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特許6993783リン酸カルシウムセメント組成物、リン酸カルシウムセメントキットおよびリン酸カルシウムセメント硬化体の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-14
(45)【発行日】2022-01-14
(54)【発明の名称】リン酸カルシウムセメント組成物、リン酸カルシウムセメントキットおよびリン酸カルシウムセメント硬化体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   A61L 27/12 20060101AFI20220106BHJP
   C04B 12/02 20060101ALI20220106BHJP
【FI】
A61L27/12
C04B12/02
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2017051123
(22)【出願日】2017-03-16
(65)【公開番号】P2018153300
(43)【公開日】2018-10-04
【審査請求日】2020-03-10
(73)【特許権者】
【識別番号】304050912
【氏名又は名称】オリンパステルモバイオマテリアル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118913
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 邦生
(74)【代理人】
【識別番号】100142789
【弁理士】
【氏名又は名称】柳 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100163050
【弁理士】
【氏名又は名称】小栗 眞由美
(74)【代理人】
【識別番号】100201466
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 邦彦
(72)【発明者】
【氏名】宇野 由華
【審査官】井上 能宏
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/027110(WO,A1)
【文献】特表2000-510125(JP,A)
【文献】特表2001-518359(JP,A)
【文献】IKETANI,M. et al.,The Development of a Calcium Phosphate Cement with Porous, Hollow, Spherical Particles of α-Tricalc,東邦医学会雑誌,2010年,Vol.57,No.1,pp.12-25
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L、A61K、C04B
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水との反応によって硬化する水硬性のリン酸カルシウムセメント組成物であって、
粉末のリン酸カルシウム成分と、
粉末または液体のリン酸系成分と、
前記リン酸カルシウム成分よりも大きな粒子径を有する中空球状であり、前記粒子径が50μm以上150μm以下であるリン酸カルシウム顆粒とを含み、
前記リン酸カルシウム成分が、βリン酸三カルシウムであり、
前記リン酸系成分が、リン酸二水素カルシウムである、リン酸カルシウムセメント組成物。
【請求項2】
前記リン酸カルシウム顆粒の球殻の厚さが、15μm以上である請求項1に記載のリン酸カルシウムセメント組成物。
【請求項3】
前記リン酸カルシウム成分および前記リン酸系成分から生成されるセメント成分の質量に対する前記リン酸カルシウム顆粒の質量の比が、0.1以上2.0以下である請求項1または請求項に記載のリン酸カルシウムセメント組成物。
【請求項4】
前記リン酸カルシウム成分の一次粒子径が、0.2μm以上であり、前記リン酸カルシウム成分の総粒子径が、10μm以下である請求項1から請求項のいずれかに記載のリン酸カルシウムセメント組成物。
【請求項5】
前記リン酸系成分が、15μm以上400μm以下の平均粒子径を有する粉末である請求項1から請求項のいずれかに記載のリン酸カルシウムセメント組成物。
【請求項6】
前記リン酸カルシウム成分および前記リン酸系成分を主成分として含む請求項1から請求項のいずれかに記載のリン酸カルシウムセメント組成物。
【請求項7】
前記リン酸カルシウム成分、前記リン酸系成分および前記リン酸カルシウム顆粒と水とを混練して生成される硬化体が、10MPa以上の圧縮強度を有する請求項1から請求項のいずれかに記載のリン酸カルシウムセメント組成物。
【請求項8】
前記リン酸カルシウム顆粒が、βリン酸三カルシウム、水酸アパタイト、炭酸アパタイト、第二リン酸カルシウム、αリン酸三カルシウム、第四リン酸カルシウム、またはメタリン酸カルシウムの顆粒である請求項1から請求項のいずれかに記載のリン酸カルシウムセメント組成物。
【請求項9】
請求項1から請求項のいずれかに記載のリン酸カルシウムセメント組成物と、
水を含む液剤とを備えるリン酸カルシウムセメントキット。
【請求項10】
前記液剤の体積(mL)に対する、前記リン酸カルシウム成分、前記リン酸系成分および前記リン酸カルシウム顆粒の合計質量(g)の比が、3.5以上5.0以下である請求項に記載のリン酸カルシウムセメントキット。
【請求項11】
前記液剤が、クエン酸-クエン酸ナトリウム緩衝液である請求項または請求項10に記載のリン酸カルシウムセメントキット。
【請求項12】
粉末のリン酸カルシウム成分と、粉末または液体のリン酸系成分と、前記リン酸カルシウム成分よりも大きな粒子径を有する中空球状であり、前記粒子径が50μm以上150μm以下であるリン酸カルシウム顆粒と、水とを混練し、生成されたペーストを硬化させ
前記リン酸カルシウム成分が、βリン酸三カルシウムであり、
前記リン酸系成分が、リン酸二水素カルシウムであるリン酸カルシウムセメント硬化体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リン酸カルシウムセメント組成物、リン酸カルシウムセメントキットおよびリン酸カルシウムセメント硬化体の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ブルッシャイト(リン酸水素カルシウム二水和物、CaHPO・2HO、DCPD)を母体とする骨インプラント用のセメントが知られている(例えば、特許文献1参照。)。ブルッシャイトは、他のリン酸カルシウム系の化合物と比べて水への溶解度が高いという特徴を有する。特許文献1では、ブルッシャイトの母体に、ブルッシャイトの原料となる粒子よりも大きな粒子径を有し、ブルッシャイトよりもゆっくり分解する粒子を添加することで、セメントの硬化体の分解速度を制御している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特表2001-518359号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1では、生体内での硬化体の骨形成能には着目しておらず、十分な骨形成能を期待できないという問題がある。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、硬化体の分解速度を制御しつつ、硬化体の骨形成能を高めることができるリン酸カルシウムセメント組成物、リン酸カルシウムセメントキットおよびリン酸カルシウムセメント硬化体の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明は以下の手段を提供する。
本発明の第1の態様は、水との反応によって硬化する水硬性のリン酸カルシウムセメント組成物であって、粉末のリン酸カルシウム成分と、粉末または液体のリン酸系成分と、前記リン酸カルシウム成分よりも大きな粒子径を有する中空球状であり、前記粒子径が50μm以上150μm以下であるリン酸カルシウム顆粒とを含むリン酸カルシウムセメント組成物である。
【0006】
本発明の第1の態様によれば、粉末のリン酸カルシウム成分、粉末または液体のリン酸系成分およびリン酸カルシウム顆粒に水を含む液剤を添加して混合物を混練することで流動性を有するペーストを生成し、生成されたペーストを硬化させることで、リン酸カルシウム成分とリン酸系成分と水との反応によって生成されたセメント成分を母体とする硬化体が生成される。リン酸カルシウムを主成分とする硬化体は、生体内の骨欠損部に移植される骨インプラントして利用することできる。
【0007】
この場合に、硬化体内に混在しセメント成分とは生体内での分解速度が異なるリン酸カルシウム顆粒によって、硬化体の生体内での分解速度を制御することができる。また、硬化体内には、中空球状のリン酸カルシウム顆粒の空洞からなる気孔が形成される。このような硬化体が体内に移植されると、骨形成を担う骨芽細胞が硬化体の気孔内へ浸入することで周辺組織から硬化体への骨芽細胞の誘導が促進される。これにより、硬化体の骨形成能を高めることができる。
【0008】
上記第1の態様においては、前記リン酸カルシウム成分が、βリン酸三カルシウムであり、前記リン酸系成分が、リン酸二水素カルシウムであ
このようにすることで、ブルッシャイトをセメント成分とする硬化体を得ることができる。
【0009】
上記第1の態様においては、前記リン酸カルシウム顆粒の粒子径が、50μm以上150μm以下であってもよい。
このようにすることで、骨芽細胞による骨形成の足場としてのリン酸カルシウム顆粒の機能をより高めて硬化体の骨形成能をさらに向上することができるとともに、顆粒の添加によるペーストの流動性の向上効果をさらに高めることができる。また、細径のニードルを使用して骨欠損部または成形型へペーストを充填する際に、ニードルの内部でペーストが詰まることを防止することができる。
【0010】
上記第1の態様においては、前記リン酸カルシウム顆粒の球殻の厚さが、15μm以上であってもよい。
このようにすることで、生体内での荷重に耐え得るリン酸カルシウム顆粒の圧縮強度を確実に担保することができる。
【0011】
上記第1の態様においては、前記リン酸カルシウム成分および前記リン酸系成分から生成されるセメント成分の質量に対する前記リン酸カルシウム顆粒の質量の比が、0.1以上2.0以下であってもよい。
このようにすることで、リン酸カルシウム顆粒を混合することによる骨形成能の向上効果および分解速度の制御効果と、生体内での荷重に耐え得る硬化体の高い圧縮強度との両方を達成することができる。
【0012】
上記第1の態様においては、前記リン酸カルシウム成分の一次粒子径が、0.2μm以上であり、前記リン酸カルシウム成分の総粒子径が、10μm以下であってもよい。
このようにすることで、ペーストの硬化速度を抑制することができるとともに、ペーストの高い流動性および硬化体の高い圧縮強度を確保することができる。
【0013】
上記第1の態様においては、前記リン酸系成分が、15μm以上400μm以下の平均粒子径を有する粉末であってもよい。
このようにすることで、ペーストの硬化速度の抑制と硬化体の高い圧縮強度との両方を達成することができる。
【0014】
上記第1の態様においては、前記リン酸カルシウム成分および前記リン酸系成分を主成分として含んでいてもよい。
このようにすることで、リン酸カルシウム成分およびリン酸系成分から生成されるセメント成分を主成分とする硬化体が得られる。中空球状のリン酸カルシウム顆粒は、緻密なセメント成分と比べて圧縮強度が低い。したがって、セメント成分を硬化体の主成分とすることで、β-TCP顆粒の混合に因る硬化体の圧縮強度の過度な低下を防ぐことができる。
【0015】
上記第1の態様においては、前記リン酸カルシウム成分、前記リン酸系成分および前記リン酸カルシウム顆粒と水とを混練して生成される硬化体が、10MPa以上の圧縮強度を有していてもよい。
このように、海綿骨の圧縮強度(3MPa~5MPa)よりも高い圧縮強度を有する硬化体は、骨欠損部に移植された後も、骨が形成されるまでの期間、荷重に耐え得る圧縮強度を有し続けることができる。
【0016】
上記第1の態様においては、前記リン酸カルシウム顆粒が、βリン酸三カルシウム(β-TCP)、水酸アパタイト、炭酸アパタイト、第二リン酸カルシウム、αリン酸三カルシウム(α-TCP)、第四リン酸カルシウム、またはメタリン酸カルシウムの顆粒であってもよい。
このようにすることで、骨形成をより促進することができる。また、セメント成分よりも溶解速度が遅いリン酸カルシウム(例えば、β-TCP)を顆粒の材料として選択することで、硬化体の急激な分解をリン酸カルシウム顆粒によって抑制し、硬化体の強度を長い期間にわたって維持することができる。
【0017】
本発明の第2の態様は、上記いずれかに記載のリン酸カルシウムセメント組成物と、水を含む液剤とを備えるリン酸カルシウムセメントキットである。
上記第2の態様においては、前記液剤の体積(mL)に対する、前記リン酸カルシウム成分、前記リン酸系成分および前記リン酸カルシウム顆粒の合計質量(g)の比が、3.5以上5.0以下であってもよい。
このようにすることで、ペーストの高い流動性と硬化体の高い圧縮強度との両方を達成することができる。
【0018】
上記第2の態様においては、前記液剤が、クエン酸-クエン酸ナトリウム緩衝液であってもよい。
ペーストの硬化速度を遅延させる遅延剤として作用するクエン酸-クエン酸ナトリウム緩衝液を使用することで、ペーストの硬化速度を抑制して、ペーストの操作時間を確保することができる。また、液剤としてクエン酸-クエン酸ナトリウム緩衝液を使用することで、固形剤に添加する液剤の量を最小限に抑え、遅延剤の添加に伴う硬化体の強度低下を防止することができる。
【0019】
本発明の第3の態様は、粉末のリン酸カルシウム成分と、粉末のリン酸系成分と、前記リン酸カルシウム成分よりも大きな粒子径を有する中空球状であり、前記粒子径が50μm以上150μm以下であるリン酸カルシウム顆粒と、水とを混練し、生成されたペーストを硬化させ、前記リン酸カルシウム成分が、βリン酸三カルシウムであり、前記リン酸系成分が、リン酸二水素カルシウムであるリン酸カルシウムセメント硬化体の製造方法である。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、硬化体の分解速度を制御しつつ、硬化体の骨形成能を高めることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の一実施形態に係るリン酸カルシウムセメント組成物およびリン酸カルシウムセメントキットを模式的に示す図である。
図2】リン酸カルシウムセメント組成物に含まれるβ-TCP顆粒の走査型電子顕微鏡写真である。
図3】実施例1における硬化体の製造条件を示す図表である。
図4】実施例1において生体内に12週間移植された硬化体の光学顕微鏡写真である。
図5】実施例2の試験結果を示す図表である。
図6】実施例3の試験結果を示す図表である。
図7】実施例4においてサンプル15~18に使用したMCPM粉末の走査型電子顕微鏡写真である。
図8】実施例4の試験結果を示す図表である。
図9】実施例5の試験結果を示す図表である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、本発明の一実施形態に係るリン酸カルシウムセメント組成物およびリン酸カルシウムセメントキットについて図面を参照して説明する。
本実施形態に係るリン酸カルシウムセメントキットは、骨インプラントに好適な硬化体を生成するためのものであり、図1に示されるように、リン酸カルシウムセメント組成物からなる固形剤と、固形剤に添加される液剤とを備えている。硬化体は、固形剤と液剤とを混練してペーストを生成し、生成されたペーストを硬化させることで、生成することができる。固形剤と液剤は別々に保管され、ペースト生成時に混合される。
【0023】
固形剤は、β-TCP(βリン酸三カルシウム)粉末(リン酸カルシウム成分)およびリン酸二水素カルシウム粉末(リン酸系成分)からなる第1成分と、β-TCP粉末およびリン酸二水素カルシウム粉末よりも大きな粒子径を有するβ-TCP顆粒(リン酸カルシウム顆粒)からなる第2成分とを含む。固形剤における主成分は第1成分であり、第2成分は、第1成分と等しい質量またはそれ以下の質量で含まれる。固形剤は、第1成分および第2成分の他に、各種の固形の添加物質(例えば、硬化速度調整剤や抗生物質等の薬剤)を含んでいてもよい。
【0024】
β-TCP粉末の一次粒子径は0.2μm以上であり、かつ、β-TCP粉末の総粒子径は、10μm以下である。β-TCP粉末は、複数の粉末が凝集した状態で存在する。一次粒子径とは、個々の粉末の粒子径であり、総粒子径とは、複数の粉末からなる凝集塊の粒子径である。
【0025】
β-TCP粉末の一次粒子径が小さい程、ブルッシャイトの生成反応の速度が速くなり、ペーストの硬化速度が速くなる。0.2μm以上の一次粒子径を有するβ-TCP粉末を使用することで、ペーストの操作時間が確保されるようにペーストの硬化速度を抑制することができる。β-TCP粉末の一次粒子径が0.2μm未満である場合、ペーストの急激な硬化によって、ニードルによるペーストの操作が困難になる可能性がある。
【0026】
また、β-TCP粉末の総粒子径が大きい程、ペーストの流動性および硬化体の圧縮強度が低くなる。10μm以下の総粒子径を有するβ-TCP粉末を使用することで、ペーストの高い流動性と硬化体の高い圧縮強度の両方を達成することができる。
β-TCP粉末の総粒子径が10μmよりも大きい場合、ペーストの流動性が低下するとともに、硬化体の圧縮強度が低下する。
【0027】
リン酸二水素カルシウムは、水和物(リン酸二水素カルシウム一水和物、MCPM)または無水物(無水リン酸二水素カルシウム、MCPA)である。以下、リン酸二水素カルシウム粉末をMCPM/MCPA粉末と記す。MCPM/MCPA粉末の平均粒子径は、15μm以上400μm以下である。
【0028】
MCPM/MCPA粉末の平均粒子径が小さい程、硬化体の圧縮強度は高くなるが、ペーストの硬化速度が速くなる。15μm以上400μm以下の平均粒子径を有するMCPM/MCPA粉末を使用することで、ペーストの硬化速度を抑制しつつ、圧縮強度の高い硬化体を得ることができる。
MCPM/MCPA粉末の平均粒子径が15μm未満である場合、ペーストの急激な硬化によって、ニードルによるペーストの操作が困難になる可能性がある。また、MCPM/MCPA粉末の平均粒子径が400μmよりも大きい場合、硬化体の所望の圧縮強度が得られない可能性がある。
【0029】
第1成分のβ-TCP粉末(Ca(PO)およびMCPM/MCPA粉末(Ca(HPO・HO)は、液剤に含まれる水と下記のように反応することで、ブルッシャイト(CaHPO・HO)を生成する。
Ca(HPO・HO+Ca(PO+7H
→4(CaHPO・HO)
【0030】
ここで、固形剤にはβ-TCPが粉末および顆粒の形態で存在するが、顆粒に比べて水との接触面積が大きい粉末が優先的に反応してブルッシャイトの生成に消費される。
また、上記の反応式から分かるように、β-TCPとMCPM/MCPAは等モルで反応する。したがって、第1成分は、β-TCPとMCPM/MCPAとが等モルとなるように、β-TCP粉末とMCPM/MCPA粉末とを含んでいることが好ましい。
【0031】
β-TCP顆粒は、図2に示されるように、内部に略球状の空洞を有する球殻からなる中空球状の顆粒である。このような中空球状のβ-TCP顆粒は、例えば、空洞の直径と略等しい直径を有する樹脂(例えば、ポリメタクリル酸メチル樹脂)のビーズの外表面をβ-TCP粉末でコーティングし、コーティングされたビーズを高温で加熱して樹脂を蒸散することで製造される。
【0032】
β-TCP顆粒の粒子径は、50μm以上150μm以下である。これにより、流動性の高いペーストを生成することができる。また、50μm以上150μm以下の粒子径を有するβ-TCP顆粒は、体内での骨芽細胞および破骨細胞による骨リモデリングを促進する。このようなβ-TCP顆粒を硬化体に混在させることで、硬化体の骨形成能を高めることができる。
【0033】
β-TCP顆粒の粒子径が150μmよりも大きい場合、硬化体内でのβ-TCP顆粒全体の表面積が低下することで、体内でのβ-TCP顆粒の溶解が抑制されるとともに、骨リモデリングの促進効果が低下する。また、ペーストを骨欠損部または成形型に充填する際には内径3mm以下の細径のニードルが使用されるが、粒子径の大きなβ-TCP顆粒は、ニードル内で詰まりを引き起こす可能性がある。
【0034】
一方、β-TCP顆粒の粒子径が50μm未満である場合、β-TCP顆粒とβ-TCP粉末との粒子径の差が小さくなり、顆粒による効果が期待できなくなる。すなわち、ブルッシャイトの生成反応にβ-TCP顆粒も消費されやすくなって反応速度が増加するとともに、ペーストの粘度が高くなってペーストの操作性が低下する。また、β-TCP顆粒の空洞は、骨芽細胞が空洞内に侵入することで骨形成を促進する効果を発揮するが、粒子径が50μm未満である場合には、骨芽細胞の侵入可能な大きさの空洞を形成することが難しく、骨形成の足場としての機能が得られない可能性がある。
【0035】
β-TCP顆粒の球殻の厚さは、15μm以上である。これにより、体内で硬化体に作用する荷重に耐えることができる圧縮強度(具体的には、10MPa以上)を担保することができる。球殻の厚さが15μm未満である場合、10MPa以上の圧縮強度を得ることができない可能性がある。
【0036】
第1成分と第2成分と質量比は、第1成分と水との反応によって生成されるセメント成分のブルッシャイト(DCPD:dicalcium phosphate dihydrate)に対するβ-TCP顆粒の質量比(β-TCP顆粒/DCPD)が0.1以上2.0以下となるように、決定されている。β-TCP顆粒/DCPD質量比は、下式から算出される。下式において、310.18[g/mol]はβ-TCPの分子量であり、18[g/mol]は、HOの分子量である。
【0037】
【数1】
【0038】
ブルッシャイトに対するβ-TCP顆粒の比が大きい程、ペーストの流動性は高くなるが、硬化体の圧縮強度は低下する。β-TCP顆粒/DCPD質量比を上記範囲に調整することで、ペーストの高い流動性と硬化体の10MPa以上の圧縮強度の両方を確保することができる。
【0039】
液剤は、クエン酸-クエン酸ナトリウム緩衝液である。クエン酸およびクエン酸ナトリウムは、ペーストの硬化速度を遅らせる作用を有する。したがって、ペースト生成時にクエン酸-クエン酸ナトリウム緩衝液を使用することで、ペーストの操作可能な時間を延ばすことができる。
【0040】
次に、このように構成されたリン酸カルシウムセメント組成物およびリン酸カルシウムセメントキットを使用した硬化体の製造方法について説明する。
本実施形態に係るリン酸カルシウムセメントキットを使用してリン酸カルシウムセメント硬化体を製造するためには、固形剤に液剤を添加し、固形剤と液剤との混合物を混練してペーストを生成する。ペースト内ではβ-TCP、MCPM/MCPAおよび水の反応によってブルッシャイトが生成される。
【0041】
ここで、固形剤に添加される液剤の量は、β-TCP粉末およびMCPM/MCPA粉末に対して水が略1当量となるように、調整される。具体的には、液剤の体積(mL)に対する固形剤(第1成分および第2成分)の合計質量(g)の比(粉液比)が3.5以上5.0以下となるように、固形剤の質量に対して液剤の体積が決定される。上述したように、ブルッシャイトの生成反応には粉末状のβ-TCPが優先的に消費される。また、液剤と顆粒はほとんど反応しない。したがって、β-TCP顆粒は、ブルッシャイトの生成反応にほとんど関与することなく、そのままペースト内に残存する。また、液剤の量は、ペーストの流動性および硬化時間と、硬化体の強度に関係する。粉液比を上記範囲に制御することで、ペーストの高い流動性および十分に長い硬化時間と、硬化体の高い強度との両方を達成することができる。
ペースト生成時に固形剤および液剤の計量が不要となるように、固形剤および液剤は、粉液比が上記範囲となる量で容器等に収容された状態で提供されてもよい。
【0042】
次に、生成されたペーストを注射器に充填し、注射器に接続されたニードルを介してペーストを成形用の型に充填し、ペーストが硬化するまで待つことにより、ブルッシャイトを主成分とする硬化体が得られる。ここで、粉末および顆粒の粒子径、球殻の厚さ、質量比が上記範囲に制御された固形剤を使用し、かつ、固形剤と液剤とを上記範囲の粉液比で混合することで、10MPa以上の圧縮強度を有する硬化体を得ることができる。
生成された硬化体は、型から取り出した後、生体内の骨欠損部に移植される。
ペーストは、生体内の骨欠損部に直接充填して骨欠損部内で硬化させてもよい。
【0043】
生体内では、硬化体内のブルッシャイトが周辺組織の体液との接触によって溶解することで、硬化体が徐々に分解される。ブルッシャイトの溶解と並行して、周辺組織から硬化体に遊走してきた骨芽細胞および破骨細胞によってβ-TCP顆粒において骨リモデリングが行われる。すなわち、骨芽細胞が硬化体の気孔内に浸入して硬化体内部で骨形成を行うとともに、破骨細胞がβ-TCP顆粒を溶解し吸収する。このように、硬化体の分解と新生骨の形成とが同時に進むことで、骨欠損部に移植された硬化体は徐々に骨に置換されていく。
【0044】
このように、本実施形態によれば、中空球状のβ-TCP顆粒を硬化体に混在させて硬化体の内部に気孔を形成することで、硬化体の骨形成能を高めることができるという利点がある。特に、50μm以上150μm以下の粒子径を有するβ-TCP顆粒を使用することで、硬化体の骨形成能をさらに高めることができるという利点がある。
また、第1成分の粉末よりも大きな粒子径を有するβ-TCP顆粒がペースト内に含まれていることでペーストの流動性が向上するので、ペーストの流動性を高める目的で余分な液剤を固形剤に添加する必要がない。したがって、上述したように、固形剤に添加する液剤の量は、ブルッシャイトの生成に必要とされる最小限の量で足りる。このように、粉液比を高めることで、10MPa以上の高い圧縮強度を有する硬化体を得ることができるという利点がある。
【0045】
また、ブルッシャイトの急速な溶解は水酸アパタイト(HA)の析出を引き起こすことが報告されている(M.Bohner、外9名、“Compositional changes of a dicalcium phosphate dihydrate cement after implantation in sheep.”、Biomaterials、2003年、Volume 24、pp. 3463-3474)。硬化体の表面が溶解速度の遅いHAによって覆われてしまうと、それ以上のブルッシャイトの溶解が阻害され、その結果、硬化体が長期間にわたって欠損部位に残存する可能性がある。
【0046】
本実施形態によれば、上述したように、第1成分の粉末よりも大きな粒子径を有するβ-TCP顆粒をペーストに混在させることで、粉液比を高めて緻密なブルッシャイトを生成することができる。これにより、硬化体でのブルッシャイトの溶解を抑制してHAの析出も抑制することができ、硬化体全体の生分解を達成することができる。また、ブルッシャイトの溶解の抑制に伴う体内での硬化体の吸収の遅延は、β-TCP顆粒による骨リモデリングの促進効果によって補われるので、硬化体の吸収性が損なわれることはない。
【0047】
本実施形態においては、β-TCP顆粒を使用することとしたが、中空球状の顆粒の成分は、水酸アパタイト、炭酸アパタイト、第二リン酸カルシウム(DCPAまたはブルッシャイト)、α-TCP、第四リン酸カルシウム(TeCP)、メタリン酸カルシウム等の他のリン酸カルシウム系セラミックスであってもよい。
このように、β-TCP以外のリン酸カルシウムからなる中空顆粒を使用した場合にも、ペーストの流動性および骨形成能を高める効果を得ることができる。
【0048】
本実施形態においては、ブルッシャイトを生成する成分としてβ-TCP粉末とMCPM/MCPA粉末を使用することとしたが、これに代えて、リン酸カルシウム成分としてα-TCP粉末または水酸アパタイトを使用し、リン酸系成分としてリン酸溶液を使用してもよい。
また、本実施形態においては、ブルッシャイト以外のリン酸カルシウムセメントが生成されるようなリン酸カルシウム成分とリン酸系成分との組み合わせを採用してもよい。
例えば、水酸アパタイトが生成されるように、α-TCP粉末とリン酸四カルシウム粉末の組み合わせ、α-TCP粉末とリン酸二水素カルシウム粉末の組み合わせ、または、リン酸水素カルシウム粉末とリン酸四カルシウム粉末の組み合わせを採用してもよい。
【実施例
【0049】
次に、本実施形態に係るリン酸カルシウムセメント組成物およびリン酸カルシウムセメントキットの実施例について説明する。
(実施例1)
中空球状のβ-TCP顆粒によるHA析出の抑制効果を、以下の手順で評価した。
(1)ウサギの大腿骨骨幹端部に直径4mm、高さ7mmの柱状の骨欠損部を形成した。
(2)固形剤(β-TCP顆粒、β-TCP粉末、MCPM粉末)と液剤(クエン酸-クエン酸ナトリウム緩衝液)とを混練し、生成されたペーストを直径4mm、高さ7mmの柱状の型に充填した。本実施例における固形剤および液剤の条件は、図3に示す通りである。
(3)混練開始から10分後に、型から硬化体を取り出し、ウサギの骨欠損部に硬化体を移植した。
(4)移植から12週後に、硬化体およびその周辺組織を体内から摘出して評価した。
【0050】
図4に、摘出された硬化体およびその周辺組織の光学顕微鏡写真を示す。図4に示されるように、硬化体の表面にHA結晶の析出は観察されなかった。また、硬化体の表面全体に一層の骨形成が認められ、硬化体内には骨および骨髄の形成が認められた。また、硬化体は、周囲の皮質骨および海綿骨と結合していた。
【0051】
(実施例2)
中空球状のβ-TCP顆粒の球殻の厚さと、ペーストの流動性および硬化体の圧縮強度との関係を、以下の手順で調べた。
(1)固形剤(β-TCP顆粒4.0g、β-TCP粉末2.2g、MCPM粉末1.8g)に、粉液比4.2に相当する体積の液剤(クエン酸-クエン酸ナトリウム緩衝液)を加え、1分間混練し、ペーストを生成した。ここで、β-TCP顆粒の球殻の厚さがそれぞれ15、20、25μmである3種類のサンプル1~3を作成した。
(2)混練開始から3分後、内径2.5mmのニードルからペーストが射出可能であるか否かを確認した。
(3)残りのペーストを直径6mm、長さ20mmの円筒状の型に充填し、室温で静置し、ペーストを硬化させた。
(4)混練開始から10分後、硬化体を型から取り外し、水中に浸漬した。
(5)硬化体を37℃の恒温槽内に24時間静置した後、圧縮強度試験(荷重速度0.5mm/分)を実施した。
【0052】
図5に、サンプル1~3の試験結果を示す。図5に示されるように、全てのサンプル1~3のペーストが、ニードルからの射出が可能であった。また、全てのサンプル1~3の硬化体の圧縮強度が、10MPaを超えていた。
【0053】
(実施例3)
ブルッシャイトに対するβ-TCP顆粒の質量比(β-TCP顆粒/DCPD質量比)と、ペーストの流動性および硬化体の圧縮強度との関係を、以下の手順で調べた。
(1)固形剤(β-TCP顆粒0.8~6.0g、β-TCP粉末1.1~4.0g、MCPMまたはMCPA粉末0.9~3.2g)に液剤(クエン酸-クエン酸ナトリウム緩衝液)を加え、1分間混練し、ペーストを生成した。ここで、β-TCP顆粒/DCPD質量比および粉液比が異なる11種類のサンプル4~14を作成した。
(2)混練開始から3分後、内径2.5mmのニードルからペーストが射出可能であるか否かを確認した。
(3)残りのペーストを直径6mm、長さ20mmの円筒状の型に充填し、室温で静置し、ペーストを硬化させた。
(4)混練開始から10分後、硬化体を型から取り外し、水中に浸漬した。
(5)硬化体を37℃の恒温槽内に24時間静置した後、圧縮強度試験(荷重速度0.5mm/分)を実施した。
【0054】
サンプル4~14の条件および試験結果を図6に示す。
図6に示されるように、全てのサンプル4~14のペーストが、ニードルからの射出が可能であった。また、第1成分としてMCPM粉末およびMCPA粉末のいずれを使用した場合にも、β-TCP顆粒/DCPD質量比と圧縮強度との間には、β-TCP顆粒/DCPD質量比が小さい程、圧縮強度が高くなる線形の関係が確認された。
この結果から、β-TCP顆粒/DCPD質量比を0.1以上2.0以下に制御することで、ペーストの高い流動性を確保しながら10MPa以上の圧縮強度を有する硬化体を製造可能であることが確認された。
【0055】
(実施例4)
β-TCP粉末の粒子径と、ペーストの流動性および硬化体の圧縮強度との関係を、以下の手順で調べた。
(1)固形剤(β-TCP顆粒4.0g、β-TCP粉末2.2g、MCPM粉末1.8g)に、液剤(クエン酸-クエン酸ナトリウム緩衝液)を加え、1分間混練し、ペーストを生成した。ここで、β-TCP粉末の一次粒子径がそれぞれ0.2~0.5μm、0.5~1.0μm、1.0~2.0μm、2.0μm以上である4種類のサンプル15~18を作成した。β-TCP粉末の総粒子径は、全サンプル15~18において10μm以下であり、同程度の総粒子径のβ-TCP粉末をサンプル15~18で使用した。
(2)混練開始から3分後、内径2.5mmのニードルからペーストが射出可能であるか否かを確認した。
(3)残りのペーストを直径6mm、長さ20mmの円筒状の型に充填し、室温で静置し、ペーストを硬化させた。
(4)混練開始から10分後、硬化体を型から取り外し、水中に浸漬した。
(5)硬化体を37℃の恒温槽内に24時間静置した後、圧縮強度試験(荷重速度0.5mm/分)を実施した。
【0056】
使用したβ-TCP粉末の走査型電子顕微鏡写真を図7に示し、サンプル15~18の条件および試験結果を図8に示す。
図8に示されるように、全てのサンプル15~18のペーストが、ニードルからの射出が可能であった。また、全てのサンプル15~18の硬化体の圧縮強度が、10MPaを超えていた。また、β-TCP粉末の一次粒子径が大きい程、硬化体の圧縮強度が大きかった。これは、一次粒子径が大きい程、β-TCP粉末の溶解および反応の速度が遅くなることでブルッシャイトの結晶核の生成が抑制され、その結果、大きくて強固なブルッシャイトの結晶が形成されるとともに結晶同士の絡み合いが強固になるためと考えられる。また、ペーストの硬化の遅延によって、液剤量が低下するためと考えられる。
【0057】
(実施例5)
MCPM/MCPA粉末の平均粒子径と、ペーストの流動性および硬化体の圧縮強度との関係を、以下の手順で調べた。
(1)固形剤(β-TCP顆粒3.8g、β-TCP粉末2.31g、MCPM粉末1.89g)に、粉液比3.6に相当する体積の液剤(クエン酸-クエン酸ナトリウム緩衝液)を加え、1分間混練し、ペーストを生成した。ここで、MCPM粉末の平均粒子径がそれぞれ15、73、206、260、411、700μmである6種類のサンプル19~24を作成した。
(2)混練開始から3分後、内径2.5mmのニードルからペーストが射出可能であるか否かを確認した。
(3)残りのペーストを直径6mm、長さ20mmの円筒状の型に充填し、室温で静置し、ペーストを硬化させた。
(4)混練開始から10分後、硬化体を型から取り外し、水中に浸漬した。
(5)硬化体を37℃の恒温槽内に24時間静置した後、圧縮強度試験(荷重速度0.5mm/分)を実施した。
【0058】
図9に、サンプル19~24の試験結果を示す。図9に示されるように、全てのサンプル19~24のペーストが、ニードルからの射出が可能であった。また、平均粒子径が15μm以上411μm以下であるサンプル19~23の硬化体の圧縮強度は10MPaを超えていたが、平均粒子径が700μmであるサンプル24の圧縮強度は、10MPaよりも低かった。このように、MCPM粉末の平均粒子径と圧縮強度との間には、平均粒子径が大きい程、圧縮強度が低くなる相関関係が確認された。この試験結果から、平均粒子径が15μm以上400μm以下であるMCPM粉末を使用することで、10MPa以上の圧縮強度を有する硬化体を製造することができることが確認された。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9