装置と異なる。以下において、第1実施形態と共通する構成についての説明は省略する。
【0035】
図4を参照して、本実施形態の物品処理装置11において、処理槽30は、処理液20に浸漬される第1電極80を有する。また、カップ40は、底部44に滞留するワークと接触する位置に第2電極81を有する。第2電極としては、処理槽外から、上蓋31、蓋部材48のガス抜き穴49、バリア部材70に設けた穴74を通して、給電リードを底部44近傍まで差し込めばよい。なお、電極を底部44の内面に組み込んでもよい。
【0036】
第1電極80および第2電極81は、処理槽30外で電源82に接続される。処理液に電解液を用いて第1電極を陽極、第2電極を陰極とすることにより、電解めっき処理が可能となる。あるいは、第1電極を陰極、第2電極を陽極とすることにより、電解脱脂処理などを行うことができる。
【0037】
本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、その技術的思想の範囲内で種々の変形が可能である。
【0038】
例えば、ワークのカップ内壁面への貼着をさらに抑えるために、カップの壁面に振動を与えてもよい。
【0039】
また、例えば、第2実施形態の物品処理装置11を用いて電解処理を行う場合、噴流のON-OFF動作に合わせて、通電をOFF-ONしてもよい。これにより、ワークが第2電極81を離れてカップ内を循環する間に逆反応が生じることを防止できる。
【符号の説明】
【0040】
10、11 物品処理装置
20 処理液
21 処理液面
30 処理槽
31 処理槽の上蓋
32 取っ手
33 支持部材
34 噴出口
35 排出口
36 循環配管
37 ポンプ(処理液供給手段)
38 ポンプ制御装置
40 カップ
41 胴部
42 多孔部
43 無孔部
44 底部
45 底部開口
46 メッシュ材
47 ジョイント
48 蓋部材
49 ガス抜き穴
50 導管
51 間隙
52 導管上端
52 導管上端近傍
55 支持部材
60 反射部材
61 反射部材下面
62 反射部材下面の外縁
63 支持棒
70 バリア部材
71 バリア部材下端
72 ガス抜き穴
73 支持管
74 給電リード用穴
80 第1電極
81 第2電極
82 電源