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特許6993663睡眠環境検出システム及び睡眠環境検出方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-14
(45)【発行日】2022-01-13
(54)【発明の名称】睡眠環境検出システム及び睡眠環境検出方法
(51)【国際特許分類】
   G16H 50/30 20180101AFI20220105BHJP
   G06Q 30/02 20120101ALI20220105BHJP
   A61B 5/16 20060101ALI20220105BHJP
【FI】
G16H50/30
G06Q30/02 470
A61B5/16 130
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2017040529
(22)【出願日】2017-03-03
(65)【公開番号】P2018147167
(43)【公開日】2018-09-20
【審査請求日】2020-02-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000196129
【氏名又は名称】西川株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100182006
【弁理士】
【氏名又は名称】湯本 譲司
(72)【発明者】
【氏名】杉原 桃菜
(72)【発明者】
【氏名】島田 紗樹
【審査官】関 博文
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-071263(JP,A)
【文献】特表2012-503804(JP,A)
【文献】特開2005-122314(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00-80/00
G06Q 10/00-99/00
A61B 5/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象者の睡眠環境を検出する睡眠環境検出システムであって、
前記対象者の主観から得られる第1睡眠データ、及び、前記対象者に装着させた活動量計から得られる第2睡眠データを突き合わせて前記対象者の睡眠状態を分類する睡眠分類部と、
前記睡眠分類部によって分類された前記睡眠状態に紐づくコメントを抽出するコメント抽出部と、
前記睡眠分類部によって分類された前記睡眠状態に紐づく商品を抽出する商品抽出部と、
ディスプレイを有する表示部と、を備え
前記睡眠分類部は、予め項目ごとにグループが定められているチェック表を有し、前記チェック表から前記対象者が属するグループを判断し、前記対象者がどのグループに属するかを判断した後に、各グループに応じた前記睡眠状態が記載されている分類表を生成し、
前記ディスプレイは、前記分類表を表示すると共に、前記コメント及び前記商品を表形式で表示する、
睡眠環境検出システム。
【請求項2】
前記睡眠分類部によって分類された前記睡眠状態に紐づく原因を抽出する原因抽出部を備え、
前記ディスプレイは、前記原因抽出部によって抽出された原因を表示する
請求項記載の睡眠環境検出システム。
【請求項3】
前記第1睡眠データは、前記対象者によって記載されたアンケートから得られるアンケートデータと、前記対象者への質問によって得られるヒアリングデータと、を含む、
請求項1又は2に記載の睡眠環境検出システム。
【請求項4】
CPU、ROM及びRAMを備えて構成されている睡眠データ解析部を用いて対象者の睡眠環境を検出する睡眠環境検出方法であって、
前記睡眠データ解析部が、前記対象者の主観から得られる第1睡眠データを取得するステップと、
前記睡眠データ解析部が、前記対象者に装着させた活動量計から第2睡眠データを取得するステップと、
前記睡眠データ解析部の睡眠分類部が、前記第1睡眠データ及び前記第2睡眠データを突き合わせて前記対象者の睡眠状態を分類するステップと、
前記睡眠分類部が、予め項目ごとにグループが定められているチェック表を有し、前記チェック表から前記対象者が属するグループを判断するステップと、
前記判断するステップの後に、前記睡眠分類部が、各グループに応じた前記睡眠状態が記載されている分類表を生成するステップと、
前記睡眠データ解析部のコメント抽出部が、前記睡眠分類部によって分類された前記睡眠状態に紐づくコメントを抽出するステップと、
前記睡眠データ解析部の商品抽出部が、前記睡眠分類部によって分類された前記睡眠状態に紐づく商品を抽出するステップと、
ディスプレイを有する表示部が、前記分類表を表示すると共に、前記コメント及び前記商品を表形式で表示するステップと、
を備える睡眠環境検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象者の睡眠環境を検出する睡眠環境検出システム及び睡眠環境検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
睡眠環境を検出する試みは従来から行われている。対象者の睡眠環境を検出することにより、当該対象者によりよい睡眠環境を提供したり、当該対象者によりよい睡眠関連商品を提供したりすることが可能となる。特開2012-375号公報には、寝具で睡眠している被験者を撮影するビデオカメラを備えた睡眠状態判定装置が記載されている。
【0003】
この睡眠状態判定装置は、ビデオカメラから得られた画像から被験者の体動量の時系列波形データを算出する体動量算出手段と、当該時系列波形データから大きな体動を抽出すると共に所定の体動を除去する体動抽出手段と、当該大きな体動の静止持続時間を算出し当該体動量に基づいて被験者の睡眠状態がどの睡眠段階であるかを判定する判定手段と、を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2012-375号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述した睡眠状態判定装置では、対象者の体動量を算出し、算出した体動量のデータを用いて睡眠状態を判定している。しかしながら、体動量のデータからは十分且つ高精度な睡眠環境を検出することはできず、高精度な睡眠環境を検出するためには他にも様々なデータを取得することが必要である。
【0006】
前述した睡眠状態判定装置では、対象者の睡眠について客観的なデータを取得することは可能である。しかしながら、客観的なデータは、対象者の睡眠の実情から乖離した固定的なデータであることも多く、対象者の実際の睡眠環境を様々な観点で検出する場合には不十分であることが多い。すなわち、客観的なデータのみでは、対象者の睡眠環境の検出には十分ではないという問題がある。
【0007】
本発明は、睡眠環境の検出を十分に行うことができる睡眠環境検出システム及び睡眠環境検出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一側面に係る睡眠環境検出システムは、対象者の睡眠環境を検出する睡眠環境検出システムであって、対象者の主観から得られる第1睡眠データ、及び、対象者に装着させた活動量計から得られる第2睡眠データを突き合わせて対象者の睡眠状態を分類する睡眠分類部と、睡眠分類部によって分類された睡眠状態に紐づくコメントを抽出するコメント抽出部と、睡眠分類部によって分類された睡眠状態に紐づく商品を抽出する商品抽出部と、ディスプレイを有する表示部と、を備え、睡眠分類部は、予め項目ごとにグループが定められているチェック表を有し、チェック表から対象者が属するグループを判断し、対象者がどのグループに属するかを判断した後に、各グループに応じた睡眠状態が記載されている分類表を生成し、ディスプレイは、分類表を表示すると共に、コメント及び商品を表形式で表示する。
【0009】
この睡眠環境検出システムでは、対象者自身から対象者の主観に基づく第1睡眠データを取得すると共に、対象者に活動量計を装着させ、当該活動量計から客観的な第2睡眠データを取得する。第1睡眠データを取得することにより、対象者自身が感じる睡眠状態のデータ、すなわち睡眠に対する悩み又は睡眠に対する改善要望等のデータを取得することができる。また、第2睡眠データを取得することにより、対象者の客観的な睡眠状態のデータ、及び、対象者が自覚していない睡眠状態のデータを取得することができる。よって、第1睡眠データ及び第2睡眠データを突き合わせることにより、対象者自身が感じる主観的な睡眠状態のデータと、対象者が自覚していない客観的な睡眠状態のデータを取得することができるので、睡眠環境を十分に検出することができる。また、睡眠分類部が第1睡眠データと第2睡眠データとを突き合わせて対象者の睡眠状態を分類することにより、取得した睡眠状態をグループ分けすることができるので、睡眠状態をより高精度に管理することができる。
【0010】
た、対象者の睡眠の実情に促した商品を抽出することができるので、睡眠環境を改善させるための商品を対象者に提案することができる。
【0011】
また、前述した睡眠環境検出システムは、睡眠分類部によって分類された睡眠状態に紐づく原因を抽出する原因抽出部を備え、ディスプレイは、原因抽出部によって抽出された原因を表示てもよい。この場合、分類された睡眠状態に紐づく原因を抽出し、抽出された原因を表示することができる。よって、分類された睡眠状態において問題とされている事柄の原因を表示することができるので、対象者への睡眠状態改善の提案をより的確に行うことができる。
【0012】
また、第1睡眠データは、対象者によって記載されたアンケートから得られるアンケートデータと、対象者への質問によって得られるヒアリングデータと、を含んでもよい。この場合、対象者に対するアンケート、及び対象者に対するヒアリングから、対象者の主観に関する第1睡眠データを取得することができる。よって、主観に基づく第1睡眠データをより充実させることができるので、睡眠環境の検出をより十分に行うことができる。
【0013】
本発明の一側面に係る睡眠環境検出方法は、CPU、ROM及びRAMを備えて構成されている睡眠データ解析部を用いて対象者の睡眠環境を検出する睡眠環境検出方法であって、睡眠データ解析部が、対象者の主観から得られる第1睡眠データを取得するステップと、睡眠データ解析部が、対象者に装着させた活動量計から第2睡眠データを取得するステップと、睡眠データ解析部の睡眠分類部が、第1睡眠データ及び第2睡眠データを突き合わせて対象者の睡眠状態を分類するステップと、睡眠分類部が、予め項目ごとにグループが定められているチェック表を有し、チェック表から対象者が属するグループを判断するステップと、判断するステップの後に、睡眠分類部が、各グループに応じた睡眠状態が記載されている分類表を生成するステップと、睡眠データ解析部のコメント抽出部が、睡眠分類部によって分類された睡眠状態に紐づくコメントを抽出するステップと、睡眠データ解析部の商品抽出部が、睡眠分類部によって分類された睡眠状態に紐づく商品を抽出するステップと、ディスプレイを有する表示部が、分類表を表示すると共に、コメント及び商品を表形式で表示するステップと、を備える。
【0014】
この睡眠環境検出方法は、対象者自身から主観に基づく第1睡眠データを取得するステップと、活動量計から客観的な第2睡眠データを取得するステップとを備える。第1睡眠データを取得することにより、睡眠に対する悩み等、対象者自身が感じる睡眠状態の情報を取得することができる。また、第2睡眠データを取得することにより、対象者が自覚していない睡眠状態の情報を取得することができる。従って、第1睡眠データ及び第2睡眠データを取得することにより、主観的な睡眠状態のデータと客観的な睡眠状態のデータを取得することができるので、睡眠環境を十分に検出することができる。また、睡眠状態を分類するステップでは、第1睡眠データと第2睡眠データとを付き合わせて睡眠状態を分類する。従って、睡眠状態をグループ分けすることができるので、睡眠状態をより高精度に管理することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、睡眠環境の検出を十分に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施形態に係る睡眠環境検出システムを示すブロック図である。
図2図1の睡眠環境検出システムで用いる睡眠のチェック項目を示す図表である。
図3図1の睡眠環境検出システムの活動量計からデータを取り込む状態を示す斜視図である。
図4図2のチェック項目でチェックされた結果から分類された睡眠環境のグループを示す分類表である。
図5図4の分類表に紐づく原因、コメント及び商品を表示する図表である。
図6】実施形態に係る睡眠環境検出方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照しながら、本発明に係る睡眠環境検出システム及び睡眠環境検出方法の実施形態について説明する。図面の説明において、同一又は相当する要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。
【0018】
図1に示されるように、本実施形態に係る睡眠環境検出システム1は、対象者の睡眠環境を検出するシステムである。本明細書において、「対象者」とは、睡眠環境検出システム1において睡眠環境が検出される対象となる人を示しており、例えば、睡眠に悩みを抱える人、及び、睡眠について相談を望んでいる人等を含んでいる。
【0019】
睡眠環境検出システム1は、対象者の睡眠環境を、主観に基づく第1睡眠データ、及び客観的な手法で得られる第2睡眠データの両方を用いて解析するアプリケーションを備える。また、睡眠環境検出システム1は、入力されるデータ、及び解析したデータを記憶するデータベースを備える。
【0020】
本明細書において、「主観」とは、対象者の主観を示しており、対象者自身の感想、考え、希望、判断、心理状態、及び対象者が自覚している事柄を含む。また、本明細書において、「客観」とは、主観から独立して存在する第三者的な考え、機械等から得られた測定結果、観察結果、及び対象者が自覚していない事柄を含む。また、前述の「客観的な手法で得られる第2睡眠データ」は、後述する活動量計13から得られる睡眠状態を示している。
【0021】
睡眠環境検出システム1は、睡眠データ入力部10と、睡眠データ解析部20と、表示部30とを備える。睡眠環境検出システム1は、例えば、寝具を販売する店舗に設置されたコンピュータ、タブレット端末、スマートフォン、又は、腕時計若しくはメガネ等のウェアラブル端末からアクセス可能とされている。
【0022】
睡眠データ入力部10には、第1睡眠データ及び第2睡眠データが入力される。睡眠データ入力部10は、アンケートデータ入力部11と、ヒアリングデータ入力部12とを備える。アンケートデータ入力部11で入力されるアンケートデータ、及びヒアリングデータ入力部12で入力されるヒアリングデータは、対象者の主観から得られる第1睡眠データに相当する。この「第1睡眠データ」は、対象者の主観に基づくデータであり、対象者が自覚している睡眠状態を示している。
【0023】
アンケートデータ入力部11は、例えば、睡眠環境検出システム1のアプリケーションにおけるアンケート入力画面に相当する。アンケートデータ入力部11には、対象者によって記載されたアンケートから得られるアンケートデータが入力される。アンケートデータ入力部11へのアンケートデータの入力は、店舗等の従業員によって行われてもよいし、対象者自身によって行われてもよい。
【0024】
例えば、対象者には予め自身の睡眠状態を記載するアンケート(コンサルティングシートとも称される)が配布され、当該アンケートに対象者自身の睡眠状態が記載される。アンケートデータ入力部11に記載する項目は、対象者自身の睡眠状態だけでなく、対象者自身の生活状態も含む。アンケートデータ入力部11に記載する項目の具体例としては、例えば図2の(1)に示されるように、睡眠時間が6時間以下であるか、湯船に浸からないか、冷えが気になるか、及び、喫煙するか、等が挙げられる。
【0025】
ヒアリングデータ入力部12は、例えば、睡眠環境検出システム1のアプリケーションにおけるヒアリングデータ入力画面に相当する。ヒアリングデータ入力部12には、対象者にヒアリングして得られたヒアリングデータが入力される。ヒアリングデータ入力部12へのヒアリングデータの入力は、例えば、店舗等の従業員によって行われる。
【0026】
例えば、睡眠に悩みを抱える対象者と面談を行い、睡眠状態及び生活状態について対象者に質問することによってヒアリングデータを取得してもよい。ヒアリングデータ入力部12に入力する項目の具体例としては、例えば図2の(2)に示されるように、寝つくまでの時間が45分以上かかるか、及び、夜中又は朝方に目覚めることが多いか、等が挙げられる。
【0027】
なお、図2の(1)はアンケートデータ入力部11に入力される項目の例を示しており、図2の(2)はヒアリングデータ入力部12に入力される項目の例を示している。しかしながら、アンケートデータ入力部11に入力される項目、及びヒアリングデータ入力部12に入力される項目は、図2の(1)及び(2)に限定されず適宜変更可能である。例えば、図2の(1)の一部と(2)の一部がアンケートデータ入力部11に入力される項目であり、図2の(1)の残部と(2)の残部がヒアリングデータ入力部12に入力される項目であってもよい。
【0028】
睡眠データ入力部10は、更に、活動量計13を備える。活動量計13は、対象者の身体の活動を計測する機器である。活動量計13は、前述した第2睡眠データを入力するために設けられる。第2睡眠データは、例えば、活動量計13が記録した記録データと、活動量計13が評価した評価データと、を含む。活動量計13は、例えば図3に示されるように、対象者に装着可能な大きさとされている。図示は省略するが、活動量計13は、対象者の腰のベルト等に装着可能なクリップを備えており、このクリップを腰に装着することによって対象者に取り付けられる。活動量計13は、対象者の体動を記録する内蔵センサを有する。
【0029】
活動量計13は、例えば、対象者の就寝時刻(寝床に入った時刻)、睡眠開始時刻、睡眠終了時刻、起床時刻(寝床を出た時刻)、就寝時間(寝床に入っていた時間)、睡眠時間、睡眠効率(就寝時間に対する睡眠時間の割合)、仰向けとなっていた時間、横向きとなっていた時間、うつ伏せとなっていた時間、寝返り回数、及び歩数を、前述した記録データとして計測する。
【0030】
活動量計13は、例えば、入浴時以外の全ての時間において対象者に装着され、1週間以上且つ2週間以下の間装着される。なお、活動量計13の装着期間は、例えば、最長で30日間、又は、活動量計13のデータ容量が所定値を超えるまで、であってもよく適宜変更可能である。活動量計13の記録データの入力は、パーソナルコンピュータ等の端末Pに接続された読み取り機Rに活動量計13が置かれることによって実行される。
【0031】
活動量計13は、記録データを評価することによって評価データを生成する。評価データは、例えば、睡眠時間を5段階評価した内容を含んでいる。一例として、睡眠時間の評価データは、各睡眠時間が、
7時間以上且つ8時間半未満の状態を「睡眠時間」5点、
6時間以上且つ7時間未満、
又は8時間半以上且つ10時間未満の状態を「睡眠時間」4点、
5時間以上且つ6時間未満又は10時間以上の状態を「睡眠時間」3点、
4時間以上且つ5時間未満の状態を「睡眠時間」2点、
4時間未満の状態を「睡眠時間」1点、
という評価データを含む。
【0032】
また、活動量計13による評価データは、例えば、寝つきを5段階評価した評価データを含んでいる。なお、寝つきとは、睡眠開始時刻から就寝時刻を引いた差分の時間を示している。一例として、寝つきの評価データは、各当該差分が、
0分以上且つ10分未満である状態を「寝つき」5点、
10分以上且つ30分未満である状態を「寝つき」4点、
30分以上且つ45分未満である状態を「寝つき」3点、
45分以上且つ60分未満である状態を「寝つき」2点、
60分以上である状態を「寝つき」1点、
という評価データを含む。
【0033】
活動量計13による評価データは、更に、睡眠効率を5段階評価した評価データを含んでいてもよい。一例として、睡眠効率の評価データは、各睡眠効率が、
80%以上である状態を「睡眠効率」5点、
70%以上且つ80%未満である状態を「睡眠効率」4点、
60%以上且つ70%未満である状態を「睡眠効率」3点、
50%以上且つ60%未満である状態を「睡眠効率」2点、
50%未満である状態を「睡眠効率」1点、
という評価データを含む。
【0034】
睡眠データ入力部10は睡眠データ解析部20と通信可能とされている。アンケートデータ入力部11に入力されたアンケートデータ、ヒアリングデータ入力部12に入力されたヒアリングデータ、活動量計13によって得られた記録データ及び評価データは、睡眠データ解析部20に入力される。
【0035】
睡眠データ解析部20は、例えば、CPU(Central ProcessingUnit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)を備えて構成されている。睡眠データ解析部20の各機能は、ROMに記憶されているプログラムをRAMにロードし、CPUで実行することによって実現される。睡眠データ解析部20は、インターネット若しくは専用線に接続されたサーバ、又は汎用のパーソナルコンピュータであってもよい。また、睡眠データ解析部20の形態及び配置場所については特に限定されない。
【0036】
睡眠データ解析部20は、表示部30と通信可能とされている。表示部30は、睡眠データ解析部20によって解析された内容を表示する。表示部30は、例えば、パーソナルコンピュータのディスプレイ31、及びタブレット端末のディスプレイ32を含む。なお、表示部30は、スマートフォン等の携帯端末のディスプレイを含んでいてもよい。
【0037】
睡眠データ解析部20は、アンケートデータ、ヒアリングデータ、記録データ及び評価データから対象者の睡眠状態を分類する睡眠分類部21と、睡眠分類部21によって分類された結果から原因を抽出する原因抽出部22と、当該結果からコメントを抽出するコメント抽出部23と、当該結果から商品を抽出する商品抽出部24と、を有する。
【0038】
睡眠分類部21は、アンケートデータ及びヒアリングデータを含む第1睡眠データと、活動量計13から得られた第2睡眠データとを突き合わせて対象者の睡眠状態を分類する。睡眠分類部21は、図2に示されるチェック表Dを有する。睡眠分類部21は、例えば、第1睡眠データ及び第2睡眠データを突き合わせて、チェック表Dにチェックを入れる。
【0039】
具体的には、アンケートデータにおいて、睡眠時間が6時間以下である、湯船に浸からない、冷えが気になる、及び喫煙する、のそれぞれに該当する場合、チェック表Dに示される各項目にチェックが入る。ヒアリングデータにおいて、寝つくまでの時間が45分以上かかる、夜中又は朝方に目覚めることが多い、のそれぞれに該当する場合、上記同様にチェックが入る。また、活動量計13からの評価データにおいて、「睡眠点数」が2点以下である、「寝つき」が2点以下である、「睡眠効率」が3点以下である、のそれぞれに該当する場合、上記同様チェックが入る。
【0040】
チェック表Dでは、予め項目ごとにグループが定められている。具体的には、項目「睡眠時間が6時間以下である」及び項目「睡眠点数が2点以下である」はグループA、項目「寝つくまでの時間が45分以上かかる」、項目「湯船に浸からない」、項目「冷えが気になる」及び項目「寝つきが2点以下である」はグループB、項目「夜中又は朝方に目が覚めることが多い」、項目「喫煙する」及び項目「睡眠効率が3点以下である」はグループC、とされている。
【0041】
睡眠分類部21は、チェック表DのグループA,B,Cのそれぞれにおいて、例えば、1つ以上チェックが入っているか否かを判定する。睡眠分類部21は、1つ以上チェックが入っている項目があるグループA,B,Cのそれぞれを対象者が属するグループと判断する。例えば、項目「睡眠時間が6時間である」にチェックが入っていた場合には対象者がグループAに属すると判断し、項目「冷えが気になる」にチェックが入っていた場合には対象者がグループBに属すると判断し、項目「睡眠効率が3点以下である」にチェックが入っていた場合には対象者がグループCに属すると判断する。
【0042】
対象者は、グループA,B,Cのうち、複数のグループに属することもあるし、どのグループにも属さないこともある。このように、睡眠分類部21は、対象者がどのグループに属するかを判断する。睡眠分類部21は、対象者がどのグループに属するかを判断した後には、図4に示される分類表21aを生成する。分類表21aには、グループA,B,Cのそれぞれに応じた睡眠状態が記載されている。
【0043】
睡眠分類部21は、分類表21aに示されるグループA,B,Cのうち、例えば、対象者が属するグループのみを選択する。具体例として、睡眠分類部21は、対象者がグループA,Cに属する場合には分類表21aのグループA,Cのみを選択し、対象者がどのグループにも属さない場合には何も選択しない。睡眠分類部21によって選択されたグループの分類表21aのマス目が表示部30のディスプレイ31,32に表示される。
【0044】
原因抽出部22は、睡眠分類部21によって分類された睡眠状態(グループA,B,C)に紐づく原因を抽出する。コメント抽出部23は当該睡眠状態に紐づくコメントを抽出し、商品抽出部24は当該睡眠状態に紐づく商品を抽出する。例えば、原因抽出部22が抽出する原因は当該睡眠状態となっている原因を示し、コメント抽出部23が抽出するコメントは当該睡眠状態に対するコメントを示しており、商品抽出部24が抽出する商品は当該睡眠状態を改善させる商品を示している。これらの原因、コメント及び商品は、予め睡眠環境検出システム1のデータベースに記憶されている。
【0045】
原因抽出部22によって抽出された原因、コメント抽出部23によって抽出されたコメント、及び商品抽出部24によって抽出された商品は、例えば図5に示される表形式で、表示部30のディスプレイ31,32に表示される。なお、図5では、原因、コメント及び商品がまとめて表示されている。しかしながら、原因が記載されている原因表22a、コメントが記載されているコメント表23a、及び商品が記載されている商品表24aが、それぞれ個別に表示されてもよい。
【0046】
次に、本実施形態に係る睡眠環境検出方法について図6のフローチャートを参照しながら説明する。図6は、睡眠環境検出システム1を用いた睡眠環境検出方法の一例を示している。
【0047】
まず、対象者からアンケートデータ及びヒアリングデータを取得し、取得したアンケートデータ及びヒアリングデータを入力する(ステップS1)。このとき、対象者が記載したアンケートをアンケートデータ入力部11に入力すると共に、対象者からヒアリングしたヒアリングデータをヒアリングデータ入力部12に入力する(第1睡眠データを取得するステップ)。なお、この時点において、主観的な第1睡眠データのみに基づいた睡眠改善のための提案を対象者に行ってもよい。
【0048】
次に、対象者が活動量計13を装着し(ステップS2)、活動量計13が所定期間装着され続けた後に活動量計13のデータ入力を実行する(ステップS3)。このとき、例えば活動量計13を読み取り機Rに置いて端末Pから活動量計13のデータ入力を行う(第2データを取得するステップ)。この時点において、睡眠データ解析部20には、アンケートデータ、ヒアリングデータ、活動量計13の記録データ、及び活動量計13の評価データが入力されている。
【0049】
続いて、睡眠分類部21は、前述したアンケートデータ、ヒアリングデータ、記録データ及び評価データから、対象者がグループA,B,Cのどのグループに属するかを判定する。このように、睡眠分類部21は、対象者の睡眠状態をグループ分けして分類する(ステップS4、睡眠状態を分類するステップ)。そして、原因抽出部22が分類されたグループに紐づく原因を抽出すると共に、コメント抽出部23が分類されたグループに紐づくコメントを抽出する(ステップS5)。
【0050】
続いて、商品抽出部24が分類された睡眠状態に紐づく商品を抽出する(ステップS6)。そして、ステップS5,S6で抽出された原因、コメント及び商品を原因表22a、コメント表23a及び商品表24aとして表示部30に表示して(ステップS7)、一連の工程を終了する。なお、ステップS7の表示工程では、分類表21aを合わせて表示してもよい。
【0051】
次に、本実施形態に係る睡眠環境検出システム1及び睡眠環境検出方法の作用効果について詳細に説明する。
【0052】
本実施形態に係る睡眠環境検出システム1及び睡眠環境検出方法では、対象者自身から対象者の主観に基づく第1睡眠データを取得すると共に、対象者に活動量計13を装着させ、当該活動量計13から客観的な第2睡眠データを取得する。第1睡眠データを取得することにより、対象者自身が感じる睡眠状態のデータ、すなわち睡眠に対する悩み又は睡眠に対する改善要望等のデータを取得することができる。
【0053】
また、第2睡眠データを取得することにより、対象者の客観的な睡眠状態のデータ、及び、対象者が自覚していない睡眠状態のデータを取得することができる。よって、第1睡眠データ及び第2睡眠データを突き合わせることにより、対象者自身が感じる主観的な睡眠状態のデータと、対象者が自覚していない客観的な睡眠状態のデータを取得することができるので、睡眠環境をより十分に検出することができる。また、睡眠分類部21が第1睡眠データと第2睡眠データとを突き合わせて対象者の睡眠状態を分類することにより、取得した睡眠状態をグループ分けすることができるので、睡眠状態をより高精度に管理することができる。
【0054】
また、睡眠環境検出システム1は、睡眠分類部21によって分類された睡眠状態に紐づいて対象者に勧める商品を抽出する商品抽出部24を備える。この商品抽出部24により、対象者の睡眠の実情に促した商品を抽出することができるので、睡眠状態を改善させるための商品を対象者に提案することができる。
【0055】
また、従来、寝具の販売員ごとに接客内容が異なることによってムラのある商品提案となり、対象者が必ずしも満足しない(対象者に正しく伝わらない)という問題があった。しかしながら、本実施形態に係る睡眠環境検出システム1では、検出された睡眠環境を基に商品抽出部24によって自動的に商品が抽出されるので、高精度且つ均一な商品提案を対象者に行うことができる。
【0056】
また、睡眠環境検出システム1は、睡眠分類部21によって分類された睡眠状態に紐づく原因を抽出する原因抽出部22と、原因抽出部22によって抽出された原因を表示する表示部30と、を備える。従って、分類された睡眠状態に紐づく原因を抽出し、抽出された原因を原因表22aとして表示部30に表示することができる。よって、分類された睡眠状態において問題とされている事柄の原因を表示することができるので、対象者への睡眠状態改善の提案をより的確に行うことができる。
【0057】
また、前述した第1睡眠データは、対象者に記載されたアンケートから得られるアンケートデータと、対象者への質問によって得られるヒアリングデータと、を含んでいる。従って、対象者に対するアンケート、及び対象者に対するヒアリングから、対象者の睡眠に関する第1睡眠データをより十分に取得することができる。このため、主観に基づく第1睡眠データをより充実させることができるので、睡眠環境の検出をより十分に行うことができる。
【0058】
また、睡眠環境検出システム1は、睡眠分類部21によって分類された睡眠状態に紐づくコメントを抽出するコメント抽出部23と、コメント抽出部23によって抽出されたコメントを表示する表示部30と、を備える。従って、分類された睡眠状態に対するコメントを抽出し、抽出されたコメントをコメント表23aとして表示することができる。よって、表示されたコメントに基づいて、対象者の睡眠環境を改善させる提案を行うことができる。
【0059】
以上、本発明に係る睡眠環境検出システム及び睡眠環境検出方法の実施形態について説明したが、睡眠環境検出システム及び睡眠環境検出方法は、前述した実施形態に限られるものではない。本発明に係る睡眠環境検出システム及び睡眠環境検出方法は、各請求項に記載した要旨を変更しない範囲において適宜変更可能である。すなわち、睡眠環境検出システムの各構成、及び睡眠環境検出方法の各工程は、前述した実施形態に限られず適宜変更可能である。
【0060】
例えば、前述の実施形態では、睡眠分類部21が、チェック表DのグループA,B,Cのそれぞれにおいて1つ以上チェックが入っているか否かを判定する例について説明した。しかしながら、睡眠分類部は、チェック表DのグループA,B,Cにおいて所定数以上チェックが入っているか否かを判定してもよいし、チェック表DのグループA,B,Cにおいてチェックの数が所定数以下であるか否かを判定してもよい。
【0061】
また、図2のチェック表Dの各項目、図4の分類表21aにおける分類の内容、図5の原因表22a、コメント表23a及び商品表24aの内容は、各図の例に限定されず適宜変更可能である。また、グループの数は、2つ又は4つ以上であってもよい。
【0062】
更に、前述の実施形態では、第1睡眠データがアンケートデータ及びヒアリングデータを含み、第2睡眠データが活動量計13の記録データ及び評価データである例について説明した。しかしながら、第1睡眠データ及び第2睡眠データの内容は、上記の例に限られず適宜変更可能である。また、アンケートデータ及びヒアリングデータの内容、並びに、活動量計13の記録データ及び評価データの内容も適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0063】
1…睡眠環境検出システム、10…睡眠データ入力部、11…アンケートデータ入力部、12…ヒアリングデータ入力部、13…活動量計、20…睡眠データ解析部、21…睡眠分類部、21a…分類表、22…原因抽出部、22a…原因表、23…コメント抽出部、23a…コメント表、24…商品抽出部、24a…商品表、30…表示部、31,32…ディスプレイ、A,B,C…グループ(睡眠状態)、D…チェック表、P…端末、R…読み取り機。
図1
図2
図3
図4
図5
図6