(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-14
(45)【発行日】2022-01-14
(54)【発明の名称】空気入りタイヤ
(51)【国際特許分類】
B60C 11/12 20060101AFI20220106BHJP
B60C 11/03 20060101ALI20220106BHJP
【FI】
B60C11/12 D
B60C11/03 100B
(21)【出願番号】P 2017167107
(22)【出願日】2017-08-31
【審査請求日】2020-06-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000003148
【氏名又は名称】TOYO TIRE株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100158
【氏名又は名称】鮫島 睦
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【氏名又は名称】前堀 義之
(72)【発明者】
【氏名】安永 智一
(72)【発明者】
【氏名】谷口 二朗
【審査官】増田 亮子
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-101039(JP,A)
【文献】国際公開第2016/035660(WO,A1)
【文献】特開2016-002794(JP,A)
【文献】特開2014-240204(JP,A)
【文献】特開2009-248961(JP,A)
【文献】特開2018-154189(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60C 11/03,11/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トレッド部にタイヤ周方向に延びるように形成され、タイヤ幅方向に互いに隣接する第1の主溝と第2の主溝を含む、複数の主溝と、
前記第1の主溝と前記第2の主溝とによって画定され、前記トレッド部のタイヤ幅方向の中央領域に配置されているセンターリブと、
一端が前記第1の主溝に連通し、他端が前記センターリブ内で終端する、第1のノッチと、
前記センターリブの前記第1のノッチに対して前記タイヤ幅方向に対向する部分に設けられた第1のサイプと
を備え、
前記第1のノッチの側壁に段差部が設けられ、それによって2個のエッジが形成され、
前記第1のノッチは先端が折れ曲がっている、空気入りタイヤ。
【請求項2】
前記第1のサイプは変曲点を有さない、請求項1に記載の空気入りタイヤ。
【請求項3】
前記第1のサイプは直線サイプである、請求項2に記載の空気入りタイヤ。
【請求項4】
前記第1のサイプは、一端が前記第2の主溝に連通し、他端が前記センターリブ内で終端している、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
【請求項5】
前記第1のノッチの前記折れ曲がった
先端を除く部分は、前記タイヤ周方向に対して第1の角度をなすように延び、
前記第1のサイプは、前記タイヤ周方向に対して、前記第1の角度とは正負符号の異なる第2の角度をなすように延びる、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
【請求項6】
前記第1の角度は、30度以上85度以下であり、
前記第2の角度は、-85度以上-30度以下である、請求項5に記載の空気入りタイヤ。
【請求項7】
前記第1のノッチの先端と、前記第1のサイプの先端は、前記センターリブの幅方向中心を中心とした幅の範囲に位置し、この幅はセンターリブの幅の0.1倍以上0.4倍以下である、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
【請求項8】
前記第1のノッチの幅は1.2mm以上10mm以下であり、
前記第1のサイプの幅は0.3mm以上1.5mm以下である、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
【請求項9】
前記第1のノッチの深さは、2mm以上13mm以下であり、
前記第1のサイプの深さは、2mm以上13mm以下である、請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
【請求項10】
一端が前記第2の主溝に連通し、他端が前記センターリブ内で終端する、第2のノッチと、
前記センターリブの前記第2のノッチに対して前記タイヤ幅方向に対向する部分に設けられた第2のサイプと
をさらに備え、
前記第2のノッチは、前記タイヤ周方向に対して、第3の角度をなすように延び、
前記第2のサイプは、前記タイヤ周方向に対して、前記第3の角度とは正負符号の異なる第4の角度をなすように延び、
前記第1の角度と前記第3の角度とは、前記タイヤ周方向を基準とした正負符号が同一であり、
前記第2の角度と前記第4の角度とは、前記タイヤ周方向を基準とした正負符号が同一である、請求項5又は請求項6に記載の空気入りタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気入りタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、トレッド部のタイヤ幅方向中央に設けられたセンターリブに、タイヤ周方向に間隔をあけて複数のノッチが形成された空気入りタイヤが開示されている。ノッチは、一端がセンターリブを画定する主溝に連通し、他端がセンターリブ内で終端している溝である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された空気入りタイヤは、スノータイヤではなく、乾燥路面での使用が想定されている。特許文献1に開示されたものを含め、従来の空気入りタイヤは、氷雪路面性能を確保しつつ、氷雪路面での操縦安定性と、センターリブの耐偏摩耗性とを両立するという観点で、改善の余地がある。
【0005】
本発明は、空気入りタイヤにおいて、氷雪路面性能を確保しつつ、氷雪路面での操縦安定性と、センターリブの耐偏摩耗性とを両立することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、トレッド部にタイヤ周方向に延びるように形成され、タイヤ幅方向に互いに隣接する第1の主溝と第2の主溝を含む、複数の主溝と、前記第1の主溝と前記第2の主溝とによって画定され、前記トレッド部のタイヤ幅方向の中央領域に配置されているセンターリブと、一端が前記第1の主溝に連通し、他端が前記センターリブ内で終端する、第1のノッチと、前記センターリブの前記第1のノッチに対して前記タイヤ幅方向に対向する部分に設けられた第1のサイプとを備え、前記第1のノッチの側壁に段差部が設けられ、それによって2個のエッジが形成され、
前記第1のノッチは先端が折れ曲がっている、空気入りタイヤを提供する。
【0007】
第1のノッチとサイプとを有することで、センターリブには複数のエッジが設けられている。その結果、氷雪路面性能、つまり氷雪路面におけるトラクション性能と制動性能とが向上する。
【0008】
センターリブの第1のノッチとタイヤ幅方向に対する部分は、他の部分と比較してタイヤ幅方向の寸法、つまり幅が狭い。かかる狭幅部分に、別のノッチではなく、サイプを設けることで、センターリブの必要な剛性が維持されている。その結果、氷雪路面での良好な操縦安定性が得られる。また、センターリブの第1のノッチとタイヤ幅方向に対向する幅狭部分に、ノッチではなくサイプを設けることで、センターリブの剛性分布が均一化されている。その結果、センターリブの耐偏摩耗性が確保される。
【0009】
以上のように、本発明の一態様に係る空気入りタイヤによれば、氷雪路面性能を確保しつつ、氷雪路面での操縦安定性と、センターリブの耐偏摩耗性とを両立することができる。
【0010】
前記第1のサイプは変曲点を有さないものであってもよい。
【0011】
サイプについて「変曲点」とは、タイヤ径方向においてサイプが延びる向きが変化する点をいう。例えば、サイプのある部分がタイヤ周方向の一つの向きに延び、サイプのこの部分に隣接する部分がタイヤ周方向の逆向きに延びている場合、これらの2つの部分の接続部分は変曲点である。
【0012】
一般に、変曲点を有しないサイプを設けたリブと、変曲点を有するサイプ(例えば波形サイプ)を設けたリブとを比較すると、前者のリブの表面剛性は、後者のリブの表面剛性よりも高い。ここで「リブの表面剛性」とは、リブの表面の変形抵抗性を意味する。センターリブの第1のノッチとタイヤ幅方向に対する部分に、変曲点を有するサイプではなく、表面剛性の点で有利な変曲点を有しないサイプを設けることで、この部分の良好な接地性とそれによる良好な氷雪路面性能、すなわち氷雪路面における、良好なトラクション性能と制動性能が確保される。
【0013】
前記第1のサイプは直線サイプであってもよい。
【0014】
前記第1のサイプは、一端が前記第2の主溝に連通し、他端が前記センターリブ内で終端してもよい。
【0015】
前記第1のノッチの前記折れ曲がった先端を除く部分は、前記タイヤ周方向に対して第1の角度をなすように延び、前記第1のサイプは、前記タイヤ周方向に対して、前記第1の角度とは正負符号の異なる第2の角度をなすように延びてもよい。
【0016】
この構成により、第1のノッチが延びる方向を示す仮想線と、第1のサイプが延びる方向を示す仮想線とが、タイヤ周方向の一つの向きに凸状の折れ線を構成する。かかる第1のノッチと第1のサイプの折れ線状の配置により、センターリブのタイヤ周方向の剛性が向上する。ここで「リブの剛性」とは、リブの表面のみでなく体積体としての変形抵抗性を意味する。センターリブのタイヤ周方向の剛性向上により、氷雪路面における操縦安定性が向上する。
【0017】
また、第1のノッチと第1のサイプの折れ線状の配置により、第1のノッチと第1のサイプのエッジの総長さが長くなる。その結果、氷雪路面性能が向上する。
【0018】
前記第1の角度は、30度以上85度以下であってもよく、前記第2の角度は、-85度以上-30度以下であってもよい。
【0019】
前記第1のノッチの先端と、前記第1のサイプの先端は、前記センターリブの幅方向中心を中心とした幅の範囲に位置し、この幅はセンターリブの幅の0.1倍以上0.4倍以下の範囲に設定してもよい。
【0020】
前記第1のノッチの幅は1.2mm以上10mm以下であり、前記第1のサイプの幅は0.3mm以上1.5mm以下であってもよい。
【0021】
前記第1のノッチの深さは、2mm以上13mm以下であり、前記第1のサイプの深さは、2mm以上13mm以下であってもよい。
【0022】
空気入りタイヤは、一端が前記第2の主溝に連通し、他端が前記センターリブ内で終端する、第2のノッチと、前記センターリブの前記第2のノッチに対して前記タイヤ幅方向に対向する部分に設けられた第2のサイプとをさらに備え、前記第2のノッチは、前記タイヤ周方向に対して、第3の角度をなすように延び、前記第2のサイプは、前記タイヤ周方向に対して、前記第3の角度とは正負符号の異なる第4の角度をなすように延び、前記第1の角度と前記第3の角度とは、前記タイヤ周方向を基準とした正負符号が同一であり、前記第2の角度と前記第4の角度とは、前記タイヤ周方向を基準とした正負符号が同一であってもよい。
【0023】
この構成により、第2のノッチが延びる方向を示す仮想線と、第2のサイプが延びる方向を示す仮想線とが、タイヤ周方向の一つの向きに凸状の折れ線を構成する。また、この折れ線の凸状の向きは、第1のノッチが延びる方向を示す仮想線と、第1のサイプが延びる方向を示す仮想線とが構成する折れ線の凸状とは、逆向きである。かかる第2のノッチと第2のサイプの折れ線状の配置により、タイヤ周方向のいずれの向きからセンターリブに作用する荷重に対しても、センターリブの剛性が向上する。その結果、氷雪路面における操縦安定性がさらに向上する。
【発明の効果】
【0024】
本発明の空気入りタイヤによれば、氷雪路面性能を確保しつつ、氷雪路面での操縦安定性と、センターリブの耐偏摩耗性との両立を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の実施形態に係る空気入りタイヤの斜視図。
【
図2】
図1の空気入りタイヤのトレッド部及びその周辺の展開図。
【
図8】
図7のVIII-VIII線に沿った断面図。
【
図10】
図7のX-X線、X'-X'線、X''-X''に沿った断面図。
【
図11】
図7のXI-XI線及びXI’-XI’線に沿った断面図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下の説明では、トレッド部に形成された溝、サイプのような長手方向を有する構造の、平面視ないしタイヤ径方向視での傾斜について、「右上がり」及び「右下がり」という用語を使用する場合がある。
【0027】
「右上がり」という用語は、構造の長手方向とタイヤ周方向の交点を中心として、タイヤ周方向を鋭角に時計回りに回転させることで、構造の長手方向とタイヤ周方向が重なる場合を言う。また、「右上がり」という用語は、構造の長手方向とタイヤ幅方向の交点を中心として、タイヤ幅方向を鋭角に反時計回りに回転させることで、構造の長手方向とタイヤ周方向が重なる場合を言う。
【0028】
「右下がり」という用語は、構造の長手方向とタイヤ周方向の交点を中心として、タイヤ周方向を鋭角に反時計回りに回転させることで、構造の長手方向とタイヤ周方向が重なる場合を言う。また、「右下がり」という用語は、構造の長手方向とタイヤ幅方向の交点を中心として、タイヤ幅方向を鋭角に時計回りに回転させることで、構造の長手方向とタイヤ周方向が重なる場合を言う。
【0029】
以下の説明では、トレッド部に形成された溝、サイプのような長手方向を有する構造が、タイヤ径方向視においてタイヤ周方向又はタイヤ幅方向となす角度の正負符号について、「右上がり」の場合を正と、「右下がり」の場合を負とする。
【0030】
(トレッド部及びその周辺の概略)
図1から
図3は、本発明の実施形態に係るゴム製の空気入りタイヤ(以下、タイヤという)1のトレッド部2及びその周辺を示す。このタイヤ1は、スノータイヤである。
【0031】
図において、タイヤ周方向を符号TCで、タイヤ幅方向を符号TWでそれぞれ示す。また、トレッド部2のタイヤ幅方向の中心線(赤道線)を符号CLで示す。さらに、トレッド部2のタイヤ幅方向の両端の接地端を、符号GE1,GE2で示す。以下の説明では、2つの接地端GE1,GE2を特に区別する必要がない場合、これらのうちの一方を単に接地端GEと呼ぶことがある。
【0032】
本明細書では、タイヤ外周のうち、2つの接地端GE1,GE2で挟まれた領域をトレッド部2と呼ぶ。また、トレッド部2よりもタイヤ幅方向外側に位置する、タイヤ軸方向に対して実質的に直交する平坦ないしは相対的に曲率の小さい部分をサイド部3と呼ぶ。さらに、トレッド部2とサイド部3をつなぐ相対的に大きな曲率で湾曲した部分をショルダー部4と呼ぶ。
【0033】
トレッド部2のタイヤ幅方向の中央領域、より具体的には中心線CL上に、タイヤ周方向に延びるセンター主溝5が形成されている。センター主溝5は、タイヤ径方向視で、直線状ではなく、蛇行状ないしジグザグ状である。
【0034】
トレッド部2のセンター主溝5よりも接地端GE1,GE2側には、タイヤ周方向に延びるショルダー主溝6A,6Bが形成されている。2本のショルダー主溝6A,6Bは、それぞれセンター主溝5とタイヤ幅方向に隣接している。ショルダー主溝6A,6Bは、タイヤ径方向視で、直線状ではなく、蛇行状ないしジグザグ状である。以下の説明では、2本のショルダー主溝6A,6Bを特に区別する必要がない場合、これらのうちの一方を単にショルダー主溝6と呼ぶことがある。
【0035】
トレッド部2のタイヤ幅方向の中央領域には、センター主溝5とショルダー主溝6Aとによって、タイヤ周方向に延びるセンターリブ7Aが画定されている。また、タイヤ幅方向の中央領域には、センター主溝5とショルダー主溝6Bとによって、タイヤ周方向に延びるセンターリブ7Bが画定されている。以下の説明では、2本のセンターリブ7A,7Bを特に区別する必要がない場合、これらのうちの一方を単にセンターリブ7と呼ぶことがある。
【0036】
トレッド部2のタイヤ幅方向両端側の2つのショルダー領域、つまりそれぞれ接地端GE1,GE2に隣接した2つの領域には、タイヤ周方向に間隔をあけて配置された複数のショルダー横溝8A,8Bがそれぞれ設けられている。
【0037】
ショルダー横溝8Aは、概ねタイヤ幅方向に延び、一端がショルダー主溝6Aに連通し、他端が接地端GE1とショルダー部4を超えて延びている。ショルダー横溝8Aの他端はサイド部3に位置している。
【0038】
同様に、ショルダー横溝8Bは、概ねタイヤ幅方向に延び、一端がショルダー主溝6Bに連通し、他端は接地端GE2とショルダー部4よりもタイヤ幅方向外側のサイド部3に位置している。
【0039】
以下の説明では、ショルダー横溝8A,8Bを特に区別する必要がない場合、これらのうちの一方を単にショルダー横溝8と呼ぶことがある。
【0040】
トレッド部2の接地端GE1側の部分には、それぞれショルダー主溝6Aとタイヤ周方向に互いに隣接する2本のショルダー横溝8Aとによって画定された複数のショルダーブロック9Aが、タイヤ周方向に並べられている。
【0041】
ショルダーブロック9Aは、タイヤ幅方向に細長い形状を有する。ショルダーブロック9Aは、タイヤ幅方向の内側の端部がトレッド部2に位置する。ショルダーブロック9Aは、タイヤ幅方向外側へ向けて接地端GE1とショルダー部4を超えて延びている。ショルダーブロック9Aのタイヤ幅方向外側の端部は、サイド部3に位置している。
【0042】
同様に、トレッド部2の接地端GE2側の部分には、それぞれショルダー主溝6Bとタイヤ周方向に互いに隣接する2本のショルダー横溝8Bとによって画定された複数のショルダーブロック9Bが、タイヤ周方向に並べられている。ショルダーブロック9Bは、タイヤ幅方向に細長い形状を有する。ショルダーブロック9Bは、タイヤ幅方向の内側の端部がトレッド部2に位置し、タイヤ幅方向外側の端部がサイド部3に位置している。
【0043】
以下の説明では、ショルダーブロック9A,9Bを特に区別する必要がない場合、これらの一方を単にショルダーブロック9と呼ぶことがある。
【0044】
センターリブ7には、複数のセンターノッチ11がタイヤ周方向に一定の間隔をあけて設けられている。センターノッチ11は、右上がりに傾斜している。センターノッチ11は、一端(基端)がセンター主溝5に接続し、他端(先端)がセンターリブ7内で終端している。センターノッチ11は、先端が折れ曲がった形状を有する。後に詳述するように、センターノッチ11を画定する一対の側壁11dは、段差部11hをそれぞれ有し、2個のエッジ、つまり主エッジ11iと副エッジ11jとが形成されている(
図5を併せて参照)。一対の側壁11dの一方にのみ段差部11hを設けてもよい。
【0045】
センターリブ7には、複数のサイドノッチ12がタイヤ周方向に一定の間隔をあけて設けられている。サイドノッチ12は右上がりに傾斜している。サイドノッチ12は、一端(基端)がショルダー主溝6に接続し、他端(先端)がセンターリブ7内で終端している。後に詳述するように、サイドノッチ12を画定する一対の側壁12bは、段差部12fをそれぞれ有し、2個のエッジ、つまり主エッジ12gと副エッジ12hとが形成されている(
図6を併せて参照)。一対の側壁12bの一方にのみ段差部12fを設けてもよい。
【0046】
センターリブ7のセンターノッチ11に対してタイヤ幅方向に対向する部分には、2本の直線サイプ13A,13Bがタイヤ周方向に間隔をあけて設けられている。直線サイプ13A,13Bは、一端(基端)がショルダー主溝6に接続し、他端(先端)がセンターリブ7内で終端している。直線サイプ13A,13Bはいずれも右下がりに傾斜している。また、これらの直線サイプ13A,13Bは、概ね互いに平行に延びている。センターリブ7には、直線サイプ13Bに対してタイヤ周方向に間隔をあけて、右下がりに傾斜した直線サイプ13Cが設けられている。直線サイプ13Cは、一端(基端)がショルダー主溝6に接続し、他端(先端)がセンターリブ7内で終端している。
【0047】
センターリブ7のサイドノッチ12に対してタイヤ幅方向に対向する部分には、2本の直線サイプ14A,14Bがタイヤ周方向に間隔をあけて設けられている。直線サイプ14A,14Bは、一端(基端)がセンター主溝5に接続し、他端(先端)がセンターリブ7内で終端している。直線サイプ14A,14Bは、いずれも右下がり傾斜している。また、これらの直線サイプ14A,14Bは、概ね互いに平行に延びている。センターリブ7には、直線サイプ14Bに対してタイヤ周方向に間隔をあけて、右下がり傾斜した直線サイプ14Cが設けられている。直線サイプ14Cは、一端(基端)がショルダー主溝6に接続し、他端(先端)がセンターリブ7内で終端している。
【0048】
センターリブ7には、一つのセンターノッチ11と、このセンターノッチ11とタイヤ周方向に隣接するサイドノッチ12との間の部分に、3個の波形サイプ15A~15Cが設けられている。これらの波形サイプ15A~15Cは、いずれも右上がりに傾斜している。センターノッチ11にタイヤ周方向に隣接する波形サイプ15Aは、一端がセンター主溝5に接続し、他端がセンターリブ7内で終端している。サイドノッチ12にタイヤ周方向に隣接する波形サイプ15Cは、一端がショルダー主溝6に接続し、他端がセンターリブ7内で終端している。波形サイプ15A,15C間に位置する波形サイプ15Bは、一端がセンター主溝5に連通し、他端がショルダー主溝6に連通している。
【0049】
後に詳述するように、ショルダー横溝8を画定する一対の側壁8dは段差部8hを有し、ショルダーブロック9のタイヤ幅方向に延びる角部は、2個のエッジ、つまり主エッジ9aと副エッジ9bと有する(
図8,9参照)。一対の側壁8dの一方にのみ、段差部8hを設けてもよい。
【0050】
ショルダーブロック9のタイヤ周方向の中央部分には、全体としてタイヤ幅方向に延びる1本の断続サイプ21が設けられている。断続サイプ21は、一端がショルダー主溝6に接続されており、他端は接地端GEを超えてタイヤ幅方向外側へ延びている。断続サイプ21の他端はショルダー部4とサイド部3の境界で終端している(
図2参照)。後に詳述するように、断続サイプ21には、タイヤ幅方向に対して異なる方向に延びる深部21a,21c,21eと浅部21b,21dが交互に設けられており、タイヤ径方向視での形状は、概ねジグザグ状である。
【0051】
ショルダーブロック9には、断続サイプ21のタイヤ周方向の両側に位置するように、一対の複合サイプ22が設けられている。複合サイプ22は、一端がショルダー主溝6に接続され、他端がショルダーブロック9内で終端している。複合サイプ22は、一端側の直線サイプ部22aと、他端側の波形サイプ部22bとを備える。
【0052】
ショルダーブロック9のタイヤ幅方向外側の部分には、概ねタイヤ幅方向に延びる一対の直線サイプ23が設けられている。直線サイプ23は、一端がショルダー部4に位置し、他端がサイド部3に位置している。
【0053】
サイド部3には、連状突起部24が設けられている。
【0054】
(センターリブの詳細)
以下、主に
図4を参照して、センターリブ7の詳細を説明する。前述のように、センターリブ7には、センターノッチ11、サイドノッチ12、直線サイプ13A~13C、直線サイプ14C、及び波形サイプ15A~15Cが設けられている。
【0055】
センターノッチ11は、センター主溝5に基端が接続された本体部11aと、本体部11aの先端に対して折れ曲がった先端部11bとを備える。センターノッチ11の幅は、本体部11aの基端から先端部11bの先端に向けて、漸次減少している。本実施形態では、本体部11aのタイヤ周方向に対する角度θ1は73度で、先端部11bのタイヤ周方向に対する角度θ2は30度であり、角度θ1よりも小さい。角度θ1は30度以上85度以下の範囲で設定でき、角度θ2は0度以上60度以下の角度θ1より小さい値に設定できる。
【0056】
図5を併せて参照すると、センターノッチ11は、底壁11cと、互いに対向する一対の側壁11dによって画定されている。いずれの側壁11dも、第1部分11e、第2部分11f、及び第3部分11gを有する。本実施形態では、側壁11dの第1部分11e、第2部分11f、及び第3部分11gは、いずれも平坦面である。第1部分11eは、センターノッチ11が延びる方向に対して直交方向の断面視において、底壁11cからセンターリブ7の表面に向けて概ねタイヤ径方向に延びている。第2部分11fは、同じ断面視において、一端が第1部分11eの上端に接続されて、センターノッチ11の幅が広がるように、概ねタイヤ周方向に延びている。第3部分11gは、同じ断面視において、下端が第2部分11fの他端に接続されて上端がセンターリブ7の表面に接続している。
【0057】
センターノッチ11が延びる方向に対して直交方向の断面視において、側壁11dが延びる向きは、第1部分11eと第2部分11fの接続部分で急変している。つまり、この第1部分11eと第2部分11fの接続部分に、段差部11hが形成されている。この段差部11hを設けたことで、センターノッチ11の開口縁は、2個のエッジ、つまりセンターリブ7の表面側の主エッジ11iと、それよりタイヤ径方向内側の副エッジ11jとを有する。主エッジ11iは、センターリブ7の表面と側壁11dの第3部分11gとの接続箇所に形成されている。副エッジ11jは、側壁11dの第1部分11eと側壁11dの第2部分11fとの接続箇所に形成されている。
【0058】
段差部11hの幅(側壁11dの第2部分11fの幅)W1は、第1部分11eにおけるセンターノッチ11の幅W2の0.1倍以上1倍以下の範囲で設定できる。幅W1は0.3mm以上3mm以下の範囲で設定できる。センターノッチ11の幅W2は、1.2mm以上10mm以下の範囲で設定できる。従って、段差部11hの幅W1を含めたセンターノッチ11の幅は、1.8mm以上16mm以下の範囲で設定できる。また、段差部11hのセンターリブ7の表面からの深さ位置(側壁11dの第3部分11gの高さ)DE1は、センターノッチ11の深さDE2の0.05倍以上0.5倍以下の範囲で設定できる。センターノッチ11の深さDE2は、2mm以上13mm以下の範囲で設定できる。本実施形態では、センターノッチ11が延びる方向に対して直交方向の断面視において、側壁11dの第2部分11fがなすセンターリブ7の表面に対してなす角度γ1は、0度である。この角度γ1は、-30度以上30度以下の範囲で設定できる(角度γ1の正負符号は
図5において時計回りを正とする)。
【0059】
サイドノッチ12の幅は、基端から先端に向けて漸次減少している。本実施形態では、サイドノッチ12のタイヤ周方向に対する角度θ3は70度である。角度θ3は30度以上85度以下の範囲で設定できる。
【0060】
図6を参照すると、サイドノッチ12は、底壁12aと、互いに対向する一対の側壁12bによって画定されている。いずれの側壁12bも、第1部分12c、第2部分12d、及び第3部分1
2eを有する。本実施形態では、側壁12bの第1部分12c、第2部分12d、及び第3部分12eは、いずれも平坦面である。第1部分12cは、サイドノッチ12が延びる方向に対して直交方向の断面視において、底壁12aからセンターリブ7の表面に向けて概ねタイヤ径方向に延びている。第2部分12dは、同じ断面視において、一端が第1部分12cの上端に接続されて、サイドノッチ12の幅が広がるように、概ねタイヤ周方向に延びている。第3部分12eは、同じ断面視において、下端が第2部分12dの他端に接続されて上端がセンターリブ7の表面に接続している。
【0061】
サイドノッチ12が延びる方向に対して直交方向の断面視において、側壁12bが延びる向きは、第1部分12cと第2部分12dの接続部分で急変している。つまり、この第1部分12cと第2部分12dの接続部分に、段差部12fが形成されている。この段差部12fを設けたことで、サイドノッチ12の開口縁は、2個のエッジ、つまりセンターリブ7の表面側の主エッジ12gと、それよりタイヤ径方向内側の副エッジ12hとを有する。まず、主エッジ12gは、センターリブ7の表面と側壁12bの第3部分12eとの接続箇所に形成されている。また、副エッジ12hは、側壁12bの第1部分12cと側壁12bの第2部分12dとの接続箇所に形成されている。
【0062】
段差部12fの幅(側壁12bの第2部分12dの幅)W3は、第1部分12cにおけるサイドノッチ12の幅W4の0.1倍以上1.0倍以下の範囲で設定できる。幅W4は0.3mm以上3mm以下の範囲で設定できる。サイドノッチ12の幅W4は、1.2mm以上10mm以下の範囲で設定できる。従って、段差部12fの幅W3を含めたサイドノッチ12の幅は、1.8mm以上16mm以下の範囲で設定できる。また、段差部12fのサイドノッチ12の表面からの深さ位置(側壁12bの第3部分12eの高さ)DE3は、サイドノッチ12の深さDE4の0.05倍以上0.5倍以下の範囲で設定できる。サイドノッチ12の深さDE4は、2mm以上13mm以下の範囲で設定できる。本実施形態では、サイドノッチ12が延びる方向に対して直交方向の断面視において、側壁12bの第2部分12dが
サイドノッチ12の表面に対してなす角度γ2は0度である。この角度γ2は、-30度以上30度以下の範囲で設定できる(角度γ2の正負符号は
図6において時計回りを正とする)。
【0063】
前述のように、センターリブ7には、センターノッチ11に対してタイヤ幅方向に対向する部分に2本の直線サイプ13A,13Bが設けられている。ここで「タイヤ幅方向に対向」とは、センターノッチ11に対して、これらの直線サイプ13A,13Bの少なくとも一部がタイヤ周方向に重なることを意味する。センターノッチ11は右上がりに傾斜しているのに対して(角度θ1は30度以上85度以下で、角度θ2は0度以上60度以下)、直線サイプ13A,13Bは右下がりに傾斜している。直線サイプ13A,13Bのタイヤ径方向に対する角度θ4は、-85度以上-30度以下の範囲で設定できる。このように、直線サイプ13A,13Bは、タイヤ周方向に対して、センターノッチ11の角度θ1,θ2とは正負符号が異なる角度θ4をなすように延びている。そのため、センターノッチ11が延びる方向を示す仮想線と、直線サイプ13A,13Bが延びる方向を示す仮想線とが、タイヤ周方向の一つの向き(
図4において上向き)に凸状の折れ線を構成する。
【0064】
センターノッチ11の先端と、センターノッチ11に対してタイヤ幅方向に対向する直線サイプ13A,13Bの先端のうち最もセンター主溝5に近いものとは、センターリブ7のタイヤ幅方向の中央領域に位置し得る。具体的には、これらの先端は、センターリブ7の幅方向の中心(
図4において符号CRCで示す)を中心とした幅CRW1の範囲に配置し得る。ここで、幅CRW1は、センターリブ7の幅CRW0(平均幅)の0.1倍以上0.4倍以下の範囲に設定し得る。
【0065】
直線サイプ13A,13Bの幅は、0.3mm以上1.5mm以下に設定できる。また、直線サイプ13A,13Bの深さは、2mm以上13mm以下に設定できる。
【0066】
前述のように、センターリブ7には、サイドノッチ12に対してタイヤ幅方向に対向する部分に2本の直線サイプ14A,14Bが設けられている。ここで「タイヤ幅方向に対向」とは、サイドノッチ12に対して、これらの直線サイプ14A,14Bの少なくとも一部がタイヤ周方向に重なることを意味する。サイドノッチ12は右上がりに傾斜しているのに対して(角度θ3は30度以上85度以下)、直線サイプ14A,14Bは右下がりに傾斜している。直線サイプ14A,14Bのタイヤ径方向に対する角度θ5は、-85度以上-30度以下の範囲で設定できる。このように、直線サイプ14A,14Bは、タイヤ周方向に対して、サイドノッチ12の角度θ3とは正負符号が異なる角度θ5をなすように延びている。そのため、サイドノッチ12が延びる方向を示す仮想線と、直線サイプ14A,14Bが延びる方向を示す仮想線とが、タイヤ周方向の一つの向き(
図4において下向き)に凸状の折れ線を構成する。
【0067】
サイドノッチ12の先端と、サイドノッチ12に対してタイヤ幅方向に対向する直線サイプ14A,14Bの先端のうち最もショルダー主溝6に近いものとは、前述の幅CRW1の範囲に配置し得る。
【0068】
直線サイプ14A,14Bの幅は、0.3mm以上1.5mm以下に設定できる。また、直線サイプ14A,14Bの深さは、2mm以上13mm以下に設定できる。
【0069】
(ショルダー横溝及びショルダーブロックの詳細)
以下、主に
図7を参照して、ショルダー横溝8とショルダーブロック9の詳細を説明する。前述のように、ショルダーブロック9には、1本の断続サイプ21、2本の複合サイプ22、及び2本の直線サイプ23が設けられている。
【0070】
ショルダー横溝8は、ショルダー主溝6に接続された内側部分8aと、一端が内側部分8aに接続されてタイヤ幅方向外向きに接地端GEを超えて延びる外側部分8bとを備える。
図2を併せて参照すると、外側部分8bの他端は、前述のように、ショルダー部4とサイド部3の境界に位置している。
【0071】
ショルダー横溝8は概ねタイヤ幅方向に延びているが、内側部分8aと外側部分8bとでは、タイヤ幅方向に対する傾斜が異なる。まず、内側部分8aは右上がりに傾斜しており、内側部分8aのタイヤ幅方向に対する角度θ6は、2度以上45度以下の範囲で設定できる。次に、外側部分8bは右下がりに傾斜しており、外側部分8bのタイヤ幅方向に対する角度θ7は、-20度以上-2度以下の範囲で設定できる。
【0072】
ショルダー横溝8の内側部分8aのタイヤ幅方向の寸法は、ショルダー横溝8の外側部分8bのタイヤ幅方向の寸法と比較して短い。内側部分8aの長さは外側部分8bの長さの0.1倍以上0.4倍以下の範囲で設定できる。
【0073】
図8及び
図9を併せて参照すると、ショルダー横溝8の内側部分8aの幅W5を、ショルダー横溝8の外側部分8bの幅W6よりも狭く設定している。ショルダー横溝8の内側部分8aの幅W5は、ショルダー主溝6に向けて漸減している。本実施形態では、ショルダー横溝8の内側部分8aの深さDE5と、ショルダー横溝8の外側部分8bの深さDE6を同一に設定している。内側部分8aの深さDE5を、外側部分8bの深さDE6よりも浅く設定してもよい。ショルダー横溝8の深さDE5,DE6は、2mm以上13mm以下の範囲で設定できる。
【0074】
引き続き
図8及び
図9を併せて参照すると、ショルダー横溝8は、底壁8cと、互いに対向する一対の側壁8dによって画定されている。いずれの側壁8dも、第1部分8e、第2部分8f、及び第3部分8gを有する。本実施形態では、側壁8dの第1部分8e、第2部分8f、及び第3部分8gは、いずれも平坦面である。第1部分8eは、ショルダー横溝8が延びる方向に対して直交方向の断面視において、底壁8cからショルダーブロック9の表面に向けて概ねタイヤ径方向に延びている。第2部分8fは、同じ断面視において、一端が第1部分8eの上端に接続されて、ショルダー横溝8の幅が広がるように、概ねタイヤ周方向に延びている。第3部分8gは、同じ断面視において、下端が第2部分8fの他端に接続されて上端がショルダーブロック9の表面に接続している。
【0075】
ショルダー横溝8が延びる方向に対して直交方向の断面視において、側壁8dが延びる向きは、第1部分8eと第2部分8fの接続部分で急変している。つまり、この第1部分8eと第2部分8fの接続部分に、段差部8hが形成されている。前述のように、ショルダー横溝8は、ショルダー主溝6と共にショルダーブロック9を画定している。より具体的には、ショルダー横溝8の側壁8dは、トレッド部2の表面と共にショルダーブロック9のタイヤ幅方向に延びる角部を構成している。ショルダー横溝8の側壁8dに段差部8hを設けたことで、ショルダーブロック9のタイヤ幅方向に延びる角部は、単一のエッジではなく、2段のエッジで構成される。つまり、ショルダーブロック9のタイヤ幅方向に延びる角部は、ショルダーブロック9の表面側の主エッジ9aと、それよりもタイヤ径方向内側の副エッジ9bとを有する。主エッジ9aは、ショルダーブロック9の表面とショルダー横溝8の側壁8dの第3部分8gとの接続箇所に形成されている。副エッジ9bは、ショルダー横溝8の側壁8dの第1部分8eと側壁8dとの接続箇所に形成されている。
【0076】
段差部8hの幅(側壁8dの第2部分8fの幅)W7は、第1部分8eにおけるショルダー横溝8の幅W5,W6の0.1倍以上1.0倍以下の範囲で設定できる。また、段差部8hのショルダーブロック9の表面からの深さ位置(側壁8dの第3部分8gの高さ)DE7は、ショルダー横溝8の深さDE5,DE6の0.05倍以上0.5倍以下の範囲で設定できる。本実施形態では、ショルダー横溝8が延びる方向に対して直交方向の断面視において、側壁8dの第2部分8fがショルダーブロック9の表面に対してなす角度γ3は0度である。この角度γ3は、-30度以上30度以下の範囲で設定できる(角度γ3の正負符号は
図8,9において時計回りを正とする)。
【0077】
断続サイプ21は、タイヤ径方向視において、ショルダー主溝6からショルダー部4とサイド部3の境界(
図2を併せて参照)まで、タイヤ幅方向に概ねジグザグ状に延びている。断続サイプ21は、交互に配置された2種類の要素、つまり深部21a,21c,21eと浅部21b,21dとを備える。これらの要素は、ショルダー主溝6からタイヤ幅方向外側に向けて、深部21a、浅部21b、深部21c、浅部21d、及び深部21eの順で配置されている。具体的には、深部21aは、一端がショルダー主溝6に連通し、他端が浅部21bの一端に連通している。浅部21bの他端は、
深溝21cの一端に連通している。深部21cの他端は
、浅部21dの一端に連通している。浅部21dの他端は、深部21eの一端に連通している。深部21eの他端はショルダーブロック9内で終端している。
【0078】
図10及び
図11を併せて参照すると、断続サイプ21は、ショルダー主溝6に接続された要素である深部21aから、最もショルダー主溝6から離れた要素である深部21eまで連続する1本の浅溝21fを備える。言い換えれば、浅溝21fは、断続サイプ21を構成するすべての要素、つまり深部21a,21c,21eと浅部21b,21dに共通して有している。浅溝21fは、ショルダーブロック9の表面に開口している。
【0079】
深部21a,21c,21eでは、浅溝21fと連通するサイプ本体21f,21g,21hがさらに設けられている。サイプ本体21f,21g,21hの上端は浅溝21fの下部と連通している。本実施形態では、サイプ本体21は直線状サイプである。
【0080】
浅部21b,21dは、サイプ本体を備えず、浅溝21fのみによって構成されている。従って、深部21a,21c,21eのサイプ本体21f,21g,21hは互いに連通していない。言い換えれば、深部21aと深部21cは、これらの間に介在する浅部21bを構成する浅溝21fのみによって空間的に接続されている。また、深部21cと深部21eは、これらの間に介在する浅部21dを構成する浅溝21fのみによって空間的に接続されている。
【0081】
図7を参照すると、本実施形態では、断続サイプ21を構成するすべての要素、つまり深部21a,21c,21eと浅部21b,21dは、タイヤ径方向視において、直線状である。タイヤ幅方向の寸法、つまり長さについては、深部21aの長さL1と深部21cの長さL2は概ね同じであり、深部21eの長さL3は、深部21a,21cの長さL1,L2よりも十分に長い。深部21a,21c,21eの長さL1,L2,L3は、ショルダーブロック9のタイヤ幅方向の全長L4の0.1倍以上0.5倍以下の範囲で設定できる。浅部21b,21dの長さL5,L6は、深部21a,21c,21eの長さL1,L2,L3よりも十分に短い。浅部21b,21dの長さL5,L6は、深部21a,21c,21eの長さL1,L2,L3のうちの最も短いものの0.1倍以上0.5倍以下の範囲で設定できる。
【0082】
深部21cは、深部21aに対してタイヤ周方向にオフセットしている。また、深部21eは、深部21cに対してタイヤ周方向にオフセットしている。本実施形態では、深部21cは深部21aに対して
図7において下側にオフセットし、深部21eは深部21cに対して
図7において下側にオフセットしている。本実施形態では、深部21a,21c,21eがタイヤ幅方向となす角度θ8,θ9,θ10は、いずれも0度である。角度θ8~θ10は、-20度以上20度以下の範囲で設定できる。
【0083】
本実施形態では、浅部21b,21dは右下がりに傾斜しており、これらがタイヤ幅方向となす角度θ11,θ12は、-30度である。深部21a,21c,21eが本実施形態のような態様でオフセット配置されている場合、角度θ11,θ12は、-45度以上-2度以下の範囲で設定できる。また、本実施形態とは異なり、深部21cが深部21aに対して
図7において上側にオフセットし、深部21eが深部21cに対して
図7において上側にオフセットしている場合、浅部21b,21dは右上がりの傾斜を有することになる。この場合、角度θ11,θ12は、2度以上45度以下の範囲で設定できる。従って、角度θ11,θ12の絶対値は、2度以上45度以下の範囲で設定できる。
【0084】
図10及び
図11を併せ参照すると、浅溝21fはタイヤ周方向に対向する一対の側壁21iにより画定されている。また、サイプ本体21f,21g,21hは、浅溝21fの開口部とタイヤ径方向に対向する底壁21jと、一対の平坦な側壁21kとによって画定されている。
【0085】
浅溝21fを画定する側壁21iは、浅溝21fが延びる方向に対して直交方向の断面視において、テーパ形状を構成している。具体的には、側壁21iは、この断面視において、ショルダーブロック9の表面に対して傾斜している。本実施形態では、
図10及び
図11において右側の側壁21iがショルダーブロック9の表面に対する傾斜角度γ4は、45度である。傾斜角度γ4は5度以上60度以下の範囲で設定できる。
図10及び
図11において左側の側壁21iがショルダーブロック9の表面に対する傾斜角度は、本実施形態では-45度であり、-60度以上-5度以下の範囲で設定できる。つまり、側壁21eのショルダーブロック9に対する傾斜角度γ4の絶対値は、5度以上60度以下の範囲で設定できる。
【0086】
浅溝21fの深さDE8は、深部21a,21c,21eの総深さDE9(浅溝21fの深さDE8とサイプ本体21f,21g,21hの深さDE9の和)の0.05倍以上0.5倍以下の範囲に設定できる。浅溝21fが延びる方向に対して直交方向の断面視において、浅溝21fの最大幅、つまり浅溝21fの開口部(深部21a,21c,21eと浅部21b,21dの開口部でもある)の最大幅W8は、サイプ本体21f,21g,21hの幅W9の1.2倍以上5倍以下の範囲に設定できる。
【0087】
複合サイプ22の直線サイプ部22aは、ショルダー横溝8の内側部分8a(相対的に狭い溝幅W5を有する)に対して、タイヤ周方向に対応する部分に設けられている。つまり、直線サイプ部22aの一部が、内側部分8aに対してタイヤ幅方向に重なっている。また、複合サイプ22の波形サイプ部22bは、ショルダー横溝8の外側部分8b(相対的に広い溝幅W6を有する)に対して、タイヤ周方向に対応する部分に設けられている。つまり、波形サイプ部22bは、外側部分8bに対してタイヤ幅方向に重なっている。
【0088】
複合サイプ22では、断続サイプ21の深部21a,21c,21eとタイヤ周方向に対応する部分(それぞれ符号22c,22e,22gで示す)の深さを、断続サイプ21の浅部21b,21dとタイヤ周方向に対応する部分(それぞれ符号22d,22fで示す)の深さよりも浅く設定している。
【0089】
本実施形態のタイヤ1の主な特徴は、以下を含む。
【0090】
センターノッチ11と、これに対してタイヤ幅方向に対向する部分の直線サイプ13A,13Bがセンターリブ7に設けられている。また、サイドノッチ12と、これに対してタイヤ幅方向に対向する部分の直線サイプ14A,14Bがセンターリブ7に設けられている。センターノッチ11、サイドノッチ12、直線サイプ13A,13B,14A,14Bを有することで、センターリブ7には多数のエッジが設けられている。その結果、氷雪路面性能、つまり氷雪路面におけるトラクション性能と制動性能とが向上する。
【0091】
センターリブ7のセンターノッチ11とタイヤ幅方向に対する部分は、他の部分と比較してタイヤ幅方向の寸法、つまり幅が狭い。かかる狭幅部分に、別のノッチではなく、直線サイプ13A,13Bを設けることで、センターリブ7の必要な剛性が維持されている。また、センターリブ7のサイドノッチ12とタイヤ幅方向に対する部分は幅が狭い。かかる狭幅部分に、別のノッチではなく、直線サイプ14A,14Bを設けることで、センターリブ7の必要な剛性が維持されている。その結果、氷雪路面での良好な操縦安定性が得られる。また、センターリブ7のセンターノッチ11及びサイドノッチ12とタイヤ幅方向に対向する幅狭部分に、ノッチではなく直線サイプ13A,13B,14A,14Bを設けることで、センターリブ7の剛性分布が均一化されている。その結果、センターリブ7の耐偏摩耗性が確保される。
【0092】
以上のように、本実施形態に係るタイヤ1によれば、氷雪路面性能を確保しつつ、氷雪路面での操縦安定性と、センターリブ7の耐偏摩耗性とを両立することができる。
【0093】
直線サイプ13A,13Bのタイヤ周方向に対する角度θ4は、センターノッチ11のタイヤ周方向に対する角度θ1,θ2とは、正負符号が異なる。そのため、センターノッチ11が延びる方向を示す仮想線と、直線サイプ13A,13Bが延びる方向を示す仮想線とは、
図4において上向きに凸状の折れ線を構成する。また、直線サイプ14A,14Bのタイヤ周方向に対する角度θ5は、サイドノッチ12のタイヤ周方向に対する角度θ3とは、正負符号が異なる。そのため、サイドノッチ12が延びる方向を示す仮想線と、直線サイプ14A,14Bが延びる方向を示す仮想線とは、
図4において下向きに凸状の折れ線を構成する。かかるセンターノッチ11と直線サイプ13A,13Bの折れ線状の配置、並びにサイドノッチ12と直線サイプ14A,14Bの折れ線状の配置により、センターリブ7のタイヤ周方向の剛性が向上する。ここで「リブの剛性」とは、リブの表面のみでなく体積体としての変形抵抗性を意味する。センターリブ7のタイヤ周方向の剛性向上により、氷雪路面における操縦安定性が向上する。
【0094】
また、センターノッチ11と直線サイプ13A,13Bの折れ線状の配置、並びにサイドノッチ12と直線サイプ14A,14Bの折れ線状の配置により、センターリブ7が有するエッジの総長さが長くなる。その結果、氷雪路面性能が向上する。
【0095】
センターノッチ11が延びる方向を示す仮想線と、直線サイプ13A,13Bが延びる方向を示す仮想線とが構成する折れ線は、
図4において上向きに凸状である。これに対して、サイドノッチ12が延びる方向を示す仮想線と、直線サイプ14A,14Bが延びる方向を示す仮想線とが構成する折れ線は、
図4において下向きに凸状である。このように前者の凸状の向きと後者の凸状の向きが逆向きであることにより、タイヤ周方向のいずれの向きからセンターリブ7に作用する荷重に対しても、センターリブ7の剛性が向上する。その結果、氷雪路面における操縦安定性がさらに向上する。
【0096】
センターノッチ11とタイヤ幅方向に対向して設けられているのは、変曲点を有さないサイプの一例である直線サイプ13A,13Bである。また、サイドノッチ12とタイヤ幅方向に対向して設けられているのは、同様に変曲点を有さないサイプの一例である直線サイプ14A,14Bである。ここでサイプについて「変曲点」とは、タイヤ径方向においてサイプが延びる向きが変化する点をいう。例えば、サイプのある部分がタイヤ周方向の一つの向きに延び、サイプのこの部分に隣接する部分がタイヤ周方向の逆向きに延びている場合、これらの2つの部分の接続部分は変曲点である。
【0097】
一般に、変曲点を有しないサイプを設けたリブと、変曲点を有するサイプ(例えば波形サイプ)を設けたリブとを比較すると、前者のリブの表面剛性は、後者のリブの表面剛性よりも高い。ここで「リブの表面剛性」とは、リブの表面の変形抵抗性を意味する。センターノッチ11とタイヤ幅方向に対向する部分、並びにサイドノッチ12とタイヤ幅方向に対向する部分に、変曲点を有するサイプではなく、表面剛性の点で有利な変曲点を有しない直線サイプ13A,13B,14A,14Bを設けている。この構成により、これらの部分の良好な接地性とそれによる良好な氷雪路面性能が確保される。
【0098】
図12に示すように、直線サイプ13A,13B,14A,14Bに代えて、変曲点を有さないサイプの他の例である円弧サイプ113A,113B,114A,114Bを、センターリブ7に設けてもよい。
【0099】
図13に示すように、直線サイプ13A,13B,14A,14Bに代えて、波形サイプ213A,213B,214A,214Bをセンターリブ7に設けてもよい。この場合であっても、センターノッチ11及びサイドノッチ12とタイヤ幅方向に対向する幅狭部分に、別のノッチではなくサイプを設けることによるセンターリブの必要な剛性が維持と、センターリブ7の剛性分布が均一化を図ることができる。
【0100】
本実施形態のタイヤの他の特徴は、以下を含む。
【0101】
トレッド部2は、少なくとも一部が波形形状を有するサイプ(波形サイプ15A,15B,15Cと複合サイプ22)と、段差部8hを有するショルダー横溝8との組み合わせを有する。特に、ショルダーブロック9には、波形サイプ部22bを有する複合サイプ22が設けられている。また、ショルダーブロック9を画定するショルダー横溝8の側壁8dは、ショルダーブロック9の表面側に段差部8hを有する。そして、この構成により、ショルダーブロック9のタイヤ幅方向に延びる角部は2個のエッジ、つまり主エッジ9aと副エッジ9bと有する。波形サイプ部22bを有する複合サイプ22、主エッジ9a、及び副エッジ9bを有することで、ショルダーブロック9が備えるタイヤ幅方向に沿ってのびるエッジの総長さが長くなる。その結果、氷雪路面性能、つまり氷雪路面における、トラクション性能と制動性能とが向上する。
【0102】
ショルダーブロック9のタイヤ幅方向に延びる角部は、単一のエッジではなく、2段のエッジ、つまり主エッジ9aと副エッジ9bによって構成される。この2段構造により、ショルダーブロック9の角部の荷重に対する変形抵抗が増す。つまり、ショルダーブロック9の剛性が向上する。このショルダーブロック9の剛性向上により、氷雪路面における操縦安定性、特に旋回時の操縦安定性が向上する。
【0103】
ショルダーブロック9の接地面積は、副エッジ9bではなく、副エッジ9bよりもタイヤ径方向視で内側に位置する主エッジ9aにより定まる。つまり、2段構造のエッジを採用したことにより、ショルダーブロック9の体積に対する接地面積の割合を低減できる。この接地面積の低減によって、ショルダーブロック9の接地圧が高くなり、氷雪路面性能が向上する。
【0104】
ショルダー横溝8の側壁8dはショルダーブロック9の表面側に段差部8hを有するので、雪路面においてショルダー横溝8内に形成される雪柱は、基端部分が先端部分よりも太い形状となる。その結果、雪柱せん断力が増し、雪路面性能が向上する。
【0105】
図7を参照すると、ショルダーブロック9は、ショルダー横溝8の内側部分8a(相対的に狭い幅W5を有する)にタイヤ幅方向で対応する領域(
図7において符号9cで示す)では、相対的に広い幅W10を有する。この領域9cでは、ショルダーブロック9の剛性は相対的に高く、ショルダーブロック9の表面剛性は相対的に低い。ここで、「ショルダーブロックの剛性」とは、ショルダーブロック9の表面のみでなく体積体としての変形抵抗性を意味する。また、「ショルダーブロックの表面剛性」とは、ショルダーブロック9の表面の変形抵抗性を意味する。ショルダーブロック9自体の剛性と表面剛性がこのような関係にあるショルダー横溝8の内側部分8aでは、ショルダーブロック9の表面剛性を維持する効果がショルダーブロック9の剛性を維持する効果よりも高い、複合サイプ22の直線サイプ部22aが配置されている。
【0106】
ショルダーブロック9は、ショルダー横溝8の外側部分8b(相対的に広い幅W6を有する)にタイヤ幅方向で対応する領域(
図7において符号9dで示す)では、相対的に狭い幅W11を有する。この領域9dでは、ショルダーブロック9の剛性が相対的に低く、ショルダーブロック9の表面剛性が相対的に高い。ショルダーブロック9自体の剛性と表面剛性がこのような関係にあるショルダー横溝8の外側部分8bでは、ショルダーブロック9の剛性を維持する効果がショルダーブロック9の表面剛性を維持する効果よりも高い、複合サイプ22の波形サイプ部22
bが配置されている。
【0107】
以上のように、相対的に狭い幅W5を有するショルダー横溝8の内側部分8a(ショルダーブロック9は相対的に広い幅W10を有する)では、ショルダーブロック9に複合サイプ22の直線サイプ部22aを配置し、相対的に広い幅W6を有するショルダー横溝8の外側部分8b(ショルダーブロック9は相対的に狭い幅W11を有する)では、ショルダーブロック9に複合サイプ22の波形サイプ部22bを配置している。この構成により、ショルダーブロック9のタイヤ幅方向中心CL側(ショルダー主溝6側)で必要な表面剛性が得られるので、ショルダーブロック9の良好な接地性とそれによる良好な氷雪路面性能が確保される。また、ショルダーブロック9の接地端GE側を含むショルダーブロック9全体で必要なブロック剛性が得られるので、氷雪路面における良好な操縦安定性が確保される。
【0108】
ショルダーブロック9に設けられた断続サイプ21は、タイヤ周方向にオフセットした深部21a,21c,21eを備え、深部21aと深部21cとは、タイヤ幅方向に対してこれらとは異なる角度をなして延びる浅部21bにより接続されている。また、深部21cと深部21eとは、タイヤ幅方向に対してこれらとは異なる角度をなして延びる浅部21dにより接続されている。断続サイプ21がこれら6個の要素、すなわち深部21a,21c,21eと浅部21b,21dを有することで、ショルダーブロック9は位置及び向きが異なる複数の多数のエッジを有する。その結果、氷雪路面における操縦安定性、特に旋回時の操縦安定性が向上する。
【0109】
浅溝21fとサイプ本体21f,21g,21hの両方を有する深部21a,21c,21eは、浅溝21fのみにより構成された浅部21b,21dによって接続されている。言い換えれば、深部21a,21c,21eは浅部21b,21dにおいて、ショルダーブロック9表面側でのみ互いに連通している。この構成により、断続サイプ21を設けた部分におけるショルダーブロックの剛性低下は最小限に抑制される。言い換えれば、ショルダーブロック9に断続サイプ21を設けているにもかかわらず、ショルダーブロック9の剛性の均一性と、ショルダーブロック9全体としての必要な剛性とが維持される。その結果、ショルダーブロック9に対して、特にタイヤ周方向の前後向きの荷重が作用する際に、ショルダーブロック9に作用する接地圧を均一化できる。この接地圧均一化により、ショルダーブロック9の偏摩耗を抑制ないし防止できる。また、ショルダーブロック9全体としての必要な剛性が確保されることでも、氷雪路面における良好な操縦安定性が確保される。
【0110】
ショルダーブロック9に、断続サイプ21に加えて複合サイプ22を設けたことで、ショルダーブロック9が有するエッジの総長さがさらに長くなる。その結果、氷雪路面における操縦安定性、特に旋回時の操縦安定性が向上する。
【0111】
前述のように、複合サイプ22では、断続サイプ21の深部21a,21c,21eとタイヤ周方向に対応する部分22c,22e,22gの深さを、断続サイプ21の浅部21b,21dとタイヤ周方向に対応する部分22d,22gの深さよりも浅く設定している。つまり、断続サイプ21の深部21a,21c,21eが設けられている部分では、複合サイプ22の深さが相対的に浅く、浅部21b,21dが設けられている部分では、複合サイプ22の深さが相対的に深い。かかる断続サイプ21と複合サイプ22の深さの設定により、タイヤ幅方向におけるショルダーブロック9の剛性分布が均一化される。その結果、特にタイヤ周方向の前後向きの荷重が作用する際に、ショルダーブロック9に作用する接地圧が均一化され、ショルダーブロック9の耐偏摩耗性が確保される。
【符号の説明】
【0112】
1 タイヤ
2 トレッド部
3 サイド部
4 ショルダー部
5 センター主溝
6,6A,6B ショルダー主溝
7,7A,7B センターリブ
8,8A,8B ショルダー横溝
8a 内側部分
8b 外側部分
8c 底壁
8d 側壁
8e 第1部分
8f 第2部分
8g 第3部分
8h 段差部
9,9A,9B ショルダーブロック
9a 主エッジ
9b 副エッジ
9c,9d 領域
11 センターノッチ
11a 本体部
11b 先端部
11c 底壁
11d 側壁
11e 第1部分
11f 第2部分
11g 第3部分
11h 段差部
11i 主エッジ
11j 副エッジ
12 サイドノッチ
12a 底壁
12b 側壁
12c 第1部分
12d 第2部分
12e 第3部分
12f 段差部
12g 主エッジ
12h 副エッジ
13A,13B,13C 直線サイプ
14A,14B,14C 直線サイプ
15A,15B,15C 波形サイプ
21 断続サイプ
21a,21c,21e 深部
21b,21d 浅部
21f 浅溝
21f,21g,21h サイプ本体
21i 側壁
21j 底壁
21k 側壁
22 複合サイプ
22a 直線サイプ部
22b 波形サイプ部
22c~22g 部分
23 直線サイプ
24 連状突起部
113A,113B,114A,114B 円弧サイプ
213A,213B,214A,214B 波形サイプ