(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-14
(45)【発行日】2022-02-03
(54)【発明の名称】果実又は種子の飛散防止部材の生成装置および果実又は種子の収穫に用いられる装置
(51)【国際特許分類】
A01G 13/00 20060101AFI20220127BHJP
A01D 46/24 20060101ALI20220127BHJP
【FI】
A01G13/00 A
A01D46/24 Z
(21)【出願番号】P 2017196470
(22)【出願日】2017-10-07
【審査請求日】2020-10-02
(73)【特許権者】
【識別番号】509335889
【氏名又は名称】株式会社HEARTMAN
(74)【代理人】
【識別番号】100124017
【氏名又は名称】大野 晃秀
(72)【発明者】
【氏名】藤村 慎一
【審査官】坂田 誠
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-231652(JP,A)
【文献】特開昭55-46263(JP,A)
【文献】特公平6-95859(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01D 46/24
A01D 46/247
A01G 13/00
A01G 13/02
A01N 1/00 - 65/48
B05D 1/00 - 7/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
噴射部を含み、
前記噴射部は、前記噴射材料を糸状に噴射するためのものであり、
前記噴射部は、その先端が湾曲し、前記噴射材料が弧を描くように、前記噴射材料を噴射するものであり、
噴射された噴射材料が果実又は種子に接触すると密着する粘性を有する果実又は種子の飛散防止部材の生成装置。
【請求項2】
噴射部
と収容部とを含み、
前記噴射部は、噴射材料を糸状に噴射するためのものであり、
噴射された噴射材料が果実又は種子に接触すると密着する粘性を有
し、
前記収容部は、前記噴射材料を収容するためのものであり、
前記噴射材料は、前記収容部内では液体であり、空気に触れると固化される材質からなり、
前記収容部内では液体であり、空気に触れると固化される材質は、乳香である果実又は種子の飛散防止部材の生成装置。
【請求項3】
噴射部
と包囲体とを含み、
前記噴射部は、噴射材料を糸状に噴射するためのものであり、
噴射された噴射材料が果実又は種子に接触すると密着する粘性を有
し、
前記包囲体は、前記果実又は種子を覆うためのものであり、
前記噴射部は、前記包囲体の内面に設けられている果実又は種子の飛散防止部材の生成装置。
【請求項4】
請求項
3において、
前記噴射部は、複数有し、
複数の前記噴射部は、前記包囲体の内面に、周状に並んでいる果実又は種子の飛散防止部材の生成装置。
【請求項5】
請求項
3または4において、
周状に並んだ複数の噴射部の群が、複数段設けられている果実又は種子の飛散防止部材の生成装置。
【請求項6】
請求項
2~5のいずれかにおいて、
前記噴射部は、その先端が湾曲し、前記噴射材料が弧を描くように、前記噴射材料を噴射する果実又は種子の飛散防止部材の生成装置。
【請求項7】
請求項
1、3、4または5において、
前記噴射材料を収容するための収容部を含み、
前記噴射材料は、前記収容部内では液体であり、空気に触れると固化される材質からな
り、
前記収容部内では液体であり、空気に触れると固化される材質は、乳香である果実又は種子の飛散防止部材の生成装置。
【請求項8】
請求項
1、3、4、5または7において、
前記噴射材料は、高分子を含み、
前記収容部には、ガスが大気圧よりも高い圧力で封入されている果実又は種子の飛散防止部材の生成装置。
【請求項9】
請求項
8において、
前記高分子は、たんぱく質および高分子樹脂の少なくとも一方である果実又は種子の飛散防止部材の生成装置。
【請求項10】
棒状体と、
前記棒状体に取り付けられた請求項1~9のいずれかに記載の果実又は種子の飛散防止部材の生成装置とを含む果実又は種子
の収穫に用いられる装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、果実又は種子を採取に利用される道具に関する。
【背景技術】
【0002】
果実収穫具として、果実を網に落として収穫する技術が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、果実又は種子を採取するのを容易にすることができる果実又は種子の飛散防止部材の生成装置および果実又は種子の収穫に用いられる装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願発明者は、果実又は種子を採取する際に、噴射材料を果実又は種子を噴霧することで、果実又は種子の飛散を防止することをできるということを想到し、本発明に至った。
【0006】
本発明の果実又は種子の飛散防止部材の生成装置は、
噴射部を含み、
前記噴射部は、前記噴射材料を糸状に噴射するためのものであり、
噴射された噴射材料が果実又は種子に接触すると密着する粘性を有する。
【0007】
本発明において、前記噴射部は、その先端が湾曲し、前記噴射材料が弧を描くように、前記噴射材料を噴射することができる。
【0008】
本発明において、前記噴射材料を収容するための収容部を含み、前記噴射材料は、前記収容部内では液体であり、空気に触れると固化される材質からなることができる。
【0009】
本発明において、前記収容部内では液体であり、空気に触れると固化される材質は、乳香であることができる。
【0010】
本発明において、前記噴射材料を収容するための収容部を含み、前記噴射材料は、高分子を含み、前記収容部には、ガスが大気圧よりも高い圧力で封入されていることができる。
【0011】
本発明において、前記高分子は、たんぱく質および高分子樹脂の少なくとも一方であることができる。
【0012】
本発明において、前記果実又は種子を覆うための包囲体を有し、前記噴射部は、前記包囲体の内面に設けられていることができる。
【0013】
本発明において、前記噴射部は、複数有し、複数の前記噴射部は、前記包囲体の内面に、周状に並んでいることができる。
【0014】
本発明において、周状に並んだ複数の噴射部の群が、複数段設けられていることができる。
【0015】
本発明の果実又は種子の収穫に用いられる装置は、
棒状体と、
前記棒状体に取り付けられた本発明の果実又は種子の飛散防止部材の生成装置とを含む。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】実施の形態に係る果実又は種子の飛散防止部材の生成装置を模式的に示す図である。
【
図2】果実又は種子の飛散防止部材の生成装置の噴射部および包囲体の構成例を模式的に示す図であり、包囲体の開放されている側から見た図である。
【
図3】
図2のA-A線に沿った断面を模式的に示す図である。
【
図4】実施の形態に係る果実又は種子の収
穫装置の使用例を示す図である。実施の形態に係る抜根装置の使用時の動作例を模式的に示す図である。
【
図5】果実又は種子が噴射材料により纏められた状態を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の好適な実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0018】
1.果実又は種子の飛散防止部材の生成装置
実施の形態に係る果実又は種子の飛散防止部材の生成装置(以下「飛散防止部材の生成装置」という)10は、
図2および
図3に示すように、噴射材料を糸状に噴射するためのものである噴射部12を含む。飛散防止部材の生成装置10は、
図1に示すように、必要に応じて、噴射材料を収容するための収容部14と、果実又は種子を覆うための包囲体16とを含む。包囲体16は、一端側の側部のみが開放されている態様であってもよいし、両端の側部が開放されている態様であってもよい。
【0019】
噴射部12は、糸状に吐出するスプレーであれば特に限定されないが、乱糸スプレーガンであってもよい。果実又は種子を覆うための包囲体16がある場合には、噴射部12は、包囲体16の内面に設けることができる。これにより、包囲体16の内部に果実又は種子を入れて、噴射材料を噴射することで、より確実に果実又は種子の周囲に噴射材料を噴射することができる。噴射部12は、複数有することができ、複数の噴射部12は、包囲体16の内面に、周状に並んでいることができる。周状に並んだ複数の噴射部12の群を、複数段設けてもよい。
【0020】
噴射部12は、先を湾曲させることで、噴射材料が弧を描くように、噴射材料を噴射することができる。これにより、噴射材料を果実又は種子を取り囲むように噴射することが容易となる。なお、噴射部12の先は直線状であってもよい。
【0021】
噴射材料は、噴射された噴射材料が果実又は種子に接触すると密着する粘性を有する。噴射材料は、収容部14内では液体であり、空気に触れると固化される材質からなることができ、たとえば、乳香からなることができる。
【0022】
噴射材料は、たんぱく質や高分子樹脂などから構成することができる。高分子は、たんぱく質および高分子樹脂の少なくとも一方であることができる。たんぱく質としては、たとえば、人工で合成した蜘蛛の糸などを挙げることができる。高分子樹脂としては、たとえば、ポリイソブチルメタクリレートなどのアクリル樹脂などを挙げることができる。
【0023】
収容部14には、ガスが大気圧よりも高い圧力で封入されることができる。噴射材料は、フロンなどのガスを高圧で液化させたものと混ぜ合わせて収容部14に収容しておき、収容部14の圧力を下げることで、ひも状の樹脂を噴出することができる。界面活性剤を混ぜ合わせておくことで、気泡を含んだ浮遊性のある形に固めることができる。収容部14は噴射材料を収容することができれば特に限定される、公知のスプレー缶と同様の構成をとることができる。
【0024】
収容部14から噴射部12へは、公知の管路により接続してもよいし、噴射部12を収容部14に連結してもよい。
【0025】
2.果実又は種子の収穫装置
実施の形態に係る果実又は種子の収穫装置100は、棒状体20と、実施の形態に係る飛散防止部材の生成装置10とを含む。実施の形態に係る飛散防止部材の生成装置10は、棒状体20に取り付けられている。噴射部12を棒状体20の途中または先端に取り付けて構成することができる。噴射部12を包囲体16に設けた場合には、噴射部12を棒状体20の途中または先端に取り付けて構成することができる。棒状体20としては、たとえば、竿や伸縮機構があるポールなどを挙げることができる。棒状体20の把持部に噴射部12のスイッチ22を設けてもよい。噴射材料の収容部14は、棒状体20に設けることができる。
【0026】
3.作用効果
果実又は種子の収穫装置100は、包囲体16の中に果実又は種子を入れ、噴射部12から噴射材料を果実又は種子に噴射し、果実又は種子を纏めることができる。すなわち、噴射された噴射材料が果実又は種子に接触すると密着するため、果実又は種子同士を噴射材料により纏めることかできるか、又は、果実又は種子とその幹又は枝とを纏めることができる。
【0027】
本実施の形態に係る飛散防止部材の生成装置および収穫装置は、果実又は種子のうち、複数の果実又は種子が集合したもの(たとえば房状のもの)に好適である。
【0028】
本実施の形態は、本発明の範囲内において種々の変形が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明は、果実又は種子を収穫するための用途に広く適用することができる。
【符号の説明】
【0030】
10 果実又は種子の飛散防止部材の生成装置
12 噴射部
14 収容体
16 包囲体
20 棒状体
22 スイッチ
100 収穫装置