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特許6993796漏出防止組織解離のためのツールアセンブリ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-14
(45)【発行日】2022-01-14
(54)【発明の名称】漏出防止組織解離のためのツールアセンブリ
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/072 20060101AFI20220106BHJP
【FI】
A61B17/072
【請求項の数】 18
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2017115869
(22)【出願日】2017-06-13
(65)【公開番号】P2017221669
(43)【公開日】2017-12-21
【審査請求日】2020-04-07
(31)【優先権主張番号】15/182,760
(32)【優先日】2016-06-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512269650
【氏名又は名称】コヴィディエン リミテッド パートナーシップ
(74)【代理人】
【識別番号】100107489
【弁理士】
【氏名又は名称】大塩 竹志
(72)【発明者】
【氏名】アンソニー スグロイ
【審査官】山口 賢一
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-534795(JP,A)
【文献】特開2015-205214(JP,A)
【文献】特表2014-518673(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第1943960(EP,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/072
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
組織の漏出防止解離のためのツールアセンブリであって、
カートリッジを含むカートリッジアセンブリであって、前記カートリッジの近位部分は、線形縦方向部分であり、第1の縦軸は、前記カートリッジの前記線形縦方向部分に沿って延在し、前記カートリッジの遠位部分は、前記第1の縦軸から外向きに湾曲している横方向部分であり、前記横方向部分は、前記線形縦方向部分に連続し、かつ、前記線形縦方向部分の遠位に位置付けられており、前記カートリッジは、中心メススロットと、前記中心メススロットの各側に位置付けられている少なくとも1列のステープルポケットとを画定し、前記中心メススロットおよび前記少なくとも1列のステープルポケットは、前記カートリッジの前記線形縦方向部分の少なくとも一部および前記カートリッジの前記横方向部分の少なくとも一部に沿って延在する、カートリッジアセンブリと、
前記第1の縦軸に沿って位置付けられているアンビルであって、前記アンビルは、線形縦方向部分と横方向部分とを含み、前記アンビルの前記横方向部分は、前記アンビルの前記線形縦方向部分に連続し、かつ、前記アンビルの前記線形縦方向部分の遠位に位置付けられており、前記アンビルは、前記カートリッジアセンブリに隣接して支持されており、前記アンビルは、前記カートリッジの前記中心メススロットと整合されるアンビルメススロットと、前記アンビルメススロットの各側に位置付けられている少なくとも1列のステープル変形陥凹とを画定し、前記アンビルメススロットおよび前記少なくとも1列のステープル変形陥凹は、前記アンビルの前記線形縦方向部分の少なくとも一部および前記アンビルの前記横方向部分の少なくとも一部に沿って延在する、アンビルと
を備える、ツールアセンブリ。
【請求項2】
前記カートリッジの前記横方向部分は、曲線を成し、前記アンビルの前記横方向部分は、曲線を成す、請求項1に記載のツールアセンブリ。
【請求項3】
前記カートリッジの前記横方向部分は、前記カートリッジの前記線形縦方向部分と前記カートリッジの前記横方向部分との間に曲率半径を画定し、前記アンビルの前記横方向部分は、前記アンビルの前記線形縦方向部分と前記アンビルの前記横方向部分との間に曲率半径を画定する、請求項2に記載のツールアセンブリ。
【請求項4】
前記カートリッジの前記横方向部分は線形部分を含み第2の縦軸は、前記カートリッジの前記横方向部分の前記線形部分に沿って延在し、前記第1の縦軸および前記第2の縦軸は、角度βを画定する、請求項1に記載のツールアセンブリ。
【請求項5】
角度βは、15度~60度である、請求項4に記載のツールアセンブリ。
【請求項6】
角度βは、30度~45度である、請求項5に記載のツールアセンブリ。
【請求項7】
前記中心メススロットの遠位端と前記第1の縦軸との間の距離は、2mm~10mmである、請求項1に記載のツールアセンブリ。
【請求項8】
前記距離は、4mm~8mmである、請求項7に記載のツールアセンブリ。
【請求項9】
前記カートリッジおよび前記アンビルの前記線形縦方向部分の長さは、前記ツールアセンブリの全長の少なくとも80%である、請求項1に記載のツールアセンブリ。
【請求項10】
外科手術用ステープル留めデバイスであって、
前記外科手術用ステープル留めデバイスは、本体部分と、前記本体部分の遠位端に結合されているツールアセンブリとを備え、
前記ツールアセンブリは、
カートリッジを含むカートリッジアセンブリであって、前記カートリッジの近位部分は、線形縦方向部分であり、第1の縦軸は、前記カートリッジの前記線形縦方向部分に沿って延在し、前記カートリッジの遠位部分は、前記第1の縦軸から外向きに湾曲している横方向部分であり、前記横方向部分は、前記線形縦方向部分に連続し、かつ、前記線形縦方向部分の遠位に位置付けられており、前記カートリッジは、中心メススロットと、前記中心メススロットの各側に位置付けられている少なくとも1列のステープルポケットを画定し、前記中心メススロットおよび前記少なくとも1列のステープルポケットは、前記カートリッジの前記線形縦方向部分の少なくとも一部および前記カートリッジの前記横方向部分の少なくとも一部に沿って延在する、カートリッジアセンブリと、
前記第1の縦軸に沿って位置付けられているアンビルであって、前記アンビルは、線形縦方向部分と横方向部分とを含み、前記アンビルの前記横方向部分は、前記アンビルの前記線形縦方向部分に連続し、かつ、前記アンビルの前記線形縦方向部分の遠位に位置付けられており、前記アンビルは、前記カートリッジアセンブリに隣接して支持されており、前記アンビルは、前記カートリッジの中心メススロットと整合されるアンビルメススロットと、前記アンビルメススロットの各側に位置付けられている少なくとも1列のステープル変形陥凹とを画定し、前記アンビルメススロットおよび前記少なくとも1列のステープル変形陥凹は、前記アンビルの前記線形縦方向部分の少なくとも一部および前記アンビルの前記横方向部分の少なくとも一部に沿って延在する、アンビルと
を備える、外科手術用ステープル留めデバイス。
【請求項11】
前記カートリッジの前記横方向部分は、曲線を成し、前記アンビルの前記横方向部分は、曲線を成す請求項10に記載の外科手術用ステープル留めデバイス。
【請求項12】
前記カートリッジの前記横方向部分は、曲率半径を画定し、前記アンビルの前記横方向部分は、曲率半径を画定する、請求項11に記載の外科手術用ステープル留めデバイス。
【請求項13】
前記カートリッジの前記横方向部分は線形部分を含み第2の縦軸は、前記カートリッジの前記横方向部分の前記線形部分に沿って延在し、前記第1の縦方向および前記第2の縦軸は、角度βを画定する、請求項10に記載の外科手術用ステープル留めデバイス。
【請求項14】
角度βは、15度~60度である、請求項13に記載の外科手術用ステープル留めデバイス。
【請求項15】
角度βは、30度~45度である、請求項14に記載の外科手術用ステープル留めデバイス。
【請求項16】
前記中心メススロットの遠位端と前記第1の縦軸との間の距離は、2mm~10mmである、請求項10に記載の外科手術用ステープル留めデバイス。
【請求項17】
前記距離は、4mm~8mmである、請求項16に記載の外科手術用ステープル留めデバイス。
【請求項18】
前記カートリッジおよび前記アンビルの前記線形縦方向部分の長さは、前記ツールアセンブリの全長の少なくとも80%である、請求項10に記載の外科手術用ステープル留めデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(1.技術の説明)
本開示は、線形外科手術用ステープル留めデバイスに関し、より具体的には、縦方向近位部分と、湾曲されたおよび/または角度付けられた遠位部分とを有し、身体組織の漏出防止解離を促進する、ツールアセンブリを含む、線形外科手術用ステープル留めデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
(2.関連技術の背景)
患者から身体器官の完全また部分的除去を行うための線形外科手術用ステープル留めデバイスの使用は、公知である。いくつかの手技、例えば、胃切除手技では、線形外科手術用ステープル留めデバイスのツールアセンブリは、身体器官の全長を横断して切断するために十分に長くない場合がある。これらの状況では、外科手術用ステープル留めデバイスを用いて、複数の切断動作を行い、患者から器官または器官の一部を除去することが必要である。
【0003】
外科手術用ステープル留めデバイスの各切断動作の間、組織は、切断線に沿って分割され、ステープルが、切断線に沿って適用され、切断部をシールする。切断線の端部は、頂点を有する終端点を画定する。外科手術手技が、外科手術手技を行うために複数の切断動作を要求する場合、切断線は、1つまたはそれを上回る終端点を含む。公知の外科手術用ステープラは、ステープルを終端点の頂点を横断して適用しないため、終端点は、漏出を被りやすい。漏出が生じる可能性を最小限にするために、臨床医は、終端点が、除去されている器官の側、すなわち、試料側に沿って含有されるように、終端点を交差することによって、第2の切断動作を行わなければならない。複数の切断動作が要求される場合、臨床医が切断線の終端点を適切にシールしながら直線切断線を維持することは、困難である。
【0004】
故に、複数の切断動作を要求する手技の間、漏出を最小限にするように構成される、線形外科手術用ステープル留めデバイスの継続的必要性が本分野に存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】米国特許第6,669,073号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一側面では、組織の漏出防止解離のためのツールアセンブリは、カートリッジアセンブリと、アンビルとを含む。カートリッジは、第1の縦軸を画定し、線形縦方向部分と、縦方向部分と連続し、その遠位に位置付けられる、横方向部分とを含む。カートリッジはまた、中心メススロットと、メススロットの各側に位置付けられる少なくとも1列のステープル受容ポケットとを画定する。アンビルは、第1の縦軸に沿って位置付けられ、線形縦方向部分と、縦方向部分と連続し、その遠位に位置付けられる横方向部分とを有する。アンビルは、カートリッジアセンブリに隣接して支持され、カートリッジ本体の中心メススロットと整合されるアンビルメススロットおよびアンビルメススロットの各側に位置付けられる少なくとも1列のステープル変形くぼみを画定する。
【0007】
カートリッジおよびアンビルの縦方向部分の長さは、ツールアセンブリの全長の少なくとも80%を形成することができる。
【0008】
実施形態では、中心メススロットおよび少なくとも1列のステープル受容ポケットは、カートリッジ本体の横方向部分の少なくとも一部に沿って延在する。
【0009】
いくつかの実施形態では、アンビルメススロットおよび少なくとも1列のステープル変形くぼみは、アンビルの横方向部分の少なくとも一部に沿って延在する。
【0010】
ある実施形態では、カートリッジおよびアンビルの横方向部分は、曲線を成す。
【0011】
実施形態では、カートリッジおよびアンビルの横方向部分は、湾曲され、曲率半径を画定する。
【0012】
いくつかの実施形態では、カートリッジおよびアンビルの横方向部分は、第2の縦軸を画定し、第1の縦方向および第2の縦軸は、角度βを画定する。
【0013】
ある実施形態では、角度βは、15度~60度である。
【0014】
実施形態では、角度βは、30度~45度である。
【0015】
いくつかの実施形態では、中心メススロットの遠位端は、距離Xだけ縦軸から外向きに離間され、Xは、2mm~10mmである。
【0016】
ある実施形態では、Xは、4mm~8mmである。
【0017】
本開示の別の側面では、外科手術用ステープル留めデバイスは、カートリッジアセンブリと、アンビルとを含む、組織の漏出防止解離のためのツールアセンブリを支持する、本体部分を含む。カートリッジは、第1の縦軸を画定し、線形縦方向部分と、縦方向部分と連続し、その遠位に位置付けられる横方向部分とを含む。カートリッジはまた、中心メススロットと、メススロットの各側に位置付けられる少なくとも1列のステープル受容ポケットとを画定する。アンビルは、第1の縦軸に沿って位置付けられ、線形縦方向部分と、縦方向部分と連続し、その遠位に位置付けられる横方向部分とを有する。アンビルは、カートリッジアセンブリに隣接して支持され、カートリッジ本体の中心メススロットと整合されるアンビルメススロットと、アンビルメススロットの各側に位置付けられる少なくとも1列のステープル変形くぼみとを画定する。
【0018】
カートリッジおよびアンビルの縦方向部分の長さは、ツールアセンブリの全長の少なくとも80%を形成することができる。
例えば、本発明は、以下を提供する。
(項目1)
組織の漏出防止解離のためのツールアセンブリであって、
第1の縦軸を画定し、線形縦方向部分および横方向部分を有する、カートリッジを含む、カートリッジアセンブリであって、上記横方向部分は、上記縦方向部分と連続し、その遠位に位置付けられ、上記カートリッジは、中心メススロットおよび上記メススロットの各側に位置付けられる少なくとも1列のステープル受容ポケットを画定する、カートリッジアセンブリと、
線形縦方向部分および横方向部分を有する上記第1の縦軸に沿って位置付けられる、アンビルであって、上記アンビルの横方向部分は、上記縦方向部分と連続し、その遠位に位置付けられ、上記アンビルは、上記カートリッジアセンブリに隣接して支持され、上記カートリッジ本体の中心メススロットと整合されるアンビルメススロットおよび上記アンビルメススロットの各側に位置付けられる少なくとも1列のステープル変形くぼみを画定する、アンビルと、
を備える、ツールアセンブリ。
(項目2)
上記中心メススロットおよび上記少なくとも1列のステープル受容ポケットは、上記カートリッジ本体の横方向部分の少なくとも一部に沿って延在する、上記項目に記載のツールアセンブリ。
(項目3)
上記アンビルメススロットおよび上記少なくとも1列のステープル変形くぼみは、上記アンビルの横方向部分の少なくとも一部に沿って延在する、上記項目のいずれかに記載のツールアセンブリ。
(項目4)
上記カートリッジおよび上記アンビルの横方向部分は、曲線を成す、上記項目のいずれかに記載のツールアセンブリ。
(項目5)
上記カートリッジおよびアンビルの横方向部分は、上記線形縦方向部分と横方向部分との間に曲率半径を画定する、上記項目のいずれかに記載のツールアセンブリ。
(項目6)
上記カートリッジおよびアンビルの横方向部分は、第2の縦軸を画定し、上記第1の縦軸および上記第2の縦軸は、角度βを画定する、上記項目のいずれかに記載のツールアセンブリ。
(項目7)
角度βは、15度~60度である、上記項目のいずれかに記載のツールアセンブリ。
(項目8)
角度βは、30度~45度である、上記項目のいずれかに記載のツールアセンブリ。
(項目9)
上記中心メススロットの遠位端は、距離Xだけ上記縦軸から外向きに離間され、Xは、
2mm~10mmである、上記項目のいずれかに記載のツールアセンブリ。
(項目10)
Xは、4mm~8mmである、上記項目のいずれかに記載のツールアセンブリ。
(項目11)
上記カートリッジおよび上記アンビルの縦方向部分の長さは、上記ツールアセンブリの全長の少なくとも80%である、上記項目のいずれかに記載のツールアセンブリ。
(項目12)
上記横方向部分は、上記横方向部分と上記縦方向部分との間に角を形成する、上記項目のいずれかに記載のツールアセンブリ。
(項目13)
外科手術用ステープル留めデバイスであって、
本体部分と、
上記本体部分の遠位端に結合されるツールアセンブリであって、
第1の縦軸を画定し、線形縦方向部分および横方向部分を有する、カートリッジを含む、カートリッジアセンブリであって、上記横方向部分は、上記縦方向部分と連続し、その遠位に位置付けられ、上記カートリッジは、中心メススロットおよび上記メススロットの各側に位置付けられる少なくとも1列のステープル受容ポケットを画定する、カートリッジアセンブリと、
線形縦方向部分および横方向部分を有する上記第1の縦軸に沿って位置付けられる、アンビルであって、上記アンビルの横方向部分は、上記アンビルの縦方向部分と連続し、その遠位に位置付けられ、上記アンビルは、上記カートリッジアセンブリに隣接して支持され、上記カートリッジ本体の中心メススロットと整合されるアンビルメススロットおよび上記アンビルメススロットの各側に位置付けられる少なくとも1列のステープル変形くぼみを画定する、アンビルと、
を備える、ツールアセンブリと、
を備える、外科手術用ステープル留めデバイス。
(項目14)
上記中心メススロットおよび上記少なくとも1列のステープル受容ポケットは、上記カートリッジ本体の横方向部分の少なくとも一部に沿って延在する、上記項目に記載の外科手術用ステープル留めデバイス。
(項目15)
上記アンビルメススロットおよび上記少なくとも1列のステープル変形くぼみは、上記アンビルの横方向部分の少なくとも一部に沿って延在する、上記項目のいずれかに記載の外科手術用ステープル留めデバイス。
(項目16)
上記カートリッジおよび上記アンビルの横方向部分は、曲線を成す、上記項目のいずれかに記載の外科手術用ステープル留めデバイス。
(項目17)
上記カートリッジおよびアンビルの横方向部分は、曲率半径を画定する、上記項目のいずれかに記載の外科手術用ステープル留めデバイス。
(項目18)
上記カートリッジおよびアンビルの横方向部分は、第2の縦軸を画定し、上記第1の縦方向および上記第2の縦軸は、角度βを画定する、上記項目のいずれかに記載の外科手術用ステープル留めデバイス。
(項目19)
角度βは、15度~60度である、上記項目のいずれかに記載の外科手術用ステープル留めデバイス。
(項目20)
角度βは、30度~45度である、上記項目のいずれかに記載の外科手術用ステープル留めデバイス。
(項目21)
上記中心メススロットの遠位端は、距離Xだけ上記縦軸から外向きに離間され、Xは、2mm~10mmである、上記項目のいずれかに記載の外科手術用ステープル留めデバイス。
(項目22)
Xは、4mm~8mmである、上記項目のいずれかに記載の外科手術用ステープル留めデバイス。
(項目23)
上記縦方向部分の長さは、上記ツールアセンブリの全長の少なくとも80%である、上記項目のいずれかに記載の外科手術用ステープル留めデバイス。
(項目24)
上記横方向部分は、上記横方向部分と上記縦方向部分との間に角を形成する、上記項目のいずれかに記載の外科手術用ステープル留めデバイス。
(摘要)
組織の漏出防止解離のためのツールアセンブリは、アンビルと、複数のステープルを格納するカートリッジとを含む。アンビルおよびカートリッジは、線形縦方向部分と、縦方向部分の遠位に位置付けられる横方向部分とを含む。カートリッジの線形縦方向部分およびアンビルアセンブリは、湾曲遠位部分より実質的に長い。使用時、例えば、胃切除等の複数の切断動作を要求する、外科手術手技が行われるとき、第1の切断動作は、器官、例えば、胃の試料側に向かって湾曲する、湾曲遠位部分を有する、実質的に線形の切断線を形成するように行われる。各後続切断動作では、ツールアセンブリの近位部分は、既存の切断線の終端点が、部分的に除去されている組織または器官の試料側に位置付けられるように、既存の切断線とともに位置付けられる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
組織の漏出防止解離のための本開示のツールアセンブリの種々の実施形態が、外科手術用ステープル留めデバイスの一部として、図面を参照して本明細書で後述される。
【0020】
図1図1は、電動式作動デバイスと、組織の漏出防止解離のための本開示のツールアセンブリの例示的実施形態とを含む、外科手術用ステープル留めデバイスの側面斜視図である。
図1A図1Aは、図1に示される手動式作動デバイスと、本開示のツールアセンブリとを含む、外科手術用ステープル留めデバイスの側面斜視図である。
図2図2は、図1および図2に示されるツールアセンブリの上面図である。
図2A図2Aは、アンビルが除去された、図2に示されるツールアセンブリのカートリッジアセンブリの上面図である。
図2B図2Bは、図2の切断線2B-2Bに沿って得られた断面図である。
図2C図2Cは、本開示のツールアセンブリの別の実施形態の上面図である。
図3図3は、図2に示されるツールアセンブリを用いた第1の切断動作後の組織の上面図である。
図4図4は、図2に示されるツールアセンブリを用いた第2の切断動作後の組織の上面図である。
図5図5は、図2に示されるツールアセンブリを用いた第3の切断動作後の組織の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
組織の漏出防止解離のための本開示のツールアセンブリが、ここで、外科手術用ステープル留めデバイスの一部として、類似参照番号が、いくつかの図のそれぞれにおいて同じまたは対応する要素を示す、図面を参照して、詳細に説明される。本説明では、用語「臨床医」は、概して、医師、看護師、および支援要員を含む、医療従事者を指すために使用され、用語「近位」は、概して、臨床医により近いデバイスの部分を指すために使用され、用語「遠位」は、概して、臨床医からより遠いデバイスの部分を指すために使用される。加えて、用語「内視鏡下」は、概して、小切開または患者の身体の中に挿入されるカニューレを通して行われる、内視鏡下、腹腔鏡下、関節鏡下、および任意の他の外科手術手技を指すために使用される。最後に、用語「試料側」は、概して、外科手術手技の間に患者から除去されている、身体組織の側または部分を指すために使用される。
【0022】
本開示のツールアセンブリは、身体組織内の切断線に沿った終端点にける漏出の可能性を最小限にするように構成される。ツールアセンブリは、外科手術用ステープル留めデバイスの遠位端に一体的に固着される、または代替として、外科手術用ステープル留めデバイスに解放可能に固着される、使い捨て装填ユニットもしくは再装填部の一部を形成することができる。加えて、ツールアセンブリの構成はまた、内視鏡下および観血式外科手術用ステープル留めデバイスの両方の中に組み込まれてもよい。
【0023】
実施形態では、ツールアセンブリは、アンビルと、複数のステープルを格納するカートリッジとを含む。アンビルおよびカートリッジのそれぞれを含む、ツールアセンブリは、線形縦方向近位部分と、横方向遠位部分とを有する。線形近位部分は、横方向に延在する遠位部分より実質的に長い。実施形態では、ツールアセンブリの遠位部分は、湾曲される、または線形近位部分と角度を画定してもよい。使用時、複数の切断動作を要求する外科手術手技、例えば、胃切除手技が行われるとき、第1の切断動作は、例えば、胃上の手術されている組織の試料側に向かって外向きに湾曲する湾曲遠位部分を有する、略線形切断線を形成するように行われる。各後続切断動作では、ツールアセンブリの近位部分は、部分的に除去されている組織の試料側に向かって湾曲または角度付けられている既存の切断線の終端点を伴う、既存の切断線の線形部分の端部と重複関係で位置付けられる。終端点を手術されている器官の試料側に位置付けることによって、切断線の終端点は、試料側に位置付けられ、除去されている組織とともに患者から除去される。
【0024】
図1を参照すると、概して10として示される本開示のツールアセンブリは、公知の外科手術用ステープル留めデバイスと併用するために好適である。実施形態では、外科手術用ステープル留めデバイス100は、電動式ハンドピース110と、電動式ハンドピース110から遠位に延在するアダプタ112と、アダプタ112の遠位端上に支持されるツールアセンブリ10とを含む。ツールアセンブリ10は、例えば、バヨネット式結合を使用して、アダプタ112の遠位端に解放可能に結合される、使い捨て装填ユニットまたは再装填部11の形態であってもよい。代替として、ツールアセンブリ10、アダプタ112、および/または電動式ハンドピースは、相互に一体的または非除去可能に固着されてもよいことが想起される。米国特許第9,055,943号(「第’943号特許」)は、電動式ハンドピースと、アダプタと、アダプタに解放可能に結合されるツールアセンブリとを有する、外科手術用ステープル留めデバイスを開示する。第’943号特許は、参照することによってその全体として本明細書に組み込まれる。
【0025】
図1Aを参照すると、いくつかの実施形態では、外科手術用ステープル留めデバイス200は、手動式ハンドピース210と、ハンドピース210から延在する伸長本体部分212と、伸長本体部分212の遠位端に結合されるツールアセンブリ10とを含む。ステープル留めデバイス100(図1)に関して前述のように、ツールアセンブリ10は、例えば、バヨネット式結合を使用して、伸長本体部分212の遠位端に解放可能に結合される使い捨て装填ユニットまたは再装填部11の形態であってもよい。代替として、ツールアセンブリ10および伸長本体部分212は、相互に一体的または非除去可能に固着されてもよいことが想起される。米国特許第5,865,361号(「第’361号特許」)は、手動式ハンドピースと、伸長本体部分と、伸長本体部分に解放可能に結合されるツールアセンブリとを有する、外科手術用ステープル留めデバイスを開示する。第’361号特許は、参照することによってその全体として本明細書に組み込まれる。ステープルカートリッジは、装填ユニットもしくはステープラジョーに取り付けられることができる、またはステープルカートリッジは、除去可能かつ交換可能なカートリッジアセンブリの一部であることができる。
【0026】
図1-2を参照すると、ツールアセンブリ10は、離間位置と接近位置との間で相互に対して移動可能であるアンビル12aおよびカートリッジアセンブリ14aを含む、一対のジョー12、14を含む。実施形態では、ジョー12、14の一方は、アダプタ112および/または本体部分212に対して固定されてもよく、他方のジョー12、14は、一方のジョー部材に対して、離間位置と接近位置との間の移動のために移動可能に支持されてもよい。代替として、ジョーは両方とも、離間位置と接近位置との間でアダプタ112および/または本体部分212に対して移動可能であってもよい。アダプタ112および伸長本体部分212は、矢印AA1(図1)/AA2(図1A)に沿って電動式ハンドピース110/ハンドピース210に対して回転可能であって、終端点を反対側に沿って位置付けることができる。外科手術手技および試料側の場所に応じて、本回転は、外科医に適応することができる。
【0027】
図2-2Bを参照すると、ジョー12、14の各々は、それぞれ、ジョー12、14が接近位置にあるとき、他方のジョーの組織接触表面と反対に位置付けられ、組織間隙「G」(図2B)を画定する、組織接触表面16、18、(図2B)を画定する。組織間隙「G」は、当技術分野において公知のように、ステープル留めされ、ツールアセンブリ10によって切断されるべき組織を咬持するように定寸される。第’361号特許は、組織を
ステープル留めし、切断するように構成される、ツールアセンブリを開示する。
【0028】
実施形態では、アンビル12aの組織接触表面16は、複数のステープル変形陥凹19と、アンビルメススロット20(図2B)とを画定する。加えて、カートリッジアセンブリ14aは、ステープル26を受容するステープルポケット24を画定する、ステープルカートリッジ22を含む。ステープルカートリッジ22はまた、メススロット28(図2B)を画定する。メススロット20および28は、当技術分野において公知のように、整合され、駆動部材32のメス30を受容し、アンビル12aとカートリッジアセンブリ14aとの間に咬持された組織を切断する。第’361号特許は、駆動部材と、メスとを含む、ツールアセンブリを開示する。したがって、これらの構成要素は、本明細書にさらに詳細に説明されない。
【0029】
ツールアセンブリ10(およびジョー部材12、14のそれぞれ)は、第1の縦軸「A」を画定する縦方向部分34と、縦方向部分34と連続し、その遠位に位置付けられる、横方向部分36とを含む。横方向部分36は、終端点TSから距離「X」だけ第1の縦軸「A」から離れるように外向きに湾曲されてもよい(図2A)。特定の理論に拘束されることを所望するわけではないが、距離「X」は、ステープル線(試料側と反対)全体が切断線を交差するように離間されることを確実にするために離間される。換言すると、ステープル線内の列の数(すなわち、2列、3列)に応じて、切断線は、非試料側のステープル線の全列の少なくとも一部を含有するであろう。一実施形態では、距離「X」は、約1mm~約10mmであってもよい。他の実施形態では、距離「X」は、約4mm~8mmであってもよい。他の実施形態では、距離「X」は、1mm~約30mmおよびその間の任意の下位範囲であってもよい。加えて、横方向部分36は、曲率半径を有し、第1の縦軸「A」および「B」の遷移を画定してもよい。横方向部分は、線形部分と横方向部分との間に角「C」を形成してもよい。
【0030】
作動されると、ツールアセンブリ10の動作部分「W」は、ツールアセンブリ10の全長の実質的部分に沿って延在する、ステープル線40および切断線42(図3)を画定する。本明細書で使用されるように、動作部分「W」は、ステープル線40および切断線42を形成する、ツールアセンブリ10の部分を意味する。ツールアセンブリ10の動作部分「W」の縦方向部分34は、長さ「Y」を有し、横方向部分36は、長さ「Z」を有する。長さ「Y」は、ツールアセンブリ10の動作部分「W」の全長の大部分を形成する。実施形態では、長さ「Y」は、動作部分「W」の全長の大きなパーセンテージである。例えば、一実施形態では、長さ「Y」は、動作部分「W」の全長の少なくとも80%であることができる。別の実施形態では、長さ「Y」は、動作部分「W」の全長の少なくとも90%である。
【0031】
図2Cを参照すると、代替実施形態では、ツールアセンブリ10’の横方向部分36’は、線形であって、縦方向部分34’の軸「A」と鋭角βを画定する、縦軸「B」を画定する。実施形態では、角度βは、ステープル線(試料側と反対)全体が切断線を交差するように離間されることを確実にするような値を有することができる。換言すると、ステープル線内の列の数(すなわち、2列、3列)に応じて、切断線は、非試料側のステープル線の全列の少なくとも一部を含有するであろう。例えば、角度βは、約15度~約60度であることができ、いくつかの実施形態では、約20度~40度およびその間の任意の下位範囲である。
【0032】
図3-6を参照すると、ツールアセンブリ10の動作部分「W」(図2A)の長さを上回る長さを有する組織の除去を要求する、外科手術手技が行われるとき、組織を患者から完全に分離するために、複数回、ツールアセンブリ10を動作させる必要がある。ツールアセンブリ10が作動され、組織を切断し、ステープル留めする度に、本明細書では、終端点「T1」および「T2」(図4)と称される、各切断線42a、42bの遠位端は、完全にシールされない場合があり、漏出を被り得る。このような漏出の高い可能性は、ツールアセンブリ10がステープルを終端点「T1」および「T2」を横断して横方向に留置しないため、終端点「T1」および「T2」において生じる。以下にさらに詳細に説明されるように、本開示のツールアセンブリ10は、臨床医が、切断線42の終端点「T1」および「T2」を手術されている組織の試料側「S」上に位置付け、漏出が患者内に留まる生体組織「LT」内に生じる可能性を最小限にすることを可能にする。
【0033】
使用時、外科手術手技、例えば、胃切除手技の間、組織、例えば、胃50の一部を患者から除去するために、ツールアセンブリ10のジョー12および14(図1)は、胃50の一部を中心として接近され、外科手術用ステープル留めデバイス100、200が、当技術分野において公知のように作動され、同時に、組織50を切断し、ステープル留めする。組織50を切断し、ステープル留めすることに先立って、臨床医は、ツールアセンブリ10の横方向部分36が、組織50の試料側「S」に向かって角度付けられる、または湾曲され、第1の切断線42aの第1の終端点T1が切断線42aによって画定された軸からオフセットされた組織50の試料側「S」に位置付けられるように、ツールアセンブリ10を位置付ける。
【0034】
外科手術用ステープラ100、200の第1の作動後、使い捨てユニット11(図1および1A)は、未使用カートリッジを含む、新しい使い捨て装填ユニット11と交換される。代替として、未使用カートリッジを伴う新しいステープル留めデバイスも、使用されることができる。次に、ステープル留めデバイス100、200は、ツールアセンブリ10の縦方向部分34が、既存の切断線42aの縦方向部分の遠位端60(図4)と整合され、ツールアセンブリ10の横方向部分36が、組織50の試料側「S」に向かって縦軸「A」から外向きに角度付けられる、または湾曲されるように、位置付けられる。ステープル留めデバイス100、200が、2回目として作動され、組織をステープル留めし、第2の切断線42b(図4)を形成すると、第1および第2の終端点T1およびT2は、第1および第2の切断線42aおよび42bの、または、切断線42(42aおよび42b)が直線ではない場合には少なくとも第2の切断線42bの、縦軸「A」からオフセットされた組織50の試料側「S」に位置付けられる。
【0035】
ステープル留めデバイス100、200の付加的作動または複数の作動が、手術されている組織50の試料側「S」を完全に解離および除去するために要求される場合、前述のステップは、組織が完全に解離およびステープル留めされ、組織試料「S」が除去されるまで繰り返される。本開示のツールアセンブリ10を用いて前述の方法を行うことによって、切断線42上の終端点は全て、手術されている組織50の試料側「S」に閉じ込められる。したがって、漏出を最も被りやすい切断線42に沿った点は、組織の解離が完了した後、組織50の試料側「S」とともに患者から除去される。
【0036】
当業者は、本明細書に具体的に説明され、付随の図面に図示されるデバイスおよび方法が、非限定的例示的実施形態であることを理解するであろう。一例示的実施形態に関連して図示または説明される要素および特徴は、本開示の範囲から逸脱することなく、別の実施形態の要素および特徴と組み合わせられてもよいことが想定される。同様に、当業者は、前述の実施形態に基づいて、本開示のさらなる特徴および利点を理解するであろう。故に、本開示は、添付の請求項によって示されるものを除き、具体的に図示および説明されたものによって限定されないものとする。
図1
図1A
図2
図2A
図2B
図2C
図3
図4
図5