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特許6993777車載器、走行道路判定システム、走行道路判定方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-14
(45)【発行日】2022-01-14
(54)【発明の名称】車載器、走行道路判定システム、走行道路判定方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/28 20060101AFI20220106BHJP
   G08G 1/0969 20060101ALI20220106BHJP
【FI】
G01C21/28
G08G1/0969
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2016246838
(22)【出願日】2016-12-20
(65)【公開番号】P2018100893
(43)【公開日】2018-06-28
【審査請求日】2019-08-23
(73)【特許権者】
【識別番号】309036221
【氏名又は名称】三菱重工機械システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100210572
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 太一
(74)【代理人】
【識別番号】100134544
【弁理士】
【氏名又は名称】森 隆一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100108578
【氏名又は名称】高橋 詔男
(74)【代理人】
【識別番号】100126893
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 哲男
(72)【発明者】
【氏名】今村 晋輔
【審査官】白石 剛史
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-002595(JP,A)
【文献】特開2012-168098(JP,A)
【文献】特開2009-014628(JP,A)
【文献】特開2009-129281(JP,A)
【文献】特開平07-181543(JP,A)
【文献】特許第4740833(JP,B2)
【文献】特開2005-121050(JP,A)
【文献】特開2003-198904(JP,A)
【文献】特開2003-109172(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/28
G08G 1/0969
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部から受信した信号に基づいて、走行する車両が所定のイベントポイントの周囲に位置する複数の道路を含む検出範囲に位置しているか否かを判定する車両位置判定部と、
前記車両が前記検出範囲に位置していると判定されている間、前記信号を受信する度に前記車両に搭載されたカメラによって撮影された複数の走行道路画像を取得する画像取得部と、
前記走行道路画像を取得する度に、前記検出範囲に含まれる道路から撮影された参照画像と、複数の前記走行道路画像とに基づいて、前記車両が走行している道路を判定する走行道路判定部と、
を備える車載器。
【請求項2】
前記検出範囲別に複数の参照画像を記憶する参照画像記憶部を更に備え、
前記走行道路判定部は、前記検出範囲の周辺環境に応じて、複数の前記参照画像のうち少なくとも一つの参照画像を抽出し、抽出した参照画像と、前記走行道路画像とに基づいて、前記車両が走行している道路を判定する、
請求項1に記載の車載器。
【請求項3】
衛星からの信号を受信する衛星信号受信部を更に備え、
前記車両位置判定部は、前記衛星からの信号に基づいて、前記車両が前記検出範囲に位置しているか否かを判定する、
請求項1又は2に記載の車載器。
【請求項4】
外部から受信した信号に基づいて、走行する車両が所定のイベントポイントの周囲に位置する複数の道路を含む検出範囲に位置しているか否かを判定する車両位置判定部と、
前記車両が前記検出範囲に位置していると判定されている間、前記信号を受信する度に前記車両に搭載されたカメラによって撮影された複数の走行道路画像を取得する画像取得部と、
前記走行道路画像を取得する度に、前記検出範囲に含まれる道路から撮影された参照画像と、複数の前記走行道路画像とに基づいて、前記車両が走行している道路を判定する走行道路判定部と、
を備える走行道路判定システム。
【請求項5】
前記カメラによって撮影される前記走行道路画像の撮影領域に収まるように設けられたマークを更に備える、
請求項4に記載の走行道路判定システム。
【請求項6】
外部から受信した信号に基づいて、走行する車両が所定のイベントポイントの周囲に位置する複数の道路を含む検出範囲に位置しているか否かを判定する車両位置判定ステップと、
前記車両が前記検出範囲に位置していると判定されている間、前記信号を受信する度に前記車両に搭載されたカメラによって撮影された複数の走行道路画像を取得する画像取得ステップと、
前記走行道路画像を取得する度に、前記検出範囲に含まれる道路から撮影された参照画像と、複数の前記走行道路画像とに基づいて、前記車両が走行している道路を判定する走行道路判定ステップと、
を有する走行道路判定方法。
【請求項7】
車載器のコンピュータを、
外部から受信した信号に基づいて、走行する車両が所定のイベントポイントの周囲に位置する複数の道路を含む検出範囲に位置しているか否かを判定する車両位置判定部、
前記車両が前記検出範囲に位置していると判定されている間、前記信号を受信する度に前記車両に搭載されたカメラによって撮影された複数の走行道路画像を取得する画像取得部、
前記走行道路画像を取得する度に、前記検出範囲に含まれる道路から撮影された参照画像と、複数の前記走行道路画像とに基づいて、前記車両が走行している道路を判定する走行道路判定部、
として機能させるプログラム。
【請求項8】
前記走行道路判定部により判定された前記車両の走行道路に基づいて当該車両の違反の有無を検出するサーバを更に備え、
前記走行道路判定部は、前記参照画像に含まれる撮影方向を示す情報に基づいて、前記走行道路における前記車両の進行方向を更に判定し、
前記サーバは、前記走行道路の規則に反する走行を行った場合に、当該車両から罰金を徴収する処理を行う、
請求項4又は5に記載の走行道路判定システム。
【請求項9】
前記サーバは、前記車両の車種を更に取得し、当該車両の車種が前記走行道路を通行可能な車種ではない場合に、当該車両から罰金を徴収する処理を更に行う、
請求項8に記載の走行道路判定システム。
【請求項10】
前記走行道路判定部により前記車両が予め規定された道路を走行していると判定された場合、当該車両の通行料金の課金を行うサーバを更に備える、
請求項4又は5に記載の走行道路判定システム。
【請求項11】
前記走行道路判定部は、前記車両が予め規定された施設に立ち寄ったか否かを更に判定し、
前記サーバは、前記車両が有料道路を一時退出して前記施設に立ち寄った場合に、前記車両の通行料金を割引する処理を行う、
請求項10に記載の走行道路判定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載器、走行道路判定システム、走行道路判定方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
有料道路、有料エリアを走行する車両に対して通行料金を課金する際に、サーバにおいて車両別の走行地点情報を収集して車両が走行した経路を特定し、経路に応じた通行料金を車両に課金するシステムが検討されている。このようなシステムでは、正しく課金を行うために、例えば分岐、複数の道路が隣接している等の場所であっても、車両がどの道路を走行しているかを正確に特定する技術が求められている。
例えば、特許文献1には、車両からの風景を撮影した撮影画像と、撮影位置及び撮影方位の情報を含む参照画像とマッチングを行うことにより、車両の走行位置を検出する位置検出システムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-215052号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の位置検出システムでは、全ての道路において車両の走行位置を検出するために予め多数の参照画像を用意する必要があるので、システムを構築するためのコストが大きくなる。
また、車両の走行中に逐次、撮影画像を取得するとともに、撮影画像と参照画像とのマッチング処理を行う必要がある。このため、このような位置検出システムでは、車両の位置を決定するための処理量が膨大となり、車載器の処理速度が低下する可能性がある。
【0005】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものあって、車両が走行している道路を判定する処理を低負荷で行うことができる車載器、走行道路判定システム、走行道路判定方法、及びプログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明は以下の手段を採用している。
本発明の第一の態様によれば、車載器は、外部から受信した信号に基づいて、走行する車両が所定のイベントポイントを含む検出範囲に位置しているか否かを判定する車両位置判定部(131)と、前記車両が前記検出範囲に位置していると判定された場合、前記車両に搭載されたカメラ(11)によって撮影された走行道路画像を取得する画像取得部(132)と、前記検出範囲に含まれる道路から撮影された参照画像と、前記走行道路画像とに基づいて、前記車両が走行している道路を判定する走行道路判定部(134)と、を備える。
このようにすることで、車載器は、分岐、複数の道路が隣接している地点等にイベントポイントを設定することにより、車両が当該イベントポイントを含む検出範囲において、どの道路を走行しているかを、走行道路画像と参照画像とに基づいて判定することができる。また、走行道路判定部は、検出範囲においてのみ走行道路画像と参照画像とに基づく判定を行うため、走行道路を判定する処理に要する負荷を低減することができる。
【0007】
本発明の第二の態様によれば、上述の態様に係る車載器は、前記検出範囲別に複数の参照画像を記憶する参照画像記憶部(140)を更に備え、前記走行道路判定部は、前記検出範囲の周辺環境に応じて、複数の前記参照画像のうち少なくとも一つの参照画像を抽出し、抽出した参照画像と、前記走行道路画像とに基づいて、前記車両が走行している道路を判定する。
このようにすることで、走行道路判定部は、例えば日時、天候等の周辺環境に応じて検出範囲内における道路から見える風景が変化する場合であっても、複数の参照画像のうち、周辺環境に近い環境下で撮影された参照画像に基づいて、走行道路を判定することができる。これにより、走行道路判定部が走行道路を判定する処理の精度を向上させることができる。
【0008】
本発明の第三の態様によれば、上述の何れか一の態様に係る車載器は、衛星からの信号を受信する衛星信号受信部(110)を更に備え、前記車両位置判定部は、前記衛星からの信号に基づいて、前記車両が前記検出範囲に位置しているか否かを判定する。
このようにすることで、車両位置判定部は、周期的に取得する衛星からの信号に基づいて、車両が検出範囲に位置しているか否かを常に高い精度で判定することができる。
【0009】
本発明の第四の態様によれば、走行道路判定システムは、外部から受信した信号に基づいて、走行する車両が所定のイベントポイントを含む検出範囲に位置しているか否かを判定する車両位置判定部と、前記車両が前記検出範囲に位置していると判定された場合、前記車両に搭載されたカメラによって撮影された走行道路画像を取得する画像取得部と、前記検出範囲に含まれる道路から撮影された参照画像と、前記走行道路画像とに基づいて、前記車両が走行している道路を判定する走行道路判定部と、を備える。
このようにすることで、車載器は、分岐、複数の道路が隣接している地点等にイベントポイントを設定することにより、車両が当該イベントポイントを含む検出範囲において、どの道路を走行しているかを、走行道路画像と参照画像とに基づいて判定することができる。また、走行道路判定部は、検出範囲においてのみ走行道路画像と参照画像とに基づく判定を行うため、走行道路を判定する処理に要する負荷を低減することができる。
【0010】
本発明の第五の態様によれば、上述の態様に係る走行道路判定システムは、前記カメラによって撮影される前記走行道路画像の撮影領域に収まるように設けられたマーク(220)を更に備える。
このようにすることで、走行道路画像に目印となるマークが含まれるので、走行道路判定部により車両がどの道路を走行しているか判定する精度を向上させることができる。
【0011】
本発明の第六の態様によれば、走行道路判定方法は、外部から受信した信号に基づいて、走行する車両が所定のイベントポイントを含む検出範囲に位置しているか否かを判定する車両位置判定ステップと、前記車両が前記検出範囲に位置していると判定された場合、前記車両に搭載されたカメラによって撮影された走行道路画像を取得する画像取得ステップと、前記検出範囲に含まれる道路から撮影された参照画像と、前記走行道路画像とに基づいて、前記車両が走行している道路を判定する走行道路判定ステップと、を有する。
【0012】
本発明の第七の態様によれば、プログラムは、車載器のコンピュータを、外部から受信した信号に基づいて、走行する車両が所定のイベントポイントを含む検出範囲に位置しているか否かを判定する車両位置判定部、前記車両が前記検出範囲に位置していると判定された場合、前記車両に搭載されたカメラによって撮影された走行道路画像を取得する画像取得部、前記検出範囲に含まれる道路から撮影された参照画像と、前記走行道路画像とに基づいて、前記車両が走行している道路を判定する走行道路判定部、として機能させる。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る車載器、走行道路判定システム、走行道路判定方法、及びプログラムによれば、車両が走行している道路を判定する処理を低負荷で行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態に係る走行道路判定システムの概略図である。
図2】本発明の一実施形態に係る走行道路判定システムの機能構成を示す図である。
図3】本発明の一実施形態に係る走行道路画像の例を示す図である。
図4】本発明の一実施形態に係る車載器の処理フローを示す図である。
図5】本発明の一実施形態に係る車載器のハードウェア構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態に係る走行道路判定システム1について、図1図5を参照しながら説明する。
【0016】
(全体構成)
図1は、本発明の一実施形態に係る走行道路判定システムの概略図である。
図1に示すように、本実施形態に係る走行道路判定システム1は、車載器10と、路側装置20と、を備えている。
【0017】
車載器10は、車両Aに搭載され、車両Aが走行している道路(以下、走行道路)を判定するための装置である。車載器10の詳細については後述する。
【0018】
路側装置20は、所定のイベントポイントに設置され、車載器10が車両Aの走行道路を判定するための支援を行う装置である。路側装置20の詳細については後述する。
イベントポイントとは、車載器10が車両Aの走行道路を判定する地点を示す。例えば、イベントポイントは、トンネルの前後、分岐、一般道路と並走している有料道路上の地点等、車載器10が走行道路を誤認識し易い地点に設定される。また、イベントポイントは、車両Aがどの地点から有料道路に進入し、どの地点から有料道路を退出したかを特定するために、有料道路の出入り口等に設定される。
【0019】
(車載器の機能構成)
図2は、本発明の一実施形態に係る走行道路判定システムの機能構成を示す図である。
図2に示すように、車載器10は、衛星信号受信部110と、無線通信部120と、CPU130と、参照画像記憶部140と、検出範囲記憶部150と、を備えている。
【0020】
衛星信号受信部110は、GNSS(全地球航行衛星システム:Global Navigation Satellite System)を構成する衛星から、車両Aの位置情報(緯度、経度)を検出可能な衛星信号を受信する。衛星信号には、現在の日時を検出可能な信号が含まれていてもよい。
【0021】
無線通信部120は、インターネット等のネットワークNWを介して情報の送受信を行う。
【0022】
CPU130は、車両位置判定部131と、画像取得部132と、周辺情報取得部133と、走行道路判定部134と、走行地点情報送信部135と、を有している。
【0023】
車両位置判定部131は、衛星信号を受信する度に、受信した信号に基づいて、車両Aの位置情報(緯度、経度)を取得して、車両Aがイベントポイントを含む検出範囲に位置しているか否かを判定する。
検出範囲とは、イベントポイントの周囲の道路を含む所定の領域(例えば、イベントポイントから半径50mの領域)である。
衛星信号に基づいて取得した位置情報には、誤差が含まれる。このため、車両位置判定部131が衛星信号に基づいて車両Aの位置情報を取得した場合、車両Aが実際に走行している道路(例えば図1の道路S1)ではなく、隣接する道路(例えば図1の道路S2)を示す位置情報を取得する可能性がある。このような誤差による誤判定を防ぐため、本実施形態では、検出範囲にイベントポイントの周囲の道路が含まれるように、イベントポイントに対して広い領域を有する検出範囲を設定している。
具体的には、例えば、図1に示すように、イベントポイントが、道路S1と道路S2とに分岐する地点に設定されている場合、分岐の前後の道路S1及び道路S2を含む所定の領域が検出範囲R1として設定される。また、イベントポイントは、道路S1上のトンネルに進入する前の地点、及び、トンネルから退出する地点等に設定されていてもよい。なお、検出範囲は、イベントポイントの周辺の環境(道路形状、衛星信号を遮蔽する建造物の有無等)に応じて、イベントポイント別に異なる範囲を設定するようにしてもよい。
また、本実施形態では、検出範囲記憶部150には、検出範囲が設定された領域(緯度、経度の範囲)と、検出範囲を特定可能な情報(検出範囲ID)とが関連付けられた検出範囲情報が予め記憶されている。
【0024】
図3は、本発明の一実施形態に係る走行道路画像の例を示す図である。
画像取得部132は、車両位置判定部131により車両Aが何れかの検出範囲に位置していると判定された場合、車両Aに搭載されたカメラ11によって撮影された走行道路画像D1(図3)を取得する。
カメラ11は、車両A周辺の所定の撮影範囲を撮影するカメラである。例えば、カメラ11は、車両Aの前面(進行方向を向く面)に取り付けられている。そして、カメラ11は、図3に示すように、車両Aの前方の風景を撮影して、走行道路画像D1として出力する。
なお、本実施形態では、画像取得部132は、車両位置判定部131により車両Aがイベントポイントを含む検出範囲に位置していると判定される度に、カメラ11に撮影を行う指令を出力して、走行道路画像D1を取得する。
【0025】
周辺情報取得部133は、車両位置判定部131が車両Aが位置すると判定した検出範囲の周辺環境に関する情報(周辺情報)を取得する。
周辺情報とは、例えば現在の日時、現在の天候等である。周辺情報取得部133は、衛星信号に含まれる時刻情報、又は、無線通信部120からネットワークNWを介して取得した時刻情報に基づいて、現在の日時を取得する。また、周辺情報取得部133は、無線通信部120を介して、ネットワークNWに接続された不図示の天候情報提供サーバから、現在の日時及び検出範囲における天候情報を取得する。
【0026】
走行道路判定部134は、車両Aが走行している走行道路を判定して、当該走行道路を特定可能な走行地点情報として走行地点情報送信部135へ出力する。
上述のように、車両位置判定部131が衛星信号に基づいて車両Aの位置情報を取得した場合、実際に車両Aが走行中の道路とは異なる道路を示す位置情報を取得してしまう可能性がある。このため、走行道路判定部134は、走行道路を判定する処理として、車両位置判定部131が取得した車両Aの位置情報を、参照画像記憶部140に予め記憶されている参照画像と、画像取得部132が取得した走行道路画像D1とに基づいて、正しい位置情報(走行道路)を示す走行地点情報(緯度、経度)に補正する処理を行う。
参照画像とは、検出範囲に含まれる道路から撮影された画像であり、検索範囲別に複数の参照画像が参照画像記憶部140に記憶されている。参照画像は、検出範囲を特定可能な情報(検出範囲ID)及び撮影を行った位置情報(緯度、経度、撮影を行った方向等の情報)と関連付けられている。本実施形態では、検出範囲に含まれる道路上の複数の位置から、複数の角度で撮影した画像が、参照画像として参照画像記憶部140に記憶されている。例えば、図1に示すように、道路S1と道路S2とが並走している検出範囲R1に関連付けられた参照画像として、道路S1の複数の位置及び角度から撮影された複数の参照画像と、道路S2の複数の位置及び角度から撮影された複数の参照画像とが、参照画像記憶部140に記憶されている。また、参照画像記憶部140には、更に季節、時間帯、天候別に撮影された複数の参照画像が記憶されている。
【0027】
走行地点情報送信部135は、走行道路判定部134が判定した車両Aの走行道路を特定可能な走行地点情報を、無線通信部120を介して不図示のサーバへ送信する。
【0028】
(路側装置の機能構成)
以下、図2を参照して本実施形態に係る路側装置の機能構成について説明する。
図2に示すように、路側装置20は、照明装置210と、マーク220と、を備えている。
【0029】
照明装置210は、夜間、雨天等の照度が低い環境下において、車両Aに搭載されたカメラ11が鮮明な走行道路画像を撮影できるように、検出範囲に向かって光を照射する。
【0030】
マーク220は、検出範囲においてカメラ11が撮影する撮影範囲に含まれる(走行道路画像に含まれる)位置に設けられる。マーク220は、道路標識とは異なる目印であり、走行道路を特定可能な特徴として設置される。
また、積雪等によりマーク220が見えなくなることを防止するため、マーク220は、天候による影響を受けにくい位置に設けられている。例えば、マーク220は、図1に示すように道路を跨いで設置されたガントリ上に取り付けられていてもよいし、有料道路等の側壁に取り付けられていてもよい。
なお、マーク220は、全ての検出範囲に設けられていてもよいし、検出範囲に走行道路を特定可能な目印(建物等)がある場合は、マーク220を省略してもよい。
【0031】
(車載器の処理フロー)
図4は、本発明の一実施形態に係る車載器の処理フローを示す図である。
以下、図3を参照して本実施形態に係る車載器10の処理フローについて説明する。
まず、車載器10の車両位置判定部131は衛星信号受信部110が受信した衛星信号を受信する(ステップS101)。
【0032】
次に、車両位置判定部131は、衛星信号を受信すると、受信した信号に基づいて車両Aの位置情報(緯度、経度)を取得するとともに、車両Aが検出範囲に位置しているか否かを判定する(ステップS102)。
車両位置判定部131は、車両Aの位置情報と、検出範囲記憶部150に記憶されている検出範囲情報とに基づいて、車両Aがどの検出範囲に位置しているか、又は、車両Aが何れの検出範囲にも位置していないかを判定する。
車両位置判定部131は、車両Aの位置情報が、例えば図1に示す検出範囲R1に含まれている場合、車両Aは検出範囲R1(図1)に位置していると判定して(ステップS102:YES)、ステップS103へ進む。
一方、車両位置判定部131は、車両Aの位置情報が、どの検出範囲にも含まれない場合、車両Aは検出範囲に位置していないと判定して(ステップS102:NO)、ステップS105へ進む。
【0033】
次に、画像取得部132は、車両位置判定部131により、車両Aが検出範囲R1(図1)に位置していると判定された場合(ステップS102:YES)、カメラ11に撮影を行う指令を出力して、走行道路画像D1を取得する(ステップS103)。
【0034】
次に、周辺情報取得部133は、検出範囲の周辺環境に関する周辺情報を取得する(ステップS104)。
【0035】
次に、走行道路判定部134は、車両位置判定部131により、車両Aが検出範囲R1(図1)に位置していると判定された場合(ステップS102:YES)、画像取得部132が取得した走行道路画像D1と、参照画像記憶部140に記憶されている参照画像とに基づいて、車両Aが走行している走行道路を判定する(ステップS105)。
走行道路判定部134は、まず、参照画像記憶部140に記憶されている複数の参照画像のうち、車両位置判定部131により車両Aが位置すると判定された検出範囲(検出範囲ID)、及び、周辺情報取得部133が取得した周辺情報(現在の日時及び天候情報)に関連付けられた参照画像を抽出する。
そして、走行道路判定部134は、抽出した参照画像のうち、画像取得部132が取得した走行道路画像D1と同一の地点から撮影したと推測される参照画像を選択する。このとき、走行道路判定部134は、既知の画像処理技術を使用して、走行道路画像D1と同一の地点を撮影したと推測される参照画像を選択する。
走行道路判定部134は、このように選択した参照画像と関連付けられた位置情報に基づいて、車両Aの走行道路を示す位置情報を、正しい位置情報を示す走行地点情報に補正する。このとき、走行道路判定部134は、参照画像の位置情報(撮影を行った方向)に基づいて、車両Aの進行方向を判定し、走行地点情報に車両Aの進行方向を含むようにしてもよい。そして、走行道路判定部134は、補正した走行地点情報を走行地点情報送信部135へ出力する。
一方、走行道路判定部134は、車両位置判定部131により、車両Aが検出範囲に位置していないと判定された場合(ステップS102:NO)、車両位置判定部131が取得した車両Aの位置情報を車両Aの走行道路を示す走行地点情報として、走行地点情報送信部135へ出力する。
【0036】
次に、走行地点情報送信部135は、走行道路判定部134から取得した走行地点情報を、無線通信部120を介して不図示のサーバへ送信する(ステップS106)。
車載器10の各部は、車両位置判定部131が衛星信号を受信する度に、上述の処理を繰り返し実行する。
【0037】
(車載器のハードウェア構成)
図5は、本発明の一実施形態に係る車載器のハードウェア構成を示す図である。
以下、図5を参照して、本実施形態に係る車載器10のハードウェア構成について説明する。
【0038】
コンピュータ900は、CPU901、主記憶装置902、補助記憶装置903、入出力インタフェース904、通信インタフェース905を備える。
上述の車載器10は、コンピュータ900に実装される。そして、上述した車載器10の各部の動作は、プログラムの形式でそれぞれのコンピュータ900が有する補助記憶装置903に記憶されている。CPU901(CPU130)は、プログラムを補助記憶装置903から読み出して主記憶装置902に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。また、CPU901は、プログラムに従って、画像取得部132が取得した走行道路画像D1、周辺情報取得部133が取得した周辺情報等を記憶する記憶領域(不図示)と、参照画像記憶部140と、検出範囲記憶部150と、を主記憶装置902に確保する。また、CPU901は、プログラムに従って、処理中のデータを記憶する記憶領域を補助記憶装置903に確保する。
なお、コンピュータ900は、入出力インタフェース904を介して、外部記憶装置910と接続されており、参照画像記憶部140及び検出範囲記憶部150は、外部記憶装置910に確保されてもよい。また、コンピュータ900は、通信インタフェース905を介して、外部記憶装置920と接続されており、上記参照画像記憶部140及び検出範囲記憶部150は、外部記憶装置920に確保されてもよい。
【0039】
なお、少なくとも一つの実施形態において、補助記憶装置903は、一時的でない有形の媒体の一例である。一時的でない有形の媒体の他の例としては、入出力インタフェース904を介して接続される磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等が挙げられる。また、このプログラムが通信回線によってコンピュータ900に配信される場合、配信を受けたコンピュータ900が当該プログラムを主記憶装置902に展開し、上記処理を実行しても良い。
【0040】
また、当該プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、当該プログラムは、前述した機能を補助記憶装置903に既に記憶されている他のプログラムとの組み合わせで実現するもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【0041】
(作用効果)
以上のように、本実施形態に係る車載器10は、外部から受信した信号(衛星信号)に基づいて、走行する車両Aが所定のイベントポイントを含む検出範囲に位置しているか否かを判定する車両位置判定部131と、車両Aが検出範囲に位置していると判定された場合、車両Aに搭載されたカメラ11によって撮影された走行道路画像D1を取得する画像取得部132と、検出範囲に含まれる道路から撮影された参照画像と、走行道路画像D1とに基づいて、車両Aが走行している道路を判定する走行道路判定部134と、を備える。
このようにすることで、車載器10は、分岐、複数の道路が隣接している地点等にイベントポイントを設定することにより、車両Aが当該イベントポイントを含む検出範囲において、どの道路を走行しているかを、走行道路画像D1と参照画像とに基づいて判定することができる。また、走行道路判定部134は、検出範囲においてのみ走行道路画像D1と参照画像とに基づく判定を行うため、走行道路を判定する処理に要する負荷を低減することができる。この結果、車載器10が走行道路を判定する処理を高速化することができる。
【0042】
また、車載器10は、検出範囲別に複数の参照画像を記憶する参照画像記憶部140を更に備える。走行道路判定部134は、検出範囲の周辺環境に応じて、複数の参照画像のうち少なくとも一つの参照画像を抽出し、抽出した参照画像と、走行道路画像D1とに基づいて、車両Aが走行している道路を判定する。
このようにすることで、走行道路判定部134は、例えば日時、天候等の周辺環境に応じて検出範囲内における道路から見える風景が変化する場合であっても、複数の参照画像のうち、周辺環境に近い環境下で撮影された参照画像に基づいて、走行道路を判定することができる。これにより、走行道路判定部134が走行道路を判定する処理の精度を向上させることができる。
【0043】
また、車載器10は、衛星からの信号を受信する衛星信号受信部110を更に備える。車両位置判定部131は、衛星からの衛星信号に基づいて、車両Aが検出範囲に位置しているか否かを判定する。
このようにすることで、車両位置判定部131は、周期的に取得する衛星信号に基づいて、車両Aが検出範囲に位置しているか否かを常に高い精度で判定することができる。
【0044】
また、本実施形態に係る走行道路判定システム1は、外部から受信した信号に基づいて、走行する車両Aが所定のイベントポイントを含む検出範囲に位置しているか否かを判定する車両位置判定部131と、車両Aが検出範囲に位置していると判定された場合、車両Aに搭載されたカメラ11によって撮影された走行道路画像D1を取得する画像取得部132と、検出範囲に含まれる道路から撮影された参照画像と、走行道路画像D1とに基づいて、車両Aが走行している道路を判定する走行道路判定部134と、を備える。
また、走行道路判定システム1は、カメラ11によって撮影される走行道路画像D1の撮影領域に収まるように設けられたマーク220を更に備える。
このようにすることで、走行道路画像D1に目印となるマーク220が含まれるので、走行道路判定部134により車両Aがどの道路を走行しているか判定する精度を向上させることができる。
【0045】
なお、上述の実施形態に係る走行道路判定システム1は、一般道路において罰金、通行料金等の徴収のために用いられてもよい。
例えば、一般道路には、一方通行、Uターン禁止、特定車種(大型車、普通車等の車両の区分)による走行が制限されている等、車両の走行に関する規制が定められた区域が多数ある。このような区域において一方通行違反等の取締及び罰金の徴収を行う場合、当該区域に監視員、車載器と無線通信可能な通信機器等を配置することが考えられる。しかしながら、監視員、通信機器等の配置にはコストがかかるため、多数の区域のそれぞれに配置するのは現実的ではない。
しかしながら、走行道路判定システム1を適用して多数の区域のそれぞれを検出範囲として設定することにより、車載器10は、検出範囲内において車両Aがどの道路をどのような方向に向かって走行したかを判定して、走行地点情報として出力することができる。そして、例えば、複数の区域を管轄する事務所にサーバを設置して、当該サーバが各車載器10から走行地点情報を収集するようにしてもよい。サーバは、車両Aの走行地点情報に基づいて、車両Aが一方通行の区域を逆行する方向に走行していること、Uターンが禁止されている検出範囲においてUターンを行ったことを検出するようにしてもよい。
また、サーバは、車両Aの走行地点情報に基づいて、特定の車種(例えば大型車)が走行を禁止されている道路を車両A(大型車)が走行したことを検出するようにしてもよい。この場合、車載器10は、走行地点情報とともに、車両Aの車種を特定可能な情報をサーバへ出力する。
サーバは、車両Aが一方通行等の規制に違反していることを検出すると、当該検出結果に基づいて、車両Aに対する罰金の徴収をするための処理を実行するようにしてもよい。例えば、違反が検出された車両Aに対して罰金を課金する処理を行うようにしてもよいし、事務所に駐在する監視員に違反を検出したことを通知するようにしてもよい。これにより、一方通行等の取締及び罰金の徴収を低コストで実施することが可能である。
更に、車両による騒音が住民の迷惑となるような住宅地において、当該住宅地内に設けられた道路を検出範囲に設定してもよい。この場合、サーバは、車両Aの走行地点情報に基づいて、車両Aが住宅地内の道路を走行したことを検出した場合、当該車両Aから通行料金を徴収する処理を行う。このように、特定の道路を走行した車両Aから通行料金を徴収することにより、当該道路における車両の交通量を制限することが可能となる。
【0046】
また、有料道路には、本線、サービスエリア、パーキングエリア、バスストップ等から有料道路への乗降が可能なスマートインターチェンジ(IC)が設けられている場合がある。従来のスマートICには、車載器と、路側装置との間で無線通信を行うことにより、車両の通行料金を収受する電子式料金収受システム(ETC:Electronic Toll Collection System(登録商標)、「自動料金収受システム」ともいう)が設けられている。
このようなスマートICを検出範囲として設定することにより、車載器10の走行道路判定部134は、走行道路画像D1と参照画像とに基づいて、どのスマートICを経由して有料道路への乗降を行ったかを判定することができる。これにより、サーバは、車載器10から収集した走行地点情報に基づいて車両Aが走行した有料道路を特定して、当該有料道路の通行料金を車両Aから徴収することができる。
これにより、スマートICに高価なETC用路側装置を設置することなく、車両AがスマートICを経由して有料道路への乗降を行ったことが検出できるので、設備の設置に係るコスト、メンテナンスに係るコストを削減することが可能である。
【0047】
また、有料道路には、複数の区間に渡ってガソリンスタンドが設けられていない場合がある。このような区間を走行中にガソリンが不足する可能性があり、この場合、車両は一旦有料道路から退出して、一般道路に設けられたガソリンスタンドに立ち寄り、再び有料道路に進入することが考えられる。一般的に、通行料金には、有料道路に進入する度に初乗り料金が上乗せされる。このため、ガソリンスタンドに立ち寄るために有料道路を一時退出すると、有料道路を一時退出せずに継続して走行するよりも通行料金が高くなることがある。
このような有料道路において、ガソリンスタンドに立ち寄ったか否かを検出するために、当該ガソリンスタンドを検出範囲として設定してもよい。このとき、有料道路の料金所事務所に設けられた監視システム(不図示)は、車載器10からガソリンスタンドに立ち寄ったことを示す走行地点情報を取得する。そして、監視システムは、当該ガソリンスタンドに立ち寄った車両Aが再度有料道路に進入した場合、当該車両Aに対する通行料金を割り引く(初乗り料金を減じる)処理を行うようにしてもよい。
これにより、有料道路を一時退出した車両に対する割引処理を行うシステムを、低コストで構築することができる。
【0048】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の技術的思想を逸脱しない限り、これらに限定されることはなく、多少の設計変更等も可能である。
例えば、上述の実施形態において、走行道路判定部134は、車両Aが走行している道路を特定可能な走行地点情報として、走行道路画像D1及び参照画像に基づいて補正された緯度及び経度を出力する態様について説明したが、これに限られることはない。他の実施形態では、走行道路判定部134は、補正後の緯度及び経度に基づいて、走行道路を特定可能な道路名、道路ID等の情報を特定し、これらの情報を走行地点情報として出力するようにしてもよい。
【0049】
また、上述の実施形態において、車載器10が走行道路判定部134を有している態様について説明したが、これに限られることはない。例えば、車載器10とネットワークNWを介して接続可能なサーバ(不図示)が、走行道路判定部134を有していてもよい。この場合、車載器10は、車両位置判定部131が取得した車両Aの位置情報(補正前の緯度及び経度)と、画像取得部132が取得した走行道路画像D1とを無線通信部120を介してサーバへ送信する。そして、サーバの走行道路判定部134が、参照画像と走行道路画像D1とに基づいて、車両Aの位置情報を補正し、車両Aが走行している道路を判定するようにしてもよい。
このような態様によっても、上述の実施形態と同様の効果を得ることが可能である。
【符号の説明】
【0050】
1 走行道路判定システム
10 車載器
11 カメラ
110 衛星信号受信部
120 無線通信部
130 CPU
131 車両位置判定部
132 画像取得部
133 周辺情報取得部
134 走行道路判定部
135 走行地点情報送信部
140 参照画像記憶部
150 検出範囲記憶部
20 路側装置
210 照明装置
220 マーク
図1
図2
図3
図4
図5