(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-14
(45)【発行日】2022-01-13
(54)【発明の名称】組み立て式ストーブ
(51)【国際特許分類】
F23B 20/00 20060101AFI20220105BHJP
F24C 1/16 20210101ALI20220105BHJP
【FI】
F23B20/00
F24C1/16 A
(21)【出願番号】P 2018135907
(22)【出願日】2018-07-19
【審査請求日】2021-01-27
(73)【特許権者】
【識別番号】517273582
【氏名又は名称】ケイアイソフト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147913
【氏名又は名称】岡田 義敬
(74)【代理人】
【識別番号】100091605
【氏名又は名称】岡田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100197284
【氏名又は名称】下茂 力
(72)【発明者】
【氏名】工藤 芳典
【審査官】古川 峻弘
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3200436(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2012/0204852(US,A1)
【文献】登録実用新案第3155739(JP,U)
【文献】実開昭62-195002(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2004/0250807(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23B 20/00
F24C 1/16
F24B 1/18,1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼物を載置する底板部と、
それぞれ板状体から成り、前記底板部と共に着脱自在に組み立てられることで前記燃焼物を燃焼する燃焼空間を形成する第1の筐体板部、第2の筐体板部及び第3の筐体板部と、を備え、
前記第1の筐体板部と前記第2の筐体板部には、それぞれの長手方向の第1の側辺に沿って複数のヒンジ連結部が所望の間隔にて形成されると共に、前記第1の側辺と対向するそれぞれの長手方向の第2の側辺に沿って複数の係止孔が所望の間隔にて形成され、
前記第3の筐体板部には、長手方向の第1の側辺及び第2の側辺に沿って前記係止孔に対して係止される複数の係止部が形成され、
前記第1の筐体板部の前記ヒンジ連結部は、前記第1の筐体板部の前記第1の側辺から外側へ延在した第1の基部と、前記第1の基部から下方に突起した第1の突起部と、を有し、
前記第2の筐体板部の前記ヒンジ連結部は、前記第2の筐体板部の前記第1の側辺から外側へ延在した第2の基部と、前記第2の基部から上方へと突起した第2の突起部と、を有し、
前記第1の筐体板部の前記第1の側辺と前記第1の突起部との間の第1の隙間及び前記第2の筐体板部の前記第1の側辺と前記第2の突起部との間の第2の隙間は、それぞれ前記第1の筐体板部の板厚及び前記第2の筐体板部の板厚よりも広く形成され、
前記第1の筐体板部と前記第2の筐体板部とが連結した状態において、前記第1の隙間に前記第2の基部が配設され、前記第2の隙間に前記第1の基部が配設されると共に、前記第1の基部と前記第2の基部とが当接することを特徴とする組み立て式ストーブ。
【請求項2】
前記ヒンジ連結部は、前記係止孔よりも多く形成されると共に、前記ヒンジ連結部の前記所望の間隔は、前記係止孔の前記所望の間隔よりも狭く形成され、
前記第3の筐体板部は、前記燃焼空間の下方側に配設される前記底板部よりも上方側であり、前記燃焼空間の前方側の一部を塞ぐように配設されることを特徴とする請求項1に記載の組み立て式ストーブ。
【請求項3】
前記係止部は、前記第3の筐体板部の前記第1の側辺または前記第2の側辺からその外側へと延在した反り調整部と、前記反り調整部から下方へと突起した抜け防止部と、を有し、
前記第3の筐体板部の前記第1の側辺と前記抜け防止部との間の第3の隙間及び前記第3の筐体板部の前記第2の側辺と前記抜け防止部との間の第4の隙間は、それぞれ前記第1の筐体板部の板厚及び前記第2の筐体板部の板厚よりも広く形成され、
前記第3の筐体板部が前記第1の筐体板部及び前記第2の筐体板部と連結した状態において、前記第1の筐体板部及び前記第2の筐体板部は、前記反り調整部に沿って移動可能であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の組み立て式ストーブ。
【請求項4】
前記第1の筐体板部、前記第2の筐体板部、前記第3の筐体板部及び前記底板部には、それぞれの中心部に長手方向に渡り直線状の折り曲げ部が形成され、
前記折り曲げ部は、前記燃焼空間の外側へ向けて折り曲げられることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の組み立て式ストーブ。
【請求項5】
前記第1の筐体板部、前記第2の筐体板部、前記第3の筐体板部及び前記底板部の前記折り曲げ部には、それぞれ同一離間距離の一対の小孔が形成されていることを特徴とする請求項4に記載の組み立て式ストーブ。
【請求項6】
前記底板部は、前記第1の筐体板部及び前記第2の筐体板部の前記第2の側辺側から前記第1の側辺側へ向けて斜め下方へと傾斜して配設されることを特徴とする請求項3から請求項5のいずれか1項に記載の組み立て式ストーブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薪等の燃焼物を燃料として用いる組み立て式ストーブに関し、特に、ストーブの各部材を組み立て式とする共に、各部材及び組み立てた構造に燃焼熱による反り対策を施した組み立て式ストーブに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の組み立て式ストーブ100として、以下の構造が知られている。
図6は、従来の組み立て式ストーブ100を説明する斜視図である。
図7(A)及び
図7(B)は、従来の組み立て式ストーブ100の組み立て状況を説明する斜視図である。
【0003】
図6に示す如く、組み立て式ストーブ100は、不使用時にはコンパクトに折り畳むことが出来ると共に、使用時には簡単に組み立てることができる構造となっている。組み立て式ストーブ100は、燃料を載せ置く略矩形形状の底板101と、底板101の長辺側の側方に相対向して配置される一対の略矩形形状の第1側板102及び第2側板103と、を備えている。そして、組み立て式ストーブ100の使用状態では、第1側板102と第2側板103とが、互いに下部が離れて、上部が接近した傾斜状態であり、底板101、第1側板102及び第2側板103により、上部が開口した有底の燃焼空間105を形成している。
【0004】
第1側板102と第2側板103には、幅方向の中央部に、その上端部から下端部まで外側に突出した突出部106、107が形成されている。そして、突出部106、107が形成されることで、第1側板102及び第2側板103の剛性及び耐変形性が向上すると共に、突出部106、107の空間が燃焼する火のガイド通路の役割を成し、煙突効果が得られる。
【0005】
図7(A)に示す如く、第2側板103は、第1側板102に対してその上端側にてボルト108にて締結され、回転自在に連結している。また、底板101は、第1側板102に対してその下端側にてボルト109にて締結され、回転自在に連結している。
【0006】
図7(B)に示す如く、組み立て式ストーブ100の収納時には、底板101(
図7(A)参照)が回転しながら、第1側板102と第2側板103との間の収納空間110内に収納される。そして、折り畳まれた組み立て式ストーブ100は、2つのフレーム部材111、112を利用して持ち運ぶことができる(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
図6に示す如く、組み立て式ストーブ100は、第1側板102と第2側板103にて筐体の外枠フレームを形成している。そして、第1側板102と第2側板103に剛性を持たせ、耐変形性を向上させるために、第1側板102と第2側板103には、突出部106、107が形成されている。また、底板101、第1側板102及び第2側板103は、常時、ボルト108、109を介して互いに回転自在に連結した状態である。
【0009】
そして、底板101、第1側板102及び第2側板103が、燃焼熱により反ることで、その歪みによりお互いに回転し難くなったり、収納時の収まりが悪くなったりする恐れがある。そのため、第1側板102及び第2側板103には、突出部106、107が形成され、また、底板101、第1側板102及び第2側板103には、その端部側が垂直に折り曲げられる等、底板101、第1側板102及び第2側板103が、燃焼熱により反り難い構造が施されている。
【0010】
その結果、底板101、第1側板102及び第2側板103の形状が複雑となり、加工が煩雑となり、製造コストを低減し難いという問題がある。また、底板101、第1側板102及び第2側板103は、常時、ボルト108、109を介して連結される構造であるため、反りによる位置ずれに対するクリアランスを確保し難い構造となる。その結果、組み立て式ストーブ100の繰り返しの使用により、上記底板101等に多少の反りが発生することで、組み付け状態が悪化し、片づけ時の折り畳み作業や使用時の組み立て作業が行い難くなる問題がある。
【0011】
また、第1側板102及び第2側板103には、その反り防止のための構造として、突出部106、107が形成され、また、その外周縁部も垂直に折り曲げられて形成されている。同様に、底板101もその外周縁部も垂直に折り曲げられて形成されている。この構造により、個々の部材が厚みを有するため、組み立て式ストーブ100の小型化を実現し難いという問題がある。また、上述したように、第1側板102及び第2側板103の形状が複雑なため、第1側板102や第2側板103に反りが発生した場合に、使用者が、ハンマー等により叩いて修繕し難いという問題がある。
【0012】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、ストーブの各部材を組み立て式とする共に、各部材及び組み立てた構造に燃焼熱による反り対策を施し、組み立て作業や解体作業の作業性に優れた組み立て式ストーブを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の組み立て式ストーブでは、燃焼物を載置する底板部と、それぞれ板状体から成り、前記底板部と共に着脱自在に組み立てられることで前記燃焼物を燃焼する燃焼空間を形成する第1の筐体板部、第2の筐体板部及び第3の筐体板部と、を備え、前記第1の筐体板部と前記第2の筐体板部には、それぞれの長手方向の第1の側辺に沿って複数のヒンジ連結部が所望の間隔にて形成されると共に、前記第1の側辺と対向するそれぞれの長手方向の第2の側辺に沿って複数の係止孔が所望の間隔にて形成され、前記第3の筐体板部には、長手方向の第1の側辺及び第2の側辺に沿って前記係止孔に対して係止される複数の係止部が形成され、前記第1の筐体板部の前記ヒンジ連結部は、前記第1の筐体板部の前記第1の側辺から外側へ延在した第1の基部と、前記第1の基部から下方に突起した第1の突起部と、を有し、前記第2の筐体板部の前記ヒンジ連結部は、前記第2の筐体板部の前記第1の側辺から外側へ延在した第2の基部と、前記第2の基部から上方へと突起した第2の突起部と、を有し、前記第1の筐体板部の前記第1の側辺と前記第1の突起部との間の第1の隙間及び前記第2の筐体板部の前記第1の側辺と前記第2の突起部との間の第2の隙間は、それぞれ前記第1の筐体板部の板厚及び前記第2の筐体板部の板厚よりも広く形成され、前記第1の筐体板部と前記第2の筐体板部とが連結した状態において、前記第1の隙間に前記第2の基部が配設され、前記第2の隙間に前記第1の基部が配設されると共に、前記第1の基部と前記第2の基部とが当接することを特徴とする。
【0014】
また、本発明の組み立て式ストーブでは、前記ヒンジ連結部は、前記係止孔よりも多く形成されると共に、前記ヒンジ連結部の前記所望の間隔は、前記係止孔の前記所望の間隔よりも狭く形成され、前記第3の筐体板部は、前記燃焼空間の下方側に配設される前記底板部よりも上方側であり、前記燃焼空間の前方側の一部を塞ぐように配設されることを特徴とする。
【0015】
また、本発明の組み立て式ストーブでは、前記係止部は、前記第3の筐体板部の前記第1の側辺または前記第2の側辺からその外側へと延在した反り調整部と、前記反り調整部から下方へと突起した抜け防止部と、を有し、前記第3の筐体板部の前記第1の側辺と前記抜け防止部との間の第3の隙間及び前記第3の筐体板部の前記第2の側辺と前記抜け防止部との間の第4の隙間は、それぞれ前記第1の筐体板部の板厚及び前記第2の筐体板部の板厚よりも広く形成され、前記第3の筐体板部が前記第1の筐体板部及び前記第2の筐体板部と連結した状態において、前記第1の筐体板部及び前記第2の筐体板部は、前記反り調整部に沿って移動可能であることを特徴とする。
【0016】
また、本発明の組み立て式ストーブでは、前記第1の筐体板部、前記第2の筐体板部、前記第3の筐体板部及び前記底板部には、それぞれの中心部に長手方向に渡り直線状の折り曲げ部が形成され、前記折り曲げ部は、前記燃焼空間の外側へ向けて折り曲げられることを特徴とする。
【0017】
また、本発明の組み立て式ストーブでは、前記第1の筐体板部、前記第2の筐体板部、前記第3の筐体板部及び前記底板部の前記折り曲げ部には、それぞれ同一離間距離の一対の小孔が形成されていることを特徴とする。
【0018】
また、本発明の組み立て式ストーブでは、前記底板部は、前記第1の筐体板部及び前記第2の筐体板部の前記第2の側辺側から前記第1の側辺側へ向けて斜め下方へと傾斜して配設されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明の組み立て式ストーブは、底板部と、第1の筐体板部と、第2の筐体板部と、第3の筐体板部と、を有し、第1の筐体板部及び第2の筐体板部には、第1の長側辺に沿って複数のヒンジ連結部が形成されると共に、第2の長側辺に沿って複数の係止孔が形成されている。また、第3の筐体板部には、第1の長側辺及び第2の長側辺に沿って複数の係止部が形成されている。この構造により、組み立て式ストーブは、固定用ボルト等の固定部材を用いることなく、組み立てられることが出来ると共に、第1の筐体板部等の反りに対するクリアランスを有することで、その組み立て性や解体性が損なわれ難い構造を実現している。
【0020】
また、本発明の組み立て式ストーブでは、第1の筐体板部と第2の筐体板部とは、ヒンジ連結部を介して狭ピッチにて連結し、第3の筐体板部は、第1の筐体板部と第2の筐体板部とによる前面開放側の一部を塞ぐように、連結孔及び連結部を介して連結している。この構造により、第1の筐体板部と第2の筐体板部との連結側の方が、第3の筐体板部の配設側よりも高温となり易く、反りも発生し易いが、ヒンジ連結部が狭ピッチに配設され、反りを規制することで、その反り量を大幅に低減することができる。
【0021】
また、本発明の組み立て式ストーブでは、係止部は、反り調整部と、反り調整部の一部から下方へと突起し、第3の筐体板部の第1の側辺及び第2の側辺から離間して形成される抜け防止部と、を有している。そして、係止部が係止孔に挿入された状態において、第1の筐体板部及び第2の筐体板部は、抜け防止部と第3の筐体板部の第1の側辺及び第2の側辺との間の反り調整部に沿って移動することができる。この構造により、第1の筐体板部等は、燃焼熱により多少の反りは発生するが、上記反り調整部でのクリアランスを利用して、係止孔側を積極的に反らせ、ヒンジ連結部側の反りの発生を抑えることで、その組み立て性や解体性が損なわれ難い構造を実現している。
【0022】
また、本発明の組み立て式ストーブでは、第1の筐体板部等には、それぞれの中心部に長手方向に渡り直線状の折り曲げ部が形成されている。そして、折り曲げ部は、燃焼空間の外側へ向けて折り曲げられている。この構造により、第1の筐体板部等は、その長手方向において、内側や外側へと向けて湾曲し難くなり、第1の筐体板部等の相互間の連結位置のずれによる組み付け性が損なわれることが防止される。
【0023】
また、本発明の組み立て式ストーブでは、第1の筐体板部等に形成された折り曲げ部には、それぞれ同一離間距離の一対の小孔が形成されている。この構造により、組み立て式ストーブの収納時には、第1の筐体板部等を上記折り曲げ部にて位置合わせし重ね合わせると共に、小孔を介して係止ピンにて繋いだ状態とすることができる。そして、組み立て式ストーブの収納スペースが小スペース化されると共に、簡易に持ち運ぶことが可能となる。
【0024】
また、本発明の組み立て式ストーブでは、底板部は、組み立て式ストーブの前面の燃焼物投入口から燃焼空間の奥側に向けて、斜め下方へと傾斜して配設されている。この構造により、燃焼空間のスペースを大きくすることができ、燃焼空間へと投入する燃焼物の量が増大される。また、燃焼物も燃焼しながら、燃焼空間の奥側へと崩れ落ち易くなり、安全性が向上される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の一実施形態である組み立て式ストーブを説明する斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態である組み立て式ストーブを説明する(A)平面図、(B)平面図である。
【
図3】本発明の一実施形態である組み立て式ストーブを説明する(A)平面図、(B)平面図である。
【
図4】本発明の一実施形態である組み立て式ストーブを説明する(A)背面図、(B)拡大斜視図である。
【
図5】本発明の一実施形態である組み立て式ストーブを説明する側面図である。
【
図6】従来の組み立て式ストーブを説明する斜視図である。
【
図7】従来の組み立て式ストーブを説明する(A)斜視図、(B)斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の一実施形態に係る組み立て式ストーブ10を図面に基づき詳細に説明する。尚、本実施形態の説明の際には、同一の部材には原則として同一の符番を用い、繰り返しの説明は省略する。
【0027】
図1は、本実施形態の組み立て式ストーブ10の全体構成を説明する斜視図である。
図2(A)は、本実施形態の組み立て式ストーブ10の第1の筐体板部11を説明する平面図である。
図2(B)は、本実施形態の組み立て式ストーブ10の第2の筐体板部12を説明する平面図である。
図3(A)は、本実施形態の組み立て式ストーブ10の第3の筐体板部13を説明する平面図である。
図3(B)は、本実施形態の組み立て式ストーブ10の底板部15を説明する平面図である。
図4(A)は、本実施形態の組み立て式ストーブ10の使用状態を説明する背面図である。
図4(B)は、本実施形態の組み立て式ストーブ10の連結状態を説明する拡大斜視図である。
図5は、本実施形態の組み立て式ストーブ10の収納状態を説明する側面図である。
【0028】
図1に示す如く、組み立て式ストーブ10は、第1の筐体板部11、第2の筐体板部12、第3の筐体板部13を組み付けることで、燃焼空間14を囲む外形が形成されている。そして、底板部15が、第1の筐体板部11及び第2の筐体板部12に支持されるように、燃焼空間14の下方側に配設されている。つまり、組み立て式ストーブ10は、固定用のボルト等の固定部材を用いることなく、4枚の板状体である第1から第3の筐体板部11、12、13及び底板部15を簡易に組み付けることで、使用することができる。詳細は後述するが、ヒンジ連結箇所や挿入により連結する箇所にクリアランスを持たせることで、第1の筐体板部11等に多少の反りが発生した場合でも、その組み立て作業性や解体作業性への悪影響を防止することができる。
【0029】
尚、以下の説明では、紙面上下方向は組み立て式ストーブ10の高さ方向を示し、紙面左右方向は組み立て式ストーブ10の横幅方向を示し、紙面前後方向は組み立て式ストーブ10の奥行方向を示している。
【0030】
図示したように、第1の筐体板部11及び第2の筐体板部12は、組み立て式ストーブ10の横幅方向の両側面として配設されている。そして、第1の筐体板部11及び第2の筐体板部12は、その後方の長側辺11A、12A側にてヒンジ連結し、設置面GL上に立設している。一方、第3の筐体板部13は、第1の筐体板部11及び第2の筐体板部12の前面開口領域の一部を塞ぐように、組み立て式ストーブ10の前後方向の前方側面として配設されている。そして、第3の筐体板部13は、設置面GLから離間し、第1及び第2の筐体板部11、12に支持されている。
【0031】
組み立て式ストーブ10では、その前面下方の開口部16が、薪等の燃焼物を投入するための投入口として用いられる。そして、底板部15は、設置面GLから離間した状態にて、開口部16側から燃焼空間14の奥側へ向けて斜め下方に傾斜するように配設されている。この構造により、組み立て式ストーブ10では、燃焼空間14を広げることができ、燃焼空間14内への燃焼物の投入量を増大させることができる。
【0032】
また、燃焼物は、燃焼しながら燃焼空間14の奥側へと崩れ落ち易くなり、燃焼物が開口部16から周囲の芝生上に落ち、火災等が発生し難くなる。また、燃焼物の灰も燃焼空間14の奥側へと溜まることで、灰の掃除も容易となる。尚、底板部15が、設置面GLから離間することで、燃焼熱により、芝生等が焼けることが防止される。
【0033】
更には、第1及び第2の筐体板部11、12では、組み立て式ストーブ10の高さ方向(紙面上下方向)に沿って、長手方向の長側辺11A、11B、12A、12Bが配設されている。そして、第3の筐体板部13は、第1及び第2の筐体板部11、12に対して、その上端側が同じ高さになる様に配設され、第1から第3の筐体板部11、12、13の上端部にて囲まれる開口部17が、排熱口や排煙口として用いられる。
【0034】
この構造により、組み立て式ストーブ10では、燃焼空間14が、その断面積を上方に向けて徐々に狭めながら、その高さ方向に延在することで、煙突効果により燃焼効率を高めることができる。そして、燃焼空間14は、煙突としての役割も担い、別途、煙突を設ける必要がなく、組み立て式ストーブ10の小型化が実現される。
【0035】
図2(A)に示す如く、第1の筐体板部11は、燃焼時の高温状態にも耐え得るため、鉄等の鋼材を加工して形成されている。第1の筐体板部11は、四方形形状の板状体であり、例えば、略台形形状として形成されている。そして、第1の筐体板部11は、組み立て式ストーブ10の高さ方向(紙面上下方向)に沿って2つの長側辺11A、11Bを有し、一方、設置面GLと略平行となる2つの短側辺11C、11Dを有している。尚、第1の筐体板部11の板厚は、例えば、3.2mmである。
【0036】
長側辺11Aの長さL1は、例えば、700mmであり、長側辺11Aは、使用時に、設置面GLに対して垂直に配設される。そして、長側辺11Aの上端から下端の間には6つのヒンジ連結部21が形成されている。ヒンジ連結部21同士の離間長さL2は、例えば、75mmであり、各ヒンジ連結部21は等間隔に形成されている。また、ヒンジ連結部21は、略L字形状であり、長側辺11Aと連続した基部21Aと、基部21Aから下方側へと突起した突起部21Bと、を有している。突起部21Bの長さL3は、例えば、10mmであり、突起部21Bと長側辺11Aとの間の隙間30の長さL4は、例えば、6mmである。
【0037】
長側辺11Bの長さL5は、例えば、約741mmであり、長側辺11Bは、使用時には、設置面GLに対して後方側へと傾斜して配設される。そして、長側辺11Bに沿って、その上端側から3つの係止孔22が形成されている。係止孔22同士の離間長さL6は、例えば、115mmであり、各係止孔22は等間隔に形成されている。また、係止孔22は、その断面が長方形形状の開口部であり、その短手方向の開口長さL7は、例えば、6mmである。そして、係止孔22は、第3の筐体板部13の板厚に対して、約2倍程度の開口長さL7を有することで、組み立て式ストーブ10の組み立てのし易さや解体性のし易さを実現している。
【0038】
短側辺11Cの長さL8は、例えば、155mmであり、ヒンジ連結部21の基部21Aも含めた長さL9は、例えば、170mmである。一方、短側辺11Dの長さL10は、例えば、400mmである。短側辺11Dには、その前後方向の両端部に一対の脚部23、24が形成され、第1の筐体板部11は、この脚部23、24にて設置面GL上に立設する。そして、組み立て式ストーブ10の使用時には、脚部23、24間の凹み領域25は、燃焼空間14(
図1参照)内への空気取り入れ開口部として用いられる。
【0039】
また、第1の筐体板部11には、短側辺11C、11Dの中心部を直線状に結ぶように折り曲げ部26が形成されている。折り曲げ部26は、燃焼空間14に対して外側へと第1の筐体板部11を折り曲げ加工して形成され、第1の筐体板部11の断面形状は略V字形状となる。更に、折り曲げ部26上には、2つの小孔27が形成され、小孔27は、組み立て式ストーブ10の収納時に係止ピン71、72(
図5参照)を挿通する開口部として用いられる。
【0040】
また、第1の筐体板部11には、炎の形状をデザインしたスリット状の開口部28が形成されている。そして、組み立て式ストーブ10の使用者は、開口部28を介して燃焼空間14内にて燃焼物が燃焼する炎を見ることができ、目視でも楽しむことができる。
【0041】
また、第1の筐体板部11には、短側辺11Dの近傍であり、その前後方向の両端部付近に2つの係止孔29が形成されている。係止孔29同士の離間長さL11は、例えば、160mmである。また、係止孔29は、その断面が長方形形状の開口部であり、その短手方向の開口長さL12は、例えば、5mmである。図示したように、係止孔29は、後方側へ向けて斜め下方に傾斜して配列されている。そして、係止孔29は、底板部15の板厚に対して、約2倍程度の開口長さL12を有することで、組み立て式ストーブ10の組み立てのし易さや解体性のし易さを実現している。
【0042】
図2(B)に示す如く、第2の筐体板部12は、燃焼時の高温状態にも耐え得るため、鉄等の鋼材を加工して形成されている。第2の筐体板部12は、第1の筐体板部11と略同一形状であり、四方形形状の板状体であり、例えば、略台形形状として形成されている。そして、第2の筐体板部12は、組み立て式ストーブ10の高さ方向(紙面上下方向)に沿って2つの長側辺12A、12Bを有し、一方、設置面GLと略平行となる2つの短側辺12C、12Dを有している。尚、第2の筐体板部12の板厚は、例えば、3.2mmである。
【0043】
長側辺12Aの長さL21は、例えば、700mmであり、長側辺12Aは、使用時に、設置面GLに対して垂直に配設される。そして、長側辺12Aの上端から下端の間には6つのヒンジ連結部31が形成されている。ヒンジ連結部31同士の離間長さL22は、例えば、75mmであり、各ヒンジ連結部31は等間隔に形成されている。また、ヒンジ連結部31は、略L字形状であり、長側辺12Aと連続した基部31Aと、基部31Aから上方側へと突起した突起部31Bと、を有している。突起部31Bの長さL23は、例えば、10mmであり、突起部31Bと長側辺12Aとの間の隙間40の長さL24は、例えば、6mmである。
【0044】
長側辺12Bの長さL25は、例えば、約741mmであり、長側辺12Bは、使用時には、設置面GLに対して後方側へと傾斜して配設される。そして、長側辺12Bに沿って、その上端側から3つの係止孔32が形成されている。係止孔32同士の離間長さL26は、例えば、115mmであり、各係止孔32は等間隔に形成されている。また、係止孔32は、その断面が長方形形状の開口部であり、その短手方向の開口長さL27は、例えば、6mmである。そして、係止孔32は、第3の筐体板部13の板厚に対して、約2倍程度の開口長さL27を有することで、組み立て式ストーブ10の組み立てのし易さや解体性のし易さを実現している。
【0045】
短側辺12Cの長さL28は、例えば、155mmであり、ヒンジ連結部31の基部31Aも含めた長さL29は、例えば、170mmである。一方、短側辺12Dの長さL30は、例えば、400mmである。短側辺12Dには、その前後方向の両端部に一対の脚部33、34が形成され、第2の筐体板部12は、この脚部33、34にて設置面GL上に立設する。そして、組み立て式ストーブ10の使用時には、脚部33、34間の凹み領域35は、燃焼空間14(
図1参照)内への空気取り入れ開口部として用いられる。
【0046】
また、第2の筐体板部12には、短側辺12C、12Dの中心部を直線状に結ぶように折り曲げ部36が形成されている。折り曲げ部36は、燃焼空間14に対して外側へと第2の筐体板部12を折り曲げ加工して形成され、第2の筐体板部12の断面形状は略V字形状となる。更に、折り曲げ部36上には、2つの小孔37が形成され、小孔37は、組み立て式ストーブ10の収納時に係止ピン71、72(
図5参照)を挿通する開口部として用いられる。
【0047】
また、第2の筐体板部12には、炎の形状をデザインしたスリット状の開口部38が形成されている。そして、組み立て式ストーブ10の使用者は、開口部38を介して燃焼空間14内にて燃焼物が燃焼する炎を見ることができ、目視でも楽しむことができる。
【0048】
また、第2の筐体板部12には、短側辺12Dの近傍であり、その前後方向の両端部付近に2つの係止孔39が形成されている。係止孔39同士の離間長さL31は、例えば、160mmである。また、係止孔39は、その断面が長方形形状の開口部であり、その短手方向の開口長さL32は、例えば、5mmである。図示したように、係止孔39は、後方側へ向けて斜め下方に傾斜して配列されている。そして、係止孔39は、底板部15の板厚に対して、約2倍程度の開口長さL32を有することで、組み立て式ストーブ10の組み立てのし易さや解体性のし易さを実現している。
【0049】
図3(A)に示す如く、第3の筐体板部13は、燃焼時の高温状態にも耐え得るため、鉄等の鋼材を加工して形成されている。第3の筐体板部13は、五角形形状の板状体である。そして、第3の筐体板部13は、組み立て式ストーブ10の高さ方向(紙面上下方向)に沿って2つの長側辺13A、13Bを有し、一方、設置面GLと略平行となる短側辺13Cを有している。また、図示したように、第3の筐体板部13の下方側の側辺は、2つの短側辺13D、13Eにより、逆V字形状の切欠き形状を構成し、開口部16(
図1参照)の開口面積を大きくし、薪等の燃焼物の投入量を増大させることができる。尚、第3の筐体板部13の板厚は、例えば、3.2mmである。
【0050】
長側辺13A、13Bの長さL41は、例えば、400mmであり、長側辺13A、13Bには、それぞれその上端から下端の間には3つの係止部41が形成されている。係止部41同士の離間長さL42は、例えば、115mmであり、各係止部41は等間隔に形成されている。また、係止部41は、略L字形状であり、長側辺13A、13Bと連続した反り調整部41Aと、反り調整部41Aから下方側へと突起した抜け防止部41Bと、を有している。そして、反り調整部41Aの長さL43は、例えば15mmであり、抜け防止部41Bと長側辺13A、13Bとの間の隙間45、46の長さL44は、例えば、6mmである。尚、抜け防止部41Bの長さL45は、例えば、10mmである。
【0051】
また、第3の筐体板部13には、短側辺13Cの中心部と短側辺13D、13Eの交点43を直線状に結ぶように折り曲げ部42が形成されている。折り曲げ部42は、燃焼空間14(
図1参照)に対して外側へと第3の筐体板部13を折り曲げ加工して形成され、第3の筐体板部13の断面形状は略V字形状となる。更に、折り曲げ部42上には、2つの小孔44が形成され、小孔44は、組み立て式ストーブ10の収納時に係止ピン71、72(
図5参照)を挿通する開口部として用いられる。
【0052】
図3(B)に示す如く、底板部15は、燃焼時の高温状態にも耐え得るため、鉄等の鋼材を加工して形成されている。底板部15は、略五角形形状の板状体であり、例えば、ホームベース形状として形成されている。そして、側辺15A、15Bの後方側には、それぞれ一対の係止部51が形成され、側辺15A、15Bの前方側にも、それぞれ一対の係止部52が形成されている。尚、底板部15の板厚は、例えば、3.2mmである。
【0053】
組み立て式ストーブ10の使用時には、係止部51、52が、第1の筐体板部11の係止孔29(
図2(A)参照)及び第2の筐体板部12の係止孔39(
図2(B)参照)に挿入されることで、底板部15は、設置面GL(
図1参照)から浮いた状態にて、第1の筐体板部11及び第2の筐体板部12に支持される。
【0054】
また、底板部15は、設置面GLと燃焼空間14(
図1参照)との間を区切るように配設されている。そのため、底板部15の側辺15A、15Bは、第1の筐体板部11及び第2の筐体板部12の形成に沿うように、側辺15A、15Bの中心部53、54を頂点として略V字形状に形成されている。
【0055】
また、底板部15には、頂点55と側辺15Cの中心部を直線状に結ぶように折り曲げ部56が形成されている。折り曲げ部56は、燃焼空間14(
図1参照)に対して外側へと底板部15を折り曲げ加工して形成され、底板部15の断面形状は略V字形状となる。更に、折り曲げ部56上には、2つの小孔57が形成され、小孔57は、組み立て式ストーブ10の収納時に係止ピン71、72(
図5参照)を挿通する開口部として用いられる。
【0056】
図4(A)に示す如く、組み立て式ストーブ10の使用時には、第1の筐体板部11と第2の筐体板部12の長側辺11A、12A側にて、それぞれのヒンジ連結部21、31同士を引っ掛けることで、組み立て式ストーブ10は組み立てられている。
【0057】
図4(B)では、第1の筐体板部11のヒンジ連結部21と第2の筐体板部12のヒンジ連結部31との連結領域を拡大して図示している。図示したように、第1の筐体板部11のヒンジ連結部21では、その突起部21Bが下方側へと延在し、第2の筐体板部12のヒンジ連結部31では、その突起部31Bが上方側へと延在している。そして、第1の筐体板部11の突起部21Bと長側辺11Aとの隙間30に対して、第2の筐体板部12の基部31Aが配設され、第2の筐体板部12の突起部31Bと長側辺12Aとの隙間40に対して、第1の筐体板部11の基部21Aが配設され、基部21A、31A同士が当接している。
【0058】
具体的には、
図2(A)及び
図2(B)に示す如く、第2の筐体板部12の連結部31は、長側辺12Aの下端から形成され、突起部21Bは上方側へと延在している。一方、第1の筐体板部11の連結部21は、長側辺11Aの上端から形成され、突起部31Bは下方側へと延在している。この構造により、両基部21A、31Aを介して、第1の筐体板部11が、第2の筐体板部12上に載置され、支えられている。そして、第2の筐体板部12の突起部31Bが、第1の筐体板部11または基部21Aに対して引っ掛かると共に、第1の筐体板部11の突起部21Bが、第2の筐体板部12または基部31Aに対して引っ掛かることで、第1の筐体板部11と第2の筐体板部12とのヒンジ連結状態が実現されている。
【0059】
つまり、組み立て式ストーブ10の後方側では、長側辺11A、12Aの全領域にて連結しているのではなく、6箇所のヒンジ連結部21、31の形成領域にて、ヒンジ連結部21、31同士が連結している。そして、第1の筐体板部11の隙間30の長さL4(
図2(A)参照)及び第2の筐体板部12の隙間の長さL24(
図2(B)参照)は、第1の筐体板部11や第2の筐体板部12板厚の2倍程度であり、クリアランスとしての空間を有している。
【0060】
この構造により、第1の筐体板部11や第2の筐体板部12が燃焼熱により多少反った場合でも、簡単にヒンジ連結部21、31同士を組み付けることが出来ると共に、10mm程度の両突起部21B、31Bの引っ掛かりも簡単に外すことが出来るので、その組み立てし易さや解体し易さに影響を与え難い構造となっている。また、両隙間30、40によるクリアランスによりヒンジ連結部21、31にて回動し、第1の筐体板部11と第2の筐体板部12による前面開口部の広さを調整可能であり、第3の筐体板部13が多少反った場合でも、その反り量に合わせて簡単に第3の筐体板部13を第1の筐体板部11及び第2の筐体板部12に組み付けることができる。
【0061】
一方、
図4(A)に示す如く、組み立て式ストーブ10の使用時には、第1の筐体板部11と第2の筐体板部12の長側辺11B、12B側にて、第3の筐体板部13の係止部41が、それぞれ係止孔22、32内に挿入されることで、組み立てられている。
【0062】
ここで、
図3(A)を用いて上述したように、係止部41は、略L字形状であり、長側辺13A、13Bと連続した反り調整部41Aと、反り調整部41Aから下方側へと突起した抜け防止部41Bと、を有している。そして、抜け防止部41Bと長側辺13A、13Bとの間の隙間の長さL44は、例えば、6mmである。また、第1の筐体板部11及び第2の筐体板部12の板厚は、例えば、3.2mmである。
【0063】
この構造により、係止部41が、係止孔22、32に対して挿入された状態において、反り調整部41Aは、第1の筐体板部11及び第2の筐体板部12の反りに対するクリアランスの幅として約3mm程度有している。
【0064】
例えば、第1の筐体板部11が燃焼空間14の内側へ向けての反り特性を有している場合、第1の筐体板部11は燃焼熱によりその断面略V字形状が閉じる方向へと3mm程度は反るが、第1の筐体板部11が第3の筐体板部13に当たることで、それ以上の反りを防止することができる。一方、第2の筐体板部12が燃焼空間14の外側へ向けて反り特性を有している場合、第2の筐体板部12は燃焼熱によりその断面略V字形状が開く方向へと3mm程度は反るが、第2の筐体板部12が抜け防止部41Bに当たることで、それ以上の反りを防止することができる。
【0065】
つまり、第1の筐体板部11及び第2の筐体板部12は燃焼熱により反りが生じるが、第3の筐体板部13を介して連結することで、反り量を規制する構造となっている。そして、第1の筐体板部11や第2の筐体板部12が燃焼熱により多少反った場合でも、上記クリアランス幅にて対応し、その組み立て性や解体性に影響を与え難い構造となっている。
【0066】
尚、第3の筐体板部13においても、同様に、係止孔22、32の短手方向の開口長さL7(
図2(A)参照)、L27(
図2(B)参照)が6mmであり、反りに対するクリアランス幅を有すると共に、第1の筐体板部11や第2の筐体板部12により反り量が規制される構造となっている。また、第3の筐体板部13は、第1の筐体板部11と第2の筐体板部12との内側にオフセットして配設され、第1の筐体板部11と第2の筐体板部12にて反りが規制され易い構造となっている。
【0067】
更には、ヒンジ連結部21、31同士の離間長さL2、L22は75mmであり、係止孔22、32同士の離間長さL6、L26は、115mmであり、ヒンジ連結部21、31は、係止部41よりも狭ピッチにて配設されている。そして、第1の筐体板部11や第2の筐体板部12は燃焼熱により多少の反りは発生するが、
図4(B)に示すように、ヒンジ連結部21、31同士やヒンジ連結部21、31と第1の筐体板部11や第2の筐体板部12とが当たることで、上記反り量をお互いに規制する構造となる。一方、上述したように、係止孔22、32側では、第1の筐体板部11及び第2の筐体板部12の反りに対するクリアランスの幅として約3mm程度有している。
【0068】
この構造により、第1の筐体板部11と第2の筐体板部12に多少の反りが発生した場合、ヒンジ連結部21、31が形成された長側辺11A、12A側よりも係止孔22、32が形成された長側辺11B、12B側を積極的に反らせることで、ヒンジ連結部21、31側の反りを抑制することができる。そして、多くの連結箇所を有するヒンジ連結部21、31での組み立てし易さや解体し易さを実現することで、組み立て式ストーブ10全体としての組み立てし易さや解体し易さを実現し、組み立て式ストーブ10の繰り返しの使用を実現することができる。
【0069】
尚、組み立て式ストーブ10の繰り返しの使用により、第1の筐体板部11等の反り量が大きくなった場合でも、第1の筐体板部11等の構造はシンプルな形状の板状体であり、ハンマー等により叩いて簡単に修繕することができる。
【0070】
次に、第1の筐体板部11、第2の筐体板部12、第3の筐体板部13及び底板部15が、燃焼熱による反りを防止する構造について説明する。尚、以下の説明では、適宜、
図2(A)、
図2(B)、
図3(A)及び
図3(B)を参照するものとする。
【0071】
第1の筐体板部11には、短側辺11C、11Dの中心部を直線状に結ぶように折り曲げ部26(
図2(A)参照)が形成されている。第2の筐体板部12には、短側辺12C、12Dの中心部を直線状に結ぶように折り曲げ部36(
図2(B)参照)が形成されている。第3の筐体板部13には、短側辺13Cの中心部と短側辺13D、13Eの交点43を直線状に結ぶように折り曲げ部42(
図3(A)参照)が形成されている。また、底板部15には、頂点55と側辺15Cの中心部を直線状に結ぶように折り曲げ部56(
図3(B)参照)が形成されている。
【0072】
ここで、第1の筐体板部11、第2の筐体板部12、第3の筐体板部13及び底板部15は、ロール状に冷延成形された鋼板から所望の大きさに切断された板状の鋼板をプレス成形することで形成される。そのため、プレス成形時に上記鋼板の外観からは、鋼板がどの方向に反り易い特性であるかを判別することは難しく、組み立て式ストーブ10として使用し、燃焼熱が加わることで、その反り特性が判明する場合が多い。
【0073】
そこで、上記折り曲げ部26、36、42、56は、それぞれの板材の中心部であり、その長手方向に渡り形成されている。この構造により、第1の筐体板部11、第2の筐体板部12、第3の筐体板部13及び底板部15が、その長手方向において、燃焼空間14(
図1参照)内側に向けてまたは外側に向けて湾曲して反ることが防止される。その結果、ヒンジ連結部21、31同士の位置ずれや係止部41と係止孔22、32との位置ずれにより、組み立て式ストーブ10の組み立て作業性や解体作業性が悪化することを防止することができる。
【0074】
図5に示す如く、組み立て式ストーブ10の収納状態では、第1の筐体板部11、第2の筐体板部12、第3の筐体板部13及び底板部15を重ねた状態にて収納することができる。上述したように、第1の筐体板部11には、折り曲げ部26上に一対の小孔27(
図2(A)参照)が形成されている。第2の筐体板部12にも、折り曲げ部36上に一対の小孔37(
図2(B)参照)が形成されている。第3の筐体板部13にも、折り曲げ部42上に一対の小孔44(
図3(A)参照)が形成されている。また、底板部15にも、折り曲げ部56上に一対の小孔57(
図3(B)参照)が形成されている。そして、それぞれの小孔27、37、44、57は、その離間距離が等しく形成されている。
【0075】
この構造により、第1の筐体板部11、第2の筐体板部12、第3の筐体板部13及び底板部15は、折り曲げ部26、36、42、56の折り曲げ方向を揃えると共に、折り曲げ部26、36、42、56にて位置合わせして配設され、小孔27、37、44、57に対して、一対の係止ピン71、72が挿通される。そして、チェン等の留め具73が係止ピン71、72と連結し、第1の筐体板部11、第2の筐体板部12、第3の筐体板部13及び底板部15を括ると共に、留め具73に対して握手74を引っ掛けることで、収納状態の組み立て式ストーブ10を容易に持ち運ぶことができる。そして、第1の筐体板部11、第2の筐体板部12、第3の筐体板部13及び底板部15は板状体であり、その収納スペースが嵩張ることが防止される。
【0076】
尚、本実施の形態では、第1の筐体板部11の複数のヒンジ連結部21は、離間長さL2にて等間隔に形成され、同様に、第2の筐体板部12の複数のヒンジ連結部31は、離間長さL22にて等間隔に形成される場合について説明したが、この場合に限定するものではない。ヒンジ連結部21、31は、それぞれの係止孔22、32間の離間長さL6、L26より短く、狭ピッチにて配列されていれば良く、全てのヒンジ連結部21、31が等間隔に形成されていなくても、上述した効果と同様の効果を得ることができる。例えば、底板部15の周辺部では、燃焼熱が加わる時間も長く、反りが発生し易い領域となるが、その領域のヒンジ連結部21、31のピッチを最も狭くすることで、燃焼熱による反りを規制し易い構造とすることができる。
【0077】
また、燃焼空間14を燃焼物の燃焼領域として用いると共に、燃焼空間14を煙突としても用いている。そして、燃焼空間14の上端の開口部17は、排熱口や排煙口として用いられているが、この場合に限定するものではない。例えば、開口部17に五徳(図示せず)を配設し、排熱を利用して五徳上にて鍋等を用いて料理を行う場合でも良い。
【0078】
また、底板部15は、燃焼空間14の断面形状に合わせて五角形形状の板状体とし、設置面GLと燃焼空間14とを底板部15により遮る場合について説明したが、この場合に限定するものではない。例えば、底板部15の形状を三角形状とし、第1の筐体板部11の折り曲げ部26と第2の筐体板部12の折り曲げ部36の形状を利用し、底板部15と第1の筐体板部11及び第2の筐体板部12との間の空間を空気取り入れ開口部として利用する場合でも良い。上述したように、第1の筐体板部11や第2の筐体板部12には、それぞれ脚部23、24、33、34間に凹み領域25、35を有している。そして、凹み領域25、35と底板部15周辺の空気取り入れ開口部を介して燃焼空間14内に外部空気を取り込むことで、燃焼物の燃焼効率が向上される。特に、燃焼物を燃焼空間14内に多く投入した場合でも、燃焼空間14の奥側まで外部空気を取り込み易くなる。その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲にて種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0079】
10 組み立て式ストーブ
11 第1の筐体板部
11A、11B 長側辺
12 第2の筐体板部
12A、12B 長側辺
13 第3の筐体板部
13A、13B 長側辺
14 燃焼空間
15 底板部
16、17、28、38 開口部
21、31 ヒンジ連結部
21A、31A 基部
21B、31B 突起部
22、29、32、39 係止孔
26、36、42、56 折り曲げ部
27、37、44、57 小孔
30、40、45、46 隙間
41、51、52 係止部
41A 反り調整部
41B 抜け防止部
71、72 係止ピン