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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-14
(45)【発行日】2022-01-14
(54)【発明の名称】基板処理方法および基板処理装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20220106BHJP
【FI】
H01L21/304 651M
H01L21/304 651B
H01L21/304 643A
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2017148111
(22)【出願日】2017-07-31
(65)【公開番号】P2019029527
(43)【公開日】2019-02-21
【審査請求日】2020-06-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】110002310
【氏名又は名称】特許業務法人あい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中井 仁司
(72)【発明者】
【氏名】金松 泰範
【審査官】今井 聖和
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-140818(JP,A)
【文献】特開2012-243869(JP,A)
【文献】特開2015-065396(JP,A)
【文献】特開2016-103595(JP,A)
【文献】特開2015-149410(JP,A)
【文献】特開2013-042093(JP,A)
【文献】特開2013-016699(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0099160(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属パターンが形成された第1主面、および前記第1主面の反対側の第2主面を有する基板を水平に保持する基板保持工程と、
被覆剤を前記第1主面に供給することによって、前記第1主面を覆う昇華性の被覆膜を形成する被覆膜形成工程と、
前記被覆膜の表面を洗浄する被覆膜洗浄工程とを含み、
前記被覆膜形成工程が、前記被覆剤が前記第1主面に供給された後に、前記基板を加熱することによって前記被覆剤を固化させて前記被覆膜を形成する固化工程を含み、
前記被覆膜洗浄工程の終了後に、前記被覆膜を昇華させる昇華工程をさらに含む、基板処理方法。
【請求項2】
前記被覆膜形成工程の終了後に、前記第2主面を洗浄する第2主面洗浄工程をさらに含み、
前記被覆膜洗浄工程が、前記第2主面洗浄工程の終了後に開始され、または、前記第2主面洗浄工程と並行して実行される、請求項1に記載の基板処理方法。
【請求項3】
前記被覆膜洗浄工程が、前記第2主面洗浄工程の終了後に前記被覆膜の表面の洗浄を開始する第1洗浄工程を含む、請求項2に記載の基板処理方法。
【請求項4】
前記被覆膜洗浄工程が、前記第2主面洗浄工程と並行して前記被覆膜の表面を洗浄する第2洗浄工程を含む、請求項2に記載の基板処理方法。
【請求項5】
前記第2洗浄工程が、前記第2主面洗浄工程の終了後に終了される、請求項4に記載の基板処理方法。
【請求項6】
前記被覆膜の表面を保護する保護液を前記被覆膜の表面に供給する保護液供給工程をさらに含み、
前記保護液供給工程が、前記被覆膜洗浄工程の開始前に前記第2主面洗浄工程と並行して実行される、請求項2~5のいずれか一項に記載の基板処理方法。
【請求項7】
前記被覆膜洗浄工程が、前記被覆膜の表面に洗浄液を供給することによって、前記被覆膜の表面を洗浄する工程を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の基板処理方法。
【請求項8】
前記被覆膜洗浄工程が、前記被覆膜の表層を除去する工程を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の基板処理方法。
【請求項9】
前記固化工程の開始前に、前記第2主面の周縁を洗浄する周縁洗浄工程をさらに含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の基板処理方法。
【請求項10】
金属パターンが形成された第1主面、および前記第1主面の反対側の第2主面を有する基板を水平に保持する基板保持ユニットと、
前記第1主面を覆う昇華性の被覆膜を形成可能な被覆剤を前記第1主面に供給する被覆剤供給ユニットと、
前記被覆膜の表面を洗浄する被覆膜洗浄ユニットと、
前記基板を加熱する基板加熱ユニットと、
前記被覆膜を昇華する昇華ユニットと、
前記基板保持ユニット、前記被覆剤供給ユニット前記被覆膜洗浄ユニット、前記基板加熱ユニット、および、前記昇華ユニットを制御する制御ユニットとを含み、
前記制御ユニットが、前記基板保持ユニットによって、前記基板が水平に保持される基板保持工程と、前記被覆剤供給ユニットから前記被覆剤を前記第1主面に供給することによって、前記被覆膜を形成する被覆膜形成工程と、前記被覆膜洗浄ユニットによって前記被覆膜の表面が洗浄される被覆膜洗浄工程とを実行するようにプログラムされており、
前記制御ユニットが、前記被覆膜形成工程において、前記被覆剤が前記第1主面に供給された後に、前記基板加熱ユニットによって前記基板が加熱されることによって、前記被覆膜を固化させる固化工程を実行するようにプログラムされており、
前記制御ユニットが、前記被覆膜洗浄工程の終了後に、前記昇華ユニットによって前記被覆膜が昇華される昇華工程を実行するようにプログラムされている、基板処理装置。
【請求項11】
前記第2主面を洗浄する第2主面洗浄ユニットをさらに含み、
前記制御ユニットが、前記被覆膜形成工程の終了後に、前記第2主面洗浄ユニットによって、前記第2主面が洗浄される第2主面洗浄工程をさらに実行するようにプログラムされており、
前記制御ユニットが、前記第2主面洗浄工程の終了後に前記被覆膜洗浄工程を開始するように、または、前記第2主面洗浄工程と並行して前記被覆膜洗浄工程を実行するようにプログラムされている、請求項10に記載の基板処理装置。
【請求項12】
前記制御ユニットが、前記被覆膜洗浄工程において、前記第2主面洗浄工程の終了後に、前記被覆膜洗浄ユニットによって、前記被覆膜の洗浄が開始される第1洗浄工程を実行するようにプログラムされている、請求項11に記載の基板処理装置。
【請求項13】
前記制御ユニットが、前記被覆膜洗浄工程において、前記第2主面洗浄工程と並行して、前記被覆膜洗浄ユニットによって、前記被覆膜の表面が洗浄される第2洗浄工程を実行するようにプログラムされている、請求項11に記載の基板処理装置。
【請求項14】
前記制御ユニットが、前記第2主面洗浄工程の終了後に前記第2洗浄工程を終了させるようにプログラムされている、請求項13に記載の基板処理装置。
【請求項15】
前記被覆膜の表面を保護する保護液を前記第1主面に供給する保護液供給ユニットをさらに含み、
前記制御ユニットが、前記被覆膜洗浄工程の開始前に前記第2主面洗浄工程と並行して、前記保護液供給ユニットから前記被覆膜の表面に前記保護液を供給する保護液供給工程を実行するようにプログラムされている、請求項1114のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項16】
前記被覆膜洗浄ユニットが、前記第1主面に向けて洗浄液を供給する洗浄液供給ユニットを有し、
前記制御ユニットが、前記被覆膜洗浄工程において、前記洗浄液供給ユニットから前記第1主面に向けて洗浄液を供給することによって、前記被覆膜の表面を洗浄する工程を実行するようにプログラムされている、請求項1015のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項17】
前記制御ユニットが、前記被覆膜洗浄工程において、前記被覆膜の表層を除去する工程を実行するようにプログラムされている、請求項1016のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項18】
前記第2主面の周縁を洗浄する周縁洗浄ユニットをさらに含み、
前記制御ユニットが、前記固化工程の開始前に、前記周縁洗浄ユニットによって、前記第2主面の周縁が洗浄される周縁洗浄工程を実行するようにプログラムされている、請求項10~17のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項19】
パターンが形成された第1主面、および前記第1主面の反対側の第2主面を有する基板を水平に保持する基板保持工程と、
被覆剤を前記第1主面に供給することによって、前記第1主面を覆う昇華性の被覆膜を、前記被覆膜の厚さが前記パターンの高さよりも大きくなるように形成する被覆膜形成工程と、
前記被覆膜の表面を洗浄する被覆膜洗浄工程と、
前記被覆膜洗浄工程の終了後に、前記基板を加熱することによって前記被覆膜を昇華させる昇華工程とを含み、
前記被覆膜洗浄工程は、前記被覆膜の表層を除去する工程であり、
前記被覆膜の前記表層の除去が、前記被覆膜の前記表層の除去の後においても前記被覆膜の厚さが前記パターンの高さよりも大きくなり前記パターンが露出しないように、行われ、
前記昇華工程は、前記被覆膜の前記表層の除去後に前記第1主面に残存する前記被覆膜の全てを除去する工程である、基板処理方法。
【請求項20】
前記被覆膜形成工程が、前記被覆剤が前記第1主面に供給された後に、前記基板を加熱することによって前記被覆剤を固化させて前記被覆膜を形成する固化工程を含む、請求項19に記載の基板処理方法。
【請求項21】
前記パターンが、金属パターンを含む、請求項19または20に記載の基板処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、基板を処理する基板処理方法および基板処理装置に関する。処理対象になる基板には、たとえば、半導体ウエハ、液晶表示装置用基板、有機EL(Electroluminescence)表示装置等のFPD(Flat Panel Display)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、セラミック基板、太陽電池用基板などの基板が含まれる。
【背景技術】
【0002】
枚葉式の基板処理装置による基板処理では、基板が1枚ずつ処理される。詳しくは、スピンチャックによって基板がほぼ水平に保持される。そして、基板の主面が薬液によって洗浄された後、リンス液によって主面がリンスされる。その後、基板上からリンス液を排除するスピンドライ工程が行われる(例えば、特許文献1を参照)。
基板の主面を薬液で処理することによって基板の主面に金属パターンが露出する。金属パターンが露出した状態で基板を長時間放置しておくと、金属パターンが酸化するおそれがある。そこで、特許文献2および3には、基板の主面を被覆するトップコート膜を形成する基板処理方法が開示されている。これにより、金属パターンの酸化が抑制される。基板の主面に更なる処理を施す際には、トップコート膜が除去される。
【0003】
特許文献2には、トップコート膜を除去液によって除去した後、基板の主面をリンス液で洗浄する方法が記載されている。一方、特許文献3には、トップコート膜が昇華によって除去される方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2000-156362号公報
【文献】特開2016-197762号公報
【文献】特開2015-149410号公報(第4の実施形態)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献2に記載の基板処理では、リンス液を振りきる際、基板の主面に形成された金属パターン間に入り込んだリンス液を除去できないおそれがある。それによって、乾燥不良が生じるおそれがある。金属パターンの内部に入り込んだリンス液の液面(空気と液体との界面)は、金属パターン内に形成されるので、液面と金属パターンとの接触位置に、液体の表面張力が作用する。この表面張力によって、金属パターンが倒壊するおそれがある。
【0006】
特許文献3の基板処理では、特許文献2の基板処理とは異なり、トップコート膜の除去に液体を用いない。そのため、金属パターンの倒壊を抑制することができる。しかし、トップコート膜の表面が汚染されている場合、トップコート膜を昇華させると、トップコート膜の表面に付着していた汚れ(パーティクル)が、基板の主面に残るおそれがある。
そこで、この発明の1つの目的は、基板の主面に被覆膜が形成される構成において、当該主面の汚染を抑制することができる基板処理方法および基板処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、第1主面、および前記第1主面の反対側の第2主面を有する基板を水平に保持する基板保持工程と、被覆剤を前記第1主面に供給することによって、前記第1主面を覆う昇華性の被覆膜を形成する被覆膜形成工程と、前記被覆膜の表面を洗浄する被覆膜洗浄工程とを含む、基板処理方法を提供する。
この方法によれば、被覆膜形成工程において昇華性の被覆膜が形成される。そのため、液体を用いることなく第1主面から被覆膜を除去することが可能である。また、被覆膜洗浄工程において、昇華性の被覆膜の表面が洗浄される。そのため、被覆膜洗浄工程後に被覆膜が昇華したとしても、被覆膜の表面に付着していた汚れが第1主面に残ることを抑制することができる。したがって、基板の第1主面の汚染を抑制することができる。
【0008】
この発明の一実施形態では、前記基板処理方法が、前記被覆膜形成工程の終了後に、前記第2主面を洗浄する第2主面洗浄工程をさらに含む。そして、前記被覆膜洗浄工程が、前記第2主面洗浄工程の終了後に開始され、または、前記第2主面洗浄工程と並行して実行される。
この方法によれば、第2主面洗浄工程によって、第2主面が洗浄される。その一方で、第2主面に着液した洗浄液が、基板の周辺を浮遊して被覆膜の表面に付着するおそれがある。第2主面に着液した洗浄液が、基板の周辺に配置された部材に向かって飛散し、当該部材に跳ね返されて被覆膜の表面に付着するおそれもある。さらに、第2主面に着液した洗浄液が、第1主面側に回り込み被覆膜の表面に付着するおそれもある。第2主面に一度着液した洗浄液には、パーティクル等の汚れが含まれていることがある。基板の周辺に配置された部材に跳ね返された洗浄液には、パーティクル等の汚れが一層含まれやすい。
【0009】
この基板処理方法によれば、被覆膜洗浄工程は、第2主面洗浄工程の終了後に開始され、または、被覆膜洗浄工程が第2主面洗浄工程と並行して実行される。そのため、第2主面洗浄工程に起因して被覆膜の表面に洗浄液が付着した場合であっても、被覆膜洗浄工程において、被覆膜の表面が洗浄される。したがって、第2主面洗浄工程によって第2主面が洗浄される基板処理方法において、第1主面の汚染を抑制できる。
【0010】
この発明の一実施形態では、前記被覆膜洗浄工程が、前記第2主面洗浄工程の終了後に前記被覆膜の表面の洗浄を開始する第1洗浄工程を含む。ここで、第2主面に着液した洗浄液が被覆膜の表面に達するまでには所定時間を要するため、第2主面洗浄工程の終了後、当該所定時間が経過するまでの間、洗浄液が被覆膜の表面に付着する可能性がある。この基板処理方法のように被覆膜の表面の洗浄が第2主面洗浄工程後に開始される方法であれば、第2主面洗浄工程に起因して被覆膜の表面に付着した洗浄液を確実に除去できる。また、第2主面洗浄工程の開始前から被覆膜の表面に汚れが付着していた場合であっても、この汚れを、第2主面洗浄工程に起因して被覆膜の表面に付着した洗浄液と同時に除去することができる。
【0011】
この発明の一実施形態では、前記被覆膜洗浄工程が、前記第2主面洗浄工程と並行して前記被覆膜の表面を洗浄する第2洗浄工程を含む。
そのため、第2主面洗浄工程に起因して被覆膜の表面に付着した洗浄液を即座に除去することができる。第2主面洗浄工程の開始前に被覆膜の表面に既に汚れが付着していた場合、第2主面に着液した洗浄液が被覆膜の表面に到達するまでに、当該汚れの除去を開始することができる。さらに、被覆膜洗浄工程が終了するまでの時間を短縮することもできる。したがって、単位時間当たりに処理できる基板の枚数を増大させることができる。つまり、スループットの向上が図れる。このように、スループットの向上を図りつつ、第1主面の汚染を抑制することができる。
【0012】
第2主面に着液した洗浄液が被覆膜の表面に達するまでには所定時間を要するため、第2主面洗浄工程の終了後、当該所定時間が経過するまでの間、洗浄液が被覆膜の表面に付着する可能性がある。そこで、この発明の一実施形態では、前記第2洗浄工程が、前記第2主面洗浄工程の終了後に終了される。そのため、被覆膜洗浄工程の終了後における、汚染された洗浄液の被覆膜の表面への付着を一層抑制することができる。
【0013】
この発明の一実施形態では、前記基板処理方法が、前記被覆膜の表面を保護する保護液を前記被覆膜の表面に供給する保護液供給工程をさらに含む。そして、前記保護液供給工程が、前記被覆膜洗浄工程の開始前に前記第2主面洗浄工程と並行して実行される。そのため、汚染された洗浄液の被覆膜の表面への付着が、保護液によって抑制される。したがって、第1主面の汚染を抑制することができる。
【0014】
この発明の一実施形態では、前記被覆膜洗浄工程が、前記被覆膜の表面に洗浄液を供給することによって、前記被覆膜の表面を洗浄する工程を含む。被覆膜洗浄工程において被覆膜の表面に供給された洗浄液は、被覆膜の表面上で広がる。そのため、被覆膜の表面の洗浄時間を低減することができる。
この発明の一実施形態では、前記被覆膜洗浄工程が、前記被覆膜の表層を除去する工程を含む。ここで、パーティクルが被覆膜の表面に強固に付着することによって、被覆膜の表面からパーティクルを除去しにくい場合が有り得る。このような場合であっても、被覆膜洗浄工程において、被覆膜の表層とともにパーティクルを除去することができる。したがって、被覆膜の表面を確実に洗浄することができる。
【0015】
この発明の一実施形態では、前記被覆膜形成工程が、前記被覆剤が前記第1主面に供給された後に、前記基板を加熱することによって前記被覆剤を固化させて前記被覆膜を形成する固化工程を含む。そのため、被覆膜を確実に形成することができる。
ここで、第1主面に供給された被覆剤は、第1主面の周縁部から第2主面に回り込み、第2主面の周縁部に付着することがある。この発明の一実施形態では、前記基板処理方法が、前記固化工程の開始前に、前記第2主面の周縁を洗浄する周縁洗浄工程をさらに含む。そのため、被覆剤による第2主面の汚染を抑制することができる。
【0016】
この発明の一実施形態では、前記基板処理方法が、前記被覆膜洗浄工程の終了後に、前記被覆膜を昇華させる昇華工程をさらに含む。そのため、被覆膜が昇華されて第1主面が露出される。被覆膜洗浄工程において被覆膜の表面が洗浄されているため、被覆膜の表面に付着していた汚れが被覆膜の昇華後に第1主面に残ることを抑制することができる。つまり、第1主面の汚染が抑制される。
【0017】
この発明の一実施形態では、前記第1主面には金属パターンが形成されている。そのため、昇華性の被覆膜を第1主面に形成し当該被覆膜の表面を洗浄する基板処理方法であれば、金属パターンの倒壊を抑制しつつ、第1主面の汚染を抑制できる。
この発明の一実施形態では、第1主面、および前記第1主面の反対側の第2主面を有する基板を水平に保持する基板保持ユニットと、前記第1主面を覆う昇華性の被覆膜を形成可能な被覆剤を前記第1主面に供給する被覆剤供給ユニットと、前記被覆膜の表面を洗浄する被覆膜洗浄ユニットと、前記基板保持ユニット、前記被覆剤供給ユニットおよび前記被覆膜洗浄ユニットを制御する制御ユニットとを含み、前記制御ユニットが、前記基板保持ユニットによって、前記基板が水平に保持される基板保持工程と、前記被覆剤供給ユニットから前記被覆剤を前記第1主面に供給することによって、前記被覆膜を形成する被覆膜形成工程と、前記被覆膜洗浄ユニットによって、前記被覆膜の表面が洗浄される被覆膜洗浄工程とを実行するようにプログラムされている、基板処理装置を提供する。
【0018】
この装置によれば、被覆膜形成工程において昇華性の被覆膜が形成される。そのため、液体を用いることなく第1主面から被覆膜を除去することが可能である。また、被覆膜洗浄工程において、昇華性の被覆膜の表面が洗浄される。そのため、被覆膜洗浄工程後に被覆膜が昇華したとしても、被覆膜の表面に付着していた汚れが第1主面に残ることを抑制することができる。したがって、基板の第1主面の汚染を抑制することができる。
【0019】
この発明の一実施形態では、前記基板処理装置が、前記第2主面を洗浄する第2主面洗浄ユニットをさらに含む。そして、前記制御ユニットが、前記被覆膜形成工程の終了後に、前記第2主面洗浄ユニットによって、前記第2主面が洗浄される第2主面洗浄工程をさらに実行するようにプログラムされている。さらに、前記制御ユニットが、前記第2主面洗浄工程の終了後に前記被覆膜洗浄工程を開始するように、または、前記第2主面洗浄工程と並行して前記被覆膜洗浄工程を実行するようにプログラムされている。
【0020】
この装置によれば、第2主面洗浄工程において、第2主面が洗浄される。その一方で、第2主面洗浄工程では、第2主面に着液した洗浄液が、基板の周辺を浮遊して被覆膜の表面に付着するおそれがある。第2主面に着液した洗浄液が、基板の周辺に配置された部材に向かって飛散し、当該部材に跳ね返されて被覆膜の表面に付着するおそれもある。さらに、第2主面に着液した洗浄液が、第1主面側に回り込み被覆膜の表面に付着するおそれもある。第2主面に一度着液した洗浄液には、パーティクル等の汚れが含まれていることがある。基板処理装置に備えられた部材に跳ね返された洗浄液には、パーティクル等の汚れが一層含まれやすい。
【0021】
この基板処理装置によれば、被覆膜洗浄工程は、第2主面洗浄工程の終了後に開始され、または、被覆膜洗浄工程が第2主面洗浄工程と並行して実行される。そのため、第2主面洗浄工程に起因して被覆膜の表面に洗浄液が付着した場合であっても、被覆膜洗浄工程において、被覆膜の表面が洗浄される。したがって、第2主面洗浄工程によって第2主面が洗浄される基板処理装置において、第1主面の汚染を抑制できる。
【0022】
この発明の一実施形態では、前記制御ユニットが、前記被覆膜洗浄工程において、前記第2主面洗浄工程の終了後に、前記被覆膜洗浄ユニットによって、前記被覆膜の洗浄が開始される第1洗浄工程を実行するようにプログラムされている。ここで、第2主面に着液した洗浄液が被覆膜の表面に達するまでには所定時間を要するため、第2主面洗浄工程の終了後、当該所定時間が経過するまでの間、洗浄液が被覆膜の表面に付着する可能性がある。この基板処理装置のように被覆膜の表面の洗浄が第2主面洗浄工程後に開始される構成であれば、第2主面洗浄工程に起因して被覆膜の表面に付着した洗浄液を確実に除去できる。また、第2主面洗浄工程の開始前から被覆膜の表面に汚れが付着していた場合であっても、この汚れを、第2主面洗浄工程に起因して被覆膜の表面に付着した洗浄液と同時に除去することができる。
【0023】
この発明の一実施形態では、前記制御ユニットが、前記被覆膜洗浄工程において、前記第2主面洗浄工程と並行して、前記被覆膜洗浄ユニットによって、前記被覆膜の表面が洗浄される第2洗浄工程を実行するようにプログラムされている。
そのため、第2主面洗浄工程に起因して被覆膜の表面に付着した洗浄液を即座に除去することができる。第2主面洗浄工程の開始前に被覆膜の表面に既に汚れが付着していた場合、第2主面に着液した洗浄液が被覆膜の表面に到達するまでに、当該汚れの除去を開始することができる。さらに、被覆膜洗浄工程が終了するまでの時間を短縮することもできる。したがって、単位時間当たりに処理できる基板の枚数を増大させることができる。つまり、スループットの向上が図れる。このように、スループットの向上を図りつつ、第1主面の汚染を抑制することができる。
【0024】
前述したように、第2主面に着液した洗浄液が被覆膜の表面に達するまでには所定時間を要するため、第2主面洗浄工程の終了後、当該所定時間が経過するまでの間、洗浄液が被覆膜の表面に付着する可能性がある。そこで、この発明の一実施形態では、前記制御ユニットが、前記第2主面洗浄工程の終了後に前記第2洗浄工程を終了させるようにプログラムされている。そのため、被覆膜洗浄工程の終了後における、汚染された洗浄液の被覆膜の表面への付着を一層抑制することができる。
【0025】
この発明の一実施形態では、前記基板処理装置が、前記被覆膜の表面を保護する保護液を前記第1主面に供給する保護液供給ユニットをさらに含む。そして、前記制御ユニットが、前記被覆膜洗浄工程の開始前に前記第2主面洗浄工程と並行して、前記保護液供給ユニットから前記被覆膜の表面に前記保護液を供給する保護液供給工程を実行するようにプログラムされている。そのため、汚染された洗浄液の被覆膜の表面への付着が、保護液によって抑制される。したがって、第1主面の汚染を抑制することができる。
【0026】
この発明の一実施形態では、前記被覆膜洗浄ユニットが、前記第1主面に向けて洗浄液を供給する洗浄液供給ユニットを有する。そして、前記制御ユニットが、前記被覆膜洗浄工程において、前記洗浄液供給ユニットから前記第1主面に向けて洗浄液を供給することによって、前記被覆膜の表面を洗浄する工程を実行するようにプログラムされている。
そのため、被覆膜洗浄工程において被覆膜の表面に供給された洗浄液は、被覆膜の表面上で広がる。そのため、被覆膜の表面の洗浄時間を低減することができる。
【0027】
この発明の一実施形態では、前記制御ユニットが、前記被覆膜洗浄工程において、前記被覆膜の表層を除去する工程を実行するようにプログラムされている。ここで、パーティクルが被覆膜の表面に強固に付着することによって、被覆膜の表面からパーティクルを除去しにくい場合が有り得る。このような場合であっても、被覆膜洗浄工程において、被覆膜の表層とともにパーティクルを除去することができる。したがって、被覆膜の表面を確実に洗浄することができる。
【0028】
この発明の一実施形態では、前記基板処理装置が、前記基板を加熱する基板加熱ユニットをさらに含む。そして、前記制御ユニットが、前記被覆膜形成工程において、前記被覆剤が前記第1主面に供給された後に、前記基板加熱ユニットによって、前記基板が加熱されることによって、前記被覆膜を固化させる固化工程を実行するようにプログラムされている。そのため、被覆膜を確実に形成することができる。
【0029】
ここで、第1主面に供給された被覆剤は、第1主面の周縁部から第2主面に回り込み、第2主面の周縁部に付着することがある。この発明の一実施形態では、前記基板処理装置が、前記第2主面の周縁を洗浄する周縁洗浄ユニットをさらに含む。そして、前記制御ユニットが、前記固化工程の開始前に、前記周縁洗浄ユニットによって、前記第2主面の周縁が洗浄される周縁洗浄工程を実行するようにプログラムされている。そのため、被覆剤による第2主面の汚染を抑制することができる。
【0030】
この発明の一実施形態では、前記基板処理装置が、前記被覆膜を昇華する昇華ユニットをさらに含む。そして、前記制御ユニットが、前記被覆膜洗浄工程の終了後に、前記昇華ユニットによって、前記被覆膜が昇華される昇華工程を実行するようにプログラムされている。そのため、被覆膜が昇華されて第1主面が露出される。被覆膜洗浄工程において被覆膜の表面が洗浄されているため、被覆膜の表面に付着していた汚れが被覆膜の昇華後に第1主面に残ることを抑制することができる。つまり、第1主面の汚染が抑制される。
【0031】
この発明の一実施形態では、前記第1主面には金属パターンが形成されている。そのため、昇華性の被覆膜を第1主面に形成し、当該被覆膜の表面を洗浄する構成の基板処理装置であれば、金属パターンの倒壊を抑制しつつ、第1主面の汚染を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1A図1Aは、この発明の第1実施形態に係る基板処理装置の構成を説明するための平面図である。
図1B図1Bは、前記基板処理装置の構成を説明するための図解的な立面図である。
図2図2は、前記基板処理装置に備えられた第1液処理ユニットの構成例を説明するための図解的な断面図である。
図3図3は、前記基板処理装置に備えられた第2液処理ユニットの構成例を説明するための図解的な断面図である。
図4図4は、前記基板処理装置に備えられた第1加熱ユニットの構成例を説明するための図解的な断面図である。
図5図5は、前記基板処理装置に備えられた第2加熱ユニットの構成例を説明するための図解的な断面図である。
図6図6は、前記基板処理装置の主要部の電気的構成を説明するためのブロック図である。
図7図7は、前記基板処理装置による基板処理の第1例を説明するための流れ図である。
図8A図8Aは、前記基板処理を説明するための図解的な断面図である。
図8B図8Bは、前記基板処理を説明するための図解的な断面図である。
図8C図8Cは、前記基板処理を説明するための図解的な断面図である。
図8D図8Dは、前記基板処理を説明するための図解的な断面図である。
図8E図8Eは、前記基板処理を説明するための図解的な断面図である。
図8F図8Fは、前記基板処理を説明するための図解的な断面図である。
図8G図8Gは、前記基板処理を説明するための図解的な断面図である。
図8H図8Hは、前記基板処理を説明するための図解的な断面図である。
図9A図9Aは、前記基板処理において被覆膜洗浄工程が開始される直前の基板の第1主面の周辺の模式的な断面図である。
図9B図9Bは、前記被覆膜洗浄工程が終了した直後の基板の第1主面の周辺の模式的な断面図である。
図10図10は、前記基板処理装置による基板処理の第2例を説明するための図解的な断面図である。
図11A図11Aは、前記基板処理装置による基板処理の第3例を説明するための図解的な断面図である。
図11B図11Bは、前記基板処理装置による基板処理の第3例を説明するための図解的な断面図である。
図12A図12Aは、前記基板処理装置による基板処理の第4例を説明するための図解的な断面図である。
図12B図12Bは、前記基板処理装置による基板処理の第4例を説明するための図解的な断面図である。
図13図13は、第2実施形態に係る基板処理装置に備えられた第2液処理ユニットの構成例を説明するための図解的な断面図である。
図14図14は、第3実施形態に係る基板処理装置に備えられた第2液処理ユニットの構成例を説明するための図解的な断面図である。
図15図15は、第4実施形態に係る基板処理装置の構成を説明するための図解的な立面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下では、この発明の実施の形態を添付図面を参照して詳細に説明する。
<第1実施形態>
図1Aは、この発明の第1実施形態に係る基板処理装置1の構成を説明するための平面図である。図1Bは、基板処理装置1の構成を説明するための図解的な立面図である。
図1Aを参照して、基板処理装置1は、半導体ウエハ等の基板W一枚ずつに対して、洗浄処理やエッチング処理等の各種の処理を施す枚葉式の装置である。基板処理装置1で処理される基板Wは、例えば、主面に金属パターンが形成された基板である。詳しくは、基板Wは、第1主面W1と、第1主面W1の反対側の主面である第2主面W2とを有する(図1B参照)。第1主面W1には、金属パターンが形成されており、第2主面W2には、金属パターンが形成されていない。
【0034】
基板処理装置1は、薬液やリンス液などの処理液で基板Wを処理する複数(本実施形態では4つ)の処理タワー2A~2Dを含む。複数の処理タワー2A~2Dをまとめて処理タワー2という。
基板処理装置1は、処理タワー2で処理される複数枚の基板Wを収容するキャリヤCが載置されるロードポートLPと、ロードポートLPと処理タワー2との間で基板Wを搬送する搬送ロボットIRおよびCRと、基板処理装置1を制御する制御ユニット3とをさらに含む。
【0035】
基板処理装置1は、水平方向に延びる搬送路5をさらに含む。搬送路5は、搬送ロボットIRから搬送ロボットCRに向かって直線状に延びている。搬送ロボットIRは、キャリヤCと搬送ロボットCRとの間で基板Wを搬送する。搬送ロボットCRは、搬送ロボットIRと処理タワー2との間で基板Wを搬送する。
複数の処理タワー2は、搬送路5を挟んで対称に配置されている。複数の処理タワー2は、搬送路5の両側のそれぞれにおいて、搬送路5が延びる方向(延長方向X)に沿って並んでいる。本実施形態では、処理タワー2は、搬送路5の両側に2つずつ配置されている。
【0036】
複数の処理タワー2A~2Dのうち、搬送ロボットIRに近い側の2つの処理タワー2のそれぞれを、第1処理タワー2Aおよび第2処理タワー2Bという。第1処理タワー2Aおよび第2処理タワー2Bは、搬送路5を挟んで互いに対向している。複数の処理タワー2A~2Dのうち、搬送ロボットIRから遠い側の2つの処理タワー2のそれぞれを、第3処理タワー2Cおよび第4処理タワー2Dという。第3処理タワー2Cおよび第4処理タワー2Dは、搬送路5を挟んで互いに対向している。第1処理タワー2Aおよび第3処理タワー2Cは、延長方向Xに並んで配置されている。第2処理タワー2Bおよび第4処理タワー2Dは、延長方向Xに並んで配置されている。
【0037】
各処理タワー2Aは、基板Wを処理液で処理するユニット、および基板Wを加熱するユニット等を備えている。詳しくは後述するが、処理液としては、薬液、リンス液、洗浄液、被覆剤、除去液等が挙げられる。
具体的には、第1処理タワー2Aは、第1液処理ユニットM11およびM12と、第1加熱ユニットD11とを含む。第2処理タワー2Bは、第1液処理ユニットM13およびM14と、第1加熱ユニットD12とを含む。第3処理タワー2Cは、第2液処理ユニットM21およびM22と、第2加熱ユニットD21とを含む。第4処理タワー2Dは、第2液処理ユニットM23およびM24と、第2加熱ユニットD22とを含む。
【0038】
複数の第1液処理ユニットM11~14は、例えば、同様の構成を有している。複数の第1液処理ユニットM11~M14を総称するときは、第1液処理ユニットM1という。複数の第1加熱ユニットD11およびD12は、例えば、同様の構成を有している。複数の第1加熱ユニットD11およびD12を総称するときは、第1加熱ユニットD1という。複数の第2液処理ユニットM21~24は、例えば、同様の構成を有している。複数の第2液処理ユニットM21~M24を総称するときは、第2液処理ユニットM2という。複数の第2加熱ユニットD21およびD22は、例えば、同様の構成を有している。複数の第2加熱ユニットD21およびD22を総称するときは、第2加熱ユニットD2という。
【0039】
図1Bを参照して、第1処理タワー2Aでは、第1液処理ユニットM11、第1加熱ユニットD11および第1液処理ユニットM12が、上下に積層されている。第1処理タワー2Aでは、第1液処理ユニットM11が最も下側に配置されており、第1液処理ユニットM12が最も上側に配置されている。第2処理タワー2Bでは、第1液処理ユニットM13、第1加熱ユニットD12および第1液処理ユニットM14が、上下に積層されている。第2処理タワー2Bでは、第1液処理ユニットM13が最も下側に配置されており、第1液処理ユニットM14が最も上側に配置されている。
【0040】
第3処理タワー2Cでは、第2液処理ユニットM21、第2加熱ユニットD21および第2液処理ユニットM22が、上下に積層されている。第3処理タワー2Cでは、第2液処理ユニットM21が最も下側に配置されており、第2液処理ユニットM22が最も上側に配置されている。第4処理タワー2Dでは、第2液処理ユニットM23、第2加熱ユニットD22および第2液処理ユニットM24が、上下に積層されている。第4処理タワー2Dでは、第2液処理ユニットM23が最も下側に配置されており、第2液処理ユニットM24が最も上側に配置されている。
【0041】
図2は、第1液処理ユニットM1の構成例を説明するための図解的な断面図である。
第1液処理ユニットM1は、チャンバR1と、基板Wを回転可能に水平に保持する第1スピンチャック10と、第1スピンチャック10を取り囲む複数のカップ11,12(第1カップ11および第2カップ12)と、基板W上から基板W外に排除される処理液を受ける複数のガード13,14(第1ガード13および第2ガード14)とを含む。第1スピンチャック10、複数のカップ11,12、および複数のガード13,14は、チャンバR1内に配置されている。
【0042】
第1液処理ユニットM1は、薬液供給ユニット15と、第1リンス液供給ユニット16と、被覆剤供給ユニット17と、除去液供給ユニット18と、有機溶剤供給ユニット19とをさらに含む。薬液供給ユニット15は、基板Wの上面にフッ酸等の薬液を供給するユニットである。第1リンス液供給ユニット16は、基板Wの上面に脱イオン水(DIW:Deionized Water)等のリンス液を供給するユニットである。被覆剤供給ユニット17は、被覆剤を基板Wの上面に供給するユニットである。除去液供給ユニット18は、基板Wに付着した被覆剤を除去するための除去液を基板Wの下面の周縁に供給するユニットである。有機溶剤供給ユニット19は、イソプロピルアルコール(Isopropyl Alcohol: IPA)等の有機溶剤を基板Wの上面に供給するユニットである。
【0043】
第1スピンチャック10は、スピンベース21と、回転軸22と、回転軸22に回転力を与える電動モータ23とを含む。回転軸22は、中空軸である。回転軸22は回転軸線A1に沿って鉛直方向に延びている。回転軸22の上端には、スピンベース21が結合されている。スピンベース21は、水平方向に沿う円盤状の円板部21Aと、回転軸22の上端に外嵌される筒状部21Bとを有している。円板部21Aの上面の直径は、基板Wの直径よりも小さい。
【0044】
第1スピンチャック10は、基板Wをスピンベース21に保持させるために、スピンベース21の上面に配置された基板Wを吸引する吸引ユニット27をさらに含む。スピンベース21および回転軸22には、吸引経路25が挿通されている。吸引経路25は、スピンベース21の上面の中心から露出する吸引口24を有する。吸引経路25は、吸引管26に連結されている。吸引管26は、真空ポンプなどの吸引ユニット27に連結されている。吸引管26には、その経路を開閉するための吸引バルブ28が介装されている。第1スピンチャック10は、基板Wを水平に保持するための基板保持ユニットの一例である。
【0045】
電動モータ23は、回転軸22に回転力を与える。電動モータ23によって回転軸22が回転されることにより、スピンベース21が回転される。これにより、基板Wが回転軸線A1まわりに回転される。以下では、基板Wの回転径方向内方を単に「径方向内方」といい、基板Wの回転径方向外方を単に「径方向外方」という。電動モータ23は、基板Wを回転軸線A1まわりに回転させる回転ユニットの一例である。
【0046】
チャンバR1の側壁30には、搬送ロボットCRによって基板Wが搬出入される出入口31が形成されている。チャンバR1には、出入口31を開閉するシャッタ32が設けられている。シャッタ32は、シャッタ開閉ユニット33によって開閉駆動される。
各カップ11,12は、上向きに開いた環状の溝を有している。各カップ11,12は、第1スピンチャック10を取り囲んでいる。第2カップ12は、第1カップ11よりも径方向外方に配置されている。各カップ11,12の溝には、回収配管(図示せず)または排出配管(図示せず)が接続されている。
【0047】
ガード13,14は、平面視で第1スピンチャック10を取り囲むように配置されている。第2ガード14は、第1ガード13よりも径方向外方に配置されている。第1ガード13は、第1カップ11よりも上方で第1スピンチャック10を取り囲む第1筒状部13Aと、径方向内方に向かうにしたがって上方に向かうように、第1筒状部13Aから延びる第1延設部13Bとを含む。第2ガード14は、第2カップ12よりも上方で第1スピンチャック10を取り囲む第2筒状部14Aと、径方向内方に向かうにしたがって上方に向かうように、第2筒状部14Aから延びる第2延設部14Bとを含む。
【0048】
基板Wから排除される処理液はガード13,14によって受けられる。第1ガード13によって受けられた処理液は、第1筒状部13Aを伝って第1カップ11に導かれる。第2ガード14によって受けられた処理液は、第2筒状部14Aを伝って第2カップ12に導かれる。各カップ11,12の底部に導かれた処理液は、回収配管または排出配管を通じて、回収または廃棄される。
【0049】
第1ガード13は、第1ガード昇降ユニット36によって、上位置と下位置との間で昇降される。第2ガード14は、第2ガード昇降ユニット37によって、上位置と下位置との間で昇降される。第1ガード13が上位置に位置するとき、第1ガード13の上端は、基板Wよりも上方に位置する。第1ガード13が下位置に位置するとき、第1ガード13の上端は、基板Wよりも下方に位置する。第2ガード14が上位置に位置するとき、第2ガード14の上端は、基板Wよりも上方に位置する。第2ガード14が下位置に位置するとき、第2ガード14の上端は、基板Wよりも下方に位置する。
【0050】
第1ガード13の第1延設部13Bは、第2ガード14の第2延設部14Bに下方から対向している。そのため、第2ガード14は、第1ガード13よりも下方に移動することができない。したがって、第1ガード13が上位置に位置するとき、第2ガード14は、下位置に位置することができない。第1ガード13および第2ガード14の両方が上位置に位置するとき、基板Wから排除される処理液は、第1ガード13によって受けられる。第1ガード13が下位置に位置し第2ガード14が上位置に位置するとき、基板Wから排除される処理液は、第2ガード14によって受けられる。第1ガード13および第2ガード14の両方が下位置に位置するとき、搬送ロボットCRがスピンベース21にアクセスできる。
【0051】
薬液供給ユニット15は、基板Wの上面に向けて薬液を吐出する薬液ノズル40と、薬液ノズル40に結合された薬液供給管41と、薬液供給管41に介装された薬液バルブ42とを含む。薬液供給管41には、薬液供給源から、フッ酸(フッ化水素水:HF)などの薬液が供給されている。薬液バルブ42は、薬液供給管41内の流路を開閉する。薬液ノズル40は、この実施形態では、水平方向および鉛直方向における位置が固定された固定ノズルである。
【0052】
薬液ノズル40から吐出される薬液は、基板Wのエッチング等に用いられる液体である。薬液ノズル40から吐出される薬液は、フッ酸に限られない。薬液ノズル40から吐出される薬液は、硫酸、酢酸、硝酸、塩酸、フッ酸、バッファードフッ酸(BHF)、希フッ酸(DHF)、アンモニア水、過酸化水素水、有機酸(たとえば、クエン酸、蓚酸等)、有機アルカリ(たとえば、TMAH:テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドなど)、界面活性剤、腐食防止剤のうちの少なくとも1つを含む液であってもよい。これらを混合した薬液の例としては、SPM(硫酸過酸化水素水混合液)、SC1(アンモニア過酸化水素水混合液)、SC2(塩酸過酸化水素水混合液)などが挙げられる。
【0053】
第1リンス液供給ユニット16は、基板Wの上面に向けてリンス液を吐出する第1リンス液ノズル50と、第1リンス液ノズル50に結合された第1リンス液供給管51と、第1リンス液供給管51に介装された第1リンス液バルブ52とを含む。第1リンス液供給管51には、第1リンス液供給源から、DIWなどのリンス液が供給されている。第1リンス液バルブ52は、第1リンス液供給管51内の流路を開閉する。第1リンス液ノズル50は、この実施形態では、水平方向および鉛直方向における位置が固定された固定ノズルである。
【0054】
リンス液は、基板Wに付着した薬液等を洗い流すための液体である。第1リンス液ノズル50から吐出されるリンス液は、DIWに限られない。第1リンス液ノズル50から吐出されるリンス液は、炭酸水、電解イオン水、オゾン水、アンモニア水、希釈濃度(たとえば、10ppm~100ppm程度)の塩酸水、還元水(水素水)であってもよい。
被覆剤供給ユニット17は、基板Wの上面に向けて被覆剤を吐出する被覆剤ノズル60と、被覆剤ノズル60に結合された被覆剤供給管61と、被覆剤供給管61に介装された被覆剤バルブ62とを含む。被覆剤供給管61には、リンス液供給源から、被覆剤が供給されている。被覆剤バルブ62は、被覆剤供給管61内の流路を開閉する。
【0055】
被覆剤ノズル60から吐出される被覆剤は、昇華性の被覆膜を形成することができる液体である。被覆剤は、例えば、昇華性のアクリル系ポリマーを有機溶媒に溶解させた溶液である。昇華性のアクリル系ポリマーを溶解させる有機溶媒としては、PGEE(1-エトキシ-2-プロパノール)等が挙げられる。この実施形態では、被覆剤が250℃に加熱されることによって、有機溶媒が蒸発し、被覆膜が形成される。また、被覆膜は、300℃に加熱されることによって、昇華する。
【0056】
被覆剤ノズル60は、被覆剤ノズル移動ユニット38によって鉛直方向および水平方向に移動される。被覆剤ノズル60は、水平方向の移動によって、中央位置と退避位置との間で移動される。被覆剤ノズル60が中央位置に位置するとき、被覆剤ノズル60に設けられた吐出口60aが基板Wの上面の回転中心位置に鉛直方向から対向する。被覆剤ノズル60が退避位置に位置するとき、吐出口60aは、基板Wの上面に鉛直方向から対向しない。基板Wの上面の回転中心位置とは、基板Wの上面における回転軸線A1との交差位置である。
【0057】
除去液供給ユニット18は、基板Wの下面の周縁部に向けて除去液を吐出する除去液ノズル70と、除去液ノズル70に結合された除去液供給管71と、除去液供給管71に介装された除去液バルブ72とを含む。除去液供給管71には、除去液供給源から、TMAH等の除去液が供給されている。除去液バルブ72は、除去液供給管71内の流路を開閉する。
【0058】
除去液ノズル70から吐出される除去液は、たとえば、IPAである。除去液ノズル70から吐出される除去液は、IPAに限られない。除去液ノズル70から吐出される除去液は、アルカリ性を有する液体であってもよい。除去液ノズル70から吐出される除去液は、TMAHに限られない。除去液は、たとえば、アンモニア水、コリン水溶液であってもよい。除去液は、TMAH、アンモニア水、コリン水溶液等の混合液であってもよい。
【0059】
有機溶剤供給ユニット19は、基板Wの上面に向けて有機溶剤を吐出する有機溶剤ノズル80と、有機溶剤ノズル80に結合された有機溶剤供給管81と、有機溶剤供給管81に介装された有機溶剤バルブ82とを含む。有機溶剤供給管81には、有機溶剤供給源から、IPA等の有機溶剤が供給されている。有機溶剤バルブ82は、有機溶剤供給管81内の流路を開閉する。
【0060】
有機溶剤ノズル80から吐出される有機溶剤は、IPAに限られない。有機溶剤ノズル80から吐出される有機溶剤は、被覆剤に含有される溶媒と、リンス液に含有される水との両方と混和可能であればよい。
図3は、第2液処理ユニットM2の構成例を説明するための図解的な断面図である。
第2液処理ユニットM2は、チャンバR2と、基板Wを回転可能に水平に保持する第2スピンチャック100と、第2スピンチャック100を取り囲む第3カップ101と、基板W上から基板W外に排除される処理液を受ける第3ガード102とを含む。第2スピンチャック100、第3カップ101および第3ガード102は、チャンバR2内に配置されている。
【0061】
第2液処理ユニットM2は、第1洗浄液供給ユニット103と、第2洗浄液供給ユニット104と、第2リンス液供給ユニット105と、第3リンス液供給ユニット106とをさらに含む。第1洗浄液供給ユニット103は、基板Wの上面に洗浄液を供給する。第2洗浄液供給ユニット104は、基板Wの下面に洗浄液を供給する。第2リンス液供給ユニット105は、基板Wの上面にDIW等のリンス液を供給する。第3リンス液供給ユニット106は、基板Wの下面にDIW等のリンス液を供給する。
【0062】
第2スピンチャック100は、一枚の基板Wを水平な姿勢で保持しながら基板Wの中央部を通る鉛直な回転軸線A2まわりに基板Wを回転させる。第2スピンチャック100は、スピンベース121と、複数のチャックピン120と、回転軸122と、電動モータ123とを含む。スピンベース121は、水平方向に沿う円板形状を有している。スピンベース121の上面には、複数のチャックピン120が周方向に間隔を空けて配置されている。基板Wは、複数のチャックピン120に挟持されているとき、スピンベース121の上面から上方に離間している。回転軸122は、スピンベース21の下面中央に結合されている。回転軸122は、中空軸である。回転軸122は、回転軸線A2に沿って鉛直方向に延びている。電動モータ123は、回転軸122に回転力を与える。電動モータ123によって回転軸122が回転されることにより、スピンベース121が回転される。これにより、基板Wが回転軸線A2のまわりに回転される。電動モータ123は、基板Wを回転軸線A2のまわりに回転させる回転ユニットに含まれる。
【0063】
チャンバR2の側壁130には、搬送ロボットCRによって基板Wが搬出入される出入口131が形成されている。チャンバR2には、出入口131を開閉するシャッタ132が設けられている。シャッタ132は、シャッタ開閉ユニット133によって開閉駆動される。
第3カップ101は、上向きに開いた環状の溝を有している。第3カップ101は、第2スピンチャック100を取り囲んでいる。第3カップ101の溝には、回収配管(図示せず)または排出配管(図示せず)が接続されている。第3ガード102は、平面視で第2スピンチャック100を取り囲むように配置されている。
【0064】
第3ガード102は、第3カップ101よりも上方で第2スピンチャック100を取り囲む第3筒状部102Aと、径方向内方に向かうにしたがって上方に向かうように第3筒状部102Aから延びる第3延設部102Bとを含む。
基板Wから排除される処理液は、第3筒状部102Aを伝って第3カップ101に導かれる。第3カップ101の底部に導かれた処理液は、回収配管または排出配管を通じて、回収または廃棄される。
【0065】
第3ガード102は、第3ガード昇降ユニット136によって、上位置と下位置との間で昇降される。第3ガード102が上位置に位置するとき、第3ガード102の上端は、基板Wよりも上方に位置する。第3ガード102が下位置に位置するとき、第3ガード102の上端は、基板Wよりも下方に位置する。第3ガード102は、上位置に位置するとき、基板Wから排除される処理液を受ける。第3ガード102が下位置に位置するとき、搬送ロボットCRがスピンベース121にアクセスできる。
【0066】
第1洗浄液供給ユニット103は、基板Wの上面に向けて洗浄液を吐出する第1洗浄液ノズル140と、第1洗浄液ノズル140に結合された第1洗浄液供給管141と、第1洗浄液供給管141に介装された第1洗浄液バルブ142とを含む。第1洗浄液供給管141には、第1洗浄液供給源から、SC1などの洗浄液が供給されている。第1洗浄液ノズル140は、この実施形態では、水平方向および鉛直方向における位置が固定された固定ノズルである。
【0067】
第2洗浄液供給ユニット104は、基板Wの下面に向けて洗浄液を吐出する第2洗浄液ノズル150と、第2洗浄液ノズル150に結合された第2洗浄液供給管151と、第2洗浄液供給管151に介装された第2洗浄液バルブ152とを含む。第2洗浄液供給管151には、第2洗浄液供給源から、SC1などの洗浄液が供給されている。第2洗浄液ノズル150は、回転軸122に挿通されたノズル収容部125に挿通されている。ノズル収容部125は、基板Wの下面の中央領域に下方から対向している。第2洗浄液ノズル150の吐出口150aは、ノズル収容部125の先端から露出している。
【0068】
第1洗浄液ノズル140から吐出される洗浄液や第2洗浄液ノズル150から吐出される洗浄液は、SC1に限られない。第1洗浄液ノズル140から吐出される洗浄液や第2洗浄液ノズル150から吐出される洗浄液は、SC1以外で、アンモニアを含有する液体であってもよい。第1洗浄液ノズル140から吐出される洗浄液や第2洗浄液ノズル150から吐出される洗浄液は、IPA等の有機溶剤であってもよい。
【0069】
第2リンス液供給ユニット105は、基板Wの上面にリンス液を吐出する第2リンス液ノズル160と、第2リンス液ノズル160に結合された第2リンス液供給管161と、第2リンス液供給管161に介装された第2リンス液バルブ162とを含む。第2リンス液供給管161には、第2リンス液供給源から、DIWなどのリンス液が供給されている。第2リンス液ノズル160は、この実施形態では、水平方向および鉛直方向における位置が固定された固定ノズルである。
【0070】
第3リンス液供給ユニット106は、基板Wの下面にリンス液を吐出する第3リンス液ノズル170と、第3リンス液ノズル170に結合された第3リンス液供給管171と、第3リンス液供給管171に介装された第3リンス液バルブ172とを含む。第3リンス液供給管171には、第3リンス液供給源から、DIWなどのリンス液が供給されている。第3リンス液ノズル170は、第2洗浄液ノズル150とともにノズル収容部125に挿通されている。第3リンス液ノズル170の吐出口170aは、ノズル収容部125の先端から露出している。
【0071】
第2リンス液ノズル160から吐出されるリンス液や第3リンス液ノズル170から吐出されるリンス液は、DIWに限られない。第2リンス液ノズル160から吐出されるリンス液や第3リンス液ノズル170から吐出されるリンス液は、炭酸水、電解イオン水、オゾン水、アンモニア水、希釈濃度(たとえば、10ppm~100ppm程度)の塩酸水、還元水(水素水)であってもよい。
【0072】
図4は、第1加熱ユニットD1の構成例を説明するための図解的な断面図である。第1加熱ユニットD1は、チャンバR3と、基板Wを保持する第1基板ホルダ200と、基板Wを加熱する第1ヒータ201(基板加熱ユニット)と、基板Wを冷却する第1冷却ユニット202と、基板Wを上下動させる複数の第1リフトピン203とを含む。
第1基板ホルダ200は、基板Wが水平な姿勢となるように基板Wを下方から支持する板状の部材である。第1基板ホルダ200は、基板Wを水平に保持する基板保持ユニットに含まれる。第1基板ホルダ200は、チャンバR3内に収容されている。
【0073】
第1ヒータ201および第1冷却ユニット202は、第1基板ホルダ200に内蔵されている。第1ヒータ201、第1冷却ユニット202および第1基板ホルダ200によって、温度調節プレートが構成されている。第1ヒータ201は、伝熱または熱輻射によって基板Wを加熱する。第1ヒータ201には、第1ヒータ201に電力を供給する第1ヒータ通電ユニット210が接続されている。第1ヒータ201は、基板Wを約250℃に加熱可能である。
【0074】
第1ヒータ201の代わりに、電磁波(紫外線、赤外線、マイクロ波、X線、レーザ光等)を照射して基板Wを加熱する電磁波照射ユニットが用いられてもよい。第1冷却ユニット202は、第1基板ホルダ200内を通る冷却通路を有していてもよい。第1冷却ユニット202は、電子冷却素子を有していてもよい。
複数の第1リフトピン203は、第1基板ホルダ200を貫通する複数の貫通穴にそれぞれ挿入されている。複数の第1リフトピン203が、第1リフトピン昇降ユニット216によって、上位置と下位置との間で昇降される。複数の第1リフトピン203が上位置に位置するとき、基板Wは、第1基板ホルダ200から上方に離間する。複数の第1リフトピン203が下位置に位置するとき、複数の第1リフトピン203の上端部が第1基板ホルダ200の内部に退避する。そのため、基板Wが第1基板ホルダ200によって下方から支持される。
【0075】
チャンバR3は、第1ベース部211と、第1ベース部211に対して上下動する第1可動蓋部212とを有している。第1ベース部211と第1可動蓋部212とによって、チャンバR3の内部空間213が区画されている。第1可動蓋部212は、第1蓋部駆動ユニット214によって、上位置と下位置との間で昇降される。第1可動蓋部212が下位置に位置するとき、第1ベース部211と第1可動蓋部212とが接触する。これにより、チャンバR3が閉じられる。第1可動蓋部212が上位置に位置するとき、搬送ロボットCRがチャンバR3の内部空間213にアクセスできる。
【0076】
図5は、第2加熱ユニットD2の構成例を説明するための図解的な断面図である。
第2加熱ユニットD2は、密閉可能なチャンバR4と、基板Wを保持する第2基板ホルダ300と、基板Wを加熱する第2ヒータ301と、基板Wを冷却する第2冷却ユニット302と、基板Wを上下動させる複数の第2リフトピン303と、チャンバR4を排気する排気ユニット304とを含む。
【0077】
第2基板ホルダ300は、基板Wが水平な姿勢となるように基板Wを下方から支持する板状の部材である。第2基板ホルダ300は、基板Wを水平に保持する基板保持ユニットに含まれる。第2基板ホルダ300は、チャンバR4内に収容されている。
第2ヒータ301および第2冷却ユニット302は、第2基板ホルダ300に内蔵されている。第2ヒータ301、第2冷却ユニット302および第2基板ホルダ300によって、温度調節プレートが構成されている。第2ヒータ301は、伝熱または熱輻射によって基板Wを加熱する。第2ヒータ301には、第2ヒータ301に電力を供給する第2ヒータ通電ユニット310が接続されている。第2ヒータ301は、第1ヒータ201(図4参照)よりも基板Wを高温に加熱することができるように構成されていればよい。第2ヒータ301は、例えば、基板Wを約300℃に加熱可能であればよい。
【0078】
第2ヒータ301の代わりに、電磁波(紫外線、赤外線、マイクロ波、X線、レーザ光等)を照射して基板Wを加熱する電磁波照射ユニットが用いられてもよい。第2冷却ユニット302は、第2基板ホルダ300内を通る冷却通路を有していてもよい。第2冷却ユニット302は、電子冷却素子を有していてもよい。
複数の第2リフトピン303は、第2基板ホルダ300を貫通する複数の貫通穴にそれぞれ挿入されている。複数の第2リフトピン303が、第2リフトピン昇降ユニット316によって、上位置と下位置との間で昇降される。複数の第2リフトピン303が上位置に位置するとき、基板Wは、第2基板ホルダ300から上方に離間する。複数の第2リフトピン303が下位置に位置するとき、複数の第2リフトピン303の上端部が第2基板ホルダ300の内部に退避する。そのため、基板Wが第2基板ホルダ300によって下方から支持される。
【0079】
チャンバR4は、第2ベース部311と、第2ベース部311に対して上下動する第2可動蓋部312とを有している。第2ベース部311と第2可動蓋部312とによって、チャンバR4の内部空間313が区画されている。第2可動蓋部312は、第2蓋部駆動ユニット314によって、上位置と下位置との間で昇降される。第2可動蓋部312が下位置に位置するとき、第2ベース部311と第2可動蓋部312とが接触する。第2可動蓋部312が下位置に位置するとき、第2ベース部311と第2可動蓋部312との間は、Oリング315によって密閉されている。第2可動蓋部312が上位置に位置するとき、搬送ロボットCRがチャンバR4の内部空間313にアクセスできる。
【0080】
第2ベース部311には、内部空間313内の気体をチャンバR4外に導く排気管317が接続されている。排気管317には、排気管317内の流路を開閉する排気バルブ318が介装されている。排気管317は、排気ユニット304に接続されている。排気ユニット304は、例えば、真空ポンプである。
図6は、基板処理装置1の主要部の電気的構成を説明するためのブロック図である。制御ユニット3は、マイクロコンピュータを備えており、所定のプログラムに従って、基板処理装置1に備えられた制御対象を制御する。より具体的には、制御ユニット3は、プロセッサ(CPU)3Aと、プログラムが格納されたメモリ3Bとを含む。制御ユニット3は、プロセッサ3Aがプログラムを実行することによって、基板処理のための様々な制御を実行するように構成されている。特に、制御ユニット3は、搬送ロボットIR,CR、シャッタ開閉ユニット33,133、蓋部駆動ユニット214,314、リフトピン昇降ユニット216,316、ヒータ通電ユニット210,310、ガード昇降ユニット36,37,136、ノズル移動ユニット38、バルブ類28,42,52,62,72,82,142,152,162,172,318等の動作を制御する。
【0081】
図7は、基板処理装置1による基板処理の第1例を説明するための流れ図であり、主として、制御ユニット3がプログラムを実行することによって実現される処理が示されている。図8A図8Hは、基板処理の第1例を説明するための図解的な断面図である。
基板処理装置1による基板処理では、基板Wが連続して処理される。基板Wの連続処理中、第1加熱ユニットD1の第1ヒータ201は、第1ヒータ通電ユニット210によって通電された状態で維持される(図4参照)。同様に、基板Wの連続処理中、第2加熱ユニットD2の第2ヒータ301は、第2ヒータ通電ユニット310によって通電された状態で維持される(図5参照)。
【0082】
まず、基板処理装置1による基板処理では、図1Aも参照して、基板Wが、搬送ロボットIR,CRによってキャリヤCから第1液処理ユニットM1に搬入される(ステップS1:第1搬入工程)。図2も参照して、搬送ロボットCRは、出入口31を介して第1液処理ユニットM1に進入することができる。第1液処理ユニットM1に搬入された基板Wは、搬送ロボットCRから第1スピンチャック10に渡される。基板Wは、第1主面W1が上面となるようにスピンベース21に載置される。
【0083】
そして、吸引バルブ28が開かれる。これにより、基板Wの第2主面W2がスピンベース21の上面に接触した状態で、基板Wが第1スピンチャック10に保持される(第1基板保持工程)。この後、基板Wは、搬送ロボットCRによって第1液処理ユニットM1から搬出されるまでの間、水平に保持された状態で維持される。
そして、電動モータ23が基板Wの回転を開始させる(基板回転工程)。そして、ガード昇降ユニット36,37がガード13,14を上位置に配置する。そして、薬液バルブ42が開かれる。これにより、薬液供給ユニット15の薬液ノズル40から基板Wの第1主面W1への薬液の供給が開始される(薬液供給工程)。第1主面W1に供給された薬液は、遠心力によって第1主面W1の全体に行き渡る。これにより、基板Wが薬液によって処理される(ステップS2:薬液処理工程)。遠心力によって基板W外へ排出された薬液は、第1ガード13によって受けられる。
【0084】
第1主面W1に薬液を一定時間供給した後、薬液バルブ42が閉じられ、第1リンス液バルブ52が開かれる。これにより、図8Aに示すように、第1リンス液供給ユニット16の第1リンス液ノズル50から第1主面W1へのリンス液の供給が開始される(第1リンス液供給工程)。第1主面W1に供給されたリンス液は、遠心力によって第1主面W1の全体に行き渡る。これにより、基板W上の薬液がリンス液に置換される(ステップS3:リンス液置換工程)。遠心力によって基板W外へ排出された薬液およびリンス液は、第1ガード13によって受けられる。
【0085】
そして、第1リンス液バルブ52が閉じられ、有機溶剤バルブ82が開かれる。これにより、図8Bに示すように、有機溶剤供給ユニット19の有機溶剤ノズル80から第1主面W1への有機溶剤の供給が開始される(有機溶剤供給工程)。第1主面W1に供給された有機溶剤は、遠心力によって第1主面W1の全体に行き渡る。これにより、基板W上のリンス液が有機溶剤に置換される(ステップS4:有機溶剤置換工程)。遠心力によって基板W外へ排出されたリンス液および有機溶剤は、第1ガード13によって受けられる。
【0086】
第1主面W1に有機溶剤が供給されている間に、被覆剤ノズル移動ユニット38が、被覆剤ノズル60を中央位置に移動させる。また、第1ガード昇降ユニット36が第1ガード13を下位置に移動させる。第1主面W1に有機溶剤を一定時間供給した後、有機溶剤バルブ82が閉じられ、被覆剤バルブ62が開かれる。これにより、図8Cに示すように、被覆剤供給ユニット17の被覆剤ノズル60から第1主面W1への被覆剤の供給が開始される(ステップS5:被覆剤供給工程)。第1主面W1に供給された被覆剤は、遠心力によって第1主面W1の全体に行き渡る。これにより、基板W上の有機溶剤が被覆剤に置換される。これにより、基板Wの第1主面W1が被覆剤の液膜90によって覆われる。遠心力によって基板W外へ排出された有機溶剤および被覆剤は、第2ガード14によって受けられる。
【0087】
被覆剤ノズル60から基板Wの第1主面W1に供給された被覆剤が第1主面W1の周縁部から基板Wの第2主面W2に回り込むことがある。また、基板Wの第1主面W1外に飛散した被覆剤がガード13,14から跳ね返って第2主面W2の周縁部に付着する場合もある。そこで、第1主面W1が被覆剤の液膜90によって覆われた後、被覆剤バルブ62が閉じられる代わりに、除去液バルブ72が開かれる。これにより、図8Dに示すように、除去液供給ユニット18の除去液ノズル70から基板Wの第2主面W2の周縁部に除去液が供給される(除去液供給工程)。除去液ノズル70から吐出された除去液が、基板Wの第2主面W2の周縁部に供給されることによって、第2主面W2の周縁部が洗浄される(ステップS6:周縁洗浄工程)。そのため、被覆剤による第2主面W2の汚染を抑制することができる。このように、除去液供給ユニット18が周縁洗浄ユニットとして機能する。
【0088】
除去液ノズル70から除去液が吐出されている間に、被覆剤ノズル60が退避位置に移動される。その後、除去液バルブ72が閉じられ、第2ガード14が下位置に移動させられる。そして、電動モータ23が基板Wの回転を停止させる。そして、吸引バルブ28が閉じられる。
その後、図2を参照して、シャッタ開閉ユニット33によって再びシャッタ32が開かれる。そして、搬送ロボットCRは、出入口31を介して第1液処理ユニットM1にアクセスし、第1液処理ユニットM1から基板Wを搬出する(ステップS7:第1搬出工程)。
【0089】
そして、図4を参照して、基板Wは、搬送ロボットCRによって、第1加熱ユニットD1に搬入される(ステップS8:第2搬入工程)。このとき、第1蓋部駆動ユニット214が第1可動蓋部212を上位置に位置させることによって、搬送ロボットCRは、第1加熱ユニットD1に進入することができる。そして、基板Wは、第1基板ホルダ200によって水平に保持される(第2基板保持工程)。具体的には、基板Wは、上位置に配置された複数の第1リフトピン203に受け渡された後、第1リフトピン203が第1リフトピン昇降ユニット216によって下位置に移動させられる。これにより、基板Wが第1基板ホルダ200の上面に載置される。そして、搬送ロボットCRが第1加熱ユニットD1から退避する。その後に、第1蓋部駆動ユニット214が第1可動蓋部212を下位置に位置させる。これによって、チャンバR3が閉じられる。
【0090】
第1加熱ユニットD1では、図8Eに示すように、第1基板ホルダ200に内蔵された第1ヒータ201によって基板Wが加熱される(ステップS9:第1基板加熱工程)。これにより、基板Wの第1主面W1を覆う被覆剤が固化される(固化工程)。詳しくは、被覆剤に含有される溶媒が蒸発し、固体成分のみが第1主面W1上に残る。これにより、基板Wの第1主面W1を覆う昇華性の被覆膜250が形成される(被覆膜形成工程)。固化工程が実行されることによって、被覆膜250を確実に形成することができる。
【0091】
なお、前述した周縁洗浄工程は、固化工程の開始前に行われている。そのため、固化工程によって被覆剤が固化される前に、第2主面W2の周縁部が洗浄される。したがって、被覆剤が固化された後に第2主面W2の周縁部を洗浄する場合と比較して、第2主面W2の周縁部を洗浄しやすい。
そして、図4を参照して、第1蓋部駆動ユニット214によって第1可動蓋部212が上位置に位置させられ、第1リフトピン昇降ユニット216によって、複数の第1リフトピン203が上位置に移動される。そして、搬送ロボットCRが複数の第1リフトピン203から基板Wを受け取り、第1加熱ユニットから基板Wを搬出する(ステップS10:第2搬出工程)。
【0092】
そして、図3も参照して、基板Wが、搬送ロボットCRによって、第2液処理ユニットM2に搬入される(ステップS11:第3搬入工程)。第2液処理ユニットM2に搬入された基板Wは、搬送ロボットCRから第2スピンチャック100に渡される。基板Wは、第1主面W1を上方に向けた状態で、複数のチャックピン120によって把持される。これにより、基板Wが第2スピンチャック100によって水平に保持される(第3基板保持工程)。この後、基板Wは、搬送ロボットCRによって第2液処理ユニットM2から搬出されるまでの間、水平に保持された状態で維持される。
【0093】
そして、電動モータ123が基板Wの回転を開始させる。そして、第3ガード102は、第3ガード昇降ユニット136によって、上位置に配置される。
第2液処理ユニットM2では、図8Fを参照して、第2主面W2が洗浄液によって洗浄される(ステップS12:第2主面洗浄工程)。具体的には、第2洗浄液バルブ152が開かれる。これにより、第2洗浄液供給ユニット104の第2洗浄液ノズル150から基板Wの第2主面W2に向けて洗浄液が供給される(第2洗浄液供給工程)。第2主面W2に供給された洗浄液は、遠心力によって第2主面W2の全体に行き渡る。これにより、第2主面W2が洗浄される。このように、第2洗浄液供給ユニット104は、第2主面洗浄ユニットとして機能する。遠心力によって、基板W外へ飛散した洗浄液は第3ガード102によって受けられる。第2主面洗浄工程は、被覆膜形成工程の終了後に行われている。
【0094】
そして、第2主面W2に洗浄液を一定時間供給した後、第2洗浄液バルブ152が閉じられる。その後、図8Gに示すように、第1洗浄液バルブ142が開かれる。これにより、第1洗浄液供給ユニット103の第1洗浄液ノズル140から被覆膜250の表面に洗浄液が供給される(第1洗浄液供給工程)。これにより、被覆膜250の表面が洗浄される(ステップS13:被覆膜洗浄工程)。このように、第2主面洗浄工程の終了後に被覆膜洗浄工程が開始される。つまり、被覆膜洗浄工程が、第2主面洗浄工程の終了後に被覆膜250の表面を洗浄する第1洗浄工程を含む。このように、第1洗浄液供給ユニット103は、被覆膜洗浄ユニットに含まれる。
【0095】
そして、第1洗浄液バルブ142が閉じられる。その代わりに、第2リンス液バルブ162および第3リンス液バルブ172が開かれる。これにより、第2リンス液供給ユニット105の第2リンス液ノズル160からの第1主面W1へのリンス液の供給が開始される。厳密には、第1主面W1に形成された被覆膜250の表面にリンス液が供給される。被覆膜250の表面に供給されたリンス液は、遠心力によって被覆膜250の表面の全体に行き渡る。これにより、被覆膜250上の洗浄液がリンス液に置換される。第3リンス液供給ユニット106の第3リンス液ノズル170から第2主面W2へのリンス液の供給も開始される。これにより、第2主面W2上の洗浄液がリンス液に置換される。このように、基板Wの両面(厳密には、被覆膜250の表面および第2主面W2)に付着していた洗浄液がリンス液によって置換される(ステップS14:第2リンス液置換工程)。
【0096】
その後、電動モータ123が基板Wを高速回転させることによって、基板Wに付着していたリンス液を振り切る。これによって、基板Wが乾燥される(S15:基板乾燥工程)。そして、電動モータ123が基板Wの回転を停止させる。そして、第3ガード昇降ユニット136が第3ガード102を下位置に移動させる。
その後、図3も参照して、シャッタ開閉ユニット133によって再びシャッタ132が開かれる。そして、搬送ロボットCRは、出入口131を介して第2液処理ユニットM2にアクセスし、第2液処理ユニットM2から基板Wを搬出する(ステップS16:第3搬出工程)。
【0097】
そして、図5も参照して、基板Wは、搬送ロボットCRによって、第2加熱ユニットD2に搬入される(ステップS17:第搬入工程)。このとき、第2蓋部駆動ユニット314が第2可動蓋部312を上位置に位置させているため、搬送ロボットCRは、第2加熱ユニットD2に進入することができる。そして、基板Wは、第2基板ホルダ300によって水平に保持される(第4基板保持工程)。具体的には、基板Wが上位置に配置された複数の第2リフトピン303に受け渡された後、第2リフトピン303が第2リフトピン昇降ユニット316によって下位置に移動させられる。これにより、基板Wが第2基板ホルダ300の上面に載置される。そして、搬送ロボットCRが第2加熱ユニットD2から退避する。その後、第2蓋部駆動ユニット314が第2可動蓋部312を下位置に位置させる。これによって、チャンバR4が閉じられる。
【0098】
第2加熱ユニットD2では、図8Hに示すように、第2基板ホルダ300に内蔵された第2ヒータ301によって基板Wが加熱される(ステップS18:第2基板加熱工程)。これにより、基板Wの第1主面W1を覆う被覆膜250が昇華される(昇華工程)。昇華工程は、被覆膜洗浄工程の終了後に実行される。このように、第2ヒータ301は、昇華ユニットとして機能する。基板Wを加熱する際、排気バルブ318を開いてもよい。これにより、排気ユニット304が、被覆膜250の昇華により発生した気体を、チャンバR4の内部空間313外に排除する。
【0099】
そして、第2蓋部駆動ユニット314によって第2可動蓋部312が上位置に位置させられ、第2リフトピン昇降ユニット316によって、複数の第2リフトピン303が上位置に移動される。そして、搬送ロボットCRが複数の第2リフトピン303から基板Wを受け取り、第2加熱ユニットD2から基板Wを搬出する(ステップS19:第4搬出工程)。
【0100】
次に、被覆膜洗浄工程の前後における被覆膜250の変化の様子を説明する。図9Aは、被覆膜洗浄工程(図7のステップS13)が開始される直前の基板Wの第1主面W1の周辺の模式的な断面図である。図9Bは、被覆膜洗浄工程が終了した直後の基板Wの第1主面W1の周辺の模式的な断面図である。
図9Aに示すように、被覆膜250の厚さT1が第1主面W1に形成された金属パターンPの高さT2よりも大きくなるように、被覆膜250が形成されていることが好ましい。
【0101】
ここで、第2主面洗浄工程において、第2主面W2に着液した洗浄液は、基板Wの周辺を浮遊して被覆膜250の表面251に付着するおそれがある。第2主面W2に着液した洗浄液が、基板Wの周辺に配置された部材(第3ガード102等)に向かって飛散し、当該部材に跳ね返されて被覆膜250の表面251に付着するおそれもある(図8Fの矢印参照)。さらに、第2主面W2に着液した洗浄液が、第2主面W2の周縁部から第1主面W1側に回り込んで被覆膜250の表面251に付着するおそれもある。第2主面W2に一度着液した洗浄液には、パーティクル256等の汚れが含まれていることがある。基板処理装置1に備えられた部材に跳ね返された洗浄液の液滴255には、パーティクル256が一層含まれやすい。
【0102】
被覆膜洗浄工程の前の被覆膜250の表面251には、液滴255や、この液滴255に含有されるパーティクル256等が付着している。被覆膜250の表面251に付着するパーティクル256は、第2主面洗浄工程において基板W外に飛散した洗浄液の液滴255に含有されているものに限られない。基板Wの第1主面W1に被覆剤が供給されてから、被覆膜洗浄工程が開始されるまでの間に、第2主面洗浄工程以外の何らかの原因でパーティクル257が被覆膜250の表面251に付着することも有り得る。
【0103】
被覆膜洗浄工程では、これらの液滴255やパーティクル256,257が被覆膜250の表面251から除去される。被覆膜洗浄工程において被覆膜250の表面251に供給される洗浄液は、被覆膜250の表層252を溶解させる液体であってもよい。
被覆膜洗浄工程で用いられる洗浄液が、被覆膜250の表層252を溶解させる液体であれば、図9Bに示すように、被覆膜洗浄工程によって、表面251に付着していたパーティクル256,257が表層252ごと除去される(表層除去工程)。ここで、パーティクル256,257が被覆膜250の表面251に強固に付着しており、被覆膜250の表面251からパーティクル256,257を除去しにくい場合が有り得る。このような場合であっても、被覆膜洗浄工程において、被覆膜250の表層252とともにパーティクル256,257を除去することによって、被覆膜250の表面251を確実に洗浄することができる。
【0104】
表層除去工程が実行されることによって、被覆膜250は、薄くなり、表面251よりも第1主面W1側に新たな表面253が形成される。被覆膜250の厚さT1が被覆膜洗浄工程の後においても金属パターンPの高さT2よりも大きくなるように、被覆膜洗浄工程が行われることが好ましい。このように、被覆膜洗浄工程では、被覆膜250の表層252を除去する工程が実行されてもよい。
【0105】
この基板処理とは異なり、被覆膜洗浄工程において被覆膜250の表面251に供給される洗浄液は、被覆膜250の表層252を溶解させない液体であってもよい。
以上のように、本実施形態によれば、基板処理装置1は、基板保持ユニット(第1スピンチャック10、第2スピンチャック100、第1基板ホルダ200および第2基板ホルダ300)と、被覆剤を第1主面W1に供給する被覆剤供給ユニット17と、第1主面W1を覆う被覆膜250の表面を洗浄する被覆膜洗浄ユニット(第1洗浄液供給ユニット103)と、制御ユニット3とを含む。そして、制御ユニット3が、第1スピンチャック10、第2スピンチャック100、第1基板ホルダ200および第2基板ホルダ300に、基板Wを水平に保持させる基板保持工程(第1~第4基板保持工程)と、被覆剤供給ユニット17から被覆剤を第1主面W1に供給させることによって、被覆膜250を形成する被覆膜形成工程と、第1洗浄液供給ユニット103に被覆膜250の表面を洗浄させる被覆膜洗浄工程とを実行する。
【0106】
このように、被覆膜形成工程において昇華性の被覆膜250が形成される。そのため、液体を用いることなく第1主面W1から被覆膜250を除去することが可能である。したがって、液体の供給に起因する金属パターンPの倒壊を抑制することができる。また、被覆膜洗浄工程において、被覆膜250の表面が洗浄される。そのため、被覆膜洗浄工程後に被覆膜250が昇華したとしても、被覆膜250の表面251に付着していた汚れ(洗浄液の液滴255およびパーティクル256,257)が第1主面W1に残ることを抑制することができる。したがって、基板Wの第1主面W1の汚染を抑制することができる。
【0107】
また、第1実施形態によれば、基板処理装置1が、第2主面W2を洗浄する第2洗浄液供給ユニット104(第2主面洗浄ユニット)をさらに含む。そして、制御ユニット3が、被覆膜形成工程の終了後に、第2洗浄液供給ユニット104に第2主面W2を洗浄させる第2主面洗浄工程をさらに実行する。さらに、制御ユニット3が、第2主面洗浄工程の終了後に被覆膜洗浄工程(第1洗浄工程)を開始する。
【0108】
このように、被覆膜洗浄工程は、第2主面洗浄工程の終了後に開始される。そのため、第2主面洗浄工程に起因して被覆膜250の表面251に洗浄液が付着した場合であっても、被覆膜洗浄工程において、被覆膜250の表面251が洗浄される。したがって、第2主面洗浄工程によって第2主面W2が洗浄される基板処理装置1において、第1主面W1の汚染を抑制できる。
【0109】
ここで、第2主面W2に着液した洗浄液が被覆膜250の表面251に達するまでには所定時間を要するため、第2主面洗浄工程の終了後、所定時間が経過するまでの間、洗浄液が被覆膜250の表面251に付着する可能性がある。この基板処理装置1のように被覆膜250の表面251の洗浄が第2主面洗浄工程後に開始される構成であれば、第2主面洗浄工程に起因して被覆膜250の表面251に付着した洗浄液を確実に除去できる。また、第2主面洗浄工程の開始前から被覆膜250の表面251に汚れ(パーティクル257)が付着していた場合であっても、この汚れ(パーティクル257)を、第2主面洗浄工程に起因して被覆膜250の表面251に付着した洗浄液の液滴255(およびパーティクル256)と同時に除去することができる。
【0110】
また、第1実施形態によれば、第1洗浄液供給ユニット103が第1主面洗浄ユニットに含まれている。そして、制御ユニット3が、被覆膜洗浄工程において、第1洗浄液供給ユニット103から第1主面W1に向けて洗浄液を供給させることによって、被覆膜250の表面251を洗浄する工程を実行する(第1洗浄液供給工程)。
そのため、被覆膜洗浄工程において被覆膜250の表面251に供給された洗浄液は、被覆膜250の表面251上で広がる。そのため、被覆膜250の表面251の洗浄時間を低減することができる。
【0111】
また第1実施形態によれば、基板処理装置1が、被覆膜250を昇華する第2ヒータ301(昇華ユニット)をさらに含む。そして、制御ユニット3が、被覆膜洗浄工程の終了後に、第2ヒータ301に被覆膜250を昇華させる昇華工程を実行する。そのため、被覆膜250が昇華されて第1主面W1が露出される。被覆膜洗浄工程において被覆膜250の表面251が洗浄されているため、被覆膜250の表面に付着していた汚れが、被覆膜250の昇華後に第1主面W1に残ることを抑制することができる。つまり、第1主面W1の汚染が抑制される。
【0112】
また第1実施形態によれば、第1主面W1には金属パターンPが形成されている。そのため、昇華性の被覆膜250を第1主面W1に形成し、被覆膜250の表面251を洗浄する構成の基板処理装置1であれば、金属パターンPの倒壊を抑制しつつ、第1主面W1の汚染を抑制できる。
第1実施形態に係る基板処理装置1による基板処理は、上述した例に限られない。第1実施形態に係る基板処理装置1による基板処理は、以下に示すような例であってもよい。
【0113】
図10は、基板処理装置1による基板処理の第2例を説明するための図解的な断面図である。図10に示すように、基板処理装置1による基板処理では、被覆膜洗浄工程(図7のステップS13)と第2主面洗浄工程(図7のステップS12)とが並行して実行されてもよい。つまり、被覆膜洗浄工程は、第2主面洗浄工程と並行して被覆膜250の表面を洗浄する第2洗浄工程を含む。そのため、第2主面洗浄工程に起因して被覆膜250の表面に付着した洗浄液を即座に除去することができる。第2主面洗浄工程の開始前に被覆膜250の表面に既に汚れが付着していた場合、第2主面W2に着液した洗浄液が被覆膜250の表面に到達するまでに、当該汚れの除去を開始することができる。さらに、被覆膜洗浄工程が終了するまでの時間を短縮することもできる。したがって、単位時間当たりに処理できる基板の枚数を増大させることができる。つまり、スループットの向上が図れる。このように、スループットの向上を図りつつ、第1主面W1の汚染を抑制することができる。
【0114】
第2洗浄工程は、第2主面洗浄工程の終了後も継続されることが好ましい。前述したように、第2主面W2に着液した洗浄液が被覆膜250の表面に達するまでには所定時間を要するため、第2主面洗浄工程の終了後、所定時間が経過するまでの間、洗浄液が被覆膜250の表面に付着する可能性がある。そのため、この第2例の基板処理のように第2洗浄工程が第2主面洗浄工程の終了後に終了させることによって、被覆膜洗浄工程の終了後における、汚染された洗浄液の被覆膜250の表面への付着を一層抑制することができる。
【0115】
図11Aおよび図11Bは、基板処理装置1による基板処理の第3例を説明するための図解的な断面図である。図11Aに示すように、基板処理装置1による基板処理では、第2主面洗浄工程(図7のステップS12)と並行して、第2リンス液ノズル160から被覆膜250の表面へ向けてリンス液を供給させてもよい。これにより、第2主面洗浄工程中に基板Wから飛散する液滴の、被覆膜250の表面への付着が抑制される。言い換えると、第2リンス液ノズル160から吐出されるリンス液によって、被覆膜250が保護される。このように、第2リンス液ノズル160から吐出されるリンス液が、被覆膜250の表面を保護する保護液として機能する。つまり、保護液を被覆膜250の表面に供給する保護液供給工程が第2主面洗浄工程と並行して実行される。保護液供給工程は、第2主面洗浄工程の終了と同時に終了するのではなく、第2主面洗浄工程の終了後に終了することが好ましい。
【0116】
そして、図11Bに示すように、第1洗浄液ノズル140から被覆膜250の表面への洗浄液の供給が開始される前に、第2リンス液ノズル160からのリンス液の供給が停止される。つまり、保護液供給工程は、被覆膜洗浄工程(図7のステップS13)の開始前に実行される。
第3例の基板処理によれば、汚染された洗浄液の被覆膜250の表面への付着が保護液によって抑制される。したがって、第1主面W1の汚染を抑制することができる。
【0117】
図12Aおよび図12Bは、基板処理装置1による基板処理の第4例を説明するための図解的な断面図である。図12Aおよび図12Bに示すように、基板処理装置1による基板処理では、第2主面W2が上面となるように基板Wを、第2液処理ユニットM2の第2スピンチャック100に保持させてもよい。この基板処理では、第2主面洗浄工程(図7のステップS12)において、第1洗浄液供給ユニット103の第1洗浄液ノズル140から第2主面W2に向けて洗浄液が供給される。また、被覆膜洗浄工程(図7のステップS13)において、第2洗浄液供給ユニット104の第2洗浄液ノズル150から被覆膜250の表面に向けて洗浄液が供給される。このように、この基板処理では、第1洗浄液供給ユニット103が第2主面洗浄ユニットとして機能し、第2洗浄液供給ユニット104が被覆膜洗浄ユニット(洗浄液供給ユニット)として機能する。
【0118】
また、この基板処理では、第2リンス液置換工程(図7のステップS14)において、第2リンス液ノズル160から第2主面W2に向けてリンス液が供給され、第3リンス液ノズル170から第1主面W1に向けてリンス液が供給される。
<第2実施形態>
図13は、第2実施形態に係る基板処理装置1Pに備えられた第2液処理ユニットM2Pの構成例を説明するための図解的な断面図である。図13では、今まで説明した部材と同じ部材には、同じ参照符号を付して、その説明を省略する。
【0119】
第2液処理ユニットM2Pが第1実施形態の第2液処理ユニットM2(図3参照)と主に異なる点は、第2液処理ユニットM2Pが、第1洗浄液供給ユニット103の代わりにブラシユニット108を含むことである。ブラシユニット108は、基板Wの上面にブラシ180を擦り付けて基板Wの上面を洗浄するユニットである。ブラシユニット108は、基板Wの上面を洗浄するためのブラシ180と、ブラシ180の上方に配置されたブラシホルダ181と、ブラシホルダ181を支持するブラシアーム182とを含む。
【0120】
ブラシ180は、PVA(ポリビニルアルコール)などの合成樹脂で作成された弾性変形可能なスポンジブラシである。ブラシ180は、ブラシホルダ181から下方に突出している。ブラシ180は、スポンジブラシに限らず、樹脂製の複数の繊維によって形成された毛束を備えるブラシであってもよい。
ブラシ180は、ブラシ移動ユニット183によって、水平方向および鉛直方向に移動される。ブラシ移動ユニット183は、水平方向の移動によって、中央位置と退避位置との間でブラシ180を移動させる。ブラシ180は、中央位置に位置するとき、基板Wの上面の回転中心位置に鉛直方向から対向する。ブラシ180は、退避位置に位置するとき、基板Wの上面に鉛直方向から対向しない。ブラシ移動ユニット183は、制御ユニット3によって制御される(図6参照)
基板処理装置1Pでは、被覆膜洗浄工程(図7のステップS13)を除いて、基板処理装置1とほぼ同様の基板処理が実行される。基板処理装置1Pによる基板処理における被覆膜洗浄工程では、ブラシユニット108によって、被覆膜250の表面がスクラブ洗浄される。具体的には、ブラシ移動ユニット183が、ブラシアーム182を移動させて、被覆膜250の表面にブラシ180を押し付ける。基板Wは、回転されているので、ブラシ180は、被覆膜250の表面に擦り付けられる。したがって、被覆膜250を一層確実に洗浄することができる。このように、基板処理装置1Pによる基板処理では、ブラシユニット108が被覆膜洗浄ユニットとして機能する。なお、ブラシ180が被覆膜250を洗浄する際、第1実施形態の基板処理装置1による基板処理と同様に、被覆膜250の表層252が除去されてもよい(図9Aおよび図9Bを参照)。
【0121】
第2実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果を奏する。
また、基板処理装置1Pによる基板処理では、第1実施形態の基板処理装置1による基板処理の第4例と同様に、第2主面W2が上面となるように基板Wを、第2液処理ユニットM2Pの第2スピンチャック100に保持させてもよい。この基板処理では、第2主面洗浄工程(図7のステップS12)において、ブラシ180によって第2主面W2がスクラブ洗浄される。また、被覆膜洗浄工程(図7のステップS13)において、第2洗浄液ノズル150から被覆膜250の表面に向けて洗浄液が供給される。このように、この基板処理では、ブラシユニット108が第2主面洗浄ユニットとして機能し、第2洗浄液供給ユニット104が被覆膜洗浄ユニット(洗浄液供給ユニット)として機能する。
【0122】
また、第2リンス液置換工程(図7のステップS14)において、第2リンス液ノズル160から第2主面W2に向けてリンス液が供給され、第3リンス液ノズル170から第1主面W1に向けてリンス液が供給される。
<第3実施形態>
図14は、第3実施形態に係る基板処理装置1Qに備えられた第2液処理ユニットM2Qの構成例を説明するための図解的な断面図である。図14では、今まで説明した部材と同じ部材には、同じ参照符号を付して、その説明を省略する。
【0123】
第2液処理ユニットM2Qが第1実施形態の第2液処理ユニットM2(図3参照)と主に異なる点は、第2液処理ユニットM2が、第1洗浄液供給ユニット103の代わりに、第3洗浄液供給ユニット109を含むことである。
第3洗浄液供給ユニット109は、二流体ノズル190と、第3洗浄液供給管191と、第3洗浄液バルブ192と、気体供給管196と、気体バルブ197とを含む。二流体ノズル190は、SC1等の洗浄液と、窒素ガス(N)等の気体とを混合して吐出する。第3洗浄液供給管191および気体供給管196は、二流体ノズル190に結合されている。第3洗浄液供給管191には、第3洗浄液供給源から、洗浄液が供給されている。第3洗浄液バルブ192は、第3洗浄液供給管191内の流路を開閉する。気体供給管196には、気体供給源から窒素ガスなどの気体が供給されている。気体バルブ197は、気体供給管196内の流路を開閉する。第3洗浄液バルブ192および気体バルブ197は、制御ユニット3によって制御される(図6参照)。
【0124】
第3洗浄液供給源から第3洗浄液供給管191に供給される洗浄液は、SC1に限られない。第1洗浄液ノズル140から吐出される洗浄液は、SC1以外の、アンモニアを含有する液体であってもよい。
気体供給源から気体供給管196に供給される気体としては、窒素ガスなどの不活性ガスが好ましい。不活性ガスとは、窒素ガスに限らず、基板Wの上面およびパターンに対して不活性なガスのことである。不活性ガスの例としては、窒素ガス以外に、アルゴンなどの希ガス類が挙げられる。
【0125】
二流体ノズル190は、二流体ノズル移動ユニット198によって鉛直方向および水平方向に移動される。二流体ノズル移動ユニット198は、水平方向の移動によって、中央位置と退避位置との間で二流体ノズル190を移動させる。二流体ノズル190が中央位置に位置するとき、二流体ノズル190に設けられた吐出口190aが基板Wの上面の回転中心位置に鉛直方向から対向する。二流体ノズル190が退避位置に位置するとき、吐出口190aは、基板Wの上面に鉛直方向から対向しない。二流体ノズル移動ユニット198は、制御ユニット3によって制御される(図6参照)。
【0126】
基板処理装置1では、基板処理装置1とほぼ同様の基板処理が実行される。基板処理装置1Qによる基板処理では、基板処理装置1による基板処理において第1洗浄液供給ユニット103が用いられていた工程において、第3洗浄液供給ユニット109が用いられる。例えば、被覆膜洗浄工程において、二流体ノズル190の吐出口190aから、洗浄液の液滴が気体とともに被覆膜250の表面に噴射される。これにより被覆膜250の表面がスクラブ洗浄される。したがって、被覆膜250を一層確実に洗浄することができる。このように、第3洗浄液供給ユニット109が被覆膜洗浄ユニットとして機能する。なお、二流体ノズル190が被覆膜250を洗浄する際、第1実施形態の基板処理装置1による基板処理と同様に、被覆膜250の表層252が除去されてもよい(図9Aおよび図9Bを参照)。
【0127】
また、第3実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果を奏する。
また、基板処理装置1Qによる基板処理では、第1実施形態の基板処理装置1による基板処理の第4例と同様に、第2主面W2が上面となるように基板Wを、第2液処理ユニットM2Pの第2スピンチャック100に保持させてもよい。この基板処理では、第2主面洗浄工程(図7のステップS12)において、二流体ノズル190から第2主面W2に向けて洗浄液が供給される。また、被覆膜洗浄工程(図7のステップS13)において、第2洗浄液ノズル150から被覆膜250の表面に向けて洗浄液が供給される。このように、この基板処理では、第3洗浄液供給ユニット109が第2主面洗浄ユニットとして機能し、第2洗浄液供給ユニット104が被覆膜洗浄ユニット(洗浄液供給ユニット)として機能する。
【0128】
また、第2リンス液置換工程(図7のステップS14)において、第2リンス液ノズル160から第2主面W2に向けてリンス液が供給され、第3リンス液ノズル170から第1主面W1に向けてリンス液が供給される。
なお、第3実施形態の基板処理装置1Qによって、第1実施形態の基板処理装置1による基板処理の第2例および第3例と同様の基板処理を行うこともできる。これらの場合であっても、当然、第1洗浄液供給ユニット103の代わりに第3洗浄液供給ユニット09が用いられる。
【0129】
<第4実施形態>
図15は、第4実施形態に係る基板処理装置1Rの構成を説明するための図解的な立面図である。図15では、今まで説明した部材と同じ部材には、同じ参照符号を付して、その説明を省略する。
基板処理装置1Rが第1実施形態の基板処理装置1(図1B参照)と主に異なる点は、基板処理装置1Rが、第2加熱ユニットD21,D22の代わりに、第1加熱ユニットD13,D14を含むことである。詳しくは、第3処理タワー2Cは、第2液処理ユニットM21およびM22と、第1加熱ユニットD13とを含む。第4処理タワー2Dは、第2液処理ユニットM23およびM24と、第1加熱ユニットD14とを含む。この基板処理装置1Rによる基板処理では、図7のステップS17~ステップS19は実行されない。基板Wの第1主面W1に形成された被覆膜250は、基板処理装置1Rから取り出された後に、基板処理装置1Rとは別に設けられた昇華ユニット(例えば、プラズマアッシング装置)によって昇華されてもよい。
【0130】
この発明は、以上に説明した実施形態に限定されるものではなく、さらに他の形態で実施することができる。
上述の実施形態とは異なり、基板処理装置1,1P,1Qでは、第2加熱ユニットD2の代わりに、被覆膜250を除去可能なプラズマアッシャーユニット(昇華ユニット)が設けられていてもよい。
【0131】
また、上述の実施形態の基板処理装置1,1P,1Q,1Rによる基板処理では、第1加熱ユニットD1内で基板Wを加熱することによって基板W上の被覆剤が固化されると説明した。しかしながら、上述の基板処理とは異なり、第1液処理ユニットM1または第2液処理ユニットM2内で基板Wを加熱することによって、基板W上の被覆剤を固化する基板処理が実行されていてもよい。そのためには、第1液処理ユニットM1または第2液処理ユニットM2内に、基板Wを加熱するヒータ(図示せず)を設ける必要がある。第1液処理ユニットM1または第2液処理ユニットM2内に、基板Wを加熱するヒータを設ける場合、基板処理装置1,1P,1Q,1Rには、第1加熱ユニットD1が備えられていなくてもよい。
【0132】
また、上述の実施形態では、被覆剤は、加熱によって固化されるとした。しかし、被覆剤は、常温で固化される被覆剤(例えば速乾性の被覆剤)であってもよい。その場合、基板処理装置1,1P,1Q,1Rには、第1加熱ユニットD1が備えられていなくてもよい。また、被覆剤は、冷却することによって、固化するものであってもよい。その場合、基板処理装置1,1P,1Q,1Rの第1加熱ユニットD1に備えられた第1冷却ユニット202によって基板Wを冷却してもよい。また、被覆膜250が形成された後に、基板Wに供給される処理液は、冷却されていることが好ましい。
【0133】
また、上述の実施形態では、周縁洗浄工程(図7のステップS6)において、第2主面W2の周縁部が除去液で洗浄されるとした。しかしながら、第1主面W1の周縁部に金属パターンPが形成されていない基板Wを基板処理に用いる場合、周縁洗浄工程(図7のステップS6)において、第2主面W2の周縁部に加えて、第1主面W1の周縁部も除去液で洗浄されてもよい。この場合、基板処理装置1,1P,1Q,1Rの第1液処理ユニットM1には、上面の周縁部に除去液を供給する除去液供給ユニット(図示せず)が設けられている必要がある。
【0134】
また、上述の実施形態では、SC1等の洗浄液を用いて被覆膜250の表面および第2主面W2を洗浄すると説明した。しかしながら、上述の実施形態とは異なり、被覆膜250の表面や第2主面W2にDIW等のリンス液を供給することによって、被覆膜250の表面や第2主面W2を充分に洗浄することができる場合は、被覆膜250の表面や第2主面W2にSC1等を供給する必要はない。つまり、上述の実施形態とは異なり、DIW等のリンス液が洗浄液として用いられる基板処理が実行されてもよい。この場合、第2リンス液供給ユニット105および第3リンス液供給ユニット106のうちの一方が、被覆膜洗浄ユニット(洗浄液供給ユニット)として機能し、第2リンス液供給ユニット105および第3リンス液供給ユニット106のうちの他方が第2主面洗浄ユニットとして機能する。
【0135】
その他、特許請求の範囲に記載した範囲で種々の変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0136】
1 :基板処理装置
1P :基板処理装置
1Q :基板処理装置
1R :基板処理装置
3 :制御ユニット
10 :第1スピンチャック(基板保持ユニット)
17 :被覆剤供給ユニット
18 :除去液供給ユニット(周縁洗浄ユニット)
100 :第2スピンチャック(基板保持ユニット)
103 :第1洗浄液供給ユニット(被覆膜洗浄ユニット、第2主面洗浄ユニット、洗浄液供給ユニット)
104 :第2洗浄液供給ユニット(被覆膜洗浄ユニット、第2主面洗浄ユニット、洗浄液供給ユニット)
105 :第2リンス液供給ユニット(被覆膜洗浄ユニット、第2主面洗浄ユニット、洗浄液供給ユニット、保護液供給ユニット)
106 :第3リンス液供給ユニット(被覆膜洗浄ユニット、第2主面洗浄ユニット、洗浄液供給ユニット、保護液供給ユニット)
108 :ブラシユニット(被覆膜洗浄ユニット、第2主面洗浄ユニット)
109 :第3洗浄液供給ユニット(被覆膜洗浄ユニット、第2主面洗浄ユニット、洗浄液供給ユニット)
200 :第1基板ホルダ(基板保持ユニット)
201 :第1ヒータ(基板加熱ユニット)
250 :被覆膜
252 :表層
300 :第2基板ホルダ(基板保持ユニット)
301 :第2ヒータ(昇華ユニット)
P :金属パターン
W :基板
W1 :第1主面
W2 :第2主面
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図8D
図8E
図8F
図8G
図8H
図9A
図9B
図10
図11A
図11B
図12A
図12B
図13
図14
図15