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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-14
(45)【発行日】2022-02-15
(54)【発明の名称】回転圧入杭
(51)【国際特許分類】
   E02D 5/56 20060101AFI20220207BHJP
   E02D 5/28 20060101ALI20220207BHJP
【FI】
E02D5/56
E02D5/28
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021089644
(22)【出願日】2021-05-27
【審査請求日】2021-06-07
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】596164652
【氏名又は名称】太洋基礎工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000604
【氏名又は名称】特許業務法人 共立
(72)【発明者】
【氏名】加藤 行正
(72)【発明者】
【氏名】土屋 敦雄
【審査官】荒井 良子
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-176438(JP,A)
【文献】特開2007-032018(JP,A)
【文献】特開2001-317049(JP,A)
【文献】特開2006-266033(JP,A)
【文献】特開2001-073362(JP,A)
【文献】特開2004-100261(JP,A)
【文献】特開2015-148048(JP,A)
【文献】特開2013-256791(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 5/22-5/80
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向に沿って伸びる杭本体と、
前記杭本体の先端部に前記杭本体と同軸に配された筒状を有する外筒と、
前記杭本体の先端部の外周面と前記外筒の内周面とを接続するとともに、前記軸方向に対して傾斜して延在する板状の杭支持板と、
前記杭本体の外周面と前記外筒の内周面とを接続するとともに、前記杭支持板の後端部から間隔を隔てた位置で前記杭本体の径方向に沿って伸びる外筒支持板と、
を備え、回転しながら地盤に貫入し、地盤中に埋設されることを特徴とする回転圧入杭。
【請求項2】
前記杭支持板は、方形の帯状を有し、その長手方向が前記杭本体の径方向に沿って延在し、かつ回転圧入杭の回転方向の先端側の端部が後端側の端部よりも前記杭本体の先端側に位置している請求項1に記載の回転圧入杭。
【請求項3】
前記杭支持板は、前記回転方向の先端側の端部が、前記外筒の先端から突出している請求項2に記載の回転圧入杭。
【請求項4】
前記杭支持板は、前記杭本体の周方向に沿って複数が配される請求項2~3のいずれか1項に記載の回転圧入杭。
【請求項5】
前記杭支持板は、前記杭本体の外周面に沿ってらせん状に伸びる板状を有する請求項1に記載の回転圧入杭。
【請求項6】
前記杭支持板は、前記回転圧入杭の回転方向の先端側の端部が、前記外筒の先端から突出している請求項5に記載の回転圧入杭。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地盤上などに構造物を建造する場合等に用いる回転圧入杭に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、住宅等の構造物の建設において、浅い基礎では構造物を支えることができない場合に、地盤深くの支持層に先端が到達するまで基礎杭を打ち込み、打ち込まれた基礎杭で構造物を支えている。基礎杭は、主として杭の先端に上向きに働く先端支持力によって荷重(構造物による荷重)を支える。基礎杭は、看板基礎杭、街路灯基礎杭、風力発電基礎杭等の基礎杭にも用いることができる(すなわち、構造物は杭状の構造物を含む)。この基礎杭としては、例えば特許文献1に記載の回転圧入杭がある。
【0003】
特許文献1には、杭先端部に螺旋形状等の鋼板等で加工された杭支持板を有する回転圧入杭において、杭支持板の外周に接して、その外周形状に合致するよう曲げ加工された支持板外周鋼板を、当該杭支持板の上下両方向に突出させて設けた回転圧入杭が開示されている。
【0004】
従来の回転圧入杭は、回転圧入工法で地盤に貫入され、埋設されている。回転圧入工法は、回転圧入杭の先端支持力を最大限発揮させることを目的に、支持地盤まで回転圧入により無振動、無騒音、無排土にて杭を建て込む工法である。
【0005】
しかし、従来の回転圧入杭は、多大な支持力を期待するには、螺旋状の杭支持板の径を大きくすることが必要となってくるが、杭支持板の径を大きくすると、杭支持板自体にたわみが生じて所定の支持力を得られないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2000-352047号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたもので、構造物の荷重に耐え、構造物の沈下を抑制する回転圧入杭を提供することを解決すべき課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決する本発明の回転圧入杭は、軸方向に沿って伸びる杭本体と、前記杭本体の先端部に前記杭本体と同軸に配された筒状を有する外筒と、前記杭本体の先端部の外周面と前記外筒の内周面とを接続するとともに、前記軸方向に対して傾斜して延在する板状の杭支持板と、前記杭本体の外周面と前記外筒の内周面とを接続するとともに、前記杭支持板の後端部から間隔を隔てた位置で前記杭本体の径方向に沿って伸びる外筒支持板と、を備え、回転しながら地盤に貫入し、地盤中に埋設されることを特徴とする。
【0009】
本発明の回転圧入杭は、杭支持板が軸方向に対して傾斜して延在しており、回転圧入工法により地盤に貫入・埋設できる。そして、杭支持板が杭本体の外周面と外筒の内周面とを接続するように形成されることで、杭支持板の変形が抑えられる。その結果、杭支持板の径が大きくなった場合でも、たわみ変形を生じることなく杭支持板の大きな面積で支持力を受けることができる。すなわち、本発明の回転圧入杭は、大きな先端支持力で構造物を支持できる。
【0010】
本発明の回転圧入杭は、杭支持板が、方形の帯状を有し、その長手方向が径方向に沿って延在し、かつ回転圧入杭の回転方向の先端側の端部が後端側の端部よりも先端側に位置していることが好ましい。
【0011】
本発明の回転圧入杭は、支持板が、前記杭本体の外周面に沿ってらせん状に伸びる板状を有することが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施形態1の回転圧入杭1の外見を示す側面図である。
図2】実施形態1の回転圧入杭1の構成を示す下面図である。
図3】実施形態1の回転圧入杭1の構成を示す部分断面図である。
図4】実施形態2の回転圧入杭1の外見を示す下面図である。
図5】実施形態3の回転圧入杭1の外見を示す側面図である。
図6】実施形態3の回転圧入杭1の構成を示す部分断面図である。
図7参考形態の回転圧入杭1の外見を示す側面図である。
図8】変形形態1の回転圧入杭1の第1の構成を示す下面図である。
図9】変形形態1の回転圧入杭1の第1の構成を示す側面図である。
図10】変形形態1の回転圧入杭1の第2の構成を示す部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、実施の形態を用いて本発明を具体的に説明する。なお、以下の各実施形態は、本発明を具体的に実施する1つの形態であり、本発明をこれらの形態のみに限定するものではない。すなわち、各形態の構成を適宜組み合わせてもよい。また、実施形態において特に言及されない構成や材料は、従来の回転圧入杭と同様の構成や材料を用いることができる。そして、以下の各実施形態においては、同様の機能を有する部材には、同じ参照符号を付与している。
【0014】
以下の各形態において、先端方向、基端方向、周方向、径方向等の方向は、特に言及しない限り回転圧入杭1の杭本体2での方向を示す。例えば、先端方向とは、回転圧入杭1の地盤に貫入される端部に向かう方向を示す(例えば、図1で下向きの方向を示す)。基端方向は、先端に背向する方向を示す(例えば、図1の上向きの方向を示す)。
【0015】
[実施形態1]
本形態の回転圧入杭1は、杭本体2、外筒3、杭支持板4、外筒支持板5、を一体に有する。本形態の回転圧入杭1は、図1図3にその構成を具体的に示す。図1は回転圧入杭1の外見を示す側面図(径方向外方から見た図)である。図2は回転圧入杭1の下面図(先端側から見た図)である。図3は回転圧入杭1の構成を示す部分断面図である。
【0016】
杭本体2は、軸方向に沿って伸びる部材である。杭本体2は、パイプ状(中空)又は柱状(中実)の部材よりなる。杭本体2は、その外周形状(軸方向に垂直な面での外周形状)が限定されない。本形態の杭本体2は、先端が閉塞した中空鋼製の円筒状のパイプよりなる。
【0017】
外筒3は、杭本体2の先端部に、杭本体2と同軸に配された筒状を有する部材である。外筒3は、杭本体2の外径よりもその内径が大きな筒状の部材である。本形態の外筒3は、中空鋼製の円筒状のパイプよりなる。外筒3の内周面と、杭本体2の外周面との間隔の長さは限定されない。間隔が長くなるほど、支持層との接触面積が大きくなり、回転圧入杭1の支持力が大きくなる。外筒3の内周面と杭本体2の外周面との間隔は、杭本体2の外径より大きいことが好ましい。
【0018】
外筒3の軸方向長さは限定されない。杭支持板4及び外筒支持板5を設けることができる長さであればよい。
外筒3は、先端側の端面が、杭本体2の先端側の端面よりもわずかに基端側にズレた位置に配置されている。すなわち、杭本体2の先端側の端面は、外筒3の先端側の端面よりも突出している。
【0019】
杭支持板4は、杭本体2の先端部の外周面と外筒3の内周面とを接続する。杭支持板4は、軸方向に対して傾斜して延在する板状の部材である。杭支持板4は、その幅が一定の帯状の形状を有する。杭支持板4は、帯状の長手方向が径方向に沿って配置されている。そして、帯状の幅方向の一方の端部40が他方の端部41より先端側に位置している。すなわち、帯状の杭支持板4は、その幅方向が、軸方向に垂直な面に対して傾斜している。帯状の杭支持板4の幅方向の一方の端部40は、回転圧入杭1を地盤に貫入するように回転したときに(図2中の回転方向)、回転方向の進行方向側に位置する端部である。
【0020】
杭支持板4は、図3に示すように、一方の端部40が杭本体2の先端側の端部よりも突出して設けられている。このとき、突出量は限定されない。
本形態では、2枚の杭支持板4が、杭本体2を中心に周方向で対称な位置に設けられている。
【0021】
外筒支持板5は、杭支持板4よりも基端側の位置で、杭本体2の外周面と外筒3の内周面とを接続する板状の部材である。外筒支持板5は、径方向に沿って伸びた状態で設けられている。本形態の外筒支持板5は、外筒3の基端側の端部の近傍に設けられた、断面方形状(断面長方形状)の帯状(棒状)の部材である。すなわち、厚さ及び幅が一定の帯板形状の部材である。本形態の外筒支持板5は、断面長方形状の長手方向が軸方向に沿った状態で設けられている。本形態では、4枚の外筒支持板5が、杭本体2を中心に周方向で対称な位置に設けられている。
【0022】
なお、本形態の外筒支持板5は幅が一定の帯板形状であるが、この形状に限定されない。例えば、断面長方形状の断面積が径方向での位置により変化する形状、具体的には、杭本体2の外周面との接続部の面積が外筒3の内周面との接続部の面積よりも大きな形状としてもよい。
【0023】
(本形態の使用方法)
本形態の回転圧入杭1は、従来の施工方法を用いて地盤に圧入することができる。例えば、以下のように地盤(地表面が軟弱な地盤)に圧入できる。
【0024】
まず、本形態の回転圧入杭1をクレーンで吊るして掘削地盤中にセットする。
次に、掘削地盤中にセットした回転圧入杭1の基端部(杭本体2の上端部)を外部に晒した状態にして、地盤を埋め戻す。
【0025】
そして、回転圧入杭1の上端部に、上杭を溶接して取り付ける。その後、上杭の上端にオーガモータを取り付ける。オーガモータを回転し、その回転力により回転圧入杭1を地盤中で回転させながら、回転圧入杭1及び上杭を地盤中に下降させていく。ここで、オーガモータの回転は、杭本体2(回転圧入杭1)を時計回りに回転する。回転圧入杭1が回転すると、杭支持板4の一方の端部40が地盤に食い込んでいき、回転圧入杭1の下方側の軟弱な地盤(土砂等)を上方側に案内するとともに、回転圧入杭1が地盤中に貫入(圧入)していく。
【0026】
そして、回転圧入杭1の先端が地耐力のある比較的硬い地盤層に到達すると、オーガモータの回転が所定のトルク値に達する。この所定のトルク値に達した時に、回転圧入杭1の回転による施工が終了する。このとき、回転圧入杭1の先端(特に、杭支持板4の先端側の表面)は、比較的硬い地盤層に当接して地盤に埋設した状態(比較的硬い地盤層が回転圧入杭1を支持する状態)となっている。すなわち、軸方向に対して傾斜した杭支持板4の先端側の表面が比較的硬い地盤層に広い面積で当接した状態となっている。
その後、回転圧入杭1の基端(上端)の上に構造物を建造する。
【0027】
(本形態の効果)
本形態の回転圧入杭1は、軸方向に沿って伸びる杭本体2、杭本体2の先端部に杭本体2と同軸に配された筒状を有する外筒3と、杭本体2の先端部の外周面と外筒3の内周面とを接続するとともに、軸方向に対して傾斜して延在する板状の杭支持板4、を備えている。
【0028】
この構成によると、本形態の回転圧入杭1は、杭支持板4の変形による支持力の低下が抑えられている。詳しくは、本形態の回転圧入杭1は、杭支持板4が杭本体2の外周面と外筒3の内周面とを接続した状態で設けられており、回転圧入杭1を回転しながら圧入するときに、杭支持板4がたわみ等の変形を生じようとしても、その変形が抑えられている。この結果、本形態の回転圧入杭1は、杭支持板4が変形することなく比較的硬い地盤層に当接することができ、所望の支持力を得ることができる。
【0029】
加えて、本形態の回転圧入杭1は、杭支持板4がたわみ等の変形を生じることが抑えられており、杭支持板4の面積(比較的硬い地盤層に当接する面積)を大きくすることができ、そのことにより、より大きな荷重を回転圧入杭1に加わっても、その荷重を比較的硬い地盤層に支持させることができる。
【0030】
本形態の回転圧入杭1は、杭支持板4が、方形の帯状を有し、その長手方向が径方向に沿って延在し、かつ回転圧入杭1の回転方向の先端側の端部(杭支持板4の一方の端部40)が後端側の端部(杭支持板4の他方の端部41)よりも先端側に位置している。この構成によると、回転圧入杭1が回転すると、杭支持板4の一方の端部40が地盤に食い込むようになり、回転圧入杭1の下方側の地盤(土砂等)を上方側に案内することができる。
【0031】
本形態の回転圧入杭1は、杭支持板4が、回転方向の先端側の端部(杭支持板4の一方の端部40)が、外筒3の先端から突出している。この構成によると、回転圧入杭1を回転しながら圧入したときに、回転圧入杭1が地盤(地表面が軟弱な地盤)に圧入される。
【0032】
[実施形態2]
本形態の回転圧入杭1は、杭支持板4の数が異なること以外は、実施形態1と同様な回転圧入杭1である。
【0033】
本形態の回転圧入杭1は、図4に下面図で示すように、4枚の杭支持板4を有している。本形態での杭支持板4は、上面視で略扇状の形状を有する。杭支持板4は、略扇状の周方向の一方の端部40が他方の端部41より先端側に位置している。すなわち、杭支持板4の底面(先端側に向いている面)及び上面(基端側に向いている面)が、いずれも、軸方向に対して傾斜した状態でもうけられている。略扇状の杭支持板4の一方の端部40は、回転圧入杭1を地盤に貫入するように回転したときに、回転方向の進行方向側に位置する端部である。
【0034】
本形態では、4枚の杭支持板4が、杭本体2を中心に周方向で対称な位置に設けられている。本形態では、図4に示したように、回転圧入杭1を先端側から見たときに、杭本体2の外周面と外筒3の内周面との間の空間が、いずれかの杭支持板4で透視できないようになっている。
【0035】
なお、本形態では、4枚の杭支持板4が重ならない位置に設けられているが、周方向で隣接する2枚の杭支持板4が、周方向で重なる位置に設けられていてもよい。具体的には、杭支持板4の一方の端部40が、隣接する別の杭支持板4の他方の端部41の先端側に位置するように設けられていてもよい。
【0036】
(本形態の効果)
本形態の回転圧入杭1は、杭支持板4の数が異なること以外は実施形態1の回転圧入杭1と同様な構成であり、実施形態1と同様な効果を発揮する。
【0037】
本形態の回転圧入杭1は、4枚の杭支持板4により、軸方向に貫通した空間が存在しない構成となっている。この構成によると、本形態の回転圧入杭1は、外筒3の内部の全面で比較的硬い地盤層に杭支持板4が当接することとなり、より大きな支持力を得ることができる。
【0038】
[実施形態3]
本形態の回転圧入杭1は、図5図6にその構成を示すように、杭本体2、外筒3、杭支持板6、を一体に有する。図5は回転圧入杭1の外見を示す側面図である。図6は回転圧入杭1の構成を示す部分断面図である。
本形態において、杭本体2及び外筒3は、実施形態1と同様な構成である。
【0039】
杭支持板6は、杭本体2の外周面と外筒3の内周面とを接続する。杭支持板6は、所定の幅(杭本体2の先端部の外周面と外筒3の内周面との間隔)の板状の部材が、らせん形状をなすように設けられている。本形態の杭支持板6は、杭本体2の外周を略2周するらせん形状をなしている。杭支持板6は、その先端側の端部60が実施形態1の杭支持板4の傾斜方向と同様の方向を向いた状態で形成されている。
【0040】
杭支持板6は、実施形態1と同様に、先端側の端部60が杭本体2の先端側の端部よりも突出して設けられている。この場合、突出量は限定されない。
【0041】
(本形態の効果)
本形態の回転圧入杭1は、杭支持板6の形状が異なること以外は実施形態1の回転圧入杭1と同様な構成であり、実施形態1と同様な効果を発揮する。
【0042】
本形態の回転圧入杭1は、回転圧入杭1が回転すると、らせん形状の杭支持板6の先端側の端部60が地盤に食い込むように貫入し、回転圧入杭1の下方側の地盤を構成する土砂等を杭支持板6の上方側に連続的に案内する。すなわち、本形態の回転圧入杭1は、地盤に対し、連続的に穿孔しながら貫入できる。
【0043】
本形態の回転圧入杭1は、らせん状の杭支持板6により、軸方向に貫通した空間が存在しない構成となっている。この構成によると、本形態の回転圧入杭1は、外筒3の内部の全面で比較的硬い地盤層に杭支持板4が変形することなく当接することができ、より大きな支持力を得ることができる。
【0044】
参考形態
本形態の回転圧入杭1は、杭支持板6の形状(具体的には、軸方向の長さ)が異なること以外は、実施形態3と同様な回転圧入杭1である。
【0045】
本形態の回転圧入杭1は、図7に部分断面図でその構成を示すように、杭支持板6の先端側の端部60及び基端側の端部61が、いずれも外筒3の端部から突出している。すなわち、杭支持板6の先端側の端部60が、外筒3の先端側の端部から突出している。杭支持板6の基端側の端部61が、外筒3の基端側の端部から突出している。
【0046】
(本形態の効果)
本形態の回転圧入杭1は、杭支持板6の形状が異なること以外は実施形態3の回転圧入杭1と同様な構成であり、実施形態3と同様な効果を発揮する。
【0047】
本形態の回転圧入杭1は、杭支持板6の基端側の端部61が、外筒3の基端側の端部から突出しており、回転圧入杭1の下方側の地盤を構成する土砂等を外筒3の上方側に連続的に案内・排出する。すなわち、外筒3の内部で土砂等が詰まることが抑えられ、より簡単かつ確実に、回転圧入杭1を地盤に貫入できる。
【0048】
[変形形態1]
上記の各形態のそれぞれは、外筒3の外周面に、径方向外方に突出する外周羽7(70,71)を設けていても良い。
【0049】
本変形形態の一例は、実施形態1の回転圧入杭1に、さらに外周羽70を設けた形態である。外周羽70は、図8に側面図で、図9に下面図でそれぞれ示したように、軸方向に対して傾斜した平板形状で設けられる。この傾斜は、回転方向の先方側が先端方向に位置するように傾斜している。外周羽70は、実施形態1の杭支持板4が外筒3を貫通した形状をなすように形成されている。
【0050】
本変形形態の別の一例は、実施形態3の回転圧入杭1に、さらに外周羽71を設けた形態である。外周羽71は、図10に部分断面図で示したように、外筒3の外周面に沿ったらせん形状をなすように設けられる。この外周羽71は、実施形態3の杭支持板6が外筒3を貫通した形状をなすように形成されている。
【0051】
外周羽7(70,71)は、外筒3の外周面からの突出量は限定されない。杭支持板4又は杭支持板6の径方向長さ(すなわち、杭本体2の外周面と外筒3の内周面の距離)の50%以下であることが好ましい。
【0052】
外周羽7は、回転圧入杭1が回転するときに、回転圧入杭1の下方側の地盤(土砂等)を、外筒3の外周で上方側に連続的に案内することができる。この結果、回転圧入杭1が回転して圧入するときに受ける摩擦力を低減できる。
【0053】
[変形形態2]
上記の各形態のそれぞれは、外筒3に、内部と外部を貫通する貫通孔が開口していてもよい。
【0054】
本変形形態の一例は、実施形態1の回転圧入杭1に、さらに貫通孔が開口した形態である。貫通孔は、外筒3の杭支持板4が形成された位置よりも基端側に、設けられている。
【0055】
貫通孔は、その開口径状が限定されない。円形形状であることが好ましい。また、貫通孔の開口径についても限定されないが、開口径が大きくなるほど外筒3の強度が低下するため、過剰に大きくない方が好ましい。
【0056】
貫通孔は、回転圧入杭1が回転するときに、外筒3の内部に案内された回転圧入杭1の下方側の地盤(土砂等)を、外筒3の外部に排出することができ、外筒支持板5が土砂等で損傷したり、外筒3の内部が詰まったりすることが抑えられる。
【符号の説明】
【0057】
1:回転圧入杭、2:杭本体、3:外筒、4,6:杭支持板、5:外筒支持板、7,70,71:外周羽。
【要約】
【課題】構造物の荷重に耐え、構造物の沈下を抑制する回転圧入杭を提供すること。
【解決手段】本発明の回転圧入杭1は、軸方向に沿って伸びる杭本体2と、杭本体2の先端部に杭本体2と同軸に配された筒状を有する外筒3と、杭本体2の先端部の外周面と外筒3の内周面とを接続するとともに、軸方向に対して傾斜して延在する板状の杭支持板4と、を備え、回転しながら地盤に貫入し、地盤中に埋設されることを特徴とする。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10