(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-14
(45)【発行日】2022-01-14
(54)【発明の名称】自律飛行移動体、自律飛行移動方法
(51)【国際特許分類】
B64C 13/18 20060101AFI20220106BHJP
B64C 39/02 20060101ALI20220106BHJP
B64D 27/24 20060101ALI20220106BHJP
G01C 21/26 20060101ALI20220106BHJP
G08G 5/00 20060101ALI20220106BHJP
【FI】
B64C13/18 Z
B64C39/02
B64D27/24
G01C21/26 Z
G08G5/00 A
(21)【出願番号】P 2017169410
(22)【出願日】2017-09-04
【審査請求日】2020-09-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000233491
【氏名又は名称】株式会社日立システムズ
(74)【代理人】
【識別番号】110001689
【氏名又は名称】青稜特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】中嶋 一浩
(72)【発明者】
【氏名】坂田 孝昭
【審査官】志水 裕司
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0196756(US,A1)
【文献】米国特許第09718564(US,B1)
【文献】国際公開第2016/140988(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64C 13/18
B64C 39/02
B64D 27/24
G01C 21/26
G08G 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
現在位置を測位する測位部と、
出発地から目的地までの移動ルートを探索し、探索した前記移動ルートと、交通移動体
であるバスの走行ルートとに基づいて、前記移動ルートと前記走行ルートとが重複する区間を走行する前記交通移動体を探索する探索部と、
前記現在位置から前記探索部により探索された前記重複する区間を走行する前記交通移動体に着地するまでの第1の飛行と、前記重複する区間を走行する前記交通移動体を飛び立ってから前記目的地に到着するまでの第2の飛行とを制御する飛行制御部と、
前記第1の飛行と前記第2の飛行との間において、前記重複する区間を走行する前記交通移動体に搭載された給電装置から給電される電力をバッテリに充電する制御部と、を有し、
前記探索部は、さらに、現在時刻と前記現在位置と前記交通移動体の前記走行ルートにおける運行時間が記憶された時刻表情報とに基づいて、前記重複する区間を走行する前記交通移動体を探索し、
前記探索部は、前記時刻表情報に示された時刻において、前記重複する区間を走行する前記交通移動体を探索できない場合、前記走行ルート上の通信可能な前記交通移動体または前記交通移動体に搭載された前記給電装置のうち最も近い前記交通移動体または前記交通移動体に搭載された前記給電装置を探索する、
ことを特徴とする自律飛行移動体。
【請求項2】
現在位置を測位し、
出発地から目的地までの移動ルートを探索し、
探索した前記移動ルートと、交通移動体であるバスの走行ルートとに基づいて、前記移動ルートと前記走行ルートとが重複する区間を走行する前記交通移動体を探索し、
前記現在位置から探索された前記重複する区間を走行する前記交通移動体に着地するまでの第1の飛行と、前記重複する区間を走行する前記交通移動体を飛び立ってから前記目的地に到着するまでの第2の飛行とを制御する自律飛行移動方法であって、
前記第1の飛行と前記第2の飛行との間において、前記重複する区間を走行する前記交通移動体に搭載された給電装置から給電される電力をバッテリに充電し、
前記交通移動体の探索において、さらに、現在時刻と前記現在位置と前記交通移動体の前記走行ルートにおける運行時間が記憶された時刻表情報とに基づいて、前記重複する区間を走行する前記交通移動体を探索し、
前記交通移動体の探索において、前記時刻表情報に示された時刻において、前記重複する区間を走行する前記交通移動体を探索できない場合、前記走行ルート上の通信可能な前記交通移動体または前記交通移動体に搭載された前記給電装置のうち最も近い前記交通移動体または前記交通移動体に搭載された前記給電装置を探索する、
ことを特徴とする自律飛行移動方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自律飛行移動体、自律飛行移動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、ドローンに代表される小型の自律飛行ロボットは、調査や荷物の運搬等をはじめ幅広く利用されつつある。このような自律飛行ロボットが長距離移動するためには、バッテリ等の充電容量を増やして自律飛行ロボットの長距離移動を可能とする必要があるしている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1では、送電側ユニットから電力を送電してドローンに搭載されたバッテリを充電している。しかし、この方法では、ドローンが長距離移動する場合、送電側ユニットが多数必要となってしまう。また、ドローンに搭載するバッテリを大きくした場合、ドローン自体のサイズが大きくなってしまう。現在、1回の充電によるドローンの継続飛行可能時間は最大でも1時間程度であり、このような対応をしない限り、現実的にはドローンの長距離移動は困難であった。
【0005】
本発明は、長距離移動することが可能な自律飛行移動体、自律飛行移動体移動方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明にかかる自律飛行移動体は、現在位置を測位する測位部と、出発地から目的地までの移動ルートを探索し、探索した前記移動ルートと、交通移動体の走行ルートとに基づいて、前記移動ルートと前記走行ルートとが重複する区間を走行する前記交通移動体を探索する探索部と、前記現在位置から前記探索部により探索された前記重複する区間を走行する前記交通移動体に着地するまでの第1の飛行と、前記重複する区間を走行する前記交通移動体を飛び立ってから前記目的地に到着するまでの第2の飛行とを制御する飛行制御部と、を備えることを特徴とする自律飛行移動体として構成される。
【0007】
また、本発明は、上記自律飛行移動体で行われる自律飛行移動方法としても把握される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、自律飛行移動体の長距離移動が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】自律飛行移動システムの構成例を示す図である。
【
図2】自律飛行ロボットが有する本体部の機能的な構成を示すブロック図である。
【
図3】記憶部が記憶するデータの例を示す図である。
【
図8】記憶部が記憶するデータの例を示す図である(サーバ)。
【
図9】飛行連動型充電処理の処理手順を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に添付図面を参照して、自律飛行移動体、自律飛行移動方法の実施の形態を詳細に説明する。
【0011】
図1は、自律飛行移動システム1000の機能的な構成を示す図である。
図1に示すように、自律飛行移動システム1000は、自律飛行ロボット100と、携帯端末200と、サーバ300と、交通移動体400とを有し、これらが無線通信ネットワークN1を介して接続されている。また、サーバ300は通信ネットワークN2を介して、他のシステムや装置に接続されている。無線通信ネットワークN1は、例えば、携帯電話通信網である。通信ネットワークN2は、例えば、インターネット回線網である。
【0012】
自律飛行ロボット100は、例えば、ドローンのような、自律して飛行可能な小型の移動体である。
図1に示すように、自律飛行ロボット100は、複数のロータ101と、モータ102と、本体部103と、スキッド104とを有している。自律飛行ロボット100は、本体部103からの指示に従って、モータ102による駆動力を受けてロータ101を回転させて飛行する。スキッド104は、自律飛行ロボット100の離着陸時の足として使用される。
【0013】
具体的には後述するが、自律飛行ロボット100が、出発地Sを出発し、目的地Gまでの間の移動ルート上を移動する途中に公共交通機関の走行ルートがある場合、その走行ルートを走行する公共交通機関に着地し、出発地から目的地まで移動する。このように、ロボットが自律飛行しつつ、移動途中で移動ルート上の公共交通機関を利用するので、ロボット自体が長時間連続して自律飛行することなく長距離移動が可能となり、効率よく短時間で出発地から目的地までの長距離を移動することができる。
【0014】
図2は、自律飛行ロボット100が有する本体部103の機能的な構成を示すブロック図である。
図2に示すように、本体部103は、記憶部1031と、測位部1032と、探索部1033と、飛行制御部1034と、第1通信部1035と、制御部1036とを有して構成されている。実際には、これらの各部以外にも、例えば、映像や画像を撮像するCCD(Charge Coupled Device)カメラ、移動速度を認識するための加速度センサ、高度を認識するための超音波センサ、自身の向きを把握するためのコンパス、バッテリ等、自律飛行ロボット100が通常備えている機能を有している。
【0015】
記憶部1031は、メモリ等の一般的な記憶媒体から構成され、自律飛行ロボット100に関するデータを記憶する。
【0016】
図3は、記憶部が記憶するデータの例を示す図である。
図3に示すように、記憶部101は、経路測位情報10311と、路線情報10312と、時刻表情報10313とを記憶する。
【0017】
図4は、経路測位情報10311の例を示す図である。経路測位情報10311は、自律飛行ロボット100の現在位置および経路を示す情報である。
図4に示すように、経路測位情報10311は、現在日時と、現在位置と、出発地と、目的地と、経路データとが対応付けて記憶されている。
図4では、例えば、2015年9月1日の10時00分00秒現在、自律飛行ロボット100は位置(X1,Y1,Z1)の場所にいることを示している。また、出発地および目的地は、それぞれ、東京都品川区○○1-2-3および東京都渋谷区××2-3-4であり、その経路を示す経路データはDであることを示している。出発地、目的地の設定は、例えば、携帯端末200やサーバ300から設定すればよい。
【0018】
図5は、路線情報10312の例を示す図である。路線情報10312は、交通移動体400であるバスの運行ルートとその運行ルート上の停留所を示す情報である。
図5に示すように、路線情報10312は、交通移動体400であるバスが走行する経路を示す走行ルートR(点線)と、バスの走行ルートR上の所定位置に設けられた停留所P0~P3とがマップデータとともに対応付けて記憶されている。
図5では、例えば、交通移動体400であるバスが出発地である停留所P0を出発して行き先となる最終停留所P3までの走行ルートRが走行ルートとしてあらかじめ登録され、停留所P0を出発地として、P1→P2を順に経由し、最終停留所P3まで走行することを示している。
【0019】
また、
図5には、自律飛行ロボット100の出発地Sと目的地Gが示されている。後述するように、自律飛行ロボット100は、最短距離あるいは最短時間で移動可能な出発地Sから目的地Gまでの経路を探索して上記経路データとして記憶する際に、移動ルートrの途中でバスの走行ルートと重複している区間があるか否かを判定する。さらに、自律飛行ロボット100は、当該重複している区間があると判定した場合、時刻表情報を参照して自律飛行ロボット100が飛行する時間に当該区間(
図5では、区間D)を走行するバスを特定する。そして、自律飛行ロボット100は、特定したバスまで自律飛行し、着地する。自律飛行ロボット100は、上記区間Dでは、その区間を走行するバスに着地したまま移動し、上記区間Dから自装置の移動ルートが外れると、バスから飛び立ち、目的地Gまで自律飛行することにより、出発地から目的地までの長距離を移動する。
【0020】
図6は、時刻表情報10313の例を示す図である。時刻表情報10313は、交通移動体400であるバスの走行ルートにおける運行時間が記憶された情報である。
図6に示すように、時刻表情報10313は、上記停留所ごとに、バスの出発時間帯を示す時間帯と、その時間帯の平日における出発時刻と、土休日における出発時刻とが対応付けて記憶されている。
図6では、停留所P1では、朝5時、6時の時間帯では、毎時YY分にバスが出発することを示している。
【0021】
なお、
図5および
図6に示した例では、交通移動体400がバスである前提で説明したが、鉄道等の他の交通手段についても同様に考えることができる。また、例えば、自律飛行ロボット100の移動ルート上に複数の交通移動体400の走行ルートがある場合、自律飛行ロボット100は、出発地から目的地までの移動ルートの中で、それぞれの走行ルートを利用するか否かを判定し、最短距離あるいは最短時間で移動可能な移動ルートを探索してもよい。この場合、自律飛行ロボット100は、それぞれの交通移動体400について、探索した移動ルートと重複する区間があるか否かを判定し、それぞれの交通移動体400の時刻表情報を参照して、それぞれの区間で重複する交通移動体400を特定し、特定した交通移動体400に着地する。このようにして、1または複数の交通移動体400を利用して、自律飛行と交通移動体による移動とを繰り返し、出発地から目的地までの長距離を移動することができる。続いて、
図2に戻って、測位部1032について説明する。
【0022】
測位部1032は、例えば、GPS(Global Positioning System)モジュールであり、自律飛行ロボット100の現在位置を測位し、その日時および位置を経路測位情報10311の現在日時および現在位置に記録する。本例では、上記日時および位置は最新のデータを随時更新する前提で記載しているが、記憶部1031の記憶容量が許容されるのであれば、過去一定期間分のデータを自律飛行ロボット100内に蓄積してもよい。
【0023】
探索部1033は、自律飛行ロボット100の出発地から目的地までの移動ルートを探索する処理部である。探索方法については、従来から知られている様々な技術を適用することができる。上記出発地および目的地は、携帯端末200やサーバ300から入力される。
【0024】
探索部1033は、上記経路測位情報10311に設定された出発地Sおよび目的地Gと、あらかじめ記憶部1031に記憶されている不図示の地図データとを比較して出発地Sから目的地Gまでの最短距離あるいは最短時間で移動可能な移動ルートを探索し、その結果を上記経路測位情報10311の経路データに記録する。また、探索部1032は、経路測位情報10311と、路線情報10312と、時刻表情報10313とを参照し、上記のとおり、自律飛行ロボット100の移動ルートとバスの走行ルートとが重複する範囲があるか否かを判定する。探索部1032は、自律飛行ロボット100の移動ルートとバスの走行ルートとが重複する範囲があると判定した場合、さらに、自装置が当該重複する範囲の移動ルートを飛行する時間帯と、バスが当該重複する範囲の走行ルートを走行する時間帯とが一致するか否かを判定する。探索部1032は、両者が一致すると判定した場合、当該時間帯に当該重複する範囲を走行するバスを特定し、特定したバスを目標とする一時的な目的地を設定する。また、探索部1032は、自律飛行ロボット100が移動ルートまたは上記重複した移動ルートから外れたか否かを判定する。
【0025】
飛行制御部1034は、出発地および目的地が設定され、携帯端末200またはサーバ300から飛行指示を受けると、モータ102を駆動してロータ101を回転制御し、出発地である現在位置から目的地までの自律飛行を開始する。飛行制御部1034は、自律飛行を開始すると、超音波センサにより所定の高度(例えば、3メートル)となるようにロータ101の回転数を制御したり、探索部1033が上記一時的な目的地となるバスを設定した場合、当該バスまで飛行し、着地するよう制御する。また、飛行制御部1034は、探索部1033により自律飛行ロボット100が移動ルートまたは上記重複した移動ルートから外れたと判定された場合、本来の移動ルートを飛行するように飛行姿勢を制御する。
【0026】
第1通信部1035は、所定の規格にしたがって、無線通信ネットワークN1を介して携帯端末200、サーバ300、または交通移動体400との間で無線通信して各種情報を送受信する処理部である。
【0027】
制御部1036は、現在時刻を計時するタイマ(不図示)を備え、自律飛行ロボット100を構成する上記各部の動作を制御するとともに、給電装置401からバッテリ(不図示)への充電を制御する。自律飛行ロボット100を構成するこれら各部の具体的な動作についてはシーケンス図を用いて後述する。続いて、
図1に戻って、携帯端末200について説明する。
【0028】
携帯端末200は、例えば、スマートフォンやタブレット端末等の一般的な携帯端末である。携帯端末200は、自律飛行ロボット100に対して出発地や目的地を設定する。以下では、ユーザが一般的な携帯端末200を操作する場合について説明しているが、携帯端末100にかえて専用のリモートコントローラを用いてもよい。
【0029】
図7は、携帯端末200の機能的な構成を示す図である。
図5に示すように、携帯端末200は、入力表示部201と、飛行処理部202と、第1通信部203と、制御部204とを有して構成されている。
【0030】
入力表示部201は、例えば、タッチパネルから構成され、ユーザから様々な情報の入力を受け付け、その入力情報に対する処理結果を表示する。入力表示部201は、例えば、上記出発地や目的地の入力を受け付け、その結果を表示する。また、入力された出発地および目的地に基づいて探索された経路を表示する。携帯端末200が自律飛行ロボット100から現在位置情報を受け取り、上記経路に重畳表示させてもよい。
【0031】
飛行処理部202は、入力表示部201が受け付けた出発地および目的地を、第1通信部203を介して自律飛行ロボット100に送信する。また、飛行処理部202は、自律飛行ロボット100から上記経路を示す経路データを受け取り、入力表示部201に表示する。
【0032】
第1通信部203は、所定の規格にしたがって、無線通信ネットワークN1を介して自律飛行ロボット100、サーバ300、または交通移動体400との間で無線通信して各種情報を送受信する処理部である。
【0033】
制御部204は、携帯端末200を構成する上記各部の動作を制御する。携帯端末200の具体的な動作についてはシーケンス図を用いて後述する。なお、本例では携帯端末200を操作して自律飛行ロボット100に対して各種設定を行っているが、上記のとおりサーバ300からネットワークN1を介して設定してもよい。続いて、
図1に戻って、サーバ300について説明する。
【0034】
サーバ300は、ホストコンピュータ等の一般的なコンピュータであり、自律飛行ロボット100の運行を管理するサーバである。
【0035】
図1に示すように、サーバ300は、記憶部301と、経路監視部302と、第1通信部303と、第2通信部304と、制御部305とを有して構成されている。
【0036】
記憶部301は、HDD(Hard Disk Drive)等の一般的な記憶装置であり、自律飛行ロボット100の飛行経路に関する情報を記憶する。
【0037】
図8は、記憶部301が記憶するデータの例を示す図である。
図8に示すように、記憶部301は、自律飛行ロボット100の現在位置情報3011と、自律飛行ロボット100の経路情報3012とを記憶する。現在位置情報3011は、
図4に示した経路測位情報10311の現在日時および現在位置と同様の情報を対応付けて記憶する。経路情報3012は、
図4に示した経路測位情報10311の出発地および目的地、経路データと同様の情報を対応付けて記憶する。これらの例については既出のため、ここではその説明を省略する。
【0038】
経路監視部302は、移動ルートを飛行している自律飛行ロボット100を監視する処理部である。経路監視部302は、自律飛行ロボット100から受信して記憶部301に記録した現在位置情報3011および経路情報3012を読み取り、自律飛行ロボット100が経路情報3012に示された移動ルートまたは上記重複した移動ルートを飛行中の自律飛行ロボット100を監視する。
【0039】
第1通信部303は、所定の規格にしたがって、無線通信ネットワークN1を介して自律飛行ロボット100、携帯端末200、または交通移動体400との間で無線通信して各種情報を送受信する処理部である。
【0040】
第2通信部304は、所定の規格にしたがって、通信ネットワークN2を介して他のシステム等にアクセスする処理部である。
【0041】
制御部305は、サーバ300を構成する上記各部の動作を制御する。サーバ300の具体的な動作についてはシーケンス図を用いて後述する。続いて、交通移動体400について説明する。
【0042】
交通移動体400は、例えば、バスや鉄道等の公共交通機関で用いられる車両であり、ブレーキやブレーキ制御装置をはじめとしたこれらの車両で一般的に備えられている構成を有しており、当該構成のほか、自律飛行ロボット100に電力を供給して充電するための給電装置401を備えている。給電装置401は、一般的な給電装置を用いることができる。
【0043】
本システムでは、自律飛行ロボット100は、上述したように、自装置が移動する時間帯で移動ルート上を走行する交通移動体400を特定し、特定した交通移動体400に着地し、その走行ルートが自装置の移動ルートを外れるまでは自律飛行することなくその交通移動体400の移動に任せて移動する。この間、単に交通移動体400に着地しているだけでなく、付加機能として、給電装置401から電力の供給を受けて充電することとしてもよい。この場合、自律飛行により消耗した電力を、交通移動体400に備えられた給電装置で充電することができるため、さらに長距離を移動することができる。また、ロボット側に大きな充電装置を設ける必要がなくなることにより軽量化が可能となり、これに伴いさらに長距離移動が可能となる。さらに、自律飛行ロボットを充電する場合、特定の場所に備えられた給電装置(給電ステーション)まで自律飛行する必要もなくなるため、よりいっそう効率よく長距離を移動することができる。交通移動体400や給電装置401の構成については従来から知られた構成であるため、ここではこれらの詳細な説明については省略する。続いて、本システムで行われる処理について説明する。
【0044】
図9は、本システムで行われる処理の処理手順を示すシーケンス図である。以下では、交通移動体400がバスである前提で説明しているが、上述したように他の交通機関であっても同様に考えることができる。
【0045】
図9に示すように、ユーザが携帯端末200を操作し、入力表示部201が、ユーザから出発地および目的地の入力を受け付け(ステップS901)、さらに自律飛行ロボット100に対する飛行指示の入力を受け付ける(ステップS902)。携帯端末200の飛行処理部202は、上記出発地、目的地、および飛行指示を、自律飛行ロボット100に送信する(ステップS903)。本処理では携帯端末200からこれらの情報が設定される場合について説明するが、上述したようにサーバ300から設定されてもよい。
【0046】
自律飛行ロボット100の測位部1032は、携帯端末200からこれらの情報を受信すると、現在位置の測位を開始し、測位した情報を経路測位情報1031に記録する(ステップS904)。探索部1033は、携帯端末200から受信した出発地から目的地までの経路を探索し、出発地および目的地とともに探索した経路を経路測位情報1031に記録する(ステップS905)。具体的には、探索部1033は、上記経路測位情報10311に設定された出発地Sおよび目的地Gと、あらかじめ記憶部1031に記憶されている不図示の地図データとを比較して出発地Sから目的地Gまでの移動ルートを探索し、その結果を上記経路測位情報10311の経路データに記録する。
【0047】
探索部1033は、出発地Sから目的地Gまでの経路を探索して上記経路データとして記憶する際に、移動ルートの途中でバスの走行ルートと重複している区間があるか否かを判定する(ステップS906)。さらに、探索部1033は、当該重複している区間があると判定した場合、時刻表情報10313を参照して自律飛行ロボット100が飛行する時間に当該区間を走行するバスを特定する(ステップS907)。探索部1032は、目的地を一時的に上記特定したバスに設定し、上記経路データに記録する(ステップS908)。
【0048】
自律飛行ロボット100の飛行制御部1034は、上記測位した情報(現在位置情報)、上記出発地および目的地とともに探索した経路および一時的に設定した目的地を含む経路情報をサーバ300に送信し(ステップS909)、サーバ300の経路監視部302は、受信したこれらの情報を現在位置情報3011や経路情報3012に記録する(ステップS910)。
【0049】
飛行制御部1034は、ステップS909を実行後、モータ102を駆動してロータ101を回転制御し、出発地である現在位置から一時的に設定した目的地までの自律飛行を開始する(ステップS911)。以降、自律飛行ロボット100は、上記現在位置情報および経路情報を、随時サーバ300に送信する。
【0050】
飛行制御部1034により自律飛行ロボット100が自律飛行を開始すると、探索部1032は、上記重複している区間まで飛行したか否かを判定する(ステップS912)。探索部1032が上記重複している区間まで飛行したと判定した場合(ステップS912;Yes)、飛行制御部1034は、上記特定したバスまで自律飛行し(第1の飛行)、着地する(ステップS913)。一方、探索部1032が上記重複している区間まで飛行していないと判定した場合(ステップS912;No)、ステップS911に戻り、飛行制御部1034は、そのまま飛行を継続する。
【0051】
ステップS913において、自律飛行ロボット100がバスに着地すると、自律飛行ロボット100の制御部1036は、給電装置401との間で充電処理を実行する(ステップS914)。
【0052】
探索部1032は、移動ルートが上記重複している区間から外れたか否かを判定し(ステップS915)、移動ルートが上記重複している区間から外れたと判定された場合(ステップS915;Yes)、制御部1036は充電装置401との間の充電処理を中止する(ステップS916)。一方、移動ルートが上記重複している区間から外れていないと判定された場合(ステップS915;No)、制御部1036はそのまま充電処理を続ける。
【0053】
なお、上述したように、ステップS914、S915における充電処理は必ずしも実行する必要はなく、例えば、移動距離の長さに応じてこれらの処理を実行するか否かを定めればよい。
【0054】
飛行制御部1034は、探索部1033により自律飛行ロボット100が移動ルートが上記重複している区間から外れたと判定された場合(ステップS915;Yes)、給電装置401から飛び立ち、本来の移動ルートを飛行(第2の飛行)するように飛行姿勢を制御し、移動ルートに復帰する(ステップS917)。
【0055】
その後、自律飛行ロボット100の飛行制御部1034は、探索部1033が探索した目的地に到達したか否かを判定し(ステップS918)、上記目的地に到達したと判定すると(ステップS918;Yes)、飛行を終了し、自律飛行ロボット100を目的地に着地させる(ステップS919)。一方、飛行制御部1034は、上記目的地に到達していないと判定すると(ステップS918;No)、ステップS909に戻り、飛行を継続して、以降の処理を繰り返す。
【0056】
このように、本システムでは、ロボットが自律飛行を開始した後、移動ルートが交通移動体の走行ルートと重複する区間では自律飛行ではなく交通移動体を利用して移動し、上記重複する区間を外れると、本来の移動ルートに復帰した後、自律飛行により目的地まで移動するため、少ない消費電力で長距離を移動することが可能となる。また、利用した交通移動体に給電装置が備えられている場合には、当該給電装置からの給電を受けて、移動ルート上で充電するので、充電のための無駄な移動をすることなく充電することができる。また、ロボット側に大きな充電装置を設けることなく長距離移動が可能となり、また、特定の場所に備えられた給電装置まで飛行して移動した上で充電する必要がないため、効率よく短時間で出発地から目的地までの長距離を移動することができる。
【0057】
上記実施例では、自律飛行ロボット100の探索部1032が、経路測位情報10311、路線情報10312、時刻表情報10313を参照して、自装置が移動ルートを飛行する時間帯と同じ時間帯で、当該移動ルートと同じ走行ルートを走行するバスの有無を判定し、当該バスが存在する場合、そのバスを一時的な目的地として設定し、そのバスの給電装置まで飛行して充電することとした。しかし、実際には、道路事情や乗客の混雑度等の影響により、必ずしも時間帯どおりにバスが運行されるとは限らない。
【0058】
そこで、交通移動体400または給電装置401に自律飛行ロボット100と無線通信するための無線通信部を備え、重複すると判定された上記時間帯および走行ルートにバスが存在せず探索できない場合(例えば、時刻表に示された時刻にバスが停留所に停車していない場合)、探索部1033が無線通信により交通移動体400または交通移動体400に搭載された給電装置401の中で走行ルート上の通信可能な交通移動体400または給電装置401のうち最も近い交通移動体400または給電装置401(例えば、電波強度が最も大きい給電装置)を探索し、当該交通移動体400または給電装置401まで飛行したり、充電してもよい。この場合、道路事情や乗客の混雑度等の影響によりバスが遅れて停留所に到着したり、早く停留所に到着して出発した場合でも、確実に給電装置を使用して充電することができる。
【0059】
なお、上記自律飛行ロボット100、携帯端末200、サーバ300、給電装置401で行われる各処理は、実際には、これらの各装置にインストールされたプログラムを実行することにより実現される。上記プログラムは、ROM等に予め組み込まれて提供されたり、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルで記録媒体に記録して提供したり、配布してもよい。
【符号の説明】
【0060】
1000 自律飛行移動システム
100 自律飛行ロボット
101 ロータ
102 モータ
103 本体部
1031 記憶部
10311 経路測位情報
10312 路線情報
10313 時刻表情報
1032 測位部
1033 探索部
1034 飛行制御部
1035 第1通信部
1036 制御部
104 スキッド
200 携帯端末
201 入力表示部
202 飛行処理部
203 第1通信部
204 制御部
300 サーバ
301 記憶部
3011 現在位置情報
3012 経路情報
302 経路監視部
303 第1通信部
304 第2通信部
305 制御部
400 交通移動体(バス)
401 給電装置
N1 無線通信ネットワーク
N2 通信ネットワーク。