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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-14
(45)【発行日】2022-01-14
(54)【発明の名称】風呂敷
(51)【国際特許分類】
   B65D 65/02 20060101AFI20220105BHJP
   B65D 33/10 20060101ALI20220105BHJP
【FI】
B65D65/02 D
B65D33/10
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019208070
(22)【出願日】2019-11-18
(65)【公開番号】P2021079973
(43)【公開日】2021-05-27
【審査請求日】2020-07-03
(73)【特許権者】
【識別番号】519411777
【氏名又は名称】有限会社エーデルワイス工芸社
(74)【代理人】
【識別番号】100091373
【弁理士】
【氏名又は名称】吉井 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100097065
【弁理士】
【氏名又は名称】吉井 雅栄
(72)【発明者】
【氏名】山岸 弘実
(72)【発明者】
【氏名】藤巻 理律恵
【審査官】加藤 信秀
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3222900(JP,U)
【文献】実開平07-028861(JP,U)
【文献】登録実用新案第3220313(JP,U)
【文献】特開平08-244554(JP,A)
【文献】登録実用新案第3159034(JP,U)
【文献】登録実用新案第3149690(JP,U)
【文献】登録実用新案第3225410(JP,U)
【文献】登録実用新案第3161073(JP,U)
【文献】登録実用新案第3029787(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 65/02
B65D 33/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長方形状の布製シート体が中央部で折り返され、重合左右縁下側部が縫着されると共に、重合左右縁上側部に該重合左右縁の全長4分の1以上2分の1以下の長さ寸法の重合左右縁非縫着部が設けられ、更に、重合上縁中央部に重合上縁中央非縫着部が設けられた直線状四辺を有する略正方形の、袋としても使用できる風呂敷であって、前記中央部折り返し部は袋として使用する場合の底部として構成され、前記重合左右縁非縫着部は袋として使用する場合の腕通し用開口部若しくは手入れ用開口部として構成され、前記腕通し用開口部若しくは前記手入れ用開口部の開口縁部には、内側に折り返し縫着処理されて折り返し縁部が設けられ、前記重合上縁中央非縫着部は袋として使用する場合の物入れ用開口部として構成され、前記布製シート体は、少なくとも表面に柄が施された柄布であり、この布製シート体の少なくとも柄が施された表面が夫々外側面となるように重合されていることを特徴とする風呂敷。
【請求項2】
請求項1記載の風呂敷において、前記布製シート体は、表面にのみ柄が施された柄布であることを特徴とする風呂敷。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、風呂敷に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、物を包装するものとして例えば実開平7-28861号に開示される袋兼用の風呂敷(以下、従来例という。)が提案されている。
【0003】
この従来例は、一対のシート体を重合状態とし、この重合したシート体同士の適所をコ字状に加熱融着(ヒートシール)して接合したものであり、広げた状態の風呂敷としての使用形態と、裏返すことで袋としての使用形態とに切り替えることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実開平7-28861号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者は、前述したような風呂敷と袋を兼用し得るこの種の製品について開発を進めた結果、従来にない実用的な風呂敷を開発した。
【課題を解決するための手段】
【0006】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0007】
長方形状の布製シート体1が中央部で折り返され、重合左右縁下側部が縫着されると共に、重合左右縁上側部に該重合左右縁の全長4分の1以上2分の1以下の長さ寸法の重合左右縁非縫着部が設けられ、更に、重合上縁中央部に重合上縁中央非縫着部が設けられた直線状四辺を有する略正方形の、袋としても使用できる風呂敷であって、前記中央部折り返し部は袋として使用する場合の底部として構成され、前記重合左右縁非縫着部は袋として使用する場合の腕通し用開口部2若しくは手入れ用開口部として構成され、前記腕通し用開口部2若しくは前記手入れ用開口部の開口縁部には、内側に折り返し縫着処理されて折り返し縁部5が設けられ、前記重合上縁中央非縫着部は袋として使用する場合の物入れ用開口部3として構成され、前記布製シート体1は、少なくとも表面に柄が施された柄布であり、この布製シート体1の少なくとも柄が施された表面が夫々外側面となるように重合されていることを特徴とする風呂敷に係るものである。
【0008】
また、請求項1記載の風呂敷において、前記布製シート体1は、表面にのみ柄が施された柄布であることを特徴とする風呂敷に係るものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明は上述のように構成したから、風呂敷としての使用の他に、例えば袋やバッグとしても使用することができて便利であり、しかも、風呂敷として使用する場合、通常の風呂敷としての体裁を損なわないなど、従来に無い実用的な風呂敷となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施例1を示す正面図である。
図2】実施例1を示す斜視図である。
図3】実施例1の製造工程説明図である。
図4】実施例1の使用状態説明図である。
図5】実施例1の使用状態説明図である。
図6】実施例1の使用状態説明図である。
図7】実施例1の使用状態説明図である。
図8】実施例2の要部を示す斜視図である。
図9】実施例2の製造工程説明図である。
図10】実施例2の製造工程説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
好適と考える本発明の実施形態(発明をどのように実施するか)を、図面に基づいて本発明の作用を示して簡単に説明する。
【0012】
本発明は、物を包み込む風呂敷として使用したり、物を収納する袋やバッグなどの収納体として使用できる。
【0013】
具体的には、風呂敷として使用する場合には、例えば、広げた状態とした布製シート体1の中央に物を載せ、この方形状の布製シート体1の四つあるコーナー部のうち、一の対角にあるコーナー部を内方によせて重ね合わせ、他の対角にあるコーナー部同士を結ぶことで、物を包み込み包装できる。この他にも風呂敷としての包み方は多々あり、本発明はどのようにも対応可能である。
【0014】
一方、袋やバッグなどの収納体として使用する場合には、物入れ用開口部3を開いて内部に物を収納し、腕通し用開口部2若しくは手入れ用開口部に腕や手を通したり、物入れ用開口部3の左右に位置し縫着されている重合上縁左右部を把手4として持ち運ぶことができる。
【0015】
本発明は、この風呂敷を袋やバッグなどの収納体として機能させるための構造(肩掛けしたり手提げしたりする構造)が、例えば収納体の外方に突設される輪状の取手で構成されるのではなく、布製シート体1を重合してその縁部同士を縫着することで風呂敷を構成する際に設けられる非縫着部から成る開口部(腕通し用開口部2若しくは手入れ用開口部,物入れ用開口部3)により構成されるものであるから、風呂敷としての体裁を損なわずに収納体としての機能を確実に実現することができる。
【実施例1】
【0016】
本発明の具体的な実施例について図面に基づいて説明する。
【0017】
本実施例は、布製シート体1が重合されていて、縁部同士が縫着されている方形状の風呂敷Xであって、重合左右縁上側部に設けられている重合左右縁非縫着部を腕通し用開口部2若しくは手入れ用開口部とし、重合上縁中央部に設けられている重合上縁中央非縫着部を物入れ用開口部3とし、物入れ用開口部3の左右に位置し縫着されている重合上縁左右部を把手4とする袋状体として構成されたものである。
【0018】
具体的には、長方形状の布製シート体1が長手方向中央部で折り返されていることで該布製シート体1が重合されている構成とされていて、この中央部折り返し部が袋状体の底部として構成され、布製シート体1を中央部で折り返すことで重合される布製シート体1の重合左右縁下側部が縫着されると共に、重合左右縁上側部に重合左右縁非縫着部が設けられてこの重合左右縁非縫着部を袋状体の腕通し用開口部2若しくは手入れ用開口部として構成され、布製シート体1を中央部で折り返すことで重合される布製シート体1の重合上縁左右部が縫着されると共に、重合上縁中央部に重合上縁中央非縫着部が設けられてこの重合上縁中央非縫着部を袋状体の物入れ用開口部3として構成されている。
【0019】
布製シート体1は、図1,2に図示したように適宜な生地の表面に風呂敷柄(模様や色や装飾)が施されたものである。尚、本実施例では、布製シート体1の裏面には柄は施されておらず、また、布製シート体1の表面全域に同一柄が施されているが、この長方形状の布製シート体1を中央部で折り返して重合させて風呂敷Xとした際に、この風呂敷Xの正面と背面の柄が異なるように柄を施しても良い。
【0020】
また、布製シート体1は、所定長さを有する長方形状体であり、この布製シート体1を中央部で二つ折りにして重合させた際、互いに直線状の四辺を有して略正方形となる一対の布製シート体1(正面シート及び背面シート)から成る風呂敷Xが形成される。
【0021】
また、本実施例では、風呂敷Xを製造した際に該風呂敷Xの左右側端部に設けられる重合左右縁非縫着部の長さ寸法は、重合左右縁の全長4分の1以上2分の1以下に設定されている。
【0022】
これは、腕通し用開口部2若しくは手入れ用開口部の開口寸法を決定するものであり、袋やバッグとしての容積を確保しながら、腕や手を通して持ち易い大きさとするための寸法である。
【0023】
また、布製シート体1は、後述する風呂敷Xを製造する前に予め周端が折り返し縫製(ほつれ止め処理)されている。
【0024】
以下、本実施例に係る風呂敷Xの製造方法について説明する。
【0025】
先ず、長方形状の布製シート体1を裏面が外面側を向くように中央部で折り返すことで重合状態とする(図3中の(a),(b)参照)。
【0026】
続いて、この重合状態とした布製シート体1の重合左右縁下側部S1を縫着することで、布製シート体1の重合左右縁上側部S2に重合左右縁非縫着部を設けると共に、布製シート体1の重合上縁左右部S3を縫着することで、布製シート体1の重合上縁中央部S4に重合上縁中央非縫着部を設ける(図3中の(c)参照)。
【0027】
続いて、この袋状とした布製シート体1を該布製シート体1の表面が外面側となるように重合上縁中央非縫着部(物入れ用開口部3)を通過させることで裏返して風呂敷Xが完成する(図3中の(d),(e)参照)。
【0028】
このように製造された風呂敷Xは、重合左右縁非縫着部は腕通し用開口部2若しくは手入れ用開口部となり、重合上縁中央非縫着部は物入れ用開口部3となり、物入れ用開口部3の左右に位置し縫着されている重合上縁左右部を把手4とする袋状体となる。
【0029】
本実施例は上述のように構成したから、物Zを包み込む風呂敷Xとして使用したり、物を収納する袋やバッグなどの収納体Yとして使用できる。
【0030】
具体的には、風呂敷Xとして使用する場合には、例えば、図4,5に図示したように広げた状態とした風呂敷X(布製シート体1)の中央に物Zを載せ、この方形状の風呂敷X(布製シート体1)の四つあるコーナー部のうち、一の対角にあるコーナー部を内方によせて重ね合わせ、他の対角にあるコーナー部同士を結ぶことで、物Zを包み込み包装できる。この他にも風呂敷Xとしての包み方は多々あり、本実施例はどのようにも対応可能である。
【0031】
一方、袋やバッグなどの収納体Yとして使用する場合には、図6,7に図示したように物入れ用開口部3を開いて内部に物Zを収納し、腕通し用開口部2若しくは手入れ用開口部に腕や手を通したり、物入れ用開口部3の左右に位置し縫着されている重合上縁左右部を把手4として持ち運ぶことができる。
【0032】
よって、本実施例は、風呂敷Xとしての使用の他に、例えば袋やバッグなどの収納体Yとしても使用することができて便利であり、しかも、この風呂敷Xを袋やバッグなどの収納体Yとして機能させるための構造(肩掛けしたり手提げしたりする構造)が、例えば収納体Yの外方に突設される輪状の取手で構成されるのではなく、布製シート体1を重合してその縁部同士を縫着することで風呂敷Xを構成する際に設けられる非縫着部から成る開口部(腕通し用開口部2若しくは手入れ用開口部,物入れ用開口部3)により構成されるものであるから、風呂敷Xとしての体裁を損なわずに収納体Yとしての機能を確実に実現することができる。
【0033】
また、本実施例は、布製シート体1は、少なくとも表面に柄が施された柄布であり、この布製シート体1の少なくとも柄が施された表面が夫々外側面となるように重合された構成であるから、表面だけに柄を設ければ良く、量産性に優れ且つコスト安となる。
【0034】
また、本実施例は、重合左右縁非縫着部の長さ寸法は、重合左右縁の全長4分の1以上2分の1以下に設定されているから、袋やバッグとしての容積を確保しながら、腕や手を通して持ち易い大きさとなり、使い勝手が良い。
【実施例2】
【0035】
本発明の具体的な実施例2について図面に基づいて説明する。
【0036】
本実施例は、図8に図示したように腕通し用開口部2若しくは手入れ用開口部の開口縁部に、内側に折り返し縫着処理されて折り返し縁部5(襠部)が設けられた場合である。
【0037】
この折り返し縁部5は、図9,10に図示したように布製シート体1の重合上縁左右部S3を縫着した後、この重合上縁左右部S3を内側へ折り返して縫着することで設けられる(図9及び10中の(c),(d)参照)。尚、図10は、2枚の正方形の布製シート体1で構成した場合であり、重合下縁部S5を縫着することで底部が形成される。
【0038】
この折り返し縁部5を設けることで、把手4に強度が出て握り易く、腕通し用開口部2若しくは手入れ用開口部に腕(肩)や手を入れ易く、肩掛けした際にも厚みがあって痛くないなど作用効果が発揮される。
【0039】
その余は実施例1と同様である。
【0040】
尚、本発明は、実施例1,2に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。
【符号の説明】
【0041】
1 布製シート体
2 腕通し用開口部
3 物入れ用開口部
5 折り返し縁部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10