(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-14
(45)【発行日】2022-01-13
(54)【発明の名称】飛行体
(51)【国際特許分類】
B64C 27/08 20060101AFI20220105BHJP
B64C 39/02 20060101ALI20220105BHJP
【FI】
B64C27/08
B64C39/02
(21)【出願番号】P 2018129301
(22)【出願日】2018-07-06
(62)【分割の表示】P 2018508778の分割
【原出願日】2017-10-10
【審査請求日】2020-10-11
(73)【特許権者】
【識別番号】517331376
【氏名又は名称】株式会社エアロネクスト
(74)【代理人】
【識別番号】110002790
【氏名又は名称】One ip特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 陽一
【審査官】川村 健一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0283050(US,A1)
【文献】米国特許第9561852(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0311526(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64C 27/08
B64C 39/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレームにより被囲空間を形成する本体部と、
前記本体部のフレームに設けられ、複数の回転翼部により構成される揚力発生部と、
前記本体部の前記被囲空間を通過して設けられる付属部と、を備えており、
前記付属部は、前記被囲空間の被囲領域において、前記本体部と接続して設けられ、
前記被囲空間を形成するフレームは、一の方向に伸びる一対のフレーム部材を含み、
前記一対のフレーム部材は、前記複数の回転翼部の各々を支持する構成を有し、
前記一対のフレーム部材の各々の前方および後方のそれぞれにおいて、前記一対のフレーム部材の各々から伸びる長尺状の支持部材により一つずつ回転翼部が設けられ、
前記一対のフレーム部材の各々の前方および後方のそれぞれにおいて前記支持部材により支持される各々の回転翼部は、前記本体部の横方向において互いに離隔しており、当該各々の回転翼部の回転の軸は、前記一の方向から見たときに、前記被囲空間よりも外側に位置するように設けられ、
前記付属部は、上面視において前記一対のフレーム部材間に左右方向に伸びる回動軸を介して前記本体部に接続されている、
飛行体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飛行体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、様々な用途に利用されるドローン(Drone)や無人航空機(UAV:Unmanned Aerial Vehicle)などの飛行体(以下、単に「飛行体」と総称する)を利用した様々なサービスが提供されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、飛行効率を向上し得る新たな構造を有る飛行体を提供することを一つの目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、
フレームにより被囲空間を形成する本体部と、前記本体部のフレームに設けられ、複数の回転翼部により構成される揚力発生部と、前記本体部の前記被囲空間を通過して設けられる付属部と、を備えており、前記付属部は、前記被囲空間の被囲領域において、前記本体部と接続して設けられ、前記被囲空間を形成するフレームは、一の方向に伸びる一対のフレーム部材を含み、前記一対のフレーム部材は、前記複数の回転翼部の各々を支持する構成を有し、前記一対のフレーム部材の各々の前方および後方のそれぞれにおいて、前記一対のフレーム部材の各々から伸びる長尺状の支持部材により一つずつ回転翼部が設けられ、前記一対のフレーム部材の各々の前方および後方のそれぞれにおいて前記支持部材により支持される各々の回転翼部は、前記本体部の横方向において互いに離隔しており、当該各々の回転翼部の回転の軸は、前記一の方向から見たときに、前記被囲空間よりも外側に位置するように設けられる、飛行体が得られる。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、飛行効率を向上し得る飛行体を提供し得る。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図7】
図1の飛行体の(離陸)着陸時の状態を表す他の図である。
【
図8】
図1の飛行体の前進時の状態を表す他の図である。
【
図9】本発明の第2の実施の形態による飛行体の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の実施形態の内容を列記して説明する。本発明の実施の形態による飛行体は、以下のような構成を備える。
[項目1]
少なくとも第1方向に沿って進行可能な飛行体であって、機体部と、付属部とを備えており、
前記機体部は、本体部と、揚力発生部とを有しており、
前記本体部は、前記第1方向に沿って延びる右側部及び左側部と、前記第1方向とは反対の方向である第2方向における前記右側部及び前記左側部夫々の端部同士を連結する連結部とを有していることにより、前記1方向と直行する第3方向から見た場合に前記左側部と前記右側部と前記連結部とで囲まれる被囲空間が存在している、
飛行体。
[項目2]
項目1に記載の飛行体であって、
前記本体部は、前記第3方向から見た場合に、略C字状、略U字状又は略コ字字状の形状を有している、
飛行体。
[項目3]
項目1又は項目2に記載の飛行体であって、
前記付属部は、前記本体部の前記右側部及び前記左側部夫々における前記被囲空間側の取付側面に取り付けられる、
飛行体。
[項目4]
項目3に記載の飛行体であって、
前記付属部は、前記第1方向において長辺を有しており、
前記本体部は、前記付属部を前記第1方向及び前記第3方向によって規定される平面に沿って回転自在に保持している、
飛行体。
[項目5]
項目4に記載の飛行体であって、
前記付属部は、前記連結部を跨ぐように設けられた略アーチ形状の逃げ部を備えている、
飛行体。
【0009】
(第1の実施の形態)
以下、本発明の第1の実施の形態による飛行体について、図面を参照しながら説明する。
図1及び
図2に示されるように、本実施の形態による飛行体は、前方向D1(第1方向:+Y方向)に前進することができ、後方向D2(第2方向:-Y方向)に後進する。また、上方向(第3方向:+Z方向)に上昇することができ、↓方向(-Z方向)に下降することができる。
【0010】
図2に詳しく示されるように、飛行体は、機体部10と付属部20とを組み合わせてなるものである。なお、必要に応じて、これ以外の要素を含むこととしてもよい。
【0011】
機体部10は、本体部13と揚力発生部(後述する)とを備えている。本体部13は、U字状の形状を有している。揚力発生部は、本体部13から延びるアーム12と、当該アームの先端夫々に取り付けられたモータ14と、当該モータ14の夫々に取り付けられたプロペラ11a~11dを備えている。
【0012】
図2によく示されるように、本実施の形態による本体部13は、Z方向から見た場合に、略U字形状を有している。即ち、Y方向に沿って延びる右側部13R及び左側部13Lと、右側部13R及び左側部13L夫々の後端(-Y方向における端部)同士を連結する連結部13Cを有している。
【0013】
このような構成によって、本体部13には、右側部13R、左側部13L及び連結部13Lとで囲まれる被囲空間Eが存在することとなる。本実施の形態においては、連結部13Cは右側部13R及び左側部13L夫々の後端に位置していることから、本体部のU字形状は前方に開いた向きを有することとなる。
【0014】
なお、本体部13は、前方に開いた向きを有している形状のものであれば、例えば、略C字状や、略コ字状の形状を有していてもよい(詳しくは後述する)。
【0015】
本実施の形態による付属部20は、取付部21と棒状のフレーム22を有している。取付部21はフレーム22の中央付近に固定されている。
【0016】
取付部21は、被囲空間Eに少なくとも部分的にフィットする形状を有している。
図1によく示されるように、取付部21は、少なくとも右側部13R及び左側部13Lの内側(被囲空間側の側面:取付側面)に取り付けられている。取付の方法は、種々の技術が適用可能である。
【0017】
フレーム22の先端にはカメラ23が設けられており、前方を撮影することが可能である。カメラの種類については特に限定されず、目的・用途に応じて適宜採用することができる。また、必要に応じて、カメラにジンバルを取り付けることとしてもよい。
【0018】
図5及び
図6に示されるように、飛行体は、ホバリング時には機体部10及び付属部20を水平に維持した状態となる(
図5及び
図6)。
【0019】
また、
図7に示されるように、離着陸時には付属部20が地面に接触する。なお、別途、脚部を取り付けることとしてもよい。
【0020】
更に、
図8に示されるように、前進時には、後ろ側のプロペラの出力を上げることにより、前傾姿勢となる。
【0021】
(第2の実施の形態)
図9及び
図10に示されるように、本発明の第2の実施の形態による飛行体は、付属部20’の構造が上述した第1の実施の形態による付属部20とは異なっている。その他の構造については、第1の実施の形態による飛行体と同一のもの適用可能である。以下の説明においては、同一の要素については同一の参照符号を付し、その説明を省略する。
【0022】
図9に示されるように、本実施の形態による付属部20’は、回転軸30によって、本体部13と接続されている。かかる構造によって、付属部20’は、YZ平面において回転軸30を軸に所定の範囲において回転可能となる。
【0023】
図9(a)及び
図10によく示されているように、付属部は、部分的に被囲領域E内に位置している。
【0024】
特に、付属部20’には、X方向に沿ってみた場合に、略Ω型の逃げ部25が形成されている。かかる構造により、長い付属部20’を使用した場合であっても、当該逃げ部25が連結部13Cを跨ぐことによって、付属部20’と本体部13との衝突を防ぐことができる。
【0025】
なお、
図9及び
図10に示される飛行体は、逃げ部25を有するものであったが、短い付属部を使用する場合には逃げ部25を設けなくてもよい。
【0026】
上述した飛行体は、例えば、
図11に示される機能ブロックを有している。なお、
図8の機能ブロックは最低限の参考構成である。
【0027】
フライトコントローラは、プログラマブルプロセッサ(例えば、中央演算処理装置(CPU))などの1つ以上のプロセッサを有することができる。
【0028】
フライトコントローラは、図示しないメモリを有しており、当該メモリにアクセス可能である。メモリは、1つ以上のステップを行うためにフライトコントローラが実行可能であるロジック、コード、および/またはプログラム命令を記憶している。
【0029】
メモリは、例えば、SDカードやランダムアクセスメモリ(RAM)などの分離可能な媒体または外部の記憶装置を含んでいてもよい。カメラやセンサ類から取得したデータは、メモリに直接に伝達されかつ記憶されてもよい。例えば、カメラ等で撮影した静止画・動画データが内蔵メモリ又は外部メモリに記録される。
【0030】
フライトコントローラは、飛行体の状態を制御するように構成された制御モジュールを含んでいる。例えば、制御モジュールは、6自由度(並進運動x、y及びz、並びに回転運動θx、θy及びθz)を有する飛行体の空間的配置、速度、および/または加速度を調整するために飛行体の推進機構(モータ等)を制御する。制御モジュールは、搭載部、センサ類の状態のうちの1つ以上を制御することができる。
【0031】
フライトコントローラは、1つ以上の外部のデバイス(例えば、端末、表示装置、または他の遠隔の制御器)からのデータを送信および/または受け取るように構成された送受信部と通信可能である。送受信機は、有線通信または無線通信などの任意の適当な通信手段を使用することができる。
【0032】
例えば、送受信部は、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、赤外線、無線、WiFi、ポイントツーポイント(P2P)ネットワーク、電気通信ネットワーク、クラウド通信などのうちの1つ以上を利用することができる。
【0033】
送受信部は、センサ類で取得したデータ、フライトコントローラが生成した処理結果、所定の制御データ、端末または遠隔の制御器からのユーザコマンドなどのうちの1つ以上を送信および/または受け取ることができる。
【0034】
本実施の形態によるセンサ類は、慣性センサ(加速度センサ、ジャイロセンサ)、GPSセンサ、近接センサ(例えば、ライダー)、またはビジョン/イメージセンサ(例えば、カメラ)を含み得る。
【0035】
本発明の飛行体は、調査、測量、観察等における産業用の飛行体としての利用が期待できる。また、本発明の飛行体は、マルチコプター・ドローン等の飛行機関連産業において利用することができ、さらに、本発明は、カメラ等を搭載した空撮用の飛行体としても好適に使用することができる他、セキュリティ分野、農業、インフラ監視等の様々な産業にも利用することができる。
【0036】
上述した実施の形態は、本発明の理解を容易にするための例示に過ぎず、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良することができると共に、本発明にはその均等物が含まれることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0037】
10 機体部
11a~11d プロペラ
12 アーム
13 本体部
13R 右側部
13L 左側部
13C 連結部
14 モータ
20、20’ 付属部
21 取付部
22 フレーム
23 カメラ
25 逃げ部
30 回転軸